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1961-03-29 第38回国会 衆議院 農林水産委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月二十九日(水曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員   委員長 坂田 英一君    理事 秋山 利恭君 理事 大野 市郎君    理事 小山 長規君 理事 田口長治郎君    理事 丹羽 兵助君 理事 角屋堅次郎君    理事 中澤 茂一君 理事 芳賀  貢君       安倍晋太郎君    飯塚 定輔君       倉成  正君    小枝 一雄君       田邉 國男君    谷垣 專一君       中馬 辰猪君    寺島隆太郎君       内藤  隆君    中山 榮一君       野原 正勝君    福永 一臣君       藤田 義光君    本名  武君       松浦 東介君    森田重次郎君       八木 徹雄君    片島  港君       川俣 清音君    北山 愛郎君       山田 長司君    湯山  勇君       稲富 稜人君    玉置 一徳君  出席国務大臣         農 林 大 臣 周東 英雄君  出席政府委員         大蔵事務官         (大臣官房日本         専売公社監理         官)      谷川  宏君         農林政務次官  井原 岸高君         農林事務官         (農林経済局長坂村 吉正君         農林事務官         (農地局長)  伊東 正義君         農林事務官         (畜産局長)  安田善一郎君         林野庁長官   山崎  齋君         水産庁次長   高橋 泰彦君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   相沢 英之君         農林事務官         (振興局参事官)橘  武夫君         農林事務官         (畜産局参事官)花園 一郎君         日本専売公社総         裁       松隈 秀雄君         日本専売公社塩         脳部長     小林  章君         農林漁業金融公         庫総裁     清井  正君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 三月二十九日  委員西村関一辞任につき、その補欠として川  俣清音君が議長指名委員に選任された。 同日  委員川俣清音辞任につき、その補欠として西  村関一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第九八号)  農業協同組合合併助成法案内閣提出第一一二  号)  森林開発公団法の一部を改正する法律案内閣  提出第四五号)  公有林野等官行造林法を廃止する法律案内閣  提出第四六号)      ————◇—————
  2. 坂田英一

    坂田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案農業協同組合合併助成法案森林開発公団法の一部を改正する法律案及び公有林野等官行造林法を廃止する法律案を議題として、質疑を行ないます。  本日は初めに農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案について質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。湯山勇君。
  3. 湯山勇

    湯山委員 本件について簡単に数点お尋ねいたしたいと思います。  その第一は、政府農業政策が次第に補助金から融資方向へ転換していくということは、数年来言われてきたところでございますが、そういう観点に立てば、融資の面に対する政府の出資なり、あるいは融資ワクというものは相当大幅に増額されなければならないのではないかと思います。ところが、この補助金については、三十六年度についてだけ見れば、それは多少伸びた面もあるかもしれませんけれども、全般的に補助金後退の一途をたどっておる。それから、融資の面で見ましても、三十五年度の財政投融資が五千九百四十一億、その中で農林漁業金融公庫貸し出しワクというものは、計画で見ますと五百二十五億、それから、三十六年度は、財政投融資ワクはずいぶん大きくなって七千二百九十二億、その中でワクとして六百億というようなことにしかなっていないのですが、これは今の補助金から融資へという政策全体の中からながめても、融資ということを非常に重く見ておるというふうには受け取れないような印象を受けるわけですが、その点について農林省としてはどのように考えておられるか、承りたいと思います。
  4. 坂村吉正

    坂村政府委員 御質問の御趣旨通りでございまして、農業近代化を進めていきます場合におきましては、融資の面に相当力を入れなければいけないということで、融資の拡充に努力をいたして参っておるのでございます。農林漁業金融公庫融資につきましては、三十五年度の当初計画は五百十七億でございましたけれども、今年度、三十六年度は六百億という増額をいたしておるのでございまして、これは三十五年度の当初計画に比べまして八十三億円の増加でございます。一面、新しく農業近代化資金という制度を設けようということで、いろいろ御審議をいただいておるのでございまするが、その方に、従来の農林漁業金融公庫融資の対象でございました共同利用施設であるとか、あるいは個人施設であるとか、そういうようなものを相当部分移すことを考えておりますので、そういうものもあわせて考えますると、百億円以上の増加、こういうことになっておるのでございまして、まだまだこれで十分だとは考えておりませんけれども、今までの実績から見ますると、これは相当力を入れて農林漁業金融公庫低利融資ワクを増額しておるというふうに考えておるわけでございます。
  5. 湯山勇

    湯山委員 ただいまの御答弁では絶対額がふえたことだけを御指摘になっておりますけれども、実際は、そういう今おっしゃったものを含めて考えても、政府財政投融資の総ワクというものが昨年の五千九百四十一億から七千二百億をこえるというそのふえ方に比べてみると、今おっしゃった近代化資金の問題、これは若干あとでお尋ねしますけれども、それらを含めて考えても、その割合というものは低下している、こういうことになるので、今局長のおっしゃったような面じゃなくて、全体の政治の中でその問題をどう重視しておるか、こういう点から言えば後退しておるということになるのですが、いかがでしょうか。
  6. 坂村吉正

    坂村政府委員 お説の通り、全体の投融資の総ワクの中でいろいろ考えますと、あるいはその比率におきましては年によって出入りもございます。しかしながら、農業近代化を進めていきますために金融重点を置いて考えていきます場合に、その実情に応じまして、できるだけ農業実態に応じて進める方向に向かって資金が確保されるという方向努力をされればいいのではないかというふうにも考えておるのでございまして、必ずしも全体のワクの中でパーセントを上げるということのみに力を入れてあるいは入れないというふうなやり方はどうかと思うのでございますけれども、ただ、農林漁業金融公庫におきまして百億以上の増加、それから近代化資金といたしまして三百億というものを大体新しく見込んでおるのでございますので、そういたしますると、農業金融の新しい増加部分といいまするのは四百億くらいになるわけでございます。ところが、昨年は大体五百億でございまするから、これはその率から申しましても大体倍近い率になっておるということが言えるのではないかというふうに考えておるのであります。
  7. 湯山勇

    湯山委員 近代化資金の分は、系統金融利子補給をするとかあるいは信用力を増すところの何らかの措置をとることであって、これはまた別の問題だと思います。そうじゃなくて、従来の形で来ているもの、もっと言えば、今度新たにふえた果樹振興とかそういうものを抜いて、従来やっておったものだけについて比べてみると、確かにこれは後退しているという印象が強いので、局長は担当しておられる関係上そういうふうなおっしゃり方をなさいますけれども、たとえて言えば、三十五年度の計画の五百二十五億というものは財政投融資の総ワクの中の八七%、それから今度の五百六十四億実際に出されますものは七七%、一〇%ばかり後退しているというような実情なので、こういう点は、補助金から融資へと言いながら、実は融資面でも後退が見られる。このことは非常に重要な問題じゃないかという感じがいたしますので、今後これはどういうふうにしていかなければならないか。特に補助金融資とをどういうふうにかね合わせていくかという原則的な問題、それから系統資金と今の制度資金の調整をどういう点でとっていくかというような基本的な大きい問題がこれにはあると思います。それらについて今後どういうふうな検討をなさっていくお考えなのか。今出ているものについての追及はこれ以上したところで変わるものではありませんから、今後これについてどういうふうなお考えでいくか。そういう基本的な考えを伺いたいと思います。
  8. 坂村吉正

    坂村政府委員 三十六年度の融資ワクの問題につきましては、いろいろ御意見もあろうかと思いますが、今後とも総額について将来努力をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。農業基本法あるいは今までの農業基本問題調査会方向にも沿いまして、今後農業近代化を進めていくということが具体的に強力に進められて参りました場合におきましては、その過程におきまして当然金融の面ではなかなかまかなえない面もございますし、それから、当然金融でまかなってもいいという面も事業の中にあるのでございます。たとえば農業生産基盤の整備でありまするとか、あるいはそのほか金融という観念ではまかなえない事業も基本的な問題としてあるわけでございますが、そういうようなものは、あくまで、農業の今後の近代化を進めていく場合におきましても、補助金として必要なものは確保いたしまするし、また、経営近代化のために金融の面でまかなっていけるというようなものにつきましては、金融の面でこれは十分充実さしていきたい、かように考えているわけでございますが、その金融の中におきましても、特に農業金融の特性からいたしまして、きわめて長期なもの、あるいはきわめて低利なもの、いわゆる普通の事業体として金融をあずかるというようなところから金を出すのでは、これはなかなかやっていけないというものがあろうかと思うのでございまするので、そういうものにつきましては、農林漁業金融公庫政府資金融資充実さしていきたい。それから、そこまでいかないものでございまして、系統金等を利用いたしまして、そうしてある程度のこれに対する利子補給とか債務保証とかそういうてこ入れをいたしまして、農業金融実態に合うような姿にいたしまして使っていくということによっても間に合う性格のものもございます。その点、今後、今いろいろ御審議をいただいておりまする近代化資金制度を積極的に拡大いたしまして、そうして実行していきたいと思っておるのでございますが、何しろ三十六年度はとにかく最初の年でございますので、一応三百億ということで予定をいたしまして、金利も七分五厘ということで考えておるのでございますけれども、これを今後の実行状況に応じまして十分充実拡大するために努力をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  9. 湯山勇

    湯山委員 ちょっとここで今の問題と離れますけれどもお尋ねいたしておきたいことは、今度の六百億のワクの中で、国民年金積立金について何らかの配慮がなされておるのかどうか、全体のワクとしてきめて、そういう中身についてはきまっていないということなのか、どうなんでしょう。
  10. 坂村吉正

    坂村政府委員 提案理由の説明にもございましたように、六百億の原資といたしましては、政府出資が八十九億でございまして、あとの借入金は資金運用部特別会計簡易生命保険及び郵便年金特別会計からの借り入れということになるのでございます。特に国民年金ということでひもをつけての資金の手当はございません。
  11. 湯山勇

    湯山委員 国民年金積立金運用については別に機関を設けて今後やっていくということになっておるはずですが、国民年金を積み立てる主体となるものはほとんど農業者であると思うわけです。そうすると、もしこれが来年度から発足するとすれば、その分については当然新たな角度から検討がなされなければならないわけで、そうすると、農林漁業金融公庫資金として、これについては相当大きな発言権があると思うわけです。その運用のいろいろな機関においての協議の中で、さらにワクが拡大するということは当然考えられていいことだと思うのですが、これについてはまだきまっていないのですか。
  12. 坂村吉正

    坂村政府委員 御質問通り国民年金積立金がだんだんふえて参りますが、国民年金農村からの金が相当多いと思うわけでございます。これについて、農業部面相当積極的にこれを還元するということを考えていいのじゃないかということを考えておるのでございまして、この運用については、農林省といたしましても、関係当局にいろいろ申し入れをいたしまして、ただいま検討をいたしておる状況でございます。  なお、郵便貯金というようなものも、これはどちらかと言いますと相当部分がやはり農村から出ておる金でございまして、そういうような意味からいたしまして、資金運用部の金というようなものも相当農林省で積極的に使っているのじゃないかという感じを持っておるのでございまして、そういうような意味で、今後も農林漁業金融公庫資金充実につきましては十分努力をいたしたいと考えております。
  13. 湯山勇

    湯山委員 その点についてちょっと希望を申し述べたいと思います。それは、郵便貯金とか簡易保険というものは任意なものですから、貯金をする人、簡易保険に加入する人、その人が資金運用部資金として使うことについて条件をつければ別ですけれども、それはそれで、ある程度お考え通りでいいと思います。しかし、国民年金の場合は、御存じ通り、そういう任意性はないわけですから、そうすると、これについてはそれと別な要求の仕方があるし、この運用については資金運用部資金でなくて別に協議してきめていくということが先般きまったばかりで、三十六年度の四百億近くのものをどうするということも実際にはきまっていないというのが表向きの建前だと思うわけです。そうすると、政府のそれの決定の段階においては、今のような農民が非常にたくさんの負担をしておるという実情から見て、その半分なりあるいは三分の一なり、あるいはもっと多くのものをこの農林漁業金融公庫の方に回すということは、三十六年度のワクの中でもやり得る余地があると思いますので、それについては、一つ、局長はもちろんですが、農林省全体が一体となって、そういうことは農民にとっては非常に大きな関心事ですから、ぜひそういう事実が具体的に現われるような努力を強くお願い申し上げたいと思いますが、どうでしょうか。
  14. 坂村吉正

    坂村政府委員 御趣旨のことはごもっともでございまして、私どもも十分検討して努力をいたしたいと思っております。
  15. 湯山勇

    湯山委員 次に、先ほど近代化資金についてお触れになりましたが、これは法案の中でいろいろお尋ねする面もあると思いますので、大筋に当たるところだけ伺いたいと思います。と申しますのは、共同化資金共同利用施設への融資が今度の計画の中ではかなり後退をしているという印象を受けますので、その分は系統金融の中でやることにして利子補給なり債務保証をしていくのだというようなお話ですけれども、一体、そういうやり方をするのと今の制度金融とは、どちらが重視したことになるわけですか。
  16. 坂村吉正

    坂村政府委員 どちらを重視といいまして、両方に甲乙はつけられないかと思うのでございまするけれども、共同利用施設の今までの公庫からの貸し出し実態等を見ましても、これも十分円滑には動いております。しかし、一面から言いますると、系統相当の金があるのでございまして、この金は系統としては系統共同利用施設にはもっと積極的に使いたいという希望も非常に強いのでございます。そういう希望がありますにもかかわらず、金利が高いとかあるいは信用力がないとかいうようなことからいたしまして、なかなか系統の金が共同利用施設には自分の力では回らなかったという面もございまするので、それが金利もある程度下がり信用の強化もできるということになりますと、公庫ワクをきめて融資をいたしました場合よりも運用いかんによってはむしろ相当積極的に貸付ができるのじゃあるまいか。総ワクにおきましても三百億ということで相当広がっておりますし、その中で運用いたすことになりますので、あるいは公庫でやっておりますのよりもむしろ積極的な融資ができるのじゃないかと私たちは考えておるのでございます。
  17. 湯山勇

    湯山委員 今系統資金活用ということについてお話がありましたが、系統資金活用が、今おっしゃったような点だけじゃなくて、もっといろいろな点で問題を含んでおることは、局長十分御存じ通りだと思います。そこで、お話のようにワクは大きいにしても、利子にしてもそういう利子であるし、期間等についてもこれはいろいろな問題がからんでくると思います。一方におきましては、果樹振興法等で逆にこれよりも安い利子共同施設について融資する。果樹振興法の場合は、二以上ですから、当然共同施設ですね。その共同施設について制度金融が行なわれる。ところが、一般共同施設については、そういうことがなくて、系統金融の方へ回されるということは、私はどうも政策全体として一貫しないものが感じられるわけですが、それは一体どういうわけなのですか。
  18. 坂村吉正

    坂村政府委員 こまかく申し上げますると、共同施設といいましても、実は、系統の金で利子補給をやって融資をしていくということよりも、むしろ政府資金としてやっていった方がいいじゃないかというようなものも性格的にあるのでございまして、そういうようなものにつきましては今後も公庫に残しておく、こういうことを考えておるのでございます。たとえば病院であるとかあるいは発電施設であるとかいうようなものは、むしろ系統の金で出すのよりも政府資金を使う方が建前としていいのじゃないかと考えておるのであります。果樹振興の場合におきましては、果樹振興政策のために特別な目的をもって始めるものでございまして、これらも、融資期間から言いましても長期なものでございまするし、そういう関係と、新しくこのいわゆる果樹振興という建前からいたしまして、とにかく公庫で見ていこう、こういうことを考えておるのでございます。一般の場合におきましては、先ほど申し上げましたように、協同組合におきましても非常に積極的な意欲を持っておるのでございまするし、条件も今までの公庫条件と大体同じで、金利も七分五厘という同じ条件でとにかく貸していこう、それから融資期間も大体十年前後を考えておるのでございますが、そういう意味から言いますれば、近代化資金の方で共同利用施設を見ていきますということが決して融資政策後退ではないというふうに考えておるわけでございます。
  19. 湯山勇

    湯山委員 議論になるようですけれども、融資期間十年前後、それから、果樹振興の場合は二十五年、実際にこれからの農業経営というものは果樹とか畜産重点を置いていくというようなことになって、その中の果樹が今のような扱いを受けていく。    〔委員長退席秋山委員長代理着席〕 しかし、そのワクをこえた同じような形態の果樹園は、今度は系統金融で、高い利子で、期間的にも短くなっていく、こういう事実が実際問題としてはそこに出てくるわけですね。こういうことは、今の果樹振興ワクがきまっておるということにも問題があると思います。けれども、そういうものをだんだんこういうふうにして複雑にしていって、しかも一方が有利で一方が有利でないというような行き方というものは、はたして農政として妥当なものかどうか。実は、同じ村の中でも、一方は今の果樹振興法による融資が受けられる、一方はそのワクをこえておるからというのでこちらでなければ受けられないという、こういうようなことがあって一体いいものかどうか。
  20. 坂村吉正

    坂村政府委員 できるだけ融資制度合理化といいまするか、簡明にいたしまして、複雑な制度にしない方がいいということを考えておるのでございまして、そういう意味からいたしまして、今度のいわゆる近代化資金と申しまするものも、いろいろの制度金融がありましたのを、これを統合いたしまして、大体系統の金を使って政府利子補給をするというような性格のものについては一本でやっていく、その方が農民にとっても農業協同組合にとっても便利であろう、こういうようなことで、できるだけ簡素化しようというふうに考えておるのであります。しかしながら、先ほど申し上げましたように、たとえば果樹振興でありますとか、その他共同利用施設あるいは個人施設におきましても、特殊なそういう目的のために、特にこういう近代的なものあるいは公共性の強いものについて政府資金融資する方がその目的のためには適当であるというようなものについては、やはり一応政府資金考えておりまして、その後いろいろな状況等を十分考えまして、将来の問題といたしましてはどういう工合に扱いますか、実際の状況に応じてこれは考えなければならぬと思いますが、そういうようなことで、特殊な目的のものはとにかく政府資金でやるということを考えておることも、むしろ複雑化するということではございませんで、できるだけ簡明にいたしまするが、特殊なものについては特例を一つ考えてもらうということも必要じゃないかというふうに考えているわけでございます。
  21. 湯山勇

    湯山委員 私が申し上げたい点は、実際は制度金融系統金融とが同じような条件であったとしても、やはり、私は、制度金融の方を農民は選ぶと思います。ところが、今のように、果樹振興というようなことは非常に重要な国策であるということで、制度金融の面については、利子も安いし、期間長期にわたっておる、しかも知事がこれを承認するというので、その計画そのもの相当堅実なものということになってくると思います。ところが、それにはずれたものでぜひやりたいというものは、今度は近代化資金の方へ移っていく。そうすると、金利も高いし、期間も短いし、しかも知事計画を承認したというふうなそういう裏づけも持っていない。つまり、何と言いますか、弱い側に立つわけです。そういうものが今度は系統金融の方へ回されるというようなことになったのでは、私は、結局目的も達しられないし、実際に制度金融活用も行なわれなくなるという懸念があるんじゃないかと思います。そこで、近代化資金ワクにしても、あるいは金利にしても、あるいは貸付条件等にしても、なお検討余地があるのかどうか、今おっしゃったことがもう動かせないものか、今申しましたようないろいろな条件を勘案してなお改められる余地があるものかどうか、これを伺いたいと思います。
  22. 坂村吉正

    坂村政府委員 いろいろ新しい仕事を進めていきます場合に、たとえば果樹振興というような仕事を新しく進めていきまする場合に、全面的に政策を進めていくのがいいか、あるいは、特定振興地帯というふうなものをパイロット的に考えまして、そういうところに相当力を注いでいく、そうして全体がそういうものに動いていくというふうに進めていくのがいいか、いろいろ行き方はあろうと思うのであります。果樹振興法等におきましても、果樹振興地帯という特定の地域をきめまして、そういうところにパイロット的に充実をした政策をやっていく、こういうことで考えておるのでございまして、そういうような目的のためには政府資金のようなもので扱ってもいいんじゃないか、だんだんそういうようなものが動いて参りますると果樹振興が全体に及んで参るというふうになるのではないかと考えておるのでございまして、そういうような意味からいたしまして、あるいは融資条件等についても一般の場合と幾らか条件が違ってもやむを得ないことではないか、あるいはむしろその方が政策の遂行にはいいことではないかと考えられるのではないかと思います。三十六年度の近代化資金の総ワクの三百億というもの、それから金利七分五厘といいまするような条件等につきましては、現在国会で法律の御審議をいただいております段階でございまして、とりあえず当初の年でございまするので、そういう目標で発足をいたしたいというふうに考えております。
  23. 湯山勇

    湯山委員 なお、この問題は、どちらかと言えば、ほんとうに系統資金活用するとすれば、利子補給あるいは信用の保証、そういうようなことから、むしろ制度金融よりもやりやすいようにしていくということが考えられるわけですけれども、今の状態では、それはなかなかむずかしいということであれば、やはり制度金融の方を拡大していって、その方へ一元化していくという方策をとっていただきたいし、その方が実際に効果も上がってくると思いますので、今後の問題として御検討願いたいと思います。  それから、自作農維持創設資金性格が変わったということは、角屋委員によって指摘されましたし、局長もそれをお認めになった御答弁があったわけですが、これは、一体農業基本法の構想との関連もあると思いますけれども、そういう行き方でいってはたして予期した通りの成果があげられるかどうか、それについての見通し、つまり、どういうことをどういうふうにしていこうとするか、その点について少し具体的に御説明を願いたいと思います。
  24. 伊東正義

    ○伊東政府委員 御質問の点でございますが、三十六年から自作農資金運用の方法を若干変えたことは御指摘の通りでございます。一点は、従来は、中庸規模以下というところで、下は三反で線を引いておりますが、上はその地方におきます中庸規模というところまでこれを貸すということにしていたのでございますが、中庸規模というところよりももう少し大きい人でも貸していいんじゃないか、基本法で考えておりますような線に沿いまして、中庸だけじゃなくてその線をはずしていいんじゃないかということで運用いたしております。これは現在は災害等の場合はそういう運用をいたしておりますが、一般的にそういうふうにいたしましたことと、もう一つは、予算のワクで一応取得資金にかなり重点を置きまして考えております。これは金額を一応百億ということにいたしておりますが、最終的に百億ではございません。今後いろいろ実情によってこのくらいの額がいいということにはしたいと思っておりますが、取得ということにかなり重点を置いて考えているという時点でございます。ただ、これで将来ずっと農業基本法考えておるような所期の目的を達するかどうかということにつきましては、三十六年が初めてでございますので、その運用の方法、運用の状態等を見てみまして、将来どういうふうにしたらいいかということは別途考えていったらいいんじゃないかというふうに考えております。
  25. 湯山勇

    湯山委員 この問題は非常にむずかしい問題だし、問題が多いと思いますが、他の委員の方からまた詳しくお尋ねがあると思いますので、その程度にして、次に、従来貸付金でこげつきになっている分があったと思います。復金から引き継いだ当時も相当額あったと聞いておりますが、その後そういうこげつきについてはどのようになっておるでしょうか。あるいは回収の状態等はどのようになっておるでしょうか。と申しますのは、特に漁村等におきましては、次第に漁場が狭められていくし、漁が少なくなっていく、そこで、融資を受けていろいろな設備をする、網を作る、しかし、漁がないからそのままになっておって、魚が来たときにその網をおろそうと思っても、もう網が使えないというようなことが続いて、結局、漁業者は、一般失対事業を申請して、その失対事業で働いて生活しているというような事例も相当あります。そういうところではとうてい当時の債務を返済することはできない状態になっております。そういう例を私も幾つか知っております。その後一体どういうふうになっていっておるか、その経緯を承りたいと思うわけです。
  26. 清井正

