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1961-02-08 第38回国会 衆議院 文教委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和三十五年十二月二 十六日)(月曜日)(午前零時現在)にお ける本委員は、次の通りである。    委員長 濱野 清吾君    理事 臼井 莊一君 理事 坂田 道太君    理事 竹下  登君 理事 中村庸一郎君    理事 米田 吉盛君 理事 栗原 俊夫君    理事 西村 力弥君 理事 長谷川 保君       伊藤 郷一君    上村千一郎君       大村 清一君    田川 誠一君       高橋 英吉君    千葉 三郎君       灘尾 弘吉君    花村 四郎君       原田  憲君    松永  東君       松山千惠子君    南  好雄君       八木 徹雄君    高田 富之君       高津 正道君    楢崎弥之助君       原   彪君    三木 喜夫君       村山 喜一君    山崎 始男君       鈴木 義男君 ————————————————————— 昭和三十六年二月八日(水曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君    理事 臼井 莊一君 理事 坂田 道太君    理事 竹下  登君 理事 前田榮之助君    理事 山中 吾郎君       伊藤 郷一君    上村千一郎君       大村 清一君    田川 誠一君       花村 四郎君    八木 徹雄君       高津 正道君    松原喜之次君       村山 喜一君    鈴木 義男君  出席国務大臣         文 部 大 臣 荒木萬壽夫君  出席政府委員         文部政務次官  纐纈 彌三君         文部事務官         (大臣官房会計         課長)     安嶋  彌君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     内藤譽三郎君  委員外出席者         専  門  員 石井  勗君     ————————————— 一月三十日  栗原俊夫君、高田富之君、楢崎弥之助君、西村  力弥君、長谷川保君及び原彪辞任につき、そ  の補欠として山中吾郎君、井伊誠一君、松原喜  之次君、山口シヅエ君、小林信一君及び前田榮  之助君が議長の指名で委員に選任された。 二月八日  理事栗原俊夫君、西村力弥君及び長谷川保君一  月三十日委員辞任につき、その補欠として前田  榮之助君、山崎始男君及び山中吾郎君が理事に  当選した。     ————————————— 二月四日  就学困難な児童及び生徒のための教科用図書及  び修学旅行費給与に対する国の補助に関する  法律の一部を改正する法律案内閣提出第一三  号)  盲学校、聾(ろう学校及び養護学校への就学  奨励に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第一四号) 同月六日  公立文教施設整備費予算増額に関する請願(  増田甲子七君紹介)(第二二号)  信州大学医学部付属病院建設続行に関する請  願(増田甲子七君紹介)(第二三号)  高等学校施設拡充に関する請願山田長司君紹  介)(第一六二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  委員派遣承認申請に関する件  国政調査承認要求に関する件  就学困難な児童及び生徒のための教科用図書及  び修学旅行費給与に対する国の補助に関する  法律の一部を改正する法律案内閣提出第一三  号)  盲学校、聾(ろう学校及び養護学校への就学  奨励に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第一四号)  昭和三十六年度文部省関係予算について説明聴  取      ————◇—————
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  お諮りいたします。去る三十日、栗原俊夫君、西村力弥君及び長谷川保君が委員辞任されましたので、これに伴い理事三名が欠員となっております。先例により、理事補欠選任についてはその手続を省略し、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 濱野清吾

    濱野委員長 御異議なしと認めます。それでは前田榮之助君、山中吾郎君及び山崎始男君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  4. 濱野清吾

