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1961-04-01 第38回国会 参議院 運輸、農林水産、商工委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年四月一日(土曜日)    午後一時三十四分開会   —————————————  委員氏名   運輸委員    委員長     三木與吉郎君    理事      天埜 良吉君    理事      金丸 冨夫君    理事      村上 春藏君    理事      大倉 精一君            井野 碩哉君            佐野  廣君            重宗 雄三君            谷口 慶吉君            鳥畠徳次郎君            野上  進君            平島 敏夫君            小酒井義男君            重盛 壽治君            中村 順造君            大和 与一君            片岡 文重君            松浦 清一君            白木義一郎君            加賀山之雄君   農林水産委員    委員長     藤野 繁雄君    理事      秋山俊一郎君    理事      櫻井 志郎君    理事      亀田 得治君    理事      東   隆君    理事      森 八三一君            青田源太郎君            石田 憲男君            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            河野 謙三君            重政 庸徳君            田中 啓一君            高橋  衞君            仲原 善一君            堀本 宜実君            大河原一次君            北村  暢君            小林 孝平君            戸叶  武君            安田 敏雄君            吉田 法晴君            棚橋 小虎君            千田  正君            北條 雋八君   商工委員    委員長     剱木 亨弘君    理事      川上 為治君    理事      古池 信三君    理事      牛田  寛君            赤間 文三君            上原 正吉君            大川 光三君            岸田 幸雄君            小林 英三君            斎藤  昇君            鍋島 直紹君            山本 利壽君            阿具根 登君            阿部 竹松君            岡  三郎君            近藤 信一君            椿  繁夫君            中田 吉雄君            向井 長年君            加藤 正人君   —————————————  出席者は左の通り。   運輸委員    委員長     三木與吉郎君    理事            天埜 良吉君            金丸 冨夫君            村上 春藏君            大倉 精一君    委員            井野 碩哉君            谷口 慶吉君            鳥畠徳次郎君            野上  進君            平島 敏夫君            重盛 壽治君            中村 順造君            大和 与一君            片岡 文重君            白木義一郎君            加賀山之雄君   農林水産委員    委員長     藤野 繁雄君    理事            秋山俊一郎君            櫻井 志郎君            亀田 得治君            森 八三一君    委員            青田源太郎君            石谷 憲男君            河野 謙三君            田中 啓一君            高橋  衞君            堀本 宜実君            北村  暢君            戸叶  武君            安田 敏雄君            吉田 法晴君            棚橋 小虎君            千田  正君   商工委員    委員長     劒木 亨弘君    理事            川上 為治君            古池 信三君            牛田  寛君    委員            上原 正吉君            大川 光三君            鍋島 直紹君            近藤 信一君            椿  繁夫君            中田 吉雄君   国務大臣    農 林 大 臣 周東 英雄君    通商産業大臣  椎名悦三郎君    運 輸 大 臣 木暮武太夫君    国 務 大 臣 迫水 久常君   政府委員    農林政務次官  井原 岸高君    農林省農林経済    局長      坂村 吉正君    通商産業省軽工    業局長     秋山 武夫君    通商産業省鉱山    局長      伊藤 繁樹君    通商産業省石炭    局長      今井  博君    運輸政務次官  福家 俊一君    運輸省鉄道監督    局長      岡本  悟君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 広瀬 真一君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    日本国有鉄道総    裁       十河 信二君    日本国有鉄道副    総裁      吾孫子 豊君    日本国有鉄道常    務理事     兼松  学君    日本国有鉄道常    務理事     磯崎  叡君    日本国有鉄道常    務理事     滝山  養君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国有鉄道運賃法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————   〔運輸委員長三木與吉郎委員長席に着く〕
  2. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) これより運輸農林水産商工委員会連合審査会を開会いたします。前例によりまして、私が連合審査会委員長の職を務めさせていただきます。  それでは国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、法律案説明を願います。
  3. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) ただいま議題となりました国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明いたします。  国鉄輸送力は、現状でも国民輸送需要をまかない切れない実情にあり、なお、政府所得倍増計画とも関連して、今後の経済発展隘路とさえなるものと思われます。  このような輸送力現状並びに今後の輸送需要の増大に対処するため、国鉄においては、昭和三十六年度を初年度とする新五カ年計画を策定いたしましたが、この計画においては、東北木綿北陸本線等主要幹線千百キロの複線化主要幹線千八百キロの電化、電化されない区間の全面的ディーゼル化通勤輸送の緩和、踏切設備改善、車両の増備及び東海道新幹線建設等計画しており、このためには総額九千七百五十億円、年額千九百五十億円の資金が必要となります。このほか昭和三十六年度に例をとりますと、借入金の返還が約二百億円ありますので、所要資金は合計二千百五十億円に上ることとなります。  これらの所要資金に対しまして、国鉄経営収支状況から見ますと、自己資金によって調達される分は、減価償却費等の繰り入れ約六百億円程度にすぎない実情にありますので、国鉄新五カ年計画を実施いたすためには、何らかの資金確保の方法を講じなければならないことになります。  この所要資金不足額を全面的に借入金によってまかなう場合には、本年度末において、三千七百億円の多額に達する借入金はさらに膨大なものとなり、昭和四十年度においては一兆一千億円をこえ、そのときにおける支払利子は七百億円をこえる見通しとなり、とうてい健全な経営を維持することはできないものと思われます。これとともに国家財政現状から見ましても、このような膨大な財政融資は困難であります。  翻って設備資金所要額のうちには、通勤輸送対策幹線輸送力増強踏切設備改善、取りかえ及び諸改良等約一千二百億円の採算にのらない工事資金が含まれておりますので、これらの資金は、利子のつく措入金で本来まかなうべきものでないと考えられます。従いまして、一部借入金増額によるほかに運賃改定による増収によって、所要資金を調達するほかないものと決意いたしたわけであります。  運賃引上率の決定にあたりましては、運輸審議会の答申を尊重し、また、国鉄運賃国民生活への影響を十分考慮いたしまして、極力低位にとどめるべく、借入金増額昭和三十六年度においては、前年度に比べ約百七十億円増加して約一千億円とし、また企業努力経営合理化等による自己資金の捻出をはかりまして、必要最小限度四百八十六億円増収率一二%程度運賃改定による増収額として見込むことといたしました。  次に、運賃改定内容についてでありますが、まず旅客運賃改定内容について申し上げますと、二等の普通旅客運賃賃率は、三百キロメートルまでの第一地帯は、一四・六%、三百一キロメートル以上の第二地帯は、一二・五%の引き上げとし、一等の運賃は、二等の一・六六六倍すなわち通行税込み二倍といたしました。なお、航路の旅客運賃もこれに伴いまして、ほぼ同程度改定をいたしました。  次に、貨物運賃についてでありますが、賃率をおおむね一五%引き上げることにいたしました。  なお、定期旅客運賃につきましては、割引率は、そのまま据え置くこととし、普通旅客運賃賃率引き上げに伴う改定にとどめることといたしております。  以上が、今回改定のおもな点でありますが、この無賃改定によって得られます増収額は、これをあげて輸送力増強に充て、今後五カ年間に国鉄輸送力の抜本的な拡充をはかり、もって、今後の経済の伸びに伴う輸送要請に応えたいと考えまして、今回の運賃改定もやむを得ない措置であると考えた次第であります。
  4. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) それでは、質疑の通告がございますので、順次御発言を願います。
  5. 北村暢

    北村暢君 発言する前に、大臣農林大臣通産大臣来ておりますか。
  6. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ただいま出席いたしております大臣は、運輸大臣農林大臣はもう直ぐ参ります。それから通産大臣は二十分ぐらいおくれるそうです。
  7. 北村暢

    北村暢君 国鉄運賃法の一部を改正する法律案に伴います国鉄運賃問題について質問いたしますが、ただいまの運輸大臣説明提案理由趣旨説明があったわけでございますが、これによりますというと、今度の運賃値上げの大部分は、新五カ年計画の策定に伴います輸送力増強に全部をつぎ込む、こういう御趣旨のようでございますが、国鉄輸送力は、現状では国民輸送需要をまかないきれない状態であって、今申されたように輸送力増強をやる、こういうことでございますが、そのまかないきれなくなってきている理由は、一体どんな理由から出てきているのか、この点について、まずお伺いをいたしたいと存じます。
  8. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) お答えを申し上げますが、御承知通り国鉄といたしましては、すでに第一次五カ年計画発足をいたしておりまして、昭和三十五年度は、ちょうど四年目に当たりますのでございます。で、第一次五カ年計画におきましては、発足当時に予定をいたしませなんだ仲裁裁定等がございまして、人件費が増加いたすとか、あるいはまた、その後の経済界変動によりまして思うような資金を得ることが得られなかったとか、あるいはまた、物価等変動によりまして、最初発足の当時に考えられました以上に、入手いたす品物の値段が上った等々のことによりまして、資金の方から見ますると、ちょうど四年目ですから、八〇%いくことが普通でございますのに六七%しかいかないということで、目的達成することができなかったというような事情になっておるのでございます。  それで、第一次五カ年計画におきましては、主として古くなったものや、いたんだものを取りかえるということに主要点を置きました。この方の朽廃施設の取りかえ、改良ということは予定通りできましたので、第一次五カ年計画によりましては、保安上の心配というものはなくなりました次第でございますけれども輸送力増強という方は、予定通り参りません。そこへもって参りまして、御承知通り滞貨の事実を見ましても、あるいは都市周辺の人口の過大なる集中から生じまするところの大都市を中心といたしまする輸送混雑等を見ましても、その後、貨物も人も、ともに国民輸送需要量というものはふえて参りましたので、現在の輸送力をもっていたしましては、現在の国民輸送需要をまかなうことができない、それに加えまして、政府計画いたしました所得倍増の構想に伴って、今後経済成長発展に関連いたしまして、現在のままでは非常な隘路とさえなるおそれがある、こういうことで、新しく三十六年度を起年といたしまする五カ年計画発足いたしましたような次第でございます。  詳細のことは、国鉄の者がきておりまするから、数字等は御質問によりまして、国鉄の者から説明をさせることにいたします。
  9. 北村暢

    北村暢君 ただいまの運輸大臣説明によりますというと、昭和三十二年の運賃二三%引き上げをいたしましたときにも、輸送力増強計画というものを発表いたしまして、第一次の計画が組まれておったわけでございます。それが、今答弁のありましたように、計画目標達成率がわずかに六七%であった。このことは、私は国鉄当局計画並び運輸省計画というものが非常にずさんであったのじゃないか、こういう感を深くするのであります。この無計画なことが、今日の国鉄輸送事情を、こういう窮迫した状態に追い込んでおる、このように私は考えるのであります。  従って、今日、三十二年度と同じような趣旨に基づいて、この運賃値上げをやろうとしているということについて、国民は、またこの第二次の新五カ年計画というものに対しても、多大の危惧の念を持っている、こういうふうに思うのであります。従って私は、この国民の不安、反対というものは、単なる反対ではない。非常に根強い反対というものが出てきているのだ、このように考えます。また農林水産関係の業界においては、ほとんどこの第一次の五カ年計画の恩恵に浴していない、こういう批判的な態度をとっている者が非常に多く出ております。私は農林水産関係の各団体から、いろいろ陳情を受けておりますが、しさいに検討をいたしましたが、そういう考え方が、農林関係者の中に非常に根強くぬぐい去ることのできないような感じを持っているのであります。  従って、この運賃値上げというものについて、そういうような実情にあるのでありますから、一体この考え方について、国鉄当局なり運輸大臣は、いかに対処していかれるか。この不安というものを、不信の念というものを、いかに払拭するかという決意を持っておられるかどうか、この点について、お伺いをいたしたいと思います。
  10. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) お答えを申し上げます。前半の、これは御質問ではございませんでしたが、第一次五カ年計画目的達成することができなかったことは、ずさんなる計画であるという御指摘がございましたのでございまするが、ちょうど四年目ですから、八〇%いけば、これは予定通りでございますものが、六七%しか参りませんことを非常に遺憾に思うのでございまするが、その原因といたしましては、先ほど申し上げましたような、発足当時に予定いたしませなんだ仲裁裁定による人件費値上がり等がございましたことや、あるいはその間におけるわが国の経済成長の速度が、予想外に伸びたということに原因があることでございまして、ただ、先ほども申し上げました通りに、老朽施設の取りかえ、改良につきましては、ほぼ目的達成いたしましたので、輸送保安の点につきましては、第一次五カ年計画におきまして御心配のないようなことができましたことは喜んでおりますようなわけであります。  それから農林水産物資の問題につきまして、るるお話がございましたが、御承知通り今度の運賃改定は、国鉄輸送力増強整備いたすための一部の資金といたしまして、全品目にわたりまして賃率改定することにいたした次第でございます。従いまして、農林水産物一つ一つをとりまして、これを考え直してもらいたいとか、これをどうするかというような御意見はあるのでございまするけれどと、全品目について、賃率を訂正をいたしました関係がございますので、私どもといたしましては、この一つ一つを、この際考えて取り上げるということは、今回の改定いたしまする国鉄運賃体系の根本をくずすものでございますので、これはごがまんを願いたいと思っておるのでございます。ことに農林水産関係の約二十億円以上に及びます割引をいたしておりまする暫定割引というものは、この際も、諸般の事情を考慮いたしまして、運賃改定いたしましたら、この農林水産物に対する割引は、そのままに据え置くということにいたしましたことが一つと、もう一つは、農林水産物は御承知通り、農村の方々に至大な影響を及ぼし、また国民生活にも、いろいろ重大なる関係がございますので、運賃体系を作りまするときに、きわめて低位等級に置いてあるのでございます。  今御説明申し上げました通りに、農林水産物は、すでに初めから非常に低いところに等級を置いてありますのに加えまして、従来ありました暫定割引をそのままに据え置くということで、今回の一斉のすべての品目に対する運賃改定をごがまんを願いたいものであると考える次第でございます。  それから先ほどのお話に、国民は新五カ年計画達成につきまして、その可能性について非常に不安に思っておる、第一次五カ方年計画のそれと比べて心配をしておるというお話がございましたが、今回は、第一次五カ年計画の経験に徴しまして、幸いにして、この運賃改定がお認め願えますならば、第一次五カ年計画のような失態を繰り返すことなく、所期の目的達成できることと、私どもは確信をいたしておる次第でございます。
  11. 北村暢

    北村暢君 次に私は、国鉄公共性の問題について御質問いたしますが、提案理由説明におきましても、設備資金所要領のうち、通勤輸送対策幹線輸送力増強踏切施設等改善、こういうようなものが一千二百億も、採算にのらない工事資金というものがあるが、これについては、利子のつかない借入金で本来まかなわるべきであると、こういうふうにいっておるわけでございます。私も、もっともなことだと思うのでありますが、政府において、このような考え方を持っておるのでありますから、利子補給等措置も講ぜられているということを聞いておりますけれども、これの具体的な数字について、明らかにしていただきたい。さらに、今後におけるこの種の政策、借入金に対する政府助成策というようなものについて明確にしていただきたい、このように考えるわけでございます。  また、国鉄借入金が現在三千五百億、その利子が二百二十三億ある、こういう実情のようでございますが、この利子額二百二十三億については、国鉄経営上きわめて重圧になっておる、このように考えるのでございますが、先ほどの提案理由趣旨説明の中にあった千二百億の工事費利子補給の問題と関連して、この間の事情説明していただきたい、このように思います。
  12. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) お答え申し上げます。ただいま御指摘のように、国鉄が、いわゆる公共企業体という高度の公共性を持っておりますることから発しまして、公共負担というものを重荷として背負っておるのでございまして、これは五百二十五億の多きに達しておるような次第でございます。そうして政府といたしましては、従来日本国有鉄道が、いわゆる政府直営事業特別会計の時分から、一般会計からは、これを補助することをいたしませんで、——一般交通事情というものが日本におきましても、世界のどこにおきましても、一つの柱は借入金であり、一つの柱は利用者の方に負担を願う運賃制度であるということによりまして、従来から借入金利用者負担運賃制度でやって参ってきておったのでございます。ことに戦後これが国の直営事業になりませんで、公共という名前はつけておりますけれども企業体になりましたので、国が、一般国民税収入を、もとといたしまする一般会計から、これに補助をいたすということはいかがなものであるかという、一部にはいろいろ議論があることにかんがみまして、従来通り公共企業体というものの運営は、借入金とそれから利用者に御負担を願う運賃によって経営をいたして参っておるのでございまするが、今お話のように、だんだん国鉄というものと、いわゆる新しい交通機関のバスやトラックの競争というものが盛んになりまして、一ころのような日本輸送界の王者であるということを、いつまでも言っておられないような経営になりましたことにかんがみまして、一方では、公共負担を多くいたしておることを考えまして、今回政府は、新しい線を作りまする借入金利子補給として、三十六年度予算には三億八百七十五万円というものを一般会計から補助金として出しておるのでございます。また従来からありました戦傷病者無賃乗車に対しまする補助金も、従来はとかく少なかったのでございまするが、今回は増額いたしまして、六千七百万円の多きを一般会計において補助金として計上いたしておるということを政府もいたしておるようなわけでございます。
  13. 北村暢