    ○清井説明員 私からお答え申し上げますが、延滞関係においては、私ども、最近、おそらく今年度末現在で貸付残高が二千億くらにいなるのじゃないかと想定いたしておるのであります。公庫といたしましても、貸付をいたしました債権のその後の管理について相当力を入れて参っておるわけであります。ただいまの延滞の状況は、延滞の元利合計で四十一億になっております。貸付金残高の割合にいたしますと約一・五七%が延滞になっておるわけであります。もっとも、この延滞の中には、六カ月未満、少しでも延滞になりましたらこの統計に入って参りますが、えてしてこの期限を忘れてしまってうっかりしておったというような事例もあります。あるいは公庫側で事務的におくれているために入った事例もありますが、しかし、ほんとうの延滞はどのくらいあるかということは精査してみなければならぬと思いますけれども、そういうものも含めて全体の延滞がそういうことになっておるということを御承知願いたいと思います。これは全体でございます。  なお、ただいま御指摘のありました承継した債権でございます。承継した債権につきましては、特に承継時の残高が三十三億でありましたがその後二十三億回収をいたしております。消却をいたしましたものが二億九千万円ばかりございますので、ただいま承継いたしたものについての残高が六億八千九百万円になっておるわけでございます。この中には当然今後回収されるものも入っておるのでございますが、復金から引き継ぎました債権につきましては特に問題が多うございまして、復金から引き継ぎましたもののうち特に漁船関係相当多うございまして、ただいま残高が三億二千八百万円くらいございます。おそらく三億二千八百万円のうち大部分と言っていいほど延滞をしているのではないかと思っております。この漁船だけの関係ではちょっとまだ統計がございませんのではっきり申し上げられませんが、承継全体で六五%延滞しております。おそらくそのうち漁船の延滞が相当部分を占めておる、こういうふうに思っております。  承継いたしましたものについてはさようでございますけれども、一般の延滞のものにつきましても、やはり漁業関係あるいは林業関係、土地改良関係相当延滞が目立っております。しかし、これは個々に当たりますと、ことに農業関係は災害等に途中であいますとどうしても延滞が起こることは当然であります。漁に関しましても、とれるべきはずの魚が不漁でとれなかったということになりますれば、本人がいかに努力してもとれなかったということになりますと、やはり私どもの方でも多少条件を緩和してやらなければならぬというような場合もございますから、今後条件を個々に相談いたしまして多少緩和いたすというような措置をとりますれば、この延滞も相当解消するのではないかというふうに考えておるのでありまして、ただいまは一%台延滞がございますけれども、今後これは私ども努力をいたしまして、債務者にとっても都合のいいように、われわれ債権者の方にとっても都合のいいように、これは個々に努力をいたして債権を確保していきたいと思います。ただ、お話のありました承継分のうちの特に漁船でございますが、これはほとんど回収がむずかしい債権ばかりでございますので、なかなかむずかしい状況でございます。今後努力いたしまするけれども、やむを得ない分については今後はあるいは消却していく方向へ向かわざるを得ないものも中には出て参ると思います。努力はいたしますけれども、なかなかこれはむずかしい債権であるということを御承知おき願いたいと思います。
  27. 湯山勇

    湯山委員 そういうものについては、実際はその当事者の責任もありますけれども、李ラインその他で漁場が狭められてきた、そういうような政治に遠因をしたものもないとは言えないわけです。ですから、今総裁がおっしゃったように、一般の債務の取り立てというような形でなくて、制度金融性格から考えてみれば、そういうものについて考慮の余地のあるものについては、やはりかなり幅のある考え方が望ましいんじゃないかと思います。実際に幾ら返せと言ったって返せないような状態になっておるという実情なので、そういう御配慮をぜひ要望したいと思うわけです。だからといって、ルーズにしたのではしようのないことですから、その辺の緩急よろしきを得て、一つ実情に合った取り扱いをしていただくように、これはお願いをしておきたいと思います。  それと関連して、今度の公庫予算の中で水産業関係が割合に重く見られてないんじゃないか、軽視されているんじゃないかというような印象を受けるわけです。漁港等にいたしましても、三十五年度が三億九千万、三十六年度も三億九千万、基本施設だけから言えば、三十五年度が三億一千二百万、三十六年度は一千万減って三億二百万といったようなふうに、漁業関係が、今のようなこげつきなどがある関係かどうなのか、あるいは融資対象としての力が弱いという関係なのか、どうも後退しておるような印象を受けるわけですが、その点はいかがでしょうか。
  28. 坂村吉正

    坂村政府委員 水産業関係融資につきましては、十分水産庁とも連絡相談をいたしまして融資計画を立てておるわけでございますが、漁港は昨年の三億九千というワクで一応据え置いておりますけれども、漁船につきましては、毎年需要が非常に多いのでございます。そういう関係からいたしまして、昨年は三十八億でございましたが、今年は四十四億ということで六億の増加をいたしておるわけでございまして、そういう点も水産業の振興のために十分力を入れておるというふうに御理解をいただけるのじゃないかというふうに考えております。  また、いわゆる農山漁村建設特別対策というような中におきましては、沿岸漁業振興のための融資の中で、あるいはノリの増殖であるとか、そういうような関係のものをいろいろ考えようというようなことで考えておるわけでございまして、なお、昨日も御答弁申し上げました通り、沿岸漁業振興というようなものがもう少し具体化して参りました場合におきましては、この仕事の中で政府資金農林漁業金融公庫からめんどうを見なければならぬというようなものがありますれば、今後の問題としては水産業の振興のために十分努力をいたしたいというふうに考えております。
  29. 湯山勇

    湯山委員 今後の問題としてお考えいただく点はぜひそうお願いしたいと思うのですが、特に、整備計画に出ている漁港については、大体三十七年度に完了の予定ということだったと思うのです。ところが、漁港の中で指定漁港であって計画に出ていない漁港が相当数あるわけで、それについては、その計画の中で見ますと、非補助事業となっている分、その分は、補助がなくて、融資だけで全額持ってくれるかというと、そうじゃなくて、融資は八割程度しかない。どうしても地元負担が伴いますから、それらの漁港はだんだん仕事あとへ回っていく。しかもその融資の金額も五千万程度で非常に少ない。それから、漁港の非補助事業の災害復旧というようなものにつきましても、実際は、御存じ通り、海岸法が海岸区分を実にいいかげんにしてコンパスを当てて引いた関係で、ほんとうの漁港じゃなくて、農地の海岸になっている部分、当然建設省で見なければならない部分、そういうものまでも含めて漁港の海岸というようなことになっておりますので、実際に漁港そのものに融資される分というのは、この中できわめて少ない額にしかならない。私は、こういうものについては、もっと実態に即して漁港そのものに対して率も高めていくし額もふやしていくという措置がとられなければ、現在も漁港整備は当初計画よりおくれておりますけれども、ますますおくれていくのじゃないか、それがおくれていくことで漁村を一そう窮乏化さしていくという懸念があるのじゃないかと思うのですが、その点についてのお考えを伺いたいと思います。
  30. 清井正

    ○清井説明員 私からお答え申し上げますが、ただいま御指摘の通り、基本施設の中の非補助事業でございますが、これは昨年度と同様一億の額で融資をいたすわけでございます。御指摘にもありました通り、漁港の公庫に対する融資の要請というのは旺盛でないのであります。大体ワクは消化いたしますけれども、ワク以上に要望がない。もっとも、ないというのは、今御指摘のようなことがあるから要望がないのだというふうな御意見だと思いますけれども、現実におきましてはあまり要望がないわけであります。そこで、非補助と申しましても、これは、御指摘の通り、指定漁業の中の補助金をもらえない小さな漁港についての融資ということでありますから、当該地域におきまする漁村の振興のためには、むしろ非補助事業も十分見まして、私の立場からも十分融資考えるということによって、基本施設の拡充による漁村振興ということも非常に大切なことでございますから、私どもといたしましてもできるだけ今後努力をいたして貸付をしていかなければならぬと考えておりますけれども、現実といたしましては、一億のワクがやっとこなし切れるかどうかという程度になっているわけであります。個々にいろいろ各地方からのお申し出によりまして、私どもといたしましては、非補助事業という性格と漁港の実態に即しまして、見られる範囲のものをできるだけ広く融資の対象に見てあげようという取り扱いをしていく、こういうふうに考えております。
  31. 湯山勇

    湯山委員 最後にお尋ねしたい点は、漁船については、今局長の御答弁にありました通り、全体のワクとしては幾らかふえております。しかし、実際は、かなり大型のものについて多額の融資がなされておるので、非常に小さいものについてはなかなか及ばない。実は、沿岸整備という中での融資は来年度からなくなるはずだったのが、希望が強くて残ったというふうに承っておりますけれども、実はこれよりももっと小さい分で融資のほしいのは相当たくさんあると思います。本来制度金融性格から考えてみて、大きいサケ・マスの船団を組むようなものとか、そういう大きなところではなくて、むしろ沿岸の零細漁民に対する融資というようなことがもっと重視されなければならぬのではないかと思うわけですが、その点についてはいかがですか。
  32. 坂村吉正

    坂村政府委員 考え方はおっしゃる通りでありまして、沿岸の零細なものまでもこの農林漁業金融公庫としましては対象にすることを大体念願といいますか目標といたしましてやっておるわけであります。必ずしも大きなものを目標にしておるというのではございません。そういうようなことで、そういう考え方のもとに公庫をいろいろ運用いたしていただいております。先ほど申し上げましたように、漁船につきましての需要は非常に毎年多いのであります。そこで、一応三十六年度におきまして四十四億という計画を組んでおるわけでありますけれども、これは毎年の例でございますが、漁船に需要が多くてとてもまかない切れないという場合におきましては、三十五年度におきましても、三十八億という計画を三十八億七千三百万円ということで、一応七千三百万円増ということで計画を変更いたしまして、そして需要に応ずるように年度の後半におきまして修正をいたしておるようなわけでありまして、実情に応じまして漁船の需要増をまかなえるようにはかっていきたいと思います。
  33. 湯山勇

    湯山委員 そこで、要望としては、大体、小型の漁船というのは、信用力も小さいし、実際に自己資金の手持ちもないわけですから、やはりこういうものにたよっていくということしかないと思います。聞くところによりますと、たとえば何トン以上でなければならない、本人は二トンぐらいなものを作りたいというような場合にも、五トン以上でなければためだ、あるいは三トン以上でなければだめだというような、かなりきびしい指導をしておる面もあるように聞いております。そういうことでなくて、これについては、今局長の御答弁の通り、実際困っておるものを救っていくんだというような観点から、やはり希望するような船が作れるようにぜひ御配慮願いたいと思いますのと、確かに小型の漁船に対する融資は非常に実態が窮屈です。そこで、今度今お話しのようにそのワクを広げるということであれば、ぜひそういう小型の漁船に対するワクを広げるような措置を御配慮願いたいと思います。  時間もありませんので質問は以上でやめますが、今お願い申し上げた点についての御答弁を承りたいと思います。
  34. 坂村吉正

    坂村政府委員 漁船に対する融資は、公庫におきましても、水産庁の水産政策に沿うようにこれは大体融資をやっておるのでございまして、水産庁の水産漁業政策に沿いますように、平仄を合わせまして、そして実際の運用はやっていくというふうなことに相なっておるのでございます。そういう意味からいたしまして、十分一つ御要望の御趣旨を取り入れたような運用ができますように、私どもも一つ心がけていきたいと思っております。
  35. 秋山利恭

    秋山委員長代理 北山愛郎君。
  36. 北山愛郎

    ○北山委員 私は、公庫法の改正に関連しまして、二、三私の疑問とする点をお伺いをしたいと思うのであります。  第一は、予算委員会等でも問題になりました本年度の自作農維持創設資金性格の変更であります。これについて、従来の維持資金中心の性格を、取得資金の方に重点を置くというような性格の変更、これはいろいろな資料によって明らかにされておるわけでありますが、国会の答弁の中では必ずしも明瞭ではございません。そこで、われわれの資料によりますと、本年度の自作農資金の百六十億円の内訳は、取得資金が百億円、それから維持資金が六十億、こういうふうに了解しておるのですが、それでいいですか。
  37. 伊東正義

    ○伊東政府委員 予算をやりましたときの積算の基礎はその通りでございます。ただ、運用にあたりましてその通りの金額でいくかどうかということにつきましては、まだその通りの金額で必ず実施するということでなくて、それは一応のめどでございまして、今後どのくらいが実際維持資金、取得資金にいくかということは、今後三十六年度の実施の過程でもう少し検討するということになっております。
  38. 北山愛郎

    ○北山委員 昨年度の取得資金と維持資金の割合は、当初の計画ではどういうふうになっておりましたか。
  39. 伊東正義

    ○伊東政府委員 昨年の数字、今ちょっと調べましてお答え申し上げますが、実績の推定を申し上げますと、維持一般では大体三十五年度が三十二億くらいであります。そのほかに、災害とか北海道の負債整理がございますが、維持一般では三十二億、取得では四十二億くらいの実績になっております。従いまして、維持一般というのは、そのほかに北海道の負債整理でありますとか災害とかはもちろんでございます。
  40. 北山愛郎

    ○北山委員 われわれの聞いておるところでは、三十五年度の内訳、当初の計画、それは維持資金の方が八十億で、取得資金の方が五十億、合わせて百三十億、そういうふうな計画をもって出発した、こういうふうに聞いておるのですが、それは間違いありませんか。
  41. 伊東正義

    ○伊東政府委員 数字は今調べまして正確にお答えいたします。
  42. 北山愛郎

    ○北山委員 三十五年度の計画も、当初は、数字は多少違うとしても、大半が、いわゆる七割くらいが維持資金であり、三割くらいが取得資金、こういう一つの方針に従ってスタートをした。ことしは、今後の出入りはあるにしても、明らかに、取得資金の方が七、維持資金の方が三というふうに、逆転をしておる。これは、公庫の方から資料としていただいた中にも、今後は、今まで取得資金の方が三割、維持資金の方にウエートが置かれておったが、これを逆に取得資金の方にウエートを置いて七、三くらいにするのだ、そういうふうな言葉があるわけです。従って、今後百億と六十億の実際の実施というものはいろいろと違ってくるかもしれぬが、しかし、少なくとも方針として取得資金の方にウエートを置いている、従って自作農維持創設資金性格が変わってきておるのだということだけは間違いないと思うのですが、どうですか。
  43. 伊東正義

    ○伊東政府委員 方針としまして、そういう運用をしようじゃないかと考えておることはその通りでございます。
  44. 北山愛郎

    ○北山委員 昨年の実績から見ても、すでに実績の上では維持資金の方が少ない。三十二億というお話だった。それから、取得資金の方がむしろ四十二億、計画とは逆に取得資金の方にウエートが置かれておる。昨年、三十五年度から、実際の運営にあたっては、もう自作農維持創設資金というものは維持資金の方にウエートを置かないで、新しく農地を取得するとかそういうところにウエートを置いているのだ、こういう運営がなされてきたわけでありますが、それが、さらに明らかに、昭和三十六年度は、取得資金、いわゆる経営拡大の資金性格を自作農維持創設資金というものは持ってきた。これは、すなわち、今度の政府農業基本法の自立農家育成の方針に従って、この自作農維持創設資金というものが取得資金にウエートを置いている、こう考えて間違いない、そうだろうと思うのですが、どうですか。
  45. 伊東正義

    ○伊東政府委員 そういう方向で予算を考えたわけでございます。先ほどの三十五年度でございますが、先生おっしゃいましたように、取得資金の方は百三十億のうちで四十一億くらいでありますから、率は、維持資金の方は、これは災害もみな含めてでありますが、よけいになっていることは確かでございます。
  46. 北山愛郎

    ○北山委員 そうしますと、今まで予算委員会あるいは分科会等で農林大臣などもこの点はきわめてあいまいに説明しておる。自作農維持創設資金が取得資金の方にウエートが置かれて、これはすなわち、大きな農家が農地を取得していくということを助成推進していくというところに性格が変更したのじゃないかということを質問されたのに対して、今後いろいろ検討するのだということであいまいにしているのですが、少なくとも、方針としては、明らかに、自作農維持創設資金というものは、維持ではなくて、大きな農家の自立経営を育成するために、その農地を購入する資金重点が置かれてきた。むしろ比較的小さな農家はあまり相手にしない、方針としてそういう方向にいくのじゃないかと思うのですが、一体今まで自作農維持資金あるいは取得資金等に対する実際の需要はどんなものでしょう。特に、維持資金について、どういう現実の需要があって、これに対してどの程度要請に応じているか、この実態を明らかにしていただきたいと思います。
  47. 伊東正義

    ○伊東政府委員 先生のおっしゃいました中で、第一点の、維持とかそういうものにはあまり使わなくなるのじゃないかという御意見でございますが、三十五年度に使いました維持資金、先ほど一般の維持資金三十二億ということを申し上げたのでございますが、三十六年度におきましても、少なくとも維持資金は前年を割らぬという運営はいたそうと思っております。そういうことで、維持資金にはあまり貸さぬというようなことではなくて、三十五年度に使いましたものに対しましては、これは割らぬで維持資金運用していくという考えでございます。  第二点の、幾らぐらいの要望かということでございますが、たとえば三十五年度におきましては、開拓とか特殊な問題は別にいたしまして、維持一般等につきましては、大体配っておりますものの倍額ぐらいの要望はございます。
  48. 北山愛郎

    ○北山委員 大体明らかになった点は、政府農業基本法の方針に従って、今年度から自作農維持創設資金性格というものは、自立経営、比較的大きな経営の自立の見込みのあるような農家が農地を買うという方向によけい金を貸していく、そして、小さな農家がその生活を維持する、あるいは農地を保持していく、農業経営を維持していくという方にはあまり重点を置かない、こういう方針であるという点は、政務次官、確認していいと思うのですが、どうですか。
  49. 井原岸高

    ○井原政府委員 自作農維持創設資金融通法の中に最初からうたってありますように、農地の取得、並びに維持を対象にした法律があるわけでございまして、その面では法の精神が別に変わっておらないわけであります。ただ、おっしゃるような、自立経営をやらすためには反別をふやすというような、経営の立場ではむろんそうなるわけでありますが、さりとて、小農が困っておるのをほうっておくわけではなく、政治はどこまでも愛情でございまして、ほんとうに暗い谷間で困っておるものこそ困らせないようにすることがわれわれ政治の目標でございます。さような観点から申しまして、幾ら基本法が通りましても、今言う小農が困って維持ができないというのを、その貸す金をどこかへやってしまえとか、本人が不得心ながらものを売るような方向に向けるということは考えておりません。従って、目標はどこまでも維持と農地の取得のそれぞれの考え方に対しまして資金を流していくというふうに向けたいと存じます。
  50. 北山愛郎

    ○北山委員 自創資金制度目的の中には維持もあれば取得もある。これは言われなくても明らかなところであります。問題はそのウエートのとり方なんで、三十五年度は維持資金の方にウエートをかけて、そして取得資金が少なかったのですが、今度は逆転しているということは、やはり、取得資金の方に経営拡大資金としての性格を持たせるように、法律を直さなくても運営上そういう方向に持っていく方針だということだけははっきりしておると思いますが……。
  51. 伊東正義

    ○伊東政府委員 先ほど申し上げましたように一応ワクは百億、六十億ということに作っております。ただ、これは、実施にあたりまして現実にやったものが一体どれぐらいになるかということは、先ほど申し上げましたように、実際のワクはこれからきまることになります。これから予算が通りますれば予算の配付をいたすわけでございます。そのときにも一応のめどとして取得と維持は分けますが、必要があればそれをまた協議をして変えていくというような弾力的な運営もある程度考えて、実際百億、六十億をそのままにフィックスはしないで運営をするというつもりであります。
  52. 北山愛郎

    ○北山委員 それで、取得資金が百億という計画なわけですが、百億の農地を一体どこから取得するのか、百億という計算がどこから出てきて、その対象の農地はどこから出てくるのか、これをお伺いしたい。
  53. 伊東正義

    ○伊東政府委員 今までの農地の移動の実績が大体九万町歩くらいになっております。われわれが積算いたしましたときにはそういうものを実は頭に置いたわけでございます。ただ、先生のおっしゃいますように、その農地はどこから出てくるかということでございますが、これは既存の農地の中の動きというものを頭に置いておりますので、新しく造成してどうという問題と離れまして、今までの趨勢から一応計算したわけでございます。
  54. 北山愛郎

    ○北山委員 農地の移動が一年に十万町歩くらいあるというわけですね。そうすると、自創資金の対象にならないというか、それ以外の農地の移動もあるわけだから、少なくとも、政府としては、一年に十万町歩、あるいはそれ以上の農地が今後移動する、十年であれば百万町歩ですね、そういうことを予定してやっている、こういうふうに考えられるのですが、その点は何か計画があるのですか。
  55. 伊東正義

    ○伊東政府委員 私の方で毎年の農地の移動は幾らという計画を十年間立ててやったわけじゃございません。まだそういう計画は持っておりません。ただ、所得倍増をやりましたときの、十年後に大体二町五反の人が百万戸でどうとかという積算はいたしておりますが、自作農資金を算定いたします場合に、十年後に農地の移動が幾らで、それによってどういう役割を持つということまでは、はっきりした計画を持っておりません。
  56. 北山愛郎

    ○北山委員 それから、自創資金について、予算委員会の会議録を見ると、大蔵省と何か検討しているのだというような話があったわけです。それは、大蔵省の意見がどうで、どういうポイントで検討しているのか、お伺いしたい。
  57. 伊東正義

    ○伊東政府委員 予算委員会で御質問がありましたのは、あまり小さいものに貸しちゃいかぬというようなことを大蔵省との間で話をしているのじゃないか、あるいは百億と六十億をフィックスして動かさぬというようなことを相談しているのじゃないかというような点でありますが、私ども、今申し上げました点につきましては、百億、六十億というようにフィックスしたわけではございませんで、これはもう少し運用で経過を見ていこうと思っております。また、小さい層にあまり貸すなというような意見があったことは確かでございますが、私どもは、特に三十六年度から強く運用するというような考えは持っておりません。それから、一つこういう問題があったわけでございます。それは、自作農資金ワクというものが毎年かなりふえている、その場合に信連あたりで二割くらいは危険負担をしてほしいということを実は大蔵省から強く要望されまして、予算委員会当時はまだその問題については決定はいたしておりませんでしたが、私どもとしましては、信連がこれを保証するということになりますと、この制度は今は県が認定することになっておりますのが相当変わってくるかもしれませんし、あるいは農業委員会が営農改善計画を作っていくということもございまして、こういう問題にもみな触れてきますので、これは困ると思いまして、大蔵省等から最も強く要望のありました信連が二割危険負担をするということにつきましては、そういうことではなくて従来通りやっていくということになっております。
  58. 北山愛郎

