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1961-02-21 第38回国会 衆議院 本会議 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年二月二十一日(火曜日)     —————————————  議事日程 第四号   昭和三十六年二月二十一日    午後一時開議  一 道路整備緊急措置法等の一部を改正する法   律案内閣提出)の趣旨説明     ————————————— ○本日の会議に付した案件  人事官任命につき同意を求めるの件  日韓会談における財産請求権に関する緊急質問   (細迫兼光提出)  道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案   (内閣提出)の趣旨説明及びこれに対する質   疑    午後三時五十六分開議
  2. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  人事官任命につき同意を求めるの件
  3. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) お諮りいたします。  内閣から、人事官神田五雄君及び中御門經民君を任命したいので、国家公務員法第五条第一項の規定により本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出通り同意を与えるに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。      ————◇—————  日韓会談における財産請求権に関する緊急質問(細迫兼光提出
  5. 田邉國男

    田邉國男君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、細迫兼光提出日韓会談における財産請求権に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
  6. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 田邉國男君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  日韓会談における財産請求権に関する緊急質問を許可いたします。細迫兼光君。   〔細迫兼光登壇
  8. 細迫兼光

    ○細迫兼光君 私は、日本社会党を代表いたしまして、日韓会談に関し、総理大臣並びに外務大臣質問をいたしたいと思います。  私の質問は大別して三点ありますが、第一に、外務大臣にお尋ねいたしたいのは、日韓会談において問題になっておる対日財産請求権についてアメリカ国務省が表明した見解についてであります。  従来、外務大臣は、予算委員会外務委員会等におきまして、このアメリカ国務省見解発表できないと言っておられました。その理由として、韓国との約束においてこの発表はしないことになっておるからであると述べてこられたのであります。ところが、この十五日夕ベ、韓国金外務部次官は、韓国政府は従来この見解発表に反対したことはない、こう言明したと報道せられておるのであります。これは朝日新聞の真崎特派員の通報であります。おそらく、この金外務部次官の言明は真実でありましょう。というのは、十五日の朝、すでに韓国日報はその全文を紙面に発表しておるからであります。韓国は、ちっともこの発表をちゅうちょしてはいない。なぜ、外務大臣は、この発表をちゅうちょし、拒否したのでありますか。従来の説明によれば、その内容が韓国に不利なので、韓国国内事情から発表を好まないからであろう、ということでありました。ところが、金外務部次官は、このアメリカ見解こそ韓国にとって有利なものであると主張しておるのであります。こうなれば、もはや何も公表をちゅうちょする理由は残っておりません。ここに直ちにその見解公表を要求いたします。その上で、なお論ずべきは論じたいと思っております。  第二には、総理大臣にお尋ねをいたしますが、今外務大臣にお尋ねいたしました通り財産請求権に関するアメリカ国務省見解をめぐっても、日韓の間に大きな解釈の対立が見られます。これを解決することは容易なことではありません。のみならず、韓国民議院は、この二月三日、日韓関係に関する決議を行ないました。その中の一項目には、平和ラインは尊重せられなければならないということが含まれております。しかも、この決議は、与党民主党が百二十六議席で絶対多数を占め、野党新民党は六十五議席しかない、こういう状態の中で行なわれたものであることを考えるときに、張勉内閣といえども容易にこの決議に反する行動をとることができない、容易ならざるものであることを感ぜざるを得ないのであります。