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矢嶋参議院議員 委員長の
お許しを得ましたので、
学校図書館法の一部を改正する
法律案外四
法律案につきまして、
発議者を代表して
説明をさせていただきます。
ただいま
議題となりました
学校図書館法の一部を改正する
法律案につきまして、その
提案の
理由及び
内容の概略を御
説明申し上げます。
学校図書館が、
学校教育において欠くことのできない基礎的な設備であるとして、その健全な発達をはかるために、
学校図書館法が制定されましてから満八年を迎えようとしております。この間、
関係者の努力により、
学校図書館の
設置は急速に進められ、今日
全国の小・中・
高等学校の約九〇%が、何らかの
図書館施設を持つに至り、
学校教育充実のために、重要な
役割を果たしておりますことはまことに喜ばしいことであります。
しかしながら、その実状を見るとき、まだまだ問題は多いと言わなければなりません。申すまでもなく
法律では、
学校には
学校図書館を設けなければならないこと、また
学校図書館には、
専門的職務をつかさどるための
司書教諭を置かなければならないと
規定されており、附則で、当分の
間司書教諭を置かないことができるとなっております。この特例は、必要な人数だけの
司書教諭を短期間に養成することが困難であったためのやむを得ない
措置だと了解しております。
ところで、
法制定後、七年を経た現在でも、
司書教諭の発令を受けている者及び
司書教諭の有
資格者は、なお非常に少ない状態であります。この原因は、
司書講習が円滑に行なわれていないというよりは、
一般教科の教員が不足しているところからきておると思われるのであります。これがため現場では、やむを得ず
図書館事務員を数多く採用し、
図書館を支えているというのが
実情であります。
昨年一月に行なわれた
全国学校図書館協議会の
全国実態調査の結果によれば、このような
事務員の数は、
高等学校で約五千名、小、
中学校で約四千名、計九千名に上っております。そしてその
給与の出所を見まするに、約七〇%は
PTA等の
私費負担であり、わずかに三〇%が
公費負担であります。
私費負担による
事務員は昇給もなく、
社会保険の適用もないありさまで、せいぜい月額五千円程度の
給与しか受けていないというひどい待遇であります。また
公費負担の場合も、たとえば
学校司書、
司書見習、
主事、
主事補、
講師、
実習助手、用務員、雇員、
給食婦等々三十種類に余るさまざまの
任用形式がとられており、その身分、待遇ともにまことに不安定であります。
御承知の通り、本年四月一日以降は、
市町村立
学校で働らくこうした
事務員等の
給与はPTA負担等に転稼してはならない旨、
地方財政法が改められました。またこれらの
事務員の職務は、
図書館業務を行ないつつ、
生徒、の読書指導等の教育面をも担当する
わけで、その責任は重く、従ってそれにふさわしい素養、資格を必要といたしますが、現に働らいているこれらの
図書館事務員の学歴は、大多数が高校もしくは短大卒であります。
右のような諸事情を勘案いたしまして、今後の方向としては、第一に、こうした
図書館事務員の身分、待遇を安定化するとともに、その素質をさらに高めるため、助
教諭である者もしくは助
教諭たるべき資格を有する者で、
一定の講習を受けた者については司書助
教諭に任命すること、第二には、小、
中学校において新たに助
教諭に任ぜられ、司書助
教諭を命ぜられた者の
給与は、自動的に
市町村立
学校職員
給与負担法によって県費負担とされ、その半額は国庫負担とされることにより、
市町村やPTAの負担を軽減できること、この二点が、真に
学校図書館を充実する道であると信ずるものであります。
以上の
理由により、現行法に必要な改正を加えることが適切であると考え、ここに本
法律案を
提出した次第であります。
改正のおもな点は、現行法第五条を改めて、
学校には司書助
教諭を置くことができることとし、司書助
教諭は、
文部省令で定める
一定の講習を受けた助
教諭でなければならないといたしたことであります。なお、講習計画の立案と実施、
地方財政計画の策定と
義務教育費国庫負担金の計上等の準備の諸点にかんがみ、本法の施行は
昭和三十七年四月一日といたしております。
以上が、この
法律案の
提案の
理由及び
内容の概略であります。
次に、
高等学校の
定時制教育及び
通信教育振興法の一部を改正する
