○安田
政府委員
農業の
近代化とその
方向、また、十年後ないし五年後の
青写真のようなものについて
農林省は勉強しているかというようなことの御
質問でございますが、それに関連して順序よく目下の研究などを
お答えするといいと思いますけれども、黒豚なら黒豚の五年後、十年後の
需要ということでお聞きになりましたので、ちょっとどぎまぎしております。しかし、
日本の
農業で畜産をふやす基盤は
農業の
経営規模の拡大であり、お話のように、
農業振興のために耕地以外の土地も利用していく、畜産部門としても、全体の量として伸びていくように、個々の家畜飼育についても、もっと合理的な多数飼育をねらい、家畜の種類についても、種類を選びまして、なるべく
経済性の高い乳牛とか、若齢あるいは短期の肥育牛であるとか、特に養豚、養鶏、——養鶏は採卵養鶏、肉養鶏とありますが、そういうものに重点を置いて
経営の
高度化をはかりますと同時に、家族労働の消化を
考えまして、労働報酬、従って生活の向上をはかる、そういう
目標でいくのでありますが、家畜には適地適畜のものもございますので、例を黒豚で言いますと、適当な地域がございまして、現在
日本の養豚の約二割でありますが、これを
経済的な面から見ますると、黒豚は白豚より
経済性あるいは肥育能力が低いのであります。世界的に見ましても、どちらかというとこれは衰えておるものでございます。なお
日本にいない品種の肥育能力の高いものも導入する要があると思いますが、白豚、黒豚を通じて、さらに今後の品種改良を通じましても、おそらく、今の国民所得の
状況あるいは国民所得の成長率が年七・八%、人口増加が年〇・九%という所得倍増
計画に従いました所得弾性値などを参考にいたしますと、豚肉の消費はおそらく現在の四倍くらいになるように思うのでありまして、各種の肉類の間でも、豚の比重がうんと増しまして、五割をこえるのじゃないかと
考えておるのであります。それに応じまして、適地適畜、また、同じ家畜の種類の中でも適当なものを増していくことになると思いますが、飼料問題等を通じまして
合理化をはかる要もありますから、イモですとか、大麦、はだか麦の地帯ですとか、ビートの地帯ですとか、そういう部分の飼料化をうんとはかること、濃厚飼料の効率化をはかること、低廉化をはかること、それらを通じまして
考えていくべきだと思うのであります。私どもは、おのずから、
日本の五年・十年先の農家の姿といたしまして、黒豚がそのうちどれだけ占めるかは別といたしまして、畜産がどのくらい普及率を持つかということが問題でありますが、一応、養豚といたしましては二五%くらいの農家の普及率を十年後に持ちますれば、その中に黒豚が、
現状ならば、それが伸びていけば二割。私は、黒豚は減った方がいい、もう少し低い割合でいいのじゃないかと思っておりますが、その
経営の多数頭飼育等を加えました結果といたしましては、
農業基本法審議の際に試案とか今研究中のことを申し上げておりますように、家族自立
経営で畜産をやる場合は二五%くらいのところで主畜の
経営をやってもらったらどうだろう。これは畜産を加えた能率的な合理的な
経営になるだろうと思うからであります。その所得は百万円くらいをねらうのがいいのじゃないか、こんなふうに思っております。