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1961-05-11 第38回国会 衆議院 内閣委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月十一日(木曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 久野 忠治君    理事 小笠 公韶君 理事 草野一郎平君    理事 宮澤 胤勇君 理事 飛鳥田一雄君    理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君       内海 安吉君    大森 玉木君       島村 一郎君    服部 安司君       藤原 節夫君    保科善四郎君       前田 正男君    牧野 寛索君       緒方 孝男君    杉山元治郎君       田口 誠治君    原   茂君       山内  広君    山花 秀雄君       受田 新吉君  出席政府委員         総理府総務長官 藤枝 泉介君         総理府総務副長         官       佐藤 朝生君         建設政務次官  田村  元君         建設事務官         (大臣官房長) 鬼丸 勝之君  委員外出席者         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 五月十一日  臨時医療報酬調査会設置法案内閣提出第一八  八号)  社会保険審議会及び社会保険医療協議会法の一  部を改正する法律案内閣提出第一八九号) 同月十日  建国記念日制定に関する請願外五件(大橋武夫  君紹介)(第三六七〇号)  同(高田富與紹介)(第三七五一号)  同外一件(鈴木仙八君紹介)(第三八一一号)  同(高田富與紹介)(第三八六〇号)  同外六件(原田憲紹介)(第三八六一号)  同(高田富與紹介)(第三九三八号)  建設省定員外職員定員化に関する請願外六件  (足鹿覺紹介)(第三六七一号)  同外四件(山花秀雄紹介)(第三六七二号)  同外三十件(山口鶴男紹介)(第三六七三  号)  同外四件(湯山勇紹介)(第三七一四号)  同外十二件(石山權作君紹介)(第三七三八  号)  同外十一件(栗林三郎紹介)(第三七三九  号)  同外十一件(黒田寿男紹介)(第三七四〇  号)  同外七件(小林進紹介)(第三七四一号)  同外十一件(佐々木更三君紹介)(第三七四二  号)  同外四件(阪上安太郎紹介)(第三七四三  号)  同(畑和紹介)(第三七四四号)  同外十二件(日野吉夫紹介)(第三七四五  号)  同外二十八件(丹羽喬四郎紹介)(第三七四  六号)  同外十一件(和田博雄紹介)(第三七四七  号)  同外二件(阿部五郎紹介)(第三八〇五号)  同外十九件(石山權作君紹介)(第三八〇六  号)  同外二件(田中織之進君紹介)(第三八〇七  号)  同(中村寅太紹介)(第三八〇八号)  同(畑和紹介)(第三八〇九号)  同外二件(稲富稜人君紹介)(第三八五六号)  同外三件(石橋政嗣君紹介)(第三八九六号)  同(畑和紹介)(第三八九七号)  同(畑和紹介)(第三九四〇号)  同外三十三件(広瀬秀吉紹介)(第三九四一  号)  恩給法等の一部を改正する法律案の一部修正に  関する請願田中龍夫紹介)(第三六七四  号)  同(牧野寛索紹介)(第三七五二号)  同(大矢省三紹介)(第三八五七号)  同外十一件(玉置一徳紹介)(第三八五八  号)  同(坊秀男紹介)(第三八五九号)  元南満州鉄道株式会社職員期間恩給年限通算  に関する請願田中龍夫紹介)(第三六七五  号)  同(賀屋興宣紹介)(第三七四八号)  同(中村寅太紹介)(第三七四九号)  同外一件(長谷川峻紹介)(第三七五〇号)  建設省北海道開発局及び運輸省港湾建設局定  員外職員定員化に関する請願外四件(山花秀  雄君紹介)(第三六七六号)  同外一件(石山權作君紹介)(第三七三三号)  同(栗林三郎紹介)(第三七三四号)  同外三件(黒田寿男紹介)(第三七三五号)  同外三件(佐々木更三君紹介)(第三七三六  号)  同外十件(和田博雄紹介)(第三七三七号)  としよりの日を国民の祝日に制定請願(橋本  龍伍紹介)(第三七一七号)  同外二件(生田宏一紹介)(第三八一〇号)  戦争犯罪関係者に対する補償に関する請願(保  利茂紹介)(第三八〇四号)  長岡市に国立雪害研究所誘致に関する請願(田  中角榮紹介)(第三八九八号)  金鵄勲章年金及び賜金復活に関する請願(宇田  國榮紹介)(第三九三七号)  傷病恩給の是正に関する請願丹羽兵助君紹  介)(第三九三九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第八九号)      ————◇—————
  2. 久野忠治

    久野委員長 これより会議を開きます。  建設省設置法の一部を改正する法律案及び恩給法等の一部を改正する法律案の両案を議題とし、質疑を許します。  質疑の申し出がありますので、これを許します。石山權作君
  3. 石山權作

    石山委員 今度の設置法を見ましても、たとえば建設省運輸省が競合するような問題がかなりございます。道路ども一体どっちにウエートが置かれているかというようなこと、たとえば道路お作りになる場合は、そこの交通量とか都市の将来性とか、いろいろ御勘案になってお作りになるだろうと思うのです。しかし、たとえばそこを走る自動車の問題は皆さんの方から離れまして、運輸省陸運局等自動車許可権その他が執行されておるように思われます。そういうふうな点で、おのおの不便を感じていられるだろうと思うのです。われわれはたから見ると非常に不便のように感じておりますが、そういう不便なことのないようにする。たとえば最近は駐車場をたくさんお作りになっているわけですが、ああいう場合の行政的な処理の仕方、こういうのはどういうふうになさっているか。本論に入る前に、われわれがふだん疑問に思っていることを二、三解明していただきたいわけです。
  4. 田村元

    田村政府委員 道路道路の上を走る自動車の関連の問題でありますが、道路は文句なしに建設省の所管でありますけれども、たとえばバス路線の乗り入れというような問題に関しては、運輸省建設省協議しなければならないことになっておりますし、またその他全然種類が違うものがございますが、それは建設省運輸省に分かれておりますけれども、遺漏なきを期してお互いによく話し合うということにいたしておりますが、今の御質問は二、三例をあげてという御趣旨でありますから、官房長から少し詳しくお話し申し上げたいと思います。
  5. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 お尋ねのうちまず駐車場等駐車施設につきましては、これは駐車場法という法律建設省で所管いたしておりまして、路上駐車施設、それから道路の外の建物なりあき地に駐車施設を作らせる。もう一つは大規模な建築物駐車施設を作らせる。大別しまして三つの種類駐車施設法律によって規制いたしております。実際の運用は都道府県知事が条例におきましてこまかいことをきめてやっております。御承知の東京あたりはだいぶパーキング・メーターの施設をやっておりますし、だんだん最近は駐車専用建物もできてきております。これが一つでございますが、一般の道路上の駐車制限につきましては、道路交通取締法の規定によって、これは警察系統において交通取り締まりという観点からやっておるわけでございます。もちろんこれらは同じ市街地の中では密接に関係がございますので、建設省警察庁並び運輸省——陸運局系統でございますが、これらの関係各省庁とは常に緊密に相談をいたしまして、具体的な措置を進めておる、こういう状況でございます。
  6. 石山權作

    石山委員 県道とか都市計画道路、そういう場合は建設省許可を得るわけでしょう。
  7. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 県道なり都市計画街路バスを新しく走らせるという場合には、やはり陸運局の方から建設省系統道路管理者協議をするという建前になっております。そこで私どもとしましては、単に協議を受けただけでは、従来の実績から申しますと不十分ではないか、道路管理上もう少し力強いコントロールをいたしたいというように考えまして、目下道路法に基づく車両等制限に関する政令を検討いたしております。
  8. 石山權作

