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1961-05-26 第38回国会 衆議院 法務委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月二十六日(金曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 池田 清志君    理事 田中伊三次君 理事 長谷川 峻君    理事 林   博君 理事 牧野 寛索君    理事 山口六郎次君 理事 井伊 誠一君    理事 坂本 泰良君 理事 坪野 米男君       井村 重雄君    上村千一郎君       浦野 幸男君    加藤鐐五郎君       唐澤 俊樹君    菅  太郎君       岸本 義廣君    小島 徹三君       佐々木義武君    富田 健治君       楢橋  渡君    早川  崇君       藤井 勝志君    阿部 五郎君       赤松  勇君    飛鳥田一雄君       猪俣 浩三君    中村 高一君       畑   和君    春日 一幸君       志賀 義雄君  出席政府委員         検    事         (刑事局長)  竹内 壽平君         公安調達庁次長 關   之君  委員外出席者         議    員  富田 健治君         議    員  早川  崇君         議    員  田中幾三郎君         衆議院法制局参         事         (第二部長)  川口 頼好君         警  視 監         (警察庁警備局         参事官)    曾我 力三君         専  門  員 小木 貞一君     ――――――――――――― 五月二十六日  委員宇野宗佑君、首藤新八君、小川豊明君、原  彪君及び片山哲君辞任につき、その補欠として  井村重雄君、藤井勝志君、赤松勇君、飛鳥田一  雄君及び春日一幸君が議長の指名で委員に選任  された。     ――――――――――――― 五月二十四日  皇室尊厳をおかす者を処罰する法律制定に  関する請願外二件(足立篤郎紹介)(第三九  八八号)  同外八件(宇田國榮紹介)(第三九八九号)  同外三十件(簡牛凡夫君紹介)(第三九九〇  号)  同外三件(笹本一雄紹介)(第三九九一号)  同(山口六郎次紹介)(第三九九二号)  同(岡本茂紹介)(第四〇〇六号)  同外百十二件(小沢辰男紹介)(第四〇〇七  号)  同外七件(小澤太郎紹介)(第四〇○八号)  同外九十一件(加藤常太郎紹介)(第四〇〇  九号)  同(木村公平紹介)(第四〇一〇号)  同(正力松太郎紹介)(第四〇一一号)  同外一件(塚原俊郎紹介)(第四〇一二号)  同外二百十九件(綱島正興紹介)(第四〇一  三号)  同(野田卯一紹介)(第四〇一四号)  同外九件(保科善四郎紹介)(第四〇一五  号)  同外五十件(前田正男紹介)(第四○一六  号)  同外一件(山口喜久一郎紹介)(第四〇一七号)  同外百八件(赤澤正道紹介)(第四○三五号)  同外三十一件(秋山利恭紹介)(第四〇三六号)  同外一件(有田喜一紹介)(第四〇三七号)  同外一件(池田清志紹介)(第四〇三八号)  同外二件(小川半次紹介)(第四〇三九号)  同外九十九件(大倉三郎紹介)(第四〇四〇号)  同外八件(賀屋興宣紹介)(第四〇四一号)  同外十七件(仮谷忠男紹介)(第四○四二号)  同(倉成正紹介)(第四〇四三号)  同外十件(瀬戸山三男紹介)(第四○四四号)  同外二件(田口長治郎紹介)(第四○四五号)  同外二件(八田貞義紹介)(第四〇四六号)  同(長谷川四郎紹介)(第四〇四七号)  同外三十一件(濱地文平紹介)(第四〇四八号)  同外一件(荒舩清十郎紹介)(第四○七一号)  同外一件(小川半次紹介)(第四〇七二号)  同外八件(加藤高藏君紹介)(第四〇七三号)  同(田中龍夫紹介)(第四〇七四号)  同外二件(塚原俊郎紹介)(第四〇七五号)  同外五十五件(富田健治紹介)(第四〇七六  号)  同外三件(野田卯一紹介)(第四〇七七号)  同外五件(羽田武嗣郎紹介)(第四○七八  号)  同外一件(橋本龍伍紹介)(第四〇七九号)  同(保利茂紹介)(第四〇八〇号)  同(中山マサ紹介)(第四〇八一号)  同外二件(坂田道太紹介)(第四〇九五号)  同外四十件(薩摩雄次紹介)(第四○九六  号)  同外百九件(高橋清一郎紹介)(第四〇九七  号)  同外十七件(橋本登美三郎紹介)(第四〇九  八号)  同外二件(千葉三郎紹介)(第四〇九九号)  同外百件(床次徳二紹介)(第四一〇〇号)  同(赤澤正道紹介)(第四一二四号)  同外三件(秋田大助紹介)(第四一二五号)  同外二十七件(足立篤郎紹介)(第四一二六号)  同外二十五件(天野公義紹介)(第四一二七号)  同(井原岸高紹介)(第四一二八号)  同外二件(池田清志紹介)(第四一二九号)  同外五十四件(宇野宗佑紹介)(第四一三〇号)  同(小川半次紹介)(第四一三一号)  同外十二件(小澤太郎紹介)(第四一三二号)  同外三件(瀬戸山三男紹介)(第四一三三号)  同(高田富與紹介)(第四一三四号)  同(千葉三郎紹介)(第四一三五号)  同外三十八件(原田憲紹介)(第四一三六号)  同外三十四件(中山榮一紹介)(第四一六九号)  同(山崎巖紹介)(第四一七〇号)  同外九件(安藤覺紹介)(第四一九八号)  同(逢澤寛君紹介)(第四一九九号)  同外十二件(秋田大助紹介)(第四二〇〇号)  同外二十件(池田清志紹介)(第四二〇一号)  同外三十三件(宇田國榮紹介)(第四二〇二号)  同外一件(浦野幸男紹介)(第四二○三号)  同(大倉三郎紹介)(第四二〇四号)  同(岡本茂紹介)(第四二〇五号)  同外百八十一件(簡牛凡夫君紹介)(第四二〇六号)  同外十一件(菅野和太郎紹介)(第四二〇七号)  同(北澤直吉紹介)(第四二〇八号)  同外十八件(小平久雄紹介)(第四二〇九号)  同(佐々木義武紹介)(第四二一〇号)  同(櫻内義雄紹介)(第四二一一号)  同(正力松太郎紹介)(第四二一二号)  同外十五件(瀬戸山三男紹介)(第四二一三号)  同外十九件(田中伊三次君紹介)(第四二一四号)  同外二件(塚田十一郎紹介)(第四二一五号)  同外四十八件(床次徳二紹介)(第四二一六号)  同(富田健治紹介)(第四二一七号)  同外十一件(丹羽喬四郎紹介)(第四二一八号)  同外二件(濱田幸雄紹介)(第四二一九号)  同外一件(濱田正信紹介)(第四二二〇号)  同外二件(早川崇紹介)(第四二二一号)  同外一件(前田正男紹介)(第四二二二号)  同外二件(米田吉盛紹介)(第四二二三号)  同外十一件(谷垣專一君紹介)(第四二二四号)  同(今松治郎紹介)(第四二四七号)  同外十一件(池田清志紹介)(第四二四八号)  同(宇野宗佑紹介)(第四二四九号)  同(大高康紹介)(第四二五〇号)  同外三十四件(簡牛凡夫君紹介)(第四二五一号)  同外九件(小泉純也君紹介)(第四二五二号)  同外四件(纐纈彌三君紹介)(第四二五三号)  同外六件(坂田道太紹介)(第四二五四号)  同(櫻内義雄紹介)(第四二五五号)  同外二十八件(瀬戸山三男紹介)(第四二五六号)  同(田村元紹介)(第四二五七号)  同外三十一件(千葉三郎紹介)(第四二五八号)  同外二十二件(中馬辰猪紹介)(第四二五九号)  同外七十三件(徳安實藏紹介)(第四二六〇号)  同外三十三件(中曽根康弘紹介)(第四二六一号)  同(中山マサ紹介)(第四二六二号)  同外四件(野田卯一紹介)(第四二六三号)  同(八田貞義紹介)(第四二六四号)  同外一件(橋本龍伍紹介)(第四二六五号)  同外十五件(原田憲紹介)(第四二六六号)  同外五件(藤本捨助君紹介)(第四二六七号)  同外五件(前田正男紹介)(第四二六八号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第四二六九号)  同外四件(有馬英治紹介)(第四二八七号)  同(宇野宗佑紹介)(第四二八八号)  同(上村千一郎紹介)(第四二八九号)  同外三十一件(小笠公韶君紹介)(第四二九〇号)  同外二件(小澤太郎紹介)(第四二九一号)  同外十五件(尾関義一紹介)(第四二九二号)  同(加藤鐐五郎紹介)(第四二九三号)  同外一件(菅野和太郎紹介)(第四二九四号)  同(田口長治郎紹介)(第四二九五号)  同(高田富與紹介)(第四二九六号)  同外五件(中馬辰猪紹介)(第四二九七号)  同外六件(渡海元三郎紹介)(第四二九八号)  同(内藤隆紹介)(第四二九九号)  同(野田卯一紹介)(第四三〇〇号)  同外四件(野原正勝紹介)(第四三〇一号)  同(橋本龍伍紹介)(第四三〇二号)  同外四件(濱田幸雄紹介)(第四三〇三号)  同外一件(福田篤泰紹介)(第四三〇四号)  同(細田吉藏紹介)(第四三〇五号)  同(渡邊良夫紹介)(第四三〇六号)  同外三件(小川半次紹介)(第四三一八号)  同(大村清一紹介)(第四三一九号)  同外十件(岡崎英城紹介)(第四三二〇号)  同(加藤高藏君紹介)(第四三二一号)  同外二十八件(坂田道太紹介)(第四三二二  号)  同外十六件(島村一郎紹介)(第四三二三  号)  同(正力松太郎紹介)(第四三二四号)  同外三件(中村寅太紹介)(第四三二五号)  同外一件(野田卯一紹介)(第四三二六号)  同外十一件(橋本登美三郎紹介)(第四三二  七号)  同外一件(保科善四郎紹介)(第四三二八  号)  同外七件(松浦東介紹介)(第四三二九号)  めいてい犯罪者に対する禁断処分法制定に関す  る請願外一件(中山マサ紹介)(第四〇八二  号)  同外一件(中山マサ紹介)(第四二七〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月二十五日  皇室尊厳をおかす者を処罰する法律制定に関  する陳情書  (第八三一号)  同  (第八三二号)  同外四件  (第八三三号)  同  (第八三四号)  同外一件  (第八三五号)  同(第八三六  号)  同  (第八三七号)  同  (第八三八号)  同  (第八三九号)  同  (第八八八号)  同  (第八八九号)  同  (第八九〇号)  同外七件  (第八九一号)  同  (第八九二号)  同外二件  (第八九三号)  同(第九三三  号)  同(  第九三四号)  同  (第九三五号)  同  (第九三六号)  同  (第九三七号)  同外三件  (第九三八号)  同  (第九六四号)  同外二件  (第九六五号)  同外一件  (第九六六号)  同  (第九六七号)  同  (第九六八号)  同外二十七件  (第九六九号)  同  (第九七〇号)  同外一件  (第九七一号)  同外三件  (第九七二号)  同外二件  (第九七三号)  同外五件  (第九七四号)  同  (第九七五号)  同  (第九七六号)  同  (第九七七号)  同  (第九七八号)  同  (第九七九号)  同  (第九八〇号)  同  (第九八一号)  同  (第九八二号)  同  (第九八三号)  同外一件  (第九八四号)  同外一件  (第九八五号)  同外一件  (第九八六号)  同外二件  (第一〇一四号)  同  (第一〇一五号)  同  (第一〇一六号)  同  (第一〇一七号)  同外五件  (第一〇一八号)  同  (第一〇一九号)  同外一件  (第一〇二〇号)  同外七件  (第一〇二一号)  同外二十六件  (第一〇二二号)  同外三十四件  (第一〇四二号)  同  (第一〇四三号)  同外八件  (第一〇四四号)  同外十四件  (第一〇四五号)  同  (第一〇四六号)  同  (第一〇四七号)  同  (第一〇四八号)  同  (第一〇四九号)  横浜地方検察庁川崎支部庁舎改築に伴う敷地交  換に関する陳情書  (第九三二号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政治テロ行為処罰法案坪野米男君外八名提出、  衆法第一六号)  政治的暴力行為防止法案早川崇君外七名提出、  衆法第三九号)
  2. 池田清志