法律案につきまして、
提案者を代表して、
提案理由及び
内容の概略を御
説明申し上げます。
御承知の通り、働きながら学ぶ青少年に対し、教育の
機会均等を保障する目的をもって、戦後制定されたこの
法律は、発足以来すでに十年になんなんといたしておりますけれども、これらの教育のための施設設備の拡充強化、
教職員の待遇の改善等は、いまだ必ずしも遺憾ない状態にあるとは申されません。昨年第三十四回国会において、
政府の
提案にかかる本
法律の改正を見ました結果、
定時制教育及び通信教育に従事する校長及び職員に対しては、
昭和三十五年四月一日から、七%の手当が支給されておりますが、この定通手当を支給する根拠は、
定時制教育及び通信教育の複雑困難性にありとし、これらの教育に携わる校長及び職員に対し、その労に報いて、専心その職務に精励できるようにするとともに、優秀な人材をこの方面に誘致確保して、もって
定時制教育及び通信教育の
振興をはからんとすることが、
政府の意図でありました。この改正案の審議に際し、衆参両院の
文教委員会において、
定時制教育及び通信教育における複雑性と困難性とは、教員についてのみ当てはまることではなく、これらの
学校に勤務する
事務職員についても同様の事情にあるから、定通手当の対象はすべからく
事務職員にまで拡大すべきであるという趣旨の主張が繰り返されたのでありますが、このことは、夜間において授業を行なう定時制の
課程の
事務職員については特に強調されなければなりません。
すなわち、勤労青少年の特殊性による
事務の繁雑困難は、一般全日制高校とは比すべくもなく、しかも夜間勤務は全く特殊勤務であって、その勤務時間も大体午後二時から十時半にまで及ぶのでありますから、一週間にわたり、連日家族と夕食をともにできない
実情にあり、かつ、各校とも非常に定員不足でありますために、その
事務量も絶えず過重になっておりますばかりでなく、軽微な疾患などは押して出勤しなければならない事情にありますことから、往々健康をそこねる結果を招いている現状であります。
以上述べました
理由により、この際、夜間の定時制
課程の
事務職員に対しましても、教員と同様に七%の定通手当を支給いたしますことが、その労に報いるとともに
事務能率を高め、ひいては
定時制教育の
振興に資するゆえんであると考えられますので、ここに改正案を
提出いたした次第であります。
改正の主要点は、第五条及び第六条の定時制通信教育手当の対象に、本務として夜間において授業を行なう定時制の
課程の
事務その他の職務に従事する
事務職員、その他の職員に限ってこれを加えることとしたことでありまして、その他若干の字句の改正をいたしております。なお、この
法律は
昭和三十七年四月一日から施行することといたしております。
次に、
学校給食法の一部を改正する
法律案につきまして、その
提案の
理由及び
内容の概略を御
説明申し上げます。
御承知の通り、終戦直後の
昭和二十二年、食糧事情が著しく窮迫していた大都市において開始されました
学校給食は、次第にその意義と効果を認められ、着実な発展を遂げて参りました。特に
昭和二十九年には、広範な国民の希望と支持により、
学校給食法が制定され、その後は一そう堅実な普及を示し、児童、
生徒の心身の発達と国民の食生活改善に多大の貢献を果たしました。しかしながら他面現行法の建前は、
学校給食の
重要性を認めながらも、国や
地方公共団体に対しては、その普及発達に努力せよといういわば訓示的任務を課しているにすぎません。つまり給食の実施は、あくまでも
設置者の任意になっているのであります。従いまして
全国的に見ますと、給食未実施校はいまだ数多く、小
学校児童のうち約三二%、四百万人、
中学校生徒のうち約八七%、五百万人が、給食を受けていない状況であります。ところで、小
学校における未実施校は、主として農山漁村に集中しております。これは結局のところ、町村財政が豊かでなく、給食の施設設備費、人件費等の捻出が困難であり、現金収入の乏しい農山村家庭にとって給食費が重荷であることに起因していると考えられます。また
中学校においては、以上の
理由のほか、進学や就職の問題に
教職員が忙殺されて、現状の人員構成ではその余裕がないことによるものと思われます。
学校給食の目標からいえば、児童、
生徒の体位が劣り、食生活の改善も必要な農山村においてこそその実施は必要であり、また心身ともに育ち盛りにある
中学校生徒に対する給食の効果は、非常に大きいと言わなければなりません。