    石山委員 地耐力を何ぼに見るかどうかということは私はよくわかりませんが、皆さんの方が許可なすっている県道とかいうふうなところは、いなかへ行きますと、名前県道でもあまりりっぱな県道でない場合がありますね。そこへ五トンから十トンの地耐力大都市を通ると同じ重さのバスなんかがゆうゆうと走っている。この現象は、こわしてしまえということを黙認しているような格好でございます。こういうことは権限がどこにあるかということでなくして、お金をむだに使ってしまう一つの例証だと思う。やはりそれには同じ県道であっても、かなりの道路交通量があるというふうな県道的資格があれば別ですけれども郡境というのは地方へ行きますとおおむね小さい山であります。そうすると何年か県会議員さんが努力して山を通してそこへ県道を作った。しかしこれは名前県道といっても、なかなか重量貨物を運ぶには適さないものがあります。それを県道ができたというので無制限交通をするものですから、一ぺんにこわしてしまう。交通の問題は警察なり陸運局の問題かもしれませんけれども皆さんの方の責任における維持管理であるし、地方土木建設を指導なさる省の立場から見て、そういうことを黙認なさるということはいかぬのじゃないかということと同時に、われわれの立場から見れば、一業者の緊急なために、あるいは利益のためですか、いずれにしても、特定の一業者のために道路がめちゃくちゃにこわされるということは、どっちから見ても黙認してはいかぬことじゃないか。東京都で言えば、小さい工場が小路一ぱいに大きな自動車を入れ込む悪例があると同じように、地方では道路をめちゃくちゃにこわしてしまって、県道というのは名前ばかりになってしまう。苗代のような道路になってしまう。特に東北地方のような場合、雪が積もってそれが解けた暁に、重量車なんかがぽいっと入ったのでは、前年度一年かかって営々と作った路盤が一ぺんに参ってしまう。こういうことを防ぐ手はないのかどうかということを私は回って痛切に感ずるものですから、皆さんの方ではいろいろ考えていられるが、一体そういうことに対してはどういうお考えがあるか、この際お聞かせ願いたい。
  9. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 ただいまのお話はまことにごもっともでございまして、実はさっき一言申し上げましたように、道路法に基づく車両制限令という政令を今具体的に立案中でございますが、この政令趣旨は、お話のような道路を走る車両の大きさ、それから荷物を積んだ場合の総体の重さ、これらの規格をきめまして、道路幅員構造等によりまして制限をしよう。本来りっぱな一人前の道路でありますれば、ほんとうは大きな車でも重たい車でも通すのがその目的であると思います。ただ現状お話のように、砂利等県道、あるいは特に東北等では融雪時から以後は路盤が非常に悪くなっていることは、御指摘通りでございます。そういう融雪時等のある期間に備えて、特にこの車両制限をするという必要を痛感いたしております。そこで運輸省と毛大体事務的には今話し合いが煮詰まりつつありまして、近く御趣旨のような、現在の道路維持保全上必要な車両の大きさ、重さの制限をいたしたい、かように考えて鋭意立案中でございます。
  10. 石山權作

    石山委員 道路計画される場合には、道路計画上あるいは輸送物資の量、そういうふうなものをいろいろ想定されるわけですね。こまかく言う場合には、人口増加等も想定しながらいろいろ御苦心なされると思うのですが、地方東京ではだいぶ違うと思うのです。たとえば東京から出る高速道路などは大体何年後くらいを想定して計画なさっているか。それから東北地方のような交通量が割合少ないようなところも、やはり同じような格好でやっていられるのかどうか。五年とか十年とかいうめどを置いていろいろ計画なさっているのでしょうか。そのめど一つお示し願いたい。
  11. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 道路整備をするにあたりましては、御指摘のように現在の交通量等を実際に調査いたしまして、それから将来のその沿道なり起点、終点の経済の開発、伸びの見通し等をまた調査いたしまして、結局交通容量交通キャパシティというものをはじき出すわけでございますが、これは二十年先を見ております。二十年先の交通容量を見まして、道路幅員なり舗装の厚さ、路盤等構造を考えていく、こういうことで現在道路整備計画を具体的に立てておるわけでございます。
  12. 石山權作

    石山委員 二十年というものは、中央も地方もおしなべてそういうふうな目標でございましょうか。
  13. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 一応地方道も含めまして二十年という先を見ております。そこで将来二十年経過しているうちにまた非常な情勢の変化がございますれば、もちろんさらに再改良等をやるということになると思います。地方道の場合には一応キャパシティとして二十年先を見ますけれども、将来の問題としては多少の変動が生ずることがあると思いますので、そういう場合にはまた改良をやり直すというようなことも起こってくると思います。
  14. 石山權作

    石山委員 それから皆さんの資料でお出しになった建設省設置法の第三条の五の三という項に、私不敏にして皆さん業務の中に、「皇居外苑新宿御苑及び京都御苑整備に必要な建設業務を行う」ということを知らなかったのですが、これは具体的にはどういうことをなさるのか。それからこういうように皇居外苑の問題が出てくるのですが、皇居に関しては建設省は何ら関係がないのかどうか。
  15. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 設置法の第三条の五の三に、ただいまお話のように「皇居外苑新宿御苑及び京都御苑整備に必要な建設業務を行うこと。」となっておるのでございまするが、ここに規定してあります通り、この外苑は実態は公園の性格を持っておりますので、建設省公園を所管しておるという立場から、この建設面仕事を担当しておる、管理につきましては厚生省が主としてやっておる、こういうことになっております。
  16. 石山權作

    石山委員 総務長官にちょっと道路の問題について聞きたいことがあるのです。総務長官、あなたは交通対策本部長ですね。そのお役目で聞いていただきたいのですが、私ども建設省建政局設置について、道路問題から交通のことをずっとお聞きしているので、ちょうどきょうから交通週間に当たるものですから、一つ本部長の今まで御経験なさったこと、これからおやりになさろうとしていること等、二、三をお聞きしておきたいわけなんです。  第一に、あなたがおいでになるちょっと前に建設省方々に聞いていたわけですが、道路建設維持管理することと、道路の上を走る運搬機関と申しますか、こういうものの総合的ないわゆる監視役というようなものが、今の場合欠けているように見える。ですから道路が弱いくせに、たとえば三トンしか負担力がないにもかかわらず、五トン、十トンの車が走って、東京の場合には狭い路地を一ぱいになって観光バスその他が走っている。こういうようなことでいろいろな災害が出るのでございますが、本部長としてこういう調整をどういうふうになさってきているのか。それからわれわれ長い間習慣として左回りをやってきましたが、終戦後舶来風が吹いて右回りを始めた、対面交通を始めた、こういうのはいわゆるわが日本の家風に合っているか、成績を上げているかということも、この際狭いところをたくさんの交通量があった場合には、かなり重要な問題になるのではないかと思うのですが、その点について一つ御見解を承りたい。
  17. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 総理府に設けました交通対策本部、これは例の新道交法が国会を通過いたします際に衆参両院委員会附帯決議をされまして、交通についての総合的な政策をやるための機関を設けろということで、それに基づきまして現在総務長官本部長で、関係各省の次官が部員で交通対策本部を作っておるわけでございます。御指摘のように、交通の問題は関係する省庁が非常に多い、そうしてその間のバランスがとれた施策が必ずしも従来とられていなかったことは御指摘通りでございます。従いましてそういうもののバランスをとった政策が行なえるような連絡調整役目を推進しているわけでございますが、何分にも関係する機関が非常に多く、なかなか十分な実効を上げておりませんことは遺憾でございます。今までやって参りましたのは、冬の時間における時差出勤の問題でありますとか、最近非常に事故の多い例のダンプカー、砂利トラック等対策につきまして結論を出しまして、各省庁でその仕事を推進していただいておるわけでございます。今後問題になりますのは、やはり今お話交通規制の問題、しかしこれは簡単に規制と申しましても、いろいろ営業上の問題その他がからみますし、また労働問題等もからみますので、そう簡単には踏み切れないと思いますが、現状の、特に東京大阪等大都市におきましては、この交通規制をある程度やらなければもう麻痺状態になっておりますので、その交通規制の問題に今真剣に取り組んでいるような次第でございます。今御指摘のように、道路とそれの上を走るトラックバス等が必ずしも十分連絡のとれたやり方でないために、非常に狭いところバスが通っておったり、あるいは非常に交通の激しいところトラックが疾走するというようなことがございまして、都市交通が非常に麻痺状態になって参っておりますので、そういう交通規制その他を通じまして、とりあえずの当面の問題は除去して参りたい。しかし長い将来を考えますと、やはり道路建設あるいはその上を走る交通行政等が、十分統一された方向でいかなければならないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  18. 石山權作

