運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1961-03-30 第38回国会 衆議院 農林水産委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月三十日(木曜日)    午前十時十八分開議  出席委員   委員長 坂田 英一君    理事 秋山 利恭  理事 大野 市郎君    理事 小山 長規君 理事 田口長治郎君    理事 丹羽 兵助君 理事 角屋堅次郎君    理事 中澤 茂一君 理事 芳賀  貢君       安倍晋太郎君    飯塚 定輔君       仮谷 忠男君    菅  太郎君       倉成  正君    小枝 一雄君       田邉 國男君    谷垣 專一君       中馬 辰猪君    寺島隆太郎君       内藤  隆君    中山 榮一君       野原 正勝君    福永 一臣君       藤田 義光君    本名  武君       森田重次郎君    八木 徹雄君       片島  港君    川俣 清音君       北山 愛郎君    東海林 稔君       山田 長司君    湯山  勇君       稲富 稜人君    玉置 一徳君  出席国務大臣         農 林 大 臣 周東 英雄君  出席政府委員         大蔵事務官         (大臣官房日本         専売公社監理         官)      谷川  宏君         農林政務次官  井原 岸高君         農林事務官         (農林経済局長坂村 吉正君         農林事務官         (畜産局長)  安田善一郎君         林野庁長官   山崎  齊君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局農         業協同組合部         長)      酒折 武弘君         日本専売公社総         裁       松隈 秀雄君         農林漁業金融公         庫総裁     清井  正君         参  考  人         (全国農業協同         組合中央会組織         部長)     織井  斉君         参  考  人         (全国開拓農業         協同組合連合会         理事)     高島 照治君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 三月三十日  委員中山榮一君及び西村関一辞任につき、そ  の補欠として菅太郎君及び川俣清音君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員菅太郎君及び川俣清音辞任につき、その  補欠として中山栄一君及び西村関一君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員松浦東介辞任につき、その補欠として仮  谷忠男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員仮谷忠男辞任につき、その補欠として松  浦東介君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十九日  農業協同組合合併助成法案に関する請願(小泉  純也君紹介)(第一八二三号)  同外一件(徳安實藏紹介)(第一八二四号)  同外三件(小枝一雄紹介)(第一八九二号)  同外一件(重政誠之紹介)(第一八九三号)  同外一件(綱島正興紹介)(第一八九四号)  農業災害補償制度改正に関する請願坊秀男君  紹介)(第一八九一号)  同(安井吉典紹介)(第一九六七号)  同(保利茂紹介)(第一九六八号)  同(松本一郎紹介)(第一九六九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第九八号)  農業協同組合合併助成法案内閣提出第一一二  号)      ————◇—————
  2. 坂田英一

    坂田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案農業協同組合合併助成法案森林開発公団法の一部を改正する法律案及び公有林野等官行造林法を廃止する法律案を議題として、質疑を行ないます。  本日は初めに農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案について質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。山田長司君。
  3. 山田長司

    山田(長)委員 農業基本法の制定を前にして、農林漁業金融公庫仕事についても国民のひとしく刮目しておるところでありまして、これが一部の改正であってその趣旨に合致しておらないとか、あるいは旧来のやり方に誤りがあった場合等は、すみやかに改めて、国民の期待に沿える仕組みにしなければならないと思うのであります。  そこで、第一番にお伺いしておきたいことは、今回の法律について、同法第十八条第一項第四号に追加された項中に、「林業経営維持又は改善に必要な資金」云々とあって、四号には単に「林道の改良造成又は復旧に必要な資金」とあるのに比べて、林業全般について非常に広範なしかも積極的な意図が考えられるのであって、「主務大臣の指定するもの」ということが言われているが、一体どういうものを具体的に考えられているのか。十八条中には、四の二及び八に、「主務大臣の指定するもの」、すなわち二カ所にこのことがうたわれているのですが、おそらくこれは政令等でこの具体案が論ぜられるものと思うのでありますが、できるだけ範囲の広いものが望まれるのでありますけれども、この点について、政令で定めるものであるのかどうなのか、具体的にこのことをお知らせ願いたいと思うのです。
  4. 坂村吉正

    坂村政府委員 今回の御審議をいただいております改正案で、主務大臣の指定するという内容は、この文章にございます通り政令ではございませんで、農林大臣の指定するということで、農林省の告示という考え方で指定をいたしたいというふうに考えているわけでございます。  この内容は、第一に、造林地保護保全または管理に必要な資金、第二に、造林のための土地または幼齢林地取得に必要な資金、第三に、疾病または負傷により資金を必要とする林業者で、その造林地を売り渡す等その林業経営に著しい支障を及ぼすことなしに当該資金を調達することが困難と認められる者に対し、これに充てるための資金、第四に、共同相続人のうち遺産に属する造林地について林業を行なおうとする者に対し、その者が他の共同相続人からその造林地にかかる相続分の譲渡を受けるのに必要な資金、第五に、前四号に掲げる資金農林漁業金融公庫以外のものから借り受けたために生じた負債でその償還が困難であると認められるものの整理のために必要な資金というようなことで、内容といたしましては、林業経営の安定のために、農業で申しますれば大体自作農維持創設資金と同じような内容資金に対しまして融通をする、こういうようなことで農林大臣資金用途告示でもって指定しようというふうに考えているわけでございます。
  5. 山田長司

    山田(長)委員 さらに、本改正案提案理由説明によると、「森林保全管理」それから、「造林のための土地取得等その営む林業経営改善するために必要な資金」とありますが、現に森林経営を行なっている者ということが強くうたわれていると思うのでありますけれども、これは、もし農業等から林業に転業しようというような場合、これを含まないのであるかどうか。さらに、この四号には改良という字句が使われているが、本法案には改善という字句が使われておる。改良改善とはどんなふうに違うのか。それから、たとえば借金をして森林を手放さなければならないような場合、あるいは経営者死亡等の場合、あるいは失業等のこともこれには考えられているのでありますが、このような場合には、資金融通しても償還が困難となるような場合だって考えられると思うのです。これらの場合にはいかなる方途が講ぜられるのか。
  6. 坂村吉正

    坂村政府委員 林野庁長官がおりますから、私の足りないところは長官から御答弁をいただきたいと思いますが、この改良改善の問題は、施設につきましては従来改良という言葉を使っておりまして、経営とかそういう内容のものについては、私は改善という言葉を使っております。これは慣例語でありまして、意味は、とにかくよくしていくということでございますので、趣旨は大体同じような考え方でございます。
  7. 山崎齊

    山崎政府委員 土地取得等のため金を借ります場合は、現在の森林所有状態から申し上げまして、五町未満所有者が全体の九四%に達するし、そのほとんど全部が農民であるという現実になっておるわけであります。そういう人々林地を買い入れまして林業経営を通じて経済向上発展をはかっていくということを主体として考えておるわけであります。現在林地を持っておらなくとも、かっては持っておりまして、その土地をいろいろな経済上の理由から手放したという人もおるわけであります。そういう人々につきましては、林地取得して経営していくという意欲と能力を持っておるわけでありまして、そういう人もこの場合には対象にして考えていかなければならないのじゃないかというふうに考えております。
  8. 山田長司

    山田(長)委員 そうしますと、この資金融通予定額というものは、本法の十八条にあります業務についてはあらかじめ内定をしておるのかいないのか。
  9. 坂村吉正

    坂村政府委員 この新たに設けられた資金の総額は十億と予定いたしておるのでありますが、それは取得資金経営資金安定資金というような用途によって内容が変わってくると思うのであります。そのおのおのの内容については、厳格にこれを区分いたすことなく、実際問題としてはある程度運用ワクを作ることはあるかもしれませんが、実際は、初めてでありますので、相当融通性を持たせて運用をいたしまして、そうして実績あるいは需要等を十分に見まして今後の発展に役立たせるようにして参りたいと考えております。
  10. 山田長司

    山田(長)委員 そうしますと、最初は大体十億と予定しておるが、その需要に応じて、その金額については伸縮自在の方途が講ぜられておるわけですね。
  11. 坂村吉正

    坂村政府委員 お答え申し上げますが、先ほど申し上げましたのは、十億の中のいろいろ個別の用途についての区分を相当融通性を持たせて考えていかなければならないのじゃないかということを考えておるのでありまして、十億の融資ワクの問題は、昨日もいろいろ御答弁申し上げましたが、一応貸付予定の額でございますので、一応の目標は十億ということで考えておりますけれども、実際の実行上の状況によりましては、その他の対象におきましても、やはり同じように考えておるのでございまして、あるいは年度の後半等におきまして、どうしても需要が強くて、これはもう少し増額しなければいけないという場合もございますし、あるいは需要がないので減額の改訂をしなければいかぬという場合もございますので、そういう点は、全体と同じような扱いで、今後の運用によって、どうしても必要な場合には調整することもあり得るというふうに考えていきたいと思っております。
  12. 山田長司

    山田(長)委員 その問題は了解いたしました。  昨日川俣委員から質問があったのでありますが、理解できない点が、ございましたので、さらに農林漁業金融公庫からの貸付金償還状況についてお伺いしたいと思います。  この十八条の六項に定めている中に、「製塩施設改良造成復旧又は取得に必要な資金」ということがうたわれております。現在、過剰製塩状況にかんがみて、これが必要な条項であるのかどうか、このような資金はむしろ廃止して、林業維持あるいは改善、さらに積極的な奨励に回すべきものと私は思うのですが、この点どうお考えになられるか、一応お答え願いたいと思います。
  13. 谷川宏

    谷川政府委員 お答え申し上げます。  御承知のように、現在におきましては、国内製塩施設は数年前に比べまして相当程度改良がなされ、その結果生産も順調に推移しておるわけでございますが、しかし、塩の需要は、工業塩食料塩合わせますと三百万トンをこえており、大部分を外国から輸入しておるような状況でございます。一方、食料塩につきましては、昔から米塩と言われておりますように、塩は生活に欠くことができないという貴重な物資でございますので、国内製塩施設合理化をはかることは当然ではございますが、現在のところまだまだ改良を加える余地があるわけでございます。そこで、できるだけ融資額も重点的に使用することはもちろんでございますが、現在のところ、相当程度改良資金がまだまだ製塩施設には必要である、かように考える次第であります。
  14. 山田長司

    山田(長)委員 この点、私はただいまの御答弁に了解できない点があるのですが、聞くところによると、製塩事業に対する当局の見解が誤ったために、中小企業者を半ば強制的に整理する反面、大企業である機械製塩を奨励して、その結果、現在においては、塩はますます生産過剰となりつつある。この量も百万トンをこえておる。有料倉庫に全部これが貯蔵されて、二十数万トン保管されておる。保管料が、私は決算を兼ねておりますのでこのことははっきり申し上げられるのですけれども、三十二年度において三億七千万、それから三十三年度においては三億三千五百万、三十四年度において二億六千万という年々多額の国費が支払われておる。さらに現に野積みされている塩が一万五千トン余りあって、非常に国損を生じておる。これらのことを思いますと、私は、十八条の項は、これが生きている限りにおいては融資方途が講ぜられなければならないと思われるのであって、これは、奨励する意味でこの条項を削らずにこのままにしておくのか、これはどうも不明確なんですが、この点、法の立案者に伺いたいと思います。
  15. 谷川宏

    谷川政府委員 お答え申し上げます。  ただいまお尋ねのように、専売公社国内製塩業者が作りました塩を全額法律に定めるところによりまして買い取っておるわけでございます。その結果、需要供給関係で時期的には相当量の手持ちを公社倉庫にかかえている。と同時に、時期的な関係から言いまして、倉庫不足でかつては一部野積みしておった時代もございますが、現在のところはほとんどそういうことがないように承知している次第でございます。塩の問題はなかなかいろいろな問題がございまして、生産の数量の問題のほかに価格の問題が非常に重要な問題でございまして、塩の大口の需要者が塩を買い入れる場合の価格がどの程度価格であれば生産に引き合うかというような問題もございまして、そういう価格政策、あるいは生産政策を含めまして、将来の塩業政策をどういうふうにするかということにつきましては、公社総裁諮問機関である塩業審議会でもって目下慎重に検討中であるわけでございますが、今国内製塩業者が作っております塩の値段を一挙に引き下げる、引き下げれば塩の需要者はすぐそのまま右から左に買い取ることができるわけでございますが、そういうわけにも参らないという事情もございますので、価格政策の問題を中心にいたしまして、目下、今後どういうふうにするかということを慎重に検討しているわけであります。一方、そういうようなわけでございますから、塩の生産費を下げるにいたしましても、相当設備改善改良が必要になって参るわけでございます。そこで、現状におきましては、ここ数年来農林漁業金融公庫から融資を仰いでおります金額程度は、製塩業者として絶対必要なものである、かように考えるわけでございます。
  16. 山田長司

    山田(長)委員 こういう世の中が大きく転換するときに、当局答弁には私はどうも納得できないのです。公庫は、この製塩業者大会社に対して既往どのくらいの融資をしておるのか。それから、回収の成績はどんな結果になっておるのか。私の調べた範囲では、担保も取らないで非常に巨額な金が貸し出されておるわけなんでありますが、この理由はどういうところにあるのか。
  17. 坂村吉正

    坂村政府委員 先ほど公社の方からお答えがございましたように、塩業につきましてもいろいろ合理化その他の仕事が進んでおるのでございまして、その需要に応じまして、毎年々々の要求に応じていろいろ検討をいたしました末毎年の貸付予定計画を組んでおりますわけでございます。そういう関係からいたしまして、昨年は十億の予定をいたしておったのでございますが、実際の需要が非常に強い関係で、中途の、年度の後半におきましてある程度増額の改訂をいたしたわけでございます。そういう実情でございますので、三十六年度におきましては、十三億という予定計画を組んでおりますわけでございます。また詳細の内容につきましては公庫の方からお答えをお願いいたしたいと思います。
  18. 清井正

    清井説明員 ただいま総金額について御説明を申し上げましたが、私ども公庫塩業に対する貸付は、毎年度専売公社の方から融資推薦があるわけでございます。かくかくのものに融資相なるべくという意味公社からの推薦がございまして、その推薦された会社または組合に対しまして公庫から融資をいたすというような仕組みにいたしておるわけでございます。一つ一つ会社あるいは組合についての融資金額についてちょっと私資料を持っておりませんのでお答えいたしかねまするけれども、三十五年度も、今のような形によりまして公社推薦のありましたうちから、それぞれの推薦を受けたところの企業体公庫融資申請して参りますから、それを審査しまして、逐次適正なものから貸付をいたす、こういうことに実はいたしておるのであります。三十五年度は、もうほとんど終わりに近づいておりまするけれども、大体三十五件、件数といたしましてただいままでわかっておりますものは四十件近くの件数でございますが、大体所定の融資ワクは貸し付けし得るものと考えております。  なお、延滞についてはどうかという御質問でございますが、塩業についての延滞は、昨年の九月末の統計によりますと、塩業全体の状況貸付残高が七十六億ございますが、延滞元利合計で八千七百万円、全体の残高からいたしますれば〇・二二%ということでございまするから、ほかの公庫貸付いたしておりまするものと比べますれば、延滞としては最も低い分に属しておるわけでございまして、大部分のものは大体予定通り公庫償還がされておる、こういうふうに見ていいのじゃないかと思うのでありますが、これは塩業全体でございますので、個々のそれぞれのものにつきましては、ただいま資料がないのでお答え申し上げかねることは恐縮でございますが、全体といたしましては〇・二二%程度延滞であって、公庫全体の延滞の中では相当低い方に属している状況であるという実態だけを御承知おき願いたいと思います。
  19. 山田長司

    山田(長)委員 そうすると、公庫自体には調査をする機関を持たないで、専売当局依頼というか指示によって、これが間違いないものとしておそらく公庫としては金を出しているのじゃないかと思うのですが、もうすでに、ただいま名前をあげられなかったけれども、あなた方が出している会社の中に、井華塩業、それから江迎塩業佐世保塩業というのはつぶれちゃっている。これはどういうふうに専売当局では思っているかわからぬけれども、とにかく、江迎塩業などは、公庫から三十三年の八月に八千百万円、三十三年十二月に千七百万円、それを計算しますと九千八百万円になるのですが、これだけ融資を受けている。さらに、無担保で三十二年度に四億貸している。国民の血の出るような税金が、こんな形で、専売公社の方から言われてきたなりに公庫が貸しているとするならば、これは全く私はけしからぬことだと思うのです。一体、どうして公庫自体にあれだけの機構がありながら調査をする機関を持たないのです。これは国民の血税を扱われている当局としてはゆゆしき問題であると私は思うのです。この点、どうして調査機構を持たないで、公社からの依頼だけで公庫の方では金を貸し出すのです。この点が私は不明確なのですが、お答えを願いたいと思います。
  20. 清井正

    清井説明員 公庫貸し出しの問題でございますが、先ほど申し上げました通り塩業ワクがございまして、塩業ワク範囲内においてどの塩業企業者にどのくらいの金を貸すかということは、大体先ほど申し上げました通り専売公社からかくかくの企業体に貸すべきであるという推薦を受けるのでございまして、推薦を受けた企業体から融資申請がありました場合にそれを貸し付けるということでございますが、むろん、公庫といたしましては貸付の直接責任者でございますから、公社から推薦がありましても、はたしてそれが貸付に適するかどうかということは調査をいたすことはもちろんでございます。調査をした上、これが適切であると認めました場合に初めて貸付をいたすということでございますから、貸付の最終の責任は、御指摘通り公庫にあるわけでございます。しかし、その貸付のもととなるものは、専売公社から推薦のあった企業体について、その企業体融資申請に基づいて、調査をした上貸付をするということでございますので、今までもそれぞれ実態十分調査をいたしまして、金融機関として責任のある調査の上貸付を実施いたして参っておるのでございますけれども、一部、御指摘のありましたように、その後事業が思わしくなくて企業を中止いたしたものも確かにあるはずでございます。その点についてははなはだ遺憾に存ずる次第でございますけれども、私どもといたしましては、専売公社推薦範囲内において、金融機関としての責任のある調査をした上貸付をいたしておるつもりでございます。
  21. 山田長司

