○亀井参考人 亀井でございます。国有
林野事業に働いております十五万人の職員の総意というものを反映する全
林野の
立場において、
反対という
立場に立ちまして、ただいまから若干
意見を申し上げてみたいと思います。
意見の内容といたしましては、まず、
反対の基本的な理由といたしまして、今次の
法案というものが、首切り
法案と申しますと語弊があるかと思いますが、われわれ国有
林野事業に従事をする職員といたしまして、首切りにも等しい、あるいは極端な労働条件の低下というものを来たす、こういうふうな
判断をしております。それから、
法案の
提出に当たっての理由根拠というものがきわめて薄弱である。それから、第二点といたしましては、この
法案の中に含まれております個々の
問題点といたしまして、約六点ほど
意見を申し述べてみたい。内容としては、ただいままでもいろいろ論議がありましたように、従来の官行に対する
契約解消の問題、それから、
市町村の優先順位というものが今くずれ去るというふうな危険性の問題、次には水源森林というものに対する範囲の問題、それから、次は、分収歩合というものについても非常に疑問を持っております。それから、第五点といたしましては、
森林開発公団の将来性という問題、それから、最後に、
林業基本問題の答申の中に
関連を持たせまして、以上各項目に従って御
意見を述べて参りたい、かように存じます。
まず、
反対についての基本的な理由でございますが、先ほど首切り
法案であるということを申し上げました。三十五年度の
予算で推定をいたしましても、
官行造林の新植、これは補植も含めておりますが、大体延べ人夫にいたしまして百三十二万人という数字に上っておりますが、さらに、保育
関係についても百二十六万、計約二百五十八万という人がこの百行
造林に働いておるわけでございます。このうち、今回の
法案が実施をされますと、新値
関係の百三十二万、大体人数にいたしまして六千人というふうに算定いたしますけれども、これらの
人たちが直接首切りの対象になる、こういうふうに
考えております。これは三十六年度についてこういうことが
考えられるわけですけれども、さらに、三十七年度以降については、雑草木の刈り払いつる切り、枝打ち等の保育
関係の仕事というものが年々減っていきます。と、勢い総体的な事業量というものが減って参ります。こういうふうな結果において毎年なしくずしに整理をされていく、こういうことが予想されるのであります。単に現場
関係だけではなくして、現在
全国の営林署の数というのは約三百四十八に上っておりますけれども、このうち
官行造林を主体にしておる営林署の数が二十署くらいあります。さらに、その下における担当区の数に至ってはおそらく数百に達するであろう、こういうふうに
考えております。今回の
官行造林の
廃止というものが実施をされた場合に、当然これらの営林署とか担当区の統廃合というものが出てくるでありましょうし、その結果担当数の職員の配置転換あるいは首切りというものが出て参るというふうに
考えらまれす。この件については、今まで本
委員においてもしばしば
林野当局は、首切りはしない、犠牲者は出さないのだということを言明しておりますけれども、明らかに事実に反しております。特に、現在
官行造林に従事しております作業員を国営生産事業に振りかえる、その他の
造林拡大の面に振りかえるというようなことを言明しておりますけれども、
林野庁の方針というものは、これらの直営生産事業というものを年々縮小していって、請負を導入をするというような
経営の方針を強めて参っております。私
たち全
林野としては、請負の導入に
反対の態度なり、さらに雇用の条件では常用の増大を要求をしておる、こういうようなことを戦いとして仕組まざるを得ない羽目になっているわけでございます。
委員会の中でしばしば述べている具体的な裏づけのないこういうような当局の態度についてだけで安易にわれわれとして引き下がるわけにいかない。これは具体的な事実を申し述べますけれども、すでにこの春、長野の営林局管内においても、毎年定期作業員として八ヵ月以上働いておった
人たちの雇用期間を六ヵ月に短縮をするという内容が指示をされております。さらに、飯田の営林署、あるいは瓜田、大町、こういうところで八カ月のものが六カ月に落ちている、あるいは四カ月以上働けるというある程度の保障のあったものがそれ以下に切り下げられたり、それから、大町の営林署においては、すでに
官行造林用の苗木を育成しておった苗畑が
廃止をされ、そこで働いておった十数名の
