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1961-06-01 第38回国会 衆議院 内閣委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年六月一日(木曜日)     午前十一時三分開議  出席委員    委員長 久野 忠治君    理事 伊能繁次郎君 理事 小笠 公韶君    理事 草野一郎平君 理事 高橋  等君    理事 宮澤 胤勇君 理事 飛鳥田一雄君    理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君       内海 安吉君    大森 玉木君       川村善八郎君    佐々木義武君       島村 一郎君    福田  一君       藤原 節夫君    保科善四郎君       前田 正男君    緒方 孝男君       杉山元治郎君    田口 誠治君       芳賀  貢君    原   茂君       山内  広君    山花 秀雄君       受田 新吉君  出席政府委員         総理府総務長官 藤枝 泉介君         総理府事務官         (総理府特別地         域連絡局長)  大竹 民陟君         大蔵政務次官  大久保武雄君         大蔵事務官         (大臣官房長) 宮川新一郎君         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      稻益  繁君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房文書         課長)     鳩山威一郎君         大蔵事務官         (主税局税制第         二課長)    志場喜徳郎君         大蔵事務官         (主税局税関部         業務課長)   加治木俊道君         大蔵事務官         (管財局国有財         産第二課長)  細川 俊三君         大蔵事務官         (銀行局総務課         長)      塩谷 忠男君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      林田悠紀夫君         農林事務官         (水産庁漁政部         漁政課長)   尾中  悟君         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 六月一日  委員辻寛一君及び柳田秀一君辞任につき、その  補欠として川村善八郎君及び芳賀貢君が議長の  指名で委員に選任された。     ————————————— 五月三十日  売春対策機関の一元化に関する請願星島二郎  君紹介)(第四三八二号)  マス・コミの倫理化合同審査会設置に関する請  願(星島二郎紹介)(第四三九四号)  連合軍により破壊された特殊用途機械損失補  償に関する請願塚原俊郎紹介)(第四三九  八号)  同(井村重雄紹介)(第四六三〇号)  建国記念日制定に関する請願坂田道太君紹  介)(第四四八〇号)  同外一件(高田富與紹介)(第四四八一号)  同外十一件(松浦東介紹介)(第四四八二  号)  同外十一件(岡崎英城紹介)(第四六三一  号)  建設省定員外職員定員化に関する請願(中島  巖君紹介)(第四四八三号)  同外十九件(戸叶里子紹介)(第四五六九  号)  米海軍上瀬谷通信保安隊周辺建築制限に関す  る請願野田武夫紹介)(第四四八四号)  恩給法等の一部を改正する法律案の一部修正に  関する請願外二十五件(前尾繁三郎紹介)(  第四四八五号)  同(黒金泰美紹介)(第四六三三号)  傷病恩給の是正に関する請願賀屋興宣君紹  介)(第四六三二号)  平和建設国民義勇隊創設に関する請願園田直  君紹介)(第四六三四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  大蔵省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第八二号)  北方地域漁業権者等に対する特別措置に関す  る法律案内閣提出第一九七号)      ————◇—————
  2. 久野忠治

    久野委員長 これより会議を開きます。  大蔵省設置法の一部を改正する法律案及び北方地域漁業権者等に対する特別措置に関する法律案の両案を一括議題とし、前会に引き続き質疑を継続いたします。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。田口誠治君。
  3. 田口誠治

    田口(誠)委員 私は大蔵省設置法の一部を改正する法律案内容について、御質問を申し上げたいと思うわけでございます。  説明書にもございますように、最近における日本の貿易の急激な進展に伴ったということと、それにつけ加えて事務量が非常に増加したこと、加えて為替貿易自由化という点からいっても、関税政策重要性が今日高まってきたということから、現在あるところの主税局税関部昇格させて関税局にするというのが第一点でございます。そこでこれに関連をして御質問を申し上げたいと思いますことは、関税局昇格をいたしますと、必然的にその中には課ができるわけでございます。説明書内容から見ますと関税局の中に総務部というのができまして、そしてこの総務部の中になお総務課というのができるわけでございます。そこでこの総務課仕事内容は、説明書の中にも記載してありますように、人事の面も大きくここで取り扱うということに相なるわけでございますが、昇格をさせて総務部なりあるいは総務課なりを新設しなければならないという理由について、現在のところでは非常に手が足りないとか、またこういうような隘路があるという点をもう少し御説明をいただきたいと思います。
  4. 宮川新一郎

    宮川政府委員 ただいま御指摘になりましたように、関税局を作ります趣旨は、貿易量増大に伴いまして関税業務がふえて参りましたのと、貿易為替自由化に伴いまして関税政策の持っておりますウエートが高まって参りましたので、対外的にも対内的にも非常に折衝事項が多くなって参りました。そのような関係内国税を徴税いたしております主税局のもとで処理いたしますよりは、独立して関税局を設けた方がいいという趣旨に出るものでございます。これに伴いまして局を作りました際に、現在の税関部機構を申し上げますと、業務課調査統計課監査課の三課に分かれておるのでございまするが、関税政策企画立案並びに内部管理事務につきましては業務課が担当し、また税関第一線業務総括監督事務業務課が担当いたしておりまするので、この際総務課を新設いたしまして、総務課におきまして関税関係制度企画立案運用に関する事務を統轄いたしますとともに、関税政策面事務高度化に対処いたしたい、そうして別途業務課におきましては管理面あるいは政策面仕事を取り除きまして、税関第一線業務監督充実してやっていきたい、かように考えておる次第であります。なおお話のございました総務部関税局には置きませんで、各第一線税関総務部を置きまして総合調整事務を果たしたい、かように考えておる趣旨でございます。
  5. 田口誠治

    田口(誠)委員 問題は総務部総務課関係になるわけでございますが、これは税関に設けられるということでございまするが、現在局としては今の総務という仕事、これはやはり官房でおやりになっているのですか。
  6. 宮川新一郎

    宮川政府委員 お話のように、ただいま官房主事という制度がございまして、官房においてやっております。
  7. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこでこれに関連して私率直に申し上げて、それに対する御回答もいただきたいと思いますることは、これはまことに質問のしにくいことでございまするし、該当者がございますれば失礼に当たる面もあるわけなんですが、戦前から官庁というところは学閥というのが非常に強かったわけであります。戦後こうした民主主義が採用されてからは学閥というような点につきましては、相当なくなったわけでございまするけれども、聞くところによりますると、現在のところでは各省のうちで大蔵省関係が一番学閥がいまだにおいて強いということをいわれておるわけであります。従って相当優秀な人材が、出た学校によって大蔵省職員としての試験を受けることをちゅうちょしておるというのが実態であるわけなんです。これは私が実際に入って調査をしたのでないのでわかりませんけれども、大蔵省本庁あたりでは、四等級以上という者は東大、それから一橋、京大程度で、その他の学校を出られた方はきわめて少ないというか、ないというか、そういうような戦前からの悪習がいまだにおいて残っておるというようなことを聞いておるのですが、こういうような点に対して勤めておる職員人たちはもちろん非常に不満でございますし、全般から見たわれわれといたしましても、民主主義が採用された今日、いまだにおいて学閥というようなものが取り除かれておらないとするなれば、この辺で取り除かなければならない、こういうように考えておるわけなんです。その実態はどうなんですか。
  8. 宮川新一郎

    宮川政府委員 人事につきましては適材適所主義を原則といたしまして、学閥偏重はもとよりこれを厳に慎んでおる次第でございます。本省局課長につきましては東大出が多いのが現状でございますが、課長補佐並びに第一線税関、財務局、国税局等につきましては、東大出でない、いわゆる学閥でない人たちもどんどん起用いたしまして、できるだけそういう不満の起こらないように努力をいたしておる次第でございます。
  9. 田口誠治