    山田(長)委員 これは公庫当局もずいぶんずさんな金の貸付方をしていると私は思う。また、専売公社としてもどういう調査をした上でそういうものを推薦しておるのか。どうもこの点は私たちの全く理解できないところです。公社当局ではどういう調査をして公庫の方にこれが委嘱をしたものか、この点がどうも不明確なのですけれどもお答えを願いたい。
  22. 松隈秀雄

    松隈説明員 専売公社といたしましては、塩業合理化するという目的をもちまして、製塩設備資金貸し出し公庫にお願いしておるわけであります。その場合において、推薦という言葉がございましたけれども地方局長の意見をつけて出しておるというのが実態でございます。  なお、先ほど来製塩事業の盛衰についての御質問があったのでございますが、その実態を申し上げますと、実は、終戦後塩不足に悩みまして、ぜひ食料塩国内自給をしたいということになりまして、そのために閣議で国内塩自給方針を決定しまして、もっぱらその線に沿いまして塩の需給を円滑にする目的をもちまして内地製塩の増産をはかることにいたしたのでございます。その場合におきまして、製塩業者原始産業に類する事業を営んでおるものでありまして自己資本がきわめて少ない、こういうような実情からいたしまして、どうしても有利な資金をあっせんするということが塩を増産するのに有効な手段である、かように考えて、農林漁業資金のあっせんを願うことにいたしたのでございます。ただ、途中におきまして、製塩施設の増設にあたりまして、新技術でありまする関係上、見通しに誤りがあり、設備過剰に陥りまして、塩が増産されるということになって、内地塩需要をオーバーすることになったわけであります。それに対しまして、一方において、工業塩としては、百万トンの内地食料塩に対してさらに二百万トンも輸入しておるというような状態でありますので、塩の値段を順次下げていきまするならば、工業塩にも内地の塩を振り向けることができる。そういうことで、今後は漸次塩の収納価格を引き下げまして、将来においては国際価格にまで持っていきたい、こういう希望を持っておりますので、一部におきまして過剰設備整理を三十四年度と三十五年度において行ないましたが、その後も引き続いて製塩施設合理化をはかり、価格の低減をはかって参りたい、こういうような見地からいたしまして、今後も当分従来程度融資はあっせん願いたい、こういう希望を持っておる次第でございます。
  23. 山田長司

    山田(長)委員 この話は、伺えば伺うほど、私らどうも理解ができないのです。大体、現在内地製塩価格輸入製塩価格というものは、内地の場合はトン当たり一万円以上に対して、輸入の場合は五千円以下になっておる。国民生活から考えてみると、みそ、しょうゆ、つけものなどにしても、この塩を今のままにしておくならばずいぶん大きな影響を及ぼすわけです。私は、塩の専売制度についてはどうしても必要がないという考え方を持っておるのです。三十一年度に赤字が十億、三十二年度に十一億三千六百万、三十三年度に十五億八千六百万、三十四年度に五十一億というふうに急増して赤字が次から次へ出ているわけです。これは、公社において無計画であるからこういうような欠損が出ておると思うのです。この無計画状態をこのままにしておけば、次々何十億という節約できるものを節約されずにおくことになるのです。この点で、私はこの法規の存続はどうしても理解ができないのです。当局はこれに対してどう考えておられるか。
  24. 松隈秀雄

    松隈説明員 内地塩価格が外塩に比しまして高過ぎるということは、塩の生産条件が日本と外国とで非常に違っておるから、ある程度やむを得ないことでありますが、さればといって、それでは外塩を輸入して内地食料塩をまかなうということになりますと、一方においては内地製塩業者が転んでしまって、そこに大きな失業問題、社会問題が出ますると同時に、先ほどもお話が出ましたように、米塩というものは国民の欠くべからざる食糧の双璧になっておりますので、せめて食料塩だけは国内自給する体制をとりたい、こういう方針のもとに進んでいるわけであります。しかしながら、いかに高くても、食料塩国内自給するということは、ただいま御指摘のような国民経済上非常な負担になりまするので、これを漸次改善いたしまして、価格を引き下げていく、そして将来においては国際価格にさや寄せする、こういう方向で進んでおります。従いまして、塩の収納価格もここ数年の間に一万三千六百円から最近は一万三百五十円までに下がっておりますが、なおかつこれで満足しておるわけではございません。さらに、最近におきましては、すでに御承知と思うのでありますが、イオン交換樹脂膜法というような新しい製塩技術がだんだんに研究が進みまして、ようやく工業化の段階に入っております。これはまだ工業化の段階に入っただけでありまして、結果を見るまでに至っておりませんが、その目論見書によりますれば、将来において塩一トン当たりの価格が七千円前後には下がり得るということになっております。そうしますと、外塩を輸入したなまの値段では四、五千円でありますが、これを内地の食料に適するように加工いたしますと、やはり七千円前後になるわけでありますので、そういう新技術を導入することによって将来国際価格に近寄せることができる、こういう見通しも持ち得るような状況にありますので、今後、公社といたしましては、製塩業全体の合理化をはかりつつ順次価格を引き下げ、食料塩内地自給すると同時に、将来は工業塩部分にまで供給を伸ばしていきたい、かように努力しつつあるわけであります。
  25. 山田長司

    山田(長)委員 あなたは、改善するということを大へん強く訴えて、具体的なことは何も言わない。松隈さんは、昭和三十四年三月二十四日に大蔵委員会で、公社全体として確かに見通しを誤ってその結果業者に迷惑をかけて相済まなかったと言って陳謝をしている。ですから、その間もう二、三年の歳月が流れているのです。そういうときに、まだ具体的なほんとうの案が立っていないのじゃないかという印象を持つのです。こういう点が強くあなたに聞かなければならぬことなんですが、当局が強制的に廃業を勧められたことによって中小企業製塩業者が多数失業しておる。それで、国庫からは多数の大企業家が融資を受けているけれども、ほかの人たちはまことに悲惨な状態に置かれておる。そしていまだに困難な中小企業家に対する転業資金というものは考えられていないのじゃないかと思うのですが、公社当局ではどんな考えをお持ちになっておるのですか。
  26. 松隈秀雄

    松隈説明員 私から申し上げます。  お話のありましたように、三十二年当時におきまして内地の塩の生産設備が約百三十万トンくらいになりました。内地塩需要は一番広い範囲で推定いたしましても百万トン程度というようなときにおきまして、約三十万トンの設備過剰を生じたのでございます。これにつきましては、公共としての見通しが悪かった、それにはいろいろ弁解をいたしますれば理由はございまするけれども、見通しを誤ったということを率直に認めざるを得ないというので、私も大蔵委員会で弁明をいたしたことを覚えております。そのままほうってあるのではなくて、そうしまするとますます赤字が増大いたしまするので、この際企業整備を行なう必要があるというので、法律案並びに予算案につきまして国会の御承認を得まして、三十四年度と三十五年度にわたりまして塩業の整備を行ないました。この整備にあたりましては、ただいま強制的というお話がございましたけれども、強制的に整理し得るという条文は入れましたけれども、その条文は使わずに、もっぱら価格の面から、製塩業者の自主的な判断によって去就を決する、こういう方法をとったのでございます。その価格といたしましては、昭和三十七年にトン一万円にする、そうしてその後も順次価格を引き下げていく、それで将来やっていけるというものはお残りになってもいいが、もしそれではやっていけないというものは、別に定める補償を差し上げますから、この際企業整備に踏み切られたらどうですか、こういう趣旨法律になり、その法律に従って運用しました結果、三十九万トンの塩業者の整備が行なわれまして、現在では内地製塩設備は約九十万トン程度の能力を持っておる、こういう実情でございます。
  27. 山田長司

    山田(長)委員 この塩業貸付の中にこういう事例があります。岡山県の邑久町塩海四三九六というところに錦海塩業組合というのがあるわけですが、この組合に、政府資金が最初十億七千五百万、そこへもってきてさらに農林漁業金融公庫から堤防の決壊復旧費という理由でこれまた十億かの金が出ている。そこで、問題は、私は、どうも、今度の理事の増員という問題についても、政府資金の増額についても、こういう事例がありますのであまり賛成しかねるのですが、ここで農林公庫から無担保で二十億七千五百万円、十八年の長期にわたって貸付をした。そこで、専売公社の監事からここへ専務理事として阿部正二という人が入った。さらに農林中金の理事から専務に手中五三郎という人が就任した。二十億の金を無担保で貸しておいて、そこで中金だの専売公社だのから幹部級にぞろっと入っていく。こういう事例を知っておりますので、今度の場合も、何かみやげを持って一人の理事が行って、それで八十九億の増額をするのだ、こういう印象が私にはあるのです。そういうことはないのだろうと思うのですが、印象があるのです。一体、こういう事例がありますときに、無担保国民の血税をこういう巨額の金を貸し与えるということについて、全く理解ができないのですが、しかもそれが回収に困難な実情にある。なお、堤防が決壊したなどということははたしてほんとうなのかうそなのか、どうもこれらのことについても理解ができないのですけれども公社及び金融公庫当局から、これらのことについて、どういう事情になっているのか、一つ明確にお答え願いたいと思うのです。
  28. 清井正

    清井説明員 山田委員のおっしゃるのは錦海湾塩業のことであろうと私は思うのでございますが、錦海湾塩業は岡山市の出先の邑久に新しく作りました塩業組合でございます。これは設立当初から公庫貸付をいたしておるわけでございます。これは中金も貸しております。公庫も貸しております。その貸付の途中において一度堤防が切れまして、その災害復旧のために貸付をいたしたことがあるのであります。しかし、その場合におきましても、今先生は無担保で貸しておるというお話でございましたが、私の記憶では、特別な無担保で貸しておるという記憶はないのでございまして、あらゆる貸付の場合において無担保ということは絶対私どもいたしておりません。必ず、保証人、担保、あるいはその併用ということでいたしておりまして、たとい金額相当貸すにいたしましても、その措置について遺憾があったというふうに私記憶いたしておらないのであります。そういうふうに貸付をいたしておりまして、その貸付の場合においても、公庫としては専売公社のごあっせんもあって貸付をいたした事情もあるので、ひとえにこれは塩業対策の一環として、その一部として私ども貸付をいたしておるわけでありまして、別段いわゆる金融機関として特別の扱いをしたわけでもございませんし、また、ほかの塩業者に対するのと別な扱いにいたしまして貸付をいたしておるという記憶もないのでありまして、全くほかの塩業者と同様な扱いをいたしておるつもりでございます。
  29. 山田長司

    山田(長)委員 当局は無担保でないと言うが、われわれの調べた範囲では無担保で貸しているという事実があるわけです。  それから、さらに、ここの年産が五万五千二百六十トンであるにかかわらず、公社はこれに九万三千四百トンの契約をしている。一体、どういう関係で、生産高が満たないものに対してこういう契約をして、これが融資ワクをとるための努力をしているのか。
  30. 松隈秀雄

    松隈説明員 塩業整備の過程におきまして、各単位ごとの塩業者の年間収納のワクをきめるという問題が起こりました。そのワクのきめ方は、昭和三十三年末の実績によってそのワクがきめられたわけでございます。これは、普通に設備が完了して稼働しておるものについては、それが一番合理的なきめ方でありまするが、ただいま御指摘の錦海塩業の場合には、まだ三十三年の年度末におきましては工事の途中でありまして、ほとんど実績がございません。続いて三十四年、三十五年と製造数量がだんだん増してきたというのは、これは設備完成に従ってふえて参ったのであります。そういう設備完成の途上にありまするものにつきましては、別な標準によって認定するほかないのでありまして、ただいまお話にありましたように、五万トンというような時期はまだ設備完成の途中でございます。最初に錦海が設備をして製塩をしたいという申請を出した当時においては、たしか十二万トンくらいの計画で出してきたと思うのであります。従って、その設備計画ををうのみにすれば十二万トンというようなワクの設定も考えられるわけでありますけれども、これは単なる机上計画と言えないこともありませんし、それに、製塩ワクをきびしく押える、こういう関係がありますので、そういう当初出した予定数量というようなものにかかわらず、別に決定をしまする一番最終時期におきまして、それまでの実績になお幾らかの将来の伸びを加味して、たしか九万三千トンという数量を決定したと思っております。
  31. 山田長司

    山田(長)委員 これは伺えば伺うほどずいぶんずさんさが明らかになってくると思う。大体、こういうワクを農林公庫が持っているからといって、それを公社の申請に従って調査も何もしないで農林公庫では多額の金を貸すのか。今度の場合だって十億の金を貸しておる。そういう点がどうも理解ができないのですが、最後に一つ公社当局に伺っておきますけれども、塩のことは、私は理解ができませんから、委員長から時間の注意もありましたので、いずれあらためて伺うことにいたしますが、公社からの申請というものはそんな形であなたの方は調査も何もしないで、生産能力も何もないものに対して公庫は多額の金を貸しているのかどうか、その点を伺って私の質問は終わります。
  32. 清井正

    清井説明員 先ほど私が申し上げました、公庫推薦でお貸しすると申しましたのは、これは推薦ではございませんで、私の間違いでございまして、公社のあっせんでございます。専売公社からごあっせんがございまして、そのごあっせんに基づいて私ども調査してお貸しするということになっておりますから、その点訂正させていただきます。  いずれにいたしましても、貸付の最終責任公庫にございます。公庫といたしましては、公社のごあっせんがありますそれぞれの企業体につきまして、金融機関としての責任調査をいたすわけでございます。私どもといたしましても限度がございまして、一々現地に行きまして能力その他を全部調査いたしましてお貸しするところまでは私どもとしてはいたし得ない現状にございます。公社のごあっせんがあり、公社のそれぞれの地方局からそれぞれの調査表が入って参ります。その調査表に基づいてお貸しするという建前になっております。実態公社がお調べになって、あとは金融機関としての立場から保証の問題あるいは担保の問題等いろいろ必要なものを金融機関としての立場で勘案いたしてお貸しするということにいたしております。今後もなお塩業関係調査につきましてさらに万全を期したいと思っておりますけれども、あくまでも私どもといたしましては現地調査をいたすにつきましてもある程度限度があるということを十分御承知置き願いたいと思います。
  33. 坂田英一

  34. 川俣清音

    川俣委員 関連して一問だけお聞きいたしますから、順序は、専売公社から次に公庫、それから農林省と御答弁願いたいと思います。  塩業は広義の農業、すなわち農林漁業のワク内のものと理解しておるのかどうか、この点を、専売公社公庫、農林省の順で御答弁願いたいと思います。
  35. 松隈秀雄

    松隈説明員 塩業の歴史は、すでに御承知と思うのでありますが、だんだん変わっておりますので、その点を前提にしてお答えするほかないと思います。当初の入浜式塩田というような時代におきましては準農業と言って差しつかえないと思います。ところが、入浜式では生産数量が上がりませんので、それに枝条架をつける。これも、塩田の上に簡単な構築をいたしますので、まあ土地を中心とする企業と言えますが、その濃縮された鹹水を簡単な平がまでたいておるまでは農産加工でありまするけれども、それを一そう能率を高めるために真空式の蒸気製塩製塩し出しますと、その部分は一部工業化されておるので、そういう企業農業企業と工業的企業の合体だと思われます。それから、新しい製塩方法といたしまして、塩田を使わないで海水直煮の方式によるものがその後出て参っております。これはどうしても近代工業の部類に入ると思います。なお、新しくイオン交換樹脂膜の製塩が最近始まりつつありますが、これも近代工業でありますが、全体としてのウエートはまだ機械製塩の数量のウエートが少ないし、また、イオン交換樹脂膜の製塩どもこれからということでありますので、大きくひっくるめますれば、まだ農業的分類の方に近いように考えております。
  36. 清井正

    清井説明員 私どもその解釈を申し上げる立場でございませんので、その点御了承願いたいのですが、公庫法なり施行令において認可を受けました事業者に貸付をいたしておるのでございますから、公庫法にあります以上は、広い意味農業範囲に入るのではないかと考えております。
  37. 坂村吉正

    坂村政府委員 塩業が農林漁業であるかないかということを考えます場合には、いろいろ事業の場合に具体的に考えなければいけないことでありまして、抽象的に塩業が農林漁業に属するか属さないかという考えは、あるいは適当でないのではあるまいかと考えておるわけであります。そういう関係からいたしまして、農林漁業金融公庫法におきましては、第一条の目的で、農林漁業者に対して融資をする、こういうことになっておるのでございますが、そのいわゆる農林漁業者とはどういうものかということで、第十八条で、「第一条に掲げる目的を達成するため、農業(畜産業及び養蚕業を含む。)、林業、漁業若しくは塩業」、こういう工合に書いてあるのでございますが、この場合には、具体的にそれですから農業にも漁業にも属さないで塩業というものがあるという観念でございますが、公庫法の取扱い上は、これを一緒に原始産業というような姿で観念いたしまして、一緒に公庫でめんどうを見てやる、こういうことを考えましたものですから、農林漁業者という観念の中に公庫法では入れておる、こういう観念でいいのではないかということでいたしておるわけであります。  もう一つつけ加えて申しますと、農林中金というのがございますが、この中におきましても、塩業に対しては、塩業組合等は農林中金の会員になっております。そういうような意味から言いますと、中金の関係ではとにかく一応農林漁業者として扱っておる、こういうふうなことも言えるのではないかと思っております。
  38. 川俣清音

