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1961-05-31 第38回国会 衆議院 法務委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月三十一日(水曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 池田 清志君    理事 田中伊三次君 理事 長谷川 峻君    理事 林   博君 理事 牧野 寛索君    理事 山口六郎次君 理事 赤松  勇君    理事 坂本 泰良君 理事 坪野 米男君       宇野 宗佑君    上村千一郎君       浦野 幸男君    唐澤 俊樹君       菅  太郎君    岸本 義廣君       小島 徹三君    佐々木義武君       富田 健治君    楢橋  渡君       早川  崇君    藤井 勝志君       阿部 五郎君    飛鳥田一雄君       井伊 誠一君    猪俣 浩三君       中村 高一君    畑   和君       春日 一幸君    志賀 義雄君  出席国務大臣         法 務 大 臣 植木庚子郎君  出席政府委員         警察庁長官   柏村 信雄君         警  視  監         (警備局長)  三輪 良雄君         検     事         (刑事局長)  竹内 壽平君         公安調査庁次長 關   之君  委員外出席者         議     員 富田 健治君         議     員 早川  崇君         議     員 田中幾三郎君         議     員 門司  亮君         衆議院法制局参         事         (第二部長)  川口 頼好君         警  視  監         (警察庁警備局         参事官)    曾我 力三君         検     事         (刑事局公安課         長)      川井 英良君         専  門  員 小木 貞一君     ————————————— 五月二十九日  委員小島徹三君及び飛鳥田一雄辞任につき、  その補欠として山口喜久一郎君及び原彪君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員山口喜久一郎辞任につき、その補欠とし  て小島徹三君が議長指名委員に選任された。 同月三十日  委員上村千一郎君及び原彪辞任につき、その  補欠として大竹作摩君及び飛鳥田一雄君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員大竹作摩辞任につき、その補欠として上  村千一郎君が議長指名委員に選任された。 同月三十一日  委員井村重雄辞任につき、その補欠として宇  野宗佑君が議長指名委員に選任された。 同月三十一日  理事井伊誠一君同日理事辞任につき、その補欠  として赤松勇君が理事に当選した。     ————————————— 五月三十日  裁判所法等の一部を改正する法律等の一部を改  正する法律案坪野米男君外八名提出衆法第  五〇号) 同日  皇室の尊厳をおかす者を処罰する法律の制定に  関する請願外四件(荒舩清十郎紹介)(第四  三四五号)  同外四件(金子一平紹介)(第四三四六号)  同(櫻内義雄紹介)(第四三四七号)  同(中山マサ紹介)(第四三四八号)  同外四件(橋本登美三郎紹介)(第四三四九  号)  同外百二十一件(福田一紹介)(第四三五〇  号)  同(藤井勝志紹介)(第四三五一号)  同(増田甲子七君紹介)(第四三五二号)  同外十九件(薩摩雄次紹介)(第四四〇〇  号)  同外十一件(舘林三喜男紹介)(第四四〇一  号)  同(中村寅太紹介)(第四四三〇号)  同(浦野幸男紹介)(第四四八七号)  同(小笠公韶君紹介)(第四四八八号)  同外九件(大村清一紹介)(第四四八九号)  同外五件(金子一平紹介)(第四四九〇号)  同外十五件(北澤直吉紹介)(第四四九一  号)  同外七件(小泉純也君紹介)(第四四九二号)  同外一件(坂田道太紹介)(第四四九三号)  同(正力松太郎紹介)(第四四九四号)  同外九件(鈴木正吾紹介)(第四四九五号)  同外五件(田中龍夫紹介)(第四四九六号)  同(高田富與紹介)(第四四九七号)  同外一件(高橋英吉紹介)(第四四九八号)  同外三件(舘林三喜男紹介)(第四四九九  号)  同外一件(中馬辰猪紹介)(第四五〇〇号)  同外一件(丹羽喬四郎紹介)(第四五〇一  号)  同外五十三件(原田憲紹介)(第四五〇二  号)  同外二件(廣瀬正雄紹介)(第四五○三号)  同外六十件(野田卯一紹介)(第四五〇四  号)  同外二十七件(相川勝六紹介)(第四五七〇  号)  同外七件(秋田大助紹介)(第四五七一号)  同外二件(井原岸高紹介)(第四五七二号)  同外四件(伊藤五郎紹介)(第四五七三号)  同外三件(宇野宗佑紹介)(第四五七四号)  同(小川半次紹介)(第四五七五号)  同(小川平二紹介)(第四五七六号)  同外十六件(小澤太郎紹介)(第四五七七  号)  同外五件(大上司紹介)(第四五七八号)  同外六十一件(岡崎英城紹介)(第四五七九  号)  同外二十八件(賀屋興宣紹介)(第四五八〇  号)  同外四件(木村俊夫紹介)(第四五八一号)  同(岸本義廣紹介)(第四五八二号)  同外二件(草野一郎平紹介)(第四五八三  号)  同外一件(黒金泰美紹介)(第四五八四号)  同外四十六件(坂田道太紹介)(第四五八五  号)  同(櫻内義雄紹介)(第四五八六号)  同(白浜仁吉紹介)(第四五八七号)  同(正力松太郎紹介)(第四五八八号)  同外二十一件(鈴木仙八君紹介)(第四五八九  号)  同外六十五件(瀬戸山三男紹介)(第四五九  〇号)  同(富田健治紹介)(第四五九一号)  同外四十八件(千葉三郎紹介)(第四五九二  号)  同外七件(中馬辰猪紹介)(第四五九三号)  同外八件(中村三之丞紹介)(第四五九四  号)  同(中山マサ紹介)(第四五九五号)  同(二階堂進紹介)(第四五九六号)  同外十四件(野田卯一紹介)(第四五九七  号)  同(野原正勝紹介)(第四五九八号)  同外六件(濱田幸雄紹介)(第四五九九号)  同(濱地文平紹介)(第四六〇〇号)  同外五十件(原田憲紹介)(第四六○一号)  同(藤田義光紹介)(第四六〇二号)  同外十八件(細田義安紹介)(第四六〇三  号)  同外四十八件(前尾繁三郎紹介)(第四六〇  四号)  同(森田重次郎紹介)(第四六〇五号)  同外二件(柳谷清三郎紹介)(第四六〇六  号)  同外一件(山口六郎次紹介)(第四六〇七  号)  同外二件(山崎巖紹介)(第四六〇八号)  同外八件(米田吉盛紹介)(第四六○九号)  同外十二件(池田清志紹介)(第四六三六  号)  同外四十三件(岡崎英城紹介)(第四六三七  号)  同外六件(谷垣專一君紹介)(第四六三八号)  同外二百七十四件(簡牛凡夫君紹介)(第四六  三九号)  同外四十件(徳安實藏紹介)(第四六四〇  号)  同外三十三件(床次徳二紹介)(第四六四一  号)  同外十一件(富田健治紹介)(第四六四二  号)  同外三十二件(濱地文平紹介)(第四六四三  号)  同(増田甲子七君紹介)(第四六四四号)  売春防止法改正強化に関する請願岡本隆一  君紹介)(第四三八四号)  松山刑務所の移転に関する請願關谷勝利君紹  介)(第四六三五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任の件  政治テロ行為処罰法案坪野米男君外八名提出、  衆法第一六号)  政治的暴力行為防止法案早川崇君外七名提出、  衆法第三九号)      ————◇—————
  2. 池田清志

    池田委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。理事井伊誠一君より理事辞任したいとの申し出がありますので、これを許可することとし、この際その補欠選任を行ないたいと思いますが、これは先例によりまして委員長において指名するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 池田清志

    池田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定しました。  それでは赤松勇君を理事指名いたします。      ————◇—————
  4. 池田清志

  5. 坪野米男

    坪野委員 前会に引き続いて、自民民社案に対して、主として提案者質問いたしたいと思います。なお、こういう治安立法でもありますので、この法の実際の運用に当たられる法務当局並びに警察当局に対しても、質問をしたいと思うわけであります。  問題はたくさんございますが、前会に続いて、主として団体規制についてお尋ねしたい。特にこの団体規制については、民主社会党が当初非常にその必要を強調され、どうしてもこの程度の団体規制は必要だ、今日もなおこの団体規制規定については非常に強い御主張のようでありますので、主として民主社会党に、団体規制問題点についてお尋ねをしたいと思うわけであります。この自民民社案は決して正当な労働運動大衆運動を弾圧する意図を持つものでもないし、また労働運動を弾圧する口実を与えるような乱用のおそれはないと、こういう答弁を繰り返しておられるわけでありますが、私たちがこの団体規制規定が正当な大衆運動から派生して起こるいろいろな事件に適用され、それが拡大解釈をされて、乱用のおそれが多分にあると心配をしておる点、並びにこの法律は、この団体規制は、いわゆる右翼テロに対抗して、左翼集団暴力規制することを主としてねらった規定だということについても、提案者の見解をただしていきたいと思うわけであります。この団体規制中心的な規定は第七条、第八条だと思うのであります。それに先行する第四条で、政治的暴力行為の定義があるようでありまするが、私は順序を逆に第八条の団体活動制限規定、この条文中心質問をしていきたいと思うわけであります。  そこで、最初民主社会党提案者お尋ねしたいのでありますが、この第八条の団体活動制限規定でありますが、これは主として左翼系団体労働組合あるいはその他の革新団体大衆運動規制することをねらいとした規定ではないかどうか、この点を最初お尋ねします。
  6. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 この法律を作ったそもそもの動機は、前会にも申し述べましたように、岸、河上両氏に対する刺傷事件、引き続いて浅沼氏刺殺事件、続いて嶋中事件が起こりまして、これらは自分考えに反対するから直接行動によってその生命を奪う、もしくは傷つけるのだという事犯であります。こういうことがしばしば行なわれるにおいては、わが国の言論民主主義というものはとうてい発達しない、こういう考えから出発をいたしたのでありまして、従いまして、私どもの一番中心に想定をして考え出されたことは、こういう殺人行為目的とし、あるいは手段として、しかも連続反復して行なわれるような団体の存在は許すことができない、またそういうものの行動制限しなければならぬという考えを持ちまして作ったのであります。おのずからその団体のなす行為あるいは役職員のなす行為暴力になるわけであります。暴力そのもの手段として自分たち目的を達するということでありますから、そういうことでありますから、労働団体もしくは左翼団体団体としての活動規制するということは、それ自体を目的としておるものではなくして、むしろそういう暴力行為犯罪行為をやるという背後にある団体規制するのが目的でありまして、組合の正常な運動をする団体規制するということは考えていないのであります。
  7. 池田清志

    池田委員長 速記をとめて。   〔速記中止
  8. 池田清志

    池田委員長 速記を始めて下さい。
  9. 坪野米男

    坪野委員 今田中さんの御説明では、第八条の団体規制は決して左翼団体労働運動等対象としたものじゃないという御説明でありました。それではお尋ねしますが、第八条の第一項と第二項といずれを重視しておられるのか、最初お尋ねします。
  10. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 第一項は、ここに書いてあります通り団体活動として第四条第一項第一号、これは殺人であります。それから第七号は正当性必要性を説いて影響力を与えて殺人を行なった行為であります。それからその未遂、これを団体継続反復してさらに将来行なうというおそれのある場合、それから第二項は第四条の第一項第二号から第六号まででありますから、殺人以外の行為でありますから、おのずからここに差別を設けまして、一項の方は重くして六カ月、二項の方は四カ月と期間を短縮したものであります。
  11. 坪野米男

    坪野委員 そうしますと、当然でありましょうが、殺人という重い暴力行為団体の方に重点を置いて規制してある、第二項の方の比較的軽い政治的暴力行為に対する団体規制は四カ月というように、幾らかウエートを軽くして規制してある、こう伺ってよろしゅうございますか。
  12. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 さようでございます。
  13. 坪野米男

