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1961-04-07 第38回国会 衆議院 内閣委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年四月七日(金曜日)    午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 久野 忠治君    理事 小笠 公韶君 理事 草野一郎平君    理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君       内海 安吉君    大森 玉木君       佐々木義武君    島村 一郎君       藤原 節夫君    保科善四郎君       牧野 寛索君    緒方 孝男君       杉山元治郎君    田口 誠治君       山花 秀雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣 西村 直己君  出席政府委員         防衛庁参事官         (長官官房長) 加藤 陽三君         防衛庁参事官         (防衛局長)  海原  治君         防衛庁参事官         (教育局長)  小幡 久男君         防衛庁参事官         (人事局長)  小野  裕君         防衛庁参事官         (経理局長)  木村 秀弘君         防衛庁参事官         (装備局長)  塚本 敏夫君         調達庁長官   丸山  佶君         総理府事務官         (調達庁総務部         長)      大石 孝章君         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     柏原益太郎君         総理府事務官         (調達庁労務部         長)      小里  玲君  委員外出席者         防衛庁書記官         (防衛局防衛審         議官)     麻生  茂君         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二七号)  自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出第  二八号)      ————◇—————
  2. 久野忠治

    久野委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、前会に引き続き質疑を継続いたします。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。緒方孝男君。
  3. 緒方孝男

    緒方委員 私は今議題となっておりまする防衛二法案について、防衛庁長官並びに調達庁長官質疑を申し上げたいと思いますが、その質疑に先立ちまして、本日の朝刊に報道されており、昨日もラジオその他でもって国民全体に知らされて非常に心配をし、かつ悲しんでおります北海道における航空自衛隊ジェット機四機が一時に墜落して多数の犠牲者を出し、このことはまことに今後の防衛の上におきまして、航空技術の上におきまして、またこれを指導する面におきまして非常に大きな問題をはらんでおることではなかろうかというふうに考えられますが、御当局の方でもってこれについての詳細なる御報告をお求め申し上げたいと思います。私たちもその起こった原因一体いずれにあるのか、技術の面にあるのか、いわゆる着陸その他についての指導のよろしきを得なかったのか、また悪天候承知の上でもってこういう暴挙を行のうたのか、いずれにその原因があるかということは、将来のこの航空自衛隊のあり方についても究明していかなければならない重大な問題であろうと思いますので、その点一つ詳細に御報告をお願い申し上げたいと思います。
  4. 西村直己

    西村国務大臣 昨日の昼前後におきまして、北海道の第二航空団所属のF86F昼間ジェット戦闘機訓練中に起きた事故、この点はまことに遺憾に存じております。また昨夜来夜半を徹しましてその後の状況等を詳細に現在聴取中でございます。従いまして現在までにわかりました一応の概況を教育局長から詳細に御報告し、その上におきましてさらに私どもの考えなりを御質問によって申し上げてみたい、こう考えておる次第でございます。
  5. 小幡久男

    小幡政府委員 昨夜来入りました情報に基づきまして、まだ確たる結論を見出せない面もございますが、できるだけ詳細に御報告申し上げたいと思います。  千歳飛行場所属のF86F飛行隊要撃訓練をするために三編隊、一編隊が四機編成でございますが、三個編隊が昨日の十一時から十二時にかけまして千歳を飛び上がりました。飛び上がるときには大体気象状況十分訓練に耐え得る判定のもとに飛び上がっております。しかるところ、十二時過ぎまして非常に気候急変いたしまして、その急変状況タワーから飛行機の方に知らせまして、すぐに着陸せよという指示をしております。なおその際に十二機上空におる関係上、着陸のチャンスが非常に錯綜いたしまして、まず第一編隊の四機は着陸いたしましたが、残りの各機は何回も着陸を試みまして、その上天候がまた非常に悪化して参りましたので、重ねてタワーから三沢飛行場へも着陸せよという指示を出しております。従いましてそのうちの四機は三沢飛行場着陸いたしております。ところが残る四機は、推定でございますが、何回も千歳飛行場着陸したいという意思を持って試みた形跡がございますが、四機のうち二機は最後三沢に転進いたしまして、ついに燃料が切れまして、三沢あるいは下北半島の沖の海上落下傘によって出ようとしております。残る二機は苫小牧の東北東で山中に墜落いたしました。その結果、海中落下傘でおりましたうちの一人は、おりから通り合わせました貨物船に一時は収容されたのでありますが、何せ水温五度という非常に冷たい海中でございます。収容後間もなく死亡しております。残り一人の海中へ落ちたと想定される者につきましては、現在所在の空、海の航空機を動員いたしまして、きのうに引き続きまして捜索をしております。それから山中に落ちました二機につきましては、遭難現場を確認いたしまして、死体は、一体は確認しておりますが、なお一体につきましては現在も捜査中でございます。以上が大体の概要でございます。
  6. 緒方孝男

    緒方委員 ただいま御報告がありましたが、十二機のジェット機訓練に出動するにあたって、そのときにおける天候訓練に耐え得る天候だという御説明でございましたが、これが足のおそいものでありますならば、天候変化に伴って捜査がなかなかむずかしかったとか、帰還をさせることに困難が生じたとかいうことは考えられますが、何をもちましても今日のスピードの上においては、世界の最高峰を行くところのこのジェット機に乗っておる者が、それを収容するのに三時間も五時間もかかるということは、われわれの考えられない一つ状態でございますが、もしお説でありますなれば、天候出発のときには非常に良好であったが、突風のごと状態が起こって、こういう状態になったというようなことにしか解釈はできませんが、そういうふうな状態であったわけですか、その点を御説明を願いたいと思います。
  7. 小幡久男

    小幡政府委員 御説明申します。出発時の十一時ごろの気象状況では、千五百フィートまでは断雲でございます。四千五百フィート以上は全雲でございます。それから視界は二十マイル、風速は一時間二十ないし三十ノット、こういう程度では十分訓練に耐え得るわけでございます。ところが十二時八分ごろになりますと、そのときの気象は全雲が、前に四千五百フィートだったのが、一千フィートから上は全部雲になっております。それから視界はわずか二マイルしかございません。それから風速は二十ないし四十ノット、急変ということがこの二つの比較でおわかりいただけると思います。
  8. 緒方孝男

    緒方委員 十一時に出発するときの状態と十二時を過ぎたときの状態は、非常に変化をしておった。変化したからこういう状態になったわけでしょうが、少なくとも今日は民間の旅行にしても、天気予報を知りながら行動しておるという世の中である。まして航空機おきましては、気象変化ということが常にレーダーの上でキャッチされてこそ、その行動ができるというのが今日の常識ではないだろうかと思います。してみますと、一時間後に起こる変化が、今日の日本航空自衛隊の手によってはキャッチすることのできないような劣悪な状態であるのかどうか。あえてその危険があるにもかかわらず、かつての神風精神でもって出かけていったのではないかという二つの疑問が、ここに生ずるわけでございますが、その点についての御説明をお願いいたしたい。
  9. 小幡久男

    小幡政府委員 この気象につきましては、北海道方面は御承知のように非常に急変するのでございますが、一町問前の気象でも、どの局地にどういうことが起こるかというようなことは、なかなか判定しにくい場合がございます。従いまして刻々に気象というものを判定しながら航行いたしておるわけであります。先ほど十二時ごろの気象は非常に悪くて、このような気象条件のもとに出発するのは神風精神ではないかという御質問がございましたが、ジェット機相当気象には耐え得る面もございまして、御承知のように最後の場合は誘導によって飛行場着陸し得るというふうになっております。天候が悪くて視野がきかぬ場合は、視界計器ではかりまして着陸するというふうになっております。その着陸し得る気象上の限度というものは、雲の高さが三百フィート、それから視界が一・五マイル以上ありますれば、ジェット機飛行場誘導によって着陸し得るというところまでジェット機性能は上がっておるのでございますが、大体出発時の状況から考えまして、まず大丈夫であろうという判定をしておったものと推定をしております。
  10. 緒方孝男

    緒方委員 その優秀な誘導着陸のできるような装置を有しながら事故を起こしたというところに、われわれはあなたにお聞きしなければならない根拠がある。それだけの優秀な性能を備えておる飛行機であり、かつまた誘導装置も有しながら、それですら着陸できなかったというような大きな困難があったというととは、想像に絶する、いわゆる技術的にはとうていできないような航行を行なっておったのではないかということは、この事実の中から判明してくるわけであります。その点が私はどうも御説明では納得のいきかねる面でございます。
  11. 小幡久男

    小幡政府委員 その点につきましては非常に気象が断続しておりまして、たとえば第一回に着きました四機のうちの二機は千歳に着きまして、十二時三十八分という時刻に着いております。それから第二回目に着きました二機は十三時十一分という時刻に着いております。この間相当の時間がございます。これは気象条件が非常に断続しておりまして、ある場合には視界がゼロになったというふうな時間もその中にあったようでございます。従いましておっしゃいましたように、非常に刻刻に変化する。しかも非常に悪い期間には、上空におりましても、千歳におりるわけにいかなかったということは十分推察されます。
  12. 緒方孝男

    緒方委員 私は技術家でないから、その着陸を必要とするような状態が起こった後のことは、一々どうであろう、こうであろうと申し上げるだけの資格も力もありませんが、少なくともこの天候変化というものは、その地点に突発的に起こるはずのものではないと思います。北からなり南からなり西からなり東からなり、いずれの側からかやはり押し寄せてくるのが天候移動状態であろうと思います。今日起こったここにおける天候急変というが、その速度が多少速かつたかおそかつたかということに帰するのではなかろうかと私は思うのであります。そういう悪天候移動状態が、今日の航空自衛隊レーダーの手によっては把握することのできない状態かどうかということを私はお聞き申し上げたい。
  13. 小幡久男

    小幡政府委員 気象班につきましては、航空自衛隊おきましても保安管制気象群というものを別に設けまして、各基地ごと気象隊を配置しておりまして、これが運輸省系統気象庁と緊密な連絡を保ちまして、一定の時間をおきまして、基地から航空気象を流しておるのでございますが、これを一緒に相共同いたしまして、刻々に流しておる気象報告事項は、日本の今の気象把握能力としましては、それ以上は望めないという程度に努力しておるつもりであります。なお北海道方面は非常に気象変化が急でございまして、内地では想像できないような気象条件にあるように聞いておりますが、おそらく当日も最も悪い条件にあったのではないかと考えております。もちろん全体の大きな気象の流れは、午前三時、あるいは午前六時というふうに三時間おきくらいに全体の気象の図をよく研究いたしまして、全体のことを頭に入れて、さらに一時間おきとか三十分おきというふうな刻々の気象変化地上から流しまして、全体と区分と両方、からませて頭に持ちながら飛んでおることは事実でございます。今度の事件はそういう処置をとったにもかかわらず、異常な気象変化によったものではないかというふうに推察しておる次第であります。
  14. 緒方孝男

    緒方委員 一つの風の動きを見ながら飛ばなければならない、一つの雲の動きを見ながら作業をしなければならない航空界において、今教育局長の言われるように、ラジオ天気予報を知る程度常識の上において、今日の航空技術指導することができるかどうかということは、怪しまなければならない問題ではないかと思います。北海道気候変化が激しいところですから、やむを得なかったと言われるのであれば、今後は北海道でいっこういう事態が起こらないとも限らないということを示唆しておるのと同じだと私は思う。気象急変のあるところはあるところに即応した把握技術が必要ではなかろうか。そういうものに対して、今日までおろそかにしておったというのか、できないというのか、その点をはっきりしていただきたい。
  15. 小幡久男

    小幡政府委員 先ほども申しましたように、決して一般気象の見地からの気象調査はおろそかにしておりません。北海道では特に全体の天気図はもとより、一時間あるいは三十分ごと気象状況を察知いたしまして、それを図に書き込みまして、気象変化の速さも操縦士にわかるような仕方で地上から知らせております。従いましてそういう処置はずっと一般ラジオなんかよりは的確で、また時間も非常に仕切りが短く報告しておりますので、刻刻の気象変化は絶えず操縦士の頭に入っておるというふうに考えております。
  16. 緒方孝男

    緒方委員 今は少なくとも何万キロ向こうにおける隕石の作用であろうと、針の落ちる作用であろうと、キャッチしなければならないというふうなレーダー戦法が用いられておる時代でございます。そういう時代の中において、少なくとも一時間後に起こるところの気象変化というものがキャッチできないというようなことであっては、今日日本の少なくとも変化の多い北海道を、訓練の場にしておいてもらっては困ると思うのです。そういうことがもし原因であるとすれば……。むしろ起こってきた原因はそこではないのではないか。十分な誘導装置を持っておるから、視界が見えなくても着陸できる能力を持っておるから、これくらいな天候では大丈夫だという思い上がりな訓練が、この惨事を引き起こしたと私は考えなければならない。技術範囲を超越した訓練が、こういう不祥事を生ぜしめたのではないかということを考えなければならないと思いますが、その点の御見解を承っておきたい。
  17. 小幡久男