    池田委員長 これより会議を開きます。  日本社会党坪野米男君外八名提出政治テロ行為処罰法案及び自由民主党、民主社会党共同提案にかかる早川崇君外七名提出政治的暴力行為防止法案の両案を一括議題といたします。質疑を継続いたします。ただいまのところ坪野米男君、井伊誠一君、畑和君の三君の質疑通告がございます。順次これを許します。坪野米男君。
  3. 坪野米男

    坪野委員 私は自民党民社党共同提案にかかる政治的暴力行為防止法案については、最初におもに民社党提案者質問をしたいと思うわけであります。と申しますのは、本法案立案経過を調べてみますると、最初民社党の方で御立案になった案を基礎にして、共同提案の本法案ができたというように伺っておりますので、最初民社党提案者の方にお尋ねしてみたいと思います。続いて本法案の最も責任者である自民党立案者提案者の方にお尋ねしてみたいと思うわけであります。私のほかにもまだ質問者はございますし、私自身も提案者並びに政府当局あるいは専門的な立場の説明の方に逐条にわたっていろいろお尋ねいたしたい点もございますが、順を追ってお尋ねしていきたいと思うわけであります。  最初に私は、この防止法案、これを社会党案と区別する意味で略称防止法社会党の方を処罰法あるいはテロ法と略称してお尋ねすることをお許しいただきたいと思いますが、この防止法案は非常に重要な法案であることは言うまでもございません。先日来九名の参考人、特に刑法学界権威者である小野博士あるいは団藤教授その他の参考人の御意見を聞いても、非常に重要な法案であるという認識を新たにしたわけでございますが、こういう重要な法案最初立案を手がけられた民主社会党として、こういう政治的暴力行為防止法立案するについて、十分御研究あるいは御討議をなさったかと思うのでございますが、こういう立案必要性をお認めになったのはいつごろであるか、あるいはこの国会で思いつきでこういった法案を出されたのかどうか、まずいつごろからこういう法案の必要を痛感されて立案にかかられたかということを最初にお尋ねいたします。
  4. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 御承知のように、昨年来、暴力による殺人傷害等事件が頻発いたしまして、非常に世間が騒然と相なってきたのであります。そういう行為をそのままに放任しておきまするならば、非常に社会安寧秩序というもの、また日本民主主義というものにも非常な脅威を感ずると存じまして、この法案制定を考えたのでありまして、決して一時的な思いつきで突然出したのではないのであります。
  5. 坪野米男

