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1961-03-09 第38回国会 衆議院 内閣委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月九日(木曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 久野 忠治君    理事 伊能繁次郎君 理事 小笠 公韶君    理事 草野一郎平君 理事 宮澤 胤勇君    理事 飛鳥田一雄君 理事 石橋 政嗣君    理事 石山 權作君       内海 安吉君    島村 一郎君       福田  一君    前田 正男君       牧野 寛索君    緒方 孝男君       杉山元治郎君    田口 誠治君       山内  広君    山花 秀雄君       受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣 池田正之輔君         国 務 大 臣 小澤佐重喜君  出席政府委員         総理府総務長官 藤枝 泉介君         総理府総務副長         官       佐藤 朝生君         総理府事務官         (北海道開発庁         総務監理官)  木村 三男君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   島村 武久君         総理府技官         (科学技術庁計         画局長)    久田 太郎君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   杠  文吉君         総理府技官         (科学技術庁資         源局長)    黒沢 俊一君         厚生政務次官  安藤  覺君         通商産業         政務次官    砂原  格君  委員外出席者         総理府事務官         (北海道開発庁         庶務課長)   小久保欽哉君         総理府事務官         (北海道開発庁         主幹)     鈴木  登君         検     事 住吉 君彦君         文部事務官         (大学学術局庶         務課長)    蒲生 芳郎君         自治事務官         (行政局行政課         長)      岸   昌君         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 三月三日  厚生省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一二九号)  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出第  一三〇号)  北海道開発法の一部を改正する法律案内閣提  出第一三四号) 同月六日  通商産業省設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一四一号) 同月九日  特殊海事損害の賠償の請求に関する特別措置法  案(内閣提出第一二二号) 同月六日  建国記念日制定に関する請願西村英一君紹  介)(第一〇三三号)  同(小山長規紹介)(第一〇四八号)  同(濱田正信紹介)(第一〇四九号)  同(松浦東介紹介)(第一〇五〇号)  同(田口長治郎紹介)(第一〇六六号)  同(神田博紹介)(第一〇七七号)  同(金子岩三紹介)(第一〇九一号)  同(笹本一雄紹介)(第一〇九二号)  同(長谷川四郎紹介)(第一〇九三号)  同(伊藤幟紹介)(第一一一九号)  同(徳安實藏紹介)(第一一二〇号)  同(長谷川四郎紹介)(第一一二一号)  同(上村千一郎紹介)(第一一五一号)  同(松浦東介紹介)(第一一七四号)  同(保科善四郎紹介)(第一一七五号)  同(野田武夫紹介)(第一一七六号)  同(中馬辰猪紹介)(第一二一二号)  同外二件(川野芳滿紹介)(第一二三七号)  恩給の不均衡是正に関する請願金子岩三君紹  介)(第一〇五二号)  傷病恩給是正に関する請願秋山利恭君紹  介)(第一〇六五号)  同(服部安司紹介)(第一一五二号)  同(岡本茂紹介)(第一二〇五号)  同(中馬辰猪紹介)(第一二一三号)  米軍横田墓地による昭島市堀向地区騒音防止  に関する請願中村高一君紹介)(第一〇九四  号)  同(山花秀雄紹介)(第一〇九五号)  同(福田篤泰紹介)(第一一七七号)  米軍横田基地による砂川町中里地区騒音防止  に関する請願山花秀雄紹介)(第一〇九六  号)  国際会議場を箱根に建設の請願森島守人君紹  介)(第一一一七号)  同(小泉純也君外一名紹介)(第一一七三号)  金鵄勲章年金及び賜金復活に関する請願池田  清志君紹介)(第一一一八号)  同(八田貞義紹介)(第一二三八号)  自衛隊那加飛行場による岐阜県那加町の騒音防  止に関する請願外九件(田口誠治紹介)(第  一一五三号)  紀元節復活に関する請願塚田十一郎紹介)  (第一二一一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術会議設置法の一部を改正する法律案(  内閣提出第三一号)  総理府設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第四八号)  北海道東北開発公庫法の一部を改正する法律案  (内閣提出第四九号)  原子力委員会設置法の一部を改正する法律案(  内閣提出第五〇号)  厚生省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一二九号)  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出第  一三〇号)  北海道開発法の一部を改正する法律案内閣提  出第一三四号)  通商産業省設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一四一号)      ————◇—————
  2. 久野忠治