    ○北山委員 今共同化の資金についても運営上何か考えられているというようなお話がありましたが、共同化資金というのは今度の農林省の農林金融政策の中でははっきりと出ておらないと思うのです。たしか去年の十一月ころですか、農林省としては共同化を促進ずる資金という金融制度の案を持って大蔵省に交渉した、こういうふうに聞いているのですが、その点はどういう経過でどうなったのですか。
  59. 坂村吉正

    坂村政府委員 協業化の問題につきましては、農業基本法の構造改善政策等におきましても協業化というものを相当大きく取り上げておるのでありまして、これに対します資金の対策は、もちろん、共同利用施設、こういうものに関する限りにおきましては公庫等でもあるのでございますけれども、大体今御審議をいただいております近代化資金におきまして協業化というものを大きく取り上げていったらどうかというふうに考えておるわけであります。そこで、近代化資金融資にあたりましては、協業化のために現在考えておりますのは、一共同体に対して大体目標といたしましては一千万円ぐらいの限度で融資ができるようなことにしていったらどうかというふうに考えておるわけでございます。金利は、御承知の通り、七分五厘ということであります。
  60. 北山愛郎

    ○北山委員 そうしますと、去年の十一月、この資料にあるわけなのですが、農林省農業生産経営の共同化育成のために農業協業促進資金制度を特に一つの制度としてまとめて、そうして、農業生産法人に対して公庫の方から長期低利資金を融通していろいろな施設などの資金に貸し付ける、そうして十年計画で一万六千の農業法人を育成する、こういうような計画を持って大蔵省に要求した、こうあるわけです。これはどうしてだめだったのですか。
  61. 坂村吉正

    坂村政府委員 その資料がどういう資料かは私は存じませんけれども、協業化のための特別な資金制度を作ろうということを一度考えたことはございます。しかし、その後いろいろ検討をいたしまして、公庫以外のいわゆる制度金融を一本にいたしましてこれを強化していこう、こういう考え方に切りかえましたものですから、そこで、協業化資金と申しましても、内容におきましては、今まで公庫で貸しておりました共同利用施設であるとか、あるいは主務大臣指定施設というようなものが大体中心になるわけでございますので、そういうようなものを近代化資金の方では十分充実をいたしまして強化して、そうして公庫よりももっと濶達な姿で系統の金が使っていける方が、協業化の性格から言いましても運用上は非常に都合いいのじゃあるまいか、こういうことに考えまして、近代化資金の方でこれを考えていこうというふうに考え方を切りかえたわけであります。
  62. 北山愛郎

    ○北山委員 ある意味からすれば農業の協業化の促進ではなくて助長というふうに協業化の方針というものが政府の基本法の案では後退したということに照応して、一般近代化資金の中でいわゆる共同化の資金はまかなっていく、こういうわけですが、私がこの資料で見たような、農業生産法人の育成のための、しかも公庫制度金融の方から長期低利資金を融通するという考え方は、われわれも、非常にけっこうな制度じゃないか、こう思われるわけです。われわれとしても同じような考えを持っておるのですが、なお、これに関連をして、前に福田政務調査会長の談話ですが、農林中金その他の余裕金を公庫に吸い上げて、利子補給をして、低利長期資金にこれを直して農村に還元するのだという構想が新聞に出たことがございますが、そういう考え方はなかったのかどうか。そういう考え方こそ正しい道じゃないかと私は思います。そういう考え方は行方不明になってしまったのですが、どういうわけでそういう考え方がなくなってしまったのか。
  63. 坂村吉正

    坂村政府委員 いろいろ金融制度検討しております段階で、問題といたしましては、現在系統相当金があるのじゃないか、系統金融機関、いわゆる農協の系統相当の金があるのじゃないか、これを公庫に持っていって、そうして利子補給をやって公庫資金として貸したらいいじゃないか、こういう考え方も一部ございました。そうして、そういう問題につきましても十分いろいろ検討をいたしたことは事実でございます。しかし、いろいろ根本的に考えてみますと、そういうことをいたしますことが、農業協同組合金融事業信用事業にはたしてプラスになるかマイナスになるか、そういう点も十分考えてみなければならぬと思うのでございます。農業協同組合というものが農民の相互金融機関として今後も相当働いていきますためには、農業協同組合をもっと充実合理化をいたしまして、これの相互金融農業実情に合いますような姿で農民に還元されるということが筋としては本筋ではあるまいか、こういうことに考えておるのでありまして、そこで、近代化資金という姿で農協の金を農協の金として農民に還元していく、こういうことを少し積極的に進めていこうじゃないか、こういう考え方になったわけであります。従いまして、公庫から融資をいたします政府資金につきましては、先ほど申し上げましたように、政府一般会計あるいは産業投資特別会計の出資を初めとして、その他の政府資金の借り入れによって十分今後の資金の原資をふやしていく、そうして低利の金を貸していくというようなことで充実をはかっていったらどうかというふうに考え方を整理をしたわけであります。
  64. 北山愛郎

    ○北山委員 農協などの系統資金活用しなければならぬということは当然の話のわけです。これは従来も変わりはないわけです。ただ、それを近代化資金としてやったということは、一つの目的のもとに条件をつけて、その場合には七分五厘というふうに低利にした、それだけの意味はあると思う。ただ、問題は、系統資金農業金融に還元されないでよそに流れていっている、いわゆる余裕金がある、こういう問題については何らの解決もなされておらないことです。私は、福田構想というものは、農林中金なり信連に余裕金があって、それがよその産業に流れていく、これを制度金融の中に吸い上げて還元していくというところに大きな意味があると思う。活用の形は、活用のしやすいように系統金融というものをやる必要は当然あるし、また近代化資金というものはそれをねらっておると思うのですが、しかし、それだけではなくて、やはり余裕金というものは相当あるのですから、その余裕金を農業投資に持っていってこれを活用するという点においては後退しているのじゃないか。どこに一体そういう点が考えられるか。これは私が言うまでもなくいろいろ従来問題になった点なんで、それについてはどういう考慮が払われておるのか、それをお伺いしたい。
  65. 坂村吉正

    坂村政府委員 現在までに農協の各段階におきまして相当余裕金がございます。これは、実態を調べてみますると、いわゆる末端の農協へ預かっている金を末端の農協がほんとうに農民貸し出しをしていない、こういうことが全体としては言えると思うのであります。そこで、貸し出しをしないで信連に預けておく、それから信連はこれを積極的に貸し出しをしないで農林中金に持っていく、大ざっぱに申し上げるとそういうような形で、貯金の吸収はやっておりまするけれども、貸し出しについては今の農協はそう積極的な意欲を持っていないし、実態もそこまでいっていないのじゃないかということが問題なのでございまして、そういう結果からいたしまして、預金が非常に上部団体にたまってくる、こういうことがあろうと思うのです。従いまして、問題は、農業協同組合がほんとうに金融機関として農業融資をしていく、こういう体制を作らなければいけないのでございまして、ほんとうに末端で貸し出しを十分やって参ることができるようになれば、おそらく今のような上部段階の余裕金というものは出てこないのじゃないかと思います。そこで、今までの実態がそういうことでございますので、近代化資金というような制度を設けまして、農協が積極的に条件がよくなって貸し出しをしていく、そういう体制を作りまして、末端で貸し出すことが全体のコストも下がることでありますので、そういう方向に持っていくことが現在の余裕金の問題を解消する一番本筋の考え方ではあるまいかというふうに考えておるわけでございます。
  66. 北山愛郎

    ○北山委員 そういうお話のような方法で円滑にいくなら、制度金融もいわば縮小してもいいということになるわけです。なぜ一体自創資金なりあるいは農林漁業金融公庫等の制度金融の金が必要かということは、普通のベースではなかなか貯金はあるけれどもその金は活用されないというネックがあると私は思うのです。そういう際も近代化資金によってもし従来よりも運用がスムーズにいくということがあるとするならば、これはまた別に近代化資金のところでいろいろと論議をしたいと思うのであります。しかし、現実には相当額の余裕金が農林中金とそれから信連等にあって、それが銀行を通じて大企業に流れておる。一体農林中金と信連の余裕金のいわゆる系統外に流れておる金というものは、どういうところへ流れているのか、その実態はどうなっているのか、これを一つ、資料では金額しか出ておりませんが、これを明らかにしてもらいたいと思うのです。この資料を見ると、運用資金のところで、預金と貸出金と有価証券とその他、こういうことになっているのです。この内訳、これはどういうところに流れているのか。農林中金についても同じような説明をしていただきたいと思うのです。
  67. 坂村吉正

    坂村政府委員 ただいまの余裕金がありますことは、先ほど申し上げましたような各段階でほんとうの貸し出しをしてないということが原因であろうと思うのでございます。そういう関係で外部に対しても余裕金の運用をやっておる、こういう実態でございます。  そこで、信連の場合には、これはいわゆる農業協同組合法の員外利用の制限がございますので、大体県内の関連産業であるとか、あるいは場合によったらその他の員外である団体等にも出ておるかとも思いますけれども、これは五分の一の員外利用の制限の内部で動いておるわけでございます。  それから、農林中金の場合におきましては、これは、中金まで上がって参りましたものは、もちろん中金といたしましては全国の資金の足りないところに中金から融通をいたしまして信連の資金繰りをつけてやる、こういうことが一つの大きな仕事でございますけれども、現在は中金に資金繰りを仰ぐような信連が非常に少なくなっておるわけでございます。そういう関係から、大きな動きといたしましては、農業面から金を集め、たとえば林とか漁とか、そういう方向相当中金から金が流れていく、そういうようなものが一つ。それから、もう一つ、完全な員外者といたしましては、いわゆる肥料であるとか乳業であるとか飼料であるとか、そういう関連産業に対しまして相当流れております。
  68. 北山愛郎

    ○北山委員 私の聞いておるのはその内容で、これは相当調査もあると思うのですが、それだけの抽象的な答弁じゃちょっと困るのです。というのは、少しばかりの金ではないわけですから、たとえば信連にしても、昭和三十五年十二月現在のあれを見ると、この運用については、預金が二千八百十五億、貸出金が千三百八十億、有価証券が千五十四億、その他となって千三百五十七億、こうあるわけです。六月についてもその他というのが千億近くあるわけです。それから、農林中金にしても、運用資金の中のその他というのが、昨年の十二月で千百六十七億と、千億前後の金がどこへ運用されているのかはっきりしませんが、これが一体どこへ流れているのか、その調査があれば一つ伺いたい。
  69. 坂村吉正

    坂村政府委員 信連の場合におきましてはその貸出先別のものはただいま手元にございませんけれども、農林中金の場合におきましては、関連産業貸し出しの大体短期のものを見ますと、用途別は、肥料、農用資材、アルコール、澱粉あめ、農産加工、それから繊維、青果物、畜産、水産、林業、生糸保管会社というようなものが大体貸出先になっております。全体を見まして、いわゆる関連産業に対して貸し出しておる、こういうことであります。これが員外貸し出しになっておるわけでございます。一応そういうことであります。
  70. 北山愛郎

    ○北山委員 もしその内訳があれば、別に資料としていただきたいと思うのです。  それから、これだけの余裕金が出てくるわけですが、一年のうちに、需要期と、それから預金のふえるときと減るときとあるでしょうが、一体年々信連なりあるいは中金で長期資金として使えるようないわゆる増加額というか蓄積資金になるものはどの程度に見たらいいか、二百億あるか三百億あるか、そういう点を伺いたい。
  71. 坂村吉正

    坂村政府委員 現在、信連の段階で見ますと、信連におきます預金というものは四十億くらいになっておるわけ  でございます。その一年々々の伸びは、年によっては違いまするが、三十四年から三十五年にかけての伸び等を見ますると、一千億くらいになっておるわけであります。そういうような伸びの状況でございまするが、今後はたしてその通りに伸びがいくかどうか、それも問題でございます。ただ、その中でほんとうに長期の金として使えるものというようなものを考えてみますと、いろいろ信連の運用の問題等も考えてみなければいかぬのでございまして、その中に農協のいわゆる生命共済、建物共済等の共済の責任準備金がございます。これがここ数年非常に伸びておりまして、最近の状況では大体五百億をこえておるというような状況でございます。この金の大部分が信連に預けられておるという状況でございますので、少なくともこの金は相当長期運用ができるものじゃないというふうに考えております。それらのものをいろいろ合わせまして、はたして長期に年々安全性を見てどのくらい使えるかといいますことは、なかなかむずかしい問題でございますけれども、今まで大ざっぱにはじいて考えたところでは、大体二、三百億ぐらいのものは年々その長期なものとして農協の系統におきましてふやして投資ができるのではないかというふうな見当をつけておるという程度の段階でございます。
  72. 北山愛郎

    ○北山委員 われわれがその際に不思議に思うことは、これだけ農林中金等が余裕金を持ち、そしてそれがふえてきておる、非常にはっきりと農民の預金というものが農民の手に帰らないでよその大資本なり大企業の方へ運用されている分がふえてきておる、それだけの余裕金がある、こういうような実態がありながら、しかも農林中金は債券を発行する。農林債券を、なぜ一体余裕金があるのに発行するのか、私はよくわからないのですが、どういうわけですか。むしろ、私からするならば、公庫の方が債券を発行する方がほんとうじゃないか。長期資金を調達するという意味公庫の方が債券を発行すべきであって、中金が余裕金がありながらさらに債券を発行する必要性がどこにあるか。一体、去年あたり債券をどのくらい発行して、どういうわけでそれを発行するのか。これは、制度としてあるから発行するというだけではなくて、やはり必要性というものをそこでお伺いしたいのです。
  73. 坂村吉正

    坂村政府委員 おっしゃる通り、農林中金においては債券発行の機能がございまして、年々債券発行をいたしまして資金の調達をいたしております。現在の債券に依存しておりますものは大体四百億ないし五百億というふうに考えておりますけれども、これは、そもそも農林中金が出発いたしましたときに政府出資で出発をいたしまして、そして政府資金をとにかく農業協同組合系統に流して融資をする、そういう建前から一応出発をいたしたわけでございます。その後、いろいろ系統資金充実をいたしまして、現在では政府の出資はゼロでございまして何もございません。全部が農業協同組合系統の資本でございますけれども、そういうふうに相なって参りまして、現状におきましては相当余裕金があるような状況でございますから債券発行の意味がないではないかという感じも実はするかと思うのでございますけれども、今申し上げましたように、系統末端の農協におきましても信連におきましても積極的に貸し出し体制ができて、そうして農民にこれが還元される、こういう体制になって参りますと、はたしてそれでは今度農林中金に全国的な調整をするような資金が集まってくるかどうか、今後の問題としては相当問題があろうかと思うのであります。それで、農林中金に、頂上に金が集まることが目的ではないのでございまして、系統金融としては、末端で集まったところで、預金がありますところでどんどん相互金融をやっていく、こういう体制を強化することが必要であろうと思いますので、そういう体制ができた場合に、はたして農林中金が今のような状態であるかどうか、非常に問題だと思うのでありまして、そういう面からいたしましても、今後の問題として農林債券の発行機能というものはやはり持って、そして運用していった方がいいのではないかというように考えております。
  74. 北山愛郎

    ○北山委員 私は、農林中金が債券を発行し得るという制度が必要でないということを言っているのじゃない。少なくとも、この数年来、実績が相当な余裕金があって、しかも農業投資をしないでも農業以外のいろんな産業にまで金をどんどん貸しておるというような実態のもとで、一体現実に農林債券を発行する必要があるのか。逆を言うなら、むしろ農業資金じゃなくてよその産業の資金のために農林債券を発行したという結果になると思うのです。ただ惰性でもって、債券を発行し得るという制度があるから債券を発行しているのだというのは、まことに無計画、無方針じゃないか、こう思うのですが、どうですか。
  75. 坂村吉正

    坂村政府委員 そういう御意見もあろうかと思いますが、実質的にも、実は現在の状況では信連から預金が集まってきますが、預金につきましては、いろいろ信連等でも、ほかの金融機関あるいはその他の資金運用の問題ともからみまして、できるだけ金利を上げろ、金利を高くつけろという要求がありまして、系統金融としては非常におかしいのでありますが、現実にはそういう要求が相当あるのでございます。そういうことからいたしまして、信連から上がる預金の金利等につきましても特別配当するとか、そういうようなことをやっておるような状況でございますが、コストに比べますと、現在でも農林債券の発行がまだ幾らか低目になっておるというような実情もございますので、必ずしも惰性ばかりではございません。そういう必要もございまして債券発行をやっておるわけであります。
  76. 北山愛郎

    ○北山委員 そうすると、農林債券を発行するのは、農林中金の経理上利回りのいいものをやるんだ、こういうわけですね。しかし、それでは、農林中金の一つの目的というか、当然やるべき仕事をはなはだしく逸脱しておるのではないか。むしろ農業政府、民間の投資が非常に少ないわけです。その産業は何兆円も設備投資ができる。そういう反面、農業に対しては、非常に長期低利資金が必要であるのに、その資金源がないということが一番問題なんです。従って、その役割を果たす農林漁業金融公庫資金ワクをふやしていくということのためには、むしろ現状では農林中金よりも公庫の方に債券発行の制度を認めて、農林中金や信連の余裕金をその債券発行によって吸い上げて、それに利子補給をして農業投資に使うという方が常識的であり、当然そういう方向へ進まねばならぬと思いますが、相変わらず農林中金は金を余しておりながら債券発行をしておる、公庫の方はその制度がない、それはおかしいじゃないかと思いますが、どうですか。
  77. 坂村吉正

    坂村政府委員 御質問の御趣旨はごもっともな点もあるのでございますが、先ほどおっしゃいましたように、農林中金がもうけるために債券を発行しておるわけじゃございませんで、信連から集まって参りまする預金のコストに比べましても、現在の状況ではおそらく農林債券の方が低い。そういたしますと、結局農林中金の金が、いろいろ金利を下げるとか、そういう合理化にも役立つということは言えるのではないかと思うのであります。信連の金だけで全部やっておりましたら、信連の現在の状況では、相当突き上げがございまして、相当金利を払わなければ金が集まってこないという状況になってくると思います。それに応じてコストも高くなってくるというようなことになるのではないかと思います。それの幾らかでも足しになっておる、こういうことが言えると思うのであります。  それから、農林漁業金融公庫の債券発行を認めて資金調達をやったらいいではないかという御意見もございますが、農林漁業金融公庫に対しては、資金が足りなければどんどん政府出資をやる、あるいは運用部等から金をつぎ込むという線を強く進める方が農業のためにはプラスになるのではないかという考え方もございます。それから、一面、系統の金は系統でもっと使えるようにということで、その制度強化をはかる方がいいのではないかということを現在考えておるわけであります。
  78. 秋山利恭

    秋山委員長代理 午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時十九分休憩      ————◇—————    午後二時二分開議
  79. 坂田英一

    坂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案に対する質疑を続行いたします。北山愛郎君。
  80. 北山愛郎

    ○北山委員 午前中に引き続きまして、残った部分を御質問いたします。  午前お伺いしたことで、経済局長のお答えの中でちょっと納得がいかない点がございますが、それは、農林中金のいわゆる農林債券を発行するというのは、利回りを有利にするのだ、安いコストの資金を債券で集めるのだ、こういうお話だったのですが、それはむしろ逆じゃないですか。いわゆる系統預金の方がコストが安いのじゃないですか。
  81. 坂村吉正

    坂村政府委員 農林中金の農林債券発行の問題でございまするが、これは、私午前中にお答え申し上げましたように、金利の安い資金を得るということが目的ではございません。最初からの経過を申し上げましたように、最初は、政府資金、それから農林債券の資金、こういうものを中央で調達をいたしまして、そうしてこれを農業協同組合系統に流す、こういうことで発足しておりまするので、そういう関係から、現在も農林債券の発行機能を持ってそのまま農林債券を発行しているわけでございますが、これは、系統から預金が相当集まって参りまして余裕金があるというような状態におきましても、これはやはり系統の中の預金者の金でございます。相当長期の安定した金を資金のベースとしては持っている必要があるというふうに思うのでございまして、そういうような意味からいたしましても、四百億ないし五百億程度の長期の安定した金が農林中金においても必要である、こういう建前から現在も続けておるわけでございます。  なお、それに加えまして、午前中に申し上げましたように、コストの面から言いましても、いわゆる信連から上がって参りまする預金に比べまして、現状では債券のコストの方が安いという状況でございまするので、実際問題としては農林中金の全体の金利の低下にもプラスになっておる、こういうことを申し上げたわけでございます。  そこで、数字で調べてみますると、農林債券の発行者利回りは、大体利付債券で七分八厘、それから割引債券で七分一厘ということに相なっておりまするが、信連から上がって参りまする金を大体平均してコストを考えてみますると、八分見当になっております。表面の金利は、もちろん一年定期で押えても六分五厘という金利でございますけれども、いろいろ、午前中にも申し上げましたように、これに対して特別配当を出せとか、そういうようなこともございまして、いろいろな配当や何かも出しておる。そういう関係で、経費や何か入れますと、大体八分を上回っておるというような状況にもなるのでございまして、そういう面から言いましても、一部においては金利の低下にも幾らか役立っている、こういうことを私は申し上げたわけでございます。
  82. 北山愛郎

    ○北山委員 今のお話の前段の方、要するに、固定した安定した資金を必要とするという点については、最近数年間の情勢から見ると、やはり毎年々々相当貯金がふえているわけですから、そして、むしろ余裕金が運用し得ないで系統外に大量に流れているという事態で債券を発行することがおかしいじゃないか、私がお伺いする点はそこなんです。制度として長期的に見てそういう安定資金を得る趣旨であるという点はわかりますけれども、しかし、最近の情勢から見ると、どうもわれわれのような外部の者から見ればおかしい感じがするのです。これが、ほんとうにあなたの言われるように、農業投資のためにそれだけの安定した資金が必要とされ、しかもそのように実態運用されておるならいいのだけれども、結果としては、債券を発行しておきながら、それ以上の金が農業以外に運用されている。おかしいじゃないかという感じがする。おまけに、農林債券の中でも、相当部分資金運用部なんかが引き受けている。政府資金が農林債券になって、しかもそちらの方に流れておるというのはおかしいじゃないか。それくらいであるならば、むしろ公庫ワクに対する政府資金をふやして、そして制度金融の方で流していったらどうかというような考え方にもなるわけで、それらの点がまことにわれわれとしては納得がいかないからお伺いするわけです。だから、制度そのものの本来の趣旨はあなたのお話通りだと思う。しかし、最近における実情から見れば、実態に合わないじゃないかということです。  それから、もう一つは、午前にも申し上げた通り、債券を発行するとするならば、どちらかと言えば農林漁業金融公庫の方が債券の必要性があるのじゃないだろうかというふうに思うわけです。そして、理屈はともかくとして、その障害がどこにあるかは別として、農民の預金が各段階において農業以外に流れているというこの実態を是正して、そして農民の預金を農村に還元して投資をするという趣旨からするならば、やはり、公庫の方で吸い上げて、そしてこれを利子補給でもして土地改良とかその他の資金に流したらどうか。ことに、私どもから言うならば、経営の改造、いわゆる共同化の資金などは、こういうふうなルートによって、低利長期資金というものを創出して、そして流すのが正しいやり方じゃないだろうか。そこで、公庫については一体債券発行の必要性がないのかどうか、そういうことは考えられていないのかどうか、これを一つお伺いしておきたいのです。
  83. 坂村吉正

