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1961-03-28 第38回国会 衆議院 農林水産委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月二十八日(火曜日)    午前十一時二十一分開議  出席委員   委員長 坂田 英一君    理事 秋山 利恭君 理事 大野 市郎君    理事 小山 長規君 理事 田口長治郎君    理事 丹羽 兵助君 理事 角屋堅次郎君    理事 中澤 茂一君 理事 芳賀  貢君       安倍晋太郎君    飯塚 定輔君       倉成  正君    小枝 一雄君       田邉 國男君    中馬 辰猪君       寺島隆太郎君    内藤  隆君       野原 正勝君    福永 一臣君       藤田 義光君    本名  武君       松浦 東介君    森田重次郎君       八木 徹雄君    片島  港君       北山 愛郎君    東海林 稔君       山田 長司君    湯山  勇君       稲富 稜人君    玉置 一徳君  出席政府委員         農林政務次官  井原 岸高君         農林事務官         (農林経済局長坂村 吉正君         林野庁長官   山崎  齊君  委員外出席者         農林事務官         (農地局管理部         農地課長)   山路  修君         農林漁業金融公         庫総裁     清井  正君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 三月二十四日  委員片島港君辞任につき、その補欠として成田  知巳君が議長指名委員に選任された。 同日  委員成田知巳辞任につき、その補欠として片  島港君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  理事小枝一雄君及び石田宥全君同日理事辞任に  つき、その補欠として田口長治郎君及び中澤茂  一君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任の件  参考人出頭要求に関する件  委員派遣承認申請に関する件  森林開発公団法の一部を改正する法律案内閣  提出第四五号)  公有林野等官行造林法を廃止する法律案内閣  提出第四六号)  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第九八号)  農業協同組合合併助成法案内閣提出第一一二  号)      ————◇—————
  2. 坂田英一

    坂田委員長 これより会議を開きます。  この際理事補欠選任についてお諮りいたします。  すなわち、理事小枝一雄君及び石田宥全君より理事辞任の申し出がありますので、これを許可し、その補欠として田口長治郎君及び中澤茂一君をそれぞれ委員長において理事指名するに御異議ありませんか。
  3. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認め、さように決しました。      ————◇—————
  4. 坂田英一

    坂田委員長 次に、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。  委員長において必要と認めた場合は、静岡県由比町における地すべりによる被害状況調査のため、現地に委員を派遣し、その実情調査いたしたいと存じます。つきましては、派遣委員期間等の決定について委員長に御一任を願い、議長に対し委員派遣承認申請を行たいたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
  5. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認め、さように決定いたしました。      ————◇—————
  6. 坂田英一

    坂田委員長 次に、内閣提出農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案農業協同組合合併助成法案森林開発公団法の一部を改正する法律案及び公有林野等官行造林法を廃止する法律案を議題とし、質疑に入ります。  本日は主として農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案に対する質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、これを許します。角屋堅次郎君。
  7. 角屋堅次郎

    角屋委員 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案提出されておりますので、この問題を中心に、農林金融のこれからのあり方というような問題を含めて数点お伺いいたしたいと思います。  御承知通り、一昨年から昨年にかけまして農林漁業基本問題調査会農業関係の諸問題についていろいろ討議がなされ、その結果に基づいて、昨年の五月、農業の基本問題と基本対策という答申がなされたわけでございますが、その中で農業政策投融資という項が特別に設定をされまして、そこで農林漁業基本問題調査会が考えたこれからの農業政策推進方向に即応した投融資あり方というものが説明されておるわけであります。今度の農林漁業金融公庫法の一部改正の場合においても、これら農林漁業基本問題調査会答申の中身というものの検討の上に立っておそらくなされておることと思うのでありますが、具体的に、こういう農業政策投融資という答申と今度の新年度の中で打ち出してきた農業金融あり方という問題の検討経過について最初にお伺いしたいと思います。
  8. 坂村吉正

    坂村政府委員 お答えいたします。  今度の基本法、あるいは基本問題調査会等におきましても、農業近代化を進めていきます場合におきまして、従来のいわゆる補助金行政といいますものばかりではございませんで、特に金融の面に相当力を入れて、農業に合いますような、そういう金融をつけていく、こういうことを非常に大きな課題として考えておるわけでございます。その線に沿いまして、今度の三十六年度予算におきましても金融その他の措置を講じておるわけでございます。  御承知通り、現在の農業金融制度は、きわめて長期低利融資制度といたしましては農林漁業金融公庫融資という制度がございまして、そのほか、一般のいわゆる経営資金といいますか、そういう短期資金につきましては、御承知通り農業協同組合系統においてこれをまかなっておるというものが大部分でございます。その中間にございまして、ある程度政府あるいは地方公共団体等利子補給をし、あるいは債務保証あるいは損失補償、そういうような制度をあわせて加えまして、いわゆる制度金融、こういう工合に申しておるのでございますが、たとえば、今までの例で申し上げますると、有畜農家創設資金であるとか、あるいは農業改良資金であるとか、あるいは災害の場合におきましては天災融資法融資であるとか、そういうようなもので、いわゆる政府系統の金を使いまして、これに対して利子補給をして利子を下げて、あるいに信用強化のために債務保証をする、あるいは損失補償をする、こういうようなことをやって参っておるのでございます。今後の問題といたしまして、とにかく、農業金融といいまするものは、特にやはり低利長期のものが必要である、同時に、信用力農業には非常に少ないのでございますので、信用補完ということを十分考えていかなければならぬという問題があるのでございます。農林漁業金融公庫の面におきましては、今まで三十五年度において五百十七億の融資額でございましたが、三十六年度におきましては六百億というふうに非常に拡大をいたしまして、そしていわゆる長期低利融資をやっていきたい、こういう工合に考えておるのであります。そのほか、これに加えまして、公庫ほどの長期低利とは申しませんが、今後農業において近代化のためにいろいろ設備投資をやっていく、資本装備強化をやっていくといいまする場合に、なかなか一般金融機関からは金が出ませんので、この場合に幸いに農業協同組合系統におきましては相当預金が余っておるのでございますので、今までのいわゆる制度金融といいましたものを統合拡充いたしまして、そして新たに農業近代化資金という制度を設けて、それによって、農業協同組合系統資金農業に合いまするように、利子補給をし、あるいは信用補完のための債務保証をする、こういうような形で進めていったらどうかということで、これにつきましては、三十六年度は当初でございまするので、資金総額といたしましては大体三百億を予定いたしておりまするが、そういうような姿で農業に主として中期の金を出す、そういう姿で考えたらどうかというふうに考えておるわけでございます。そのほか、今後の問題といたしましては、いずれ御審議をいただくことに相なっておりまするが、農業協同組合法改正、あるいは農業協同組合合併というようなものも提案をいたしておるのでございまして、そこで農業協同組合体制整備をいたしまして、農業協同組合の現在の高金利をできるだけ是正をいたしまして、そうして農業協同組合が自主的に農業金融相当活発にやっていける、こういう体制一つ作っていきたい、こういうことで考えておるわけでございます。
  9. 角屋堅次郎

    角屋委員 かねてから農業金融交通整理というようなことが問題の爼上に上りまして、中金民主化等の問題がまず筆頭に爼上に上るという経過もあったわけでございますけれども、今日農林漁業基本問題調査会から新しい農業の発展の方向に見合っての投融資あり方というものが出され、それが新年度の中でどういうふうに新しい芽を出してきておるかということをまず冒頭にお伺いしたのですが、そして、本年度、今もお話のようなことで、農業近代化資金助成法というような形で、いわゆる系統金融の金というものを農業部面にさらに活用する一翼として、政府の方から三十億の金を出し、その資金運用益でもって利子補給を行なう、そうして農業方面投資に充てていくという考え方が打ち出されてきたわけですが、かねて、農業近代化資金の問題については、衆議院の予算委員会その他でもいろいろ論議される過程の中で、これは制度金融あるいは系統金融という二つに分ける場合においてはいわば中間的な性格を持っておるかと思うのですが、この農業近代化資金の将来の展望という点について、周東農林大臣は、いわばこれは系統金融農業部面への活用の誘い水として考えたのであって、将来ともにこれを拡充強化していくという考え方には必ずしも立っていないやの判断を答弁の中からくみ取ったわけでございます。そこで、これからの農業金融交通整理という中で、制度金融の問題、つまり、農林漁業金融公庫中心にした制度金融の問題、あるいは単協信連あるいは農林中金、こういうものを含めた系統金融の問題、それと、新しく芽として出て参りました農業近代化資金の問題、どういうものを含めて、これからの農林金融交通整理の将来の方向というもの、その中で新しく出て参りました農業近代化資金の受け持つべき現在及び将来の役割というものについて一つお伺いいたしたいと思います。
  10. 坂村吉正

    坂村政府委員 農業金融交通整理という問題は、数年前からいろいろ議論されているわけでございますが、いろいろ問題がございまして、交通整理と申しましても、現在の農業協同組合組織から言いますと、単協から信連、それから中金、こういう姿で資金が上がって参るわけでございまして、これは、現在の組織では、なかなか、合理化しようと思っても、中金に参りました場合にはそう低金利というわけにはいかないのじゃないか、──やはりコストがそれだけかかっておりますから。そういうようなことで、いわゆる農民の貯蓄というような姿で動いてしまって、あるいは低利の金は政府から公庫なり何かを通じて出したらいいじゃないかという考えもございますし、そうじゃなくて、系統金融はやはり系統相互金融というものを主体にいたしまして、農民の金が集まりましたものは、そこで相互合理化して金利を下げて、そうして農業に還元すべきである、こういう考え方一つ交通整理になるのだという考え方もいろいろあるのでございますが、本来、農業協同組合がやはり金融を担当しております以上は、農業協同組合相互金融として集まった金を農民に還元していくというのがほんとうの筋じゃないだろうかと考えておるわけでございます。従いまして、いわゆる農業協同組合という一つ事業体がやるのには、いろいろ金利を下げるにいたしましても相当限界があろうかと思うのでございまして、それで、そういう限界を越えたようなものについては、どうしても国から出していかなければならぬというふうに考えられるわけでございます。そういう観点から、農林漁業金融公庫資金は今後もますます増大をいたしまして、必要な特に長期低利部面については当然増大をしていく、それと同時に、そこの限界といいますか、農業協同組合のみずからの合理化によって相互金融建前を通していける限界までは、農業協同組合金融合理化して、これを伸ばして、そうして系統から農村に還元していくという方法を積極的に強めていく、こういうことで考えたらどうかというふうに考えておるわけでございます。  そこで、先ほど申し上げましたように、農業協同組合の現在の組織そのままでいくことについてはあるいはいろいろ問題がございましょうが、とにかく、現在の組織の中でできるだけ合理化をいたしまして、財務の充実もし、それから、農民から集まりましたものはとにかくできるだけ末端に近いところで農民に還元していく、こういう格好でいきますれば、実際問題として今の金利よりも相当に下がる理屈でございます。現在、農協末端定期預金の一年の金利は、今後変わるかと思いますけれども、現在までは六分一厘という金利でございます。末端農協で六分一厘の預金を預かりまして、これをそのまま組合員に還元して融資していくという体制ができますれば、相当金利の安いものが出るはずでございます。しかし、現在の状況では、そこまで農協体制も十分とは言えませんので、これは大部分信連に上がってきて信連預金になっておる。それから、信連運用をある程度越えたものについては農林中金に上がって参りまして、農林中金預金になっておる。そういう形でコストが高くなっておる。そこで、いざ金を貸すという場合には信連から金を借りてきて貸すというような姿になっておるのが大部分ではないかと考えるのでございまして、そういう点を根本的に今後の指導としても直して、末端末端でとにかく貸していくという相互金融体制を強めていく必要があるのではないかと考えているわけであります。  そこで、そういうふうなことを急にやろうと思いましても、実際に農業協同組合法改正なり農協合併法なりということで法律改正をやっていろいろと体制を整えようと思いましても、こういう経済界でございますから、なかなか急激には参りません。そういうようなところに対しまして、政府としても県としても呼び水を与えて、そして、将来の金利低下目標として、一応、今度の近代化資金制度といいますものは、将来農業協同組合がこういう姿で金利も低下し、そして合理化していくのだ、そういう目標を与えるという意味を一面においては相当強く持っておるというふうに考えておるわけでございます。さしあたりのねらいといたしましては、協同組合金融の中での設備資金に大体重点を置いて考えております。ですから、一般短期経営資金については、こういう制度に乗らないで、協同組合の内部で十分やってもらいたいということで指導したいと思っておりますけれども、今のところは、さしあたり中期設備資金というものをねらいにいたしまして、設備資金に対しても農協相当積極的に金が出せるのだ、しかも、それは、現在近代化資金目標といたしておりますように、七分五厘というのは、できるだけ早い機会に農協自体でもそのくらいの金利でやっていけるのだ、こういう体制を作らせるために、一つ指導のてこ入れとして政府がこういう援助をする、こういうつもりで考えておるわけでございます。
  11. 角屋堅次郎