    小幡政府委員 航空事故につきましては年々非常に苦労しておりまして、安全対策につきましては特に重点を置いております。そのために、いろいろ気象条件を軽く見て、思い上がってやるというような心境はございません。従いまして今度の事件でも変化したとたんに、地上からはすぐ着陸せよ、もし千歳着陸不能な場合には、代替飛行場三沢に行けということをいち早く流しております。これは地七と操縦士一体となりまして、いかにして安全に訓練をやるかということについては、常に力を合わせてやっておるということでございまして、決してそういう思い上がったというような気持で訓練はやっておりません。
  18. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 関連してちょっと質問いたしたいと思います。非常に大切な貴重な人命を失ったという点、それから貴重な高価な国民の財産を一挙にたくさん失ったという点、どちらの面から見ても重大な問題だと思います。大臣初め当局皆さん方も、事の重大さは十分に御承知だと思いますが、こういうことを二度と繰り返さないためにも、原因を明らかにされなくてはならないと思うのです。現在このような事故がなぜ起きたかということを考えていく場合に、私は三つの立場から究明さるべきではないかと思いますが、もしこれにつけ加えるものがあったらお教えを願いたいわけです。  一つ飛行機性能構造上の何らかの欠陥があったのかどうかということ、もう一つ気象上の、特に気象情報取り扱い上のミスが、地上におる側か、あるいは空中で受ける側かは別として、どちらかの側にあたったのではないか、これがいま一つだと思います。もう一つ技術上の欠陥、特にパイロット操縦上の訓練不足といいますか、未熟さというものに原因があったかどうか。あるいはこれと関連して、技術上と直接関連はないと思いますけれども、編隊指揮といいますか、そういう面における欠陥、未熟さがあったのではないか、こういうところに原因はたどられていかなくてはならないのではないかと思います。  そこで私の今急に思いつく範囲でお尋ねをしてみたいと思うわけでございますけれども、まず第一番目の飛行機構造性能の問題でございます。F86Fは全天候性ではございません。もちろんこういう悪天候のさ中において、明確な射撃などは不可能なのでございますけれども、しかし空を飛ぶということ、あるいは離着陸ということにおいては、かりにこのような天候であってもF86Fにおいては、十分に可能な能力を持っておるものかどうか、また全天候性のF86Dの場合はどうなのか、この辺の御説明からまずお伺いしたいと思います。
  19. 小幡久男

    小幡政府委員 F86Fは御指摘のように全天候ではありませんが、その性能から見まして、雲中の計器飛行はもちろんできますし、視野がほとんどないような場合でも、GCAによって着陸できるということは御承知通りと思います。先ほど申しましたようにGCA着陸のミニマムが雲高三百フィート、視野は一・五マイルあれば、F86Fといえども着陸可能であるというふうになっておりますので、その限度までは十分でき得る性能を持っておると思います。Dの方は御承知通り夜間飛行もやれる全天候でありますので、さらに性能がすぐれておると思います。
  20. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それではこのような条件のもとにおいては、飛行機性能としては十分に航空にも耐え得るし、離着陸にも耐え得る、こういうお話でございます。そうしますと本来そういうふうな性能は持っておるはずだということですが、ここに十二機の飛行機が飛んでおるわけです。そのうちで一個編隊だけが事故を起こしているというところに思い至らなくちゃならない。そこで私お尋ねするのですが、この十二機の飛行機、各編隊別事故のあった分、なかった分、全部これは国産の分ですか。あるいは米軍から供与された分ですか。そこのところの区別があるのかどうか、この点をお尋ねいたします。
  21. 小幡久男

    小幡政府委員 今手元に国産米国供与かという資料はございませんが、本件に関する限りは国産供与かについては、事故原因はなかったろうと推定しております。
  22. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 推定されても始まらないのであって、やはりこれは飛行機性能構造というものに関連があるわけですから、特に国産の分は新しいという有利な点がある。しかし技術的に未熟な面があるおそれもある。米軍の分は今度は古いという心配がある。これはまず第一に十分に考えてみなくちゃならない点なんですから、至急お調べを願いたいと思います。
  23. 小幡久男

    小幡政府委員 至急調べましてお答えいたしますが、過去の実績からいいますと、国産の分と供与の分との事故比率は、大体相似た比率になっております。本件の場合はどうかという問題については、さらに本件特殊性を考え合わせてなお検討する問題があるか一もしれませんが、その点は調べたいと思っております。
  24. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それではこれは、この質問時間中にお答え願うことにいたします。  次に気象情報の上取り扱い上の問題、それから技術上の問題、いろいろあるわけでございますけれども、今度の訓練の目的は一体何であったのかということです。
  25. 小幡久男

    小幡政府委員 訓練は、われわれの方では要撃訓練と申しておりまして、四機編隊空中に上がりまして、各編隊が二機ずつ敵味方に分かれまして、空中でお互いに攻撃、防御の訓練をするものであります。
  26. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうすると、この十二機三個編隊の空間において占めておる端から端までの大体の距離、あるいは近いものの距離一体どの程度距離を保ってこの訓練が行なわれておったのか。特に私が必要とするのは、十二時半ごろですか、どうも気象条件が悪いから直ちに三沢に帰れという指令地上から出した。その時点において空中においてその情報を受け取ったときに、一体どの程度間隔が十二機の問にあったのか、編隊の問にあったのか、この点を一つお教え願いたいと思います。
  27. 小幡久男

    小幡政府委員 高度は約一万フィート程度でありますが、間隔は今のところはっきりした数字を持っておりませんので……。
  28. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 大切なことを一つも調べていないじゃございませんか。これでは事の重大性を認識しておると思えませんですよ。なぜ私がこの問題は大切かということは、三個編隊のうち二個編隊は帰っているという事実です。一個編隊だけがこのような事故を起こしているということです。相当間隔があるならば気象条件も違うかもしれない。しかし私は、少なくとも三個編隊がそう離れておったとは思えない。気象条件においてもそう差異があったとは思えない。そうしますと一個編隊だけがこのように全滅しているということは、この気象情報の送り方か、受け取り方か、あるいはこの編隊指導の仕方か、あるいはこの編隊に関してのパイロット技術の問題か、何かこの一個編隊だけに関して特殊な条件があったのではないか、そう思わざるを得ないのです。
  29. 小幡久男

    小幡政府委員 ちょっと私の言葉が足りませんでしたが、一個編隊がまとまって事故を起こしたのではございまん。一個編隊、二個編隊、三個編隊ございまして、その第二の編隊千歳に全部着きまして、一個編隊と三個編隊の二機ずつが事故を起こしておる。残りの二機ずつは三沢に着いておる、かようなことでございます。当時は二機が単位でございましたので、二機が一つ編隊を作っておりまして、事故を起こしたのは、編隊から申しますと第一編隊と第三編隊の二機ずつで、おそらくこれらの編隊はそう空中においては離れてはいなかったのではないかと思いますが、事故機は大体そういう混成でございまして、半分ずつが落ちて、また一部は着陸しておる、こういう状態でございます。
  30. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 一個編隊は四機ですね。こういう緊急事態の場合は、その四機がさらに二つに分かれて避難するという形になるわけですね。
  31. 小幡久男

    小幡政府委員 当日の演習状況から見ましても、四機が空中に二機ずつ敵味方に分かれておりまして演習をしております。しかも避難をするときには、その態勢のまま避難し得ると同じような条件になっておりましたので、二機ずつ編隊を作りまして着陸あるいは三沢の方へ転進をするという措置をとったのであります。従って四機が落ちておりますが、実際の結果から見ますと、第一編隊の二機と第三編隊の二機がそれぞれ三沢に着き、また事故を起こしたというふうに言えるので、事故二つ編隊に関係あるという結果になったわけであります。
  32. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 その三個編隊のうち無事だったのは、千歳に着いた分ということになるわけですか。
  33. 小幡久男

    小幡政府委員 三個編隊のうち第二編隊だけは全部そろって無事に千歳に着いております。第一編隊と第三編隊の半分は三沢にたどりついております。他の半分は一部が海上、一部は苫小牧東部に墜落しておる、こういう状況でございます。
  34. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 千歳に行けとか三沢に行けとかいうことは、下から指令を出すわけですか。そうしますと下から指令を出したために、千歳に行った分と三沢に行った分とが出てきたのか、それともそういった着陸の判断は編隊長によって、それぞれの判断で千歳に行く分と三沢に行く分とができたのか、その辺はどうなんですか。
  35. 小幡久男

    小幡政府委員 現在まで入手いたしました情報では、十二時四十五分に三沢飛行場着陸せよという指令が、管制塔から出ておるという情報を受けております。従いまして若干上空パイロットには裁量の余地があったのではないかと推定をしておりますが、なお正確には管制塔の録音を調べないとわかりませんが、管制塔は運輸省の方に属しておりますので、いろいろ運輸省の方も調べてもらうよう依頼しております。
  36. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 ここが一番大切なところですよ。特に気象条件というものにウエートを置いて考えていく場合に——私もう一度念を押してお伺いしますけれども、コントロール・タワー指令というものはどの程度拘束力があるのですか、パイロットに対して、編隊長に対して……。
  37. 小幡久男

    小幡政府委員 勧告であります。
  38. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 勧告といいますと、必ずしも拘束を受けなくてもいいということですか。
  39. 小幡久男

    小幡政府委員 厳密に言えばそうなると思いますが、最後の責任はやはり。パイロットに判断が残っておるわけであります。そういった意味で勧告と申し上げたわけであります。
  40. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 その場合に、今度の場合管制塔の方では三沢に行けという勧告をしたのですか。
  41. 小幡久男

    小幡政府委員 現在までに得た情報ではさように聞いております。十二時四十五分、千歳の方は着陸も輻湊しており、視野もなかなかはっきりしないから、三沢に行けというふうな勧告を出したと聞いております。
  42. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうしますと勧告に従って三沢に行ったものは事故を起こして、勧告に従わないで、そうしてみずからの判断で千歳に向かったものが全部助かっているということなんですよ。ここに明らかにいずれかの側にミスがあるじゃありませんか。もし勧告に従ったことが正しいのであったならば、正しいことをやった者がひどい目にあった。勧告だから自分の判断でやるべきだ。自分の気象判断とか操縦能力とか、いろいろな面で自信を持っている方は、勧告に従わないで千歳に向かった。これは指揮官として有能であったのかもしれないし、あるいは命令に違反したのかもしれないし、そこのところは微妙でしょうけれども、まことに矛盾したことですけれども、皮肉なことに勧告に従わなかった者は助かった。これは今後の問題としても大へんな問題でしょう。そうじゃありませんか。
  43. 小幡久男

    小幡政府委員 最初の第二編隊千歳着陸する時分には勧告は出ておりません。第一、第三編隊上空で待機して着陸を待っておるときにそういう勧告が出ております。第二編隊は、二機が十二時三十八分に着陸しております。それから第二は十三時十一分着陸しておりますが、これは勧告を受ける前から着陸姿勢に入っておりまして、おそらく断雲を縫って入ったのだと思いますが、そういうふうにパイロット最後の判断はある程度自分にまかされておりますので、断雲を縫って入るチャンスがあれば入りたいという気持を持つことは、お互い理解できるかと思いますが、結果から見ましてやはり勧告に従って三沢へ行った方がいいのではないかというふうに、あとから考えますと考えられる点がございます。なお管制塔の指示につきましては、先ほども申しましたようにテープその他によって確認しておりませんので、この辺のところは生き残ったパイロットもまだ疲労しておりまして、十分なる調査もできませんので、一つ推定として申し上げておる次第でございます。なおはっきりいたしますれば、この点はあとから御説明申し上げます。
  44. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そこの辺が私どうもはっきりしないのですが、訓練を始めるために出発したのは午前十一時過ぎですか。
  45. 小幡久男

    小幡政府委員 訓練を始めるために出発いたしましたのは、第一編隊が十一時十四分、第二編隊が十一時二十七分、第三次が十二時一分でございます。
  46. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そして訓練を始めたわけでしょう。始めて訓練が終わったから基地に帰ろうとしたのですか。それとも隊の方で、これは気象隊かどこかはっきりさしてもらいたいのですが、とにかく自衛隊の所管のどこかでどうも気象条件が悪いから、訓練をやめて帰れという指令を出したのか。それともスケジュールを消化されて、それで終わったから帰ろうとしたのか。あるいは隊以外のところからサゼスチョンがあって、これは早く帰らなければあぶないというので戻ろうとしておったのか、その辺もはっきりさして下さい。
  47. 小幡久男

    小幡政府委員 大体一時間半訓練を行なうために飛んでおります。従いまして十二時から一時くらいまでの間はしばらくまた訓練の時間があったと思います、が一時前になりますと訓練の時間が切れておったという状況であります。全部で一時間半、さらにまた事故等がありせば代替飛行場着陸し得るだけの燃料を積んでいっておるので、滞空時間もまたその辺できまってくるわけであります。
  48. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは答弁になりませんよ。一時間半の予定で出発しているものだったらまだ訓練時間中だ。そうすると訓練が終わってスケジュールを消化したから帰ろうという意思をパイロットが持っておったわけじゃないですね。すなわちどうも気象条件急変して悪いから早く戻ってこいという指令が、どこかから出たわけでしょう。その辺はどうなんです。
  49. 小幡久男

    小幡政府委員 その通りであります。十二時八分にタワーから気象勧告をしております。そのときは視界が二マイル、千フィート上空は全雲であるという注意をしております。
  50. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 第三編隊出発したのが十二時一分ですよ。コントロール・タワーからそういう勧告が出ているのが十二時八分で、この間わずか七分しかない。その気象条件でなおかつ飛べる、十分に訓練ができるという判断を下したというのは、一体どういうわけですか。
  51. 小幡久男

