○
坂村政府委員 それでは、ただいま
議題となりました
農業近代化資金助成法案、
農業信用基金協会法案及び
農林中央金庫法の一部を
改正する
法律案の
提案理由につきまして、補足的な
説明を申し上げたいと思います。
まず第一に、
農業近代化資金助成法案でございますが、この
法律案は、
農業者等の
資本装備の
高度化と
農業経営の
近代化に資するために、最近充実を示して参りました
農協等の
組合系統資金を積極的に活用し、
農業者等の
生産施設の整備をはかることを
目的として創設されます
農業近代化資金融通制度の根拠となるものでございまして、
昭和三十六年度におきましてはこの
制度により年七分五厘以内の金利で三百億円の
融資を行なうことを予定しておりますが、以下この
法律案の
内容につきまして御
説明を申し上げます。
第一条でございますが、これは、この
法律の
目的について
規定をいたしております。すなわち、第一条は、
農業者等に対し
農業協同組合、
農業協同組合連合会等の
融資機関が
農業生産施設等のための長期・低利の
資金を貸し付けることを円滑にするために、
都道府県が
融資機関に対して行ないますところの
利子補給等の
助成措置に対して国が
助成を行なう、こういうことによりまして、
農業者等の
資本装備の
高度化と
農業経営の
近代化に資することをこの
法律の
目的とする旨を
規定しておるのでございます。
第二条でございますが、これは、
農業近代化資金を借り入れることができますところの
農業者等、また、
融資機関及び
農業近代化資金の
定義をいたしておるのでございます。
第一項は、国の
助成の
対象となる
農業近代化資金を借り入れることのできまする
農業者等を
規定しておるのでございまするが、第一号は
農業、この場合には、
農業には
畜産業及び
養蚕業をも含むものといたしておりまするが、第一号の
農業を営む者といたしまして、
農業生産協同組合、これは、現在
農業協同組合法等の
改正法案を提案いたしておりまして、その中に
指定しておるのでございまするが、
農業生産協同組合、
農業を営む
有限会社等のいわゆる
農業法人もこの中に含まれるという
考え方であります。第二号は
農業協同組合であり、第三号は
農業協同組合連合会であります。第四号は、第一号から第三号までの者が主たる
構成員または
出資者になっている
法人、すなわち、
農業者あるいは
農業協同組合、それから
農業協同組合連合会、こういうようなものが主たる
構成員あるいは
出資者となっている
法人として
農業共済組合の
連合会等を
政令で
指定する予定でございます。そこで、ただいまお配りしてございまするが、「
農業近代化助成法案政令規定見込事項」、そこで第一番目に
農業者等のこの
法律で
政令で
指定するということになっております者を
指定をいたしたいと思うのでございます。それは、
農業共済組合及び
農業共済組合連合会、これは
共済組合系統が
互助事業等をやっておるのでございまして、そのために、道具を買う、
機械を買うというような面もございまするので、そういうようなための
資金の需要があります場合のことを考えておるわけでございます。それから、第二番目に、
たばこ耕作組合等も一緒に考えて取り入れていきたいというように考えておるわけでございます。それから、第三番目には、
農畜産物を原料もしくは材料として使用する
製造もしくは加工、
農畜産物の貯蔵または
農業生産に必要な資材の
製造の
事業を主たる
事業として営む
株式会社でありまして、
農業を営む者、
農業協同組合あるいは
農業協同組合連合会等がその
発行済み株式の
過半数を持っておるもの、
一般に
共同会社と言われておりますが、
構成員として今申し上げましたようなものが
発行済株式の
過半数を持っているという格好の
株式会社でありました場合には、
農業近代化資金の
農業者等という
指定の中に取り入れまして、
共同会社の育成をはかっていきたいということを考えておるわけでございます。
それから、第二項でございまするが、これは
農業近代化資金を貸し付ける
融資機関を
規定いたしておりますが、
個人施設については
貸付事業を行なう
農業協同組合を
中心にいたしまして、
不振単協傘下の
農業者あるいは
投資規模が非常に大きい場合におきましては、
農業協同組合から貸し付けられぬ場合もございますので、そういう場合は
信連等が直接
貸付をするということを認めることといたしております。それから、
農業協同組合の
共同利用施設につきましては、これは
信連、
共済連及び
農林中央金庫が
融資機関になるという
考え方でございます。
第三項は、国の
助成の
対象となりますところの
農業近代化資金の
内容を
規定しておるのでございます。これは、
農業者等のいわゆる
資本装備の
高度化及び
経営の
近代化に資するために、さきに申し上げました
融資機関が年七分五厘以内、
償還期限は
原則として十年以内、
