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1961-03-17 第38回国会 衆議院 内閣委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月十七日(金曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 久野 忠治君    理事 伊能繁次郎君 理事 小笠 公韶君    理事 草野一郎平君 理事 宮澤 胤勇君    理事 飛鳥田一雄君 理事 石橋 政嗣君    理事 石山 權作君       内海 安吉君    大森 玉木君       島村 一郎君    辻  寛一君       福田  一君    藤原 節夫君       保科善四郎君    牧野 寛索君       杉山元治郎君    田口 誠治君       山内  広君    受田 新吉君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 木暮武太夫君         国 務 大 臣 小澤佐重喜君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁保安局         長)      木村 行藏君         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局長)  山口  酉君         運輸事務官         (大臣官房長) 辻  章男君         運輸事務官         (船員局長)  吉行市太郎君         運輸技官         (港湾局長)  中道 峰夫君         運輸事務官         (自動車局長) 國友 弘康君         海上保安庁長官 林   坦君         自治事務官         (行政局長)  藤井 貞夫君  委員外出席者         文部事務官         (初等中等教育         局職業教育課         長)      安養寺重夫君         文部事務官         (大学学術局大         学課長)    春山順之輔君         海上保安官         (警備救難監) 松野 清秀君         日本国有鉄道参         与         (営業局長)  遠藤 鐵二君         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇二号)  海上保安庁法の一部を改正する法律案内閣提  出第八七号)      ————◇—————
  2. 久野忠治

    久野委員長 これより会議を開きます。  運輸省設置法の一部を改正する法律案及び海上保安庁法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、前会に引き続き質疑を継続いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山内広君。
  3. 山内広

    山内委員 私はきのういろいろ質疑応答いたしました残りの部分をお尋ねするわけでありますが、実はきのう、自動車審議会の存続を一カ年間延長する、そういう問題に関連いたしまして、いろいろ私見も加えながら運輸大臣の御意見も承ったわけであります。運輸大臣も、自動車行政の今の状態から、三十六年度内に結論を得たいという誠意のある御答弁でありますので、その今後の努力熱意に期待をかけて、あの問題はあれでしばらく経緯を見たいと思うわけであります。ただあのときに申し上げました通り、私は置かれている現状に非常に焦慮を感じておる、あせっておる、そういう立場からあえて失礼なことまで言葉に出たわけでありますけれども、これはどなたも感じとられておることだと思います。きのうも申し上げました通り、文明の利器である自動車というものがすでにもう凶器に変わっておるのじゃないか。毎日四人も東京都だけで死んでおる。そういう現状からして、刃物追放ということは、あれは性質が違いますから社会的な問題になりますけれども、人命のとうとさという点からいったら、その数百倍も犠牲を出しておるこの問題が、まず国民の世論となって現われてきたのは当然でありますが、それがマンネリズムになっておることは非常に残念である。しかし私ども政治を担当する者としては、これは見のがすことのできない大きな問題であります。まさに私どもの言う量は質を決定するという弁証法的な発展の現実を、自動車を通してまざまざと見せつけられておるわけであります。一日も早く解決をしていただきたいと思うわけであります。そこでその問題から出発いたしまして、自動車行政についてはいろいろ困難なたくさんの問題がありまして、すべてを総合的に判断しなければいかぬわけでありますが、その中で一つ陸運事務所機構の問題を実はお伺いしたかったわけでありますけれども、その問題が残されてきょうに引き継がれたわけでありますので、これから若干お尋ねしてみたいと思うわけであります。  いろいろ資料も提出していただいて見せていただきましたが、私の知り得た点では、自動車局、あるいは自治省行政局、あるいは警察庁通産省、それぞれ自動車の部面で自分仕事立場からながめますと、陸運事務所機構の問題では意見があるわけです。こういうことで意見があるままに三者三すくみの形で、くさいものにふたということで触れておられないのが現状のように私は思う。しかしさっき申しました通り、非常に事態が窮迫しておりますので、どうしてもこの問題は割り切っていただかなければならぬわけであります。そこで私も自分なりの立場から、自動車局の主張なり、行政局長の御意見なり、またそれに対する自動車局長の反駁、またそれに対する行政局長見解、こう数々重ねられました御意見を書面を通して見ますと、この意見調整には、こういう形で行政管理庁長官行司役と申しますか、両者見解を聞いて公正な御判断をいただくという討論の場を作ることも、問題の解決一つだと思います。しかしよく読んでみますと、私はそういう気持できょう長官おいでを願ったわけでありますけれども、どうも問題の解決にならない、そういう判断を実はゆうベいたしました。というのは、この書かれておる意見書というものを一貫している考え方は、よく言えば自分の職分を守る。たとえば自治省自治省でもって地方自治体拡大強化という立場からものを見る。通産省産業発展という立場から見る。警察は取り締まりという立場から見る。そういうことで個々それぞれおのれの立場から意見は言っておりますけれども、これを裏を返して悪く言うと、お役所のセクショナリズムであり、なわ張り争いであります。そうしてこの書かれた文書というのを、もう一ぺん運輸大臣なり長官はお読みになっていただきたいと思いますけれども、相手方の意見に対するあげ足取りに終始しておるといってもいい。根本的に置かれておる交通行政をどうして扱うかという基本的な立場に立ってものを判断しておらない。自分役所のなわ張りを守ることに終始しておると申し上げても過言でないと思う。でありますからここで数時間の長い時間をかけて、一々両者の御見解に対する私の見解を述べながら意見調整をはかるという方法をとるよりも、まずきのうからきょう申し上げたことによって、大臣大臣としての政治的な立場から、これは割り切らなければならぬ段階だという点にお気づきになっておると思うのです。そこで事務当局としての意見の対立はさることながら、大臣立場から意見調整をして、どうしてこの現状交通地獄を救済するか、そういうことで関係の各大臣は政治的な高い観点から一つ調整をはかり、結論を出していただきたい。このことが一番問題の解決を早くする道だということを、私実は気がついたわけであります。  まず最初に、お二人おいでになる大臣方のこの問題に対する熱意と申しますか、見解をお聞きいたしたい。それでどうしてもまた掘り下げて事務的な事務当局意見も聞く必要があれば、またその方法でやっていきたいと思いますけれども、とにかく早期解決しよう、政治的にこの問題の解決をはかりたい、そういうことでお考えがあるとすれば、私は事務的な答弁をきょうは求めずに質問したい、こう思うわけであります。そういう意味大臣の御見解をお聞きしたい。
  4. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 この問題は二十四年に地方へ移譲しましてからこの方、最近とみに交通問題に関連しまして運輸省各省方面からいろいろ話はあったのでございます。遂に結論を得るに至らないで持ち越したわけでございますが、至急にその解決をつけまして御趣旨に沿うようにいたしたいと存じております。
  5. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 陸運事務所の問題につきましては、御指摘の点はきわめて御同感の点が多いのでございます。ただいま行政管理庁長官からお話がございましたように昭和二十四年に、当時出先機関を整理するということで閣議の了解事項によりまして、従来ありました地方道路運送管理事務所というものを廃止して、各都道府県の条例によりまして陸運事務所を設けたのでございますけれども、しかしその仕事は広い範囲にわたりますことを必要とする自動車行政のことを扱っておりますので、人事の点におきましても、予算の点におきましても、これは国から出しておるのでございますので、職員国家公務員ということになっておるのでございます。また仕事性質上、非常に専門的の知識が必要でありますものですから、この道管にかわりました陸運事務所仕事に対しましては、地方知事さんは、言葉は悪いのですがあまり熱心でなく無関心であって、今日におきましても、形は都道府県のものであるけれども、実質は運輸省仕事を命令を受けてやっておるというような形になっておるのでございます。こういうような名実相反しておるような仕事をやっております結果というものは、とかくそこで働いておりまず国家公務員たる陸運事務所職員の士気を非常に低下させるばかりではございません。いろいろ手続等について、一般の民衆に非常に御迷惑をかけるような煩瑣なことにも相なっておる次第でございまして、各所から非難が出ておるのでございます。御承知の通り自動車行政というものは都道府県というような狭い区域内の行政ではございませんで、これは広い地域の行政でございまして、日本全体を通じた一貫した行政でなくてはならぬという点から考えまして、これは運輸省直轄のものといたさなければ実効が上がらぬ。ことに昨日来御指摘通り自動車の発達というものは非常にふえて参りまして、鉄道と並んでバスやトラックが新しい交通機関として、日本産業経済輸送動脈を形成しておる今日におきましては、都道府県という狭いところの行政にまかしておっては、今後いろいろの弊害が生ずる。私どもは、歴代運輸大臣が常にこの点につきましては考慮をされまして、関係の官庁に対して一日も早くこれは運輸省地方分局として仕事をやり得るようにやらなければ、実効を上げることができないという考えを持って折衝をいたしておるのでございまして、今後におきましてもこの方針に従って強く進みたい、こう考えておる次第でございます。
  6. 山内広

    山内委員 両大臣の御見解を承りました。早期解決したい熱意のほどを承りまして、私もそれで満足するわけであります。あとは関係各省熱意努力を期待して、しばらく実現を待っておりたい。できればこの国会内にでも結論を出していただきたい、これは私の要望であります。ただ一言申し上げておきたいのは、この中でお二人のほかに自治省立場からの反対が強いようであります。さきもちょっと申し上げましたが、これはよく言えば地方自治体権限を守る、こういう意味出発点は私も同感であります。私も地方自治体で十年以上も苦労して参りました。地方自治体権限拡大の問題については、決して私は人に劣らぬ熱意を持っておるわけであります。しかしこの自動車行政は、今の形に置くくらいならば、そのまま持っていても決して自治体の拡大強化にもならないし、今のままで置くくらいならば、直轄にしても決して地方自治体権限が失われるとは私は思っておりません。現に私は監査委員も勤めましたけれども、先ほど運輸大臣が言われた通り陸運事務所は形式的には都道府県知事下部機構であります。けれどもここには私ども地方自治体監査権限というのはないのであります。なぜならば、全部国の経費でまかない、国家公務員という立場から、私どもは手をかけておらない。国の会計検査は、こういうところはもちろん国費を使っておりますから、これはやる権限があるでありましょうけれども機構としては知事下部機構でありますから、これもおそらく遠慮されて深入りはできない。私はそのことをあえてこの機構の悪い、大きな問題に取り上げようとは思っておりません。ただこういうことでどちらからも見捨てられておる、いわば親のない子供のようなこの陸運事務所というものは、非常な欠陥を持ってきております。今運輸大臣が言われた通り、これは私の手元にある統計で、数字がこまかくて見えませんけれども昭和二十七年から見るとたしか自動車の数は六倍くらいにふえておる。ところがここに働く陸運事務所人員はふえておりません。二十七年にあの当時二千三百の職員が、二十人、三十人はふえております。もちろん経費の節約ということで、人件費は極力減らしておりますから、これは各省共通した問題ではありますけれども、この陸運事務所仕事が六倍も七倍もふえて人員がふえてないというのは、極端な例であります。これは原因もいろいろあるかと思いますけれども、そういう機構欠陥、系統が乱れておるというところから、見捨てられておると申し上げていいと思う。大臣もそのことは働く人の勤労意欲を阻害するとおっしゃっておるわけであります。私はここに特に自治省行政局長おいでになるそうでありますけれども一つこれは虚心たんかいに、あなたのお書きになった反対理由も私二回くらい目を通しております。しかし個々の問題にわたれば私は反対をするものもたくさん持っております。しかし先ほど申し上げました通りここで議論をいたすことは問題の早期解決に役立たないという判断から、やはり大臣の、上の政治的な配慮によって解決をしてもらう、そのことが早道だと思いますので、ここで個々にわたって事務的な話は差し控えたいと思います。そのことを要望いたしまして、ぜひ早期解決をしていただきたい、これを念願いたしまして次の質問に移りたいと思います。  次は、海技専門学院が今度大学校名前が改められるわけであります。いろいろ学校内容など資料を見せていただきまして、提案理由の中にも短期大学程度大学としての資格があるのだという御説明もあったのでありまして、この限りにおいては、商船大学で学べない、実地で働いた、いわば日の目を見ない船員に光を与える一つ考え方として、私はわずか名前だけであってもけっこうな考え方だと思います。このことはよろしいのでありますが、この学校内容でありますけれども、こういう専門的な職業機関になりますと一応文部省から離れますので、私はその内容についてはたして大学と呼ぶに値するほど内容充実しているかどうかという点に、若干この資料を通じて疑義を持つわけであります。それで海技学校はこれ以上施設充実をはかる必要がないのかどうか、御計画があるのかどうか。これは来年度、昭和三十六年度は審議中でありますから三十七年度予算にも関係することでありますので、一つ企画があったらここで明らかにしておいていただきたいと思うわけであります。一体図書はどのくらいお持ちなのか、練習船現状はどうなっておるのか、それから教授充実はどういうふうになっておるのか、また商船大学との関連はどういうふうになるのか、その点の御見解を一応お聞きしておきたいと思います。
  7. 辻章男