    小幡政府委員 この問非常に時間がなかったことは、やはり一つの問題だと思います。しかし最後着陸しなければいかぬという指示を出しておりますのは十二時四十五分ごろでありまして、まだ相当間はあると判断したのではないかと考えております。
  52. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 どうおっしゃろうと、タワーの方で勧告したのが十二時八分、最後編隊が飛び立ったのが十二時一分。おそらく勧告が出たのは第三編隊飛行機が飛び立っている最中かもしれません。第三編隊の飛び終わったのが十二時一分ではございませんでしょう。飛び始めたのが十二時一分でしょう。そうすると一機目が二機目が三機目がまだ飛んでいるさ中に、どうも気象条件が悪いから帰れという勧告がタワーの方から出ていると思う。一体自衛隊は訓練を施すにあたって、訓練をするにあたって、気象条件というものにどれほどウエートを置いているわけですか。各方面と十分なる連絡をとりながら、これはいかぬ、この気象条件訓練をやることはあぶない、十分に判断できる材料が出ておるではありませんか。そういうことをよく調べもしないで、きまったスケジュールだから消化しなければいかぬ、そういう機械的な訓練をやったとしか思えないじゃありませんか。昔のような猛訓練を施すつもりかもしれません。何か源田さんの談話なんかを読んでみますと、猛訓練はやめないのだと言っておるような一部の新聞報道もありますけれども、訓練も大切です。それは一たん緩急あるときは悪天候の場合もありましょうから、訓練も大切でしょうけれども、しかし時代というものも考えなくちゃならぬ。特に人命というものを尊重しなくちゃならぬ。こういう格好で訓練をやったのでは、今後隊員が非常に不安な気持を持つ。この方が猛訓練よりもよほど大切じゃありませんか。細心の注意を払っておったとはどうしても判断できません。最後編隊が飛び立ったのが十二時一分、タワー気象条件が悪いから早く飛行場に帰れという勧告を出したのが十二時八分というのでは、細心の注意を払っておった、気象条件を一生懸命注目しておったとは考えられないじゃありませんか。機械的に訓練をやったとしか思えないじゃありませんか。私はもう少しこの辺をはっきりさせていただきたい。  もう一つ、三番目にあげました技術の問題についてちょっと触れてみましょう。結局二機ずつ編隊を組んでおった。その細分化された二の編隊事故を起こしている。この原因がどこにあったかというと、今のお答えの中でうかがい知るところでは、どうも気象条件が明らかに悪いというデータが出ておるにもかかわらず、強行したという指揮官の判断、訓練指令を出した者の判断の誤りというところに原因が生ずる。それからもう一つは、パイロットの指揮官としての判断力ということにも何か問題がありそうだ。勧告は三沢に行けということであったが、多年の経験その他から、いや千歳に行った方がいいと思った。その人たちだけが助かったような気がしてならない。それからもう一つ、二機編隊ごと事故を起こしているということからいくと、その編隊の責任者、編隊長のいわゆる判断その他に未熟があったのじゃないか、指揮に未熟があったのじゃないか、こういう感じがしてならない。この三個編隊の責任者はどなたであったのか、全部の三個編隊を統括しての責任者はどなたであったのか。それから事故を起こした第一、第三編隊の責任者はどなたであったのか。そのうち二機ずつ分かれて事故を起こした方の責任者はどなたであったのか、これをちょっとお尋ねいたします。
  53. 小幡久男

    小幡政府委員 第一編隊編隊長は二口一尉でございます。第二編隊編隊長は副島一尉でございます。それから第三編隊編隊長は清田三佐でございます。なくなっておりますのは、そのうちで第一編隊編隊長の二口一尉とそれから第三編隊編隊長の清田三佐、これがはっきりしております。あと捜索中の者が二名でございます。
  54. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 この編隊長の判断あるいは能力というようなものに、やはり一応問題が出てこようかと思います。これはまあ私ここで推定は申し上げません、なくなった方の……。十分な自衛隊や防衛庁の方の調査検討に待ちたいと思うわけです。まあ時間がございませんし、調査の方もまだ十分に行なわれておりませんので、引き続きこの問題については御質問をすることにいたしますが、今私がお聞きした範囲においても全然手落ちがなかった。気象情報取り扱いからいっても、パイロット訓練の度合いからいっても、あるいは飛行機構造性能からいっても問題はなかった。全く突然のこの気象条件変化原因があったというような、そういう言い方は通らないような感じがいたします。そういうことで一時ごまかしては、あとあと非常に大切な問題を残すような気がしてなりません。そういう責任回避的な態度をとらないで、あくまでも原因は追究していき、再びそういう事故は起こさせないようにすると同時に、隊員の士気にも悪い影響を与えないように、事実を事実として調べることが士気に悪影響を与えることじゃございません。問題はごまかさないことの方が大切だと思います。指揮命令にあやまちがあったならば、それをちゃんと認めて責任をとるということの方が大切なんだ。私はそういう立場であくまでも、この貴重な人命が失われたということ、高価な国民の財産が失われたということに、謙虚な反省の上に立って慎重に検討されることを、そしてまたなるべく早い機会に国会を通じて国民に明らかにすることを、ここで大臣にお誓い願いたいと思います。
  55. 西村直己

    西村国務大臣 石橋さんの御質問でございますが、私も全く同感でございます。これによりまして、現在までは、御存じの通り昨日の午後のできごとでございますし、また場所も離れております。従いまして夜を徹しまして、特に現在は機体なり遺体なりの救出等に力を注いで参りたい。現在までは一応入りました材料に基づきまして御返事を申し上げております。と同時に石橋委員から御指摘のありました点も、当然今後明らかにすべき点でございます。そこで航空幕僚監部におきましても責任者をもちまして事故調査の委員会を、もうできたと思います。そうしてそこであらゆるデータを集めまして、今後航空自衛隊が健全に発達していくために、正直に客観的にすべての原因というものを究明し、また同時にこれによって将来の健全な航空自衛隊の育成をはかって参りたい、こういうふうな私は考えでございます。またその結果が明らかになりますれば明らかになりましたつど、また御要望がありますればその状況等も国会を通じ御報告をして参りたい、こういう考え方で、石橋委員の御質問に対しましては、私も同じような気持で考えて参りたい、こう考えております。
  56. 久野忠治

    久野委員長 次に石山權作君。
  57. 石山權作

    ○石山委員 数字的な問題その他のことに関しましては、石橋委員から質問がございましたけれども、まだふに落ちない点がございます。もちろんこれは早急の事件なのでございまして、皆さんの方でもそれぞれ努力をなさってその原因を突きとめようとしているだろうと思うのですが、わからないというのが真実だろうと思います。その点は私はこれ以上、資料の集まらない以上は質問は差し控えますが、ただここで気になることは、どの新聞を見ましても今度飛んだ飛行隊の方々は、優秀な方々だというふうに言っておることです。この優秀な方々がどうもこういう事故を起こすということについて、私はなぜ優秀だといわれる方々がこういうふうに死ななければならないかということでございます。優秀でないというふうなことがどこかの新聞に出ていて、こういう事故が起こるとすれば、これは万やむを得ないのだという常識論もおのずから出てくるのでございますけれども、私が拝見した東京都のそれぞれの新聞は、全部これは第一線の優秀な方々であって、これを失うことは日本航空隊から見れば大へんな痛手だ、こういうことを言っているのです。今判断されることについて、またどの新聞を見ましても防衛庁としての判断の公約数は、気象上による不可抗力だというような公約数で、新聞では発表されておるわけなんです。そうすると今の自衛隊の訓練というものは、航空技術、機材、こういうふうなものはいわゆる自然の前には無能力だという判定を下してもよろしいようなのが、大新聞のけさの記事でございます。こういうふうに私どもが理解してもよろしいのでございましょうか、その点を質問いたします。
  58. 小幡久男

    小幡政府委員 お答えいたします。最初にパイロットが練達の士であったかどうかという問題でございますが、これはなくなりましたのは、飛行時間で申しますと大体五百時間から千三百時間の飛行時間を持っております。航空隊としては中堅の航空士官であると思っております。それから気候が激変したので、いろいろ不可抗力のような説明をしておるではないかという御質疑に対しましては、先ほども御指摘がありましたように、決してわれわれはこれが全部不可抗力であったというふうには考えておりません。もっと謙虚に考えて、この主たる原因気候急変にあったといたしましても、それに対応するあらゆる機能がフルによく連携がとれて、時間的に的確に伝えられておったかどうか、あるいは。パイロットのそれに即応する技術訓練が十分にあったかというような点についても、今後十分に突きとめまして真実を発見いたしまして、今後の事故対策に資したいと考えております。
  59. 石山權作

    ○石山委員 そうすると、個人の名前をあげて私は質問したくないのですが、新聞には源田さんの名前が出ていまして、これは不可抗力であるというふうな意味にとれる表現を使って新聞に出ております。そこで防衛庁では、新聞等にはこういう事件が起こった場合に、どの部門が責任を持って発表なさっておるのか知らぬが、新聞で見ますと、防衛庁の発表としては不可抗力という言葉をかなり重視した形で発表なさっているのですが、その点も一つお聞かせ願いたいと思うのです。
  60. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 新聞の発表につきましては、官房に広報課というところがございまして、そこが一応責任を持っております。昨日の事件につきましては、こういう事故が起こったということはすぐ記者クラブの方に、広報課の方から発表いたしました。その後は事一件の詳細につきましては、直接航空幕僚監部の方に発表をお願いいたしまして、航空幕僚長が新聞記者会見をいたしたわけでございます。
  61. 石山權作

    ○石山委員 そうすると私、不可抗力という文字にどうも理解がしにくいところがあるわけなんですが、この発表は広報課でおやりになったのですか、航空幕僚長の方で発表なさったのですか、おわかりでございますか。
  62. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 広報課で発表いたしましたときには、事実を速報いたしたのでございます。不可抗力という言葉を使いましたかどうか、今記憶をいたしておりません。源田空幕長が出まして詳細な説明をいたし、当時わかっております限りにおきまして記者諸君の質問にも答えております。その詳細は私立ち会っておりませんでしたので、はたして不可抗力ということを言ったかどうか、ちょっとはっきり申し上げかねる次第でございます。
  63. 石山權作

    ○石山委員 当面の責任者としては、どこに原因があるかということを発表するのは当然の義務だと思うのですが、どこに責任があるかということは、不可抗力という言葉になりますと、全くこれは責任のがれ的な言葉でございます。天変地異、そうすると人間能力範囲外だというふうなことだろうと思う。しかし明らかになったことは、私ども石橋委員質問の中から探り出してみても、不可抗力ではないような面が多分に出ているわけです。たとえば勧告を順守しなかった方の編隊が助かっている。あるいはみんなの勧告を無視して千歳にとどまっていれば油がなくなるかどうかわかりませんが、とどまっていて着陸の機会を待っていれば、あるいは全部助かったかもしれぬ。その実例として勧告を無視して第三編隊が助かっているという実例を見てもわかるのではないかと私は思うのですが、不可抗力という言葉が新聞には大きく出ているわけです。そのほかには予想外の天候急変とか、前線の急変とか、いろいろ用語を使っておりますが、問題はすべて人知によって察知することのできないような航空現象に、問題をすりかえていっているところに私は問題があると思うのです。そういうことでは大臣が謙虚に問題を処理しようとしても、当面の出先機関がそうではないということに対して私たちは疑問を持つ。  もう一つは、先ほども私は源田さんの名前をあげて大へん恐縮しておるのですが、前に防衛大学の学生さんが自殺をした。これらも私はこの場合にやはり軍人精神というふうな面で、今度の遭難で思い起こさざるを得ないわけです。もし真にわれわれの持つ自衛隊というものが民主的であるとか、民主主義をば理解しておるとか、人命の尊重を理解しておるとかいうことであれば、もちろんスケジュールはあるわけなんでしょうけれども、そのスケジュールに対して三十分待つ、四十分待つという態度は、おのずからとられたのではなかったかと思うのです。こういう事故があってもわれわれは勇敢にやるのだ、この御意見は決して悪い意見ではないと思うのですが、ただそれのみを念頭に入れるようなやり方であれば、若い大学生がまたも自殺するような場面が起きてくる。定められたことであるから、少しくらいの悪天候は乗り越えて、演習を実行しなければならないというような意気盛んな問題だけが、前面に押し出されてくる。そういう点に関しましては私は非常に残念に思うのです。  特に私たちが気にしておることは、飛行機の装具が接触したということです。これは悪天候ということももちろんでございますけれども、装具が接触するということは、レーダーによれば、それは接触の可能性があるだろうと思うのですが、電話とかなんとか編隊相互間の連絡が肉体的な声でつながるというような、そういうような指揮系統のできる設備はないのでございますか。
  64. 西村直己

    西村国務大臣 前段の問題にお答えをいたしておきます。昨日の夕方ないし夜にかけて自衛隊の幹部に対して、各新聞社から会見を求められたと思うのであります。従いましてその間におきましてはまだ十分なる判断の材料も入っていなかった。一応の常識としては、源田空将も自分自身ジェット機操縦して各地を飛行して非常に経験を持っておりますので、一応集まりましたデータの中では、かなり不可抗力に近いというような言葉があるいは使われたかもしれませんが、それはそれとして昨晩までの状況でありまして、私といたしましては、これは単にユニフォームの部隊だけにまかせておくのではなしに、十分私どもも関係いたしまして事実を明らかにしていこう、その事実に立ちまして所見なりを申し上げ、また同時に事実の経過等も国民の前に明らかにすることが、日本航空技術あるいは気象技術あるいは自衛隊の将来の健全なる育成、こういうことに役に立つ。悪い言葉ではございますが、災いを転じて福となすという決意のもとに、謙虚であると同時に客観的に、詳細に事実を究明いたしたい、こういう考え方に私は立っておるのでございます。同時に、もちろん自衛隊の任務は、普通の任務以上に規律と訓練というものが一応ございます。これはあくまで私どもも規律と訓練は重んじて参らなければならないと同時に、これはまた科学技術と調整をはかっていくということは当然でありまして、科学を越え、技術を越えたむちゃくちゃな訓練で無能力な分野に突入して、いたずらに貴重な人命なり機材なりを損傷するという考えはございません。ただ規律と訓練というものが中心であるということはやはり十分考えつつ、そういった点を訓練して参らなければならぬと考えております。  なお、後段の点は教育局長の方からお答えいたします。
  65. 小幡久男

    小幡政府委員 二つ飛行機空中で接触したのは、あるいはそういう関係がスムーズでなかったのではないかという御質問でございますが、空中で話し合えるラジオはございます。しかし当日の陸上へ墜落した方の二機の飛行機空中接触したかどうかという点につきましては、地元ではそういう情報ございますが、これはレーダーで把握できない条件にありましたので、地上航空自衛隊の判断としては、まだ正確なことはつかんでおりません。海上に落ちましたのは、ずっとレーダーで追跡しておりまして、墜落した点も明確になっております。
  66. 石山權作