    川俣委員 説明によりますと、農林漁業の生産力を維持増進するために必要な長期かつ低利の資金融資するということでございます。その中に塩業は入るのだ、こういう説明であろうと思います。ところが、よく公庫も聞いておいてほしいし、農林大臣も聞いておいてほしいのだが、専売公社から推薦をして融資をさせておりますのは、今専売公社から説明のありましたように、従来の塩業から離れた工業化しておるものを多く推薦しておられるわけです。いわゆる塩業範囲を越えたものをあえて推薦されておりますことはお認めになっておるところなんです。他の金融機関で十分やり得るものをなぜ一体この農林漁業金融公庫に御推薦になるのであるか。特に、専売公社の役員は大蔵省出身でございまして、金融機関には非常に縁故が深いわけだ。それにかかわらず、みずから農業範囲を脱して工業化されておるものをあえて推薦されるのはおかしいと思う。農林省もだらしなさ過ぎる。農業からだんだん離れていっているものをこの中に含めるということは妥当ではないのじゃないか。おのずから規制があるベきじゃないか。  そこで、もう一つ注意だけしておきますが、あえてそういう主張をされるならば、塩をなぜ一体専売にしておかなければならぬのかという疑問も出て参りまするし、もう一つ重大なことは、農業基本法及び林業・漁業の答申から見ますと、家族経営農業、家族経営林業、家族経営漁業、これが基本的な考え方になっておる。それを工業にまでいったならば、農業の域を脱している。基本法の観念は、家族経営農業、家族経営漁業、家族経営林業だ、こうなっておる。そこで、基本法の観念と違ったものに融資するということになりますならば、基本法がきまらない間はこの融資のことにつきましては法案を通すわけにいかないという結果になるのではないかと思う。そこで、これに対する見解を承りたい。詳しいことは時間がないから次の機会に譲りますが、答弁によりましては時間がかかります。
  39. 坂村吉正

    坂村政府委員 川俣委員のおっしゃることも一つの御意見であろうと思うのでございますけれども、先ほど申し上げましたように、たとえばどういう事業が農林漁業に入るか入らぬかという問題は、一つ一つ法律の扱っている対象なりあるいは制度なりによって考えるべき問題ではあるまいかと思うのでございます。そういう意味で、農林漁業金融公庫法におきましては、塩業も一緒に取り込んで、とにかく農林漁業と観念をして、これに対する融資はここからやっていこうという制度を考えて法律もできておるのでございまして、そういう意味から申し上げますと、広義の農業である。その場合において、必ずしも、塩田を手ずから作っておる、そういうものだけを考えておるわけではございませんので、塩業というものを一つの企業としてこの中に取り込んでいる、こういうふうに考えております。ですから、たとえば酪農業とかあるいは乳業とか、こういうものを考えました場合にも、いわゆる農林漁業を非常に広義に考えまして目的に取り込む場合には、たとえば明治、森永のような大きな乳業といえども農林漁業という観念である程度考える場合も制度によってはあるわけでございますので、これは制度々々で考えるべき問題だと考えております。
  40. 坂田英一

  41. 稲富稜人

    ○稲富委員 時間がありませんので、ごく抽象的な問題を質問いたしますので、要領よくお答え願いたいと思います。  一番最初にお尋ねしたいのは、御承知のごとく、農林漁業金融公庫の将来の事業というものは、非常に使命が大きくなる。ことに、日本の農業が転換期に来ているという点から申しましても、当然そのことが考えられるわけです。そういう点から申しまして、現在規定されております資金貸付業務の範囲をもっと拡大するというようなことが当然必要になってくると思うのでございますが、これに対して政府はどういうような考えを持っておられるかということを承りたいと思います。
  42. 坂村吉正

    坂村政府委員 農林漁業金融公庫のように、主として政府の資金を中心にいたしまして融資をいたします場合は、きわめて長期・低利の、いわゆる好条件の金を貸すということでございまして、そもそも農業のような非常に不利なものに対して政府がこれだけ力を入れて貸していこうという制度でございます。これは、その他にも、系統金融であるとか、あるいは市中金融であるとか、その他政府資金といたしましては開発銀行とかあるいは東北開発公庫とか、そういうようないろいろの制度がございますので、おのおのそういう融資の分野をある程度明確にいたしまして、できる限り農林漁業の今後の発展のためにこの資金が有効に使われますような意味でこれは考えるべき問題だろうと思うのでございます。従いまして、この融資範囲を非常に拡大をいたしまして、それでは実際の財政需要その他から考えまして農林漁業者に対しまして十分な融資ができないというようなことになりましてもこれは困るのでございまして、そういう事情ともからみ合わせましてそういう問題は考えていく必要があるのじゃないかというふうに考えております。
  43. 稲富稜人

    ○稲富委員 今、局長は、ほかにも農林中央金庫その他の方法があるとおっしゃるのだが、農林漁業金融公庫法の第一条には、そういう金融機関融通することを困難とするものを融通することが目的だということを書いておる。その面が非常に多いわけなんです。だから、そういう点から、将来この公庫等の活用というものはますます盛んにならなければならぬ。そういう点に対して、十分その実情を勘案した拡大というものが将来必要となってくると思うのです。これに対しては、やはり政府としては積極的な方針を立てて進まなければならぬと思うから、私はお尋ねしておるわけです。この点に対して、そういう積極性を持ってやっていくという考えがあるか、ただ従来の惰性でやっていこうとするのか、その点をまず承っておきたいと思うのです。
  44. 坂村吉正

    坂村政府委員 現状から申し上げますと、従来対象にして参りました純粋な農林漁業という範囲の中におきましても、私は必ずしも資金が十分ではないと思うわけでございます。従いまして、今後は十分公庫貸付資金の充実をはかることには積極的な努力をしていきたいと思っておりますし、そういう事情とも関連をいたしまして、今後公庫の業務の範囲をどの程度に持っていくかという問題は、そういう資金の充実の度合い等ともからみ合わせて考えるべき問題ではないかというふうに考えておるわけであります。
  45. 稲富稜人

    ○稲富委員 御承知のように、公庫法の第十八条に業務の対象がある。この中に農業というものがあって、「(畜産業及び養蚕業を含む。)」ということになっております。「左に揚げる資金貸付の業務を行う。」ということで、ここに今回は林業関係が挿入されるということになるわけでございますが、もちろん業務方法書の中にはいろいろうたってありますけれども、この場合、ここに農業として、そこに「(畜産業及び養蚕業を含む。)」という項がカッコ内に書いてあるが、やはり畜産業その他を大きくここに意思表示をする必要があるのじゃないか、なぜこれを取り上げないで、林業だけを今回お取り上げになったか、こういう点について必要性をどうお考えになっておるかという点を伺いたいと思います。
  46. 坂村吉正

    坂村政府委員 畜産業は、おっしゃる通り、今後の成長産業でございまして、これは非常に力を入れていかなければならぬ問題であろうと思います。しかし、法律の条文等で、こういう場合に農業と畜産業を区別して書くという問題と、農業というものは当然畜産業も含んでおるのだという観念で書く場合も、実際問題として同じでございまして、扱いの問題さえ畜産業の問題に重点を入れていろいろ農業の問題を進めていけばいいのではあるまいかというふうに考えておるわけでございます。ですから、そういう関係で、農業基本法等も農業畜産業基本法ということではございませんで、やはり、文章としては、農業というものには畜産業、養蚕業は当然入るのだというふうに観念をしてもいいのではないかと考えております。
  47. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうしますと、たとえば、一例ではありますが、業務方法書の貸付の中に畜舎というのがありますね。これは養鶏なんかの鶏舎等も含まれているという解釈をしていいのでありますか。養鶏等に対しては何もうたってない。これに対してはどういう考えを持っておられますか。
  48. 坂村吉正

    坂村政府委員 畜舎といいますのは、従来きわめて狭く解釈しておったようでございますが、これは畜産の関係から申しますれば適当ではございませんので、あるいは考え方によっては畜舎の中には鶏舎も入るという考え方でやってもいいかと思いますけれども、実は、先般の伊勢湾台風のときの改正で、鶏舎もはっきり入れようということで入れておりますので、この点は問題ないと思います。
  49. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでは、その畜舎の中には鶏舎も入っているのだ、こういう解釈をしているということでありますね。  さらに、小さい問題ですが、業務方法書の中に貝の養殖施設というものがございます。真珠貝養殖施設とか、こういうものもやはりその中に入っているという解釈でございますか。
  50. 坂村吉正

    坂村政府委員 当然入っております。
  51. 稲富稜人

    ○稲富委員 次にお尋ねしたいことは、そういう非常に広範なものになってきますと、その産業の様相によりまして貸付限度というものも当然その事情に合ったように増額する必要が起こってくるのではないか。あるいはこれに対する据置期間、償還期間の延長も当然考えなければいけない。それと同時に、金利の引き下げという問題もおのずからその業態に沿ったように改正する必要が起こってくる。こういう問題が出てくるわけなんです。これに対してはどういう考えを持っておられますか。
  52. 坂村吉正

    坂村政府委員 現在の公庫貸付対象であるとかあるいはそれについてのいろいろな条件とかいいますものも非常に細分化いたしておりまして、実際問題としてはなかなか私どももこまかいところまで理解ができないような状況になっておるのでございます。金利あるいはその他の条件等は、同じようなグループについてはグループ分けをいたしまして、そうして、まとめてきめておるのでございますけれども、できるだけ簡素化をいたしまして、理解がしやすいように今後の問題としては検討する必要があるのではないかということを感じております。十分一つ検討いたしたいと思っておりますが、解釈上の問題といたしまして、こうしてだんだんあれが入っておるか入っておらないかというような疑問が起こりまして、それを入れる意味であとからつけ加える、こういうことをやって参りまして非常に複雑になってきた結果が現状のようになっておるんじゃないかというふうに考えておりますので、十分一つ検討いたしたいと思います。
  53. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうしますと、近いうちに業務方法書の内容改正をおやりになる、こういうことははっきりしておるわけでございますか。
  54. 坂村吉正

    坂村政府委員 近いうちに業務方法書の内容改正するというところまではまだ考えておりませんけれども、いろいろ公庫運用実態、農民の理解の状況等も調べまして、十分理解ができ、公庫運用が簡明に運びますように、今後の問題としては十分検討したい、こういう考えでございます。
  55. 稲富稜人

    ○稲富委員 しかし、今業務方法書等の改正をやらなければ、現在の業務方法書の解釈の拡大によってこれを入れるとか、その解釈によって入れないとかいうようなことは、相手方のこれを利用しようという者から見ると非常に不安なんです。そういうものが必要であるということになれば、当然これに対しては業務方法書等の改正をやり、これが恩恵に浴しよう、利用しようという希望者がこれによって十分計画性を持てるような方向に持っていかなくてはいけないと思うのです。ただ、解釈はそういう広義の解釈をしておるのだ、その問題々々にぶつかって解釈するのだ、しかしながら業務方法書を改正するというところまではいっていないのだ、こういうようなことでは、将来の運営に非常に不安があると思う。それで、これは当然、ほんとうにこれを運営する面において、実際の実情に沿ったような、あるいは事務の簡素化であるとか、あるいは据置期間の延長であるとか、こういうような問題とあわせて業務方法書等を改正して、ほんとうにこれを利用する者が最初計画する場合から一つ計画の中に入れておかれるようなことに持っていくことが、この公庫を将来ほんとうに農業関係の者が利用するために生かす方法になると私は思う。この点を一つほんとうに確信を持ってやっていただきたいと思うのですが、これに対する考えを承っておきたい。
  56. 坂村吉正

    坂村政府委員 まことにごもっともな御意見でございまして、私も同感でございます。ただ、これを根本的に全体を今稲富委員のおっしゃいますような方向で改正いたします場合には、相当いろいろ調査をいたしまして考えなければいかぬと思うのでございます。もちろん、法律等で新しい事業が加わりましたりあるいは条件等が変わりました場合には、当然業務方法書の改正ということはございますけれども、それは従来のものにつけ加えていくという程度改正でございますので、何か根本的に今までやっておりましたものも全体的にこれを改正しようということになりますと、やはり相当調査等も要ると思うのでございます。そういうような意味で、今後とも、公庫の運営の合理化といいますか、能率化のため、あるいは農民の理解を得るためには、十分そういう趣旨に沿うようなことを目途にいたしまして、よく調査もし、今後検討を進めていきたいというふうに考えております。
  57. 稲富稜人

    ○稲富委員 これは、法の改正というよりも業務方法書の改正なんだから、そう大きな複雑な問題ではないので、あなたの方でやるという意思があればやれるので、もちろんそれに対する十分な調査等はしなければいかぬと思うのですが、この点は、そういうことをしなければいけないという気持はあるようでございますから、早く改正をしていただきたいということを希望しておきます。  時間がありませんから次にいきますが、今回お示しになっております資金の交付の振替状況と積立金の関係でございますが、最近の状態を見ますと、あなたの方の公庫の運営が、業務運用利回りと資金源との関係で、積立金の率がだんだん少なくなってきておるような状態にある。こういうことは公庫の運営にだんだん不安を持たせるような結果になるのではないかと思うのですが、これに対して公庫総裁はどういうような考えを持っておられるか、その点承っておきたいと思います。
  58. 清井正

    清井説明員 お話の点は、私ども十分感じておるわけでございますが、毎年私ども資金を決定していただく場合に、なるべく出資金を多くしていただいて、利子のかかる借入金は少なくしていただきたいというふうな希望を持っておるわけでございます。そこで、貸付決定のワクを増大していただいたことは非常にありがたいことでございますが、同時に、その場合において出資金を非常に大きくしていただきたいということを考えておるのでございますが、金額におきましては、おかげをもって本年度は昨年よりも十二億出資金がふえております。しかし、全体の割合が低下しておりますので、こういうことが将来続きますと、公庫といたしましては相当財政上の問題点がだんだんふえて参るというように考えております。従いまして、いわゆる積立金の率がそれだけ減ってくるということになるわけでありますから、今後財政の健全化を目ざすためには、できるだけ、ただいま申し上げたような意味において出資金の割合をふやしていただきたいというふうに、率直な考えとして将来の希望を持っているわけでございます。
  59. 稲富稜人

    ○稲富委員 きのうも川俣委員質問しておったのでありますが、貸付年度末の方にふえてくる、こういうことは、やはりあなたの方でできるならば金利のつく金はあとから借りたいということがあるから生じてくるのじゃないか、やはり、今申し上げますようなことからそういう結果になってくるのじゃないかと思うのです。もちろん、あなたの方では、理由として、貸付に対するいろいろな調査というものが手間取って、つい貸し出し年度末になるのだということをおっしゃるかもわからぬけれども、事実上の問題は、あまり早く借せば借入金に対する金利を負担しなければいけないから、借入金はなるたけあとから借りたいからというようなことが、意識的に年度末の貸し出しということになってくるのじゃないかと思うのですが、これはどうなんですか。
  60. 清井正

    清井説明員 私ども貸付実態は、昨日もほかの委員の御質問に対してお答え申し上げたのでありますけれども、一、二、三月に非常に集中して参るのであります。これは、先生御承知の通り農業関係実態でございまして、農閑期に仕事をしたいというものが相当多いわけであります。それと補助残の融資がございます。まず補助金を希望いたしまして、補助金が出ないときまったらこの融資を受けたいという希望の方も相当あるわけでありますので、結局、私どもの予算関係としては、どうしても——三月に非常に集中してくる。そのことについては、私が公庫に就任して以来、できるだけそれを平均化したいと思っておりますけれども、なかなか平均化できないというのが実態であります。そういうことでありますので、ただいま、利子のかかるものはなるべくおそくという意味で制限しているのじゃないかという御指摘でございますが、私どもはそういうふうに思ってないのでありまして、私の方といたしましてはできるだけ早く受けるのでありますけれども、申し込みがそういう実態にあるということを十分御了解願いたいというふうに考える次第でございます。
  61. 稲富稜人

    ○稲富委員 もちろん総裁はそういう答弁をされるけれども、あくまで何らかの金利のつかないものを回そうということになると思う。こういうことが、かえって、借りる方から申し上げますと、事務が繁雑になってきて急場の間に合わないということが起こってくると思う。これは事務の簡素化とともにやはり早く貸付をやるということが当然必要になってくると思うのであります。そうなりますと、やはり政府資金の投入というものが当然なおさら起こってこなければいけないと思うのです。  そこで、今度は政府にお尋ねしたいと思うことは、現在の公庫の活用を将来時勢に沿うたようにやらせるということになりますと、これに対しては政府が十分に出資というものを拡大する、同時にこれに対しては農林大臣は監督の義務があるから十分監督していかなければならないと思うのでありますが、政府出資に対しては将来もっと積極的に活用していくという考えがなければできないと思うのですが、これに対する政府としての考え方を承りたいと思います。これは次官から答弁していただいた方がいいんじゃないですか。
  62. 井原岸高

    ○井原政府委員 お説の通りでございまして、今後の農林漁業を考えましても、融資による自立経営とかいろいろな問題があるわけでございます。そういう面で十二分にお説のように考えて努力いたしたいと存じます。
  63. 稲富稜人

    ○稲富委員 いろいろ聞きたいと思いますけれども、次の機会に質問します。これで私の質問を終わります。
  64. 坂田英一

    坂田委員長 農林漁業金融公庫法の一部改正法律案については他に質疑の通告もないようでありますから、これにて本案に対する質疑を終了いたしました。
  65. 坂田英一