    石山委員 あなたは東京大阪あたりが、こういう問題が麻麻痺態になって大へんだと言っておるけども、これは皆さんの方で、たとえば所得倍増政策を進めていけばいくほど、道路問題、交通問題というものは、それ以上倍加された勢いで動き出すということになるわけです。動き出さなければ、所得倍増は行なわれないわけですね。ですから、私たちはたとえばガソリン税問題等にしても、あるいは道路港湾公共投資も、直接にわれわれの生活に直結しない問題であるけれども半面目をつぶって見ておるというところも、やはり産業が成長していく過程にはやむを得ないというふうにわれわれ見ているからなんです。ですから東京大阪にあることは、やがて仙台にもくるでしょうし、福島へもくるでしょうという工合に、ここ五、六年たてば、全部の中都市にまでそういう格好が及ぶ様相が見えてきておるわけです。これは日本経済がぐんぐん動いていく形勢ですから、これはある意味では喜んでもいい様相だと思う。しかし喜んでいいといって野放しにしておくと、これは大へんな問題になると思う。ですから、今の都市形勢を見ますと、東京都などは一番の例であると思うのですが、むぞうさにうちを建てていくわけです。そうすると道路も下水も上水道もなかなか入らないというところから、交通の問題が起きてくるようです。ですから、せっかく東京からたとえば仙台なら仙台まで大きい道路を通そうとしても、大きい道路をずっと引けないわけですね。ところによってはやはり狭められる。それは都市がそういう格好でいくものですから狭められて、既成の道路によってまた狭められる。ですから、交通量はそのために想定したよりも多く流動しない、動いていないという現象だろうと思います。ですから、われわれ地方にいる者からすれば、大都市現状のこの交通難というものは、やがてわれわれのところにもくるだろう。今のうちこれをきちっとした計画を立てておかないと、どうしても交通問題からして私は日本産業は頭打ちする可能性が生まれてくるのではないか。これは汽車もあるいは港も船も動かすというふうになるだろうと思うのですが、やはり自動車がこれから主体になることは、だれしも認めることだろうと思うのです。自動車が自由に走れるような工夫、大都市から農村農村から大都市というふうに走れるようなことをしないと、農業基本法だって夢みたいになってしまう。  そこで本部長に対してお伺いしたいのですが、この問題に対して本部長としましては、どういうようにして今この問題を発展させて、研究機関にするかあるいは諮問機関になるか知らぬけれども発展させていくという考え方を持っておられると思うのですが、発展構想一つお聞かせ願いたい。
  19. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 当面の都市交通混乱等につきましては、先ほど来申し上げたような方向で進みますが、しかし今指摘のような日本全体の交通をどうするかというような問題、もちろん建設省がおられまして、お話があったと思いますが、建設省道路計画というものも、日本産業発展にマッチしたものをやっておられると思います。ただそういう道路の問題、鉄道の問題、あるいは道路を走る交通機関の問題、そういうものを考えますと、もう一つ高い観点からながめていく、また研究していく、あるいは成案を出すという必要に当然迫られることと存じます。そういう意味で、今のところ具体的な構想は持っておりませんけれども、そういう高い見地から日本交通全体を考えていく、そして適当な成案を作ってもらうというような点からいたしまして、相当民間の学識経験のある方々にも入っていただいた審議会というようなものを考えることが、一つあり得ると考えなければならぬ段階になってきておるというふうに思います。それからもう一つは、そういう高度の知識経験を集めたもので成案ができましても、それを今のような各省行政やり方でやっていっていいかどうか、それを実行する総合的な機関と申しますか、そういうものを考える必要があるかないかというようなことが、今後の課題になるものというふうに思っております。
  20. 石山權作

    石山委員 本部長としましてはこれはあれですか、まだ機が熟さないというのか知りませんが、ぼさっとして、どうも自動車のふえるのと交通量のふえるのと一致しないように思う。おくれてしまうようなことになりはしないかと思います。さっき建設省道路建設のことを聞きましたが、大体人口増加交通量とかいろいろ考えて、二十年先を考えながら道路を作るというのですが、本部長は三年先も考えられないような答弁ではどうも歯がゆいと思います。しかしこの問題は、われわしろうとでも困難な問題だということはわかりますので、今答弁しろといっても無理だと思うのですが、答弁する、解決するという意気込みで乗り出さなければ大へんじゃないでしょうか。私はいなか者ですから交番に書いてあるのを毎日見るのです。そうすると、毎日五名くらい死んで七十名から八十名けがして、そして百何十件くらいの交通事故がある。これはほとんど毎日同じです。五人から六人死んで、七、八十名のけが人。ですからこれを見ますと、拙速主義かもしれませんけれども、もっと急いでやっていただく、それからかたい決意を持って総合調整するという建前をとらなければならないのではないかと思います。某新聞によりますと、交通問題に対しては革新政党の社会党が案外熱意がないから、自民党はのほほんとして取り組まない、こういうような批評も出ておるようでございまして、皆さんの怠慢なことが私らのようなまじめな者まで及ぼしていくということは、実に私嘆かわしいと思うのです。  それからもう一つ道路の問題についてお聞きしたいのですが、オリンピック道路ということが最近大へんやかましく言われておる。そういうことでいい道路ができるのだろうというので評判になっておるのですが、新聞等を見ますと、オリンピック道路も行方不明になりそうなんです。きのうは何か長官は、長官としての立場でいろいろ陳情等を受けて、大へんお困りの話もあったようですが、米軍の場合にわれわれ内閣委員としてもかなり関心の深いことですし、この問題につきまして、オリンピックの朝霞キャンプの問題等はどの程度のものか、私はあえて何のかんのとあなたを難詰する気持はないのですよ。ただいつもそうなんですが、対アメリカの問題となるとぼさっとして腹を読んでいる。なぜ腹を読むよりも確言を得るというような態勢に出られないのでしょうかという歯がゆさを感ずるわけなんですが、問題の中心を二、三お聞かせして、オリンピック道路は行方不明じゃないのだ、ちゃんと所定のところにつくのだというようなことが答弁できるようでしたら、お聞かせ願いたい。
  21. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 今の御指摘は朝霞地区に選手村を作ろうという計画で進めていった問題でございますが、朝霞地区を全然使わせないという回答ではないのでございます。オリンピック終了後米軍が使えるような形にしてくれということでございます。またもしそれが無理ならば、代々木のワシントン・ハイツを全面的に返還してもよろしいということでございます。こうしたものが示されましたが、具体的にどういう意味を言っているのか、まだ十分でございません。従いましてさらに再折衝をいたしまして、その一時使用というようなものが、オリンピックの選手村として使えるようにしてもよろしいものかどうかということがまず考えられます。それからさらには、もっと恒久的に朝霞地区を返還できないものかどうかというようなことを、さらに推し進めて交渉をしなければならないという意味で再折衝することにいたしておる次第でございます。これに関連する道路計画は、東京都等で着々進めておるのでございます。もちろんその選手村ができなくても当然必要な道路でございまして、まあ時期の前後の問題はありましょうけれども、これは進めて参りますが、今朝霞の地区については一昨日のそういう米側の回答に対しまして、さらに再折衝をいたすことにいたしておる次第でございます。
  22. 田村元

    田村政府委員 ただいまの石山委員オリンピック道路に関する総務長官に対する御質問で、建設省側としての考えを一言申し上げておきたいと思います。国道、地方道をひっくるめまして、オリンピック道路の事業費の四百四十六億七千万に対して、三十六年度は百三十八億三千四百六十万計上して、残事業が従って三百八億三千五百四十万、これは所期の方針通り建設省としては施行する決意でございます。
  23. 石山權作

    石山委員 長官にもう一ぺんお聞きしますが、安保条約の言葉を出すまでもなく、相互信頼によって日米関係が持たれていると言っている。相互信頼ということは何もしゃべらないことですか。しゃべらなくても有無相通ずるということでございましょうか。相互関係の信頼ということは——やはり特に言葉などが違うわけでしょう。それから再折衝される相手は軍人なんじゃなかったのですか、軍人でしょう。そうしますと、やはりちょっと普通のあれと違うのじゃないかと思います。今の池田内閣では、練達な英会話をやる方が少ないためなんでしょうか。いずれにしても今まさに建設にかかろうというときに貸したの貸さないの  私の方のずっといなかのところに行くとそんなことがある。あとになってから貸したの貸さないの、あれは口先で言ったことだからだめだとか、いろいろな話があるけれども、一国の代表者同士が話しする場合に、今ごろになってからそういうつもりでなかったとか——事実不可能でしょう。オリンピックが終わって六カ月たってから復旧せよなんという、不可能なことを言い出しておるように見えますが、それら全般を通じて再交渉の余地ありとして、長官などは調達庁等を督励して交渉なさるつもりなんですか。
  24. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 先ほど申し上げましたように、オリンピックが済んだら米軍の基地として使用できるようにしろというようなことにつきましても、さらに内容的に相当突っ込んで考えなければならぬ問題もあろうと思います。それともう一つは、朝霞についてもう少し長い期間にわたって使用ができるような方法ができるかどうかということについては、さらによく事情を説明して話す必要があろうと思います。何分にもこの返還の請求をいたしましたのは、昨年の十二月八日に組織委員会できめてやった仕事でございます。しかも東京オリンピックの問題が起こった当時におきましては、ワシントン・ハイツは絶対に返還はできないが・朝霞については考慮の余地があるというような状態であったわけであります。ところが今度はむしろ朝霞に重点を置いて、朝霞は一時使用だが、ワシントン・ハイツならば全面的に返してもよろしいというようなことを言ってあるのでありまして、その交渉の経過におきましても、いろいろ事情の変化もあったわけでございますが、そういうこと全部を含めてさらに再交渉をいたしたいと考えておる次第でございます。
  25. 石山權作

    石山委員 一部の新聞によれば、防衛庁及びあなたは三月ごろわかっていると言っているじゃないですか。そのとき発表できなかったということは、ふところに暖めておいて交渉すれば可能性があるというふうに信じてなさったのか、それとも今まであまり大言壮語したものだから、すぐ発表するのは都合が悪いというので今日まで、しかも国会がそろそろ幕切れになるころ真相を明らかにするというふうなやり方をとったのか、あなたは三月ごろそういうことを知っておらなかったのですか。
  26. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 交渉の当事者である防衛庁の方から、朝霞地区において恒久施設を作ることについては相当な——相当といいますか、ある程度の難点がありそうだという、これもはっきりした意思表示ではありませんけれども、そういうことでございますから、それではいけないということで、別にひた隠しに隠したわけでも何でもございませんで、そういうことでは東京オリンピックの成果を上げるに非常に支障があるから、十分その辺を米側に説明して、そうして期待通りの朝霞を使用することができるように努力してもらっておったわけでございますが、遺憾ながらああいう回答に接した、こういうことでございます。
  27. 石山權作