    角屋委員 農業近代化資金の当面の役割と位置づけの問題ですが、少なくとも政府が提唱しておる所得倍増計画の一環としての農業のこれからの近代化の問題を推進する当面の十年間においては、これはやはりコンスタントな農業金融一翼として整備充実していったらいい、こういう考え方に立っておるのか、それとも、数年間、いわば系統金融が今局長の申されたような体制整備されるまでの暫定的な補完的なものとしての役割を考えて提唱しておるのか、その辺のところをお伺いいたしたいと思います。
  12. 坂村吉正

    坂村政府委員 今後の問題といたしましては、十年間というふうに期限を限って考えているわけではございませんで、今後ますます農業近代化に即応して需要に応じた姿に発展して参らなければならないというふうに考えておるわけでございます。ただ、現在たとえば七分五厘にするために利子補給をするとかいうようなことは、これは長い問いつまでも七分五厘ということで農業金融はいいのだということにはならないかもしれません。そういう金利問題等は、今後の情勢あるいは農業協同組合合理化実情等を見まして、ますますこれはできるだけ下げていくという方向で、農業協同組合合理化もどんどん進めていくし、それに対し必要な政府援助もやるというふうなことで、なるだけ金利としては下げていきたい、こういうつもりで方向は考えておるわけでありまして、年限を一応切って考えるというふうなことはいたしておりません。
  13. 角屋堅次郎

    角屋委員 農業団体の再編成の問題で、従来信用部門分離ということが爼上に上りまして、農業団体関係に非常に大きな問題を提起した過去の経過もございます。今後農林金融農業部面への活用というふうな関連の中で、農業団体のこれからの体制をどう整備していくかという課題の重要な部門として信用部門一元化ということが爼上に上るような今日、信用部門一元化という点について農林省内での検討段階であるのか、あるいは、それはかってそういうふうに爼上に上ったことはあるけれども、そういう形で問題を処理していくのではなくて、現行の農業団体機構というものを合理化する中でこの問題を処理していく、そういう考え方に立っておるのか、農林省内における農業団体の再編成の問題あるいは農林金融農業部面への最大限活用の中で、従来論じられた信用部門一元化の問題が当面の検討段階の中ではどういうふうな状況になっておるのか、その辺のところを一つ明確にお答え願いたいと思います。
  14. 坂村吉正

    坂村政府委員 いろいろ農業協同組合の仕事をやっていきます場合におきましては、今の農業団体といいますか、農業協同組合機構あるいは組織整備という問題は、当然、今までも議論されましたし、現在でもいろいろ問題になるところでございます。しかしながら、とにかく、一応現在の末端農業協同組合実情が非常に不安定なものが多いのでございまして、私ども考え方といたしましては、先ほどちょっと申し上げましたように、末端農業協同組合をもう少し積極的に強化をする、こういうふうなことで合併助成等もお願いをいたしておるのでございまして、そういうことで、その過程におきまして、農業の今後の伸展と、また、農業協同組合末端強化されたことによって、はたしてどういう姿が要請されてくるかというようなことは今後の動きによっておのずから現われてくるのじゃあるまいかというふうに考えておるのであります。実態の要請が農業面から当然出てくるのではあるまいかと考えておるのでありまして、さしあたりの問題といたしましては、農業団体の問題につきましては、末端農業協同組合強化するという方針を強く進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、信用事業の問題とその他の事業との問題でございますが、全国的にいろいろ調査をいたしてみますと、信用部門はどちらかと申しますと全体の事業の中でも大体プラス部門であります。先ほど申し上げましたように、農民から預かりました金の大部分信連に預けて預金利差を持っておるというような姿で、じっとしておりましても大体プラスになるというような状況でございますが、その他の販売事業とか購買事業とかいうようなものは、どちらかと言いますと赤字になっておるものが相当あるわけであります。それがいろいろ混淆されまして、そうして販売事業あるいは信用事業購買事業というようなものが一緒くたになって、農業協同組合経理が非常に工合がうまく行ってないというような面もありますので、今後の問題といたしましては、金融整備を進めていきます場合には、信用事業分離というようなところまで考える必要はないと思いますけれども農協一本で考えていっていいんじゃないかと思いますが、少なくとも、事業におきましては、信用事業とその他の経済事業とのきちんとした経理分離をしなければいかぬと思うのであります。部門別収支をはっきりといたしまして、そうして、金融事業金融事業としてもやっていける、それから、金融事業に今までおぶさって販売事業はどうやらやってきたというようなものでございますが、販売事業についても合理化して、金融事業がはっきりと経理の上で独立をいたしますれば販売事業もおのずから自分で合理化しなければならない、そうでなければ赤字が出てくるというような問題に追い込まれると思いますので、そういうようなところで部門別収支一つはっきりさせて、そうしてそれを一つ合理化の道具にしていったらどうだろうかというふうに考えておるわけであります。
  15. 角屋堅次郎

    角屋委員 政府の提唱しておる所得倍増計画の中での農業関係については、かねてこれは質問戦の中にも出て参ったことでありますけれども、今後十年間行政投資関係総額十六兆円余のうち農業関係については大体一兆円であるということが与党内でも問題になったことがあったわけでございますが、これからの農業近代化というものを政府与党が考えておる建前推進をする場合に、われわれの考えておる方向から言っても、政府与党が考えておる方向から言っても、農業方面資金需要というものは非常に増大をするということに相なろうと思います。そういう資本装備充実という面から増大傾向にあるこれらの農業関係資金需要というものを、今後十年間どの程度に見込み、それを制度金融の中でどの程度消化をし、あるいはまた系統金融の中でどの程度消化をするか。実際に農家いろいろ金を借りている部面を見ますと、制度金融に依存すべき部面、あるいは系統金融に依存すべき部面、あるいは銀行等その他の諸機関に依存している部面の比重は、従来統計的に出ておるわけでありまして、必ずしも健全な姿でないわけですけれども、これからいわゆる農業近代化の路線の中では、農業金融の問題についてももっと計画的、総合的に計画推進に即応した体制整備をやらなければならぬと思うのですが、そういう面については十分なる検討なり精査が行なわれているのかどうか、今後の資金需要をどういうふうに具体的に判断をしておるのかというような点についてお伺いしたいと思います。
  16. 坂村吉正

    坂村政府委員 御質問の中に、十六兆の中で農業投資が一兆であってどうとかこうとかいう議論のございました数字は、これは公共投資でございまして、こういう金融面等におきます全体の資金需要がどういう姿になるかというような具体的な計画といいますか、数字はまだ私の方でも持ち合わせておらないのでございますけれども、実は、今後いろいろ農業基本法等ができて参りまして農業近代化が進み、その進むいろいろの速度にもよろうと思うのでありますが、そういう実態動きカーブ等も十分に考えて今後の資金需要というものも考えていかなければならぬと考えておるのでありまして、今まで、非常に残念な話でございますが、農業がどういう姿で伸びて、そうしてそれにはどれだけの金が今後何年間に要るのかというところまでの作業が具体的にできておらないのでございます。今後の問題といたしまして、私どもも、政府としてはどういう農業にどの程度投資をしなければいかぬ、それから一般農民あるいは一般金融機関でどういう負担をしなければいかぬ、そういう相当具体的な部門見通しといたしましてはある程度予想を立てまして、そうして今後の農業基本法に沿いますところの農業近代化についての金融面での見通しというものをできるだけ早く立てる必要があるというふうに考えておるのであります。
  17. 角屋堅次郎

    角屋委員 農林金融部面のこれからの農業推進に果たさなければならぬ役割なりあるいはその資金の量というようなものについては、まだ素案がないというようなお話でございますけれども、おそらく、今までの過程の中では、やはりある程度検討された素案中の素案というものはあるんじゃないかと思うのでございます。概略これから総需要量をどの程度十年間見込むというようなものについては、一応の見当をつけておられるんじゃないかと思うのですが、その点いかがですか。
  18. 坂村吉正

    坂村政府委員 御質問でございまするが、検討過程におきましては、いろいろ、各部門におきましてこういう工合に伸びていくのではないかというようなことでの資料としては材料はある程度はございまするけれども、これを全体として農業金融がどれだけの資金需要になるかというものは、まとめた姿としては非常にむずかしいのでございまして、まだそこまで作業が進んでいない、こういう段階でございますので、どうぞ一つ御了承いただきたいと思います。
  19. 角屋堅次郎

    角屋委員 農林漁業金融公庫の総裁もお見えになったようでございますが、今度の農林漁業金融公庫法の一部改正では、政府の出資金八十九億円の増額の点と、それからも新たに林業経営の維持または改善に必要な資金の貸付の条項を第十八条の第一項第四号の次に四の二として加える、さらに、第八条で、従来の理事の定数四人以内というのを、五人以内ということで、機構整備に見合って一名の増員の問題が提示されているわけです。  そこで、この際公庫の総裁にお伺いしたいのですが、先ほども局長にお伺いした点でありますけれども、御承知の、一昨年から昨年にかけていろいろ審議されました農林漁業基本問題調査会における農業部面答申に基づいて、政府といたしましても農業基本法その他関連法案を出してきているわけです。そういう新しい農業方向と見合って、農林漁業金融公庫のこれから果たすべき役割というふうな問題の検討の上に立って、新年度は従来の農林漁業金融公庫の行き方とある程度内容的にも性格的にも変えていくという部面が私は出て参ろうと思うわけです。その点について、一つ公庫の総裁の方から、従来の農林漁業金融公庫制度金融として果たしてきた役割検討の上に立って、新しい農業の展望の中で新年度から新味としてこういうふうな面をこういうふうに打ち出していくんだという点がおそらくあろうと思いますので、その辺のところを一つ御説明願いたいと思います。
  20. 清井正

    ○清井説明員 ただいまのお話でございますが、私ども、農林水産関係の施設に対する長期低利融資をいたします機関といたしまして、おかげをもって、従来毎年加速度的なワクの増加をもって貸付を実施いたしております。他の金融機関の貸付することのできない非常な低利長期融資ということが私ども金融機関建前でございます。従って、私ども金融機関としては、御承知通り、土地改良のごとき長期にわたる効果を発生するところの公共事業的なもの、あるいは造林の融資、漁港、漁船の融資農業、林業、水産関係の共同利用施設、あるいは北海道の寒冷地であるとか、防災営農であるとか、奄美大島の融資であるとか、開拓の融資であるとか、一般金融機関ではなかなか金融をするに問題の多い事業に対しまして貸付を実施いたしてきておるわけでございます。おかげをもちまして、本三十五年度は五百十七億ばかりのワクをもって貸付を実行いたしまして、ほとんど年度末をもってその貸付は完了いたす予定でございますが、明年度予算を御決定願いますれば六百億の貸付をいたすということに相なった次第でございます。私どもといたしましては、ただいま申し上げたように、農家の施設資金に貸付をいたす、しかもそれを安い金利長期間にわたって貸し付けるというのが目的でございますので、今後、農業の発展の方向に沿いまして、農業あるいは林業、水産の施設拡充のための需要相当増すことと思われるのであります。それに即応いたしまして、私どもも、今後公庫のただいま申し上げたような性格をさらに強化して参らなければならないと考えております。本年度は、ただいま局長からも御説明がございましたが、私どもで考えております共同利用施設のうち相当部分近代化資金の方に移ることに相なりまして、私どもといたしましては、共同利用施設のうち特に公共性の強い発電施設であるとか農協病院であるとかいうようなものについては貸付をいたすということにいたしまして、あとは大部分近代化資金系統資金融資の方に移ることになったのであります。従いまして、他の金融機関の貸付することのできない事業、しかも長期低利資金を利用する事業に対して貸付をするという農林漁業金融公庫の性格を今後ますます強めて参るということに相なると思いますし、また、その方向に行くべきものであるというふうに私は確信いたしておるような次第でございます。
  21. 角屋堅次郎

    角屋委員 農業近代化資金の新設に伴いまして、今も総裁の方からお話しのように、農林漁業金融公庫資金の中で共同利用施設の関係相当部分近代化資金の方に移り変わる、さらに、農業改良資金の問題あるいは有畜農家創設資金の問題、こういうふうなものが相当農業近代化資金の方に肩がわりしていく、こういうことであろうと思います。そういう農業改良資金あるいは有畜農家創設資金等の問題も含めて、今まで公庫が取り扱ってきた部面近代化資金にはっきり移り変わるという問題について、もっと内容的に明らかにしていただきたい。
  22. 坂村吉正

