○高島参考人 私は全国開拓連の
理事をやっております高島照治と申します。群馬県の嬬恋村の仙之入という開拓農協の
組合長をしておりまして、たまたま群馬県の開拓連合会の会長をやっております。今回参考人としての発言をしろという中に、地方における総合農協と開拓農協との合併問題について話せということでございます。現在、合併促進法につきましての
考え方につきましては、大体中央会の考えております考えとそう違っておりませんし、また、大局的には合併の促進をしていくということについてはいささかも異議はございませんが、ただ、われわれが開拓の立場で考えましたときに、現状におきまして、開拓が山の中に入りまして
生産協同体としての実をあげようというふうに考え、また総合的な農協の立場に対しましても真に
生産協同体としての姿をいかに農民が自覚し、把握し、それを
経営の面で推進していくかというふうに考えますときには、ただ流通
経済面だけで合併をする方がいいということも非常にむずかしいのではないか。その点、特に、この
法案の制定につきましては、そういう点で農民に手落ちのないようにといいますか、農民自身が新しい時代に即応しての協業
経営なりあるいは共同
経営なり、それの金融の
考え方なりあるいは
生産の方式の
考え方なりをとり得るような体制ということになると、あながち組織だけを大きくするということは、われわれは行政上非常に注意をしてこの施策の方向をやっていただきたいというふうに考えるわけです。
特に開拓の問題についての合併問題について地方における問題を
説明しろということでございますので申し上げますと、開拓農協の設立の経過につきましては、三十二年の開拓振興法の制定のときにおきましては、農林水産
委員会におきましては長い間御討論願っており、諸先生においては十分御存じであろうと思いますので、この詳細は省略させていただきますが、ただ、われわれ開拓団体というのは、流通
経済の面だけでなくて、ほんとうに開拓の新しい、無から有を作るという村作りのために、行政的な方法、行政で当然やらなければならない道路とかあるいは水路とか電気の導入だとか、そういう一から十まで、全く無から有を作るための建設
事業、そういうような特殊
事業を
相当行なっているわけでございます。そういう本来農協という組織でやることが正しいか正しくないかというようなことすら現状の開拓農協はやっておる。それは、現在農協法というものが、十五人以上あればできるとか、そういう現在の農協法しかないので、そういう形をとらざるを得ないでやってきた。ところが、現在におきます問題点として、全国の開拓者の
組合の数を見ますと、四千二百
組合ございます。開拓振興法の制定を見まして、これの推進をはかっていこうという
組合が、振興
組合と称しておりますが、二千八百五十
組合ございまして、その
組合の
内容につきましては、三十人以下の
組合が全体の七割
程度を占めている。しかも事務所もその中に持っておらないというような開拓
組合が全体の七割を占めております。専任職員がいないというような
組合、全く農協としては考えられない
組合が八割
程度ございます。一般農協に二重加入しているもの、これは、たまたまあとから開拓農協等が制定され、あるいは行政上開拓農協の必要性を感じて設立したとか、あるいは、開拓農協を作っておったけれ
ども、
経済流通面で総合農協へ入っておらなければ不十分な点があるという
意味で入っているもの、これが六割
程度ございます。一般の農協なり他の団体に加入してない、真に開拓農協だけで、金融から、行政の立場である開拓営農から行なっているというのは全体の二割だけでございます。出資
組合も全体の
組合の四七・九%でございまして、約半数に満たないわけでございます。非出資
組合は従いまして五二%あります。しかしながら、そういうふうに形が変わって生まれておりますだけに、一人当たりの負担金というものも非常に多いし、出
資金も非常に多く持っております。一
組合当たり出資額が平均二十九万になっておりますが、先ほど申し上げました三十戸以下を七〇%も含んでおるという
実態がございますだけに、一人当たり何方というような
金額、そういうように、開拓農協を設立するために開拓者自身に負担がうんとかかって困難な
状態になっておるというふうに言えます。賦課金におきましては、全国の一
組合員当たりの平均が千七百円になっております。
組合事業概要では、農協本来の
生産事業、
経済流通
事業、あるいは開拓者
資金融通法による融
資金の供給、それから開拓
融資保証法によりますところの
経営資金の供給、それから開拓営農振興臨時措置法による振興
計画の樹立あるいは実施、営農振興対策
資金の受け入れ、それから
農林漁業金融公庫資金の受け入れ、——この中で非常に大きな問題になりますのは、本来金融のベースではないといいますか、建設
事業であります電気
事業とかあるいは水路とか
土地改良とか、そういう問題につきまして国の補助残
融資をほとんどこの
農林漁業金融公庫の
資金に仰いでおる、こういうようなことで、非常にこの開拓農協の今後におきまする合併に対します問題が起こってくるわけであります。それから、天災
融資法による
経営資金の供給、これも、開拓地が返済の問題につきまして特段国会のお世話になりまして常に特別なるめんどうを見ていただいておるという部面もございまして、非常に一般農家とは比較にならない多額の借り入れを行なっております。それから各種補助金の申請、受け入れ、それから、先ほど申し上げました建設工事の補助