    石山委員 長官は再交渉の余地ありというふうな考え方で問題を進めておりますから、あえて申し上げませんけれども、やはりオリンピックといえば国民的な関心のもとで、ある人たちは国家行事だというふうな考え方さえ持ってこれをやっているわけなんです。そうした場合に返すとか返されないとかいうあやふやなことは、政府機関としては非常にみっともない立場で印象づけられているだろうと思うのです。ですからそういうことのないように進めていく必要があるのではないか。というのは、私は何もこの問題だけで言っておるのではないですよ。私、内閣委員でいて対米関係をちょいちょい聞いてみると、いつでもあいまいに問題が進んでいっているのです。基地の問題、補償の問題、こういう問題が常にあいまいに進んでいって、そして皆さんの方からすればどうか知れませんけれども、私の方から見ればうやむやのうちに補償の問題等は立ち消えになっている場合が多いようです。ですからそういうことがないように一つやってもらいたい。特にこれはわれわれとしてはいわゆる運動ですから、体育に関するもので、精神的なイデオロギーとか国力とかいうふうな問題とは別にして、オリンピックという高い性格のもとで催されるものに対して、相互信頼感のあるアメリカとするならば、私は国民から見ればなおさら交渉の余地ありと見るわけなんです。ですから一生懸命やってもらいたいということと、もう一つはこれは政務次官からお聞きしたいのですが、たとえば四百億以上かかる道路でございますが、このキャンプ問題がどうなろうとも、あの道路はどこまでも既定の通りお作りになるということをば建設省は決定しておりますか。
  28. 田村元

    田村政府委員 その通りであります。キャンプ問題がどのような経過をたどろうとも、建設省としては既定の方針通り道路整備いたしたいと思っております。
  29. 石山權作

    石山委員 道路を作ってやったら土地の人は喜ぶかもしれぬけれども、それは選手村を作る、そして外国の選手をば競技場まで運ぶという、そういう目的があってあの道路を作るわけなんです。目的がなくなってもその道路を作るというのは、われわれを瞞着したわけではないのでしょうが、目的を失って作るというのではいかぬと思うのです。その点はどうなんですか。
  30. 田村元

    田村政府委員 別に今キャンプ問題で結論が出たわけでもありませんし、また道路というのは単にオリンピックのみならず、公共的な必要性も十分考えての上でありますから、別にそこまでこだわることもあるまいと考えております。
  31. 緒方孝男

    ○緒方委員 ちょっと関連して。私も新聞で知った範囲のことなんですけれども東京都にしてみると朝霞地区の返還ということを一切の前提にしておる。そうしますとそれに伴うところ道路計画として都は考慮しておるということなんですね。もし返還でなくして一時使用こういう場合に落ちついたときには、先ほど石山君の言ったように、単に選手を競技場まで運んでくるだけの役目しかない。しかし都としてはこれが返還されるものという前提の上に立って、将来の構想を織り込んで道路計画というものを立てておったのだが、もしそうなると道路計画は再考慮しなければならないというふうに都は声明をしておるように出ておりますが、その点は一体どうなんですか。
  32. 田村元

    田村政府委員 この道路は元来が主要地方道でありまして、当然整備しなければならない道路であります。でありますから、私どもとしてはオリンピックに即応して工事の時期を早め、あるいはまた若干の計画を加味したということでありまして、いずれにしても公共道路でありますから、その点はわれわれは当然作らなければならぬと思っております。さように考えてやっておる次第であります。
  33. 緒方孝男

    ○緒方委員 新聞はその先まではっきりとこう書いております。もしそういう場合に直面したならば、その道路は将来このキャンプに通ずる米軍道路になってしまうだろう、こういうことまではっきり指摘しておるのですが、そういうことになってしまうおそれはないですか。
  34. 田村元

    田村政府委員 元来公共道路でありますから、そのように狭義の見方をする必要はないのではないかと思います。私どもは先ほど申し上げたように、キャンプがあろうとなかろうと、オリンピックが行なわれようと行なわれまいと、早晩は整備しなければならない道路だというふうに考えております。でありますから、ただオリンピックに即応して時期を早めたり、計画を若干加味したりというふうにしておる次第でありますから、その点は別にどうこうないと考えております。
  35. 緒方孝男

    ○緒方委員 そういたしますと、今までは朝霞地区の完全返還の前提に立って対米折衝が行なわれてきたと思うわけなんです。しかし総務長官あたりの話を伺いますと、どうも今後は一時使用の前提に立って、六カ月というのを一年にしてもらうとか、使用後の返還をまた時期を延ばしてもらうとか、その操作の都合上の話になっていきそうな傾向なんですが、今後の折衝の前提はどこに置いて折衝なさるのか、その点を一つお伺いしておきたいと思います。
  36. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 最善の形としましては朝霞地区を全面的に返還をしてもらうということでございます。しかしそれが困難な場合におきましても、朝霞地区に選手村ができるような施設ができるかどうかということについて、十分な折衝をして参りたいというふうに考えております。これはとにかく昭和三十九年という時期がありますから、じんぜん折衝に日を送っていたために、時期を失なうというようなことのないように努めて参りたいと考えております。
  37. 緒方孝男

    ○緒方委員 アメリカの方針は、最初ワシントン・ハイツですか、あそこは全面的に返しません。それが今度は朝霞の方は返しませんということで入れかわったのですね。この入れかわった大体の原因はどこにあるのか、あなた方としては御推察がつきますか。
  38. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 ちょっとこれは推察をいたしますこともできかねるのでございますが、しいて申し上げますならば、日本防衛の観点からの変更ではないかと推測されます。しかし推測の域を脱しません。
  39. 緒方孝男

    ○緒方委員 妙な、ふろしきをかぶせられたようなことを言ってもらっては困るのですが、私は朝霞地区は全面的に返還してもらって、あそこをオリンピックに使う。そのためにあそこに国の予算までかけてりっぱな道路を作るというところまでなったら、その道路の使用に大きな魅力を感じて、もうこちらよりもこちらの方がいいじゃないかというずるさが出て、そうしてこういうふうな態度の変更が出てきたものと考えざるを得ない。結局あなた方はいずれ早晩は整備しなければならない道路であるといいながら、結果的にはアメリカの防衛道路だけに利用されるという結果が出てきておるような状態なんですが、私はそういう面に非常に作戦のまずさが日本側に出てきたのじゃないかというふうに考えられますが、私はその点に対して今後の対米折衝が、いわゆる総務長官が言われるように、どうかこうか使わせてもらえさえすればいい。オリンピックというものがどうかこうか開かれさえすればいいという観点だけでこの問題をとらえますと、都が言われておりますように相当な経費も投じなければならぬ、国家の予算も投じて作るこの道路計画というものが、十分な効果を発揮することのできないような結果に陥りはしないだろうかというふうに考えますが、その点はどうなんでしょうか。
  40. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 私どもはオリンピックがどうにかこうにかできればいいということでなくて、少なくとも今までのオリンピックの中では最も成功したオリンピックにしたいということを考えておるわけです。従いまして朝霞についても、そういう形でできるかどうかということを考慮に入れながら折衝をして参りたいということでございます。別に今緒方さんが御指摘になるように、道路ができるのに魅力を感じたというほどに御邪推なさらぬでもいいのではないかと考えておるわけであります。
  41. 緒方孝男

    ○緒方委員 いずれ、きょうの新聞を見ますと、巨頭会談みたような形で折衝を開始する、こう言われておるように伝えられておりますが、正式に大使との会談をされようとしておるのか、大使との間に折衝しようとしておるのかどうか、その点をお伺いしたい。
  42. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 この辺につきましては十分外務省、防衛庁とも協議をいたしまして、最も有効な方法でやりたいと考えております。
  43. 緒方孝男

    ○緒方委員 その有効な方法ということは、その目的とするところは朝霞地区の全面的な返還を納得させるという方針で折衝なさるというふうに解釈して差しつかえございませんか。
  44. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 その通りでございます。
  45. 久野忠治