    坪野委員 条文体裁はそのようになっておるわけでありますけれども、そしてまた、この条文は非常に難解な、しろうとが読んでもなかなか何をねらっておるのかということがよくわからないわけでありまするが、私たち法律家が一字一句これを検討して最後まで読み終わった場合に、この第八条の団体活動制限規定はどこにねらいがあるかといえば、第二項の団体活動として傷害から国会乱入まで——国会乱入は削られたとすれば、その手前の暴力行為までの団体規制をねらったものだということがはっきりわかるわけであります。   〔委員長退席林委員長代理着席〕 しかし今の提案者の方はそうじゃないと言われるのであれば、どうしてそういう解釈になるかということを一つ具体的にお尋ねをしたいと思うわけであります。第八条の第一項は殺人——すべて政治的暴力行為でありますが、政治的な殺人既遂行為、それから簡単に言いまして、政治的殺人正当性必要性主張する行為、それから政治的殺人予備陰謀教唆扇動行為、それから政治的殺人未遂行為、これらのすべて殺人に関係する行為をここに規定してあるわけでありまして、こういった行為を行なった団体継続反復して将来さらに政治的暴力行為を行なうおそれがあるという場合に、その団体に対して次の処分を行なうことができる。結論は、この第一項にいたしましても、一、二という一号、二号が処分の内容なんです。その前段にある政治的殺人を犯したり、政治的殺人教唆扇動をやったりしたそういう団体に対して行なわれる処分は一、二、これしかないわけなんです。その一号、二号は、当該行為、それが殺人実行行為といたします場合に、殺人実行行為個人のテロリストの行為じゃなしに、団体行為としての殺人行為が、集団示威運動、デモンストレーションの場において公然と団体活動として行なわれる場合だけが処分対象になる。穏密裏団体行動として一人一殺主義を掲げる団体がもしありとすれば、そういった団体員団体活動として隠密裏に人を刺しても、その団体は何らの規制に触れない。最も悪質の殺人団体団体規制を受けない規定になっておる。そうして、その当該行為は、集団示威運動において、また集団行進において、こういったことを右翼団体は通常やらないと思うのです。また公開集会演説会その他そういう場面において人殺しをやった場合には六カ月間のそれらの行為の禁止をされる。しかし団体活動としてこういう方法を用いずに、穏密裏人殺しをやる団体があるとすれば、その団体はここにいう第八条の団体規制には全く触れないということになるわけであります。また第二号の場合は、当該行為は、機関紙誌によって行なわれる言論活動でしょう。言論活動人殺しをするということは、物理的に不可能であります。結局考えられることは、殺人実行行為規制しているのじゃなしに、正当性必要性主張言論で行なう、機関紙誌等において行なう、あるいはまた予備陰謀を文書で行なうということも、全然考えられないかどうかは別として、あまり考えられない。結局教唆扇動機関紙誌において行なう、そういう行為だけを規制しようとしているわけですから、団体活動として政治的暴力行為の最たるものである殺人実行行為、こういった行為を犯した者に対する団体規制としては、この第八条においては集団示威運動人殺しをしなければ規制対象にならない。公開集会人殺しをする場合には、もう演説会を二度開けない。およそ私は無意味な規定だと思う。結局第八条第一項でねらっているところは、殺人正当性必要性主張、あるいは教唆扇動、こういった言論活動を主として対象としてねらっている。軽い方の団体活動だけがむしろ処分対象になっておるとしか論理的には解釈できない。機関紙誌によって行なう団体規制はそういうことであろうと思う。しかも第一項はそのように殺人及び殺人に関係する政治的暴力行為のうらの軽い方の規定で、しかも公々然と行なわれる場合の規定に対する団体規制だけしか規定されておらない。ところが私は、この第八条のねらいは、第一項じゃなしに、第二項にあるということを言いたいのは、第二項に同じことが規定されておるわけであります。第二項の場合には、「団体活動として、継続又は反覆して、第四条第一項第二号から第六号まで」、これは傷害逮捕監禁強要暴力行為国会乱入、こういった殺人よりも比較的軽微な政治的暴力行為実行する、あるいは傷害教唆扇動をやる、国会乱入教唆扇動ははずされたのでしょうから、傷害教唆扇動をやるという行為、それから政治的強要罪未遂国会乱入未遂、これらの実行を行なった団体は、——いろいろ条件はついております。「継続又は反覆して将来」云々とありますが、それに対する処分は、これまた同様に一号、二号の中に第一項と同じように集団示威運動集団行進公開集会において行なった場合にだけ処分規定がある。機関紙誌によって行なわれる場合だけに規定がある。こういう規定でありますと、かりに政治的暴力行為のうちの傷害、これも団体活動として特定人を刺す、それも公開の席上でなしに、本人の自宅に押しかけていって、団体活動として刺し殺さす、テロ傷害をする、そういった場合にも何らこの第八条の団体規制を受けない。結局第二項においても、具体的に考えられる政治的暴力行為対象としては、集団示威運動の場において行なわれる政治的暴力行為、あるいは集団行進の最中にまさか傷害するとかいうことは、特殊な場合、警察官がもぐり込んできて、その警察官を刺すということも、あるいは右翼がもぐり込んできてそれを刺すということも考えられないことはありませんけれども、そういった場合はきわめて少ないわけで、結局ここでも考えられるのは、「公開集会」、演説会あるいは団体交渉なども公開集会といえますかどうか、そういった場合の逮捕監禁強要あるいは数人共同して行なう暴行脅迫、あるいは器物毀棄といった暴力行為処罰に関するものがこの法律を一番適用されるおそれがある。そういうように、法律の建前は、殺人が一番重いというように、体裁は重いものから順番に並んでおりますけれども、この第八条で団体規制を行なうというねらいは、結論は、軽い方の集団行進あるいはデモ運動、あるいは公開集会において行なわれるであろう、あるいは機関紙上によって行なわれるであろう比較的軽い方の政治的暴力行為が行なわれた場合の団体規制しか規定されておらないということが、論理的に読み取れるわけなんです。こういうように読んできますと、第八条は、今、田中さんが、これは殺人をやる団体規制する必要があるんだと言われましたが、殺人を行なうような団体に対する規制はほとんど考えられないと思うわけであります。少なくとも右翼殺人団体と称する団体がありとすれば、そんな団体デモ運動集団行進公開集会でという場合はきわめて少ないだろうと考えられるのですが、そういう点は一体どういうようにお考えになっておるか。これは非常に矛盾しておるのではないかと思うのですが、どうですか。民主社会党の立場をお伺いしたい。
  14. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 お答えいたします。  第八条についての御質問でありますが、第七条は御承知のように団体のためにする行為個人対象で作ってある。だから個人が行なった場合は、団体としての活動は別に制限を受けないわけであります。やった個人制限を受けることはもちろんであります。  第八条は、団体活動としてやった場合に制限したのは、個人行動制限するのではなくして、団体そのもの活動を全面的に制限するわけでありますから、おのずからこの制限される行為対象というものは厳格にきめなければならぬわけであります。従いまして、団体活動としてやるということはなかなか判定がむずかしいわけであります。従って隠密裏に行なったという場合は、はたして個人としてやったのか、団体としてやったのか、どういう場合にも全部団体活動が停止あるいは制限されるわけでありますから、特にこの第八条の第一項を設けたわけであります。  第二項は、これは第一項とは違いまして、第一項の方は第四条の第一項一号もしくは七号、これは殺人に関する行為であります。第二項の方は、これはただいま坪野委員からも説明がありました通り殺人以外の行為でありますから、これはこの制限を受ける前に反復継続しなければならない。一回ではだめだ、反復継続して行なう。さらに将来反復継続しなければならぬというふうに厳格にいたしたわけであります。これも団体としての制限でありますから、かようにいたしたわけであります。
  15. 早川崇

    早川議員 坪野さんは非常に色めがねで見ておられますが、法律というのはこの条文だけ見ちゃいけないのです。たとえば、殺人の場合とそれ以外の行為とは、明確に区別しているわけですね。たとえば、団体殺人をやり、将来やるおそれがあれば解散ができるのですよ。第十条をごらん下さい、そこで非常な区別をしております。殺人以外は第八条ですね。それが一つ。もう一つは第八条の条文ごらんになったら明らかですが、殺人その他の関連の事項は一ぺんだけで、将来反復継続するおそれがない——これは私が法制局に命じまして、団体活動、それ以外の活動の場合はよほど慎重にしなければいかぬというので、継続反復してやって、しかも継続反復してやるおそれがあって、しかもその団体の中の一部分がやってもかからない、団体全体として、そういう集団監禁したり、いわばその団体暴力常習犯という場合に初めて四カ月の制限を加えるという規定なんですね。殺人の場合は六カ月。それからもう一条見ていただきたいのですが、第七条においても、殺人関連のことをやったら一ぺんでその人は役職員の仕事を六カ月できなくなる。ところがこっちは四カ月というように、第七条、第八条、第十条という三条を全部見れば、坪野さんの御心配になるように集団としてのものを重視したという結論にはならないのですよ。ですから、どうか第八条をごらんになる場合には、第十条と第七条と全部総合的に御判断いただきまして、われわれの苦心いたしましたその真意をおくみ取りいただきまして、誤解のないようにしていただきたい、かように私はお願いをいたします。
  16. 坪野米男

    坪野委員 早川さんの今の答弁は私の質問にお答えいただいてないわけです。今指摘された点は私も百も承知で、第一条から全部読んで、法律家の頭で一応見ておりますから、相当いろいろ要件に縛りがかかっていることは何も私も否定するわけじゃない。ただ、第七条と第八条と第十条、それぞれ違うわけですね。第十条は団体解散の指定の規定でしょう。それから第七条は役職員または構成員の行為を禁止、制限する規定であって、第八条は団体としての行動を一部規制制限しているわけなんです。法律というものは、正義の要求に合致すると同時に、公平でなければならないというのが原則です。第十条は、もちろん疑義はありますけれども、割にはっきりしている。殺人実行行為、その未遂行為殺人教唆扇動行為、これだけですね。そして継続反復して殺人または殺人予備陰謀教唆扇動を行なうおそれがある場合に、二回殺人類似行為をやろうという場合に、解散の指定ができるという規定、これはそれだけの意味なんだ。私の聞いているのはそんなことじゃない。第八条は団体活動制限する行為ですよ。団体役職員、構成員が団体のための活動を禁止される規定は第七条ですね。ですから冷静に質問の意味するところを聞いてもらいたい。いろいろ縛りはかかっていますが、結局殺人実行行為団体活動として行なっても、隠密裏にやった場合には何らこの第八条の規定制限を受けない、制裁を受けない。そして、公開集会でやる、示威運動の場において行なう、集団行進の場において行なう殺人行為だけが、そういう示威運動制限する、集団行進制限する、公開集会の開催を制限するというだけで、およそ無意味な私は団体規制だと思う。一番悪質なテロ殺人実行行為団体団体活動として主義、綱領に掲げているか、あるいは実質上団体活動として行なうテロ殺人行為ですよ。ですから、ここにいろいろ体裁は整えてありますけれども、テロ殺人実行行為団体活動として行なうような団体の中で、ここにいう「次に掲げる処分を行なうことができる。」というその処分を受ける団体というものはほとんどないわけです。結局左翼系団体が、集団示威運動において、集団行進において、公開集会において行なうであろう行為といえば、第一項では殺人正当性必要性主張、こういったことは私はあまりやらぬと思いますが、右翼の連中も第一項に掲げるような行為はおそらく通常やらないであろう、そうすると処分も受けないであろうということなんです。左翼の連中も、まさか人殺しをしたり人殺しをしなければいけないというようなことを言うということは、まずまず今日の事態では考えられないわけです。そうすると第一項というものは現実にこれを適用される余地がない団体活動条文だと思う。ですから、この条文のねらいは第二項にある。団体活動として継続反復して、傷害から国会乱入まで、しかし傷害行為集団示威運動の場において行なうということも、右翼の連中はこういうことをやらない。左翼の連中がいわゆる行き過ぎた行為から集団暴行に及ぶ、暴行の結果傷害が発生するといった場合に、この規定の適用を受ける可能性はある。そうしたら今度は不心得者がおって、あるいはスパイがおってでも、デモ行進の中で一人がだれかをぶんなぐった、あるいは突き倒した、けがをしたというときにでも、それは団体活動としてやったのだということで、そういったことが二回繰り返されるおそれがあるという、その認定は公安審査委員会がやるのです。裁判所がやるのじゃない。そういった場合に、集団示威運動が四カ月間できなくなる。あるいは集団行進も禁止される、公開集会演説会その他の集会も禁止されるという可能性があるのは、むしろ労働運動その他の大衆運動の場において起こり得る可能性があるわけで、右翼の連中が公々然と団体活動として傷害行為を行なうということはあまりあり得ない。ですから隠密裏にやった場合には、その団体解散の指定を受けない限りは、何も団体としての取り締まりの対象にならないわけです。ですから結局具体的にこの第二項で考えられる集団示威運動集団行進公開集会機関紙誌によって行なわれるであろう政治的暴力行為、二号から六号までに規定されている行為というものは、具体的には大衆運動から派生した暴力事犯に適用されて、今度団体活動制限を受ける。「団体活動として」という規定についてもあとで質問いたしますが、非常に疑義のある、乱用のおそれのあるのはそういう規定であります。しかし私は結論から先に言っているが、そういうようにテロ殺人をやる団体はこの第八条でも何ら団体としての規制を受けない。一回やっただけではもちろん第十条の規定にも触れないわけでありましょうから、結局これは大衆運動あるいは労働運動その他の運動の行き過ぎを是正するところにねらいを定めた、右翼テロ団体規制する法律じゃなしに、左翼集団行動から派生して起こる比較的軽微な暴力事犯を対象とした団体規制だということは、誰が読んでもそう読みとれると思います。ですからこれは法の建前からいっても非常に不公平じゃないか。はっきりそうだと言っていただけばそれでいいわけなんです。われわれはそういうように見ているわけなんだが、この条文を見ればそうとしか読めない。いろいろ縛りはかかっているけれども、結論はそういう行為規制するための規定だ、右翼のテロ団体によってこういった行為が通常なされるということは、ごくまれにしか考えられないわけなんです。ですからねらいはそこじゃないかということをわれわれは言っている。しかも公安審査委員会といえば、これは破壊活動防止法の中の一つの政府機関なんです。ですから破防法というものが共産党取り締まりを対象とする法律である、違憲の立法だといって、当時おそらく野党にあった早川委員もあるいは門司委員委員会その他で質問をされたように聞いておるのです。そういう破防法の規定をそのまま持ち込んでおるということからしても、この団体規制のねらいは大衆団体規制をねらっておるじゃないかということは、この規定条文からしても出てきますし、また今の公安審査委員会その他破防法の規定が多く準用されておるということからしても、その対象とするところが大衆団体にあり、大衆運動にあるということがいえると思うのです。そういう考え方は思い過ごしであるとか、あるいはそれは誤解であるとか、法律をすなおに読まない的はずれの議論だと言われるかもしれませんが、第八条を今私がすなおに具体的に読んでみても、これはそれ以外に解釈のしようのない、そうなる規定じゃないか。とすれば、非常に政治的に一点にねらいを定めた特殊な立法だというふうにしか理解できないのですが、すなおに読めばそんなことはないと言うのであれば、その根拠をお示し願いたい。
  17. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 それは今日までしばしば申し上げておりまする通り、第四条に規定いたしておりまする通り、これは団体運動規制する法律ではないのであります。政治的暴力行為対象といたしておるのであります。ただいま何か団体活動それ自体が取り締まりの対象のように承ったのでありますけれども、私どもは立法する当時から政治的暴力行為そのものを対象といたしておるのでありまして、大衆的運動の中においても、政治的の主義、施策を推進するための示威運動集団運動規制されていないということは明らかであると思います。その政治的主義、施策を暴力行為手段として達しようとするところをわれわれは取り締まりの対象といたしておるのであります。たとい集団運動の中において傷害行為が行なわれるようなことがあったとしても、それ自身を手段としてやる場合でなければ、われわれはこの法律対象にならぬと考えておるのでありまして、どこまでも大衆団体活動対象として作った法律でないということを重ねて申し上げておきます。
  18. 坪野米男