    北村暢君 ただいまの公共負担五百二十五億というものは、これは新線建設を含んでおらない公共負担額である、このように思います。それで国鉄の非常に高い公共性というものの中において、今日、国鉄全線の八割が赤字路線である、わずかに二割だけが黒字である、こういう実情にある。このことは、国鉄にとっては非常にこの点も苦しくなっている実情にあるということは、よくわかるわけでありますが、今大臣説明に上りますというと、新線建設利子補給だけが、補助金的なものでわずかに出る。先ほど、私がお伺いいたしましたように、今日、国鉄の支払っている利子額が二百二十三億あるというふうになっておりますが、二百二十三億というものが利子額として支払われているのに対して、一体どのくらいの——新線建設についてだけしか、利子補給を行なわないのかどうか。  これは、公共負担というものは、学割、通勤割あるいは貨物割引いろいろあるわけでございますけれども、そういう公共性を持った産業経済発展の上に、経過的にいって、どうしてもそれらの施策を続けていかなければならない、こういう建前に立って、やはり公共負担というものを国鉄に強いているわけでございますから、今まで顧みなかったこと自体が、私は非常に疑問である、また、国鉄旅客並びに貨物輸送量並びにこの金額、輸送額というものは非常に順調に伸びていると私は思う。伸びているのにもかかわらず、この公共負担というものが重荷になって、今日国鉄経営というものが苦しい、このことについて、もっと積極的に公共性というものを考えるならば、国鉄赤字克服のために政府は手厚い助成をすべきではないか、このように考えるのであります。  今、大臣答弁を聞いてみますというと、ごくわずかのものしか出ていないようでございますが、今後の方針について、お示しを願いたいと思います。
  14. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 御承知通り国鉄公共企業体でございますので、これは公共という字を、名前を、頭にかぶっておりますけれども、どこまでも、これは企業体であるという観点から、いわゆる能率的に運営するために、企業体としては独立採算制をとっているのでございまして、全体として原価を償う範囲内において、その公共企業体たる高度の公共性から出て参ります企業負担をいたしていくというのが建前でございます。  しかしながら政府といたしましては、国鉄公共負担の多きことにかんがみまして、御承知通り資金運用部資金を財政投融資として年々貸し出しているわけでございまして、現在ありまする三千七百億円の借入金の中で、資金運用部資金から借りておりますものは千四百八十五億円でございます。この資金運用部資金からの財政投融資として借り入れております金利は六分五厘でございまして、十五カ年でありますので、これは普通の開銀であるとか、あるいは市中銀行というものから借りるよりは、よほど低利であることは御存じの通りでございます。現在におきましては、一般会計から補助金として出しておりますのは、前に申し上げました新線建設借り入れの利子補給と、それから今の戦傷病者無賃乗車に対する補助、こういうものだけでございます。
  15. 北村暢

    北村暢君 どうもはっきりわからないのですが、預金部資金から借りていることもわかっていますよ、それから新線建設に対して利子補給していることもわかっている。その程度でいいかどうかということを聞いているわけなんですよ。  だから、もっと積極的に、国鉄の赤字要素というものが、大きな公共性国鉄政府は求めているのですから、求めている場合においては、それ以上のやはり助成というものを考えるべきでないかということを、今後の考え方として、お伺いしているわけです。
  16. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 現在の国鉄負担いたしておりまする公共負担の多きことにかんがみまして、あなた様のような御意見も、方々で聞かれるのでございますが、ただいま申し上げましたように、国鉄は、公共という名前を冠しておりまするが、一つ企業体でございます。企業体としては、能率的に独立採算制をもって運営をいたしまして、全体として原価を償いまするならば、その設立の目的に沿うて、公共負担をあえていたすというのが当然であるという考えを持っておりますので、一般の税金をもとといたしまする一般会計で、これに対して補助をいたしませんのが従来でございました。ただ、ただいまあなたからも御指摘になりましたような、新線建設利子補給、それから今、戦傷病者補助金とかいうようなものに踏み切りましたことは、金額は小なりといえども、従来一般会計補助をいたさなかった国としては、大いなるこれは奮発であるというふうに考えまして、決して金額が多いというわけではございませんし、これをもって足れりと私どもは考えておりませんけれども、こういうふうに踏み切ってくれたということは、いわゆる国鉄負担する赤字負担というものが、国鉄経営を圧迫しているということをよく勘案してくれた結果であると思って、喜んでおりますような次第でございます。
  17. 北村暢

    北村暢君 新線建設の建設費に対して利子補給をしている、このことはわかります。がしかし、新線建設の大部分は、赤字路線なんです。建設したから、利子補給したから、それで済むというものではなくて、今後運行すればするだけ赤字になってくるのですよ。それでもなおかつ、この赤字路線公共性なるがゆえに、国鉄は撤去できない。従って、この赤字路線というものは、建設費だけ利子補給すれば事足れりとするこの考え方、私は、それじゃ納得しない。今後建設された赤字路線は、運営すればするほど赤字になってくるのですから、国鉄負担になるのですから、この点はやはり、私の国鉄に対して、助成を思い切ってやるべきでないかという主張の根拠は、ここにあるわけです。そういう赤字になることをわかっていて建設しているのですから。  その点を二つ、もう一ぺん明確にお答えいただきたい。
  18. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) ただいまお話のような御意見は、ずいぶん方々から聞かれるのでございまして、現に権威ある鉄道建設審議会におきましても、新線建設は、政府でもってその金を持てというような意見の建議などもあったような例もあるのでございますが、政府といたしましては、今日の財政の実情にかんがみまして、国鉄という公共企業体が、全体として原価を償うに足るような経営をやっておりながら、すなわち黒字になっておるものをもって公共性の赤字負担というものを負担してもらうという建前に今日はなっていて、今のお話のように、ごくわずかなことだけ、一般会計から補助に踏み切ったというこのことは現状でございますが、しかしながら今後におきましては、ただいま御質疑にございましたような御意見も、十分に尊重をして政府としても検討すベきものであると私どもは考える次第でございます。
  19. 北村暢

    北村暢君 私は、ただいまの答弁で納得しませんけれども、同僚議員が運輸委員会等で、さらにやっていただくことにいたしまして、時間の関係で前に進みます。貨物関係について主としてお伺いいたしますが、貨物運賃につきまして、国鉄負担主義から原価主義に移行しつつある、完全な原価主義まではいっていないかもしれませんが、そっちの原価主義の方向へ進んでおる。これは三十二年度の運賃改定のときに、すでにこの原価計算による線近くまできたので、大体、この線でやっていけるのだ、こういうようなことのようでございましたが、今度の運賃の値上げに伴いまして、さらに貨物運賃等級改定等によりまして値上がりする。現実には、この提案理由説明でも、貸率一五%といっておりますけれども農林水産物資については、大体距離的にいきましても、約四百キロから八百キロのところに該当するものが、農林水産物資はほとんど大部分でございます。平均の輸送距離が、かような形のところに入るのでございます。  ところが、四百キロから八百キロあたりのところが等級改定が行なわれて、距離の割引が——高くなってくるわけです。従って、農林水産物資のほとんどは賃率の一五%に該当せずに、一六%ないし一七%上がる、こういう結果になっておるのであります。さらに単扱いの貨物、冷凍車であるとか大型貨物、こういう割増しの運賃というようなものも、そのもとが上がれば、率的に上がっていくというような形になっておりまして、割引は据え置いたという先ほどの説明でございましたが、その間の事情を、もうちょっと詳しくお伺いしたいと思いますが、ともかくも一五%という引き上げ率は、農林水産物資に関する限りは、これは一六%ないし一七%、こう上がるのであります。  そこで、私はお伺いしたいのは、この貨物負担力主義から原価主義に移行しつつありますが、今日の農林水産物資の、農林水産業の実態、これからいきましても、所得倍増計画によります今後の農林水産業の伸び、これと他の産業との、特に製造工業等の伸び率というものから比較いたしましても、農林水産関係は二・八%、それから製造工業においては二・三%、こういうことでございます。従って産業の伸びの点からいっても、今日この低位生産にある農林水産業というものが、非常に他の産業と比較して、所得も低い、二重構造、こういうことが、今日解消しなければならない大きな問題としてあるのですが、なおかつ、所得倍増計画によっては、十年後においても、これだけの差がついていくということが、これがはっきりいたしております。従って今後貨物として国鉄の線に乗る貨物の量においても、農林水産物資はそれほど大きな増加は示さない。今後大きく上ってくるのは、製造工業の高級の貨物が乗ってくることが期待せられるのであります。  しかもそれについては、国鉄当局は、しばしばこれらの高級貨物は、運賃が高いために、トラック輸送にとられてしまって、今日、低級な農林水産物資あるいは石炭その他の鉱業物資、こういうもので、しかもこの割引のあるものが、国鉄に乗るために、貨物は赤字だ、こういうふうにいっておりますけれども、私は先ほど来言っているように、この農林水産物資なり石炭その他の鉱業物資というものは、やはり国鉄公共負担として見らるべきものである、それだけの貨物としての負担力はない、こういうふうに、私どもは、今後においても、そう情勢の変化というものは、極端な変化というものは考えられない。従って、これらの公共政策的な貨物として農林水産物資は当然とらるべきである。それが、今度の改定によりまして、賃率一五%といいますけれども、実質は一六%、一七%上がろうとしている。このことについて、私はどうしても、今度の改定について賛成できないのでございます。  従ってこの間の事情について、体、今後どのように対処せられるか、一つ運輸大臣の具体的な対策というものをお伺いいたしたい。
  20. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) お答えを申し上げます。ただいまお話運賃改定でございまするが、一五%賃率改定いたしましたが、ただ遠距離逓減ということに手直しを加えましたことと、実キロ輸送という二つのものが加わりましたので、農林水産物資は、全体を平均いたしまする、と一五・八%でございます。個々の品物をとりますと、あるいは一六%とか一七%というふうに出るかもしれませんが、平均いたしましたところは一五・八%でございます。  そういうわけでございまして、私どもといたしましては、先ほども申し上げることを繰り返すようで、まことにおそれいりますのですけれども、この農林水産物資につきましては、いろいろ諸般の事情を勘案をいたしまして、運賃の体系から申しますると、非常に低いところにおいてあるのでございます。その上に、今までありまする百一のものに対しましては、暫定割引というのを三十二年以来やっておりますが、これをそのままに据え置く、こういうことにいたしましたので、ごがまんを願いたいものであると、こういうふうに考える次第であります。  それから、いわゆるそういう一般の賃率を上げましたことによって、ただいま申し上げましたような、どの品物も、運賃が上がりましたことで、農林水産を営む人々に対する、いろいろの個々別々に見れば、影響は多いことと存じまするけれども農林水産物資全体というものの物価を見ますると、運賃の改憲というものが、すぐ反映するものかどうか、あるいはまたいろいろ需要供給その他こまかい事情が、農林水産物の価格を決定いたしておるのではないか。たとえば野菜のごとき、豚肉のごときというようなものを見ましても、いろいろのこまかい事情や需要供給の関係が、これを決定いたしておるのでございまして、こういう方に適当な施策をいたしまするならば、この程度運賃改定によって、非常なる打撃を受けるというところには至らないのじゃないかというふうに考えまして、運賃改定に踏み切りましたような次第でございます。
  21. 北村暢

    北村暢君 私は、ただいま運輸大臣説明のありました、運賃改定そのものが、直ちに他の物価に影響してくる、そういう要素ばかりではない、こういう特に農林水産関係については、他の施策とも相待ってというような御答弁であったようでございますが、それでは一体、この、農林政務次官見えておるようですが、お伺いいたしますが、現在農林水産物価の動きは、一体どのような傾向にあるか、特に木材の値上がりというものについて、一体、どのようになっておるか。しかも、この運賃値上げというものは、今度の値上がりというものが非常に大きなムードとなって、物価の値上がりを左右してきておる、影響してきておるということは、私がくどくど申し上げるまでもない、非常に大きな影響を来たしておる。これは精神的な影響も出てきておる。また商人にしては、運賃値上がりをいいことにして、また物価の値を上げる、こういうところまであることもわかります。しかしながら、この運賃値上げというものが非常に大きな、やはり物価値上げの関連のあることは、今さら申し上げるまでもない。  従って、一体、こういう運賃値上げについては反対でありますけれども、一方的に運賃を上げるということは反対でありますが、もし運賃を値上げして、物価に影響させないというような、しかもこの農林水産物運賃負担力からいって、それに耐え得るような、これにかわる施策が、農林省が具体的にいかなる施策をとっておるか、これをお伺いしたい。御答弁願いたい。
  22. 井原岸高

    政府委員(井原岸高君) 御承知のように今日の農業経営は非常な困難な、いわゆる曲がり角に突き当たっておるわけでございます。従いまして、農林当局といたしましては、今国会において基本方針を上程いたしまして、それを中心にして今後の農政の建て直しを皆さんに御審議を願っているわけでございます。  さように苦しい農家経営の中で、農産物資が運賃の値上げをしなければならないというようなことは、北村委員のお説の通りでございまして、ほんとうに個々の農業者、林業者に対しては、迷惑千万だと思うのであります。しかしながら、一方に、今日の国鉄の輸送の状況を見まするというと、私自身の郷里のことを申し上げて、はなはだ失礼なんでございますが、あの非常に生鮮度を必要といたしますミカンの輸送をお願いいたしましても、こういうように暑くなりまするというと、すぐ一割二分の腐りが出るのですが、一週間も十日もしなければ消費地に到着しないというような、非常に輸送力が弱体化いたしまして、生鮮度のある野菜や魚や果実、そういうものを目的地に送ることができない。送りましても、その間にたくさんな痛みを出すというような状況でございます。また交通の面から申しましても、私、四国でございますが、全く麻痺いたしまして、一週間も十日も前に指定券を申し込みましても、なかなか手に入らないというような実情でございます。  そういうようなこと等も考えまするというと、農林当局としては非常に痛いのでございますけれども、実はしかみ顔をしながら、これに賛成をいたしているような事情でございます。  しかしながら、今後の運営の面につきましては、まあ、いろいろ運輸大臣からお話がございましょうが、先日来、河野委員を中心にいたしまして、この暫定的にでもやらなければならないたくさんな物資に対しまする輸送の面のお話がございました。この点につきましては、この法律案通りまするかいなやは別といたしまして、国鉄当局には、強硬に折衝を続けていきたい、かように考えている次第でございます。
  23. 北村暢

    北村暢君 ただいまの農林政務次官答弁では満足しないのですが、これは、大臣、来られないのですかね。
  24. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  25. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をつけて、下さい。
  26. 北村暢

    北村暢君 それでは重ねてお伺いいたしますが、私は、木材の値上がりの問題をお尋ねしたのですが、御答弁がないのですが、これを答弁できたら、一つやっていただきたいと思います。
  27. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) ただいま御質問のように、非常に最近、木材の値上がりの姿があるのでございまして、これに対しましては、御承知のようにいろいろ林野庁におきましても、今後の増伐を考えるとか、あるいは木材の輸入をやっていくと、そういうことで、とにかく何とか値上げを防止しよう、こういう対策にいろいろ苦心をいたしているわけでございます。
  28. 北村暢

    北村暢君 ただいまのような答弁では、私は納得しないのでありまして、今日のこの木材の値上がりというものは、これは一般物価より、はるかに高いのです。今日、庶民の住宅なんかは、とても木材の値上がりで、庶民の住宅は建たないというくらいまで、もう値上がりを示しているのであります。従って、この値上がりも、今上り坂にありますけれども、もう限界にきた、こういうふうに言われておるのであります。  従って今後のこの運賃の値上がりというものは、即これは、生産者の負担に帰する可能性が非常に強い。もう消費者は、これ以上高ければ、どんなに買いたくても買えないというところまできているのです。一般物価から比べて、はるかに高い率を示している。こういう状態の中で、今言ったような増伐その他の施策をとっておると言っておりますけれども、なるほど緊急対策として国有林の増伐等をきめております。しかしながら今日、値下がりをしないのが実情であります。輸入等も考えるでしょう。そういう中における今回の運賃値上げというものが、いかに農林水産物資、今例を引きました木材についても、生産者にこたえるかということは、私が、ここで強調するまでもなく、事実なのでありますが、今政務次官や経済局長答弁を聞いておりますというと、一体農林当局は、政務次官はしぶりながら賛成したと、こう言っておりますけれども、どの程度に熱意を持って検討され、運輸当局に当たったか、折衝されたか、一応反対という意見で出したようですが、簡単にけられて、そのままというのが実情ではないか、このように考えられるのであります。  従って、私は今御答弁があったようなことでは納得いたしません。どうしても農林水産物資については、今後一つ、この調整というものを公共的な立場に立って、日本産業の特性からいく農林水産業という、あるいは鉱業——これは製造工業ではなしに——鉱業と同じように、今後の成長率二・八%程度しか伸びないと言われているこの農林業の運賃の問題については、今後一つ、ぜひ検討されて改定をすみやかにやっていただきたい、このように考えますが、運輸大臣の所見を承りたいと思います。
  29. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) お答えを申し上げます。ただいま、あなたからもお話がございましたように、運賃割引等の公共負担というものは、非常に大きくなって五百二十五億にも達しておると、国鉄経営の上から見れば、公共負担額というものは、ほぼ限度にきておるように私もあなたと同じように考えるのでございまして、これ以上公共負担国鉄経営改善の上から増していくというようなことはいいことではないと、こういうふうに私どもは考えておる次第でございます。  それから木材等のことにつきましては、これは所管省が農林省でございますが、まだ国鉄運賃が上がって、木材が上がったというようなお話でも、ただいまないようでございますので、つまり国鉄運賃は、これから上がるわけなんで、私が先ほど申し上げましたのは、国鉄運賃のこの程度改定というものでありますれば、物価に反映することは非常に少ないのだ。ことに貨物におきましては、前回二十六年と二十八年と三十二年に、国会の御承認を得て改定させていただきましたあとの卸売物価に対する影響を見ますると、ある場合には、むしろ卸売物価が下がっておるのでございます。これは、国鉄運賃改定をしたから下がったのでも何でもないので、国鉄運賃改定というようなものは、卸売物価に対しては影響する力が乏しいので、むしろそれよりも需要供給の関係の方が非常に多いのじゃないか。木材のことは、私は申し上げませんが、これは木材の供給をふやすとか何とか、いろいろ農林省の賢明なる御施策がありまするのならば、これに適宜な方法がとり得るのじゃなかろうかというふうに考えます。  ただいま申し上げましたように、あなた様も御心配下さいましたような、この公共負担が多過ぎるではないかということは、ごもっともでございまして、これ以上割引をふやして公共負担を増すことは、国鉄の企業としての経営の健全性の上から見て、運輸当局としては、これ以上ふやさせたくないものだというふうに考えておる次第でございます。
  30. 中田吉雄