    田口(誠)委員 御回答言葉からいきますと了解のいける御回答でありますけれども、実際においてそういうことであればいいと思いますけれども、人事交流を行なう場合に、東大、一橋、京大というような学校を出た人でない人は、四等級までくらいはいいとしても、それより以上になる場合とか、あるいはそれまでに付属機関ですね、関税部とか、こういう方へ交流されて、実際においていまだにおいて学閥というのは残されておるのだ、この点は他の省と比較すると、大蔵省関係はきわめて質が濃厚であるということがいわれておるのです。どうなんですか。
  10. 宮川新一郎

    宮川政府委員 ただいまお答えいたしましたように、できるだけ適材を適所に置いて、また学閥以外の者を登用するという考えを基本にいたしておりますが、各省との比較におきましてどういう程度になっておりますか、調査したものがございませんが、今後とも御趣旨の線に沿いまして、学閥偏重人事をできるだけいたさないように努力いたしたいと考えます。
  11. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで今の総務部とか総務課というか、すなわち本庁では官房でそういう仕事をやっておられるわけなんですが、人事管理の面につきまして、この総務部総務課というのがなお必要を感じられてきたというように言われておるのですが、その点どうなんですか。
  12. 宮川新一郎

    宮川政府委員 本局におきます総務課を作りました趣旨は、人事管理、その他管理運営事務強化をはかりますと同時に、もう一つ、基本的には関税政策あるいは関税制度運用企画等につきまして、この事務強化する趣旨のものでございます。また第一線税関総務部につきましては、これは先ほども申しましたように現在官房主事という制度がございますが、この官房主事と申しますと一見税関長の秘書役的な存在のように聞こえますので、税関業務増大に伴いまして税関業務全体の総合調整をはかり、なお人事面管理も十分いたしますために、官房主事を改めて総務部を置く、こういう趣旨のものでございます。
  13. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこでなお突っ込んでお聞きをいたしたいと思いますのは、大体本庁課長さんといえば四等級程度の方でございますか。
  14. 宮川新一郎

    宮川政府委員 本省課長と申せば大体三等級であります。
  15. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで先ほどから申し上げておる四等級のところで線が引かれておる、学閥で線が引かれておるということは、本庁課長の場合は三等級になるのだ、それから四等級までは本庁におってもいいけれども、相当年功もたったし、相当優秀でもあるしというような方は、必然的に昇格をそこでさせなければならないわけなんです。そこで人事交流ということで外の方にぽんとやられる、こういうようなことが現在においてもあり得るというようなことを、これは大蔵省内部の方から言われております。そういう点どうですか、実際においてないですか。
  16. 宮川新一郎

    宮川政府委員 税関に出しまするのは、四等級の者が昇格いたしましてそろそろ三等級にしなければならぬから出すという趣旨のものではございませんで、御承知のように本省内部部局の課は限りがございますので、適材適所主義によりましてやっておりまするが、税関第一線業務充実ということもまた必要でございまして、単にいわゆる学閥のみならず、学閥以外の人で有能な人を登用して、税関第一線業務充実をはかる、かような考え人事交流を行なっておる次第でございます。
  17. 田口誠治

    田口(誠)委員 この人事管理の面についての質疑応答ということは、適材適所という言葉もございまするし、データを持ってお示ししなければ、なかなか突っ込んだところの質問、私の思うようなことが申し上げられないし、また御回答でも、適材適所人事交流を行なうということについては、これは言葉表現上は妥当なことであるから、質疑応答の中においては、今私が申し上げておる現在の実態を是正しようとすることがなかなかむずかしいわけなんです。御承知通り国家公務員法の第一条には、民主的に、そうして能率の上がるような方法をとっていくのだという意味のことが記載されておるのですからして、それで機構を改正する場合でも、それから人事を取り扱う場合でも、国家公務員法一条の精神を逸脱するということになりますると、これは何のための国家公務員法かということになるわけです。それで私が強く要望を申し上げたいことは、公務員法の一条にある精神をそのまま生かしていただいて、そうして今の御答弁からいきますると、私が心配しておるようなことがあまりないような答弁でございまするけれども、質問する者にしてはいろいろな方面から取材をしまして、ただいま申し上げたような質問をいたしたわけなんでございますからして、今後は人事交流の面につきましても、昇格をさせるというような点につきましても、他の方から疑惑を生じることのないように、ほんとうに名実とも適材適所ということから今後の人事管理というものを行なっていただかなければ、幾ら課を設けても、部を設けても、また人をそこに置きましても、勤めておる職員人たちに大きな不満というものがある場合には、公務員法の一条に沿っての十分な能率を発揮することができないわけなのですからして、この点は官房におかれましても今後十分留意をしていただいて、今言われておるようなことのないように努力をお願いいたしたいと思うわけでございます。  それから次に、税関研修所でございますが、この十六条の研修所の旧法と今度改正される文の内容で、「職務上」ということが改正案の方では抜かれておるだけなんですが、これは何か理由がございますか。
  18. 宮川新一郎

    宮川政府委員 研修所は、今回お願いいたしておりますのは財務研修所会計事務職員研修所をそれぞれ独立の付属機関といたそうとするものでございまして、内容は従前と同じでございます。表現を「訓練」を「研修」に改める、かような趣旨のものでございます。
  19. 田口誠治

    田口(誠)委員 同じものなら同じ文章でいいと思うのですけれども、ただ「職務上の訓練を行う」という「職務上」という字句が抜けておるということは、これは公務員の方の当面とっておられる職務についての研修を行なうのでなくして、その他の方面も広く知識を得させるという考え方で、この「職務上」という小さな範囲字句を抜かれたのか。それともこういうような研修所でいろいろ勉強してもらったそのあげく、総務部総務課の方で人事交流の面について何か一つ資料にされるのか、この点何か理由はございますか。
  20. 宮川新一郎

    宮川政府委員 研修という言葉の方がいわば近代的な言葉でございますし、この際研修に改めまして、単に職務上の訓練のみでなく、広く大蔵省職員といたしまして必要な能力及び素質の向上をはかるように、いわば前向きの姿勢に改めております。それと御指摘のようにこの研修所における成績をもちまして、省内の本人の栄達の一つ参考資料にもいたしたい、かように考えております。
  21. 田口誠治

    田口(誠)委員 それで現在まで行なわれておった実態と今後やろうとする内容と、何かそこに進歩的な面がありますか、どうですか。
  22. 宮川新一郎

    宮川政府委員 従来より若干規模を大きくした程度でございまして、特に基本的に変わったところはございません。
  23. 田口誠治

    田口(誠)委員 しろうとですからこんなところで時間を費やすわけなんですが、今まではどの範囲でどの程度のことをなされておられたのか。そして今後はなおそれをどのような範囲で、内容をどのように充実したもので行なおうとするのか、何か試案があると思うのですが、ちょっとその現と今後との内容説明願いたいと思う。
  24. 宮川新一郎

    宮川政府委員 財務研修所につきましては、三十五年度の実績を申し上げますと、専門研修というのがありましてこれが十科目延べ百七十二日で二百五十三人出ております。通信教育は、研修は三科目でありまして、延べ十七カ月で五百五十二人が対象になっております。地方研修につきましては、普通研修実務研修がありまして、普通研修が一回、十日、二百十人、実務研修が八科目で、延べ五十六日、七百九十人が受けておるのでありますが、三十六年度におきましては、今申しました中央研修専門研修のほかに高等研修というのを設けまして、これを一回行ないまして六十日間、五十人を対象にいたそう。専門研修につきましては、科目は同じく十科目でありますが、延べ日数を百七十二日のものを二百九日に延ばし、人員は二百五十三人を三百三十人にいたしました。また通信教育につきましては、三十五年度の実績は三科目でありますが、これを四科目にいたしまして、延べの月数を二十五カ月、三十五年度は十七カ月でありますから八カ月延ばしますと同時に、人員も大幅に増大いたしまして千二百人を対象にいたしたい。また地方研修につきましては、回数は普通研修は三十五年度と同じく一回でありますが、日数は十日を三十日にし、人員は二百十人を二百八十人にした。また実務研修につきましては、三十五年度八科目に対しまして十科目にいたし、延べ日数を五十九日、人員を若干増加いたしまして八百八十人にいたしたい、かような計画をとっております。
  25. 田口誠治