    辻政府委員 お答え申し上げます。現在海技専門学院施設でございますが、これは率直に申し上げまして、完全に図書あるいは教授に要しまする器具類が完備しているとは申しかねるのでございます。これは毎年予算的な措置を講じまして、逐次充実させて参っておる次第であります。なお練習船の点でございますが、これは練習船によりまする船員実地訓練は、海技専門学院では行なっておりませんで、これは商船大についても同様でございますが、私どもの方の付属機関でありまする航海訓練所で一括いたしまして実地訓練をいたしておりますので、練習船の問題は海技専門学院とは一応別のことになるかと考える次第であります。
  8. 山内広

    山内委員 ただいまのお話ではまだこれから充実をはかるということでありますが、名前だけ変わっても内容充実しませんと効果が上がらないことになりますので、一つ希望ですけれども早期内容充実して、りっぱな船員日本海運界のために養成していただきたいと希望を申し上げて、私の質問を終わります。
  9. 久野忠治

  10. 田口誠治

    田口(誠)委員 ただいま前質問者質問しておられました海技専門学院名称の変更に関係して、諸学校との関連を明確にしていきたいと思うわけです。名前からいきますると海技学校といって、しろうとがちょっと聞くだけでは、普通の大学を卒業した資格を得る人物を養成するというように聞えるわけなんですが、この内容をずっと見ますると、やはり運輸省の場合には運輸省付属機関である一つ職場講習所であって、こういうものに対して名称大学にしようが学校名前つけようがこれはよいと思いまするけれども、これを出た場合の資格が問題になると思うのです。それで現在新しく採用される人たち大学出の方、高等学校出の方、こういう人たちと、そして海技学校という大学という名称をつけてここを出られた方々との、職場におけるところの学歴資格はどういうような取り扱いをされておられるか。
  11. 辻章男

    辻政府委員 今の御質問でございますが、端的に申し上げますと、ここに本科でございますとか特修科というように大きく分かれておるのでございますが、本科を出ました者は商船大学校を出た者と同程度学歴として扱われております。ただ教授内容が、これは先ほどの御質問にございましたように、すでに船員として一定期間実務に従事された方の再教育でございますので、もちろん商船大学に比べまして教育内容は違っておりますが、資格といたしましては今申し上げたような資格に相なっておるわけでございます。
  12. 田口誠治

    田口(誠)委員 そうしますると給与査定を行なうような場合に、学歴、年令、経験、こういうようなものは加味されておるわけなんですが、こういう場合にも今お答えになったように、はっきりとその資格というものを資格として認めて、給与査定などにおいても採用されるものか、その点をはっきりしておいていただきたい。
  13. 辻章男

    辻政府委員 これは商船大学を出まして新しく船会社に採用されました者と、海技専門学院本科を出ました者とにおきましては、職歴におきましてすでに相当の開きがございますので、一般的に申し上げれば、海技専門学院を出ました者の方が給与水準は高いということが通例であるかと考えております。
  14. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこでこういう、言葉を悪く言えば職場学校ですが、こういう職場学校に対する一つの規制というものが、文部省の中には今のところでは法文化されたものはないわけです。別に教育基本法に基づいておるとかあるいは教育法に基づいておるとか、私立学校教育に関する法律に基づいておるとか、こういうことがないわけなんですが、そこでこういう学校取り扱いは、これは運輸省の今懸案になっておる学校だけでなしに、他のところにも相当これに類するものがあるわけなんですが、これは学校教育法との関連はどういうようなお考えを持っておられるか。
  15. 辻章男

    辻政府委員 こういうふうな職業的な教育に対する運輸省考え方という御質問でございますが、私ども考えといたしましては、すでに一般教育を終えられて実社会に出られた方の再教育の問題でございますので、私どもはいわゆる文部省でやっておられまする一般教育との問題の関連は非常に薄いのではないか、かように考えておりまして、現在の運営の仕方といたしましても、一応運輸省独自の考え方で運営しております。ただ船員教育審議会という大臣諮問機関がありまして、この審議会におきましては、文部省方々も御参加願い、また一般教育の有識者も御参加願いまして、文部省なりあるいは一般教育関係の御意見も十分反映させていただいて、これを尊重して運営していくというようなことで運営して参っております。
  16. 田口誠治

    田口(誠)委員 ちょっと確認いたしますが、再教育という表現をされましたわけなんですが、たとえて言うなれば、大学を卒業して入った。大学の工学部を出て運輸省へ入った。それからその方面の研究所へ入っておる。こういう場合に、なお海員大学とかいろいろな技術的な専門教育をなされるのが今の学校であるのか。それとも普通の高等学校を卒業して採用したのだが、これでは実際に仕事をしてもらうためには不十分であるから、専門的な知識を授けるためにこうした教育を行なうのだというのか。その辺どうなんですか。
  17. 辻章男

    辻政府委員 これは建前の方から申しますと、ただいま御指摘がございました両方の意味を含んでおります。ただこの海技専門学院に学ばれる方々のお立場からいたしますれば、ここで再教育を受けられまして、海技に関してなお高度の技術的な知識を得られますれば、より高い海員としての地位が得られるわけでございまして、そういう意味におきまして、教養が深くなると同時に、経済的な何と申しますか、その職場におきまする地位も上がるわけでございます。  なお補足して申し上げますと、現在海員につきましては、国家試験によります免状によりまして、ある一定の技術的な資格のあります者には、それに相当した海技免状を交付いたしまして、それである船のたとえば船長でありますとか、あるいは一等航海士とか、一等機関士というものは、こういう免状を持たなければそういう職にはつけないという制度になっておりますので、この学校におきまして、たとえば甲というなら甲という高い免状を得ますれば、それだけ経済的な地位も向上するということになる次第であります。
  18. 田口誠治

    田口(誠)委員 文部省の方は来ておられますか。
  19. 久野忠治

    久野委員長 今呼んでおりますが、まだ来ておりません。
  20. 田口誠治

    田口(誠)委員 これは運輸省の方にお尋ねするのもちょっと無理かと思いますけれども運輸省としてもこういうととはお考えになる必要があると思いますが、戦前の場合の職場学校ですね。職場学校という表現をしまするが、端的に申しますれば、日本紡なら日本紡の工場の中に、何々高等女学校という名称で認可を受けて学校を作られて、校長さんはだれ、先生はだれというような届をして、そして工女さんたちに勉強をしてもらっておったわけなんです。ところがこれを卒業しますと、一つ資格——戦前の同じ中学を出ても甲種と乙種とございまして、その乙種の方の資格が公式に得られるということになっておったわけなんです。戦後はそういうことが全然手放しになっておる。ただ戦前から戦後に移行する場合に、これは運輸省とは関係ございませんけれども士官学校とか海兵学校とか、そういう学校へ出ておられた方が、終戦のためにその学校をやめた。こういう場合に、士官学校をどの程度まで出ておられた方は、普通の大学試験を受ける資格取得者であるというような、一つのそういう基準がきめられたわけなんです、あの切りかえるときに……。その程度であって、その他の各職場ごとに必要な専門的な学校の問題については、全然運輸省の方としても簡単にいってノー・タッチなんです。それは先ほど御説明のありましたように審議会があって、そのときに文部省の方からも来てもらうということでございましたけれども、おそらくこの程度のことでは、これはどの程度の発言をされるのか。ははあ、ここではこういうようなことをやっておられるのだなということを、聞いて帰られるくらいだろうと思うのです。そういうような点からいって、これは運輸省においても、またその他の職場学校航空自衛隊の方では別なまた学校がありますが、そういうようなものもやはり運輸省の指導とか監督というような一つ制度を設けて、その中においてその学校が経営されて、そしてそこを出た人はどこへいっても、それだけの資格を取得したのだということをはっきりさせるような方法をとらなければならないのじゃないかと思うのですが、そういう点については当面運輸省の方ではどういうようにお考えになっておりますか、先のことについて。これはむしろ文部省にお伺いいたしたいことでございますけれども……。
  21. 辻章男

    辻政府委員 お答え申し上げます。文部省との関係におきましては、先ほど申し上げましたように船員教育審議会におきまする場におきまして、いろいろと御意見を拝聴いたしまして、これを尊重して参っておる次第でございます。なおただいま御質問のございましたある程度の職業教育をした者に対して、何らかの普遍的な資格というものを与えるべきではないかというふうな御意見がございましたが、これにつきましては先ほど申し上げましたように、海技専門学院を卒業いたしますと、いずれもすでに持っておりまする海技免状より、より高い海技免状を受け得るだけの力と資格を与えておりまして、大多数の者はその国家試験に合格して参るというのが通例でございます。なお従来ですとある学校を出ますれば、すぐに卒業したということによりまして、当然ある資格が与えられたような制度戦前はなっておったのでございますが、戦後そういうふうなものは、いわゆる学閥等を排除する意味におきまして、そういう資格を与えることはすべて国家試験によるということに相なりましたので、海技専門を出ました者につきましても、おのおの国家試験を行ないまして、これに合格した者がそれだけの資格を得るという制度になっておりますが、繰り返して申し上げますように、大多数の者は目ざす資格を得られるだけの結果に相なっております。
  22. 田口誠治

    田口(誠)委員 教育法に基づくところの諸学校を出られて、国家試験を受けられる場合は、受ける資格というものが明確になっておるわけなんです。そうした一つ国家試験を受ける場合に、国立でなくても、教育法に基づいたところの学校を出て受けられる場合には、一つの受験資格というものがあるのですけれども、そうでなしにほかの方で、教習所という名前でも、どんな名前でも勉強するところを作っておいて、そうしてそこを出ればだれでも試験を受ける資格があるのだということになると、何だかその辺のところがまことにおかしいように考えられるのですが、一つこういう面の統一した方法考える必要があると思うのですが、その点どうなんですかね。文部省まだ来ませんか。
  23. 辻章男

    辻政府委員 ただいまの御質問は非常に広範な範囲にわたりますので、私ども立場からだけ申し上げるわけにはいかないかと思うのでありますが、ただ海員関係に関する、いわゆる免状制度の概略を申し上げますと、これは片や学歴によりまして、ある一定免状試験を受け得る資格を与えます。と同時に、また乗船の職歴によりまして、免状を受ける資格を与えておりまして、いわゆる学歴と職歴と両方から高い免状を受け得るような制度にいたしております。
  24. 田口誠治

    田口(誠)委員 この国家試験というきわめて厳粛な地位を獲得される場合に、先ほど山内先生の御質問にお答えになったように、教科書というようなものについてもまだまだ十分なものでないので、予算を獲得しつつ内容を強化していくと、こういう経過なんです。こういう経過において、そこで勉強された方々が、そこを出たために国家試験を受けるところの資格が得られるということになると、私は教育全体からいってどうも片手落ちなものがあると思うのです。これ以上は、どうも運輸省の方に質問しても無理なような気がしまするが、どうですか。将来、今私の申し上げたようなことからいって、何かもう少し法的にしっかりしたものをお作りになるようなお考えはお持ちにならないか、また検討される考えもないか。この点も一つお答え願いたいと思います。
  25. 辻章男

    辻政府委員 船舶なりあるいは航海の運航技術につきましても、日進月歩でございますので、それに即応するような教育内容はもちろん始終研究しなければなりませんし、また片や国家試験によりまするその免状制度につきましても、そういうふうな技術的な進歩に伴いまして、現実に即応するようなことは研究いさねばならぬ、かように考えております。
  26. 田口誠治

    田口(誠)委員 議事進行の関係になりまするが、お聞きのように、ここでこれ以上の質問を突っ込んでいたしましても、運輸省の方でもお困りになるし、私の方でもぴんと来ませんので、文部省の方からおいでになるまで……。
  27. 久野忠治

