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坪野委員 早川さんの今の
答弁は私の
質問にお答えいただいてないわけです。今指摘された点は私も百も
承知で、第一条から全部読んで、
法律家の頭で一応見ておりますから、相当いろいろ要件に縛りがかかっていることは何も私も否定するわけじゃない。ただ、第七条と第八条と第十条、それぞれ違うわけですね。第十条は
団体の
解散の指定の
規定でしょう。それから第七条は
役職員または構成員の
行為を禁止、
制限する
規定であって、第八条は
団体としての
行動を一部
規制、
制限しているわけなんです。
法律というものは、正義の要求に合致すると同時に、公平でなければならないというのが原則です。第十条は、もちろん疑義はありますけれども、割にはっきりしている。
殺人の
実行行為、その
未遂行為、
殺人の
教唆、
扇動の
行為、これだけですね。そして
継続、
反復して
殺人または
殺人の
予備、
陰謀、
教唆、
扇動を行なうおそれがある場合に、二回
殺人類似
行為をやろうという場合に、
解散の指定ができるという
規定、これはそれだけの意味なんだ。私の聞いているのはそんなことじゃない。第八条は
団体の
活動を
制限する
行為ですよ。
団体の
役職員、構成員が
団体のための
活動を禁止される
規定は第七条ですね。ですから冷静に
質問の意味するところを聞いてもらいたい。いろいろ縛りはかかっていますが、結局
殺人の
実行行為を
団体活動として行なっても、
隠密裏にやった場合には何らこの第八条の
規定の
制限を受けない、制裁を受けない。そして、
公開の
集会でやる、示威
運動の場において行なう、
集団行進の場において行なう
殺人行為だけが、そういう示威
運動を
制限する、
集団行進を
制限する、
公開の
集会の開催を
制限するというだけで、およそ無意味な私は
団体規制だと思う。一番悪質なテロ
殺人実行行為団体、
団体活動として
主義、綱領に掲げているか、あるいは実質上
団体活動として行なうテロ
殺人行為ですよ。ですから、ここにいろいろ
体裁は整えてありますけれども、テロ
殺人の
実行行為を
団体活動として行なうような
団体の中で、ここにいう「次に掲げる
処分を行なうことができる。」というその
処分を受ける
団体というものはほとんどないわけです。結局
左翼系の
団体が、
集団示威運動において、
集団行進において、
公開の
集会において行なうであろう
行為といえば、第一項では
殺人の
正当性、
必要性の
主張、こういったことは私はあまりやらぬと思いますが、
右翼の連中も第一項に掲げるような
行為はおそらく通常やらないであろう、そうすると
処分も受けないであろうということなんです。
左翼の連中も、まさか
人殺しをしたり
人殺しをしなければいけないというようなことを言うということは、まずまず今日の事態では
考えられないわけです。そうすると第一項というものは現実にこれを適用される余地がない
団体活動の
条文だと思う。ですから、この
条文のねらいは第二項にある。
団体の
活動として
継続、
反復して、
傷害から
国会乱入まで、しかし
傷害行為を
集団示威運動の場において行なうということも、
右翼の連中はこういうことをやらない。
左翼の連中がいわゆる行き過ぎた
行為から
集団暴行に及ぶ、暴行の結果
傷害が発生するといった場合に、この
規定の適用を受ける可能性はある。そうしたら今度は不心得者がおって、あるいはスパイがおってでも、デモ行進の中で一人がだれかをぶんなぐった、あるいは突き倒した、けがをしたというときにでも、それは
団体の
活動としてやったのだということで、そういったことが二回繰り返されるおそれがあるという、その認定は公安審査
委員会がやるのです。裁判所がやるのじゃない。そういった場合に、
集団示威運動が四カ月間できなくなる。あるいは
集団行進も禁止される、
公開の
集会、
演説会その他の
集会も禁止されるという可能性があるのは、むしろ
労働運動その他の
大衆運動の場において起こり得る可能性があるわけで、
右翼の連中が公々然と
団体の
活動として
傷害行為を行なうということはあまりあり得ない。ですから
隠密裏にやった場合には、その
団体は
解散の指定を受けない限りは、何も
団体としての取り締まりの
対象にならないわけです。ですから結局具体的にこの第二項で
考えられる
集団示威運動、
集団行進、
公開の
集会、
機関紙誌によって行なわれるであろう
政治的暴力行為、二号から六号までに
規定されている
行為というものは、具体的には
大衆運動から派生した
暴力事犯に適用されて、今度
団体の
活動が
制限を受ける。「
団体の
活動として」という
規定についてもあとで
質問いたしますが、非常に疑義のある、
乱用のおそれのあるのはそういう
規定であります。しかし私は
結論から先に言っているが、そういうようにテロ
殺人をやる
団体はこの第八条でも何ら
団体としての
規制を受けない。一回やっただけではもちろん第十条の
規定にも触れないわけでありましょうから、結局これは
大衆運動あるいは
労働運動その他の
運動の行き過ぎを是正するところにねらいを定めた、
右翼テロ団体を
規制する
法律じゃなしに、
左翼の
集団行動から派生して起こる比較的軽微な
暴力事犯を
対象とした
団体規制だということは、誰が読んでもそう読みとれると思います。ですからこれは法の建前からいっても非常に不公平じゃないか。はっきりそうだと言っていただけばそれでいいわけなんです。われわれはそういうように見ているわけなんだが、この
条文を見ればそうとしか読めない。いろいろ縛りはかかっているけれども、
結論はそういう
行為を
規制するための
規定だ、
右翼のテロ
団体によってこういった
行為が通常なされるということは、ごくまれにしか
考えられないわけなんです。ですからねらいはそこじゃないかということをわれわれは言っている。しかも公安審査
委員会といえば、これは破壊
活動防止法の中の
一つの政府機関なんです。ですから破防法というものが共産党取り締まりを
対象とする
法律である、違憲の立法だといって、当時おそらく野党にあった
早川委員もあるいは門司
委員も
委員会その他で
質問をされたように聞いておるのです。そういう破防法の
規定をそのまま持ち込んでおるということからしても、この
団体規制のねらいは大衆
団体の
規制をねらっておるじゃないかということは、この
規定の
条文からしても出てきますし、また今の公安審査
委員会その他破防法の
規定が多く準用されておるということからしても、その
対象とするところが大衆
団体にあり、
大衆運動にあるということがいえると思うのです。そういう
考え方は思い過ごしであるとか、あるいはそれは誤解であるとか、
法律をすなおに読まない的はずれの議論だと言われるかもしれませんが、第八条を今私がすなおに具体的に読んでみても、これはそれ以外に
解釈のしようのない、そうなる
規定じゃないか。とすれば、非常に政治的に一点にねらいを定めた特殊な立法だというふうにしか理解できないのですが、すなおに読めばそんなことはないと言うのであれば、その根拠をお示し願いたい。