    田口(誠)委員 それで民間会社なんかと比較するのは当を得ないかもしれませんけれども、民間会社なんかでも研修とか講習とかでいろいろ職員教育を行なっておるのですが、教育内容を見ますると、社会党なんかから見ると反動的な教育を含めて行なっているという面があるわけなんです。すなわち労働組合の切りくずしに役立つような要素を持ったものを科目に加えて行なっているところが相当あるわけなんですが、官庁の場合はそういうような面は全然触れられないのか、実際の専門的な勉強だけなのか、その点も伺っておきたいと思います。
  26. 宮川新一郎

    宮川政府委員 御指摘のような特に実務以外の思想傾向等の誘導という趣旨のものは全然ございませんで、たとえば専門研修で申し上げれば、共済組合監査事務予算実地監査事務証券業者検査事務経済調査事務金融機関検査事務融資事務管財事務徴収事務国有財産関係事務国有財産監査事務といったような実務に関することのみでありまして、通信につきましても実務研修につきましても、同様実務範囲のものでございます。
  27. 田口誠治

    田口(誠)委員 それで研修に当たられる先生は、これは別に専門的に雇って見えるのか、それとも部長さんなり局長さんなり、また総務関係担当者が出てもろもろの教育を行なわれるのか、その点どうなんですか。
  28. 宮川新一郎

    宮川政府委員 部内の課長とか事務官とかいったものを講師にいたしますと同時に、部外から学校先生等も招聘いたしまして、講師として迎えております。
  29. 田口誠治

    田口(誠)委員 それで三十五年度の実績の員数とか、また研修をされた時間とかいうようなものは今御発表いただいたわけなんですが、その内容についてはまだ承っておりませんが、これは相当範囲の広いものと思いますけれども、その点は省略をいたしまして、結局研修が終われば、何かテストをしてみて、そしてそのあと人事交流の場合に、その材料に資するのかどうか、こういう点も一つお聞きしたいと思います。
  30. 宮川新一郎

    宮川政府委員 研修後はテストをいたします。そして先ほどお答え申し上げましたように、テストの結果を所管の長に知らせまして、人事管理参考にいたしておるわけであります。
  31. 田口誠治

    田口(誠)委員 それでこの研修所へ入れる人は、全員が入れるのか、それともやはり課長さんなり部長さんの目から見て、これとこれとこれは優秀であるからまず研修所へ入れてもう少し勉強させてというような、一つ幹部教育をするというような考え方も大きく手伝っておるのか、それとも関税という専門的な業務を行なうのだから、これはもう全員を交代に勉強させるというのか、そういう点どういうふうになっておりますか。
  32. 宮川新一郎

    宮川政府委員 幹部教育といった趣旨のものではございませんで、全体の職員資質向上をはかることを趣旨といたしておりますので、もちろん各所管の長の推薦によってきめてはおりますけれども、先ほど申しましたように対象人員を非常に伸ばしまして、できるだけ多くの職員にこの機会を与えるようにいたしたい、またそういうふうな運用をいたしているような次第であります。
  33. 田口誠治

    田口(誠)委員 その推薦なんですが、これがやはりこの人は将来ある程度責任を持たせられる人材であるとか、また将来幹部になる人とか、こういうような人を選抜してこういう研修所とか、民間でいえば講習所とかいうところへ入れられるわけなんですが、民間会社の場合なんかは相当に手心が加えられておるわけなんです。全部が全部入れるというものではないのです。従って職員の中には自分も行って勉強したいと思ってみても、課長さんなり部長さんの方から推薦をしていただかなければそこで勉強ができないという人も、民間会社の場合には相当にあるわけなんです。こういう点はやはり官庁の場合もあるのではないかと思うのですが、その点はどうなんですか。
  34. 宮川新一郎

    宮川政府委員 その辺の実情につきましては詳細まで承知いたしておりませんが、ただいま申しましたように特殊の、一部の幹部候補生教育ということよりも、職員全体の資質向上ということを目的といたしておりますので、さらに実情調査の上、そういう不満がございますればそういうことのないように運用して参りたい、かように考えます。
  35. 田口誠治

    田口(誠)委員 ただいまの問題につきましては、今の御回答で大体了解がいきますが、これは民間会社官庁を問わず、こういうような研修所へ入所させるような場合の推薦は、やはり推薦する人の感情によって相当に動かされる面が多くあるわけです。それで私の方から希望を申し上げたいことは、関税という一つ業務につく場合には、全部の者が専門勉強をして、全部の者が知っておかなければならないという考え方の上に立って、研修を受けさせるというようにしていただきたいのと、そしてあとテストがあるわけなんですが、このテストの問題につきましては、いろいろと掘り下げて考えると、問題の出る面もありますけれども、そのときのテストだけで、またそのときのテスト一つ理由にして、一番最初に申し上げたような学閥というような方へ運用をされるようなことのないように、公平にその点の取り扱いをしていただきたいということを、強く要望を申し上げておきたいと思うのです。  それから次には、内部統制充実強化ということを説明書の第三に強くうたわれておるのですが、これはまあ総務部関係ですね。この説明書の第三の内容からいきますと、先ほど私が憂えましたところの人事管理——人事管理と申しましても、特に優秀な人を抜擢するとか、適材適所配置転換を行なうとか、こういうことなれば、これは当然あるべき姿であろうと思うけれども、優秀な人であっても、たまたま労働組合関係に力を入れたり、またその方の幹部になったりした人をオミットされるというようなことは、現在の時代にはどこでもあり得るわけです。そういう点から、特にその「印刷局及び税関における官房制度を改め、内部統制充実強化をはかるために、これを総務部とするものであります。」という表現が、われわれとしては非常に気になるわけです。私どもの気になっておる点を氷解させるような内容であれば幸いでございますが、一つ説明を願いたいと思うわけです。
  36. 宮川新一郎

    宮川政府委員 先ほども御説明いたしましたように、印刷局、税関ともに、現在官房制度がございますが、これを総務部といたしますのは、別に他意はございませんで、近代的な行政組織に改めまして、所掌事務事業の一そう適切かつ能率的な運営をはかろうとするものであります。さらに具体的に申し上げますれば、印刷局にありましては、業務量は経済の発展に伴いまして今後も増加すると思われますが、設備、技術の改善、経営管理の面において、一そう合理化、能率化をはかる必要がありまするので、新たに調査、経営の機能を充実するとともに、総合調整の面に遺憾なきを期するために、総務部を置きたいというものであります。また税関におきましては、先ほど説明いたしましたように、税関業務の拡大に伴いまして、この総合調整機能を強化いたしまして、管理事務の一そうの適切化をはかる必要がありますので総務部を設けようという、大局的見地に立ってのものでありますので、その点よく御了承願いたいと思います。
  37. 田口誠治

    田口(誠)委員 総合調整ということと、その内部統制充実強化をはかるということが、これはちょっと違うと思うのですが、どうなんですか。特に内部統制充実強化をはかるという面について、もうちょっとわかるように説明を願いたいと思います。
  38. 宮川新一郎

    宮川政府委員 内部統制と申しますのは、人事内部統制というようなことではなくして、税関なり印刷局において各業務部なりその他の部課があります。この各部間の総合調整をはかりまして、税関なり印刷局なりの業務の運営につきまして、これの適切な運営をはかっていきたいという趣旨のことでございまして、いわば総合調整強化というふうに御解釈願いたいと思うのでございます。
  39. 田口誠治

    田口(誠)委員 今お考えになっておる程度でよろしゅうございますけれども、今日まで行なってきた面からいって、一つの隘路があったために、こういうような内部統制充実をはかる云々という表現で、業務の相互間の調整なり業務の運営の円滑化をはかるのだ、こういうことでございまするが、具体的にちょっとその辺を伺いたいと思います。今までこういう点がどうも工合よくいかなかったので、今度こういうような方法をとって業務の円滑化をはかりたいとか、能率を上げたいとか、何かそこにお考えがあると思うので、一つそのお考えを伺いたいと思います。
  40. 宮川新一郎