    久野委員長 これより会議を開きます。  厚生省設置法の一部を改正する法律案議題とし、政府より提案理由説明を求めます。安藤厚生政務次官
  3. 安藤覺

    安藤(覺)政府委員 ただいま議題となりました厚生省設置法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、公衆衛生局環境衛生部廃止して環境衛生局を設置するとともに、新たに付属機関として国立がんセンター及び社会保険研修所を設けること等をその主たる内容とするものであります。  まず改正の第一点は、公衆衛生局環境衛生部廃止し、環境衛生局を設置することであります。御承知通り国民生活水準向上に伴いまして、生活環境の改善に関する要望は近年とみに高まりつつあるのでありますが、健康で文化的な国民生活を確保するため、広範な領域にわたる環境衛生行政を積極的に推進いたしますことは、現下の急務であります。このため現行公衆衛生局環境衛生部が分掌しております環境衛生関係行政の効率的な遂行を確保いたしますとともに、その責任体制明確化をはかりますため、独立の局として環境衛生局を設置しようとするものでりあます。  改正の第二点は、付属機関として国立がんセンターを設置することであります。ガンにつきましては、近年これが増加の一途をたどっているにもかかわらず、完備した専門の医療及び研究機関に乏しく、ガンに関する医療及び研究は今なお不十分な状況にありますので、国の責任において、ガンに関する総合的な機関を設置し、その診断及び治療並びに調査研究を強力に推進しようとするものであります。  改正の第三点は、付属機関として社会保険研修所を設置するとこであります。国民年金を含む社会保険に関する事務は、専門的、技術的分野にわたるものが多いのでありますが、制度整備充実によりその事務が増大して参ったところでありますので、職員研修計画的に行なおうとするものであります。  改正の第四点は、医療制度調査会設置期間を一年間延長することであります。医療制度調査会は、国民保険の進展と医療事情の推移にかんがみまして現行医療制度等について根本的検討を行ないますため、昭和三十四年度から二年間設けられることになったものでありますが、諸般の事情により発足がおくれた経緯等もあり、いまだ審議が十分に尽くされたとは申せない状況でありますので、その設置期間を一年間延長しようとするものであります。  なお、これらの改正のほか、引揚援護局名称援護局に、病院管理研修所名称病院管理研究所に改める等の改正を行なうことといたしております。  以上が法律案提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。      ————◇—————
  4. 久野忠治

    久野委員長 次に、北海道開発法の一部を改正する法律案議題とし、政府より提案理由説明を求めます。小澤国務大臣
  5. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 ただいま議題となりました北海道開発法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  北海道開発法に基づき、昭和二十五年に北海道開発庁が、設置せられまして以来十年余を経過しすでに北海道総合開発第一次五カ年計画を完了し、現在第二次五カ年計画遂行中でありますが、この間事務の分量も逐年増加の傾向にありますのみならず、最近に至り、政府において所得倍増計画等の策定を見、これに伴い地域開発の問題は新局面を現出するに至っておりますので、北海道開発庁におきましても、この際機構を整備して、責任体制の確立と事務執行能率化をはかることが必要となって参ったのであります。  次に、北海道開発庁地方支分部局である北海道開発局所掌事務に関しまして、産業開発青年隊事業実施等若干の追加をいたす必要が生じて参っておりますので、これらにつきまして改正を行いたいと存ずるのであります。  以上がこの法律案を提出する理由でありますが、次にその要旨について御説明申し上げます。  改正の第一点は、北海道開発庁総務部及び開発部を設置することとし、北海道開発法第六条にこの規定を設けるものであります。  改正の第二点は、北海道開発局所掌事務に関し、その受託工事の相手方として公団公庫等増加したのに伴い。日本道路公団等五団体を追加するとともに、従来建設省の地方機関において実施しております産業開発青年隊事業北海道開発局においても実施することとするものであります。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。      ————◇—————
  6. 久野忠治