人たちが配置転換を余儀なくされておる、こういうふうな事実があります。もちろん、組合としても黙っておるわけではなくて、地本なりそれぞれ交渉をしておりますが、長野当局のこの計画というものは変更する
意思はないということをきっぱり言い切っております。さらに、大阪の管内においても、全署を網羅いたしまて約百二十名からに上る定期作業員の不採用という事実が出て参っております。こういう現実を見るときに、当局側がこの
委員会で
答弁をしているものとは全く相反した逆行したものがこれらの署に出ておりますし、さらに、
全国的規模で見るならば、われわれはこれをいわゆる首切り
法案であると認識しておりますが、これより大きな数字が発生をしておるかと思います。
次に、
官行造林の
廃止をする根拠はきわめて貧弱であるということ。それから、既
契約地までも
解約しようということは、目的のためには手段を選ばない、こういうふうな強引な態度が感ぜられるわけであります。今度の
官行造林の
廃止と
公団移管に対して、多数の
市町村なり
地方新聞が
反対の意向というものを伝え、さらに報道をしておりますけれども、また、農林省内あるいは
林野庁内においてもこの問題についての批判の声があるということを言われております。そういうふうな声を反映いたしまして、去る三月十三日でございますが、農政タイムズの中に、「里山も水源林、ナゾを秘めた
公団移管」という見出しにおいて、
官行造林の
公団移管は農林部内の立法手続から言っても非常に疑問がある、早計であるというふうなそしりは免れないだろう、こうふうな
意味のことが出ております。
さらに、
官行造林の
廃止について
林野当局は明確な
説明を避けておりますけれども、
法案の
提出理由になっておりますものは、
官行造林を新開発
公団に引き継ぐから
官行造林法は
廃止をするというふうな、まさに三くだり半的な字句しか書かれておりません。
林野当局の今回この
法案提出にあたっての唯一の理由としては、国有林の仕事が非常に忙しくなる、今後小さい団地が分散化をするので、従来のような形においての
官行造林事業というものではとても人手が回らないというふうなことをあげております。しかし、これは今まで当局側が言明をしてきたこととは全く矛盾をしているというふうにわれわれは感じております。特に、昭和三十一年のこの
関連する
法律の
改正の際に
官行造林は一部の水源私有林に対象を拡大しておりますけれども。そのとき当局は、水源林の造成は、営林局署の技術を動員し、その
責任において
造林地の管理
経営を行なうのが最も適切確実妥当な方法であるということを強く主張しておったのであります。これは今ここででたらめを言うわけではなくして、その間の
経緯というのは、
林野庁のいわゆる
PR誌である
林野時報、それから前
長官である石谷さんなどが、参議院の農林水産
委員会の三十一年二月十四日の議事録にも出ておりますが、その言明によって今申したような態度を明確に出しております。しかも、
法律が
改正をされて一年を経て三十二年度から、
林野当局はそれまでの公共事業でやっていた水源林の造成事業を
廃止をして、以来水源
造林を全部
官行造林でやるということにいたしました。三十二年二月に
林野庁が発表した「今後の
官行造林」というパンフレットが出ておりますけれども、それについての理由を次のように
説明をしております。従来の水源林造成事業による新値費を全額補助するのみであとの保育、保護管理等一切を土地の所有者にまかせる方法では、森林造成の全きを期することは至って困難な事柄である、こういうことを述べております。また、林地が分散し零細化し、現在の国有林と
関係なく分散することがあっても、そういうところこそ市村町あるいは森林組合に請負わせるから、事業の円滑かつ能率的執行は可能であるという点に触れております。
以上がこれまで
林野庁が
官行造林に対して公にとってきた態度でありますが、このような理論に立つときに、
林野当局の現在の論理というものは全然成り立っておらないのではないか。由来、森林政策というものはきわめて
長期の展望に立って策定をされなければならぬと思いますけれども、わずか四年ないし五年たった今日において、ネコの目の変わるようにこれらの方法というものが変わっていくことについては、きわめて疑問を持っておる。しかも、十分なる
審議討論の期間を置かないで、短時日の間に出して今次の
国会で一挙にこれを通そうという点についても、全
林野としてははなはだ疑問に感ずるのであります。
そこで、内容に入りたいと思いますが、第一に、単なる費用負担者で、
造林地の保護、保有に関して
責任も能力もないところの
森林開発公団が水源