    坂村政府委員 いろいろの御意見でございますけれども、先ほど申し上げましたように、農林中金が、現在の段階では相当の余裕金がございまして、いろいろ関連産業等にも貸し出しをいたしております。しかしながら、今後ほんとうに系統が貸出体制を強化いたしまして、末端の段階で相当金が出ていく、こういう状況になりますと、はたして現在のような余裕金が上の段階で今後続くかどうか、これは相当問題であろうと思うのでございます。そういうような問題もございまするし、それから、中央の金融機関としては、いろいろ御意見もございましょうが、資金調達の面ではできるだけいろいろの面で調達ができる、こういうことをやっておいて、資金は豊富に調達ができる体制を作っておくことはぜひとも必要だろうと思うのでございます。ですから、必ずしも農林中金は系統の金が集まっておるから債券を発行しないでいいじゃないか、こういうことで割り切る必要は一つもないのでございまして、また、公庫の方においてどうしても債券発行をする必要があるという事態になりますれば、これはまたそちらの問題として考えれば考えていいのじゃないか。現在の問題といたしましては、農林公庫につきましては、しいて債券発行という機能を与えなくても、現在、とにかく、資金面では、出資の増強、それから借入金についても今後できるだけ充実をさせていくということと、それから、資金の調達については、どうしても足りない場合には、予算の総則にも弾力条項というものがございまして、政府あるいは金融機関から借り入れるということもできるのでございまして、そういうような形で農林漁業金融公庫の方の資金はまかなっていける現在の体制でございますので、今の段階で農林公庫に債券発行権を与えようということは考えていないという状況でございます。
  84. 北山愛郎

    ○北山委員 ただいまのお話ですと、系統資金が今後大幅に活用ができるような状態になれは一なるかもしれぬというお話ですが、これはやはり一つの政策でもって推進をしなければそうならないのじゃないかと思うのです。従来農協の預金なりあるいは信連の金というものがなぜ一体貸し出しをされないか、どこにネックがあるのか、これを活用するために一体どういうことを政策として考えておいでになるのか。自然にほったらかしておけばお話のようにはならないのじゃないかと私は思うのです。だから、系統資金活用する方法は、今度の近代化資金なんかも一つの例でしょうが、これだってわずかに三百億ですから、それ以外に何か手をお打ちになって農協資金というものはもっともっと農民のために直接活用されるような政策をお考えになったらどうか。そういうことを考えておらなければ、ただ漫然と今後大いに活用されるようになるのじゃないかということは根拠がないということになるので、その点、どういうふうに進めようとしておられるのか、お伺いしたいと思います。
  85. 坂村吉正

    坂村政府委員 仰せの通りでございまして、その問題につきましては午前中もお答え申したわけでございますけれども、なぜ系統の金が農民に流れないかという問題は、表面的に考えてみますると、系統のコストがかかって金利が高いということが第一だろうと思うのです。それから、もう一つは、結局農民のいわゆる信用力というようなものが欠除しておりますために、農協といえども、やはり一つの事業体でございますから、あぶないものにはなかなか貸さない、こういうことがあろうと思うのでございます。表面上の問題としてはそういうところが一番大きい問題じゃないかと思うのでございまして、それについては今後も農協系統として金利合理化をはかっていくということはぜひとも必要でございまするけれども、それの一つの援助といたしまして、今度の近代化資金ということで、当初でございますからこれは三百億ということで発足はいたしておりますけれども、今後の農協系統資金状況あるいは需要の状況等を見ながら、今後の問題としてはどんどんこれを拡大していきたい、こういうことを考えておるわけでございます。そこで、今までの問題の高金利というものを政府と県の援助でこれを是正していこう、それから、信用力という問題については、政府から出資に対する補助金を出しまして債務保証協会を作って、そこで債務保証をやっていこう、こういうようなことで金利の問題と信用力の問題をカバーしていこう、こういうことを考えておるわけでございます。  しかしながら、根本問題といたしましては、いわゆる表面といいますか、そういう実際に現われておる問題ではございませんで、中に含まれておる問題といたしましては、農業協同組合が現実に金融機関として非常に薄弱といいますか、弱い面があろうと思う。全体的に見まして、農業協同組合がそれほど金融機関としてりっぱな体制であるとは思われないのでございます。そこで、農業協同組合の財務機能を充実いたしまして、農業協同組合の活動を今後活発にしていく、こういうことを考えなければならぬと思うのでございまして、そういう意味で、ただいま国会に提案をしてお願いをいたしておりますけれども、農業協同組合法の改正というものも提案を申し上げていろいろ御審議をいただこう、こういうことを考えておるわけでございます。また、現実問題としては、いわゆる協同組合員としての農民が金を借ります場合に、実際は、協同組合の内部におきまして、いわゆる一人一票という制度で総会で問題がきまりますので、貸し出す側と貯金をする者と借りる者との間にもいろいろの調整をしなければならぬ問題があろうと思うのでして、そういうような問題もございますが、こういうようなものも、今後協同組合の財務の関係についてのいろいろの規制をできるだけ金融機関としても十分に貨し出しができるような体制に持っていくような意味検討をいたしたいということを考えておるわけでございます。
  86. 北山愛郎

    ○北山委員 それらの問題はさらに近代化資金等の審議の際にもあるいは論議されると思うのですが、ただ、金利の問題がございましたが、一つの問題としては、農林中金に対する預金の金利といいますか、それが八分だとか八分以上だというような実態であるということも、農協で資金運用するよりも中金に預けた方がいいじゃないかというような関係もあって、私はそういうふうな高い利子で中金が預かっておること自体がおかしいと思うのですが、これについては何かお考えになっておりますか。
  87. 坂村吉正

    坂村政府委員 その御意見、まことにごもっともでございまして、私どもといたしましても、系統の内部の金は、相互金融という体制に沿いまして、預金の金利もできるだけ安く、こういうことで考えることが本筋であろうと思うのでございます。しかし、前にも申し上げましたように、末端の農協にしてみますれば、現状ではたとえば八千億の預金を集めておりましても、これはほとんど貸し出されていない状態でございます。そういう体制でございますので、これを信連に対する預金として運用するというようなことでございますので、何とかその預金の金利をよけい上げてくれ、こういうことを言うわけでございます。この要求は非常に強いわけでございます。それから、農民にいたしましても、農協に預けるよりもほかの金融機関に預けた方が金利が高いのだから、その方がいいじゃないかということで、突き上げられて参りますと、やはりある程度その金利も払わなければならぬ、こういうようなことになるのでございまして、そこが協同組合の運営としては非常に悩みの問題であろうと思うのでございます。ほんとうに農民の自覚があり、それから協同組合関係者の自覚がありまして、農民の金は農協が低利で預かって低利農民にも還元する、こういう方向で動くのでありますれば、これは問題ないと思うのでございますが、そこに、経済問題でもございますので、非常にむずかしい問、題がございまして、農協法の改正等に関連をいたしまして、今後の金融の進め方等についても私たちも十分真剣に検討いたしまして指導していくようにしたいと思っております。
  88. 北山愛郎

    ○北山委員 一つ公庫の総裁にお伺いしたいのですが、ただいまのお話ですと、公庫資金等は現在の状況で間に合っているんだ、債券を発行しなくてもいいんだというようなお話だったようですが、一体、現状でいいものかどうか。公庫融資ワクとして、もっと実際の需要が実態としてあるんじゃないだろうか。公庫としては、率直に、もっとワクをふやしてもらいたいとかなんとか、そういう考え方があると思うのですが、どうでしょう。
  89. 清井正

    ○清井説明員 ただいまのお話でございますが、おかげをもって毎年度公庫貸付ワクが増大をいたして参っておりまして、来年度は六百億の貸付ワクでございますが、実は、毎年度、貸付要望に対しまして、要望に応じ切れずに、翌年度まで持ち越します金が大体四十億から五十億くらいあるのでございます。ところが、これは、申すまでもなく、事柄によりましては、あらかじめ資金ワクというものを県へ配付いたしまして、県庁で推薦してきたものを公庫で貸し付けるということをやっておるのもございます。すべて公庫は県庁推薦で貸し付けるということになっておりますので、公庫へ上がる前に、そこまで申し込んで、公庫ワクがないということでもって、途中で表面的に要望に現われないで済ます場合が相当あるのではないかと思います。従って、実態は、四十億、五十億どころではなしに、もっと多い要望が公庫に対してあるのじゃないかと想像されるわけでございます。私ども、私どもの機構の許す限り、できるだけ貸付ワクをふやしたいと思いまして、農林省の方ともいろいろ相談をいたしておりますが、現在の六百億では、むろんこれは不十分でございまして、今後このワク増加していただきたい、また、そういうふうにすることが農家の一般要望に応ずるゆえんである、こういうふうに考えておるわけでございます。
  90. 北山愛郎

    ○北山委員 それから、先ほど自創資金の三十五年度の実績をお伺いしたわけです。ところが、計画よりはずっと少ないわけですね。維持資金の方が三十二億、取得資金が四十二億ということになれば、当初の計画よりはずっと下回っておると思うのですが、どういうわけでしょう。また、三十五年度全体としては年度末までにどうなるのか、どうしてこういうふうに実績が少ないのか、これらをお伺いしたい。
  91. 伊東正義

    ○伊東政府委員 先ほど数字を申し上げましたが、取得につきましては四十二億でございます。——一部の推定はもちろん入りますが。それから、維持一般としまして三十二億、そのほかに、申し上げましたように、北海道の負債整理が約二十三億ぐらいございます。そのほかに、災害関係で十八億くらい出しております。それから、開拓者に、振興計画に盛られました計画通りということで、約十三億くらい出しておりますので、合計いたしますと百三十億ということになります。
  92. 北山愛郎

    ○北山委員 それから、最後にお伺いしたいのは、公庫にしても、あるいは系統金融にしても、農業の生産面の資金はいろいろ融資制度があるわけです。ところが、生活用資金、早く言えば住宅の資金なんか、これは、農家の住宅というのは非常に悪い古い家が相当あるし、旧式の家がある。それで、これの改造なりあるいは新築の金に非常に困っておるわけです。これについては何らかの制度があるのかどうか。ことに、建物共済などの積立金がふえてくるということになれば、こういう資金活用して、農村の住宅の改造などの資金に還元してやるというのが当然だと思うのです。単に建設省の住宅金融公庫ワクを少しふやして農村向けを設定したというくらいのものでは、これは足らないし、また、資金の還元から言っても、やはり農民のそういうふうな共済などの金を回してやるという制度は当然考える必要がある、こう思うのですが、こういう生活面に対しての改善資金といいますか、そういう点については、従来また現在どういう制度があるのか、どういうことを考えておるのか、これをお伺いしたい。
  93. 坂村吉正

    坂村政府委員 お話通り農林省金融政策のうちでは、農家の住宅であるとかあるいは生活資金であるとか、そういうようなものについての施策は非常に乏しいわけでございます。ほんとうに生活資金というようなことで考えられますものは、どららかと言いますれば、維持資金というようなもの、あるいは災害のために出す自作農維持資金というようなものがそういう性格としては相当大きいのでありますけれども、そのほかのものとしては、おっしゃる通り、積極的にそういう問題を現在まで考えていないというような状況でございます。ただ、新農村計画の中では、病院を建てるとか、そういうような問題につきましてもぽつぽつ資金の融通をいたしておりますし、今回、三十六年度以降におきましては、林業の関係につきましても、きのう申し上げたのでございますが、経営安定資金というようなことで、病気などのために林地を手離さなければならぬというような状態のときにはとにかく安い金を公庫から貸そうというようなことも考えているのでございまして、現在のところそう目ぼしい住宅あるいは生活のための施策というようなものはございませんけれども、今後の問題といたしましてはいろいろ検討をいたしたいというふうに考えております。
  94. 北山愛郎

    ○北山委員 乏しいといったって、ほとんどこれはないわけです。だから、農林省農村へ行って農家の生活を見たのかどうか、ただ出てくる米だとか麦だけ見ているではないか、そういう感じがするのです。ことに、日本の農家は、いわゆる家族経営で、生活と生産が直結しているわけですから、生活が不合理であれば、また生産が不合理ということになるわけです。現在、ことに東北とかおくれた地帯における農村の住宅などは何らかの手を打たなければならぬし、今まで、政治の盲点というのか、政策の上に乗っかっておらなかった。ところが、例の建物共済の資金もあるわけですが、一体、やる気があるのでしょうか。その共済資金活用して住宅の改善に流してやるというような考えがないのかどうか。これは当然あるべきだと思うのです。ないとおかしいと思うのです。
  95. 坂村吉正

    坂村政府委員 建物共済の資金もございますが、これもだんだんふえて参っておりますが、これらのものは農協の資金のうちで非常に長期低利のものでございますので、農協が今後設備投資あるいは設備資金貸し出し等いたします場合にも非常に大きなウエートを持っておると思うのでありまして、今度の近代化資金等におきましても、こういうものが農協の資金の中に相当あるということを前提にいたしまして、農協の金利も下げていくという方向で今後考えていきたいというふうに思っておるのでございます。実際問題といたしまして、農協の建物共済といいますものは、ある一定の期限が参ると積み立てた保険金がおりるわけでございまして、それが、農協の事業として、建物の更生のため、あるいは建てかえるとか、あるいは修理をするとか、そういうことのための資金になるのでございまして、自主的に農協ではそういう制度を立てておりますので、この契約高が四千億から五千億くらいに多く相なっておりますが、それが農家の住宅対策としては相当大きな役割を果たしておるのじゃないかというふうに私たちは考えております。また、一つの問題といたしましては、農民といえども住宅金融公庫の金を使ってうちを直しておるところがあるわけでございますけれども、これらについても、積極的に住宅金融公庫の金を使って、そうしてうちなんかも直していくということでやったらどうかと思うのでございます。先般、伊勢湾台風のときでございますか、非常に農家がつぶれましたので、これらの復興のためには農業協同組合も積極的な役割をやったらどうかということで、住宅金融公庫の代行機関といたしまして関係の県の信連等はこの住宅金融公庫の金を農民にあっせんをしてやる、こういうことをお願いをしましたわけでございます。いろいろ各方面の制度を十分うまく活用いたしまして、住宅建設等についても万全を期するようにいろいろ検討をいたしたいということに考えております。
  96. 北山愛郎

    ○北山委員 お言葉は、まことに、万全を期するというようなお話ですけれども、やはり、具体的に農林省相当積極的な住宅対策というものを考えないと、これは進まないと思うのです。いろいろ建物共済の問題なり地方的ないろんな制度、これもあるいはないとは申しませんけれども、しかし、古い老朽した農家、しかも旧式な農家が、建て直しをしたい、あるいは屋根のふき上げをしたいと思っても、資金が出ないのがほとんどこれは現状だと思うのです。しかも、その連中は自分達でかわら無尽をやっておるわけです。かわら無尽の姿にほったらかしてある。それから、また、私の残念だと思うのは、この問題は、農家というのはある意味では生産施設です。単なる生活の場所というだけじゃなく、生産の施設、場所なんです。ことに、政府の方では、新しい農業基本法でも、どこまでも家族経営を維持するというのですから、ことに農村の住宅の改善という問題については積極的な対策がなければならぬ。それを、農村の住宅も住宅であるということで建設省に依存しておるというような考え方は、私はまことに残念だと思う。大臣がおいでになったから一つの方針としてお伺いをしておくのですが、農村の生活文化といいますか、住宅の問題で、農民の建物共済みたいな積立金もあるわけですから、こういうものを農林省の一つの農村の生活近代化政策として住宅改善資金に取り上げるような考え方はないかどうか。私は、農林省としてそういう政策をとるのが当然だ、建設省に一般の住宅政策としてまかせるという考え方はまことに消極的だ、こういうように考えるのですが、農林大臣はこの点どうお考えですか。
  97. 周東英雄

    ○周東国務大臣 途中からお話を伺いましたので、あるいは見当はずれの答弁になるかと思いますが、そのときは御注意願えば、さらにお答えをいたしたいと思います。  ただいまのお尋ねは、農村の生活環境等改善をすることが一つの方向であるとすれば、農村の住宅改善についてもう少ししっかりした計画を持ってはどうかというお尋ねだと思いますが、この点については、私も御趣旨は全く同感であります。私どもが生活環境等について必要な施策を講ずるということを特に農業基本法に入れましたのもその趣旨でございます。実は、こういう法案の制定前におきましても、生活改善普及というような立場で、今日、全国千八百人余りの生活改善普及員を置いていろいろ施策を進めておる中に、やはり農村の住宅の改善ということは一つの目標になっておるわけであります。たとえば、東北地方における住宅が今日なお非常に前近代的なものであるというようなことを改善していくことが生活環境を変える一つのゆえんであろう、健康の上にもまた作業の上にも考えられないかというようなことで指導をさせておりますが、その際における資金面、この面についてはまだ完全な形になっておらぬことは御承知の通りでありますが、将来、この点については、あるいは近代化資金というものをそういった方に回すというか、別に、今局からお答えをいたしましたように、住宅政策としてはこれを建設省にゆだねつつ、その方において予算をとらしていくということも一つの方向だと思います。これを農林省自体が主管しなくても、御承知のように、無電灯部落に対して全部電灯をつけて無電灯を解消するとか、無医村地区の解消等は厚生省と連絡してやるとかいうような問題と同じことになるわけでありまして、そういう面におきましては、御趣旨を体し、さらに私どもは大きく農村の住宅改善等に関して施策を立てて参りたいと思います。
  98. 坂田英一

    坂田委員長 次は、芳賀貢君。
  99. 芳賀貢

    ○芳賀委員 農林大臣にお尋ねしますが、この委員会においてのたとえば法律案が成立した場合の附帯決議等については、一体政府としてはそれを尊重する御意思があるのかないのかですね。これは大事な点ですから、お答え願いたい。
  100. 周東英雄

    ○周東国務大臣 抽象的なお尋ねでございますが、私ども、委員会において附帯決議等が付せられましたときには、これは実現に努力するという覚悟で皆さんの附帯決議を拝聴しておるわけであります。
  101. 芳賀貢

    ○芳賀委員 たとえば、ただいま審議中の農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案についても、昨年の国会においても改正案が審議されたわけであります。これは昨年の三月二十九日に改正法律案が成立しまして、その際当委員会が全会一致で附帯決議を議決しておるわけです。大臣はその当時まだ農林大臣でなかったので記憶はないかしれませんが、こういう決議の内容であります。    農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議政府は、左の如く措置すべきである。  一、公庫の原資は借入金に依存する度合を次第に増大し、昭和三十五年度においては最悪の事態に立至っていると認められるが、かくては貸付業務の円滑な遂行に支障をきたすおそれがあるので、長期低利資金に対する農林漁業者の需要の増加に対処し、今後の資金計画を作成するに当っては、すくなくとも借入金と同額又はそれ以上の政府出資金の確保に努めること。  二、酪農業の生産基盤の整備と乳業の近代化を促進するため、すくなくとも酪農振興法に規定される集約酪農地域および酪農経営改善地区内において生産される牛乳の処理加工施設の新増設または改善に必要な長期低利資金については、これを本公庫から融通し得る途を拓くものとし、速やかに所要の法制上及び財政上の措置を講ずること。  三、都道府県営土地改良事業の経済効果が生じない以前に、公庫貸付金の償還が始まることのないよう、事業の七年以内の完成に必要とする補助予算を確保するものとし、もし事業の完成期が遅延するおそれがあるときには、農業者に過重な負担を強いることとならないよう適切な救済措置を講ずること。   右決議する。  こういうことになっておるわけであります。  一つは、これは最近の公庫資金構成を見ると、結局、その借入金がふえて政府の出資金がふえないという傾向にありますので、自然にコスト高になっておるわけです。これは政府委員からも説明された点でありますが、結局、この第一についてもいささかも改善の努力が示されていないのであります。第二点については、昨年当委員会が附帯決議を行なっただけでなくて、数度にわたってこの種の附帯決議が行なわれておるのでありますが、昨年までついに政府が実施しておらぬので、昨年さらに最後的なだめ押し的な決議を第二項でつけたわけです。第三項については、これは都道府県営の土地改良事業の完全なる実施等についての融資措置の問題でありますが、この第三点についても、今年度の農林省の方針あるいは予算の内容等を見ても、いささかも改善とか実行の熱意が示されていないのです。ですから、尊重します、だけではこれは済まぬ問題だと思ってお尋ねしたわけです。特に、この点については、附帯決議をつけたときに当然政府の意見をただしておるのでありますが、その当時も、これは小枝政務次官が政府を代表してこういう答弁をしておるわけです。「ただいまは農林漁業金融公庫法の一部改正につきまして全会一致をもって御決議をいただきまして、まことにありがとうございました。」——感謝しているのですよ。「ただいま満場一致御決定になりましたこの附帯決議につきましては、それぞれ三項目にわたる重要なる決議がなされたわけでございまして、私ども政府当局といたしましても、その御趣旨を尊重いたしまして鋭意善処いたす所存でございます。」、通り一ぺんに言ったといえばそれだけですが、もう少しほんとうに委員会の意思を尊重するのであれば、今回の法律改正案の中においても何らかの措置が講ぜられておってしかるべきだと思うのです。この点に対して、あのときだけの答弁で、尊重の意思がこの件についてもなかったのであればなかったという点を明らかにしてもらいたい。
  102. 周東英雄

    ○周東国務大臣 お答えいたしますが、このたびの法律改正に伴いまして、御指摘の出資の増については昨年の増加よりもさらに十二億増加をするように取り計らっております。なお、酪農関係に関する資金の出し方に関する決議でありますが、いろいろと今この点については御意見も伺っておる最中であります。それらの意見の取りまとめをいたして検討をいたしておる最中であります。何らかの形において考えてみたいとは思っております。
  103. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、政府原案に対して、さらにその乳業関係金融措置については修正案でも政府がお出しになるという意味なんですか。それとも一応撤回して別案を出すというのか。その点はどうですか。
  104. 坂村吉正

    坂村政府委員 乳業の問題につきましての附帯決議に関連をいたしまして政府のとりました考え方について、十分に御趣旨に沿っておるかどうかははなはだ疑問でございますけれども、できるだけ御趣旨に沿うような意味で今までも努力をして参ったわけでございます。そこで、内容といたしましては、一面においては、金融の面では近代化資金という制度の中におきまして乳業関係においてもこれを対象として取り上げていこう、こういうことで考えておりまするし、また、いわゆる近代化資金といいますのは、大体県を通じて実施しようというものを考えておりますので、県の区域を越えるようなもので非常に大きな会社等に対しましてやっていく場合に、それではカバーのできない面もございまするので、そういう問題につきましては、開銀なりあるいは東北開発公庫というようなところで、本年度におきましては今まで九分でございました金利も八分七厘に利下げをいたしまして、そうしてまかなうように一つ考えたい、こういうことで努力をして参っておるわけでございます。はなはだ十分とは申せませんけれども、そういう努力はいたして参っておるわけでございます。
  105. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、畜産局長にも尋ねますが、特に最近畜産農業が重要性を持つようになったのですが、昨年の決議の場合にもこれは具体的に述べたのです。酪農振興法に基づく集約酪農地域、あるいはまた先般改正された酪農経営改善地区、これに一応限定したということは、やはりその主産地における原料乳の処理等が順調にいっておらぬ点もあるので、それらの施設等を速急に近代化するためには、これはやはり農林政策の一環としてそれらの乳業施設、乳業者に対しても公庫融資の道を開くべきであるということで、われわれは目的を明らかにして附帯決議を昨年は出しておるわけですから、こういう点に対しては、やはり畜産局長としても十分委員会の趣旨というものを体して検討して、今回の改正案等においては必要であれば積極的にその趣旨を生かすように努力すべきだったと思うのですが、何らかの努力はされたのですか。
  106. 安田善一郎