  7. 砂原格

    砂原政府委員 通商産業省設置法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。  本法律案を提出いたしました理由は、第一に通商産業省付属機関として新たに審議会を設置するとともに、既存の審議会の一部を廃止する等の措置を講ずることであり、第二に通商局及び企業局所掌事務等に関する設置法規定に関し所要改正を行なうことでございます。  まず審議会に関する事項について御説明申し上げますと、その第一は、産業構造調査会新設でございます。わが国経済の高度の成長を今後も長きにわたって持続し、国民福祉向上をはかるには、将来の雇用事情や内外の需要動向等に即応した産業構造の改変を進めることが必要とされるのでありますが、貿易自由化とともに激化する国際競争の渦中にあって、このような産業構造高度化を実現することは、まことに容易ならざることと申さねばなりません。  かかる課題に対処するためには、産業の実態を総合的に把握し、産業の内部及び産業相互間に包蔵する問題点を解明して、今後の産業構造あり方について検討するとともに、こうした産業構造を実現するための対策を確立することが必要であり、この産業構造調査会において、貿易為替自由化計画の完了する昭和三十八年度を一応の目途として、学識経験者に慎重な調査審議を行なわしめたいと存じた次第でございます。  第二は産炭地域振興審議会新設でございます。石炭鉱業構造的不況は、産炭地域に深刻な疲弊をもたらしておりますので、この地域において鉱工業を多角的に開発して、その振興をはかるとともに、地元の石炭需要を拡大して石炭鉱業合理化に資することとし、このため新たに産炭地域振興審議会を設け、当面三十八年度末を一応の目途として産業開発を中心として産炭地域振興に関する事項を十分審議せしめ、急速かつ計画的に産炭地域振興対策を推進して参りたいと存じております。  第三は、石炭鉱害対策審議会新設でございます。今日石炭鉱害は深刻な社会問題となっておりますが、かかる石炭鉱害を復旧するための基本法である臨時石炭鉱害復旧法昭和三十七年七月までに失効することとなっております。このためとりあえず今国会においてその延長を御審議願うこととしておりますが、すでに同法は施行以来九年に近く、実情にそぐわない点も多々生じておりますので、この際学識経験者からなる審議会を設け、一年間を限り同法を慎重審議することにより、実情に即した抜本的な鉱害対策を樹立いたしたいと存ずる次第であります。  第四は、鉱業法改正審議会期限延長でございます。同審議会昭和三十四年六月に設置されて以来、鉱業法改正について鋭意審議を続けて参ってきたのでありますが、御承知通り同法は歴史も古く、他法令との関連においても種々調整を要する重要な問題がございますので、全面的、根本的な検討を行なう必要があり、このため同審議会期限を現在の三十六年三月三十一日からさらに一年間延長することによって、十分な審議を尽すことといたしたいと存ずる次第でございます。  第五は顧問会議廃止でございます。顧問制度につきましては、従来の運用の経験からしまして会議体として運営いたしますよりは、むしろ各個に顧問として重要施策に参画を願い、必要に応じ会議を開催して意見を徴することの方が妥当であると考え、審議会増加をできるだけ防ぐという国会の御趣旨にもそって、今回顧問会議廃止に踏み切った次第でありますが、顧問制度そのものは何等かの形で今後も十分活用して参りたいと存じております。  次に通商局及び企業局所管事務に関する設置法規定改正でございますが、第一に通商局所管事務に関する改正といたしましては、今後の通商面における関税政策重要性にかんがみ、通商政策にかかわる関税事務等に関する通商局所管事務規定を明確にすることといたしたいと存じます。  第二に企業局所管事務に関する改正といたしましては、産業立地に関する業務が最近年々増加しており、さらに今国会において御審議願っております工場立地調査等に関する法律改正が成立いたしますと、一段と業務内容が多様化することとなりますので、この際企業局所管事務に関する規定産業立地に関する規定を加えることといたしたいと存じます。  また企業局におきましては、昭和二十七年度以降、国連児童基金に対し物資役務を提供する業務を行なって参っているのでありますが、提供額も逐年増加している上に、さらに今年度以降国連児童基金の希望により、同基金による物資役務調達委託業務をあわせ行なうこととなりましたので、この際これらの業務に関する設置法規定を明確にすることといたしたいと存じます。  以上がこの法律案内容及びその提案理由であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望する次第でございます。      ————◇—————
  8. 久野忠治

