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津田政府委員 御
承知のように、現在の
執行吏制度は明治二十三年に初めて
制定されたものでありまして、いわば非常に時代離れがしておるということも言えるわけです。各方面からこの
制度の改善が要望されておりますし、ことに執行の適正を確保するために、全面的、根本的な
改正が必要であるということが言われておるわけであります。そこで、
政府におきましてはこの
制度の
改正に着手いたしまして、
裁判所、検察庁、弁護士会あるいは学会等の各方面から改善意見を徴して、
執行吏制度の運用の調査も行なって参りましたし、研究もいたしております。なお
昭和二十九年七月には法務大臣から法制
審議会に
執行吏制度の改善に関する諮問が発せられておりまして、法制
審議会におきましては、強制執行
制度部会小
委員会を設け、同時に諮問されました強制執行及び競売に関する
制度の改善の問題とともに調査
審議を続けて参っておるわけでございます。何分にも
執行吏制度をどうするかという問題は、強制執行と競売の基本構造の問題、
裁判所の組織の問題といったようなきわめて困難な問題でありまして、いまだ
結論に到達するには至っておりません。
法務省におきましては、法制
審議会の
審議の下準備のためにひんぱんに
会議を開いておりまして、ほとんど一昨年以来毎週一回その会合をいたしておるわけであります。もっぱら問題を執行機関の構成の問題、権限の問題、執行処分に対する不服申し立ての問題等に対する
改正と、これらに関連を持つ強制執行、競売手続の
改正にしぼって鋭意作業を進めておるわけでございまして、遠からざるうちにその
結論が得られるというふうに考えております。
執行吏の
手数料の問題につきましては、これとあわせて考えるべき問題でありまして、もし
執行吏制度が執行官になるならば、
手数料の問題はおのずから解消してしまう問題でもあるわけであります。そういう意味におきまして、現在の
執行吏制度改善の進行状態とにらみ合わせなければ、とうてい根本的に
執行吏の
手数料の問題を解決し得ないというふうに考えております。しかしながらそれでもなおかつ現在の
執行吏の
手数料が不当に低額であるということになれば、これはまたその間の暫定
措置も特別に考えざるを得ないということでありまするけれども、現在の状態におきましては、
執行吏を監督をいたしております最高
裁判所に照会いたしましたところ、特段に
改正と申しますか、
増額をこの際考えるべき必要があるとは考えていないというような
趣旨の回答もありました。
法務省自体といたしましても、まだ
改正の必要があるとは考えられないわけであります。
なお、
政府におきましては、一般の公共料金の値上げ抑制の態勢をとっておるわけでありますので、こういう点もにらみ合わせまして、今回
執行吏の
手数料につきましては、その
改正を見送るということに考えておる次第でございます。