    濱野委員長 次に、衆議院規則第九十四条により議長に対し国政調査承認要求をいたしたいと存じます。すなわち、今会期中におきまして、教育学術基礎問題、学術研究学校教育社会教育体育文化財保護、宗教及び国際文化交流に関する事項につき議長に対し国政調査承認を要求いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 濱野清吾

    濱野委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。      ————◇—————
  6. 濱野清吾

    濱野委員長 この際、文教行政に関し荒木文部大臣より発言を求められております。これを許します。荒木文部大臣
  7. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 昭和三十六年度文部省所管予算案につきまして、その概要を御説明いたします。  昭和三十六年度文部省所管予算額は、二千四百十六億一千九百九万五千円でありまして、一般会計予算の一二%強を占めております。  これを補正後の前年度予算に比較いたしますと、二百七十五億一千八百六十八万二千円の増額であり、その増額分内訳としては、義務教育費国庫負担金百六億円、国立学校運営費百二十億円、国立文教施設整備費二十八億円等がおもなものであります。  以下、明年度予算案において特に重点として取り上げた施策について申し上げます。  まず第一は、初等中等教育改善充実でありますが、この点につきましては、前年度に引き続き義務教育学校における教職員の充足と学校施設整備を推進することを重点といたしております。  まず、義務教育に従事する教職員定数につきましては、小学校児童数の減及び中学校生徒数の増に対応して差し引き約八千五百人の増員を見込んでおります。  このほか充て指導主事六百人の増員昇給及び昨年の人事院勧告の実施、教材等に要する経費を含め、義務教育費国庫負担金千三百四十三億円余を計上いたしました。  次に学校施設につきましては、公立文教施設整備五カ年計画の線に沿い、小、中学校校舎増築危険校舎改築屋内違勅場整備学校統合に伴う校舎の新増築等のため、百一億七千万円余を計上いたしましたが、特に中学校校舎整備につきましては、五ヵ年計画残り計画の全部を三十六年度に繰り上げ実施することとし、また、工業高等学校一般校舎整備について新たに国庫補助を行なうことといたしたのであります。  第二は科学技術教育振興であります。科学技術に関する教育研究拡充強化をはかることは、わが国の産業経済発展基礎をなすものであり、また国民所得倍増計画の達成を期する上においても不可欠の事柄であります。  このことにつきましては、従来からも鋭意努力を続けて参ったのでありますが、三十六年度予算案におきましてはさらに一段と力を注ぐこととし、初等中等教育大学教育及び学術研究の各面にわたって所要経費増額計上いたしております。  まず、初等中等教育につきましては、理科教育及び産業教育関係補助金を大幅に増額し、施設設備改善充実をはかっておりますが、特に高等学校工業課程拡充をはかるため、前に述べました一般校舎整備をはかるほか、実験実習施設設備整備についても国庫補助増額し、中堅技術者不足に対処することといたしたのであります。  次に大学教育につきましては、専門技術者養成のため、国立学校において理工系学生約千八百人を増募することとし、このために必要な学部学科新設、改組を行ない、また原子力、基礎電子工学防災科学等に関する基礎研究及び教育を推進するため、プラズマ研究所及び原爆放射能医学研究所新設を初め、講座及び研究部門拡充整備を行なうこととしましたほか、教育研究充実向上をはかるため教官研究費及び教官研究旅費増額、並びに施設設備の大幅な改善をはかることといたしております。  また、工業同等学校拡充に関連して、工業教員不足に対処するため、全国九つ国立大学工業教員養成所を附置することとし、その他科学研究費交付金民間学術団体補助金等についても予算増額を行なっております。  第三は教育機会均等の確保と人材開発であります。優秀な学徒で経済的に困窮している者に対して国がこれを援助し、その向学の志を全うさせることは、きわめて重要なことであります。このため三十六年度予算案におきましては、特に育英奨学制度拡充をはかり、特別奨学生採用数を大幅に増加するとともに大学院にかかる奨学金単価引き上げることといたしております。なお、沖縄在住高等学校生徒に対しましても特別奨学制度を実施するため、所要資金援助を行なうことといたしております。  次に要保護、準要保護児童生徒対策僻地教育特殊教育等、恵まれない事情にある児童生徒に対する援助並びに教育につきましては、教育機会均等趣旨にのっとり、従来からも特に留意して参ったのでありますが、明年度におきましては、一段とこれが充実をはかることといたしました。すなわち、要保護、準要保護児童生徒対策につきましては、要保護、準要保護児童生徒数増加をはかるとともに新たに学用品費及び通学費について援助を行なうことといたしました。  僻地教育につきましては、僻地の小中学校テレビレビ受像機、スクールバス、ボート設置並びに僻地教員住宅建築等について予算増額を行ない、また特殊教育については養護学校及び特殊学級普及並びに就学奨励費拡充をはかるとともに、盲ろう学校生徒の新職業開拓等について新規補助金を計上したのであります。  