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伊東政府委員 愛知用水公団法の一部を
改正する
法律案の
提案理由につきましては先般
政務次官から御
説明がありましたので、私から若干
補足説明をいたしたいと思います。
今回の
改正案でございますが、
愛知用水事業の
建設工事は大体
昭和三十五年度で大
部分のものが終わりまして、三十六年度に入りまして、この六月を目途といたしまして
通水を考えているわけでございます。それで、
農林省としましては、
いろいろ別の
公団法との
関係もございますし、三十六年度の
予算をやります場合には、いろいろ
農林省独自の
公団等を考えまして、ここに御
審議を願います
豊川の
水系以外のことも考えたのでございますが、いろいろな
関係で、三十六年度の
予算に計上されましたものは、現在の
愛知用水公団法を
改正いたしまして、大
部分がやはり
愛知県の
事業であります
豊川の
総合水利開発事業というものを、ほぼ
愛知用水公団と同じような形式で取り上げまして、
工事の
早期完成をはかりますとともに、
豊川地域、これは二十九年に
閣議決定になっておりますが、この
地域の
総合開発に寄与したい、あわせまして、
愛知用水公団で非常に技術的な問題その他
経験を経ました人員並びに
機械等につきまして有効な活用をはかりたい、こういう趣旨で、この
法案の一部
改正をお願いいたすことになった次第でございます。
法案のまず第一条でございますが、これは、従来の
法律には
木曽川水系ということだけになっておりましたので、このたびは
豊川水系も追加するということで第一条を書いておるわけでございます。
それから、次は、第二章の
役員の
関係でございますが、これは
改正をお願いいたしております点は三点ございます。第一点は
名称で、
役員を従来
総裁、副
総裁という
名称を使っておりましたが、これを
理事長、副
理事長ということに直しましたことが一点と、従来
役員の
任期は五年ということになっておりましたが、これを三年ということに改めております。それから、もう一点は、従来は、
理事五人、
監事二人以内ということで、七人以内になっておりましたが、今回は、
理事三人以内、
監事一人ということにしまして、四人ということに改めております。
理由でございますが、これから
愛知用水公団の
事業が終わりまして、従来の施設については維持・管理をいたすわけでございますが、そのほかに
豊川を
承継いたしてやりますが、従来よりは
事業の規模は縮小されておりますので、
役員の
名称等を変えましたことと、
役員の人数も減らしておるような次第でございます。それから、
任期につきましては、
愛知用水公団は大体五年で仕上げるということでスタートいたしたわけでございます。それで、五年という期限が切ってあります間に何度も
役員がかわるということは
事業の運営上まずいのじゃないかということで、
工事を
完成する間は
任期を変えないということで五年ということになっていたのでございますが、今度は、そういう必要もございませんので、ほかの
農地開発機械公団でございますとか、あるいは
森林開発公団などの
役員の
任期と合わせまして、三年ということにいたしております。これが
役員関係の
改正の
規定でざいます。
次は十八条でございますが、これは
業務の
範囲の
改正でございます。
業務の
範囲につきましては、従来は、
愛知用水公団の
関係は、
ダムを作ります長野県、それから
水路の岐阜県、
愛知県の三県が
関係県であったのでございますが、今度
豊川を入れますと、実は
豊川は約二万町くらいの
面積の中で五百町くらい、
静岡県の湖西町というところが若干入って参りますので、
静岡県を入れましたことと、今度の
豊川事業の
内容には
干拓埋め立てがございます。従来の
愛知用水公団にはございませんでしたが、今度の
事業にはそういうものが入っておりますので、その
規定を入れましたところが、
業務の
範囲が従来よりもふえておるわけでございます。
次に、十八条の二という、
国営土地改良事業の
承継等の
規定を入れておるわけでございます。これは、従来
豊川は
国営、
県営の
事業としてやっておったわけでございますが、今度は、
土地改良法ではなくて、この
法律によりまして、
公団法がきめております
事業実施計画でありますとか、
基本計画、そういうものの公告をして、異議の申し立て、意見を聞くというような
手続をいたしまして、
土地改良法との
関係を切りまして、今度は
農林大臣が告示をいたしますと、これが
国営事業あるいは
県営事業等からこの
公団の
事業に変わってくる。もちろん、そういたしますと、後来の
負担金等も
公団で
徴収するというように、従来の
国営事業等をこの
公団事業に
承継するという
規定を置いたわけでございます。
県営等につきましては、これは県から申し入れがありましたときにはそれを
公団の
事業とする、こういうようなことによりまして
承継の
規定を置いたわけでございます。
それから、今御
説明で申し上げましたが、
愛知用水公団法には国が作ります
事業基本計画、それから
公団が作ります
事業実施計画というものもあるわけでございますが、これは従来は
木曽川だけでございましたので一本で作っていたわけでございますが、今度は