    坂村政府委員 今まで公庫融資対象にしておりました共同利用施設と、それから、主務大臣指定施設というのがございます。これは個人施設でございます。共同利用施設といいますのは、農業協同組合、漁業協同組合等の施設でございますが、この中で、先ほど公庫の総裁からもお話がございましたように、公共性が相当強くて、今の公庫のような非常に低利長期の金でなければなかなかやっていけないという性格のもの、病院であるとかあるいは発電施設であるとかいうようなものはとにかく残すことにいたしまして、農業関係のものについてはその他のできるだけ大部分のものを近代化資金に持っていく、こういうことで考えておるのでございます。ただし、漁業や林業等につきましてはとりあえず公庫の方に残すことにいたしておりまして、そういうような関係で、大体一定の金額といたしましては三、四十億ぐらいのものが今までの公庫の貸付の予定から近代化資金に移るというふうに考えていいのじゃないかと思うのでございます。林業、漁業関係公庫に残し、それから、農業関係におきましては、共同利用施設、それから主務大臣指定施設の大部分のものを近代化資金に移す、それから、開拓の関係のものは、これは非常に特殊な事情がございまして、いわゆる系統で七分五厘で貸していくことは相当無理があると思いますので、開拓閥係のものは公庫でやっていくというふうに考えております。それから、今までの制度金融のうちで農業改良資金につきましては、御承知のように二つの種類がございまして、設備資金、いわゆる施設資金と、それから、何と言いますか、技術導入資金とございました。技術導入資金といいまするものは、国から出ました金を直接県の特別会計に積んでおきまして、これを原資として無利子で貸しております。これは技術導入のための補助金の形の変わったものでございますので、系統金融で扱う性格のものでもございませんので、従来のまま残すということにいたしておりまして、施設資金近代化資金に移すという考え方でございます。それから、有畜農家創設資金は全部を近代化資金に移すということで考えておりまするが、これについては、利子補給の条件等が現在考えております一般のものと幾らか違う面があります。たとえば、利子補給の場合に県費負担を全然今までしておりません。そういうものを今までより条件を不利にすることはどうかと考えられまするので、そういうようなものについては、やはり近代化資金の中で今までの条件をそのまま続けるようにということで、その部分については十分の十の利子の補給をするということで考えて移しておるのであります。そういう内容でございます。
  23. 角屋堅次郎

    角屋委員 農林経済局長からもらいました農林漁業金融公庫法改正関係資料の中で、昭和三十六年度の貸付予定計画と前年度の対比というのが載っておりますが、ここで、資金農業関係あるいは林業関係、漁業関係等に割り振る場合の割り振りの根本的な考え方というものがあってその比率で割り振られるのか、あるいは、従来からの農業関係、休業関係、漁業関係等の資金需要の度合い、これはまあ実際に申し込んでも必ずしも全部が全部採択をされるという形には御承知のようになっておりませんので、そういう資金需要度というふうなものを考えられて割り振っておられるのか。こういう第一次産業における三者の資金の割り振りというようなものについて、どういう考え方で従来やってきておるのか、その辺のところをお伺いしておきたい。
  24. 坂村吉正

    坂村政府委員 この公庫の貸し出しの対象別にいろいろ資金の割り振りをいたしまする場合には、なかなかむずかしいのでございまするけれども、これを機械的にどういう基準でというわけにはなかなか参りません。実際問題といたしましては、過去におきまする資金消化状況であるとか、あるいは資金需要の強さであるとか、そういう点をいろいろ勘案いたしまして、実際の事業を担当いたしておりまするところの各原局、たとえば土地改良については農地局、林業については林野庁、そういう事業を担当しておりまするところの責任の原局とも十分実態を相談いたしまして、そういう考え方で割り振りをいたしておるのでございます。そういう関係から、いろいろ非常に急速に増加をしておるものもございますし、一例を申し上げますと、この三ページの資料で林道というような例をとってみますと、三十五年度の当初計画は、これは十億六千万という計画を立てておったのでございますが、実際の需要が割合にそこまで伸びませんで、三十五年度の見込みといたしましてはこれまでに達しないというような状況でございますので、七億八千万という改訂の実行計画を現在立てておりますわけでございます。そういう実情等をも見まして、昨年の十億六千万というものに比べて三十六年度は二億六千万ほど減っております八億というところで、その分は減らしました。しかし、そのかわり非常に需要の多いところの造林であるとかそういう方面に相当力を入れて額をふやしていくという実態であります。
  25. 角屋堅次郎

    角屋委員 私の質問の趣旨が一般的な話でありましたので把握できなかったかと思いますが、たとえば漁業部面で例をとりますと、御承知通り政府の方でも近く沿岸漁業等振興法を提案する。これはもちろん与党の内部でいろいろ論議がございまして提案が大へんおくれておるようでありますけれども、そういう沿岸漁業等の振興をやるという場合には、当然これに見合った制度金融活用部面というのが考えられなければならぬかと思う。私ども政府の提案と見合って出そうとしておる沿岸漁業振興法の中でも、やはり、沿岸漁業の画期的な振興をやるためにはセット融資というふうなものを考えて、農林漁業金融公庫の中に沿岸漁業振興の特別ワクというものを作って積極的な沿岸漁業の振興をやらなければならぬじゃないかということを考えておるわけであります。そういうふうな、要するに新しい農業の発展の方向あるいは漁業、林業等の発展の方向と見合って制度金融の果たすべき役割部面、こういうものを考えてきて今度の資金の貸付計画というものが必ずしもなされておらないんじゃないかという感じがするわけです。従って、漁業問題一つとらまえましても、今日の非常に問題を多く持っておるところの沿岸漁業振興という問題については、やはり、果樹で特別ワクが設定され、あるいはその他最近は制度金融の中でも新しい成長部門については特別ワクの設定なんかがぼつぼつ出てきておるわけですけれども、そういう面で、漁業部面については特に沿岸漁業振興というふうな面についてセット融資的なものを検討されてしかるべきじゃないかと思うのですが、そういう検討がなされたのか、あるいは、それらの問題は今後の検討に待とうというのか、そういう問題について具体的に一つお伺いしたいと思います。
  26. 坂村吉正

    坂村政府委員 御質問のように、沿岸漁業振興という問題が取り上げられておりますわけでございます。特に沿岸漁業振興のためのセット融資ということで問題を考える段階までは現在まだ参っておりませんけれども、この公庫の予定計画を組みます場合におきましては、たとえば、漁船におきましても、あるいは共同利用施設等におきましても、そういう観点から相当水産庁の方におきましても問題を整理をいたしまして、漁船の中においても沿岸漁業の転換漁船に対する特別の新規の融資であるとか、そういうふうなものまでも一緒に組みまして、そうして計画をいたしておりますわけであります。また、沿岸漁業振興ということで具体的な計画については、どうしても公庫から出さなければならぬというようなものがございますれば、またそのときに今後の問題としていろいろ検討をすべきであろうというふうに考えております。公庫の貸付の予定計画の中では、先ほどもお話のございましたように、果樹振興であるとか、あるいは今日総合対策というのがございますが、この中で、いわゆる同和対策であるとかあるいは防災営農であるとかというようなことで、新しい政策的なものに対しては相当貸付計画の相談をいたしまして、その趣旨に沿って運用ができますような範囲でこの計画を組んでおる。こういうことで、政策は積極的に公庫には織り込んだ予定計画を立てているというふうに考えております。
  27. 角屋堅次郎

    角屋委員 今の局長のお話は、水産庁で具体的に立てておる構想というものが沿岸漁業振興法と見合ってどういうふうであるかということをいずれ法案が出てきたときにたださなければ明らかでございませんけれども、こういう従来と同じような立て方で立てておる貸付計画の中身を見ますと、新しいそういう面の意欲というものが必ずしも明確に出ておらないように判断をするわけです。  そこで、この資金の貸付計画の中で、従来から農業部面相当大きな役割を果たさなきゃならぬ立場にあります自作農維持創設資金の問題でありますが、これは、新年度百六十億、前年度の百三十億に比して三十億の増という貸付計画予算的には組まれておるわけですけれども、従来それぞれの関係委員会の審議を通じてでも問題になりましたように、これからの農業の構造改善あるいは所得政策ないしは生産政策というものと関連をいたしまして、自律農維持創設資金の性格というものをも従来取り扱ってきた性格とは大きく変えていこうとしているというふうに世上言われており、また、そういう観点から今日まで関係委員会で論議が出てきておるわけですけれども、この際、自作農維持創設資金の従来の運営と新年度以降の新しい運営の仕方というものについて、公庫の総裁の方から具体的に御説明を願いたいと思います。
  28. 坂村吉正

    坂村政府委員 自作農創設資金につきましては、本年度は百六十億というふうに、ワクを非常な拡大をいたしまして、三十五年度に比べますると三十億の増加でございます。これは資金といたしましても農民に非常に需要の多い資金でございまして、今後も需要に応じてますます拡大をしていかなきゃならぬ性格のものであろうというふうに考えておるのでございまするが、この基本法等の精神にも沿いまして、自立経営農家を育成していくという今後の姿を考えますると、必ずしも従来通り運用でいいということは言えないんじゃないか、こういうようなことで、この制度についてもある程度検討を加えまして運用の改善をはかっていく必要がありますと同時に、今後の問題といたしましては、いわゆる維持資金ということだけではございませんで、自立経営の強化と経営の拡大というような意味で、いわゆる土地の取得資金であるとか、そういうような意味で、経営を拡大していく、そういうようなものに対しても相当積極的にこの自作農資金運用していっていいんじゃないか、こういうようなことで、拡大資金についても相当積極的な融資を考えたらどうかというふうに考えておるわけでございます。
  29. 角屋堅次郎

    角屋委員 この自作農維持の性格の資金、自作農の創設といいますか経営の拡大の性格の資金、こういうものの具体的なこれからの運営の中身の問題について、さらに数字的に説明を願いたい。
  30. 坂村吉正

    坂村政府委員 中身の区分につきましては、予算編成段階では、一応、維持資金が六十億、それから拡大資金が百億という見当で予算編成いたしたわけでございますけれども、実際の地方の実情、あるいは要望の実情、そういうような点を十分考えまして、これは予算編成の基礎でございますので、何もこの線できちんと資金の融通をするという考え方はございませんで、彼此融通をいたしまして、実情に沿うように運用していきたいというふうに考えております。
  31. 角屋堅次郎

    角屋委員 この自作農維持創設資金のこれからの運営の問題の中では、構造改善の政策に見合って、自作農のいわば経営の拡大なり創設という部面に積極的に比重を置いていくという考え方が強く出ているかと思うのですが、問題は、病気、災害、いろいろな理由によって農地を手放さなければならぬという状態の場合に貸し付けてきておる自作農維持資金、こういう資金を貸す場合に、一体経営規模をどの辺のところの下限のところまで対象にしてくるかという点については、私どもの心配もし判断をしておるところでは、いわゆる零細な農家というふうな方面に資金需要を向けていくということはなるべくこれからは避けていって、もっと上限のところの農家の経営拡大という方面に積極的にこの金を使っていこうという、そういう考え方が今後強く出てくるのじゃないかという気がするわけでありますが、一体、そういう下限の問題等について、これから従来と変わったやり方をやっていこうという考え方があるのか、その辺のところを一つ具体的にお話し願いたい。
  32. 坂村吉正

    坂村政府委員 従来の対象の目標といたしましては、いわゆる中庸規模というものを大体相手にして、これを貸付の対象として参っておるのでございますが、これを、いわゆる中庸規模にこだわらないで、ある程度拡大していこう、こういう考え方は、農地局の自作農維持創設資金法の運用の面においては考えておるようでございます。具体的に何反歩とかいう問題につきましては、まだそこまで結論が出ていないようでございますけれども、とにかく、今までの中庸規模を相手にしてやっていくということにはこだわらないで、もう少し規模を拡大したものまで考えていくというふうに考えを改めたらどうかというふうに考えておるようでございます。
  33. 角屋堅次郎

    角屋委員 今の局長のお話の中では、中庸規模というところのウエートよりも、むしろもう少し上のところにウエートが変わった形でこれからやっていこうという、構造政策の大きなてこにこの金を使っていこう、こういう考え方じゃないんですか。もう少し……。
  34. 坂村吉正

    坂村政府委員 先ほども申し上げましたように、百六十億の中で維持資金という部面に使われるものも、これは実情に応じましてやはり相当使われるわけでございまして、そういうような面、あるいはその他の部分が経営拡大の資金に使われるということになるわけでございますが、今までのところの考え方は、必ずしも非常に上のところを押えてそれを対象にして考えていくということでございませんで、今までは中庸規模ということに非常にこだわって、非常に狭い考え方運用して参っておるのでございますので、今後の経常拡大あるいは農業近代化というような方向にも沿いまして、この中庸ということにはこだわらないで、もう少し上のところも頭に入れて考えなければいかぬという実情でございますので、そういう考え方運用をしたいということでございます。
  35. 角屋堅次郎

    角屋委員 これは農地局の方に自作農維持創設資金運用の具体的な腹案というものはあるのですか。あれば、この審議の際に出してもらった方が非常にいいと思うのですが……。
  36. 坂村吉正

    坂村政府委員 自作農維持創設資金法の所管は農地局でございますので、詳細な具体的な基準等について御質問でございましたら、農地局長一つお願いいたしたいと思います。
  37. 清井正

    ○清井説明員 ただいまの御質問でございますが、私、公庫の立場から存じておりますことを申し上げますと、ただいま経済局長角屋委員に御説明申し上げた通りでございまして、それ以上のことにつきましては、担当の金融でございますから、私、早くその内容の具体的なことについて知りたいということで、政府当局、ことに農地局と相談をいたしておりますけれども、ただいまのところ、まだはっきりいたしたものをきめる段階になっていない。私の知っていることは、経済局長がただいま御説明申し上げました通りでありまして、目下毎日のように私どもの係の理事が農地局に行って相談しておるような状況でありますから、やがて詳細のことについては判明いたすと思いますけれども、大筋については経済局長の御説明申し上げた通りでありますので、御了承願いたいと思います。
  38. 角屋堅次郎