    坂田委員長 次に、農業協同組合合併助成法案について議事を進めます。  これより本案について参考人より意見を承ることにいたします。  参考人は、全国農業協同組合中央会理事一楽照雄君が都合により出席できないとのことでありますので、かわりに全国農業協同組合中央会組織部長の織井斉君を委員長において選定いたしましたので、御了承願います。ほかに、全国開拓農業協同組合連合会理事高島照治君が御出席になっております。なお、静岡県農業協同組合中央会理事栗原祐幸君は病気のため出席ができないとの連絡がありましたので、御了承下さい。  この際、参考人諸君に一言ごあいさつを申し上げます。参考人の方々には大へんお待たせいたしました。本日は御多用中のところ当委員会法案審議のため遠路わざわざ御出席いただきまして、ありがとうございました。この際参考人各位より忌憚のない御意見をお願いいたします。  なお、参考人の御意見は、初めおよそ十分程度お述べいただき、あとは質疑によってお答えを願いたいと思います。  それでは、まず参考人織井斉君よりお願いいたします。
  66. 織井斉

    ○織井参考人 ただいまの合併助成法案に対する問題でありますが、この問題につきましては農林省とも十分討議いたしまして法律案ができておりまするので、その法律案内容について今さらここでとやかく言う必要もございませんけれども、その討議の経過につきましていろいろの検討問題がありましたので、ここで御紹介申し上げますと、この合併という問題は、われわれが現在いろいろな面で考えておる協同組合の全体の体質改善の一つの部分的な要素であるというふうな点で確認していただきたいということでありまして、そのほかに大事な問題は、現在の単協の下部組織の問題をどうするかということや、それから、組合間のもっと広い意味の協業という問題もあります。もっと広くは、この問題は農業団体の系統間の再編成の問題として、その角度から考えられるのではないか。ただ協同組合の合併というふうな一部の問題を、すべての問題の解決のかぎだというような印象を与えては困るだろうということで、いろいろ討議したわけでございます。  結論的に言いますと、協同組合の組織及び機構の問題はもっと総合的に考えるべきであって、もっと基本的な問題がいろいろある。従って、協同組合はこの合併の問題が万能薬ではないという考慮を払っていただきたい。その上に、協同組合というものは自主的な団体であるので、こういうような問題について助成金等を出すからといって、これによって市町村合併に見られたような画一的の合併が行なわれたり、それから協同組合の自主性を阻害するというふうなことがあっては非常に困る。われわれといたしましては、この点を非常に警戒して、注文をつけまして、この法案を出していただくことになったわけであります。この問題について特に全中が反対であるとか賛成であるというような意見が県及び町村にございますけれども、全中としましては、この合併問題については別に反対でないが、これはいろいろな問題の部分の問題であって、ほかにもいろいろ問題があるのではないか、これが万能薬であっては困るし、あまり画一的であっては困るし、それから、こういう助成によって、あまりにも行政組織的な天下りを受けるような情けない協同組合になっても困るというようなことを強く主張したわけであります。ただ条件はそれだけであります。  この問題をもう少し掘り下げて考える場合には、現在の合併という問題につきまして、協同組合の単位の問題で、たとえば現在の協同組合の職員の給料が非常に低いとか、それから、現在の協同組合事業のスケールは小さいからもっと拡大をして近代的にしようというふうなことが、現象としてはその解決として考えるべきだというふうに思われておりますが、たとえば、現在の協同組合でも、営農について、生活について、一・三・六運動などというような運動が長野県にございまして、一は税金、三は営農、六は生活、こういうふうに言われております。それで、この三というものについては、特に生産資材を流して、そして農産物を作る、六はその余剰をもって生活をする部面であるというふうに考えておりますが、その際に、こういうような事業を協同組合が流通でやるときに、農産物の営農に必要な資材を流す協同組合仕事と、その結果である農産物を加工するような仕事、それから農村の消費面を担当する仕事と、いろいろ仕事が物の流れによってきまってくるわけでございまして、こういうふうな問題をただ合併というふうな形式的な組織の問題として解決できるかというふうなことも考えなくちゃいかぬ。この問題はある面から言うと系統組織の再編成の問題として考える面も多くあるのだというふうにわれわれは考えております。従って、具体的には、群馬県に高崎ハムという郡単位の農村の加工工場がありますが、ああいうふうな形もあるし、それから、各県で現在行なわれている農機具のサービス・センターというふうなものは、県の連合会が主体になってやっておるところと、それから二、三町村が協力してやっているところと、そういうふうな形があるのでございまして、問題は、物の利用関係によっていろいろな事業のスケールがあるわけでございます。それは現在の単位組合でやってもできる問題と、数カ町村がやってできるような問題と、それから県の段階でやらなければできないような問題と、いろいろ事業内容によってそのスケールは規定されているわけでございまして、協同組合の概念から言うとこれは利用関係で、従って、利用関係というものは、外国の協同組合でも、非常に自由自在に、あるものは三段階であり、ある事業は州を越して二州でやり、あるものは全国スケールでやるというような関係になっており、組織関係というものはそれを包む一つの組織でございますので、これははっきりその結論としてそれを包む組織を考えればいいのだというふうにわれわれは考えますので、問題は、現在の組織の問題と事業の利用の問題というものをあまりにも機械的に統一的に考えると、そこに問題があり、疑問があるのじゃないか。そういうふうな横にも縦にもいろいろ複雑な問題をもっとじっくり考えて、この問題に対する結論を出していただきたい。いたずらに、二町村が合併すればいいんだとか、いや一郡が合併すればいいんだ、そういうふうな問題でこの問題は一面的に解決するわけにいかないということを各県に連絡をしているわけでございます。決してこの問題について中央会が反対とか賛成とかそういうふうなことを言っているわけでもございませんし、その点につきましては農林省と十分協議いたしましてこういうふうな法律になって出た次第でございますので、われわれとしましては、これを一つの問題の部分の問題として、慎重にこれから考えていきたい、こういうふうに考えております。
  67. 坂田英一

    坂田委員長 次に、高島照治君にお願いいたします。
  68. 高島照治

    ○高島参考人 私は全国開拓連の理事をやっております高島照治と申します。群馬県の嬬恋村の仙之入という開拓農協の組合長をしておりまして、たまたま群馬県の開拓連合会の会長をやっております。今回参考人としての発言をしろという中に、地方における総合農協と開拓農協との合併問題について話せということでございます。現在、合併促進法につきましての考え方につきましては、大体中央会の考えております考えとそう違っておりませんし、また、大局的には合併の促進をしていくということについてはいささかも異議はございませんが、ただ、われわれが開拓の立場で考えましたときに、現状におきまして、開拓が山の中に入りまして生産協同体としての実をあげようというふうに考え、また総合的な農協の立場に対しましても真に生産協同体としての姿をいかに農民が自覚し、把握し、それを経営の面で推進していくかというふうに考えますときには、ただ流通経済面だけで合併をする方がいいということも非常にむずかしいのではないか。その点、特に、この法案の制定につきましては、そういう点で農民に手落ちのないようにといいますか、農民自身が新しい時代に即応しての協業経営なりあるいは共同経営なり、それの金融の考え方なりあるいは生産の方式の考え方なりをとり得るような体制ということになると、あながち組織だけを大きくするということは、われわれは行政上非常に注意をしてこの施策の方向をやっていただきたいというふうに考えるわけです。  特に開拓の問題についての合併問題について地方における問題を説明しろということでございますので申し上げますと、開拓農協の設立の経過につきましては、三十二年の開拓振興法の制定のときにおきましては、農林水産委員会におきましては長い間御討論願っており、諸先生においては十分御存じであろうと思いますので、この詳細は省略させていただきますが、ただ、われわれ開拓団体というのは、流通経済の面だけでなくて、ほんとうに開拓の新しい、無から有を作るという村作りのために、行政的な方法、行政で当然やらなければならない道路とかあるいは水路とか電気の導入だとか、そういう一から十まで、全く無から有を作るための建設事業、そういうような特殊事業相当行なっているわけでございます。そういう本来農協という組織でやることが正しいか正しくないかというようなことすら現状の開拓農協はやっておる。それは、現在農協法というものが、十五人以上あればできるとか、そういう現在の農協法しかないので、そういう形をとらざるを得ないでやってきた。ところが、現在におきます問題点として、全国の開拓者の組合の数を見ますと、四千二百組合ございます。開拓振興法の制定を見まして、これの推進をはかっていこうという組合が、振興組合と称しておりますが、二千八百五十組合ございまして、その組合内容につきましては、三十人以下の組合が全体の七割程度を占めている。しかも事務所もその中に持っておらないというような開拓組合が全体の七割を占めております。専任職員がいないというような組合、全く農協としては考えられない組合が八割程度ございます。一般農協に二重加入しているもの、これは、たまたまあとから開拓農協等が制定され、あるいは行政上開拓農協の必要性を感じて設立したとか、あるいは、開拓農協を作っておったけれども経済流通面で総合農協へ入っておらなければ不十分な点があるという意味で入っているもの、これが六割程度ございます。一般の農協なり他の団体に加入してない、真に開拓農協だけで、金融から、行政の立場である開拓営農から行なっているというのは全体の二割だけでございます。出資組合も全体の組合の四七・九%でございまして、約半数に満たないわけでございます。非出資組合は従いまして五二%あります。しかしながら、そういうふうに形が変わって生まれておりますだけに、一人当たりの負担金というものも非常に多いし、出資金も非常に多く持っております。一組合当たり出資額が平均二十九万になっておりますが、先ほど申し上げました三十戸以下を七〇%も含んでおるという実態がございますだけに、一人当たり何方というような金額、そういうように、開拓農協を設立するために開拓者自身に負担がうんとかかって困難な状態になっておるというふうに言えます。賦課金におきましては、全国の一組合員当たりの平均が千七百円になっております。  組合事業概要では、農協本来の生産事業経済流通事業、あるいは開拓者資金融通法による融資金の供給、それから開拓融資保証法によりますところの経営資金の供給、それから開拓営農振興臨時措置法による振興計画の樹立あるいは実施、営農振興対策資金の受け入れ、それから農林漁業金融公庫資金の受け入れ、——この中で非常に大きな問題になりますのは、本来金融のベースではないといいますか、建設事業であります電気事業とかあるいは水路とか土地改良とか、そういう問題につきまして国の補助残融資をほとんどこの農林漁業金融公庫資金に仰いでおる、こういうようなことで、非常にこの開拓農協の今後におきまする合併に対します問題が起こってくるわけであります。それから、天災融資法による経営資金の供給、これも、開拓地が返済の問題につきまして特段国会のお世話になりまして常に特別なるめんどうを見ていただいておるという部面もございまして、非常に一般農家とは比較にならない多額の借り入れを行なっております。それから各種補助金の申請、受け入れ、それから、先ほど申し上げました建設工事の補助部分事業、あるいは行政機関としての各種の調査、報告、こういうような点を行なっておりますだけに、本来の普通の流通経済であります農協というものと、それから、かつて満州で行なっておりました開拓団といいますか、本来の建設工事部面を担当するというような問題が非常に重荷として加わったわけでございます。  従いまして、現在あります開拓者の固定資産の比率につきましては、非常に借入金に対して固定資産が多いとはいいながら、むしろ開拓営農としての前向き資金が逆にそれに固定化されており、従って償還その他の問題についてはほんとうに行き詰まって、過般三十二年度に開拓営農振興臨時措置法を制定していただきまして、これで政府資金を一括借りかえをするというふうに大へんお世話になっておるわけであります。しかし、その中におきましては、資金的な乗りかえの問題では解決されておりますけれども、いわゆる組織に対します現在の問題あるいは先ほど申し上げましたそういう問題や、それから本来開拓行政でやるべき問題について、安上がり的といいますか、末端に開拓組織を作ってそういうことを開拓者の自己的意欲の名のもとに非常な負担をかけて遂行しつつあるというようなことは、非常に組合運営におきまして不備な状態になっておるわけであります。  従いまして、これらの問題を一切含めて総合農協で現状の段階におきましてスムーズにいけるかという問題になりますと、私どもも、県の段階におきまして経済連、信連、中央会、各連の会長と話し合いまして、開拓農協の総合的な組織問題について話し合ったことはございますが、そのときにおきましても、非常に県段階では理解を得まして、そういう方向で一つの時点なりあるいは時期をきめまして乗り出そうじゃないかという計画を立てたわけでございますけれども、末端の農協におきましては、現状におきます開拓の行政的な金融、いわゆる先ほど申し上げました災害あるいは建設工事に対します補助残融資、そういうような問題については、総合農協の定款等にも関連するし、あるいは膨大な施設費投下のために起きます借り入れ笠については、これは当然総合農協の理事会等において全面的に受け入れられるところと受け入れられないところが相当出てくるわけであります。そういう問題から、末端におきます合併の問題については非常に今まで難関が予想され、また、個人的に総合農協に二重加入しているというような立場で、まじめなというか生産力の上がっている開拓者に対しては総合農協がもちろん資材や肥料の融資を行なうけれども、団体としてこれを扱うということになりますと、理事会以前の問題と、行政的な金融の処置があるために、やはり非常に問題となりまして、推進をされなかったことがあるのでございます。  そこで、最近は、結局、私ども現在考えておりますことは、開拓振興法の中で、現在所得三十五万を目標に緊急にこれをやっていただき、これが完成し、なお将来所得倍増といいますか、そういう所得の累進に伴いまして開拓の農業所得が累進されるような経営形態を早く行政の上で推進していただき、御指導していただく、その姿ができたときには、一つの時点を定めて個々のそういう問題について解決をはかり、合併の方向に進んでいける時代も来るであろうというふうに考え、また将来はそうしなければならないけれども、それをするためには、当面何としても、むしろ現状におきまする組織を不十分であるけれども逆に強化して、そして早く開拓者の要求である前向きの建設資金あるいは営農資金等を投入していただきまして、経営の安定をはかっていくということが急務であろうというように考えております。  そして、先ほど申し上げました、そういう行政上のといいますか、開拓組織の不備欠陥の問題については、環境対策といたしまして、開拓農協の財務整備の促進をはかるための組合補導員の増強をはかってもらいたい。あるいは、事務員を置けないような事務所につきましては、合同事務所の設置をはかって、振興組合及びこれに準ずる組合について五組合に一カ所の割合で設置し、常駐職員の事務費の補助を設けてもらいたい。あるいは、組合に対しては、振興計画実施に関する経費の補助各種資金のあっせん、管理等に要する経費の補助をやってもらいたい。それから、財務整理に必要なる整備資金を政府資金融資をしていただく。この財務整理に対しますことは、現在の開拓農協が統合やあるいは将来の財務の問題について全く不明確だ、そういうようないろいろな問題がございまして、それに対しまして財務整理を行なっておるわけでありますが、財務整理をいたしますと、非常にその組合自体の責任が明確になると同時に、建設工事や行政上の問題等とからんでの赤字が相当ございますが、そういうものが明確になります。そこで、そういうものに対します補てんの問題あるいは組合の不良債務に対します減免措置の問題等を考えていただきたい。そういう問題が行なわれませんと、やはり合併の促進というような問題で、受け入れる側であります総合農協等へも大へん御迷惑をかけますので、そういうようなことを国の行政の面でおはらいを願うようにお願いするわけであります。  その他、御質問がございましたならばその中でお答えいたすことといたしまして、一応開拓農協の合併や整備の促進につきましての考え方を申し上げた次第であります。
  69. 坂田英一

    坂田委員長 これにて参考人各位の御意見の開陳は終わりました。  参考人各位の御意見に対する質疑は午後に譲ります。  午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時十分休憩      ————◇—————    午後一時三十五分開議
  70. 坂田英一

    坂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前の会議において質疑を終了いたしました農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案について議事を進めます。  この際、本案に対し、野原正勝君より自由民主党提案による修正案が、また、芳賀貢君より社会党及び民社党共同提案による修正案が、それぞれ提出されております。両修正案はお手元に配付いたしてある通りであります。  まず、野原正勝君提出の修正案の趣旨について提案者の説明を求めます。野原正勝君。
  71. 野原正勝

    ○野原(正)委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案に対しまして修正案を提出いたします。  まず修正案を朗読いたします。    農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案に対する修正案農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   第十八条第一項の改正規定の次に次のように加える。   第三十六条第三号中「及び第十八条の二」を「、第十八条の二及び附則第二十二項」に改める。   附則に次の二項を加える。  22 公庫は、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律(昭和三十六年法律第  号)の施行の日から五年を限り、第十八条第一項、第三項及び第四項並びに第十八条の二第一項に規定する業務のほか、乳業を営む者に対し、その者が酪農振興法(昭和二十九年法律第百八十二号)第三条の規定による集約酪農地域又は同法第十八条の規定により酪農経営改善計画を作成した市町村の区域内において牛乳の処理又は乳製品の製造に必要な施設改良造成又は取得をする場合においてこれに必要な長期かつ低利の資金であって他の金融機関融通することを困難とするもののうち主務大臣の指定するものの貸付けの業務を行なうことができる。  23 前項に規定する資金貸付けの利率は年八分以内、償還期限は十五年以内、据置期間は三年以内で公庫が定める。  以上が修正の案でございます。  以下簡単に改正案に対する修正の提案理由を申し上げます。  乳業施設等に対して長期・低利の資金融資すべしという意見は、すでに第二十八通常国会におきまして当委員会において酪農振興基金法案に対する附帯決議として提案をされ、可決をいたしました。なお、続いて第三十一通常国会におきましても、酪農振興法の一部を改正する法律案に対する附帯決議として提案になっております。第三十四通常国会におきましても、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議として、それぞれ全会一致をもって可決をしておる案件でございます。  酪農業の健全な発達を期し、乳業の近代化を促進するため、少なくとも酪農振興法に規定されている集約酪農地域及び酪農経営改善地区内において生産される牛乳の処理・加工施設の新増設または改善のため必要な長期・低利の資金農林漁業金融公庫から融資することができるよう、すみやかに所要の法制的及び財政的措置を講ずべしという決議でございます。  私どもは、満場一致附帯決議されました精神をこの際忠実に守りましてここに酪農の振興をはかることは農林漁業に対する国の政策金融としての当然の任務であろうかと考える次第でございまして、その意味合いから、ここにこの法律案修正を試みようと提案をする次第でございます。あえてるる説明する必要はなかろうかと存じます。  きわめて簡潔でありましたが、われわれが日ごろ考えておりました酪農振興に対するこの修正によりまして、酪農業が一段と発展をし、そしてまた生産農民がそれによって非常な利益を得ることができると確信をいたします。従いまして、この法律案修正をぜひとも全会一致をもちまして御協力をいただき、本委員会を通過できますることを私はあえてお願いをいたしまして、提案の理由説明を終わる次第であります。(拍手)
  72. 坂田英一