    ○安田政府委員 衆議院の農林委員会におきましてかつて芳賀先生のおっしゃいましたような附帯決議がありまして、政府努力することを誓いましたことは承知いたしております。その後努力したかどうかということにつきましては、努力をしましたが、十分な成果をあげませんで恐縮でございます。その努力の一端は、私どもの努力を裏から、省内の金融事務の受け身側の、また省外に向かっては農林省の代表の経済局長がその大半を述べましたが、私から補足を申し上げますと、酪農事業施設、または、その中に含めても外へ出てもいいのですが、乳業施設、それらについての長期低利資金を確保するということでございますが、これにつきましては、農林漁業金融公庫を中心にいたしまして、開発銀行もあれば、商工中金で酪農振興基金の債務保証制度もある、農協資金もありますが、今年度の予算編成にあたりましては、まず第一に、農林漁業金融公庫によって簡明に長期低利——金利といたしましては、主務大臣指定施設が金利は七分五厘でございますから、そこかそれ以下をねらいまして、所要資金を確保する、乳業施設所要資金としては年に十億円くらいずつふえますから、来年度では七十億円近くになると思いますが、それを検討中のところを、近代化資金により協同会社に対して融資することでやろうと変わりました。すなわち、現在の公庫資金共同利用施設あるいは個人施設、さらに、今申し上げますところによる農協施設もあれば企業施設でもよろしいこととした意味の乳業施設資金についてでございますが、このために長期低利を要する資金を供給する新制度として農協資金の余裕金を利用しました近代化資金制度でやろう、実はそういうことが省としてまとまったのであります。これは政府側としてもまとまったのでございますので、近代化資金の中において、比較的豊富な資金で、金利条件、償還条件、それに据置期間等適切にいたしまして確保するように努力いたしたいのであります。これは当然に御想像をお願いできるかと思いますが、第一には、協同会社案というものを一つ法案としても推進しまして、農民農業協同組合が出資をいたしまする会社を融資の第一対象に加える、次には、酪農事業の発達のためには、酪農関係乳業産業を進展させなくちゃいかぬということ、また、集約酪農地域、酪農改善地域等の地域におきまして、どの会社が受乳をいたします場合にも、その農民所得を確保しなくちゃいかぬ、乳価を確保しなくちゃいかぬ、それから、加工・流通の過程を合理化しなくちゃいかぬ、乳製品の価格を比較的安く持っていかなくちゃいかぬという見地からいたしまして、協同会社案ばかりではいけないというので、さらにその範囲を拡大して近代化資金を利用いたしますように努力をしたのでありますが、第一には、共同会社案がまだものにはならなかった沿革がありました。かたがたもちまして、さらにその外の、プライベートな大企業によります長期固定設備資金も、一応、開発銀行あるいは北海道東北開発公庫など、従来の金融制度に一応よろうという結論になりまして、事が非常に不成功に終わりつつあるわけであります。しかし、そういう場合におきましても、農林漁業金融公庫に残って近代化資金に移らないものもありますし、近代化資金で確保されるものもありますし、農林中金の確保資金活用するものも、開発銀行の資金もありますから、総体として去年よりワクが多く、低利になるように努力中であります。なお、ごく最近では、公庫法自身の政府提案の分に、あるいは近代化資金に関します法律案とか、協同会社案がつぶれた沿革等をも再検討する事項もあるようでありますので、検討中であります。それが大臣が申し上げたことだと思います。
  107. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいま近代化資金の話が出ましたが、これは、法案委員会に付託になっても、まだ審議に入っておらぬので、十分なことはわからぬが、われわれの承知している範囲では、近代化資金貸付限度は、これは五千万円ということになっていますね。もし五千万円程度であれば、そういうもので、はたして附帯決議でいう主産地における乳業の施設が有利な資金によって十分改善または拡大されるということにならぬと思うのですが、いかがでょう。
  108. 坂村吉正

    坂村政府委員 近代化資金の方で考えております五千万は、共同利用施設としては五千万を限度として考えたいということで考えておるわけでございます。それと大体歩調を合わせまして、いわゆる協同会社のような、農協とか何かが出資をしている、そういう関連産業に対しましても同じように貸していこう、こういうことを考えているわけであります。ですから、必ずしも大きな企業に対してこれで十分とは考えておりません。
  109. 芳賀貢

    ○芳賀委員 農林大臣にお尋ねしますが、今回の改正案の中に、公庫法の第十八条第一項第四号の次に次の一号を加えるということになって、四の二として、「林業経営の維持又は改善に必要な資金であって主務大臣の指定するもの」、こういう条文が入るわけでありますが、この内容は、提案の理由等をわれわれが聞くと、造林地ですね、土地の取得資金までもこの対象になるということのようでありますが、それだとこれは非常に重天な点だと思うのです。この点はどうなんです。
  110. 周東英雄

    ○周東国務大臣 これは、農林漁業金融公庫仕事といたしまして、林業者に対して、特に自立といいますか、林業によってしっかり立ち得る見込みのある立場の者につきまして、特別に林地の購入その他について融資をいたしてこれを育成しようという考えで、一つ業務を広げたわけであります。
  111. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういうことでなくて、土地の取得資金までも公庫からただ公庫法の一条文だけで貸し付けるということになると、これは重大な問題だと思うのです。たとえば、造林を目的とする土地の取得ということになれば、場合によっては農地法に制限を受ける場合もありましょうし、また、完全に現地目が林野であるという場合は、これは農地法の制限を受けない場合があるとしても、とにかく、土地の移動とか取得とかいうような場合に、単に公庫法だけに一行をうたって、それも法文の中にはそういうことが何も表明されていないで、単に「林業経営の維持又は改善に必要な資金」ということで尽きておるのですが、こういうのは法律を作る場合にも非常に軽率であり、無責任であると思うのですね。たとえば、公庫法の中で自作農創設資金貸し出しておりますが、これは、自作農維持創設の根拠法があって、それに基づいて公庫融資の扱いをしておるというにすぎないのですね。今度は、林業の場合には、根拠になる法律も何もなくて、ここにただばく然と「林業経営の維持又は改善」だけで取得資金も全部貸し出すということになると、これは非常に影響するところが大きいと思うのですよ、基本的な問題としても。
  112. 周東英雄

    ○周東国務大臣 ちょっと私は御質問の点が了解しかねるのですが、従来とも農林漁業金融公庫は造林その他に関して資金融資をやっておることは御承知の通りであります。そういうふうな林業をやっておる者に対して、いろいろ経営が困難で林地を放そうというものを、放させないで、林業の経営を安定させるということで出したり、また、場合によって、どうもこれじゃ経営がおもわしくない、造林地を手放そうというのを、それを買って造林をやろうという者に対しての金融をしても、さしつかえないじゃないか。これは、今御指摘のように、何か自作農創設のごとくに、別個の法律で根拠のあるものだけでなければ金融をしてはならないというふうにも私は考えないのですが……。そうすると、農林漁業金融公庫は、芳賀さん御承知のように、漁船資金なんか全部貸しておる。漁船というものも、小さいものがだんだん大きくなるので、大きい船を取得させようというときに、漁船の取得に関して何か根拠法がないと貸せないということは困る。そうじゃないのですか。零細な漁業者に対して、その必要なる基盤を獲得するというのに対して金融の道を開くことはさしつかえないと思うのですが、御意図はどの辺にありますか。根拠法がなければ貸せないのじゃないかというお話、ちょっと私その点意図をうかがいかねます。
  113. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういうしろうと論で言っておるのじゃないのです。それは、今までも造林の資金、林道資金とか林業の設備に関する資金公庫から出しておることはだれでもわかっておることです。ただ、林業を目的とした場合土地の取得ができるという、その資金まで今度はこの中に加わってくるわけです。これは、やはり、土地の所有形態とか、あるいは農地制度とか、それから今後の農業政策の中における林業と農業との関連とか、そういう基本的な問題を十分に検討した場合、ただ単に林業の面だけ公庫法の一行だけで土地の取得が十分にできるというようなことは、やはり軽率のきらいが確かにあるのです。かまわぬじゃないかということになれば、今度は自創法も全部なくして、ただ公庫法の中へ農業経営の維持改善のための資金ということをうたっても、これは農地の取得資金でも何でも貸せるということに極端に言えばなるのじゃないですか。林業だからかまわない、農業だから差しつかえがあるというものではないと思うんです。しかも、ここにうたった林業というものは農業との関連の中でのいわゆる林業だというふうにわれわれは考えるのです。何千町歩も林地を所有した大所有者がさらに所有地を拡大して林業の拡大をやるとか、あるいはパルプ産業等が、パルプ会社が盛んに土地の買付をやって社用林を拡大しておるという現在の状態ですが、そういう場合にも、土地の買付を会社が行なって、そうしてその資金公庫に依存するとかということになると、やはり階層的には大きな森林所有者が集中的に土地を所有して、そして林業の拡大をやる、あるいは農業者以外の、林業者以外のパルプ会社等がそういうようなことをやっていくというためにもこの道は開けているとわれわれは見ておるわけなんですが、そうじゃないのですか。
  114. 周東英雄

    ○周東国務大臣 私はそう考えません。何か、こういうような林地を手放すというような場合にそれを買い得る道を開くということになると、すぐにお話のように大きな会社なり何かの土地の買い入れの方法を援助するというような形におとりになるようでありますけれども、小さい林業者というようなものが、たまたま片方でいろいろ手放そうとする人に対しても維持するような方向考えていっても、なおかつやめたいというようなときに、むしろ小さい人が合わせて持つということもあり得ましょうし、そういう点はもう少し幅広く考えたらいいのであって、私は、こういう面がすぐに大きな会社なり林業者に買う道を開いたというふうに考えないでもいいのじゃないかと思う。むしろ、山村地帯における小さい林業経営者が、たまたまそこに土地を手放そうとするものを、もう少し合わせて、林業経営の安定といいますか、規模を拡大していくことを助けるということがいいのじゃなかろうか、かように私は思っております。
  115. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういう具体的な考えがあれば、この法律の中にうたったらいいじゃないですか。たとえば自創法の場合でも、農業者が自己の農地を拡大取得する場合の資金とか、また、自分が小作契約で農業経営している場合の小作農地や小作放牧地を取得する場合、それからまた、現在の農地を病気とかその他の理由で経営上維持することが困難である場合、そういう場合にも自創資金を貸し出すとか、それから、共同相続者のうち、一人がその土地を全面的に所有する場合の零細化を防止するときとか、自創法の中には詳しく親切にこれこれの場合において自創資金を貸し出すということが規定されているわけです。これには何も規定がないじゃないですか。土地を取得するということがこの中では何にもわからないでしょう。それから、現在林業経営を維持することが困難なもろもろの事情が生じた場合に貸すとか、それから零細な所有者が土地を拡大する場合に必要であるとか、そういうことは何もうたっていないじゃないですか。いいとか悪いとかいう問題じゃなくて、政府案として法律を出す場合には、こういうでたらめなやり方で法律というものを作るべきでないですよ。この点は林野庁長官から十分答弁してもらいたい。
  116. 周東英雄

    ○周東国務大臣 その点は御意見として私は拝聴しておきますが、これは別にでたらめにやるのでなくて、「林業経営の維持又は改善に必要な資金であって主務大臣の指定するもの」というようなところに今のようなものを書くわけであります。また、一律に法律に書かなければならぬとも私は思いません。その点は、先ほどから私がちょっと設例で申しましたように、漁船の場合等については、やはり、業務方法の仕様書といいますか、別の規定でその貸付ワクとか方法を規定しておるというふうに考えておりますので、必ずしもこれをこういうような形では困るという理由にはならぬじゃないかと思います。
  117. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは、このままではわれわれは了承できないことをはっきり言っておきます。この点については、林野庁長官が来ておると思うのです。午前中も出席要求しておるのですが、特に所管の長官から承りたい。こういうインチキのように、だれも気のつかぬような表現で公庫法の一部改正だけでいいのだというようなことは、農林大臣は政治家だからよくわからぬけれども、所管の局長とか長官がこれでいいなんという答弁はできないと思うのですよ。ですから、ぜひ林野庁長官から、この点について、これで行政官としていいのだという自信があれば、一つ信念的な答弁をしてもらいたい。  今相談がありますから、ちょっと留保しておきます。
  118. 坂田英一

  119. 川俣清音

    川俣委員 私、数点にわたってお尋ねをいたしたいのでございます。  まず第一に、先般行なわれました農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案提案理由の説明の中に、「第一点は、資本金の増額であります。昭和三十六年度における公庫貸付予定計画額は六百億円でありまして、前年度に比較して八十三億円の増加となっておりますが、」とあるが、この説明は誤りないでしような。
  120. 坂村吉正

    坂村政府委員 誤りございません。
  121. 川俣清音

    川俣委員 それでは、三十四年度政府関係機関予算の百四十八ページに、「農林漁業金融公庫事業計画」なるものがございますが、その中での説明によりますと、「上記貸付契約金額のうち、本年度中に貸付けられる金額」云々とありまして、「本年度貸付予定額」というものが別に出ておりますが、この本年度貸付予定額というのと今の予定額というのとは違いがありますかどうか。
  122. 坂村吉正

    坂村政府委員 ただいま申し上げました八十三億の増加といいますのは、三十五年度の予定額に対しましての増加でございます。ですから、三十四年度の数字とは異なっております。
  123. 川俣清音

    川俣委員 私のお尋ねしたのは、「上記貸付契約金額のうち、本年度中に貸付けられる金額」云々とあり、「昭和三十三年度に貸付契約を行ったものの本年度貸付予定額」云々とあるこの「本年度貸付予定額」というのは、この説明の「貸付予定計画額」と同じであるのではないか、違うのかと聞いておる。日本語の常識をもってすれば同じなんですが、違うのかどうか、こう聞いておるのです。
  124. 坂村吉正

    坂村政府委員 予定計画と申しますのは、たとえば昭和三十六年度におきましては六百億、それから、三十五年度におきましては五百十七億、三十四年度におきましては四百三十二億、こういうふうな数字の金額が貸付予定計画、こういうことに相なっております。
  125. 川俣清音

    川俣委員 まだ質問に対する答弁がぴんとしておりません。この三十四年度の予算説明書によると、貸付契約と貸付予定額と二つに分かれておるのです。この貸付契約額というのは契約額であるし、このあとの、後に説明される貸付予定額というのは実質貸付額をいうようでございます。これは、予定額というのは、その「原資として」云々とあるからして、これは実際の貸付計画らしいのです。ところが、これは違うのでしょう。日本語で言うと同じなんです。どこにこういう開きが出るのです。こっちの方は実際貸し付ける額を貸付計画と言っておる。これは貸付計画ではないのだ。貸付計画ではないらしい。あなたの方のあとの説明によると、このうちから、別な言葉で言うと貸付契約金額だ、こういうことのようです。提案説明の方は貸付予定計画と言っておるけれども、本来は貸付契約高だ、こういうことのようなんです。同じ予算を説明する場合に、その年その年によって本質的に内容が変わるということはどうかと思うのです。日本語の文章からいけば同じ文章です。そうすると、この「貸付予定計画額は」と、こう読んだやつは貸付契約高ではない、実質貸付額だ、こう理解してよろしいのかどうか、こう聞いておるのです。
  126. 坂村吉正

    坂村政府委員 まことに申しわけございませんが、ようやく御質問趣旨がわかりました。ここに提案の理由の説明書で申しております「貸付予定計画額」といいますのは、正式に予算書の方で言いますと貸付契約額に当たるものでございます。従いまして、ここで言いまする「貸付予定計画額」というものと三十四年度までの貸付予定というものとは内容が違うのでございまして、実は、三十五年度から、たとえば昭和三十六年度で言いますれば六百億というその金額に相当いたしますものを貸付契約額、こういう工合に名称を変えましたわけでございます。
  127. 川俣清音

    川俣委員 いつ変えたのです。
  128. 坂村吉正

    坂村政府委員 三十五年度。
  129. 川俣清音

    川俣委員 三十四年度でも契約高と実際予定額が違っておりますね。
  130. 坂村吉正

    坂村政府委員 三十五年度から直したはずでございます。
  131. 川俣清音

    川俣委員 三十四年度の事業計画を見ると、やはり契約金額と貸付予定額と二つに分けて説明されておる。三十四年度の問題ですよ。あなた、これを見てごらんなさい。
  132. 坂村吉正

    坂村政府委員 先ほどの答弁間違っておりましたので、修正させていただきたいと思います。三十四年度から貸付契約ということになっております。
  133. 川俣清音

    川俣委員 従って、三十四年度は、貸付予定額というものは、これは実際原資を持った実際貸付額、こういう表現のようです。その表現を受けて立てば、この貸付予定計画というものは、これは実際貸し出される金額と理解してよろしいはずでありますが、ところが、予定計画は六百億でありながら、原資の調達は五百六十四億になっておるのはどういうわけですか。たびたび質問があったようですけれども、貸付予定計画が六百億ならば、六百億の原資調達がなければならぬはずです。これが五百六十四億ということになっておりますことの説明は、貸付予定計画ではないのではないかという疑問も生じてくる。また、貸付予定計画が六百億であれば、当然六百億の原資の調達をはからなければならぬはずだと思うのです。ですから、説明のときにはいいかげんに説明して、また原資の調達は別だというようなことは、この法律に対しての熱意のほどが疑われることになる。そこでお尋ねしておる。賛否に影響するから。
  134. 坂村吉正

    坂村政府委員 提案理由の説明のところで申し上げました貸付予定計画額といいますのは、三十四年度から予算書の上では貸付契約額というふうに使っておりますものを意味いたしまして、そういうつもりで、これは説明で、言葉でございますから、一応わかりやすくというような意味でこういう言葉で申し上げたわけでございますので、その点がかえって言葉の上で誤解を生じましたことはまことに遺憾でございますので、どうぞそういう工合に御理解いただきたいと思うのでございます。
  135. 川俣清音

    川俣委員 すべて、予算書におきましても、あるいは説明におきましても、法律案においても、用語が同一でなければならないということは、これは立法上の原則です。この立法上の原則に従って私どもは解釈すべきだと思うのです。この法律に出る言葉と次の法律に出る言葉とは内容が違うというようなことは、わざわざ法制局を設けている以上は、解釈の統一をはかっておるはずであります。従って、提案説明の中でこういう言葉を使われますと、これはやはり実質的貸付金額だ、こう一応理解されるのが私は至当だと思う。これは、私は幾らかわかっておるから、違うのではないかとわざわざお尋ねしたのですが、違っておりませんという最初の答弁なんです。これに誤りありませんかとお尋ねしたところ、誤りありませんというのです。なければ、従来の慣例に従った法律解釈に基づいて、貸付予定計画というものは、これはやはり六百億と理解して、契約高ではないと理解するのは、私の理解の仕方が悪いのですか。
  136. 坂村吉正

    坂村政府委員 まことに説明の言葉が行き違いまして不十分でございました。この予算、この法律案提案理由の説明の中に使いました言葉が非常に誤解を招きましたことは、先ほども申し上げましたように、遺憾でございますので、どうぞ修正をいたして御理解をいただくようにお願いいたします。
  137. 川俣清音

    川俣委員 主計官が来られたのでお尋ねしたいのですが、公庫貸付予定計画という表現は、他の公庫の場合にもたびたび貸付予定計画なる言葉が出て参りますが、これは貨付契約高という意味ではないのです。よその公庫の場合は契約のときは契約高と書いておるようですが、貸付予定額というと貸し付ける実質上の金額を表現するのではないでしょうか。主計宮が査定するときにどういうふうに査定するのですか。言葉のあやではない。貸付予定額というのはどういうことを表現しておるのですか。主計官がたとえば農林省公庫を査定する場合に、貸付予定額というのは貸し付けない金を言うのですか、これをはっきりして下さい。
  138. 相沢英之

    ○相沢説明員 急に参りましたものですから、問題の焦点がちょっとはっきりつかめませんが、私たちも必ずしも正確な言葉をいつも使っておりませんので、誤解を生ずる向きもあるかと思いますが、私たちがいつも公庫貸付計画あるいは貸付予定計画という言葉を使いますときには、当該年度における貸付、言うなれば契約の額を示しておりまして、その貸付契約をいたしますが、年度内に資金が交付になる分は必ずしもその全額ではございません。そういうわけで、必ずしも資金の交付額と貸付の契約額とは合いませんけれども、貸付計画という場合にはその当該年度における貸付契約の予定額をさしております。
  139. 川俣清音

    川俣委員 ほかの公庫の場合にもそういうふうに解釈するのですか。ほかの公庫の場合はそうではないようですね。あなたは農林省所管でわからないかもしれないが、ほかの、大蔵省所管の公庫のような場合は、貸付予定額というものは貸付契約高ではないようです。先ほど私質問しておったのですが、法律用語というものは、法制局があって、統一解釈をしなければならぬことになっておる。国民の権利義務及び政府の責任について明らかにしなければならないために、文章は法制局で統一をしておるはずです。主計官といえども、あるいは農林大臣といえども、この解釈を変えるわけにはいかないと思うのです。農林漁業金融公庫の場合は貸付契約高だ、ほかの場合はほんとうの貸付予定額だ、これはおかしいじゃないですか、公庫によっていろいろ解釈が異なるのですか。通常、大蔵省で言う場合、貸付予定計画というものは貸付契約計画を言うのですか。
  140. 相沢英之

    ○相沢説明員 ほかの公庫関係は、私予算を担当しておりませんものですから十分なお答えができないのは遺憾でありますが、この農林漁業金融公庫につきましては、私うろ覚えでございますが、昭和二十七、八年ごろまでは、たしか、貸付の予定計画と当該年度における貸付金の額とが大体合っていたかと存じます。ところが、実際問題としまして、農林漁業金融公庫は、ほかの公庫と違いまして、融資の対象がいろいろと種類別にこまかく分かれておりますし、また、その貸付条件等につきましても非常に千差万別でございます。そういう関係がありまして、公庫貸付計画運用の際には、必ずしも当該年度における貸付契約額そのものは年度内に融資できないといったような事情がありまして、相当額が毎年度翌年度に資金として繰り越されるという状況にあったわけであります。そういうことで、やはり、これは、そういう実態に合わすためにも、当該年度における貸付契約の額と、実際上の資金手当とは区別をして考えた方がいいのではないかというような事情がありまして、この貸付契約の計画額と実際の毎年度における資金手当の額とを区分して書いているというふうに私存じておりますが、なお調べてみまして、もしこの説明が誤りでありましたら訂正いたしますけれども、かように存じております。
  141. 川俣清音

