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藤井(貞)
政府委員 地域
格差是正なりあるいは低
開発地域の工業振興なり、こういうものに対処をいたしますための大きな方向といたしましては、私は三つあると思うのであります。その
一つは先刻来
お話のございました、また私たちの
考えております通称の基幹都市の建設促進の問題、これがあろうかと思います。詳しいことは申し上げませんが、この
考え方は、大都市へのこれ以上の集中というものを排除していく、あるいは地域
格差を
是正していくというような点をおもなるねらいといたしまして、そのためにはやはり
基本的な立地条件の整備というものを中心としながら、
地方経済の拠点を建設していこうという
考え方でございます。この点は直ちにこれは五十万とか百万でなければならぬというような、弾力性のない
考え方を私たちはとっておるわけではないのであります。相当
程度の大都市となり得る基盤を持っていなければならぬけれども、直ちに現在のところ三十万でなければならぬ、五十万でなければならぬというようなものではあり得ないと私は
考えるのであります。第二の方向といたしましては、既存の大都市あるいは既存の大都市圏というものを頭に置きまして、これの再
開発を行なっていくという
考え方が
一つあり得るだろうと思うのであります。これは既存の大都市である東京、大阪というようなものを頭に置く場合におきましても、基幹都市の建設とは違いますけれども、これをこのままに放置をしておくことは、やはり許されない。そういう
意味でもう少し合理化された、改善された環境のもとに大都市を整備していく。そのためには大都市内自体の再
開発をはかりますとともに、また大都市圏というものを頭に置きまして、衛星都市等を含めてこれの
開発を促進していくという
考え方が第二であろうと思われます。第三の
考え方といたしましては、もう少し小規模な、むしろ小さい
地方、地区というものを
対象にいたしまして、そこに
工場誘致を促進していくための行政的な、あるいは
財政的な措置を講じていく。現在行なわれておりまする
工場誘致のための諸施策というものに、もう少し合理的な根拠を与えていくという方向、大体この三つの方向があり得るというふうに
考えております。
私たちはどちらかといえば重点を第一の基幹都市の建設の方向というところに向けていくべき筋合いのものではないか。必要があると申しましても、あらゆるものに手をつけていくということになりますと、これは総花式になって効果も上がってこないというような点もございますので、最も効果的な手段として重点を置くべきものとしては、基幹都市的な構想を推し進めるということが一番いいのではないか、かように
考えておるのでありまして、この方向のもとに
関係各省と調整をはかっておる
段階でございます。先刻も
お話がございましたように、われわれといたしましては、基礎条件の整備、立地条件の改善整備というような点からいたしまして、どうしてもこれは
地方自治体というものが中心になってやらなければならない総合的な仕事でありますので、土性骨を据えてかかって参りたい、かように
考えておる次第でございます。
その問題と今具体的に御
指摘のございました北九州の五市の合併の問題、あるいは大阪市の近郊におきまする団地の新たなる形成の問題、これについてお尋ねがございましたので、
考え方を申し上げておきたいと思いますが、北九州五市の合併の問題というのは、私は基幹都市の構想とは直接に
関係がないというふうに見ておるのであります。これは沿革的にもかなり古い歴史を持っておりまして、従来からも二回くらい合併の機運というものが相当盛んになった時期がございます。いろいろな事情がございまして、それがそれぞれ立ち消えになっておりましたが、今度出て参っておりますのは、やはり一面において基幹都市とか、そういったことに刺激されたことは事実でございますけれども、もともとあった合併の合理性というものがもう一度再燃をしてきたというふうに見るのがいいのではないかと私は
考えておるのでありまして、現地の状況等について見ますると、これは阪上委員もよく御承知のように、あそこの地理的、自然的、経済的な条件と申しますのは非常に一体性が強い。地区の境界その他にわたりましてもさだかなものがないという工合に、地理的、自然的条件が一体性を完備しております。そういう
意味では広域都市の再合併というような方向に進んでおるのでありまして、私はこれ自体といたしましては
地元の要請が高まり、みなが理解してその建設に乗り出していくというのであれば、あえて反対をする必要はないのではないか。またそれ自体の建設が九州全般の工業の
一つの拠点となり得るという面からいたしましても、要請が出て参りました場合にこれを支援していく態勢をとることはけっこうではないか、かように
考えております。ただこれと基幹都市の問題というものを直接に結びつけるということにつきましては、いかがかというような
考え方も実はあり得るのであります。その点今御
指摘があった
通りでございます。
それから大阪近郊の団地形成の問題でございますが、これはなるほど根本的に将来の見通し等を
考えて参ります場合に、あれを単なるベッド・タウンとして
構成をしていくということははたしていいのか悪いのか。その場合にただ平面的に住居地帯というものを近郊に作ったということだけでは、交通難の緩和その他からいって、かえって悪くなりはせぬかという面も
考えられるのであります。従ってあの団地自体につきましても、やはり週辺に
工場地帯を含めて団地形成をやっていくというようなことも
考えていかなければならぬ面があると思います。ただこの点も基幹都市の問題とは、私は別個であると思っておるのでありまして、先刻申し上げました第二の方向であります既成大都市の再
開発の
一つの方向として
考えていいものではないかというふうに理解をいたしておるのであります。これを具体的にどう持っていくかということにつきましては、また過去のあやまちをさらに大きくして繰り返すということのないように、大阪府当局とも十分に打ち合わせをいたしまして、それらの点については遺漏のないように措置をするという点につきましては、今後も
一つ研究調査を続けたい、かように
考えております。