    坂田委員長 次に、芳賀貢君提出の修正案の趣旨について提出者の説明を求めます。芳賀貢君。
  73. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私は、日本社会党及び民主社会党を代表して、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案に対する修正案を提出いたします。  まず案文の朗読を行ないます。    農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案に対する修正案   農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   第十八条第一項の改正規定の次に次のように加える。   第十八条の二の次に次の一条を加える。  第十八条の三 公庫は、第十八条第一項、第三項及び第四項並びに前条第一項に規定する業務のほか、乳業を営む株式会社であって、農業者、農業協同組合及び農業協同組合連合会がその発行済株式の過半数を有しているものに対し、牛乳の処理又は乳製品の製造に必要な施設改良造成又は取得に必要な長期かつ低利の資金であって他の金融機関融通することを困難とするもののうち主務大臣の指定するものの貸付けの業務を行なうことができる。  2 前項に規定する資金貸付けの利率、償還期限及び据置期間は、別表の範囲内で公庫が定める。   第三十六条第三号中「及び第十八条の二」を「から第十八条の三まで」に改める。   別表の改正規定中「に改める。」を『に、「二 第十八条の二第一項に規定する資金年 八分十五年三年」を「二第十八条の二第一項に規定する資金年 八分十五年三年  三第十八条の三第一項に規定する資金年 八分十五年三年」に改める。』に改める。  以上が修正案文の内容であります。  趣旨につきましては、先日来の本法案質疑の中で十分尽きておる点でありますが、第一の点は、当委員会がしばしば公庫法の改正等の機会に附帯決議を付しまして、最近における畜産農業発展の傾向、あるいは酪農の振興の現況等を十分達観した場合において、牛乳の生産地域における酪農の特に製造施設等についてはまだまだ近代化されない部面が残っておりますので、この際公庫法の改正によりまして乳業の施設設備改善あるいは取得等に必要な長期かつ低利な資金公庫から貸し出しができる道を開くべきであるということで委員会の意向を明らかにしておったのでありますが、たびたびの附帯決議等についても現在の政府はこれを実行する熱意に欠けておることが明らかになったので、この機会に政府案に対する修正を試みるわけであります。  特にわれわれが主張したい点は貸付対象でありますが、公庫の性格から言いまして、これが純粋なる農林漁業に対する制度金融であるということを考えた場合に、やはり公庫法の精神というものはこれを維持する必要があるわけであります。従って、現行におきましても、協同組合等いわゆる農民の出資が九〇%を上回る資本構成の会社あるいは組合等に対しましては、これは共同利用施設というそういう形で、公庫法ができた当時から公庫から貸し出しを行なっておるわけでありますが、その九〇%以上ということになると、それ以下の農民出資の資本会社等に対しては貸し出しができないという障害がありますので、この九〇%の限度というものをこの際五〇%までに引き下げることによって、そしてその中で五割以上のいわゆる生産者農民の企業に対する発言権というものを十分確保させるということを前提といたしまして、この条件を具備しておる会社等に対しましては本公庫から乳業に必要な設備資金貸し出しできるというふうに、われわれはこれを加える必要を認めておるわけであります。ただいま自民党の方から修正案が出されましたが、特に酪振法でうたっているところの第三条の規定による高度集約地域あるいは十八条にうたっておる酪農改善地区等においてこれらの施設を行なう場合に、当然資金の必要があるということは認めるところでありますが、何らその会社に対する制限規定を設けないで、全く農民と無縁の関係に立って利潤追求だけを企図しているような会社に対してまで本公庫から無条件で乳業の設備資金を貸し出すということは、これは公庫の性格というものまでも歪曲するおそれが非常にあるわけであります。従って、われわれはこの点を厳重に限定いたしまして、今後の畜産農業の大きな発展の中においても、それを原料とした農村工業を大きく拡大する場合においても、理想としては農民の蓄積した資本を中心として農民の生産した原料を高度に加工するということを大きな目的として農村工業を近代的に拡大するということになれば、当然わが党の案によるがごとき修正が必要であるということを、これは確信を持って示すことができるのであります。この点については、先般の当委員会における農業基本法質疑の中においても、池田総理大臣並びに周東農林大臣もともども、農民の蓄積資本によって、農民の生産する原料によってする高度の農村工業の発展というものが最も望ましいということを答弁された経緯から見ても、当然わが党の修正案が全会一致の支持を受けて成立することが最も望ましいことであるというふうにわれわれは信じておるわけであります。  以上が本案の修正案の趣旨内容でありますので、何とぞ全会一致をもってわが党並びに民社党共同提案の修正案に賛成下さらんことを期待するものであります。(拍手)     —————————————
  74. 坂田英一

    坂田委員長 別に両修正案に対する質疑もないようでありますから、これより原案及び両修正案を一括して討論に入ります。  討論の通告があります。これを許します。稲富稜人君
  75. 稲富稜人

    ○稲富委員 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま提出されております日本社会党並びに民主社会党共同提案の修正案に賛成の討論をいたしたいと思います。  ただいま芳賀委員の提案の説明でもるる申されたのでありますが、農林漁業金融公庫法目的というものは、どこまでも農林漁業者がこれを利用するということがこの立法の精神にあると思うのであります。ただ、農林漁業に関係するというものがこれに便乗するということは、私たち、この公庫法の立法の精神から申し上げまして、今後大いに戒めなければならぬと思うのであります。こういう点から申し上げまして、今後農村工業その他が次々と進展いたします場合に、当然この業者がたよるものはこの公庫であり、これを活用するためには、やはり、ほんとうに農業者の出資団体である、あるいは農業者が経営しているのだ、協同組合経営しているのだ、こういうところに限定をいたしまして、ほかのものがこれに便乗することは大いに戒めなければならぬと思うのであります。こういう趣旨から申し上げまして、私たちがここに提案いたしましたこの提案の理由というものは、農林漁業金融公庫法の立法の精神にのっとって、これの円滑なる運営と将来における活用をしたい、こういう点でございますので、こういう意味におきまして私どもは十分これを生かしたいと思うのであります。  さらにまた、ただいま申し上げましたように、少なくとも、私たちは、将来これの運営にあたりましては、ただ農業関係する産業資本がこれを利用するということは大いに戒めなければいけない、こういう点からも、強く私たちの意のあるところをこの際ここに主張しておく必要があるということを考えまして、ただいま提案の御説明のございましたこの社会党並びに民社党の両党の修正案に賛成の意見を申し述べるわけでございます。
  76. 坂田英一

    坂田委員長 これにて討論は終局いたしました。これより採決いたします。まず、芳賀貢君提出の修正案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。
  77. 坂田英一

    坂田委員長 起立少数。よって、本修正案は否決せられました。  次に、野原正勝君提出の修正案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。
  78. 坂田英一

    坂田委員長 起立多数。よって、本修正案は可決せられました。  次に、ただいま可決せられました修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。
  79. 坂田英一

    坂田委員長 起立総員。よって、本案は野原正勝君提出の修正案の通り修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  80. 坂田英一

    坂田委員長 ただいま修正議決されました法律案につきまして、角屋堅次郎君より、自民、社会及び民社共同提案の附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際提出者よりその趣旨説明を求めます。角屋堅次郎君。
  81. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党並びに民主社会党の三党を代表いたしまして、ただいま決定になりました農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。  まず案文を朗読いたします。    農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議   政府は、すみやかな機会に左記項目の実現のために必要な措置を講ずべきである。     記  一、自作農維持創設資金貸付条件については、その限度額の大巾引上げ、年利の大巾引下げを行なうとともに据置期間は五年、償還期限は三十年以上に改訂すること。  二、沿岸漁家の漁業経営維持改善資金の制度の創設を検討すること。   右決議する。   昭和三十六年三月三十日       衆議院農林水産委員会  ただいまの附帯決議の第一、第二項の項目につきましては、昨日来の審議の中でも十分関係委員から論議されたところでありますが、まず、第一の自作農維持創設資金の問題につきましては、かねてから、この限度額の問題、あるいは年利の問題、あるいは据置期間、償還期限等の問題については、農林金融の特性から見まして、長期・低利の条件に改善すべきであるということが主張されて参りましたし、また、今後の農業発展の方向からいたしましても、自作農維持創設資金の受け持つ役割というものはきわめて大きい比重を持っておると思うのであります。そういう観点から第一項の附帯決議を付することにいたしたわけであります。なお、これが運営にあたりましては、委員会の論議でも明らかになりましたように、自作農の維持の部面と創設部面との調和をはかり、この適正な配分についても十分考慮すべきものであると考える次第であります。  第二項の沿岸漁家の漁業経営維持改善のための制度の創設でありますが、これは、申し上げるまでもなく、農業関係においては自作農維持創設資金があり、また林業関係については今度新しい自作農維持創設資金的な林業の部面の金融の道が開かれたわけであります。ただ一つ漁業関係についてはいまだこの道が開かれていないのでありまして、この際、沿岸漁業の振興の急務の点からいたしましても、すみやかな機会に沿岸漁家の漁業経営維持改善のための資金の創設ということについて真剣に検討してもらいたい、こういうことを考えて附帯決議として提案しておるわけであります。  何とぞ満場一致御採択あらんことをお願いいたしまして、提案理由説明を終わります。
  82. 坂田英一

    坂田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  これより、自民、社会及び民社共同提案の附帯決議を付すべしとの動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
  83. 坂田英一

    坂田委員長 起立総員。よって、附帯決議を付することに決しました。  なお、この際、ただいまの附帯決議について政府の所見を求めます。周東農林大臣
  84. 周東英雄

    ○周東国務大臣 ただいま御決議になりました御趣旨に関しましては、十分その趣旨を尊重して、これが実現に努力をいたして参りたいと思います。(拍手)     —————————————
  85. 坂田英一

    坂田委員長 ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
  86. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認め、さように決しました。  本会議散会まで暫時休憩いたします。    午後一時五十九分休憩      ————◇—————    午後三時二十八分開議
  87. 坂田英一

    坂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  参考人各位には御多忙中のところ長らくお待たせいたしました。  午前中参考人より意見聴取いたしました農業協同組合合併助成法案について、これより参考人に対し質疑を行なうことにいたします。  質疑の通告があります。これを許します。湯山勇君。
  88. 湯山勇

    ○湯山委員 参考人にお尋ねいたします。  最初お二人に共通な問題でお尋ねしたいのですが、午前中の御意見を承りますと、今度の農協団体の合併促進については反対ではないというような意味の御発言があったわけですが、ほんとうはどういうことなのですか。消極的な賛成ですか、あるいは条件付賛成なのか、どうもせっかくの御発言の真意がつかみがねたわけですが……。
  89. 織井斉

    ○織井参考人 午前中述べた趣旨は、反対ではないということではなしに、合併助成法というものが万能薬ではない、そのほかに協同組合の組織問題でももっともっとそれにまさる重要な問題があるので、そういう問題の関連として考えてもらいたい、そういうふうに県の中央会の実際に当たる人も考えてやってもらいたい、ただこの問題だけ法律が制定されて助成金が出たからといって形式的にその問題のみを扱うような考え方では困るのだ、こういうふうに述べた次第でございます。ということは、協同組合の現在のいろいろな問題は、たとえば組合以下の部落の組織の問題もあるし、組合間の協同の問題もありますし、そのほかに、現在組合が農産物の加工その他技術の指導等で望んでいる問題も、協同組合の連合会の再編成の問題として考えられる観点もあるのだ、そういうふうな観点からこの問題を取り上げる、その一環としてこの協同組合の合併というものを考えるべきだ、こういうふうに考えておるわけです。
  90. 湯山勇

    ○湯山委員 高島さん……。
  91. 高島照治

    ○高島参考人 私の先ほど申し上げましたのもそういう理由でございまして、全体的に流通経済の面での農協を強化するという意味での合併ということは非常にけっこうであろうと思うし、そのケースによって異なりがあるだろうと思いますけれども、現状におきます生産協同体としての農民の意欲、そういうものについては特段の御配慮を願って、合併促進と同時に、農民の生産構造等の問題について特に留意された御指導を願いたい、こういう意味でございます。
  92. 湯山勇

    ○湯山委員 やはりどうもわかりかねる点がありますけれども、これは参考人の方ですからこれ以上お聞きすることは遠慮しまして、高島さんにお尋ねしたいのですが、今度の法律では、あなたの関係しておられる開拓連の方は対象にならないわけです。そういうことについては何か御意見ございますか。
  93. 高島照治

    ○高島参考人 私ども考え方では、当面総合農協との合併という問題も開拓の組織内でも相当問題になっているわけでございます。それから、先ほど申し上げましたように、開拓者の全体の六割近いものは、農業協同組合を設立していることすら、本来の農協から言いますと無理な状態にあります組合が多いわけでございますし、それから、当然総合農協として現在でもりっぱにやっている開拓農協もあるわけでございます。そういう意味で、開拓農協だけで独自にやっていけないという地域については、総合農協と合併なり、あるいは整備なり促進をはかる方がいいのじゃないかということを、組織内でも相当金融の問題等で議論になるわけでありますけれども、先ほど申しましたような現実の開拓者の所得があまりにも低いために、現状のままでは、やはりこのまま手放しに合併とかそういう問題は出てこない。といいますのは、やはり、所得三十五万という現在の開拓振興法の目標に到達するような経営形態になってから総合農協に合併していくなり、あるいは金融機関に認められるというような体制ができてからならば、当然そういうことについては促進すべきだろうと思うわけでございますが、何しろ総合農協以前の問題でございます、流通経済以前の問題でございます土地作りあるいは建設工事、そういう問題に相当開拓農協の使命がございます。これが国の補助金以上にやはり融資等を仰がなければならぬ。これは普通の金融ベースではそういう問題についてはほとんどめんどうを見られませんし、現状ではそういうものを引き受けてやってくれるという段階には至っておりません。ですから、そういうものが完成し、流通経済の面で開拓農協が正常な姿になったときについてはそういう問題も出てくるのでございましょうけれども、当面の問題といたしましては、むしろ、開拓者の所得が上がるように、行政的な手当ての問題について現在の開拓農協の組織を強化させていただきたい、合同事務所の問題とか、そういう問題を通じまして、早くそういう一本立ちができますような御指導を願いたい、こういう考え方でございます。
  94. 湯山勇

    ○湯山委員 ただいまの御意見から言えば、開拓農協に関する限りは、今総合農協と一体になっていくということは無理である、やはり、開拓農協の生産協同体的な性格その他特殊な性格、そういうことを考えてみると、今そういう段階ではない、もっと開拓農協自体が、あるいは開拓農民の生活自体が引き上げられなければ、今合併する段階ではないというふうに受け取ったわけです。それと、ことに、かりにそういうふうになる、ならないにかかわらず、生産協同体というような考え方、そういう点からいけば、現在の総合農協の中に入っていったからといって、今おっしゃったような点が将来の問題として緩和できるかどうか、そういう点に問題があるのじゃないか。それから、今御指摘になった点だけから言えば、総合農協に二重加入することによって緩和できるとか解消されるというようなことも考えられると思うのですが、その辺のことはどういうふうにお考えなんでしょうか。
  95. 高島照治

    ○高島参考人 その問題については、私ども、当面する所得三十五万、やがては所得倍増の方向に基づいて所得が累増していくという営農経営ができ上がれば、当然そういう問題が基本的に出てくると思う。現状におきましても、先ほど申し上げましたように、開拓農協の問題については、その起点に立ってある意味での総合農協でございますが、果樹なりあるいは酪農なり園芸なり、そういう特殊な生産協同体としての組織、——現状でははっきりその点はつかんでおらない状態でございますけれども、そういう開拓の特殊性を生かしての自立の運営、生産協同体というものが現在生まれつつあるわけであります。それが、総合農協といいますか、その村におきます生産協同体としての発展の主導権をむしろ現在でも握りつつある地区もございますし、そういう方向での開拓農協のあり方というものは、その時点に立っておのおの農民が考えて推進される時代が来るだろう。当面の問題としては、先ほど申し上げたような理由で、そういう営農形態を早く樹立するための行政的な恩典をむしろ非常に強く受けなければならない弱小組織である、そういう点につきまして、はたして合併の場合に、普通の金融ベースだけの問題ならばけっこうなんでございますけれども、行政的な政府金融や、あるいは建設工事等の問題について行政的にそういう資金が流れるという場合に、総合農協ではたして理事会でそういうことを踏み切って決定してもらえるだろうかという問題になりますと、総合農協の一人当たりの貸付限度の問題を、開拓だけは別にするとか、そういうようないろいろな難関がございまして、むしろ促進されないわけでございます。一部、北海道等につきましては、たまたま開拓者が二百戸おり、一般農家の方が二百戸おる、当然経済流通面では同一にやることの方が組織協同体として得じゃないかという問題から、では行政的な問題についてはどうするか、当然同等数以上の開拓者の力がございますので、それが合併の形をとって一カ所に総合農協が合同し、しかも看板は二つかけて、役員等は開拓の下から出てきた組合長がこの合併の組合長をやっておる、こういう特殊なケースがぽつぽつ見られます。現在の開拓の村作りというものについては、北海道が特殊の理解を持っていただきまして、そういう行政的な融資なりあるいは補助なりの問題を進んで農協が受け入れるという体制ができているから、そういう問題はスムーズに話がまとまったというふうに私ども考えるのです。だから、現状では、内地や全般を通じてそこまで考えていけないような事情が多うございますから、むしろ開拓農家の営農の実力を高めることに力を置くべきである、こういうように考えております。
  96. 湯山勇