    坪野委員 昨年の浅沼事件あるいは一連のテロ事件以後、こういった政治的暴力を規制する必要があるということをお考えになっておったということのようでございますが、具体的にこの立法の必要を痛感されて、立法作業にかかられたのはいつごろからでございますか、その点を具体的にお答え願いたい。
  6. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 この法案作成の審議にかかりましたのは、はっきりといま日にちまでは覚えておりませんけれども、昨年の暮れごろからであったと存じてります。
  7. 坪野米男

    坪野委員 実は社会党処罰法案原案新聞で発表した際に、言論人から非常にきびしい批判を受けまして、その際に、社会党案思いつきで、浅沼事件あるいは嶋中事件が突発して、思いつきで報復的な感情から発してこのような法案を思いついて作ったのじゃないかというような言論人からのきびしい批判質問を受けたわけであります。その際に私たちは、決して思いつきではございません。少なくとも昨年の浅沼事件直後から、われわれはこの種の立法が、立法に限らず、政治テロ根絶措置が必要だということで、数名の当時の現役の法務委員、また私は議員ではございませんでしたけれども、社会党員として、何としても政治テロを根絶する施策が必要だ、そのための立法も必要だということで、昨年の十月以後われわれとしてはよりより研究してきたもので、そして嶋中事件が突発して、これは一日もゆるがせにできない、また政府に具体的なテロ根絶施策を講ずる熱意が見受けられないということで、われわれとしては急いで立案をしたわけであります。決して思いつきじゃないということを申し上げたのですが、民社党社会党の案の後に出された——撤回されておるようでありますが、政治的危害行為防止法案、そういった法案社会党案が発表された後に、急いで法制局と相談されて立案されたというように漏れ承っておるのでございます。それ以前、昨年十二月ごろから具体的にそういう立法研究をなさっておったのかどうか、もう一度重ねてお尋ねいたします。
  8. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 立法の操作に直接かかってはおりませんけれども、あの嶋中事件の起こった当時にわが党の中に特別委員会を作りまして、具体的にはその当時から私の方も構想をまず固めて、それから参議院の法制局と連絡をとって法案作成に着手した次第であります。
  9. 坪野米男

    坪野委員 そういたしますと、本案の原案になっておる民社党政治的危害行為防止法案、これを具体的に立案にかかられたのはいつごろですか。
  10. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 今ここに資料を持っておりませんが、多分特別委員会を作ったのは二月の初めごろではないかと考えております。
  11. 坪野米男

    坪野委員 そういたしますと、嶋中事件が二月一日ですから、嶋中事件が起こった後に対象委員会を作って立法——まあ立法だけじゃございませんでしょうが、立法の準備もよりより進めてきたということでございますね。
  12. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 さようでございます。
  13. 坪野米男

    坪野委員 そういたしますと、民社原案並びに共同提案の本法案については、逐条的にも十分検討を加えて立案されたもの、これは言うまでもないことかと思いますが、そういうように承っておいてよろしゅうございますか。
  14. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 さようでございます。
  15. 坪野米男

    坪野委員 それに関連いたしまして、自民党提案者の方にお尋ねいたしますが、この共同提案にかかる防止法案立案は、同様の質問社会党にも外部から加えられましたし、今民社党に私お尋ねしたのですが、自民党の方に対しても、この種の立法必要性を認めて作業にかかられたというのは、大体いつごろからであるかをお尋ねいたします。
  16. 早川崇

    早川議員 具体的に立案に入りましたのは、本年に入ってからであります。
  17. 坪野米男

    坪野委員 本年の大体何月ごろからでございますか。
  18. 早川崇

    早川議員 大体二月以降だと思います。
  19. 坪野米男

    坪野委員 二月以降と申しますと、嶋中事件が突発した直後から、自民党の方でもこの種の政治的暴力を規制する立法の必要を具体的に認めて、御研究になっておったわけでございますか。
  20. 早川崇

    早川議員 こういう立法必要性は、さらに犯行以前にさかのぼりますけれども、具体的に立法作業に入りましたのは嶋中事件以後と記憶いたしております。
  21. 坪野米男

    坪野委員 この法案が成文の形をとって衆議院提案されたのが五月十三日、まだ日がたっておらないわけでございますが、それまでに自民民社の間で共同提案の内容について十分御検討になった期間もあったかと思うわけでありますが、この種の法案を急いで提案しようという決意を固められたのは、社会党処罰法案が出た直後、すなわち社会党の案は三月二十三日に衆議院提出しておりますが、それ以後ではないかというように推察するのですけれども、その点自民党提案者にお尋ねをいたします。
  22. 早川崇

    早川議員 社会党の案が出る前に具体的な立法作業は始まっております。ただ、民社党その他社会党共同作業を始めるというように本格的に取り組んだのは、社会党提案よりもあるいは前後するかもしれませんが、その前から作業は始まっております。
  23. 坪野米男

    坪野委員 新聞紙上その他から私の承知いたしておるところでは、嶋中事件直後に自民党の方でも治安対策特別委員会を設置されて、いわゆる政治的暴力あるいは一般的な暴力対策委員会でもっていろいろ御検討になっておったことは推察にかたくないわけでありますが、社会党処罰法案提出する以前には、私の拝見しておったところでは、政治テロあるいは自民民社の言うところの政治的暴力行為に対する法的措置ではなしに、一般的な暴力対策あるいはもっと広範な一般的防犯対策といった角度からの検討ではなかったか、その当時から少なくとも自民民社の言う政治的暴力行為というものを限っての御検討であったかどうか、その点はどうです。
  24. 早川崇

    早川議員 その点におきましては、社会党政治テロに対する考え方とは見解を異にするわけでありまして、われわれは政治テロという暴力行為だけ取り離しては考えられない。御承知のように、戦前政治テロが一番盛んでありましたのは、五・一五事件昭和八年前後でありますが、その時代は同時に一般暴力においても戦前最高ピークを記録しておったわけであります。従って、社会全般暴力的風潮が、ここ二、三年、戦後最高暴力犯罪ピークになって参りまして、社会党の方はテロ一般暴力とは別だということですが、なるほど具体的には区別できますけれども、そういった暴力犯罪ムードの上に人の生命なりを軽視して政治テロということが一つ現われてくるという母胎をまずわれわれは直そうじゃないかというので、一般暴力犯罪の絶滅を期しまして、閣議において暴力犯罪取り締まり要綱を昨年の秋ごろから立案いたしております。そういった土台の上になお必要があるということで、政治的暴力行為防止法案、こういうことになったわけでありまして、一般暴力犯罪はそのままにしておいてテロだけ処罰すればいいということは、過去の戦争前のテロ全盛時代歴史的分析において欠けるところがあるのじゃないか、こういう考え方でございます。
  25. 坪野米男

    坪野委員 ただいまの答弁だけでは私のお尋ねしている点に対して十分納得いかないわけであります。私たちとしては、一般暴力対策あるいは一般犯罪防犯対策ということについては、抽象的な項目的な対策を御検討になって要綱の発表もされておったようでございますが、少なくとも、社会党の言う政治テロでなくて、自民民社の言う政治的暴力行為を規制するためのこの本法案については、社会党処罰法案提出された後に、非常にあわいてて、思つき的に社会党案の漏れているところを拾い出し、あるいは社会党のねらいをそらして、他のねらいをつけ加えるという形で、十分の検討が加えられず、早急の間に提出されたように、いろいろの検討経過から理解されるわけですが、決してそういう思いつきの案ではない、こういうようにお伺いしていいわけでございますか。
  26. 早川崇