    川俣委員 誤りであるかないかということは、一つ大蔵省に帰って統一見解を示してほしいと思います。ところで、たとえば他の公団の場合は、仮契約は結んでおるけれども実際の資金ワクがない場合、翌年に回すということはやっておりません。住宅公庫のような場合でもやっておりません。ですから、契約と貸付金額とが必ずしも一致しない場合は、ただこの農林漁業金融公庫ばかりではございません。他の公庫の場合でも同様です。ただ、政府が説明する場合、大蔵大臣が予算委員会で説明する場合におきましても、農林関係のいわゆる融資額、資金額はこれこれだという説明が六百億だという説明ですから、これが実際に貸し出される額であって、契約額はそれを上回るんだという理解をしても悪くはないと思う。予算上の説明をする場合に、六百億の資金を使うんだ、こう説明しておるので、その中の六割も使わないのだという説明は今説明されておるわけです。従来はそうであったという説明だけなんです。今年度予算を組む場合に六百億を計上したということは、これが貸し付けられる金額であって、あなたの言うように契約額と実際の貸付額と差がありますならば、六百億は実際貸すんだから、契約額はもっと上でもいい、あなたの説明から言えばこう理解していいんじゃないですか。従って、そう理解すると、六百億の原資の調達をしておかなければならぬはずだと思う。それを、初めから原資を小さくしておいて、契約がありましても、実際貸し付けなければならぬ場合でも、資金が五百六十四億しかないのだから貸さないというので、翌年に回してるだけじゃないですか。期別割を見ましても、なるべく第一・四半期あたりは貸さないようにして、しまいの方にいって貸すというやり方は、貸したくないんだという実証じゃないですか。第四・四半期になってからどっと貸すというようなことは、契約はもっと早くできてるはずです。どうも、農林漁業金融公庫の金はなるべく貸さないのだ、資金ワクがあってもなるたけ貸したくないという考え方じゃないですか。そう勘ぐったんですがね。
  142. 相沢英之

    ○相沢説明員 さような考え方は私ども決して持っておりません。農林漁業金融公庫貸付ワクを、通常、いわば契約の予定額の六百億、あるいは前年度で申しますと五百十七億ということをつかまえて言いならわす例になっているわけです。それが実際当該年度に貸し出される金額と合わないと、何か私どもがごまかしたような印象をあるいは与えるかと思いますが、そういう気持は毛頭ございません。そこで、毎年度の貸付の予定額がかりに同額で推移した場合を考えますと、たとえば、三十七年度が六百億としますと、同じ額ずつ繰り越していく、押せ押せになっていく、その場合には資金の手当の額と貸付の予定額がぴったり一致するわけです。ただし、現状では、毎年度貸付予定額の方がふえております。その関係で、前年度のしっぽの四割と当該年度の六割足したものが当該年度におけるところの貸付予定額までに計算上はならない、そういったような現象となっておるわけでございます。故意に融資をずらすとか押えるというような考え方は、私どもとして持っておりません。
  143. 川俣清音

    川俣委員 政府もそうだろうし、自民党の諸君も、地方へ行けば、今度は公庫融資は八十三億ふえて六百億になったということを普通に言われておる。農民もまたそのつもりでおる。ところが、実際は五百六十四億より貸さないのだという説明なんです。ほんとうに六百億貸すつもりですか。そうでないでしょう。五百六十四億より資金はないと説明するのでしょう。来年度に回すというのでしょう。その点はどうなんです。
  144. 坂村吉正

    坂村政府委員 資金の正式な予算上の言葉におきます契約額を、一応農林漁業金融公庫資金ワクといたしましてはともかく予定額ということで、三十六年度は六百億というふうに今まで言って参っておるのでございまして、そういうことで、現実に、先ほど主計官からもいろいろお話がありましたように、六百億がきちんと出るということではございませんけれども、ずれがございますから、それらも合わせて三十六年度に貸し出される額はおよそ五百六十四億というようなことで、これに対する資金手当をやっておるということでございます。大ざっぱに申し上げますれば、五百六十四億と言いましても、六百億ということで言いましても、大体六百億に近いものでございますので、そう誤りはないと思うのでございます。もしかりに、この資金手当がどうしても間に合わない、どうしてもいかぬというような場合には、いろいろ弾力条項等でございまして、資金の手当をする道は講じておるのでございます。
  145. 川俣清音

    川俣委員 五百六十四億より資金手当をしないというのは、非常に無責任じゃないですか。六百億貸すというのだから、六百億に近い金を原資として調達をするというのが経済局長の責任じゃないのか。このくらいより借りないだろうということで、実際貸さないだろうということで五百六十四億にした、こういうのか、五百六十四億より絶対貸さない意味なのかと聞いたところが、いや、弾力的に貸すのだと言われる。そうなれば、資金の調達をもっとはからなければならないということになるのじゃないですか。あなたの方は資金調達の義務は負わされておると理解をするのか、あるいはこの資金調達の範囲内より実際上貸さないというのか、この点明確にしてほしい。
  146. 坂村吉正

    坂村政府委員 先ほどから申し上げておりますように、農林金融実態といたしまして、どうしても前年度からのずれがあるわけでございます。そういう関係で申し上げますれば、前年のずれと、今年度の契約の中で実際に貸付のずれるものがございます。そういうものを合わせて、実際の予算といたしましては、六〇%本年度分については資金手当をしておけば、今までの実績から見ましても大体それでやっていけるという見込みを立てておるわけでございます。従いまして、どうしても緊急な場合、これではいかぬという場合には、たとえば一昨年の伊勢湾台風の際の金が足りない場合には、弾力条項でちゃんと資金の手当をして貸しておる、こういうこともあるわけでございます。
  147. 清井正

    ○清井説明員 ただいまのお話局長から御答弁申し上げましたように、私どもとしましては、川俣委員御存じ通り、六百億の貸付をいたすつもりでございます。これは御存じ通り貸付の契約でございます。農林漁業金融公庫は、ただいま申し上げた通り資金の交付はおくれて参るわけでございます。おくれて参る理由は、先ほど来申し上げた通り農業関係の特殊事情によりまして、土地改良事業などは一月、二月、三月に事業の四〇%が集中するということでございますから、はなはだ遺憾なことでありますけれども、過去の実績からいたしますると、第四・四半期に半分近い金額を出さなければならぬということが実態になっております。そういたしますと、貸付を決定いたしましてから保証人とか担保とかいろいろ手続があります。それから、本人に貸す金がいく場合にも、先ほど申し上げましたように、一ぺんにいくのではなく、まず三分の一、それから事業の進行状況に応じまして三分の一、また三分の一というふうにいたしておりますので、三月三十一日で切りますとただいま御指摘のようなことになりますけれども、資金としてはずっと流れております。三月三十一日で切りますとそういう問題を起すわけでありまして、私どもが意識的に四〇%落として六〇%で切ってしまう、それ以上は金を出さないのだということではないのでありまして、公庫としてはあくまで六百億の貸付をいたします。資金の手当は、ただいまの五百六十四億あれば足りるのではないか、こういう気持でございまして、もし足らなければ政府と交渉いたしましてまた手当をしていきたいと考えております。
  148. 川俣清音

    川俣委員 私の質問を故意にずらしておるのですよ。私が聞いておるのは、五百六十四億より原資調達をしていないから、実際の金はこれだけのワク内より処理できないのだという考え方なのか、六百億契約するのだから、必要に応じては六百億まで貸し出す用意がある、それには原資調達の責任を総裁及び局長は負うのかどうかと聞いておるのです。いや、原資の調達は五百六十四億よりないのだから、その内輪で金を貸すよりやむを得ないのだという説明なのか、六百億と言っておるのだから、原資調達の責任もまた六百億あるのだという考え方なのか、どっちかと聞いておるのです。
  149. 坂村吉正

    坂村政府委員 六百億の貸付契約をやるということで考えておるのでございまして、それに対しまして、ほんとうから言いますれば、六百億全部その年のうちに消化ができればもちろん六百億の資金手当をしなければいけないと思うのでございますけれども、現実に前年度のずれもございますし、農林金融実態から見まして、年度の後半に非常に集中されて参りますので、どうしてもずれるわけでございます。そういうことからいたしまして、大体六百億を目安にいたしましても、資金手当としては五百六十四億程度のものを資金手当としてやっておけば、この農林漁業金融公庫の三十六年度の業務には支障はない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  150. 川俣清音

    川俣委員 私の聞いておるのは、ほんとうに六百億貸すつもりであるならば、契約は七百億契約して、実質金額は六百億にとどめることもできないことはないでしょう。ほんとうに六百億貸すつもりならば、契約は七百億契約して、それで六百億貸す、貸付計画が六百億だというならば、六百億貸すところの用意があるならば、七百億契約して、実際は六百億より資金のやりくりができないのだということで六百億にとどめるなら話はわかる。そこで、実際はそうではないのだ、この六割くらいより借り手がないのだというなら、借り手がないという考え方が誤りなのだ。今契約しようと思って、自民党の方にはずいぶん要望があるらしいのです。この間公庫へ電話をかけたところが、金を借りるのだと思って、何用ですかというので、本法案審議上聞きたいと思って電話をかけたのに、何でも公庫に電話をかければ金を借りるのだと思っている。そういう頭になっているということは、実際頼まれれば幾ら貸すのだという考え方で契約をセーブして、貸付を制約しているのです。農民及び漁民、林業者の利益をはかるとすれば、返還計画が十分成り立つならばもっと貸してやるのだが、資金面でこれよりできないのだという説明をすべきだと思う。契約も貸付もなるべく制約をしていこうという考え方でおるのか、そういう疑いを持つからしつこく聞いたのです。実際はそうなのです。
  151. 坂村吉正

    坂村政府委員 重ねての御質問でございますが、決してそういう意図はございませんで、先ほど川俣委員の勘ぐっておるのだというお話もございましたが、そういう勘ぐりに当たるような気持は全然持っておりませんから、一つ御了承いただきたいと思います。
  152. 川俣清音

    川俣委員 次に、少しこまかくなりますが、お尋ねいたします。貸し倒れ準備金みたいな形のものがあるようですが、不良債権はどれくらいあるのですか。    〔委員長退席秋山委員長代理着席
  153. 清井正

    ○清井説明員 三十五年九月末現在でございますが、延滞元利金合計で四十一億六千万円、そのうち、元金が約二十九億八千万円、利子が十一億八千万円程度になっておりますが、これは一日でも延滞したものは全部計算されておりますので、確実な延滞というものはこれより少し少なくなるのではないかと思いますが、合計では利子を含めて四十一億ということで、貸付の残高に対しまして一・五七%程度になっているわけでございます。
  154. 川俣清音

    川俣委員 その中には必ずしも不良債権というふうにはみなされないものがあるのではないかと思うし、また、この消却引当金勘定は、普通の会社で言うと貸し倒れ準備金みたいなものだというふうに理解するのです。これは相当不良債権だというふうに私は一応理解したのですが、今の説明だと必ずしもそうではないのだし、そうすると、実はその準備金は少し多過ぎるのではないですか。もう少し貸付金の方へ回せるのではないですか。
  155. 清井正

    ○清井説明員 これは先生も御承知の通り、損益計算をいたしまして、毎年度支出と収入を差し引くのでございますが、普通利益金がありますとこれは国庫に納めることになっておるのでございますけれども、現在は滞貸し消却金として積み立てることにいたしております。毎年大蔵省の許可をとりまして積立金の方に回しておる現状でございます。それが、ただいま御指摘の通り、金額といたしましては、三十四年度の決算で三十五億四千八百万、滞貸し消却金として積み立ててあるわけでございます。これは損益計算上のことでありまして、最後の貸借対照表として出ておるわけでありますが、資金としては別な形で運用されておる、貸付ワクとは別に関係はないと考えております。
  156. 川俣清音

    川俣委員 その中の純然たる不良貸付といいますか、不良債権と申しますか、貸し倒れになるようなおそれのあるものはどの程度でありますか。また、業種別にどんな工合になっておりますか。
  157. 清井正

    ○清井説明員 なかなか一言で責任ある数字を申し上げることはむずかしいのでございますけれども、御承知の通り、私どもは、公庫ができましたときに、ほかの銀行で貸しておる資金を承継いたしておるのが三十三億ございます。ことにその中で復金貸付のものを承継しておりますが、公庫としてはこの債権勘定が一番問題になっております。これが全体といたしましては三十三億関係機関から引き継ぎまして、三十三億のうち二十三億は返ってきております。そうして、消却しましたものが二億九千万円ございまして、差引六億八千九百万円残高があるわけであります。そのうち、当然これは金融機関が保証しておるために入ってくるものもございますので、不良でなかなか返ってきそうもないと思われるものが、ざっくばらんに言えば復金貸付金のうち漁船貸付金が三億二千八百万円まだ残っております。塩業は七千五百万円残っております。この二つが一番大きなものでございます。漁船につきましては特別管理債権といたしましてこれを督促しておりますが、これは西の方の李ライン方面に出漁しておった船が相当多いのでありまして、そのために不測の損害を受けたために返そうにも返せなくなったというのがその言いわけでございます。これは、漁船でありますので、本人の意思よりは、漁況、気象その他の関係でやむを得ず延滞したというものも入っております。しかしながら、概念的に見ますと、私ども督促する場合に事務的に一番むずかしいのが、漁船の三億二千八百万円と塩業の七千五百万円が残っておりまして、このうち相当部分がどうしてもとれないことになるのではないか、今後努力はいたしますけれども、ざっくばらんに申し上げますと、そういうのが非常にむずかしい債権だと思います。
  158. 川俣清音

    川俣委員 時間がなくなりますから、この点はこの程度にしておきます。  次に、固定資産減価償却引当金がございます。固定資産の内容、種別、金額等があれば、この際明らかにしていただきたい。
  159. 清井正

    ○清井説明員 固定資産につきましては、予算書の中の財産目録に一部掲げてございます。私どもの固定資産といたしましても、ごくわずかな土地、建物等でございます。ただいま本店のほかに支店を八つ持っております。その建物につきましては、逐次建設をしておりますが、まだ半分ぐらいは借り入れをしておる状況であります。今後これは逐次自分の財産にしていきたいと思っております。業務用の固定資産はそういうものが大部分でございます。それの償却資金として三十六年度だけで七百万円予定しております。貸借対照表になりますと、三千二百万円の固定資産の償却費ということでございます。
  160. 川俣清音

    川俣委員 今の説明の中で、主として固定資産は土地と建物だということですが、建物の評価額はどのくらいで、土地の評価額はどのくらいですか。比率でもけっこうです。
  161. 清井正

    ○清井説明員 こまかい点はちょっと申し上げられないので、はなはだ恐縮でございますが、業務用の固定資産として、土地は六千六百八十七坪、金額として六千八百万円、建物といたしましては、八十八棟、延べ二千百七十九坪、一億三千百万円の財産目録上の固定資産であります。
  162. 川俣清音

    川俣委員 そうすると、これを合わせたものの減価償却ですか。どうもこの点は建物だけの減価償却とすると少し大きい。三十七年三月末で三千二百万となっておりますから、建物だけのものとしては、評価額一億幾らかに対して三千二百万は少し大きいように感ずるのですが……。
  163. 清井正

    ○清井説明員 ちょっと申し落として相済みませんでしたが、実は、土地が六千八百万、建物が一億三千百万でございますが、機械、器具、備品が、自動車とか金庫とかそういうものがある。それが二千二百万、合計いたしまして業務用固定資産二億二千五百万、それに対して三十六年度の予定貸借対照表として三千二百万、二億二千五百万に対して三千二百万の引当金、こういうことでございます。
  164. 川俣清音

    川俣委員 二億二千五百万に対しての償却だ、こういう説明ですね。間違いありませんね。概算でいいですが、間違いないですか。
  165. 清井正

    ○清井説明員 ただいま申し上げました業務用固定資産が二億二千五百六十一万、そのうちから、土地は償却しないので、これはうっかりして申しわけありませんでしたが、それを引きますので、約一億五千七百万ばかりが償却の見合いとなる固定資産ということになります。その見合いに対して三千二百万の引当金を出すということであります。
  166. 川俣清音

    川俣委員 総裁は農林省出身だから、土地の償却というものはおそらく頭に入れているわけはないと思ったのです。土地までを入れての償却なんということは少しおかしいですよ。そうすると、建物及び器具等の償却費だ、こう見てよろしいと思うのですが、しかし、それにしても、一億五千万に対する償却だとすると、少し多いように感じますが、これは今ここで即答を願わなくてもよろしいと思うのですが、一億五千万に対して三千二百万の償却というのは少し率が高いと私は思うのです。内容にもよりましょうが、あとの器具や何かはそう持っていないのでしょうし、自動車とかいうことになると償却率が高くなるのでしょうけれども、建物といいましても鉄筋コンクリートの建物だということになりますと、償却率が少し高いということになるんじゃないかと思います。あんまり小さいことまできょうは触れないことにいたしますが、少し内容を検討したいということだけを申し上げておきます。  次に、一つまた小さいことをお尋ねしますが、災害融資の場合は、公共団体には貸してくれないのでしょうね。個々の農業者と私は理解しているのですが、間違いですか。
  167. 伊東正義

    ○伊東政府委員 地方公共団体には貸しておりません。土地改良区がおもに借りているわけでございます。
  168. 川俣清音

    川俣委員 土地改良区でない場合でも、たとえば小さなため池の決壊あるいは小さい堤防の決壊などの災害につきましても貸付をいたしておるわけですが、そう理解してよろしいですか。
  169. 伊東正義

    ○伊東政府委員 数人で共同でやりますような場合もあるわけでございます。
  170. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますると、これは個々の所有者または所有者の団体または所有者の連合に貸すわけですか。そうすると、その目的は、その所有者の責任に帰すべき災害だ、こういうことで、補助でなしに融資されておるんでしょうね。そうじゃないのですか。
  171. 伊東正義

    ○伊東政府委員 災害の場合ですと、ある規模以上になりますと国の補助があるわけであります。それで、補助のある融資をいたしております。補助のない、いわゆる小災害につきましては、その者の責めに帰すべきというわけではないのでございますが、そういう小災害につきましては、実は地方公共団体で農業用施設につきましては起債でやっている場合もございます。そのほか、そういうことがない場合には、個人が借りまして復旧をするというのが小さなものにはございます。
  172. 川俣清音

    川俣委員 小災害、大災害というのは、その範囲の大きい場合は大災害で、面積の小さい場合小災害、こう言われておるわけですが、個人にとって深刻か深刻でないかというような意味ではないようです。  そこで、お尋ねしたいのは、かなり上流地帯の数人より居住しない地帯における堤防の決壊等については、これはほとんど補助がないのですね。耕地面積も少ないし、従って補助もないのですが、これは、結局、自分の費用でやるべきだ、それにた、だ融資をしてやるという融資の仕方、だと思うのですが、そう理解してよろしいのですね。
  173. 伊東正義

    ○伊東政府委員 今の御質問の点でございますが、今私申し上げました小災害といいますのは、法律の規定がございまして、一カ所の災害復旧費が十万円以下のものを小災害といたしております。それで、農業施設で上流から水路等で引っぱってきている施設が被害を受けたが、これが十万円以下だというような場合には、多くは地方公共団体、市町村等が起債でやっている場合が多うございます。それに対しまして二八・五という基準財政需要で見ていくというようなことが農業施設には実は行なわれておるわけでございますが、これは全般的でございませんで、関係の土地改良区なり、あるいは農協なり、あるいは数人共同で直しているというようなことがございます。
  174. 川俣清音

    川俣委員 そこで、お尋ねしたいのですが、結局は、補助なしに融資でやっておって、小さな貯水池を作ったりあるいは小河川のまた小河川のようなところの曲がり角に石がきを作ったりするような、そういうものが決壊した場合にその融資を出しておられるわけですか。そうすると、これらの損害は、公共用のものでなくして個人の負担に帰すべきものだ、こういうふうな理解で融資されておると私は理解するわけです。そうすると、その水というものは、これはどうもお前の責任で処理すべき水だ、こういうことのようです。そうなるんだと思う。ところが、それから下流に来ると、受けて立って、これは公の公共性の水だというのは、どうも水の一貫性から見ておかしいんじゃないですか。上流から流れてきて下流に水が来るのであって、上流に水なしには下流に水が来ないことは、これは明らかなんです。そうすると、上流の水の災害を受けたものはお前が負担をせよ、流れてきた水はおれのところで受け取っていくんだ、こういうやり方は、上流から穏やかに流れていくなら別ですが、上流から穏やかに流れてきて荒らさないようにするためには、かなり上流の個々の農家が負担をしているということになる。負担をしておるということは、当然上流に水利権が発生しているということになると思う。それを無視して、下流に貯水をいたしまして、これはおれの権限だと言うようなことは、おかしいんじゃないですか。
  175. 伊東正義

    ○伊東政府委員 御質問の場合、今の災害が農業用施設以外であれば、これは準用河川よりまた下の普通河川かもしれませんが、そういう場合の災害については、農民が負担しますよりも地方公共団体がやっておる場合が多いと私は思います。また、農業用施設につきましても、先ほど申し上げましたように、市町村がだいぶやっておるわけでございます。先生が今おっしゃいましたように、たとえば上の方を農民が直した場合に、下の河川の水の問題がどこの権利だというようなことはおかしいじゃないかというお話でございますが、これは一つは水利権の問題を御質問かと思いますが、日本の水利権といいますのは、大部分が慣行水利権でございまして、実は内容がはっきりいたしておらず、また許可ももらっていたいというものが多いようなわけでございますので、上に水利権がはっきりしているかどうかという問題が一つございます。もう一つ、下流にきまして、これはそこの権限というようなことをたしかおっしゃったと思うのでございますが、これにつきましては、準用河川以下の河川の流量その他につきましては、河川法の適用を受けて建設省が所管している。ただ、水利権の問題になりますと、これはまた別だというふうに思っております。
  176. 川俣清音

    川俣委員 この融資の対象にする場合には、公共性が薄いということで個々の経営の中で消化すべきだということで融資されておると思うのです。私はそう理解します。そこで、災害等が起きた場合に、その復旧については、下流で水を使用する者のために上流が犠牲を払っておるのだからして、公共施設の災害として補助を要望いたしましても、準用河川以下の小河川になりますと、常に災害としては取り上げられない。公共的な施設としては取り上げられないということになってくる。ところが、一方、建設省あたりは、上流の水利まで建設省の権限にあるがごとき主張をされるわけなんです。かなり上流にまで、準用河川のもっと上流まで権限が及ぶような説明がなされるわけです。その説明がなされれば、その上流の施設の災害についても国がやるべきでないかと思うのです。国がやらないで公庫融資でやれということになると、それは建設省の所管外だ、農林省の所管でも、しかも農林省の補助の対象でなくて公庫融資の対象の河川だ、こういうことで逃げているのでしょう。そうじゃないですか。あなたの管轄でも、補助の対象にならない、それは融資の対象の管轄だ、こういうことになる。ところが、その権限は、いわばおれの方が上流にまで権限が及ぶのだと言うならば、及ぶように施設を講じていかなければならぬと思う。これは農地局だって同じだと思う。その上流にまで権限が及ぶならば、その復旧等については当然公共災害としての補助なり助成なりが必要だと私は思うのですが、この点はどうですか。
  177. 伊東正義

    ○伊東政府委員 準用河川までは実は農林省で——準用河川の災害復旧をやっているところもたまにはございますが、これは建設省の権限でやっておるわけでございます。先生のおっしゃった準用河川でないそれ以下の中小河川の場合には、これが農業に非常に影響のあるところは農業で災害復旧をいたしております。それで、先ほど申し上げましたように、一カ所の復旧費が十万円以上ということでございますれば、補助を出しまして災害復旧の対象にいたしておりますが、小規模の十万円になりませんものにつきましては、実は、市町村の起債でやったり、あるいは数人共同してやったりしているというような形でやっているわけでございます。
  178. 川俣清音

