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田中(伊)
委員 これはインターンにも出すのですね。インターンには六千円出すようですね。
そこでもう
一つ大事なことを伺っておきたいのですが、途中で逃げられぬ対策というものをもっと真剣に
考えてもらいたい。むろん貸した金は返して逃げるのでしょうけれ
ども、何にしたってこういう
法律制度をこしらえて、貸費の姿勢をとって、せっかく招いてきて
採用した者が途中で転職をするということ、これじゃ
法律の目的も
制度の目的も達せられぬ。これは
一つ真剣に
考えてもらいたい。よほど真剣にお
考えにならないと、だんだん所得がふえていく
状況のもとにおいては、官界外の処遇、待遇というものは、これに比較してますますよくなっていくということが
考えられる、逃げる率はふえてくる、こういうことになる。しっかりお
考えを願いたい。この職におることに魅力が持てるように、これは何といっても自然科学をおさめた人間を
採用するのですから、待遇ばっかり、給与ばっかりじゃないと思う。この職におることに魅力があるということでなければ、長くこの職に精進をしてくれるということがやりにくいのではないか、こう
考える。そういう私の
考えに関連をして
考えたいのは、これらの矯正医官の人々を中心として、十分にその魅力のある研究課題を与えることが
一つじゃないか。たとえば、
一つの例をあげて申してみますと、刑務所、鑑別所、少年院などというところへ拘禁されておる人の肉体を見る、精神を見るお医者さんですね、これは最近各
方面で真剣に取り上げられておる。いわゆる拘禁性の反応という中には、拘禁の及ぼす結果、精神の反応、肉体の反応というものの二つを含んでおるものでしょう。こういう拘禁性反応というものを中心にする研究は、世界的にこれといって見るべき文献がいまだ今日ない。たしか昨年のことですか、アメリカと
日本との間にわが国で初めてこの研究会が開かれ、近く学会で発表されることが期待されておる様子です。非常によい課題ではないか、こういう課題を取り上げるということは、拘禁をされておる人は、拘禁を受けた結果、精神にどういう影響を及ぼすか、その肉体にどういう影響が及ぶか、その結果心臓なら心臓というものに対して
——学者の研究によると心臓ばかりではない、肝臓にも精神の影響からくるところの重要な変化が起こるものと想定されておる。心臓に関する病的変化の研究はすでに行なわれておりますね。肝臓にも影響がある、こういうことなのだ。この拘禁性の反応というものの
結論はどこに大きな影響があるかというと、人間の寿命に大きな影響があるということが最大のねらいです。肉体の拘禁から精神的影響を受ける、その結果は人間の命を縮めるのだという
一つの研究なんですね。そういうおそれがある、そういう影響が証明できるという研究が、将来の大きな研究として持ち出されておる
一つの例ですよ。そういう研究課題というものを医官に対して与える必要があるのじゃないか。そういう研究もここにおいてはできる。またそういう研究の結果は、国内の学会にも出ていって発表ができる。現在の医官の立場から申しますと、これという研究課題があるというわけでもなければ、それに対する
予算が与えられているわけでもない。
制度として確立されていないのですね。その結果は、その研究の結果を持って国内の学会においてこれを発表するといってもなかなかできない、そういうポストも与えられない、機会も与えられないということになる。さらにこれを国際的な矯正医学会に対しても持ち出して発表ができる、旅行もできる、出張もできる、こういう職務にある人が魅力を持ってその職に精進のできるようなことを
一つ真剣にお
考えを願いたい、こういうふうに私は思う。それを
考えてそういう
制度を作っていけば非常にりっぱな
仕事もできることになるし、また自分の地位に対しても非常な魅力が持てる。待遇ばかりではない。特に引き離して他の
政府職員より抜群のよい待遇をするなどということのできる筋のものでもありません。給与以外に魅力の持てる研究課題を与える、研究の機会を与える、国の内外に発表もできるというふうに持っていくことが非常に大事なことではなかろうか、どうお
考えでしょう。