○飛鳥田委員 それはこの次田口さんに話をして下さるときに、一緒にきちっとした御見解を聞かしていただきたい、こう思います。
そこで、最終的に返してもらえない場合、こういうことを私申し上げましたが、その
可能性は非常に強いのじゃないかという感じがするわけです。これは今
藤枝総務長官は
日本を守るためにとおっしゃっていましたが、確かに東さんだとかあるいは田畑さんだとか、そういう
方々が
米軍と話し合っているときには返しそうな気配を見せた、ムードとして返してもらえると了解した、こうおっしゃっていることは私間違いないだろうと思うのです。ただ文書で確約をとっておかなかっただけのことです。
ところが昨今にきて急に返さないという強い態度が出てきた。これは一月くらい前に
総務長官にはおわかりになっている、こう
新聞で言っていますが、なぜこういう態度の急変が出てくるかということを、もう一度お考えになっておく必要があるのじゃないか。これは確かにアイゼンハワー大統領が考えておりました極東における戦略の本質と、それからケネディがこのごろ三月二十八日の国防予算教書の中で明白にしました極東における戦略とは、相当の開きがあるわけです。その変化が、すなわちアイク時代に聞いたときには何となく返してもらえる、そういうムードがケネディになってがぜん変わった、こういう点も十分お考えになっておかないと、私は相当間違ってくるのじゃないか、そう思われるわけです。たとえば常時使っていなくても、機動的な用兵作戦のために部隊移動用のための兵舎を確保しておく必要がある、こういうふうに
新聞は
米軍の意図を評論しておるのですが、これが重点です。御存じのように
米軍は、核戦争はこちらからはしかけませんと、こう言っておきながら、現実には局地戦に対する普通兵器部隊を強化する、そうしてゲリラ部隊も強化する、こう言っていますし、そういうゲリラ部隊を強化する最前線基地としての
日本ということを、彼らははっきり言っておるわけです。そういう点になりますと、ちょうど沖繩におる第三海兵団が北富士へやってきて演習をする、そういう
意味で北富士が急に価値が上がって、江崎さんが
長官をやっておられたころには、返してもいいような態度を
米軍が示しながら、このごろになると江崎
長官がフェルト大将に相談したって、池田総理がマッカーサー大使と話し合ってみたって、がんとして返さないという態度が出てくる。それと同じことが朝霞にも出てきておるのじゃないか。そうだとすれば、ラオスの戦争、このラオスに対して
日本から軍需品、武器、そういうものをどんどん送っておることは、この間私予算
委員会ではっきり申し上げました。それに即応してやがて部隊移動まで考えるということになると、ラオスの戦争が終わらないうちは、この朝霞返還という問題は実現できないのじゃないか。そうしてこの
東京、横浜全部を見ましても、横浜に一時来た部隊がそこで武装を解いてやがてアメリカへ帰っていく、そういう一時の間の通過地点がありました。それは
日本に返しました。従ってこの関東
地方には、朝霞を除けばもうほかにはないのです。従って朝霞は最後のそういう
意味での使用地点になりますから、ラオスの問題が片づかない以上は解決しないじゃないか。しかもラオスはこれから雨季に入ってきてゲリラ戦を展開できませんから、一時的な休戦は行なわれますが、しかしこの一時的の休戦というものが、はたしてほんとうの休戦かどうかははなはだ疑問だ。この関東
地方における
米軍の態度から見てもどんどん準備していますから、雨季明けには何か一勝負が始まるのじゃないかという予測さえされるわけです。そうだとすれば、なお朝霞というものは返してもらえない。そういう点で、今朝霞の問題についてあまり楽観的な気分で、何とかして交渉すれば戻ってくるだろう、アイクの時代そうだったというふうなことで折衝をされますと、それは相当失敗する危険が多いだろう。唯一の
可能性は、他に朝霞に相当するものを便利な
ところへあなた方が作っておやりになって、そうしてここを返して下さいということ以外にはなさそうだという気が私はするわけです。ですから、
日本を守るためになどとおっしゃらずに、アメリカがアジアにおける極東戦略を展開する上で朝霞が必要なんで、
日本の安全とは無
関係なんです。そういう点を、冗談話だと思いますけれ
ども、よくお考えになって朝霞の折衝をなさるように希望します。