    ○石山委員 最終的段階には、パイロットの責任において自己の使命を達するというふうな訓練の仕方だと聞いておりましたが、東北地方、北海道の春の天候急変ということは、そこに生まれた人なら大ていわかるのですよ。しかもこの飛び立ったのを見れば、これは気象庁から何も情報をもらわなくてもわかるような時間です。気象庁の情報など待たなくてもわかることなんです。片方はおりなければならぬという悪天候なんでしょう。おりなければならないという瞬間に飛び立っているというふうな、こういうやり方ですね。パイロットの出生地は、私わかりませんけれども、指揮官くらいは出生地、氏名はわかっていますか。——わからなければいいです。私に言わせれば、不可抗力ということを非常に残念に思っいるものですから、言っているわけなんです。この問題は東北、北海道の生まれの人であれば、春の気象変化はもう気象庁にお伺いしなくてもわかる天候なんです。そういうときにスケジュール通り飛ばせる基地の司令官に、かなりの責任が今回はあるのではないか。しかしこれは私はもちろん新聞等で見ただけで今問題を提起しているのでございまして、われわれがふだん考えている気象変化とは、また違った形で急変したのかもしれません。しかし私今も申しましたように、われわれならばそのくらいのことならばわかりそうな気がするのです。それをわずか八分やそこらの時間の差で飛ばさしているところを見ると、私は軍人精神の旺盛さがみなぎり過ぎているのが、今回の事故原因になったのではないかと思う。もちろん新聞にはアメリカから貸与されたとついております。この点も、石橋委員からも言われたように、一つお調べを願いまして、いわゆる機材の耐久年限、老朽年限を、今までよりも縮めるということがあるいは必要かもしれません。何と申しましてもジェット機の場合には、イギリスのコメット機の例もございまして、機材の耐久に関しましてはまだ確かなものを得てないはずなんです。ですからこの際今までのいわゆる耐用年限というものをもう少し研究していただいて、縮めるということも考える必要があるのではないかと思いますし、アメリカから給与されたジェット機に対しましては、もう一ぺん厳格な検査を行なわなければならないのではないか。もし国産機であるとするならば、それはそれぞれにおいてその性能等もこの際もう一ぺん調べ直してみる、こういうようなことが必要なのではないかと思います。  それからこの事故の結果によって——今までの事故で、今年になってからすでに航空の方々が四名遭難をされているというふうについておりますが、いずれにしましても最近正常な形でなくして、事故によって死んだ。特にこの際は航空隊が中心になるでございましょうけれども、この事故のためになくなられた方々の死亡の状態原因、こういうふうなものを皆さんの方に再検討願いたいと同時に、私の方の手元にもお出しを願いたいと思います。今度の事件がもう少し詳細になりましてから、私たちもそれぞれ御質問申し上げまして、その事故原因をなくすように、お互いがこの際工夫する必要があると思いますので、質問を保留しておきまして、これで終わりたいと思います。
  67. 小幡久男

    小幡政府委員 先ほど委員から御質問がございました国産機か供与機かという問題でございますが、ただいま調べがつきましたので御報告申し上げますが、国産機が三機でございます。それから供与機が一機でございます。  なお出身地はどの県かという御質問先ほどございましたので、調べましたところ、四人の出身地は、千葉、石川、熊本、福岡であります。
  68. 緒方孝男

    緒方委員 それでは一応ジェット機事故の問題につきましては、将来すみやかに事実を正確に調査してもらって、責任をとるべき必要がある場合は、情実に流れないで責任をとることが、私は心後の規律を確立し、技術を向上させる最も重要な問題ではないだろうかと思いますので、その場合はぜひとも責任をとるべき者があるならば、明確な責任をとっていただくように要望しておきたいと思います。  それでは防衛庁長官に、提案されております防衛庁設置法並びに自衛隊法の改正の問題につきまして若干御質問を申し上げます。最初にまず私は、今まで歴代の防衛庁長官が答弁をなさり、時の総理大臣も御答弁をなさり、幾たびか先輩の議員によって質問を繰り返されたことではございまするが、幾たび質問を繰り返し、幾たびの御答弁があろうとも、いまだ釈然としない一つの問題がございます。その点について質問申し上げたいと思います。  先日の田口議員の御質問の中からもうかがわれましたが、日本の憲法は戦力を放棄しておる。だから日本は戦力を保有することはできないということは、大臣もはっきりとお答えなされたように思う。だから今の自衛隊は戦力ではないというふうに御答弁なさったと思いますが、それに間違いはございませんでしょうか。
  69. 西村直己

    西村国務大臣 歴代の内閣総理大臣あるいは防衛庁長官よりも御答弁申し上げ、また法制局も統一見解を持っておりますが、現在の自衛隊は憲法にいう戦力ではない、こういうふうに考えております。
  70. 緒方孝男

    緒方委員 われわれがわからないところは、戦力ではないということなんですが、しからば戦力とは一体いかなるものかという一つの想定と定義が、皆さん方にはあるだろうと思う。その皆さん方が持たれておるところの戦力の定義について、一つ私に御説明を願いたいと思います。
  71. 西村直己

    西村国務大臣 私どもは自衛のためには自衛力を持てる、こういう憲法解釈をとっておるわけでございます。従いまして戦力という言葉を、ただ戦う力ということだけにとりますれば、これは一応戦力ということも言えぬことはない。しかしわれわれとしてはあくまでも自衛のためというところに限度を置いて、自衛のためのいわゆる戦う力、言いかえれば自衛力、これだけをわれわれとしては憲法九条によって禁止されておらない自衛力、こういうふうに解釈をいたします。
  72. 緒方孝男

    緒方委員 自衛のためだけを目的とするからこれは戦力ではない、だから自衛隊は軍隊でない、こういう御説明なんですが、しからば今世界に約九十カ国の国がございますが、自衛力の範囲を乗り越えて、侵略という基底の上に立っての軍隊というものを保有しておるところは、一体どことどことがあるのか、その点を一つ説明願いたいと思う。
  73. 西村直己

    西村国務大臣 憲法九条で禁止されている戦力にはわれわれの自衛力は達してない、われわれの自衛隊についてはそう考えております。外国のいわゆる戦力というものは、憲法の考え方も違いましょうし、また置かれたる国の状況も違います。従ってすべてそれらについては、それぞれ客観的に判断をいたしていくべきではないかと考えます。
  74. 緒方孝男

    緒方委員 今世界各国の中において、アメリカ、ソビエト、中国等、膨大な戦力を保有しておる。また西ドイツ、フランス、そういうところも大きな戦力を持っておる。また小さな諸国においても、やはりそれぞれの軍隊を保有しておる。ではそれらの諸国が持っておる軍隊と日本の自衛隊とは一体どこが違っておるのか、どういう面に相違があるのかということが明確にならなければ、日本の自衛隊は戦力ではないとか、軍隊ではありませんとか言うてみても、これは世界に通用しないだろうと思います。日本の憲法は日本国民を規制するだけでなくて、世界の人々に対して日本の明確な態度を宣言したものであると思います。そういたしますと、世界に宣言したいわゆる平和憲法の中から生まれた日本の自衛隊はこういうものでありますという何らかの基準と性格が、世界の人たちに納得のいくような形でなければならぬと思います。だから、諸外国が持っておる軍隊と日本の自衛隊とはどこに相違点があるかということも、一つ明確に御説明が願いたいのであります。
  75. 西村直己

    西村国務大臣 先日申されました田口委員の御質問に対しましても御答弁申し上げましたように、われわれの管轄いたしております自衛隊は、交戦権というものもまずございません。それから憲法上一番特殊である、たとえば軍事裁判とか、こういうものもないのでございます。従って自衛にのみ対する自衛力、こういうふうに見ております。また交戦権ということから、たとえば戦闘行動のための海外派兵ということもおのずからあり得ない、こういうところに特殊性があり得ると私ども考えております。
  76. 緒方孝男

    緒方委員 最近防衛庁は陸海空を通じて各地で盛大な演習を行なっておりますが、長官も御存じでございましょう。その成果は一応どういうものでありますか。防衛庁の方には、その欠点なり長所なり、いろいろと御報告がなされておるだろうと思いますが、それについて御報告があるならば一つ御提出を願いたい。
  77. 西村直己

    西村国務大臣 詳細は政府委員からお答えさせますが、空の方も近く防空演習をいたす予定であります。海陸におきましても毎年、時と場合によりましては米軍の協力を得ましてやっている事実はございます。また私どもはそれによってある程度の成果を得ているというふうに聞いております。詳細は政府委員の方から御説明をいたします。
  78. 小幡久男

    小幡政府委員 お答えいたします。演習につきましては、毎年業務計画を作りまして各地で行なわれておりますが、その成果につきましては、陸海空とも非常に充実して参りまして、陸につきましては、たとえば方面隊対抗の演習ができる域に達しました。海につきましては、毎年一回自衛隊艦隊が太平洋あるいは日本海等で商船の警衛とか、沿岸警備その他につきまして相当な練度を示しておりまして、時おり、先ほど長官が申し上げた通り米軍等の参加も得ますが、米軍と比べまして、国際レベルに立つという批評を得ております。なお空につきましても、方面隊ごとに年に二回ほど演習をやっております。さらに今後航空総隊ほか相当部隊を入れまして研究訓練をやるというところまで参りまして、F86Fを使いまして防空の訓練をするということが全国的に可能な域に達しております。
  79. 緒方孝男

    緒方委員 この席上でお言葉だけの御報告では、われわれも十分な知識を得ることはできませんので、後刻でもかまいませんが、あなた方の方には、各地の演習を通じて部隊の編成、機械の性能、予定通りにあったかどうかとか、いろいろな批判や成果などが作られたものがあるだろうと思いますので、一つわれわれの方にも御提出願いたいと思います。  私は話を最初に返しますが、これらのたび重なるところの演習というものは、ただいま防衛長官から、われわれ自衛隊は交戦権を持たないと言われておりますが、この演習は至るところ交戦訓練をやっているとしかわれわれには解釈できないのであります。交戦権を持たないものが、何ゆえに交戦訓練をしなければならぬのか。交戦権は持たないのだという呼びかけだけであって、実のところは交戦力を培養しているからこそ、私たちは不思議に思わなければならない面が出てくるわけなんです。建前と実際との食い違いをもっと明確に、われわれも判定ができるように御説明をお願いしたいと思います。
  80. 西村直己

    西村国務大臣 交戦権を持っていないという一番いい例は、たとえば占領地行政を行なう権利、これは国際法上の権利でありまして、この内容につきましては、学説上多少の意見の相違もあろうと思いますが、これらも明らかに交戦権であります。ところがわれわれの自衛隊は、あくまでも自衛のための自衛行動でありまして、そういう占領地に行って行政をするというような考え方は全然ございませんし、またそういう権利はわれわれは持っていないと考えております。従って国際法上いわゆる交戦権というものはない。また演習を通しましても、そういうような交戦権行使の演習はやっておりません。
  81. 緒方孝男

    緒方委員 日本の憲法の冒頭には、いわゆる今後日本は陸海空一切の軍備を廃して、国際的な紛争を武力によって解決をしないということがはっきり宣言をされているわけです。そういたしますともし今、日本に急迫不正の侵略がある場合には、これはいわゆる交戦してでも国を守らなければならない、こういうことがいわゆる自衛権であり、自衛力だ、こう長官はお考えになっておることだろうと思う。これはあくまでも急迫不正な侵略に対するところの交戦権はやはりあるという認定の上に立たれておるのじゃないかと思いますが、その点はどうですか。
  82. 西村直己

    西村国務大臣 われわれの戦う力と申しますか、実際行動は、従って国際法上の交戦権ではないのでございます。それから出てくるものはだいぶ違って参ります。ただわれわれはたとえば侵害のおそれが多分にある場合に行動を起こす、こういうようなことでありまして、あくまでもこれは自衛という限度を保って参りたい、こういうことでございます。
  83. 緒方孝男

    緒方委員 してみますると、占領地管理の権限がないと申しますが、被占領国みたいなところに占領の権限があろうはずもございませんが、言いかえれば国連の要請があろうとも、ラオスから要請があろうとも、コンゴから要請があろうとも、いかなるところにも日本の自衛隊は出ていかない建前になっておるから、交戦権がない、大体こういう御判定なんですか。
  84. 西村直己

    西村国務大臣 ちょっと私御質問の意味の受け取り方が十分でないかもしれませんが、われわれとしては今のところ、従って憲法上からも、また特に自衛隊法上からも、われわれは海外に出るということは考えていないわけであります。ただ憲法の純粋の解釈としまして、別の建前、たとえば国連が平和目的で活動する場合に、自衛隊というものは、憲法だけを議論した場合に出られるか出られないかという議論は残ると思います。しかし少なくとも憲法上の議論を一応純粋にしてみた場合に、国連の行動が戦闘とか、そうでなくて純粋な平和行動の場合に、自衛隊が行けるか行けないかということは別の問題でございます。しかしその場合でも国内法上においては、自衛隊ははっきり国内における自衛行動はできる、こういうふうに考えられるというわけであります。
  85. 緒方孝男

    緒方委員 もっとくだいて私は話が聞きたいわけですが、結局は日本の自衛隊は、国内の舞台の上においては戦争はしてもかまわない。しかし国外にまで出て行って戦争することは憲法の規定に反するからできない。いわゆる海外派兵をやらない、海外には一兵も出さないというところが、よその軍隊とは多少違うのだ。大体こういうふうに考えるよりほかに方法ないと思うのですが、その点どうなんですか。
  86. 西村直己

    西村国務大臣 もちろん国外におきましての交戦権というものは考えられませんし、それから国内におきましても、国際法上の交戦権というものはない。これは私専門家ではありませんが、国際法上における交戦権というものを考えた場合に、いろいろな要素がついてくると思います。そういうことではなくて、要するにあくまでも自衛の行動である、こういうふうに私どもは考えております。
  87. 緒方孝男

    緒方委員 非常にそこが抽象的なんです。戦争はスポーツじゃないと思う。何もおれとお前とが一つけんかしてみようじゃないか、戦争してみようじゃないかというふうに勝負を競う場じゃない。日本が満州を侵略する場合に、満州の権益を守る、ここは日本の生命線である、国防の建前に立って戦争は行なわれてきておる。アメリカがラオスに対し、コンゴやスエズその他中東に対して幾多の軍事行動をとろうとも、自国の防衛のために、自由世界の防衛のためにという言葉においてこれは行なわれておるのである。日本の国内でも、国際法上の戦争だとか、国際法上でない戦争だとか、そういう区別は一体何によってつけられるのか、その点を一つ明確にしてもらいたい。
  88. 西村直己