これは、背後に韓国国民の大きな世論が起こっておることを意味するのであります。その一つの現われとしては、去る一月二十三日、団伊能氏を団長とする財界有力者二十二名の日本経済視察団出発直前に至って出発を中止しなければならなくなったという形勢からも見てとらなくてはなりません。さすがの小坂外務大臣も、この二月四日には、日韓会談の前途は楽観を許さないと発言せざるを得なかったのであります。きのうも、韓国鄭外務部長官は、日本に立ち寄って楽観的なことを言っておったようでありますが、事実はなかなか楽観を許さないと思うのであります。こうなってくると、財産請求権の問題も解決困難である。李承晩ラインの問題も困難である。竹島の問題も同様である。すなわち、懸案は何一つ解決することができないというような状態に陥る可能性があるのであります。(拍手)  そこで、近ごろ小坂外務大臣考え出したことは、懸案は一時たな上げにして、正式国交をまず開始しようという方式であります。これは、しかし、間違った考えであります。われわれは、李承晩ライン解決、竹島問題の解決など、懸案解決をこそ要求しておるのに、何らこれを解決することなく、ただ単に正式国交開始するというのでは、ただ単に韓国代表部合法性を与えるだけのことであって、何の意味もないのであります。いわんや、前に申した韓国民議院決議は、重要懸案解決の上でなければ正式国交開始をなすべきではないと言っておるのであります。懸案解決もできない、正式国交開始もなかなかできない、こういうばかげたことはありません。だから、これは小坂方式変更しなくてはなりません。すなわち、韓国との交渉は、李承晩ラインの問題など懸案解決だけに限る、そうして、基本的な問題や正式国交開始北朝鮮を含めた統一朝鮮の成立を待ってこれを行なうという方式変更しなければならぬと思うのであります。(拍手)この方式変更は、単に小坂方式ではだめだというばかりではなくて、小坂方式では朝鮮南北統一を妨害するという罪悪を犯すことになるからであります。(拍手)その理由は、時間もありませんし、詳しく申し上げる必要はないと思いますが、殷鑑遠からず、南ベトナム、台湾との正式国交を取り結んだことが、いかにわが国に不利益をもたらし、立ちすくみの状態に追い込まれたかということを考えるときに、思い半ばに過ぎるものがあるでありましょう。(拍手)いわんや、朝鮮南北平和的統一は、そう遠くはないと私は判断しております。韓国に対する交渉方式変更の断を下すべき時期にきておるのではないかと信ずるのであります。これは、小坂外務大臣の仕事ではなくて、むしろ、総理大臣が断を下すべき問題だと思うのであります。総理大臣の御所見を伺いたいと思います。  第三には、朝鮮中国に対する基本的態度についてであります。  先日、小坂外務大臣に対して、九月の韓国訪問について、韓国では謝罪に来たと言ってますよと申しましたところ、それを強く否定せられたのでありますが、むきになって否定せられるところに、根本的態度に私は間違いがあると思うのであります。私は、朝鮮中国に対してこれから友好国交開始しようとするならば、まず、中国朝鮮国民に対し池田総理はまっ先に謝罪に行くべきだと思うのであります。朝鮮、ことに中国国民に対しては、とうていここで口にし得ないほどの、悪い、恥ずべきことをしております。池田総理は、近ごろ、大国意識に取りつかれているようであります。頭を下げるのをいさぎよしとしないかもしれませんが、これは間違いであります。悪いことをして謝罪をすることは、ちっとも恥ずかしいことではありません。悪いことをして謝罪しないことこそ、恥ずべきことであります。池田総理は強く大国意識を持っておられますが、完全にアメリカに抑え込まれ、アメリカが敵視するものは日本も敵視しなければならぬ、アメリカが反対投票するときには反対投票しなければならぬ、金魚の動くままに従って動かなくちゃならぬ、こういう状態で、どこに一体大国の面目がありますか。  その一例は、歴代自民党内閣がとっておりましたところの北朝鮮地域朝鮮民主主義人民共和国——北朝鮮に対する態度であります。すなわち、現在、北朝鮮地域とは貿易一切まかりならないという態度をとっております。ほかに、世界じゅう、そんな態度で臨んでおる地域はどこにもありません。最大敵視政策といわなければなりません。国連決議などを持ち出されるかもしれませんが、国連に対する地位関係は、中華人民共和国だって同じであります。一体、どこに、北朝鮮世界じゅうで一番憎むべき、一番敵視すべき地域であるとする理由日本にあるでしょうか。ただ、池田総理は、アメリカが敵視しておるから日本も敵視しなければならぬと考えてやっておるだけであります。どこに一体あなたの言う自主外交がありますか。どこに一体大国の面目がありますか。  経済は生きものであると池田総理も申されました。禁止せられているにかかわらず、日本経済は、やはり、北朝鮮から鉄鉱石などを輸入しておるのであります。