    中田吉雄君 関連して。大臣は、国鉄運賃まだ上げていないのだから、今木材が上がっているのは関係ないのだというような、需給のことは、よくわかりますが、しかし、ちゃんと、それを含んで上がっていることは、大豆は、きのう通った関税率の値上げが、一〇%が二二%になるということで、それを含んで大豆が値上がりして、とうふが小さくなったりしていることは、これは、ちょっと大臣説明は行き過ぎで、もう大豆の関税率が自由化に伴って一〇%を二二%にする、それが四月から実施するということを含んで、それも一つの大豆の値上がりの要因となっているので、需給関係が大筋でしょうが、しかし全く関係なしとはしない。木材価格の高騰に拍車をかけていることは、いなむことはできぬと思うわけであります。この点申し上げておきます。
  31. 北村暢

    北村暢君 今、中田委員のおっしゃる通りで、大臣は全くこの物価の値上がりが、運賃とは何も関係ないといったような、そういう認識を持っているのは大臣一人であって、国民全部はそういう認識は持っていませんよ。  それから、公共負担がもう限度にきているから、私は公共負担をこれ以上ふやすことはいかぬということを言っているのではないのです。この農林水産物資公共負担として、日本産業の特性から言って、所得倍増計画から言っても、これは成長産業としては非常にのろい産業なんです。従って運賃の面においても、公共的に、やはり政策的に割引なりなんなりされるということが必要だと、こう言っているのです。それは全く逆な認識ですよ、大臣の認識は。そうじゃない、そういう考え方でなしに、私は、今とっている、だんだん貨物負担力から原価主義でもって、非常に低級な貨物運賃負担力がないものが、だんだん原価主義でいくというと、公共、作物と同じような賃率になっていくという形では、言葉をかえて言えば、貨物等級というものがだんだんなくなっていく、幅が狭くなって、だんだんなくなっていくということは、これは国鉄の方から言えば、公共負担というものを軽くしたいという意味から、そうなるでしょう。しかし、それはですね、私は、今日農林水産物資等についてはやるべきではないということを言っているのです——やるべきではないということを言っている。  従って近い機会に、これについて、今度の改定についても私は反対でありますし、不満でございます。従って、これについて調整をするというようなことを考えるお考えはないか、このことをただしているのです。農林省は一体そういうような考え方に対して、あなた方も、しぶしぶ賛成をしたのであるから、今度は押し切られたけれども、今度の改定のときには、一つこれを直すような意気込みでなければ、私はこれは、農林関係に特にえこひいきして言っているのではなくして、産業経済の全体の中から、そうあるべきだと、こう考えておりますが、その考え方について、両者から一つ再度、御答弁をいただきたい。
  32. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 私も、農林水産物資運賃というものにつきましては、できるだけ安くいたしたいということは、人後に落ちないのでございます。国鉄運賃の建前が、負担力からだんだん原価を償う主義に移り変わるといたしましても、それが、あるいは総括的に、全体的に原価主義で償えればいいように思いますものですから、従来ありまする農林水産物資というものを非常に低い程度運賃体系の中でとどめておきますということは、私はこれはけっこうなことであると思います。  こういうふうに農林水産物資は、なるべく低い等級をつけておきます上に、国会などの御希望もございますので、暫定割引というものをやっておりますわけでございまして、この程度賃率全体の引き上げは、ぜひ利用者たる農林水産物の御関係の人にもがまんをしていただきまするならば、今度は輸送力が整備増強されますならば、輸送が円滑になりまして、貨車の配船がよくなるとか、あるいは貨車の運びが早くなるとかいうようなことで、生鮮食料品などに対しましては、むしろプラスになる面があるのではないか。この程度の御負担がまんしていただくことによって、国鉄のサービスが改善されまして、そうしてそのサービスによって、利用者の方に還元していくことができるように私どもは考えておるものですから、この程度の——一方では低い程度におきますことと、一方におきましては、暫定割引を引き続き据え置くということで、ごがまんを願いたいと運輸省としては考えておる次第でございます。
  33. 井原岸高

    政府委員(井原岸高君) 北村先生に大へんおしかりをちょうだいいたしておりますが、御心配いただきましたような、農林物資の値上げによって受ける農林当局の苦しさでございますので、事務的にも今回の値上げにつきましては、運輸当局にも十二分に折衝をいたしたわけでございます。それからまた政治的にも、閣議において大臣から、るる農林物資の値上げについて及ぼす影響については説明をいたしたわけでございまするが、さきに申し上げましたようなふうに、たとえば北陸におきまするあの雪害の当時でも、国鉄がとまりましたために、せっかく農家が作りましたなま乳が消費地に着かない、全量腐らすという、そういうようなことも起きておりますので、そういうこと等も考えまするというと、どうしてもこの国鉄輸送力を強化いたしませんと、また、はね返りまする損害の大きさ等も考えまして残念ながら賛成をいたしたわけでございます。将来再び運賃値上げ等ございましたなれば、おそらくまあ私としても、この席におりますまいが、農林関係のだれがこの職におりましょうとも、どなたが委員になりましょうとも、私は、最後まで抵抗があるものだと、かように考えるわけであります。  また、今回運賃の値上げをお認めになられましても、われわれは、過日の農林委員会等で、十分御激励をいただきました、あの線に沿いまして、運営の面で、最後まで皆様のお力を借りて、国鉄当局と折衝を続ける存念でございます。
  34. 北村暢

    北村暢君 次にお伺いしたいのは、今度の改正によりまして、貨物運賃は最短距離輸送路をとったのでありますが、これを、実際の輸送経路というものに改める。そのために、国鉄の都合によって、回り道をして輸送をしておる。こういうものが利用者負担に帰せられる。こういうことになるようでございますが、これは私ども、どうしても納得いかないのでありまして、利用者は、最短距離で計算されるべきものである、迂回するのは、国鉄の輸送の都合である、こういうふうに理解するならば、これはやるべきでないと考えます。従って、これについての、そういう考え方がもしあるとするならば、中止する意思はないか。  それから、実際距離によるということを考えた場合に、青函連絡線の擬制距離というものは、これによる運賃の何といいますか、余分に払っておるというものが、北海道の道議会、道の知事——自民党の知事からも、国会に要請が来ておりますが、その額が三十四年度で、移出するものが十億、移入するものが八億と、こういう大きな額に上っております。そういうような点からいって、実距離にするというならば、この青函連絡線の擬制距離も、当然実距離で、擬制距離を廃止すべきだと考えますが、この青函連絡線の擬制距離というものを廃止する意思があるかどうか、この点お伺いをいたします。
  35. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) お許しをいただきまして、私から御答弁申し上げます。ただいまの御質問の初めの方の運賃計算のキロ程の問題でありますが、ただいま御指摘になりました国鉄の都合でもって短かい距離をとったり、長い距離をとったりする例がたくさんございます。これは、たとえば青森と東京の間でございます。これは東北本線を経由いたします場合と、常磐線を経由いたします場合、それから上越線を経由いたします場合、いろいろとケースがございます。その場合に、東北線を経由いたします場合が一番短かいのです。これは七百三十八キロでございますが、これは、たとえば上越線を経由いたしましょうと、あるいは東北線を経由いたしましょうと、あるいは常磐線を経由いたしましょうと、いずれもこれは七百二十八キロの運賃をいただくわけであります。これは今後とも変わりございません。  しかし、そうでなしに、物理的に、貨物輸送をすることがほとんど不可能に近い場合、たとえば東京と大阪の間の例で申し上げますと、現在、最短距離と申しますのは、名古屋から亀山に入りまして、亀山から草津に出まして、そうして京都に抜ける、こういうのが最短距離ですが、実際、この経路を通りましたのでは、とても荷物の輸送はできませんので、全部御承知通り、東海道線を経由いたしまして輸送いたすわけであります。この場合に、約十キロ距離が延びて参りますが、その場合には、東海道線経由の運賃をいただくということであります。ただいま先生の御指摘通り国鉄の都合でもって、一番具体的な例で申しますと、東北線のような場合は——今回は最短距離ということは考えておりません、これは、いつでも最短距離に直すということは考えておりません。——東北線のような、これはいつでも最短距離でいただきますが、そうでなしに、物理的に、ほとんど不可能に近いというような経路、しかも、現実にそれを通るという場合は、ほとんどない、全くないといった例の場合には、実際に通る距離で運賃をいただく。これは実は、いろいろと昔から議論がありました点で、私どもといたしましても、昭和三十二年から一年間かかっていたしました運賃制度調査会におきまして、非常に詳しく検討いたしまして、私どもだけでなしに、いろいろな方々の、荷主にもお集まりいただきまして検討いたしました結果、これは実際経路によるのが適当だろうという、実は大体の御答申をいただいておる。  それから二番目の青函航路でございますが、これは御承知かと存じますが、昭和三十二年に、当時四百五十キロの擬制キロであったものが、三百キロに縮めたのでございます。百五十キロ縮めたわけであります。その三百キロと申しますのは、青函航路の問題は、御承知通りこれは船舶の輸送で、原価で見ますと、これは船運賃で換算いたしますと、その船運賃と、三百キロ分の鉄道運賃が、大体見合うということでございます。従いまして、もしこれを、ちょうど旅客運賃は、逆に旅客の方は、全然船運賃だけ別にいたしております。そうして、両方を通算いたしまするが、そういたしますと、貨物の場合には、鉄道の距離が短かくなるわけであります。具体的に申し上げますと、札幌−東京間が千五百キロあります。その間に船舶キロが三百キロ入っております。これを、この三百キロを抜かしまして、三百キロだけの船運賃をいただきますと、千二百キロ分の鉄道運賃になるのであります。千二百キロ分の鉄道運賃と千五百キロの鉄道運賃では、遠距離逓減の関係から申しまして、千五群キロの鉄道運賃の方が安いわけであります。従いまして、もし、青函運賃の擬制距離をやめろとおっしゃいますならば、船運賃といたしまして、ちょうど旅客運賃と同じような計算の仕方をいたしますれば、両方とも理屈に合うのでございます。そういうわけで、かえって、遠距離逓減の恩典を受けることができますので、われわれといたしましては、百キロのものを船運賃に換算いたしまして、三倍の運賃をいただいておる、こういうことでございます。  これは青函に限らず、他の高松でも同じでございます。私どもの方は、船舶輸送をいたしておりますところの運賃は、船舶原価を鉄道運賃に換算いたしまして、それを遠距離逓減の中に組み込んでおる、こういうことになっておるわけでございます。
  36. 北村暢

    北村暢君 最後に私は、先ほど来大臣がしきりと言っております暫定割引の問題についてお伺いいたしますが、暫定割引をやっておる、やっておると言われますが、これは私ども公共政策割引と、こういうふうに言っておるのですが、国鉄暫定割引と言い、暫定であるから、これはいつかなくなる、こういう考え方だろうと思うのです。従って、私は、この割引についても、三月三十一日までのものを当分続ける、こういうことのようでございますけれども、このことについては、ぜひ一つ、これを恒久化してもらいたい、この要望が非常に強いわけでございます。  で、当分というのは、一体、どのくらいのことを考えておるのか、私どもは少なくとも、今度の運賃改定のときに、こういうものについて考えるか考えないかという問題になるべきである。毎年この期限を三月とか十月とか、三カ月きざみに、こま切れできめておるというような実態である、非常に不安であるわけでございます。これは一つ、恒久化せよという要望が非常に強いのでありますから、この際、これを恒久化する意思はないか、また、当分というのは一体、どんなようなことを考えておるのか、この点をお伺いいたします。
  37. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) お答えを申し上げます。恒久化せよという御意見も非常に強いのでございますが、一方におきましては、この暫定割引というものは、運賃制度の上から申しますると、これは別ワクのものであるから、これは適当に是正しなきゃならぬという声も、一方では強いのでございまして、運輸審議会などでも、そういう答申を私どもの方へいたしておるような事情もございますものですから、当分これを据え置くということで、まあ名前は暫定でも、実際の利益を受けるわけでございますから、暫定ということで、これから検討はいたしてみまするでございますけれども、今のような賛否両論がありますものですから、割引をするということ、実をとることの方が大切ですから、名前は、いずれでもという意味で、今は暫定という名前を冠しておりますようなわけでございます。
  38. 北村暢

    北村暢君 当分と言っておりますが、一体、当分というのは、どのくらいのことなんですか。
  39. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 当分というのは、いろいろ御質問を受けまするが、これはやはり日本ばかりでなく、諸外国でも、当分という言葉もありますわけで、常識的に申しまして、これは暦の上の暦日で何日から何日ということを、ここで当分ということの説明をいたすことは不適当でございまして、ほんとうに皆さん方の御要望から見て、当分これは国鉄がやるのだなということをお考え下さる程度のものが当分であろうというふうに御説明するよりほか、当分が、いつまでということは申し上げることはきわめて不適当ではないかと、常識的に、当分という言葉をお互いに使っておりますものですから……。
  40. 北村暢

    北村暢君 従来、これは二カ月とか三カ月とかで、延期々々と、こうやってきておるのですよ。ですから、三カ月くらいずつ延期、延期でやられたのではかなわないから、この問題については、意見があるならあるでよろしいから、今度の運賃改定なり何なりのときまで、これは当分続けるというのならば、少し安心するのだけれども、二カ月で廃止になるのだか、三カ月で廃止になるのだかわからない、この当分というのは。だから、私しつこく聞いているのですよ。だから、その当分は、少し長い期間の当分なのか、二カ月か三カ月なのかということを聞いているのです。
  41. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) あなたと私の、この当分というものの理解点では一致しております、その当分でございます。
  42. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  43. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記つけて。
  44. 近藤信一

    近藤信一君 私は、商工委員会の立場から、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案に対して、若干の質問をいたします。  私ども商工委員会では、かねてから貿易自由化の伸展に備えまして、主要物資の国際競争力を培養し、強化するために、産業の合理化による価格の引き下げに対しまして、鋭意努めてきたのであります。今回の国鉄運賃の値上げは、これが商工物資に及ぼす影響を考えますると、ある種の産業にとっては、相当大きな打撃でありまして、今後の激しい国際競争に耐えられない部門も出ていくと思われるのであります。この運賃値上げは、池田内閣の所得倍増に先がけて、物価倍増の根源となるおそれも大いにあるわけであります。  国鉄運賃法第一条には、運賃決定の四原則として、産業の発達に資すること、物価の安定に資することとございます。今回の値上げは、この原則に私は反するものではないかと、かように思うわけでございまするが、これに対する運輸大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。
  45. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) お答えを申し上げます。今回の運賃改定は、法律にありますように、原価主義または公正妥当に欠けることのないように、また産業等の発達も考え、物価等にも影響する程度を考えるという、いろいろのことを勘案いたしまして、この程度改定をすることにいたしましたわけでございます。
  46. 近藤信一

    近藤信一君 先ほど大臣は、同僚北村議員の質問に対しまして、いわゆる運賃が上がったから物が上がったのじゃないと、こう言っておられたのです。  ところが中小商工業者は、どう言っているかというと、今、国鉄運賃が上がる、電気料金が上がる、こういう値上がりのときにわれわれの仕事は、商業は上げなければ上げる時期はないじゃないか。どこからも上げてくれないから、上げるということは、他が上がることによって、みずから上げていかなければならぬ、こういうことを盛んに言っているわけなんです。そういたしますると、これは国鉄運賃が上がるということを前提に置いて、中小商業者はどんどんどんどんと、こう物を上げている。こういう事実はあるわけなんです。  これでも国鉄運賃の値上がりと関係がないと大臣は言われるのかどうか。この点はいかがですか。
  47. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) ただいまお話のようなことが、世間に行なわれているかもしれませんが、そういうことは、まことに困ったことだと私は思うのでございます。私が先ほど、貨物運賃が前回二十六年と二十八年と三十二年に、国会の御承認を得て改定をいたしましたときには、卸売物価には影響がなかったものだから、運賃改定ということが、直ちに物価にそれだけ反映するというようなものとは考えられないと、過去の統計などから見て私は申し上げたのでございまして、このように運賃が上がるのを、これをいい機会に、この際でなければ上げられんといって、物の値を上げるというようなことがあることは、まことに好ましくないことでございますが、ただいまは統制経済とか計画経済でございませんので、強権をもって、そういうふうに物価を抑制することができないということは、まことに残念なことであると思いますが、国鉄運賃改定ということだけをとりますと、これがこの程度のものならば、卸売物価には、過去の経験に上りますと、ひどく反映をいたさなかったということを私は申し上げたような次第でございます。
  48. 近藤信一