    久野委員長 文部省の大学課長が参りました。
  28. 田口誠治

    田口(誠)委員 文部省からおいで願ったので、質問を続けたいと思いまするが、前からの経過をお話し申し上げぬと回答がピントはずれになるかもしれませんので、今運輸省質問を申し上げておりますることは、運輸省付属機関である海技専門学院名称海技学校と改めたいという提案がなされておりまするので、この学校内容性質、教材の程度、こういうようなものをお聞きしておるわけなんです。それで特においでをいただかなくてはならなくなったのは、国家試験を受ける資格をとる場合に、これは一つの規定があるわけなんです。そこで今運輸省の方からの御説明からいきますると、こうした海技専門学院という名称学校で学んでおればその資格が得られるのだ、こういう御回答のように受け取ったわけであります。そこで私がここで特に重大な疑問を抱きましたことは、少なくとも国が国家試験を行なう場合、そして試験を受ける資格を与える場合には、一つの法に基づいたところの学校において、また法に基づいたところの文部省の指導監督の上において学ばした人たち資格を与えるというのが、妥当であろうと思うわけであります。従って現在あるところの——今問題になっておりますのは海技専門学院の問題でございますれども、これは運輸省ばかりでありません。その他の方にもいろいろあるわけであります。そういう学校に対して、戦後の文部省としては手放しになっておるということです。こういうことが問題があると思うわけであります。  極端な例を申しますれば、海技大学という、大学という名前のついた学校を出て、最高の学府を出て、そして何かの事情でそこをやめて、ほかの事業所へかわったような場合に、給与査定をする場合、これは教育基本法なり学校教育法に基づいて作られた学校でないと、給与査定をするときに、それだけの学歴資格を与えられないわけなんです。事業場によりましては資格として給与の査定をされない場合があるのです。だから私は少なくともこうした職場における必要な学校につきましては、文部省一つの監督なり指導なりをして、そして同等の資格の得られるような学校にしなければならないのではないか、こう思うわけであります。これは戦前を思い浮かべていただけばわかりまするが、先ほども運輸省の方へ質問のときに御説明申し上げましたが、わかりやすい話で申しますれば、一つの紡績会社の工場の中に高等女学校が認可されて、そして学校が経営されておる。そこへ入って学んだ人たちが、その当時は同じ中学を卒業しても甲種、乙種とありましたが、乙種資格が得られてどこの職場にかわっても、その資格において取り扱いをされておった。こういうふうに文部省の手が、職場のそうした必要な学校のところまで伸びておったわけであります。現在はそれがないわけであります。特に国家試験を受ける資格を持たせるということになると、ちょっとそこにおかしいところが出てくるので、こういう点を改正される用意がないかどうか、また現在そういう手放しにされておられる理由は、那辺にあるかということをお伺いいたしたいと思います。
  29. 春山順之輔

    ○春山説明員 ただいまのお話は、各省でだいぶお持ちになっている教育施設全般について、文部省学校教育法に基づく学校というものとの関連についてお尋ねだと思いますが、文部省学校教育法に基づく学校は、御承知のように戦後高等学校卒業程度を入学資格とする学校はすべて大学という名前になってしまった。この大学戦前で申しますれば、大学のほかに高等専門学校という制度がございましたが、これが全部大学という名前になったわけであります。大学という名前になりましたが、大学の中には、修業年限四年の大学もございますし、短期大学と申しまして、修業年限二年あるいは三年というものもございます。あるいは四年制の大学の上には大学院という制度ができております。大学院は、旧制の当時におきましては教育課程というのはなかったわけです。ところが新制におきましては教育課程ができて、博士課程と修士課程がありまして、博士課程の場合は五年の修業年限、修士課程は二年の修業年限になっております。それで各省には、それぞれその省の職員養成あるいは職員の再教育、その他その省における関連の深い職員の再教育という意味におきまして、いろいろ教育施設がございますが、旧制の方におきましては、当時旧制の大学令とか専門学校令には何も関係がなかったわけでございます。それは現在と同じでございます。ただ一つ例を申しますれば、内務省というところに神宮皇学館という専門学校程度学校がございましたが、この学校の卒業生が中等教員の免状がほしいという場合に、文部省では中学校高等女学校、師範学校の教員に、たとえば国語の教員になる資格があるという資格を認めたことがございます。逓信省にありました商船学校、これは文部省とは免許状その他に何も関係がございませんでした。ただ専門学校程度学校として、高等試験の予備試験を免除する。つまり高等試験の本試験が受けられるという指定を文部省がやったわけでございます。そういう種類のものは、たとえば陸軍士官学校とか海軍兵学校とかあるいは陸海軍の経理学校、みなそういう方法で高等試験の本試験が受けられるような資格認定をいたしたわけでございます。これはその当時文部省でそういう資格認定をやっておりましたからでございますが、現在におきましては文部省は、そういう権限がなくなったわけでございます。教員免許状につきましてはもちろんございますが、人事関係試験はみな人事院でまとめてやっておりますので、たとえば今度は文部省自体の大学あるいは大学のうちの一般教育を終了した者とか、短期大学というようなものも人事院のいろいろな試験を受ける場合に、指定を受けることになったのでございます。これは戦前文部省が指定をしたのが、人事院にまとめられましたから、当時文部省でやっておった各省各省関係が、人事院と文部省関係になって、文部省の指定を受けることになっておるわけでございます。そういうわけでございまして、現在の学校文部省学校にするかと申せば、文部省学校にするには、御承知のように大学を設置するには大学の設置基準がございます。あるいは短期大学の基準がございまして、その教育内容というものは、一般教育とか基礎教育、あるいは外国語、保健体育とかいうようなものに、専門教育課目が加わった一つの基準がございます。各省にありますたとえば今お話海技専門学院、あるいは運輸省にもう一つあります航空大学校、そういうような学校を、この大学とか短期大学の基準に合わせますと、その航空大学なり海技大学ですかの教育が目的とするところに従った教育ができなくなるのではないかと思うのです。そういうわけで文部省大学基準あるいは短期大学に合わせた教育は、そういう特殊な職員の養成を目ざしておると不可能かと思うのであります。ただこういうことはできると思うのです。たとえばその学校高等学校卒業程度をもって入学資格として、修業年限が四年以上であって、しかもその教育内容大学基準に合っているような場合は、その卒業生に対して、たとえば大学院に入るべき入学資格を指定するというようなことは可能かと思うのです。現に防衛大学校の卒業生は、一般大学院に入る場合には、受験をする資格を認めております。そういうわけで各省にあります教育施設が、文部省にあります大学なりあるいは短期大学内容的に同じ場合には、上位の学校の連絡関係において入学資格を指定するということがあり得る程度でございます。それ以外に各省にあります教育施設を、大学内容にした方がよろしいというようなことはちょっと考えられないわけでございます。
  30. 田口誠治

    田口(誠)委員 できることとできないことの御答弁をいただいたわけなんですが、できることについての御答弁内容であることを私は希望しておるわけなんです。それで防衛大学なんかの場合、あれは教育法に基づくところの公立の学校であれば、中学を卒業して自衛隊に入って、そうして何かそこで特殊な勉強をすれば、高等学校は卒業しておらないでも、あの大学に入る試験を受ける資格が与えられるようになっておりますね。そういうようなことから考えますと、こういう省におる方々は何もかも通じておられるので、そんなに戸惑いされるようなことはありませんけれども、よくいなかなり一般の市町村の方で、大学を幾つか申し込んだ。ところが防衛大学が受かった。これは先ほど申しましたように、新制中学三年制の教育を卒業した場合、それで自衛隊に入っておって何かやって一つ認められれば資格も受けられるという程度だから、ちょっと低いと思うのですけれども、受けられた。ところがそれを出て自衛隊に勤めなかったら、外へ出て就職はないということなんですよ。ということは、文部省の認めたところの大学を出たのだという資格というものがないわけなんですね。そういうことから、せっかくそうして勉強をしても就職の点にも非常に支障を来たしておるし、職場に入っても給与の査定なんかの場合にも不利な取り扱いをされる場合がある。従って、一般地方教育の場合には定時制があって、定時制は一年よけい出る。一年よけい勉強するだけで同じ資格を得られるということになりますので、各省の今のいろいろな学校に対してもやはり文部省がタッチをして、そうしてそこを出れば国立の大学あるいは教育法に基づくところの大学の受験資格があるのだ、こういうような資格を与えられることが当然であろうし、今運輸省の問題で質問しておるのですけれども、そうした各省においてもそういう点をよく考慮をして、そうしてその学校で勉強をさせ、またその学校の運営というものを行なうことが最も必要であろうと思うのです。こういう各省学校に対して、先ほどお話しになった程度以外のことは、これから研究した上においてまずむずかしいものであるか、どうでしょうか。
  31. 春山順之輔

    ○春山説明員 ただいま防衛大学の入学者の中に、高等学校を卒業したいで、中学から防衛隊員になっていて、そうして入る者が、一定資格を得ると入れるというお話がございましたが、このことは実は防衛庁からよく連絡がありまして存じておりますが、高等学校卒業程度試験で防衛大学入学資格試験というものをやっております。この試験内容というものは、実は文部省大学入学資格検定試験というものがあるわけですが、この検定試験内容を全部同じにしまして、試験問題やその他もその程度において試験をやるということにしてあります。防衛隊員の中で、ごく優秀な人がわずか、五人か十人くらいだそうですが、年々その試験に合格しているように聞いております。従って大部分の学生は、高等学校を卒業した者が入っているように聞いております。これによって非常に新しい面が開けてきたので、希望が出たというようなお話を聞いたことがありますが、ことしあたりの状況はどうなっておりますか、ことしの状況は存じておりませんが、そういう方法によって正規の大学資格が得られるような道が開けますれば、それはけっこうだと思うのです。各省の中でも、たとえば大学と修業年限を同じくするとか、あるいは短期大学と同じくするようなところ、そういう教育施設を持っている省では、あるいは考えておられるところがないわけではないようでございます。ただいずれにしましても学校教育法による学校は、大学、短期大学高等学校、その三種類、義務教育を終わった者に対してもし資格を与えるとすれば、その三つの大学なり高等学校なりの資格ということになりますから、それにふさわしい教育内容を持つということが、指定するといいますか、認定する場合の要件になろうかと思うのです。ですから各省施設の中で、そういう類似といいますか、学校教育法に規定する学校と同じような内容を持つものでありますれば、それは文部省としては喜んで指定をするわけでございます。ただ先ほど申しましたように、各省でお持ちになっている教育施設は、その省における職員養成とか再教育ということが主眼になっておりまして、一般教育をやる場ではないようでございますから、その点でカリキュラムを組むのに非常に苦労があるようでございます。従って一般学校教育内容が同等以上と認めるのに、修業年限のこともさることながら、教育内容におきましてお困りのことが多いのではないかと思うのです。従って学校教育法に基づく学校と同じようにするには、修業年限はむしろ長くしないとならぬような場合も起こるのじゃないかしらんと思います。
  32. 田口誠治

    田口(誠)委員 今御回答のありましたように、自衛隊にありますように、一つの検定試験に合格をすればほかの国立大学へ受験する資格が得られるというような、そういう試験制度をやはり各職場学校にしいてもらいたいという私の考え方なのです。それで運輸省関係でございますと、今提案になっておりますところの海技専門学院、それから航海訓練所海員学校、航空大学校というように学校がございますが、こういう学校の教科書の内容なんかも、文部省としては何か審議会かそういうもの、方法はどういう方法でもよろしいですけれども、最も適切な方法でタッチをされて、そうしてそこの学校一つ出れば、一つの検定試験に合格をした者は、ほかの大学の入学試験の受験資格を得られるというような方法を今後講じていただきたい。それにはそれぞれの省にある学校内容文部省として知ってもらわなくてはいかない。そして一つ学校に対するところの指導基準というものがなければならぬと思うのです。そういうものも作っていただかなくてはならないと思います。そういう点を私は強く要望しておる。運輸省から今度提案になりました学校関連をして、大きくそうした危惧すべき点がありましたので、特に文部省からもおいでをいただいたわけでありますから、こういう点について今後研究をしていただくということはどうでしょうか。
  33. 春山順之輔

    ○春山説明員 各省にお持ちになっておる教育施設全般について、文部省が何か考えていくということはなかなかむずかしいと思うのです。ただ各省から御連絡がありますれば、できるだけ文部省としては、それが学生の資格要件を向上させ、あるいは確保するということでございますれば非常に賛成で、御協議に従って十分考えていくことはできると思います。
  34. 田口誠治