据置期間が三年以内という
条件で
農業者等に貸し付ける
施設資金でございまして、その
細目につきましては
政令で定めるこういうことになっておるわけであります。
その
細目につきましては、この
政令規定見込事項の第二というところに書いてございまするが、「法第二条第三項の
政令で定める
資金は、次の表の
農業近代化資金の
種類の欄に掲げるとおりとし、同項第二号の
政令で定める
期限、同項第三号の
政令で定める
期間及び同項第四号の
政令で定める
利率は、
当該資金の
種類に応じ、それぞれ同表の
償還期限、
据置期間及び
利率の欄に掲げるとおりとする」という
考え方でございます。ただし、
利率が同じでありますところの二
種類以上の
資金を同時に借り入れる場合におきまするところのその
資金の
償還期限及び
据置期間は、それぞれそのうちの最も長いものをとるという
考え方にいたしております。
その表にございまするように、第一に、農舎、畜舎、それから蚕室、葉たばこ、こういう今まで
農林漁業金融公庫の
主務大臣指定施設というようなもので整理をされて参りましたもの、それから
共同利用施設として整理されて参りましたその
施設であります。これにつきましては、
償還期限十年、ただし、
協同組合、
協同組合連合会に貸し付けます場合には、現在の
農林漁業金融公庫でも十五年ということになっておりますので、これよりも
条件を下げるというわけには参りませんので、十五年ということで
共同利用施設は考えております。
据置期間は三年、
利率は年七分五厘という
考え方であります。それから、第一につけ加えて申し上げますが、
人工授精施設であるとか
家畜の市場であるとかいうようなものが地方的にもあるのでございます。こういうものは今までの
農林漁業金融公庫では非常にあいまいな面があったのでございまして、こういう点も
一つこの際はこれを貸し付けられるということにはっきりいたしたいと考えております。こういう
近代化のために必要な
施設についてはできるだけ取り上げていく、こういう
考え方でおります。
第二番目には、農機具その他の
機械器具でございますが、これにつきましては、
償還期限は七年ということにいたしております。しかし、これも非常な大農具でありまして
協同組合あるいは
協同組合会等が
共同利用施設として持っておりますものは、現在の
農林漁業金融公庫におきましても十年ということになっていますので、やはりこの
近代化資金におきましても十年ということにいたしたい。
据置期間は二年、
利率は七分五厘、こういうことでございます。
三番目は、
果樹、
オリーブ樹、それから
茶樹またはホップの植栽に要する
資金というようなことで、これは、
果樹振興法がございまして、御承知のように
農林漁業金融公庫から
果樹振興法に基づきますところの
融資は出るのでございますが、この場合は、それ以外のものにつきましてこの
近代化資金で扱っていこう、こういう
考え方であります。これについては、
償還期限十年、
据置期間三年、
年利は七分五厘という
考え方でございます。
四番目に、
家畜であります。これは、牛、馬、綿羊、ヤギまたは豚の購入に必要な
資金という
考え方でございまして、これは、
償還期限は五年で、
据置期間二年、
利率を年七分五厘という
考え方であります。そして、この場合に鶏の問題が出ておるのでございますが、
ブロイラー等で鶏の
飼育施設が非常にお金がかかるものが最近できておるのでありますが、これにつきましては、昨日も
連合審査の際に御質問がございましてお答え申し上げました
通り、鶏の
購入資金というのは非常に
短期資金でございます。鶏とかえさとかこういうものは
農業協同組合の
系統資金を大体使っていく、
短期資金はそういう
考え方でいく。それと同時に、
施設につきましては、もちろんこれはこの
近代化資金で考えていくという
考え方にいたしたいというふうに考えております。
その他、
耕地防風林の
造成に対する
資金でございまして、これは今までの
農業改良資金から引き続いて参りましたものでございますが、これは、その
条件に合わせまして、
償還期限十年、
据置期間二年、
年利は五分五厘ということで、今の
条件を引き継いでおります。
その次に、
農林大臣の定める
規模を越えない
規模の農地または牧野の
改良、
造成に必要な
資金、これは
工事費十万円以下の
土地改良事業であります。きわめて小さな
土地改良事業が
中心でございます。これは今までも
農業改良資金から出しておりましたのでございまするが、これも今までの
条件の
通りの
条件を引き継ぎまして、
償還期限は十年、
据置期間は二年、
年利五分、こういう
考え方で考えておるのでございます。
それから、
貸付限度につきましては、これも、
政令で定める、こういうことになっておるのでございますが、
一般の
農業者にありましては二百万円以内、それから、
農業生産法人等いわゆる
政令で定めるもの、こういうものにつきましては一千万円以内、