豊川も入りますので、
木曽川と分けまして、従来の
事業基本計画、
事業実施計画と分けまして、
豊川水系について
事業基本計画、それから
事業実施計画を作るという必要がございます。これは後ほど申します
経理も当然そうなるわけでございますが、十九条でこれを分ける
規定をいたしているわけでございます。
それから、二十三条の二ですが、先ほど申し上げましたように、
業務の
範囲に
公団が
埋め立て・
干拓をいたすという
規定を設けておりますので、今度は
埋め立て。
干拓予定地の
処分が当然要るわけでございます。これは大体
土地改良法の
手続に準じております。今度
公団がやります場合と国がやります場合で若干の違いはございますが、大
部分は
土地改良法の
手続にならいまして、
公団が
大臣の承認を受けまして
土地配分計画を定めますと、それに基づいて、そこに入りたい、入植したい、あるいは
増反地がほしいというような人が
配分申込書を
公団に出しまして、
公団は、そういう人が
農業に精進する見込みがあるということになりますと、その人に
配分の通知を出すということをいたしまして、
公団が
埋め立て予定地の
処分をするという
規定を入れたわけでございます。
そういたしますと、これは当然、
賦課金にも
関係して参りまして、
干拓・
埋め立てを行ないましたものについての
賦課金徴収の
規定でありますとか、あるいは、
豊川につきまして従来国がやったわけでございますが、
一般会計当時国が出しました分で実は
農民負担になる分がございます。こういう分は
公団が
徴収をしまして国に納めることになるわけでございますが、こういうものの
徴収の
規定も置いたわけでございます。
それから、次に、飛びまして三十三条の二でございますが、これは
経理の区分ということでございまして、先ほど申し上げました通り、
豊川の
水系につきまして
基本計画、
実施計画を作るわけでございますが、
経理も、従来はこの
公団は
世銀から
借り入れをいたしております。それで、
世銀の
償還の建前もございますので、従来の木曾川
勘定というものは別としまして、それと
豊川水系の
勘定というふうに分けて、これは
世銀の
償還関係もございますので、そういう
規定を入れているわけでございます。
それから、三十四条に、
公団が
公団債を
発行する
債券発行という
規定を新たに入れたわけでございます。これは
予算的には三十六年度はこういうものは
予定はいたしておりませんが、将来
公団が
資金運用部資金等を借り受けまして
事業を継続して参るわけでございますが、その際に
資金運用部資金が不足するというような場合に、たとえば国会の議決を経ております
範囲内で
政府の保証を得て
債券を出すというような
能力規定を三十四条に六項を追加して置いたわけでございます。これは従来は実は
世銀から要求がありました場合にはその場合だけに
公団債券の
発行ができるということになっていたのでございますが、過去においてはそういう実例はございませんでしたが、一般的に
公団債券を
発行できるという
能力規定を置いたような次第でございます。ただ、三十六年度の
予算にはこれは全然計上いたしておりません。
それから、先ほど
公団が
国営事業なりあるいは
県営事業を
承継するということを申したのでございまするが、その場合には当然にその
事業についております
権利・
義務につきまして
公団が
承継するということにいたしております。ただ、
県営事業等につきましては、
法律でぴしゃっと
権利・
義務の
承継と書きますと、いろいろ問題もありましょうから、
県営の
事業につきましては、どういうものを引き継ぐ、引き継がぬというようなことを
公団と県で相談をする余地を残しているようなわけでございまして、そういう
権利一
義務の
承継がございますと、当然先ほど申し上げましたように費用の
徴収も
公団がいたすということになるわけでございます。
それから、
最後に、
附則でございますが、この
附則につきましては、
公布の日から施行するというふうになっておりますが、ただ、
役員の
関係だけにつきましては、
公布後四カ月をこえない
期間で政令で定める日ということにいたしておりますことと、従来五年という
任期がございましたが、まだ五年たっていない人については、今言いました四カ月以内の
期間で定めました場合には、その
期間をもって満了するというような二つの
附則を置いております。これは
豊川用水事業を年度の途中で引き継ぐわけでございます。それで、現在の
役員の人々には、今残っております従来の
愛知用水公団の
仕事を、
通水のための
最後の追い込みの
事業をやっていただきますと同時に、実は
豊川への移行の
問題等につきましてもまだ
仕事があるわけでございますので、両方やってもらいますかね合いからいきまして、
公布の日からすぐかえるということではなくて、
任期につきましては若干の余裕をもってそういう次の新しい
役員の方にかわってもらうということにしたいということで、こういう
附則を置いたのでございます。大体今までの考えでは八月一日ぐらいから
仕事は切りかわってやりたいというような
予定をいたしているようなわけでございます。
簡単でございますが、
政務次官の
提案理由の
説明につけ加えまして
説明といたします。