    近藤信一君 経済企画庁長官に、ではお尋ねをしますが、この国鉄運賃の値上げということが、目前に迫っておる。さらに池田内閣の所得倍増計画によりまして、まああらゆる物価というものは上がってきておるわけなんです。これは長官としても、私は否定することができない事実だと思うのです。  この所得倍増の総元締である池田総理が、かまぼこを買って十円上がったといってびっくりしておる。こういう事実も新聞に出ました。そうするとやはり、私は、なんといっても、どう否定しようとも、諸物価というものは、その後上がってきておることも事実だと思うのであります。  一体、この値上がりのテンポというものは、現在どのくらいのテンポで上がってきておるか。この点、長官からお答え願いたいと思います。
  49. 迫水久常

    国務大臣(迫水久常君) よく所得倍増計画をやっておるから物価が上がるということを言われるのでありますけれども、実は所得倍増計画というのは、日本経済が、当然の勢いとして十年間くらいの間には、総生産が倍になるであろう、そういう勢いを持っておるということは、これは明らかな事実でありますので、その間におけるちぐはぐがなくって、そうして、あまり高い山に上がるかわりに、また急に谷に落ちるということもないように、なぞえにいくような一つの道しるべを作ろうというのが、所得倍増計画を立てました意味でございまして、従って問題は、所得倍増計画が立っておるから物価が上がるのだ、物価が上がるということの原因が、所得倍増計画を立てたということではなしに、日本経済の高度成長の潜在的な能力といいますか、そういうものがあることが一つ。その問題と物価との関連において、これは理解しなければならぬと私は思っております。経済が高度に成長いたします場合には、雰囲気といたしましては、物の値段というものは上がる傾向がありまして、下がる傾向よりも、上がる傾向の方が強いということは、これはもちろん当然なことでございますので、最近において、日本経済が非常に高度成長を遂げつつある、その事実は、直ちにそれによって物価のムードというものは上がる方向にあるのだということは、これは否定ができないと思っております。  事実上の問題といたしましては、卸売物価に影響いたしますところは、幸いにして生産能力が比較的多いものでありまするから、あまり顕著ではございません。この一月、二月、やや卸売物価指数が上がっておりますことは、先般も発表いたしました通りでございますけれども、一時的な需要供給の関係から上がっているものが多いと思っております。  消費者物価につきましては、残念ながら指数の上では、近年まれな顕著な値上がりを示しました。本年の二月と前年の二月を比べますと、四%近い値上がりをしておると思いますけれども、これもただいま御質問の将来の値上がりのテンポは、どういうように考えるか、私は、消費者物価の値上がりが、三一六年度、つまり本年の四月と三十五年度の四月、すなわち新年度からの比較というものは、上半期においては、やはり三ポイント以上の差がずっと出ていくと思いますが、下半期になりますというと、その差はずっと縮まってきはしないかと期待をいたしておるような次第でございます。
  50. 近藤信一

    近藤信一君 長官の御答弁によりますると、下半期でそのテンポはずっと下がってくるのじゃないかと、こう見通しをせられるわけでございますが、私は必ず、そうではないと思うのです。というのは、卸し物価云々ということもございまするが、卸し物価が上がる、従って小売物価も上がる、早い話が私ども毎日生きていく上において食べておる食事、私も宿舎におるのですが、やはりこれも物がどんどん上がったから、現在の食事代では、これはやり切れないから上げてくれということで、七十円の朝食が九十円になり、百十五円の夕食費が百五十円に上がっておる。何ゆえに、じゃそういう食堂あたりも上げなければならぬか、これはやはり卸し物価が上がってくるから、どうしてもその食事代も上げていかなければやり切れない、やっていけない。  従って私は、これは連鎖反応式に、幾ら国鉄運賃を上げたからといって、他には影響は及ぼさないと、こういう否定をされましても、やはりこれは私は、好むと好まざるとにかかわらず、諸物価というものは上がってくると、私は考えざるを得ないのであります。それでも上がらないと、運輸大臣答弁されるけれども、私は、今長官が上半期はその値上がりのテンポが、こう高く上がってきたけれども、下半期に下がっていく、私は、その長官の見通しは正しいと仮定いたしましても、やはりテンポが早いかおそいかということだけで、値上がりということに対しては、私は変わりはないじゃないか、かように私は思うのですが、この点いかがですか。
  51. 迫水久常

    国務大臣(迫水久常君) ただいまお述べになりました宿舎の朝御飯が幾ら上がった、晩御飯が幾ら上がったというのは、卸売物価が上がったから上がったのか、それともサービスのいわゆる手間の上がりぎみで上がったのか、それはちょっと分析しなければわからないと思いますが、まあ私は、全体的に経済が高度成長している場合、言葉をかえて言いますなら、物が非常によく売れる状況なんです。経済の成長がにぶりました場合には物の売れない——マーケットの状態は、物の売れない状態で、物の売れない状態のときは、物価というものは下がりぎみの傾向を示すでしょうし、物が売れる状態のときには、物が上がる傾向を示すのだと思うのです。これは当然でありまして、経済が高度成長する場合には、物がよく売れる状態でありますから、傾向としては物価は上がっていく状態は否定できないと思っているのです。  ただ問題は、その物価の上がり方が、所得のふえ方よりもオーバーするかどうかという問題と、それから、たとえば労賃の値上がり等によって、コストが上がるか、いわゆるコスト・インフレになるかならないかというところの問題だと思いますけれども、現在の状態においては、コスト・インフレの状態は起こることはないと考えておりますし、それから、物の需要供給の、大体物がよく売れるから物が上がる傾向であるという、その傾向による値上がりというものは、所得の増加というものを、決してオーバーすることはない、それよりずっと下である。問題は、そこで便乗的に値上がりをするものを、どう一体、政府が行政指導によって押え得るかというところに問題が帰着してくるのだと、こう思っております。
  52. 近藤信一

    近藤信一君 まだたくさんの同僚議員が質問せなければなりませんので、先に進みますが、私は、運賃値上げ影響の特に大きい商工物資は、石炭、金属、鉱石、こういうものでございまして、この石炭、金属、鉱石などの、価格の割に容積、重量の大きい地下資源でございます。例をあげますれば、硫化鉱を三百九キロ輸送するといたしまして、硫化鉱の価格三千七百五十二円のうち、運賃の占める割合というものは、現行料金で八百四十六円で、二二%でございます。これが、改正案によって試算いたしますると、百二十九円上がって、九百七十五円という価格ということになりまして、価格の二五・九%を占めることになるわけであります。また、石炭の場合は、百キロ輸送すれば着駅価格が四千四百五十五円のうち、現行運賃が四百七十五円でございまして、改正案では五百四十六円になって一五%の引き上げになるわけなんです。そういたしますると、トン当たり単価は七十一円上がることになるわけなんです。石炭、金属、鉱山、これは一番合理化を進めなければならない産業に今日なっております。運賃の面から、合理化効果を相殺する点の起こってきたことは問題であると私は思うのですが、この点いかがですか。
  53. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 先ほど来、たびたび申し上げましたように、輸送力増強のための一つ国鉄が捻出する投資の原資といたしまして、今回の運賃改定をやるにあたりましては、すべての品目につきまして賃率を一様に改定をいたしておるようなわけでございます。  従いまして、運賃改定の立場から申し上げますると、すべての品目賃率改定をいたしましたときに、石炭一つを取り上げて、これを別にするということは、ほかの品物との振り合いもございますし、そういうようなことをいたしますると、今度の運賃改定というものの基本がくずれ去ることになりますものですから、石炭の方のことは、私どもはそのままにいたしまして、ほかのものと一律に、他のものとの振り合い七、賃率改定をいたしましたような次第でございます。
  54. 近藤信一

    近藤信一君 じゃあ、通産大臣にお尋ねしますが、今運輸大臣は、いわゆる輸送を増強するためには、これはどうしても、これだけの値上げがなければできない、こうおっしゃるのです。  そこで、あなたが担当しておられる石炭、金属、鉱山、この産業は、あなたも御承知のように、非常に今日、石炭合理化をせなければならぬという状況に置かれておる今日なのです。そこで、この上輸送に対して、これだけの大きな値上がりがあるとするならば、それで今後、石炭、また金属、鉱山、こうした地下資源に対して、将来の発展ということが阻害されるんじゃないかと私は危惧するわけなんですが、この点あなた、どのようにお考えになっておられますか。
  55. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 石炭及び鉱産物の関係の御質問でございますが、石炭は、御承知通り、まあ斜陽産業とまでいわれておるような状況で、エネルギー革命とでも申しますか、非常な変革に逢着して弱っているほとんど唯一の産業であると、私は思うのであります。従いまして、今後はこの石油資源との対抗上、石炭産業におきましても、相当の合理化をしなければ、みずから守っていけないというような状況にありまして、ある程度は、やはり経済でございますから、あまり外部から力を用いて、これを無理に支えるというようなことは、これは長続きのする問題でもない、そういったようなことで、石炭業界みずからが合理化をしなければならぬという立場に、苦しい立場に立っておるのであります。  それで、三十八年度までにトン当たり平均千二百円のコスト引き下げをしなければ、どうしても石炭産業というものを守っていくわけに参らぬ、こういうことになりまして、大体、まあ石炭の大口需要筋におきましては、千二百円まで下げてもらえれば、将来、たとえ重油の値段が、今後どうあろうとも、石炭のもう相当数量を、われわれは責任を持って使っていきましょうというような話が、だんだん熟しつつあるのでございます。しかし、この話でも、重油が今日国際的に非常にまだ高い状況でございまして、これはもう必ず下がってくる。下がっていくと、ますます石炭との競争力の点においてバランスが崩れる、こういう場合の心配も実はあるのでありますけれども、それにかかわらず、われわれは、大口需要部門を指導いたしまして、必ず所定の数量は、かかえていかせるという強い決意を持っておるのでございます。  それでございますから、石炭自身としても、非常にむずかしいこの合理化を、どうしても成功させなきゃならんという立場にありまして、そこへ持ってきて、今御指摘の六、七十円のトン当たり、さらに運賃負担の増加を背負っていかなきゃならんということになりますというと、まあ運賃は、一ぺんに上がるわけで、合理化は、だんだん努力によって、これを消化して参るということになるのでありまして、もうすでに、その荷物を背負っておる。その荷物の上に、またどかっと七十円程度の荷物が背中へ乗っかるのでございますから、なかなかこれは、今日の石炭界の実情から言って、これを消化するということは、直ちに消化するということは、非常に——少なくともむずかしい、こういう状況にあります。  それから、硫化鉱その他の鉱産物の点は、石炭とはやや趣きを異にしておりますけれども、これまた日本の鉱産物の状況は、各国の資源に比較して、割合にスケールが小さいのでございます。従って、コストが相当にかかり過ぎる、こういう状況にありまして、自由化すれば、もとより大へんなことになりますが、このままでは。——自由化いたしませんでも、すでに国際競争力に耐え得ないというような状況にございますので、これまた石炭に次いで、かなりその運賃負担増加ということが、こたえる部門でございます。さようなまあ状況であります。
  56. 川上為治

    川上為治君 関連。ただいま運輸大臣がほかのその物資の関係から、石炭とかあるいは硫安とか、あるいは鉱産物について、特別な措置をとることはできないというようなお話がありましたが、現在すでに暫定割引制度というような制度をとって、政策的な運賃を実行しておるわけですね。また同待に旅客運賃については、学生割引の特別な運賃を取っておるわけですね。ですから、やはり石炭とか硫安とか鉱産物とか、こういうような非常に特殊なものについては、私は政策料金を取るべきではないかというふうに考えるわけです。  今通産大臣が、石炭の問題について、あるいはその硫化鉱の問題について話がありましたが、石炭は、合理化をどうしてもやらなくちゃならぬ。そうして千二百円の価格を引き下げなくちゃならぬ、こういうような強い要請に迫られて、いろいろ努力をしているわけなんですが、そういう合理化を非常にやるために、これは必ずしもそればかりじゃないと思うのですが、保安の問題についても、いろいろ問題が現在起きているわけなんです。そういうような事態をよくお考えになって、私は石炭についても、この政策料金を実行すべきじゃないか、そういうようなふうに考えるわけなんです。また硫化鉱についても、硫化鉱というのは硫酸の原料、硫酸は硫安の原料、こういうことに関係があります。この硫安というのが、現在輸出会社が実質七十億の赤字を掲げて、非常に苦労しているわけなんですね。おそらく専門の硫安会社というのは、配当もほとんど全然できないというような状況になって、これまた非常に大問題であるわけであります。そういう硫安の原料である硫化鉱の運賃を、やはりほかのものと同じように考えて上げるということは、これは私は間違っているのじゃないかというようなふうに考えられるのです。  それから鉱産物についても、たとえば銅なら銅、これは国際的に非常に日本の銅の価格というのは、割が悪いわけです。でありますから、こういう点を考えますというと、これはあらゆる物資についてということは、私どもは言っているわけではないのですが、少なくとも、今非常に困っている石炭産業でありますとか、あるいは硫安産業で、ありますとか、あるいは金属産業については、私はやはり特別な政策料金を実行しても、ちっとも差しつかえないのじゃないかというような気持を持っているのですが、その点について、やはり運輸大臣が、そういうものはやはりほかの物資と同じように考えて、一様に引き上げるべきだというような御意見であるか、何か聞くところによりますというと、この問題については、通産大臣あるいはほかの方々と、いろいろ相談をしつつあると、善処しつつあるというようなふうに聞いているのですが、この点は、どういうようなことになっておりますか、その点々二つ、お伺いをしておきたいと思います。
  57. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) お答えを申し上げますが、先ほど申し上げたことを繰り返すようで、まことにおそれ入りますが、今回の国鉄運賃改定にあたりましては、すべてのものの賃率改定いたしましたので、特に石炭をどうするかというようなことにいたしますと、ほかの品物との振り合い等もございましたので、今度の運賃改定の企てが根底から崩壊いたすようなことにたる次第でございまして、先ほど来、たびたび申し上げますように、いわゆる公共負担というものは、今日は国鉄経営から見ますると、相当大きなものであることは御承知通りでございまして、従って、この公共負担をこれ以上増加するということは、なるべく差し控えたいという見地でありますことは、先ほど来申し上げたような次第でございます。  ただ、お言葉の中にありましたが、肥料につきましては、貨物等級を査定いたす上から見まして、日常生活上、肥料がきわめて重要なものであるということにかんがみまして、先ほども申し上げましたような特別の等級にいたしまして、低い程度に置いてある、運賃の体系の上から見ると、肥料は低いところに置いてありまして、その上に、先ほど来皆さんからお話のありました暫定割引は、やはりこれも当分据え置く、こういうことにいたしますので、これで、この方はごがまんを願いたいというふうに先ほどから申し上げておる次第であります。
  58. 川上為治

    川上為治君 私の申し上げておるのは、運賃改定の基本方針に対して、いろいろふえてくる。だから、石炭なり、硫安なりあるいはその金属関係のものについては、特別な措置はとれないというようなお話なんですけれども、現在すでに、さっきからお話がありますように、暫定割引制度という特別な制度を設けておるわけなんです。それからまた旅客運賃については、学生割引制度というのを、こういう政策的な制度を設けておるわけなんです。  ですから、私は何でもかんでも、あらゆるものについて、こうしろというわけじゃございませんが、特に、今一番因っておる石炭産業でありますとか、あるいは硫安については、若干特別措置を取るとおっしゃいましたが、硫安の原料である硫化鉱ですね、あるいは特別な金属鉱物については、こういうものに限って、特別な政策料金をとられても、ちっとも私は差しつかえないのじゃないかというような私は気持がするわけなんですが、その点については、いかがにお考えになっておりますか。
  59. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 今、いろいろお話のございました御趣旨はよくわかるのでございまするが、わかりましても、それに御賛成を申し上げることがなかなかできにくいことで遺憾に存じております。石炭などの合理化は、御承知通り、今通産大臣からお話がございましたように、通産行政の観点からお願いを、石炭合理化という方はやっておりますわけでございまして、今度の運賃改定は、国全体の経済成長に見合うような国鉄輸送力増強整備ということを目標にやりましたものですから、この運賃の方にしわ寄せをすることがなく何とか一石炭合理化の方は、通産行政の方でやっていただきたいというのが私どもの考えでございます。
  60. 川上為治

    川上為治君 私は、大臣がこの問題について、はっきりここで、じゃ、石炭についてはどうする、あるいは硫安についてはどうする、鉱産物についてはどうするということを、なかなかおっしゃることはできないと思うのですが、ただ、この問題については、非常に重大な問題でありますから、私の聞くところでは、何か通産省と運輸省の間に、いろいろこの問題については相談をしつつあるというふうに聞いておりますから、どうか一つ、この問題については真剣にお考えになって、そして石炭なり硫安なり、こうした方面のものに影響がないように、具体的な措置をとっていただくことを強く要求しておきたいと思います。
  61. 吉田法晴