農業協同組合等にありましては
原則として五千万円以内、この場合、特別の理由がある場合におきましては
農林大臣が承認した場合には五千万円をこえてその承認をした
金額とすると、こういうことに相なっておりまするが、との一千万円以内という
政令で定めるものにつきましては、その
見込事項の第三に、「法第二条第三項第一号の
政令で定めるものは、
農業生産協同組合並びに
農業を営む
合名会社、
合資会社及び
有限会社並びに
法人以外の団体で
農業を営む者の組織するものとすること。」、こういうことで、一千万円
限度のものは大体
農業生産法人等、こういう
工合にしてありますが、こういうようなものを一応
政令で
規定したいというふうに考えております。それから、
貸付限度につきまして、
農業を営む者で
都道府県知事がその者の
農業経営の
規模等を勘案しまして必要であると認めたようなものにつきましては二百万円で、その他のものについては百万円と、こういうような
考え方で二百万円以内ということになっておりますけれども、いろいろ
償還の
面等も考えなければいけないと思いますので、そういう百万円と二百万円両方の口を考えておいたらどうかというふうに考えております。
それから、第三条は、このような
内容の
農業近代化資金に対して行なわれますところの
都道府県の
利子補給に対する
政府の
助成について
規定いたしております。
この
利子補給補助は、
農業近代化資金を貸し付ける
融資機関と
都道府県との契約によりまして
都道府県が
利子補給を行なうに要しまするところの
経費の全部または一部を国が
補助すると、こういうことになっておるのでございます。
補助率は
政令で定めることといたしておりますが、それは、
政令規定見込事項の第五というところに書いてございます。法第三条の
規定により
政府が
都道府県に対して交付する
補助金の額は、
農業近代化資金のうち
農林大臣の定めるものにかかる
利子補給については
都道府県が
当該利子補給に要する
経費の
全額、その他の
資金にかかる
利子補給については半分と、こういうことでございます。これは、初めの
全額といいますのは、今まで
有畜農家創設資金の
制度によりましてやっておりましたものをこの
制度に引き継ぎましたものですから、
有畜農家創設資金におきましては十分の十の国の
利子補給をやっておりましたものでございますから、それをそのまま、
条件を下げるわけにも参りませんので、十分の十ということを考えているわけでございます。その他のものは大体半額の
利子補給と、こういう
考え方でございます。
この
政府の行ないまする
利子補給補助の財源といたしまして、
農業近代化助成資金を
一般会計に設けまして、その
運用益をもって充てる、こういうことにしておるのでございまして、別途
農業近代化助成資金の設置に関する
法律案を提案いたしまして、
大蔵委員会で
審議をされておるわけでございます。三十六年度には三十億円をこの
資金に入れております。
第四条は、
農業信用基金協会の
制度に関する
規定でございまして、これは別途に
農業信用基金協会法がございまするが、ここにも要点が
規定してあるわけでございます。
第一項は、
農業者等に対する
農業近代化資金の
融通を円滑にするために、
農業近代化資金にかかる
農業者等の
債務を
保証することをその
業務とする
農業信用基金協会の
制度を設ける旨の
規定でございます。
第二項は、
農業信用基金協会に関しましては
農業信用基金協会法の定めるところによる旨の
規定でございまして、これにつきましては、
農業信用基金協会の
設立・
運営等につき
規定いたしました
農業信用基金協会法案を別途に提案いたしておるわけでございます。
第五条は、新たに各
都道府県に
設立されます
農業信用基金協会に対する
政府の
助成に関する
規定でございます。
この
農業信用基金協会は、
農業近代化資金にかかる
債務保証と、それ以外の
農業者等が借り入れる
一般資金にかかる
債務保証の双方の
業務ができることといたしておりますが、前者、つまり
農業近代化資金の
債務保証に充てるための
基金といたしまして
都道府県が
農業信用基金協会に対し
出資を行なうのに必要な
経費の一部を国が
補助するものといたしております。この
補助率は
政令できめる、こういうことになっておるのでございまして、これは
経費の二分の一という
考え方で
政令の
規定事項に書いております。ここでどうしてこういう
工合にいたしましたかと申しますと、今まで
信連あるいは
県等が
中心になりまして
債務保証協会が全国三十六ほどございます。そのうち
法人格を持っておりますのが二十八ございまして、これが今までいろいろの
債務保証をやっているわけでございます。そこで、それを大体中核にして引き継いでいったらどうかという
考え方がございまして、
近代化資金の
対象にならないものも、相当今までの
事業としてやっている面もございますので、そういう点と
