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山崎政府委員 公有林野官行
造林の仕事は、お説の
通り大正九年に法律を制定いたしまして、自来三十五年度までこの
事業を続けて参りまして、約三十万
町歩に及ぶ
公有林、一部
私有林等の
造林を行なったのであります。当時におきます官行
造林の
考え方といたしましては、
市町村有林における
造林を要する土地が約六十万
町歩残されておる、この半分は
市町村みずからの力によって
造林しよう、残りの半分を官行
造林という形で国の援助のもとに
造林を行なっていこう、そうして
治山治水に大きくこれを貢献さすということのほかに、
市町村の
基本財産造成ということを目標にして出発したのでありますが、三十五年度をもちましてこの約三十万
町歩の
造林を完了したという段階に相なったのであります。
それから、第二の点といたしましては、大正九年から始めました官行
造林事業も
昭和三十六年度からいわゆる
計画的
伐採に入る段階と相なったのであります。三十六年度におきましては約六千
町歩に達する
面積の主伐を行ない、自後四十五億円
程度の売り払いの金額に達しまして、その半分が
市町村に入り半分は国に入るという段階に相なったのであります。これが漸次増大いたしまして、数年後には売り払い金額が約七十億円に達するというふうな段階になっておるのであります。この官行
造林の性格から申し上げましても、今後この六千
町歩あるいはそれを上回る
程度の
造林した土地を切るわけでありますので、その切った跡地につきましては、やはりその収入の一部なり、あるいは必要な場合は三年前から実施しております
市町村等に対する長期据え置き融資の金等をもちまして、
市町村みずからの
造林事業と以後の
経営というものをやっていただくということになるのであります。
第三の点といたしましては、
基本問題調査会等でも言われておりますように、今後の
山村民の
経済生活を
向上する、その面から
林業に相当大きく依存しなければならない、また
家族経営的林業の
育成をしなければならない、その
対象となるべき土地は、その
市町村等が持っております割合便利ないわゆる里山地帯の
森林もその
対象に考えるべきではないかというような点からいたしまして、従来考えておりましたような
公有林の比較的便利な里山地帯に対します官行
造林事業の
計画というこには
基本問題調査会等におきましても大きく疑問が投げかけられておるというような点もあるのであります。
また、先ほどお話のありました
治山治水緊急措置法の施行等に伴いまして、
水源林地帯にあります散生地、無
立木地等を早急に
造林しなければならない点からいたしまして、三十一年度に法律改正を行なったのでありますが、その趣旨をさらに大きく徹底いたしまして、今後の国が特に新値あるいは保育、その後の維持管理というような面にまでめんどうを見ていく
造林というふうなものにりきましては、この
水源林地帯の無
立木地、散生地等に
重点を置いて臨むことが必要じゃないだろうかと考えたのであります。
また、さらに、そういう点からこの
造林をすべき土地二十二万
町歩余をいろいろと
検討をいたしてみますと、大正九年に官行
造林が始まりまして三十一年の法律改正までの
時点におきましては、一契約団地の
面積は百
町歩以上というふうな大
面積のものが件数におきましても六二%を占め、
面積におきましても八割を占めるというふうな段階であったのでありますが、三十一年に法律改正をいたしまして、自後これが小さく相なって参ります。三十一年から最近までにおきましては、十一
町歩以上五十
町歩未満というような一団地当たりの
面積のものが件数で全体の五五%も占めるというふうに小さくなりつつあるのであります。また、この二十三万二千
町歩の今後
造林しようと考えておりますものを詳細に見てみますと、一団地当たりの
面積が五
町歩ないし十
町歩未満のものが件数にいたしまして全体の七割以上を占めるというふうに相なって参りまして、その
対象地が
奥地に進み、しかも分散化し零細化するような形に相なって参ったのでありまして、その点からいたしまして、従来の官行
造林と同様に国が植付、手入れ、維持管理というようなことを全部やるというのには適しないという形に相なったのであります。と申し上げますのは、
昭和二十八年に保安林整備臨時措置法を制定いたしまして、
民有林におきましても最も重要な
奥地地帯の保安林は国で買い上げる、そうしてその施業については国が責任を持ってやるということを打ち出しておるのでありますが、この買い入れにおきましても、国が維持管理、
経営をするという建前からいたしますと、一団地当たりの
面積は三百
町歩以上でなければならぬというような制度で現在も仕事をしているというような点から御了承いただけるように思うのであります。
そういうような点からいたしまして、この
事業は、国がみずから行なうというよりも、やはり分収
造林特別措置法に基づきまして、国ないし国の機関が出資者という立場に立ちまして、出資者が
造林、維持管理等に指導監督を行ないまして、土地所有者の植付その他につきまして極力自主的な
経営を期待するということが、
造林地のあり方、
造林事業の本質から言って最も適当とするものではなかろうかという
考え方に立ちまして、国の機関であります
森林開発公団にこの仕事をやらすことが最も適当だというふうに考えた次第であります。