    西村国務大臣 これは国内におきましてあくまでも自衛のための実力行動をやるわけであります。ですから、これは国際法上の交戦権ではないけれども、国内において戦闘をするということは、これは当然である。これを自衛に基づく戦闘と言っても私はいいと思います。これは国内においての行動、戦闘であります。従って国会で御審議願った自衛隊法の条文の中にも、武力行使のことがはっきり盛られているのは、その建前からきていると思うのであります。
  89. 緒方孝男

    緒方委員 世界に幾多の国があり、大小幾多の軍隊を持っている。外国なんかに出ていかない軍隊もたくさんあります。もし隣国から侵略があれば、勇敢に戦っている。これが軍隊である。南米諸国にしましても、中米諸国にしましても、アジア諸地域の諸国にしましても、やはりそれはそれなりの軍隊を持っているわけです。それらの諸国が国際法上の交戦権があるからというて、至るところに出て行って戦争をしておるとは私は聞かない。みな外国からの急迫不正な侵略を防ぐための自衛力である。それならばこれらの諸国の軍隊もわれわれの自衛隊も、どこに一体違いがあるのか。私はそういう法律問題よりも実際の世界の常識の上において、日本の自衛隊が軍隊ではありません、戦力を持っておりませんと言われる根拠が私たちはほしいわけですが、そのほしい根拠を一つ説明してもらいたい。
  90. 西村直己

    西村国務大臣 もちろん侵略を放棄した南米の国なども私は存じております。それは侵略放棄という建前で軍隊を放棄した。しかしながらそれらが、かりに交戦権を国際法上使うならば、それによって外国の土地にも軍隊が行けるでありましょう。極端な場合には国土を守るために、相手側の敵地の中心地も陥れるというようなこともできると思いますが、われわれの方は、あくまでも自衛の行動でございますから、そういうことは全然ない。そういうところに外国が政策あるいは憲法上で侵略を禁止すれば、そういうことはないにしましても、性格上としては国際法上交戦権という建前からそういうことはできる。しかしわが自衛隊の方は、交戦権がないのですから、あくまでも事実上の防御的戦闘行動でございます。
  91. 緒方孝男

    緒方委員 大体明確になってきたわけですが、しかし外国の方は隣国の中の根拠地に乗り込んで行ってまで戦争をすることができて、日本の国は国内の中でだけしかこれは動けない。いわゆる海外に派兵ができないから、交戦権を持たない、こう判断して差しつかえないわけですか。海外派兵をしないということが、いわゆる日本の自衛力だけの限界だ、大体こういう御説明と考えていいわけですか。
  92. 西村直己

    西村国務大臣 お説の通り、われわれは海外派兵というものは、今の自衛隊の自衛行動とは考えておりません。戦闘に参加する海外派兵であります。それからもう一つは、われわれは国内と申しましても、日本の自衛に必要な限度でございますから、海上においての安全を守るということは当然国内的な自衛だ、こう考えるべきだと思うのであります。
  93. 緒方孝男

    緒方委員 海外派兵ができないということは——今の日本海上自衛隊の能力または空軍の能力、それらの中から海外に派兵する能力がないとは考えられないと思います。ですからこれは能力でなくて、建前上出て行かないというふうに考えて差しつかえありませんか。
  94. 西村直己

    西村国務大臣 もちろんこれは能力と申しますれば、戦闘機なり艦艇を持っておりますれば、遠く海外に出るものもあろうかと思いますが、われわれとしては自衛隊法の建前上、これは明らかに国土の守り、こういうことになっております。
  95. 緒方孝男

    緒方委員 結局せんじ詰めれば自衛隊も海外に出ていく力は持っておるけれども、日本の憲法が禁止をしておるから出ていかれないで、日本の国内だけで縮まっておらなければならない、こういうふうに解釈するわけですがどうですか。
  96. 西村直己

    西村国務大臣 われわれは何も縮まっておるのではなくて、日本の自衛のために必要でありますから、それに必要な国力に応じた能力を保有し、また今後も保有して参ろう、こういう考えであります。
  97. 緒方孝男

    緒方委員 縮まっておるという言葉は不適当であったかと思いますが、日本の憲法を改正して交戦権を回復すれば現在の自衛隊の能力としては一いわゆる日本の自衛の力は諸外国に比しても、そう劣ったものではないというふうに判断して差しつかえないのじゃないかと思いますが、どうでございましょう。
  98. 西村直己

    西村国務大臣 自衛隊の海外活動能力技術能力と申しますか、そういうものはいろいろな国の比較によると思います。比較によって能力が非常に小さいとか、あるいは相手方によってはこっちの方がいいというふうに、一がいに断定はできないと思います。しかしわれわれとしましては今の憲法の建前、精神というものを考えますと、自衛権に基づく自衛行動、そしてその下において自衛隊法というものが明らかにその任務を限定しておるわけであります。
  99. 緒方孝男

    緒方委員 自衛隊が警察予備隊から発足して保安隊という形に移った建前は、日本の平和憲法が生んだ一つの奇形児であると考えなければならなかったわけですが、奇形児が大きく成長してきますと、生んだ親の方が奇形のように見えてくるわけなんです。今では日本の国においては、平和憲法が生んだ自衛隊という一つの奇形児は親をしのぐほどに成長して、生んだ親の方がかたわじゃないかという形になってきておるような感じがするのです。そういう面から自民党の方においても盛んに憲法の改正をして、この生まれた奇形児に相応した親の角をとらなければならぬというふうにお考えになっておるようですが、どうでございましょう。
  100. 西村直己

    西村国務大臣 親が生んだ子供の方が大きくなっておるということでありますが、私はまだ親の方が大きくて子供は小さいと判断いたしております。しかし、いずれにしましても、憲法の問題については御存じの通り政府において憲法調査会を作りまして、それら全体を総合した調査を進めておる。これによって遠き将来の日本の憲法のあり方等を判断すべきで、いずれは結論を持つであろうと思います。
  101. 緒方孝男

    緒方委員 禅問答をいつまでも繰り返してもこれは仕方がない話でございますが、もう一つその中からお尋ねをしておきたいのは、防衛庁法第三条なり、自衛隊法の三条なり、七十八条に出ております間接侵略という問題ですが、この間接侵略というものをどう判断を下すのか、どういう基準を持たれておるのか、定義をお伺いしておきたいと思います。
  102. 西村直己

    西村国務大臣 官房長の方からそれについて詳細御説明いたさせます。
  103. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 間接侵略という言葉でございますが、私どもいろいろ調べてみますと、国際的に間接侵略というものに関する定義というものはないようでございます。ただ最近の世界の情勢を見ますと、いろいろな形における行動が考えられるわけでありまして、外国が直接武力を使わないで他の国を侵略するという様相もあるということからいたしまして、俗に間接侵略ということが言われ出したわけでありまして、国連等においてもこれが問題になったこともあるようであります。防衛庁法なり自衛隊法を制定されるときにおきまして、間接侵略というものはどういうふうなことを考えておるかということでございますが、これは当時、安全保障条約の第一条に、一または二以上の外部の国による教唆または扇動による内乱、騒擾というふうな字句がございまして、こういうふうなものを頭に置きまして間接侵略という言葉を使ったのでございます。
  104. 緒方孝男

    緒方委員 外部の教唆に基づく内乱、騒擾をいわゆる間接侵略というふうに言われますが、外部の侵略ということ規定づけますと、日本の国籍を持たない者が直接に騒擾の教唆をしかつまたこれを扇動して一つの騒乱が起こる、こういうふうに考えていいわけですか。
  105. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 これはいろいろな形があると思います。抽象的に申し上げますと、外部の国というものと内乱または騒擾を起こす者との問に意思の連関性がある、そして外部から武器、弾薬その他の供給あるいは資金の供給というふうなものがある。事態によって一様ではございませんけれども、大体典型的なものとしてはそういうものではなかろうかと考えております。
  106. 緒方孝男

    緒方委員 しからばそこに一つの形として、武器や弾薬その他いわゆる兵器といわれるようなものを使用しての内乱、騒擾というふうに断定していいわけですか。単に騒ぐだけで、これも間接侵略だあれも間接侵略だといって、自衛隊法の対象にされては、日本国民の大衆行動の上にいろいろと問題が起こる場面が憂慮されるから私はあえてお尋ねするわけですが、いかなる形か何か定義がなければならぬ。単なる言葉だけを掲げておって、それに対するいわゆる判定が自衛隊なりあるいは公安委員会なり都道府県知事によって、それぞれ認定をされたのでは私はたまらないと思いますから、そこにぴしゃっとした何か明確な定義を下しておいていただきたいと思います。
  107. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 その点なかなかむずかしい問題であろうと思います。ただ一つの要件といたしましては、自衛隊法の七十八条に、御承知と思いますが、「内閣総理大臣は、間接侵略その他の緊急事態に際して、一般の警察力をもっては、治安を維持することができないと認められる場合には、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。」ということがありますけれども、間接侵略その他の緊急事態に対して、一般の警察力をもってしては事態の鎮圧ができないという場合に、初めて自衛隊の出動を命ずるという建前になっておるのでございます。
  108. 緒方孝男

    緒方委員 昨年の三月十五日、韓国においては李承晩追放の大きな大衆デモが行なわれました。最初のうちは、あれは外部の教唆に基づくものだ、こう言われておった。最後の段階になって、あれは民主主義を守る韓国国民の熱意の固まりだというふうに評価が変わって参りました。警察力が及ばないというので、治安を維持するための行動の一翼として自衛隊の力を借りるというならいいが、それが法規上間接侵略というふうに規定づけていいものですか。
  109. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 自衛隊法の第三条に「直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、」こう書いてございます。しかしこれは一般的な規定でございまして、具体的に自衛隊が出動する場合はどうかということは、この自衛隊法の中に個々に書いてあるわけでございます。その条項の一つとして今第七十八条を御説明したわけでございまして、この場合におきましては、同条の第二項にあります通り、内閣総理大臣が二十日以内に国会に付議して承認を求めることを原則といたしております。この国会の承認という政治的判断にかかるものだと思います。
  110. 緒方孝男

    緒方委員 治安の維持とこの七十八条に規定されておりますのは、「内閣総理大臣は、間接侵略その他の緊急事態に」、この間接侵略というふうに何もかにも規定されてもらったのでは困るわけです。その点、間接侵略というものがどの範囲のものであるかということを何か定義を下しておいてもらわなければ、先ほど言いましたように、あれも間接侵略だろう、あれには共産党がおった、ここには社会党がおった、あんなやつがおったからこんなになったのだ、これは一つの間接侵略だということに結びつけられる恐怖心にわれわれはかられる。われわれば間接侵略しようと思うてもおりませんけれども、そういうふうにこじつけられることの危険を私たちは感ずるので、これにはぴしゃっとした定義を下しておいてもらわなければならないと思います。いま一つは都道府県知事が要請した場合といいますが、たとえばかりに競輪場や競艇場において不正事件があったとかいうて、みんながわいわい騒ぎ出して、警察を取り囲んだ。何とか取り締まりをせいと言い出した。それで自衛隊が出てくるというようなことは、自衛隊の行動としてはあまりにもおもしろくないと私は思うのですが、そういう場合でも、やはり要請があれば出ていかなければならないのかどうか、一つ説明を願っておきます。
  111. 西村直己

    西村国務大臣 もちろんそういうような場合も、要請がありますれば、要請に基づいて直ちに総理大臣が出動を命令するのではございません。十分この事態、特に警察力が維持困難と認める状況下にありという判定等も材料にいたしまして、治安出動ということになるのでありまして、ただ要請があったから、直ちに総理大臣の名において出動命令を出す、こういうふうには考えられない。そこのところは警察力の治安維持状況が不可能であるかどうか、そういうところも十分判定に考えながら治安出動を考えていく、こういうことであります。
  112. 緒方孝男

    緒方委員 私は十分に事態を考察した上で、慎重に取り扱いをするというのは当然なことであろうと思います。もしかりにそういう事態に直面して、自衛隊が治安維持のために出ていかなければならないとした場合、平素の自衛隊の訓練は敵を倒すことを行動の目的にしておる部隊でございますから、もちろん武器もそれぞれ持っております。警察が出てきたよりも、自衛隊が出てきたということは、大きな一つの力になってくることは事実だと思う。その場合に、治安維持に対する自衛隊の取り組み方、外敵と戦うような形はむろんとられないはずですから、その場合、治安維持に対する行動の基準はどういうもので処理されておるのか、お伺いしておきたい。
  113. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 自衛隊の行動は自衛隊法におのおの規定してあるわけであります。治安出動と申しますが、これは第七十八条の「命令による治安出動」と、先ほど大臣が御説明になりました第八十一条の「要請による治安出動」と二つありますが、その場合の権限は第八十九条及び第九十条に規定をしてあるのでございます。これらの規定によりまして自衛隊は行動するのでありますが、概括して申し上げますと、大体におきまして自衛隊は警察力をもっては事態が収拾できない場合に出動するのでございますから、第八十九条で、警察官職務執行法で警察官の持っておると同じような権限を出動いたしました自衛隊に認めております。さらに第九十条におきましては、この法律によって特に自衛隊に認められた権限がございます。これは警察官では認められておらない権限で、内容を読みますことは省略させていただきたいと思いますが、要するに「職務上警護する人、施設又は物件が暴行又は侵害を受け、又は受けようとする明白な危険があり、武器を使用する外、他にこれを排除する適当な手段がない場合」あるいは「多衆集合して暴行若しくは脅迫をし、又は暴行若しくは脅迫をしようとする明白な危険があり、武器を使用する外、他にこれを鎮圧し、又は防止する適当な手段がない場合」こういう場合に特に自衛隊員に対しまして、合理的に必要な限度おきまして武器の使用が認められておるのであります。これらの点からいたしまして、自衛隊の出動する場合というものは、その権限から申しましてもおのずから限定されてくるということになろうと思います。
  114. 緒方孝男

