○樋詰
政府委員 今先生の西独では外炭の輸入を制限し、石油に対する関税を上げたという
お話がございましたが、実はわれわれそういう点ではむしろ
日本が一番手厚い保護をしているのじゃないか。と申しますのは、
日本は御
承知のように輸入エネルギー、現在の
段階におきましては全部外貨割当制度になっております。
国内でまず掘れる炭を全部使い終わって、そして足らない部分だけを入れるということで、外炭もあるいは石油も入れているわけでございまして、従いまして
国内の炭をまず全部使って、その不足するエネルギーを輸入するという外貨割当の制度をとっている国というのは、今のところ文明国では
日本だけであろう、こう思われるのでありまして、
自由化自由化という際にも、はたしてエネルギー
関係は
自由化できるかどうかということにつきましては、まだ今後さらに慎重に検討した上でないと、はっきりした結論は出ないわけでございますが、少なくとも今までは外割ということを通じて、非常に手厚いことをやって参りました。
それから関税の
関係でも、昨年石炭の離職者
対策について新しい方策を講じなければならないという際に、それまで暫定的に下がっておりました原油あるいは重油といったものの関税もそれぞれ引き上げまして、七十億ばかりの財源を獲得して、それをもって炭鉱の
振興あるいは離職者の
対策というものに充てておるわけでございまして、ただ確かに先生のおっしゃいましたようなドイツの場合の関税の引き上げというものは、重油二十五マルク、約二千円くらいになりますか、非常に大きな額になっておりまして、三年間で邦貨にしてたしか八百億円くらいのものを取る。それで転業する炭鉱労働者の
賃金の下がる分をある期間めんどうを見てやるとか、あるいは住宅の世話を見てやるとかいった、量の点では確かに
日本より一歩進んでおるかと思われますがわれわれのやっております大体の項目といたしましては、それは昨年援護会を作っていただきまして、また本国会において別途御審議を願うことになっております雇用促進事業団といったようなものを今後だんだん
発展させていくということになれば、
日本も、百点とはもちろん言えないと思いますが、
相当見るべき効果を上げ得るのではないか、そういうふうに
考えております。
われわれといたしましては、先ほど先生からちょっと御
指摘があったように、労使が仲よくせよという
お話があったわけでありますが、石炭が、正直のところ
日本産業界に人気がないという
一つの大きな原因は、少し好況になると、経営者は足元を見込んでえらい高い値を
産業界に吹っかけたり、あるいは組合は組合でストライキをやって、口を開いて待っている
産業界に石炭をやらなかった。労使ともにとにかくお客さんの方に迷惑をかけてきたではないかといった不信感が非常に大きくなっております。そこでわれわれといたしましては、やはりこれは
産業相互間が持ちつ持たれつという、相互共存という
関係を確立しければならないと
考えまして、合理的な価格で安定した供給をやるようにということを目標に、現在非能率炭鉱は、これはいつまでも置いておきますと石炭全体のコストを高めますので、整理する。高能率炭鉱をできるだけ作って石炭のコストを安くする。非能率炭鉱の整理等から出て参りますやむを得ない離職者というものにつきましては、これは援護会を通じて、あるいは今後の雇用促進事業団を通じて職業教育を施すというようなことによって、新しい職を手につけさせてやって、将来に望みのある新しい職場に向かうようなめんどうを見ようというふうに
考えておるわけでございます。この一年間主としてそういう分散
政策ということに
中心を置いて、労働省と協力してやってきたわけでございますが、分散
政策だけではとてもいかない。これはやはり産炭地に近いところに、より適切な雇用の機会を見つけてやるのが一番いいのではないかということから、それぞれの産炭地ごとに事情がやはり若干違っておりますので、九州には一体どういう
産業が向くか、北海道にはどういう
産業を持っていくべきかというようなこと、並びにそれを持っていくにしても、一体どれだけの規模のものをどうやって誘致するかというようなことにつきまして、ことし三千万円ばかりの
調査費をもらったわけでございますが、これは
調査費と申しましても、たとえば工場を建てるという場合にもある程度具体的な青写真ができるくらいまでの
調査をすることによって
産業を誘致するというような、一方において
機械工業、
化学工業等に、ほかの地域に送り出すほかに、産炭地の付近において、できるなら産炭地自体において適した
産業を勃興させるという新しい方途を打ち出すということをやらないと、石炭
工業の当面しております現在の不況を摩擦なしに乗り越えることはできない。特に石炭だけに依存している地域
経済が最近非常に麻痺しておりますので、そういう地元の農民あるいは
中小企業という人のためにも、やはり地元にいい
産業を興す必要があるのではないか。そのためにこの
審議会をお認めいただきまして、どういう地方にどういう
産業を興すべきか、またそのために地盤その他もどうなっておるかと、場合によっては必要なボーリングまでやれるようにしたいということで、三千万円の
調査費をいただきまして、その使い方等はこの
審議会で
考えていただく。
それから先ほど責任の所存をはっきりせよとおっしゃいましたが、われわれ決して
委員会の袞龍のそでに隠れて責任を回避しようとは思っておらないのでございまして、先生がおっしゃいましたように、あくまでも責任は行政官庁にある、こう思っております。ただ、よりよい行政をするために、われわれにない知恵を
一つかしていただけぬかということで
審議会に権威のある方々にお集まりいただきたいと思ったわけでございます。