第四は勤労青少年教育社会教育及び体育振興普及であります。  国家社会発展は、健全な青少年の育成に待つところ多大であり、勤労青少年教育の問題は、学校教育及び社会教育の両面にわたって深く考慮を払うべきところであります。  明年度予算案におきましては、定時制高等学校施設設備整備定時制及び通信教育手当等関係経費増額いたしますとともに、夜間定時制高等学校につきましては、従来からの給食施設費補助金のほか新たに夜食費補助金を計上し、また社会教育の面におきましては、青年学級充実振興青年の家の整備青少年活動助成等に要する経費増額計上いたしております。  次に、社会教育につきましては、社会教育指導者養成社会教育関係団体助成婦人学級振興等につきまして従来に引き続き所要経費を計上しておりますが、公民館、図書館等施設設備整備については特に配意し、予算増額をはかっているのであります。  次に体育は、国民の健康を維持増進し、その生活を明るくする上に重要な意義を持つものでありますが、オリンピック東京大会を三年後に控え、その意義を高めるためにもこれが普及振興に努めることはきわめて重要であります。  まづ、オリンピック東京大会の準備といたしましては、オリンピック組織委員会機構拡充国立競技場拡充整備及び競技技術向上をはかるため、関係予算増額を行なっております。  また国民一般に対する体育普及奨励をはかるためには体育館、プール等体育施設整備青少年スポーツ活動振興助成等のため必要な経費を計上いたしたのであります。  第五は私立学校教育振興助成であります。私立学校教育重要性については、あらためて申すまでもないところでありますが、明年度予算案におきましては、本年度に引き続き関係経費を大幅に増額し、合計二十四億五千万円余を計上いたしております。そのおもなものとしては、私立学校振興会出資金として高等学校生徒急増対策の分も含め、八億円を計上いたしますとともに、私立大学理科特別助成費に十億円余、私立大学研究設備助成費に五億五千万円余を計上し、科学技術教育振興趣旨にも沿うこととしたのであります。  以上のほか、教職員研修のための教育会館建設中学校生徒全国学力テスト高等学校普通課程における家庭科設備充実国際文化交流ユネスコ事業文化財保存事業等についても所要経費を計上いたしたのであります。  以上、文部省所管予算案につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。
  8. 濱野清吾

    濱野委員長 次に安嶋会計課長より文部省所管予算に関する詳細説明を求めます。安嶋会計課長
  9. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 お手元にお配りいたしました予算要求額事項別表につきまして、ただいまの大臣の御説明を補足して御説明申し上げます。順を追って申し上げたいと思います。  最初は初等中等教育改善充実でございまして、その第一は義務教育費国庫負担金であります。義務教育費国庫負担金総額は千三百四十三億円余でございまして、文部省所管予算全体の約五五%を占めております。義務教育費国庫負担金の中の一番大きなものはもちろん給与費でございまして、その点につきましては前年度に対しまして百六億円の増額となっております。  明年度におきましては小学校児童が七十九万七千人減少いたします。逆に中学校生徒が九十七万八千人増加いたします。差し引き児童生徒数におきまして十八万一千人の増ということになっております。これに伴いまして、教職員の数でございますが、小学校におきまして一万三千八百九十八人の減、中学校におきまして二万二千四百六十四人の増ということになっております。差し引き教職員定数といたしまして八千五百六十六人の増を見込んでおるわけであります。  なお、すし詰め解消の五カ年計画でございますが、ただいま申し上げました通り中学校自然増が非常に激しいわけでございますので、三十六年度すし詰め解消の点につきましては、三十五年度の暫定的な学級編成基準を踏襲することにいたしております。そういたしておりますが、すし詰め解消の五カ年計画の全体につきましては、これは変更がないということでございまして、三十八年度までには既定計画通り五カ年計画を遂行する考えでおるのでございます。  次に、増加額内訳でございますが、まず昇給原資といたしまして約二十八億円が見込まれております。  次に教職員の増でございますが、これはただいま申し上げました八千五百六十六人の増に見合う分でございまして、十八億円になっております。  次は、充て指導主事でございますが、これは義務教育学校教職員の身分を持って指導主事に充てられておる者の給与でございます。これを六百人新規積算をいたしております。このことによりまして、市町村教育内容に対する指導力を強化向上させたいということでございます。  次は校長の管理職手当でございますが、これは従前の七%を八%に引き上げる。なお教頭の管理職手当につきましては従前通り七%に据え置かれております。  