○井堀
分科員 時間の
都合もありますから、ごく簡潔に
お尋ねをいたしたいと思います。私は、
労働省の予算を拝見いたしまして、幾多の疑問を感じております点を
お尋ねをいたしたいと思います。
今度の
池田内閣の重大な国民への公約でありまする新長期経済政策遂行の上に、
労働行政の占める地位はきわめて大きくなってきたと思うのであります。ことにこのことは、
日本の
労働行政に対して、国際的にもまた国内的にも、大きな転換を要請されておるとも見られるのであります。そういう点で、ここにあげられておりまする
労働省の予算の全体で分析いたしてみますと、この政府の基本的な
方針とマッチしておられると思う点が、私
どもに納得ができないのであります。具体的に一、二あげて
お尋ねをいたしますと、この政府の長期計画の大きな政策のよりどころを五つに分析してわれわれに
説明をいたしておるようであります。その中で一番私
ども関心を強く持ちまするものは、国際経済の中に
日本の経済成長を大きく期待しておりますことは、これは与野党を問わず、全国民の大きな希望の的であると思うのであります。これを成功させるかどうかということは、ひとり
池田内閣の政策の可否を問うだけではなくて、
日本民族にとって重大な結果を及ぼすことになると思いまするので、慎重に政府もこの
実施計画を進めてもらわなければならぬと思うのであります。そういう意味で、重要なポイントと思われる点をごく短い時間に
お尋ねをいたしますので、御
答弁もぜひ
一つ急所だけお述べいただけばけっこうだと思います。
その
一つは、今度
労働省の予算の中にちょっとその片りんを現わしておるのでありますが、言うところは、の増大あるいは
労働の質的改善をやる、あるいは
労働の適正配置という言葉を使っておるのでありますが、予算の上で見てみますと、莫大な総予算の中で、この重要な転換策に用いられておりまする全額は、わずかに十五億二千余万円にすぎないのであります。しかもそれをさらに分析してきますると、この国会に新しく提案をされておりまする雇用促進事業団に大
部分が期待されておるようであります。私は、このかぼそい計画でこのような大規模な政策転換を、しかも十カ年計画の初
年度に
昭和三十六年は入るのでありますが、こういう点から見ていきますと、どうもまゆつばだという感じが強くいたしてなりません。もちろん初
年度でありますから、その後十カ年のうちにどういうように転換を遂げられるかということについても、多少まだわれわれは
お尋ねをして明らかにしなければならぬかと思うのでありますが、こういう状態の中ですぐ
考えられまするのは、この雇用の問題につきましては時間を要しますので多くはお伺いいたしませんけれ
ども、この十五億二千余万円の中で、新しく今度計画されておりまする雇用促進事業団については、また他日
お尋ねをすることにいたしまして、この点は保留をいたしておきますが、そこで、これと国際
関係の問題について私は
お答えを願っておきたいと思います。というのは、この国内的な政策を遂行していくためには、どうしても国際的な競争の中で問題が起こってくると思うのです。これは他の場合にも
お尋ねがあったようでありましたが、たとえば国際競争に打ち勝っていくためには、二つの条件を満たさなければいかぬのじゃないかと思うのであります。
その
一つは、やはり
日本が国際的な高い信用を得るための措置が、
労働行政の中で強くとられなければいけないのじゃないか。これは
説明するまでもありませんが、現在先進国におきましては、この問題に対して異常だと思われる力を注いでおるようであります。きょうの新聞でも拝見できまするように、アメリカのケネディ政権が第一に取り上げて参りましたのは、やはり国際
労働の
関係に対する異常な動き方を見ることができると思うのであります。北欧の各国におきましては、もう古くからこの点に多くの精力が注がれてきた。ところが
日本の場合は、残念なことには、国際
関係の上で見られるのは、何か
日本の政府と
日本の
労働団体が、国際舞台において泥試合をするかのような印象を強く諸外国に与えておると思うのであります。この点の欠陥を私はすみやかにこの初
年度において改めていく具体的な処置が望ましいと思います。この処置についてお伺いをいたしたいと思うのでありますが、具体的には、私は二つの点について
お答えをいただきたいと思うのであります。
一つは、先進国がそれぞれとっておりまするように、これは
日本の
労働組合の
責任もあると思いますが、
労働組合がそれぞれ国際的な場所、たとえばILOの事務局のありまするジュネーヴや、あるいはアメリカやその他のヨーロッパに代表者を常置させて、
労働団体との交流をはかるはもちろんのこと、国際的な経済、政治その他についての連絡、啓蒙の活動というものがやはり常時行なわれてこなければ、国際的な
労働者の地位や信用というものを高めることはできないと思うのでありまして、このためには政府も、
労働団体のこういうような意欲的な動きに対して、具体的、積極的な援助や
協力というものがこの際やはりとらるべきではないか。それから政府の政策の中で、先進国でとっておりまするものを見ますると、国々によって多少の違いはありまするが、二、三の例を見ますると、
労働運動の高い経験者、
労働運動者の中から、そういう人々を労務
担当者として、あるいは担当官として各地に駐在させて、常時国策遂行あるいは国際的な
労働関係との間の提携を強めておるということは、これはもう
かなり前から行なわれておるのでありまするが、最近、非常に活発になってきているということは、これはきわめて重大なことではないか。こういうものに対する
労働省の予算は一向に変化が認められない。従来国際
労働課がわずかに連絡機関を保つといったような状態以上に出ていないと思います。これは政府の政策の中にも強く主張しておりまする輸出競争力を強化していくための大事な
一つの、第一に打っていかなければならぬ政策ではないかと私は思うのでありますが、この点に何らの処置が行なわれておりません。この点に対する
労働大臣のお
考えを
一つ伺って、なお一、二
質問をしてみたいと思います。