しかし、それは、北朝鮮から門司の港を指呼の間に見ながら、はなはだしきは、門司の港で水、石炭を補給して、また、いかりを上げて、はるばる香港まで行って、原産地証明書香港船積みという紙きれ一枚をもらって、また門司、若松へ帰ってきておるのであります。その間の船賃、香港の商社に支払う手数料、大切な外貨の消費、日本産業は大きな損害を受けつつあるのであります。これが一体日本総理大臣のやるべきことでありましょうか。(拍手)いたずらに大国意識に酔うことなく、謝罪すべきは堂々と謝罪する、誇るべきことは誇る、平和憲法を高く掲げて、堂々と国際場裏に胸を張って濶歩してこそ、日本の大宰相というべきではありますまいか。中国朝鮮に対する友好関係樹立のため、まず謝罪から始めて再出発すると、いう、そういう気になられるべきであると私は思うのであります。  今日、私は、無理に即答を求めようとは思いませんが、深く深く御考究あらんことを切に望みまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔国務大臣池田勇人登壇
  9. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お答え申し上げます。  本月三日の韓国民議院におきまする決議は、私は、その前文に示しておりますごとく、韓国日本との国交正常化に全面的に賛成の意を表しておるものと考えております。なお、いろいろの懸案解決しながら、国交正常化に向かう今までの方針を続けていく考えでございます。  なお、わが国外交は、わが国のために最もいいことを自主的にきめていっております。国連の一員として、自主的にわが国のための外交をやっておるのであります。(拍手)    〔国務大臣小坂善太郎登壇
  10. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 御質問の私に対する御趣旨は、昭和三十二年十二月三十一日、サンフランシスコ平和条約第四条に関するアメリカ解釈をさすものだと思われますが、この覚書の趣旨は、委員会でも御答弁いたしておりまするように、わが在韓財産に対する請求権サンフランシスコ平和条約第四条(b)項によって消滅したものでありますけれども、この日本請求権が消滅したという事実は、日韓間において平和条約第四条(a)項に基づく請求権問題に関する特別取りきめの交渉が行なわれるに際して考慮に入れらるべきものである、こういうことであります。いわゆるアメリカ解釈発表につきまして韓国側と話し合っておりまするが、韓国側は、現段階においては発表を差し控えたいという意向を申して参りましたので、そのように了承しておるわけであります。韓国側では発表に反対したことはないというようなことが新聞に報道されておるようでありまするが、私どもが直接話し合いましたところの結果は以上申し上げた通りであります。  なお、財産請求権に対するアメリカ解釈によってこの請求権は放棄したのではなくて、さっき申し上げたように、サンフランシスコ平和条約第四条(b)項によって消滅したものであります。この(b)項において、米軍司令官のとった日本財産に対する処理効力を承認するという規定がありまするところ、韓国におきましては、米軍司令官の出した軍令第三十三号によりまして、在朝鮮日本財産所有権移転がなされ、これに対しまして、後にこれが米軍側から韓国側に移ったということになっておるものであります。ヘーグ陸戦法規によりますると、占領軍は、原則として占領地にありまする私有財産を没収することができないことになっておりまするのでありまして、従って、軍令第三十三号によって在朝鮮米占領軍が行なった日本財産処理は、このヘーグ陸戦法規の範囲を越えるものとも考えられまするが、わが国は、サンフランシスコ平和条約第四条(b)項によって、米国政府によるかかる措置効力を生じたことを承認いたしておるのであります。  なお、第二次大戦後の占領につきましては、こうした、従来必ずしも見られなかった処理が行なわれておるのでありまして、たとえば、ドイツに関しましては、平和条約を待たずに、私有財産を含むドイツ財産処理占領軍によって行なわれておる、こういう事実を御参考に供したいと思うのであります。  なお、その他の問題につきましては、総理大臣からお答えになりました通り、われわれは、両国の懸案解決しつつ国交が常道に復することを考えておりまするが、相当部分が解決されましたならば、できるだけ正規の外交関係を結んで残余の問題を解決するということも、また一方において考えられるべき方法ではないか、かように考えておる次第であります。  以上をもってお答えといたします。(拍手)      ————◇—————  道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明
