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伊東政府委員 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の
暫定措置に関する
法律の一部を
改正する
法律案の
提案理由の
補足説明をさせていただきます。
本
法案につきましては、先般
政務次官から
提案理由の御
説明がございましたので、簡単に
補足説明をいたしたいと思いますが、今回の
改正案の
内容といたしておりますところは、現在の
法律では
連年災の
規定がなかったのでございますが、
連年災につきまして
公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法と均衡をとりまして
特例措置を設けようという
趣旨でございます。
実は、三十五年度の
災害は、三十四年度なり三十三年度なりに比較いたしますと、どちらかというと規模が小さかったのでございますが、三十四年の
伊勢湾台風で非常に激甚な
災害を受けました岐阜県でありますとかあるいは京都府でありますとかというところに同じ地域で
災害が起きて参りましたので、三十五年につきまして地元から特に
要望があったようなわけでございます。
それでこの
法案の一部
改正を御
審議願うわけでございますが、
対象になっておりますのは、
農地、
農業用施設、
林道でございまして、
漁港は入っておりません。入っておりませんが、
漁港につきましては、
公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法という方で、市町村が管理しております
漁港につきましては
公共土木の方に
規定がございますので、そちらでいっておりますので、こちらの
対象になっております
農地、
農業用施設、
林道が
連年災の
対象になったわけでございます。
公共土木の
負担法の
関係では、単
年災でございますと、
標準税収入の二分の一から二倍までのものについては国が四分の三を負担する、
標準税収入の二倍をこえますと
全額国が負担するというような
規定になっておりまして、それが
連年災になりますと、二倍と言っておりましたのを、二分の一から
標準税収入まで、一倍でございます。それから、国が
全額持ちます場合には、従来は二倍をこえるものであったものが、一倍をこえれば
連年災の場合には国が
全額持つというような
規定になっておりますので、これに準じましてこの
法律を直したわけでございます。
御存じのように、現行の
法律のもとにおきましては、
農地、
農業用施設、
林道の
災害復旧というような
事業に対しましては、
原則としまして、
農地にあっては五割、
農業用施設は六割五分、
林道は、
奥地幹線林道でございますと六割五分、その他の
林道は五割という
補助率の
適用がございます。ただし、例外がございまして、いわゆる被害激甚という場合には、これは、
法律並びに政令におきまして、今の
原則の率が、たとえば
農地でありますと五割でございますのが八割、九割まで上がる、
施設災害が六割五分といいましたのは、ある
金額をこえますと九割あるいは
全額、
幹線林道でございますと六五が九〇、一〇〇というふうに累進いたすような
体系になっております。それで、今度の
改正におきましても、
補助率の
体系としましては、現在の累進して参ります
体系の
考え方をとっておるわけであります。
それで、
適用の町村でございますが、これは、
農地、
農業用施設に例をとって申し上げますと、現在では、単年度の場合は、一月から十二月までのその年に発生しました
災害の
災害復旧事業費を
関係農家で割ってみました場合に八万円をこえますと、さっき言いましたように五割が八割になったり九割になったり、六割五分が九割、十割というふうになるわけでございますが、
連年災につきましては、三
年間をとってみまして
関係実農家でこれを割ってみました場合に一戸当たりが平均十万円をこえる、それから、なおかつ当年だけをとってみましても二戸当たり四万円をこえるというような市町村につきましてこれは
適用市町村にしようというようなことを政令で考えているわけでございます。従来は八万円以上でございましたが、十万円をこえる場合、それから当年度は八万の半分の四万をこえる場合という間のところに線を持って参りまして、それをこえます
適用町村につきましてこれを
適用するという
考え方をとっております。町村につきましては、市町村合併がありまして、市町村合併で広くなりましてこの
基準に合わぬというような場合には、町村合併前の町村を
対象地域とすることは従来通りでございます。まだはっきりしたことはわかりませんが、こういう
基準でやってみますと、三十五年度の
災害を受けました町村が千百四十くらいございますが、その一割をこえます百二十くらいのものがこの
連年災の
適用を受けるのではなかろうかというふうに考えられます。
次に、
補助率の算定の方法でございますが、これも
農地、
農業用施設に例をとって申し上げますと、現在の政令では、
関係一農家当たりが八万円をこえる場合、それから十五万円をこえる場合というふうに区切っておりまして、平均八万円までは、
農地で五割、
農業用施設は六割五分でございますが、八万と十五万の間までは、これは
農地が八割、
農業用施設が九割でございます。それから、十五万をこえる分につきましては、
農地は九割、
農業用施設は十割ということで
補助金を計算いたしておるのでございますが、
連年災の場合には、三
年間の
災害がその一
年間に起きたというふうに仮定しまして、今の八万、十五万というこえるおのおのにつきまして計算しまして
補助率を出しまして、それを
災害復旧費とその比率をとってみまして、その比率で今度は
連年災の
補助金をはじくということで、重複いたしておりますような場合は、一体の場合は
連年災の方が有利になるというような計算方法になって参るわけでございます。これは
林道につきましても大体同じ
考え方をとっております。これで計算いたしますと、九千万をこえるくらいのものがこれにさらに追加して
災害復旧の
補助金としていくのではなかろうかというふうな計算に一応なりますが、これは、実際具体的にまた市町村につきましてこの計算で当たりまして、出ました金は三十五年度の
補助金の差額としまして三十六年度になるべく早い機会に
交付するというような
考え方をとっておるわけでございます。
それから、もう一点、こういう計算をやりました場合と単年度で計算してみました場合といいますのは、単年度でその年が非常に
災害が多いという場合には、過去の二
年間を入れますと薄まってくるというような場合には、単年度だけをとって計算すればいいということで、どちらでも有利な方でやったらいいじゃないかという
規定を置いて、おるわけでございます。
それから、この
災害が先ほど申し上げましたように、特に三十五年度の
災害が三十四年の
伊勢湾台風とダブりまして
災害を受けたところがあるという問題がございましたので、
災害といたしましては三十五年の一月一日から十二月までに起きた
災害につきましてこの
法律を
適用するということになっているわけでございます。
以上で
説明を終わりますが、小
災害につきましては、実は、これは
公共土木の方にも三十五年度は特例を設けるということがございませんでしたので、
農業用施設の小
災害につきましては市町村で起債をしてやってもらうというような形で進んでおりますが、
農地につきましては私有財産であるというような
関係でまだ話し合いがついておりません。これにつきましては、
公共土木の方でも特例法を作りませんので、これも一応
法律は作らぬということで、
連年災の
規定を作りまして御
審議をお願いしたわけでございます。
そのほかに、資料といたしましてお手元に二つお配りしてあると思いますが、これは特に御
説明する必要もございませんので、一枚紙の
連年災における
補助率の特例の計算例、これは、単
年災で普通
補助率のものを
連年災の
補助率でやった場合、あるいは単
年災で高率補助になりましてもさらに
連年災の
規定を用いますれば有利になる場合というようなもの、あるいは単
年災でやった方が
補助率が上がるというようなものを、ある前提を置きまして計算をしたものでございます。
もう一つの参考資料は、先ほど申し上げましたように、三十五年度の
災害につきまして大体どのくらいの町村がこれでやれば
適用になるだろうかというようなことを試算いたしてみましたものと、三十三年度からの
災害復旧の進度状況を御参考までに差し上げたわけでございます。
よろしくお願いいたします。
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