    吉田法晴君 関連。政策運賃を考慮すべきではないか、こういう質問に対して、通産大臣が、石炭あるいは鉱産物あるいは肥料についても、今まで背負っている荷物の上に、さらに大きな荷物を背負うことは困難である、こういう政策運賃の考慮が必要な御答弁がございました。ところが、運輸大臣は、お話はわかりますが、おわかりになるそうですが、しかし実際には、運賃は一五%程度一律に上げざるを得ない、こういうような、いわば話はわかるけれども、同様に上げざるを得ないという説明です。それではこの運賃問題について政策料金を実現をせよ、こういう質問なり、あるいは要望には、こたえられることにはなりません。  そこで、重ねて大臣に具体的にお尋ねをいたしたいのですが、公共負担の分についても、運賃でとにかくまかなおう、こういう態度、それに対して、公共負担やあるいは国の財政投融資なりあるいは公募債の増加なり、その資金源も、公共資金で財源をまかなうべきだという主張をしておるのであります。  特に、赤字が予想せられます新線建設等については、九十六億円ですが、それを、とにかく一般国民から負担させるのは、これは筋違いじゃないか、こういう主張が強く批判としてなされている。政策運賃に関連して石炭、鉱産物についても、公募債の増加を見合いにするという意味で、特別の運賃割引を実施するようにしてもらいたいという意見が、審議会等から出ております。それを具体的に、どう考えるか、この運賃値上げ問題について、具体策として政策料金を考える上において、どう考えられるか、どうされたかという点が問題であります。  石炭、あるいは鉱産物等について、実情より以上の荷物を背負うことができないという点は、あるいは通産大臣、あるいは同僚議員から指摘された通りでありまして、その合理化の嵐の中に、あるいは国際競争の中で、背負い切れない荷物を運賃の特別割引によって、どう解消するか、その具体策がなければ、これはお答えにはなりません。  それから運輸大臣として、国鉄事情説明して答弁せられますけれども、われわれが質問をしておるのは、政府を代表して四大臣出ておられますが、政府として、この矛盾、あるいは、要望、公共投資をもって運賃の値しけを、この幅を縮める、あるいはその中で政策的な、政策運賃を実現するために、具体的にこうしろ、あるいはどうするかという問題が出ておる際には、その政府の方針を、これから話し合いをするのじゃなくて、この運賃値上げの問題について、どういう工合に実現するか、具体的な答弁がなければ、答弁になりません。重ねて答弁を願います。
  62. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) どういう状況であるかというお尋ねでございましたから、状況だけをお話いたしましたが、まあそんなような状況でございますから……。それで、石炭それから鉱産物については、かなり困難な状況である。ことに石炭については、トン千二百円の合理化という荷物の上に、またその運賃の値上がりによる過重される分がまた重なるのでありますから、きわめて、これを直ちに吸収するということは、少なくとも困難である。  こういう状況でございますから、この点につきましては、政府部内において、十分に対策を協議して、そして実質上負担の過重にならないように、結論を見出すべく折衝に努力するつもりでございます。
  63. 吉田法晴

    吉田法晴君 より以上の荷物を負担することはできないと言われますが、負担だけでなくて、これは金属、鉱山等については、運賃が五〇%以上も負担をしておって高率になっておって、より以上の負担をかけるということになれば、運賃負担部分の増高によっては、つぶれる山も出てくる、休廃のやむなきに至るものも出てくる、この点は、これは通産大臣としては御存じだろうと思うのです。その現実救済のために対策を考えなければならぬ。考えなければならぬというところは、運輸大臣お話はわかりますと言われて、わかったわけでありますが、それを同様に上げて、そして対策はあとで、とにかく協議する、こういうことでは対策になりません。  そこで、御質問を申し上げておるのは、その対策を政策運賃を実現するために、どうするのか、あるいは国民の中からは新線建設についても、これは国が投資をすべきだ、あるいは石炭の問題について、国鉄の公募債の増加を見合いとする等の手段による具体的な意見が出ているのです。それらの点について、案を得て、そしてあるいは石炭について、あるいは鉱産物について、あるいは硫安について、どういう方法をとって政策運賃を実現するか。これが、今まで話し合いをされて、その話し合いの結果が、今ここへ出て来ておる。こういうようにして今後相談して、そういうところは、政策運賃を実現するために努力いたします。こういう具体策が出ていれば、そうして政策運賃が実現するような方法を、ここで御答弁になれば、私も満足であります。しかしこれから相談するというのじゃ、これは運賃値上げは出て来るものは出て来る。それから、あとの対策が、出て来ることは承知できません。それは、運賃問題の審議じゃなくて、あとの通産政策の審議、そんなものは、私どもは今求めておるわけじゃございませんから、はっきり——とにかく相談してからでもかまいませんから、ここで、具体策と方向とを出していただきたい。
  64. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 建前といたしましては、石炭にしろ、あるいは硫化鉱その他の鉱産物にしろ、こういったようなただいまの輸送状況は、やはりこれで十分でない。やはり増強してもらわなければならぬ。そのための運賃改定であれば、全般的にこれは認めざるを得ないと私は思うのであります。  ただ、ものは一様ではございませんから、特に、こういったものがあるから、そこで、どうするかということでありますが、まず手順といたしましては、できるだけ合理化によって、生産性の向上によって、この問題を吸収することに努力し、至急考究中でございます。どうしても吸収困難な部分につきましては、先ほど申し上げましたように、これは、一つ相談である、こういうふうに考えておるわけであります。
  65. 吉田法晴

    吉田法晴君 増強をしなければならぬ、あるいは運賃値上げをしなければならぬという話は、それはあなたから聞く話ではなくて、運輸大臣から説明があることです。  より以上の負担を吸収することができない、合理化の、とにかく大きな荷物以上に大きな荷物になって、それは吸収できない、中にはつぶれるものもある、従って、政策料金を実現をしてもらいたい、こういうお答えをされましたが、あるいは気持がわかるという点で、運輸大臣も認められたが、それならば、その対策を、これから協議じゃなくて、運賃改定の中で、実現をする具体的な方策をお示し願いたい。  あとからの相談だと、それは、通産政策なりあるいは企画庁、農林省等も加わるでしょうけれども、これは善後処理の話じゃなくて、運賃問題として、具体的に要望が出ている。あるいは国家資金負担をふやすなり、あるいは公募債の負担をふやすなり、政策料金を実現する案を立てたい、相談をしたいというならば、それを現在お示しを願いたい、こういうわけです。
  66. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) でありますから、今直ちに、ここでどうというわけに参りませんので、これらの問題を、企業努力、あるいは合理化、そういうのによって吸収することを、まず考えて、できない、不可能な部分については、政府内部において協議して、この問題を、あくまで打開する、こういう考え方をいたしております。
  67. 吉田法晴

    吉田法晴君 関連でおそれ入りますが、それでは、合理化の問題は合理化の問題として、運賃問題について、石炭あるいは鉱産物、あるいは肥料等が出ている。それらの問題について、特別料金を考慮し、その実現のために、政府としては相談をして、急速にとりきめる、こういうことですか。いつまでにやられますか。  あとからの問題じゃなくて、運賃問題です、問題は。運輸大臣と御相談を願って、はっきり御答弁を願いたい。
  68. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) まあ、相談をしかけたようなことになっておりますが、私の方では、とにかくできるだけ合理化によって吸収することに、一応、とにかく研究してみたいと思います。ただいまその考究中でございます。  そうして、はっきりと結論が出ましたならば、さらに運輸当局その他政府部内において、十分に協議いたしまして、そうして実質上の負担過重にならないように努力したいと考えております。
  69. 吉田法晴

    吉田法晴君 通産大臣は、最初の御答弁は、これは、これ以上の荷物は背負われぬということで、運賃問題に関連をして、政策料金を実現するために相談をしかけた、こういうお話でしたが、今は合理化の中で吸収ができるかどうかという努力をして、その上で相談をする、こういう話ですが、その話は、食い違っておりますが、今問題になっているのは、この運賃問題について、特別料金制を、今まで考えておられた以上に実現をするかどうか、こういう問題——気持はわかるというお話が、運輸大臣からございましたから、それでは、運輸大臣から御答弁をいただきたいと思うのですが、石炭あるいは鉱産物、肥料等について、特別運賃について考慮をするかどうか、そうして、その考慮をするのを、この運賃問題で相談をして、あとで御期待に沿いたい、こういうことなのかどうか。はっきり運輸大臣から答弁を願いたい。
  70. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 私でございますか——。それでは、お答えをいたします。  先ほど来、いろいろ私からも御説明申し上げましたときに、今回の運賃改定にあたりましての、いろいろ農林水産等、重要なものにつきましては、従来から行なっておりまするような運賃体系の中で、特別、何級とかというような、きわめて低位の級においてあるのでございます。そういうものにつきましては、その上に、さらに先ほど来問題になっておりまする暫定割引というものを、ここ当分据えおくという、二重のそういうものに対しては、割引と申しまするか、フェーバーを与えておりますわけでございます。この際は、全部の品物を一律に運賃改定いたしましたのでございますので、今やっておりますような、いわゆる低位におくとか、あるいは暫定割引をするとかいう公共負担というものが、国鉄の経理内容を健全化する上からみますると、あるいは限度にきておるのではないかというような議論が、先ほど来この席でもあるようなわけでございますので、運輸省といたしましては、この上政策割引と申しますか、公共負担というものを増すということは、国鉄経営の健全化の上から好ましくないことであるし、こういうことは進めたくないというように私どもは考えておるのでございます。合理化等の問題につきましては、私どもの方の話でございません。通産行政の関するところでございますので、申し上げることもいかがかと存じます。
  71. 吉田法晴

    吉田法晴君 関連ですから、やめたいと思うのですけれども、話が進みかけると、また元に戻ってしまうから念を押さざるを得ないのですが、今までの態度と、あまり違わないような答弁がございました。それでは、質問を終わるわけに参らぬのですが、特別割引だとか、あるいは暫定割引だとか、政策的なものが全然入ってないわけではない、運賃問題については。従って、この問題になっている石炭だとか、あるいは鉱産物だとか等々については、政策的な割引運賃を考慮することができるか。こう言ったら、通産大臣は、これは相談をいたしましょう、こういうお話でしたから、それでは、あとの合理化問題で相談をするのじゃなくて、運賃問題で相談をするのか。そして、それが具体的に、ここで方向が出ればいいけれども、具体的の方向が出ないとしても、急速に相談をして、運賃問題について織り込む、こういうことならば、私も了承いたしましょうと申し上げたいのですが、先ほどの御説明に戻ってしまわれます。それでは、最初答弁されました気持はわかる、という話ではございませんから、急速に、特別料金と申しますか、政策料金の実現のために、先ほど来答弁されましたように、政府部内で相談をして、この運賃問題について、あるいは次の運賃問題について相談をし、具体案を作られるように、強く要望申し上げますが、その要望を取り上げて相談をされるというのか、最後に、運輸大臣とそれから通産大臣にお伺いをいたします。
  72. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 私の言葉が、あるいは足りないで誤解を招いたかと思いますが、私といたしましては、現在行なっておりまする公共負担——政策的の割引とでも申しますか、これが、かなり五百二十五億というような大きなものに、いろいろなものを合わせるとなっておりますので、これ以上、これを増すということは、国鉄の経理内容を健全化するというわれわれの指導の立場からいって好ましくございませんから、そういうことには、にわかに賛成するわけにはいかないということを先ほども申し上げたわけでございます。
  73. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) できるだけ企業努力によって吸収したいと思うのでありますが、どうしても吸収不可能な部分については、これは政府部内において、ぜひその問題の解決のために折衝をしたい、その打開をはかりたい、こう考えておる次第であります。
  74. 近藤信一

    近藤信一君 私が御質問しようと思っておりました点、御両人から、いろいろと詳しく関連質問でございましたから、私先へ進みますが、そこで、国鉄運賃法の第八条によりますると、国鉄運賃の軽微な変更につきましては、国鉄総裁の権限でこれを行なうことができると、こういうことになっているわけなんです。従いまして、石炭、鉱物その他特に運賃改定影響の著しい物資について、国鉄総裁は、何かこれを考慮する、こういうふうな腹がまえがあるかどうか、この点一つ、お聞かせ願いたいと思います。
  75. 十河信二

    説明員(十河信二君) 先刻来、運輸大臣から御答弁がありました通り、今日、国鉄負担いたしておりまする、いわゆる公共負担は、ほとんどもう限度に達しております。それゆえに、これ以上はもう負担ができないというぎりぎりのところまできておるのでありますが、軽微な変更をしようという余地が、もうほとんどないところまできておりますから、今のところ考えられないと申し上げるのほかないかと思います。
  76. 近藤信一

    近藤信一君 時間がだいぶ回わって参りましたので、先へ進みますが、私、過日汽車に乗りまして、こういうパンフレットをもらいまして、ここに「所得倍増レールに乗せて」と、こういう景気のいい見出しで、幹線五カ年後の国鉄はこうなる、ずっとあり——複線、電化一・五倍、二・二倍と、こういう倍になっていく計画が出ておるわけなんです。私は、このキロ数が倍になっていくことは非常に喜ばしい現象と思うのでございまするが、先ほど提案説明の中にございましたように、現在、主要幹線通勤輸送の緩和のために、踏切設備改善、車両の増価、こういう点がうんとあって、東海道新幹線の建設と、いろいろと、こう計画があるわけなんです。  そこで、私は、公共企業である国鉄が、この非常に公共事業ではあるけれども、現在踏切の設備の悪いために、いろいろと国民に迷惑をかけている点がたくさんあるんです。特に輸送力というものは国鉄だけではございません。やはりトラック輸送というものもあるわけなんです。従って、いわゆる生産工場から輸送するその輸送途中において、長い間踏切等で待たされなければならぬ。一体今国鉄はこれらの踏切設備改善すると、こう言っておられますが、さしあたって改善をせなければならぬというこの踏切というものは一体全国にどれほどあるか、この点私しろうとでございますからお尋ねするわけでございまするが、一つ答弁の方はくろうとでございますから、簡潔に御答弁を願いたいと思います。
  77. 十河信二

    説明員(十河信二君) 約千カ所ありますが、このうちで緊急に取りかえを要する個所が、大体三百カ所くらいあるかと思っております。
  78. 近藤信一

    近藤信一君 約一千カ所ございまして、緊急を要する個所は約三百カ所、こう今御答弁がございましたが、この三百カ所のおもなるところはどの地点でございますか、お尋ねいたします。
  79. 滝山養

    説明員(滝山養君) かわりましてお答えをいたします。今総裁が答えました一千カ所というのは、主として主要幹線、それから大都市付近の踏切がおもでございます。この踏切を今直しますのに、やはりいろいろ支障の度合い、それから施工の打ち合わせ、その他がございまして、今回の五カ年計画では、そのうち三百カ所を取り上げております。しかし費用の点では建設省その他の分担がございまして、国鉄負担は、立体交差としましては約百五十五億を考えております。
  80. 近藤信一

    近藤信一君 緊急を要する個所で、おもにこれは大都市の付近ということでございます。そこで、私は私の地元でございまするところに緊急を要する個所が二、三ございますので、この点についてちょっとお尋ねしたいと思います。それはなぜかと申しますると、いわゆる私どもが聞いておりますると、これは国鉄と私鉄と並行しておるのです。従いまして一昼夜二十四時間のうち遮断機がおりておる時間が十数時間、遮断機がおりておる時間の方が多いわけなんであります。これは今建設省と費用の点では分担して持つと、こういわれるのです。私鉄が並行しておる場合には、これは一体どうするのか、この点を一つお尋ねいたします。
  81. 滝山養

    説明員(滝山養君) それは、場所場所によって施工の方法を考えなければならぬと思っております。今緊急を要する個所は、先ほど申し上げましたようなわけでございますが、解決の方法といたしましては、その地区心々に応じまして、たとえば一つの踏切が通れぬような場合は、道路を上げるなりして解決いたしますけれども、踏切が連続するような場合には、線路を上げなければならぬ場合もございますし、それから私鉄が並行しておる場合には、私鉄と一緒に上げるかどうかという問題につきましては、相当研究しなければなりませんので、現在のところ、そういった具体策が進むにつれまして、地元の御負担その他をまとめながら進めていきたい、こういうふうに考えております。
  82. 近藤信一

    近藤信一君 それは、線路を上げたり、また高架になる場合もあるでしょう。私の自宅の約二千メートルくらいのところに、これまた私鉄と並行いたしまして、しかもこれが笹島駅の構内といいますか、汽車の入れかえ、貨車の入れかえに朝と昼と晩、最もラッシュ・アワーで忙がしいときに常に入れかえがあるのであります。そこで多いときには三十分ぐらい待たされるわけなんです。そのうちにもうそれは国道と国道とつながっておる中間でございまするから、トラックが何百台もたまってしまう。人は二十分も三十分も通れない、こういう緊急を要するところで、特に都市の中心です。笹島駅といいますれば、昔はこれは市のはずれでございましたが、今日では名古屋市の中心になっておるのです。ぐっと西の方に町村合併によりまして地域が広がっていきまして、都市の中心でああいうように貨車を入れかえて、国民に、たくさんの人に二十分も三十分も遮断機をおろしたまま待たして迷惑をかけるというふうなことは、私は公共性を持っておる国鉄としてはこれは一日も早く、こういう点こそ、この説明書の中にございますような踏切の改善ということに私は努力しなければならぬ思うのですが、この点いかがですか。
  83. 滝山養

    説明員(滝山養君) 都内の貨物駅というものが、非常に町が発達いたしまして、そのまわりが取り阻まれておりますために、いろいろと交通の支障が起きておることは承知いたしておりますが、貨物駅の移転ということは、なかなか経費もかかることでございますので、長い意味におきまして、いろいろ都市計画その他と関連して貨物駅を移す場合がございますが、そうでない場合には、道路の方で踏切の交通をほかに迂回するとか、あるいは通行者に対して何らかの、地下道を作るなどということを検討いたしまして、個々の問題を解決していきたいと思っております。具体的な問題につきましては、個々のケースといたしまして検討さしていただきたいと思います。
  84. 近藤信一