  11. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 議院運営委員会の決定によりまして、内閣提出道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案趣旨説明を求めます。建設大臣中村梅吉君。   〔国務大臣中村梅吉登壇
  12. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  政府におきましては、現行道路整備緊急措置法に基づきまして、昭和三十三年度を初年度とする道路整備五カ年計画策定いたし、これに基づきまして道路整備事業を推進して参ったのでありますが、最近の目ざましい経済成長に伴いまして、道路輸送需要は、計画策定当時の予想をはるかに上回って著しく増大して参っておりますので、これが対策といたしまして、道路整備拡充強化が強く要望されている次第であります。  一方、政府は、昨年十二月、国民所得倍増計画を決定いたしたのでありますが、この計画を達成いたしますためには、今後の経済成長に対応した道路整備計画策定して、道路の改良と近代化を促進し、輸送隘路を打開いたしますとともに、先行的道路投資を行ない、産業経済基盤を強化し、国民生活の向上に資する必要がございます。  このため、現行道路整備五カ年計画を改良拡充いたして、昭和三十六年度を初年度とする新道路整備五カ年計画を樹立いたしまして、急速に道路整備を促進いたしまするために、ここに、計画策定根拠法でございまする道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案を今国会に提案いたした次第でございます。  次に、この法律案要旨について概略申し上げます。  改正の第一点といたしましては、ただいま申し上げました通り、現在実施中の道路整備五カ年計画を改定いたして、新たに昭和三十六年度を初年度とする新道路整備五カ年計画策定することといたしたことであります。  第二点といたしましては、建設大臣道路整備五カ年計画の案を作成しようといたしまするときには、道路整備五カ年計画長期経済計画との調整をはかりますために、あらかじめ経済企画庁長官に協議することといたしたことであります。  第三点といたしましては、道路整備計画の一環として実施しております積雪寒冷特別地域道路交通確保に関する計画につきまして、新道路整備五カ年計画計画期間調整をはかるため、昭和三十六年度以降の毎五カ年を各一期とする積雪寒冷特別地域道路交通確保五カ年計画策定することといたしたことであります。  その他、これに関連いたしまして、若干関係規定整備を行なうことといたした次第であります。  以上が、この法律案要旨でございます。      ————◇—————  道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  13. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) ただいまの建設大臣趣旨説明に対しまして、質疑の通告があります。これを許します。中島巖君。   〔中島巖登壇
  14. 中島巖

    中島巖君 私は、日本社会党を代表して、ただいま説明のありました道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案に対して、内閣総理大臣並びに関係閣僚に対し質問を行なわんとするものであります。(拍手)  この道路整整緊急措置法等の一部を改正する法律案は、昭和三十六年度を初年度とする道路整備新五カ年計画二兆一千億予算基盤をなすものでありまして、ただいま建設大臣提案理由説明にもありましたように、池田内閣長期経済政策、すなわち、十年間における所得倍増計画の大きな柱となるものであります。  池田総理は、本国会における施政方針演説において、所得倍増計画地域格差解消が大きな柱であるとして、工場地方分散などを明らかにしたのであります。総理の意見が明らかになるや、関係各省は、おのおの独自の法案を本国会提出せんとしつつあります。すなわち、建設省広域都市建設法案を、経済企画庁は低開発地域工業開発法を、さらに、自治省では地方開発基幹都市建設促進法を、また、通産省は地方工業開発促進法を、それぞれ準備しつつあるとのことであります。政府は、かつて東北開発促進法を制定して、政府資金を投じて幾多の会社を設立したのでありますが、いずれも不振で、さらに政府資金の投下が必要のようであります。私は、各省計画中のこれらの法律案も、第二の東北開発促進法の運命をたどるのではないかと思うのであります。(拍手)この失敗の原因は、一地方開発をしても、全国的に交通網が完備せざる限り成功しないことを物語るものと思うのであります。