部分の
事業、あるいは行政
機関としての各種の
調査、報告、こういうような点を行なっておりますだけに、本来の普通の流通
経済であります農協というものと、それから、かつて満州で行なっておりました開拓団といいますか、本来の建設工事部面を担当するというような問題が非常に重荷として加わったわけでございます。
従いまして、現在あります開拓者の固定資産の比率につきましては、非常に借入金に対して固定資産が多いとはいいながら、むしろ開拓営農としての前向き
資金が逆にそれに固定化されており、従って
償還その他の問題についてはほんとうに行き詰まって、過般三十二
年度に開拓営農振興臨時措置法を制定していただきまして、これで政府
資金を一括借りかえをするというふうに大へんお世話になっておるわけであります。しかし、その中におきましては、
資金的な乗りかえの問題では解決されておりますけれ
ども、いわゆる組織に対します現在の問題あるいは先ほど申し上げましたそういう問題や、それから本来開拓行政でやるべき問題について、安上がり的といいますか、末端に開拓組織を作ってそういうことを開拓者の自己的意欲の名のもとに非常な負担をかけて遂行しつつあるというようなことは、非常に
組合運営におきまして不備な
状態になっておるわけであります。
従いまして、これらの問題を一切含めて総合農協で現状の段階におきましてスムーズにいけるかという問題になりますと、私
どもも、県の段階におきまして
経済連、信連、中央会、各連の会長と話し合いまして、開拓農協の総合的な組織問題について話し合ったことはございますが、そのときにおきましても、非常に県段階では理解を得まして、そういう方向で一つの時点なりあるいは時期をきめまして乗り出そうじゃないかという
計画を立てたわけでございますけれ
ども、末端の農協におきましては、現状におきます開拓の行政的な金融、いわゆる先ほど申し上げました災害あるいは建設工事に対します補助残
融資、そういうような問題については、総合農協の定款等にも関連するし、あるいは膨大な
施設費投下のために起きます借り入れ笠については、これは当然総合農協の
理事会等において全面的に受け入れられるところと受け入れられないところが
相当出てくるわけであります。そういう問題から、末端におきます合併の問題については非常に今まで難関が予想され、また、個人的に総合農協に二重加入しているというような立場で、まじめなというか
生産力の上がっている開拓者に対しては総合農協がもちろん資材や肥料の
融資を行なうけれ
ども、団体としてこれを扱うということになりますと、
理事会以前の問題と、行政的な金融の処置があるために、やはり非常に問題となりまして、推進をされなかったことがあるのでございます。
そこで、最近は、結局、私
ども現在考えておりますことは、開拓振興法の中で、現在所得三十五万を目標に緊急にこれをやっていただき、これが完成し、なお将来所得倍増といいますか、そういう所得の累進に伴いまして開拓の
農業所得が累進されるような
経営形態を早く行政の上で推進していただき、御指導していただく、その姿ができたときには、一つの時点を定めて個々のそういう問題について解決をはかり、合併の方向に進んでいける時代も来るであろうというふうに考え、また将来はそうしなければならないけれ
ども、それをするためには、当面何としても、むしろ現状におきまする組織を不十分であるけれ
ども逆に強化して、そして早く開拓者の要求である前向きの建設
資金あるいは営農
資金等を投入していただきまして、
経営の安定をはかっていくということが急務であろうというように考えております。
そして、先ほど申し上げました、そういう行政上のといいますか、開拓組織の不備欠陥の問題については、環境対策といたしまして、開拓農協の財務整備の促進をはかるための
組合補導員の増強をはかってもらいたい。あるいは、事務員を置けないような事務所につきましては、合同事務所の設置をはかって、振興
組合及びこれに準ずる
組合について五
組合に一カ所の割合で設置し、常駐職員の事務費の補助を設けてもらいたい。あるいは、
組合に対しては、振興
計画実施に関する経費の補助各種
資金のあっせん、
管理等に要する経費の補助をやってもらいたい。それから、財務
整理に必要なる整備
資金を政府
資金で
融資をしていただく。この財務
整理に対しますことは、現在の開拓農協が統合やあるいは将来の財務の問題について全く不明確だ、そういうようないろいろな問題がございまして、それに対しまして財務
整理を行なっておるわけでありますが、財務
整理をいたしますと、非常にその
組合自体の
責任が明確になると同時に、建設工事や行政上の問題等とからんでの赤字が
相当ございますが、そういうものが明確になります。そこで、そういうものに対します補てんの問題あるいは
組合の不良債務に対します減免措置の問題等を考えていただきたい。そういう問題が行なわれませんと、やはり合併の促進というような問題で、受け入れる側であります総合農協等へも大へん御迷惑をかけますので、そういうようなことを国の行政の面でおはらいを願うようにお願いするわけであります。
その他、御
質問がございましたならばその中で
お答えいたすことといたしまして、一応開拓農協の合併や整備の促進につきましての
考え方を申し上げた次第であります。