    ○湯山委員 最後に、織井さんにお尋ねいたしますが、この法律に出ておるような形で末端の単位農協を合併していくということと、それから、今のような開拓連とか、畜産連、青果連といろいろあると思うのですが、そういう特殊な農協との統合、こういう二つの問題については、中央会の方ではどういうふうに比較検討をしておられるか、どちらにウエートをかけるべきだとお考えであるか、お伺いしたい。
  97. 織井斉

    ○織井参考人 今の御質問趣旨がはっきりしませんが、私の方で今再編成という角度で取り上げておる問題は、一応、現在の中央機関及び各県の連合会というものはもっとはっきりした総合機能を持つべきだ、一方においては分業体制をもっとはっきりするべきだというふうな考え方から現在の再編成の問題を考えておる次第でございます。その際に、一応その土台となるものは総合農協だ、しかし、総合農協がなぜ一般の特殊農協と比べて非難が多いかということは、総合農協が現在米を中心とした扱いばかりで、系統的にもそうでないものにあまり力が入っていない、この問題をもっと本気にやることによって解決できるのじゃないかというふうに考えておるわけです。従って、系統機関の再編成というものが、中央機関から末端の総合農協までずっと系統的に整備ができれば、そこで今度は特殊農協についても県段階において協力を求めることができるし、そうでない範囲においては全国段階において協力することができる、そしておのずから提携していく、最後にはお互いに統合するような格好になるのではないかというふうな考え方でございます。
  98. 湯山勇

    ○湯山委員 そうすると、織井さんの御意見では、まず現在政府の進めようとしておるような方向で進めていき、しかる後に特殊農協との統合の問題を考えていく、こういうお考えのようですが、これは県段階においては逆じゃないですか。その点どうなんでしょうか。
  99. 織井斉

    ○織井参考人 県段階における具体的なものは畜産連、園芸連等で、県の連合会の事業の問題というのは非常に現在デリケートになっております。各県においても今の情勢上こういうふうにばらばらの格好でやっていることはまずいのじゃないかという声が総合農協及び特殊の単位農協に上がってきておりますが、これは土台においては相互に加入しておる面が多いですから、そういうふうなことが反映して、各県ともそれに対する歩み寄りの問題が起こりつつあります。現に愛媛県は畜産連と県の経済連とが合同するような機運にあります。大体そういうふうな格好になりつつあるのじゃないかというふうに考えます。そのことは、現在の中央機関というものは全購連、全販連というのが事業の主体ですが、これが統一機能においても分業体制においてもまだはっきりしない点が非常に多い。これを再編成して解決すれば、一応現在全国段階としての日園連とか畜産連に最も近い話し合いができる段階が来るのじゃないかと考えております。
  100. 坂田英一

    坂田委員長 片島港君。
  101. 片島港

    ○片島委員 織井さんにお伺いしますが、今静岡県その他に一県一農協という構想があるようでございます。あるいは一郡一農協、またさらに一県一農協といったような構想に対して、中央会の方ではどういうお考えでおられるのでありましょうか。
  102. 織井斉

    ○織井参考人 現在静岡県には一県一農協があり、ほかの県にもスケールとしては一郡一農協がいいのじゃないかというふうな考え方がありますが、私の方としては、この問題については、県の組合員全部がその必要性を感じて理解されたらそれでもいいのじゃないかと言っているわけで、一郡の範囲がいいのだとか、二組合の二千名以上がいいのだとかいうふうなことは、上部の機関から下に向けて画一的に統制すべきではないということだけははっきりしているわけです。そこで、現在、全国的に見ても、二百五十とか三百くらいの組合員を持っていて、非常にりっぱに仕事をしているし、職員のベースもほかの大きい組合よりいいところが割合多いという現実から見ると、ただ協同組合経営のスケールの問題のみでこの問題を画一的にまた統一的に考えることは危険ではないか、そういう問題をもっと掘り下げて考えるべきであると思います。たとえば、午前中にもちょっとお話し申し上げましたが、群馬の高崎ハムというのは、郡の組合を組織してあそこの農産加工をりっぱにやっておる。ああいうふうな形は、事業の利用関係としてある意味においては一郡の力がそこに集結されておる。その問題を、今度は一郡一農協でなければ農産物の加工とか畜産及び青果の技術の問題は解決できないというふうなことを言いやすいので、その問題は、そうでない、一つの利用関係の面として、畜産の方は一郡でよかったら一郡でやるべきだし、倉庫みたいなものは共同倉庫を設けて五、六組合でやるべきであるし、それから、畜産とか園芸等で技術が必要ならば、農機具技術センターくらい、一郡一カ所か、十組合くらいが集まってサービス・ステーションを設けて、そこをセンターにして技術のサービス指導をやればいい。だから、現在事業の利用関係と組織関係というものを混同して問題が考えられやすいが、そうでない面もあるので、その面は面として分けてこの問題は考えるべきだと思っておるわけです。従って、参考までに申し上げますと、たとえばドイツのラインファイゼンなどというものは、日本の協同組合がまねをして、あれが先生ということになっていますが、中央会という組織は州中央会、全国中央会というふうに組織の壁は一応ちゃんと守って、中は、購買事業有限会社、ブドウ酒製造連合会、それから銀行というふうな形になっておりまして、それが全部会社組織で運営されている。州に行きましても、州の事業体は相当多くありますが、その中にも、連合会でやっておるところと、会社システムでやっておるところというふうに、事業の方は非常に自由になっております。それから、事業の体制によって二段制もあれば三段制もあるというふうな格好になっております。そういうふうなことで、包む皮が組織としたら、事業というものは、その皮に守られて、最も必要な事業実態に即してお互いに利用すべきではないかというふうに考えておるわけであります。
  103. 片島港

    ○片島委員 単位農協は単位農協としての性格、使命というものが農協法によってきまっておるわけですから、そういたしますと、この法の精神に照らして、標準規模といいますか、組織の上において非常に小さい農協は今度合併をしようという政府の方針のようでありますが、非常に規模の小さいのは運営の面においてやりにくい点もあろうかと思います。それでは大きければいいかといえば、またおのずからそこにも限度があるのじゃないか。これがそれぞれいろんな種類の大きな幅のある性格を持ったものならば別でありますが、総合農協として見た場合には総合農協としての性格、使命というものが法定されておる。そこには、あのずから、どの程度の規模がいいか、生産の面あるいは流通、購買、信用、そういった面において単位農協としての大体の標準規模というものが構想されていいんじゃないかと思いますが、そういう点はいかがでしょうか。やはり一県一農協でもよし、二、三百人の、どんなに小さくてもそれは何ら支障がない、こういうお考えですか。
  104. 織井斉

    ○織井参考人 その規模を、二千名以上がいいんじゃないかとか、それではどうも工合が悪いから一万名以上にしようというふうな画一的なものでは協同組合は解釈できないというふうに私たちは思っております。だから、たとえば生活資材等を扱っておる消費組合的な面からすると、農村の文化活動とか、健康管理とか、そういうふうな問題については、今の五百とか千の組織でもいい場合もありますし、そうかといって、今度は農産加工みたいなものは、村の経済力だけでは解決できない面がある。そういうふうに、事業実態によって大きい小さいというものをはかるべきであって、それを今度組織の面で一町村、一郡というふうな行政区画でこの問題を解釈すべきではないというふうに私どもは考えておりますので、従って、この問題については、総体的には、単位組合の問題を考える場合には、やはり連合会の経済事業というものもそれに対蹠的に考えながらこの問題を取り扱うべきじゃないか。五、六カ町村が集まってやる場合、五、六カ町村が統合してやる方がいいのか、それとも当然連合会の事業としてその問題を受けてやるべきがいいのかというふうな問題については、相当いろんな検討を要する問題ではないかというふうに考えております。だから、合併の問題につきましても、ただ形式的に二千名がいいのだとか三千名がいいのだとかいう、そういう画一思想は私の方は困るのだというふうな建前をとっております。
  105. 片島港

    ○片島委員 その点は私はちょっと考えが違うのですが、大体、単位農協として、それは地域的には違いましょうが、その産業構造、生産面におけるいろんな違いがあります。ですが、この問題は政府の方にもまだ質問もしておりませんので譲りますが、農協の使命というものが、今までの農協とこれからの農協とは非常に大きく食い違うというか、発展的に進んでいく共同化あるいは機械化、近代化、こういったような面において農協に負わされる使命とか責務というものは、これから先重大な問題が出てくると思うのです。農協の現在の形では背負い切れないようなことになってくるのではないか。政府の方も非常に期待を大きくして、条文では至るところに農業協同組合というものを出しておりますが、しかし、はたして現在の農協のあり方で、これだけの重荷を背負わされて、うまくこれをこなしていける力があるかどうか。当然、農協の体質改善、また、先ほど言われた、組織の面において量ということ統合して大きくするということもあるが、それは一つの要素であって、いろいろなほかの問題を解決しなければならぬということは、やはり農協経営の運営の面においてのいわゆる質の観念もこれから先相当重視していかなければならぬ。これから先の農協の体質改善という面についてお考えになっておられることがあるならば承りたい。
  106. 織井斉

    ○織井参考人 農協の体質改善の問題につきましては、昨年七月八月、九月、中央機関が全部動員して各県に行きまして、各県で組合会議を開きまして、そこでいろんな問題を討議したわけでございますが、組合長の意見は非常に山盛りに出てきまして、その中で一番出た問題は、農業基本法に対して協同組合はどう対処すべきであるかというふうなこと、現在の農山漁村の問題をどういうふうにしてくれるのか、それと農山漁村の協同組合の競合関係、そのほかに、現在水産会社が上陸してきた、これに対してどういうふうな対策をしてくれるのか、それから手数料の問題をどうしてくれるのか、いろいろな問題がありましたが、いずれにしましても、現在の協同組合及び組合員というものは、農業基本法を起点にして何かやたら沸き立っているというふうな感じがいたしますが、私どもとしましては、現在あまり政府の方やそちらで、やあ近代化だ、やあ生産性の向上だ、やあ農業は転換期だというふうに言われると、何かそれに期待したり、それにぶら下がったり、それから非常に不安を持ったりするというふうなことに現実はなっておりますし、それから、県の協同組合の職員も、単協の職員も、もっと問題を掘り下げ、もっと批判して、いやこれに対してはこういうふうなんだというふうな解釈があればいいけれども、一たん基本法が制定され、また合併助長法というふうな法律がきめられると、その通りにしなくてはいかぬものだというふうに思い込みやすい。しかし、法律がしかれても、法律によってそう社会というものは変わるものではないのだ。もっとじっくり落ちついて現在の農業の将来への行き方についてお互いに検討すべきじゃないかというふうに言っておるわけです。従って、現在の近代化といい、生産性の向上といい、それからまた農業企業化というふうなことが言われておりますが、結局、われわれの方としましては、現在の協同組合のマネージというものは、営農と生活というふうに二つに分けて考えなければならぬと思うのでして、日本の協同組合というものがなぜ片びっこであってどうしても官僚的色彩から脱却できないかという原因について考えてみると、西欧の協同組合と違って、日本の協同組合は、農業協同組合のみが農村において発達して、都会のいい意味の消費組合活動がないところに、日本の一つの宿命的な協同組合運動の低調があるというふうに私どもは解釈しておるわけでございます。その農業面における協同組合というものも米を中心とした協同組合である。ですから、行政的支配を受けやすい体制になっておる。これをもっと西欧式に、都市における協同組合の活動も旺盛であり、農村における協同組合も旺盛であるということになるならば、農村の農業生産物もどんな物を作ったって協同組合計画によって都市の方に流れていく、そんなに生産資本というふうなものや商業資本にたよらなくともみずから解決できるのだというふうに考えるのでして、ある意味においては現在の日本の農協の片足というものが農業協同組合における宿命的な一つの面ではないかというふうにわれわれは考えております。だから、どうしようもないんだということでなしに、やはり、われわれとしましても、これからの協同組合は、農村において、農民の生産も営農もさることながら、生活面を守るというふうな運動も一面に起こして、農村の中に、農産物を作る者と同時に、消費する面と両方を持つような体制が必要じゃないかというふうに考えております。従って、これからの協同組合の行き方というものは、農業においては協同組合としては農産加工のスケールによってその事業の大きさがきまるが、それを何も単位協同組合の合併ということで考えなくてもいい。それから、その問題は、ある意味においては現在の協同組合の中央機関及び県機関というものが、米以外の畜産物の流通の問題についても青果の問題についてもほとんど握っていない。そこに、現在中央機関として系統機関として単協に対して営農計画はこういうふうにすべきだというふうなことではっきりしたものを言えないという格好になっているわけであります。そこで、われわれとしましては、早く中央機関の再編成を終えて、もっと単協及び組合員の要求にこたえ得るような体制に進まなければだめなんだというふうなことで、去年、一昨年の大会に基づいて起草委員会を開催して、まず中央の再編成を早く実現して、組合及び組合員の要望にこたえる体制を中央に作ろうじゃないか、こういうふうに言っておるわけでございます。
  107. 片島港

    ○片島委員 中央会などでやはり一般農協に対する一つの指導方針というものが非常に確立されておらぬのではないか。私は宮崎県ですが、宮崎県ではだいぶ評判が悪かったようです。体質改善の会合をやって、そんな説教を聞かなくてもわかっているとかなんとか言ってだいぶもめたようでありますが、さっき言われたように、各組合長あたりが、これはどうしてくれるか、あれはどうしてくれるか、こういうような考え方で言われることは悪いとは言いません。農協が系統組織として中央会あるいは県連、単位農協、そういうふうに系統があるわけですから、やはりどうしてもやってもらいたいという希望は要望としてある。しかし、何と言いましても、これから先、農業の構造改善あるいは選択的拡大、こういうことが今うたわれておるのでありますが、その指導的な役割をやっていくものはやはり農協だろうと思うのです。実際に農民とひざつき合わせて指導していくのは農協だろうと思うのです。そうすれば、中央、県連、それから単位農協に至るまで、農民に対し、また農業に対しての指導性をもっと確立するということ、指導方針のしっかりしたものを持って、どうやってくれというのではなく、自主的に自分たちはこれからの農業の転換期にあたってこうやっていくのだという何ものかがなければ、非常に農民も不安に感じるのじゃないか。そのためには、農協内部も体質を改善する、それから単位農協に至るまで指導的な役員ないし職員というものをここに新たに設定をする、そしてこれから先こうやっていくのだというようなもっと自主性のあるものに、これから先の農業転換期に即応した体質改善を行なうべきではないか、こう考えるのですが、この点はいかがですか。
  108. 織井斉

    ○織井参考人 そこで、実際体質改善についても中央機関が下に向けて天下り的の方針を作ったって現在何にも価値なきものであるし、それから、全国の単位組合は、現在の連合会については、少なくとも畜産、生活の面については期待できないんだということが印象にあるものだから、私の方はそういうことはなるべく言わなくて、これからの体質改善は単位農協あるいは組合員の間で営農と生活をどうするんだということをまず足場として考えてもらって、その意見を受けてこちらが何か方針を作っていきたいという考えを現在持っております。  しかし、いずれにしても、現在中央機関が二十五団体もありまして、その二十五団体というものはお互いに最高決議機関を持っておる。そして、それを統一するのに、中央会といいますが、中央会の決定した事項というものはほかの二十四団体を拘束するだけの法的権限も何もないというふうなことで、結局協同組合の全体について参謀本部的機能がないというのが今の協同組合の欠陥ではないかということをみずから痛感しておりますので、何かこういうふうな形でもって参謀本部的な機関を作って、それによって全国の協同組合の意思というものをそこへ結集しなければ、ほんとうにはっきりした体制というものは生まれてこないと思っております。  ちなみに、外国の協同組合を見ましても、スエーデンにおいても、ドイツにおいても、フランスにおいても、全部幾つもの事業機関が中央にありまして、日本よりもっと分かれてこまかくなっておりますが、おのおのの事業機関は最高の決議機関を持っておりません。協同組合の一切の方針及び事業予算等を決定する最高決議機関は、全部が代議員大会とかそういうふうな総会というふうな形で一本でしぼられておる。従って、事業の執行についても討論についても一本化されて、ほんとうに協同組合らしい計画がそこで生まれておるというふうなことで、これと比較してみると、現在の日本の協同組合の行き方の現状は非常にばらばらであって総合性のないというところに致命的な一つの欠陥があるのじゃないかというふうに考えております。
  109. 片島港

    ○片島委員 ほかの委員からも質問がありますから、開拓農協の問題について一つお伺いしておきます。  私の宮崎県あたりは開拓が非常に多いわけです。先ほどお話がありましたように、専従者もなし、事務所もなし、私たちがたずねていっても、どこのだれが責任者かわからないような非常に弱小組合がありますが、そういうところほどまた非常に困っておるわけです。この内容をこのままにしておいていいのかどうか。これは、そのお隣の開拓組合と合併するといったところで、もう飛び地です。総合農協ならば隣と合わせれば地域がつながりますけれども、そうではない。その土地の開拓地のそれぞれの組合という名前はつけておるけれども、非常に不振組合でありまた弱小組合というものに対しては、何らか対策をお持ちですか。特にこれから先の農業の変革に伴って、このままにどうしても捨ておけないこの弱小組合に対する課題があると思うのですが、それについては中央の方では何らか対策をお考えになっておりますか。
  110. 高島照治