道路整備新五カ年計画は、その規模二兆一千億にして、その内訳は、一般道路一兆三千億、有料道路四千五百億、地方単独三千五百億となっているのでありますが、五カ年計画初年度である三十六年度予算を見ても、地域格差解消先行的道路政策はなく、旧態依然たる徳川時代道路改修工事工程表としか思えないのであります。(拍手)  今や、アメリカ初めヨーロッパの先進国は、鉄道輸送より自動車輸送へと転換しつつあるのであります。特に、戦禍から立ち上がった西ドイツの目ざましい産業復興高速自動車道に負うところが多いといわれておるのであります。また、イギリスは、一九三二年、ロンドンに集中する工場人口を制限するため、ニュー・タウン政策工業配置政策を決定しましたが、これを決定するにあたり、まっ先に考えたのは、交通網整備でありました。  今後の国土計画は、先進国が示すように、十年後の日本の姿はいかにあるべきかの観点から、高速自動車網を中心とした交通政策の上に樹立すべきであると考えるのであります。これがためには、昭和三十二年成立した国土開発縦貫自動車道建設法を強力に推進すべきであると思うのであります。同法は、北は北海道の稚内から南は九州の鹿児島に至る、国土中央を縦貫する大高速道路建設して、これを交通網幹線として裏日本、表日本主要都市を結び、日本全土立地条件格差を縮めて生活領域の拡大をはかることになっております。重工業は海岸地帯へ、軽工業や精密工業高速自動車道の沿線へと工業配置政策を定めれば、池田総理の言われる、あらゆる所得格差解消も、農村人口の第二次、第三次産業への吸収も、おのずから解決すると思うのであります。  道路整備五カ年計画は、有料道路予算四千五百億を計上してありますが、これを重点的に、ただいま申し上げました国土開発縦貫道の着工中の中央道を含めて、中国自動車道工事費に投入すれば、東京から下関まで国土を縦貫する高速自動車道が向こう五カ年間に完成するでありましょう。また、これを東北自動車道に投入すれば、神戸より青森までの国土中央を縦貫する高速自動車道が完成いたすでありましょう。次期五カ年計画九州自動車道北海道自動車道を開設することによって日本高速自動車道幹線が完成することになります。私は、道路整備五カ年計画策定にあたり、総理の決断を切に望むものであります。  経済審議会所得倍増計画は、四大工業地帯を前期五カ年間に重点的に取り上げて、その他の地帯は後期五カ年に手をつけることといたしております。これは、地域格差をますます拡大して、十年後には収拾のできない国土状態となるものと思うのであります。私は、以上の観点に立って、道路整備五カ年計画に伴う交通政策基本的考え方総理大臣並びに関係大臣質問をいたさんとするものであります。  まず、総理にお伺いしたい第一点は、経済審議会所得倍増計画、すなわち、太平洋工業ベルト地帯を優先的に取り上げる問題に対して、いかなるお考えであるか。  質問の第二点は、東京が世界一のマンモス都市となり、動脈硬化状態となりつつあります。その最大原因道路面積の少ないことであって、都市面積に対して、道路面積は、ロンドンは二三%、ニューヨークは三五%、パリは二四%、東京は九・六%であります。かりに、年々三十万近く増加する人口を制限して、今後人を一人も東京に入れないといたしましても、今後の自動車の増加を考えたとき、いかなる交通政策を施しても、十年後には収拾がつかなくなることは明らかであります。ブラジルは、五年前、鉄道もない、千キロも離れた山奥に首都の移転を決定して、昨年四月二十一日に移転をしたのであります。私は、国会中央官庁官立大学などを富士山麓へ移すべく、今から研究すべきものと考えますが、総理のお考えはいかがでありますか。  質問の第三点は、道路整備五カ年計画有料道路予算四千五百億全額を重点的に国土開発縦貫自動車道に投入すれば、一挙に日本を縦貫するところの高速自動車幹線道路建設ができるのであります。これは一に総理の裁断以外にないのでありますが、お考えはいかがでありますか。  質問の第四点として、総理は、施政方針演説において、行政機構診断機関を設置することを明らかにしたのであります。高速自動車道鉄道にかわって交通幹線となりつつあることは、欧米の例を見ても明らかであります。交通行政の一元化が必要と思います。西ドイツは、日本の運輸省と建設省道路局一つにしたものを交通省として、陸海空の交通一元行政を行なっています。他の国でも同じようなところが多くありますが、総理のお考えはいかがでありますか。(拍手)  次に、建設大臣にお伺いしますが、質問の第一点は、本年度予算において、地域格差解消ともいうべき先行的の道路予算は見当たらない、旧態依然たる道路工事工程表にすぎないのであります。五カ年計画策定基本的方針をお聞きいたしたいのであります。  質問の第二点は、道路整備緊急措置法第二条に、五カ年間の道路整備の目標、事業の量を閣議決定することに定めてあるが、現在どのような状態か、お示し願いたい。  