    坪野委員 ちょっとピントのはずれた御答弁法律家としてはちょっと私は解せないのですが、第四条の政治的暴力行為、これはもちろんよく読めば集団的な政治的暴力行為を想定していることは明らかです。また条文体裁集団個人を問わないといいましても、しかしその点は後ほど質問するにしても、そういう政治的暴力行為規制することはわかっています。その政治的暴力行為を行なった個人規制するだけでは不十分だと民主社会党はお考えになって、政治的暴力行為団体として行なう団体をも規制しようというて規定されたのが第七条、第八条じゃありませんか。少なくとも第八条は団体活動制限という規定なんです。何も正当な労働運動をやっておるものが規制を受けるはずはもちろんございません。そんなことは当然のことであります。問題は、労働運動大衆運動から派出して起こってくる、ここに規定されておるような政治的暴力行為が行なわれた場合だけが対象になっておって、同じ団体活動としてでも、右翼のテロ団体団体活動としてテロ殺人をやったという場合には何ら団体規制をする規定がないじゃないかということを私は言っている。右翼が同じことをすれば別ですよ、集団行進公開集会の席上で人殺しをするという場合は適用はありますが、ちょっと普通考えられないじゃないか。そうすると、団体規制団体規制といっておりますが、結局殺人実行行為というものはあまり問題にしてなくて、教唆扇動、示威運動公開の席上でやる場合は比較的少ない。むしろ第二項の場合の比較的軽微なものの方が現実に適用されるということが想定される。それが悪質な方の団体規制はなくて軽微な方の団体規制だけがれいれいしく盛り込んであるのは、論理的におかしいではないか、それはおかしくないかと私はお聞きしている。
  19. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 先ほどの御質問の中にもありましたが、団体活動として現実に殺人行為が行なわれたという場合にそれを見のがすわけはないのでありまして、この場合はもっときつい解散規定を作っておりまして、決してこれは取り締まりをゆるがせにしておるわけではない。それから、先ほどしばしば申し上げております通り坪野委員の御心配になるような集団行動団体行動を決して制限するものではないということを重ねて申し上げておきます。
  20. 坪野米男

    坪野委員 第十条は、あなたもよくお読みになったと思うが、団体活動として政治的殺人をやるのでしょう。未遂の場合、教唆扇動の場合、それだけではだめなので、継続反復して将来さらに団体活動として政治的殺人またはその予備陰謀教唆扇動を行なう明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があるときと回りくどく書いてあります。要するに一回テロ殺人をやるだけではだめなので、もう一度やりそうだという場合に解散の指定を受けるわけなんです。そういう規定があるから、こっちの第八条のほかの団体は、こういう集団示威運動集団行進公開集会というものが制限を受けるけれども、ほかのもっと悪質な団体に対する規制は全然ここでは考えられておらないということでは、それなら第八条はテロ殺人規定じゃなしに今の集団示威運動をやったり集団行進をしたりあるいは公開集会の席上でやるような事犯を対象としたものだ、あるいは言論機関、機関紙誌等によって行なう行動だけを対象としたものだ、そういうように解釈をはっきり御説明になったらいいと思う。いかにこれが右翼団体をもねらうんだというようなごまかしの説明をしても、右翼団体をねらいようがないじゃないですか。何も規制のしようがない。右翼集団行進でうろうろ人殺しをして歩くのがありますかね。そういった右翼団体規制がない。だから私は団体規制は技術的にむずかしいと思う。私もずいぶん研究をしているんですよ。こういういいかげんな団体規制なら、あってもなくても同じだ。結局左翼労働運動その他の運動から派生して起こる団体規制する、しかも団体活動としてというこの解釈では、非常に疑義の多い乱用を招くおそれのある規定だから、われわれはおそれているんですよ。それをこの規定に執着されるということは、まことにどうかと思うのです。それを第八条は明らかに破防法——破防法は内乱、外患罪というような重大犯罪に対する団体規制、しかもこれは明らかに共産党規制です。特に公安調査庁のこういう予算の使い道を見たって、左翼団体に対して九割まで金を使っておるから明らかです。しかし第八条は、破防法の規定を引き移して、大衆運動の中で通常生じ得る派生的な暴力事犯、きのうもこの政防法に反対してそういったトラブルが起こっているわけですが、そういうものをねらっておるのだということを率直にお認めになったらいいと思う。右翼がやってもやるけれども、主としてそれを対象にしているんだ、そういう規定じゃないかということをお尋ねしている。もう一度一つ……。
  21. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 先ほどもしばしば申し上げておりまする通り、この法案を立案したという趣旨は、暴力行為を取り締まるという法律なのであります。ですから、われわれは正常な団体運動規制するものではない。これはもうわれわれ終始一貫した考えでありまして、われわれの取り締まりの対象暴力行為そのものであります。  それから解散の問題が出ましたけれども、これも団体活動として殺人を行なうような団体の存在は許すことはできません。ですからわれわれは、個人に対する死刑と申しますか、解散規定でありますから、団体を消滅させるというきびしい手段をとったのであります。これは破防法のまねごとをしたのではなくて、われわれの考えから生まれてきた規定であります。
  22. 林博

    ○林委員長代理 午前中の議事はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩をいたします。    午後零時一分休憩      ————◇—————    午後一時四十四分開議
  23. 池田清志

    池田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質問継続いたします。坪野米男君。
  24. 坪野米男

    坪野委員 午前に続いて質問いたします。  自民民社案のやはり第八条、団体活動制限規定について質問が中途で終わっておりましたので、続いてお尋ねしたいと思いますが、午前中に私が指摘いたしましたように、第八条の団体規制規定は、政治的暴力の中の最も重い殺人行為に対する規制という意味は非常に薄くて、逆に第二項に重点がかかっておって、大衆運動から派生する暴力事件対象とするのがねらいではないか。なるほど田中議員の御説明のように、正当な団体活動自体を規制するのではなしに、政治的暴力行為規制するのだと、これはもうこの法律目的からいって言うまでもないわけであります。政治的暴力行為規制することはこの目的に書いてある通りでありまして、問題は政治的暴力行為を行なった個人を処罰するだけではなしに、団体活動として行なわれた政治的暴力行為に対して、団体をも規制するのだということも、この自民民社案のねらいとするところでありますから、その団体規制について私はお尋ねしているのです。その団体規制のねらいは、右翼暴力団、右翼テロ団体をねらいとするものでなしに、労働組合その他の大衆運動の行き過ぎをねらったものじゃないかというように先ほどお尋ねしておったのですが、それに対するお答えは、いやこれは政治的暴力行為規制するものですというような的のはずれた、質問をそらしたお答えばかりをいただいておったわけであります。そこで同じ民主社会党提案者の一人である門司さんに少しその点明確なお答えを——いませんか。それでは田中さんでけっこうです。もう少し誠意のある御回答をいただきたいと思います。
  25. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 これは何度繰り返しても、私午前中から申し上げておるのですが、坪野委員はこの第八条を第八条だけこれを独立して御質問のようですけれども、第七条も団体規制に全然関係がないというわけではありませんので、この二項をごらんいただきますと、個人行為規制する条項にはなっておりまするけれども、個人がやった場合でも個人団体のためにする行為を禁止する命令は、この二項の終わりの方に書いてあります通り、当該団体に対して当該個人行為を禁止することを、命令と言っては語弊があるかもしれませんけれども、通告をするということになっておりますので、団体活動そのものに最重点を置いたのではないのでありまして、第七条をごらんになりますと、団体活動個人活動とが相重なってやっておるのでありますから、この点を御了解下さるならば、団体活動そのものを処罰することに重きを置いているとは考えないのであります。
  26. 坪野米男

    坪野委員 今のお答えも私の質問に対して的がはずれておると思うわけでありまして、法律論議でありまするから、やはり質問に対して焦点を合わしたお答えをいただきたいと思うわけです。なるほど第七条は団体のためにする行為の禁止という規定でありまして、第一、第八条と要件がずいぶん違うわけですね。これも法律家田中さんよくお読みいただいて、あるいは立案されて御承知だと思うのです。第七条、第八条、第十条、もちろん関係はございます。しかしそれぞれ構成要件といいますか、要件が違うわけでありますから、一緒にするわけにはいかないと思うのです。第七条の要件は非常にゆるやかな要件、第八条よりももっとゆるやかな要件になっておることは、読めばわかるわけであります。団体役職員または構成員が行なう行為であります。団体活動としてなす行為ではないわけです。その点でも、第七条と第八条とでは、要件が第七条の方が非常にゆるやかであって、第七条の方が適用の範囲が広い。第八条の場合は、労働運動その他の大衆運動には適用の余地がある、それが乱用される余地があるが、右翼暴力団体あるいは右翼テロ団体にはほとんど適用の余地のない条文だと思うのです。第七条の場合は、役職員または構成員の個人行為、それがただ当該団体活動に関して行なう行為、あるいは当該団体目的の実現に資するために行なう行為というように第八条よりもゆるやかな要件になっているわけです。そして行為の態様は、なるほど個人において行なう、自然人の行なう行為の態様は、第七条、第八条ほぼ同じでありますが、要件が緩和されているわけであります。しかも第七条は、団体に対する規制というよりも、その団体員である役職員または構成員の団体のための行為を禁止する。主としてはその構成員、役職員行為の禁止になっているわけです。私はそういう他の条文との比較を言っているわけじゃないのです。一つ一つ条文についてお尋ねしているわけです。第七条にも問題がございますが、今第八条だけをとらえて言っているわけです。第十条にももちろん解散の指定の規定がございます。これは団体活動として殺人実行行為未遂教唆扇動云々ということで、しかも条件がもっと厳重になっておりますから、第十条があるから、第八条はこれでいいのだということは、論理的に成り立たないわけで、問題は第八条のワク内だけで、この第八条は右翼殺人団体規制する法律ではないのじゃないかというお尋ねをしているわけです。
  27. 早川崇

    早川議員 坪野さんに大へん誤解があるのでありまして、たとえば第二項は左翼だけではないかという御質問ですが、とんでもないことだと私は思います。なぜなれば、第二号の当該行為はいかぬことになっておるのですが、御承知のように当該行為をやるのには、右翼団体——団体の名前を言うのは差し控えますけれども、傷害常習犯みたいなのがあるわけです。それから一つのデモ行進でちょっと行き過ぎの点があったらすぐ団体規制にかかるというような誤解を持っておられますが、かかりません。そうではなくて、これは団体活動として団体集団監禁をする。これは悪いことであります。集団監禁をする、あるいは強要、あるいは凶器を示したり、脅迫したり、団体活動として政治目的のためにそのことをやらす、これは悪いことであります。しかしこれが乱用に陥らないように、これは継続反復してやったという実績、これは破防法にありません。継続反復してやったという実績にさらに加うるに継続反復してやるというおそれと、ここまでしぼっておるわけでありますから、従って御心配の点は、たとえば国鉄労組の例をとりましょうか、三党交渉のときに、猪俣委員なんかが御心配いただいた点でございますけれども、労使関係の労働運動にはもちろんこれはかからないのであります。それからたとえば国鉄労組の一つのどこかの所属員が機関士を逮捕監禁したという例があるそうです。これは国鉄労組としては、団体活動として、団体行為としてやっているわけじゃないのです。しかもそれは労使関係の場合にはかからない。政治目的のためにやった場合には、その人が団体の職員としての活動制限されますけれども、これにはかからないのです。従って、そういう誤解がございますし、この二項も、御承知のように傷害というのは右翼団体が多いわけで、それから逮捕監禁することがいいということは、だれしも考えておらぬわけであります。従って、今言ったしぼりの上にありますから、単に左翼だけではない、右翼だけではないということは御了解願えるのだと思います。  それから第八条の第一項、これは実際テロ行為にはかからぬじゃないか。私は集団示威運動集団行進殺人をやるということは、将来起こり得るかもしれませんが、ほとんどないと思います。しかし殺人扇動したり、正当性主張したりするようなことは、機関紙とかいうようなものでかなりあると思うのです。こういうのができなくなるという効果は非常に多い。しかも、それを継続してやった場合には、おそれがある場合にはこうなるというわけでありますから、すらっとして読みますと、これは右翼左翼を問わず規定して、しかも非常にしぼっておりますから、実際には御心配になるように、デモ行進で団体員の一人がちょっと行き過ぎて、だれかを監禁したというだけではかからない規定であります。従ってこれはあくまで社会教育的効果をねらって、そういうものが何べんもやったらこうなるのだ、しかし何べんも継続反復して、さらに集団監禁をやる団体があるとすれば、たといそれが労働団体であろうと、四カ月程度はこういう制限を受けるのは当然のことであろうと私は思うのでございまして、その点一つ誤解のないように御了解いただきたいと思います。
  28. 坪野米男