    宮川政府委員 従来官房主事制度でありますために特に支障があったというのではございませんが、やはり官房主事と申しますと、先ほども触れましたようにいかにも税関長なり印刷局長の私設秘書のような、秘書、人事だけをやっているような感じを受けますので、これを総務部という近代的な組織に改めまして、業務全般の総合調整をやるにふさわしい機構にいたしたい、かような趣旨に出たものでございます。
  41. 田口誠治

    田口(誠)委員 今のお答えの内容は前のお答えと同じで、その内容程度のことならわかるのですけれども、少なくとも従来どれだけかやはり支障があって、今度の機構の改正ということに踏み切られたと思うので、それで今まで官房の手元で行なっておったけれども、こういうような点がどうも思うようにいかなかった、だから今度はこういうような方法を行なっていきたいという何か一つのお考え、計画があると思うのですが、それを伺いたいと思います。
  42. 宮川新一郎

    宮川政府委員 税関業務の統括をやっております税関部長が参っておりますので、その辺具体的な点は税関部長よりお答え申し上げます。
  43. 稻益繁

    ○稻益政府委員 税関に関します限りでは、現状は官房主事のほかに業務部長、監視部長、鑑査部長、そういう部制ができておるわけであります。長い伝統を持った制度ではございまするが、何と申しましても先ほど官房長から御説明いたしましたように、官房主事ということでありますると、官房の中にまた文書、会計、秘書とあるわけですが、その三つの課の統括だけをするという形になって参っておるわけでございます。従いまして非常に具体的な点に触れますると、たとえば監視部、業務部、鑑査部といったところの、税関仕事としましては非常に密接な関連がある仕事をやっておるわけであります。こういうものが最近非常に事務量がふえて参りまするし、内容が複雑になって参るというようなことでありまして、これを何らかの形で総合調整をする必要がある。ところが官房主事ということでいきますると、従来の伝統的なあれで、官房三課だけを持っておる部だ、部と申しますか、一応そういう部の扱いでありますが、そういう形になっておるわけであります。従いましてこれが監視なりあるいは鑑査なりあるいは業務なりといったようなほかの部の仕事を調整するということは、なかなかできにくいわけでございます。従いまして最近のそういった実情から見まして、この際総務部に切りかえまして、総務部は各部の事務総合調整するといった機能を与えたい、これが現場からの非常に現実的な必要な面でございます。
  44. 田口誠治

    田口(誠)委員 そうすると端的に申し上げまして、必要に応じては総務部が音頭とりになって、三つの課の課長さんに寄ってもらうとか、関係者に寄ってもらって、そして問題を検討してもらうとか、懇談をしてもらうとかして、そして業務の円滑化をはかっていく、こういうことなんですか。
  45. 稻益繁

    ○稻益政府委員 ちょっと申し落としましたが、いま一つ総務部には企画的な面と申しますか、独自にそういういろいろな税関業務の合理化なり、そういった面を発案するという機能もあるわけであります。そのほかにいま一つの重要な機能としまして、そういったたとえば業務と鑑査の間で、いろいろ事務的な面でうまい結びつきができないといったような面には、総務部がその間に入って調整するというようなことを考えておるわけであります。
  46. 田口誠治

    田口(誠)委員 それでそういうような場合には、関係課長さんあたりにお寄りを願って、そしていろいろと意見を聞いてそれを参考にするとか、諮問という表現が妥当でないかもわかりませんけれども、まあ一つの諮問をするとかいうことで、総務部一つの計画を立てられる、その助言的なということでもございませんでしょうけれども、一つの大きな参考にいたしたい、こういう考え方なんですね、具体的に計画を立てるような場合にも。
  47. 稻益繁

    ○稻益政府委員 もちろん関係の各部の部長なりあるいは課長なり、そういうものの意見を十分取り入れましてやって参る、大体お説の通りだと思います。
  48. 田口誠治

    田口(誠)委員 それで今まではそういうことはなされておらなかったのですね。
  49. 稻益繁

    ○稻益政府委員 先ほど説明いたしましたように、どうも官房主事という制度でございますと、どうしてもその点が各部と並列的と申しますか、そういう形で何かこう秘書役の高級なものといった形でありまして、なかなかうまくいかないわけであります。総務部を設置いたしますと、そういう点がはっきりして参って、総務部としても非常に仕事がやりやすくなる。従いまして各部課の調整なり統制なりということがうまく参る、かように考えるわけであります。
  50. 田口誠治

    田口(誠)委員 ちょっと前に戻りますが、税関研修所関係でございます。この点につきましては、これに類似したものが各省にあるわけなんですが、それでずっと以前からの経過を私こうしてながめて見ますると、各省とも学校というような名前に昇格をさせて、そしてそこで相当必要な強度な勉強をさせるというような方法に、各省とも切りかえていっておるわけであります。今の税関研修所というのは、そういうような方面へ発展するというような内容のものではない、ほんとうに三月か半年というような程度研修を行なえばいいというものなんですか、将来のもの等含めて何か構想がございますれば伺いたい。
  51. 宮川新一郎

    宮川政府委員 財務研修所につきましては、御指摘のように各省研修所、あるいは自治省や警察庁や消防庁やあるいは防衛庁のように大学制度を持っておるところもございますが、大蔵省財務研修所大蔵省財務局職員資質向上をはかりまして、ただいま御説明いたしました程度研修を行なうものでございますので、これを大学とか学校とかまで拡充する考えは今のところ持っておりません。
  52. 田口誠治

    田口(誠)委員 それでこの研修所を出なければ課長になれぬとか、いわゆる大学を卒業して国家試験をとって、そして大蔵省へ入っておっても、もう一回この研修所の門をくぐらなければ、ある級から上へはいけぬとか、そういうような規制されたものではないということですね。単なる専門的な勉強をなお行なうという程度のものであるか、その点も明確にしておいていただかぬと、最近各省とも高等学校のようなものができたり、大学校のようなものができたり、いろいろしておりますし、その内容を見ますと、人事交流の場合にも、それを一つ資料にいたしておりますので、そういう点も明確にしておきたいと思います。
  53. 宮川新一郎

    宮川政府委員 研修所はあくまでも資格試験的なものではございませんで、職員資質向上をはかり、事務能率を上げますために必要なものとして研修するものでございまして、これを出なければ栄達ができないとか、人事交流上マイナスになるといったような運用をいたすものではございません。
  54. 田口誠治

    田口(誠)委員 いろいろお伺いいたしまして、問題によってはこまかく掘り下げてお聞きしたい面もありますけれども、時間的な面で、理事さんとの打ち合わせもございますので、これで私の質問を終わらせていただきます。
  55. 久野忠治

    久野委員長 次に石山權作君。
  56. 石山權作

    ○石山委員 この前の続きでございまするが、ガットの総会が開かれたようでございます。新聞に小さく、三十五条はどうもあまり論議の対象にならないで終わってしまったというふうに出ていますが、実際の経過はどういうふうになっているのですか。
  57. 稻益繁

    ○稻益政府委員 今回の総会では、一応三十五条援用撤回問題につきましては、各国で構成いたします作業部会を設置するということが総会で決定になりました。これからあるいは秋ぐらいになろうかと思うのでありますが、作業部会でいろいろ具体的に検討が進められるということになっております。
  58. 石山權作

    ○石山委員 その問題が作業部会に移行されたことは、日本にとって有利に展開するかどうかということが大へん問題だと思うのです。もう一つは、秋になった場合、日数ですよ。どのくらいのめどでその問題が明示されるかということ、われわれ一般常識的に見ましても、日本の成長している経済状態が秋になると非常に問題が起きてくるということだと思うのです。秋に問題が起きてくるということは、もちろん国内の需給関係がかなりなウエートを占めますけれども、やはり貿易関係、輸出関係がものをいってくるのではないかということも、これは経済状態からすれば明らかな事情だと思う。そうした場合に、三十五条が有利に展開するとしないでは、為替貿易自由化は、日本にとっては全く悪いものであるということになりかねないと思うのです。その期間というふうなものが、内地にいて、と言っては語弊があるけれども、大蔵当局としては大体わかるものでございます。
  59. 稻益繁