質問の第三点は、国土開発縦貫自動車道であるが、神戸小牧間は三十七年供用開始予定でありますが、予定通り工事が進んでおるか、また、小牧東京間はいつ着工するか、また、東北自動車道中国自動車道について、いかなる準備をなされつつあるか、お聞かせを願いたい。  質問の第四点といたしまして、現在、高速自動車道建設は、工事はもちろん、その立案も企画も、道路公団が行なっている。過去の実例から見て、温泉場や名所めぐりの観光道路に重点を置いているが、これらは民間でできる仕事であります。幹線である高速国道に重点を置くべきである建設省計画を決定をするよう道路公団法の一部を改正すべきと考えるが、御所信はいかがであるか。  次に、大蔵大臣にお伺いをします。  ワトキンス報告書にもある通り日本道路は欧米諸国に比較して四十年もおくれており、日本産業発展を著しく阻害しているとしてあります。私は、道路投資は、国全体から見てすぐれたる有効適切の投資対象であると思うのであります。また、事業は労力とセメントと鉄材でありますから、ほとんど百パーセント国内で充足できるのであります。また、高速道路建設費は、道路の使用料とガソリン税で十分償還が可能であります。問題は、この財源がインフレの要因となるかどうかであると思うのであります。政府は財源をガソリン税に求めていますが、これは大衆課税であり、インフレの要因となるものであって、私どもは、これを認めるわけにはいかないのであります。(拍手道路債券を発行して国内で消化するとか、一般財源に求めるとか、あるいは、高速道路網の完成により産業界の受ける利益は大きいのであるから、租税特別措置法の大幅な廃止をして道路資源に回すとか、積極的に財源措置を講ずべきものと思いますが、お考えはいかがでありますか。(拍手)  運輸大臣にお伺いしますが、東海道新幹線はいつ竣工の予定であるか、これによる今後の輸送力はどう変わるか、お伺いいたしたいのであります。  次に、経済企画庁長官にお伺いしますが、第一点は、低開発地域開発促進法を本国会に提案の予定と伺っているが、その構想と道路整備五カ年計画との関連をお伺いしたい。  質問の第二点は、東北開発促進法の精神に基づいて設置された政府資金の東北開発株式会社とその関連会社の現況と、事業不振と聞いているが、その原因は何であるか。  次に、通産大臣にお伺いしますが、都市産業の集中化に対して規制すべき何らの法的措置がない。工場の設置は野放しで、無政府状態であります。イギリスの工場配置法のような法的措置により適正な工場配置をなすべきものと思うが、御所見はいかがであるか。  終わりに、自治省大臣にお伺いしますが、地方開発基幹都市建設法を本国会提出されるよう聞いていますが、その構想と道路整備五カ年計画との関連についてお伺いいたしたいと思います。  以上をもちまして私の質問を終わることといたします。(拍手)   〔国務大臣池田勇人登壇
  15. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お答え申し上げます。  所得倍増計画において、四大工業地帯を中心とするベルト地帯開発し、その他の土地をほっておくとは、不権衡になるではないか、その通りでございまして、私はベルト地帯以外のその他の地帯に、金融上、租税上、あるいは公共投資の補助率等、各般の措置を講じまして、ベルト地帯以外の地域開発考えておるのであります。(拍手)  第二点の、東京都は非常に膨張しておる、官庁その他を富士山麓に持っていくことはどうか、こういうお話でございますが、私は、ただいまのところ、そういうことは考えておりません。御承知の通り、一定規模以上の工場、大学等につきましては制限措置をとっておるのでございまして、今安易にすぐそういうことをするというととは、よほど私は弊害が多いということを考えなければならぬと思います。  次に、道路及び交通行政の一元化でございまするが、私は、各関係庁が協力して、一元化と同じような効果を上げるよう努力を続けておるのであります。(拍手)   〔国務大臣中村梅吉登壇
  16. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) お答えをいたします。  地域格差についての御議論がございましたが、所得倍増計画を進めて参ります上に、地域格差の是正について意を用いなければならないことは当然でございまして、私ども、さしあたり、昭和三十六年度の道路整備事業におきましても、極力重要地点を結びますところの幹線道路整備をはかりまして、重要地点間の連絡を十分につけるようにいたしますとともに、また、産業振興の上に緊急を要する道路について整備を進めて参りたいと思います。また、御承知の通り、三十六年度各省関係に若干の予算措置ができまして、工業の立地条件あるいは新しい市街地開発等の調査を遂げることになりましたので、これらの調査の進行に伴いまして、これと十分にらみ合った道路整備を今後進めて、御指摘のような点に備えて参りたいと思うのであります。  