    早川議員 われわれは急いでバラックを建てるというのではなくて、先ほど申しましたように、社会一般一般暴力殺人、暴行、傷害、恐喝、十八万人の人がそういう暴力の犠牲になっている。政治暴力というものもそういうムードによって影響される点が多いわけでありますから、そういう土台積みをやって、その上に政治暴力防止法案という本建築といいますか、上部構造に移ったというのでありまして、バラック的に上だけぱっとやるという軽率な道をとらなかったというように御了解願いたい。
  27. 坪野米男

    坪野委員 次にお尋ねいたしますが、今週に入りましてから、九名の参考人の非常に貴重な意見を二日にわたってお伺いしたわけであります。これらの参考人それぞれに意見がございまして、両案に対していろいろな角度から非常にきびしい批判、また非常に参考になる御忠告等を承ったわけでございます。われわれ政治家でございますが、同時にこういう純粋の刑罰法令に関する重要法案を審議する上に、これらの専門家の意見、また専門家でない国民各層の代表的な意見を十分参考にして、率直にその意見を聞く謙虚さがなければならないと思うわけでございます。最近新聞紙上その他の報ずるところによりますと、民主社会党がイニシアをとられて、参考人の御意見等を参酌して防止法案についても修正をしようということで、修正案なるものが新聞に発表されておるようでございます。そして自民党の方でも修正の必要があるということだけはお認めのようでございます。  そこで民主社会党提案者にお伺いしたいのでございますが、これらの参考人の御意見を聞いて、提案者の一人である民主社会党としてはこの御意見をどのように受けとめておられるかということについて、まずお聞きしておきます。
  28. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 参考人参考人でございますから、全部ことごとく参考人意見を取り入れる必要はないと思いますけれども、しかしその意見のうちにわれわれが受け入れていいという点がありましたならば、これは議員提案でありますから、審議の過程において修正した方がいいということを考えておるのであります。
  29. 坪野米男

    坪野委員 お尋ねいたしますが、これらの九名の参考人意見を聞く際に、民主社会党からは少なくとも提出者四名のうちのどなたかが参考人意見を全部交代ででもお聞きをいただいておりましょうか。それとも全部一方の提案者である自民党の方にまかせて、民主社会党としては直接委員会において参考人意見を聞く必要がないというお考えからか、聞いておられなかったかどうか、その点まず伺います。
  30. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 私引き続いて聞いていなかったものですからよくは存じませんけれども、私の方の委員からはあるいは質問がなかったかとも思います。しかし私が出て聞いておる限りにおきましては、大体自民党の諸君の質問がわれわれの方の考えとさして違いがなかったものですから、あらためて補充して聞く必要がなかったのではないかと存じておる次第であります。
  31. 坪野米男

    坪野委員 私の質問は、参考人に対して民社党から質問されたかどうかということでなしに、参考人意見民社党を代表してどなたかが交代ででも全部聞いておられたかどうかということをお尋ねしておるので、私が見ておったところでは、民社党委員の方が聞いておられた時間が非常に少なかったのじゃないかと思うのですが、その点まずお伺いしたい。
  32. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 前日の分につきましてはほかの委員が交代で聞いておったと思いますが、あとの二日目の場合は、おしまいの十分ぐらいを除いては全部私が列席して聞いておりました。
  33. 坪野米男

    坪野委員 それらの参考人意見はあくまでも参考人だから参考にすればいいという御意見のようですが、それらのどういう点を参考にされたかが問題でございます。新聞紙上に発表されている民社提案の修正点、四、五点にわたっておるようでございますが、その四、五点だけを聞けばそれで事足りた、こういう参考人意見聴取の結果の民社党の御結論でございますかどうか。
  34. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 民社党の考えといたしましては、参考人あるいは学者と申しますか、それらの方々の意見をことごとく採用しなければならぬということではないのでありますから、私の方では参考人意見を聞いて、この点ならば採用してよかろうという点にしぼって考えをまとめたわけであります。
  35. 坪野米男

    坪野委員 その全部を聞く必要がないことは言うまでもございませんが、私の質問は、全部を耳で聞いた後に、取り入れるべき点は新聞に発表されたその四、五点だけであって、その他は修正の必要がない、聞きおいただけで考慮の必要がないという結論に達せられたのかどうかをお尋ねしておるのでございます。
  36. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 それは考慮に置いていろいろ考えてみた結果、私どもの考えておるこの六つの点にしぼった結論を得たわけであります。
  37. 坪野米男

    坪野委員 ですから、修正六点だけは考慮の余地があるが、その他についてはもう修正の必要はないという最終的結論にお達しになったのか、あるいはとりあえず一日聞いて委員の間で検討を加えたところが、この程度の修正は必要だが、あとの点についてはもっと検討しなければならないという意味なのか。あの九名の意見を聞いても、聞くべき点はこの五点だけだという意味なのか、それをお尋ねしているのです。
  38. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 その通りであります。
  39. 坪野米男

    坪野委員 具体的な修正点ではございませんが、参考人意見の中に、いろいろな意見、がございましたが、この種の治安立法については三党で慎重に審議を尽くし、いやしくも決定をする段階において強行採決のごときは避けるべきだ、こういう御意見自民党推薦の藤原弘達教授の意見の中にあったと思うのであります。そういう点について民社としてはどういう考慮を抱いておられますか。
  40. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 これは私ども提案者でありますからして、委員会のことについては委員会で御決定を願いたいと思います。
  41. 坪野米男

    坪野委員 この委員会でお互いにこれから態度をきめて審議を進めていくわけでございますが、そういった外部の批判意見というものについては全く考慮の余地がないということでございますか。それともそういう意見を聞いて今後の審議の過程で考慮しようというお考えですか、民社党の御意見を聞いておきたい。
  42. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 審議はこの法案に限らず慎重に審議すべきことは申すまでもございません。本案における審議は、私どもは提案者でありますから、どうぞ委員会の方で慎重に御審議なさるべきじゃないかと思うのであります。
  43. 坪野米男

    坪野委員 先ほどのお答えの中で、参考人意見を聞いた結果六点だけは修正の必要があるが、検討の結果は修一正はこれで事足りるんだということだったのでございますが、あの九名の参考人意見を聞いた後に、それらの六点の修正もけっこうでありまするが、もっと根本的に本法案についての再検討が必要ではないかという御検討、お考えを、民社の中で持たれたことはございませんか。
  44. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 この六点の中には最初から私どもの考えておった点も中にあるのでありまして、参考人意見を聞いて新しく考え直したらいいだろうという方もございますが、最初から私どもはこれの方がいいのではないかと考えておった点もあったのであります。議員提案でありますから、議員の皆さんでいい意見を出されて、そしてまた私の方の修正案でなしに、他の方からこれがよかろうという御意見が出ましたら、これは委員会でよく御検討願ったらいいのではないか。私どもといたしましては、この共同提案というものは最善のものだと考えたのでありますけれども、修正の点は、意見を聞いて、まあこの点くらいの修正をしたらよかろうという結論になったのであります。根本的にまた新しく出し直すというような意思は、ただいまのところ持っておりません。
  45. 坪野米男