次は給与改定でございますが、これは先般の給与改定ほか薪炭手当寒冷地手当等引き上げ分を見込んでおります。  次は同一市町村内における暫定手当の是正でございますが、これまた人事院勧告に従いまして、同一市町村内で暫定手当級地の違うものにつきましてはその最低級地を一級地引き上げるということに要する経費でございまして、一億六千五百万円となっております。  めくりまして、次に退職手当算定率、これは一般県につきまして千分の四十を千分の五十に引き上げております。これは従来の実積を勘案いたしまして引き上げた次第でございます。  恩給費の増が八億五千万円計上されておりますが、これも従来の、実績からこの程度の額を引き上げたわけであります。  次は旅費宿日直手当の増でございますが、旅費につきましては従前の四千円の単価を四千四百円といたしております。日直手当宿直手当につきましても実績に基づきまして若干の引き上げを行なっております。  それから一つ飛びまして、三十四年度不足額補てんの分でございますが、これは計算上一応減ということに相なるわけであります。  三十五年度不足分につきましては、これは最終的には清算が行なわれるわけでございますが、不足分の一部といたしまして八億七千万円を当初予算に計上したわけでございます。  次は教材費でございますが、この教材費単価につきましては前年同額に据え置かれております。総額におきまして二千二百万円増加いたしております。これは単価の高い中学校生徒が増えまして、単価の安い小学校児童が減少したことに伴う増でございます。  次は、公立養護学校教育費国庫負担金でございますが、既設四十一校のほか新設十四校を予定いたしております。その他給与費積算につきましては、ただいま義務教育費国庫負担金について申し上げたのとほぼ同様でございます。教材費単価も前年踊り据え置いております。  次は、二ページ公立文教施設整備でございます。総額におきまして約百一億円でございまして、前年度額に比べまして、形の上では二十四億円の減ということに相なっておりますが、これは御承知の通り、三十五年度補正におきまして、中学校一般校舎整備のために四十億円の補正予算を計上したわけでございますが、これは、三十六年の不足校舎の繰り上げでございましたので、実質的にはもとより減が立っているわけではないのであります。  中身でございますが、まず不正常授業解消分といたしまして、先ほど申し上げましたように、中学生急増が著しいわけでございますので、それに重点を置きまして、四十四億円を計上いたしております。なお三十七年度においても中学校生徒は引き続き増加するわけでありますが、それに伴う一般校舎不足分も一〇〇%三十六年度に繰り上げて整備をするという積算になっております。  それからちょっと先に参りまして、高等学校建物整備でございます。備考カッコ書きにもございますように、工業高等学校建物整備につきまして、一億九千二百万円余を計上いたしております。これはただいまの大臣説明にもございましたように、従来工業高等学校に対しまする補助金といたしましては、産業教育振興法に基づきます設備と、それから実験実習等に対する施設補助があったわけでありますが、今回新たに工業高等学校一般校舎についての整備につきましても国庫補助をするということにいたしたわけであります。これは後ほど申し上げます国民所得倍増計画の線に沿う工業高等学校整備という施策に対応するものでございます。  その他の点につきましては、おおむね既定の五カ年計画の線に沿いまして積算をいたしておるのでございますが、事柄内容によりまして、多少事業進行に緩急をつけております。  なお、中学校の不正常授業解消分、それから学校統合、それから危険校舎改築、それから高等学校建物整備、それから高等学校危険建物改築につきましては、構造比率を一〇%引き上げております。従来は木造五〇%、耐火造五〇%でございましたが、三十六年度におきましては、木造を四〇%にいたしまして、耐火造を六〇%にいたしておるのであります。  それから、めくりまして、次のページでございますが、市町村教育長給与費補助金でございますが、これは考え方におきまして従前と特に変わる点はございません。給与単価増等に伴う増であります。  その次は、公立高等学校普通課程における家庭科設備費補助でございまして、新規補助金でございます。普通課程における家庭科設備充実するという趣旨補助金でございまして、補助率は三分の一でございます。  その次は、教育会館設置建設に要する経費でございます。この事項については、国庫債務負担行為として五億円をお願いいたしておりますが、そのうち事務費工事費を含めまして一億円を三十六年度予算に計上いたしております。この教育会館は、教職員研修場所あるいはその団体事務所研修場所教育研究団体事務所あるいはそれらの研修場所を提供しようというものでございます。  次は、教育機会均等人材開発でありまして、その第一は育英会に関する経費でございます。