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足鹿分科員 そこで、これから
防衛庁
関係についてお尋ね申し上げるわけでありますが、それに入ります前に、中海干拓淡水化の事業に関連をいたしまして、特に農林
大臣また
政府委員等にお尋ねをいたします。
私が本年二月一日衆議院議長あてに提出をいたしました質問主意書にございますが、それで私がお尋ねをいたしました点は二項の(二)でありまして、
防衛庁が設置せんとしているジェット戦闘機基地の新設または拡張が、目下進行中の中海干拓淡水化事業に重大な
影響を及ぼすと考えられますが、
農林省等
関係省と連絡協議を行なったかどうかという質問主意書に対しまして、池田総理
大臣名をもって、去る二月十日付をもちまして、「調査測量を実施しなければ
影響の有無については明確にならない。
農林省等
関係省との連絡協議は、正式には行なっていない。」という御回答がございました。
大臣も、農林問題については非常な御抱負なり御経歴もあるわけでありますが、これは中海干拓計画に関連して
農林省が現在実施、設計の準備中と伝えられているものであります。この経費によりますと、
昭和三十七年から実施を予定いたしまして、三十六年度
予算に千八百万円、三十五年度
予算に五百万円を計上いたしまして、現在着々準備が進められております。その経費の概算を見ますと、共用事業費が十八億八千四百三十万円、干拓事業費が四十九億一千二百五十五万円、沿岸農業水利事業といたしまして十一億二千二百八十三万円、この内訳は宍道湖と弓浜半島であります。予備費等が七億八千六百十九万円、合計概算として八十七億二百万円という国費をつぎ込みまして、今後継続事業として六カ年計画でありますが、実施されんとしております。これは御存じのように、今設置されんとしているこの弓浜半島に、
昭和十六年、太平洋戦争の初期に海軍の飛行基地ができまして、当時の農民から三百数十町歩をわずか反当三百八十円で無理無理引き揚げたものであります。当時の農民は、お国が戦いに勝つならばというので、涙をのんで、半ば強制的な土地の収用に応じた、いわくつきの土地であります。この気の毒な
状態に対して、私どもはこの弓浜半島の農地を奪われた農民諸君に、
農林省も御協力をいただいて、この沿岸に代行干拓を続続行なっておるのが実情でございます。すでに完成をして作付をした者もあり、早期完成を念願してひたすら国に要望をしている者もあり、それとは別にこの今回の中海干拓淡水化が着工寸前というところにこぎつけまして、今申しました農地の造成に二千五百町歩を初め、大きな計画が進んでおる。その着工寸前に、最近
防衛庁の現在輸送航空団が設置されております。また全日空が
民間飛行場として季節的に併用しておりますが、これをジェット戦闘機基地とする計画が進み、F86D五十機その他を十数機、兵員千五百名を想定して、
昭和三十八年からジェット戦闘機基地として
防衛庁が使用ぜんと計画をしておるのであります。こういう重大な計画が過般来伝えられまして、私もこの主意書を提出いたしまして
政府の方針を、施設整備費の問題に限定しましてお尋ねをいたしましたら、いろいろと御
答弁がございました。そのとき
答弁書の第二項で、調査測量はもう終わったのかという私の質問に対して、「次期航空団の基地として拡張を考えているが、調査測量も実施していない現在では計画の詳細は決められない、こう
答弁しておきながら、私は昨日やむを得ない所用のために郷里へ帰っておりましたら、現地の庄子司令は、
防衛庁は一応の調査を終えて三月十日前後にその計画を公表する旨の重大発言をしておるのであります。私が質問主意書を提出いたしましてから十四日
ばかりの後に、二月十日付でこの
答弁がありましたが、わずかな間にそう急速に進むものでありますか。進むといたしますならば、
農林省が百億近い巨費を投じて今着手寸前というところに来ておる。このまん中ヘジェット戦闘機F86Dの航空団を設けました場合に、——既存の、現在のあの地帯の、そういう
事情で農地を奪われましたのは、鳥取県側は平均三反から三反半であります。島根県側は営農
状態はいいようでありますが、その間に大根島という島がありまして、これもほとんど零細農、半農半漁で辛うじて生計を保っておる、こういう
状態でありまして、近年
政府の施策等も手伝いまして、成長部門としての畜産をこの過小な経営に入れようというので、豚や鶏が相当入ってきておる。また将来の干拓淡水化後における営農も、そういった家畜を入れた、特に大家畜の酪農なども入れた営農形式をとることは、鳥取県、島根県側も基本方針として完成後における利用方法もきまっております。そういうときに、過去においても実績がありますように、そうした動物に対しても非常な被害を与えるようなジェットの戦闘機基地がここへできますならば、中海干拓淡水化というものは事実上においてその成果お減殺され、あるいは失うようなときが来はしないかということを、私は思想やイデオロギーを越えて、多年の恵まれない山陰の僻地に今ようやくこういうことが根ざしておる、
政府の後進性開発は遅々として進みませんが、すでに今まで思い切った
予算を投入しておりましたならばこれはすでにもう完工しておったとも思いますが、やむを得ません現状でありますけれども、そういうところへ持ってきて、過去において忍ぶべからざる軍への協力をした農民をさらに痛めつけるようなジェット戦闘機の基地化を
防衛庁が一方的にやっていいのか。三月十日前後に
防衛庁は発表すると言っておるが、
農林省はそういった巨費を投じて計画を立てつつある今日、一言のあいさつもなければ協議もない、そういったことで一体済むのかどうか。一体
防衛庁はどのように庄子司令に対してそのような重大発言を命じたのか。この前大森施設
課長に私が聞いたときも、まだ海のものとも山のものともわからぬと言ったではないか。にもかかわらず、郷土の各新聞は一斉にその計画を発表する、しかも科学的
根拠を伴って説得をする、こういうように、実に国会の
予算もまだきまらない、衆議院は今最終段階にあるとはいえ、これから参議院で本格的な審議が行なわれようというときに、国会の審議権を冒涜するようなそういうことをやっていいのか。私どもは国政の運営に当たって、これは公正を欠いておると思います。その点について農林
大臣として協議を受けられたか、また話し合いを持たれたか。持たれたとするならばどういう協議を受け、どういう回答をされたか、その間の
事情をつまびらかにしていただきたいと思います。