    ○稻益政府委員 今回の総会で作業部会が設置されるということにきまったわけでありますが、作業部会の検討いたします期間といったものは、別に今のところ定められていないわけであります。私どもの見通しとしましては、これは実際には利害関係の国としましては非常にむずかしい問題なんです。わが国としましては、もちろん三十五条の援用撤回ということへ持っていきたいわけなのでありますが、前回も御説明いたしましたように、援用いたしております大国と申しますか、イギリス、フランスといったような国の立場からいきますと非常にむずかしい。従いまして現在のところ私どもとしましては必ずしも、この秋にわれわれに有利な結論が出るということも、まだはっきり期待はできないのではないか。従いまして三十五条の援用が日本の輸出貿易に非常に関係があるということはお説の通りでありますが、現在の各国との間の貿易なり通商についての協定、話し合いといったようなものは、個別にできるだけ貿易拡大の方向で話をつけていこうというようなことで、具体的な問題の解決はやっていきたい、かように考えております。
  60. 石山權作

    ○石山委員 政務次官がおいでになっているからお聞きしたいと思いますが、今度の関税部が局に昇格なさるという意図は、通産省とのかね合いが含まれているのではないかというような気もします。それからもう一つは、個々の業務内容を見ますと、「税関行政に関する制度」というふうな内容一つ明示されております。局の昇格については私ら今回ずっと取り扱っておりますが、その中では関税行政政策に関するというふうな、いわゆる政策という文字を使って、局昇格の意図を明らかにしているところもあるわけなんです。関税政策になりますと、かなり通産省との権限の問題もこの中に生まれてくるのではないか。今まで私ら見て、たとえば主税局であればかなり各省に対して実際的に押える力を持っているわけです。この通産省に対するいわゆる関税政策上の問題からすれば、これが局に昇格することによって、そういうふうな政策の面もここでやるのかどうか。ほんとうに行政的な問題だけで終わるものかどうかということも、この際浮かんでくるわけなんです。それはどういうふうになっているのでしょう。
  61. 宮川新一郎

    宮川政府委員 御指摘のように関税行政のみならず、関税政策もこの局で扱います。従いまして、従来のように内国税を中心に扱っております主税局長が、最も関係の深い通産省と折衝いたしますよりは、この際責任ある独立した関税局長を設けまして、通産省と緊密な連携をはかり、協調していく体制の方がむしろ適当ではないか、かように考えているわけであります。
  62. 石山權作

    ○石山委員 その通りだとすれば、私はその趣旨は正しいと見ております。業務だけを取り扱い、業務内容が詳細にわかり、統計調査もなさり、ここで精密なものが上がってきているものに対して、最後の何かを持たないとするならばけしからぬと思う。ここにそれを書いてないものだから、それなら私に言わせればくだらないじゃないか。せっかくいろいろなことをやって、精密な業務をやって、統計の数字を持ちながら、政策の問題を研究しないということは、立場上からすれば不勉強だと思う、こういう見解を持っていましたが、あなたの答弁を聞くと政策はかなりの面でここで研究なさるということで、研究するのは当然だと思う。  そこで聞きたいのは、ガット三十五条の問題とからんできて、私たちが最近党内において担当している斜陽産業の業種がございます。そのうちの一つとして銅山の問題があります。これは大体において国内で出るものが、必要とする量の三分の一しか出ていないから、石炭と違って非常に影が薄いのです。これを今までは関税によって操作をして、いわゆる保護関税の格好で間に合ってきたのですが、最近自由経済で保護関税をやめるという立場が厳守されてきて、間もなくこれがはずされるということになってきているようでございます。そうしますと、銅の建値は世界で三カ所くらいあるといっているのですが、日本の一番関係の深いのはアメリカの銅の建値のようでございますが、どうもうっかりしますと、トン当たりで二十四万ないし二十五万で入ってくる傾向になります。国内産はどうかといいますと、どうしても二十六万から二十八万、その中と言えば二十七万です。二十七万程度でないと採算割れをする可能性が出てくる。今までわれわれは五%程度の保護関税によれば、この難場は切り抜けられるだろうというふうに考えていたわけですが、これがはずされてしまう。銅は今ちょっと高くなって小康を得ているのですが、外国のを見ますとそういう傾向ではないのです。そうすると業者はもうけることに対しては親子であっても他人になるという例がたくさんありますから、外国の安い二十三万、二十四万の地金を買う、国内産は二十七万なければ採算がとれないというふうな場面になったら、これは大へんな打撃を受けると思うのです。しかも国内産のものは使用量の三分の一ぐらいしか出ていないというのですから。そこで私の言いたいことは、為替貿易自由化も理屈から言えばけっこうでございますけれども、三十五条は日本の場合には厳格に役目を果たして自由貿易の障害になっている。しかし日本の国内産業の場合には自由化される。私がなぜいろいろなことをこまかく言うかというと、秋田県は御承知のように銅山がたくさんございますので、その苦衷がわかるわけです。大鉱山でさえも困っているけれども、これは精練と一緒にやっているわけです。地金を買って、あるいは他の安い外国の鉱石を買って息をついておるが、鉱石だけを売るような弱小の中小企業は、池田内閣の言う為替貿易自由化によって埋没していってしまうという傾向が出てきているわけなんです。ですからわれわれとしましては、変則的であろうとも保護関税の立場というものは、ある期間守らなければならないのではないかという意見でございます。そうして産業基盤を育成して、弱小を手放しにしてもよろしいというときまで待たないで、片方で三十五条を日本に押しつけておいて、そして日本だけは自由になさいというやり方、保護関税をやってはいかぬというやり方、これは大豆の場合もそうでしたろう。保護関税をやってはいかぬということでだいぶいじめられていたけれども、あれは今もやっているようですが、今度関税部昇格する場合に政策があるとすれば、当然そういうことも考えられていいのではないか。こういう問題に対しては実際大蔵省としては、通産省と別個にどういうふうにお考えになって、税関からはどう見ているかということです。
  63. 稻益繁

    ○稻益政府委員 御指摘の銅でございますが、この地金につきましては、今般全面的な関税率改正の際にも一応取り上げて検討はいたしたわけであります。結論の方から先に申し上げますと、今回の改正では、銅につきましては従来の税率を据え置くということで見送りの形になっておるわけであります。据え置きでありますが、もちろんこれは何も問題はないというわけではないわけでありまして、御指摘のように日本の銅鉱山は、国際的な競争力という立場からいきますと弱いわけであります。従いましてできるだけこれに保護関税を盛っていくということは、一方では非常に必要な考えでありますが、これにあまり高い関税を盛りますと、一方銅の地金を使う産業が国際的に競争力が弱まる。従いましてそういう面からはできるだけ低い関税が望ましいという要請を受けておるわけであります。現在のところ私どもとしましては、やはり日本の加工産業と申しますか、そういった面でそういった物資の関税はできるだけ低い関税にいたしまして、別途に、国内の銅鉱山なり銅の地金を作るメーカー、そういう産業が成り立っていくような方策が進められなければならぬというので、この点につきましては通産省とも十分打ち合わせをいたしております。通産省も、そういう国内の銅のメーカー方の立場と、これを使用いたします産業の面と、その両方をからみ合わせまして結論を出したいということでありまして、いずれそういう面からの一応のめどが立ちました場合には、そういう観点から新しい関税率を設定いたしたい、かように考えておるわけであります。
  64. 石山權作

    ○石山委員 保護関税という問題がなかなかむずかしくなってくる状態にあるということは、世界の一つの傾向だと思っております。その場合において、私たちは今までたとえば中共とも少量の貿易をなさり、ソ連ともなさっていますが、それと関税関係を簡単でいいですから御説明をいただきたい。もう一つは、ガソリン税を増額した場合は、目的税として道路に使うというようなことが今まで例としてあります。関税の場合でも、銅鉱、地金、精練された銅、いずれにしても銅に関係したものに対して関税をかけて、その上がってきたものを中小企業の銅山開発の目的に使うというような例があるかどうか。国庫の収入にしないで、目的税みたいな形で関税に対してそういう操作をなさった事例があるかどうかということをお知らせ願いたい。
  65. 稻益繁