    坪野委員 早川さんの御答弁ですが、やはり私の質問と少し御答弁の趣旨がずれておると思うのです。私は第八条の第一項、第二項が右翼団体規制に全然関係がないとは言っておらないわけで、主として労働組合その他の大衆団体、いうところの左右の暴力と言われるならば、左翼系政治的暴力行為を主としてねらったのじゃないかというお尋ねをしておるわけです。今、早川議員説明になった政治的殺人行為、第八条第一項の団体活動として行なう政治的殺人行為は非常に少ないと思いますが、かりにあるとして、けしからぬ行為でありますから、そういう団体活動としての政治的殺人行為自体は、まさか集団示威運動で禁止されては困る。これは右翼が主催するわけです。禁止される対象右翼団体、テロ殺人団体ですよ。左翼のやっている集団示威運動に飛び込んできて、そこで人殺しをして左翼の示威運動が六カ月間禁止される、これでは意味をなさないわけですから、そういうテロ殺人をやる団体が、示威運動をやるあるいは集団行進をやっておって、そこで人殺しをするということは通常あり得ないことだ。また右翼テロリスト団体がみずから開催した公開集会において人殺しをするということは通常考えられない。浅沼事件にしても、右翼団体主催ではない。ああいう公開集会で、団体としてやったかどうかは別として、行なわれている殺人行為なんであります。殺人正当性必要性主張といったことが機関紙等によって行なわれることは、これは右翼団体にもあり得ましょう。ですから、第八条第一項は、私が最初からお尋ねしておるように、テロ殺人という実行行為のテロ殺人団体活動規制するということは、きわめて例外的な場合、ほとんどわれわれの社会通念なり今までの経験法則から考えられない態様であって、主として殺人正当性必要性主張する言論活動あるいは教唆扇動する言論活動だけが第一項では対象になっておる。これは右翼左翼を問わないで、主として右翼対象としたものであろうとわれわれは推定しますが、集団示威運動集団行進公開集会においてなされる行動としては、もうそういったテロ、殺人を行なう団体じゃなしに、むしろより軽い段階の言論活動の方が団体規制対象になっている。いや実行行為をすれば第十条で解散するのだと田中さんはおっしゃいますけれども、第十条はただ刺しただけでは解散にならないわけです。団体活動として一回刺し殺しただけでは解散にならないので、もっと厳格な縛りがかかっておるわけです。ですから第八条だけの規定を見れば、団体活動として政治テロ殺人をやっても、ほとんどその団体に対する処分規定がないということになって、結局軽い方をねらっているんだということが解釈上出てくるわけです。それでむしろ第二項の方で、今早川さんは右翼団体だって傷害をやるとおっしゃいますが、これも殺人と同じでありまして、集団示威運動——安保における維新行動隊の行動はなるほど傷害行為でありましょうが、これは主催団体はむしろ安保反対派でありまして、右翼集団示威運動あるいは集団行進をやっておってそこで人を殺傷する、傷害するという場合は通常考えられない形態でありますから、結局傷害規定はむしろ集団示威運動集団行進公開集会で派生してくる軽微な傷害の方にあり得る。それは今までの過去の例からしてあり得る事案であるということであります。むしろ早川議員の言われるように、それはけしからぬ行為である、その通り決していい行為ではない。逮捕監禁あるいは強要暴力行為といった行為が、集団示威運動だとか集団行進あるいは公開集会——この公開集会を非常に広く解釈すれば、労働運動にも、政治的目的を持ってなされた場合には、やはりこの団体規制を受けるおそれは一応出てくるわけです。ですからこの第八条は、第二項に重点がある。しかもその第二項の中で、殺人傷害でない第四条第三号以下の政治的暴力行為が主としてねらわれておるという私の解釈は、あながちこじつけでないと思うのです。ですから早川議員の言われるような場合も、なるほど法律ですから条文の中には殺人も書いてございますということで、みずから主催した集会にだれか左翼の連中がもぐり込んできたから、それを刺し殺せといって団体活動として刺し殺すという行為もないとは言えませんけれども、そういった場合はきわめて例外的で、ほとんどそういった犯罪行為が行なわれる可能性は少ない。私は第八条はやはり大衆運動の行き過ぎをねらった団体規制法律ではないかということを繰り返しお尋ねしているのです。幾らお尋ねしてもそれ以上にはお答えいただけないということであれば、われわれはほかの良識ある第三者の意見を聞かなければならぬと思うのであります。重ねてもう一度その点を自民党の早川さんに伺いたい。法律解釈を具体的に、この法を適用する現実的な場面において考えるときには、やはりこれは右翼のテロ行為をねらったものじゃなしに、左翼集団的な行動から派生する政治的暴力行為対象とされたものじゃないかという私の質問に、一つ率直にお答えを願いたいと思うのです。
  29. 早川崇

    早川議員 坪野さんの言われる御趣旨はよくわかりました。坪野さんの言いたいのは、集団行進とか公開集会とか機関紙というような表に出たものだけの暴力行為をこれで制限しないで、非公開の場合でも、あるいは集団行動しない場合でも、そういう不心得者があったらこういう四カ月、六カ月と制限をすべきじゃないか、それがしてないから、むしろ左翼団体規制を受けるのじゃないかという御趣旨だろうと思います。そこで、一般の社会人にも明らかにオープンである新聞等にいろいろ行なわれておることが社会全体に及ぼす影響の大きさから、こういうふうにしぼったわけでありまして、公開集会において、右翼左翼を問わず、殺人扇動なんかやる場合があり得るのです。ですからそういうものはできなくなる。それから、第二項で、労働組合とかそういうデモとかいうのが、傷害は別にいたしまして、逮捕監禁とかいうものに影響があるという御心配はわかりますが、しかしこれはいいことじゃないのでありますから、継続反復して、しかも団体としての行為としてやるというしぼりをつけまして、健全なる労働組合運動の発展をこいねがうという気持から、そういう間違った団体活動ということは悪いことですから、こういう規定もやむを得ないと考えたわけでございます。私は三党会談の最終段階におきまして、社会党さんが共同提案という場合に、もし御懸念があるならば、こういう点も考慮してもいいと申し上げたことで、いかにその健全な労働組合をねらい打ちにしていないかという立法者の好意だけは、曲げて受け取らないで、純真に、フェアに一つ受け取っていただきたいということをお願い申し上げます。
  30. 坪野米男

    坪野委員 今の御説明ですが、自由民主党の方では、この種の団体規制があまり意味をなさない、それほど重要でないというお考えを立法の過程でお持ちになっておると漏れ承っておる。ところが民主社会主義の政党である民社党さんの方は、この団体規制が必要であり、かつこれが実行性を持ち、有効な規定だというように御主張になっておると承っておるのです。私としては、民主社会党さんがこれに固執される理由がよくわからないので、民社党さんに主としてお尋ねしておるのです。特に自民党さんの方では、団体規制の中から第二項に規定された種類の政治的暴力行為に対する団体規制をはずしてもいいというお考えを持っておられるということも新聞紙上で承りましたが、はずしてもいいとお考えになっているほどこの規定に問題があるのだ。社会党と共同提案になるならはずしてもいいという条件付のような表現になっておりますけれども、私は問題があるからこそ削っていいというお考えに傾いてきたのじゃないかと思うのです、私はこの団体規制はぜひ、できれば提案者が修正さるべき法案だと思うわけです。  そこで今早川さんは、語るに落ちるといいますか、行き過ぎた労働運動規制することに重点があるということを大体お認めになったようですが、私がこの条文がいけないと言うのは、団体活動としてもっと重いテロ殺人をやるとかその他の重い方の団体に対する規制がほとんどなされてなくて、軽い方——もちろんそれは犯罪行為でありますから悪いことには違いないが、軽い方の暴力行為に対する規制だけがことに規定されておるということが、法の公平とか均衡を失しておるのじゃないかということを質問しておるのです。その点公平を欠いておるというようにお考えにならなければこれもやむを得ませんが、だれが見ても、第八条は軽い方だけが団体規制対象にねらわれておる。第十条は別でありますが、少なくとも第八条は軽い方の行為が主として対象にねらわれておる。殺人教唆扇動はねらわれておるが、殺人行為自体については、一人一殺の主義を表向き掲げ、あるいは裏で掲げて動いておるテロ殺人団体団体活動に対する制限は、この規定からは何ら受けない。ここに不公平があるということを私は繰り返し言っているわけなのです。これ以上提案者お尋ねしても同じ答えしかいただけないということであればやむを得ません。  それでは一つ法務大臣並びに法務当局に、この第八条の団体規制する規定——第八条に限ってお尋ねするのですが、今たびたび、午前中から質問しておりまして、大体問題の所在はおわかりかと思いますが、こういう規定は非常に不合理な、均衡を失した規定ではないかと、これは公平に法律家の立場から見て私は強く感じておるわけなのでありまするが、この点について法務大臣及び法務当局の専門的な立場からどうお考えになっておるかということを、最初に法務大臣に一つお尋ねしたいと思います。
  31. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 私はけさほどからの質疑応答を承っておりまして、提案者の側から御説明がありましたような趣旨で、十分考慮を重ねてある条文である、こう考えます。しかし私もしろうとでございますから、その点さらに専門的な法律的な見地からの考え方が政府委員にあるかどうか。ありますれば補足させることにいたします。
  32. 關之

    ○關(之)政府委員 第八条の関連でありまするが、破防法を運用いたしました私どもの経験からしまして、この条文を拝見して一体どうなるかということについてお答えいたしたいと思います。  まず全体の構成につきましては、第八条は確かに団体制限に相なるかと思います。それから第七条の規定は、確かに第八条と別個に第七条という規定になっておりまするが、第七条の規定団体に対する処分の命令ということになっておりますので、やはりこれが同時に動いてくる、こう私は思うのであります。それでやはり第七条も団体のためにする個人行為を禁止するのでありますが、その禁止の命令を受ける主体は団体でありまして、第七条も第八条もそういう意味において団体の部分的制限ということになると思うのであります。そこで、第八条は一号、二号のこういうような場合だけでありまするが、それ以外の場合はこの第七条が動いて参る、こういうふうに私は解釈される。そういたしまして、結局そういう個人団体のためにする活動の禁止は団体が責任を負うわけでありまして、いずれのときにもその人を六カ月なり四カ月間の制限の範囲内で実際の活動を禁止する、こう解釈さるべきものと考えておるわけであります。
  33. 坪野米男

    坪野委員 關さんにお尋ねいたしますが、なるほど第八条の団体活動としてテロ殺人が行なわれた場合に、隠密裏にやられたような場合には、第八条の団体規制規定には該当しないことはおわかりですね。そういう場合でも第七条の適用がある、こういう御説明、なるほど「役職員又は構成員は」だから、団体活動としての場合と同じでしょう。この方がゆるやかですから、当該団体活動に関してやったり、目的を実現するためにテロ殺人をやれば、第七条にはもちろん触れますね。ですから、その場合には第七条の規制を受けて、役職員または構成員の行為者本人がその団体のための活動ができなくなる。団体も、その役職員または行為者本人を団体のために活動させてはならないという禁止の制限を受けるわけですね。だから、これは言うまでもないわけで、その方にかかるわけです。私の質問しているのはもちろんそうなるでしょう。第七条の制限には触れるでしょう。けれどもテロ殺人じゃなしに、もっと軽い方の集団示威運動集団行進の場面において殺人正当性必要性主張する場合とか、あるいは第二項になってきて、もっと軽い方で政治的暴力行為を行なったという場合には、これも第七条の規定にも触れますね。第八条の方が要件が狭まっていますから、第七条にもかかってくると思うのです。そういう場合には第七条で行為の禁止を受ける。と同時に、第八条で、その団体が行なう行為集団示威運動集団行進公開集会等の開催が禁止されるわけで、第八条は団体活動制限が第七条以上にさらに加重されるわけですね。私の不合理じゃないかという質問は、第八条の場合において、重い方のテロ殺人目的としていながら、団体活動としてテロ殺人を行なうような団体は、個々人が団体としての活動を禁止されるだけであって、団体自体は何らの規制を受けないところが、軽い方のこの公開集会集団行進集団示威運動は、大体左翼大衆運動がこういう形態の運動を行なうわけですが、こういう場合には、構成員が人殺しをしたりあるいはその他の暴力行為があれば、第七条の禁止制限を受けることはもちろんですが、第八条において団体自体がそういった制限を受けるおそれがあるだろうということなんです。従って、重い規定の場合に団体活動制限する規定がなくて、軽い方の場合だけが大体ここに規定されているというこの第八条の規定自体は、法律として非常に不合理な法律じゃないか、不合理でないとすれば、ねらいは、そういう軽微な方の第二項に重点を置かれたところの、大衆団体から派生する集団示威運動集団行進公開集会及び機関紙誌、これらの舞台における政治的暴力行為のみをねらった行為である、従って、ほとんど大部分が右翼テロ団体をねらったものでなしに、労働運動その他の大衆団体から派生する政治的暴力行為、軽い方の暴力行為を主としてねらった条文だということになると思うので、それならばそれとはっきりお答えいただいたらいいのです。これが一般的に政治的暴力行為団体規制であるとりっぱな銘を打たれる限りにおいては、均衡を失した不公平であり、不合理な条文ではなかろうかというお尋ねをしているのです。公安調査庁関係をやっておられるあなたにおいても、ねらいはどこにあるかということは、法律家ですから、条文をお読みになれば大体おわかりになると思うので、ねらいは私が言っていることがねらいではないだろうかということをお尋ねするわけです。
  34. 關之

    ○關(之)政府委員 第八条の一号、二号は、なるほど一号が集団示威運動であり、二号が機関紙誌等の出版活動になるわけであります。こういう行為をもって政治的暴力行為が行なわれたときには、それが禁止されることに相なると思うのであります。しかしこれは、お尋ね大衆運動と申しましょうか、あるいは左と右というふうにお考えになっているようでありますが、これは右も左も両方同じに適用されるものと私は思うのであります。結局これは第七条と第八条と、そうして第十条の規定でありますが、これは私実際に見ますると、第二条、第三条の運用から見ましても、総合的に必要な最小限度において運用するということに相なることになろうと思うのであります。そういたしますと、第八条が特に左の方の大衆運動ばかりをねらっておるというふうにはどうも解釈できないわけでありまして、第八条が動くときには第七条が必ず動いてくるわけであります。むしろ第七条は第十条の場合には完全に動かない。第十条の場合には完全なストップでありますから、第七条が動く余地はないのであります。そういたしますと、やはり全般として、この種の行為がそこに起こった場合には第七条と第八条が出て、部分的な団体活動制限が行なわれる、こういうことに相なると私は思うのであります。
  35. 坪野米男

    坪野委員 ちょっと三百代言的な答弁で、法律家の私は、論理的解釈としては承服しがたい。第七条、第十条との関連において、私も法律家の端くれとして幾らでも論じますよ。しかし、今の関さんの御答弁では承服できないと思うのです。なるほどここには右翼とか左翼とかは書いてありませんよ。しかし、第八条の処分行為——結論団体に対する処分でしょう。処分行為は、集団示威運動の場面だけ、集団行進の場面だけ、公開集会における場面だけ、それから機関紙誌における場合だけ、この四つの場合に限ってあること、これはどうですか、専門家としてお認めになりますか。
  36. 關之