    田口(誠)委員 それでは運輸省の方にお伺いいたしますが、今文部省の方から課長がお答えになったような考え方もお持ちになっておられるので、運輸省としてはそれぞれ幾つかある学校、教習所に対して、今私が主張をいたしましたような道を作るというお考えがあるかどうか。とにかく運輸省に入れて自分の方で勉強さしたのだから、そんな外の方へ出ていってもらっては困るのだから、そういうようなことはまかりならぬというのか。その人の事由によって、健康の状態とか、あるいは途中で指が一本なくなって一つ仕事ができないようになったから、自分は東大へ入って弁護士になってやろうというような人もないとも限らない。そういうような場合に、今文部省の方からお答えになったような制度をお作りになっておくことは、最も必要であろうと思うのですが、こういう点についてどうお考えになりますか。
  35. 辻章男

    辻政府委員 今議題になっておりますように、私どもの方で持っております教育機関は、すべてある一定の職域におきます技術的な水準を高め、その知識を与えるというのが主眼でありまして、そういう意味合いから、文部省でやっておられます一般学校と離れて、特にその設置が認められておるような性質のものでございます。ただいま御質問がございますように、広く融通のきくような教育をやるべきではないかという御意見ではございますが、設立の目的からいたしまして、やはりその職域に相応するような教授内容をやるべきではないかと考えておる次第でございます。もちろんかりに職業教育でございましても、やはり一般教育との関連もございますので、先ほど申し上げましたように公式の場といたしましては、海技専門学院等につきましては船員教育審議会の席上で御意見を伺うわけでございますが、非公式と申しますか、常時関連あることにつきましては文部省と御相談をいたしまして、一般教育の風潮も考慮に入れまして円滑に仕事をしていきたい、かように考えておる次第でございます。
  36. 田口誠治

    田口(誠)委員 考え方はわかりましたが、その審議会というのは年にどのくらいおやりになって、どういう内容のことまで審議されるのか、ちょっと内容を御説明願いたいと思います。
  37. 吉行市太郎

    ○吉行政委員 船員教育審議会は、大体本会議といたしまして年に二回程度、その下の小委員会は十回程度開催いたしております。
  38. 田口誠治

    田口(誠)委員 文部省からはどういう資格の方がおいでになって、どういう内容を付議されるのか。
  39. 吉行市太郎

    ○吉行政委員 文部省の方からは大学学術局長と初等中等教育局長、それから商船大学大学長の御参加を得ております。
  40. 田口誠治

    田口(誠)委員 この問題につきましては、この辺で終わりたいと思います。ただ先ほどから私がくどく質問を申し上げましたことの趣旨については、文部省の方においても運輸省の方においてもおわかりだろうと思いますので、将来ともそうした道の開けるように学校教育をしていただきたいというように考えておりますので、その点を希望を申し上げまして次に移りたいと思います。  次は自動車審議会関係して、先ほど山内さんの方からも質問をされたわけなんですが、実際において現在各都道府県にあるところの陸運事務所自体の人員の構成からいきまして、ひんぱんにあるところの自家用車のやみ営業というようなものの取り締まりや、また交通事故を防止するための、スピード違反とかその他関係をしたところの違反行為を取り締まるには、現在の人員では非常に不足をしておるわけです。これは先ほども質問があったわけですが、こういうような点を運輸省の方では把握されておられるかどうかということをまずお聞きしたい。
  41. 國友弘康

    國友政府委員 確かに陸運事務所人員は非常に不足をしておりまして、むしろ昭和二十四年ごろに比べますと減っておる状況でございますが、私どもとしましては極力増員をいたしますように、大蔵当局その他とも交渉をいたしておりまして、本年も九十二名の増員を得たわけでございますが、これらによりましてはまだまだ足りないと思っておりますので、極力今後も増員いたしますように要求を続け、その方向に努力をしていきたいと思っております。
  42. 田口誠治

    田口(誠)委員 今年九十二名獲得した、大へん努力をしていただいたわけですが、実際に九十二名くらいを全国に割り振ってみればまことに少ない員数です。先ほど申し上げましたような行為を取り締まるに必要な員数のパーセンテージはどの程度ふやしたらいいのか、そういう理想的な数字というものをお持ちになりますか。
  43. 國友弘康

    國友政府委員 大体ことしの増員要求といたしまして、私どもが要求いたしましたのは四百三十名程度でございましたが、結果といたしまして九十二名になったわけでございます。
  44. 田口誠治

    田口(誠)委員 四百三十名ふやせばこれで足りるということなのか、さしあたり四百三十名を要求したということなのか、その点どうなんですか。
  45. 國友弘康

    國友政府委員 その点は後者でございまして、当面昭和三十六年度としてその程度をいただけば仕事はやっていけるという程度のものでございます。
  46. 田口誠治

    田口(誠)委員 これは陸運事務所のあの人員不足からいって四百三十名や五百名ではないと思うのです。そうしてまた非常に多岐多端にわたった仕事がある。またこの仕事自体はきわめて必要であり、人命にも関係する大きな社会問題化するような要素を持っておる仕事をそれぞれお持ちになっておるのだから、この審議会はあともう一年延ばしてくれということでございますが、延ばすことにはやぶさかではないわけでありますけれども審議会で幾を審議をしても、当面必要な数から今年四百三十名にふやしてほしいというのが、その四分の一足らずしか獲得できないというようなことでは、まことに遺憾な事態だと思うわけです。こういう点につきましては、極力運輸省としても努力をしていただき、そして一年間この審議会の期限を延ばすということになれば、もう少し権限のある仕事のできるものにしていただかなくては何もならぬじゃないか、かように考えまするので、そういう点を大きく希望を申し上げて私の質問を終わらせていただきます。
  47. 久野忠治

    久野委員長 次に石山權作君。
  48. 石山權作

    ○石山委員 池田内閣は倍増計画とか所得の格差をなくするとか言っておるようですが、倍増計画を考えてみますると、これからネックになるのは交通運輸だろうといわれております。それから学者先生やその他の意見考えてみますると、地域開発が行なわれなければおそらく倍増計画というものはだめであろう、絵にかいたもちに終わるであろうというふうに言われているわけです。ですからこの法案の中で伊勢湾地区港湾の緊急設備をはかるために部を設けることは、それはそれでよろしいと思う。ただ私たち日本の側から見れば、たとえば第二の東海道線を敷く。私はそれもそれでよろしいと思う。それから皆さんの方で運賃の値上げに対して強い要求を持っておられるが、それもまた理由があるだろうと思う。ただ私たちはこれらをずっと見ながら、置き去りにされている裏日本の交通運輸の問題に対して、いささかこの際質問を申し上げたいと思う。たとえば裏日本の場合には二万トンの船の着ける港がありますか。あったら一つ教えていただきたいと思います。   〔委員長退席、草野委員長代理着席〕
  49. 中道峰夫

    ○中道政府委員 裏日本関係でございますが、裏日本には現在二万トンと申しますと、大体スーパー・タンカーになると思うのですが、これは今のところはございません。
  50. 石山權作

    ○石山委員 それでは一万トンの船が着ける港はどこどこですか。
  51. 中道峰夫

    ○中道政府委員 北の方から日本海の沿線を申しますと、現在青森をやっております。それから秋田、酒田、新潟、伏木、富山、今回七尾も考えますが、そのほか舞鶴は旧軍港で、これは十分入ります。それから西の方に至りましては一万トンまでの設備は境港を考えております。これは現在計画中でございまして、実施の段階に入っておるわけでございます。大体そんなところでございます。
  52. 石山權作

    ○石山委員 私がお聞きしたのは、現在一万トンの船が着ける港ということです。あなたのおっしゃっておるのは計画です。ですから、いかにも裏日本には一万トン入る港が点々とあるように聞こえます。私は秋田の出身ですが、秋田の港は昭和三十七年でなければ一万トンは着かぬじゃありませんか。私がなぜこういうことを申すかというと、予算を見れば、今年二兆円も設備投資に使っておる。あるいは設備投資に使う金は三兆円をこえるだろうと言われておる。ところが裏日本になると、その設備投資は民間であれ官行であれ、投資されない現状である。なぜ投資されないか、投資しても船が入らぬからです。私、実例を申し上げますと、日石が秋田で一ぺんいわゆる増築を考えてみました。そうしたら残念でございますが、昭和三十七年でなければ一万トンの船が入れないという。計画では、三十五年じゅうに日石は倍増計画を終わらなければ、よその会社と太刀打ちができない。そして立地条件としてよかったのだけれども、みすみす船が入れないというその一つのために、室蘭に日石は製油所を作ったという過去の証明があるわけであります。そういう例は一つではないと思います。たくさんあります。ですから私は、表日本を整備なさって四万トンあるいは六万トンというタンカーの入ることは、何ら拒みません。しかしそこのみに目を向けていただいて、地域格差をなくさなければ、将来の日本の倍増計画ができないということは、いろいろな点から指摘されているわけでしょう。大東京の東京湾を埋め立てしてみても、それは日本の全体から見たら微々たるものです。そういうところだけに皆さんの方では目を向けて、——もちろん現実だけに目を向けるわけではない。将来性も見ているだろうと思うのだけれども、われわれ裏日本側からすれば、そこは実におくれている。たとえば昭和三十七年にはあなたのあげてくれた幾つかの港は、おそらく一万トンの船が入るでしょう。しかしこのままでいけば、設備、工場はその場合にはもう二万トン、三万トンの船を要求するという時代になるだろうと思います。たとえばソ連の油を出光興産が買い付けようとしております。そうすると距離的にいっても裏日本に入ってきたいと思うだろう。裏日本に二万トン、三万トンの船が入れないならば、ぐるっと回ってまた横浜やその他に船は横づけされる。   〔草野委員長代理退席、委員長着席〕 そうすれば裏日本はいつまでたっても経済的におくれざるを得ないということにならざるを得ないと思う。たとえば東北地区で、秋田でもよろしいし、酒田でもよろしいし、新潟でもよろしいのですが、重要工業地帯として指定された個所に対しては、運輸省運輸省なりで昭和三十七年にはすぐ三万トン級の船が着くような工夫をこらしていただかなければ、これはだめじゃないでしょうか。昭和三十七年にたとえば秋田港が一万トン着くのがおくれてしまっておるということは事実ですが、そのあとの御計画はどういうふうな御計画を持っているかということをこの際聞きたいのです。
  53. 中道峰夫

    ○中道政府委員 お話通りでありまして、今お話の地域格差の解消という点とわれわれ同じ考え方で、従来いわゆる後進地域の開発ということから、こういった港湾のような地方産業の基盤になる事業というものは、産業に先行していかなければならぬということで、お話のございましたように太平洋沿岸は従来やっておりますが、単にそれだけではなくて、ただいま申しましたように裏日本その他、いわゆる後進地域の開発については先行投資ということで、特にそういう意味合いから経済基盤の強化をはかるというような観点で考えておるわけでございます。ただ従来御承知のように港湾の予算は単年度予算でございまして、毎年々々実は予算折衝をいたしております。そういうことの関係で、地方の港湾の利用者、あるいは工場の関係者等にとって、その港湾が一体いつどういうものができるかという見通しがなかなかつきにくいというのが、従来の実情でございます。その点われわれもはなはだ遺憾に考えておったわけでございますので、今回御承知のように港湾につきましては、新しく長期の五カ年計画を立てることにいたしました。この長期の五カ年計画を立てるにつきまして、ただいまお話のような各港の実情、また今後のそれらの産業の伸展等と見合いまして、この五カ年計画を立てる。そしてそれらの事業に対応できるような港湾の施設を確実に実施していくというようなことに主眼点を置いたわけでございます。従いまして新長期五カ年計画におきましては、その計画の実施にあたりまして、その計画内容を港湾審議会を通じまして閣議決定をする、そういうことで法律的にきめるわけでございます。またこれを確実に実施するためには、港湾の事業につきましては、御承知のように国費と地方費、また民間の受益者の費用等が入りますので、経費関係を明確にいたしますために、特別会計法を制定いたしまして、計画を法律できめ、実施を会計法によって確立するというような方法で新しい五カ年計画を実施していこう、こういうふうに考えておるわけでございまして、先生のおっしゃるような方向で、これからは実施の年度とその事業の量とを確実に実現できるようにしていく、そういう趣旨でございます。従いましてお話のように、この港湾を利用する側にとって、またあるいは工場等を建設する側にとって、今までよりははるかに進んだ見通しが立てられるのではなかろうか、またそうしなければ後進地域の開発について、ほんとうに事業効果の上がる仕事はできないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  54. 石山權作