    久野委員長 次に、恩給法等の一部を改正する法律案議題とし、政府より提案理由説明を求めます。藤枝総務長官
  9. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明いたします。  恩給に関する問題点につきましては、昭和三十三年法律第百二十四号によりまして、同年度から昭和三十六年度にまたがる四カ年の期間計画による恩給是正措置が講ぜられ、問題の大筋が解決せられましたことは、すでに御承知通りであります。しかしながら当時右法律審議の際、衆議院内閣委員長からなお残された問題として善処方を要望された事項もあり、政府においてもその後検討を重ねて参りました結果、かねての懸案でありました旧軍人に対する加算の取り扱いその他制度的に補足修正を要するものについて、所要措置を講じ、恩給給与の公平を期することが適当と認められましたので、今回これに必要な法律改正を行なおうとするものであります。  その第一点は、旧軍人等に対する加算の問題であります。旧軍人等としての在職年につけられる加算年は、昭和二十一年勅令第六十八号施行前に権利の裁定を受けた者、すなわちいわゆる既裁定者についてはこれを認め、普通恩給扶助料給与しているにかかわらず、いわゆる未裁定者についてはこれを認めないこととしているために、恩給上の処遇に開きがあることは御承知通りであります。そこでこれら実在職年だけでは普通恩給年限に達しない旧軍人等のうち、戦地、擾乱地、その他外国外地に認められていたいわゆる地域加算を認めたならば、この年限に達することとなる人々及びその遺族に対し、普通恩給扶助料を支給する道を開こうとするものであります。  第二点といたしましては、恩給法上の公務員外国政府職員または日本医療団職員在職期間を持つものにつきまして、これらの期間通算して恩給給与しようとするものであります。外国政府職員期間通算につきましては、すでに昭和十八年恩給法の一部改正によりまして、日本国政府から外国政府に派遣され、再び日本国政府に復帰したものにつぎ通算の道が開かれておりましたが、終戦後の特殊事情により復帰し得なかったものがあり、それがため通算の利益を受けることのできない人々がありますので、これに当時の制度を拡大して適用しようとするものであります。また終戦による外国政府の解体及び日本医療団業務政府移管に伴い恩給法上の公務員となった者につきまして、退職後の処遇必要最小限度において、この外国政府職員または日本医療団職員在職期間通算することとしようとするものであります。  第三点は、いわゆる旧軍人遺族に対する特例扶助料に関する措置でありまして、この特例扶助料は、いわゆる営内居住の兵、下士官等が、大東亜戦争下において職務に関連して死亡した場合に支給せられるものでありますが、今回陸海軍学生生徒等の準軍人についても同様の事情にある場合には、この特例扶助料給与することとしようとするものであります。  第四点は、傷病恩給に関する是正措置でありまして、その一つは、傷病恩給における間差、すなわち各項款症間年金額の比率が、現在第四項症以下の項款症において比較的中だるみとなっております事実を考慮し、その是正をはかろうとするものであり、またその二は、増加恩給を受ける者の退職後の子女加給につきまして四人を限るという現行の制限は、これを撤廃いたそうとするものであります。  第五点は、昭和二十三年六月三十日以前に退職した文官恩給についての措置でありまして、これら旧文官恩給につきましては、過去両三度にわたって格づけの是正が行なわれたのでありますが、なお、一部旧高等官を含み旧判任文官の層において若干の是正をすることが適当と認められましたので、所要調整をいたそうとするものであります。  なお、以上述べました措置に基づく恩給給与につきましては、加算により旧軍人普通恩給を受ける者については昭和三十七年十月から、増加恩給に関する退職後の子女加給については同年一月からといたしましたほか、すべて昭和三十六年十月からその給与を始めまたは年額を改訂することといたしております。  以上がこの法案提案理由でございます。何とぞ慎重御審議の上、御賛成下さるようお願いいたします。
  10. 久野忠治