    久野委員長 次に田口誠治君。
  46. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 建設省設置法の一部を改正する法律案の中で、建政局設置いたしたいという議案でございますが、ずっと説明書の内容から改正される内容を見ますと、よほどお聞きをしなくては納得のできない面がありますので、そういう点について御説明をいただきたいと思うわけです。  まず第一に、建政局設置するということについては、その理由については総合計画を立てたい、それから長期計画の策定をいたしたい、公共用地の取得対策を樹立いたしたい、建設業の振興等に関する行政を推進いたしたいという表現になっておるのですけれども、こういうところからこうした改正をされることについては、何ら反対をするものではありませんけれども、しかしこうした局を新設をいたしまして、どれだけの員数をもって、どういうような機構でどうするのかというようなことについて、もう少し具体的に説明をしていただかなければ、別に定員増という問題についても触れられておられませんし、そういう点についてまず現在の法律ではこれこれのところに大きな隘路があるので、今度こういうように局を新設をして、そして今後こうしていきたいという点を、ちょっと長講になってもよろしゅうございますから、一つ具体的に説明を願いたいと思うのです。
  47. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 建政局設置の理由をまず申し上げますが、大体ただいま先生からお尋ねの中にお述べになりましたように、建設行政が特にその事業面におきまして、ここ数年来毎年非常な伸びを示してきておりますことは御承知の通りでございますが、御案内のように道路整備を初め、治水事業あるいは都市計画事業あるいは住宅建設事業等、非常に伸びてきておりまして、建設省所管のこれらの事業を最も合理的な計画のもとに適切に実施していきますために、最近私ども痛感しておりますことは、各事業のそれぞれの計画を各局でやっておりますと、これらの事業の計画が、ある地域について見ましても、あるいはその事業相互の長期の見通し等を検討いたしましても、実施上いろいろな隘路が出てきておる。具体的に申しますると、特に事業の用地の問題は、これは各事業共通の問題でございます。建設省のみならず各省にももちろん関係ございますが、用地の問題等も各事業ごとに用地対策を講じておったのでは、どうもうまくいかない、こういう欠陥が出てきております。それから同じたとえばある都市、ある地域に道路なり都市計画事業、これらが相互に有機的な関連を持って計画され、実施されるようにいたしませんと、どうもばらばらに実施されたのでは具体的に施行する段階におきまして、変更を余儀なくされるというような弊害と申しますか、欠点も最近あちこちに見られておりまして、結局私ども考えます点では、計画をやはり総合的な観点で、特に長期の計画は総合的な観点からこれを立てていく。さらに計画された事業を実施する段階におきましても、総合的な視野から調整をするという必要がある。用地の問題は、これは各事業とは切り離して、別個に根本的な対策を立てていく必要がある、こういうふうに考えます。さらに事業の施行体制でございますが、現在は建設省所管の事業ばかりではございませんが、ほとんど請負業者の請負に付して施行いたしております。あるいは事業だけでなく、設計もコンサルタントあるいは設計事務所等に、外注と申しておりますが、実際は請け負わしてやっておるという傾向が出てきております。そこでこれらの工事なり設計を請け負う民間の業界に対する指導監督も一そう徹底してやると同時に、これらの業界の健全な発達育成をはかっていく必要もある。こういうようなことが痛感されまして、今回建政局を新たに設置する。そこで建政局の性格は、もう御案内のように、一つは総合計画あるいは長期計画立案し取りまとめるという仕事一つは用地対策を中心とする補償等の問題の基本的な政策を扱う。これにはもちろん事業の用地だけでなく、一般の住宅用地等の宅地政策の基本的な問題も扱うつもりでございます。従いまして不動産の取引とか評価、鑑定、こういう問題もこれから検討し、施策を固めていかなければならぬことがございますが、そういう仕事も取り扱わせる。もう一つ種類は、建設関係、広い意味建設関係の業界に対する指導監督の徹底をはかるという仕事を扱わせる。この三つの柱をもちまして建政局設置いたしたい、かように考えております。  そこでこの組織でございますが、これは局の下に参事官という職を一名、それから調査官という職を一名置きまして、その下に六つの課を考えております。課の組織等は政令できめられることになりますので、まだ課の名前等も確定はいたしておりませんが、六つの課の性質と申しますか、大体の性格を申しますと、一つは局の総務課でございます。それからあと総合計画課と地域計画を扱う、計画面を担当する課として二つ考えて参りたい。総合計画をやる課と地域計画をやる課、それから調査統計課でございます。これは現在官房にありますものを移しまして充実をいたしたいと考えております。五番目は建設業課、これも現在大臣官房にありますものを移します。最後に海外協力課、これは海外の建設関係の指導協力関係仕事をやっております。これも官房でございますが、建政局に移す予定でございます。以上六つの課で、仕事の内容は、なお計画局から総合計画あるいは産業開発青年隊というような仕事を移しますと同時に、住宅局も宅地対策の基本に関する仕事を移すというようなことを考えておりまして、職員は全体で百七名ほど考えておりますが、今年度予算におきましてはこのうち十名が新規増員になっております。あとの職員は庁内の予定定員のうちからやりくりいたしまして、官房長から仕事が移りますものは当然その仕事を移す。あるいはやりくりをいたしまして充実をいたしたい、かように考えております。
  48. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 人員の関係はそれでやりくりができるのですか。今年の場合と、それから来年の計画百七名というのは、来年度完全にその職務につかせるのかどうかということ、計画一つ……。
  49. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 この設置法の改正が成立いたしますれば、さっそく定員等もはっきりきめまして、予算上は現在の百七名を建政局の職員として確保し得るということになっておりますので、本年度の建政局の定員として百七名を決定さしていただきたい、かように考えております。
  50. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それで総合計画及び長期計画の策定云々ということについては、現在行なっておられる仕事で足りない面を、こういう建政局設置して大々的におやりになるわけですが、現在はどういう範囲でやっておられるのですか。現在でも総合的な計画もなされておられるし、長期的な面からいろいろな道路計画もなされておると思うのですが、その辺の関係一つ
  51. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 建設省所管の事業について、現在でも御指摘通り長期の計画を立ててやっておりますが、先ほど申し上げましたように、これらの各事業ごとの長期計画、あるいは事業についてできるだけ総合的な配慮をするということは現在やっております。しかしこれは各局でそれぞれ策定をいたしておりまして、ある程度は官房において、その事業の長期計画の相互の問題について調整をいたしております。現在調整をやるために調査官のようなものを官房に置いておりますが、これは首席調査官以下五名程度で、そういう計画調整のみならず、いろいろ臨時的な、各局にまたがるような仕事、あるいは他の局に属しないような仕事もございまして、とても調整すらも十分に参っておらぬというような状況でございます。  もう一つは国土総合開発の関係、これは企画庁が所掌しております事柄でありますが、建設省においてもこれの重要な一翼の仕事を受け持っております。この部分は計画局の総合計画課において現在やっておりますが、やはりこれも人員その他の関係で十分でない。またこの計画局は、都市計画関係の事業を中心にやっております関係からも、国土総合開発関係仕事は、他の局に十分これを及ぼすと申しますか、責任をもってこれを処理することが困難である、こういうような現実の事情でございます。
  52. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それで将来と、現在発足したときとは、若干仕事の面について十分に目的を果たすという点に困難性があるということは考えられますが、将来の目標といたしましては、今言ったところの他の局に属するものについての調整という面が、何か審議会とか調査会のようなものの答申を受けて、そうして完全に建政局がイニシアチブを握ってやれるものかどうかということが、現在の実態からいって私ども憂える面があるのですが、そういう点についてのお考えを承りたい。
  53. 田村元

    田村政府委員 その点は御懸念ないと思います。われわれの方で十分その点をいろいろ検討したのですが、一つは綱紀の面もありますけれども、そういう点はお互いのセクショナリズムの争いというものは起こるまいということで、さように決定をいたした次第であります。
  54. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 簡単に御心配ないというように御答弁をなさっておられますが、今の実態を見ていただけばわかりますように、一つの問題を処理する場合に、いろいろと関連した面は現在ですら難儀をいたしておるのです。こういう面から考えまして、私は建政局設置して一つのイニシアチブを握るということについては相当に困難性があると思うので、これについては一つの法文化したところの権限を付与されるのか。将来発足した上において、相当内容的に権限という点についても明確にしていかなければ、総合的な一つの指導調整というような面についてはむずかしいと思うので、そういう点のお考えは今のところあるのかどうか。それからただいま次官の方から御回答がありましたように、簡単に心配がないと思うということだけではちょっと納得しかねるわけです。現在の実態を私らは見ておりますから……。
  55. 田村元