    ○高島参考人 ただいまの問題につきましては、開拓農協の宿命といいますか、弱小と言えば大へん問題が出ますが、そういう小さい組合について私どもいろいろ考えておりますのは、現在、開拓農協の特殊性で、開拓、生産、営農の面の、先ほど申し上げました流通の問題と行政の問題とございますが、その行政の問題に通ずる金融の問題等を解決する意味で合同事務所等を設置してくれということを政府に強く言っておるわけです。そういう飛び地の組合五カ所くらいで一カ所に合同事務所を作りまして、国がそれの事務員なり事務経費の負担を行なって、財務整理の問題、あるいは建設工事に対しまする手続の問題、それから営農の固定施設に対しまして農林漁業資金を借り入れるとかあるいは中金資金を借り入れるとか、そういう問題を合同事務所でやっていったらどうか。購買・販買等については、地域生産農協としてたとえば十五戸が農協の組織になっておりますけれども、そういうものが特殊生産物として取り扱える範囲内においては取り扱うけれども、むしろそれは流通経済面で発達している総合農協等を利用してそれらのものを推進していく。現在の開拓行政を通じる村作りの資金に対しては、どうしても合同事務所の設置をはかって開拓者の事務経費を軽減していく以外に方法はないというふうに一方考えておるわけです。しかし、全体の開拓農協を通じましては、御指摘のようなところもございますけれども、むしろ組合長も名ばかりであるいは事務職員もいないとはいうけれども、開拓振興計画等を作り上げたりいたしまして、はたしてこの現地でこの山の中で自分たちがどういうふうな営農計画を立てたらやっていけるかということについては、現状の生活が非常に苦しいだけに、そういう計画等は開拓者自身は真剣に考えていると思うのであります。それからまた、そういう意味では、農民の自発的な意欲といいますか、そういう立場に立って、あのうちは現状こうだ、あのうちはこういうふうにしなければならぬのだということは、むしろ組織的にはしっかり握っているのじゃないかというふうに考えているわけです。しかし、御指摘のように、組合長兼小使い兼事務員までやるというところに非常に過重が加わるために、それらの幹部が優秀な人がおりましても長続きしておらない。長続きしようと思いましても経済的に対処できないというような実情でございますので、われわれは、合同事務所を設置して、国の行政において財務整理やその他の問題を解決さして、早くそういう経理の明確化をはかっていく。そして、その開拓者の所得が高まる時期を現在の開拓振興法によって三年ないし五年というふうにわれわれは目標を置いて、その目標の中で早く開拓者の営農を確立さして、その時期は当然そういう財務整理も明確になるし生産も向上してくるという体制になってくると、政府等に長年借りている昔の借金等も解決してくるし、また、前向きな資金等も、それ以上に要求しても、総合農協で見ていただける時代が来るのじゃないか、こういうふうに考えておるわけです。
  111. 片島港

    ○片島委員 最後に御要望申し上げておきたいのですが、特に海岸砂地あたりにおける開拓者、それから山の中のちょっとしたところを開拓をしておる人たちは、今後の農業構造の改善、自立経営規模を拡大をしていくといったような問題から当然取り残されることになろうかと思います。そうしていきますと、そこに開拓者の農業経営というものは非常に大きな壁にもこれから先ぶつかるのじゃないか。今まで政府が見てくれたような援助といいますか、助成がだんだんと冷たくなってくるのじゃないかと私は実は不安を感じておる。そうなってきますと、ただ金を借りる手続の問題、あるいは事務をとってやるというだけでなく、これから先の指導について、どうしても中央の方が一番情勢に詳しいわけでありますから、末端のそういう取り残されようとしておる小さい開拓農協あたりに対してはあたたかい気持で指導性を発揮していただきたい、私はこれだけを要望いたしておきます。
  112. 坂田英一

    坂田委員長 次は、角屋堅次郎君。
  113. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 農業協同組合合併助成法案審議にあたりまして、せっかく織井さん、高島さんがお見えになりましたので、今後の審議の参考に資するために数点お伺いをいたしたい。  今度の農業協同組合合併助成法は、御案内のように、これから五カ年間の計画をもって、今日約一万二千四百近い総合農協のうちで大体七千程度組合対象にして、これを約三分の一近くに合併をしていこう、こういう構想のようであります。それを実施するために、合併経営計画というものも立案をし、都道府県知事の認定を得て合併するものについては助成措置等を第五条によって講ずる、こういう条文になっているわけですが、先ほど来参考人の意見の中でも、特に中央会関係の意見の中では、これはいわゆる農業団体の再編成あるいは組織論というもののごく一部としてこの問題を評価し、そして今後のこういう問題に対処していこうという御意見のようでありますが、まずお伺いしたいのは、これから五カ年間に約七千近い総合農協を三分の一近くに合併していこう、こういう政府の構想というものを、農協側としては、全面的に受け入れて、積極的にこれに協力をし、計画通り推進をしていこう、そういう建前に立ってこれを考えておられるのか、あるいは、そうは言っても、今日までも農協の合併必ずしもやらないわけではなくてやって参りましたけれども、いろいろな条件にぶつかってなかなか困難な問題も伏在をする、そういうことで、この農業協同組合合併助成法の構想する計画というものは必ずしも達成年度までにスムースにいかないだろう、こういうふうな判断を持っておられるのか、まずその辺のところをお伺いしたい。
  114. 織井斉

    ○織井参考人 今度の合併は助長法ですから、助成でなくて引き伸ばす法律、だというふうなところから解釈すれば、その字句からは何としても計画通りやっていくんだというふうなことがうかがわれるわけなんですが、私どもとしては、一応、現在の合併の問題については、もっと現在の単位組合がこの問題について研究し、勉強し、ほんとうにみずからそれを理解して、合併した方がいいというふうな自然発生的な姿を待って、それに対して、できるならば、金額的助成より、そういうふうな組合に対しては税制的な措置を講じてやるとか、それから合併に対するめんどうな手続をもっと簡易にしてやるとか、そういうふうな協力をした方がしやすいのじゃないかというふうに考えておる次第であります。ですから、これは将来できるかできぬかというのは、やはりここで私どもとしてはまだはっきりした考え方、見通しというものは残念ながら持っておりません。
  115. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 高島さんにお伺いしたいのですが、開拓農協の立場から言えば、現在はやはり開拓農協自身あるいは開拓者自身の力をつけるという段階であって、まだ全般的に見ればこの合併助成法によって合併の路線に乗るという時期ではないという御意見のように判断をしたわけですが、しかし、いずれにいたしましても、今後五カ年の合併の計画の中で、開拓農協のうちで大体どの程度のものは路線に乗るであろうというふうな判断をあるいはしておられるのではないかと思います。全然路線に乗らないのだ、これはほとんど路線に乗る可能性はないのだ、そうでなくて大体この程度のものは合併の路線に乗るであろうというふうな判断の問題について、特に開拓農協の場合は別のいろいろな観点があると思いますので、お伺いしたいと思います。
  116. 高島照治

    ○高島参考人 私どもは、将来の協同組合のあり方、そういう問題については深く関心を持っておるわけでございますけれども、御指摘のように、農業構造が改革されまして、共同化なりあるいは協業化なり、あるいは農業経営そのものが、畜産なり果樹園芸なり、そういうふうに企業化の方向をたどっていくということになりますと、先ほど申し上げましたのは、御指摘のように、開拓営農が確立するまでむしろ行政的な強い援助をお願いするという立場でございますけれども、そういう時代にわれわれが来た場合には、むしろ進んで、経営規模というものが大きくなるごとく、組合規模につきましても協業化が成り立つようなスケールのもとに立たなければならない。たとえば酪農等の問題につきましても、少なくも郡単位の乳を酪連等で集荷していく、あるいは果樹等につきましてもその地帯全部を通じて特産地帯としての市場性をますます有利に確保していくというような生産体制がとられなければならない。しかも、末端における個々の生産構造は、いわゆる協業方式なり共同方式なり、高度化した多頭飼育等を伴わなければならないだろう。それを集約した大きな農民の力によって市場性をますます有利に確保するということが絶対的に必要だ。そういう観点では、むしろ、私どもの群馬県の場合等を考えますときに、政府で言う三分の一くらいには流通経済から考えたときには当然変わるべきだ。しかし、それは、あくまでも、流通経済面だけで行動するということだけでなくて、真に生産と結びついての生産物の販売、あるいは農業構造の問題、そういうことと結んでいった大規模な農協組織というものが生まれてくるんじゃないか、こういうふうに考えております。また、そういう意味で、われわれが国の援助と相待ちまして開拓が成功するという目標につきましては、現在所得三十五万という要求のもとに戦っているわけでございますけれども、これはむしろやはり倍増の線に基づくような所得七十万なり——ということは粗収入百四十万とか、そういう膨大なスケールのもとに開拓営農は生きていかなければならないというような考え方でおるわけでございます。
  117. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私の問いに対して必ずしも端的にお答えしていただいたわけではないが、次に移りたいと思います。  「全中情報」の最近の資料によりますと、農林省では農協の合併でブロック会議を開催中であります。三月十七、十八日岩手、きのうきょう東京、それから、二十二、二十三日石川、二十四、二十五日兵庫、二十四、二十五日広島、二十七、二十八日熊本、こういうことでそれぞれブロック別の説明会議を持っておるようでありますが、これは当然議題としては農協の合併の問題で都道府県あるいは農協関係といろいろ意思の疎通をはかる、あるいはこの法案の通過後における実施の円滑化を期するということでやっておられるようでありますけれども、その際に都道府県の持参資料というようなことでいろいろ要請が出ております。最後のところに、合併推進に対する都道府県農協連合会及び市町村等の意見、こういうふうなことがあって、おそらくそれぞれのブロック会議ではこういう問題に対する今後の推進についてのいろいろな意見が出たかと思います。この際、農協側として、今度の合併の問題について、数日前中央の段階で会合があったわけでありますが、そういう際にこの問題が論議されたかどうか知りませんけれども、特にこの法案の推進にあたって統一的にどういう希望とか、あるいはどういう方針とかいうものがあれば、お聞かせ願いたい。
  118. 織井斉

    ○織井参考人 ちょっとお断わり申し上げますが、私が前に合併助長法という名称であるのでと言いましたが、助成法でございますから、その点は一つ御訂正願いたいと思います。従って、その解釈も御訂正願いたいと思います。  いずれにしましても、この合併助成法が制定されて実際に移る場合にどうしたらいいかというふうな問題につきましては、私の方としては、その推進対策は、それに必要なる一切の環境というものをもっと組合及び組合員に向かって趣旨の徹底をはかる、その土台をまず考えるようなことを一つやっていきたい。その際において、なるべく中央会が中心になって、この問題についてもあまりこれを上から押しつけるということでなしに、下から自覚のもとにわき上がってくるというふうな形を待つようなやり方をしたいということだけで、具体的な現在の推進の方策というものはまだ考えておりません。今度の四月四日、五日に全国の中央会の参事会議がありますので、その際に討議したいというふうに思っております。
  119. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私がこの点をお聞きしますのは、先ほど来の織井さんの話の中でも、こういう問題の推進は、やはり農協の自主性というものを尊重してもらって、単に画一的なあるいは官僚的なやり方で推進をするということは避けてもらいたいという意見がありました。まさにその通りだと思いますし、法案の中でも、第四条で、合併経営計画の適否の認定については都道府県農業協同組合中央会の意見というものを徴しなければならぬということがはっきりうたわれておるわけであります。そうなると、それは都道府県農業協同組合中央会のそれぞれの現地の実情に基づく自主的な判断で合併経営計画に対する意見を述べさせるという方針であるのか、そうでなくて、やはり、こういう組織論あるいは農協機構を科学的・合理的にどうするかという問題については、一応の基準というか、標準というものがなければならぬと思うのですが、それらの指針となるべき基準とかあるいは標準というものについては、全体の中央における討議の中で明らかにして、それを指針としてそれぞれの県の事情等も勘案をしながら意見として反映させるというのか、その辺のところはいかがですか。
  120. 織井斉

    ○織井参考人 これも、もう一ぺん繰り返すようになるかもしれませんが、単協のスケールというような角度でこの問題を考えるか、それから系統機関事業の一つの方針としてこの問題を考えるか、それは相対的な問題で考えなくちゃいかぬと思います。たとえば、現在各県が考えていることは、農業企業的にするというふうな角度が非常に強く現われておりますが、たとえば集団養豚とか多数羽養鶏というふうなことがある意味ではこのスケールの大きさに反映してきているような感じがありますが、そういうふうなことをただあまり一面のみ促進すると、実際、現在でも、ほとんどその原材料である餌は外国からの輸入に待っておりますので、行き詰まったというふうな格好になって、餌は高くなり卵が安くなる、こういうふうなことになりますので、こういう問題ももっとその事業実態によって総合的にこの問題を考える。ですから、ただ単協の合併のみで現在の農業の一切の問題を解決するのだという立て方でなしに、その中に組合間の共同というふうな問題があるし、連合会がみずからの責任において解決しなければならない一面もあるし、そういうふうに縦横にいろいろ総合されてこの問題を結論として出すべきではないかというふうに思っております。
  121. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 農協の合併の問題については、御承知のように、昭和二十六年以来農林漁業組合再建整備法関係の問題があり、また三十一年以降農協整備特別措置法に基づく合併の問題もある。そういう経過をたどって、今度農業協同組合合併助成法による合併という問題が実施されようとしているわけですけれども、この法案の中身を見ますと、第二条第二項のところでは、いわゆる「合併する組合農業協同組合法第十条第一項第一号及び第二号の事業をあわせ行なう組合」、これは御承知の信用事業を行なう組合ということになりますが、「のみである場合並びに合併する組合のうちに二以上の信用事業を行なう組合が含まれている場合に限り、適用する。」、こういうことで、いわば総合農協を主体にした七千近くの組合の合併、それは内容的にはいろいろあるでしょうけれども経済的基盤としては比較的条件が整いやすい、そういうところの合併をやろうとする。ところが、こういう合併をやる場合には、やはり地方の行政区域、市町村なり郡というものを基準に合併するということが前提条件としてはおそらく出発点に出てくるだろう。そうなると、必ずしも第二条第二項にいう形ばかりでなくて、つまり、信用総合農協ばかりの合併、あるいは総合農協を二以上含まなければならぬ数個の組合の合併ということ以外の合併ということもあり得る。そういう場合にはこの路線に乗らない。そういう第二条第二項の限定の仕方というものが、農協の合併の方針として、これから五カ年にこういう方向でやっていこうというのだが、いいのかどうか。もう少しこの辺のところは弾力的に考えた方がいいという問題がある。つまり、今日、農協の中には、農協の機能が停止しておる、きわめて困難な条件にある組合、いわゆる捨て子組合と言われるものが、少なくとも三、四百はあろうと思うのです。そういうものもやはり合併の路線の中へ含んでいくという場合には、第二条第二項というものが厳然として適用の対象としてあると、そういう場合に支障が出ないか。これは今後の具体的な検討の中で政府にたださなければならぬ問題でありますけれども、そういう問題を感ずるわけですが、この法案検討は農林省といろいろ緊密な連繋をとってされたと言っておりますが、相談の路線に乗ったのかどうか、明らかにしてもらいたい。
  122. 織井斉

    ○織井参考人 現在の合併の対象は、当然総合農協を土台として考えていこうということが、今まで農林省と検討した経過でございます。それから、合併に伴って、不振組合とか、そういう組合がありましょうが、現在の日本の組合の実勢から言うと、三分の一が優秀なる組合で、あとの三分の一が比較的やっていける組合で、あとの三分の一がなっとらぬ組合だ、こういうふうに区分されております。そのうちで、一番だめな組合対象にされなくて、一応はあとのいい方の部類に属する三分の二というものが対象になるだろうと思います。従って、あとの三分の一というものは、これは今度の合併では入らない。不振組合は、基本的な対策を考えて、その上でこの問題を解決すべきである、過程としてはこういう順序で考えるべきだと思っております。
  123. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 かつて実施された農林漁業組合再建整備法の中では、御承知の通り、増資奨励金、あるいは利子補給金というものが出された経緯になっておりまして、総額にいたしまして三十三億から助成金が出ておることもありまするし、農業協同組合整備特別措置法の場合でいきましても、いわゆる負債に対する利子補給の問題や、合併奨励金の問題こういうことでやってこられたわけですが、実際合併をやる場合に一つの問題になる点は、一方は黒字組合であり、一方は借財を持っているという場合に、これを合併してどうするかということになってくる場合が、おそらく七千組合の合併の過程では起ころうと思います。それで、今度の場合には、そういう負債に対する利子補給というようなことはこの助成措置の中には全然ないわけですけれども、やはり、合併をスムーズに、しかも合併当初から健全な力強い形ですべり出していくためには、この辺のところは、むしろ農協側としては強く実態等を精査した上に立って主張されるべき点ではなかったかという感じを率直に言って持っております。今度の場合の助成措置を見ると、施設に対する助成等でせいぜい三十万円、指導その他に対する若干の助成とかいうことで、きわめて安い金で、しかも相当大規模な合併をやろうというふうに受け取らざるを得ないわけですけれども、もっと合併の対象になるべき農協の実態、そしてまた、合併した場合健全にして力強い発足というものを考えていくには、従来の法律でとって参った中身の中で必要な問題については、やはり本法案の作成の場合にも十分温情を持って考えられていいじゃないか。もちろん、その適用については、政令その他でもって、かくかくの条件の場合には適用していくということはあろうと思うけれども、そういう条項は当然必要になってくるのじゃないかと思いますが、これらの問題は、農林省と話し合われる場合には、お宅の方からは意見として全然出されなかったのであるかどうか。
  124. 織井斉