    川俣委員 私の言うのは、下流になると施設も一カ所の災害が十万円ということになりますが、かなり上流になると、耕地面積も少ないし、ごく粗田でありますために、施設も大きくない。しかしながら、水源としては非常に重要な価値を持っているところがたくさんあると思うのです。下流の治水に非常に影響のある地勢にあるような場合も非常に多いと思う。従って、そこから崩壊し始めるというと下流に非常に影響が来るというような場合に、下流を考えておるわけじゃないけれども、かなり上流になると、田ばかりでなくて住居も侵されますから、その防備をするということになると思う。その施設が十万円以下だから災害の対象にならないということで放任されておりながら、その流れてくるところの水は下流の利水公団等に権利が生ずるのだなんていうことを言わしておかれないのじゃないかということが私の主張の重要な点なんです。この点どう思いますか。
  179. 伊東正義

    ○伊東政府委員 上流で災害の場合に、個人なりあるいは地方公共団体が直した場合に補助が出るという場合に、その水について下流の水利権者が権限があるかないかという御質問でございますが、それは、上の渓流その他を市町村が直したという場合でも、下の水利権者の水利権というものはやはりそのままあるのだというふうに思っております。
  180. 川俣清音

    川俣委員 下流に水利権があることは私は否定していない。しかしながら、負担なしに水利権というものは持続するものでない。問題はそこなんだ。水利権はあるでしょう。しかし、上流に対する負担なしに水利権は下流に発生しないのじゃないか、こういうことなんです。これは判例等もいろいろございますけれども、下流にいわゆる建設省が利水公団とか水源開発公団とかを作る場合に、上流に対する義務を負わないで権利だけ主張するような公団ができることは、十分農地局としては考えてほしい、これが結論なんです。一つ政務次官から答弁願いたい。
  181. 井原岸高

    ○井原政府委員 御趣旨よくわかりますから、そのように将来心がけて、建設省との折衝の場合にはお説のようなことも主張いたしたいと思います。
  182. 秋山利恭

    秋山委員長代理 芳賀貢君。
  183. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大臣が退席されたので、林野庁長官にお尋ねしますが、先ほどの私の質問の点は、林業経営の維持改善資金を新設するわけなのですが、その内容に対してこういうやり方が一番いいという長官の自信のある答弁を願いたいと思います。
  184. 山崎齋

    ○山崎政府委員 経営安定資金におきましては、その目的といたしますところは、第一点が、農家が林業経営を通じまして安定していくというような立場に立ちまして、二十町歩未満程度にまで——これは自由な売買を前提とするわけでありますが、林地を購入するということにつきまして、融資の措置を講じていくということが第一点に考えているものであります。これはあくまでも農家を前提にしておるわけでありまして、会社とかそういうようなものに貸し出すということは趣旨としていないというふうにお含み願いたいと思います。  第二は、そういう林地に農家が造林いたしました場合に、現在の制度におきましては、二年目、三年目等の手入れの金というものは造林費という形で貸し出しをすることができるわけでありますが、自後におきます枝打ちその他いろいろな経費につきましては、この造林費というもので貸し出しをしていくという制度ではないように考えまして、そういう金に対してもやはり経営安定資金貸し出していくということを考えて参りたいと思うのであります。  第三点は、いわゆる農業で申しますと収穫期にならないうちに農産物を売ると申しますか青田売りをするというふうな事例が、林業の場合には従来からも相当多かったように考えるのであります。それで、植えまして十年から十五年未満程度の造林というようなものを手放さなければいかぬというような場合におきましては、伐採までにまだ相当期間がかかるというような関係もありまして、それに投じました造林費を十分償うような価格で売買というものが現実に行なわれにくい、非常に不利な形で売買しなければいかぬというような場合も多いのであります。そういうような場合におきましては安定資金を貸し出すというふうにして、山村農家の林業経営、造林を前提にした経営というものを安定をさせていくということを考えたいという、三つを趣旨としておるのであります。
  185. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういたしますと、第一の点は、農業者であって林業を兼ねておる者について林地の取得を認める、そういうことなんですか。
  186. 山崎齋

    ○山崎政府委員 この考え方は、いわゆる農家という考え方でありますので、農業もやっておる、林業もやるというような者をやはり対象にして考えておるという趣旨に立っておるものであります。
  187. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その点、林業専業者がさらに経営拡大のために林地を取得するというところに重点を置くのか、農業を主体とした者があわせて付随的に林業を行なって経営安定を期するためにそういう林地の取得を希望する場合にこの資金を貸し出すのか、どっちに重点を置くのですか。
  188. 山崎齋

    ○山崎政府委員 林業の経営という点から申しますと、林業を専業にするものというような点から考えますと、五町歩とか十町歩程度のものでは、なかなか林業だけで食っていくという形にならないのでありまして、林業だけで生計を立てるというようなものは、やはり二十町歩以上とかというようなものを持ってこなければ、林業だけではなかなか経営できないというふうな実態にあるわけでありまして、また、山村の状況考えましても、林業だけで経営をしているというものは非常に少なくて、大部分農業者であるというふうな実態もあるわけでありまして、われわれといたしまして、この貸し出しの対象といたしましては、やはり、その農家が農業もやり林業もやる、あわせて生活の経済力の向上を期していくというところを主眼点にして考えていきたいと思っております。
  189. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは大事な点だと思うのですが、それは、繰り返すようですが、この農業者があわせて林業を営むために、たとえば現在は全然林地がないのに新しく取得しようという場合と、それから、この兼業を営んでおって、林地の保有面積が非常に少ない、二十町歩未満でさらに拡大したい、こういう場合に林地の拡大という、二様があるわけですね。全く林地がないわけだけれども、それを取得して兼業的な安定農家として精進したいという場合と、林地はあるが、非常に面積が過小だから、それに合わせて拡大のために取得したいという場合とあって、そして、その所有の限度というものは、二十町歩を限度として、それ以上に無制限にこえて取得する場合は対象にならぬ、大体そういうことですか。
  190. 山崎齋

    ○山崎政府委員 お説の通りでありまして、二十町歩以上に拡大したいというふうな者に対しては、この資金を貸し出すということはしないという意味でございます。
  191. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それから、取得する場合のいろいろな条件があると思うのですよ。たとえば、国有林とか公有林とかについてその農家が入会権を設定したとか、そういう林地とか林野に対して財産上の権利を持っておるという場合に、今後国の林業政策上の立場から、農家に対して林業をあわせて行なうことが農家の安定上望ましいというような政策に基づいて林野を開放するような場合もあり得ると思うのですが、そういう場合には、やはり優先的に、それらの権利を持っておる人たちに、この法律ができてからでも同じでありますが、それに基づいた取得資金を貸すということも今から予想しているかどうか。そういう点はどうですか。
  192. 山崎齋

    ○山崎政府委員 これの対象にしております農家が個人の山を買う、あるいは公有林とか国有林を買う、いろいろな場合がそれぞれの場合であると思います。それはどういう場合でなければならないというふうには考えてないのであります。やはり、その農家が林業を行ないまして経営が安定するというところを主眼にいたしておるわけであります。対象による区分というようなものをするという考え方は持ってないわけであります。
  193. 芳賀貢

    ○芳賀委員 しかし、実際問題として、そういう既得権がある場合の林地は、売買の場合も比較的安い価格で取得することが当然できると思う。何も条件も権利もないような造林地等を自由に買うということになると、農業者が買うということは事実上なかなかできないと思うのですね。一体、二十町歩になるまでは買えるだけの金を貸すというのですか。たとえば、林地が全然ない者が二十町歩売り物があるからこれを買いたい、これに対して何百万円貸して下さいと言った場合に、すぐ貸せるのですか。
  194. 山崎齋

    ○山崎政府委員 これは、二十町歩に達しなければならぬというようなことでは毛頭ないわけでございまして、現在一町歩なり二町歩持っている、そういう者が三町歩なり四町歩買い増したいということでこの林業経営充実していきたいというようなことをわれわれとしては予想しているわけでありまして、その場合でも最大限の面積が二十町歩でなければいかぬという制約を加えているわけであります。今お話しの通り考えているわけであります。その土地を買います場合に、従来の入会権の問題もそれぞれ話し合いの上で整理いたしまして買うという場合も、もちろんあると思います。そういう場合もこれの対象になることは当然であります。また、そういうところが今後こういう制度の対象として考えられるのではないかという点も、御承知の通り考えております。
  195. 芳賀貢

    ○芳賀委員 第二点の、林地に対する造林、手入れ等の資金をこの経営安定資金で貸すというのですが、これは長官もちょっと触れていますね。特にこの新しい制度でなければ貸すことができないということじゃないのですから、今までの前回の公庫法の改正の場合とか、従来の林業上の制度金融から見ても、長官の言った第二の点は、この維持改善資金でなければならないという点はそれほどの必要性はないと思うのですが、どうですか。
  196. 山崎齋

    ○山崎政府委員 第二の点につきまして先ほど申し上げました説明がやや不十分でありますが、御承知の通り、保育等につきましては、今までも造林地に対して貸し出しができないというわけではないと思うのでありますが、また、その場合に、保育と申しましても、防火線を作るとか、いろいろな関係仕事が付帯するわけでありますので、従来の造林のいわゆる手入れというふうな概念の考え方のみに入らないそういうものもこれで考えていくという考え方に変えたい、こういうふうに思っておるわけであります。
  197. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その点はあまり必要性を認めないのですが、それでは、第三の、伐期前のいわゆる青田売りの問題ですね。これも、たとえば伐調資金制度がありますから、伐期に達しないものについては十分その伐調資金が有利な条件で出せるのですからね。そういう意味で伐調資金というものがあるのですが、これはどういうことなんですか。
  198. 山崎齋

    ○山崎政府委員 伐採調整資金は、御存じのように、森林法でいいます、いわゆる利用伐期齢級以上、適正伐期齢級未満という一つの年齢の幅があるわけでありまして、たとえば杉等で申し上げますと、二十年生未満というようなものにつきましては伐調というものを貸し出す制度にはなっていないのでございます。そういう点をこういうもので補っていこうという考え方でございます。
  199. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは、たとえば林力増強計画を立てるとき、伐期制限というのは大幅に緩和したと思うのですが、どうですか。
  200. 山崎齋

    ○山崎政府委員 先ほども御説明いたしました適正伐期齢級と申しますのは、地域によってもちろん違いますが、杉等では大体四十年ぐらいが適正伐期齢級となっておるわけであります。利用伐期齢級は二十五年生ぐらい、二十五年生から四十年生程度のものが、いわゆる伐調資金貸し出しの対象になるというふうになっておるのでありますので、その利用伐期齢級に達しないものに対しては伐調資金というものは貸し出すわけにいかないという制度に現在なっておるのであります。
  201. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、たとえば農地法に比較した場合、いわゆる農地法の一号資金というのが農地の拡大資金、取得資金ということになるので、長官の説明の第一の点は、これはそういう拡大資金に大体見合うわけなんです。それから、第三点の、伐期前のいわゆる青田売り防止というような点は、これは自創法の四号資金ということになるわけですね。ですから、先ほども私は指摘したのですが、農地法の場合にはもう細目にそういう資金を融通する場合の内容と目的を区分してあるはずですね。あなたの方は、単に一条だけこれに入れて、経営の維持または改善に必要な資金、こういう全く簡単なことで、これは国民が読んでもわからぬでしょう。しかも、年がら年じゅう長官をやっておって、この公庫法改正をやる場合にこの一条の条文しか作れんかったということは、これは長官としてもまことにざんきにたえないところだと思うのですが、どうなんです。今後日本の農業というものはこういうことでやった方がいいという考えなんですか。
  202. 山崎齋

    ○山崎政府委員 われわれといたしまして、御存じ通り、基本問題調査会等で家族経営的林業というふうな問題がうたわれておるのでありまして、そういうものを積極的な目途といたしまして育成を考えていくというふうな前提に立ちますと、先ほどもお話のありました入会権というものがどういうふうにあるべきか、処理をすべきかというような相当めんどうな問題も解決してこれに臨んでいかなければならぬ。これを前提にして、場合によれば、強制でなく、ある程度の勧奨といいますか、そういうような制度も必要な場合もあるかとも考えますので、それらの点については今研究を進めておるわけであります。そういうものの一環として、こういう問題を今後さらに発展させていくという段階におきましては、特別の立法に基づいてこういう制度をやっていくというようなことも必要かと思うのでありますが、当初に申し上げました通り、現在におきましては、任意の売買というものを前提としてやっていくわけでありますので、特別の法律というものがなくても、今の公庫法によって十分やっていき得るのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  203. 芳賀貢

    ○芳賀委員 気持だけはわかる。こういう道を一日も早く開いておきたいというような意思はわかるのです。ただ、どろなわ式にこれをやって、あと根本的な問題を解決したり大きく発展させるためには、場合によってはこれが障害になるようなときもあると思うのですよ。この程度で公庫に預けても、清井総裁としても困ると思うのです。それは貸出要項とか業務方法書でいろいろ書くでしょうが、この一、二行だけで総裁の方でうまくやってくれということでは、ちょっと困惑すると思うのですが、いかがですか。
  204. 清井正

    ○清井説明員 私ども、新しい貸付の問題でございますし、法律の本文によりますと、告示によって具体的内容が私どもに示されることになるわけでございます。なお詳細な点につきましては、その後の実行計画において農林省の方と十分打ち合わせまして、この新制度趣旨に沿うように運営して参りたいと思っております。
  205. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、伊東局長にお尋ねしますが、やはり、この土地制度というものを全体から考えた場合に、農地とか草地、採草放牧地等は、これは農地用になると思う。林地は別だと言えばそれまでですが、やはり、今後日本の過小農を克服して農業と林業を包括したような意味の新しい農業の基盤を確立するということになれば、あわせて土地制度というものをどうするかということは、これは非常に基本的な問題として大事だと思うのですよ。ところが、林業の部面だけは売買が自由であるし、いつどうなってもかまわぬというようなことになって、農用地の点だけは現在の農地法で縛りつけておくということになると、そこに非常に矛盾が生じてくると思うわけですね。ですから、これはやはり基本的な問題として農林省の省内においても各局長や長官の間でいろいろ合議されたと思うのですが、そういう点に問題や矛盾は全然お感じにならなかったのですか。
  206. 伊東正義

    ○伊東政府委員 土地全般についての問題でございますが、これは、もっと広く考えれば、宅地とか林野という問題も出てくるかと思います。今御質問の点でございますが、農林省として土地をどういうふうに利用していったら一番いいのかということにつきましては、私どもは、現在農林省で土地の利用区分の問題を技術会議等が中心になりましていろいろな角度で検討いたしております。こういうものがある程度の結論が出ました上で、それではその土地をどうやって現実に利用していくのだというときに、また一つの制度として考えられる問題じゃないかというふうに思っておりますが、現在のところは、農地法の適用範囲というのは、先生おっしゃった通りでございます。これにつきまして、それでは林地との関係はどういうふうにしていくのだというふうなことは、現在は開拓審議会等である程度議論をするということはございますが、まだ全般の利用計画が立っておりませんので、そういうものをにらみ合わせました上で、制度としてどういうふうに考えるかという結論を出していきたいというふうに思っております。
  207. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは、今後畜産農業の発展とか、あるいは政府考えておる自立経営農家の育成なんということになると、やはり、この農地あるいは林地、そういう土地の相当大幅な移動が行なわれなければ、政府の企図しておる方向の実現というものはできないと思うんです。ですから、たとえばこの林地の売買が行なわれるという場合に、それをやはり必要に応じては農地法の角度から検討して、その機会にこれはやはり農用地に大きく活用する方が望ましいとか、これはやはり依然として林地として利用することが一番効率的であるというような、何らかの判断が行なわれる場所というものがあってもいいんじゃないか。これは今後の問題になるが、一応問題として提起しておきたいと思いますが、そういう検討の必要性はどう考えておりますか。
  208. 伊東正義

    ○伊東政府委員 先ほどお答えしたように、土地の利用区分の問題というのは、先生おっしゃったように、今後畜産が非常に伸びますとか何かになってきますと、やはり非常に大きな問題になりますので、問題の御提起がありましたが、われわれとしても当然これは検討しなければならぬ問題だと考えております。
  209. 芳賀貢

    ○芳賀委員 時間の都合で次に進みますが、この農業融資の中で、自創資金の点については、わが党の委員からもいろいろ質問があったが、ただ、今言った通り、二町五反以上の経営農家を百万戸育成するということになれば、概算しても百万町歩程度の農地がそれらの対象となる百万戸の方へ集中されなければならぬと思うわけなんですが、そういうことをただ宣伝だけで終わるのであれば別ですが、今後政府が具体的に促進するということになれば、そういう結果が出てくるんですね。そういう場合に、たとえば百万町歩ということになれば、幾らくらいかかるのですか。内地の府県では、上田といえば一反歩三十万円ぐらい、あるいは二十万円ということにもなるわけですね。二十万平均にしても、百万町歩ということになると、どのくらい土地の取得資金というものが要るわけですか。
  210. 伊東正義

    ○伊東政府委員 私の方で今計算して申し上げますが、自作農資金を見ましたときには、先生のおっしゃいましたように、十年間でどれだけのものを自作農資金の対象として農地の移動を行なうかという計画性を持たせまして予算を三十六年度に計上はいたしておりません。実は、過去の移動の実績から出しまして、そのうちで一体自作農資金でどのくらいまかなうかというようなことを、過去三カ年の農地移動の実績から出しまして、一応来年度百億というものを作ったわけでございますが、先生おっしゃいました百万町歩のうち初年度幾らというような計画性を持ってまだ計算したわけではございません。先生の御質問でございますが、約二兆円くらいの金額になるのではないかと思っております。
  211. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ですから、百万町歩を十年間に集中させるということは現実の問題として無理だと思うのです。それから、農家自身がそういう一反歩二十万、三十万の土地を自分の蓄積の中から取得する力というのはほとんどないんですね。ですから、あえてそういうことをやろうとすれば、大部分の取得資金というものを国の制度金融の中で解決してやらなければならぬということになると思うが、とにかく一年間に百億とか二百億というごく零細な政府資金を用意しても、なかなか自立農家の育成というのは、土地の集中の面から言っても、これは絶対に不可能であるし、そういうことはもうあなた方はわかっておると思うのです。そういうことがわかりながら、基本法や所得倍増計画に作文だけ書いておくというのは、これはちょっと無責任だと思うのですが、いかがですか。
  212. 伊東正義

    ○伊東政府委員 御質問でございますが、私ども、今の自創資金考え方で、先生のおっしゃった、たとえば百万町歩を全部自創資金でやりますというようなことは実は考えておりません。これは、土地の移動というものが実は全部自作農資金によるものでもございませんし、これで受け持つのは一部でございますので、ほかの資金等もございますので、先生のおっしゃいましたような、二町五反の農家を百万戸作るという場合には、単に自創資金だけでなくて、また自創資金もいろいろ検討する必要があると思いますが、いろいろほかの施策も全部相待ってやるもので、これだけでこれが可能だというふうには私も考えておりません。
  213. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その点はあとでまた聞きたいと思いますが、ただ、これだけは言えると思うのです。今の自創法によりますと、金利が五分で、償還年限が二十年、据え置きが三年ということになっておりますが、今度自創資金運用を主として農地の拡大資金の方へ重点的に充てるということになれば、やはり自創法の根本的な検討というものが必要じゃないか。今までは、消極的というか、自作農の現状維持という思想の上に立ってこの自創法ができておる。今度は、意欲的、積極的に農地の拡大をやらすということになれば、結局今の条件では順調になかなかいかぬということになると思います。社会党としては、先般、これを改正して、たとえば金利については年三分五厘にする、償還年限については三十年にして、据え置き五年というような、そういう成案を実は自民党の方へ示したわけなんですが、それに対しては同調を得られなかったわけなんですが、やはり、これからの発展というものを考えた場合に、この点については、やはり自創法の根本検討はどうしても必要であるというふうに考えるのですが、政府として検討して改めるような考え方の上に立っておられるのか、このままでいいということで当分見送るのか、その点はどうですか。
  214. 伊東正義

    ○伊東政府委員 自創法の問題でございますが、先生おっしゃいましたように、三十六年度からは、若干といいますか、一応規模をはずしましたり、あるいは取得の方に過去におきますよりも重点を置いているというようにしたことは確かであります。そのほか、もう一点、農家経済調査等から判断いたしまして、貸付限度を三十万というように三十六年度から直したわけであります。今後の問題として、私どもは、この自作農維持創設資金が現在のままでいいかどうかということにつきましては、これは今後の経済の発展その他の推移を見まして検討する必要があるのではないか。三十六年度は、先ほど申し上げましたように、経済調査から出しました三十万という貸付限度の引き上げを行なったのでありますが、将来の問題としては、私どもとしても検討しようというふうに思っております。
  215. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今お話のあった貸付限度についても、二十万を三十万にするということには何か意味があるのですか。
  216. 伊東正義

    ○伊東政府委員 三十万にいたしましたのは、これは農民諸君の貸付限度の引き上げの実は要望もございます。これは先生も御承知の通りでございますが、今までの二十万というものは、少し過去の古い経済調査を使っておりましたので、最近の経済調査を使い、また、もう一つは、ある程度、一町五反から二町ぐらいの間の層の農地移動の一件の平均を調べてみますと、二反ちょっとに実はなっております。そういうものに農地の価格をかけて、自作農資金にそのうちどのくらい依存するかというようなこともいろいろ検討いたしまして、両方相待ちまして、実は二十万から三十万に引き上げたような次第であります。
  217. 芳賀貢

    ○芳賀委員 十万上げたのが悪いとか反対というわけじゃないのですが、実は、わずか十万円を上げたということに効果的な意味が含まれておるかどうかという点です。私はその程度では何も意味はないと思っているのですが、それでは、どの程度の意味か効果があるのですか。
  218. 伊東正義

    ○伊東政府委員 今申し上げましたように、取得資金等の場合、現在の農地の移動、それから今後農家の経営の層を考えていきます場合に、現在よりもある程度高いところをねらったらどうだということを考えまして、その辺の層がどのくらい農地を取得しているかという一件の平均の面積を考えて実は積算をいたしておりますので、これは、その意味におきまして、従来二十万円というようなことで考えていた小さい層の農地取得の面積よりも若干引き上げたところまで買えるというような算出基礎になっておりますので、一つの意味と言いますれば、そういうことが私はあろうというふうに思います。
  219. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それは、従来の維持資金として貸し出す場合も二十万程度では計画が成り立たないのですね。それからまた、今後政府が意欲的に農地の集中を進めるということになれば、三十万程度では一反歩か一反五畝しか土地が取得できないということになると思うのです。ですから、社会党としては、無理にできもしない自立農家を作れなんということは毛頭考えていない。農地の大幅集中なんということは一つの夢想だと思っておりますが、それにしても、現在の自創法制度あるいは公庫運用から見ても、少なくとも貸付限度というものは五十万程度に引き上げる必要があるというふうにわれわれは考えておるのですが、いかがですか。
  220. 伊東正義