    近藤信一君 私が聞いたところによりますると、地元といたしましては、これを高架にしてもらいたいという要求が非常に強い。ところが国鉄と名古屋市と近鉄と何か三者の話し合いとかで、今日のその踏切の幅員が非常に狭いから、それを若干広げて、そして交通の繁雑を整理していこう、こういう何か計画を持っておられるそうでございます。しかし、十メートルや十五メートルそこが広くなったといたしましても、それは決してこれが緩和されるというふうには私は考えられないのです。特に一級国道と、こちらの三重に走っております国道とのこれを結ぶ一つの線になっているのです。従いまして、非常にトラックの輸送というものが今日非常に多く、激しくなっている。そういうことを考えますと、現在考えておられるように、幅員を若干延ばして、今日は解決できるかもしれないけれども、一年先、二年先、私は二年先に行かなくても、一年先には大混雑というものが起こってくると予想するのです。そういうときに、やはり私は国鉄当局といたしましては、多くの国民に迷惑をかけるということでなくて、国鉄の精神というものを、やはりこの輸送力をスピード・アップして、国民のために改善していこうという精神をもっておられる以上は、やはりそれらの点につきましても、国民というものを一つの対象にして、いろいろな計画というものがなされて、初めて公共性のある国鉄計画だと私は思うのですが、この点いかがでございますか。
  85. 滝山養

    説明員(滝山養君) 踏切の幅員を広げまして解決するということは、当面行き詰まっておりますときに、遮断機があいたときに交通量を早くさばくためにとった措置でございまして、これはやはり一つの暫定と申しますか、応急措置であると思います。しかし、今先生の御指摘のような基本的な問題になりますと、近鉄は、地下で名古屋駅に入っておりますし、こちらは高架につながるというような関係もございまして、これの根本的な解決には、やはり都市計画と打ち合わせをし、やはり十分案を練らなければならないと思いますので、至急そういった点につきまして具体的な検討を進めたいと思っております。
  86. 近藤信一

    近藤信一君 このパンフレットの中にもございまするように、電化区間は、昭和三十五年から昭和四十年までのこの伸びを見ますると、二・二倍ということになっておるわけなんです。それで今日私どもは常に東海道を利用しておりまするからあまり感じませんが、日本国鉄計画性というものは、特に山間部でトンネルが非常に多い。そして煤煙でまっ黒になる、こういうところがなかなか電化が進まない。これは乗客の数ということにも影響するかもしれませんが、私はやはりこういうふうな点でも、同じ料金を払って、そして同じ待遇ならこれはよろしいのでございますけれども、同じ料金で、一方は夏などはまっ黒になってしまう。一方は冷房装置がしてある。こういうのでは、私は、はなはだこれは矛盾があると思うのです。電化計画というものは、なるほど中央の日本の幹線である東海道も重要ではございまするけれども、やはり山間部における電化こそ緊急を要する問題であろうと思うのですが、この点はいかがですか。
  87. 十河信二

    説明員(十河信二君) 今お話の中にありましたように、電化は旅客貨物輸送量の多いところからだんだん進めて参りますが、その他の個所は、今お話がありましたようなトンネル区間のごときはディーゼル・カーにいたしまして、皆さんに御迷惑をかけないように、できるだけ煙でまっ黒にならないように手配をいたしつつございます。
  88. 近藤信一

    近藤信一君 いろいろとまだ他にたくさんお尋ねしたいことがございまするが、他の委員もおられますので、私はこの程度質問を終わるわけでございますが、最後に運輸委員会の皆さんにお願いをしたいと思うのです。特に石炭、鉱石の一部については、値上げの影響が非常に大きいのでございまして、この負担の軽減措置をとるべきであるという附帯決議を一つ運輸委員会ではつけていただいて——もしこれが通るとするならば、そうして今日非常に生産上においても困っている石炭、鉱石、これらの点について善処をしていただきたいとお願いをいたしまして、私の質問を終わるわけであります。
  89. 河野謙三

    河野謙三君 お互いに昨晩徹夜しておりますし、私のような青年でも相当疲れておりますから、各大臣もさだめしお年柄お疲れと思いますから、疲れた同士で談議しておりましても、夢物語か寝物語のようなことになりますから、ごく簡単にやりますから、簡単に答弁を願います。  まず、先ほどからの同僚議員の方の御質問に対する運輸大臣答弁を聞いておりますと、言葉が足らぬといいますか、われわれの受ける印象は、運輸省運賃の値上げをして、合理化をやって、運賃さえもらえばいいのだ。その他の産業がいろいろ困ることは、通産省なり農林省がそれぞれ合理化の線の中でやったらいいじゃないか、こういうふうに聞こえるのですよ。私はそうじゃないと思う。とにかく運賃の値上げをする以上は、この提案理由説明にもありますように、国鉄自体は、電化もやる、複線もやる、そうして輸送の施設の合理化改善をやるということをいっておられるのですから、これ自体が、運賃を一方において上げるけれども、一方においては運賃の質的な負担の低減をはかるということを私は意味しているのだと思う。そこで具体的に伺いますが、この新五カ年計画によりまして——私は特に貨物運賃について伺いますが、新五カ年計画によりまして、五カ年後には、たとえば大阪−東京間の現在の貨物の運送に要する時間、日数がどのくらい短縮されるか、北海道から東京まで現在要しておる輸送日数がどのくらい短縮されるか、これをまず御説明いただきたいと思う。
  90. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 国鉄の方から詳しく御説明させます。
  91. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 旅客列車につきましては、相当詳細に計算をいたしておりますが、貨物列車につきましては、いろいろ貨物列車によりまして種類が違います。たとえば、現在でも東京から札幌まで四十八時間くらいで行っている列車もございますし、また七十時間くらいかかっている列車もある。非常にさまざまでございまして、一番早い列車で比較いたしますれば、現在の三分の二の到達時間で行けると考えておりますが、今申し上げましたように、貨物列車には、旅客列車と違いまして、いろいろな種類がございまして、一がいに申し上げられませんが、到達速度の向上ということは、何といいましても、私も一番大事なサービスの向上というふうに考えておりますので、大体目標を現在の六割程度というふうに考えて作業いたしております。
  92. 河野謙三

    河野謙三君 私は、国鉄当局なり運輸省は、当該運輸委員会にはそれについて詳細な御説明があったと思いますけれども、われわれがこういう委員会を開く際にも積極的に御説明があってしかるべきだと思うのですよ。こまかな種類別のことは要らぬです。ラウンドの数字でけっこうです。大づかみに総平均で六割に下がるとか五割に下がるとか、これは私はなぜこういうことを伺うかというと、一つ運賃の値下げだと思うのですよ。今まで三日かかったものが二日で行けば、それだけ換金の速度が早くなるわけです。金にかわる速度が早くなれば、それだけ運賃が下がったと同じことですよ。こういうことをやっておられると思うが、やっておることはもっと事詳細に、運賃はよけいちょうだいするけれども、一方において三年先、五年先にはこれだけ輸送を合理化して、輸送の所要時間を短縮して、換金の速度を早くする、それによって運賃が助かる分が幾らある、こういうことは当然運輸省のやるべき仕事であって、それをやらにゃ運賃の値上げなんてやる資格ありませんよ。やっておられると思う。それならそれをなぜ早く説明しないかと、こう言うのです。私は当然あると思いますから、あったら御説明いただきたい。それをやらぬと、運送とか運輸なんということはこのごろできた言葉ですよ。昔はものを運ぶやつはかごかきですよ。だからそのかごかきの観念が残って、今でも運輸省は何だかぶったくるような気がする。だから、あなた方はかごかきじゃありませんけれども、しかし昔はかごかきだったんです。このごろ運輸とか運送とかいう言葉ができただけのことなんです。だから、えてして運輸省というものはかごかき根性で、何かぶったくるようにまだ一部誤解がありますよ。でありますから、もう少し懇切丁寧に、積極的に御説明を願わなければならぬと思う。どのくらい合理化によって換金の速度が早くなるか、これも個々の物資とか貨物の種類によってとかいう、こまかなことは言いません。大ざっぱな記憶で、どうなのかということを御説明いただきたい。
  93. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 先ほど申し上げましたように、たとえば例を東京−新潟間にとりますと、現在一番早い列車が十三時間二十分でございます。これが大体七時間五十分でございます。大阪−富山間におきましても、現在これが十四時間四十五分が、これが約七時間になって、これは先ほどの六割程度になってくるわけであります。こういうふうに各線区とも大体先ほど申し上げましたように、現在の一番早い列車の大体六割くらいということを目標にして作業いたしております。大体それによって物の関係がどれくらいよくなって、どれくらい節約されるかということにつきましては、これは計算が非常にむずかしいのでございますが、一応試算したものがございますので、正確な数字とは申し上げられませんが、大体の試算でございますけれども、御紹介を申し上げます。
  94. 河野謙三

    河野謙三君 いや、けっこうです。あとでいただけばけっこうです。かくして、運輸省自体で、運賃の値上げについて、その負担分を運輸省の内部において、今申し上げたのは一つの例ですけれども、これこれこういうことで負担を軽減することは、やることはやっているのだということが第一になくちゃいかぬと思う。  そこで次の問題に移りますけれども、かねがね政府は、今度の運賃の値上げについては、この一五%の値上げの分は、それぞれの産業の内部において企業努力によって吸収させる、もしくは物の需給関係等において吸収ができる、結論として物価に影響するものはない、あってもそれは〇・一%程度だ、こう言われておりますがね、その通りですか、今でも。
  95. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 先ほど来申し上げた通りに、過去における運賃改定が卸売物価には響かなかったことの経験がございますものですから、運賃改定が直ちに物に反映するというふうには考えませんで、生産性の向上等、いろいろ需給関係によって物価はきまるものである。ただ、先ほど経済企画庁長官からも申し上げたようでございますが、旅客運賃の方は消費者物価に、微細ではありまするが、響くということを言っておるのでございまして、今ちょうど企画庁長官がおりませんから、物価の問題、あまり私が差し出口することは遠慮さしていただきたいと思います。
  96. 河野謙三

    河野謙三君 大臣、二十八年なり三十二年の運賃の値上げの際には、その後の物価の趨勢を見ると、運賃の値上げ分が物価に直接反映していない、こういうことをおっしゃいましたが、それはまあその通りであったかもしれませんが、それは経験をお話しになっておるのであって、理論的に運賃の値上げというのは物価には影響しないのだということには、私はならぬと思うのですが、これは経験も大事でありますけれども、現にお彼岸は過ぎましたけれども、だんご食ったって彼岸でないことあるんだよ。だんご食えば必ず彼岸とはきまっていない。だんご食ったって彼岸でないことあるんだから、だから前二回はそうであったから今度もそうだろうという、それだけじゃ私は少し危険だと思うのですよ。特に私は伺いたいのは、まあ大きく一次産業、二次産業、三次産業と分かれておりますが、おおむね一次産業——一部の例外はありますけれども、一次産業運賃産業ともいわれるくらいにコストの中に占める運賃というものは非常に高いのですね。たとえば材木のごとき、その他生鮮食料品にいたしましても、コストの中に占める運賃というものは、一割も二割も三割も、場合によると四割も占めております。ところが二次産業になりますと、これは先ほど御説明のような物資もありますけれども、大体においてコストの中に占める運賃というものが、一割をこえるものというものはほとんどないのですよ。でありますから、平均で一五%と申しましても、物資別に大きく分けると、一次産業と二次産業、別な言葉で言えば農業とその他の産業では、直接受ける影響が全然違うわけですよ。でありますから、今までにおいても、先ほど来るる運輸大臣から御説明があったように、特例を設けておった。割引制度を設けておった。これは何も運輸省の恩典でも何でもなければ、政治の衝に当たる人が当然これはやらなければならぬことをやっただけであって、私はこれは運輸省の恩典でもないと思うのですよ。  そこで今度もう一つの問題は、従来運賃が上がりました場合に、農村の場合で申しますと、農村は終戦後非常に食糧不足で、食糧だけが非常に高かったような時代を六、七年経過いたしまして、確かにそのとき従来の農村にないような一時農村に蓄財ができまして、その蓄積が弾力性を持って二十八年、三十二年のときはある程度農村にも吸収の余力があったかもしれないけれども、今は農村には全然蓄財がない、全然その運賃の値上げを吸収する余地がない。こういうことは、運輸大臣であろうが、通産大臣であろうが、総理大臣であろうが、みな同じ認識に立っておる。だから農業基本法という問題で騒いでおるのです。この際に運賃値上げをする。その中には農林物資が他の物資と同じような一五%の扱い、同じワクにおいて影響を受けるということは、私は政治としてはミスだと思う。そういう点は運輸大臣お考えなりませんか。
  97. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 先ほど来申し上げました通りに、御指摘農林水産物資につきましては、まあ初めから運賃体系の中で非常に低いところに置くことはやっておりますわけでございます。しかしながら、今度は全品目につきまして、運賃改定をやりましたから、これは農林水産物資ばかりではなく、すべてのものが一五%なら一五%というものの引き上げということに相なったわけでございますが、しかしほかのものに比較して、低い等級において、さらにまた先ほど来問題になりました暫定割引というものを特にこれらの品物についてはやっておるということは、つまり農林水産物資を優遇とでも申しましょうか、農林水産物資に対しては特に配慮をいたしておるということの、これは十分であるとは申しませんけれども、わずかながらでも一つの表われであるように私どもは考えて、この暫定割引も続けていきたいと、こういうふうに考えておりますようなわけでございます。それに、御承知通りに、すべてのものが国鉄でもって運べるわけじゃございませんので、国鉄が運ぶものは全生産量の、ものによっては六割であるとか五割であるとか、七割であるとか、いろいろに国鉄が受け持ちます輸送量の分量というものがございますので、国鉄運賃改定がその品物の中に占むる割合というものは、国鉄が分担する分量、運ぶ分量というものによってもおのおの変わってくるように思いますので、その詳細につきましては、私は今数字を記憶しておりませんが、もし御必要でございましたら国鉄の方からでも説明さしていいと思う次第でございます。
  98. 河野謙三

    河野謙三君 ただいまの運輸大臣の御答弁を聞いておりますと、従来政府が発表しておる意見とだいぶ違うのですよ。先ほど冒頭に申しましたように、政府は今度の運賃の値上げについて、結果的に運賃の値上げが物価に影響はないという結論を出して、それは生産手段において、生産性の向上において、その他の方法において、いろいろ努力することによって運賃の値上げ分は吸収させると、またできると、こう言っておられる。現に農林大臣も、また池田総理大臣にいたしましても、農業基本法の演説に全国を回って歩いても、そういう方針であるけれども、ただ日本の農村だけは違うのだと、このままじゃいけないのだということで、農業基本法その他の御説明をなすっておるわけです。われわれもその線に沿っておるわけなんです。ところが今の運輸大臣お話を聞きますと、とにかく割引はしてあるのだ。だから、ほかの物資よりは安くなっているのだ。しかし、この運賃負担する農村の側から見れば、割引はしてあるかもしらぬけれども、やはりベースが上がるのだから、現在の払っている運賃より上がることは間違いない、そうでしょう。それは農業者もやはり一つの生産者ですよ。政府の方針によって、生産者である農民が、生産過程において、農民の作業の過程において、今度の値上がり分だけ吸収できるはずだと、こういうふうなことになってくると、非常に大きな政府の内部において意見が二つになってくると思う。私は、生産者であるには違いないけれども、同じ生産者でも、農民だけは生産手段において運賃の値上がりを吸収するどころか、現在のままにおきましても農村が成り立たないということで、今政府をあげて、また国会をあげて苦慮しているわけです。そういう際に、よそよりも割引してあるのだからというようなことで、全然、今の据え置きならいいけれども、上げるということは、やはり農村の負担がふえることです。これについては、私はやはり特段の御考慮を政府部内においてお願いしなければいけないと思う。これについてあらためて御答弁を求めません。とくと一つ御考慮いただきたい。  最後に伺いたいのは、今度の運賃の値上げの後において小運搬賃の値上げ等、これは認可料率になっていますが、これに影響することはございませんか。これは当分の間なんと言わないで、少なくとも、ここ一年なり二年の間は小運搬賃の値上げということは一切認めないという御方針は、ここで断固として私は御声明願わぬといけないと思う。もともと大運送賃——鉄道運賃より小運賃の値上がりの方が、国民経済に直接影響が大きい。この点、私はぜひこの席で大臣一つはっきり御答弁を願いたい。
  99. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 運輸省の鉄監局長からはっきり御答弁させます。
  100. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 通運料金につきましては、ただいま御指摘の小運搬料金とおっしゃいましたのは、通運料金のことであろうと思いますが、御存じのように、昨年すでに改定いたしましたので、ここしばらくは改定の必要はないかと存じます。
  101. 河野謙三

    河野謙三君 その必要がないというだけの確信を持っておられればいい。しかも、昨年改定したばかりだというなら、これは、しばらくとか当分とかいうようなことでなしに、少なくとも、この次の運賃改定の時期までとか、それができなければ、少なくとも一年とかというぐらいは、具体的に御声明がないといけませんよ。今までの例からいって、鉄道運賃が上がると、それに関連して必ず運輸省の権限の中にあるところの認可料率というものが上がったのですから、これはもう一つこの際、はっきりしていただかないと私は困る。
  102. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 通運料金の改定は、従来、国鉄運賃と時期を同じくして改定したことはほとんどなかったように記憶いたしております。ここしばらくと申し上げましたが、一年なら一年、二年なら二年上げないというふうに言明せよということでございますが、実はこれは、担当は自動車局の方でございまして、私は通運界の実情にははっきり精通しておりませんので、よく存じませんが、昨年改定いたしたのでございますから、これは常識上、当分の間、ここ一年ぐらいの間は上げなくともいいのじゃないか、こういうように考えております。
  103. 河野謙三