そのうち補助金でございますが、総額約三億円でございまして、特に従前と変わった点といたしましては、大阪に日本育英会の支所を設けるということ、それから東京都内集金制度は三十五年度からすでに始まっているわけでございますが、それを拡充したいということ、それから本部の事務機構を強化いたしまして、強制徴収に関する係を強化していきたい、そういった事項補助金従前と変わった点と思っております。  次は貸付金でございますが、特に重点といたしました点は、特別奨学生大学院奨学生でありまして、特別奨学生につきましては、備考カッコの中にある数字が前年度数字でございます。高等学校の一年につきましては前年度六千人であったものを一万二千人といたしております。二年、三年につきましては学年進行でそれぞれ六千人を上へ繰り上げております。それから大学の一年につきましては、学年進行で参りますと五千人ということになるわけでございますが、これを八千人といたしております。  なお貸付金額でございますが、高等学校従前通り三千円でございまして、大学新規自宅が四千五百円、自宅外が七千五百円ということにいたしております。  次に大学院奨学生でございますが、対象といたします学生の数につきましては、従前と大体同じでございますが、貸付金額を二千円引き上げているわけであります。  それから、学徒援護会補助につきましては、特に申し上げる点はございません。  その次の準要保護児童生徒対策でございますが、金額におきまして前年度の九億三千万円余が十七億四千万円余とかなり大幅に増加しております。全体を通じて申し上げたいと思います点は、従前保護比率が二・五%となっておりましたものを三%に引き上げております。準要保護比率従前の二%を四%に引き上げております。事項といたしまして、新規に入りましたものは、学用品補助、それからめくりまして通学費補助のこの二つでございます。その他の点につきましては、率が上がったということ、それから修学旅行費につきましては単価がかなり大幅に改善されているということ、その他若干の変更がございますが、考え方といたしましてはおおむね従前の線を踏襲いたしております。  次は、四ページ僻地教育振興でございますが、この点につきましても従前に引き続いて教員住宅、バス、ボート発電機テレビ受像機、そういった関係経費を若干ずつ増加いたしております。なお、発電機につきましては、前年度に比べますと二百二十三万九千円の減が立っております。これは農林省に計上されております農山漁村電気導入促進事業費補助金が大幅にふえておりますので、その関係でこちらの補助金が若干減少したということになっておるわけでございます。  次は、特殊教育振興でございますが、新職業開拓といたしまして新規に五百八十万円余の補助金を計上いたしております。盲ろう学校生徒職業と申しますと、通常は、はり、きゅう、あんまということになるわけでございますが、そのほかに金工、電気機械、彫金、そういった関係の新しい職業技術を身につけさせたいということのための補助金でございます。  次は、特殊教育学校への就学奨励でございますが、まず小、中学につきましては、先ほど申し上げました点と対応いたしまして、学用品購入費援助対象として新たに取り上げております。ページをめくりまして高等部でございますが、高等部につきましては、新規寄宿舎費、これは食費でございます。食費を新たに援助対象にいたしております。なお、援助の率でございますが、従前六〇%であったものを七〇%に引き上げております。  次は、養護学校及び特殊学級設備整備でございますが、大体従前の線に沿った整備をさらに促進をするということにいたしております。考え方として特に変わった点はございませんが、ただスクール・バスにつきましては、盲ろう学校分が三台この中に含まれておるという点が従前とやや違う点かと思います。  次は、中学校生徒の全国一斉学力テストでございますが、備考にもございますように、中学校の二年生、三年生を対象にいたしまして、国語、社会等の五教科について一斉学力テストを行なうための経費でございます。このテストは、現在行なわれております教育の反省、改善の資料を得たいという、そういう趣旨で行なわれるものでございます。  次は、国立学校整備拡充でございますが、まず基準的な経費といたしまして、大学院研究科担当手当、これは従前、教授についてのみ支給されておりましたが、新たに助教授、講師にも支給されることになりました。七%支給と書いてございますが、これは七%に相当する定額の支給でございます。それから教官研究費は二〇%増、教官研究旅費は三〇%増ということでございます。それから新規事項といたしましては、国立大学におきまして理工系の学生千七百九十人を増募する。これは所得倍増計画の達成のための科学技術教育振興ということでございますが、そのために、大阪大学基礎工学部、それから宇都宮、新潟、山口の三つの工業短期大学新設することにいたしております。その他機械工学科、電気工学科、応用化学科等を中心といたしまして、学科の新設拡充、改組等を行なっておるのでございます。全体で千七百九十人の増募をいたすことにいたしております。  めくりまして、次の定員でございますが、次に、工業教員養成所新設することにいたしております。