    角屋委員 今度、自作農創設維持資金については、一人頭二十万円の従来の資金の限度を三十万円に増額をする、こういう考え方に立ってやられておるようですけれども、先ほど局長のお話しになった、中庸程度農家を対象としている運用をもっと上の層に拡大をして考えていきたいということですが、むしろ、私ども判断では、いわば富農ともいうべきそういうところに力点を置いてやっていく危険性があるのじゃないかと思いますが、それはともかくとして、これから構造改善の政策を政府与党考え方でやっていくにせよ私どもの考える方向でやっていくにせよ、自作農創設維持資金の果たさなければならない役割というものは従来以上に相当大きくなってくると思うのですが、そういう観点からいくと、今日こういう問題が論ぜられる前から、自作農創設維持資金の一人頭二十万円というワクについては少なくとも最小限五十万円程度まで拡大をする必要があるということはかねてから論議をされた問題であります。従って、これは資金の総量の問題とももちろん関係がありますが、これからの農業金融に対する、あるいは自作農維持創設資金に対する需要の動向から見て、この際貸付の最高限度というものについてはさらに増額をして考える必要があるのではないかと思いますが、この辺のところについてお伺いしたいと思います。   〔委員長退席、大野(市)委員長代理着席〕
  39. 坂村吉正

    坂村政府委員 お説の通り、自作農維持創設資金の今後の運用の問題を考えますと、一人当たりの貸付限度を増額する必要があろうと思うのでございます。そこで、いろいろ従来の資料等を見ますと、大体今までの経験から申し上げますと、今まで二十万円ということでやってきておるのでございますが、自作地の取得資金に対する金は平均四十万円というような見当で資料としては出て参るのでありますけれども、ただ、その場合に、現在の実績を見てみますと、これが自作農維持資金に依存している部分が必ずしも一〇〇%ではございません。いろいろ自己資金を使うとか、そういうような面もありまして、そういう点から申し上げましても、大体三十万円ぐらいのととろで一応とにかくやっていけるのではないかという考え方でございます。それから、償還の可能な範囲という、そちらの方からも一応考えてみなければいかぬと思うのでございますが、そういう点を考えてみますと、一町五反ないし二町ぐらいの農家にとりましては、農家経済上の余剰とか、大体五分で二十年の償還、こういうことで考えますと、三十万円程度であればそう苦しい思いをしないで償還ができるということにもなりますので、そういう関係で、三十六年度におきましては、三十万円ということで、十万円の引き上げを考えたわけであります。今後の問題といたしましては、実際の農業経営がどういう姿になって参りますか、そういう点も非常に動いておる状況でございますので、そういう実態を十分つかみました上でいろいろ考えたいというふうに考えております。
  40. 角屋堅次郎

    角屋委員 新しい年度予算が衆議院の予算委員会で論議されたときの参考人として東大の大内さんが出られて述べられた中にもあったように、政府がこれから考えておる構造改善政策、その中ではいろいろ刺激をおそれて離農政策という言葉は使っておりませんけれども、とにかく、相当に零細農の土地を手放さして、それを自立農家方向に振りかえていこうという考え方に立っておることは、これは明らかだろうと思うのですが、いずれにせよ、農地の移動ということをこれから相当にやっていくという考え方の前提に立っておる。その場合に、農地を取得してこれからも農業経営をやっていこうという側では、なるべく安い価格で農地を手に入れ、しかもその資金については相当長期低利の金でこれを消化していく、こういう立場にありますし、また、反面、農地を手放す方においては、なるべく高い価格で売りたい。こういう、いわば売り手と買い手の立場というものは相反する立場があり、しかも、その相反する立場を同時に認めてやるということが、政府が進めようとする政策の場合にも非常に重要なかなめであろうかと思う。そういう問題を考えて参りますと、政府の案では農協に土地を信託してというふうな方法でやろうとしておりますけれども、そういう方法論の問題については別に論議するにいたしましても、今日考えておるそういう政策の遂行の過程で、今のような問題を金融部面でどう処理していこうという考え方に立って打ち出されておるのか、その辺のところを明らかにしてもらいたい。
  41. 坂村吉正

    坂村政府委員 御質問のように政府が農地の移動をやっている、こういうことは考えておりませんで、現在でも、農地が非常に移動し、それから移動しなければならないような全体の経済情勢にあるのでございまして、そういう場合に、農民の経営の近代化のために政府としてはできるだけのてこ入れ、援助をしていく、こういうつもりで考えておるわけでございます。従いまして、御審議をお願いしております農協法におきましても、農業協同組合で信託ができるという道を開いていとう、こういうことを考えておるのでございます。それと同時に、いわゆるほんとうに自作農として自立経営を拡大していくという者については、自作農創設資金におきましても、金融面でもとにかく今までよりも十万円拡大いたしまして、これでいけば、先ほど申し上げましたように、一町五反ないし二町のものにとっては、これは大体償還可能な一つの目安になることでもございますので、こういう道を開きまして、そして取得する方にも援助を与えていこう、こういうことで考えておるわけであります。
  42. 大野市郎

    ○大野(市)委員長代理 午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時二十九分休憩      ————◇—————    午後二時十二分開議
  43. 坂田英一

    坂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。角屋堅次郎君。
  44. 角屋堅次郎

    角屋委員 この農林漁業金融公庫法の一部改正法律案の中で、先ほども述べましたように、第十八条第一項第四号の次に四の二として、「林業経営の維持又は改善に必要な資金であって主務大臣の指定するもの」、こういうものが御承知のように加わったわけで、林業経営維持改善資金というものができるわけですが、これの内容を見てみますと、ある意味では農業の場合の自作農創設資金的な形のものを林業部面でも考えるということであろうかと思う。そこで、この法律案を審議するにあたって、まだ数点政府部内でも相談の過程であって必ずしもはっきりきまってないケースの問題があるんじゃないかと思いますので、二、三この問題について質問をいたしたいと思います。  まず第一に、林業経営維持改善資金の問題でありますが、これは一体森林経営面積が何ヘクタール以下の林業者を対象としておるのか。もちろんこれは御承知農林漁業基本問題調査会における林業の答申の問題とも見合っておそらく検討されておると思うのですが、まずこの点についてお伺いをいたします。
  45. 坂村吉正

    坂村政府委員 お答えいたします。  先ほど御質問の中にもございましたように、農業の面で言いますれば自作農資金と同じような性格を持っているものであります。経営面積につきましては、あまり大きなものとして考えるのもどうかと思いますので、二十ヘクタール以内ということで考えております。
  46. 角屋堅次郎

    角屋委員 それから、次は、貸付金の限度の問題でありますが、個人の場合貸付金については一応ある程度の限度を考えてやっておるだろうと思います。この貸付金の限度の問題でありますが、林業の場合、御承知のように、償還期限あるいは利率という問題については、林業の特性から見ていろいろ配慮していかなければならぬかと思うのですけれども、この辺のところについて少しく御説明を願いたいと思います。
  47. 坂村吉正

    坂村政府委員 詳細の内容につきましてはまだ最終的に確定してない面もあるのでございまするが、償還期限につきましては二十年ということで考えております。そこで、この資金につきましては、据置期間の問題でございまするが、これは伐採調整資金にも据置期間がございませんので、同じように一時に償還することができると考えていったらどうかと考えておるのでございまして、そういう関係で、据置期間は考えないでもいいだろうというふうに考えておるわけでございます。  それから、貸付限度の問題につきましては、この中で、いろいろ経営資金でありますとかあるいは林地の取得資金でありますとか、それから安定資金、いわゆる疾病その他でいろいろ困る場合に貸し付ける、こういう三つの場合があるわけでございます。これらを一緒にしたような場合も当然考えていったらいいだろうというように考えておるのでございますが、おのおのの場合におきまして、大体、現在のところ、最終的な決定までに至っておりませんけれども経営資金であるとか林地の取得資金というようなものについてはできれば五、六十万程度ということできめたい、こういう工合に考えておるわけでございます。  それから、安定資金につきましては、これは、先ほど申し上げました自作農資金等との関連もございまして、あるいは今までの伐採調整資金というようなものとの関連もございまして、そういう点を十分考えまして貸付限度をきめたいと思って、政府部内でなお現在検討中でございますけれども、大体見当といたしましては三十万ないし四十万、その程度のところで考えていきたいというふうに考えております。
  48. 角屋堅次郎

    角屋委員 自作農維持創設資金のときには、今日貸付ワク二十万円を三十万円ということで、さらにわれわれの方としては最低五十万円やはり考えるべきではないかということでいろいろやっておるわけですけれども、今お話しの、林業経営維持改善資金についてはまだ貸付の限度というものも未定ということでありますけれども、大体最終的にはいつごろまでに決定されるのでありますか。
  49. 坂村吉正

    坂村政府委員 できるだけすみやかに決定したいと思っております。
  50. 角屋堅次郎

    角屋委員 それから、利率の問題ですけれども、御承知のように、年五分五厘、償還期限二十年以内ということになっておるわけであります。先ほどお話しの伐採調整資金の方は御承知通り年四分ということでありますし、いずれ、同じ農林金融交通整理とかいろいろな問題ともからみ合って、林業部面についても伐採調整資金の点についてはいずれ経営維持改善資金と総合的にやはり調整をしなければならぬということもあろうかと思うわけですが、そうなってくると、伐採調整資金の年四分あるいは今日新しく作ろうとしておりますところの林業経営維持改善資金の年利五分五厘、こういうような問題を考えて参りますというと、もう少しこの辺の金利水準については検討する問題があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  51. 坂村吉正

    坂村政府委員 金利につきましては五分五厘ということで考えておるのでございますが、これは、伐採調整資金に比べましても、性格もある程度違いますし、そういうような意味からいたしまして、伐採調整資金と必ずしも同じでなくていいんじゃないかということで、五分五厘ということで考えておるのでございます。しかし、この融資制度は三十六年度に新しく発足する制度でございますので、今後の需要であるとかあるいは実際の運用面におきまして、はたしてこういう姿でいいのかどうか、これは実行をしながら一つ十分に検討いたしまして、今後の問題としては、これはこの趣旨に沿いますように考えていく必要があろうというふうに考えております。
  52. 角屋堅次郎

    角屋委員 この際、農林金融という基本的な問題について、これはまあ農業基本法の中でも農林金融のこれからの位置づけというものは非常に重要にお互いに考えておるわけでありますが、日本の農業金融の問題をこれからどういうふうに改善、拡大をしていくかという問題については、やはり諸外国の農業金融の取り扱いというものについても十分学んでいかなければならぬかと思うのであります。かねて農林経済局の方では欧米諸国の農業金融事情についていろいろ検討されまして、アメリカを初め、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、デンマーク各国のそれぞれの農業金融につきましては、いろいろ各国それぞれの農業事情に基づいての特性がありまするけれども、これから農業基本法に基づいて農業近代化をやっていくという前提の場合には、十分これらの長所というものを取り入れていくということが必要であろうかと思うのです。この際、農林経済局として、主要な国々の農業金融の点で、特に政府与党考え方からいくならば、御承知の農地移動という問題について主要国がどういう取り扱いの形でこれを処理しておるか、さらに、農業金融については、本来農業金融それ自体の性格、資金効率あるいは資金の回転というふうな面から見ても、非常に関係農業者からは長期低利農業金融というものが強く要請されておることは御承知通りでありますが、そういう面から見て、償還期限等で各国には長期のものが相当組まれておるし、あるいは金利についても非常に低利のものが考えられておるが、こういうふうな特徴的な問題についてこの際御説明を願いたいと思います。
  53. 坂村吉正