    ○關(之)政府委員 それはお言葉通り一号、二号は、その四つの場合……。
  37. 坪野米男

    坪野委員 一号、二号しかありませんよ。三号、四号はどこにもないですよ。
  38. 關之

    ○關(之)政府委員 限ってあるわけであります。
  39. 坪野米男

    坪野委員 そこで第八条の第一項一号、二号、第二項一号、二号、いずれも行為の態様はこの四つの場合に限られておる。集団示威運動集団行進公開集会機関紙誌、この四つの場面において行なわれる。右翼左翼はもちろん問いません。この四つの場合における前段の行為対象になるわけであります。従ってこの四つの舞台における行為として第一項前段に書かれておるような殺人実行行為という一番重い犯罪行為行為の態様として通常行なわれる場合が多いか、あるいは機関紙誌における殺人ということは、これはとうてい考えられない、不可能なことでしょう。ですが、あとの正当性必要性主張とか、教唆扇動、そういうものだけがむしろ考えられる行為で、公衆の面前で殺人予備陰謀が行なわれるというととも、これは私ちょっと考え得られぬ。機関紙誌において予備陰謀が行なわれるということもちょっと考えられない。むしろ教唆扇動正当性必要性主張、そこだけがねらいのように思うのです。少なくとも第一項の場合、右翼左翼を言わずに、——だから、まずそういった四つの舞台における行為団体活動規制しているわけです。ですから、その場合に主として適用になる行為といえば、前段でいえば殺人正当性必要性主張、それから教唆扇動ということにほとんど尽きるのではないか。私たち法律を実際に運用する場合を想定して考えたらそうだと思う。その点あなた、お認めになれますか。
  40. 關之

    ○關(之)政府委員 この法案全体の構成を拝見いたしまして考えてみまするに、第十条の規定が最大の規制の方式になるわけであります。その規制の条件を拝見いたしますと、これは要するに殺人等の行為を行なった団体がさらに継続反復これを行なうというような条件のもとでなければ、解散まではいかないのであります。そういたしますと、この法案全体の考え方が、ただ一回やっただけとか、あるいはもう少し軽微な行為についてはもう少し軽い規制をする、その規制が第七条、第八条に表われているものというふうに私は考えるのであります。そういたしますと、この団体活動におきまして、第一項、第二項の場合以外の場合にはすべて第七条でいくのだ、第七条の個人行為をした役職員すべてを、団体に向かって、あなたの団体はこの人々にこの行為をさせてはいけないのだ、そういうふうな考え方のもとにこれは構成されているものである。そこで、これはどうも法律的な私の考えとして、第十条の最大の規制の措置というものを前提として考えてみますと、やはりその程度の措置が結社権の尊重の上から見て妥当なところではないかというふうに私は考える次第であります。
  41. 坪野米男

    坪野委員 その通りでありますが、一番重い第十条の規定に触れない場合には第八条、第七条のどちらかでくるわけですが、第八条にも触れない場合には第七条で全部くる、こういうわけですね。そうすると第七条より第八条の方が、第八条より第十条の方が重いというように考えていいわけですね、どうですか。
  42. 關之

    ○關(之)政府委員 拝見いたしまして、第十条は最も重い措置で、第八条と第七条は大体同列のものであろう、そういうふうに考えてよくはないかと私は思っておるのであります。
  43. 坪野米男

    坪野委員 第七条、第八条は同列のものだという考え方だと言われる。その通り認めておきましょう。で、その場合に、団体活動として隠密裏に一人一殺主義の綱領、方針に基づいて政治テロ殺人をやった場合には、団体としては第七条だけにかかって第八条にはかからない。団体活動としてやっても、第十条にかからない限り、団体としては何ら規制を受けない。ところが、公々然と、デモ運動の際に、集団行進の際に、軽微な政治的暴力行為、たとえば集団暴行——二人以上で人を突き飛ばして軽いけがをさせた、これもりっぱな傷害ですね。しかも複数だから暴力行為になるでしょう。まあ傷害でもいいですが、そういった軽微な政治的暴力行為団体活動として行なわれた場合には、当該構成員も、以後団体のための活動ができなくなる。第七条の制裁も受ける。同時に第八条によって、その団体自体が、その団体活動としてなされたものである限りは、そしてここの要件がかなえば、六カ月あるいは四カ月間示威運動ができなくなる、あるいは公開集会が開けなくなるというふうな制限を受けるわけです。ですから、軽微な方の団体政治的暴力行為の場合は、第七条、第八条と二重に制裁を受けるわけです。ところが、重い政治的殺人団体活動として、しかも隠密裏に行なう団体には、個人がその団体から排除される、その団体のための活動ができなくなるだけであって、団体自体は、解散の指定を受けない限りにおいては、何ら制裁を受けない。これが不合理じゃないかと私は聞いておるのです。あなたのおっしゃるような第七条、第十条の関連ぐらいは、私もよく承知しておりますが、これが不合理と思わないかというお尋ねをしておるのです。
  44. 關之

    ○關(之)政府委員 お尋ねの点は、そういうような御疑念の点も起こり得るかと私は思うのであります。しかし、この法案の構成が、やはり基礎的には第十条を前提として、その前段の処置はどうするかということが、法案全体の構成として出てくる問題だと私は思うのであります。それで、もちろん一号、二号の機関紙誌であるとか集団行進であるとかという形態で、いずれの形でも行なわれれば、それは一応六カ月ないし四カ月の制限を受ける。しかし、そういうことが全然外形的行為に現われていない、何らそういう形が現われず、ある行為として、たとえば、お話のあった殺人というようなことが、行為でなくて協議が行なわれたというような場合に、しからば、実際の運用といたしまして、その団体自身の禁止とか解散とかいうところまでいくことも、それは一つの方法かと思うのでありますが、この法案全体が、第十条の建前は、そこまでは——第一回は見のがしてやろう、第二回目からは、継続反復してやれば、規制を受けるぞ、そういう考え方でありますから、そういたしますと、やはりとらえ方としては、その構成員の活動を禁止するというこの規定が一番妥当であり、正確なものであり、そうして第八条などの現われた行為との比較におきまして、こういうとらえ方以外に、どうもとらえ方がないのじゃないかというように考える次第であります。
  45. 坪野米男

    坪野委員 なかなか的のはずれた——でも、私はあなたのそういう的のはずれた、論理の通らないような御回答をその通りは受け取っておらないわけで、第十条のことを盛んに援用されますが、第十条は第十条の規定で、これだけの要件がかなった場合に団体解散の指定を受けるという規定でありまして、第八条のこの種の団体活動制限を受ける対象は、私のお尋ねした部分だけではないか、それでは不合理ではないかという私のお尋ねに対するイエス、ノーのお答えがちっとも出てないじゃないですか。顧みて他を言うといいますが、第十条のことをそらしておっしゃっていますけれども、第八条自体の規定で不合理ではないかとお尋ねしている。第十条の方まで発展すればもちろん第十条で規制を受けることは、あなたに聞かないでもわかりきっています。あるいは第七条との関連もよく承知しております。
  46. 關之

    ○關(之)政府委員 これは言葉をまた繰り返すようなことになりますが、第七条、第八条と第十条とは、どういう規制をするかという考え方において、やはりすべて関連したものであり、しかも最後のこの法案の解釈考え方をきめる上において、一番基礎になるのは、やはり第十条の解散の条件と、そして解散した場合にどうなるか、その事前の段階にどうなるかということになりますれば、やはり第八条と第七条のこういうような規定が穏当なものである、私はこういうように、繰り返し申し上げる次第でありますが、考えている次第であります。
  47. 坪野米男

    坪野委員 官僚答弁というものを、私は初めて国会に出て聞いて感激いたしました。これ以上關さんに聞いても、ワクがはまっているとすれば、これもやむを得ないと思うのですが、自民党さんはやむを得ないと思うのです。しかし、少なくとも民主社会党さんは、こういう団体活動殺人を行なうような団体に対する規定と、集団示威運動集団行進公開集会等において行なわれるであろう通常の政治的暴力行為の場合とを分けて、通常行なわれるであろう方に対してのみこういった団体規制をされている、この条文は非常に不合理な、不公平な規定で、このねらいはずばりそのもの労働運動大衆運動に対する規制だ、そこから派生して生ずる政治的暴力行為に対する規制だ、そしてテロ殺人団体に対する規制は第十条しかないのだ、第七条しかないのだということだけははっきりしたと思うのです。どうですか、それを關さん一つ……。
  48. 關之

    ○關(之)政府委員 お尋ね個人のテロの問題が、殺人に関する行為が第八条の一号、二号という関係に現われてこなければならぬのだ、さらに発展して第十条にいく、こういうふうになろうと思うのです。結局行為がそういうその類型だけをとらえておりますから、そういうことに相なることはもちろんと思います。
  49. 坪野米男

    坪野委員 そういうように相なるこの第八条の規定を、不合理にお思いになるかどうか、もう一度聞いておきましょう。
  50. 關之

    ○關(之)政府委員 私はしばしば御説明申し上げておりますように、第十条との関連において、その事前の段階の団体活動制限という点は、やはりこういうふうなところが妥当なものである、こういうふうに繰り返し申し上げざるを得ないのであります。
  51. 坪野米男

    坪野委員 公安調査庁は破防法の担当官庁で、こういった団体規制の権限が拡張されることは大いに望ましいことであろうと思うので、これ以上お尋ねしませんが、もっと純粋な刑罰法令の分野において、もちろん警察の立場でしょうけれども、この団体規制条文が、法律家の合理的な理性から判断して、やはり均衡を失しているのじゃないか、刑罰ではないけれども、均衡を失しているのじゃないかというたびたびのお尋ねに対して、法務省の刑事局長の御見解を参考に一つ承っておきたいと思います。
  52. 竹内壽平

    ○竹内政府委員 私の考えを申し上げますと、第八条はとにかく表に行動が出ている場合の規制措置でございまして、表に出ておる場合といたしますと、集団示威運動とか、集団行進公開集会あとは機関紙誌、それ以外に何かほかに表に外部的にだれにも見得る状態において、そういう事故が起こる場合があり得るであろうかどうかという点を考えてみますと、やはり立法技術的に申しますと、こういう規定にならざるを得ないのじゃないだろうかというふうに私は考えるものでございます。そういたしますと、今の第七条、第八条、第十条という一連の関係を見ますと、第七条は個人行為、第八条は表に現われておる行為、第十条は殺人という非常に重い行為、こういうふうに系列的に並ぶのでございまして、やはりいい悪いの評価はいろいろございましょうけれども、考え得る立法技術としては、こういう措置をとらざるを得ないのじゃないだろうかというのが私の意見でございます。
  53. 坪野米男

    坪野委員 ですから第八条は、これを読めば、今言うた集団示威運動、ここに書かれた四つの場面において発生するであろう政治的暴力行為が、具体的に団体規制対象として想定されておる。従ってこういう席上でテロ殺人が行なわれるということは通常あり得ない。立法技術的にそれも入れておかなければ、もしそういうばか者が生じたときに、規制の方法がないということでも困るから、みずから開催した集団示威運動の席上で、公々然と人殺しが行なわれた場合も想定して書かれておる。立法技術的に書いてあるけれども、通常そういうことはあり得ないので、主たるねらいはこの四つの場面における政治的暴力行為規制対象とされておるということは、この規定の当然の解釈として出てくるという見解に対してはどうでございますか。
  54. 竹内壽平

    ○竹内政府委員 ただいまの御意見に私も大体同意見でございますが、この一号の方の公開集会ということ、これは現実に事件もあったわけでございます。二号の方は機関紙誌でございまして、機関紙誌にそういうことを書くというようなことから、とにかく目に触れる状態のものをとらえてみると、こういうようなものが一応考えられる、またこれ以外には考える余地があるかどうか、私はこれは立法技術的に見て整った形で、やむを得なければやむを得ないのでありますが、妥当な立法措置じゃないかというふうに考えております。
  55. 坪野米男

    坪野委員 公開集会において行なわれた例があるというが、それはどういう例でございますか。具体的に例があったらお教えを願いたいと思います。テロ殺人公開集会において行なわれた具体的事例というのをお教え願いたい。
  56. 竹内壽平

    ○竹内政府委員 私が公開集会と申しましたのは、浅沼事件であるとか、そういうものを頭において申したのであります。
  57. 坪野米男

    坪野委員 浅沼事件は、この条文のどこにも触れてこないと思うのです。都の選管その他何か主催の団体公開の席上で刺されておりますが、団体行為としてやったかどうかは別といたしまして、都の選管がテロ殺人団体であればこれはやむを得ませんが、右翼団体団体行動としてやった場合に、その公開集会において行なわれた場合に、公開集会を行なうことを禁止するという場合に、これはおそらく主催者が右翼なら右翼、左右を問わず、テロ団体が主催した公開集会において、その団体活動として殺人が行なわれた場合に、今後六カ月間その殺人団体には公開集会を禁止するという提案だろうと思うのですが、そうではないのでしょうか。
  58. 竹内壽平

    ○竹内政府委員 私の申し上げ方が悪かったのですが、浅沼事件がぴたりこの一号に当たるという意味じゃなくて、ああいう公開の席上においても、テロ行為が行なわれた。あの事件はもちろん御指摘の通りこれには当たらないわけでございます。そういう表の公開の場で行なわれる場合として考えられるケースをここにあげたものだと思うわけであります。
  59. 坪野米男