二つをこの
基金協会ができるようにしております。従いまして、
基金協会におきましては、
近代化資金と、そうでない部分との
債務保証、
二つの性格を持つ仕事をやっていく、こういう
考え方になっているわけでございます。
第六条は、
納付金に関する
規定でございまして、これは、第五条の
規定による
政府の
補助を受けて
都道府県が
出資をしました
農業信用基金協会が
解散をいたしました場合には、その
都道府県に分配されました
残余財産の額の一部を、また、
農業近代化資金にかかる
債務の
保証の
業務を廃止した場合には、
農業近代化資金にかかる
債務の
弁済に充てるための
基金の額と、
農業近代化資金にかかる
債務の
弁済によって取得した
求償権の行使によってその後に取得した
金額との
合計額の一部を、それぞれ
政府から
補助を受けた割合に応じて
都道府県から
政府に納付しなければならない、こういうことにいたしております。
解散の場合の
規定であります。
納付金額の算出方法等具体的な問題につきましては、必要が生じた場合に
政令できめるということにいたしております。
以上がこの
近代化資金法案の
内容でございまして、その
附則といたしましては、今までの
農業改良資金のうちの
施設資金、それから
有畜農家創設資金を引き継いでおるのでございまして、これらについての
経過措置が
規定をいたしておるわけでございます。
次に、
農業信用基金協会法案の
補足説明をいたしたいと思います。
この
法案は、
農業経営に必要な
資金の
融通を円滑にいたしますための施策の
一つでありまして、別に提案されておりますところの、先ほど申し上げました
農業近代化資金助成法案とともに、新たに発足をいたします
農業近代化資金融通制度を形づくるものでございます。
この
法案は、
総則、
業務、会員、
設立、
管理、
解散及び清算、監督及び罰則の八章並びに
附則からなっておりますが、以下各章について簡単に申し上げたいと思います。
第一章は
総則でございまして、第一条に、この
法律の
目的として、
農業経営に必要な
資金の
融通を円滑にするため、
農業協同組合等の
融資機関の
農業者等に対する
貸付についてその
債務を
保証することを
業務とする
農業信用基金協会の
制度を確立し、もって
農業の
生産性の向上と
農業経営の改善に資する旨を
規定いたしておるわけであります。
第二条には、この
協会の
構成員となり、また被
保証者となり得るところの、
農業者等の
定義及び
融資機関の
定義を掲げております。
第一号の「
農業を営む者」には、
農業生産協同組合等の
農業生産法人等を含むことは、
農業近代化資金の場合と同じでございますけれども、「
農業に従事する者」を加えましたのは、主として
農家の
家事従業者の
生活資金につきましても
保証の
対象とする必要があるからでございます。これは、
農業協同組合法で
農業従事者等に生活の
資金を貸し付けるということもできることになっておりますので、これらの者も、従来
一般に今まで
債務保証協会でもやっている面もございますので、そういう面も取り入れまして
農業従事者も入れてありますわけでございます。
第四号の
政令で定める
法人といいますのは、これは、ここにございますように、
政令規定見込事項というのでお配りしてございますが、
農業信用基金協会法第二条第一項第四号の
政令で定める
法人は、大体、
農業協同組合中央会、
農業共済組合及びその
連合会、それから
土地改良区及び
土地改良区
連合、
たばこ耕作組合、それから、先ほど申し上げました
共同会社というようなものでございます。ここでは、今までの例から見ましても、
中央会とかあるいは
土地改良区とかいうようなものも取り込んでおく必要があるというふうに考えられますので、これを加えたいと考えております。
それから、
融資機関といたしましては、
貸付事業を営む
農協、これには
開拓農協、
酪農協等の
特殊農協も当然含まれますけれども、
信連、
共済連、農林中金のほかに、
銀行等の
一般金融機関につきましても
政令で
指定ができるという、こういう
法律の条文になっておるわけでございまして、これにつきましては、
政令規定見込事項の第二にございますが、大体、
政令で
指定する金融機関としては、銀行、相互銀行、信用金庫というようなものを
指定いたしたいというふうに考えております。現在のところでは、銀行に対して現在ありますところの
債務保証協会が銀行から借りたものに対して
保証しているというものはあまり例はないようであります。しかし、今後、いわゆる
近代化資金ではございませんで、別の
資金の面で銀行、信用金庫等から借りる場合もあるかと思いますが、そういう場合に
債務保証もできるというような道を開いておいた方がいいんじゃないかということが考えられるわけでございます。
〔
委員長退席、小山
委員長代理着
席〕
それから、第二章は、この
協会の
業務について