    ○石山委員 たとえば東北の場合は、工場誘致の条件としてあげられる点はいろいろあるわけですが、たとえば電力も水もあるのですよ。ないのは残念ですが港です。そのために現在でも、たとえば油でも木材でも裏日本としては重要な、目に見えている産物ですが、これを入れることができないという現実です。と申しましても将来の問題じゃないのです。現実必要なのに政治が歩調を合わせることができないということはけしからぬことだと思うのです。たとえば裏日本の舞鶴であっても伏木であっても、木材をたくさん入れた経緯を持っておる。しかし今それを船で運んでくるとコスト高になるというのは、つまり船が小さいというようなこと、港の設備が悪いというふうなことでしょう。将来裏日本の場合は、中共その他ソ連との貿易、交通というものは火を見るよりも明らかです。そのことによってまた繁栄も約束されるのですから、もっと大きな目で、楽しい目で開発を急いでいただかなければならないと思います。現実でさえも不便を感じてならぬというのですから……。私は表日本を押さえろなどとは決して申しません。それはそれでよろしいけれども、もっと所得をふやして地域の経済を普遍的にするというのならば、裏日本の不自由を第一に克服して、そして将来の日本海の方面の繁栄のために施策を講ずるということが大切ではないかと私は思っております。予算がないからとか、単年度とか言うのは、お役人さんの毎々のことですよ。しかしそれは運輸省として、あるいは国策として、一つの政策として打ち出したならば、ぜひともやっていただかなければならぬと思います。  それからきょうの場合は大臣おいでになっておりますから、法案からちょっとそれておりますけれども聞いていただきたいことは、国鉄は赤字だからといって運賃の値上げを今要請されておるのですね。万全な策を尽くして運賃値上げということならば、これはやむを得ないと私は思いますが、万全の政策を尽くしていないのじゃないですか。これはゆうべの日経に載ったのですが、国鉄の滞貨が二百万トンをこえていると言うているのですよ。しかも東北、北陸がおもだと書いてあります。東北、北陸がおおむね二百万トンの滞貨を持っておるというのです。私言いにくいことですが、これは国鉄の政策そのものが裏日本を軽蔑している一つの証拠ですよ。そうでしょう。二百万トンの滞貨が裏日本方面におおむねあるということを見ましても……。それから私は職業柄しょっちゅう汽車に乗るわけです。むしろ私の方は乗せていただくという立場でしょうね。乗せていただくという立場で見ているわけですが、それにしてもたとえば私の郷里からすれば、東京−秋田間は五百キロ、所要時間が十一時間半、十一時間としてもよろしいと思います。この十一時間の所要時間があれば、東海道線だと一体どこまで行きます。この滞貨はどういう理由で滞貨をしているか。もう一つは、いわゆるスピード・アップと申しますか、裏日本あるいは東北その他に対しての電化の考え方、こういうこともこの際御説明願いたいと思うのです。
  55. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 ただいま滞貨のことを御指摘になりましたが、御承知の通り東北、北陸方面の貨物は、大体秋から冬、または翌年の三月ぐらいまでが一番出回りが多いわけでございます。そこで御承知の通りの豪雪の害がございましたものですから、輸送が非常に停頓いたしましたことは非常に遺憾でございまして、応急の策といたしましては、二月から貨車をふやしましたり、あるいは貨物列車を増発するような手配をいたしておりますけれども、十分のことには参りませんことをまことに遺憾といたします。詳細のことは後ほど国鉄の側から御説明を申し上げて、御了解を願いたいと思います。  それから裏日本の開発、いわゆる所得倍増計画の構想ににらみ合わせまして、後進地域の所得の格差をだんだんなくしていこうというような意味での、国鉄として課せられました任務といたしましては、今度の国会において運賃改定を御審議願っておりまするが、これが一つの財源となりまするところの新しい五カ年計画におきまして、北陸本線あるいは上越線等々の裏日本に通じまするいわゆる線増と申しますか、複線化、この複線化が今まで大体隘路になっておりますが、主たる幹線の複線化が一千一百キロ、それから一千八百キロを電化いたします。あるいは電化しておりませんところをディーゼル化にするとかというような近代化、合理化をこの新しい五カ年計画でいたしまして、輸送力の整備増強に努めまして、そうして裏日本と表日本との輸送の円滑を期しまして、今まで港湾のことについていろいろ御注意がございましたが、これらと相待ちまして、裏日本と表日本との輸送を円滑にして、御指摘のような地域格差をだんだんなくしていくことに努めていきたい、こういうふうに考えておる次第でございまして、具体的詳細のことは、ちょうど国鉄の者が来ておりますから御説明させたいと思います。
  56. 遠藤鐵二

    ○遠藤説明員 裏日本方面に特に在貨がふえておりますのは、御指摘通りでございます。全国的にはこの三日ばかり前から在貨は二百万トンをとえました。全国では、最近発送トン数が一日五十七、八万トンでありますので、四日にならないわけでございますが、これが秋田方面では八日分くらいになっております。これは裏日本もあるいは東北本線もでありますけれども、線路の輸送力が限界に達しておりますので、車を入れてもなかなかそれだけのさばきがつかないという事情もございまして、現在はそのように東北地区あるいは裏日本が特に在貨が多いのでございますけれども、ただいま御審議願っております予算案から始まります新五カ年計画におきましては、もちろん裏日本一つの重点といたしまして輸送力の増強をいたすように計画を考えておる次第でございます。  輸送力の増強は、地域的に将来の輸送量の伸びを想定いたしまして、それに十分であるところの必要な施設をいたす計画でございますが、それでは裏日本についてどうかという御説明を申し上げますと、表面から見ますと、今回の五カ年計画には羽越線、奥羽線は複線化も電化も入っていないのでございます。それは両方とも昭和四十年以降、すなわちこの五カ年計画の済んだ次にかかるようになっております。東北本線は電化もこの新五カ年計画でやりますので、従って現われました格好は裏が少しおくれるような格好になっておりますけれども、これは裏日本をただいま通っております貨物なら貨物が、本来は東北本線を経由すべきものを、東北本線がどうしても列車が入らぬということで裏日本を回しておるわけでございます。従いましてわれわれは両方一ぺんに複線、電化を完成することができませんので、まず東北本線の複線、電化を完成いたしまして、現在裏日本を通っております貨物を本来の東北本線に直す、そうすれば羽越線の輸送力もあいてくるわけでございまして、昭和四十年までにはそういう方法で十分に裏日本の輸送が完遂できるようになると考えております。  羽越、奥羽につきましては、電化はおくれますけれども、今ちょっとお話のございました旅客列車につきましてはディーゼルカーでやろう、こういう計画になっておるのであります。まだこれも決定ではございませんけれども、今度の予算案の中にわれわれ計画として考えておりますのは、大阪−青森間の特急でありますとか、あるいは上野−秋田間も予算があればやろうと思っておりますが、これはディーゼルカーでやりたいと思っております。まだ計画中でございますのではっきりとは申し上げかねるのでありますが、そういうことで計画いたしております。速度も飛躍的に速くなるつもりをいたしております。  貨物の話に戻りまして、現在そうやって在貨が非常にふえておりますけれども、これはこの冬の雪害という特殊事情が原因をいたしておるのでありまして、十二月の末から始まりました雪害による全国の在貨は、百八十三万トンぐらいではないかと思っております。これを二月に入りまして、特に雪害のひどかったところを重点的に貨車を入れまして輸送をやろうと思ったのでありますけれども、二月はしばしばやはり雪がございまして、思うように回復ができなかったのでございますが、三月に入りましてからは順調でありまして、三月に入りましてからただいままでの実績では、新潟、金沢、秋田等におきましては、それぞれ去年より約一割貨物の輸送が上昇をいたしております。極力在貨をさばくように努力をいたしておりますが、その程度が今の国鉄の力の限界ではないかと思うのであります。全力を上げまして、実績としては前年度より一割増強をいたしておりますので、だんだん在貨も減るのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  57. 石山權作

    ○石山委員 大臣もあなたも雪に便乗しているのですよ。雪に便乗して貨物の滞貨を逃げておるのですが、これは何もことしからではないでしょう。ことしだけが東北地方の荷物が滞積したということじゃないのですよ。われわれもあなたの方に陳情にしているのだが、毎年々々滞貨があってどうにもならない。何とか貨車を回して下さいというので、地方から、たとえば青森の人は秋田の管理局にしょっちゅう来る。あなたはことしの雪に問題をすりかえるようですが、それではいけません。そうじゃない。貨車が足りないということでしょう。結局いわゆる単線のために輸送が狭いということも意味しているでしょう。貨車があれば載せられて、それに対して幾分かの利益があるわけなんですね。もうけることを伏せておいて、もうけることのできる手段が目の前にありながら、それをやらないでおいて赤字だという。それはあなたたちの責任でしょう。国民に忠実だとは言えないじゃないですか。大臣、そうじゃないですか。港ができれば、たとえば秋田の製油はうんと発展するのだ。工場も来るということがわかっておりながら、港が狭いためにできない。ですから秋田の製油業者や木材業者は、運輸省大臣や役人を恨んでいるでしょう。今木材は少し値が上がっております。これを東京へ売ればもうけられるということがちゃんとわかっているのです。製材業者は御承知のように大きな製材業者はございません。規模からいえばみんな小企業の製材業者です。これを今製材して駅に積んでいる一わけですね。配車があればこれは売ってもうけられる。これが押えられているじゃございませんか。わら工品にしてもそうでございます。ですから今の農閑期に百姓の方々が、わら工品を作って小づかい銭かせぎをしようとしている。製材業者は一生懸命もうけようとしておる。それが輸送ができないというから営業局長、あなたを恨んでいるかもしれませんよ。ほんとうです。貨車を作ればいいのに貨車を作れない。その作れないという理由はどんなところにあるのですか。やはり予算ですか。大きな国鉄のお金を操作上から見ればいろいろ——私は何も貨車だけ作るというわけにはいかぬだろうけれども、まず第一にその貨車を作れなかった原因はどこにあるのですか。三年ぐらい続いておりますが、そういった理由はどこにありましょうか。
  58. 遠藤鐵二

    ○遠藤説明員 線路も車両も両方とも不足でございまして、原因はやはり工事経費の足りなかったことにあると思うのでありますけれども、今回自己資金なり借入金等の増額をお願いいたしまして、相当所要資金の確保をいただいているような格好になっておりますが、明年から一時に十分の成果は上げ得ませんが、逐次増強いたしまして、新五カ年計画が完了するときにおきましては、十分荷主さんの御期待にこたえられるような能力の増強をいたしたいと思っております。
  59. 石山權作

    ○石山委員 努力していただかなければならぬけれども言葉の上の努力だけではだめだと思うのです。それからお金の使い方でございますが、たとえば貨物の輸送量を円滑ならしめ、増大させるという意味で、秋田に操車場を作りましたのも一つの手段だと思っておりました。しかし今度着工してみたら、それが半分やっておっぽりぱなしているじゃありませんか。操車場を作ったところは秋田県でも一番いい田地です。一反歩当り四石半から五石とれる優秀な田地です。その広大な地域を買収しておいて、そうして半分しか利用しないで、あと半分は施設をしない。それでは上り下りの操車場で、そこで上りだけやって下りをやらないとするならば半身不随でしょう。それではせっかくお金を投じても生きてこない。それで、いやだいやだという農民から、無理やりに田地を取り上げたような格好で買収しておいて、その田地の耕作も不可能だというようなやり方は、民間に対しても済まないじゃありませんか。金の効率の問題からしても、半身不随のような金の使い方をする。私はほかのことは知りませんけれども、実例として秋田にあるから申し上げておる。こんなのはおそらくたくさんあるのじゃないでしょうか。十億の金を投じて五億くらいしか運転が不可能だというやり方は、あなた方は一体何を考えてやっているのか、私たちにはちょっと理解に苦しむ。貨車を作ればもうかるということはわかるし、それに付随して木材業者やわら工品の方々が喜ぶということもわかる。こういうことがわかっているのにやらないということは、私たちから見れば大へん不可解に思うのですが、この操車場の問題なんかもどういうふうに処理なさろうと考えておられるのでしょうか。
  60. 遠藤鐵二

    ○遠藤説明員 秋田の操車場の新設工事でございますが、総工事費が約十一億円、三十五年度までに一億二千万円を決算いたしました。用地は御指摘のように三十八万平米でございます。これは全部買収が済んでおります。でき上がりました工事は下りのヤードでございます。これは昨年の八月に使用を開始いたしました。三十六年度も引き続きまして、下り仕分け線の工事を増強してやるつもりでおります。上りのヤードの工事は三十七年以降になると思います。これは現在の秋田駅の構内が使えるからでございまして、その両方の模様を見まして、三十七年以降に、残工事上り二億七千万円くらいの工事が行なわれる予定でございますので、別に土地を買い過ぎたとか、むだだとかいうことはないように考えております。
  61. 石山權作