    坂村政府委員 お答え申し上げます。  農業金融制度を新しくあるいは今後も考えていきます場合に、欧米諸国の農業金融制度を十分参考にする必要があろうと思うのでございまするが、実は、御承知のように、日本の経済全体が欧米諸国に比べまして蓄積の面から言いましても非常におくれておるのでございまして、そういう関係で、欧米と比べまして日本の全般の金利水準というのは非常に高いわけでございます。そういうようなことを頭に置きまして外国の金融事情も見てみる必要があろうと思うのでございます。  それから、先ほどお話がございました、いわゆる農地の移動について金融制度があるということを考えて参りますと、大体外国におきましては農地担保の金融機関というものを相当確立をしておるわけでございまして、そういう関係におきまして農地を担保にしての金融というものが行なわれております。日本では今のところ農地担保金融という独立した金融制度というものはございません。まあ一部、先ほどの自作農創設資金というものがあるいはそういうようなものに幾らか近い性格を持っているのじゃないかというふうにも見えるのでございますけれども、そういうような制度が確立していないわけでございます。そういうようなところを一つ頭におきながらこの問題は考えてみる必要があるのじゃないかというふうに考えておるのでございます。  全体的に申し上げますると、これは少し資料も古いのでございまするが、昭和三十五年で比べてみますと、全体の中央銀行の割引歩合というものを比べてみますと、日本では、御承知のように、このときには一銭九厘ということでございまして、これを年利に直しますと六分九厘四毛、こういう率になるのでございます。これをアメリカでとってみますると、公定歩合が四分、それからカナダでは三分五厘というようなことであります。それから、ヨーロッパにいきまして、フランスでは三分五厘、それからイタリアでも三分五厘、西独でも四分というような状況でございまして、全体の金利水準がこれだけ違っておる、倍くらい高くなっておるというような状況でございます。ですから、それに伴いまして、農業金融につきましても、いわゆる条件が非常に違うのでございまして、農業金融金利融資期間というようなものを見てみますると、長期金融をとってみますと、合衆国では大体五年ないし三十五年という融資期間でございまして、年利に直しますと四分五厘というものが大体平均的な金利になっております。これは連邦土地銀行の金利でございます。それから、フランスにおきましては、長期金融では三十年ないし七十年という融資期間でございまして、これは金利は平均しまして三分というようなことでございます。これは、金融機関としては農業相互信用金庫というのがございまして、とれがいわゆる農協信用事業のみをやっている中央金庫のようなものでございますけれども、そういうものの金利と条件はそういうような状況でございます。それから、西独では、四年以上ということで、最高限がちょっと調査がございませんけれども、年利にいたしまして四分ないし五分というようなことで、これはドイツ協同組合金庫というものの条件でございます。日本の場合におきましては農業金融としては農林漁業金融公庫が一番安いのでございますが、これをとってみますると、五年ないし二十五年ということで、年利にいたしまして金利は七分五厘ないし三分五厘ということでございまして、最低のものは、いわゆる低いものは相当あるわけでございますが、高いものは大体七分五厘というようなところまでいっておる。しかし、これの平均利回りをとりますと五分五厘でございまするので、大体平均いたしますとここでも長期金融については五分五厘というところで押えていいのではないか、こういう工合に考えておるのでございます。  それから、中期のものを考えてみますと、中期におきましては、アメリカでは、大体一年ないし七年の融資期間に対しまして金利は五分、これは、一例といたしまして、政府出資でやっておりますところの農家更生金融制度というのがございまして、これは非常に弱小の農家に対する金融政府出資でやっておるものでございますが、これをとってみますと一年ないし七年で五分という条件でございます。それから、フランスにおきましては、農業相互信用金庫、先ほど申し上げました協同組合の中火壷庫でございますが、それから出ておりますものが、十五年以下でございまして、六分という金利になっております。それから、西独でも、四年で四分ないし五分という状況でございまして、日本の場合には、大体一年以上というところで押えてみますと、これは農業協同組合金融がそれに当たると思うのでございますが、金利といたしましては、九分六厘をこえまして一割四、五分くらいまでいっておるのがございます。ですから、大体九分六厘以上でございます。  それから、短期資金といたしますると、アメリカでは、大体一年以下でございますけれども、これは年利にいたしまして五分五厘から六分くらい。それから、フランスでは、十八カ月未満、一年半未満でございますが、笠利は六分。西独でも、四分ないし五分。こういう状況でございます。日本の場合におきましては、九分一厘から一割五分くらいまでというような状況に相なっておるのでございまして、全体といたしまして、各国と比べてそういう状況にあるのでございます。  今後いろいろ蓄積等が増加いたしまして、そうしてこれがどんどん投資にも回っていくというふうに経済が伸びて参りますと同時に、金利というものも全体の水準が下がっていくという方向にあろうと思いますし、そういうことでまた政府としても努力しなければいかぬと思うのでございます。その中でも、特に農業については、各国の状態を見ますと、政府出資でやっているものも相当ございます。しかし、アメリカにいたしましても、それからフランスにいたしましても、初めは政府出資で相当やっておりましたけれども、だんだん農協等の出資あるいは農民出資がふえて参りまして、政府出資を肩がわりして、最近ではほとんど農協資本でやっている、あいは農民出資でやっているというような形になりつつあるものが外国の農業金融機関においても大体非常に多くなって参っておるのでございまして、そういう意味から申しまして、日本の農林中金等が最初は政府出資で発足をいたしましたけれども、だんだん農協出資に肩がわりしてきているというのも、それに見合った一つ方向に動いているのじゃないだろうかと思っておりますが、何といたしましても、全体の資金コストが、農業ばかりではございませんで全般的に高いものですから、農業金融においても外国の例ほど条件等もなかなか容易に緩和できないというような状況にあるのではあるまいかというふうに考えております。
  54. 角屋堅次郎

    角屋委員 今農林経済局長からお話しのように、欧米の各国における農業金融の水準と日本の場合における農業金融の現状というものを対比してみると、日本の場合には非常に悪条件に置かれておる。先ほど来資本蓄積の問題を少し言われましたけれども、むしろ、戦前戦後を通じて、ことに今日経済の高度成長の中でややもすれば置き去りにされようとする農業の問題について、この際飛躍的に農業近代化をやっていこうという前提に立つ第一年度のいわばこの方面における施策としては、むしろこの際抜本的な施策というものを根本的に考えなければならぬ段階に来ているのじゃないか。家族的な零細経営のもとにおいて国際農業との競争にも十分耐え得ないという状況の中で、今日貿易自由化の問題が既定の路線に乗り、これから数年間のうちにいずれにせよ貿易自由化をやろうとする政府与党考え方からいくならば、この際、農業部内におけるところの体質改善の重要なてことして、農業金融、ことに資金需要の問題が、農業近代化を切望すればするほど農業者の関係の中から非常に強く起こってくることは当然でありまして、私ども各地に参りましても、いわゆる成長財にこれから着手していこう、あるいはそれも個々の経営ではなくて共同的な形でやっていこうという場合に、どうしてもぶつかる問題が資金である。しかもそれは系統の場合でいくならば相当に高金利である、また、制度金融に頼るとすればなかなか窓口は狭い、こういうふうな実態にあるのでありますから、この際、諸外国の先進国に比べてより農業部面で悪条件にある日本の農業条件を飛躍的に国際競争に耐える条件まで持っていくためには、やはり、農業金融体系全般についての抜本的な施策というものが真剣に考えられなければならぬじゃないかというふうに思う。ただいま御指摘のいろいろな数字から見ましても、金利の面においても、あるいは償還期限の面においても、あるいは内容の部面においても、相当に懸隔があるということは明らかでありますが、こういう問題については、直接衝に当たっておる農林省の農林経済局あたりでこれが抜本的な改正のために努力しようというふうに苦慮はしておられると思うのですが、どこにそういう問題を打開する場合の壁があるのかという点はいかがでしょうか。
  55. 坂村吉正

    坂村政府委員 おっしゃる通り、まことにごもっともな御意見でございまして、私どもも、農業近代化を進めていく上におきましては金融の問題を非常に大きな問題として取り上げまして、これが非常に大鵬な問題であることは痛感しております。ですから、先ほどから申し上げておりまするように、農業金融の場合には、非常に長期低利の問題を扱いますところの政府資金を直接貸し出す農林漁業金融公庫、もう一つ協同組合系統金融というものがあるわけでありまして、公庫資金を拡大いたしますることは、資金需要に応じまして政府の出資を増額をしていくということに尽きるのでありまして、そういう条件のいい長期低利のものについては、何といたしましても政府出資を増額していくということをやらなければ片づかないだろうと思っております。現在も、できる限り毎年の需要に応じまして政府出資を増額をいたしまして融資の拡大をはかっていこう、とう考えておるわけでございます。それから、一面、農業協同組合金融の問題につきましては、ここ数年来非常に根本的な問題になっておりますが、それには、何と言いましても、農業協同組合組織整備と内容の充実をはかっていく、そして、農協がほんとうに信用を得て農民の金が集まり、その金が農業金融としてこの面に十分還元される、用途に向かって還元されるという状態にしなければ、なかなかこの問題は片づかないというふうに考えております。現在の状況段階におきましても、末端では八千億以上の金が集まっておりまして、信連段階でも四千億、農林中金におきましても二千億の金が集まっておる。こういうものがほんとうに農民に還元されて農業近代化のために役に立つ、こういう方向に動かせれば、現在の資金の量から見ましても相当なものができるのではないかというふうに考えておるのであります。その一つの手始めとして、新しく近代化資金という制度を作りまして、そして政府もこれに対しててと入れしていく、そして農協の今後の合理化に役立つように運用していこう、こういうことで考えておりまして、今後とも、これは十分であるとは思っていないのでありますが、農業金融の根本的な合理化といいますか、そういう面につきまして十分真剣にこの問題と取り組んで検討していきたいというふうに考えておるわけであります。
  56. 角屋堅次郎

    角屋委員 農業近代化資金の問題を新しい農業金融一翼として出されたことは、着想としてけっこうだと思いますが、ただ、農業近代化資金の問題一つ考えましても、御承知通り、大体系統金融金利九分五厘というところに頭を置いて、その中の一分を国でめんどうを見よう、あとの一分は地方自治団体の方でめんどうを見てもらいたい、こういうふうなちゃちな考え方ではなくて、むしろ、国が出資を増大して大部分のめんどうを見て、なお農業金利全般を下げるために地方自治体がいささかの協力でも、こういうことでやるのが本筋であろうと思いますが、おそらく、着想した農業近代化資金の問題も、国際的な水準から見ても非常に悪条件にある日本の農業金融を抜本的に改正をしていく一翼としてこの問題を考え、政府出資あるいは金利水準についても、当初は積極的な意欲で着想されたのではないかと思いますが、この点はいかがですか。
  57. 坂村吉正

    坂村政府委員 御質問の御趣旨はごもっともなんでございまして、私どももできるだけ有利な条件に持っていきたいと考えておりますが、まだ最初のことでもございますし、今後の問題としてだんだん政府は拡充していきたいというふうに考えておるわけであります。  それから、地方公共団体にこの金融についてどういう役割をしてもらったらいいかということを考えてみますと、農業近代化という問題につきましては、県といい、あるいは市町村といい、非常に積極的にこれは考えているわけでございます。この農業政策については県も市町村も同じようにえらく積極的な意欲を持っております。その意味から言いましても、当然県にもある程度の分担をしていただいて、国も県も一緒になって農業近代化を進めていく、こういう体制を進めることが農民に対して非常に力強いことになるのではないかというふうにも考えまして、県にも半分の負担をしていただくというように考えたわけでございますが、しかし、そのために県が非常に苦労をすることがあってもいかぬと思いますので、これは地方交付税の算定には織り込みまして、そうして国でも交付金としてめんどうを見ていく、こういう体制をとっているわけでございます。そういうような意味で、また裏では県に対して国が援助していくというような形にもなっておるというふうに考えます。
  58. 角屋堅次郎

    角屋委員 農地局長に出席願うように依頼をしておきましたが、担当の方が見えましたので、午前中の質問の点について少しお伺いをいたしたいと思います。  午前中に触れた問題でありますけれども、今度の農林漁業金融公庫の貸付計画の中では、自作農維持創設資金については、前年の百三十億に対して、今度三十億円増額して百六十億ということに相なっておるわけでございますけれども農業基本法中心にしたこれからの新しい農業の発展の問題と関連をして、自作農維持創設資金の用途というものについての性格が相当に変貌していくのではないか、これはかねて衆議院の予算委員会を初め関係委員会でいろいろ論議されてきた経過もあるわけでありますけれども、いわゆる構造改善の重要な一翼として自創資金というものを活用していこう、こういうようなことから、先ほど午前中の答弁でも、農林経済局長の方では、いわゆる中庸程度農家を対象にしたものからさらに経営規模の大きなものまで拡大をしていこうということで、むしろ、私どもからするならば、政府与党の考えておる構造改善政策からいくならば、中庸も相当上のところから、むしろ富農層ともいうべきところにこの方面の資金の用途が移っていくのじゃないかという感じがするわけであります。午前中聞いたところでは、自作農維持創設資金の運営の問題は、今公庫、農地局の間でいろいろ相談をして、まだ必ずしも最終的に運営の問題の結論を見ていないというふうにおっしゃっておるわけですが、この際、自作農維持創設資金の新年度における運営の問題について一つお伺いしたいと思います。
  59. 山路修

    ○山路説明員 三十六年度の自作農維持創設資金運用方針につきましては、先ほど経済局長からお答え申し上げました通り、現在内部においていろいろ検討中でございます。ただ、この方向といたしましては、ただいま御質問にもございましたように、今後自立経営農家の育成という面を強く打ち出すということももちろんでございますが、一方、自作農維持創設資金の性格からいたしまして、転落農家の防止という意味の維持資金につきましても、少なくとも前年のワクを下らないように持って参りたい。目下そのような線を中心にいたしまして具体的な方針は検討中でございます。
  60. 角屋堅次郎

    角屋委員 中庸程度農家が対象だというが、中庸といっても非常に抽象的であって、従来から運営の問題でやっておるわけでありますけれども、この中庸の水準というのはこれからの農業の構造改善政策と見合って上がっていくという解釈のもとで、結局対象の範囲というものを上げていくのじゃないかという感じがするわけですが、その辺のところをさらにお伺いしたい。
  61. 山路修