次に、最近、増加傾向にある父兄負担教育費の軽減については、昨年、
地方財政法が改められ、給食関係の施設設備費や人件費を父兄負担に転嫁することは、禁止されました。しかし、この程度の禁止
規定とこれに対応する
地方財政措置だけでは、給食未実施の地域に、今後給食を普及することは、期待できません。
そこで、この際、現行法を抜本的に改めて、
義務教育諸
学校における
学校給食の実施を年次計画をもって義務制化し、それに必要な国庫負担もしくは補助の
措置を強化することが、
日本の将来をになう次代の国民の育成に不可欠の教育的配慮であると考え、本改正案を
提出した次第であります。
改正のおもな点は、第一には、国、
公立の
義務教育諸
学校における
学校給食の実施を、
昭和四十一年四月一日から義務制とすること。第二には、国、
公立の
義務教育諸
学校には、
昭和四十一年四月一日から栄養士及び給食従事員を必置することとし、
公立義務教育諸
学校の栄養士の
給与費の十分の八を国庫の負担とすること。ただし、
昭和三十九年までは、
法律で定める別の負担率によること。第三には、
公立の
義務教育諸
学校における
学校給食の施設設備費の十分の八を国庫の負担とすること。第四には、国、
公立の
義務教育諸
学校における
学校給食費は、
昭和四十一年四月一日から全額国庫の負担とし、それまでの間は、
法律に定める割合で、保護者に対し給食費の国庫補助を行なうこと。第五には、
学校給食を実施する
私立の
義務教育諸
学校の
設置者に対し、その施設設備費の二分の一を国庫から補助するものとするとともに、
学校給食費の十分の八を保護者に対し、国庫補助するものとすること。ただし、給食費については
昭和三十七年度及び三十八年度に限り、
法律で定める別の補助率によること。第六には、この
法律は、
昭和三十七年四月一日から施行すること、などであります。
以上が、この
法律案の
提案の
理由及び
内容の概略であります。
次に、
夜間課程を置く
高等学校における
学校給食に関する
法律の一部を改正する
法律案につきまして、御
説明申し上げます。
高等学校の定時制
夜間課程に学ぶ勤労青少年のために、特に、
学校給食の実施を普及することを目的として、
昭和三十二年、現行法は制定されましたが、その普及率を見るに、給食を受けている者は、
夜間課程生徒約四十万人のわずかに二〇%にすぎません。従いまして、別に
学校給食法を根本的に改める
提案を行ないましたが、この際本制度における給食についても、その普及を一そう促進するために、現行法の一部に必要な改正を加えることを適当と考え、本
法律案を
提案した次第であります。
改正のおもな点は、夜間
学校給食の施設設備費の二分の一、
学校給食費の十分の八を国庫から補助することとすること。ただし、給食費の補助については、
昭和三十七年度及び
昭和三十八年度に限り、
法律で定める別の補助率とすることなどであります。なお、この
法律の施行日は、
昭和三十七年四月一日といたしております。
以上が、この
法律案の
提案の
理由及び
内容の概略であります。
最後に、
盲学校、聾
学校及び
養護学校の
幼稚部及び
高等部における
学校給食に関する
法律の一部を改正する
法律案につきまして、御
説明申し上げます。
昭和三十二年に制定されました現行法の趣旨は、特殊教育諸
学校の
幼稚部及び
高等部における教育が義務制並みに扱われることが適当であり、
学校給食についても同様の
措置をすべきものとされたところにあるものと考えられます。翻って、本法に基づく給食の実施状況を見ますと、約九千名の幼児及び
生徒のうち、約四〇%の者が給食を受けているにすぎません。従いまして、別に
学校給食法を根本的に改める
提案を行ないましたが、この際、本制度における給食についてもその普及を一そう促進するために、現行法の一部に必要な改正を加えることを適当と考え、本
法律を
提案した次第であります。
改正のおもな点は、特殊教育諸
学校における
学校給食の施設設備費の二分の一、
学校給食費の十分の八を国庫から補助することとすること。ただし、給食費の補助については、
昭和三十七年度及び
昭和三十八年度に限り、
法律で定める別の補助率とすることなどであります。なお、この
法律の施行日は、
昭和三十七年四月一日といたしております。
以上が、この
法律案の
提案の
理由及び
内容の概略であります。何とぞ以上の五法案について十分御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。