    ○稻益政府委員 あとの御質問から先にお答えいたします。上がって参りました関税を保護すべき産業に交付するという目的関税は、わが国の場合現在のところございません。それから最初の御質問の中共、ソ連その他共産圏諸国との関税の問題でございますが現在のところソ連との間には五八年に発効した通商航海条約ができておるわけであります。従いましてその通商条約の中で最恵国待遇を与えるということになっておりますので、ソ連との間では現在わが国の税率はいわゆるガットできめておる協定税率が適用になるわけであります。中共でありますが、これは現在のところまだそういった関係が全然できておりません。従いましていわゆる国定税率が適用になります。ソ連の場合のような条約でもできますれば、その中でまた最恵国待遇といったことが当然出て参るわけでありますが、これができますまでの間は国定税率が適用される、かような関係になっております。
  66. 石山權作

    ○石山委員 もう一ぺん繰り返しますが、税関当局としては、たとえば弱小産業であるところの、私が例にとった銅鉱あるいは地金、精銅というふうなものに対しては、今すぐ関税をなくするという意向はないということは御明言できるわけですね。
  67. 稻益繁

    ○稻益政府委員 現在のところ直ちにどうするという考えは持っておりません。それから先ほどちょっと申し忘れましたが、これはいわゆる自由化をまだやっておらないわけであります。自由化をやる場合には何らかの形で、ただいま問題を解決しなければならない、かように考えております。
  68. 石山權作

    ○石山委員 政務次官もおるけれども、何ぼ池田さんが独占企業に奉仕するとかなんとか言っても、そうむちゃくちゃに小さな産業がつぶれていくということを黙認するということはできないはずだろうと思いますが、皆さんはいわゆる優良なる日本の官吏として、やはりそういうときには十分注意なさって、自民党の方々の判定が間違わないような資料を調製してお出しなさる義務があるのではないか、こういうふうに思っております。  次に私はお酒のことで質問するわけですが、その中でいわゆる間接税の問題でございます。税のうちではいつも私たち論議するのは、間接税というのは悪税の最たるものだ。これはどんどん小さくするように工夫することが、減税のうちでも大きな役割を果たす、庶民階級の生活の向上に役立つというふうに、間接税をば減少さすことを一生懸命叫んでいるわけです。そのうちでお酒の税金はかなり範囲を占めておると思うのですが、概算でいいのですが、去年度は間接税の中における酒税はどのくらいの割合を占めているのですか。
  69. 志場喜徳郎

    ○志場説明員 三十五年度の補正予算におきまして国税、地方税合計で申しますと、酒税は二六%を占めております。
  70. 石山權作

    ○石山委員 それでは政務次官にお伺いしますが、皆さんの方では税制審議会等でいろいろやっているわけですが、酒税等を含めた間接税に対して、どういうふうに対処なさるように問題を進めているか、これを一つお知らせ願いたいと思います。
  71. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 税制の改正、特に間接税の減税という問題につきましては、本年度御承知のように直接税中心に措置をいたしましたが、今後経済の成長に伴いまして、租税の今後の増収等と見合いまして、来たるべき年度におきましては、酒税等につきましても十分検討いたしまして、大衆の負担を軽からしめていく、かような考えでいきたいという考えを持っております。
  72. 石山權作

    ○石山委員 たとえば私たち給料取りであれば、源泉課税の問題があります。それからお金持ちの場合は所得税等の問題があるわけです。いろいろ税金のうちでは減税の課目がたくさん並んでいますが、その場合に間接税ではどこら辺の順位にランクされているわけですか、政策としての方向ですよ。
  73. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 ちょっと御質問趣旨了解しかねますので、もう一度……。
  74. 石山權作

    ○石山委員 たとえば源泉課税がありますね。所得税がありますね。間接税と、いろいろ税目が並んでいるわけですが、どれもみんな減税していただきたいのですが、その場合に皆さんの方では、減税をなさろうという意欲を持っておるわけです。たとえば一千億減税なんと言っても、六百七十二億しか減税しないで、うそを言ったけれども、いずれにしても六百七十二億減税したことには間違いない。来年もおそらく減税なさるでしょう。来年はおそらく三千五百億くらい減税しなければ公約違反になると思うのだが、そうした場合にランクするわけですね。所得税はこのくらいだとか、源泉課税の方の部分はこうだとか、いわゆる間接税のうちの酒税はこういうふうにするのだとか、順位をランクするわけですね。そうした場合における順位は、間接税はどこら辺を占めているのだろうという傾向を聞いているわけです。
  75. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 本年度は直接税中心に措置をいたしましたけれども、しかしどういうランクかというお尋ねでございますと、これは間接税もきわめて重要な国民生活とつながりのある税目でございますので、来年度の構想を今から割合等につきまして申し上げるわけには参りませんけれども、しかし直接税と並びまして間接税は重要なる税目であるということは申し上げたいと存じます。
  76. 石山權作

    ○石山委員 間接税の場合は嗜好品がおおむね割合を占めているようでございます。しかし私たちがいつも言っている通り、お酒は一人一升飲めば限度だ。富める人も一升の税金、貧しい人も一升、同じ税金を払うのはこれは悪税の一つの要因をなしているという立論をやっているわけですが、これは今日においてもそんなに間違った理屈ではないと思うのです。ですから庶民生活を高い地位に置こうとすれば、間接税に手をかけるのがまず大切なことではないかというところです。  ところで話を間接税からお酒の税金の方に持っていくわけですが、今度御婦人議員の努力によってお酒をあまり飲んではいけないという法律が通過をしたので、お酒はあまり飲めないような条件が出てきた。ところでこれはたくさん売ってもうけなければならないのが政府の——今の税から見ればそうだと思う。酒を安く飲ませることを考えることが、この場合庶民生活の向上を意図している池田内閣の、私は一つの課題だと思うのです。そうした場合に、私は日本酒の場合を言いたいのですが、日本酒の場合は非常に密造が多いようでございます。今でも密造はおそらくかなりな件数といろいろな条件を明示しているだろうと思うのですが、それが去年度の統計等があれば、件数とか罰金とかがわかれば、それを今すぐでなくてもよろしいですが、お知らせ願いたい。  こういう問題をあまり長々とやると御婦人に怒られますから私は簡単に申し上げますが、たとえば今二級酒が四百幾らです。これを昔から僕ら酒どころの国の人間として、芳純な酒を安く多量に飲むにはということをテーマにすれば、税金をうんと下げるということだと思うのです。そうして胃腸障害になる密造を防ぎ、犯罪を防ぐという意味等をからめて、われわれは一升三百五十円の酒を市販できるような体制になれば、いわゆる密造の犯罪も行なわれないだろうし、いい酒を安く飲ませるということも行なわれていくだろう、こういうふうに見ているのですが、一ぺんぐらい、そういうふうなことを税務当局では検討なさったことがあるかどうか、お聞きしたいのです。
  77. 志場喜徳郎

    ○志場説明員 密造の状況でございますけれども、密造がどれくらいであるかということの正確な資料をつかむことはなかなか困難でございますが、終戦後密造がだいぶ多くなりましたので、全国の税務署でそれぞれの地区における全体の酒の推定消費量を算出いたしまして、それから正規の課税済みの数量を考慮いたしまして、差引の残りを密造として推定するという方法で、毎年推計をやっているわけでございます。戦前におきましては、九−十一年ごろでございますと、わずか全体の酒の消費量に対しまして約四、五%の密造にとどまっておったと思うのでございますけれども、終戦後原料事情から正規の酒が非常に減りましたためにふえまして、一時昭和二十二年ないしは昭和二十五年ごろにおきましては三、四百万石に達しまして、全体の酒類のうちの約五割程度を占めておった。それが昭和二十五年にしょうちゅうを中心にいたしまして税率を下げましたのでございます。これは主として密造酒退治を目的とするというわけで、しょうちゅうの税率を三割五分方下げました。その関係もありまして非常に減って参りまして、三十五年度の推定は約九十万石でございました。全体の酒が千数百万石ございますけれども、それの約七%程度に減ってきておるとは思います。しかしながら依然としまして戦前に比べましては、三倍程度の密造があることは考えられておるわけでございます。このようなわけでありますので、これらの点も現在税制調査会で、酒の税率なり値段をどうするかということを一つの問題点として取り上げて、検討していくということになっている次第でございます。
  78. 石山權作