    緒方委員 こういう治安出動に対して自衛隊はときどき演習もなさっているそうでございますが、演習なり訓練なり教育はなさっていると思いますが、その点はどうですか。
  115. 小幡久男

    小幡政府委員 治安行動に関しましては研究的な訓練をしております。治安行動の基準というものを一応検討をやりまして、それに基づきまして大体大隊以下の訓練というか、研究的な訓練を各方面隊でやっております。
  116. 緒方孝男

    緒方委員 そういう訓練をしたり教育をする中では、一つの教育方針というものがなければならないと思うのです。ただ教育々々と言うてなにするわけにいかぬ。こういう場合にはああしよう、ああいう場合にはこうしよう。警察の方においては機動隊などはデモ隊に対する対策はどうするとか、すわり込みに対してはどういう処置をとるとか、いろいろな教育規範が出ているわけなんですが、自衛隊においてはその点はどういうふうにきめられているのか、一つその点を御説明願いたい。
  117. 小幡久男

    小幡政府委員 自衛隊の治安出動に対する役割は、それはただいま長官以下申します通り、第一次責任は治安当局にございまして、自衛隊はその予備力として行動する建前になっておりますので、どこまでも警察のうしろがまえであるということが第一でございます。その次は、どういうふうな警護をするとか、あるいはどういうふうな制圧といいますか、鎮圧というものがあり得るかというふうな点につきましては、いろいろ想定をして理論的には考えておりますが、国内法規その他多数の関係法規もございますし、また関係官庁との緊密な連携をとってやらなければならぬ点もございますので、非常に慎重に考えまして、その点の基準も目下検討しつつ研究的な訓練をやっておる状況でございます。
  118. 緒方孝男

    緒方委員 治安出動をする場合は、相手は相当不特定多数の人間であると見なければならないわけなんです。一人が出ていくわけでありません。自衛隊といたしましても隊として出ていく以上、その隊のとる行動というものは、単に周囲の情勢を見、関係機関と打ち合わせて一人々々が行動するわけにはいきますまい。そのときにここのところはどうしなければならぬという、指揮官のいわゆる指揮というものが当然必要になってきますが、指揮の基準は一体どういう方法でやっているのかということをお伺いしておるのであります。
  119. 小幡久男

    小幡政府委員 その点も事態によりましていろいろと変化がございまして、一言にして申し上げることは不可能かと思いますが、原則といたしましては出動地域の状況、出動の様相等につきまして、的確な情報を知るということが第一でございます。次は国内の関係法規というものを重視しまして、厳重な法規の規制のもとに慎重にやるということが第二でございます。第三は部下を完全に掌握いたしまして、規律を非常に厳にいたしまして、軽挙盲動のないようにするということが第三でございます。努めて上級指揮官がみずからの責任において現場に出向きまして、詳細できる限り上級指揮官が判断を下すということを非常に重要視いたしております。さような原則に基づきまして、過去の事例につきましては、いろいろまだ検討の段階でございまして、慎重に現在は検討しておるところでございます。
  120. 緒方孝男

    緒方委員 先般参議院で共産党の岩間氏が質問いたしまして、一つの治安行動草案というものが自衛隊の中で作成されておるが、それはあるのかどうかということに対しまして、防衛長官はそういうものはない、こうお答えになっておると思うわけであります。私は岩間さんが提起したようなものがあるかないか存じませんが、少なくともかりにそれとは別個なものであろうとも、何らかのこういう一つ指導方針、教育方針というものがやはりなければならないはずである。なくてこのままあなた方が治安出動、いつでも来なさいという待機の状態にいるということは、まことに危険きわまる状態であると思う。その点に対しまして何らかあるならばあるように出してもらいたいということを私は言っておる。
  121. 西村直己

    西村国務大臣 治安行動の基準につきましてはもちろんあるのでございまして、この前横路委員から御質問のありましたときもございます。ただ共産党の岩間君が持っておられるのは、どういうものをどういうふうにお作りになったか、あるいはどこから持って来られたのか、これは私どもの方では追求する方法がありませんし、また御自身の材料でございます。われわれとしてはやはり自衛隊の本来の一つの任務でございます治安行動、従って当然不断にその指針というものは持っていなければならない。その指針はしかし研究過程におきましてまた流動性を持って変わっていく。ここに欠点があるとか、あそこを直していく、そういう意味合いでの検討は不断に加えていく。まだまとまった最終決定はないけれども、一応の流動的なものはある、こういう御答弁は私も申し上げております。
  122. 緒方孝男

    緒方委員 私は何も万古不易に変わらない完全無欠なものを出してくれというのではありません。それは幾多のそのうちに誤謬もあるかも存じませんが、一応こういう範囲で今訓練をしております、今こういう範囲で対策を立てておりますということくらいは、国会に提出していただいても、決して不都合なものではないだろうと思います。そういういわゆる治安出動の行動基準というものがありますならば、一つお示しを願いたいと思いますが、それは出していただけますか。
  123. 西村直己

    西村国務大臣 私どもの持っております草案そのものは、御提示することは困難であると思います。しかしそれの中の大体の要綱と申しますか、方針程度のものは、私どもの方で国会へ資料として提出する。こんな気持で、こんな方針でやっておるという程度のものは申し上げてけっこうだと思いますし、また差し上げてもけっこうでございます。ただ草案そのものは不断に検討を加えますから、私は国会に出すことは困難かと思います。
  124. 緒方孝男

    緒方委員 細部にわたって自衛隊が出ていってこういうことまでするのは越権ではなかったか、こういうことまでしてはならないのじゃなかったかというわれわれの判断が持ちたいから、あなた方がやろうとしておる内容を一つ示していただきたいというのであって、単なるこの法文を少しつけ加えたような、そういうものを私はいただこうと思っておるわけじゃないのです。その行動の基準なり内容というものが明確にきまらない限りにおいては、うかつに、たといいずれの事態に直面しようとも、いかなるところからの御要請があろうとも、この行動の基準がぴしゃっとまとまってできるまでは、動いてもらっては困るということが、われわれは考えられるわけです。なぜかならば武器を持っております。しかもつの隊としての戦闘訓練を持っておる部隊が、その動く基準も明確非法らないでうかつに出ていってもらっては困るということですが、その点はどうでございましょうか。
  125. 西村直己

    西村国務大臣 国会で御審議を願う材料といたしまして、基準は私の方でお示しをしてよろしかろう。細目については不断に私どもは検討しておる、まだ草案の段階でございますから、これについてはお示しをするという程度にはまだ至っておらない。ちょうど法律案でも、御存じの通り個々に確定する時点、たとえば庁全体の意思がきまらぬうちは、国会の御審議の材料にはならぬと思います。ですから基準程度のものは私どもは御審議の参考としてお示しすることができる、こう考えております。
  126. 緒方孝男

    緒方委員 もちろんまだきまらないうちに早く何でもかでも出せということだけに固執しておるわけではございませんが、これがいつまでも、完全無欠なものを作るということでもって審議中だ、検討中だでもって延ばされておりましても、私は迷惑だと思います。いつごろまでにはでき上ってわれわれに提示ができるのか、その点を一つ明確にしてもらいたい。   〔委員長退席、草野委員長代理着席〕
  127. 西村直己

    西村国務大臣 従来御存じの通り自衛隊の初期におきましては、米軍の翻訳の材料を使っておったのであります。その後漸次国内のいろいろの諸情勢、また自衛隊の発展の状況から考えまして、現在草案を検討中の段階でございますので、まだ当分の間、草案が確定するにはかかると思います。ただし早案の骨子になります基準等につきましては、それはそう不確定なものではございませんからお示しができる、こういうふうに私は申し上げたいと思います。
  128. 緒方孝男

    緒方委員 暫時でもかまいませんから、早急にわれわれにその内容を知る機会を与えていただきたいということを要望しておきます。当分の間と言われますが、こんなことが二年も三年も放任しておいていいはずのものでもございませんから、当分の間というのはここ一、二カ月なりあるいは三、四カ月の問にはお示しが願えるというふうに解釈をして差しつかえございませんか。
  129. 西村直己

    西村国務大臣 もちろん国会が御審議をなさいますに必要なことについては、われわれもできるだけ明らかにして参らなければなりませんが、しかしながらわれわれとしましても、事人権にも関します非常にこれば練っていくべき問題である。ただしその行動の基準そのものにつきましては大体そう変わるものでもないようでありますから、一つその点は私どもお示しいたしたい。従ってわれわれとしてはできるだけ草案を確定のものにしますには、ある程度の時間をいただかなければならない。何カ月という期間をこれは限るわけには参りませんが、なるたけ急いでいいものを作りたい、こういう考えでございます。
  130. 緒方孝男

    緒方委員 それでは次の方に質問を移しますが、第二次防衛計画はまだおできになっておらないというお話なのですが、これはいつごろおできになるか、その見通しを一つお伺いいたします。
  131. 西村直己

    西村国務大臣 先般田口議員の御質問にもお答えいたしましたが、一月の十三日の国防会議で、すみやかに防衛庁において原案を作成し、国防会議において慎重審議確定する、こういうふうに政府側の意思は統一されております。従いまして私どもとしましてもできるだけ部内の意思を固めたい。しかし部内の意思を固めますのにも、ただ防衛庁だけでやって勝手な案を作るわけには参りません。やはり関係省の事務当局とはその問におきまして当然話し合いすべきだ。そうして国防会議へ持ち込む。大体防衛庁長官といたしましては、少なくともその骨子的なものを五月、六月をめどとして作り上げてみたい。これが防衛庁側の考えでございます。
  132. 緒方孝男

    緒方委員 これは正確かどうかはわかりませんが、私の聞くところによりますと、第二次防衛計画というものは昭和三十五年度を目途として六、七、八、四十年まで、いわゆる六カ年の計画を当初考えられておったのが、三十五年度は終わりになった、こういう大体状態ではないかと思うのですが、そういたしますと第二次防衛計画の立案というものは、すでにもう発足されてから二年くらいになるのじゃないかというふうに考えられるのです。それだけの長時間を費やしながらいまだにまとまらないというのは、一体どういうところが障害なっておるのか、その点を一つお伺いしたいと思います。
  133. 西村直己

    西村国務大臣 先般もお答え申し上げましたように、私も長期の防衛計画があった方があらゆる面からよいと考えております。従いまして私も着任いたしましてできるだけこれを実行に移したい、計画を立てたい。しかしこれは防衛庁だけの計画を持ったのではいけない。政府全体として意思を決定して、初めて防衛計画としての政府の計画になるわけであります。私は着任いたしましたのが十二月でございます。そこで御存じの通り一月十三日に国防会議を持ちました。残念ながら昨年中の状態は、十二月の予算期におきましてはその案が、一年間安保国会であるとか、政変であるとか、選挙であるとか、固まっておりませんでした。その間にアメリカの方も政変等がございまして、ドル防衛その他のいろいろな国防政策を通しての変化も起こりそうな状況下にあり、これはある程度日本の期待さるべき無償援助、有償援助等にも影響して参る。従ってそれらを勘案いたして参りますと、私が着任いたしましてから一番早く計算をして参りましても、大体五、六月ごろまでにできればいい。そしてそれがすなわち来年度の予算には当然第一年度としてできますならば盛って参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  134. 緒方孝男

    緒方委員 むろん長官も就任してからまだ日の浅いことで、国防会議で十分な結論を出し得ないのだったろうということは考えられますが、しかし長官が国防会議防衛庁の試案として承認を仰ぐ。それが全部認められるかどうかは別ですが、あなたがふところの中に青写真だけは持っておるだろうと思うのです。その青写真はできているのか、できておらないのか、それを一つ説明願いたい。
  135. 西村直己

    西村国務大臣 私自体がまだ青写真を持つ段階までには、正直に申しましてきておりません。しかしながら防衛庁の関係部局等、各幕と申しますか、陸海空三隊を通じての意見等を徴して練っております。従って私は私なりに一つの、多少の構想というものは責任者である以上は持つべきでありますが、同時にまた各実際の部隊と申しますか、各責任の陸海空三軍と申しますか、それらの要望もまた積み上がっていかなければいけないのではないか。また一方大蔵省なり経済企画庁の長期のいろいろな見通しというものとも関連して、これらは考えて参らなければならない、こういうふうな考え方でございます。
  136. 緒方孝男

    緒方委員 どこまでも青写真ができておるのか、私はそれ以上は聞き出すことはできないだろうと思いますが、この第二次計画に基づいて幾多の試案が出されておる。たとえば機構の面からいっても、前田案とか服部案だとか保科案だとか、種々さまざまな案が出されておりますが、それらの中でうかがい知るところを見ますと、三軍の統一を強化し、防衛庁を国防省に昇格させなければならぬ、大将の位階も作らなければならぬ、そういうことがいろいろ具体案の中に、一つの建言であり、助言であるかも存じませんが、それらのところから出されておることが一つまとまって、機構の面においても第二次計画の中の骨子になるのではなかろうかとわれわれは想定をしておりますが、そういうふうに国防省に昇格させたり、大将の位階をつけたり、全員制服を着て国会の中でも関係の方々は軍服を着て出るようになさるとか、いろいろな青写真ができておるように承っておりますが、その点はどうなんですか。
  137. 西村直己

    西村国務大臣 今までの例から参りますと、防衛整備計画は防衛業務でございますから、どちらかというと物的面、人的面というものが中心で考えられております。従って次期防衛整備計画も、たとえば艦船あるいは装備、航空機あるいはその他の施設、同時にそれに対する編成、こういったことが中心になっていくと思います。従って組織の変更とかいうような面につきましては、防衛整備計画の関連事項としては考えられるかもしれませんが、防衛整備計画そのものの中心をなすとは私ども考えていないわけであります。
  138. 緒方孝男