    ○山路説明員 従来は、御指摘の通りに、中庸規模の農家、この中庸規模と申しますのは、各県あるいは各県内をさらに地方に区切りましてきめておいたわけでございますが、それから下ということになっておりまして、明年度におきましては、この中庸規模の制限は廃止して、それより上層のものにも貸し得るようにいたしたいと考えております。何分、自立経営農家育成と申しましても、それぞれ具体的にどれだけの規模並びにどれだけの経営というものが自立経営農家であるという点の判定はなかなか困難でございますが、全体の運用といたしまして、従来の中庸規模を上回るものにも融資を広めていくというような方針でおります。
  62. 角屋堅次郎

    角屋委員 あと同僚の委員からもたくさんこの法案についての質問がなされる予定になっておりますから、最後に一点だけ御質問を申し上げて私の質問は終わりたいと思います。  それは、御承知通り、昨年の三月に公庫法の一部改正案が可決された際に、附帯決議として本委員会で議決をされました中に、「酪農業の生産基盤の整備と乳業の近代化を促進するため、すくなくとも酪農振興法に規定される集約酪農地域および酪農経営改善地区内において生産される牛乳の処理加工施設の新増設または改善に必要な長期低利資金については、これを本公庫から融通し得る途を拓くものとし、速やかに所要の法制上及び財政上の措置を講ずること。」、こういうふうな言葉がございます。この問題については、おそらく農林経済局においてもこの附帯決議の趣旨に基づいて十分検討されておる段階であろうと思いますし、これはやはり今後の成長財と言われておる畜産部面の重要な一翼をになってくる問題でありますから、この際、この農林漁業金融公庫法改正にあたっては、附帯決議の結論というものを出す必要があるだろうと考えるのであります。ことに、これからの農業問題で本委員会あたりでも論議されておる問題の中にも、農業外の資本力の農業部門への進出、特に成長財と言われる畜産部面への今日の積極的な進出ということが非常に大きな問題になっておるやさきでありまして、建前としては、農業関係のいろいろな生産部面、初期の段階における加工部面等については、やはり農業資本力をもって処理していき、農業関係におけるところの利益というものは直接これに従事しておる農業者が受けていくという建前を貫いていかなければならないというふうに考えるわけでありますし、そういう点から見て、農業外資本力の異常な農業への進出傾向ともタイ・アップいたしまして、やはり、この昨年決議をされた問題については、その第一段として処理すべきであると思いますが、これらの問題についてどういうふうに今日検討されておるかという点をお伺いしたいと思います。
  63. 坂村吉正

    坂村政府委員 御質問の問題でございますが、昨年当委員会においても御決議をいただきまして、その後、農林省におきましても、政府部内におきましても、鋭意検討して参っておるのであります。先ほど御質問の中にもございましたように、農業近代化を進めて参ります場合に、関連産業に対する融資あるいはいろいろの保護というものを強化して参りますことは、農業部面にとって非常にプラスになることでありまして、そういう点も力を入れていかなければならないということは当然考えられる問題であります。そういうような意味からいたしまして、農業基本法におきましても、関連産業の問題を当然のこととして取り上げておるのであります。そこで、私どもといたしましても、今度の近代化資金におきましても、農協及び農民が主たる出資者となっておるような関連産業に対しては、農協あるいは農業者と同じような扱いをいたしまして、近代化資金の中で融資をやっていこう、こういうようなことで現在考えておるわけであります。近代化資金の助成法におきましても、そういうような内容で御審議をお願いしておるわけであります。  それから、一面におきまして、大きな関連産業につきましては、なかなか県単位のいわゆる近代化資金という制度には取り込めない面もございます。   〔委員長退席、田口(長)委員長代理着席〕 従来も、開発銀行であるとか、あるいは北海道開発公庫であるとか、ああいう政府の特殊金融機関におきまして、低利金融の道がつけられるようにということでやって参っておるのでございますが、三十六年度以降におきましても、この問題は十分積極的にそういう方面からの金融の道をつけたい、こういう工合に考えておるのでございます。また、一面におきまして、系統金融の中におきましては、農林中金の関連産業貸し出しというのが今までもあるわけでございますけれども、今まではどちらかと言いますときわめて制限的に考えられてきておるのでございます。しかし、今度の近代化資金のような制度で、末端でとにかく農協の金は農民に貸し出させるという方向で進みました場合には、中金までやがて参りました金の相当部分は関連産業に堂々と貸し出していいのじゃないか、こういうことで、農林中金から関連産業に貸し出す分についても相当積極的に考えていくべきではないか、こういうふうに考えておるのでございまして、そういう方向で今後の農林中金融資等も一つ考え、それから指導して参りたいというふうに考えておるのでございます。  そういうような面で、今後伸びますいわゆる成長産業であります乳業に対しまして、今言いました各方面の金融措置を講じておるのでございます。たとえて申し上げますと、大きな会社をとりまして、雪印乳業、あるいは森永乳業、それから明治乳業というような大きな会社に対しましても、開発銀行あるいは北海道開発公庫、こういうようなところから、ここ数年の間におきましても十億以上の金が全体としては出ておるというようなことに相なっておるのでございます。それから、農林中金からもこれらの各会社に対しましては積極的な融資をいたしておりまして、本年も、各社に対して、もうすでに、数日前でございますが、おのおの二億ずつの融資をいたしておるような状況でございます。そういうようなことで、あらゆる方面から、乳業に対してもそういうような措置を積極的に進めておるような状況でございますので、本年の問題といたしましては、とにかくそういうことで開銀とか開発公庫というような面で一つ積極的な融資をはかることと、それから、小さな県単位の乳業会社等については、いわゆる協同会社というような性格のものについては、これは近代化資金一つめんどうを見ていくようにしたらどうかというようなことで一応結論を得まして、そういうような趣旨で大体今までの御決議の御期待にも沿うのではないかというふうに考えて処置して参ったのであります。
  64. 角屋堅次郎

    角屋委員 ただいま局長のお話のような点では、昨年の附帯決議が完全に消化されたというわけには参らないわけでありまして、今度新しく創設される農業近代化資金の場合には、貸付限度についても五千万円、もっともこれは特別の理由ある場合には大臣の承認を得てその額までということになっていますけれども、貸付限度についても限界がありまするし、また、同時に、近代化資金の方は債務保証の問題や利子補給というようなことを伴う特殊資金関係等もあって、どういう関連産業に相当部分融資ワクとして振り向けるということは相当困難な事情もある。先ほど来申し上げまするように、農業近代化の問題、あるいは農民との結びつきにおける関連産業の振興という面から見ると、やはり農林漁業金融公庫の中で解決すべき問題についてはこの際解決しておくということが必要であろうと思う。これらの問題は、与党の中でもそういう意見が起こっておりますし、いずれ相談をしてこの際やはり処理をしたいということで、これ以上局長にお伺いすることはやめたいと思います。大臣でもおればその辺のところの政治的な判断あるいは踏み切りということができようかと思いますが、事務関係の直接の局長にこれ以上お伺いしても前進がなかなかむずかしかろうと思いますので、この程度で終わりたいと思います。  いずれにいたしましても、この問題は、農林漁業金融公庫法改正のこの機会に、昨年の三月、公庫法の一部改正の際に附帯決議として決定をされました点については、完全消化をして処理する、こういうふうにぜひこの委員会で処理したい、こういうふうに希望をいたしまして、私の質問を一まず終わらせていただきます。
  65. 田口長治郎

    ○田口(長)委員長代理 片島委員
  66. 片島港

    片島委員 まず委員長に申し上げておきたいのですが、きょうから審議を始めた四月一日実施の法案四件を一両日中に審議をして衆参両院を通過させようという予定だそうでありますが、このような委員の出席ではとうていこれだけの数多い法案の審議を終わるということは困難だと思います。委員の出席については委員長から一つ特別の御配慮をお願いいたしたい。
  67. 田口長治郎

    ○田口(長)委員長代理 承知いたしました。
  68. 片島港

    片島委員 お尋ねいたしたいと思いますが、今年から伐調資金はどれくらい減らすようになっておるのでありますか。それと、今度の経営維持改善のための資金というもの中には、森林の保全管理に要する資金、造林のための土地取得資金、あるいは疾病などの原因によって林業経営を維持することができないような場合、いろいろな場合を含んでおるのでありまして、伐調資金も、いろいろな種類に属する中のたとえば森林の保全管理に要する資金というものとの区別があまりはっきりわからないようでありますが、伐調資金を幾ら減らし、そして伐調資金と今度の維持改善のための資金とは本質的にどういう違いがあるのかを御説明願いたい。
  69. 坂村吉正

    坂村政府委員 今まで伐調資金と申しまするのは、実は森林法に基づきまして立木の伐採制限を行なって参ったのであります。それに伴うところの金融制度でございます。そういう森林法の関係で、伐採制限をしなければならぬ場合に、とにかく資金に困るからということで調整資金を設定した、こういうようなことでありますけれども、この問題については、今林野庁の当局の方で、森林法の伐採制限の制度につきまして、いろいろ伐採の許可につきまして検討を進めておるような段階でございます。そういうような段階でございますので、その結果を待って、その方向に従いまして伐調資金の方については将来の問題を考えたい、こういう工合に考えておるわけでございます。ただ、問題といたしましては、今まで、いわゆる伐調資金といいますのは、どちらかと言えば、大きくなった山であるけれども、これがなかなか森林法の関係で切れなかった、こういう問題でございまして、その場合に非常に金に困るから金を貸してやるということでございますけれども、今造林地をどんどん育成しているいわゆる幼齢林あるいは相当切ってもいいというような時期まで来ない山でございましても、病気等で手放さなければならぬというような場合に、何とか金融でその人を救ってやる方法をやはり考える必要があるのではないかというような面もございますし、それから、今後造林を進めていく場合、あるいは林業家としての経営を安定させていくにつきまして、たとえば林地の取得の資金でありますとか、あるいはその造林地の撫育であるとかということにつきましてそういう資金が要るわけでございまして、今後の成長発展に対しましての金融をつけていく、こういうような意味で、伐調資金とはうらはらのような関係にもございますけれども、ちょっと性格が違うのでございまして、そういうような意味で、林業につきましての基本問題調査会におきまして自立林業家の育成というような問題も出ておるのでございますので、そういうような趣旨に沿いまして、林業経営の安定資金という制度を新しく作ったわけでございます。伐調資金資金総ワクは、三十五年度におきましては十八億八千万円でございましたけれども、本年度はこれを一応十五億ということで予定をいたしております。
  70. 片島港

    片島委員 伐調資金もやはり林業の経営安定という面においては同じであります。今うらはらというお話がありましたが、そういううらはらということになり、また伐調資金は今年は三億八千万円減額をする、こういうことになりますと、伐調資金というのは、林業経営の安定といったような面から、そのうちにこの伐調資金という名目を使わないで維持改善といったような方向に統合をするというような見通し、あるいはそういうお考えがあるのでありましょうか。
  71. 坂村吉正

    坂村政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、伐調資金をそもそも設けましたもとは、森林法によって伐採制限をやっておるわけでございますので、そういうことのためにせっかく売ろうと思っても山が売れない、あるいは切れない、こういう状況にあるので、そのために非常に生活資金に困るというような者もございますから、そういうことのために低利の金を貸してやっている、いわばどちらかと言いますと消費金融のような性格のものでございます。そういうようなことでありまして、もちろんこのことは林業経営の安定にも役立っているとは思いますけれども、そういう性格のものでございまして、今後の問題として、森林法の伐採許可制度を今林野庁でいろいろ検討しておる段階でございます。ですから、その制度いかんによっては、あるいはその伐採調整資金というものは今後どんどん縮小しあるいは廃止してもいいのではないかというような結論になるかもしれませんが、今のところまだその結論が出ておりませんので、ある程度融資総額が縮小はいたしましたけれども、三十六年度はこれを十五億ということで残しておきまして、二面、経営安定資金という形で今後の林業経営の安定に積極的に役立たせるというような性格の資金の融通制度を作っていきたいというふうに考えておるのでございます。
  72. 片島港

    片島委員 伐採の調整をするための資金として、もう売ってもいいのだけれども、これを禁止しておるために、それでは金に困るからというので、消費資金という形で貸すものである、そう言われると、今度改正になりますところの林業経営の維持改善ということの中にも、山を売らなければ生活ができないようになって山を売るということになるとこれは困るので、生活の、主として病気をした場合とかどうにもならないという場合に貸すということになれば、やはりこれも消費資金の内容を持っておるものでございますか。
  73. 坂村吉正