    久野委員長 各案についての質疑は、次会に譲ることといたします。      ————◇—————
  11. 久野忠治

    久野委員長 次に、科学技術会議設置法の一部を改正する法律案総理府設置法の一部を改正する法律案北海道東北開発公庫法の一部を改正する法律案及び原子力委員会設置法の一部を改正する法律案の四案を一括議題とし、質疑を許します。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。山内広君。
  12. 山内広

    山内委員 私はただいま議題となりました北海道東北開発公庫法の一部を改正する法律案について若干お尋ねいたしたいと思います。  この法律案は、副総裁一人を置きたいというだけでありまして、法案そのものは非常に単純なものであり、別に問題もないわけであります。しかしながらこの公庫が誕生いたしましてからすでに五年を経過し、その事業提案理由説明の中で自画自賛しておられます通り、非常に飛躍的な拡大をはかっております。そういうことで、この衝に当たられる職員の御努力に敬意を表しながら、この際一応公庫あり方について若干再検討を加えてみる段階に到達した、そういう考え方から二、三現状についてお尋ねしておきたいと思うわけでございます。  申し上げるまでもなくこの公庫は、資本金が一千万で従業員三百名以上を有するという、いわば大企業融資対象になっているわけであります。そこで最初にお尋ねしておきたいのは、この公庫融資対象となる大きな企業北海道には幾つあるのか、東北には幾つあるのか、まず数を聞きたいと思います。もしお手元に材料があるとするならば、この公庫で発表しております業種別−これは幾らもありません。十か十五、六もありましょうか、業種別でおわかりになればなおけっこうであります。なければ大まかな数字でけっこうですが、お聞きしたいと思います。
  13. 木村三男

    木村(三)政府委員 融資対象資本金別階層別のものは今手元に持っておりませんので、総件数について、東北北海道に分けまして申し上げたいと思います。件数で申し上げますと、これは三十六年の一月三十一日現在でございますが、北海道支店で扱いましたのが三百七件であります。
  14. 山内広

    山内委員 それは私も資料を持っております。そうでなく、対象になる事業が幾つあるか……。
  15. 木村三男

    木村(三)政府委員 わかりました。業種を分けますといろいろに分かれますが、北海道で申し上げますと、石灰石利用工業、これが十八でございます。それからガス利用工業三でございます。石炭利用工業二十五、木材利用工業五十一、てん菜糖工場十四、水産農産物加工及び貯蔵業五十八、鉄鋼業八、非鉄、合金鉄の採掘と精練所十一、船舶三十一、港湾施設二十五、内陸運輸及び倉庫業二十五、造船、車両機械工業十六、石油精製業三、製塩、ソーダその他の化学工業十、その他が九で三百七でございます。以上が北海道関係でございます。東北の場合は、今の順序で申しますと、それぞれ八、三十六、十三、二十五、十三、十二、零、二十二、十八、四十二、七、二、十六、十七、零、十八、二十七、計二百五十一でございますが、 口頭ではちょっと不明な点もあると思いますので、この点資料にして差し上げたいと存じます。
  16. 山内広