    緒方委員 だいぶ時間も過ぎて腹も減ってきましたから、あまり長く聞くわけにもいくまいと思いますが、たとえば陸上自衛隊の方を見ましても、四十年までには二十万の自衛官を作るとか、あるいはまた予備自衛官を強化していくとか、郷土防衛組織を作って、民兵制度を確立するとか、いろいろなことが陸上は陸上だけの中でもって草案が練られておると思います。それが一つの骨子になっておる、こう考えますが、そういうことが現実にあるかどうか、一つお伺いをしておきたい。
  139. 西村直己

    西村国務大臣 各幕、陸海空の三幕でそれぞれそういう案を、大いに積極的に練ってくれること自体はけっこうだと思います。しかし日本の国力もございます。国情もございます。それらと十分調整をとりながら防衛庁の試案を作りたい、こういう考え方でございまして、各幕の意見が直ちに試案の中へ全部入って参る、こういうわけでもございません。同時に先ほど申しましたように、責任者としての私、また国防会議全体、特に最高指揮官であります総理大臣の意向等も十分これに織り込まれて、初めて骨子ができるのだ、こういうふうに考えております。
  140. 緒方孝男

    緒方委員 これは教育局長でもかまいませんが、もしそういう一つの内容が第二次計画の中に盛り込まれて、民兵制度でも作るということになった場合には、この民兵の教育とか訓練とかいうものまで考えなければならないが、そういうことも御検討中であるかどうか、一つお伺いしておきたいと思います。
  141. 小幡久男

    小幡政府委員 お答えいたします。まだ現在はそこまで検討しておりません。
  142. 緒方孝男

    緒方委員 検討しておらないというのは、まだそこまでの役目を仰せつかってないからということですか。それともそれが計画されたならば、どういう方法でもって、昔の青年訓練所みたような民兵訓練がまた復活するのじゃないかとわれわれは危惧しておりますが、そういう憂いはない、そういうことは一つの架空な内容であるとかいうふうなことなのですか。その点を明確にしておいてもらいたいと思います。
  143. 西村直己

    西村国務大臣 防衛力整備計画の中心になっておりますので、防衛局長から答弁させます。
  144. 海原治

    ○海原政府委員 お答え申し上げます。第二次防衛整備計画は現在私の手元で、各幕と担当者といろいろな基礎的なデータにつきまして検討を加えておる段階でございます。その段階におきましても、今お話のございましたような民兵制度ということにつきましては、まだこれを二次計画に取り入れるかどうかというような検討はいたしておりません。民兵という言葉につきましては、かつてそのような制度を持つことが適当であるということが意見として出たこともございますけれども、ただいま私の手元で検討しております過程におきましては、そのような制度が具体的に二次計画の中に出てくるかどうかということについては、むしろ私個人は消極的に考えております。
  145. 緒方孝男

    緒方委員 まだ計画の中にはそれが重要な内容にはなってないということですが、万一入るおそれもわれわれは感ずるわけですが、そういう民兵制度みたようなことがあって、昔の青年訓練所や幾多のまた隣組の竹やりのような訓練をされてもらっては、非常にわれわれは迷惑をこうむりますから、そういう試案があってもお取り入れにならないように一つお願いしておきたいと思います。  話を先に進めさせていただきますが、装備の方にお伺いします。今日本の自衛隊の兵器の中に毒ガス部隊が存在いたしますか。その点を一つお伺いいたしたい。
  146. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 現在の自衛隊には毒ガス部隊はありません。
  147. 緒方孝男

    緒方委員 ではお伺いしますが、陸上自衛隊の中でCBR作戦というものがいろいろ論議もされたりしておるということですが、そういうことはありませんか。
  148. 小幡久男

    小幡政府委員 CBRにつきましては、これを防御するという立場から検討をしております。
  149. 緒方孝男

    緒方委員 防御の立場だけの作戦ならば考えられますが、ここに当時の陸幕長筒井竹雄陸将の名前で「CBR訓練」というような貴重な教範資料が出されておりますが、その中の一文を見ますと、「陸軍、海軍および空軍は、CBR戦遂行のさめには、独立または統合的に編成される。統合幕僚会議議長は毒性物資を使用する戦争を遂行するための方針を決定して、陸、海、空各部隊に命令を発する。各部隊CBRは戦の任務の遂行が全般の軍事的達成のため必要とされるばあいは、時と所をとわず、いかなるばあいも、これを使用しなければならない」と載っておりますが、そういう事実はございますか。
  150. 小幡久男

    小幡政府委員 陸上自衛隊につきましては教範の内容に、外国の文献を翻訳して、外国ではこういうとかうにやっておるという点を、防御する立場から紹介した文書があることは聞いております。ただし現在、そういうCBRを使うという見地からの教範というものは一切持っておりません。
  151. 緒方孝男

    緒方委員 不思議なことに、この教範の第十四章以下にはこう書いてあります。「これらの作戦に必要な兵器のうち、現在支給されていないものもあることに留意されたい」、支給されていないものもあることに留意されたいということは、支給されておるものが大部分であるということを意味しておると思いますが、その点はどうですか。
  152. 小幡久男

    小幡政府委員 お答えいたします。その文献は外国の翻訳でございまして、つまり自衛隊内部のものではございません。従いまして外国ではこのようにやっておる、これが通常の軍隊だという意味の紹介をいたしまして、それに対する防御はどうあるべきかということを、新しく教範として検討しておるというのが現在の状況でございます。
  153. 緒方孝男

    緒方委員 では次に、今度は定員の問題でお伺いいたしますが、今の陸上自衛隊の欠員の状況説明していただきたいと思います。たしか二万五百八十名程度の欠員があると記憶いたしますが、その階級別欠員の数がわかれば一つお示し願いたいと思います。
  154. 小野裕

    ○小野政府委員 お答えいたします。今詳細な資料が手元にございませんので後ほど申し上げますが、大見当を申し上げますならば、幹部すなわち将校でありますが、幹部はほとんど九七、八%いるのでございます。それから昔の下士官でございますが、曹が九〇%程度、こう記憶いたしております。それから士が八〇数%、こういうことになろうかと思います。
  155. 緒方孝男

    緒方委員 欠員の数字は二万五百八十名程度ですか。
  156. 小野裕

    ○小野政府委員 数字は昨年の暮れのを持っておりますが、昨年の統計では、前回は十一月末と申し上げておりますが、十二月末現在で、陸上自衛隊が二万七百十一名の欠員でございます。その後若干ふえておるかと思います。
  157. 緒方孝男

    緒方委員 これは一つ長官にお伺いいたしますが、今度の防衛庁の定数の問題で、陸上自衛隊千五百名の増加が要求されておりまして、予算委員会でも、ずいぶん長官自身が苦しい御答弁をなさっておるようでありますので、これはくどくどとまた同じような質問をすることは時間の関係上避けますが、すでに十七万人のうちで二万七百十一名の欠員が生じてきておる。この欠員を今年中に充足するだけでも、自衛隊の方においては大へんなお仕事ではないかというふうに考えますが、その上に千五百名を追加しても、とても消化できない数字ではないだろうかと私は考えますが、その点はどうですか。
  158. 西村直己

    西村国務大臣 一応おっしゃるような御意見が出ると思うのであります。ただ御存じの通り自衛隊においては、特に海、空では欠員問題はありませんが、陸上自衛隊は二万余名の欠員があります。一方千五百名の増員をするということで、そういう御意見が出るわけでありますが、私どもはこういうふうに御説明もし、また御納得、御了承を得るように努力いたしておるのであります。予算面におきましては、陸上自衛隊十七万一千五百名そのままの予算をいただいておるわけではないのであります。これは、それに対してある程度の充足率をもってやってきておるのが従来の例であります。これは財政節約というような一つの観点もある、こういうことになっておると思います。一方十七万一千五百名というのは編成上の定員でありまして、従ってこの千五百名は、御要望の強い建設部隊をふやすための一つの編成定員であります。一方十七万に対しましては、従来これだけの自衛隊の任務を遂行するに必要な編成というものがすっかりできております。そこへ予算というものが充足率が十分ではありませんから、従来といえども六、七千名から一万名ぐらいが、志願制度といいますか、年間に出たり入ったりいたしますから、欠員があるのであります。その上に最近の経済情勢から、さらに一万名ぐらいの欠員が加わっておるわけでございます。従ってこの一万名以上の欠員を埋めるということは非常に困難ではございますが、われわれはこれに対しては努力して参りたい。それから千五百名の方は、これは御存じの通り建設部隊でありまして、数もまた少ないのであります。また新しい一つの部隊ができるのであります。これをいろいろ御希望の強い方面に建設部隊として配置して参りたい。それからこの残りの二万何名というものを埋めるのは、今日の予算の状況からいけば十分ではございません。それにある程度の必要なものは今後私どもは埋めて参って、現在の部隊編成をくずさない方針をとって参りたい、こういう考えでございます。
  159. 緒方孝男

    緒方委員 お説のように、予算の面におきましても十七万一千五百名の八八%を認められておる。このことは、長官自身が大蔵省に折衝する場合に、八八%認めていただけばけっこうですというお話で折衝なされたのか、その過程を一つお伺いしておきたい。
  160. 西村直己

    西村国務大臣 もちろんそれまでに参りますのには、部内の経理局長あるいはそれ以下のいろいろな各幕の折衝があったと思いますが、陸上につきましては、事実募集が楽でないということは一応考えて、それらも勘案しながら、予算全体の構想、また防衛庁費あるいは防衛費全体の構想の中で話し合いが、八八%という充足率になったことは事実でございます。私も最終段階におきましては、大蔵省との折衝でそれを了承したわけでございます。
  161. 緒方孝男

    緒方委員 私は想像するわけですが、防衛庁としては少なくとも十七万一千五百名の定数の九〇%なり九五%は予算面で取っておきたいという御折衝をなさっただろうと思う。しかし大蔵省の方としては、何ぼ予算を持っていても、人間が集まらないところに持っていても仕方がない。今までの実績から見れば八八%しか消化ができないからというのでもって八八%に押えられたのだ、こう想像するわけなのです。そういう過程をたどっておると思いますが、どうでございますか。
  162. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 御説明いたします。結局ただいまの八八%と申しますのは陸でございますが、海、空につきましては九七%の充足率を持っております。ただいま仰せになりましたように、大蔵省との折衝の過程におきましてはいろいろ議論が出ましたけれども、一つはただいま緒方委員が仰せになりましたような現在の充足状況及び来年度の見通し、そういうものが考慮になっておることは事実でございます。
  163. 緒方孝男

    緒方委員 そういたしますとこの二万七百何ぼの欠員については、これを充足するために最大の努力をいたしたいと今長官からの御説明もありましたが、すでに議会においても、これは幾多の面から見ても困難である。同じ政府当局である大蔵省としても、何ぼ防衛庁が努力をしてみても、それ以上の充足は不可能であるという点についてはっきりと見通しがついたからこそ、八八%のところで押えられたものと私は判断をするわけなんです。もちろん皆さん方の努力で、八八%を少なくとも九一、二%まではこぎつけられるかは存じません。努力の成果は生まれるかも存じませんが、少なくとも二万数百の欠員を埋め、その上に千五百名の新しい定員まで充足することはとうてい不可能であるということは、あらゆる客観的な情勢の総合的な判断はそうなってくるわけであります。この法律案というものは、単なる遊戯でもなければはったりでもないと思う。まずきめられた定数を確保することに全力を傾注してもらって、その成果が上がったあとで、この次は一つこれくらいなところの一部隊を編成したいという御提案をなさることが、まじめな提案ではなかろうかと思いますが、長官の御見解を一つ承りたい。
  164. 西村直己

    西村国務大臣 一応御議論の面もわかります。ただ御存じの通り軍隊と申しますか、自衛隊という国土防衛の任務を持つ性格から申しますと、普通の官庁の仕組みとは違うのでございます。また一方定員を充足しますのに、志願制度でございますし、しかも四月一日にぱっと新入生を採ってそれで一年間終わるのではございません。年間何回か募集をいたす。それから同時に隊員等もすいぶんその間に交代して参る。一方軍隊は御存じの通り一つの編成が大きな基準になる。編成というものがなくして軍隊の行動というものは困難でございます。そこに十七万一千五百名の編成を簡単に変えるわけにもいかない、こういう点もございます。そこに新しい建設部隊を増設せよという声にも応じまして、新しい建設部隊も作らなければならぬ。それだから編成をくずさないで、十七万一千五百名という編成定員を持ち、そこへ財政を勘案し募集状況を勘案して参るわけであります。   〔草野委員長代理退席、委員長着席〕  だから、八八%の充足率というのは平均の充足率でありますから、これがピーク時におきましてはもちろん御存じの通り九〇%をこえ、あるいは九五%に持っていける、こういうような方法も今後考えて参りたいと思うのであります。私どもとしましては財政も許し、また募集状況も許し、同時に募集努力が実りますれば、やはりこの定員というものを限度として、自衛隊の編成を充実して参りたい、それによって自衛隊の正しい機能を発揮させて参りたい、こういう考え方でございます。
  165. 緒方孝男

    緒方委員 部隊編成上必要であるということは、海原さんもずいぶん強調されておるように思うわけなんですが、部隊の編成が必要だ、そのためにはこれだけの定数が必要だというのであるならば、絶対欠かしてならない定員ではないかというふうに私は考えるわけです。この中に、具体的に言えば一個分隊を九名にするのか八名にするのか七名にするのがいいかといういろいろ議論の末、これは何名にしたかということは言われておりませんが、この十七万一千五百名の人間が必要でありますというふうな説明をなさっておる。一個分隊が七名であろうと八名であろうと九名になろうとも、私はそれが満足されて満配された形で編成することこそが必要であって、部隊の数だけ作って中身は欠けておるというような編成の仕方は、まことに今日の部隊編成上軽率な編成ではないかというふうに考えるわけです。だから、たとえば二万の人間が埋まらなければ、十五万なら十五万を基準にして、部隊の編成をするというような形に部隊の編成をして、そうして一個分隊でも一個中隊でもふやされる状態から作っていって、目的の部隊編成ができてから新しい部隊編成にかかるというのこそ、私は順を追うた作業ではなかろうかというふうに考えますが、その点の御見解を承りたい。
  166. 海原治