規定いたしております。
この
協会の
業務は、第八条に
規定しておりますように、大別いたしますと、
農業近代化資金に関する
債務の
保証と、その他の
一般の
事業または生活に必要な
資金に関する
債務の
保証と、
二つに分かれております。この場合に、会員たる
農業者等の負担する
債務の
保証を行なうわけでありますけれども、
農業協同組合が会員でありますときは、その組合員は会員と同様に取り扱うように
規定いたしておりますので、特別の場合を除き
農業者が直接加入する必要はないというふうにいたしております。これは一応この
農業信用基金協会を財団組織にするか社団組織にするかというところでいろいろ検討する問題があるのでございますが、今後
資金を
造成するという
面等から考えますと、社団組織にする方が便宜であろうということで、
考え方としては
法律では社団の組織を考えておるのでございますけれども、その場合に、一々の
農業者が
出資をして会員になるということは非常にやっかいなことでございますので、
農業協同組合が
出資をして会員になっておけば、
農業協同組合の組合員は当然会員たる資格を持って
債務保証が受けられる、こういう格好にいたしておるわけでございます。この
業務のうち、
農業近代化資金にかかる
債務の
保証額は、三十六年度末におきましては大体二百億円をこえるという見込みで考えております。
このほか、この
二つの
業務に付帯する
業務といたしまして、被
保証者についての指導その他この
協会の
目的達成に寄与する
業務をも行ない得ることにいたしております。
次に、第九条でございますが、ここでは
保証業務を行なうための
基金につきまして
規定をいたしております。すなわち、
協会は、以上の
保証業務を行ないます
基金として、出
資金、準備金からの繰入金、
保証債務の
弁済に充てることを
条件として交付される金銭及び
求償権の行使によって取得した金銭を安全確実に
管理することが
要求されるわけでありますが、その運用
対象としましては、
信連、農林中金あるいは
銀行等への預金、金銭信託、国債証券、地方債証券、その他主務大臣が安全確実でありしかもなるべく有利な運用が可能と認めて
指定いたしますところの有価証券に限られることといたしております。
このほか、第十条におきまして、毎年度の剰余金は
全額を準備金として積み立てなければならないことといたしております。また、この準備金は欠損の補てん金に充てるかあるいは
基金に繰り入れる場合のほかは取りくずしてはならないという、こういうことを
規定いたしておりまして、
基金の充実をはかっていこうという
考え方でございます。
次に、この
債務の
保証の
事業には、
農業近代化資金にかかるものと、先ほど申し上げましたように
一般の
事業または生活に必要な
資金にかかるものと
二つがあるわけでございまして、そのうち、国の
助成措置の
対象となりますものは、
農業近代化資金にかかるものだけでございますので、その
助成措置の実効を期しますために、第十一条におきまして、
農業近代化資金にかかる
債務の
保証の
業務をそれ以外の
業務と区分して経理しなければならない、こういう
規定になっておるのでございます。
農業信用基金協会は、今述べて参りましたような
業務を行なうわけでございますが、その実行にあたりましては、信用調査、債権
管理等に関して、
融資機関の機構、能力、経験等を利用することが便利でありますため、第十三条におきまして、
債務保証の決定を除き、その
業務の一部を
融資機関に委託して行なわせることができるようにいたしております。
なお、第十二条は、
事業年度にかかる
規定でございます。
それから、第三章は、この
協会を構成します会員について
規定をいたしております。
まず、第十四条におきまして、会員の資格について
規定いたしております。すなわち、
農業信用基金協会の会員たる資格を有します者は、各
都道府県の区域に従って、その
協会の区域内に住所を有する
農業者等のほか、
都道府県及び市町村ということになっておりまして、
都道府県や市町村も会員として取り込めるというような
規定になっておるのでございます。特に、
都道府県、市町村につきましては、
協会の会員になろうとするときはその議会の議決を経なければならないものとして、その住民の意思による自主的な加入を期待いたしておるのでございます。これは、当然、
都道府県におきましても市町村におきましても相当大きな
出資をするのでございまして、これに対して責任を負うということになるのでございますから、議会の議決を要するというようなことにいたしたわけでございます。
次に、会員の
出資につきましては、
協会の
業務の性格上、その財政的基礎の充実は不可欠の要請でもございますので、第十五条におきまして、会員は
出資一口以上を有しなければならないものとしております。
第十六条におきましては持ち分の譲渡について
規定し、第十七条におきまして、議決権については