    河野謙三君 国鉄運賃の値上げと同時にそういうことはありませんでしたが、これが一つの契機となって連鎖作用を起こしたことは事実なんです。  そこで、私はもう一言だけつけ加えますが、なぜ私は上げなくていいかというと、これは運輸大臣、あなたの方の行政監督の範囲内においてはっきり聞いてもらいたいと思う。今の認可料率でも、さらに大資本に——運送屋というのは、いずれ、さっき申し上げたように小資本ですよ。これがいじめられて、認可料率をせっかくもらっても、認可料率からさらに一割、二割、三割というリベートを取られているという実情なんです。だから、運輸省において現在の認可料率を完全に実施するようにバック・アップしてやることによって、これは私は、一年どころか、二年でも三年でも大丈夫だと思う。そういうことは現状を知っておるから言うんです。今困っているのに上げちゃいかぬとは私は言わない。その点は実情はよくおわかりでしょう。大体みんなリベートとか何とかふんだくられている。認可料率が実際に行なわれていない。それなら認可料率を完全に実施することによって、実質的にはそれらの業者というものはそれだけ収入がふえるわけですよ。そういうゆとりを持っておるのだから、ここで少なくとも一年とか二年の間上げませんというぐらいのことは、僕よりもくろうとのあなたが、こんな中のいろいろのことを知っているのに、そんな何も国会答弁だからといって大事をとってやらなくてもいいじゃないですか。それは上げなくてもいいでしょう。
  104. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 先ほど申しましたように、昨年改定したばかりでございますのが、仰せのような点もございますし、ここ一年ぐらいは上げなくても済むかと存じます。
  105. 河野謙三

    河野謙三君 それでは他にいろいろありますけれども、冒頭申し上げましたように、お互いに徹夜した翌日で、あまり質問のやりとりは残酷ですからこの辺でやめます。
  106. 中田吉雄

    中田吉雄君 通産物資の関係につきましては、党の立場から大体近藤議員が申されましたので、重複を避けて別な角度から御質問いたしたいと思います。  日本社会党は、何でもかんでも運賃の値上げに反対するという立場を必ずしもとるものではないわけであります。ただ運賃改定される際には、もういろいろな国民の納得する前提条件を解決されて、そうして事情やむを得ないものであるかどうか、そうしてやむを得ないとすれば、その上げ方が妥当なものであるかどうかというようなことが問題になると思うのですが、私は今回の改定に際して、まだたくさんなされねばならぬ問題が未解決なのであるから、国民生活と非常に密接な関係がありますので、国民として割り切れないものがあると思うわけであります。  まず第一にいただきました「国鉄運賃をなぜ改訂するのか」、この資料の六ページには、今回国鉄は二十億の合理化をやった、こういうことですが、政府関係機関の予算を見ましても、国鉄の収入予定額は四千七百十四億円という膨大な収入予定額であります。これに比べて、国鉄もなるほどいろいろな冗費を節約して合理化した。これなら事情やむを得ないじゃないかということを納得させるのには、二十億というものはあまりにも国民を説得するのに説得力が足らぬと思うのですが、二十億の内訳と内容について御説明をいただきたい。
  107. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 御説明申し上げたいと思います。国鉄経営の合理化として二十億というのはあまりに少ないではないかというお尋ねでございましたですが、それは全体としての合理化について二十億ということを新たに計上したというのではございませんで……。
  108. 中田吉雄

    中田吉雄君 どういうこと。
  109. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 特にいわゆる私の方で申しております収入の中の雑収入、雑収入と申しますのは、土地、建物、高架下の使用料金でありますとか、構内営業料金でありますとか、広告料金でありますとか、今申し上げましたような付帯事業的な雑収入の増加でありますとか、あるいは遊休資産の売却でありますとか、資材の売却でありますとか、そういうようないわゆる雑収、雑経費に当たるような面における合理化としては、当初考えておりましたものよりもさらに二十億ほどそれをふやすことにした、こういう意味でございまして、全体としての経営の合理化につきましては、相当ここ数年来いろいろな努力を重ねてきておりまして、ただいま国鉄経営費の中で一番大きなものは人件費でございまするけれども、まあ人件費はいろいろな事情でなかなか押えていくということはむずかしいために、これはまあ現在の五カ年計画にも相当大きな影響を与えた結果になりましたが、それ以外の経営費の中で大きな項目を占めております動力費でありますとか、修繕費でありますとか、業務費でありますとか、それらの項目は、すべて業務量は非常にふえてきておりますけれども、業務量の増加にもかかわらず、極力抑えて参りまして、現在ではほとんど横ばいのような状態になっております。特に不採算線区の赤字の克服というようなことにつきましても非常な力を入れておるわけでございまして、それによってあげて参りました成果もいろいろあるわけでございます。ただお尋ねのございました二十億と申します額は、今申し上げたような性質のものでございます。
  110. 中田吉雄

    中田吉雄君 私は、時間がありませんので問題だけをあげて申し上げておきますが、その二十億という面の、雑収入の面のもっと合理化をやっていただかぬと、国民は非常に国鉄のマンモス経営に対して疑惑を持っているのです。私自身でも農林水産委員会でも一度申し上げたことがありますが、はっきりここで申し上げておきますが、たとえば運輸省の前局長がやめて、自分の郷里に自分がやめたみやげと称して六百万円の貨物ホームを作ったわけであります。地元半分、国鉄半分という負担、なるほどあの人はやめみやげにいいことをしてくれたと思ったら、そのホームの横に自分の製材所を作って、そのホームに横づけに作って、何人も使えないようにして、そしてこれがその人の専用ホーム、これは最も運賃コストの少ない、普通でしたら国鉄の近くに製材所を作ることはできない。ですから一たん山元から自分の製材所に運んでおろして、また製材したら国鉄貨物ホームまで運搬せねばならぬということがないので、最もいいのです。それでもう横づけにしてしまって、専用ホームができるまでは、自分の敷地ですから黙っておいて、それで専用ホームができたとたんに自分の製材工場を横づけに作って、何人も利用できない。できてからまだ数年間何人も利用できないのです。一体こういうのは留置料金をそこで払っておられるかどうかということも聞きたいし、その製材工場は、またそこに本社を置くと税金が高いから、東京の国鉄のガード下を借りて本社をそこに置いて、二、三人しか職員がいないのです。税金は本店所在地でかかるのですから、本店じゃ女の子が二、三人いるのですから、全然営業不振の状態で、国鉄のガード下をどういう料金で借りているかということは私知っていますが、申し上げません。専用ホーム、税金の面で東京に本社を置き、ガード下を利用する、こういうことがはっきりあるわけでありますよ。  さらにまた、私の同僚が、大学を出まして勧銀のある支店長になりまして、その際に——国鉄の通運料金を預託する銀行なんです。それが参議院の全国区選挙にからんで、預託金百万について何票取れ、そして何票割当を取らぬとその預託を引き揚げてしまう、こういうことで、その預託についていろんなことを、これは私詳しいことを知って、支店長が、私も保守党だが、いささかこれは行き過ぎだと言うことがあるのです。さらに私通運業者から聞いていますが、参議院選挙が来年ありますが、貨物ホーム留置料金というものがあるでしょう。だから、通運業者は留置料金を負けてやるから一つ票の割当を何ぼこなしてくれ、これは私通運業者から、社長からじきじき聞いておるわけであります。その会社は負けてもらって、票は取ったか取らぬかわからぬことですから、ありがたいことですが、こういうことでいいだろうか、こういうことを言っているわけであります。その他民衆駅の大へんな、たとえば東京の駅の百貨店等の売り上げですが、そういうことがどういう配分になっておるか、次々に出たりしますが、私はそういう点はもっと合理化される必要がある。先の点で、自分の専用貨物ホームを作る、秋葉原の国鉄のガード下を自分の本社にする、そして税金の面は本店所在地でかけるから、ほとんど営業していないから実質上の脱税の恩典に浴する、こういうことをやっているわけである。ですから、いなかの人は、国鉄一家というものはなんちゅうええもんだろう、こういうことを言っておるわけである。  ですから国鉄が新幹線の建設等事情やむを得ないという場合には、何としても五千億近いところの事業収入ですから、特にただいま御答弁のありましたような問題にもっとメスを入れて、合理化して、なるほど国鉄もやっている……。一体こういうことで監督局長は何を監督している。ところがその監督局長も、私の友だちですが、ええ私鉄の大会社に重役で入っている。全くこれじゃ一貫作業でどうにもならぬという状態であります。特に運輸大臣は、一割五分の料金値上げをする際に、国民をして十分納得させるためには、膨大な組織ですから、これはときどきクリーニングをやらぬと、それは善意でもいろいろな目が届かぬことがあり得ると思う。私は弘済会、交通公社、その他民衆駅等、相当これはやはり国民の疑惑を解いて、国鉄に対する信頼を高められるためにも、具体的なことは今ここではけっこうですが、こういうことについて運輸大臣とされてはどうお考えでありますか。これは私がこの専用貨物ホームの問題は身をもって、あるいはこう言えば岡本さんはすぐそう感づくかもしれません。これはもう何の誇張もなしに事実であります。住民としては非常な疑惑を持ち、それで半分も地元負担をやらされて、みんなぶうぶう言っておるというような状態ですが、特に今後この問題については、私は人員整理とか、そういう合理化のことを言ってはいないんですが、大きな経営ですから、どんな善意でも目の届かぬ点もありましょうから、やっぱしときどき大掃除をしていただくことが必要だと私は思うわけであります。運輸大臣の覚悟のほどを承っておきたいと思います。
  111. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) ただいまのお話伺いまして、私はそういうことを、正直に申しまして、少しも知らないものですから、そういうことがあるのかなと思って驚いておりますようなわけでございます。今回国鉄が五カ年計画を遂行するにあたりまして、運賃改定して、利用者の方に負担を願うということの案を作りましたときに、私といたしましては、国鉄の幹部の方方を招きまして、国民負担をかける運賃改定をやる以上は、いろいろ世間から疑惑の目をもって見られておるようなことや、そういうおそれのあるようなことについては、十分一つメスを入れて、そうして国鉄経営の合理化にこういうことをやっておるということの誠意を示して、そうしてえりを正しうして今度の国鉄運賃改定に踏み切る必要があるということを話をいたしましたのです。その結果として、先ほど金額は小なりという御批評はございましたけれども、いろいろ国鉄の方でも、工夫をこらしまして、正月の初め、検討の結果、ただいま御説明申し上げましたような国鉄経営の合理化という結果を生み出して、私どももそれを拝見したという次第でございまして、私はこういう国民利用者負担をかけるような運賃改定をやる場合には、国民に対して、国鉄というものはえりを正しくして、そうしてみずから粛正してやるべきものであるという考えには、当時と今日においても変わることはございませんが、私は今お話のありましたようなことがあるのかどうだかということは少しも存じませんでございました。
  112. 中田吉雄

    中田吉雄君 これは公開の席だから、はばかりますが、その会社の本店は秋葉原のガード下であります。これはあとから運輸大臣に連絡しますから、私の言ったことが真実であるかどうか、一つえりを正して、薄氷を踏む思いでやっていただくというために、私は後日連絡しましょう。  われわれも、国鉄公共性の名においてたくさんの割引をさせられたことについては、非常に党としても深い理解を持っているわけであります。そこでお伺いしたいのですが、農産物あるいは暫定割引、学割、いろいろな割引があるのですが、もしそれがなかりせば、普通の運賃でもかりに乗客はそれだけ乗るとすれば、各種の割引制度のために、国鉄運賃収入はどれだけの種目別の減収になっているか、その点を一つ御教示いただきたい。
  113. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 三十四年度の実績によりますれば、その総額が五百二十五億ということになっております。それで定期運賃割引を法定限度以上にやっております分が三百十二億円、それから同じく学生運賃割引が、これは定期運賃ではございません、いわゆる学割でございます。学生運賃割引が三十二億円、それから特別扱いの新聞、雑誌運賃割引が八一八億円、それから貨物の特別等級による負担額が七十九億円、それから先ほど来お話の出ております貨物のいわゆる暫定割引によります負担額が二十億円、そこまでで五百二十一億でございます。そのほかこまかいものが四億ほどございまして、合わせて五百二一五億、こういうことになっております。
  114. 中田吉雄

    中田吉雄君 あとの固定資産税と関連して、私はこれを国鉄がみなかぶっていくがいいかどうかということは、これはもう独立採算を強く要請されていることとして非常に問題だと思うんですが、その点は内容がわかりましたので、想像以上に多いということがわかりました。  次に、お伺いしたいのは、先の質問にも、八割ですか、不採算路線があると聞いたのですが、戦後建設された新線で、その収支の状況、代表的なやつを、その多くが赤字じゃないかと思うんですが、その主要な路線別に代表的なものを教えていただきたい。
  115. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) お尋ねの通り、戦後に建設されました路線の大部分がほとんど全部に近いものが赤字でございます。それで路線の数にいたしまして、戦後開業いたしました路線が十九線、四百十二キロほどございます。それから現在工事中のものが二十五線、それから今後やる予定になっておりますものが十一線あるわけでございますが、そのために投資いたしました昭和三十四年度までの投資が三百九十六億円ということになっております。それで、これらの線区におきます営業上の年間の損失額というものは、これも三十四年度の実績によって申し上げますが、これは三十四年度に開業いたしておりましたいわゆる新線における損失額というのが、年間二十二億余になっております。それから手をつけておりまして、まだ開業できない部分に対する投資額の支払い利子十一億ほどありますので、大体新線建設のために年間約三一四億ぐらいの損失をいたしておるという計算になっております。
  116. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうしますと、終戦以来、これによる赤字のトータルはどういうふうになっておりますか、三十四年のはわかりましたが……。  それではあとの方もおられますのでお願いしておきますが、三十四年のさっきの各種の割引の種目別の内訳ですね。それとただいま御説明の十九の戦後建設されたもの、あるいは建設中のもの等のいろいろな投資額、利子とか、そういう内訳を後日いただきたいと思います。時間を取っても恐縮ですから。  次にお伺いしたいのは、国鉄の固定資産税は幾らになっていますか。
  117. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) これも三十四年度の実績で、おおむね八十億、もっともこれは固定資産税という名目のものと、実質上固定資産税と同じものでございますが、納付金という名目になっておるものと、両方合わせての額でございますが、おおむね八十億でございます。
  118. 中田吉雄

    中田吉雄君 ただいま地方税法の一部改正法案が出ていますが、私今地方行政におりませんので内容は知りませんが、今度課税対象であります固定資産を評価がえするということになっていますが、そういうことがこの固定資産税や納付金にはね返らぬような努力をされていますか、そういう内容についてお伺いします。
  119. 兼松学

    説明員(兼松学君) かわりましてお答え申し上げます。国鉄の固定資産税の基礎になります評価額は、国鉄運輸省の承認を受けてやっておりますところの財産の評価基準によっておりまして、ただいまの法人税法の規定にほぼ準じておりますが、それより若干長くなっているものもございます。そういうようなもので別の規定でやっておりまして、その御承認を受けておりますので、納付金の対象となるものが直ちに今の税法で、現在の法律の解釈では影響はないように思われますが、固定資産税として払っておりまする部分、すなわち直接鉄道の運輸の用に供さない部分、寮であるとか、それから発電所であるとかいうようなものにきまして、その土地等につきましては評価がかわってきたような場合には、若干の影響があるかと思いますが、ただいまの改正案そのものが直接には影響ないと考えております。
  120. 中田吉雄

    中田吉雄君 それははっきり、言えますか。それと、この政府関係予算案では、国鉄の固定資産が一兆四千億となっていますが、実際の課税対象になっていますのは幾らに評価してありますか。
  121. 兼松学

    説明員(兼松学君) そのうちで課税をされないもの、私正確な数字をここにちょっと持っておりませんが、課税をされない、病院とか、きまった特殊の課税項目を除きましては、ほとんどそのうちの九割以上が納付金の対象の財産でございまして、一割以下のものが固定資産税の対象でございますが、正確な数字はただいま持ち合わせませんので、もし御必要でございましたら、後刻資料として提出いたします。
  122. 中田吉雄