    坂村政府委員 御質問通り、その部分についてはもちろん消費金融という面を持っておるのでございまするが、これも、先ほども申し上げましたように、若齢林を大体主として対象としておるわけでございまして、そういうような、この山を持っておれば今後相当蓄積ができて伸びていく、りっぱな山になっていくというような場合に、病気やその他のためにどうしても手放さなければならぬというようなことになった場合に、これを金融によって保護していこう、こういう趣旨のものでございます。そのほかに、今度安定資金として考えておりますのは、経営拡大、経営安定のための土地の取得資金であるとか、あるいはその造林地の撫育のための資金であるとか、そういうふうなものを考えておるのでございます。ですから、先ほどから申し上げましたように、いわゆる今後山がまだどんどん蓄積がされて参りましてりっぱな山になっていく、そうならせるということのためにするいろいろの積極的な施策と、それから、消極的な意味では、そういう病気になったとかあるいはそのほかで非常に困った場合に金融をつけるというような性格のものを考えておるのでございまして、いわゆる伐採調整資金のように伐期に参りましたのに売れないという制限のための金融とはちょっと性格が違うというふうに観念をいたしておるのでございます。
  74. 片島港

    片島委員 相続人が数人おる場合に、一人の相続人がそれを取得をする、そのために他の相続人から金を出して買わなければならぬ、譲渡を受けなければならぬ、そういう場合に、すでに成長林であった場合には山を売って分けるというようなこともありましょうが、そうでない場合もあるのでありまして、そういう場合の対象は、幼齢林に限って、成長林の場合には考えておらぬのですか。
  75. 坂村吉正

    坂村政府委員 先ほど申し上げましたように、要するに、今後伸びていく幼齢林を大体対象としておるのでございまして、成木で伐期に来ておりますというような場合には、たとえばこれから山を切って売って処理をすればいいというようなことも考えられますので、大体この制度は幼齢林を主体に考えておるということでございます。
  76. 片島港

    片島委員 基本問題調査会の基本対策にもはっきりと基本問題として出ておりますものは、一方において非常に過伐の現象があるのに、一方において非常に蓄積のまま森林が残っておるというのを調整といいますか解消しなければならぬというようなことで出ておったのでありますが、しかしながら、やはり、治山治水対策とか水源涵養のための森林とか、そういったようなものについては今後もこれを制限をしていかなければならぬ、こういうこともあると思うのですが、そういうような場合に、先ほど、伐調資金というのはもうなくしてもいいんじゃないかというような御議論もあるというのですが、必要がなくなるということですか。
  77. 坂村吉正

    坂村政府委員 先ほども御説明申し上げましたように、いわゆる伐採調整といいますか、伐採許可制度というものを林野庁で今検討いたしておる段階でございます。その検討は、先ほど片島委員の御質問の趣旨にございましたように、非常に過伐になっておるところもありますし、あるいは蓄積が多過ぎて非常に生長がとまっておるというようなところもございますので、そういうようなもののバランスをどういう工合に調整をしたらいいかというところから出発をして、伐採許可制度というものを検討しておる段階でございますので、今後のそういう林業政策と相待ちまして、伐調資金をどうするか、それからこの経営安定資金をどういう具合に発展さしていくかという問題は考えたいと思っておるわけでございます。
  78. 片島港

    片島委員 経営安定ということを基本的な問題として考えていくならば、私は、伐調資金、これはもちろん別の法律で制限をされておるのでありますけれども、やはり、経営の維持改善、安定、あるいは経営規模の拡大とかいった林業構造改善といいますか、そういう面からいくならば、広い意味では経営の安定改善の項目の中にこれはわざわざ区別をしなくても将来いいものではないかと思うのです。そうしますと、伐調資金の場合は年間四分の利息で貸しておって、そして今度は五分五厘で貸す、こういうことになると、高い方に吸収をしてしまうというようなことになるんじゃないかと思うのですが、経営の安定、経営の改善という面からいくならば、山林という特殊な条件から考えて、今まで四分であったものを吸収すべきような性質のものに今度五分五厘という前よりも一分五厘高い利子を取られるというのは、どういう理由でございますか。
  79. 坂村吉正

    坂村政府委員 御質問の御趣旨はまことにごもっともなことでございまして、伐調資金といいましても、大きな目で見ますれば、これは経営安定のために役立つものであろうと思っております。しかしながら、先ほど申し上げましたように、伐調資金といいますのは、伐採制限を森林法でやっている、こういうことのために、木が売れる段階になっておるものも切れないで持っていなければならないという木もございますので、今後の生産性の伸びといいますか、そういうものはほとんどございませんで、ほんとに完全な消費金融みたいなものになるのでございます。そういうようなものと、今後の生長に相当期待ができるというような今度の経営安定資金の場合とは、おのずから貸付の条件等におきましてある程度の差はあっても、これは林業者としてもがまんのできるところじゃあるまいかというように考えるわけでございまして、そこで、金利の条件についてもある程度差があってもいいであろうというふうに考えておるわけでございます。
  80. 片島港

    片島委員 今度の改正におきましても、「林業経営の維持又は改善に必要な資金であって主務大臣の指定するもの」、こういうことで、現在明らかになっておるものでも、土地の取得資金あるいは管理に要する資金、また、一面では、病気などから林業経営を維持することが困難なといったような、現在明らかになっておるのでも非常に広範な対策を持っておるわけでありますが、それがために、先ほど角屋委員質問で明らかになったように、ものによっては五十万、六十万を貸付限度とする、また、ものによっては三十万ないし四十万を貸付限度とするということで、土地の取得をやろうというような、これから先非常に希望の持てるものと、病気などが原因で林業経営を維持することが困難となったようなものと、同じ第四項の二に包含をされておりましても非常にその性格が違うと思うのであります。だからこそ、貸付限度についても、あるものは三十万ないし四十万、あるものは五、六十万といったように考えているということであります。そうすれば、利息の点についても、一律に五分五厘ということでなくして、その点は当然その貸付の対象に応じて差を設けるべきものであると思いますが、その点いかがです。
  81. 坂村吉正

    坂村政府委員 先ほども申し上げたかと思うのでありますが、林業経営安定資金といいますのは、簡単に申し上げますと、農業における自作農資金と大体性格が似ているようなものでございまして、自作農の場合におきましても、病気等のためにどうしても農地を手放さなければならぬというような場合の、ほんとうに生活に困って金を借りる場合もございますし、それから、土地を取得いたします場合の金もあるのでございますが、そういうものも一応一つ制度として金利を一本にきめておるのでございまして、この経営安定資金の場合におきましても、もちろん、その個々に分解してみますと、病気のために金を借りる場合と、土地の取得資金あるいは管理の資金等とでは、条件等は十分違ってもいいものではないかというように、性格的にはこまかく分解をいたしますればそういうこともあり得ると思うのでございますけれども、その制度として一本の金利で発足いたしまして、一面から言いますれば、造林地その他の林地というようなものも担保価値として相当持っておるわけでございまして、今後の生長も相当期待されているような状況にあるのでございますから、一応その一本で金利を定めまして、そして運用をしてみたいというふうに考えているわけでございます。今後の運営の状況等によってはいろいろ問題を検討してみる必要があろうかというふうに考えております。
  82. 片島港

    片島委員 これから先この種の資金は林業の経営改善、構造改善という目標に向かってだんだんふえていくものであろうと思う。そろいうことになれば、やはり、これから先、経営規模をふやして土地を取得しようという人は非常な希望を持っているのでありますが、そうでなくて、維持をするのに生活ができぬ、こういったようなものはやはり金利の面においても検討をする必要があるのではないか。特に、今自作農維持創設資金について御説明がありましたが、自作農維持創設資金は、昨年度までは、百三十億の内訳が、維持資金が八十億で取得資金が五十億だったと思います。維持資金の方に八十億というウエートを置き、取得資金に五十億。それが、今年は、百六十億のうちで維持資金は六十億に減らして取得資金の方を百億にふやす、一方は四分の三に減らして一方は二倍にふやす、こういうようなことになりますと創設資金というものが非常に比重を増してくるわけですが、ただいまの御説明によりますと、せっかくこういうふうに並列に書いてありますけれども、経営規模の拡大ということを重点に置かれておるような御説明でありますが、対象としてこれだけ掲げてあるもののうち、創設取得資金に振り向けられるものと、そうでなくて維持資金に振り向けられるものと、全然区別なしにこういうものを出しておられるとは私たちは考えない。現に、自作農維持創設資金がそのウエートが逆転いたしておる状態でありますから、ここにわざわざ十億という新たな資金を出資せられたについては、取得資金と維持資金の間にどの程度の割り振りをお考えになっていますか。
  83. 坂村吉正

    坂村政府委員 経営安定資金については総額十億ということで昭和三十六年においては考えておるのでございまして、その内訳について消費資金あるいは取得資金というようなものがどういう工合になりますか、これは現在のところまだそういう内訳を考えておりません。今後の運用といたしましても、これを画一的に、これは疾病のための場合の維持資金であるとか、あるいは林地の取得のための資金であるとかいうふうに画然と区別した形で融資をしていくというようなことは、新しい制度としては非常に無理があろうと思うのでございますので、そこら辺は十分考えまして、今後伸びていく制度でもございますので、ほんとうの資金需要実態等を十分把握ができますようた形で運用をしていかなければならないというふうに考えておるのでございまして、現在のところそういった区分はきめておりません。
  84. 田口長治郎

    ○田口(長)委員長代理 片島委員、本会議が始まりましたから、質問途中でございますけれども、しばらく切っていただけませんか。
  85. 片島港

    片島委員 はい。
  86. 田口長治郎

    ○田口(長)委員長代理 本会議散会後まで暫時休憩いたします。    午後三時二十二分休憩      ————◇—————    午後四時五十二分開議
  87. 坂田英一

    坂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案質疑を続行いたします。片島港君。
  88. 片島港

    片島委員 公庫年度別の原価歩合を調査いたしてみますと、資金運用利回りは昭和二十八年度から三十五年度、三十六年度に至るまでほとんど変わっておらないのでありますが、償却積立金は〇・九二%から〇・一七%と下がっております。その原因は、借入金の利息が非常にふえてきておる。これはもちろん国の出資が減って高い金利の借入金がふえてきたのが原因でありましょうが、こういうふうな状態で参りますと、公庫資金運用についてだんだんと支障が起きてくるのではないかと思うのでありますが、その点、農林当局並びに公庫当局から御所見を承りたい。
  89. 坂村吉正

    坂村政府委員 御質問通り公庫の採算の面につきましては、あまりりっぱな採算の状況であるとは申し上げられないような状態であるのでございまして、このために、政府といたしましても、できるだけ出資金を増額いたしまして、そうして公庫の採算もよくしていく、こういうことに毎年努力をいたしておるわけでございます。年々の償却引当金の状況を見ますと、お説の通り、昭和二十八、九年等に比べますと、最近は非常に低下をいたしておるのでございますが、設立当初におきましては、資金の総ワクも比較的小さくございましたし、それから、それに対しまして出資金の割合が比較的大きく、従いまして、借入金の歩合も現在に比べますと割合に小さかったわけでございますが、最近におきましては、出資金より借入金の方が非常に大きなウエートを占めてきているという状況でございます。ただし、三十五年におきましては、出資は一般会計、産業投資特別会計を合わせまして七十七億ということで組んでおったのでありますが、三十六年度におきましては八十九億ということで相当の増額をいたしておるのでございます。その結果といたしまして、ほんとうに微々たるものではございますが、償却引き当てのところで見ますると、三十五年度は〇・一六ということでございましたが、三十六年度の見込みといたしましては、〇・一七と、わずかに〇・〇一の上昇を見られるのではないかというふうに考えておるのでございます。また、一面におきまして、初めの年度に比べまして、最近は、自己資金といいますか、年度がたってきておる関係で、いわゆる償還金がふえておるわけでありまして、そういう面ともからめて今後ともできるだけ公庫の採算を健全にしていくように努力いたしたいと考えております。
  90. 清井正

    ○清井説明員 私からもお答え申し上げますが、ただいま局長からお答え申し上げた通りでございまして、公庫は御承知通り長期でございますので、十年、十五年の償還金が公庫にはなお多いわけでございます。ところが、公庫は、できてからやっとと言っては語弊がございますが、ちょうどこの三月で八年になるわけでございます。従って、まだ償還が完了していないような部分相当多くを占めておるのでございまして、今後回収金が相当ふえて参るということが当然予想されるわけでございますので、私ども公庫資金計画におきまして、回収金の占める割合が相当多くなって参りますれば、政府の出資なり借入金に依存する割合が少なくなる。それに至ります間は、公庫といたしましては、借り入れ利子のかからない出資金に依存する歩合が相当多いものと考えておるわけでございます。三十五年度と三十六年度はさほどのことはございませんが、今後、公庫といたしまして、先ほど御説明申し上げましたが、政府融資機関たる性格をはっきりいたしまして、割合に低利融資を続けて参りますと、利回りがだんだん下がって参ります。そういたしますと、政府の出資に依存する歩合が多くなって参るということになりますので、今後一、二年といたしましては、政府からの出資を相当大きな割合で仰がなければ公庫の採算はだんだん悪くなるのではないか、かように考えておる次第であります。
  91. 片島港

    片島委員 政府の出資金も三十六年度はふえておりますが、しかし、借入金の方もまた需要増に伴って非常にふえておるようでありますが、三十五年度と三十六年度の全体に対する政府資金の比率はどの程度に変わっておりますか。
  92. 清井正