質問の第二点でございますが、御承知の通り、二兆一千億という五カ年計画の総ワクがきまりまして、その一般道路事業及び有料道路事業地方単独等の内訳もきまりましたが、この五カ年計画を進めまする上におきましては、その事業の目標及び事業の量を閣議に付して決定することに、現在の緊急措置法の建前でなっております。しかし、これは、目下この国会に先ほど御説明申し上げました道路整備緊急措置法を提案いたしておりますので、この法律が成立いたしますということと、もう一つは、現在御審議をいただいております予算が成立をいたしますということが前提でございますから、目下、その時期に備えまして、鋭意検討中でございます。これらの予算及び改正法律案が成立をいたしました暁には、努めてすみやかにその内容を決定して閣議に付したいと考えておる次第でございます。  次に、国土開発縦貫自動車道についてのお尋ねがございましたが、小牧−西宮間、すなわち、いわゆる名神自動車国道につきましては、御承知の通り、鋭意工事を進めております。大体、昭和三十六年度中には完成の見通しでございます。それから、東京小牧間につきましては、三十六年度も引き続き、前年よりも費用がふえまして、四千万円の調査費を計上いたしておりまする次第で、極力この基礎調査を実施して参っておる段階でございます。これらの基礎調査が完了いたし次第、できるだけすみやかに重要な地点から着工することに運びたいと思うのであります。  なお、東北等の線についてお話がございましたが、東北につきましても、本年、他の地点と同じように調査費が計上されましたので、鋭意、経済的効果あるいは路線の規格等につきまして調査を進めて参りたいと思います。  最後に、有料道路事業につきまして、いろいろ御意見がございました。御指摘によりますると、どうも有料道路は観光事業に重点を置いておるのじゃないかというお話でございましたが、実績から申しますと、実はそうなっておりませんで、目下完成して営業中の有料道路について申しますと、現在、総数が四十五でございますが、産業道路がそのうち三十五でございまして、観光に関する道路が十でございます。現在工事中のものが十八でございますが、うち、産業開発的なものが十三で、観光的のものは五でございます。今後も、われわれといたしましては、観光に偏することのございませんように、監督上十分留意いたしまして、注意して参りたいと思います。(拍手)   〔国務大臣水田三喜男君登壇
  17. 水田三喜男

    国務大臣(水田三喜男君) 財源についてのお尋ねでございましたが、二兆一千億円の計画の中で、道路公団と首都高速道路公団が分担する道路事業費は、五カ年間に四千五百億円であります。ですから、政府出資を除く以外は大部分借入金になるわけでございますので、今後年々数百億円の道路債——政府保証債を出すことになろうと思います。また、現に道路債は発行しておりますので、従って、一般公共道路の方は、従来通り、特定財源と一般財源の一部をもってまかなうのが妥当でありますし、また、これは可能であると考えております。  それから、租税特別措置法についてでございます。これは、従来の方針通り、逐次整備し、合理化していくつもりでございますが、この特別措置の合理化廃止等によって生ずる増収は、これは当然一般会計に帰属すべきものでございまして、これと特別会計を結びつけて考えることは困難なことだろうと考えております。(拍手)   〔国務大臣木暮武太夫君登壇
  18. 木暮武太夫

    国務大臣(木暮武太夫君) ただいま、東海道増設新幹線につきましてのお尋ねがございましたが、それにお答えを申し上げます。  御承知の通り、東海道線が現在行き詰まっておるのを打開いたしまして、今後におけるわが国経済産業の進展に伴いまして増大する鉄道輸送の需要に応じなければならないと国鉄では考えまして、三十四年の四月に申請して参りまして、ただいま着工いたしております東京と大阪の間約五百キロ、昭和三十四年から始まりまして、五カ年で大体千七百二十五億円の工事費を要します、新しい幹線でございます。これに、工事費といたしまして、昭和三十四年には三十億円、三十五年には二百七億円、三十六年には四百四十億円、ただいままで三年間に六百七十七億円の工事費予算を組んだわけでございます。この着工の模様は、大体、五百キロのうち、三十五年末には百五十キロの分だけは着工ができるということになるのでございます。そうして、一日も早くこれを完成することが——この線は採算に引き合う線でございますから、国鉄の経営の上から見ましても早期完成を計画いたしておりまして、三十九年の三月までには完成をいたしたい、こう考えておる次第でございます。  それから、これができましてから輸送力はどうなるかという御心配の御質問でございましたが、輸送力は、現在の東海道線におきましても一日列車回数百二十回でございますけれども、新しいものができますると、総合運営いたしますから、これがふえまして、一日百八十回の列車回数になる。それから、新しいものは広軌のものでございますから、御承知の通り、列車の大きさも大きくなりますので、今までよりは三割の輸送力がふえて参りまして、今後増大するところの鉄道輸送の需要に対しまして、これができさえすれば間違いはないという確信のもとに、一日も早くこれが完成に努めておる次第でございます。(拍手)     〔国務大臣迫水久常君登壇