    坪野委員 もちろん提案する際には最良のものという確信を持って提案されたものであろうと考えます。われわれの社会党案についても同様でございますが、しかしそういった良識ある外部の世論を聞いて、そしてその世論に聞くべきものがあれば、面子にこだわらずに根本的に検討を加え直すということは、政治家として必要なことではないかと思うのです。確信を持って出した案だから、今言われた六点の修正以外については根本的に検討の余地がない、こういう民社党の御意見として承ってよいわけでございますね。
  46. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 さようでございます。
  47. 坪野米男

    坪野委員 同様の点につきまして自民党提案者の代表の方に御質問いたしますが、参考人意見を聞いての自民党の態度、今民社に聞いたのと同じ質問でございますが、それに対する御答弁を一つ……。
  48. 早川崇

    早川議員 政府提案の場合には、従来公聴会の参考人意見を聞いて修正をした例はほとんどございません。ところが今回は議員立法で参りましたので、これは新しい議会政治の一つの進歩だと思うのでありますが、われわれも神様ではありませんので絶対的に正しいということではなくして、参考人意見がただ形式的に聞き流されるという従来の政府提案と違って、良識と謙虚な態度で、六点も民社党から御提案がありまして、自民党でも検討いたしまして、けっこうだ、国会としては画期的ないい態度ではなかったかと私は実は思っておるわけでございまして、さらにそれを根本的にやり直せということは学者の先生の御意見でございますけれども、残念ながらこれはもちろん賛成できません。
  49. 坪野米男

    坪野委員 今早川さんのおっしゃった本立法は画期的な法案だ、今の参考人意見を聞いて六点にわたって修正をするということはまさに画期的な事柄だ、こういう御意見のようでございますが、私この両法案ともに議員立法で、しかもこういう国民の基本的人権に関する重要な法律案が提出されたこと自体が、画期的なことではないかと考えるわけであります。この両法案についての審議期間が会期の都合上非常に短いということも非常に問題ではないか。こういう重要法案については、少なくとも最低一カ月くらいの期間をかけた検討が必要ではないかと考えるわけであります。そういう意味で、非常に画期的な法案が、しかも非常に異例な形で審理が進められようとしておるという中で、また両案に対して非常にきびしい参考人批判提出されたということも、これまた画期的なできごとではないかと考えるわけであります。政府提案であれば十分政府の関係各省の立法技術者、専門家の意見を聴取して、少なくとも外部の学者からの批判には一応耐え得る理論体系、学者の批判に耐え得る法案の形で、あとは政治的な判断、これはまあ学者なり国民一人々々違うでありましょうけれども、そういう法案が準備されると思うわけでございますが、非常に異例なまでに参考人意見が両案に対してきびしい批判がなされたということは、われわれは率直に反省してみて、やはりこの法案立案するまでの作業の過程において、まだまだ理論的な検討なり技術的な検討なりに欠くるところがあったのではないか、そういう反省を私たちはしておるわけであります。今の提案者の御答弁によりますと、十分研究をしたんだ、学者の意見は聞くだけ聞いても、今また六点もの修正をするということは異例なことであるから、それ以上の点についての検討の余地はない、こういう結論になるかと思うわけでありますが、私はこういう法案あるがゆえにこそ、率直に参考人意見を党派を抜きにして聞くべきではないかと考えるわけであります。今の六点の修正以上についての再考慮の余地はないのかどうか重ねてお尋ねしたいと思います。自民党の方。
  50. 富田健治

    富田議員 私からその点についてお答えいたしたいと思います。私は実は先般の公聴会は全部聞いておりました一人なのであります。第一、ただいま坪野さんからお話がございましたが、中にはきびしい批判もございました。しかし全体を通じて私ども公正に感じとりましたところを率直に申し上げますと、あの法案は、自民民社共同提案のものは、大体やむを得ぬだろう。暴力、最近のそれは、今お話しの藤原教授のお話などでは、アブノーマルである、今の事態がアブノーマルである。だから望ましくはないが、そのアブノーマルに対するアブノーマルの法案として、限時的なものとしては意味があるかもしれないというような趣旨であったと思うのであります。従いまして、今日の事態がアブノーマルであるから、やむを得ないと自分は思う、しかしながら、なるべくならば、こういう案法であるからして、一つ三党共同提案にしてもらいたい、これは自分として希望するのだというような線であったと思うであります。また田上教授のごときは、なるべくならこういう法案は避けたいと思う、しかしながら、今日政治家として、立法府において必要とお考えになるだろう。それならば、これを自分はとやかく言うべき資格もないが、やむを得ないのじゃないかというような御意見もあったかと思うのであります。いわんや小野先生のごときは、国会乱入、これに対する刑罰法規は絶対必要だと卓をたたいて言われたようなこともあったかと思いますので、一がいに全部の参考人がこれに対する反対の意見であったとは私了承いたしておらぬのであります。  そこで、お尋ねの点でございます。六修正点のほかにもっと根本的な問題とおっしゃいますが、それがどういう点をおっしゃるのか存じませんが、大体私も想像つくかと思うのであります。そういう点について考え及ばないかというお話だろうと思うのであります。私はこれらの参考人意見にも述べられております通りに、今度のこの法案というものは、社会党案もそうでありますが何とか今日の暴力、今日のこのアブノーマルな状況において出てきた暴力政治暴力、これを排除いたしたい、また将来の問題としては、これを予防したい、防止いたしたい、その熱意の現われがこの各議員立法となって現われてきたのじゃないかと思うのであります。そういう根本問題につきましては、これは全然変える必要はない、むしろ変えてはいけない、かようにさえ思っております。  そこで、今の民社党から出ました六点、これは最も時宜に適した、また参考人意見もよく聞いた修正であると考えまして、われわれもきん然この修正に同意をいたして、共同の修正提案をいたしたい、こういうような考えに今日なっておるというような状況でございます。御了承賜わりたいと思います。
  51. 坪野米男

    坪野委員 九名、非常に大ぜいの参考人でございますから、一人々々意見は違ったわけでありますが、私はこの種の法案はもちろん刑罰法でございますから、一番傾聴すべきは刑法学者の意見であろうと思うのであります。その刑法学者としては、東大の団藤教授が現役の刑法学者としての最高峰の権威者でございます。小野博士は私の先生でもありますが、これは今日では学者ではありますけれども、現職としては法務省の特別顧問、弁護士という野にある方であります。もちろん小野博士法律学者、刑法学者としての御見解を承るということも、刑法学者でございますからこれは参考になるわけでありますが、同時に小野博士の世界観なりイデオロギーなりからくる一つの政治的評価、こういったものも参考にはわれわれ聞かしていただいたわけであります。その刑法学界権威者である最高峰の少なくとも一人小野博士に次ぐ刑法学の権威者である団藤教授は、この種の法案は必要はないというような御意見のようでありましたが、こういった意見もわれわれは十分聞く必要があるのではないか。今のお話ですと、十分聞いたが、必ずしもこの法案に反対の人ばかりではなかったという賛成の参考人意見を基磯にして、これ以上の修正点についての検討の余地がない、こういうお考えのようでありますが、全部が全部反対ということでなくても、もっと根本的に検討する余地があの大ぜいの参考人意見の中にもあったわけでありますし、検討する余地があるのではないかということから私は今お尋ねしたわけでありますが、それ以上の修正の必要を今日現在においては認めておらない、少なくともそういうように私は理解できますので、そう承っておきます。  そこで、新聞紙上その他で修正云々が報道せられておりますが、委員会審議の中で議事録に残す必要もございますし、また私どもも、もう提案者において修正するのだと言われておる個所について蒸し返しの質問をしてもあるいは無意味かと思いますので、提案者の方で修正する用意のある個所という点をここで正式に御答弁いただいて議事録にとどめておけば、その点についての私の質問は不要になるかと思いますから、一つ確認する意味で、修正の用意のある個所を御答弁いただきたいと思います。
  52. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 すでに新聞で発表になっておりますが、項目といたしましては、一つは共同提案法案にあります「思想的信条」という言葉を全部「政治的信条」ということに改める。それから第二は、第三条の第二項に「正当な労働組合の活動」という文句を挿入いたします。第三に、第六条に警察署に対する通報の規定がございますが、これを削除することにいたしたい。第四は、第二十二条の金品、凶器の提供、これは情を知ってやるということに限るというので、これを加えます。第五は、議事堂、首相官邸乱入についての教唆扇動罪処罰の点を削ることにいたしました、第六点といたしましては、一応五年の期限を付しまして、五年たちましたときに存続するか廃止するかということを国会の議決によってきめる、こういうことを考えておる次第でございます。
  53. 坪野米男