    ○清井説明員 三十五年度までで申しますと、出資金が三九・五%、借入金が六〇・五%という割合でございましたが、三十六年度のこの計画では、出資が三七・八、借り入れが六二・二というふうになりまして、やや出資の率が減ってくるという状況になっておるわけであります。
  93. 片島港

    片島委員 局長のお話では、出資をだんだんふやしていって運用が楽になるようにしたいと言っておられますけれども政府の出資もふえておるけれども、なおかつ借入金の方がそれにもましてふえているのでありますが、それでも今後なお健全な運営ができるとお考えでありますか。
  94. 坂村吉正

    坂村政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、十分ではございませんけれども、できるだけ年々出資の増額をしていく、こういうことで努力をいたしておるのでございまして、三十六年度の出資と借り入れの状況を見ますると、出資もふえておりますけれども、それ以上に借り入れもふえておるととほ事実でございますが、先ほど申しましたように、自己資金と申しますか、償還金も相当ふえておるわけでございます。その三つをからめて一緒に考えまして、今後の問題といたしまして、公庫の採算を健全にしていきたい、こういうことで努力をいたしたいと考えております。
  95. 片島港

    片島委員 今年度の貸付予定額を六百億として、その原資調達額は五百六十四億となっておりますが、これは、昨年の分からの残四〇%といいますか、また今年度の新規と合わせて五百六十四億、出資金と借入金の合計でありますが、こういうふうに、今年度は幾らワクをふやしても六〇%、来年度に四〇%、どういうふうな貸付、融資をしておるのがほかのところにも政府機関では相当ございますか。
  96. 坂村吉正

    坂村政府委員 ほかの金融機関についての実態は私よくつまびらかにしておりませんけれども農林金融公庫の現在までの事業の運営状況を見ますと、大体貸付額に対しまして資金手当といたしましては六〇%程度を見込んでやっていくことが現状では実情に大体合っているというふうな状況でございますので、予定といたしましては六〇%程度のものを資金手当として予定いたしておるわけでございます。
  97. 片島港

    片島委員 総裁は自分の商売ですからおわかりでしょうが、ほかの政府機関であなたのところみたいな貸付をやっているところはございませんか。
  98. 清井正

    ○清井説明員 まことに恐縮でございますが、ほかの金融機関にあるかどうか、私、ちょっとはっきりしておりませんですが、おそらく、貸付決定とそれから資金の交付とが時期的にややずれているような形で貸付をやっておるところは、同じような事態が起こっているのではないかというふうに考えております。農林金融公庫の場合におきましても、当年度分は六〇%でございまするけれども、前年度の分がずれて入ってきておるわけでございますので、毎年貸付決定額と資金計画とがずれてきておるわけでございます。と申しますのは、貸付決定いたしましてすぐに資金を交付いたしますればこういう事態は起こらないのでありますけれども、貸付決定をいたしましても、実際に資金交付をいたしますのは、土地改良あるいはその他工事に必要な資金を貸し付けする場合には工事の進行状況に応じまして貸付の実際の執行をいたすということにいたしておるわけであります。従って、たとえば百億なら百億の金を貸し付けるにいたしましても、この場合は当初にはそのうちの三分の一なら三分の一というふうに貸付をいたしまして、その後の工事の進行状況に応じまして残りを貸し付けていく、こういう貸付の方法をとっているのが一つと、それから、農林金融公庫は、御承知通り、特に農業に貸す場合が多いのでございますが、そういう場合に農閑期に事業をいたす場合が多いのであります。従って、暮れから一月、二月、三月にわたって事業をいたす場合が多いのでありまして、公庫の期別の割合を申しますと、一月以降貸付をするのが三〇%、四〇%以上もあるというように、一月以降に貸付が集中いたすわけであります。従って、貸付決定をいたしまして資金交付をするまでの間に年度がずれまして、従って、三月三十一日で切ってみますと資金交付が相当ずれてくるというような結果になって参りますけれども、私ども公庫の貸付の実態といたしましては、貸付を決定いたしますとすぐに資金の交付を執行いたします。しかし、中には、今申し上げましたように、一部しか資金の交付をいたしませんで、事業の進行に応じてだんだんに交付いたすということが多いのでありまして、ただいま申しましたように、貸付決定と資金給付との間にずれがあるということが、貸付が実際問題として年度末に固まって起こってくるという実際上の問題からして、こういうふうに六〇%程度のものを本年度分として資金交付するということになるわけであります。しかし、ただいま申し上げた通り、前年度も同じような状態で交付の分が本年度にずれてきておりますから、実際問題としては、年度資金交付の実態がずれるということにはなりますけれども、私どもといたしましては、需要者の要望に応じて資金交付をいたしたいという方針には変わりないようなわけでございます。
  99. 片島港

    片島委員 どこの金融機関でも、おそらく四月一日の年度の初頭に全部貸し出しを終わるというのはないと思います。やはり年度の中途において貸し出すのがどこの金融機関でもあるわけです。それも、一番最初の新規の場合でありますと、やはり年度の途中というのがありますから、年間を延べれば一〇〇%ということはいかないわけでありますが、あなたの方はもう八カ年間もやっておられるから、是正しようと思えば、六百億なら六百億そのものが貸し出しを一回やって、そうして一回是正すれば、それから先はずっと残が残っていっても合計としては六百億ということができるわけではありませんか。是正できないのですか。
  100. 清井正

    ○清井説明員 ただいまの問題でございまするけれども、これは実は昭和三十年度だと記憶いたしておりますが、それ以前は、貸付決定をいたしまするとすぐ貸付決定金額を受託金融機関に交付いたしておったのであります。たとえば農林中央金庫を受託金融機関として実行は農林中央金庫にお願いしておったわけです。そういった場合には、貸付決定をいたしますと、貸付決定した金額をそのまま受託金融機関に交付いたしまして、公庫の手から離れるわけです。そういう制度をとっておりますために、貸付決定とそれから決定された金額の交付がほとんど合っておった時代があったわけでございますけれども、その後、受託金融機関相当金が余ると申しますか、相当金が備蓄されたという時代がありましたので、三十年度から制度を変えまして、貸し付け決定いたしましてもその金は公庫の中に保留をいたしておくという制度にいたしまして、そういう制度を実施いたしまして以来、ただいま御指摘の通り、決定したけれども資金交付はまだだという、実態がずれて起こってくるというふうになって参りまして、それが三十年度以来の実績でございます。  そこで、三十年度以来どういう実績になっておるかということを調べてみますと、三十年度は大体七五%くらい当該年度に交付いたしておりますし、三十一年度は六五%、三十二年度は六〇%、三十三年度は五九%、三十四年度は五七%というふうな実績を示しておりまして、当該年度の貸付決定に対しまして実際に資金を交付した割合がこういうふうな実績になっておるわけであります。従って、われわれといたしましては、来年度予算編成にあたりましても、大体従来の実績を見て六〇%ぐらいが、実際貸し付けるにいたしましても資金交付が残るのではないかというふうな推計をいたしております。それと前年度から繰り越された合計したものが実際公庫として資金の手当をしなければならない金額ということになるわけであります。  御指摘のように、こういう問題を全然なくするということにいたしますためには、公庫資金の貸付決定と同時に全額資金を交付するというような制度に改めますれば、あるいは貸付決定とそれに基づく資金交付とが大体合っていくということになるわけですが、かつてありましたのをこういうふうに三十年度から切りかえて制度を直したような経緯もございますので、はたしてもとのように直すことによってうまくいくかどうか、ちょっと貸付の実際面の検討から申しましても問題があるんじゃないかと思いますので、この点は、私どもといたしましても、現行通りやっていくのが最もいいのではないかというふうに考えておる次第であります。
  101. 片島港

    片島委員 それでは、前年度からの分は四〇%でなければならないということはない、わけですね。六〇%、四〇%ということでなくても、今年度の六百億といった場合に、前年度の分がずっとあるわけですから、それをこなそうと思えばこなせるのだが、あなたの方の機構関係や、あるいは手続、審議の期間、そういったようなものにも手落ちがあるのではないか。
  102. 清井正

    ○清井説明員 ただいま申しました六〇%というのは、過去の実績がそうなっておるから予算上六〇%に組んだということでありまして、四〇%でなければならぬとか、五〇%でなければならぬということではないわけであります。従って、過去の実績がこうなっておるからこの程度資金手当を用意しておけば十分ではないかという程度だけのことでございます。ただいま来年度予算で見ますと六百億の貸付のワクを私どもいただいておるわけでありますけれども、貸付の決定は六百億にするけれども資金は過去の実績から見ると五百六十四億だけ用意しておけば、それで十分ではなかろうかという一応推定でございます。従いまして、今後の資金交付上どうしても資金が足らないということになりますれば、また別途の措置をとらなければならぬということになるわけでございまして、必ずしもこうでなければならぬという性質のものではないわけでございまして、過去の実績によって貸付をいたしております。こういう貸付の実際の方法からも問題があるので、その点を御了解願いたいと思います。
  103. 片島港

    片島委員 六〇%、四〇%という率があなたの方で前例を開かれました。ところが、これはまた別の近代化資金法案のときにお尋ねをしたいと思うのですが、近代化資金を三百億円と予定しておりますけれども、百八十億円、ちょうど六割というものを予定して、運用益によってまかなえるようになっておるようであります。こういう一つの悪例があると、それをすぐに前例があるからということで近代化資金一の運用についてもこういうのが一つの前例になると思うのでありますから、これは私は今後もっと検討していただきたいと思うのであります。  それはまた別の機会に譲るといたしまして、資金原価のうちにおいて事務費の占める割合です。借入金の利息は年々ふえてきておる。資金原価全体としては大体同じで、また、運用利回りも大体そう変わらないが、私がちょっとここで不思議に思いますのは、事務費という項が、非常に総体のワクがふえておるにかかわらず、その事務費の占める割合というのがむしろ非常にふえておる。これはどういうわけでありましょうか。総体の金額がふえればふえるほど事務費の総額はふえるかもしれませんけれども、パーセントまでがふえるというのはどういうところに計算の根拠があるのですか。
  104. 清井正

    ○清井説明員 御指摘の点でございますけれども、なるほど、その割合と金額の問題でございますが、私ども公庫は、御承知のように、当初は全部委託貸付をいたしておりまして、公庫はこの点でごくわずかの人数しかおりませんので、あと全部農林中央金庫、県の信用農業協同組合、あるいは地方銀行に預託して貸付をしておりまして、全然貸付の事務をしていなかったのであります。ところが、その後経過いたしまして、そういう体制ではやはり公庫の貸付として不十分であるということでございますし、また、今後の貸付の事務の普及徹底あるいは借入者側の便宜等を考えますと、今のような制度では工合が悪いということで、その後支店を設置することになりまして、ただいま九支店を設置しておるわけであります。そてのほか、貸付の事務がふえるに従って、貸付事務のための人はもちろん、管理事務のための人も相当増員を要するというようなことがございますし、重ねてまた、全部委託貸付ではなくて一部は公庫で直接貸付を実施いたす必要があるということで、昭和三十三年度から一部直接貸付を実施いたしておりますというようなこともございまして、そういうような事情から、いわゆる貸付事務全体の繁忙の増大割合よりも以上に事務費がふえたということに相なるかもわかりません。しかし、それは、ただいま申しましたような特殊事情のために、公庫自体の貸付と債権の管理ということの必要性のために最小限度の機構を拡充いたす、あるいは人員の増加をいたす、あるいは事務の増加をいたすということによって、ただいま御指摘のような事態が起こったのではないかと私ども想像いたすのでありますが、これはひとえに公庫の仕事の万全を期するという意味の必要やむを得ない事務費であるというように御了解願いたいと思うのであります。
  105. 片島港

    片島委員 そうすると、あなたの方の事務費と委託費とを合計したものが全体としての取り扱い上の経費だ、こういうことになると思うのであります。しかし、委託費の方も、直接貸しがふえたにかかわらず、そう減っておらぬようでありますが、その点はいかがでありますか。
  106. 清井正

    ○清井説明員 御指摘の通り、委託費を受託金融機関に交付する分と直接使います分との合計が全体の事務費ということになるわけでございますが、私どもの受託手数料の交付の仕方は、貸付残高に対して幾らというやり方で交付いたしておるので、貸付残高がふえればふえるに従って受託手数料はふえていくというやり方になっておるわけであります。そういう点と、それから、直接貸付を始めましたけれども、まだ全体の一割か一割五分程度しか直接貸付を実施していないのであります。従って、八割以上のものは従前通りの受託金融機関に委託いたしておるという事態がございますので、ただいま御指摘のようなことになっております。今後、直接貸付の割合をふやしていくとか、あるいは受託手数料につきましていろいろ検討するということになりますれば、その分だけは相当金額が減って参るということになりますが、現在の状況はさようなことになっております。      ————◇—————
  107. 坂田英一

    坂田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま審議中の農業協同組合合併助成法案について参考人の出頭を求め、その意見を聴取いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
  108. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、参考人の人選及び出頭の日時等については委員長に御一任願いたいと存じます。  明日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十八分散会