    坪野委員 そういう例をお示しになれないということは、通常はあり得ないということですね。ないことはないでしょう。右翼団体が主催した団体公開の席上で、右翼団体団体活動として人殺しをするということはないとは言えませんよ。しかし現実にそういったことがあまり起こり得るとは考えられないし、また現に起こっておらない公開集会という限りにおいては、それは例はありましたよ。しかしその団体規制さるべき、取り締まりの対象となるべき集会で、今後の集会を禁止するというような場合は、ちょっと通常の例としては想定できないと思う。だから、これは殺人をねらっているのじゃなしに、それ以外の教唆扇動正当性必要性主張、また第二項においても、通常大衆運動が公然と行なわれる場合をねらっているのじゃないか。大体お認めになっておるようですが、その殺人行為だけはちょっと刑事局長は勘違いをなさっていると思うのです。いかにこの団体規制が法的にも立法技術的にもずさんなものであり、またそのねらいがいかに左翼大衆運動労働運動から発生する政治的暴力行為規制に重きを置いているかということは、もう十分これで明らかになったと思うので、これ以上この点については質問することはやめます。  そこで次にお尋ねしたいのは、この第八条であります。まず田中さんにお尋ねしたいと思いますが、この団体行動として殺人その他の行為を行なって、「継続又は反覆して」と、こう書いてあります。非常にこまかい議論になりますが、「継続」と「反覆」とどう違うのか、それを一つ
  60. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 同じようなふうにとれますけれども、「継続」ということは行為者において継続してやるという意思を必要といたします。「反覆」ということも、これは行為が重なるわけでありますけれども、そこまで意思がいかなくとも、やはり同一の行為を繰り返えしてやるということですから、まあ大体においてそう違いはないと思います。
  61. 坪野米男

    坪野委員 「継続又は」とありますから「継続」と「反覆」と違うのかと思って、「継続」は続ける「反覆」は繰り返えすこういうことで——具体的に一つ、第一号だけに限って、殺人行為の「継続」と「反覆」とどう違うのかということをもうちょっと御説明願いたいと思います。
  62. 早川崇

    早川議員 「継続」は、その行為の間に間隔がないということを「継続」と言います。「反覆」というのは行為の間に間隔があるということは字の通りであります。
  63. 坪野米男

    坪野委員 早川さん、それは間違いございませんか。それでは殺人行為継続というのはどういうことですか、殺人の実力行為継続ということがありますか。
  64. 早川崇

    早川議員 これは字の通りでありまして、常識的な判断によりまして、「継続」というのは比較的連続している、「反覆」というのは若干の期間を置いているということは、字引にもそう書いてございます。われわれはさように考えておりますから、専門当局から一つお聞き願います。
  65. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 ちょっと関連——提案者の間で意見の全然違う説明をせられては困る。今、田中さんの説明によると、「継続」というのは、起こる事件の間にその行為する者の意思が加わっている。すなわちそこには一貫した意思が流れているものだ、行為者の側の意思の連続がある。ところが「反覆」というのは、そういう意思の点を除いて、事実が客観的に重ねられていく場合を言うのだという説明があった。これは非常に重要なことです。というのは、これは一つの構成要件でしょう。構成要件の中の客観的事実だけを問題にするのか、その客観的事実を貫いている行為者の意思を問題にするのかということは、これが処罰規定あるいは団体規制にからみますだけに重要な問題です。ところが早川さんは両方と竜行為者の意思を捨象して、問題にせずに、ただ事実の客観的に起こっていく態様の違いとして説明されているわけです。これは全然違いますよ。そんなずさんな説明をおふた方がかわりばんこになさって、どっちをとったらいいのか、これはお互いに御相談なさって、ちゃんと意思の統一をしていただかなくてはなりません。少しこれは刑罰法規なりあるいは団体規制に関する法規なりの本質を知っておる人ならば、これは重大問題だということを認識なさるはずです。少しずさんにすぎはしませんか。お答え願いましょう。
  66. 早川崇

    早川議員 決して田中君と変わっておらないのでありまして、当然意思の継続はあるわけなんで、「継続」にも「反覆」にもあるということは、田中君が言われたようなことでございます。ただその客観的な態様は、今言ったように、「継続」というのは続けてやるということで、それを二つ合わせたのが正しい回答でしょう。別に矛盾はいたしておりません。
  67. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 またあなた違っていますよ。田中さんは「継続」には意思の点が問題になる、「反覆」というのは単なる事実が客観的に重なっていくという事実の生起する態様について言ったんだ、こっちには意思を論じ、こっちには意思を論じないというところに、区別の重点をおっしゃった。速記録を調べなさい。ところが田中さんは両方に意思の点を問題にしているとおっしゃった。田中さんの話をあなたよく聞いていらっしゃい。違いますよ。速記録を見てごらんなさい。そういうふうにもう一度答弁をされる中でももう違ってくる。そういうことでこの法案についての責任ある説明なんか一体できるのですか。大体この問題は、刑法なり処罰法規の基本的な問題に触れますけれども、犯罪の構成要件あるいは規制のための構成要件の重点じゃないですか。しかもあなたはわざわざ本会議において、特にこのことを強調していらっしゃる。いいですか、読んでみましょうか。「団体活動制限については、破壊活動防止法による団体活動制限よりさらに条件を重くいたしました。すなわち、殺人以外の政治的暴力行為の場合には、ある団体継続または反復して政治的暴力行為を行ない、将来さらに継続または反復して政治的暴力行為を行なう明らかなおそれがある場合に限定いたしたのであります。すなわち、ある意味においては、政治的暴力行為を行なう常習性のある団体に対し、」こういうふうにあなたは特に本会議でこの「継続又は反覆」という条件を付したことを誇らしげに説明なすっていらっしゃるわけです。この一番重点だとおっしゃる部分についておふた方の意見がてんで違う。こういうことを指摘いたしますと、いや違わないといって、てんで勘違いなことをおっしゃる。そんな無責任なことでいいでしょうか。やはり本会議できちっとあなたがこの法案の特徴だと御説明になった以上、この「継続又は反覆」ということについて、民社と自民と双方がいささかのゆるぎもない一致した見解を示していただかなければなりません。同時に、この問題は非常に重要なものでありますから、ここできちっとした、将来の学界の討論あるいは現実にこれが実施せられる場合を考えて、ゆるぎない精密な定義を下していただかない限り、何にもならないのです。そういういいかげんなことをなすって、そうしてこれをあいまいにしておくことによって、なきに帰するような適用が行なわれることをあなた方立法者としては考えなければならぬでしょう。これをいいかげんにしておきますと、実施官庁はこれをなきものに帰するような解釈をいたしますよ。判例を御存じでしょう。賭博その他の常習性について、ただの一回しか行なわれなくとも、その中に反復継続する可能性があり、常習性を認定せられる場合には、ただの一回といえども常習性を認定するのには何らの差しつかえがないという判例がたくさんころがっていますよ。あなたはこれを重要な条件となすった。だがしかし、今ここであいまいに、しかも御両氏の意見が違うような形で過ごしますと、ただの一回起こった事件についても、反復または継続性を認定するにいささかも差しつかえないという解釈のもとにずばりやられてしまいますよ。その点もう少し責任をとっていただきたいと思います。どうぞ一つお二方で御相談下さい。
  68. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 私が申し上げたのは、今飛鳥田委員がおっしゃった通りですが、この反復の方も全然意思が要らないというわけではないと私は思います。だから同じような意味のことを先ほど——記録をちょっとごらん願いたいと思いますが、大体同じような意味のことだということを最後に申し上げたと思っております。これは刑法にも、御承知通り、連続犯という言葉もありますが、ただ間隔的にぽつんぽつんと起こっただけでは、「継続又は反覆」ということにはならない、こういうふうに考えております。
  69. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 これは重大なことですから、一つほんのわずかな時間でけっこうですから、御相談をいただいて、統一解釈を下しておいていただきませんと、先へいって大きな問題になります。どうぞそういうことを私はお願いいたします。委員長お取り計らい下さい。
  70. 池田清志

    池田委員長 休憩ではありませんが、大事なことでございますから、早川田中両君で御相談を願います。
  71. 早川崇

    早川議員 法律的、技術的な問題になりましたので、法制局の第二部長からの御意見を一応御参考のために答弁させます。   〔提案者から……「そんなことを人に聞いて答えるようなことではだめです」と呼び、その他発言する者あり〕
  72. 池田清志

    池田委員長 早川田中両君御相談されたそうですから、御返事を求めます。
  73. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 それでは簡単に申し上げます。  「継続」とは、意思を連続いたしまして同質の行為を行なうことであります。「反覆」とは、意思の継続はないが、時間的間隔を置いて行為を繰り返すことであります。先ほど私は、「継続」の方は意思を連続してと申しました。それから「反覆」の方は意思はないけれどもやはり同じようなことだとあいまいなことを申し上げましたが、その意味は短時間に同一のことを反復繰り返すことでありますから、やはり逆に考えまして、結果から見まして、そういう意思が隠されていないと繰り返すようなことがないというようなことを考えまして、全然意思がないわけではないと、こう申し上げたのでありますけれども、ただいまのこの解釈は前の破壊活動防止法のときにも政府答弁としてこれが残されておるようでありますから、かように解釈を申し上げる次第であります。
  74. 早川崇

    早川議員 田中君の通りです。
  75. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 今の弁答について、そういたしますと「継続」とは意思の連続が要素であり、「反覆」は意思の連続を要素とせずしてただ時間的に行為が連続をする場合、こういうふうなかなり明確な答弁がありました。するとここで「又は」と書いてあるのですから、いずれか一つでいいわけですね。継続している場合、さらにはそれでなければ反復をしている場合、いずれかでいいわけですね、一つの要件が充足されれば。もしそうだとすると、これは一つ規制規定でありますから罰則ではありませんが、しかしそれに準じて考えていい場合だろう、こう私は思うわけです。活動する団体それ自身に意思の継続がない単なる反復だという場合に、反復だということだけをもってしてこういう規制をやるのは、少し過酷じゃないでしょうか。意思の継続があればこそ規制が行ない得るのであって、意思の継続なしで、ただ偶発的にそういう行為反復したというだけでこういう規制をあえてするということは、非常に過酷のように思われるのですが、そういう点は田中先生いかがでしょうか。
  76. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 これは「団体活動として」という制約がありますから、団体を離れて客観的に各個の行為反復されることはこの中に入らないと思います。だから団体活動としてやるのですから、やはり行為をするには犯意と言いまするか、団体活動としてやるのでありますから、やはり団体活動を離れては行為はあり得ないのでありますから、御心配のように非常に広がっていくというおそれはないと存ずるのであります。
  77. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 多分そうお答えになるだろうと思って聞いたのですが、そうなりますと、反復というものは意思の継続がないとは言えないんじゃないでしょうか。団体活動として行なうというのは意思行為だと思うのですが、無意識行為というものは団体活動の中にはございますまい。無意識な行為というものはございますまい。そうすると団体活動という限り、一個の意識的な行為のはずです。意思行為です。そうだとすれば、意思を除外した反復という概念は出てこないんじゃないでしょうか。その辺のことを私は非常に疑問に思いますので、最初に伺い始めたわけです。どうなんでしょうか。行為する主体は意識的に行なうんですよ。活動として行なうのですから、運動方針なりあるいはその団体が掲げている政治目標に従って行動する。そうしてその意思行為の現われとして集団示威行進が行なわれるわけです。何らの意思を表示しない、何らの計画を持たない集団示威行進なんというものはないわけでしょう。そうでしょう。そうだとすれば、団体活動として行なう限り、そこには持続的な意思というものを問題にしなければならぬのです。そういう場合に、御説明のように、時間的な継続だけの問題であって、そこには意思的な連続を必要としない。こういう反復という文字をお使いになることは矛盾じゃないでしょうか。むしろこの場合破防法からなど密輸入をなさらずに、継続と、こういうふうにおっしゃるか、あるいはもっと率直に常習性という言葉をお使いになるか、いずれかにすることが明白なんじゃないでしょうか。概念の混淆を法の中に許しておくわけにいかぬでしょう。
  78. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 これは破防法から密輸入なり窃盗したのではないのでありまして、これは民事法ですけれども、「継続又は反覆」ということは、商法の第五十八条の解散命令を裁判所が出すというときにも、この言葉は使われておるのであります。こちらは刑法でありますから、全然同一かどうかは申せませんけれども、言葉としては初めて破防法からとったのではないのでありまして、こういう言葉はすでにあるのであります。  それから、先ほどの反復行為も、団体活動としてやるという意思がある以上は、反復行為にも意思が必要なのではないかという御質問であります。この行為を重ねて反復継続するということは、これは犯罪の成立の客観的条件であると思います。御承知のように、犯罪の成立にはこの客観的条件のほかに犯意というものを必要とするのでありまして、この場合の反復継続という行為の積み重ねということは客観的条件でありますから、別に犯意を必要とするのであります。その犯意を論ずる場合に、その中に必要とするかしないかという問題は、犯罪を犯す意思を、いわゆる主観的条件を作るときにこれは必要でありまして、今の場合は単に客観的条件の積み重ねということだけに限っておると存ずるのであります。
  79. 坪野米男

    坪野委員 「継続又は反覆して、」という今の説明を承りましたが、具体的の場合にこれは問題になってくる。私の見解では、「継続又は反覆して、」これは商法第五十八条の規定にありますが、継続してというのは必要じゃないんじゃないかという考え方を持っているのです。反復だけで十分じゃないか。継続犯という概念があとに出てきますし、継続犯の場合は一個の犯罪ですから、そういう継続してという概念は私はちょっと解せない。というのは、私はこれでやられる場合のことを考えていますから、あとの具体的適用の場合のことを考えお尋ねしているのですよ。  一応そう伺っておきますが、その「継続又は反覆して将来さらに団体活動として政治的暴力行為を行なう明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があるときは、」これは重要な構成要件ですが、ここでお尋ねしたいのは、「政治的暴力行為を行なう明らかなおそれ」というその「政治的暴力行為」というのは、どういう行為をさすのかということをお尋ねいたします。条文その他でお示しを願いたいと思います。
  80. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 「政治的暴力行為」というのは、この法案の第四条に定義をいたしておりまして、一号から八号までを政治的暴力と定義をいたしておるのであります。
  81. 坪野米男

    坪野委員 第四条の一号から八号までのうちの一部修正になっている部分を除くわけですね。第六号国会乱入というだけを除いた……。
  82. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 そうです。
  83. 坪野米男