出資一口につき一個の議決権を有するものといたしております。
この
出資一口につき一個の議決権を有するということはいろいろ議論のあるところであろうと思うのでございますが、先ほど申し上げましたように、構成といたしましては信用
基金協会は社団の構成をとっておりますけれども、実質的には財産、いわゆる
基金を
中心にして
債務の
保証の運用をやっている財産権を
中心にした団体でございます。そういう関係からいいまして、実際的に申し上げますと、県の
出資が大体半分を占める、それから、その残りの半分におきましても、おそらく相当部分が
信連の
出資になろうと思うのでございます。そうして、そういうような状況でその他の会員がやはり
出資を持つわけでございますが、その場合に、議決権はこの場合一人一票といういわゆる
協同組合方式がいいのか、あるいは一口一票といういわゆる
出資に応じた議決権を持つのがいいのか、いろいろ問題のあるところでございますが、この場合におきましては、一口一票という
出資に基づく議決権を考えたわけでございます。これは、ずっと前には、たとえば
農林省の例でも、開拓
融資保証協会というものがございまして、そういうような場合にはこれは一人一票という
制度で発足をして、現在もそれでやっているものもございます。しかし、この場合におきましては、その後たとえば中小漁業の信用
保証協会が生まれたのでございますが、それらにつきましては、どうもやはり信用
保証協会というようなものは一人一票の
制度では適当でない、こういう
考え方のもとに、
考え方を改めまして、一口につきまして一票という議決権を持つ形に、中小漁業の
保証協会の
制度をきめる場合に
農林省としても
考え方を改めたわけでございます。現在、いろいろその他の
基金あるいは
保証協会、そういうようなものの例を見ましても、大体そういう
考え方をとっておるものが多いのでございます。一面から言いまして、
農業協同組合の金を使うのだから、これは
農業協同組合と同じように、一人一票の方がいいのじゃないかという御意見もございまするけれども、これはむしろ
農業協同組合外の機関であるというふうに観念していいのじゃないかというふうに考えております。本来であれば、
農業協同組合がこの金融については信用補強をしなければならない、自分で貸す金については、自主性を持っておればほんとうに自分で貸し倒れ準備金を積むなりあるいは自分の力で信用強化をやらなければならぬということが言えるのでございますが、それが
農協の現状ではできませんから、
政府とか県とかそういう他の力をもって農民の保護のために信用補強をやっていこう、こういう
制度でございまするので、この
制度に対して
農協と同じように一人一票
制度という
考え方を取り入れるのは適当でないというふうに考えておるわけでございます。
第十八条におきまして、会員たる資格を有する者が加入しようとするときは、正当な理由がないのにその加入を拒んではならないこととしておりますほか、加入、脱退その他会員の権利義務につき第十八条より第二十二条までにおいて必要な
規定を設けております。
第四章は、この
協会の
設立につきまして
規定いたしております。
第二十三条から第二十五条までの
規定によりまして、
協会を
設立するには会員たる資格を有する者で
協会の会員になろうとするものは十五人以上が発起人とならなければならないこととするとともに、発起人は、定款及び
業務方法書を作成し、事前に公告の上創立総会を開き、その終了後遅滞なく主務大臣に
設立の認可の申請をしなければならないこととしております。
第二十六条におきましては、この申請があったときは、主務大臣は、
設立手続、申請書等に欠陥がなく、また区域を同じくする他の
協会がすでに成立しておらず、かつ、その
事業が健全に行なわれ、
農業の
生産性の向上と
農業経営の改善に資すると認められるときは、
設立の認可をしなければならないことといたしております。
以上のほか、第二十七条におきましては、
設立認可があった場合の発起人より
理事への事務の引き継ぎを
規定し、第二十八条におきましては
協会の成立の時期について
規定しております。
第五章は、この
協会の
管理について
規定いたしております。
第二十九条におきましては定款に記載すべき事項、第三十条におきましては、
業務方法書に記載すべき事項をそれぞれ
規定いたしておりますが、いずれも現在この種の
事業を行なっております特殊
法人と同様の事項を
規定いたしております。
次に、第三十一条におきまして、
協会は、定款、
業務方法書で定めなければならないもののほか、規約を定めることができることとしております。
協会の役員につきましては、第三十二条から第三十六条までに
規定しておりますが、
理事の定数は五人以上、監事の定数は二人以上といたしており、その選任につきましては、会員、
法人たる会員の役員、会員たる地方公共団体の長またはその職員の中から総会において選任しますほか、