    坪野委員 それでは少し法案の内容についてお尋ねをしたいと思います。最初に第三条に関連いたしますが、そしてまた、先ほど民社の方からの修正点の中に指摘されました第二項目の正当な労働運動云々という文言を加える、こういったことについては、その権利を制限するようなことがあってはならない云々、こういう規定を追加しようということでございますが、この第三条の規定を設けることによって、第四条以下の刑罰規定なり、あるいは団体規制の規定なりの乱用を制限するに足る効果的な規定であるというようにお考えになるかどうか。修正点を特に出された民主社会党にお尋ねしたいのですが、正当な労働運動云々という文言をつけ加えることによって、その乱用を防止しようというお考えのようですが、この第三条の中にそういう注意規定を盛ることでもって乱用防止ができるというお考えであるかどうか、お考えであるかどうか、お考えであるとすればその理由、根拠を一つ御説明願いたいと思います。
  54. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 この第三条には、正当な労働組合の活動ということ以外に、団体の行動、団体の示威運動等を制限するものではないという規定があるのであります。もちろんこの法律が労働組合の活動その他の団体の活動を規制するものでないことは、もうすでにこの言葉が挿入されてなくとも私は当然であると考えます。この法律の適用を受ける対象は、政治的な意図をもってする殺人傷害暴行その他の行為を処罰するのでありますから、おのずからこの法案の趣旨にのっとって処罰される行為、すなわち対象というものは、この法案自体からすでに生まれてくるわけでありまして、それ自体によって正当な労働組合の活動なんかは制限さるべきものでない、法の解釈上当然にそれが出てくるわけであります。しかし、この点は破壊活動防止法にもすでに注意的に規定してありまするし、また非常に誤解を受ける——誤解といいますか、より以上にこの法案を歪曲して労働運動を弾圧するように、特にそういうデマ的な報道がなされておりますので、なお明らかにするためにこの規定を設けたのであります。
  55. 坪野米男

    坪野委員 第三条の規定はいわゆる注意規定と申しますか、訓示規定といいますか、この規定は法の趣旨、精神の一部をうたったにすぎないわけでありますから、この規定でもって第四条以降の団体規制あるいは刑罰規定の解釈を左右するような法的な規範的な意味を持つ規定であるかどうかという点では非常に疑問がある、そういう説もございますけれども、大勢としては、法的にはあまり大きな意味はないのではないかと思うのでありますが、その点について伺いたい。
  56. 早川崇

    早川議員 実は田中議員のお話の通りでございます。私がなおつけ加えて申しますと、この法律はいかにも労働組合運動の正当なるものを弾圧する法従だということを共産党も、あるいは総評の方ももうすでに各地で文書をもって宣伝されておるわけです。それから総評の法対部長の種橋君も、あたかも労使間の団体交渉にまで及ぶというようなことを法対部長自身がここの参考人で言っておられるわけです。さらに悪いことには、労使関係の団交で一ぺん暴力行為をやったらその団体は解散をされるのだ、国会へ労働組合が一。へん暴力乱入したら直ちに解散されるのだということを、堂々と文書で総評なり共産党なりが大衆に訴えているわけですよ。これはこの法文の事実と全く相反する悪質な行為で、しかもそれを請願デモとかあるいは抗議デモとかいうものの一つの呼びかけにしておるわけです。私はこれはいかに何でもこういううそを——なかなか労働者はこういう法文を読まぬのですからね。ですから法律を読まぬ人に——私、共産党の志賀君おられたら申し上げたいのですが、アカハタなんかめちゃくちゃ書いているわけですよ。従ってそういう現状におきまして、これは何も書く必要はないわけです。読んでいただけば、正当な労働組合運動に適用しないで政治目的だけなんです。しかし、すでにそういう大労働組合あるいは堂々たる政党が、法文でないことを、うそでそういうことを言いますから、そういう面でも正当な労働組合運動を制限するものでないと言う必要はある。もう一つは、これは今度は政府当局に申したいのですが、こういう法律を曲げて悪意に拡張解釈するということは、私は今民主主義の国会が監視しておりますからできないと思いますけれども、そういう危険があったら大へんだから、従ってこういう項目を設けて、乱用というものが万一あった場合にやる。両方の意味があります。ですから、小野先生がこういう社会教育的な訓示規定は必要じゃないかと言われたのは、私は全く敬意を払った次第でございますが、そういう意図でございますから……。
  57. 坪野米男

    坪野委員 この点について法務省当局の専門家である刑事局長にお尋ねしますが、この正当な労働運動云々という一項がつけ加わったからといって、特に第三条が生きてくるという法的、規範的な意味を持つのかどうか、あるいはこれがないままの本法案原案そのものが第四条以下の団体規制あるいは刑罰規定の解釈を左右するだけの法的、規範的な意義を持ち得る規定であるかどうかという点について、一つ補足的に御説明願いたいと思います。
  58. 竹内壽平

    ○竹内政府委員 第三条に修正点として予定されております労働組合その他の団体の正当な活動について制限するようなことがあってはならないというこの規定の意味でございますが、解釈論としては、正当な団体活動、正当な労働組合活動、そういうものに本法案が施行された場合に適用を見るということは、私どもとしては考えられないところでございますが、今お言葉もございましたように乱用というような問題についての細心な御注意がなされなければならぬという御趣旨がここへ表現されてあるわけであります。これは法律によって宣言された文句でございますので、たといこれについては間接強制の罰則を伴っておらないといたしましても、法律的宣言といたしまして十分訓示的効果を持つものと私は考えます。従いましてこの種の乱用に陥るおそれのあるいろいろな法律につきまして、こういう訓示規定を設けて、乱用を固く戒めておる法令はほかにも多数あることは先生も御承知の通りでごごいます。そういう意味におきまして、解釈論といたしましては、かりにありませんでも同じような運用にならなければならぬというふうに考えるのでございますが、これを明らかにすることによりまして、立法者にはきちっと気持を締めるという法律上の効果を与えるのでありまして、運用の誤りなきはこのことによって一そう強化されるというふうに私は信じて疑いません。
  59. 關之