    中田吉雄君 これは一つ国鉄の全固定資産課税対象になりますもの、まあ市町村に固定資産税が、納付金としていくわけですが、各県にどういう配分になっているかということをお伺いしたいのですが、実は私が地方行政委員会におります際に、これに対しては内村君と強硬に反対して、その実施を一年延期さした実際経験を、そういうまあ国鉄としてはだいぶお礼をしてもらってもいいのじゃないかと思うのですが、私はこれはまあ、たとえば鳥取の後藤工場のあります米子市長、大宮工場のあります大宮市長、その他主として大きな国有鉄道の工場のあるところの市長さんが、税金をかける運動をやりまして、それと私鉄が、国鉄には固定資産税をかけていないのだから、私鉄にも同じようなレベルにおいて免税してくれるか、国鉄にかけてくれと、こういうことで相呼応して、やっと一年間阻止いたしたのですが、ただいま申されたように、とにかくいろんな各種の公共政策割引を初めとしまして五百二十五億の国鉄はサービスをしておられる。それからまあ権威があるかどうか知りませんが、運輸審議会ですか、鉄道建設審議会の答申に基づいて、いやいやながらとは言いませんが、まあ手込めにされて、心ならずも不採算路線を建設されて、昭和三十四年でも三十四億ですか負担せざるを得ない。これは全く国家的な要請に基づいてです。ですから、私はそういう公共政策割引を初めとする特別な公共性負担を持たない私鉄なんかが固定資産税を払うからといって、国鉄がそれと同じただ輸送関係の業種だというだけで、私はあり得ないと思うのですが、大体私は国有鉄道当局並びに運輸省は、もっとこの八十億にも上る固定資産税なり納付金に対して、もっと強力な折衝をして、少なくともそういうものと差し引きずるくらいな、相殺するくらいな努力を積極的にやらるべきだと思うのです。私鉄等はそういういろいろな公共政策割引を初め、国家的な要請に一出る負担はないと思うのです。そういう点では、少し運賃にはね返らせればいいのだからというようなことでは、これは実際東海道にまたもう一本新幹線がつくとすれば、私の知っておりますのでも、これに固定資産税がかかったために、町村合併ができないところがある。東海道は複線でしょう。レール二本に税金がかかるんですから、倍かかる。今度またかかれば、数百万円の固定資産税が小さい町村でかかるのです。私の鳥取県でも、谷間沿いの小さい町村では、三百万くらい固定資産税が入るのです。ですから、もうこれが入るから町村合併しないといって、自治省がどんなに、大臣勧告があろうが、とにかく公民館やいろいろなものを固定資産税を引き当てに、これを建てるまでは合併しないという、これは町村合併に大きな障害にもなっているのです。今度東海道にまたもう一本つけば、そのレールでまた固定資産税が入るのですから、これは非常にそういう面でも問題の税金なんです。  五百億もとにかくいろんな割引をして、さらに不採算路線を作って、国家的な要請でやられるのですから、税金についてそれくらいな恩典は、私はあってしかるべきだと思うのです。ところが、今度椎名通産大臣の所管の硫安会社は、うまいことやって、中共貿易等をやれば赤字はできぬのに、百億からの赤字を作って、ごっそりと今度租税特別措置によって、税金の面でその会社の経営政府の政策の赤字を全部もう解消してしまうというような、なかなか目につかない、補助金を出すとわかるものですから、租税特別措置で減税措置をやってやる、こういうことをやっているのです。いろんな公共政策割引を初め国家的な要請に基づくそういう国鉄負担、しかも独立採算を強く要請される現在においては、私は特に固定資産税等については、納付金については、強い態度で折衝すべきだと思う。これはそういう要請のない、そういう負担のない私鉄と同類に、同じカテゴリーに見るべきではないのじゃないか、こういう考えを持つのです。固定資産税についてちょっと新聞に出たのですが、あまり努力が足らぬと思うのですが、運輸大臣いかがでしょう。
  123. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) ただいま国鉄経営の健全化につきまして、きわめて御親切な有益な御意見を拝聴いたしまして、まことにありがとうございました。御承知通り、これは特別会計政府が直接営業いたしておりましたときは、同定資産税というものはかからなかったわけでございまして、その後御承知通り、まず国鉄が、輸送に直接関係のない、寮であるとか発電所であるとか、工場であるとかいうものに固定資産税がかかり、さらに今お話のように、他のものとの負担の公平のつり合いを得るという理由をたてに、多分税制調査会などの答申であったと思いますけれども、固定資産税の額に当たる半分を固定資産の納付金として納めるというのが、今日の実情でございまして、今日国鉄が五百二十五億に余る公共負担をいたしておりますときに、この固定資産税を支払うということは、かなりその経理内容を健全化する上から見ますると、非常に好ましからざるものであるのでございまして、いろいろ関係のものとも今後もできるだけ折衝いたしまして、何とかこれを減ずるとか、免ずるとかというような措置に出てもらうように力強く働きかけたということを努力をいたすつもりでおるのでございます。
  124. 中田吉雄

    中田吉雄君 これはまあ実際、地方税としては必ずしも的確な税金でない。その所在が普遍的でないわけであります。大宮の工場では数千万入る、鳥取県にあります米子工場でも三千万入る、ちょっとしたところで五百万ぐらいは大てい入るわけであります。なるくべ普遍的であるのが地方税としてはいいんですが、その普遍性からいって、所在が非常にアンバランスにある。特にこの税を創設さしたのは、地方税が赤字でどうにも持ちも投げもならぬ、再建整備法を作って、準禁治産になるような町村もたくさんあるという、そういうときにできて、まあ納付金も、国鉄も協力してくれというような、いわば暫定的な性格もあったわけなんです。一つ五百億も各種の政策割引をしておられるわけですから、それぐらいは自信を持って私は主張されてしかるべきじゃないか。まあこれはうるさいから、運賃にはね返らせればいいのだというような安易なことじゃなしに、そこらは私は強く一つやっていただきたいということを申し上げて、ただいまの資料は後日いただきたいと思います。  私一昨年アメリカに参りまして、アメリカでは鉄道と軍用機生産は斜陽産業、アフタヌーン・インダストリー、午後の産業といっておるわけであります。私は今回、国鉄がこの交通事情の革命的変化というものとの関連において運賃改定をやられないところに問題があると思う。これはもう国鉄からいただきました、図表で見た国鉄運賃の問題点というのを見ましても、まず貨物輸送において重大なる変化が起こりつつあります。たとえば国鉄と自動車と船舶で貨物をどういう形で、二十五年を基準にして三十四年から四十年までの推計をしてあるのですが、その推計によりますると、国鉄貨物輸送は、二十五年を基準にして四十年に三倍弱であります。ところが自動車輸送は八倍になるわけであります。それから船舶の輸送が二・四倍、私はこのトラック輸送というものは予想以上に政府の道路整備計画等と相待って重大な変化が起こると思う。それから先度私の郷里で東大の先生を、農業基本法の講義をしてもらおうとしまして、講師に頼んで、じゃ先生、一等の特急の指定券を買っておきますから、一つそれで行って下さい、こう言ったところが、中田君、それは飛行機の方が安いのだから飛行機にしてくれ、こういうことで、なるほど一等料金をかけ、特急券を買い、指定券を買うよりか、ビジネス割引でやりますると、実際国会の交通公社で計算をしてもらいましたら安いんです。なるほどいただきましたこの資料を見ても、東京−大阪間では、一等で参りますると六千百八十円です。ところが全日空でありますると五千五百円なんです。これを往復買って三日以内に帰るというビジネス割引ですと五千円なんです。なるほどこれならまあ羽田に行ったり、大阪から伊丹に行ったりする若干の時間はありますが、これはもうちゃんと航空会社で輸送して、要らないのです。私北海道の人に聞きますると、いいお客はほとんど飛行機で来るというのです。飛行機で来る。私はこういう際に、まあアメリカにおきましてはもう鉄道はまさに斜陽産業の最たるもの、しかもミサイルに切りかわって、軍用機生産はもう首切りの最中であります。  そういう際に、割の悪い不採算路線を新しく作ったり、いいところはみんな私鉄にやらせ、そうしていいところはみんなバスにやらせ、トラックでやりです、これで国鉄が成り立つかどうかです。これはもう交通事情の革命的な変化ということを考えて、国鉄が省営バスなりトラック輸送は、私企業圧迫というようなことで手も足も出ぬで、ますます赤字になっていく、これは私の同僚の羽生議員ですか、当分、五年ですか、新幹線を作る間運賃を上げないと言われておるが、私はそういう保証はあり得ないと思う。ですからもう飛行機、トラック輸送、バス輸送、特に道路が政府の急速な整備計画とマッチして、私はこれは急速に行なうと思うのです。国鉄がそういう変更に十分対応した、交通政策の転換なしに、今のようなことでやっておられて、はたして新幹線をやられる間だけやれるかどうかです。私は、国鉄がもっと貨物輸送、トラック輸送というような問題に、単に私企業圧迫というようなことで、もうカタツムリがじっとしているような格好でなしにやっていただかぬと、もちろんアメリカ等とは違って、そうアフタヌーン・インダストリーというようなことにはならぬと思いますが、私は決して楽観を許さぬと思う。わが郷土鳥取県においては、国道三十九号線等がどんどん整備されて、もうがらあきの汽車が行きおるし、バスの方は満載だというようなことになりつつあるわけであります。もちろん、こういう点は、やはり国鉄のこの各種の政策割引に基づく五百億の赤字、同時にいただきました資料が明らかに示すように、もう貨物輸送の重点が飛躍的にトラック輸送にかわりつつある。ドアからドアにというような新しい交通運輸機関の変化というものを経営の中に織り込まなければ、私はこういう状態国鉄の労組の諸君が待遇改善をやっても、なかなか見解が狭い、もっと大きな問題と取り組まねば、私はその労働運動の実効を上げるのは少ないではないかということを至るところで言っているのですが、私は、国鉄総裁が、まあ生涯を国鉄のためにささげるというので、レールを枕にしてというそういう気持は非常に薄いと思いますが、この変化しつつある事情を十分運輸政策全般に取り組まずにやられても、私はこの運賃改定はきわめて短期なものになるのじゃないかということを、一昨年欧米各国を見まして特にその感を深くしたが、特に十河総裁にこういう問題について、私はそういう問題を含めて運賃改定というものをやられない点に、きわめて視野が狭いし、根本的な解決にならぬのじゃないかと思うのですが、十河総裁いかがでしょうか。
  125. 十河信二

    説明員(十河信二君) 重ね重ねきわめて示唆に富んだ有益な御意見を伺いまして、私ありがたく傾聴いたしました。今お話のような点は、われわれも十分に考えまして、今後国鉄経営に役立てたいと覚悟いたしております。ただいま計画いたしておりまするような点は、国鉄としては、国民経済発展上、公共の福祉増進上必要じゃないかと、こう考えておりますが、さっきからお話の中にありますように、いろいろな点において根本的に改革をしなけりゃならぬ。国鉄は将来えらい危機に直面するようになるということを考えまして、先刻来お示しいただきましたような点について、今までも努力して参りましたが、われわれの努力が大いに足りなかった。今後反省して、さらに一段の努力をいたしたいと決意いたしております。ありがとうございました。
  126. 中田吉雄

    中田吉雄君 私はこれまで、ある民間会社の、とうていそこはバス輸送が成立しないというので放棄しておったんですが、路線があるので、それを米子鉄道管理局の要請で、われわれがバスを通してもらったんです、省営バス、ところが不採算路線だと思っておったら、もうつけた年から、個人会社は通っておるし——やってみて、そういう路線があるのですから、私は道路がよくなるにつれまして、陸上輸送ではトラック、それから人は、バスがだんだんと盛んになってくる。特に、私経験しているのですが、これはまあ当然日通及び国鉄さんの方が正しいのですが、非常に今料金が高い。日通や国鉄に頼むと、帳簿につけられるから、もう税金として百パーセント捕捉されるというので、もう数百キロの遠距離の輸送は、ちゃんと記帳しないバスに頼んでいる。これはもうなかなか多いのです。こういう面もあって、これはなかなか多いのです。これはもう国鉄や日通さんでしたら、きちんと税務署が行って調べるのです。幾ら君のところ送っておるじゃないか。ところがもうそういうのでない、特にいろいろ小さい会社でも、個人で自家経営を持つというのは、私は一つは税法上の問題もあると思う。そういうこともありまして、ぜひ、大きな交通機関の変化が起きておるということも一つ十分検討していただいて、伝統ある国鉄がおくれないようにしていただきたいと思うわけであります。  最後に、小さいことですが、いただきました別表一の「価格に占める運賃の割合(その一)」というのがありますが、これに硫安と過燐酸石灰、石灰窒素の今度のトン当たり運賃増額の割合が、硫安は〇・五、過燐酸石灰は〇・九、石灰窒素は〇・五と、過燐酸石灰だけほとんど倍上がっているのは、これは一体どういうことでしょうか。危険な度合いというものは生石灰なんかでしたらよくわかるのですが、これは一体どういうことですか。  それからついでに生石灰ならよくわかるのですが、石灰石もけたはずれに高いのですが、ちょっとわかりかねますが、それもあわせて御説明いただきます。
  127. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) これは私どもの資料でございませんので、通産省の資料かと思うのですが……。
  128. 秋山武夫

    政府委員秋山武夫君) お尋ねの点、資料が各省からばらばらに出ましたものをまとめてお配りしたようでございまして、私どもの計算と少し違う点がございますが、要するにそれぞれ原価が違う。過燐酸石灰は一万一千円余り、硫安は約一万八、九千円いたします。比較される分母が大きい小さいによって非常に比率が大きく狂ってくるということで、運賃そのものは大体同額、六百六十何円というところであります。
  129. 中田吉雄

    中田吉雄君 その問題もありますが、石灰石はどうなんでしょう。七・八倍になっているのですが、これは生石灰なら、湿気を吸うと発火したりして問題もありますが、それから、まあ今度、負担力主義からコスト主義に変わったためかと思ってみると、依然として改定後も過燐酸石灰は高いの、です。何らこれが危険な度合いは、石灰窒素、硫安等と比較していささかもないと思うのですが、その辺はどうなんです。
  130. 伊藤繁樹

    政府委員(伊藤繁樹君) 私どもの調査によりますと、石灰石の平均輸送距離は七十一キロでございまして、着駅渡し価格が五百九十円で、トン当たり平均運賃が三百三円でございますので、運賃の着駅渡し価格内に占める比率は五一%でございますが、これが平均輸送運賃が三百三円から三百四十九円に上がる計算になりますので、運賃増額分を着駅渡し価格で割りました、つまり出荷額の増加分は七・八%でございます。
  131. 中田吉雄

    中田吉雄君 ちょっとよくわからぬのですがね。この過燐酸石灰は現行の場合でも硫安は三・四、過燐酸石灰は五・八、石灰窒素は三・四で、今度コスト主義に変わったからそうなるかと思うと、改定前もそうなっているのですが、一体これはどういうわけでしょうか。どうも今の説明では少しわからぬのですが。
  132. 秋山武夫

    政府委員秋山武夫君) 肥料といたしましての値段は一応別でございますが、鉄道の場合は、大体ウエート——重量関係から割り出されると思いますが、価格そのものはまあ倍は違いませんが、一万九千円弱と一万一千円、石灰窒素になりますと二万四千円余りでございますから、大体同じ重量で似たような運賃をとっても、原価そのものに占める比率はかなり大きく開きが出るということになるのだと思います。
  133. 中田吉雄

    中田吉雄君 まあ、そういう点で負担力主義からコスト主義に変わった際の問題がはっきり出て、これは私は何らか補正するようなことを考えぬと、機械的なそういう適用はやはり非常に問題じゃないかと思うのですが、経済局長一体どうなんですか、まあ作物には三要素を適当にやらねばうまく増産できぬのですが、過燐酸石灰がまあ一割近くです。これは値段がだいぶん違いますからわかりますが、こういうふうなことは、まあ北村君が申されたような今度の改定が端的に出てくると思うのですが、この点はどうなんですか。
  134. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 御承知通り、いろいろ物資によってはあるいは容量、重量が同じでも値段が違うのがございますので、そういう関係運賃負担がだいぶ比率としては変わってくると思います。ですから結局現在のところ、肥料といたしましても、肥料の値段をできるだけ安く供給するということは、もちろん農林省でも一番大事に考えておる問題でございますけれども、現在マル公を作っておりますのは、硫安を大体中心にいたしましてア系肥料が、それに大体応じて動いておるというような実情でございまして、その他の肥料については、できるだけ指導としてはこれは安くということは考えておりますけれども、いわゆる値段の規制というようなものもございませんので、いろいろの肥料によってはそういう運賃負担の分がある程度変わって参りますのは、これは現状においてはやむを得ないことではないかというふうに考えております。
  135. 中田吉雄

    中田吉雄君 通産大臣、トン当たりの運賃が一体違うのは、これはどうなんですか、トン当たり、同じトンですよ。一トンの運賃が、硫安は六百五十二円、過燐酸石灰が六百六十九円、石灰窒素は八苦四十一円と、これは包装のかげんですか、これは一体どうなんですか。
  136. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) その点は輸送距離の関係でございまして、この輸送距離が、この通産省の資料によりますと、硫安二百六十五キロ、過燐酸石灰は二百七十八キロ、石灰窒素三百七十五キロ、私の方では、肥料一本二十四級という一番安い運賃をいただいておりますので、私の方のとった運賃は三つとも同じでございますが、距離が違いますので、トン当たり運賃が違ってくるわけであります。
  137. 中田吉雄

    中田吉雄君 だけれども、硫安と過燐酸石灰はほとんど距離はあまり変わらぬじゃないか、これはどうなんですか。
  138. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 運賃が十七円違っておりますが、これは平均されているので、こういうことになっております。距離が十三キロ違っておりますから、ちょうど運賃の境目になりますから、二百六十五キロと二百七十八キロで一段がつきますので、これを今度平均されたために十七円というトン当たり運賃の平均が出た。だから、正確に申しますと、これはトン・キロ当たり運賃で出さないと、先生のおっしゃるような比較が実はできないのだと私は思います。
  139. 中田吉雄

    中田吉雄君 もう時間がありませんので、来週火曜日ですか、商工委員会に参りますから、一つもっと前提を同じくしたような資料を出していただき、通産政策の進展とこの運賃改定がどういう関係があるかというようなことを、もう少しやりたいと思いますので、本日はこれで終わりますが、重ねて申し上げたい点は、運賃を上げる前に、さきに申しましたように、やっぱり合理化をやる、多年の懸案である五百二十数億の政策割引の問題、さらに不採算路線を建設する問題、交通革命というような問題を多角的に、改定とからんで、こういうときにやはり私はそういうものとの関連において、前提条件を整えてやっていただきたかったということを申し上げて、私の質問を終わります。
  140. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  141. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をつけて下さい。  これをもって連合審査会を終了いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これをもって散会いたします。    午後五時四十六分散会