    ○伊東政府委員 これは実は償還の問題もございます。私ども予算要求のときには四十万という要求をしたことは先生も御承知の通りだと思うのでございますが、これは、先ほど申し上げました取得面積を基準にして考えたわけでございます。五十万でどうかというお話でございますが、取得の場合に三十万とか四十万という金額じゃ問題にならぬじゃないかということもおっしゃいましたが、見ようによりましては五十万という金もそういうふうに見られると私は思います。現在三十万まで上げましたが、これをあとどのくらい引き上げるかということにつきましては、先ほど申し上げました償還の問題もあり、今後の農地の移動等の問題もございます。そこで、そういうものを、三十六年一年経過してみまして、その上で判断したいというふうに思っています。
  221. 芳賀貢

    ○芳賀委員 自創法の問題は、社会党として独自の法案を出す予定になっておるので、議論をする気持はない。ただ、貸付限度が引き上げになれば、農業というのは収益性が非常に低いですから、結局それに合わせて貸付条件の是正を行なわなければ、局長の言ったようなことになると思うのです。これはその程度にしておきます。  次に、北海道畑地農業改善資金運用について、昨年度十二億円のワクを十億円に改訂しておるという経過があるのですが、これはどういうことで二億円減少したのか、その点を一つ。
  222. 坂村吉正

    坂村政府委員 御質問通り、三十五年度の寒冷地の資金は当初十二億を予定しておったのでございますが、年度の後半におきまして、実績の見込みがある程度検討がつきましたので、それから見ますと、十二億というワクが非常に大き過ぎるというととでございまして、一応十億ということに改訂いたしたわけでございます。ただいまのところ、大体七億九千万程度の実績見込みに相なっております。
  223. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、今までに寒冷地資金はどのくらい出しておりますか。
  224. 坂村吉正

    坂村政府委員 昭和三十三年が、七億に対しまして、貸付決定の実績は三千七百万円、三十四年が、十二億の当初計画でございまして、貸付決定実績は二億二千六百万円、三十五年が、十二億の当初計画でございまして、実績の見込みが七億九千万円という状況でございます。
  225. 芳賀貢

    ○芳賀委員 見込みじゃなくて、実際に今までどれだけ貸し出しておりますか。
  226. 坂村吉正

    坂村政府委員 三十三年、三十四年は実績でございます。三十五年は、まだ年度が終わりませんから、実績見込みで申し上げたのであります。
  227. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、三十五年度の分については七億九千万貸し出せるというはっきりした見通しに立っているのですか。
  228. 坂村吉正

    坂村政府委員 今のところの調査では、七億九千万というものが貸し出せるであろうという見込みでございます。
  229. 芳賀貢

    ○芳賀委員 従って、今局長の言われた通り、毎年度の計画でいけば、七億、十二億、十二億ですから、三十一億になるのですが、一方、実績の面においては、私の承知する範囲では、見込み分を除けば、大体五億円程度しか消化されていないわけです。それには大きな原因があると思う。その対象農家にそういう需要がないから資金が余ったというのではないと思う。せっかく法律ができても、この法律の精神に基づいた貸し出し運用上行なわれてないから、毎年貸出計画を立てても、全くこれが消化されない。そういうことは不届きだと思う。それをどういうふうに改善すれば運用上当初の計画が消化できるか、そういうことは調査検討されておると思うので、今後どうやればいいのだということを政府の方から説明してもらいたい。
  230. 橘武夫

    ○橘説明員 ただいまの御質問は、貸し出しが非常に進んでいないことについて、今後これを改善するためにどういうことを考えているかという御質問であると思いますが、私ども、いろいろ考えておりまして、その原因というのは幾つかあると思います。たとえば、この貸付の手続が、営農改善計画の作成でありますとか担保の徴収でありますとか、かなり複雑な手続をとりますために、それがどうしても貸付の消化を阻害するというようなことでございますとか、あるいは、貸付をいたします対象の農業者をこの法律の趣旨からして一応中庸以下の規模の農業者というふうに考えておりますが、その中庸以下という考え方がかなり固定的、画一的に運用されるきらいがあるということから、そのために、本来貸付を受けてしかるべき者に対して貸付が必ずしも行なわれないことがあるというようなことでございますとか、それから、なお、この貸付に対しましては、北海道庁なり町村が、そういう普及なり営農改善計画に対する指導というものを非常に綿密にやるようにいたしておりますが、町村なり、農協でありますとか、そういうようなところの指導の体制というものが必ずしも万全に整っていないために、そららの方からおくれることがあるというようなこともあるいは考えられるかと思います。なおそのほかにも原因があろうかと思いますが、今申し上げましたようなことにつきましては、たとえば、貸付の手続、営農改善計画の様式でございますとか、記載事項でございますとか、そういうような書類は、今度の三十六年度からできるだけ簡素化するということで、今一応案を作りまして、簡素化する方向で準備、検討いたしております。それから、貸付の対象につきましても、今言ったような、たとえば平年の農業所得三十万円というようなことで画一的になっておりましたものを、そういうような数字的なワクを一応はずしまして、弾力的にその点は考えていくというようなことで、そういう面からの障害というものはできるだけはずして本来の趣旨が達成できるようにということで、運用の面で改善できることはできるだけ改めてもらいたいということで検討いたしております。
  231. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この場合、特に担保権の設定について問題があると思うのです。従って、各対象になった市町村におけるグループの内容を見ても、たとえば住所変更の手数料とか、地目変更手数料とか、抵当権の設定の費用とか、謄本あるいは保証書代書の手数料とか、いろんな抵当権を設定するための手続とか経費が非常にかさんでおるのです。借入人別にすると、少ないので五千円、多いのは二万何千円というような、そういう手続上の費用がかかっておるわけですね。全く罪人を相手にしたような形で計画や手続をやらしておるのです。ですから、やはり、抵当権の問題等についても、回収ができるという見通しのある、たとえば保証の制度とか、あるいは市町村が債務保証等をやるような熱意を示した場合においてはそれでも貸し出しができるという程度まで緩和しなければ、全部これは抵当権を設定しなければだめだということになると、なかなか手続上の作業の期間も長引くし、煩瑣でできないということになるのです。そういう点はもう根本的な改善をする必要があると思うのですが、どうですか。
  232. 清井正

    ○清井説明員 御指摘の点は、私も、実は、この貸付がきわめて不振であるということの原因の一端として、今御指摘があったようなことがあることを承知いたしております。ことに、北海道のごときは、地域的な事情がございまして、特に内地のように登記所が近くにあるわけではございませんので、そこに行くだけでも相当の交通費がかかるとか、この間に関していろいろな費用がかかりますので、非常に困る。そのことが借り入れが円滑にいかない原因であるということも私は十分わかるのでありますが、さりとて、私どもの立場といたしましても、何かこれを簡易化していわゆる抵当権等の設定をいたさないということにいたしますれば、何かこれにかわるほかの方法を考えざるを得ないということになるわけでございます。ただ、一般に開拓地に今御指摘の問題が特に現われておりますが、これは実は農林漁業金融公庫全般の問題についてそういうことが現われております。借り入れる方は全部農家でございますので、そういう場合に、そういうことの手続をするということに非常にめんどうがかかりますので、何とか簡単にすることはできないかという話をほかの貸付の場合も聞くわけでありますが、私も、できたら何とかしたい、こう思いながらも、私ども金融機関建前として、債権管理上、担保権を設定するとか保証人を立てるとかということが普通のやり方になっておるわけでございます。この点について、今もちょっとお話がございましたが、町村の方で何かめんどうを見るとか、あるいは何かこれにかわるべき方法がみつかれば非常にいいのではないかと思いますが、少なくとも現状においては、簡単にこれをやめるというわけにいきませんので、その間なおどうかしてこの手続が簡単にいき、また費用もかからないようにするような方法はないものかということで、今私どもの中でも実は役所の方と相談して検討いたしておるのでありますが、どういう名案が生み出せますか、実は私もこの貸付不振なことについてははなはだ残念に思っておりますが、その一端の原因になっておる点は御指摘の通りでございますので、十分一つ検討させていただきたいと思います。
  233. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、運営上の問題については、その欠陥とかあるいは原因を十分明らかにして、やはり指導的に改善してもらって、そして、法律の目的は貸すためにできた法律ですから、貸さぬためにそれを運用するということになると、これは非常に好ましくないことになると思いますので、そういう具体的な方針が整った機会には当委員会に報告してもらいたいと思うのです。  それから、貸し出し上の問題ですが、これは御承知のようにセット融資になっておるわけですが、その場合、たとえば乳牛については、購入資金を貸し出すというのでなくて、国有貸付牛の制度に合わせて、現物、乳牛を貸付するということになっておる。ところが、その資金貸し出し貸付牛の貸し出しというものはうまくいっておらぬ。ですから、この資金を借りてりっぱな畜舎だけはできたが、国有貸付牛がまだ到着しないということで、金を借りて畜舎だけはできたけれども、安田さんの方から牛が届かぬというような事例もあるわけです。ですから、こういう点は、やはり運営上、畜舎ができたら乳牛も到着するということにぜひすべきだと思うのですが、こういう点についてはどうですか。
  234. 安田善一郎

    ○安田政府委員 酪農振興法を御制定願いまして以来、集約酪農地域、あるいは酪農経営改善地域、あるいは周辺地域等においては、その精神でやれということになっておりまして、徹底を欠いたうらみがございますが、三十六年度は特段に研究をいたしまして、さらに範囲を各種の重要畜産にわたりまして、主産地形成の予算等も計上いたしました。運用といたしましては、畜産施設の補助事業融資しよう、草地改良事業の補助事業融資しよう、家畜導入の国有貸付補助融資事業につきましては、それらを総合的に補助融資として、集団的、主産地的に合理的な地域を形成いたしますように、経営もその趣旨で発達いたしますように、研究し実行するつもりでおります。それらはまた計画を立てる場合にも補助するなどの予算を計上して実行する予定にしております。
  235. 芳賀貢

    ○芳賀委員 もう一点問題になるのは、この貸し出しについては計画の八割に押えるということでいっておるようですが、それが総体の八割ではないのですね。セット融資ですから、その計画内容の個々の八割で全部押えていく、ですから、そこにも非常に欠点がある。たとえば農機具等はやはり十割なら十割ということを可能にするような方針を立てる必要があると思う。そういう場合には総体の八割ということで内部的な調整ができるということにすれば、それは可能なんだが、農機具も八割、畜舎も八割、何もかも全部八割以内ということでいくと、セット融資の特性というものが減殺されると思うのです。ですから、これはやはり、八割で押えるということもやむを得ないとしても、その場合には総体で八割ということにして、内容については、種目によってはやはり弾力性を持たせる、こういうことは運用上可能だと思うのですが、どうですか。やはり個々に八割以内ということでやらねばいかぬですか。
  236. 清井正

    ○清井説明員 確かに問題点のところだと思います。特に寒冷地の問題は、セット融資ということが建前でできたのでございますけれども、実際問題としては、完全なセット融資になっていないことは御承知の通りであります。従って、私ども公庫で貸し出す場合においても、土地改良は土地改良、共同利用施設共同利用施設、主務大臣指定施設は主務大臣指定施設というふうに、別々に貸付を実行いたしておるわけでございます。従って、手続等はなるべく簡単にいたしまして処理するようにいたしておりますが、資金計画といたしましては、それぞれ別々に計算いたしておりますので、それぞれの八割ということにただいまいたしておるわけでございます。それを、ただいまお話しの通り、全体の八割ということで、種目によっては全額お貸しすることは、確かにセット融資の非常に利益のある点だと考えますけれどもこれを直ちに私どもだけでやりますとははっきり申し上げられませんけれども、今後これは役所とも相談いたしまして、私どもとしては、せっかく作ったことでございますから、その目的を達成するようにできるだけ多くの貸付をしたいということで、手続その他も、そういう面から十分役所の方と相談いたして参りたいと思います。
  237. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この点は経済局長の方はどうですか。
  238. 坂村吉正

    坂村政府委員 ごもっともなお話でございまして、先ほどもいろいろお話がございますように、運用の面についてはいろいろ問題がありますので、十分運用上の問題については今後関係局と一体になって検討したいと思います。
  239. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これで大体質問を終わりますが、最後に、先ほどの林業の維持改善資金運用について、法律ではこの程度ですが、具体的に、これに関連した政令とか、省令とか、あるいは公庫貸し出し要項とか、業務方法書等についても、法律を出す以上は何か案が出ていると思うのですが、それは今お示しになれますか。
  240. 坂村吉正

    坂村政府委員 いずれ詳細の面については業務方法書等でこれをきめることになるわけでございますけれども、一応の考え方といたしましては、貸付対象の規模は、先般林野庁長官から御答弁ございましたように、二十町歩以内ということで考えておるわけでございます。それから、貸付金の最高限度等につきましても、これは、おのおの、経営資金あるいは林地取得資金あるいは安定資金等につきまして、必要な貸付限度等も設けたい、こういう工合に考えておるわけでございます。
  241. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その大事な限度をどうするのですか。
  242. 坂村吉正

    坂村政府委員 昨日もお答え申し上げたのでございますが、まだ最終的な決定には至っておりませんけれども、今のところの見当では、経営資金につきましても、あるいは林地取得資金につきましても、大体最高限度五十万円から六十万円くらいのところで一つ考えたらどうかということで、今事務的に大蔵省といろいろ話し合いを詰めておる段階でございます。それから、安定資金につきましては、大体三十万円ないし四十万円というような線で一つ考えたいということで、話を詰めておる段階でございます。
  243. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それが多過ぎるとは考えないのですが、自創と比べた場合、自創法の場合では、その大事な農地の取得等について、今度業務方法書の改訂をやってわずか三十万円でしょう。林業は、一行法律を加えただけで、五十万、六十万ということになるとすれば、一体この均衡というものはどうなるのですか。ここらに問題があると思うのです。農地の自創法の方は、ああいうりっぱな法律が三十年来できて、今ごろになってやっと三十万円が妥当だというような引き上げを行なう、そして、公庫法の一部改正だけで最高限度六十万円まで貸せるということになると、やはり比較した場合にも問題があると私は思うのです。だから、林業のこれが妥当だとすれば、当然自創法の方も最高六十万円ということに同時的に業務方法書の改訂をするというところにいくべきだと思うのですが、どうですか。
  244. 坂村吉正

    坂村政府委員 自創資金とのバランスの問題もございますが、農業の場合と、それから林地を買い入れます場合と比べてみますと、農業は一年一作で、林業に比べれば資金の回転が非常に早いわけでございます。そういうような意味からいたしまして、農業に比べてもある程度大きな金額を貸す方が実情に沿うのではないかというふうなことを考えておるわけでございます。
  245. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いや、それはおかしいですよ。農業の場合も林業の場合も、問題は土地を取得するわけでしょう。土地の上に樹木が育成しておるだけであって、土地の価格から言えば農地の方が高いですよ。立木等合わせて評価した場合は、これは地上に相当樹木が成長しておる場合はそれを含めてあるいは反当の価値が高いとしても、土地として、農業用地と、それから農業用地に適しなくて造林適地という場合の土地の価値ということになれば、これはもう、りっぱな農地の一割くらいの値段とか、あるいは三割くらいの価値しかない。地上の財産とか物件というのは別だと思う。そういうものを合わせて取得するということになれば、それは伐採して処分することも可能であるし、そこにまた造林事業をやる場合には別な造林資金が十分有利な条件で貸し出されるわけですから、土地と切り離してこれは考えることができる。それが多過ぎると言うのじゃない。自創資金の限度というものが引き上げて三十万しか貸し出し得ないというところに相当大きな問題があると思うのです。そういうことでいいんだとすれば、もう少し法案審議を延ばしてもらって、あらゆる方面から検討する必要があると思う。
  246. 坂村吉正

    坂村政府委員 先ほども申し上げましたよう、まだ最終的に決定しておる段階ではございませんけれども、そういう見当で、いろいろ事務的にこまかく進めておる段階でございます。しかしながら、林地の取得資金の場合におきましても、先ほど申し上げました理由のほかに、この場合においては最高限二十ヘクタールということで押えておりますので、大体平均の林地取得の面積等につきましても、ある程度はじいてみますと、ある程度のところで押えておかなければいかぬだろうというふうな感じもいたすのでございまして、そういうようなものをいろいろ考えてみますと、どうしても五十万あるいはそれ以上のものが要るのではないかというふうに考えておるわけでございます。それから、経営資金の場合におきましても、これは、先ほども申し上げましたように、経営資金としてつぎ込みましても、これの資金の回転もおそいということもありますし、それから、金をかける場合におきましても、今までの実際の計算等から見まして、大体この場合も五十万円あるいはそれ以上のものがどうしても要るのではないかというふうに、私どもは今考え検討しておる段階でございます。
  247. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これはくどいようですが、この維持改善資金というのは、取得資金と、現在の経営を持続するためのいわゆる維持資金ということになるわけで、それ以外の造林資金とか、そういう経営上の回転する資金というものは別途に公庫から出るわけですから、そういうことを考えた場合には、当然自創法との関連で限度というものは設定すべきだと思うのです。局長で答弁できなければ、農林大臣が来てから大いに議論したいと思う。
  248. 坂村吉正

    坂村政府委員 もちろん、自創法との関連も十分に考えまして、しかも、林業あるいは林地の取得、または林業の経営、こういう実情も十分考えまして、そうして限度をきめるべきであろうというふうに考えておるのでございます。ですから、自創法との関係も無関係考えておるわけではございません。
  249. 芳賀貢

    ○芳賀委員 たとえば林地を二十町歩に押える場合、農地法の方から言うと、北海道は農地十二町歩、採草地二十町歩でしょう。内地府県は県別に違うが、平均すると農地三町歩、採草牧地五町歩でしょう。その最高限度まで取得するということは制度上可能なのです。ですから、林業の維持改善資金で二十町歩までの取得をこの公庫法で認めるとすれば、やはり、農地法関係も、三町であるとか五町であるとか二十町歩という限界まで資金の融通ができるということが一つの目安になってしかるべきだ。それを、あくまでも、自創法関係の農地の取得については三十万円でも十分だ、林地の場合は六十万円まではいいというようなことは、全く根本的に不合理ですよ。そういうことが妥当だとか正しいと言うのなら、これは法律の上には載っておらぬが、運営上やはり一番大事な点ですから、もう少し時間をかけて審議する必要があると思います。別におどかすわけじゃないのですが、これは大事な点ですからね。
  250. 山崎齋

    ○山崎政府委員 林地取得の場合にいたしましても、ほんとうに現在全然持っていないで二十町歩買うというような場合には、五十万ないし六十万前後の金でそれだけのものを買うということはとうていできないという現実にあるわけでございます。平均的に見れば、五、六十万の金では六町歩前後が買える限度ではないか。金額的にはそういうふうになっておるわけでございますから、ゼロから出発して二十町歩買うことに対する金額ということにはなってないのであります。
  251. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それは農地法の場合も同じですよ。たとえば、現在農地を所有していなくても、小作人であったとか、あるいは今後農地を取得して農業に精進する見込みがある者については、その取得を認めるのですからね。そうすれば、農地の平均三町歩という場合も、反当十万円にしても、三町歩取得する場合には三百万円以上の取得資金が要るわけです。三十万で三町歩買えるということはだれも言ってないわけです。ですから、あなたの場合の二十町歩の場合にも六十万円で足りぬことはわかります。同様に、農地法の関係から見ても、やはり三百万も五百万もかかる。それを、林業の方は六十万までは認めるが、農地の自創法の関係は三十万しか認めぬというところに問題がある。林業関係だけは非常に優遇する。それは林野の収益を自参金みたいな形で持ち込むからおれの方はうまくいくのだということであれば別だが、制度から見ればそういうものじゃないと思うのですよ。そういうことがけじめがつかぬで、それをただ単に業務方法書だけで適当に政府がやれるというところになお問題があると思います。われわれとしては、そういう矛盾のままで法案審議を終わるわけにいかぬと思います。  委員長、どうですか、そういうことですから、数日間これは審議を必要とすると思います。
  252. 坂村吉正

    坂村政府委員 先ほどから申し上げましたように、まだ最終的にはこの貸付限度額等もきまった金額ではございませんで、そういう気持で検討しておる段階でございますので、十分自創資金とのバランスも考えまして検討していきたいと思っております。
  253. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、きょうはこれ以上質疑を続けるということも無意味ですし、今経済局長が言われた業務方法書等の点について、十分整ったものができるまでということを言っておるのですから、それまで私の質問を保留して、政府案に対しても政府部内において十分検討を加える、そういうことで、きょうは保留しておきます。
  254. 井原岸高

    ○井原政府委員 これは芳賀先生に御了解願えるかどうかわかりませんが、私の考え方としては、御承知のように、林地を取得いたしましても、植え付けて何十年かしませんと、これから経済効果というものがあがってこない。それまでにずいぶん長い時間がかかるわけであります。一方、農地の場合は、作付によりましては翌年からすぐそれだけの収穫があがってくるのでありますから、額の相違はございましても、実際上回転がそれだけ早いわけでございますので、そういう考え方からいきますと、今のような六十万とか三十万とかいうつり合いは無理じゃないのじゃないか。しかしながら、三十万自体も、芳賀先生御指摘のように、実際小さいわけでございまして、そういう意味では将来また政府でもっと額をふやせるようなふうに考えていくべきであろうかと思いますが、今回の場合はその程度のことで御了承願えないものか、私としてはさような御解釈を願いたいと思っております。
  255. 芳賀貢

    ○芳賀委員 あなたの言うようなことで了解するなら、局長の答弁で十分われわれは満足するのですよ。今あなたは重大なことを言っているのです。それなら、農業よりも林業の方が不利だからというわけですか。比較的不利であれば、何も林地を買ってそういう利益のあがらぬ無理な仕事をやる必要はないじゃないですか。農地を取得した方が有利であれば、その方に資金を回せばいいんですからね。根本的な問題は、そういう問題ではないと思うのです。何も政務次官には質問していないんですよ。今勝手にそういう発言をするから注意している、だけであって、そういうことで納得をするとかなんとかいうことではなくて、これは根本的な制度上の問題ですからね。しかも、一方において三十万が自創法から見て妥当であって、林業の維持安定資金の方は六十万が妥当だからという、そういう理論的な根拠のないような発言というものは一切慎んでもらいたい。われわれは、まあまあ主義でやるということではなくて、真剣に法案と取り組んでいるのですからね。ですから、政府法律案を出す場合には、一番大事な貸付限度の方針もきまらぬでそういう未熟なものをここに出すべきじゃないのですよ。業務方法書の内容等も全部整え、政令とか省令とかも必要あれば全部用意して、さあ、審議して下さいというのがあたりまえで、法案さえ通ればあとはどうなってもかまわぬという態度というものはいけない。だから、これは方針がきまるまでわれわれとしては待つよりしようがないでしょう。
  256. 井原岸高

    ○井原政府委員 決してどちらが有利だということを申し上げたわけではないので、林業の場合は、それだけ長く経済効果があがりますのに時間がかかるものですから、やはり、それだけ大きい額を融資いたしませんと維持経営できぬという立場から六十万円ということで、一方、農地の場合は、取得いたしまして、作付によりますと翌年からそれだけの効果が現われる。従って、三十万円とはいうものの、回転速度が早いというようなことで、三十万、六十万という一つの限度を置いたのであります。
  257. 秋山利恭

    秋山委員長代理 明三十日は正十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十一分散会