    坪野委員 そうだろうと思うのですが、そこでお尋ねするのは、第八条の、最初団体活動として殺人等の行為を行なうわけですね。まず殺人未遂までを行なった団体が、今度は「政治的暴力行為」は殺人行為でなくてもいいわけですね。集団暴行その他の軽微な政治的暴力行為も含まれているわけですね。ですから一度殺人あるいは殺人教唆、あるいは正当性主張をした団体は、次には政治的殺人行為、その類似行為と異質の、他の軽微な政治的暴力行為を行なうおそれがあった場合にでも、こういう制裁を受ける、こういうことになるわけですか。
  84. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 それは政治的暴力行為をここに規定しておりますから、この法案においてはやはりこの政治的暴力行為と定義づけられた行為継続もしくは反復ということになると思います。
  85. 坪野米男

    坪野委員 そうしますと、結局一度政治的殺人等の行為をやった団体は、次には団体活動として軽微な政治的暴力行為を行なうおそれがあれば、第八条第一項なら第一項、第二項なら第二項の規定の適用を受ける、こういうことになるわけですね。!そこで、そうなりますと異質のものですが、「継続又は反覆して将来さらに」という「継続又は反覆して」というのは、どちらにかかるのですか。
  86. 早川崇

    早川議員 第八条の第二項について御説明すると非常にわかりやすいと思いますが、第二項の場合に、「継続又は反覆して」ということに関しましては、たとえば集団監禁と強要罪と二つありますね。最初集団監禁という政治暴力行為をやった、しばらく間隔をおきまして強要という、これは軽微なといいますけれども、非常に重い犯罪でございまして、これをやって、そしてさらにいわゆるその団体が将来さらに継続反復してそういうことをやるおそれがあると、いわば政治暴力常習犯というような性格化した団体になった場合には、こういうようになる、こういう立法の趣旨でございます。
  87. 坪野米男

    坪野委員 早川さん、これを作られた人がおそらく意識せずに、こういう非常にずさんなものになったと思うのですが、第一項と第二項とでは規定体裁が全然違いますよ。あなたがおっしゃる通り、第二項の方が厳重に縛ってある、こういわれるのです。第一項は団体活動として政治的殺人行為その他の行為をまず行なうわけですね。継続反復せずに、一回行なうわけです。その団体継続または反復してというのは、その殺人行為継続してという意味にとるのか、あるいは一度あったその殺人行為を繰り返して、今度また二度目に政治的暴力行為たる政治的殺人行為を行なう場合を含むという解釈なのか、そうじゃなしに、一回限りの政治的殺人行為等を行なった団体が、「継続又は反覆して将来」と上に書いてありますけれども、これは将来さらに継続または反復してというように読むべきなのか、すなわち一回限りの殺人行為をやったが、将来もう殺人は一切しませんが、政治的暴力行為の相対的に一番軽い行為継続して、同種のものを継続して、あるいは反復もおそらく同種のものをいうのだろうと思うのですが、そういうものを反復してやる、そういうおそれがある場合だけをいうのか。前に一ぺんあれば、次にやればもうそれが継続になるのか、将来継続する、反復するおそれがあるというのかという、そこの厳密な解釈がほしいのです。というのは、第二項の場合には、最初継続反復してやっておる行為があって、将来もまた継続反復してやっておる、こういうように書いてあるわけです。ですから条文から見れば、最初の一回殺人行為継続反復と一応遮断されている、点も打ってありますから、こう解釈できるので、そこのところをはっきりしておかないと、二回目の殺人行為を行なうおそれがある場合に、これが適用を受けるのか、三回目でなければ、少なくともあと二回以上の可能性がなければ適用にならないのかどうか、これは厳密に伺っておかなくちゃいかぬところだと思うのです。それを聞いておるわけです。
  88. 早川崇

    早川議員 第八条第一項の場合には殺人関連する行為を一回だけやった、それから将来継続または反復してやる政治的暴力行為というのは殺人関連事項に限りません。殺人関連事項でありました場合には、第十条によって解散という重い罰があるわけですね。団体制限の最大限の罰があるわけです。従って、六カ月の団体活動制限の場合には、ここに書いてある通りでありまして、政治的暴力行為、すなわち殺人以外のものでもいい、こう解釈すべきものと私考えております。
  89. 坪野米男

    坪野委員 私の質問に対するお答えになっておりません。はずれております。私の尋ねているのは、一回殺人行為を行なう、その行為は連続反復の中に含まれるかどうかということは、もちろん第十条とも関連してですよ。関連して、一回はこれは別ワクなんだ、点が打ってあって、それ以後さらに将来継続または反復して行なうおそれがある場合だけがかかるのか、最初に一ぺんやっているじゃないか、だから次にやるおそれがあれば、これは殺人行為としては連続するんで、第八条、第十条同様ですよ。こういう場合も構成要件の中に加わるのかどうかを聞いているのです。ですから、とにかく第八条第一項は、一回殺人実行行為をやり、そして継続または反復して、将来の団体活動として殺人をやろうと、おそらくこの第八条は殺人行為は除外されておると私は見ているのです。殺人以外の政治的暴力行為の繰り返しを考えていると思うのですが、最初行為は連続継続の中に入ると解すべきか、あるいはそれはもう除外されると解すべきかということをお尋ねしているのです。
  90. 早川崇

    早川議員 最初行為も含めて、継続または連続というように解釈すべきものと思います。
  91. 坪野米男

    坪野委員 そうすると、これはちょっと日本語がわからなくなりますよ。団体活動として殺人等の行為を行なった団体がと、こうあって、継続または反復して将来さらにというのは、最初殺人行為も含めて継続反復すると、こういうように解釈すべきだと、こういうことですね。文章から読むと、そうは読めないわけです。というのは、第二項の場合に、団体活動として、継続または反覆して傷害以下の行為をやり、そしてさらに継続または反復して将来そういった暴力行為を行なうおそれがある、こういうように文字の解釈として読めるわけですが、今の早川さんの御説明だと、一回殺人あるいは殺人教唆扇動をやれば、次にどういうおそれがあるという認定が一番問題になるのですが、そういった認定をされた場合には、軽微なものであっても、第八条第一項の規定規制を受ける、こういうように読めるわけです。これは文理解釈としては、私はちょっとそういう解釈にはならないと思うのです。
  92. 早川崇

    早川議員 第二項もそうなんですよ。第二項も同じことなんです。第八条の第二項も同じことで、継続または反復というのは、前の行為を続けていくというおそれがあるというわけですから、第一項も第二項も解釈上は相違はございません。
  93. 赤松勇

    赤松委員 議事進行——公安調査庁の次長、關君というのか、これは質疑の関係で呼んだのだけれども、先ほどから見ていると、盛んにあそこで答弁についていろいろ入れ知恵しているが、これは議員立法なんです。衆議院の法制局が来て、法制局の意見を聞くのなら、これはもう幾ら時間をかけてもいいし、なんぼ聞いてもいい。それでもって答弁をしてもらうというのならけっこうなんだけれども、公安調査庁の次長がうしろで入れ知恵しているというのはけしからぬ。議員立法の趣旨に反するから、やはり衆議院の法制局と十分打ち合わせをしながらやるのなら、その点は意地悪くいわないから、時間をとっていいから、十分意見を聞いてやるようにしてもらいたい。公安調査庁は要らないから、君、帰れ。
  94. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 やはりそのことは、委員長の方から、列席せられておる政府関係の方に一応御注意をいただきたいと思います。そうでなければ、どんなに公安調査庁がこの法案の成立に熱心になっているかということが、ここではしなくもはっきりいたしてしまったわけですよ。そういうふうに、この法案の性格を物語るようなことが現われるということは、委員長としても、この委員会の運営について好ましいものだとはお思いにならないでしょうから、どうぞ一つ委員長の方から正式に、各列席の政府の方々に御注意をいただきたいと思います。これは私のお願いです。
  95. 池田清志

    池田委員長 申し上げます。質問者におかれましても、質問者の御要求によって、提案者並びに政府委員に来てもらっております。従いまして、具体的に關次長の問題ですが、質問者の中には、關次長に対する質問者はございませんか。   〔「本日はなし」と呼ぶ者あり〕
  96. 池田清志

    池田委員長 なお質問者におかれましても、赤松君が言われましたように、衆議院の法制当局にも質問されるようにお願いを申し上げましょう。
  97. 坪野米男

    坪野委員 今の早川さんの解釈は非常に拡張解釈になるおそれがある。そういうところに、はしなくも立法者の段階において、そういう拡張解釈のおそれが出てきたと私は憂えるわけですが、第八条をすなおに読めば、団体活動として殺人等の行為を行った「団体が、」というところに点があって、「継続又は反覆して」というところに一つ点があるとそうも読めるのですが、将来またさらに継続反復してと読むべきではないかと私は理解しておる。というのは、第二項の場合は、継続または反復してこれらの行為をやるのだ、そして次に将来継続または反復してやるおそれがあるという、こういうように私は解釈すべきではないかと思うのですが、今のような解釈にまで拡張されるというのが、この法律の客観的な解釈として正しいかどうかということを、立法者というか、提案者並びに法制局の御意見を聞かしてもらいたい。
  98. 川口頼好

    ○川口法制局参事 坪野先生がおっしゃいましたように、今の読み方でございますが、私は結論は先ほど早川先生がお述べになった通りでけっこうだと思いますが、ただもし坪野先生の御発言の趣旨のように、その点を特に強調してその意味を表わそうというのでありましたならば、「将来」という字をむしろ上の方に書きまして、そして「継続又は反覆して」という字を入れたら、それはおそらくは坪野先生の御主張のようにはっきりするだろうと思います。しかしこの本文は順序が逆でございまして、すでに行なった行為との継続性というふうに読めると思うのであります。
  99. 坪野米男

    坪野委員 そう読もうと思えば読める。私のように読もうと思えば「将来」を上にくっつけた方がはっきりするわけですが、私は早川議員の提案理由の説明等を聞いておって、そのように縛ってあるんだということで安心をしておったわけです。ところが今法制当局が解釈されたように読まなければならない、そう読む立法趣旨だということであれば、相当この団体規制がきびしくなってくるという意味で、もう少しこの「継続」「反覆」という概念について厳密に解釈お尋ねしたいと思うわけです。殺人その他の行為をやった団体継続してというこの継続というのは、意思の連続という——継続犯という言葉の中に入るでしょうが、殺人その他の行為が、犯罪の罪質にも関連しますが、一つ終わりまして、続いて行なわれておる、一つ行為として完結せずに連続して行なわれているという場合には、それは一個の行為になるだろうと思うのですが、一度完結して次にまた継続の意思を持って同じような行為が繰り返されるという場合の継続としてという概念なんですが、その場合の継続の意思と、それから時間の間隔を一体どういうように理解すればいいのか。それから「反覆して」という場合の時間的間隔はどういうように理解すればいいのかということ、それから同質の云々ということを言われたのですが、政治的暴力行為といえば、殺人以外の方が類型がたくさんあるわけですから、異質の場合が多いので、そういう場合は、初め田中委員説明では、異質の場合には反覆だ、同質の行為の場合が継続だ、こういう説明がありましたが、そこらの関連をもう少し御説明願いたい。
  100. 早川崇

    早川議員 技術的な問題は法制局からお答えいたしますが、私の立法者としての意思は、そういった殺人とか政治的暴力行為の常習犯的な性格を持っておる団体というものをねらって立案いたしたわけでございます。従って十年、二十年たって、たまたま一つ暴力行為をやった団体が偶然にまた何かを犯したというようなことを考えておるわけじゃありませんので、そこにおのずからその団体の犯罪常習性ということが認定される限度においてこの法律を運用していきたいというのが立法者の趣旨であります。
  101. 坪野米男

    坪野委員 この点の質問をもう少し簡単にしてほかに移りたいと思いますが、今の継続または反復して将来団体活動として政治的暴力行為を行なうおそれがあるという規定の場合に、異質の政治的暴力行為があり得るわけです。第一項だけについて今お尋ねしているのですよ。殺人的な行為を行なった団体が、時を隔てずして、反復なら反復してといたしましょうか。反復して今度は別個の、おそらくこれは異質中の異質だろうと思うのですが、国会構内への乱入、こういった行為政治的殺人行為との関連性というのは、この自民民社案の中で第四条第一号から第八号まで並べ立てた中では、なるほど同一条文の中に入っているということはありますが、殺人行為と総理官邸、国会構内への乱入行為というものとは、全く異質の政治的暴力行為だと思う。そういう異質の政治的暴力行為を行なうということと、それが常習性であるということとどういう関連をつけられるのか、その点一つ提案者に御説明願いたいと思います。
  102. 早川崇

    早川議員 それだけをとりますと御心配されることはごもっともでございますが、この法案の特に第八条の第二項なんかを読みますと、反復継続した実績がある、また将来さらに繰り返すおそれがある、この認定は公安審査委員会で証拠その他でなかなかむずかしい問題でございますから、はっきり申しますと、今御心配になるようにそう簡単に発動する規定ではございません。従ってたとい異質のものでも、国会乱入殺人というようなものが重なれば、しかもそれが十年も離れたときにひょっと起こるおそれがあるという場合においては、やはり政治的暴力行為を行なう常習と認定されても、このしぼりがありますならば、坪野君がおそれられるような、何でもそれでは乱用されるという心配はないのではないかと私は思っております。
  103. 坪野米男

    坪野委員 ただいまの早川議員説明で私は承服できない。めったに適用されないと言いますが、適用される場合が想定されるからこそわれわれは厳密な解釈を今お尋ねしている。非常にずさんなあいまいな解釈で、あとは現場の警察官にまかそう、あるいは検察官、裁判官、あるいは公安調査庁の役人の法解釈にゆだねようという、そこに私は危険なものを感ずるわけなんで、やはり立法の段階でこれがどう運用され、どう適用されるかということを十分考慮に入れて、解釈乱用のお一それを断つような立法がなされなければならないと思う。そういう意味でこの「継続又は反覆して」という規定は、事実上、一回やればあとはもう公安調査庁の常習性の認定を受けて、このような集団示威運動規制を受けるというおそれが十分ある危険な規定は、ここにもひそんでおるということを私は指摘しておきたいと思います。  それでは次にお尋ねいたしますが、「継続又は反覆して将来さらに団体活動として政治的暴力行為を行なう明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があるときは、」と非常にくどいわかりにくい規定がしてあるわけですが、この「明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由」というのは、だれがこれを認定するのかということをお尋ねしておきたい。
  104. 早川崇