    田村政府委員 ただいまの御懸念でありますが、私どもとしては十分そういう点も検討いたしたのであります。結局所管の問題、権限事項を明確にしておくということはこれは当然必要でございまして、たとえば組織令におきましては相当これを明確にしたいというふうにも考えております。それから学識経験者の専門委員等を活用するとか、あるいは人事配置において十分な考慮を加えるとかいうふうにいたしたいと思っております。私は今までは違った局にまたがるというようなことがあったので、むしろ支障を来たすことはあり得るとしても、それを逆に一本化してまとめて、そうして権限事項を明確にするということにおいて、逆に観念的にもそういう権限争いというものがなくなるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  56. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 工事を行なう場合に、業者に対して請け負わせる、それから設計をさせる、工事をさせる、こういう面についての監督の強化をいたしたいということですが、たとえば設計の場合なんかに指導をするとか監督をするとかいっても、ちょっと技術的にむずかしい。お言葉では幾つかこう並べられたけれども一つ一つ取り上げて考えてみると、どれだけのことができるのかという懸念がするわけです。それでまず一番そういう点でむずかしいと思いますのは、設計の面に対するところの指導とか監督とかという言葉なんですが、これは設計をさせる場合には大まかなことは請負師に命令をして、そうして設計をさせるのであるから、それを監督したり指導したりするということについてはちょっとふに落ちない点もあるのですが、具体的にどういうようなことになるのですか。
  57. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 土木、建築関係施設の設計を業とする業者には、御承知と思いますが、建築関係は建築士事務所あるいは設計事務所等で相当の数の業者がおります。土木関係は比較的歴史が新しゅうございまして、現在数十の業者がおります。これは道路、特に橋梁等の関係を請け負ってやるのがおもでございます。そこでただいまのお話の監督の問題でございますが、監督に二通りございまして、一つは発注者、工事設計を注文をする発注者の立場で監督するということがございます。これは個々の設計の仕事ごとに現在は二人以上の業者の見積もり合わせということをやっておるのが普通でございますが、特殊な設計は随意契約で特定の業者を指名してやるという建前でやっておりますが、発注する前から発注したあとその設計の仕事について監督する、これが一つです。この点は各局あるいは各局の関係で出先の、私どもで申しますと地方建設局あるいは都道府県等が発注者の立場でいたすわけでございます。もう一つ大事なことは、経営上の合理化の問題、これは契約の問題もございますし、あるいは経理上の問題、金融の問題、いろいろございますが、あるいは実際に人を雇い入れるという問題もございます。こういう経営上の問題につきましては、建政局におきましてめんどうを見る。これは監督だけでなく、指導の面、そこで現在は建築関係の設計事務所については建築士法という法律がございまして、これによりまして大臣が法的に規制し監督することになっております。土木関係のいわゆるコンサルタントと申しております設計業者につきましては、直接設計業を監督するという法制が現在ございません。こういう問題は将来建政局において検討いたしまして、やはりこの土木施設の方も設計を委託するとか外注するというケースがだんだんふえて参りますから、私どもといたしましては合理的な規制をするなりいたしまして、監督、育成をはかって参りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  58. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 経営の面に対するところの監督なり指導、援助という面については、従来の方式と変わっておると思いますけれども、その他のことは法律もできておりますし、それに準拠してそれぞれなされておられるので、変わっておらないと思いますが、しかし経営の面についての指導とか援助とかということについては、一口に言ってなかなかむずかしいですね。たとえばその請負師がこの工事をやる場合に、請負業者の力ではこれこれの機械を、たとえ話ですが、外国から借りることができないので、一つ建政局の手によって借りてもらいたいというような要請があれば、そういうことにもやはり協力をしてやり、そして仕事に対するところの監督もしてやる、こういうふうなことも入るというのですか。
  59. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 お話のように、たとえば特殊な外国の機械を購入したいというようなところがあります場合に、それらの購入資金をあっせんいたしますとか、あるいは税制上の特別措置、これは建設機械の一部については現にやっておりますけれども、そういうことにつきまして、関係省に協議をいたしまして、税制上の特別償却の措置を進めるとか、こういうことも当然建政局において処理させたい、こういうふうに考えております。
  60. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それでそういうような仕事をされる課は、担当はどこになるのですか。
  61. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 ただいまのところ建設業課で処理させることに考えております。
  62. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それであの六つの課ができるわけですが、それぞれの仕事の分担の内容もお聞きしたい面もありますが、これはきょう御回答できますか、どうなんですか。できる面もあるできぬ面もあるということか、それともきょうの場合はあまり奥深く聞いても工合が悪いというなら私はやめますし、どうなんですか。それは明日でもよろしいですよ、考えておいてもらいたいと思います。そうしますれば、私どもも従来の経験にかんがみて、こういうような局を設置されて、そして最も合理的に各省との調整もとってやられることに対する法案に対しては、好意的に質問もしてみたいと思うので、内容も、いじめるというようなことでなしに、実際にその内容をよく知っていきたいと思うのですが、それで日をかえて質問をいたしたいと思います。きょうは私の質問はこれで終わりたいと思います。
  63. 田村元

    田村政府委員 まことにありがたい御趣旨でどうも恐縮にたえませんが、それでは可及的すみやかにいろいろな資料を委員会に提出いたしたいと思いますから、その作業をさっそく命じますから御了承願いたいと思います。
  64. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 今のオリンピック道路のことですが、石山君に頼んで聞いてもらおう、こう思っていましたら、石山君は用があって出ていってしまいましたので、一つだけ伺いたいと思います。  それはこのオリンピック道路の予算は、朝霞を使うということを前提にして組まれているはずだと思います。もし皆さん方の御努力で最終的にどうしても使えないということになりましたら、一体どうなるものか、この点であります。
  65. 田村元

    田村政府委員 先ほどから何度も申し上げたように、これは公共道路で早晩はやらなければならぬ道路であります。しかも現在作業を急いでおりますのが道路整備五カ年計画でありますから、そういうわけでオリンピックに関連して、どちらかといえば計画を急いだということが実際の本旨でありますので、もしかりに朝霞のキャンプがうまくいかなくて、根本的に変わってしまったということになれば、また考えなければならぬ点もそれは起こるでありましょう。ただ私どもとしては別に結論が出たわけでもなし、私どもの知っておる知識も今の総務長官の御答弁とか、あるいは新聞という程度のことでございますので、いずれ直接の交渉の衝に当たられる官庁とも相談して、そして将来のことを考えてみたいと思います。結論は出ていないことですから、別に今のところそうあわてて計画をどうのこうのという考え方は一切持っておりません。
  66. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 そうしますと、先ばしったことかもしれませんが、朝霞がどうしても使えないということになれば、予算は組み直すのですか、それとも今の予算をそのまま使っていけるのですか。
  67. 田村元

    田村政府委員 これはきょう道路局長が来ておりませんので、オリンピックと切り離した場合の公共道路としての価値論も起こりますから、私ここで担当局長の意見も聞かないで独断で申し上げることもどうかと思いますけれども、ある程度それは考えなければならぬことは起こるだろうというくらいのことは申し上げていいのではないかと思います。
  68. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 それはこの次田口さんに話をして下さるときに、一緒にきちっとした御見解を聞かしていただきたい、こう思います。  そこで、最終的に返してもらえない場合、こういうことを私申し上げましたが、その可能性は非常に強いのじゃないかという感じがするわけです。これは今藤枝総務長官日本を守るためにとおっしゃっていましたが、確かに東さんだとかあるいは田畑さんだとか、そういう方々米軍と話し合っているときには返しそうな気配を見せた、ムードとして返してもらえると了解した、こうおっしゃっていることは私間違いないだろうと思うのです。ただ文書で確約をとっておかなかっただけのことです。ところが昨今にきて急に返さないという強い態度が出てきた。これは一月くらい前に総務長官にはおわかりになっている、こう新聞で言っていますが、なぜこういう態度の急変が出てくるかということを、もう一度お考えになっておく必要があるのじゃないか。これは確かにアイゼンハワー大統領が考えておりました極東における戦略の本質と、それからケネディがこのごろ三月二十八日の国防予算教書の中で明白にしました極東における戦略とは、相当の開きがあるわけです。その変化が、すなわちアイク時代に聞いたときには何となく返してもらえる、そういうムードがケネディになってがぜん変わった、こういう点も十分お考えになっておかないと、私は相当間違ってくるのじゃないか、そう思われるわけです。たとえば常時使っていなくても、機動的な用兵作戦のために部隊移動用のための兵舎を確保しておく必要がある、こういうふうに新聞米軍の意図を評論しておるのですが、これが重点です。御存じのように米軍は、核戦争はこちらからはしかけませんと、こう言っておきながら、現実には局地戦に対する普通兵器部隊を強化する、そうしてゲリラ部隊も強化する、こう言っていますし、そういうゲリラ部隊を強化する最前線基地としての日本ということを、彼らははっきり言っておるわけです。そういう点になりますと、ちょうど沖繩におる第三海兵団が北富士へやってきて演習をする、そういう意味で北富士が急に価値が上がって、江崎さんが長官をやっておられたころには、返してもいいような態度を米軍が示しながら、このごろになると江崎長官がフェルト大将に相談したって、池田総理がマッカーサー大使と話し合ってみたって、がんとして返さないという態度が出てくる。それと同じことが朝霞にも出てきておるのじゃないか。そうだとすれば、ラオスの戦争、このラオスに対して日本から軍需品、武器、そういうものをどんどん送っておることは、この間私予算委員会ではっきり申し上げました。それに即応してやがて部隊移動まで考えるということになると、ラオスの戦争が終わらないうちは、この朝霞返還という問題は実現できないのじゃないか。そうしてこの東京、横浜全部を見ましても、横浜に一時来た部隊がそこで武装を解いてやがてアメリカへ帰っていく、そういう一時の間の通過地点がありました。それは日本に返しました。従ってこの関東地方には、朝霞を除けばもうほかにはないのです。従って朝霞は最後のそういう意味での使用地点になりますから、ラオスの問題が片づかない以上は解決しないじゃないか。しかもラオスはこれから雨季に入ってきてゲリラ戦を展開できませんから、一時的な休戦は行なわれますが、しかしこの一時的の休戦というものが、はたしてほんとうの休戦かどうかははなはだ疑問だ。この関東地方における米軍の態度から見てもどんどん準備していますから、雨季明けには何か一勝負が始まるのじゃないかという予測さえされるわけです。そうだとすれば、なお朝霞というものは返してもらえない。そういう点で、今朝霞の問題についてあまり楽観的な気分で、何とかして交渉すれば戻ってくるだろう、アイクの時代そうだったというふうなことで折衝をされますと、それは相当失敗する危険が多いだろう。唯一の可能性は、他に朝霞に相当するものを便利なところへあなた方が作っておやりになって、そうしてここを返して下さいということ以外にはなさそうだという気が私はするわけです。ですから、日本を守るためになどとおっしゃらずに、アメリカがアジアにおける極東戦略を展開する上で朝霞が必要なんで、日本の安全とは無関係なんです。そういう点を、冗談話だと思いますけれども、よくお考えになって朝霞の折衝をなさるように希望します。
  69. 久野忠治