造林事業に不適格であるということは明らかであると思いますが、
官行造林でなければ県行
造林などを実施すべきであるというふうに全
林野としては
考えております。
第二に、零細分散化して営林署が事業を実施するのが不適当な場所、こういうところについては、
市町村あるいは森林組合に委託をして事業を実行すればよい。何もここで
森林開発公団という特定のものに結びつけたり、
考えようによっては退職者集団というものに全事業の
経営をまかせて、しかもいろいろな点での上前をはねさせるということが何としても納得がいかない点であります。この
官行造林の目的でありましたところの、
町村財政の基盤を確立する役割を果たしつつある
市町村の山というものが大切であるか、国有
林野事業に全生活の基盤を置いている作業員の生活が大切なのか、わずか一握りの退職官僚の食いつなぎの方が大切か、こういう点を率直に御
判断下さいまして、慎重なる御
審議をお願い申し上げたい、かように思います。
第二点に入りまして、この二つの
法案に含まれている個々の
問題点について述べて参りたいと思いますが、以上のような
官行造林の
廃止と
公団造林の開始をねらいとしておる二
法案は、立法の根拠がきわめて薄弱であるという点を先ほど申し上げましたが、かりにこの二つの
法案が成立をいたしますと、
市町村にとって、また今後の
林野行政にとって非常に重大な問題が生じてくるであろうと
考えるわけであります。本来、こうした点については、
林野当局があらかじめ
市町村あるいはその他の
関係者に内容を明確にして、十分
理解納得さすべきが至当だと思いますけれども、今まで、先ほど来の参考人の方々の
意見を聞き、あるいは数日来
審議の内容を承ってみましても、実際にそれらのものが十分に行なわれたとは思えないのでございます。特にここで重点的に次のような
問題点を
考えてみたいと思います。
第一に、最も切実な問題は、既
契約地の解消であります。
市町村を、
林野当局は、
解約に応じない限り
造林ができないというような形で脅かしておるということも聞いておりますけれども、言うまでもなく、三十六年度の特別会計
予算の中にはこの新植費というものが全く計上されておりません。
林野当局は、
市町村の
了解を得ることなくして、
契約解消を前提として、こういう新植
予算を全く見ないというふうな暴挙をあえて行なっているわけであります。かりに
解約に応じないような場合でも、何とかしてこの
契約を解消したいというふうな
考えがあるやに聞いております。もちろん、当局は従来締結をした
契約というものを履行する義務があるわけですけれども、どこからこの新植費というものを出す
考えであるのか。ほかの面で圧力などをかけて、結果的には応ぜざるを得ないような方法をかりに
考えるとしたならば、まさに言語道断と言うべきであろうと思います。この問題については、
全国から、私
たちの知っている範囲においてもすでに六万名に上る
反対請願署名というものが集まっておりますけれども、そのほか多くの
市町村においても、
林野当局の今までとってきたこういうような態度については非常に憤激をし、二
法案に対して
反対を示しているのであります。なお、昨日のこの
委員会において
自治省側の
政府委員は、
官行造林を
廃止をするこの
法律案の附則によって、既
契約地については
契約は有効だということを言っておりました。これは二
法案の建前とは全く相反しておるのではないか、私は特にこの点について本
委員会の慎重なる
審議をあらためてお願いをしておきたいと思います。
第二に、
官行造林法が
廃止をされますと、
市町村有地を優先的に
造林をするという従来の原則がなくなってしまいます。現行法では
市町村有地あるいは
部落有地に水源林以外の一般林地であっても
植栽ができるというふうになっておりますけれども、法の
廃止後においては私有地と全く同格地されるというふうな内容を含んでいるというふうに
考えられるわけでございます。今後、
林業基本問題答申の公有
林野消滅政策と申しますか、あのような答申の内容に基づいて政策が実施をされて参りますと、
公団は
市町村有林を対象からはずしていく、さらに、私有地などを主たる対象地として不当な利益を与えるというふうなおそれがないということは言えないと思うのでございます。
第三点といたしまして、
森林開発公団が不当に私有地に国費をつぎ込むような機関にならないかという心配は、全部水源
造林という概念のあいまいさというものに
関連を持ってくるわけでございますけれども、この点についても、三十一年の法
改正の際の石谷前
長官の
国会答弁、及びこれに基づく同年七月の