農業または金融に関する学識経験者より委嘱することができる、こういうことにいたしております。なお、第四十三条及び第四十四条におきまして、それぞれ役員の
協会及び第三者に対する責任及び役員に関する民法の準用について
規定しております。以上役員に関する
規定でございます。
次に、総会につきましては、第三十七条から第三十九条までの
規定により招集の方法を定め、議決事項、特別の議決等につきまして、第四十五条から第四十八条までの
規定において同様の特殊
法人の例にならい
規定しております。
以上のほか、第四十条、第四十一条及び第四十二条におきまして、会員に対する通知または催告の手続、定款その他の書類の備え付け及び閲覧等につき
規定いたしております。
第六章は、
解散及び清算について
規定いたしておりますが、第四十九条において、総会の議決、破産及び法令等の違反に対する
解散命令を
協会の
解散事由といたしますとともに、解算の決議は主務大臣の認可を要するものとしますほか、第五十条から第五十三条までにおいて清算事務に関し必要な
規定を設け、第五十四条において
解散及び清算に関する民法及び非訟事件手続法の
規定の準用について
規定いたしております。
第七章は、監督であります。
この
協会は、
債務保証を行なう特殊
法人としての公共的性格を持っておりますので、これと同様の
事業を行なう他の
法人に対する監督と同程度の監督を予定しておりますが、その主要なものは、第五十五条の
規定による
業務または財産の状況に関する報告の徴収、第五十六条の
規定による一定割合以上の会員から請求があった場合及び法令等に違反するおそれのある場合の検査、及び毎年一回の常例検査、第五十七条の
規定による法令等の違反についての役員の解任、
業務の停止等の必要
措置命令、及びこの命令に従わない場合の役員の解任または
協会の
解散の命令等であります。
このほか、第五十八条において、法令等に違反した総会の決議等についての是正手段として、会員の一定割合以上より請求があった場合において主務大臣は総会の決議を取り消すことができることといたしております。
また、第五十九条において、以上の監督
措置についての主務大臣は
農林大臣及び大蔵大臣といたしておりますが、報告の徴収及び検査の権限は、両大臣がそれぞれ単独に行使してもよいことといたしますとともに、
政令で定めるところにより、その権限の一部たとえば報告徴収、検査等を
都道府県知事に行なわせることができるものといたしております。
第八章は、罰則でございます。
最後に、
附則につきましては、第一条において施行期日を定め、第二条におきましては、現在各
都道府県においてこの
協会の
業務と同様の
業務を行なっております。先ほど申し上げました財団
法人たる
農業信用基金協会が、その寄付行為の定めるところにより、その住所のあります
都道府県を区域とする新しい
農業信用基金協会の発起人に対して、当該財団
法人の権利及び義務を承継するようにと申し出ることができるものとし、この申し出が新
協会の創立総会の議決によって承認されたときは、財団
法人の権利義務は新
協会成立の時にこの
協会に承継され、財団
法人はその時において
解散する、こういうことで引き継ぎの
規定をいたしておるわけでございます。
第三条は名称制限についての
経過措置であります。
第四条及び第五条は、従来
農業改良資金助成法に基づいて
都道府県が行なって参りました
農業改良資金の
施設資金に対する
債務保証業務も、この
資金が三十六年度以降
農業近代化資金に統合されることとなりました関係上、
協会に移管することといたしまして、そのために必要な
農業改良資金助成法の
改正及び
都道府県がすでに実施しております
保証業務の引き継ぎのための権利義務の承継に関する
規定を設けております。
第六条においては、この
協会を
農林中央金庫の会員といたしますため、
農林中央金庫法を
改正するものでありますが、このほか、第七条及び第八条において、監督
規定を整備するための大蔵、農林両省設置法の
改正、第九条において、この
協会の職員の身分を安定させるための農林漁業団体職員共済組合法の一部
改正の
規定を設けております。これは農林漁業団体職員共済組合法の適用を受けるということにいたしておるわけでございます。
第十条から第十四条までは、
協会に対し開拓
融資保証協会等類似の特殊
法人と同程度の税法上の優遇
措置を講じますため、登録税法、印紙税法、所得税法、
法人税法、地方税法について所要の
改正を行う、こういう
内容のものでございます。次に
農林中央金庫法の一部を
改正する
法律案につきまして、その
提案理由の
補足説明を申し上げます。
この
法律案は、
農林中央金庫と構成団体との関係を一層緊密なものにして、真に農林金融の中枢機関としての機能を円滑に遂行することができるよう、その組織の整備をはかることを
目的として
農林中央金庫法の一部を
改正しようとするものであります。