    ○石山委員 それともう一つは、減税をするということを御検討なさったことがありますかということです。
  79. 志場喜徳郎

    ○志場説明員 前に申し上げましたように、昭和二十五年における税率の一般的引き下げ、なかんずくしょうちゅうの大幅な引き下げは、まさに密造の点を意識して行なわれたものでございます。負担の点ももちろんございますけれども……。ですから今回の税制調査会におきましてもそのような観点からの考慮というものが、一つの税制改正についてのポイントとして取り上げられるであろうというふうに思うということを申し上げた次第でございます。
  80. 石山權作

    ○石山委員 残念ですが、私が話題に供したものはしょうちゅうではなく、日本酒の二級でございました。二級について御答弁をいただきたい。私は日本人の大ていの生活の晩酌の一ぱいというのは、おおむね二級酒が中心というふうに考えておるものですから、その中心が動けばおおむね大なり小なり動いていくだろう、もっとそれを中心にして動かして、間接税を安くなさるというふうなことを研究なさっているか、その研究はどの程度だろうということを聞いているわけです。
  81. 志場喜徳郎

    ○志場説明員 おっしゃいますように二級は現在大体酒の全体の消費の四割近くを占めておりまして、その意味におきましては国民大衆に非常に広く飲まれておるということでございます。しょうちゅうはその半分以下にしかすぎませんので、やはり酒の税率を論じます場合には清酒、まあビールはこのごろ非常に多うございますけれども、このようなものをやはり中心的な一般消費の対象物として考慮すべきであると思います。従いまして先ほど申しました昭和二十五年の改正は、清酒につきましてはなお原料米の事情がありましたので、それほどの税率引き下げも困難だった事情もありまして、原料の自由であったイモを中心としたしょうちゅうについて、思い切って税率を下げたのでありますけれども、今日におきましては清酒用の原料米の事情も、その当時から比べまして非常にゆるやかになってきております。従いまして同様の配慮はもちろん、先ほど申し上げました点も入れまして、清酒二級につきましても大きなポイントとして入ってくるであろうというふうに申し上げることができると思います。ただしかし二級について、その観点からどの程度の値段にするかということにつきましては、それが酒税全般について占めるウエートが大きいだけに、減収との結びつきもございますので、今後調査会におきまして検討された結果、どうなりますかまだわかりませんけれども、気持といたしましてはそういうことが言えると思うのでございます。
  82. 石山權作

    ○石山委員 米もだんだん余ってくるという傾向でございます。米の第二次加工業は何かといいますと、日本の米の場合にはお菓子にもなりますけれども、一番第二次加工になりますのはお酒だろうと思います。ですからこの場合は酒造米をふくらましてやる、石数をふくらましてやる、それからさっきも申し上げました酒税を少し安くしてやる、こういうようなことが三拍子そろって、あまり胃腸に悪くないようなお酒を作って、それを安く市販する、こういうことは、私は政治にあたたかみがあるとすれば、そういうところも見詰めながら、ただ税金を取ることばかり、税金がなくなれば財政が困るような場合ばかりの方に展開していくことでなくて、もちろん税収も必要ですけれども、市民階級一般がいわゆる嗜好品として、日常活動に欠くことのできないような嗜好品の場合は、やはり大幅な減税をやっていくとか、あるいは酒造量をふやしてみるとか、いろいろな指導方針があるのではないかと思っております。そういう点では私たちがここ二、三年、皆さんの方の酒造関係を調べていることからすれば、しょうちゅうの方は動いたようですが、それ以外はどうもあまり動かぬように思われてなりません。これはもちろんビールとかあるいはウイスキーとか、いろいろ関係があるだろうと思うけれども、やはり絶対量を占めている日本酒に対しては、米の増産とともに特別な措置を考えてみる必要があるのではないか、そういう段階に今きているのではないかというのが、われわれ酒造家をたくさん持っている東北の者の考え方一つでございます。ですからこれは一つ急に御勉強なさっていただいて、間接税のうちでも二六%の中身を示している酒税に対して再検討をしていただきたい、こういうふうに申し上げたいのですが、いかがでございますか。
  83. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 御指摘の酒税は間接税の大宗でございます。しかも一般大衆に非常に親しまれている品目でございますから、これは間接税を取り上げます場合におきましては一番先に検討を要する税目であろうと考えております。今後税制調査会その他に諮りまして、この点につきましては十分御趣旨をくみまして、検討させていただきたいと思います。
  84. 緒方孝男

    ○緒方委員 関連して。本案に関係するわけなんですが、ちょっとお話をしたい。  新聞で拝見しただけなんですが、上野のアメ屋横丁に税関の出張所を作っている。密輸入をしたものに対して、税関はいわゆる関税をかけて、収入の増をはかるために協力している。相当実績も上げている。しかし一方取り締まり当局の面からすれば、それは非常に困った現象になっておる。警察当局と大蔵省の方において、これに対して相当見解の相違も出てきておって、世間をいろいろ騒がせておりますが、この実情を御説明願いたい、こういうふうに思います。
  85. 稻益繁

    ○稻益政府委員 例の御徒町の問題でございますが、これは実はかねがね問題があるわけであります。密輸取り締まりという観点から、通常のやり方でやりますと、いわゆる事前の申告をしておらないものは全部一応密輸品という形になるわけであります。ただ現場の実情と申しますか、ああいった商品の取引経路その他を見ますと、通常のやり方でやりますと、これはほとんど全部の取引が根絶されるというふうなことにもなりかねないわけです。要は関税が適正に徴収されれば、一応密輸という問題は消えるわけなのであります。現場の特殊な取引の実態に応じまして、東京税関から係員が御徒町の方に出向きまして、一括申告と申しますか、固めてその場でもって申告を受け付けます。これで徴税をするという形をとっておるわけであります。警察の方でもその間の事情は一応了承はしてもらっておるわけでありまして、新聞でいわれたほどには警察当局から少なくも私どものところには、現在のやり方についての抗議と申しますか、変えてくれといった要請はまだ参っておりません。新聞であるいはそれぞれの立場の話を聞いて書かれたものかと思います。取り締まり当局相互の間では、新聞に書かれたような食い違いは現在のところ私どもはないと承知いたしております。
  86. 緒方孝男

    ○緒方委員 ではその御徒町に入ってくる物品、その中には貴金属もありましょうし、あるいは宝石類もありましょう。中には麻薬もあるかもしれません。そういうものがあそこにたくさん入ってくるが、入ってくるのは航空機か、あるいは旅客船か、そういうものを通じて入ってくるのであって、別なルートから入ってくるというなにがあるわけですか。その点はないのですか。どこから入ってきておるのかという根拠は一体どこにあるわけですか。
  87. 稻益繁

    ○稻益政府委員 私どもが承知いたしております限りでは、駐留軍人あるいは在日外人ですか、そういう方面から流れてくるものが大部分であろう、かように推定をいたしております。
  88. 緒方孝男

    ○緒方委員 そうするとあなた方が税関を持っておる羽田の飛行場の中からくることもなかろうし、または横浜の船舶から上陸しておるところは税関がおるのですから入ってくることはないということになると、第三国人、いわゆる駐留軍関係が持ち込むものがほとんどである、こういうことなんですか。
  89. 稻益繁