高等学校の工業課程を拡充することになりますと、何と申しましても、一番の隘路は工業の教科を担当する教員が著しく不足しておるという点でございまして、これを緊急に充足するために工業教員養成所を設けたいということでございます。九カ所、九大学に付置する予定でございまして、入学定員は八百八十人でございます。  それから大学附属病院でございますが、これは新規事項といたしましては泌尿器科、麻酔科、放射線科等の診療科を六大学に増設することにいたしております。その他医療費を従来の実績に徴しまして大幅に増額をしたという点が、従前と変わった点でございます。  次は、大学の付置研究所でございますが、まず研究所の創設といたしましては、先ほど大臣からも御説明がございましたように、プラズマ研究所、これは名古屋大学に付置されます。それから原爆放射能医学研究所、これは広島大学に付置されますが、この二つの研究所が新設されることになっております。その他、部門の新設等といたしましては、基礎電子工学防災科学等重点を置いて整備をはかることにいたしております。  次は、在外研究員の派遣でございますが、これは員数をかなりふやしたという点でございます。  それから、その次は国立学校等の施設整備でございまして、前年度四十三億円余が七十一億円余とかなり大幅に伸びております。ややおくれぎみであった国立学校整備がこれによってかなり推進されるものと思うのです。  次は、科学技術教育振興でございまして、まず理科教育振興費の補助金でございますが、これが五億五千万円から八億に増額されております。次の理科教育センターにつきましては前年度とほぼ同額の五千万円が五カ所分として計上されております。  次は、産業教育負担金補助金でございますが、まず、先ほども申し上げましたように、高等学校の工業課程を拡充整備するための新設課程の設備施設補助金につきましては、従前の三分の一の補助率を二分の一に引き上げております。次に内容でございますが、設備更新費は前年度の五千万円が一億になっております。特別設備費は従来農業、工業、水産のみが対象になっておりましたが、新たに商業と家庭が対象にされております。次は新設課程でございますが、三十六年度におきまして八十五課程を新設することにいたしております。この内容は機械課程、電気課程、工業化学課程、建築課程、土木課程でございます。八十五課程で一万人の高等学校の工業課程の生徒が増募されることになっております。  それから少し省略をさせていただきまして、施設費の(ロ)でございますが、これはやはり新設課程の実験、実習工場等の施設費でございますが、これも八十五課程分を計上いたしております。補助率は先ほど申し上げましたように三分の一を二分の一に引き上げておるわけでございます。次のページに参りまして、中学校設備でございますが、これは教育課程の改訂に伴う技術・家庭科設備ということでございまして、六億円余が計上されております。前年度の二倍をこえる増額でございます。  次は、工業教員養成所でございますが、これは再掲でございますので、説明は省略させていただきます。  その次は科学研究振興でございまして、前年度に比べまして、三億七千万円ばかり、約二割でございますが、増額になっております。もちろん、中心は科学研究費の交付金でございます。  その次は史料館の施設整備でございますが、これは民俗博物館の所蔵品をここに収容するという目的のための施設整備費でございます。  次は、民間学術研究団体補助でございますが、これは前年に比べて若干の増額になっておりますが、ただ、補助率のきわめて低いものにつきましては若干整理をいたしております。  ページをめくりまして、日本学術振興会に対する補助金でございますが、これは一般管理費のほか、流動研究員、それから奨励研究生、そういったものの数を従前よりも若干ずつふやしております。  次は東洋文庫に対する補助金でございますが、このうち一千万円はユネスコ東アジア文化研究センターに対する補助金でございます。これはユネスコの大きな事業でございまして、ユネスコからも金がくることに予定されております。これは東アジア文化の研究自体をやる施設と申しまするよりは、研究のための連絡、資料の提供、そういった関係の仕事を担当する機関でございます。  次は南極の観測事業でございますが、これはこの予算をもって終わるわけでございまして、いわゆる日帰りの予算になっておるわけでございます。  次は社会教育文化の振興でございますが、全体といたしましてそれぞれ増額になっておりますが、特に重点を置きました点は、先ほど大臣の御説明にもございましたように、社会教育施設整備でございまして、八ページの一番終わりの行がそれに該当するわけであります。従前の一億二千六百万円が一億六千八百万円ということになっておりまして、公民館八十三館、その他図書館、博物館等の整備を行なう予算でございます。ページをめくりまして、設備につきましては備考に書いてございますような各品目につきまして補助をするものが総額の中に含まれておるわけでございます。  視聴覚教育振興につきましては、これは大体従前予算額を踏襲いたしております。僻地の小、中学校に対するテレビ受像機補助につきましては、従前の約三百校を四百校にふやしております。  