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田邉(國)
委員 さらに、それに関連をいたしまして、最近のポートワインの問題であります。ポートワインというのは、たしか、酒税法によりますと、その中に
ブドウ酒を一〇%入れなければならない。そういうことが前国会か前々国会で成立したと思いますが、従来ならばポートワインというものは全量の純粋なものでなければならない。それが
日本においては一〇%入ればポートワインと言えるというわけです。これは私は
ブドウの
生産者にとっては重大な関心のある点だと思う。たとえば、
果樹を
政府が増産をさして、そして出てくる
ブドウの余剰の一部を
ブドウ酒に持っていく。現在ポートワインというものが非常に多量のものが
日本全国に販売されておる。これがたとえば二〇%その中に
ブドウ酒を入れるということになれば、今の
日本の
ブドウ酒の
生産の全量がおそらく入ってしまう。そうしますと、
果樹の増産を幾らやっても、今度は
ブドウ酒の製造の方へその三割なら三割を回しても、なおかつそれはまたその片方においてポートワインとして飲んでくれる、こういうような状態が可能になるわけでございますから、まあ
農林省においても、これは大蔵省の管轄であってわれわれの管轄でないということでなくして、非常に関連したこの
計画を力強く推進する上においては、ポートワインの
ブドウ酒の含有量をやはり二〇%、将来三〇%に引き上げていくといった
考え方を強く推進されるお
考えを持ってやっていただきたいということをお願いするわけでございます。これは別は
局長の意見を伺わなくても、もちろんそうだとおっしゃると思うから、あえて伺いません。
私の
質問の時間が非常に切迫をしておりますので、私が最後にお願いしたいことは、先ほ
ども申しましたように、
果樹農業振興特別措置法という
法律案を作ったのだけれ
ども、これはまだ素案であって、私としてはこれを今ここに出すことははなはだ不満ではあるけれ
ども、しかし、順次これを改正していかれるということであれば、まあないよりもある方がいいということになる。ただ、その中に、私は非常に不満に思っておることは、価格安定の問題がはっきり入っておらない。これは、
農業基本法の中でやはり価格安定ということを
一つの重大な問題として取り上げているときに、それと並行して
果樹の
振興法を出すときに、価格安定の問題をこの中へ具体的にこうするんだというものが入ってないということは、非常にこの
法案の価値を下げておるのだという
感じがいたします。
それから、もう
一つは、災害補償の問題でございます。
果樹の災害補償というものは非常に私はむずかしい問題だと思います。しかしながら、これはむずかしいからといって手をこまぬいておるわけには参らないわけで、早晩においてやはり
果樹共済というものを取り上げて、次の国会くらいには
果樹共済の問題を具体的に打ち出していくという心がまえを持って、
一つ農林省が積極的にこの問題に取り組んでいくという
考え方を持っていただきたい、こういうわけです。
それから、もう
一つは、流通、加工の問題でございますが、ただ合理化という言葉でこれをにおわしておるわけです。しかしながら、では具体的にこれをどうするかということになると、この
法案の中ではっきり流通、加工の問題についてどうするかということの
説明が何もないわけです。これは非常に大事なことであって、
生産だけを幾らやらしても、そのあとこれを一体どういうように販売して、どういう出荷統制をやって、農協にどういう力を与えてこれを市場に出していくか、こういう問題を
考えてやらなければならないと思うのです。現在は、もう果実の
生産地帯は、東京の市場に荷を送るときに、いかにして値をたたかれないで
自分の果実をあまり変動のない安定した価格で売ろうかということに非常な腐心をしています。私
どもの県は東京に近いわけですから、夜中に何百台というトラックが待機をして、そして夜明けの二時ごろに荷をつけて東京の市場にそれをやる。そして、その日に大量の同じくだものが入れば、あとの方は非常に値が下がる。最初は非常に値がいい。こういうことで、私は、この流通対策というものは
政府がもっと積極的に
考えなくちゃならぬと思う。しかも、これに関連して、市場法というものをやはりあわせて
考える時代が来たんだということを
一つ認識してこの問題の対策を
考えていただきたいと
考えます。
それから、もう
一つは、
日本のこの
果樹でございますが、海外への輸出
振興の問題が、これまた私は明確に書いてないと思う。この問題は、貿易の自由化の時代に、
日本のたとえば
ミカンは現在英国へ行っておるが、しかし、これは、イタリアにおいてもフランスにおいても、ヨーロッパはどこでも
日本の
ミカンというものを非常に要望しております。こういうものの輸出対策、市場調査というものがまだ非常に欠けておるような
感じがする。それから、
ミカンに限らず、香港へ行ってみても、
日本の
ブドウがいい、
リンゴがいい。しかし、その香港の市場調査というものは何もできていない。そして、
日本からは輸出できないんだ、向こうではほしくないんだということですが、現地へ行って調査をすると、そういうものでないということがよくわかります。そこで、私
どもは、やはり
日本のこの果実というものが、世界にどんどん出るような市場調査と同時に輸出対策をこの際
考えていくべきだと
考えます。
その他いろいろあるわけでございますが、いよいよ私の持ち時間がございませんので、最後に
政府に申し上げたいことは、今まで私が
質問をいたしましたこと、それから最後に要望を申し上げたことを
一つよく御検討をしていただきたい。
果樹振興特別措置法はまことに素案で、実際には芳しくない
法律だとは思うけれ
ども、ないよりましだということで私
どもは不承々々にこの
法案には一応は賛成をするわけでございますが、しかし、賛成をしたからといって、これがいい
法律だとは私は思っておりません。ただ、これはとにかく通すということだけであって、その肉づけをすぐ次の国会、臨時国会でやっていくということを、
政府当局、特に
農林省のこの担当の
局長がそういう腹を持ち、農林大臣がそういう決意がなければ、われわれはこれを通しても
意味がないと思う。そこで、ぜひ
一つこの
果樹振興法という
法律を将来大いに活用できて、そして
果樹生産者のためになる
法律として生かすことをお願いを申し上げまして、私の
質問を終わります。