次官通達の中にある
造林地の選定基準、この内容といたしまして、水源地私有林に対する
官行造林の対象を、森林法の第四十一条の保安施設事業による水源林造成事業予定地、すなわち保安林あるいは保安林予定地に限っていたのでありますけれども、しかしながら、
林野当局はこの実行を独断的に無視しております。普通林地に対しても水源
造林の名で
植栽しているということが言われております。この点も大きな問題でございますが、今度の
公団造林では、ついに、保安林予定地が多いだろうけれども必ずしもそれに限らないということを明白に言い切っております。
公団造林の対象地は農林大臣の指定をする水源地域の中から選ばれるというふうに
説明をしておりますけれども、それは
市町村を単位として選定され、保安林以外の普通林が公然と対象にされる、そういうふうな内容が
考えられます。ここにいわゆる水源林というのは、いわゆる森林法上の水源涵養林とは違う、非常にあやしい内容に変わってくるのではないかというような危険性を感じておるものでございます。
第四には、
市町村の分収歩合の点について申し上げたいと思いますが、初め
林野当局は、この分収歩分という問題については、状況に応じてきめたいという態度をとっておりました。
市町村は
自治省側からつつかれて五分・五分だという標準を示したわけですけれども、しかし、現在でも
林野当局は、これはあくまで標準であって、現行法のように原則ではないということを言っております。そのため、現在
林野当局が各
方面に配っております「水源
造林のしおり」の中にも、個々の分収歩合は土地の状況あるいは費用負担の割合によっても違ってくるし、それから、
造林費などが多くかかるかあるいは少なくかかるか、こういうふうなものによって違うので、一律にはきめられないということをパンフレットの内容に明らかに書いておるのでございます。それがどういうふうに違っていくのか、これらの算定方式について当局はその明らかな内容というものを示しておりません。
さらに、分収問題について不可解に感じますのは、
林野庁長官と
自治省の
行政局長との
覚書に対する
林野当局の態度であります。四月三日の時事通信の
地方版にも、
林野庁があのような
覚書を取りかわしたのになお分収率の変更をあきらめていないということを報道しておりますが、据え置きにした理由について、明年度から従来の
官行造林事業が
森林開発公団に移管されるのであるから、急激に率の改定をするのは好ましくない、暫定的に五分・五分としたのだというようなことを
説明をしておるということをしるしてあります。従来
市町村に対して行なっておりましたいわゆる五分・五分というものを今後とも引き続いてやるという
意味の、そういうニュアンスを与えるという
意味の
PRから見るならば相当食い違っておるのではないか。こういう点を見るときに、明らかに、
市町村を一時的にペテンにかけて、ともかくこの二
法案を通そうというふうな、そういう態度が見られるのではないかと
考えられるのでございます。
なお、現在
林野当局が公表しております分収率というものは、どろなわ式と申しますか、非常に急いで作ったので、でたらめな内容を含んでおるというふうに
考えます。
その第一点としては、
公団から
造林費の全額を支給される
造林者が二〇から一〇%の分収を受けるというふうになっておりますけれども、なぜそれだけの分収を受けるのか、理由の
説明がついておりません。
造林者は全然出費をしないで、いわゆる請負業者というものとほとんど内容的に異ならないにもかかわらず、こういうふうな分収を請求をする権利がどこから
考えられるのか。この点非常に問題を感ずるわけでございます。
次に、これに
関連をいたしまして、
市町村が
造林者である場合には、
林野当局の公表した分収歩合でいいますと、大体七〇%から六〇%にするはずでございますけれども、この点についても当局側は五五%というふうに、いわゆる値切った数字を出しております。この点も、
市町村が
造林者として一緒に仕事をやる場合に、
造林者の取り分というものが明らかに半分から四分の一に減っておる。その辺の計算の根拠というものが全く明らかになっていないわけです。また、
市町村有地に対して森林組合が
造林者になる場合には、森林組合の取り分というものはそれぞれどういうふうな数字を示すのか、この点も全くわからないということが言われます。ことに、この問題は
市町村のいろいろな面に重大な
関係を有する問題でございますし、このような明確でない態度のままに、急いで
審議を打ち切って、悔いをあとに残すことのないように、特に