以下
改正の
内容について御
説明いたします。
第一は、役員に関する
規定の
改正であります。
今まで役員についてはすべて
政府任命でございましたが、役員の定数につきましては、第九条の
規定を
改正して、監事の定数を三人以上から二人以上ということに減らしたわけでございます。そのかわりこれを全部常勤にするという
考え方でございます。これは、現在金庫の監事三名のうち一名が非常勤であり、常勤しておりますのは二名でありますが、今次の
改正以後は、常勤役員のみに上って
業務に専念させる体制をとることが適当と考えられますので、現在の常勤監事の定数である二名に合わせるよう二名以上といたしたのであります。
第二点は、役員の選任方法及び任期に関する第十一条の
規定の
改正であります。
その第一は、役員の主務大臣による任命制を廃止して、
理事長及び監事は
出資者総会で選任し、副
理事長及び
理事は
理事長が任命することとすることであります。これは、役員を構成団体がみずからの意思と責任によって選任することによって金庫と構成団体の結合を一そう緊密化し、それを通じて金庫の
業務が一そう円滑に行なわれることを期待しているのであります。一面におきまして、今まで農林漁業中央金庫は
政府出資が半分で発足をしたのでございますが、その後いろいろな変遷がございまして、現在は十六億円の純然たる民間
出資でもございますので、これに対する役員を全部
政府任命ということも適当ではないというふうに考えておるわけでございます。具体的な選任の方法につきましては、主務大臣の認可を必要とする定款に
規定せしめることとして、その適正を確保することといたしました。
その第二は、
理事長、副
理事長及び
理事の任期を一年短縮して四年としたことであります。金庫の
業務運営に構成団体の意思が正しく反映されるようにするためには、選任の機会が多いこと、すなわち任期が比較的短いことが望ましいのでありますが、他方、あまり短くては
業務に専念すること及び
業務の責任の所在を明確にするという点から適当でありませんので、
政府関係金融機関等の例をも参考の上、四年といたしたのであります。
第三点は、第十一条の二の
規定を新設して役員の兼職を禁止することとしたことであります。これは、役員が他の報酬ある職務または営業に従事しますことは、金庫の
業務に専念する上からも、また、金庫の
業務の公正かつ中立な運営を確保する上からも適当でないと考えられますので、兼職を禁止することとしたのであります。この兼業禁止につきましては、兼業を禁止することによって、
農業協同組合陣営から役員が入れないのじゃないかという意見もございます。これは、実際問題としては、
農業協同組合陣営から役員として入りましても、その役員に専念していただけまするためには、
農業協同組合陣営の方でいろいろの仕事をやって報酬をもらうということをやめてもらいたい、こういうことに割り切ることが必要であろうというふうに考えておるわけでございます。また、実際の選任の方法といたしましては、定款の中で
管理委員会というものを設けまして、ここでいろいろ会員の代表者等を入れまして、そこでどういう役員を選ぶかというような問題も相談する、それに基づいて
理事長に任命してもらう、こういう運用をするというふうに指導いたして参りたいというふうに考えております。
以上が役員に関する
規定でございます。
今回の
改正のおもな点の第二は、第十二条の
改正により、新たに、
業務運営に関する重要事項につき
理事長の諮問に応ずる機関として、主務大臣の認可を受けて
理事長が委嘱する
審議委員の
制度を設け、従来の評議員の
制度を廃止することとしたのであります。しかし、この
審議委員の任命につきましては、
農林大臣の認可を必要とする、こういうようなことであります。これは、役員につきましては、あくまで、農林中金の民主化ということで、
農業団体に血を通わす、こういうことに徹底をいたしまして、役員の選任について、総代会で任命した者を
農林大臣が承認するとか認可するとか、そういうことはいたしません。そのかわり、
事業につきましては、今後の
農業金融の上に占めます農林中金の役割が非常に大きいので、そういう関係から、
事業につきましては十分強化いたしますと同時に、この
審議委員という
制度は、たとえて言いますれば日銀の政策
委員というようなつもりで考えていきたいということでございまして、農林中金におきまする重要
業務をそこで
審議していただく、こういう
考え方でございますので、これにつきましては、
審議委員の任命について主務大臣の認可を受けることになっておるわけでございます。
その他、監督の強化という
規定など所要の
法律改正を行なう、こういうようなことに相なっておるのでございますが、あまり長くなりまして申しわけございませんので、この辺で終わりたいと思います。
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