    ○海原政府委員 お答えいたします。確かに先生の御指摘のありますように、各単位の部隊が完全に充実いたしましてから、あらためて新しい部隊を作っていくということが理想的な姿であろうという御見解は、そのようにも考えられます。ただ私ども現実の自衛隊におきましては、それぞれの部隊につきまして、先般御説明申し上げましたように、部隊本来の任務のための定員であるとかあるいは装備であるとか、ないしはその定員を埋めるべき具体的な特技と申しますか、それぞれの特技を持った者を集めるわけであります。そういう点から事務的に検討いたして参りますと、やはり既存の編成をくずして新しい部隊を作り上げるということよりは、法律的に新しい定員のワクをいただきまして、その範囲内でその部隊を確実に運営いたすことができますような、具体的に特技を持った人員を教育し充足していく、こういうことにしていただきたいというのが、私どもの事務的な立場からの実はお願いであるわけであります。現実の欠員をかかえながら、このような法律上定員だけを増しても意味がないのではないかというお考えでございますが、私どもといたしましては、今申しましたような技術的な立場から、一応部隊編成の目標と申しますか、基準というものを法律上おきめいただきまして、そこまで現実の充員を努力していくということが、私どもの努力目標にもなるわけでございますし、かたがたそれ以上は充員しないという意味の制限をも同時に規定する、このように考えております。
  167. 緒方孝男

    緒方委員 私はどうしても納得がいかない。これは理想的な部隊編成と言われますけれども、いかに理想的と言うても人間が来ないのです。集まらないのでしょう。からっぽのものを何ぼ作ってみても仕方がないと思う。現在十七万の定員の中でも、現実には十五万程度しか人間はおらないわけです。これでもって戦闘部隊まで編成をやって、そうしてあと二万人のワクの中で建設部隊が必要なら建設部隊を作ってもいいじゃないですか、そうでしょう。とにかく人間を集めるということがあなた方の当面の重大な問題であって、集め切れない。ワクをたくさんふやすことが私は能ではないだろうと思う。そういう意味で地についた仕事をしてもらわなければ、何かはったりか理想を追うような議案の提出をしてもらっては、はなはだ議会としては迷惑をしなければならない。できるならできる、何月までには充足させるだけの努力を伴う目標がありますということが、あなたの口から出るならばけっこうです。九月なら九月、十月なら十月にこの定数の問題がたとえ満配にならなくてもかまわない。よその官庁並みに三分とかあるいは五分とか、常識的な範囲の欠員の線にまで持ち込むことができるというあなたの確信があるならば、私は何もこれを追及しておるわけではありません。その点の確信はどうでしょう。
  168. 海原治

    ○海原政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、部隊を編成いたして参ります技術的な立場から申しますと、それぞれの基幹要員がその部隊の中枢になるわけであります。それがそれなりの特技を持ちました幹部とか曹とか、これは昔の下士宮でございますが、そういうものを基幹要員といたしまして教育いたします。これに所要の人員を配していくということで、部隊を形づくっていくことが一般的なやり方でございます。そこで現在約二万近くの欠員がありますが、もし何か有事のことがございました場合には、幸いにいたしまして現在予備自衛官が一万五千名ございます。この一万五千名の予備自衛官というものは、有事の際に自衛隊の中に入ってくる人として訓練も受けております。この人間を充当いたしまして、現在の編成の一応目的が達せられるというふうに考えております。  今後の充員の見通しでございますが、これは人事局長からも再々お答えいたしておりますように、現在まことに理想的な姿から見ますと、多数の欠員をかかえておることでございますので、私どもは長官以下の御努力によりまして、来年の年度末には今年一年の努力の跡が多少なりとも認められるというような形になることを実は念願して、法律上の定員の増員をお願いしておる次第でございます。
  169. 緒方孝男

    緒方委員 そういう答弁を繰り返していても何ら意味がない。こういう出された問題に対してこだわるような気持で処理されるのでなくて、私はもう少し実際に部隊編成の再検討もやって、かたがた議会からも指摘され、大蔵省からも変な形で押えられるようなことのないように、人員の充足に全力をあげて一年間やってみる。その上でこの問題は一つ再検討してもらおうというふうに出ていただくのが、一番いいのじゃなかろうかと考えるわけですが、何か先ほど私が御質問申しました陸上自衛隊は陸上自衛隊としての立場で——まだ国防会議の了承を得たわけではないけれども、陸上は陸上としての第二次五カ年計画に基づく一つの構想で、少しずつでも自衛官の員数の獲得をしていかなければならぬ、こういういう建前があまりにも固執されておるというふうに考えるわけです。四十年には二十万の陸上自衛官を作ろうというあなた方の御構想は、今から少しずつでもワクを広げておかなければいけないというところに、私は出発しておるのじゃなかろうかと考えますが、その点はどうですか。
  170. 海原治

    ○海原政府委員 今先生のおっしゃいました四十年に二十万という数字は私は承知いたしておりません。現実に第二次防衛力整備計画の過程におきまして、陸上自衛隊の定員と申しますか、部隊をどういうように作っていくかということは、先ほど申し上げましたようにただいま私どもの手元で鋭意検討いたしておりますが、その過程におきましても四十年に二十万という数字は出て参っておりません。
  171. 緒方孝男

    緒方委員 この問題についてはあとでまた専門家からそれぞれ突っ込んでの御質問があるだろうと思いますから、この問題はこれで一応終わらしていただきます。  次に防衛庁長官にちょっと新島の問題でお伺いしておきたい。今新島にミサイル試射場を作り、試射実験をしなければならないのが、すでに科学技術庁の方にでき上っておる。エリコンが二つ三つできておる。これをさっそくしなければならぬので、あそこに急速に試験場を作ろうということになっておるわけなんですが、長官の説明の中に、あの実験は単なる試験であって、弾頭は落下傘で回収するのだから、大した問題じゃないという御見解が出ておったと思う。私も行って見ましたが、なるほど今実験しようとしておるエリコンですか、これは弾頭を回収するものですから長官の仰せの通りでありますが、今から実験をし日本で製作していこうとするエリコンは、みなこれなんですか。これ以外のものは実験しないのですか、その点一つお伺いしておきたいと思う。
  172. 西村直己

    西村国務大臣 新島はおかげをもちましてやっと今のところ右翼も引き揚げ、オルグ団の数も減って、村道の工事は順調に進んでおるようであります。あそこの実態が国民各位に大体御納得いただけるような線に落ちついたのは、今まで言われていたような基地ではございません。これは国会を通じ、必要に応じてはいかなる立場でも、制限をしてけっこうなんであります。試験場であり実験場でございます。エリコンはスイスから入れましたミサイルで、これはただ試験のために一つですが、技術研究所に置いてあります。これから将来新島で扱おうというのは、エリコンのような外国から入れたものではございません。技術本部が試作したもので、これは弾頭はつけません。言いかえればあそこへ持っていって弾頭——危険物はつけないで発射をいたします。そして発射したものを落下傘をもっておろして海中で回収して、これの内部の誘導状況、つまり機械の内部の状況を調べる、こういうような試験に使うという趣旨でございます。今後もあの新島は試験場と申しますか、実験場という立場でいきたい、こういう考えでございます。
  173. 緒方孝男

    緒方委員 お説のように今実験をしようとしておるのは、弾頭を全部回収するという形で実験をしようとしておるが、こういうミサイルというものは飛ばすだけが能じゃない。いつまでも回収するものだけの実験に終わってみてもしょうがないのじゃないかと私は考える。やがてはこれに火薬を詰めて、爆発力も同様に実験をしなければならない段階がくる、私はこう判断をいたしますが、それはまた別のところでやるということなんですか。
  174. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 新島におきましては、弾頭に火薬を詰めて出すということは考えておりません。ただ弾頭の中に入れますところの火薬の性能等は、もちろんほかのところで研究はいたすわけでありますが、その弾頭の中の火薬の性能を実験するというだけでありまして、新島でこれを発射しまして、爆発試験をするというようなことは考えておりません。
  175. 緒方孝男

    緒方委員 私は火薬だけの爆発の実験をするというようなばかなことはないと思うのです。少なくとも今大きなミサイルは、原爆を積んでまで太平洋のまん中に打ち込んで、実験をしなければならないという段階になっておる。そういう状態の中にミサイルに火薬を積めて、この新島だけではこれは回収する。火薬の実験は別な場所でするということになれば、また別に火薬を詰めた実験のミサイル実験場というものが必要になってくるわけなんです。そういうように考えるわけですか。
  176. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 弾頭に詰めました火薬の性能につきまして、その弾頭に詰めた場合の性能をどう試験するかということは、もちろん別途に考えなければならぬだろうと思いますが、これは飛ばして爆発させるものではありませんので、新島等でこれを直接弾頭に火薬を詰めて発射試験するということは考えておりません。
  177. 緒方孝男

    緒方委員 将来それをいわゆる海中に落下させて、その落下させた瞬間の爆発力とか、そういう影響力とかいうものの実験が必要になってくると私たちは想定いたしますが、そういうことは絶対にないとあなたはおっしゃいますか。
  178. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 弾頭のみに火薬を詰めまして、その弾頭が物に当たりました場合のいろいろの性能の実験、これは将来必要になってくるかと思いますが、それをどこまでやるかということにつきましては、まだわれわれ考えておりません。
  179. 緒方孝男

    緒方委員 それが今考えられておらないが、将来ば考えなければならない。将来考える場合に、これは新島が最も適当な場所だという結論になろうと私は思うのですが、その点はどうなんですか。
  180. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 ミサイルに火薬を詰めました弾頭をつけて、実際の爆発試験をやるということは、新島では考えておりません。
  181. 緒方孝男

    緒方委員 考えておらないという言葉は、将来そこへは絶対にしないという言葉に一つ訂正をしておいていただきたいと思うのです。考えてないということは、あそこはそんなことには使いませんということを、はっきりと明言をしておいていただきたいと私は希望いたします。  もう一つ、これは防衛庁長官にお伺いいたしますが、これは防衛庁長官の直接の責任かどうかは存じませんが、先ほどの御説明の中で、おかげをもちまして、右翼の諸君も引き揚げたとか言われておりましたが、何もこれはわれわれのおかげではございませんで、防衛庁のおかげではないだろうかと思います。なぜかというならば、防衛庁の連絡所に常に右翼暴力団の諸君は出入りをし、かつそこを根拠にして行動しておったという事実を私は知っておりますが、防衛庁の連絡所が右翼暴力団の巣くつであるということは島内で、これは見のがすことのできない事実になっておる。その点は一体どうしてそういうところにこれらのものを引き入れるのか、その点の一つ説明をお伺いいたしたい。
  182. 西村直己

    西村国務大臣 私はそういう防衛庁の者が右翼との連係をとってどうということの事実は聞いておりません。
  183. 緒方孝男

    緒方委員 私は行って見て、いつもそのそばを通ってきたから申し上げるわけなんです。もちろんこれは民家を借り受けておるわけでありますが、防衛庁の連絡事務所ということになって、それは現地におけるところの産業開発研究会の議長のうちとかなんとかいわれておりますが、その人がいわゆるミサイル基地賛成派の一番巨頭でもある。そのうちいわゆる連絡事務所を持ち、そこのうちには常に右翼の方々が出入りをし、常に行動しておったということは、私も目の前に見てお伺いしたわけなんでございますが、防衛庁長官が知らないというならばそれまででございますけれども、現地においては防衛庁の出先は、いわゆる連絡事務所は右翼のたまり場であったという事実だけは、消すことのできない問題点として残っておると私は思います。長官が指令したのではなくて、下級の方においてこれらの人たちと幾多の連絡をとったりしてやったようなことがあるならば、厳重に今後は取り締まりをやっていただきたい、こういうことを希望しておきたいと思います。  いま一つは、新島のエリコンの実験は、火薬の爆発をしないということになれば、だいぶ被害も減少してくるわけなんですが、もしこれが火薬を海中爆発させるということになりますと、御承知のように現地は日本の三大漁場の一つでありまして、関東一帯に供給するところの蛋白質の原産地であります。多種多様の魚介のなんでございますが、一たんこういう海中音響というものが発生いたしますと、魚介類ば雲散霧消してなくなってしまうだろうということを憂えるわけでございます。そのことは関東一帯の需要に対する一つの打撃でもありますと同時に、八丈島から式根島、幾多のその周辺の島嶼の住民並びに千葉県沿岸、神奈川県、静岡県の沿岸の漁民の方々の生活権を圧迫することになるだろうと私は思いますが、これに対する十分なる補償というものは御考慮なさっておるのかどうか、その点もお伺いしておきたいと思います。
  184. 西村直己

    西村国務大臣 私も水産関係の人たちとおつき合いがあり、またいろいろな状況も意見を交換いたしておりますが、今回の試射は十キロないし二十キロ、しかもあれが落ちていくことによって、直ちに水産資源が雲散霧消するなんということは、とうてい水産業者自体もあり得ない。ただしそれによって出港制限、漁獲時間制限等はあるかもしれませんが、それによって関東一帯の漁場が全部なくなってしまうとか、魚が将来逃げてしまう、そういうような心配はない。むしろこういう見方を水産業者の中でも持っておるくらいであります。
  185. 緒方孝男

    緒方委員 時間も相当過ぎましたが、調達庁関係をお伺いしたいと思いますので、次にやっていただきたいと思います。腹が減ってしまいました。今長官からも言われましたように、現地におきましては、この実験場が将来ミサイルの基地に転化しはしないかという一つの危惧を持っており、もし実験が年を経、時間を経るに従って火薬爆発になってきはしないかという一つの憂いを持っておる。その中から民業の圧迫というものが非常に危惧されておるわけですが、これに対して、もしそういう住民に生活上の困窮な状態が起こった場合は、十分な補償の処置は講じていただきたい、こう考えて、一応きょうの質問は終わりたいと思います。
  186. 久野忠治

    久野委員長 両案についての残余の質疑は次会に譲ることといたします。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十分散会