それから九ページに参りまして、芸術の振興でございますが、従前から行なっております芸術選奨及び芸術祭の経費のほか、新たに県展、各府県において行なわれております展覧会の代表的な作品を選抜いたしまして、これを東京に集めて展覧するというための経費が新たに計上されております。  次の国立近代美術館の施設整備でございますが、これは増築でございます。  その次に、勤労青少年教育の確立でございますが、大体従前の方針をさらに進めておるわけでございます。特に新規として入りましたものは、定時制同等学校の夜食費補助でございます。これは備考にもございますように、三十グラムのミルクをそういう定時制高等学校生徒に給食をする場合に、その経費の二分の一を国が補助するという経費でございます。  その次は定時制高等学校の給食施設設備費の補助でございますが、これが前年度に比べてやや減少いたしております。従来の実績にかんがみてこの程度にいたしたわけでございます。  次は青年学級振興でございますが、この点につきましては、かなり重点を置きまして、大幅な増額をはかっております。従前の七千八百万円が一億二千万円になっております。内容的に特に著しく変わっておりますところは、職業青年学級でございます。従前は二百六十学級を積算いたしておりましたが、本年度は千六百学級と、かなり大幅に学級の数をふやしておるわけであります。  なお実験学級でございますが、これも要項としては新規でございまして、やや高度の青年学級を実験的に奨励してみたいということであります。  次は体育振興でございますが、オリンピック東京大会実施の準備といたしまして、まず国立競技場拡充整備をいたさなければならないわけでございます。十億円の国庫債務負担行為をお願いいたしておりますが、そのうち約一億円を本年度工事費として予算に計上いたしております。  その次は組織委員会機構拡充のための補助金増額、それから競技技術向上、選手強化のための予算でございまして、そういったものが計上されております。  次のページ体育施設整備でございますが、これも重点を置いたものの一つでございまして、前年度の五千三百万円が一億二千六百万円と二倍以上になっております。  それから国民体育大会の補助、国際スポーツ交歓、体育振興特別助成費等につきましては、備考をごらんいただきとうございます。特に申し上げる点はありません。  次のページでございますが、学校安全会の事業助成、これについても加入率が非常に高まったこと、それから事務費を若干ふやしたこと等が内容でございます。  次は学校給食の助成でございますが、まず施設設備費の補助につきましては、前年度に対しまして約五千九百万円の増額ということになっております。なお事項として新規に入っております点は、僻地学校におきますミルク給食の施設設備費の補助金が新たに計上されたという点が新しい点でございます。  それから食糧管理特別会計への繰り入れでございますが、これは小麦粉百グラムについて一円ということで、前年度と同額を計上しております。  次は私学振興でございますが、総額において約十億の増額になっておりますが、私学振興会に対する出資金が三億から八億で、五億円の増額になっております。その他は理科特別助成研究設備助成、そういった関係予算の増となっております。なお新規といたしましては、私立の特殊教育学校振興に対する補助金がございます。私立の特殊教育学校は非常に特色のある教育を行なっておるわけでありますが、この教育振興するための設備費を補助したいということでございます。  次は国際文化交流であります。  まず第一は沖縄の教育に対する協力援助、その第一は、沖縄教員の内地派遣研究制度の実施でございますが、新規に往復の渡航費を補助対象といたしております。  それから国費沖縄学生の招致でございますが、これは二百六十三人を計上しております。新規といたしましては、沖縄の医師、歯科医師の不足、それから琉球大学の教官要員、そういった学化の教育新規にやるものでございます。  それから沖縄の現職教員再教育講習会への講師の派遣、それから琉球大学への教授の派遣、これはいずれも新規でございます。  それから沖縄生徒特別奨学生資金援助金、これは新規事項でございまして二千万円計上しております。これは日本政府から琉球政府に対する贈与金という形で予算の執行が行なわれるわけでございますが、その資金をもって琉球政府が沖縄の高等学校生徒のために特別奨学生制度を実施するという予定でございます。  次は国費外国人留学生の招致でございますが、数をふやしますほか、研究学生等につきましては、従前の二万円の給与を二万五千円に引き上げる等の措置を講じております。  次に文化財保存事業でございますが、全体といたしまして一億二千万円の増額になっております。従前の保存事業をさらに推進したいということでございますが、特に従前と違います点は、十二ページにございますように、国宝重要文化財等の買い上げの経費がかなり大幅に増額になっております。  次の国立劇場の建設につきましては、前年と同額の予算を計しいたしております。