    久野委員長 次に受田新吉君。
  70. 受田新吉

    ○受田委員 建設省の方に今度の改正案についてお伺いします。時間をかけないでやりたいと思います。  今度の改正案で問題点の一つ建政局を作ることですが、こういう新しい部局を作ることは、行政の能率化、簡素化という趣旨と形の上では逆行するのじゃないかという問題が提起をされるわけです。そこでお尋ねしたいのは、建政局という名前がいかにも魅力的で、何か新鮮な仕事でもするように見せかけておられる印象を受けるのですけれども計画局の所掌事務を一部つけ加え、他の局との分掌関係調整するというような形でいいのではないですか。計画局という名称は、確かにここに書いてある建政局を作る目的と全く一致しておる。建政局といういかにも政治的な、行政面の新鮮なものを盛り込もうとして、計画局というせっかくいい、ちょうど建政局のやる仕事にマッチするような名称まで抹殺しようとしておるのですが、これはちっと立案をされた側においてお考えになられたことがありますか。計画局という名称をそのまま存置すべきであると思う。
  71. 田村元

    田村政府委員 実はこの建政局という名前に到達するまで、ずいぶん議論されたのだそうです。たとえばこれ自体は計画局にするかとか、いろいろな意見が出たそうでありますが、結局建設業法を取り扱う面もあるし、それから長期計画等、政治的な感覚も取り入れて立案しなければならぬとか、いろいろな面で建政局が最もいい名前じゃないかということで、きまったというふうに私は聞き及んでおります。
  72. 受田新吉

    ○受田委員 この名称はまずい名称ですよ。建政局、何だかつけたりのようなぎこちない名称です。計画局という、おもにやっている仕事を中心の局の名をそのまま存置すればいいのですよ。前に国土地理院をお作りになったとき以来、何だか言葉の遊戯にとらわれて、建設省ではいかにもつけ焼刃のような形でこれを考えておられる。他の省との関係をお考えになったときに、やはり計画局をそのまま存置されて、その主流でやる仕事のほかに、新しくつけ加える仕事を随伴させてやれば、計画局という方が国民にも理解させやすいし、納得も得られるのです。
  73. 田村元

    田村政府委員 実は私がかつて内閣委員をしておるときに、郵政省設置法の一部改正で逓信省にすることに非常に反対した張本人の一人であって、その点どうもお答えする立場としては妙な気持がするのでありますが、いずれにしても建政局がいいだろうという省内の一致した意見でありまして、あるいはかえって考え過ぎてまずい名前をつけたというようなおしかりを受けるかもしれませんけれども、私ども了承したような次第であります。
  74. 受田新吉

    ○受田委員 省内の一致した意見だったなら、別な案がなかったはずです。せっかく長期にわたって、建設省発足以来計画局がそういう仕事をしてこられておる。これは国民にも納得しやすいのですよ。建政局なんて一体何をするのだろうということになってくると、政治的な局だなんということになって変なことになる。むしろ計画局の所掌事務を適当に調整すればいいのです。都市局ができるのなら、都市局と計画局と並べておけばいいのです。どうですかね。建設省のお役人の皆さんというのは、ちょうどコンクリートのようなかたい頭になっているのじゃないですか。
  75. 田村元

    田村政府委員 建設省の役人は、多数の意見に従うという非常によい性格を持っておりまして、省内で計画局がよいという意見もありましたが、従来の計画局とまぎらわしくなるのではないかという多数の意見に少数の意見が従ったもので、まことにその点では民主的な、多数決に従った姿であると考えますが、いずれにしても私はまだ政務次官でありますので、御意見のほどを持ち帰りまして、大臣にもよく御趣旨のほどを申し上げておきたいと思います。
  76. 受田新吉

    ○受田委員 御趣旨のほどを申し上げられて、この法案を修正されてお出しになる御意思がありますか。
  77. 田村元

    田村政府委員 まあ御不満もございましょうが、せっかく出した以上は、何分よろしくお願いを申し上げておきたいと思います。
  78. 受田新吉

    ○受田委員 大臣に申し上げてこちらの趣旨を伝えるということになっておれば、その次の措置が何らかとられるはずですが、これはこの提案の理由の中にもはっきりと、「建設事業に関する総合計画及び長期計画に関する調査及び立案に関する事務等をつかさどらせる」というので、建政局のやる仕事は、だれが考えても計画局にぴったりくる仕事ですよ。従来とまぎらわしいのではなくて、従来がまぎらわしかったのです。そういう点においてもう一度大臣と御検討されて、省議を急速に開かれて、この法案が通るまでに考え直されるということをまず要求しておきます。  その次には、建設省の内部の仕事だけでいろいろと所掌事務が変更されるということでなくて、もっと他省との関係で、たとえば都市局がやられる公園の問題など、これは厚生省の国立公園部の仕事などとも重なってくるのです。それから建設業者の特殊の技術検定に用うる職員などについては、労働省の職業訓練の仕事と関連してくるのです。そういうようなものを他省との間における話し合いをして、もっと高い立場から行政機構全体の問題として建設省は努力なされるべきではなかったですか。建設省の内部の操作をやろうとするから、至るところに無理が起こるのである。もっと高度の立場でこれを総合的に御判断ができるのは藤枝総務長官がいらっしゃるだけ、田村さんも若くして政務次官であられるけれども、総合判断をされるにはもう少し年数がたって、大臣になられてからだとおやりになれるのですがね。そこで藤枝長官、あなたは閣議に列せられる資格を持っておられる。従って閣議においてこういう問題を適当に発言して、行政機構全体の問題として、建設省だけでこういうものをやろうというときに、もっと根本的な問題を考えるべきじゃないかという御発言をされましたかどうか。この問題は他省との間における調整作業というものが私は必要だと思うのです。至るところ関係してくるのですからね。そういうことを一つお願いをしたいのです。  さらに、この法律の実施期日が三十六年六月一日になっている。いかにもこれは政治的に考えてある。大体こういう機構の問題、定員の問題ということになれば、原則としては四月ということになっているのですが、国会でなかなか通過しそうにないという一応の先見の明から六月にされたのかどうか、お答えを願います。
  79. 田村元

    田村政府委員 国会の会期は五月で終わりますから、まあ一応そういうことになっておりますので、慎重審議ということもあり得るだろう、六月なら間違いなかろうということで、六月ということにいたした次第であります。
  80. 受田新吉

    ○受田委員 今後政府が出される法案はすべて、会期の終末を告げる時期を見計らって出されるという立場、私はそういう立場であればけっこうだと思うのです。こういう中途半端なときにスタートをされるというよりも、一年間じっくり検討されて、来年の四月からこれを実施されるというような計画にされて、少し落ちついた研究をされる必要はないか。われわれ国会側の意思なども十分意見を聞いて、そうして政府案を出されるような幅をお持ちになる必要があると思います。出されてからごたごたしない方がいいです。その点御注意申し上げます。  そうしてもう一つ大事な問題は、今度なされるこの建政局仕事関係して、大体建設事業というものを政府はどのように推進しようとしておられるのか。内政的と外政的で、外政的には、後進国の開発計画などにものっとって、日本建設業者にどんどん海外進出して協力させるというような努力もされておるのか。それから内政的には、建設業者を監督して、大きな企業ばかりがいたずらに栄えて、中小企業はどんどん落後していくというような形が見受けられるのでございますが、それらについて中小業者を擁護する。資本の少ない、百万とか二百万とかいうところのものをどんどん擁護していく。何億、何十億という大企業だけを擁護していく傾向が多分に見受けられる。二兆に近いところ建設事業の予算の配分を見てみても、大企業がほとんど大半を占めておる。中小企業というのは五万か十万の工事平均にしかなっておらぬということになっておるのですが、その内政、外政両面における当局のお考えをお伺いしたいと思います。
  81. 田村元