    ○織井参考人 私の方は、この合併問題の討議の経過については、一応、合併する対象というものは、健全なる組合のみを対象とするという農林省の意見に対しては賛成いたしました。やはり、男女が結婚する場合でも、どっちかが肺病なら、相手にうつってしまって、結婚生活もうまくいかないから、結婚させるときには、医師の診断によって健康な体にして結婚さすべきだ、ちょっと抽象論ですが、私どもはそういうふうな考え方を持っております。従って、赤字組合については、再建整備、整促及び整特法など三段助成をもらったので、これ以上そういうふうな不手ぎわな面で政府に助成を要請すべき段階じゃないというようにわれわれは割り切っておりまして、これからは自分の足でしっかりやっていきたいと思っております。戦後十五年もたったらそこらのところはできるのじゃないかというふうに、むしろ積極的に考えております。
  125. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 その言やよしと言わなければならぬかと思いますが、しかし、きょうは、農協の関係では、荷見さんは病気らしいのですが、一楽さんが事情でお見えにならなくて織井さんがお見えになりました。今日、農政国会と言われ、農業基本法とかいろいろな問題を控えているときに、万障を繰り合わせて出席してもらいたいとわれわれとしては期待しておったのですけれども、その問題は別にして、そういう点については十分やっていけるということならば、それはけっこうだと思うけれども、これを具体的に進める場合、従来の経験から言っても、農協自身で責任を持って全体としてこれを処理していくという自信があるならばおのずから問題は別だが、この点は、政府の法律案作成の建前としてはそういう点について一つの基準に基づく措置というものを十分考えていく必要があると私自身は思っておるわけであります。  あとまだ時間の関係質問される方もありますしするので、あす以降法案審議の中でさらに明らかにしていきたいと思います。  最後に、先ほど来の同僚の質問の中で出た問題ですけれども農業団体の機構の再編成という問題で、日本農業新聞あたりを見ますと、系統組織整備強化実行委員会の中でいろいろ検討されておりまして、今後の農協の中央機関の組織の再編成というものについては、資料を見ますと、全国農協連設立案、あるいはまた農協総合審議会設置案、あるいは農協中央機関の共通役員制案、こういうふうな三本建の問題が大体各地方からの意見の焦点として出てきておると言われております。その中で、先ほどお話の中では、農協総合審議会設置案のような見解の意見を少しお聞きしたかと思うのです。あるいは第二、第三を含めたような意見のような御発言があったと思うのですけれども、こういう農協中央機関の再編成の結論というものは、今日の情勢から見て、そうゆうちょうにいつまでも井戸ばた会議みたいにやっておるわけにいかぬかと思います。ことにまた、政府の方といえども農業団体再編成という問題を農協の自主性ということでその結論の出るまで待っておってよい情勢であるかどうか、これにもまた問題があろうと思いますけれども、農協自身で考えておるこれらの数年来の検討の問題については、これは単に中央機関の問題ばかりではありません。地方の問題も含めていつまでに結論を出す、そしてまたすべり出すという構想であるのか、ちょうど織井さん組織部長ですから、専門的にやっておられると思いますので、この点をお伺いしたいと思います。
  126. 織井斉

    ○織井参考人 中央機関の合併の問題については、経過は一年少したちましたが、現段階の最終的な結論を申し上げますと、全国総連合案というものがまず一番先に出て、それは現在のところ非常にむずかしいから、中央会の中に審議委員会というようなものを設けて、そこで農協全体の意思を統一したらいいのじゃないかというふうな話が出たわけですが、もともと、機構とか人事というふうなものは、ああいうふうな起草委員会対象として考えるのはふさわしくないというふうに思うわけでございます。そういうふうな問題は、責任を持った総合の理事会とか総会とかいうところでその問題を決定すべきであると思う。従って、順序から言うと、全国連案とかいうものは終着駅であって、やはり、出発駅というものは、全国機関を統合する前提は、全国機関の最高意思決定機関をまず一本にするか、あるいは全国を一本にするために理事会くらいを一本にするかというふうな前提に立ってこの問題を解決しなくては、とても入るべき門がないというふうに考えたわけでございます。従って、ここでもって最高機関、代議員大会を開いて五百名くらいで中央機関の大会をやってそれから方針をきめるというふうなことは、ちょっと今のところ手順としてむずかしいから、少なくとも、現在ある中央機関理事というもの、中心である全購連、全販連、中央会、金融協会、これは中金が民主化された暁においては中金が対象になりますが、それから全共、全運連、そういうふうな六団体を対象にしまして、その理事をまずそのまま一本にしてしまう、そして、各理事のひもつきをそこで解いてしまって、その理事たちは、中央機関に対しては指導の問題、金融の問題、それから業務の問題というものも総体の問題として考えられるような場所を作って、そこでもっていろいろな方針を決定することができれば、その中から統一機能が生まれるし、それから分業体制が生まれてくるのじゃないか、むしろ、順序としては、そういうふうな形を作って、その人たちがその問題をみずからの責任において解決すべきではないかというふうに考えまして、一応そういう結論でこの問題を中心にして検討しようというふうなことになっております。しかし、さしあたりの場合は現在のそういう六人の理事をそのまま一本にすると七十名とか八十名となりますので、将来はなるべくならば一県から一名代表を出して、その県の連合会の代表というものは中央機関のあらゆる機関の代表であるというふうにすれば、理事の脱線もないし、それからどこの県が出ないとか出るとかいうふうな感情的対立がないし、非常に円満にいくのではないか、そういうことで団結を保つことができるし、それから分業体制も総合体制もできる可能性がそれを起点として出てくるのではないか、もしその問題が結論が出たら、秋の大会の前六カ月くらいまでに各連合会に諮って、一応定款もそれが可能のように直してしまう、できるならば今年中にその実現を期そうじゃないかというふうな段階になっております。
  127. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今の農協の再建整備の問題については、この合併助成法による合併等が進んできた場合に、今日の三段階制という姿が、中央、県、単協を通じてどういうふうに変化してくるのか、そういう問題も一つやはり組織論としてはあろうかと思いますが、時間の関係上そういう問題はまた別の機会に譲ることにいたしまして、ちょうど酒折さんもお見えでありますが、参考人にお聞きしたいのですけれども、同じく日本農業新聞を見ますと、去る二月二十一日に農林省の坂村局長と荷見全中会長、一楽常務が会って、農協の下部組織としての協同小組合制度の法案について今国会中にこれをつけ加えて改正をすることに意見が一致したというふうに新聞では伝えておるわけです。これはいずれ農協法の一部改正の問題で本格的にはそこでやるわけですけれども、そういうふうになっておる点を、織井さんあたりも荷見さんや一楽さんからお聞きになっておると思う。新聞では責任を持ってそういうふうに報道しておるわけですが、いかがですか。
  128. 織井斉

    ○織井参考人 今度の農協法の改正に伴って、農林省の方では、一番先に農業生産協同組合というふうな章を起こして、それでもって今までの問題を解決しようというふうな考え方を出したわけですが、私の方としましては、それはそれであっても、今までの歴史から考えて、現在の実態から考えて、やはり実行組合的な非常に幅の広いものを対象にして、そこを一応単位として考える面も考えていただきたい、こういうふうなことを要請したわけでございます。従って、農林省としましては、生産協同組合を起こそう、もう一つは農業組合というふうな章を二つ研究して今度の機会に出すというふうな約束になっておりますが、この問題の考え方の基本は、生産協同組合というものは五人以上でありますけれども、有機的に経営を一本でやる組合のみであって、そのほかの共同作業、部分的共同というものはできない。しかも、そういうふうな組合は現在の日本においては普遍的にすぐできる可能性がないではないか。だから、今までの歴史を持った実行組合的な、現在各部落で行なわれている小組合的活動というものをもう少しはっきり法制化して、その組合が今度は中心になって営農もできるし生活の共同もできるというふうに考えた方が実態に合っているのではないか。それに法人格を与え、それが中心となって共同購入もできるし共同耕耘、共同防除もできるというような形も一方において考えてくれないと、生産協同組合というものはあまりにも弾力がなさ過ぎるから、そういうような形を法制化して、それを一つ今度の法律改正対象にしてもらいたいというふうな建前で折衝中でございます。もともとの考え方は、これはあとから農林省の御訂正があるかと思いますが、生産協同組合というのはある意味からすると企業的な一つの専業的農業を中心にした経営体であるというふうに考えまして、私どもとしては、ある五人以上の部落の組合員が一緒に寄った場合に、その組合員の土台の上に農業があったり養鶏があったり養豚があったりというふうな実態的な形を考え、その養鶏と水田の耕作というふうなものは、くだけ米があったら養鶏の方に回すというふうな、自給自足的なローテーションもそこで行なうというふうなことも考えております。それが普遍的なこれからの日本のまず足を踏み込む実態的な姿ではないかというふうに考えるわけなんです。従って、私の方といたしましては、生産協同組合もさることながら、もっと歴史も古く実態に合った農業組合的な面も一つ考えてもらいたいというふうに主張して、現在農林省でも立案を研究していただいております。
  129. 坂村吉正

    坂村政府委員 生産農協の問題を農業協同組合法の改正で取り上げました場合に、それと関連して、もう一つは農協合併という問題がございますが、農協合併助成法が御協賛を得て通った場合におきましては、相当広域農協ができるということにもなります。一面においては、今までの議論の農業法人という問題にこたえる意味におきまして、農協の組織において農業経営が行なえるという組織を考える必要がある。同時に、農協がもっと広域農協になってほんとうに経済的に活動が活発にできます場合に、農協の本来の姿として、農民とのつながりをどういう工合に考えるかという問題もあろうかと思うのでございます。そういうような意味で、農協のいわゆる下部機構というものをどういう工合に考えたらいいかということが今後非常に大きな問題になろうと思うのでございまして、その問題は団体側でもいろいろ御意見がございます。しかし、これを昔のような農事実行組合というような形で考えるのがいいのか、あるいはもっといろんな別の考え方もあろうと思いますし、そういうようなことでもっと実態に応じて検討しなければならぬと思うのでございます。昔の二十年、三十年前の農事実行組合の思想をそのまま取り入れた形でやっていくことが——大ざっぱに申し上げますと団体側の方としてはそういう考え方が非常に強いようでございますけれども、そこら辺はもっと検討いたすべきことだろうというふうに考えまして、現在検討いたしておる段階でございます。
  130. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 ただいまの問題はいずれ法案の中で十分論議する場合にただしたいと思います。  さらに後はどまた質問がありますので、本日はこの程度にいたします。
  131. 坂田英一

  132. 川俣清音

    川俣委員 二問だけ。  今のいろいろ御説明でごもっともな点が多いのですが、そこで、もっともだと言うからにはしっかりした返事を聞いておかないと、次のこの法案に対する審議態度がきまりませんので、お尋ねしたいと思うのですが、この合併助成法だけでは十分な農業活動を進めるわけにいかないという御説、ごもっともだと思います。これだけでは不十分だということはよくわかるのですが、さてその不十分だというのはどこをさされるのか、どういう点を主張されておるのか、どうも不明なわけです。そこで、かなり広範な意味だとは思いまするけれども、今日は時間の制約もありまするし、法律関係する部分についてだけお尋ねをしたいと思います。  いわゆる合併経営計画の中で、「合併後の組合組合員との間における利用及び協力を強化するための方策」というものがございますが、これをあなたの言うように拡大をしまして何とか目鼻をつけるというようなわけにはいかないものかどうか。不十分だと言われるのはよくわかりますが、これを拡大することによって一部解決する道もあるのじゃないかと思うのでお尋ねするわけです。また、三の、「能率的に行なうことができるようにするため必要な施設の統合整備に関する事項」、この二つがあるわけですが、これを有効に活用することによって、あなたの主張の一部が実現できるのじゃないかと思うのです。もう少しわかりやすく言いますと、経済地域内の社会的施設を充実しなければ、能率的に行なうこともできないでありましょうし、利用及び協力の強化もできないと思うのです。そこで、経済地域内での社会的施設とは何かというと、道路網の整備がやはり入ってくると思うのです。こういう社会的施設というものを考えないで合併したからといって、それは形式的の合併で、能率が上がるということにはならないと思うのです。ことに、開拓農協あたりは、せっかく合併いたしましたならば、これは能率的に運営されるように、特に道路整備というものが絶対条件にならなければならないと思うのです。そこで、ただ合併をすればいいのだというような気休めに踊らされてはならない。ここで勇敢に、こういうものを考えるならばこうしたものまでつけ加えて実行すべきだということを強くあなた方が主張されなければ、言葉だけの合併になってしまうのじゃないかと思いますので、この点についてお尋ねします。
  133. 織井斉

    ○織井参考人 今の第一の問題につきましては、不十分であるというふうな観点でございますが、私の方としては、総合的な対策の一部分である、これがすべてではないというふうに言っておるわけでございます。  第二の問題につきましては、現在の合併の問題とかそのほかの問題につきましても、私どもといたしましては、ただ経済的な立法的な角度だけで現在の農業の問題、農村の問題は解決することはできないと思っておりますので、そうでないほかの方からこの問題を可能にするような建前で、現在の農業及び協同組合の問題を考えていただきたいと念願いたしております。
  134. 高島照治

    ○高島参考人 御指摘のように、私の方も初めから現在の合併促進の問題については不十分だと言っているのは、いわゆる生産協同体としての考え方が、十分適切な処置がとられない限りにおいては、流通経済面だけを合併促進してもだめだという考え方でございます。それと、特に開拓については、五カ年間といいますか三カ年間といいますか、現在の振興計画の過程の中でどうしても営農計画が確立するまではだめで、その確立する条件といたしましては、開拓営農そのものがその地域に適合した営農の確立するための猛烈な前向きな資金がいまだ不足しておりますことと、御指摘のような、地域社会としてあるいはその生活環境といたしまして不十分な問題が多々あるわけでございます。この問題を一切解決いたしまして、当面する所得三十五万の経営が成り立たなければ、われわれはどこへ合併を頼みに行ってもめんどうを見ていただけないという状態でございまして、政府の力によりまして開拓者を育ててもらいたいというふうに要望をしているわけでございます。どうぞよろしくお願いします。
  135. 川俣清音

    川俣委員 織井さんにもう一度聞きたいのです。どうもあなたの答弁は政治的答弁で、われわれ政治家よりもうまい。これはお世話になっている農林省が出すのだからあまり反対ができないというような政治的な答弁にも見える。しかし、どうもこれは不十分だからもう少し出直してこいというような、まことにりっぱな意見にも受け取れる。どうも三十万円ばかりほしいのだからこれに賛成だという情けない農協だとは思わない。しかし、あなたはそうでないと言ったって、地方で、三十万円もらえるなら合併しようかというように、まだはんとうに盛り上がりがこないのに三十万円に誘惑されて合併をするようなことが起きたならば、あとに問題を残したことになると思うので、もっと、不十分なら不十分な点を——農林省はかりじゃないと思うのです。今まで農林省の温床の中で農協は育ってきたと思うのですが、今後は、こういうふうに三十万円よりくれないような情けない農林省なんだから、農林省だけたよらないで、もう少し日本の全体を見て、自治省あるいは建設省等にも大きく働きかけて目的を達成するようにしなければ不十分だと思う。農林省が出してくるとこういう貧弱な合併論より出てこないのですよ。あなた方の内部で検討されて、これでは政府全体に不満だということがもっと率直に言えるのじゃないかと思うのですが、この点どうでしょうか。
  136. 織井斉

    ○織井参考人 今の合併助成法の問題以外にも言いたいことはやまやまございますけれども、ただその一部分の合併法の問題のみをとらえて、この問題だけ不満を述べるということはとても不可能ですので、もし不満を述べろということなら、もっと大きい問題を議題にしていただいて、そのときに述べさしていただきたいと思います。
  137. 川俣清音

    川俣委員 そうすると、どうもあなたたちは三十万円がほしいためにこれに引きずられるようなことを感じておられるのじゃないかと思う。情けないと思うのです。今の農協が、三十万円ぐらいの合併資金が来るから、はいありがとうございますなんということでは、大体農協の限度が知れたことになる。それならば、助成をするとかいって力を入れてもあまり入れがいがないのじゃないか。もう少し身の入った農協ならばわれわれもっと身を入れますが、三十万円ぐらいで、はいありがとうございますなんという格好では、もっと力を入れてわれわれも応援するには少し物足らなさを感ずるわけです。どうでしょうか。
  138. 織井斉

    ○織井参考人 その問題については、何か協同組合が物ごい組合みたいな言い方をされましたが、私の方としましては決してそういうわけではございません。昭和二十七年に制定された整備促進法を最後にして、協同組合はこういう意味の助成金はもう要りませんからというふうなことを主張してきましたが、農林省は今度合併におけるいろいろな手続とか施設等において金が要るからくれるといいますが、私の方としては、どちらかといえば、これに伴う税制措置をもっと考えていただくこと、それから、そのほかに手続等をもっと簡素にしてもらいたいことの方が私たちの要求で、三十万円をほしいと言ったことは一ぺんもございません。くれるというものは、まあ国家の金ですから、われわれは遠慮しないというふうな建前でございますので、よろしくお願いします。
  139. 坂田英一

    坂田委員長 他に質疑はありませんか。——質疑かなければ、これにて参考人に対する質疑を終了いたしました。  参考人には御多用中のところ本委員会に御出席下され、貴重なる御意見をお聞かせ願い、ありがとうございました。厚く御礼申し上げます。(拍手)  次会は明日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時六分散会      ————◇—————