    ○石山委員 あなたは商売人ですから、商売人のことを言うのはおかしいですが、秋田駅と操車場を離して両方使うから、上り下りがうまくいっているということを言うのでしょうが、そうじゃないのです。目の前に貨車がありながら、それが実際にホームに吐き出されるまでには、今の操車では実際上二日ないし三日かかっているではございませんか。駅が狭いから、駅の操車場ではやりくりできないから、新しく土地を買って、美田をつぶして操車場を作ったではございませんか。ですから今の状態では、あなたはうまいことを言っているけれども、目の前に商人は貨車を見ても、実際に自分が受け取るのは二日ないし三日かかる、そういうことをやっているのです。  それではもう一つ、私は皆さんにどういうふうにやっていただくかわかりませんけれども、この秋に秋田では国体が開かれる。操車場が完備をしないと、この国体の臨時列車のために貨物は十七本ないし十八本が入らないという現象が起きてくるのです。そうするとちょうどこの冬の雪害と同じ現象が起きてくるわけだ。人がたくさん狭い秋田に入ってくる。そうでなくとも消費物価は騰貴するでしょう。貨物が入らないとなれば、野菜を初め異常な高騰を来たすというような現象が起きるのではないでしょうか。この冬の雪害のときは小さい大根一本五十円したとか、小束のネギがこれまた五十円したとか、倍以上の高騰を示したわけですが、皆さんの不手ぎわのために、秋の国体になれば、秋田にそういう現象が起きるのではないかというふうに心配しているわけですが、それに対して秋田国体になっても、貨物を十七本もやめるなどと言わないで、何か手段を講ずるという方便を持っておられるのでしょうか。
  62. 遠藤鐵二

    ○遠藤説明員 ヤードでもって入れかえのために貨車の到着が若干延びておる事情がございます。こういうことを解消するために、三十六年度にある程度の投資をいたすのであります。今御指摘のようなヤードで時間がおくれるという点は、近いうちに解消できるつもりでおります。それから国体の旅客輸送でもって貨物が運べなくなるかというお尋ねかと思いますが、これはまだ先のことでございまして、そういうようなことがないように従来どこでも国体をやっておりますけれども、相当無理な作業をやりまして、そういうような御懸念の点がないように努力をいたします。
  63. 石山權作

    ○石山委員 私は地元に行って調べてきているのですよ。今でも大へん不便だということは明らかだと思うのです。商人の人が大へん迷惑をしておるということは明らかなことです。ですからこういう点も一つ研究していただいて、今度八千万くらい出しますか、それによって、へんぱな操車場が何とかうまくつながるような工夫を、秋の国体までにしていただくということを私は申し上げる。そうでなければ、大へんな物価騰貴、混乱が起きるだろうということです。これは皆さんの方でも上り、下りを両方やらなければ万全なものではないということは御承知だろうと思う。ですから私はあえて申し上げませんけれども、秋の国体という問題があるだけ、のんびりできないところに特殊事情があるようでございますから、天皇がおいでになる臨時列車も操車場に待機させなければならぬという事例からしても、いろいろと問題が起きてくると思う。私が調べた係員は、十七本くらい貨物をシャット・アウトしなければ、お客さんを運ぶことは不可能だろう、そのためにも操車場の整備は急いでもらわなければならぬという意見でございました。それは一つ皆さんの手腕に依頼しておきます。  もう一つ、私汽車に対しては乗せていただく方の側で申し上げるわけですが、先日私は聞いたのですが、羽越線の「羽黒」でもう廃車になっている車をまた復活さしている。何だと思ったら、一等寝台をつけるために一つの車を半分に切った。昔の車にありますね。半分が寝台、半分が一等車ですよ。しかしその一等車たるや、まるで使えない車を今羽越線に使っている。つまり寝台に乗れる階級の人を助けるために、高い運賃の一等を取っている人は、あのちっとも動かない、かたいいすに乗せられるということは、実際ひどい話じゃございませんか。東海道線の一等と見比べて考えてごらんなさいよ。何であんなぶざまな車を今ごろ使用するか。サービスどころではないじゃありませんか。これは管理局あたりがむしろ心得てそういうやり方をしたと思うのですが、それにしても十八世紀くらいの車を今ごろ持ち出してきて、高い一等料金を取るなんというのは、はなはだ私はいかんのではないかと思うのですが、あれは一体ずっと続けるおつもりでやっているのかどうか。
  64. 遠藤鐵二

    ○遠藤説明員 現在御承知のように特ロは急行だけつけておりまして、羽越線では急行は「日本海」と「羽黒」でありますが、二月一日まで「羽黒」には特ロがあったのであります。それが三月から一等半分、一等寝台半分の車をつけたのであります。これはその御要望が非常に強かったのであります。それでは実績はどうかと申しますと、三十四年度で特ロを使っておりました時代に、定員五十二人の約半数の乗車でありましたが、一等寝台になりましてからは、定員十二人に乗車人員八人ということになっております。これは相当いい乗車効率であります。一等寝台でない方も、ほとんど九割見当の乗車になっておりまして、御要望もありましたし、現在のところこれでがまんしていただくほかはないのではないかと思っておるのであります。しかし御承知のように車も古いので、特ロも御要望がありますのでつけなければならないことはわかっております。しかし列車の長さの関係で両方はつかないのであります。どっちか一両ということになるのでありますが、それでは困りますので、次の時刻改正の際に、現在ついております荷物車をはずしまして、特ロを連結したいというふうに考えております。この秋にはできれば特ロも連結したい、かように考えております。
  65. 石山權作

    ○石山委員 東北地方は私鉄が少ないですから、国鉄は独占企業ですよ。独占企業だからあんなことがやれるのです。それは一等寝台に乗る人の大きな要望ですから、一等寝台をつけることは何も悪いとは言っていないのですよ。逆に言えば、一等の高い料金を払った者が、新しい今の二等車よりも悪い車に乗せられるということは一体何だということですよ。独占企業だからそういうことができます。これはやはり考えておいていただかなければいけない。私に言わせれば営業感覚が悪いのですよ。これは大臣に言っておきたいのですが、施設関係の問題でもむだがありそうだということも考えていただきたい。東北、山陰、北陸地方は雪があるわけですから、雪のあるところは自動車が走れないので、どうしても国鉄にたよらざるを得ない。その国鉄の機能が、私たちに言わせれば、むしろサボるような形であるから、その機能を発揮できない。機能を発揮していただければ、もうかることがわかっておりながら、皆さんの方のところに積ませておいて、何か金持ちが米俵を倉の中にうんと積んで喜んでおるような格好で、駅頭に何百万トン滞貨したというようなことを堂々と新聞に発表しておる。こういう態度のある限りは国鉄は赤字が出るでしょう。その赤字をば解消するために運賃値上げをするというような安易な考え方を持つことには、なかなか私は賛成できないと思います。もっと努力する個所がたくさんあるようでありますから、この際一つ努力をしていただきたい。私が東北地方におるから少しひがんだような見方をして発言をしておるのかもしれませんが、私の申し上げておる個所については大体調べておるつもりですから、一つその点を十分に参酌して、地方の雪深い土地の方々の困っておる点をば、国鉄側としては早く解決のつくようにしていただきたい。  それから運輸省港湾局長もさっき賛成していただいたわけでありますが、一つ日本は将来光を浴びる地域に変更しつつあるのですから、今までのように経済効率が上がらぬというふうなやり方で投げておったのでは、所得倍増はおそらく不可能でございましょうし、この際大局に立って、裏日本の港、工業の立地条件、そういうふうなものを一つ十分勘案していただく。一万トンが三十七年度にできるからというふうなことではいけないのでありまして、追いかけて二万トン、三万トンの船を要求する時代が近づいてきているのですから、この際一つ十分御研究をしていただいて、三十七年度からそういう計画を発表して、雪深い都市の人たちに光明を与えていただくような工夫をしていただきたいと考えております。私の質問はこれで終わります。
  66. 久野忠治

    久野委員長 次に石橋政嗣君
  67. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 海上保安庁法の一部改正案について、若干お尋ねをしてみたいと思います。時間もずいぶんおそくなりましたから、なるべく要点だけ簡潔にお尋ねいたします。  この改正案の要点の第一は、現在の九州方面を所管しておる七管を二分割して、熊本、鹿児島、宮崎の三県の水域を所管する新たな第十管区を作るということでございますが、新しく十管なるものを作る理由といたしまして、七管が担当しておる業務量が非常にふえておるということを理由にしておるわけでございます。私は業務量がふえたというだけで、はたしてこれを二つの保安管区に分ける必要があるかどうか、直ちには納得できないわけです。実際に機動力が鈍ってくる、どうも運営上困るというようなことに理由があるのならわかりますが、ただ仕事がふえたというだけではどうも納得をしがたいのでございます。まず第一に、どのようにほかの管区と均衡を失しているといいますか、どのように業務量の面でアンバランスが出てきているのか。七管が特に仕事量がふえているのか、またそれだけが今度十管を作る理由なのか、その辺を特に丁寧に御説明願いたい。
  68. 林坦

    ○林(坦)政府委員 お答え申し上げます。第七管区の海上保安本部の取り扱っております業務量は、ただいまお話のございましたように近年著しくふえております。たとえば海難船舶の数から申しましても、また犯罪検挙の数から申しましても、あるいは出入港の船舶の数にいたしましても、また巡視船艇等のいずれを見ましても、全国の約四分の一くらいはここで持っておることになっております。大体二つあるいは三つの管区の業務量を持っておるといってもいいくらい、量があるのでございます。特に李ライン付近の漁船の保護などの特有な仕事を持っておりまして、業務の運営にそれが相当大きな圧力になって参っております。また一方台風の対策関係から申しますと、南九州方面は、そうした場合の海難その他に優に一管区分の業務量を持っておる、こういったような点から見まして、今の一つの管区本部でこれを宰領いたしておりますと、私ども数字的に申し上げるとはっきりするのでございますが、とにかく一つ行政機関としてああした仕事をやります場合の範囲をややオーバーしておる、こういうふうに考えております。その結果、たとえば今度分けることにいたしております現在の七管の門司に所管させるもの、また南九州の方面を分けて比較してみましても、なおかつ門司の北九州方面を持っております七管区には、ほかの管区よりもはるかに多い巡視船あるいは人員をなお置いておかなければならない、こういう状況でございます。それから現在李ライン関係に非常に重点を置いて仕事をやっておりますせいかもしれませんけれども、南九州方面からはどうも隔靴掻痒になるのではないかというような非難もございまして、私どもとしましては直接に本庁と連絡のできる管区本部をもう一カ所設けまして、じかに南九州方面も指揮してやっていけるよう体制を整えたい、かように考えたわけでございます。
  69. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 現在全国で取り扱う件数のほとんど四分の一近くのものが七管で扱われておるということでございますが、そういう意味で七管に非常に負担がかかっているということはわかるのですが、それは裏を返してみれば、非常に件数の少ない管区があるということにもなるのじゃないかと思うのですが、非常に仕事が多いところを二つに割るということ、それを検討される際に、扱い件数の少ない管区を統合してみようというふうな、そういうことは御検討なさったのですか。
  70. 林坦

    ○林(坦)政府委員 件数の点から申しますと、たとえば名古屋に管区本部を持っております第四管区でありますとか、その他そういった小さい管区はございます。しかしながらそうした場所はまたそうした場所なりに、たとえば最近非常に港の関係の業務が輻湊して参っておる。いろいろまた事情がございまして、私どもの方も全部の管区の数をふやすということでなくても、検討いたしてみましたけれども、比較いたしまして大体もう一カ所、九州を割って二つにした方がバランスの面からいいし、また業務量の面でも適正になり得ると考えまして、割るようにいたした次第でございます。
  71. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 能率的な運用をはかっていくという面からいって、必ずしも管区の数をふやしていくということがいいとは考えられない面があると思うのです。全部の数字をあげていただく必要はないのですが、それでは一番取り扱い件数の多い七管はどれくらい扱っておるのか、それから少ない方を一つ二つ、どの程度の扱いをやっておるのか、そのところだけ一つ御報告願いたいと思います。
  72. 林坦