    田村政府委員 海外協力はもっぱら海外協力課においてあっせんせしめるとか、いろいろな調査をしたりというような仕事をいたすことになって、現在までもそれをやって参っておるわけであります。また建設業者の中小業者の育成につきましては、特に最近非常に心を配っておりまして、大企業ばかりに片寄らないように、建設業法の改正にしろあるいは扱いにしろ、そういう面を非常に細心の注意を払ってやっております。またいろいろとお気づきの点はお教えを願いたいのでありますが、現在建設関係は大臣官房で扱っておりますので、もし具体的な御質問がありましたら、官房長が出席しておりますからお聞きを願いたいと思います。
  82. 受田新吉

    ○受田委員 私のほしいのは具体的な説明です。官房長、あなたにお聞き申し上げたいのは、建設業課というのがありますね。それから調査した資料が公表されておるのです。それを見ましても、資本金が百万円以下の業者というものはもう全く四苦八苦の状況です。それから一億円以上の業者は今度六十五の数に本年度なっておるようですが、ばか高い仕事をやって配当でもうんと高いものをなすことができる。特に公立学校の建設計画の中には、三万五千で木造建築をやらされるような規定があるものですから、大企業は全部やりません。中小企業がこれを引き受けて、中小企業の倒産が相次いでおる。最近一年間に百二十か三十かの業者が倒れておるとも聞いておるのです。大企業はそんな損の仕事はやらないで、もうけのいいところをやる。こういうようなことを指導監督の責任の立場にある建設省として、見のがしておられるのではないでしょうか、いかがでしょう。
  83. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 建設業界の中小企業者の問題は、ただいま御指摘のように非常に重大な問題になってきておりまして、私どもも決してほったらかしておるわけではございません。従来建設業者というのはほとんど全部が中小業者といってよろしい。ただいまお話のように私どもの調査では、千万円以上の資本を持っておる会社というのは約千社くらいしかない。ところがその業者として登録しておるのは七万六千近くの数になっております。ですから大部分が資本金の額から申しましても中小業者である。そこでこれらの中には経営のまずいものもありますし、あるいは公共工事を無理に受注いたしまして出血受注をして、その結果資金繰りがつかなくなったりして、倒産したものも若干あるように承知いたしております。従来から私ども建設審議会等で、この中小業者対策を検討いたしてきておりますし、またその結果いろいろな措置を講じております。特にその中で申し上げますと、一つはおもな発注者、特に公共事業の発注者に対しまして、工事の発注の分野を業者ごとの分野をきめてもらう。業者側から見ればまあ大中小五つくらいの業者に対しまして、工事の金額、質によりまして指名発注の範囲をきめてもらう。これを受注分野の確保と申しておりますが、そういうことをやっております。特に大業者は小さな工事を遠慮すると申しますか、受け取らないようにというような指導もいたしておりまして、最近この受注分野の中身も少し再検討いたしまして、変えることによって、さらにこれを徹底させたい。それから中小業者につきましては、特に経営の問題でいろいろございます。その中でも経理の適正化と申しますか、経理方法、いわゆるどんぶり勘定、大福帳式の経理をやっておる。そのために、税金の面でもむしろ損をしておるという面がありますから、そういう経理の適正化、合理化をはかる、あるいは契約関係の適正化をはかるように指導する。それから下職、下請との関係の契約を合理化させるように指導いたしますとか、さらには大業者と中小業者一つのジョイント関係、共同関係一つ促進する。これは将来の問題として、私はこういう方向に、経営の根本的な合理化対策としてこういう線を一つ相当伸ばしていきたいと考えております。そのほか、たとえば建設機械を買います場合に、機械抵当法によりまして資金の調達を容易ならしめるというようなことをやっております。また県によりましては、中小業者を対象とする建設機械の貸与事業の会社を作りまして、これに対して開発銀行その他から融資のあっせんをいたしますとか、これは非常にむずかしい問題でございまして、非常な特効薬というものはなかなかないのでございますが、いろいろな手を打って、せっかく仕事の能力も相当ある業者につきましては、これが本来の能力を伸ばしていけるように一つ一そう指導の徹底をはかって参りたい、かように考えております。
  84. 受田新吉

    ○受田委員 特効薬の発見に御努力を願いたい。それはいろいろあると思うのです。公立学校の建設などというものは、ばか低い基準で建設されておるというようなことがある。こういうものは文部省と相談され、大蔵省と相談されて、やはり主役は建設省の高級職員の方々が御努力をされるということが必要だと思う。そうしてもう一つは、今指摘された建設工事用の機械の導入、外国から大きな機械を持ってこなくても、国内で生産させることができる。中小企業向けの機械などは国内生産でみなやる。大企業はまだ外国から大型のものを持ってきて国内で小型のものを買うとか、ダンプカーのようなものは国内で生産されておるような方針をとっておられるようでございますが、これを指導されて、国内の中小業者が十分採算が合うように、今のような融通資金の問題、共同化の問題等に積極的に努力されるならば、特効薬になると思う。薬の盛り方ですからね。そういうところを真剣に取っ組んでおられなければならないのですが、大きな企業者の方の意見を尊重されて、そういう中小企業の方を顧みないという傾向があるのではないか。その点を私は懸念しておる。一つの機械を買うにしても何千万円とかかれば、中小企業者はとてもやっていけないわけです。そういうところに特別措置をして創意というものを生かす、大企業は後進国の開発の方にも一部努力させていく、雄大な構想を実現させる方向、いろいろなことがある。外貨の獲得等で努力させればいいわけです。機構いじりよりもそういうもっと根本的ないろいろな仕事の上で実績を上げさせることの方が、私は大事なことだと思うのです。中小企業者を倒してそのままに放置してあるようでございますが、これも一つ十分御検討願いたい。  もう一つ、従業員の問題ですが、建設業というものはおおむね季節的な仕事が多い関係で、一時はいい、要らぬときがあるということで、農民などから適当な農閑期を利用してもらいたい。新潟とか東北などのような、農閑期に大量の人を移動させるとか、いろいろな方法があると思うのです。労働行政の面と適当に調節されれば、建設省のセクト主義でなくてもっと広い角度からやられれば、労働市場の建設事業における緩和は実現できると思います。そういうところに努力されておりますか。季節的な時期を利用した労務者の活用ということが考えられていないのではないかと思うのですが……。
  85. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 ただいまの建設関係の技能労務者、これは大都市におきましては相当払底しておりまして、業者も非常に困っておる。特に中小業者が労務者の獲得、雇用に非常に困難を感じてきておる傾向は御存じの通りでございます。私どもは今の労務対策協議会というものを建設省に設けまして、これに全国的な建設業のおもな団体から参加してもらいまして、ただいま御指摘のような措置もその一環として研究いたしております。この問題は役所がただ統制的にやるというわけにも参りませんから、労働省にはもちろんしょっちゅう連絡協議いたしまして協力を要請しておりますし、それ以上に業界がなるべく自主的にお互いに連絡協力をするという態勢に持っていきたいと思いまして、ただいま労務対策協議会においていろいろ検討いたしておる段階でございます。御指摘のようなただいまの御意見、まことにごもっともでございまして、私どもはそういう気持で今までやっておりますが、何しろ手が回りかねたり力の足りない面もございまして、そういう御指摘のようなことを大いに積極的にやるために建政局が必要だというふうに御了承いただきたいと思います。
  86. 受田新吉

    ○受田委員 建政局というよりも計画局で間に合うのです。そこで仕事をしっかりやればいいのです。そういう労働行政との調整というととは非常に必要なことなんです。お役所のセクト主義を排して、間口をうんと広げるという努力をしてほしい。  それから最近の建設資材などはばか高になっておる。特に杉角丸材のごときはばか高になっておる。外国から輸入していくとか、そういう外交上の努力、貿易上の努力も建設省から申し入れられていいことだ。セメントや鉄鋼はだんだん下がっておる傾向だけれども、砂利は相当値が高くなっておる。水害を待って砂利を待望するということでなくて、平素から山の中で砂利に相当する山があるのです。普通の山ではだめだけれども、砂利に向く山がある。そういうところは、東京周辺だって、高い運送費を使わぬでもゆっくり間に合うのです。砂利の高騰ということはなくて済むのです。そういうようなところへ、もう少し業者の間の指導監督の面を責任を持って果たしていただくように、そうして公営住宅の建設その他について大衆が便益供与されるような方向へ、建設省は意を用いていただきたい。  限りなく質問の種があるのでございますけれども、私今質問の十分の一もしてないわけでございますが、私の質問の意のあるところは十分おわかりだと思う。そういうところへ心を配られて、今申し上げた修正は明日までにお出し願う、またそのほかの問題は今官房長もすなおに努力したいと認められたので、その成果を早急に上げるようにしてもらいたい。こういうことで私の質問は終わります。
  87. 久野忠治

    久野委員長 両案についての残余の質疑は次会に譲ることといたします。次回は明十二日午前十時半より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十五分散会