建築設計の懸賞募集を予定しておるわけであります。  次は国立博物館の施設整備でございますが、これは法隆寺の献納御物を収容するための収蔵庫建設のための経費でございます。  それから次は人に伴う経費でございますが、文部本省におきまして二十一名の増員が行なわれております。それから常勤労務者、臨時筆生等からの定員化を百五十四人予定しております。なお課の新設といたしましては大学病院課、婦人教育課、の二課を予定いたしております。  次に所轄機関でございますが、新規増員といたしまして、国立教育研究所三人、遺伝学研究所三人。定員化は常労、臨筆からのものであります。文化財保護委員会の定員化も八十三人を予定いたしております。  以上概要説明申し上げましたが、総額は二千四百十六億円でございまして、補正後の予算に対しまして二百七十五億円余の増でございますが、補正前の予算、三十五年度の当初予算に比べまして、四百六十八億円の増ということになっております。      ————◇—————
  10. 濱野清吾

    濱野委員長 次に、就学困難な児童及び生徒のための教科用図書及就学旅行費の給与に対する国の補助に関する法律の一部を改正する法律案、及び盲学校、聾(ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案を一括議題とし、その提案理由の説明を聴取いたします。荒木文部大臣
  11. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 今回政府から提出いたしました就学困難な児童及び生徒のための教科用図書及び修学旅行費給与に対する国の補助に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容概要を御説明申し上げます。  現在、経済的な理由により就学困難な事情にある児童生徒に対しましては、義務教育の円滑な実施に資するため、この法律に基づき教科用図書及び修学旅行に要する経費について、国の補助の制度が設けられておりますが、今回新たに学用品費及び児童生徒の通学に要する経費についても国が補助することといたしたいと存ずるのであります。  すなわち、学用品児童生徒が学習を行うため必要欠くべからざるものであり、その購入に要する経費は、困窮家庭にとっては相当の負担となっております。また、遠距離通学をする児童生徒の交通費も、困窮家庭にとってはかなりの重荷となっているのであります。そこで、このような困窮家庭の児童生徒に対して、学用品もしくはその購入費及び通学に要する交通費を給与する市町村に対しては、国は予算の範囲内において、これに要する経費の一部を補助することとし、もって就学奨励を一そう推進しようとするものであります。  なお、国の援助の範囲の拡大に伴いまして、法律の題名を就学困難な児童及び生徒に係る就学奨励についての国の援助に関する法律と改めることにいたしました。  次に、修学旅行費補助については、従来、小学校第六学年、中学校第三学年における修学旅行に要する経費に限って補助対象としてきたのでありますが、僻地等においては、児童生徒数が少ない等の理由により、最高学年以外の低学年の児童生徒もあわせて修学旅行に参加させる例もありますので、これらの実情をも考慮し、最高学年以外の児童生徒の修学旅行に要する経費についても、補助対象とすることといたしたのであります。  続きまして、盲学校、聾(ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容概要を御説明申し上げます。  盲学校、聾(ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律昭和二十九年に制定されまして以来、これらの学校への就学奨励はきわめて大きな効果をおさめてきておりますが、さらに就学普及奨励をはかるため、今回この法律の一部を改正し、小学部及び中学部の児童生徒に対し、学用品購入費を新たに就学奨励賞の対象に加えることといたしたのであります。  以上が両法律案を提出いたしました理由及びその内容概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。      ————◇—————
  12. 濱野清吾

    濱野委員長 次に委員派遣申請に関しお諮りいたします。  過日の豪雪害による被害状況調査のため、関係委員会より合同して委員を派遣してその実情を調査することに、常任委員長会議の協議がなされたのであります。当委員会としても文教施設等の雪害の実情調査のため委員を派遣することに決したいと思います。つきましては、委員派遣の申請書の提出手続及び人選、時期等は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 濱野清吾

    濱野委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  本日はこの程度とし、次会は公報をもってお知らせいたします。  これにて散会いたします。    午前十一時十七分散会