○芳賀
委員 たとえば、ただいま
審議中の
農林漁業金融公庫法の一部を改正する
法律案についても、昨年の国会においても改正案が
審議されたわけであります。これは昨年の三月二十九日に改正
法律案が成立しまして、その際当
委員会が全会一致で附帯決議を議決しておるわけです。大臣はその当時まだ農林大臣でなかったので記憶はないかしれませんが、こういう決議の内容であります。
農林漁業金融公庫法の一部を改正する
法律案に対する附帯決議
政府は、左の如く措置すべきである。
一、
公庫の原資は借入金に依存する度合を次第に増大し、昭和三十五年度においては最悪の事態に立至っていると認められるが、かくては
貸付業務の円滑な遂行に支障をきたすおそれがあるので、
長期低利資金に対する農林漁業者の需要の
増加に対処し、今後の
資金計画を作成するに当っては、すくなくとも借入金と同額又はそれ以上の
政府出資金の確保に努めること。
二、酪
農業の生産基盤の整備と乳業の
近代化を促進するため、すくなくとも酪農振興法に規定される集約酪農地域および酪農
経営改善地区内において生産される牛乳の処理加工施設の新増設または改善に必要な
長期低利資金については、これを本
公庫から融通し得る途を拓くものとし、速やかに所要の法制上及び財政上の措置を講ずること。
三、都道府県営土地改良
事業の経済効果が生じない以前に、
公庫貸付金の償還が始まることのないよう、
事業の七年以内の完成に必要とする補助予算を確保するものとし、もし
事業の完成期が遅延するおそれがあるときには、
農業者に過重な負担を強いることとならないよう適切な救済措置を講ずること。
右決議する。
こういうことになっておるわけであります。
一つは、これは最近の
公庫の
資金構成を見ると、結局、その借入金がふえて
政府の出
資金がふえないという傾向にありますので、自然にコスト高になっておるわけです。これは
政府委員からも説明された点でありますが、結局、この第一についてもいささかも改善の
努力が示されていないのであります。第二点については、昨年当
委員会が附帯決議を行なっただけでなくて、数度にわたってこの種の附帯決議が行なわれておるのでありますが、昨年までついに
政府が実施しておらぬので、昨年さらに最後的なだめ押し的な決議を第二項でつけたわけです。第三項については、これは都道府県営の土地改良
事業の完全なる実施等についての
融資措置の問題でありますが、この第三点についても、今年度の
農林省の方針あるいは予算の内容等を見ても、いささかも改善とか実行の熱意が示されていないのです。ですから、尊重します、だけではこれは済まぬ問題だと思ってお尋ねしたわけです。特に、この点については、附帯決議をつけたときに当然
政府の意見をただしておるのでありますが、その当時も、これは小枝政務次官が
政府を代表してこういう答弁をしておるわけです。「ただいまは
農林漁業金融公庫法の一部改正につきまして全会一致をもって御決議をいただきまして、まことにありがとうございました。」——感謝しているのですよ。「ただいま満場一致御決定になりましたこの附帯決議につきましては、それぞれ三項目にわたる重要なる決議がなされたわけでございまして、私ども
政府当局といたしましても、その御
趣旨を尊重いたしまして鋭意善処いたす所存でございます。」、
通り一ぺんに言ったといえばそれだけですが、もう少しほんとうに
委員会の意思を尊重するのであれば、今回の法律改正案の中においても何らかの措置が講ぜられておってしかるべきだと思うのです。この点に対して、あのときだけの答弁で、尊重の意思がこの件についてもなかったのであればなかったという点を明らかにしてもらいたい。