  19. 迫水久常

    国務大臣(迫水久常君) 低開発地域工業開発促進法につきましては、今、関係各省で打ち合わせ中であります。従って、最終案はまだできておりませんけれども、審議会の議を経まして、総理大臣が一定の地域を指定いたしまして、その地域に設ける企業に対しましては、ある程度税制上特別の措置を行なう、あるいは金融面でこれを援助するというようなことが中心でございます。同時に、それについては、訓示規定ではありますけれども、その土地の産業基盤経済基盤整備について特別に考えるというようなことが書いてあるのでございまして、そういう点で道路計画とも関係が出てくると思います。  なお、道路五カ年計画につきましては、先ほど建設大臣説明通り経済企画庁も御相談にあずかることになっております。  もう一つの御質問の、東北開発のことでございます。この会社は、昭和三十二年の八月に、古い東北興業株式会社というものを引き継いで出発いたした会社でございますが、なるほど、三十三年度あたりまでは、開業早々であって、必ずしも成績は上がりませんでしたけれども、東北開発については相当の貢献をしておるものと考えております。ことに、三十四年度におきましては、初めて若干の黒字を計上いたしておりますが、今後とも一そう努力をしてもらおうと考えております。  なお、その会社の子会社の状態いかんということでございましたが、九社ございますが、最近の経済事情によりまして漸次好転して参りまして、二社を除いては、三十五年度上期の決算で黒字を出している、こういう状態でございます。(拍手)   〔国務大臣椎名悦三郎君登壇
  20. 椎名悦三郎

    国務大臣(椎名悦三郎君) 工場の過度集中の傾向はすみやかに解消しなければならぬという見地から、通商産業省におきましては、工場立地調査法というものに基づきまして、おもなる各地点を調査いたしまして、これを工場立地の指導に使用しておるわけであります。しかし、これでは不十分であります。そこで、今回改正案を出しまして、今度は、各業種について、好ましい立地条件は何かというような点を主として調べまして、これを一般に提示し、あわせて、金融財政等の措置と相待って工場立地の指導の適切を期したい、かように考えておる次第であります。  なお、イギリスの工場配置法のごときものを出したらどうかというお話がございましたが、工場設置に関する承認制度をとるというようなことは、ただいまの段階では適当でない、かように考えております。(拍手)   〔国務大臣安井謙君登壇
  21. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 後進地域開発のために、自治省といたしましては、国と地方自治体との関連を緊密にいたしまして、将来工業なり産業に有利と思われます地域、主として中小都市を指定いたしまして、その周辺を総合的に立地的に開発を促進していこうというのが案の基本でございまして、当然この道路計画の推進とも十分な関連がございますので、十分調節をいたして有効に進めたいと存じております。(拍手
  22. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) これにて質疑並びにこれに対する答弁は終わりました。      ————◇—————
  23. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十六分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  池田 勇人君         外 務 大 臣 小阪善太郎君         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         通商産業大臣  椎名悦三郎君         運 輸 大 臣 小暮武太夫君         建 設 大 臣 中村 梅吉君         自 治 大 臣 安井  謙君         国 務 大 臣 迫水 久常君  出席政府委員         内閣官房長官  大平 正芳君         法制局長    林  修三君         経済企画庁総合         開発局長    曾田  忠君         外務省条約局長 中川  融君         建設省道路局長 高野  務君      ————◇—————