○佐々木(良)
委員 よく申し
上げられまして、
言葉は承りまするけれ
ども、客観的に見まして、私は今の私の見方を変えるわけにはいかないのであります。せんだっても──話は飛びますけれ
ども、高碕さんが
アメリカに行かれたその前後や、それから
中国にも行かれたその辺の一般の話を承ってみましても、
中国問題というものは、あるいは台湾問題というものは、
アメリカと
中国との問題だ、
アメリカと
中国との
関係が解決されない限り、われわれとしては手はつけられないのだ、大体こういう感じを持っておられる。おそらく小坂
外務大臣も、
池田総理も、そういう
考え方を持っておられるのではなかろうかと思うのです。もしそうでないとするならば、御承知のように今、法的な効果はどうか知りませんけれ
ども、三つの文書に、中華民国に返還することとなっておりまするけれ
ども、法的解釈からいうならば、今
お話のごとくに、この条約あるいは条文というものは、領土処理に対する直接の効果を発揮するものではなくて、直接の効果を発揮するものはやはり平和条約だろうと思います。そして平和条約というのは、日本からこの領土を取り
上げる、離すということだけを規定してある。離すということだけは規定してあって、従って所属は規定されておらない。そうするならば、もし日本が本格的に問題を解決しようとするならば、
国連の場でもどこでもいいから、日本がこれは離すのだけれ
ども、一体どこに捨て子するのだ、どこに帰属すべきだということを、堂々と日本の立場でその問題のリードをすることができるはずであります。しかもその場合の可能性というのは、いろいろ勘案をいたしてみましても、今の
国連の状況の中から見ますと、多分台湾の中におけるところの、台湾の持つところの軍事的な価値、あるいは軍事的な地位というものが基本的な問題になっておる。そのことがそのまま
アメリカの外交方針の基本的な問題である限り、日本はこれにくちばしを入れられない状態に置かれておるのではありますまいか。たとえば御承知のような形で、条約三条のやり方によって、たとえば
国連の信託統治というようなものが可能性があるかどうかということを調べてみても、一般信託統治の方法をとろうとするならば、ソ連を含む各国の査察が必要になる。今あそこのところをソ連に査察されたらどうにもならぬという問題が、一番最初にこの方法を困難ならしめる基本的なものでしょう。さらにまた戦略的な信託統治という
考え方をとりましても、それはやはり安保
理事会の承認を得なければならないから、一ぺんにまたソ連の
反対があるということで工合が悪いということになってくる。そうすると結局のところ残されておるのは、
国際間の話し合いということになってくる。その話し合いの中において、
アメリカがこの位置におけるところの軍事的な価値を強調し、たとえば新大統領が基地整備の基本的な方針でも立てて、その中から台湾に対する
アメリカの
態度が出てこない限り、ほんとうは日本は触れられないのではありますまいか。いろいろ問題がありそうでありまするから、あるいはこれを言わせるのは酷のようでありまするから、私はあえてもうこの問題に対する
質問を続けようとは思いません。
ただ私は繰り返して申し
上げておきたいことは、幾ら
池田さんや小坂さんが、
国連中心外交である、自主独立外交である、対米依存ではないと言われましても、
国連の中における活動並びに
中国の扱い、そして具体的には
中国が本格的に
国連の中に入ってきて、冷戦緩和の方向に対して協力できるような軍縮協定でも、あるいは核禁止の協定でも入れる状態にならなければ、日本の安全は保し得ないということも承知であり、経済的な提携も深めなければならぬということも承知でありながら、どこかに遠慮されて本格的の問題を進めがたいという感じを、だれでも受けておるわけであります。従って私は、それならばもっと明確に、日本というものは、今のところそういう小国と一緒になって、やれ
国連中心主義だの、あるいはそれに似たような
考え方でおることはできないのだ、むしろ大国依存によってのみ日本の国の運命をここに託しておらなければやれないのだという立場を、はっきりと自民党としてとられたらどうか。私は非常に残念に思いますることは、自民党という一番右の政党も、あるいはまた
社会党や共産党を例に出したら悪いかしれませんけれ
ども、左の政党も、全部
国連中心主義、自主独立外交、この
言葉でもって言い表わされておる。中身は全部違っておる。特に自民党
内閣の方針というものを今具体的に吟味するならば、はっきりと
国連の現状を肯定し、麻痺しておるところの
国連の機能の中に立っては、
アメリカについていかなければ日本の運命は保たれ得ないのだという
考え方に割り切って、その立場を国民に出したらいいじゃないか。それを
国連中心主義というような隠れみのでもってごまかされるところに、日本の外交が、国民外交的な、国民全体が火の玉になって平和を獲得しようとし、国の安全を保とうとするための手段を探そうとする意欲に燃えない最大の原因があると思う。日本の
言葉は非常に便利にできておりまするから、従ってどういう内容を持とうとも、同じように
国連中心、自主独立外交ということになっておる。私はきわめて不満に思うわけであります。特に小坂
外務大臣のこれらのものの言い方につきまして大いなる反省を要望し、はっきりと内容に沿ったところの
言葉を使われて、そうして日本の向かうべき道に対して、国民が明確に理解できるような状態で外交問題に取り組まれんことを切望いたしまして、外交問題は打ち切りたいと思います。
さて、次に経済問題に入りたいと思います。経済問題の一番中心に私が伺いたいのは、金流出とドル危機の問題についてであります。
アメリカの金流出とドル危機の問題につきまして、
池田総理はきわめて楽観的な見解をもって終始されておりまするが、その根拠を私は承りたいのであります。蛇足を申し
上げて恐縮でありまするけれ
ども、施政方針の演説の中におきましても、この
委員会における
答弁に見ましても、
総理のこの問題に対する取り組み方は、超楽観的な立場に終始しておられるような感があるわけであります。文字に書いてあるところでは、私の目についたところでは、たとえば正月の日経の座談会で、小汀利得氏とともに対談をされておりますが、その中でこの問題に対して、今まで
アメリカが金を持ち過ぎていたから世界不況があったので、金の再配分は喜ぶべき現象である、こういうような
態度を表明されたり、あるいはドルはポンドやフランとは違って世界最強の通貨だから心配することはないのだ、あるいは
アメリカの国内の金準備の比率を撤廃しさえすれば、金は減っても大したことはないのだ、こういうような、私
どもから見まするならば、この問題の本質をとらえておられないような
発言、同時に楽観的な見方が
池田総理の周囲にムードのごとき状態になって現われておると思いまするが、この問題に対すを本質について、
総理の所見を承り、楽観的見解の根拠をお示し願いたいと思います。