    早川議員 公安審査委員会です。
  105. 坪野米男

    坪野委員 公安審査委員会は独自でそういう調査をして、そうしてみずからそういう認定を下すのでありましょうか。
  106. 早川崇

    早川議員 公安調査庁——政府機関を使うことになるかと思いますが、これの認定は国会で選ばれた公安審査委員会で行ないます。
  107. 坪野米男

    坪野委員 公安審査委員会が認定をするのだが、こういう政治的暴力団体がある、あるいはある団体が政治的暴力活動を行なったかどうかという認定をするための調査活動は、公安調査庁等の政府機関がやる、こういうことになるわけでございますか。
  108. 早川崇

    早川議員 その通りでございます。
  109. 坪野米男

    坪野委員 そういたしますと、この団体規制法律が入ってくると、公安調査庁の権限がさらに拡大される、こういうことが言えるわけですね。
  110. 早川崇

    早川議員 この法律に関する事務がふえるかと思います。
  111. 坪野米男

    坪野委員 破防法は御承知のように共産党を主たる対象とした違憲の立法でありますが、この破防法のもとで公安調査庁が、現実には共産党の動向を調査活動の主たる対象とするだけでなしに、広く労働運動その他の大衆運動に対する調査活動を非常に活発に、相当な機密費を使ってやっておるということは、これはもう公知の事実でございますが、この公安調査庁が現在の破防法の調査対象を広げて大衆運動の調査にまで伸びておるということ、そういう公安調査庁に今後こういう主として大衆団体によって行なわれるであろうと想定される政治活動から派生する政治的暴力行為規制するためのその調査活動を与えるということは、それでなくとも相当の職権乱用のおそれがある、また問題を起こしている公安調査庁にさらに大きな権限を与えて、大衆運動隠密裏制限し、あるいは弾圧させ、あるいはスパイ活動をやらせるというようなおそれがさらに拡大されるのではないかと思いますが、立法者はそういう点についての考慮をされたかどうか、これをお伺いします。
  112. 早川崇

    早川議員 御承知のように、破壊活動防止法は破壊活動をやるという容疑団体の指定になった団体、それに対して調査をしておるわけでありまして、これにはそういう規定はございませんから、現実に政治的暴力行為を行なったという容疑がなければ、団体を容疑団体として指定する破防法とは根本的に違いますから、御心配の点は要らぬと思います。  なお公安調査庁の権限内の点につきましては、破壊活動防止法におきまして三年以下の懲役という規定がございますが、その条項はもしそのままの権限内容といたしますと、政防法にも当てはまるということを御了承いただきたいと思います。
  113. 坪野米男

    坪野委員 時間がありませんからその点については質問を留保いたしますが、それに関連いたしまして、この政治的暴力団体規制するために公安調査庁の調査活動がさらに調査対象を広げて活発化するということは当然これは想定され、予算措置も講ぜられると思うのでありますが、さらに現在警備警察が行なっておる警備警察活動、これは主として共産党あるいは労働組合その他の団体に対する警備活動が非常に活発に今日においても行なわれておりますが、この法案が成立いたしますと、さらに警備活動が活発になるということが予想されるわけでありますが、その点についての考慮がなされているかどうかということをお尋ねします。
  114. 早川崇

    早川議員 ただいま申し上げましたように、破防法とは根本的に違いますから、あくまでもそういう暴力活動を行なったというケースで公安調査庁がやるわけでありまして、警察が警備活動というものを新たにこれによって加えるということは考えておりませんし、またそのおそれはないものと思います。
  115. 坪野米男

    坪野委員 非常に重要な問題であり、政治的にも重要でありますし、またこの条項が現実に適用されるおそれ、しかもこれが拡大解釈されて乱用されるおそれが多分にあるので、この点は他の委員からもっと徹底的に質問をしてもらうことにしたいと思います。また第八条の団体活動中心にした団体規制規定の中で、「団体活動として、」という解釈について徹底的に質問しなければならぬと思いますが、わずかな時間では、ちょっと満足のいく、また乱用を防止するような確定的な解釈提案者並びに法制当局から求めることは困難だろうと思いますので、この点の質問も留保いたしたいと思います。  そこで時間の関係で、もう一点私はお尋ねをしたいと思うわけでありますが、今度は第八条の第二項に移ります。「公安審査委員会は、団体活動として、継続又は反覆して、第四条第一項第二号」これは傷害ですね、さらに「第六号」国会乱入「までに規定する行為を行ない、同項第二号」すなわち傷害「若しくは第六号」国会乱入「に掲げる行為に係る同項第八号」すなわち教唆扇動ですから、国会乱入の方は削ってありますから、いわゆる傷害教唆扇動の「行為を行ない、又は同項第四号」すなわち強要罪、「若しくは第六号」国会乱入「に規定する行為の」未遂罪を行なった団体が云々と規定になっておるわけでありまするが、その次が問題なんで、「継続又は反覆して将来さらに団体活動として政治的暴力行為を行なう明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があるときは、」云々と、こういう規定になっておりますが、今前段で規定されておるこの種の政治的暴力行為継続または反復して行なった団体が将来また継続または反復してというのは、将来ではなく、前に続いているのですから、一回だけでもいいでしょう。継続または反復して団体活動として政治的暴力行為を行なう、この政治的暴力行為は、異質の構成要件といいますか、要件に当たる政治的暴力行為の場合も含むという解釈は、第一項の場合と同じと理解してよろしゅうございますね。
  116. 早川崇

    早川議員 その通りです。
  117. 坪野米男

    坪野委員 そこでお尋ねしたいのは、具体的にお尋ねしますが、たくさんある政治的暴力行為のうちの傷害をとらえてみましょう。この間の質問とは違いますよ。政治的傷害教唆扇動という行為があるわけですね。教唆扇動行為をやる、これは一つの要件ですね。私はこれは非常に疑問に思っておりますが、その教唆扇動をやった団体が、また将来傷害教唆扇動をやるおそれがあるということ、最初はたとえば国会乱入をやったあるいは逮捕監禁をやったという団体が将来傷害教唆扇動を行なうおそれというのは、傷害教唆扇動というものが非常に確定しない。現行法では、未遂罪も処罰の対象にならない単純行動だという判例もありますが、傷害罪は現行法で未遂の処罰規定がない。その傷害教唆扇動を起こすおそれがあるという認定は、ますますこれの具体的事実をつかむということはきわめて抽象的あいまいな概念で、この傷害教唆扇動を将来行なうだろうというな疑いを事実上つかむということは、非常にあいまいな規定じゃないかと思うのです。ここまで広げるということはどうかというように私は考えているのですが、その点についてどういうように提案者はお考えですか。
  118. 早川崇

    早川議員 実は立法したときには、この継続反復してというのを将来の場合だけに限ったのを、私はこれは非常に乱用になるおそれというものを心配いたしまして、継続反復してすでにこの政治的暴力行為を行なった——たとえば傷害教唆扇動を一回だけで、将来また反復してやるおそれというのでは御心配のような趣旨もあるかと思いまして、特に法制局に命じまして、既遂として継続反復してという要件を入れたわけであります。従って、人の足を折ってやれとか、傷つけてやれという教唆扇動を既遂罪として二へんもやった、あるいは三べんも続けてやったということが構成要件になっている。さらに将来継続反復してやるというおそれの認定につきましても、これは裁判で争われるようなあいまいな認定では、公安審査委員会としても私はよほど慎重に四囲の客観情勢から認定されなければ、四カ月の団体制限でありますけれどもできないと確信いたしております。従って坪野君の御心配のようなことは現実には起こらないのではないか、かように私は存じておるわけであります。
  119. 坪野米男

    坪野委員 いや、そうじゃなしに、早川さん、第二項は団体活動として継続または反復して政治的傷害行為教唆扇動を行なうだけであって、正犯の実行行為を要しないという規定じゃございませんか。
  120. 早川崇

    早川議員 その通りですが、それは一ぺんではひっかからないという……。
  121. 坪野米男

    坪野委員 一ぺんじゃない。もちろん継続反復は当然のことです。継続反復して教唆扇動が成功していればいいんで、別に正犯の実行行為を行なう必要はないわけでしょう。その点はその通りです。そこで、あとのことが問題なんです。次にも継続または反復して行なうであろうという認定があればいいわけでしょう。今まで継続しているんだから、一回また同種のものを繰り返したら、継続反復だという認定を受けますね。ですから、その場合に、教唆扇動が現実に行なわれてしまえばいいんですけれども、教唆扇動の可能性をくくろうというところに私は危険なものがあるということを今指摘しているわけなんです。教唆扇動を繰り返したそのつどそれは刑罰法令に触れるでしょう、この法律の場合には。将来も教唆扇動を繰り返すであろうというその可能性の認定は、教唆扇動未遂みたいなことになってくる。そこまでくくるということはどうか、行き過ぎじゃないか、乱用のおそれがあるんじゃないかということを今指摘したわけです。  それと関連して、この第八条にも同じく殺人予備陰謀継続反復してまた繰り返すおそれがあるという中に、殺人予備陰謀という行為一つ現実に行なわれたとしますね。今度は殺人予備陰謀の明らかなおそれと言うと、これはまた殺人実行行為をやるかもしれぬというおそれのある団体規制する、これはいいと思うのです。殺人未遂のおそれがあるというところはいい。御承知通り刑法にもありますから、殺人予備陰謀を処罰するのはいいんですけれども、殺人予備陰謀予備陰謀規制するということはちょっと行き過ぎじゃないか、非常に乱用のおそれがありはしないか。しかもそれは公安審査委員会でやる、公安調査庁が活動するというから、私は乱用のおそれが多分にあると心配する。第八条第二項にある予備陰謀教唆扇動のおそれ——殺人のおそれというならわかるが、殺人予備陰謀の明らかなおそれというものを具体的につかむということはきわめて困難だし、これが乱用されると非常におそろしいことになるということで、私は逐一検討してみて、ここまで及ぶのは、ただ政治的暴力を憎むに急でありて、他の犯罪行為刑罰との均衡が著しく失われておるのじゃないか、あるいは客観的な犯罪行為規制することに主力を置かれておる現在の刑罰体系からして、少し行き過ぎの立法じゃないかということを私は法律家の一人として痛感しているのですが、そういうことをお考えになって書かれたものか、あるいはすらすらと並べて書かれただけなんでしょうか。殺人予備陰謀をするおそれがあるというようなところまで及ぶ必要があるかどうか。
  122. 早川崇

    早川議員 坪野さんにお答えいたしますが、殺人予備、隠謀のおそれということだけを取り出せばその通りですけれども、第八条第一項によりますと、殺人予備、隠謀という前科をその団体が持っておるということが要件です。しかも団体として殺人予備、隠謀の前科ということはかなり危険な団体です。われわれはテロを憎みますから、こういうものを何とかなくしたい。そこでそういう前科のある団体が将来さらに殺人の隠謀をやる明らかなおそれという、この認定には御承知のように公安審査委員会もなかなか苦労するでしょう。それが行き過ぎになると裁判にかけられるのですから……。ですからそういう明らかな認定がされた場合には、六カ月の団体活動制限を受けるというのは当然である。私はその点では坪野君と見解を異にいたします。
  123. 坪野米男

    坪野委員 私は助言いたしますが、殺人予備、隠謀を一回やっただけの団体が、継続して二回目にまた今度は予備、隠謀しようとするというおそれだけじゃなしに、予備、隠謀した場合に規制するということが、団体の正当な活動——もちろん正当と違法との限界がありますから、その程度までの縛りをかけなければ、一ぺんやったのだから今度もまたやるんだという、その一ぺんやった場合の認定も、団体活動としてということに非常に問題はありますが、一ぺんやったんだという認定を受けて、次にやるかもしれないというだけでずばり六カ月間、四カ月間団体活動制限を受けるということは、あなたが運用されるのじゃないので、いわゆる日本の官憲の平均的なところがやるのだから、そこまで及ぼすことは非常な乱用を招くおそれがある。だから殺人予備、隠謀をやった団体が、次に予備、隠謀を行なったという規定ならばまだ理解ができるのです。予備、隠謀のおそれあるいは傷害教唆扇動のおそれというのは、ちょっと法律家の常識からいってむちゃくちゃだと私は思うのですがね。
  124. 早川崇

    早川議員 私はその点では先ほど申しましたように坪野さんの御意見残念ながら了承いたさないのでございまして、第一項において、一回だけの犯罪事実によって将来それを継続してやるおそれがあるとしたのは、第二項の殺人関連以外のものとの差をつけているのです。従って坪野さんの御要望のようであれば、第一項も継続反復したという実績がほしいと言われるのだろうと思います。しかし事第一項に関する限りは、ほんとうの殺人関連する最も悪質な行為でありますから、一回の犯罪事実をもって将来さらにというようにしぼったわけでございまして、そういう意味から言いますと、社会党のテロ処罰法案で非常にきつい処罰をしておられる思想にも少し矛盾するのではないかと私は思うのでありまして、その点では見解を異にいたします。
  125. 坪野米男

    坪野委員 社会党に対する批判は大いにやっていただいてけっこうですが、ただ重い重いというような的はずれのことをおっしゃられても困るので、殺人予備陰謀のおそれというようなものでくくるということは、私は非常に危険なことだと思う。私ら法律家としては、予備陰謀のおそれというようなことを、しかも公安審査委員会に認定をさせる、しかもその第一線の——こういうことでは非常に危険なことだと思うのです。この点についてはまた明日質問いたします。
  126. 池田清志

    池田委員長 本日はこの程度にとどめます。  明日は午前十時理事会、午前十時半委員会を開きます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時一分散会