    ○林(坦)政府委員 たとえば海難の点について比較いたしてみます。海難の船舶の隻数は、三十四年度について調べてみますと、第四管区は百四十三隻、五万八千トン、七管区は七百八十五隻、八万六千九百六十トン、それから八管区は百二十七隻、一万三千四百二十二トン、こういうふうな状況でございます。また犯罪の検挙の数から申しましても、たとえば四管区あたりで件数九百二十六件、七管区は一万二十八件、九管区が七百三十八件、こういった状況でございます。出入港船舶の隻数、トン数から申しましても、七管区は二百三十万三千三百二十三隻、それからたとえば四管区あたりで五十八万、九管区あたりで三十六万、こういったような数字になっております。
  73. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 管区ごとに比較してみた場合非常に開きがあるわけですね。われわれが機構というものを考えていく場合には、いたずらに出先をふやしていくということは決して正しい方法ではないと思うのです。中央から見て、そういうアンバランスが出てきた場合に、七管を二つに分割するということは、この際私も無理ないと思うわけです。しかしそれと同時に、もう少し統合していい部分が出てきておるのではないか。そういうところもあわせて検討することが中央の任務ではないかという感じを持つわけです。これは単に管区の問題だけにとどまらず、管区以下の場合にも私はそういう弊害が最近出てきておるのではないかと思う。海上保安庁法の十三条で、海上保安本部の下にもいろいろな事務所を置くことができることになっているわけですが、最近七管で、私が直接見ましても、全くむだな分室をいたずらにこしらえておるのじゃないかという感じを持っておるわけです。たとえば佐世保の保安部のほんの目と鼻の先の平戸に分室を設ける、あるいは三角のほんの目と鼻の先の牛深に設ける、そういうことがはたして正しい機構についての考え方だろうか。なるべく出先を広げてしまうのではなしに、上から一貫してさっと指令も流れていく、そういう方法を講じていくことの方が能率も上がるし、機動力を発揮することにもなるのじゃないかという感じを率直に受けているわけです。お役所の方では、なるべく役所をふやす、人員をふやすということに熱心の余り、そういう結果になるのじゃないかという疑惑をわれわれに持たせるようなことが、上から下までずっと流れて見えるわけです。今の分室の問題なんかについても、各管区ともそういうような傾向にあるのか。また七管の場合に、なぜそんなに分室を目と鼻の先にどんどん作らなければならなかったのか、そういうところももう少し納得のいくような御説明を願いたいわけです。
  74. 林坦

    ○林(坦)政府委員 海上保安庁の限りある人をもって全体的な任務を果たしていきます上に、ただいま御指摘のございましたように、分室その他こまかい出先を多くするということにはいろいろ問題がございます。私どもといたしましても、できるだけ効率的にこれを動かしていくということのためには、必ずしも出先をふやすことがいいことだとは考えておりません。私が就任いたしましてからもいろいろと要望はございますけれども、分室の設置ということは、むしろある場合にはこれを押えるという方向で指導して参った場合が多くあるのであります。ただ最近問題になりますのは、特に沿岸漁業の問題でございます。沿岸の漁業関係につきましては、ともすればそれぞれの地域が、ほかの地域から、漁業権の範囲を越えていろいろ、言ってみれば違法な漁業が行なわれるといったようなことのために、それを取り締まってくれという要望がきわめて切でございまして、それがとにかく出先を作ってくれという要望になって非常に強く出て参るのでございます。従って私どもの方としましては、いやそれは船の運用なり機動的な措置によってこれをカバーしようと言って、まあ大体はそれで参っておりますが、どうしてもそこに置くことによってもっと大きな効果を期待できるというふうに考えられる場所に限りまして、きわめて限定的ではございますけれども出先を作っております。しかしながらこれもだんだん時の推移によりまして重点が移っても参りますので、あらためて検討をし、作り直すというようなことは常に続けなければならないと考えております。
  75. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 確かに住民の方々がそういう陳情をされた事実があるということは私もよく知っております。だからといって、大局的な立場で効率的な運用をはかるということから、十分に検討を加えないで、そういったものに迎合していくようなことは、行政機関としては私は決してプラスにならないと思うのです。この際私は大臣にお尋ねしておきたいと思うのですが、やはりこういうものをチェックしていくのが政治家でもありますし、あなたの権限でもあるわけです。従って単に出先をそういうふうにむやみやたらにふやすようなことにならないように、十分今後検討を加えていっていただきたいと思いますので、その点についての御所見を承っておきたいと思います。
  76. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 御意見の御趣旨はよくわかりました次第でございますが、今回第十管区を第七管区から分けて作りましたのは、ただいま海運局長から御説明申し上げましように、実際上四分の一の事業量になりまして、これはどうしても分けていく方がよろしいという実際上の見地からできたわけであります。今海運局長から話しましたように、いたずらに出先機関をふやしていこうというようなことをやる考えはないのでございます。
  77. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 どうも海運局長と保安庁長官の区別もつかないようなことでは、こういう大切な機構の問題を論ずる資格もないと言わざるを得ないわけです。私が言っているのは、七管のようにあらゆる面で取り扱い件数の多い、業務量の多いととろを分けるということについて異議を唱えているわけではないのです。その実情はよくわかります。従ってこの点ではやむを得ないということを認めた上で質問をしているわけです。仕事が七管の方に非常にかかってしまっておる。その反面、割合仕事のない管区も出てきておる。そういうアンバランスをまずここで何とか直さなければならぬのじゃないか。そういう立場の検討があまりなされずに、ただ管区をふやすことばかりに熱心なような印象を受けているので、そういうことは今後十分に直してもらいたい。これは管区の問題だけじゃない。管区以下の場合においても、住民の希望はあろうけれども、もう少し高い立場から十分に検討されて、いたずらに近接地域に分室をどんどん作っていくというようなことはおやめになったらどうか。これはあなたの権限なのですよ。だからそういうことを今後十分に検討して、是正していただく意思がございますか、それをチェックするのがあなた方のお仕事じゃないかと、こうお尋ねしておるわけです。
  78. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 ただいま海運局長と申しましたが、海上保安庁長官の誤りでございますから訂正しておきます。  ただいまお話のように、実際上必要な七管区を分けて十管区を作ることには御賛成をいただきましてありがとうございました。その他の問題につきましては、御趣旨の点を十分尊重いたしまして、いたずらに役所をふやそうというような気持ではやらないつもりでございます。十分に御趣旨の点を尊重して、今後も検討していきたいと思いますから、どうぞ御安心願います。
  79. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それでは質問を次に移しますが、第二と第三の要点には相互に関連があるのじゃないかと思うのです。第三項としてあげられております第六海上保安管区と第七海上保安管区の区域の変更でございますけれども、山口市は現在七管の所管区域であるが、これを六管の方に移すということでございますが、その理由としては山口市が飛び地になっておる、こういうことだけ述べられておるのですが、何も飛び地になったのは、最近飛び地になったわけではない。保安庁ができてからずっと飛び地であることがわかっておって、こういう区分が行なわれておったと思うのです。今まではそれではなぜそういうことが放置されておったのかと言いたくなるわけですが、第二の方との関連でどうしてもこうせざるを得ないという何か特殊の理由があるわけですか。第二の方でこれは処置できなかったのですか。第二として掲げられております、一つの管区海上保安本部の所掌事務の一部を、その境界付近の区域に関するものに限って、他の管区海上保安本部に分掌させることができるようにすると出ておるわけですが、こちらの方で扱うことができない、それほど何か特別の理由が発生したのかどうか、この辺の御説明を願っておきたいと思います。
  80. 林坦

    ○林(坦)政府委員 山口県の問題につきましては、実ははなはだ恐縮なのでございますが、その当時のミスでございます。この際この点も整理いたしまして、海運局の管轄と同じように、この辺のところは調整をはかったわけでございます。それから第二と第三との関係を、特に何かあるのではないかという御指摘でございましたが、その点は特別に関係はございません。
  81. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それではミスを改めるのに何も問題はございません。  それでは昨年私がこの委員会におきまして、七管において転任旅費の未支給の問題、これを取り上げました際に、そういう不合理なことは直ちに是正をする、なお責任の所在についても明らかにするというお約束をいただいておったのですが、その後の経緯を要点だけでよろしいですから、御報告を願いたいと思います。
  82. 林坦

    ○林(坦)政府委員 当時赴任旅費につきまして、これを強制的に辞退させたのではないかというような御指摘がございましたので、私どもの方でいろいろ調査をいたしました。強制というには少しどうかとも思いましたけれども、確かに無理な点もあったのではないかと思いまして、この点は御指摘のございました点をすみやかに改めるという意味におきまして、予算の差し繰りをして、大体年度内にこの問題はケリがつくことになりました。なお今後こういうことのないようにと十分に注意をいたしまして、御指摘のございました点を改めるように措置いたした次第でございます。
  83. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 最後にもう一つ、これは最近新聞紙上に報道されております三管において起きております事件です。これを私、機構の面から一つ取り上げてみたいと思うのです。  事件のあらましは、私がここで申し上げるまでもないと思うのですが、海上保安庁第三管区職員の厚生親交団体である三和会、これが横浜のデパートから千七百万円にのぼる電気器具を購入して、実際には職員には三台のテレビをあっせんしただけで、あとは全部特定の商人が御徒町でさばいてしまうというような一種の詐欺事件、こういうものが発生しておるわけですが、最初にその一応の経緯を述べていただきたいと思います。私が取り上げたいのは、こういうふうに、いわゆる特定の業者に迷惑をかけるような根本原因があるような気がするわけです。こういう詐欺に商売人がひっかかるような、何か機構上の問題があるような気がしてならないわけなんです。それはどういう点かというと、デパート側は、これは保安庁の責任だ、こう言っておる。その理由として、注文書には三管本部の公印があるじゃないか。第二に、品物はすべて三管本部の倉庫や下田海上保安部などに納品したじゃないか、三番目に、この三和会の幹部はいわゆる保安庁の幹部そのものではないか、こういうことを言っておるようでございます。これもせんじ詰めていけば、こういった親睦、親交団体、厚生団体ですが、そういうものの会長に三管の次長がなっておるというところに、私はやはり問題があると思う。非常にまぎらわしいのですよ。これは三和会だ、これは保安庁の三管の方の仕事だというふうにはっきりと明示できない、人間の重複があって……。そういうところに問題があるような気がするわけです。だから最初からだます意思はなくとも、業者にしてみれば、その団体がどういうものかはよくわからぬけれども、保安庁というれっきとしたお役所のやることだからという信用の上に立って、やはり取引をするだろうと思う。こういうものをいつまでも放任しておったのでは、いろいろな場合に、こういったケースのことが行なわれる可能性が出てくるわけです。前に衆議院においても行なわれたことがございます。衆睦会なるものがありまして、問題を起こして、これは衆議院の役員がやはり衆睦会の役員をしておったというところに問題があるというので、たしか大池事務総長はこの問題がきっかけで、私は責任をとったと思うのですが、こういう機構の面をすっきりさせておかなければ、こういうあやまちを再び起こす可能性がある。何か変な分子が入り込んでくればですね。この点についてはどういうふうな考え方を持っておられるのか、この点について御説明を願いたいと思います。
  84. 林坦

    ○林(坦)政府委員 新聞で報ぜられました三和会の電気製品に関連した事件につきまして御説明申し上げます。事件は、ただいま横浜の戸部署で調査いたしております。従って詳細はこれを待たなければ明らかではないのでございますが、ただいままでに私の手元に参りました報告によりますと、第三管区海上保安本部の職員の親睦団体、ただいま言われました三和会でありますが、その職員会の元厚生部長でございました元職員の尾崎伸世、これが厚生部長になりましたのは職員会の選挙によるものでございますが、それが昭和三十五年三月ごろから八月ごろにかけまして、この職員会に出入りしておりました電機業者の東信電気興業というのと、天祥電業横浜支店というのと気脈を通じまして、職員会の厚生部長の名で、百貨店から、テレビなどの電気器具を職員にあっせんすると称して注文して入手したものを、それらの電機業者に横流ししまして、電機業者はこれを他に転売した。ところがこれらの電機業者が昨年十一月ごろ倒産いたしましたために、百貨店に代金の支払いができなくなるという状況に立ち至った。そこで百貨店側が問題といたしまして、今月の十三日に被害届を提出した。現在までに未払いの金額が約千五百万円であるというふうに聞いております。この点につきましていろいろ私の方で調べましたところでは、職員会の当時の厚生部長でありましたこの尾崎という人物が個人で行ったものでございまして、他の職員、上司などには全然この点を秘密にしておりましたために、最近に至るまで知り得なかったというものでございます。大へん世間を騒がせまして、私、海上保安庁の関係のそうしたものの中から、こうした事件を起こしましたことを、私どもの職務の関係からしましてもまことに申しわけなく存じております。  今御指摘のございました三和会といいますか、この職員会の組織の問題につきましてお話がございました。この職員会にはいろいろと親睦的な面もございまして、たとえば運動会をいたしますとか、その他文化的な仕事、たとえば会を催しますといったようなことがよくある。これにつきましては、今まで私どもの方では、この職員会が中心になって動いておるのが実情でございます。この厚生部のような場合に、はたして今の機構が適当であるかどうかということについては、もちろんその人を得なければならないというふうに、人の問題も多分にありますけれども機構的にももちろんわれわれはこうした機会に深く反省をいたしまして、今後あやまちの起こらないように考えていくようにしていきたい、かように考えております。
  85. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 私は具体的に三つあげてお尋ねしたわけです。一つは、この三和会の仕事だとおっしゃっておるけれども、業者の方に言わせれば、注文書に三管本部の公印が押してあるじゃないか、こういった事実があったのかどうか。それから二番目に、品物はすべて三管本部の倉庫や下田海上保安部などに納入したではないか、こういう主張をしているわけですが、そういう事実があったのかどうか。それから三番目に、三和会の役員というものは、三管の最高首脳部の人がそのまま当たっておるという事実があったのかどうか。この三番目の事実があれば、一番目、二番目というものは必然的に出てくる可能性も出てくるわけです。そこでこの三つの事実があったのかどうか、まずお尋ねしているわけです。
  86. 久野忠治