    ○稻益政府委員 大もとはどこかという意味で実は申し上げたわけなんでありますが、実はこの問題につきましては米軍当局の方にも、私どもの方からいろいろ要請はいたしておるわけなんであります。たとえばPXあたりで一人当たりに売る量といったものを制限をしてもらうとか、そういったことで余分なものを買って、それが間でいろいろそれを買い受けて、あるいは軍人に依頼してそういうものを買ってもらったり、そういった形が実情として多いわけなんであります。そういう大もとの方から一人当たりの販売量といったものを押えてもらうとか、いろいろやっておるわけなんであります。にもかかわらずやはりある程度のものが流れて参るということでありまして、羽田なりあるいは港の方から直接密輸されるものも中にはあろうかと思うのでありますが、やはり大きいのはそういういわゆる横流しといったものではなかろうかと推定をいたしております。
  90. 緒方孝男

    ○緒方委員 われわれが一応考えますのに、飛行機で入ってくるとか、あるいは船舶で持ってくるときに、その飛行機からおりたところ、船から上陸するところ、このときに届出をしておらない物品を所持しておった場合は、これはそこでもって税関で追徴してもらって、未収のような形で税金を払ってもらえば、私は処理できるものと思います。ところがすでに持ち込んでしまっておるものは、私は一つの犯罪行為であると断定したいのですが、密輸入という犯罪に触れるもの、こう考えますが、その点の見解は一体どうなんですか。犯罪行為とは考えられないのですか。
  91. 稻益繁

    ○稻益政府委員 先ほど申し上げましたようにPXあたりで軍人が購入する場合、これは協定上無税で認められておるわけであります。従いましてそこで軍人が購入すること自体、これは日本の今の現状では無税で買い得るわけなんですから、そういうものが物理的には国内に入っておるということは言えるわけです。それからあと今度は、そういう資格のない日本人が、そういう関税をまだ払っておらない物品を購入するということになりますると、それが譲り受けが正当に認められておらないものを購入したということになりますると、そこで一応輸入が行なわれるわけですから、密輸入ということに相なるわけであります。
  92. 緒方孝男

    ○緒方委員 大蔵省であらゆる税金を扱っておりますが、われわれが所得税なり住民税というものを期限がきて払わなかったときには、滞納ということになる。しかしこの関税というものは、隠れて届出をしないものは、滞納とか未納とかいう形で考えるべきものでなくて、関税を払わないという前提の上に行なった一つの行為であるならば、当然これは私は犯罪行為が成立しておる、こう考えなければならないと思う。その面はどういうふうに考えておるか、単なる滞納者という形なんですか、あなたたちは犯罪行為者としての見解を持っておられるのですか。その点をはっきりしていただきたい。
  93. 稻益繁

    ○稻益政府委員 単なる滞納者ではないわけなんです。先ほど申し上げましたように御徒町の場合には、そういうものをただ一括申告ということを便宜的な手段として認めておるわけであります。申告なしに、従って税金を払わないで販売しておる者はどしどし密輸事犯として、いわゆる犯則として検挙しておるわけであります。
  94. 緒方孝男

    ○緒方委員 払わぬものはそうだが、ではあとからでも払えば犯罪は消えるという御見解なんですか、そこが問題なんです。
  95. 稻益繁

    ○稻益政府委員 あとからということではだめなんでありまして、販売する前に申告をして関税を納める、これを前提に認めておるわけであります。従いまして関税を払っておらないものを発見しました場合は、つまり申告しないで、関税を払ってないもの、そういうものを店頭で販売しておる場合には、密輸入として検挙いたしておるわけであります。
  96. 緒方孝男

    ○緒方委員 ではどうしてそれぞれの関税のなにがあるのに、上野の御徒町の方に税関出張所を設けなければならなかったのか、その点がどうも私には納得がいかない。あそこが取引所というような公定の一つのなにがあるのですか。
  97. 稻益繁

    ○稻益政府委員 あそこだけを特殊扱いにすることにつきましては、私どもも非常に問題にしたわけなのでありますが、いろいろ現実の問題を調べますると、そういう便宜措置、税関が出向いていってそういう申告を受け付けるということを、一種の税関の少しサービスになるわけなのでありますが、実際現実にはその方がうまくいくという観点で、実は現在の制度をやっておるわけであります。
  98. 緒方孝男

    ○緒方委員 ではそこに税関の出張所を持っておりますと、それらの取引をしようとする当該者諸君は、自発的に全部お届けになっておりますか。
  99. 稻益繁

    ○稻益政府委員 中にはまだ申告漏れで、先般手入れをいたしました際にも密輸入として検挙該当のものがかなりあったわけであります。大勢としましては、そういう制度をとりましてからかなり徹底いたしておりますので、一括申告の状況は非常によくなって参っております。そのことははっきり明言できると思います。
  100. 緒方孝男

    ○緒方委員 私は詳しいことはよく存じませんが、密輸入ということをなにするためにあそこに事務所を設け、かつまた所員の方々も至るところに未届けの物品がありはしないか探して回っておられ、ずいぶん御苦労なさっておるということを聞いております。してみますと、届出をしなければならないでまだ届出をしてないものを、所員の方々が再三再四ではなくもっとたくさんな回数にわたって指摘し、発見し、そうしてそれに対して催促をされておる、こういうふうに私は承っております。関税というものはそんなものであるかと私は不思議に考える。届出をしてなかったならば、そのままそれは犯罪行為であると断定するのが当然であって、あなた方が税金を払いなさいと言う前に、これは密輸入をしておるから警察当局であげるなり何なりするのが、あたりまえじゃないですか。その順序が、どうも私は不可解にたえないというふうに考える。
  101. 稻益繁

    ○稻益政府委員 先ほど申し上げましたように、自発的な申告納税、これが建前であります。従いましてこちらが出向いていってそういうものを発見しました場合、つまり申告しない、関税未納のものを発見いたしました場合は、仰せの通り建前としては私どもはやはりそれは犯則であるということでやっておるわけなんであります。ただ犯則が成立しておらないようなものについては、そういった一括の申告を認めて、若干便宜措置をそこに入れておるわけなのであります。
  102. 緒方孝男

    ○緒方委員 そこに警察当局と大へんな食い違いが出てきておる。あなた方が出ていってここにこういう品物がある、これはまだ税金を払ってない、関税を払ってないから、早く納めなさい、こういうふうに手続を督促する。税金を払わせるようになにする。またそれを指摘して、これは違法じゃないかと言えば、これから届けに行くところでありましたと言って弁解をする。だから警察の方としては取り締まろうにも取り締まれなかった。これは摘発するにも摘発ができない。摘発すれば今から行くところでありましたと言うて逃げられる。これが警察の一番の悩みになっておるわけであります。あなた方は密輸入をいわば奨励するような一つのやり方をやっておるとわれわれは断定しなければならぬ。その点の御見解はどうです。
  103. 稻益繁

    ○稻益政府委員 ただいま仰せになった点は、私ども認めておらないわけなのであります。これから届けに行くところだからということで、それをあとから受け付けるというようなことは、私ども税関としてはやっておらないわけであります。そういう場合には犯則としてあげるという建前で進んでおります。
  104. 緒方孝男

    ○緒方委員 しからば今まであすこに出張所を設けて違反者をどれくらい摘発し、どれくらいの物件を押収したか、その数字を資料として出していただきたい。
  105. 稻益繁

    ○稻益政府委員 後ほど資料として提出いたします。
  106. 緒方孝男

    ○緒方委員 私はむろん厳格にといっても、なかなかむずかしい問題だと思う。これは取り締まりをいかに厳重にしても、こういう日本のような状態の中において、一つの特権的な人間が横行する国土において、完全にこういう問題を取り除くということはなかなか困難な状態だ。しかしこの取り締まりがあまりにも要領を欠く場合には、香港と同じように東京はいわゆる密輸入の中心である、密貿易の中心である、やみの中心であると世界に変な目で見られるような状態になってしまう。私はかくのごとき違法行為は、あくまでも違法行為として今後の取り締まりをやっていただきたいということを最後に要望して、質問を打ち切ります。
  107. 久野忠治

    久野委員長 暫時休憩いたします。    午後零時四十九分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