○
増田(盛)
政府委員 私
どもの考えております
試験研究は、やはり目先の問題も大事でございますけれ
ども、十年先を見通して、それの
技術的な根拠を与えるということが大事だと思うのであります。特に最近におきましては、一方におきまして科学の急速な進歩、それからそれに伴いまして
技術の高度化、この
二つの現象があるわけでありまして、特に科学の進歩に関しましては、いろいろな政策の
あり方いかんにかかわらず、科学
自体の本質に基づきましてこれを追求していくという立場があると思うのであります。しかしこれを受けて立つ
技術の問題に関しましても、あまり狭く解釈しますと、先に行ってやはり適応できなくなる、あるいは困るという
事態が発生してくるわけでありまして、具体的であってしかも普遍的な
技術的な
基礎を築くのが、
農林省の研究機関の任務だと思うのであります。しかし、一方におきましては、やはり産業省の
試験研究機関でございますから、どうしても
農業の長期的な動向あるいは
農業から参る諸要請、こういうものに対しても十分即応する必要があると思うのでありますが、こういう科学の進歩に対する
体制をいかに整えていくか、それから
農業の長期的な動向から出てくる諸要請に対してどうこたえていくかという点は、なかなかむずかしい問題だろうと思うのでありますが、これが基本的な
試験研究機関に対する使命だろうと思うのであります。
そこで
技術会議におきましては、昭和三十一年に
発足いたしまして以来、
試験研究機関の基本計画の
企画立案という権能を与えられているわけであります。それと同時に各種の
試験研究機関の
総合調整の
機能もまた与えられているわけであります。今回におきましては、三十一年からいろいろやってみた結果を
検討、反省いたしますとともに、一方におきましては、
農業に関する
試験研究機関というものが昭和二十五年に整理統合されまして、十年の歴史を持っておるわけでありますが、その間の過去の実績なり、それを取り巻く科学の進歩あるいは
農業の
変化、こういうものを十分
検討いたしまして、その上で新しい
体制で
発足しようということであります。従いまして実は
技術会議といたしましては、根本的な
変化になるような特に大きな
変化といいましてはないわけでありますが、むしろすでに三十一年に
発足しておりましたいろいろな情勢に対して
検討を加えた結果、今までの不十分な点を修正する、こういうことであります。特にそれに対しましては、御存じの
通りいろいろな御議論があるわけでありますが、私
どもは
農業並びに林業及び水産に関しまして
試験研究の目標というものを設定いたしまして、大体作業が終わっているわけであります。
技術会議の主要任務の中に基本計画に対する
企画立案の業務がございますが、この大きな
一つは目標を設定することだろうと思うのであります。これは仮印刷にしてただいま印刷いたしておるわけでありますが、あるいはこれを十分お読みいただきますと、私
どもが
技術の長期的動向に即してどのように考えているかということが御理解願えるのではないかと思うのであります。林業、水産業に関しましても同様にこういう作業をしているわけであります。そして
先ほどのお言葉の中に、
技術会議の統制の問題が出たわけでありますけれ
ども、この点は従来と非常に変わっている点は、従来は
試験研究機関の
企画立案は
農林省でやったわけであります。大綱は
技術会議できめますけれ
ども、あとは全部振興局、畜産局あるいは食糧庁あるいは農林経済局というような
行政部局で研究
課題の選定をし、
企画立案したということであります。今回はこの権能を原則として
試験場に譲るわけであります。従って今回の
改正によりまして統制を
強化するのではなしに、取りまとめなり、ものの考え方はできるだけ統一いたしますけれ
ども、実際の
試験研究の実施は大幅に
試験研究機関に移譲するということを私
どもはねらっているわけであります。