    ○關(之)政府委員 団体規制の点から、この法案の条文の適用につきまして御参考までに数点申し上げてみたいと思うのであります。  破防法第二条、第三条にも同様の規定がありまして、国会の審議の過程におきまして、単なる訓示規定ではない、法律上の効果が生ずる、こういうような御論議の結果がそこに落ちついたのでございます。法律上の効果が生ずるというのは、どういうことであるかと申しますと、団体の規制におきましては、制限規定と解散規定と二つ条文があるわけであります。そうしてその運用は、たとえば制限規定だけではどうも十分でない、しからば解散までいくか、これは法律上の解釈問題でありまして、単なる訓示の問題ではないわけです。そこで破防法においてすでに国会の論議の結果が、そういう単なる訓示規定ではない、法律上の効果を生ずる、こういうような御論議の結論になっておりまして、この第三条も私はやはりそういうふうに解釈すべきものではなかろうか。制限禁止と解散の場合とのかね合い、どちらを選ぶとかいうそのことの運用の問題は、やはり第二条、第三条というような問題が全面的に適用を見て、そういう意味で破防法の規定におきましても、第二条、第三条はなかなか重要な規定であるというふうに私どもは考えておりまして、あってもなくても同じ規定だというふうには考えないのであります。
  60. 坪野米男

    坪野委員 破防法の第三条とこの三条の規定となぜこのように違ったかということは、また非常に重要な問題で、われわれも問題にしておりますから、他の委員質問に残しておきたいのでありますが、一応三条についての私の質問はこの程度で終わります。  第四条の規定以下、この法案の中心的な構成要件といいますか、法律上の要件になっております「政治上の主義若しくは施策又は思想的信条」というように、政治上の主義、信条あるいは施策、こういう重要な構成要件あるいは法律用語が使われておるわけでありますが、この「政治上の主義」という政治上という言葉をもう少しはっきりさしておかなければいけない。林委員社会党案に対する質問の中にもあったわけでありますが、政治上の主義、施策というものをもう少し限定的にはっきりさしておく必要がある。行政上の主義、施策と一体どこに区別があるのか。そういう点について十分御検討を加えられたと思うのでありますが、最初立案者である民社党提案者にお尋ねしたいと思います。
  61. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 これは読んで字の通りでありまして、政治的意味を持つところの主義を称しておるのでありますから、別に深い説明は必要としないであろうかと思います。
  62. 坪野米男

    坪野委員 田中先生は法律家であられて、そういう大ざっぱなことでは、少なくとも立法者の責任は果たせないと私は考えるわけでありまして、これは非常に意味のある、これがあとの条項にすべてかかってくるわけです。一体国会議員の国会におけるいろいろな活動についても関連してくるわけでありまするから、政治上という言葉、少なくとも政治上の主義といえば、大体社会通念上常識的にわかるような気がいたします。一体主義という点になってくると、厳密に検討する必要が出てくると思うのでありますが、今度は政治上の施策ということになってくると、もう少し概念的に検討を加えておかないと、ここに乱用のおそれの一つの問題点があるわけですから、そういう点、民社党議員の中で法律家もいらっしゃると思うわけですが、御検討になって、こういう破防法と同じような定義を盛り込まれたのか、あるいはその点については全然裁判所まかせ、あるいは法学者の解釈まかせ、あるいはこの法をまず第一次的に運用する警察、検察庁の人たちにまかせよう、立法者としてそこまで十分検討を加えておらなかったということになるのですか、その点を一つ……。
  63. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 政治上の主義と申しますのは、資本主義、社会主義あるいは共産主義を政治によって実現しようとする比較的基本的な、一般的な原則を意味するのでありまして、施策とは、政治によって実現しようとする比較的具体的な、特殊な、現実的な方策を意味しておるのであります。なお、これは破防法にも書いてございますから、もし必要がありましたら、公安当局の方から補足的に説明していただきます。
  64. 坪野米男

    坪野委員 今の言葉の定義の御説明は、提案理由の趣旨説明の中にあったわけでありますから、われわれも承知いたしておりますが、今政治上の主義、それから施策だけを御説明になっておるようであります。問題は、政治上の施策というものと行政上の施策と考えられる概念と、そういったものとの区別をお考えになって、現実にどういう政治上の主義、施策を推進し、反対する目的を持って以下のような違法な犯罪行為を犯す場合に、まず政治上の主義は比較的わかるとして、政治上の施策というものは、どの程度のものをお考えになっておるのか。もう少し具体的に提案者田中さんにお尋ねいたしたいと思います。
  65. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 先ほど申しましたように、施策というのは、基本的な、原則的なことをいうのではなくして、具体的に政治の力によって実現しようとする方策といいますか、施策という言葉でいうのではないかと思いまするけれども、実現しようという具体的な方策をいうのであります。
  66. 坪野米男

    坪野委員 今の御答弁では、結局さきの文章化された定義の説明から一歩も出ていないと思うわけであります。その点、政治上の施策というものを具体的に、今の定義をここで説明するための原稿はどなたがお作りになったか知りませんが、立案者として政治上の施策というものを具体的に行政上の施策などと区別してお考えになったことがあるのか、そういうむずかしいことは考えずに、破防法に書いてある文句をそのまま引き写したにすぎないのか、この点正直なところを伺いたい。
  67. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 これはここに書いてありまする通り、政治上の主義と政治上の施策とは別々に書いてあるのでありまして、むろんこれは同一ではありません。先ほど申しましたように、主義というのは、原則的な、根本的なことを意味するのでありまして、施策とは政治によって実現しようという具体的なことを意味するのでありますから、おのずからそこに、たとえば国民皆保険であるとか、その他のいろいろな具体的な実行しようとする政治上の方策がいわゆる施策であります。
  68. 坪野米男

    坪野委員 それでは政治上の施策を具体的に、これが政治上の施策なのかどうかを少し例をあげてお尋ねしたいと思いますが、今言われた国会で問題になっております国民年金法が、今度の国会では改正案その他出ておりますが、そういった立法府における法案の成立を推進する、あるいはこれに反対するというようなことは、政治上の施策になるのでしょうか、政治上の主義になるのでしょうか。
  69. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 具体的に法案として出ておりますのは、施策であると思います。
  70. 坪野米男

    坪野委員 たとえば今度の国会で問題になりました農業基本法案、これは非常に重要な法案で、原則的な政治の政策の根本、日本の農政の根本を原則的に規定した法案のようでございますが、こういう農業基本法案を推進する、あるいは反対するということは、これは政治上の主義と解していいのでしょうか、それとも施策と解していいのでしょうか。
  71. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 この農業基本法はいわゆる農業憲法と称せられておるものでありまして、大体原則的なことを掲げておるのでありますけれども、法案として具体的にここに上がって参りました場合には、私はやはり施策だと思っております。
  72. 坪野米男

    坪野委員 それでは日本国憲法——憲法という法律ではございますが、憲法を改正する、あるいは憲法改正に反対する、そういった動き、あるいはそういった目的は一体どう理解していいのですか。
  73. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 憲法の中における民主主義であるとか、そういうようなことにつきましては、これは政治上の主義になりましょうけれども、具体的に憲法の条章によって実現しようとする施策を、政府なり政党が考えて出してきますならば、それは憲法の規定の中から派生してくる具体的なものでありますから、私はそういう場合には政治上の施策というふうに考える次第であります。
  74. 坪野米男