    久野委員長 簡潔に御答弁を願います。
  87. 林坦

    ○林(坦)政府委員 官印を使用したかどうかという点でございますが、これは第三管区海上保安本部職員会厚生部長尾崎伸世というゴム印がありまして、その下に自分の私印を押して、その上に灯台部監理課長という印を押してあったというのが事実でございます。これはその後調べてみましたが、尾崎が盗用したものと思われます。それから倉庫を使用したかどうかということでございますが、これは尾崎が職員に月賦購入させる物資というふうに説明いたしまして、大体廊下などに一時品物を置いたことがあるようでございます。倉庫にも一時少量入れたこともある模様でございます。しかしこれは尾崎が倉庫の管理者に厚生物資であると称して使用したものでございます。最後に職員会の機構でございますが、その場合は、職員の親睦、福利等のための任意団体でございまして、その会長には三管本部の次長が当たっております。
  88. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 盗用したものとしても、課長の判こが押してあった事実はお認めになったわけです。それから三管本部の倉庫や廊下に品物を持ってこさせた事実もお認めになっておるわけですが、こういうところにやはり問題があると思うのです。別の団体、任意団体だというならば、やはり画然とそういうものを取り扱いその他について区別をつけなければ、第三者から見た場合に、一体どの程度に保安庁との関係があるものか、非常にあいまいな感じを受けるだろうと思う。そこらに詐欺をやろうという意図を持ったものがどうにでも活用できる下地ができているわけです。こういうことは、やはりなくすように機構の面で考えていかなければ、善人がやればそれは問題がありませんけれども、どんな悪人が来ても利用されないような仕組みというものは、やはり真剣に考えていかなければ、今後迷惑をかけることはあり得るわけです。そういう意味で、これは三管だけでこういう形のものが行なわれているのか、他の管区においてもあるのか、その点もお示しを願いたいわけでございますけれども、今後二度と機構の面でそういう誤解を第三者に与えないような仕組みに変えていくということでなければいけないのじゃないかという感じを持って実はお尋ねしておりますので、その点もあわせてお答え願いたいと思います。
  89. 林坦

    ○林(坦)政府委員 職員会のこうした親睦団体は全国的にございます。今御指摘のございましたように、どうも役所が公的にこれを扱っているかのごとき疑惑といいますか、信用を外部に与えるようなことにつきましては、今お話のございました点について十分検討をいたしまして善処いたしたいと考えております。
  90. 久野忠治

  91. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 どうも時間がおそくなってすみません。時間がありませんから、ごく並べて伺います。今の問題は、実は私の地元で起こっている問題なんですが、公の印も押してあり、そうして現実に長官もお認めになるように、疑惑をこうむるべき節も数々ある、こういうことになりますと、やはり保安庁として被害を受けた業者に対して弁償をしてやらなければいけないのじゃないか、こう私は思うわけですが、この弁償関係についてどうお考えになっておるかが一つ。  それから第二の問題は、横浜でごく最近ですが、あなた方、港湾の原子力汚染調査をなさったはずです。これは神戸でもおやりになっている。なるほどサバンナ号などという原子力商船が動き出しておる現在、そういう船が港に入ってきた場合に、どの程度の原子力汚染が行なわれるかが、入ってこない前に、さらの水を一通り調査しておかなければならぬ。海水が自然に帯びておる放射能の汚染の程度を調べておかなければわからぬわけですから、お調べになるのは当然だと思います。そうして私の伺いたいのは、これをもっと総合的におやりになる意思はないのかどうか。たとえば横浜と神戸だけではなしに、横須賀などは現実にアメリカの原子力潜水艦が入ってくる可能性があるわけですし、原子力兵器を持った軍艦も現実には横須賀に入ってきているわけです。呉についても佐世保についても同様です。従ってこれは当然あらかじめ海上保安庁が中心になって——ほかにやるお役所はないのですから、中心になって、日本周辺における原子力汚染の現状を調査しておかれる。そういう総合的な研究態度をお持ちになっていただかなければいけないはずだと思うのですが、そういうことについて、やっていらっしゃる現状と、これからどうやるかということを一つ伺わしていただきたいと思います。今は原研と海上保安庁と、あるいは東京大学の檜山教授の教室と、この三つぐらいしか原子力汚染の調査をやる能力を持っていらっしゃるところはないと伺っておりますが、ばらばらにやるのではなしに、どうやるか、こういう点をぜひ伺いたい。今までのやり方と今後どういう覚悟を持っていらっしゃるか、これが第二です。  第三の問題は、私今ちょっと条文を拝見しておって気がついた点ですから、あるいは誤解かもしれませんが、海上保安庁の業務の中に、海上における暴動及び騒乱の鎮圧に関する事項というのがあります。これが発動せられるという場合はごくまれだと思いますが、一方警察法を見ますと、内閣総理大臣が国家公安委員会の要請に基づいて緊急事態の特別措置を行なわれる場合が一つあります。さらに自衛隊法を見ますと、総理大臣の要請に基いて、あるいは県知事等の要請に基いて治安出動をする場合があります。この二つの条文との関連はどうなっているのか。たとえば警察法に基いて総理大臣が緊急事態の特別措置の発令をなすった場合には、海上保安庁における業務は、全部この総理大臣の指揮下に入ってしまうものなのか。もし指揮下に入るとするならば、警察との関連性をどういうふうにとっていくのか、こういう問題があるだろうと思います。それから自衛隊の場合で、治安出動を総理大臣が命じた場合に、この治安出動と、海上保安庁が当然行なわれる海上における暴動及び騒乱の鎮圧ということとは、どういうふうに統合されていくのか、こういう問題を一つ伺いたいと思います。当然こういう問題については、すでにいろいろお打ち合わせ済みだろうと思います。  それから第四としては、この条文の中に、海上保安庁の職員は軍隊の機能を営むものと解釈してはならないと書いてありますね。この「軍隊の機能を営む」ものというのは、解釈が非常に広範でありまして、どこまでが軍隊の機能と言い得るものかどうか。部分的な機能というものならばすでにやっていらっしゃるわけです。たとえば米軍の要請に基づいて、元山沖へ行って元山沖の機雷を掃海するというようなことを、現実にはすでにやられた実績があるわけでしょう。そういうふうな米軍からの委嘱を受けず、たとえば掃海なんかを海上保安庁単独でやられる場合は、これは軍隊の機能の一部とは言えないでしょう。ところが米軍の委嘱を受けておやりになるとすれば、これは軍隊の機能の一部に入るのじゃないだろうかという疑惑が出てきますし、自衛隊との関係においても私は同様に思われるわけです。そういう意味で、軍隊の機能を営むものと解釈してはならないというのは、海上保安庁の職員全体が軍隊の機能を営むという場合だけに限定されているのか、あるいは部分的に海上保安庁の方々がやる業務の一部が、他の米軍とか自衛隊とかとからみ合って、結果としては軍隊の機能の一部を構成する場合に当たる場合もあるのじゃないか、そういうものを含んでいるのか、こういう点は明らかにしておいていただきませんと、せっかくこういう条文があってもナンセンスになりますから、その点を明らかにしてほしいと思います。  もう時間も非常におそうございますから、以上四つの点について御答弁をいただきたいと思います。
  92. 林坦

    ○林(坦)政府委員 第一の、今度の三和会事件について業者に弁償するかどうかという問題でございますが、これは私どもとしましては、現在までのところ官が弁償するという範囲には属しないのではないかと考えております。しかしながら事態の推移をよく注視して考えたいと思っております。  それから原子力汚染の調査についてでありますが、これは要するに原子力船が来るような場合等を考慮いたしまして、港のちょうどふだんの体温をはかっておくという意味、また海流の流れ方がどんなふうであろうか、それによって被害がどういうふうに及ぶおそれがあるかといったような点を、あらかじめ調べておく必要があるというので、やっていることでございます。総合的に各港に全部やったらどうかというお話でございますが、との点につきましては私どもとしましては、そうした少し広い範囲にやることも考えまして、予算要求等もいたしたのでございますが、今度の場合は、全体のワクからいたしまして予算を取り得なかったといいますか、その点についての予算を組むことができなかったのでございますが、将来はこういう問題についてさらに実際的に広く考えていきたい。また原研あるいはその他との関係におきましても、私ども担当しております水路部がそれぞれ打ち合わせをした上でやっております。  それから海上の動乱の鎮圧についての御質問でございます。これは私どもの方は海上でございますので、直接警察とはつながりを持っておりません。また自衛隊法との関係でございますが、これは特別の事態の場合に、治安関係につきましては、治安出動をやるような場合も海上保安庁がまず第一段階的にはこういったものについては責任を持ってやる。それでわれわれの手に負えないという場合に、あるいは自衛隊が出てやるというようなことになると考えております。  それから第二十五条にございます「この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない。」という規定でございますが、これは海上保安庁がその全体であれ、ある部分であれ、軍隊ではない。従って国際紛争解決とかあるいは何とかといったように実力をもって処理するようなことは、私どもの方はもちろんいたしておりませんし、また軍隊ではないという点から、先ほどお話のございました軍の一部になるように考えられる作業をやるのはおかしいではないかというようなことは、私どもとしましては、これは私どもの使命の範囲内においてやっている。たとえば海上の安全といったような面で、その使命の範囲内において私どもの組織でやっている、こういうことでございます。
  93. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 もう時間がありませんから、二番目の原子力汚染の問題は、できれば調査をなさったその資料はどしどし公開をしていただきたいと思いますが、公開をしていただけるものかどうか。  さらに、軍隊の一部としてということはやらぬ、海上保安庁の作業として通常やるべきものはやる、こういうお話ですが、そういたしますと、かつて元山沖に掃海に出られたようなことは今後はおやりになれない、こういうことですね。  それからもう一つは、海上における暴動及び騒乱、こういうような場合に、自分の方でできるだけやってみて、だめな場合には、治安出動になるかもしれない、こういう話ですが、そうなりますと、そのときの指揮系統や何かはどうなるかということを私は聞いておるわけです。その関連性は全然なしに、お互いに各自勝手におやりになる、こう解釈してよろしいわけですか。
  94. 林坦

    ○林(坦)政府委員 放射能の調査につきましては、科学技術庁の刊行物に発表いたしております。  それからこの前の元山沖の問題とかなんとかいうお話が今ございましたが、占領下においてのことは今私としましては申し上げる段階でございませんけれども、今後において軍隊として動くということはこの規定に抵触する、こういうふうに解釈しております。当時はもちろん私どもとしましては軍隊として動いたとは思いませんけれども、この掃海の業務は現在は防衛庁の中に入っておる仕事でございます。  それから治安出動の前、あるいは治安出動になってからも海上保安庁が前面に出てやっております場合には、海上保安庁が内閣総理大臣の統制下に入らない前は、当然海上保安庁長官が指揮してやっております。
  95. 久野忠治

    久野委員長 他に御質疑がありませんか。——御質疑がなければ、これにて両案についての質疑はいずれも終了いたしました。     —————————————
  96. 久野忠治

    久野委員長 これより両案を一括して討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに両案を一括して採決いたします。  運輸省設置法の一部を改正する法律案及び海上保安庁法の一部を改正する法律案の両案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  97. 久野忠治

    久野委員長 起立総員。よって両案はいずれも可決いたしました。  なお両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 久野忠治

    久野委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。  次会は来たる二十三日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十三分散会      ————◇—————