要望を申し上げておきたいと
考えるわけでございます。
公団移管が実現をした場合の
公団造林の将来についてでございますが、先ごろ周東農林大臣が
国会答弁の中でこういうことを言っております。それは移管になっても
官行造林と何ら変らないのだ、かえって能率的になるのだ、こういうふうな言い方をしておりますけれども、今まで私が申し上げたように、この
国会の中でした
答弁というものは、
官行造林の性格というものが根本的に変わっているにかかわらず、それに全く目をおおった
説明なり表現であるというふうに
考えられます。しかも、私ども全
林野は、
公団に移管になったとしても、はたしてこの
公団造林の将来というものが遠い何十年も先において存続できるものかどうか、この点に非常に疑問を持たざるを得ないのでございます。さらに、
林野当局は、基本問題答申に基づいて国有林の公社移行という点を準備をしております。これは、答申の中にも、
経営と
行政を分離をせよということで、その中から
考えられました、いわゆる従来ありますところの国鉄なり、専売、こういうふうな相似た公社
制度というものの検討を進めておりますけれども、はたして、そういう公社というふうな体制になっていった暁においても、現在当局が
考えており、かついろいろ
説明をしておるような無償出資というものを毎年
公団に対して行なうことが可能なのかどうか。こういうふうなことは今までの三公社の中にも例を見ない形でございますし、きわめて危惧の念にかられるわけでございます。私
たちはこういうふうな点から見ても、何ら
長期の見通しがないままに
公団に移管をする、このために各
市町村については取りかえしのつかないような損害を与えるであろう、このたびの
官行造林法の
廃止について
反対をする、こういうふうなことを申し上げたいと思うわけでございます。
最後に、
林業基本問題答申との
関連について申し上げたいと思います。
林業基本問題答申は公有
林野の縮小政策というもの、そういう方向を指摘をしておるということは、先ほど来の答申自体に基づく
質疑の中からも明らかに読み取れるところでございますけれども、答申は、
市町村林野の直営というものを否定をし、また、家族
経営的
林業育成ということで、
市町村有地上の実質
部落有地の利用から下層の農民を締め出そうというふうな
考え方をいたしております。答申では、このために
官行造林の
市町村有地導入というものに
反対をしたい、こういうふうな
考え方が答申の中に出ておるわけでございます。
自治省と
覚書を取りかわしたにもかかわらず、
林野当局はそれを一時の便法というふうに
考えておるだろうと思いますが、依然として他の面においては答申強行の準催を進めております。農業基本
法案の第二十二条に書かれておりますのは、
林業の家族
経営育成ということが載っておるわけですけれども、今次の
国会において
林業経営安定化資金の
制度化を内容といたしました、いわゆる農林漁業金融公庫法の一部
改正法律というものが成立をしておりますけれども、これらの家族
経営的
林業の対象地というものは、いわゆる国有林であり、
市町村有林であります。ここで、
官行造林を
廃止をして、
市町村の優先順位というものがなくなったいわゆる
公団造林というものが発足をすれば、このような公有
林野政策の大転換に伴って、
市町村有
林野を見捨てるということが容易になるのではないか、こういうふうな
考えを持っております。現在、この
国会の内外におきましても、農業基本法をめぐっていろいろ論議が白熱化しておりますけれども、しかし、基本問題答申、農業基本
法案というものは、いわゆる多数の農民から農地を奪うだけではなくして、今回、このような
措置によって、多数の農民は農地だけでなくして
山林原野もさらに奪われるのではないか、
部落の
林野は一部の上層農家というものに分割集中されるというふうな傾向が出てくるでしょうし、
市町村有
林野についても解体をされようというふうなことが懸念をされるのでございます。
私
たち全
林野として
官行造林の
廃止と
公団移管に反、対をしておりますのは、今まで各項目について
意見を述べましたが、このような観点から根本的な矛盾を感じ従来の
公有林政策と全く逆行した政策が行なわれていくであろう、さらにまた国有
林野事業に働く労働省の生活が極度に脅かされんとしている、こういうふうなことから
反対をしております。
最後に、本
委員会が慎重な
審議を尽くされまして、私
たちのこうした危惧の念、私
たちの期待に十分こたえられんことをお願いいたしまして、以上をもちまして私の口述を終わりたいと思います。(拍手)