    坪野委員 よとえば憲法の中で、憲法第九条の戦力放棄の規定、非常に重要な規定でありますが、この規定を改正しようという憲法改正の動きが一方にありまして、それに対して憲法第九条の改正に反対だ、日本は再軍備すべきではないのだという、簡単に言えば再軍備反対というような動き、おそらくこれは政治に関係があると思うのでありますが、こういった再軍備反対というような政治運動は政治上の主義に対するものか、施策に対するものか、その点御検討を加えられましたか。
  75. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 憲法第九条は抽象的に平和主義を表現したものであると解釈するならば、これは政治上の主義に相なります。しかしこの憲法の規定から一歩進んで、防衛のために軍隊を置くということになって、これを争うということになればこれは政治上の一つの施策になるのではないかと私は考えます。
  76. 坪野米男

    坪野委員 そうすると、ちょっと私今のお答えでよくわからないのですが、かりに政府が憲法第九条の改正をやって、自衛の軍隊を持てるような改正案を出す、これに反対するということは、政治上の施策に反対することじゃないのですか。主義に対する反対なのですか。一方この憲法を守るという立場から、再軍備反対だということも、政府施策に反対する、あるいは再軍備反対という政治施策を推進することになるのか、あるはそれは政治上の主義と言えるのかどうか、今の、場合によっては主義にもなるし、場合によっては施策にもなると思いますが、ちょっと私そこのところを聞き漏らしたかもしれませんが……。
  77. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 この規定を改正して再軍備を日本が持てるようにするということにしますならば、これは政治上の施策ではないかと思います。軍隊を作るということを具体的に入れて改正の方に持っていくということであれば、施策だと思います。
  78. 坪野米男

    坪野委員 では、そういうものを入れずに、今の憲法第九条の改正に反対だというだけ、再軍備すべきではないという一つの政治上の立場から、憲法第九条の改正に反対だというそれは、政治上の主義に対する反対ですか、それとも具体的に、軍隊を作るということではございませんで、今ある憲法第九条の規定の改正に反対だという場合、その反対は——社会党では政治上の主義だけですが、あなたの方では施策までも入っていますから、それは施策になるのですか、主義になるのですか。
  79. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 それは日本の平和主義を守ろうというための主張でありますならば、政治上の主義の方になると思います。
  80. 坪野米男

    坪野委員 平和主義を守ろうとするものならばではなしに、憲法第九条の改悪反対という、勢力が相当ありますが、憲法第九条を改正すべきではないという、そういう政治の動きは、主義に対して反対しておるのか、施策に対して反対しておるのかというお尋ねなんで、今の平和主義に反対するならば平和主義という主義に反対だというお答えじゃなしに、憲法第九条の改正に反対だという政治上の動きは、提案者の御説明では、政治上の主義に対して反対しておることになるのか、施策に対して反対しておることになるのかをお尋ねしておるのです。
  81. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 憲法第九条そのものをどういうふうに改正するかといううたい方にもよると思います。憲法第九条をどういうように改正するかということによって、具体的に出てくるなら、政治上の施策の争いに相なろうかと思います。抽象的にばく然と第九条を改正するんだという、内容を言わずに第九条を改正するんだという——内容のない主張はないと思いますけれども、ばく然と憲法第九条を改正するということでありますならば、これはどうも政治上の主義の争いになるのではないかと思います。ですから、私はその主張の内容によってこれは政治上の主義であるか、政治上の施策であるかということをいうべきであって、抽象的にどうこういうことは……。
  82. 坪野米男

    坪野委員 もちろんそうです。ですから、そういう場合に、お尋ねしておるのは、私の質問が抽象的であればもう少し具体的に言いますと、憲法第九条を廃止しようという一つの政治的な動きがあるわけです。ただ廃止する、これも改正ですね。憲法改正の一つの問題点として、第九条を廃止しようという動きに対して、その廃止に反対だ、存続さすべきだという政治の動き、これが主義に対して反対したことになるのか、施策に対して反対したことになるのかということです。
  83. 田中幾三郎

    田中(幾)議員 憲法第九条をただ単に廃止するという場合におきましては、私はこれは政治上の主義ということに解すべきではないかと思いますけれども、ただ単に廃止するということだけで、それにかわる何ものかをするということがなければ、具体的には施策であるか、主義であるかということは、抽象的には申し上げられない、かように思います。
  84. 坪野米男

    坪野委員 民社党立案者はこの点どの程度御検討になったか、もう少し詳しくお尋ねしたいと思いますが、時間の関係で一応この程度にし、あとまた質問を続行いたします。
  85. 池田清志

    池田委員長 午前中はこの程度にとどめまして、午後二時から委員会を続行いたします。    正午休憩      ————◇—————    午後五時四十九分開議
  86. 池田清志

    池田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際申し上げます。早川崇君外七名提出政治的暴力行為防止法案に対し、自由民主党及び民主社会党共同提案として、春日一幸君外一名から修正案が提出せられております。その案文は諸君のお手元に酎付いたしておる通りでございます。     —————————————
  87. 池田清志

    池田委員長 この際、右修正案について、提出者から趣旨説明を聴取することといたします。春日一幸君。
  88. 春日一幸

    春日委員 ただいま議題となりました政治的暴力行為防止法案に対し、私はここに修正案を提出いたします。なお本修正案は、自由民主党及び民主社会党共同提案として提出をいたすものであります。以降その趣旨について逐次御説明申し上げます。  まず修正要旨の第一点は、本法案中の「思想的信条」という字句を「政治的信条」という字句に修正することであります。この点は実は原案の「思想的信条」の字句の解釈につきまして、当初から宗教上の信仰のごときは含まないつもりで立案されたことと思いますが、その解釈が必ずしも明確ではないきらいがありますので、本法案全体の趣旨からいたしまして、「政治的信条」と直した方がよいと思うのであります。  第二点は、第三条第二項に「労働組合その他の団体の正当な活動並びに」の字句を挿入することであります。この点は原案自体ですでに包含されていることとは思いますが、念のため、本法の趣旨を一そう明確にするためであります。  第三点は、第六条、警察署への通報の規定を削除することであります。この点は原案作成者は、おそらくは政治的暴力行為を国民全体が協力して防止しようという趣旨で、きわめて純な気持でお作りになったと思うのではありますが、意外にもこの規定を曲解する向きもあるやに存ぜられますので、そのような誤解を避けるため、削除してもよいではないかと思うのであります。  第四点は、第二十二条に「情を知って、」の字句を挿入することであります。この点もむしろ当然なことを明らかにする意味で、念のための修正であります。  第五点は、内閣総理大臣官邸及び国会議事堂への侵入罪についての教唆扇動罪にかかる部分を削除することであります。この点は、この侵入罪の教唆、扇動を独立罪としまで規定する必要はないと思うからであります。  第六点は、本法施行後五年を経過した後、本法を存続させるかどうかについて、政府は国会の議決を求めなければならないこととし、もしこの法律を存続させる旨の議決がなかった場合におきましては、本法はその効力を失うこととする旨の規定を設けることであります。なおその結果、本法が失効した場合においても、従前の犯罪は本法により処罰される旨を明記したことであります。この点は、本法案制定の趣旨にかんがみまして、このような措置が妥当であると思われるからであります。  以上でございます。  慎重御審議を願いまして、何とぞ御賛成あらんことをお願い申し上げる次第であります。
  89. 池田清志

    池田委員長 これにて修正案に対する趣旨説明は終わりました。  次会は明二十七日午前十時より開会いたします。念のために申し上げます。来たる日曜と月曜は休みにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十三分散会