    山内委員 私お尋ねしたかったのは、今の資料も大事な資料ではありますけれども、対象となっている事業場のうち何%が融資を受けておるのか。今御説明のあったのはたしか融資対象となったものを事業別にお話しになったと思うのですが、私はそうでなく、現在その対象となる一千万以上の資本金従業員三百というと非常に大きな事業場であります。私は今のお話から三百七、東北二百五十一という数字が出されまして、これは多過ぎはせぬかという考え方を持って今お尋ねしたわけなんです。一体それだけの大きな事業所が現実に幾らあるのか。そうしますと、これが北海道の場合は六百十四あればちょうど五〇%融資を受けておるということになりますから、その事業場の数をお尋ねしておるのです。
  17. 木村三男

    木村(三)政府委員 一千万円以上の法人で公庫融資対象となります企業数を申し上げますと、これは概数でございますが、北海道五百四十五、東北六百六十六、計千二百十一というのが概括的な調査の結果として出ております。
  18. 山内広

    山内委員 今数字をいただきまして直感するわけでありますけれども、先ほどちょっと申し上げました通りこの数字は少し大きいように私は思う。これはどういうことでお出しになったかわかりませんが、私もよく税金の滞納とかなんとかの資料を見ますと、大体大企業、中小企業の区別は一千万円以上の資本金、三百名以上の従業員、そういうことで分けておりますし、公庫法の施行令か何かでも確かにそのことはうたってあったと思います。そこで今の御説明対象となる事業所というだけであって、ちょっと法律から見ましても、いわゆる公庫ですから相当の制約を受けるわけであります。あまり無制限に拡張解釈されてもなんだからお尋ねしておくわけであります。対象になるものということは、この一千万円、三百名以上の従業員のほかに、もっと対象になるものがあって、この中に含まれているかどうか、そのことをちょっとお聞きしたい。
  19. 木村三男

    木村(三)政府委員 御指摘の通り公庫法第十九条でもって、業務対象とする業種というものが制限されております。これは法律で五つの範疇に分けておることは御承知通りであります。そういう関係以外は手を広げないということになっておりますので、公庫がいろいろアンケートする場合も、大体その範囲内のものを調べてこういう資料ができることになっておりますので、詳細につきましては、まだこのほかにもあることはたくさんありますが、洗いざらい調査した資料というものが手元にございませんことをお断わりしておきます。
  20. 山内広

    山内委員 当面の公庫の方でありませんから、おわかりにならないことは無理もないことは無理もないと思いますが、この問題について一つお伺いして次に移りたいと思います。それはこの公庫はもちろん北海道東北地方の産業振興開発のためにやるわけでありますけれども、会社が北海道東北に所在するだけが対象になるのか、あるいは内地に本社を持ちながら事業場だけを北海道東北に持てばそれも対象になるか、それだけの法解釈を一つ承っておきたい。
  21. 木村三男

    木村(三)政府委員 北海道東北事業を営む事業場関係の設備資金を供給するということがありまして、本社関係がほかの地域でもかまわないという解釈であります。
  22. 山内広

    山内委員 そこらが私の考え方よりも数がふえておる理由ではないかと思います。これは非常に問題があるわけでありまして、本社が東京にある、単に事業場北海道に持っている、東北に持っている。それも融資対象にして金をどんどん貸すということは、公庫としてこれは私どもの立場からも一つ判断をする必要があると思いますので、その点はまた資料をいただいてからいろいろ意見も申してみたいと思います。  それから実はついでですが、地方自治体は融資対象になるのか、その上もお伺いしておきたい。
  23. 木村三男

    木村(三)政府委員 なりません。
  24. 山内広

    山内委員 わかりました。それでは問題を次に移しまして、政府公庫融資金を貸す場合の利子は幾らで、公庫がさらにこういう各事業場に貸す場合の利子は幾らで貸しておるのか、それをちょっとお伺いしておきます。
  25. 木村三男

    木村(三)政府委員 資金運用部からの借り入れは年六分五厘でございます。それから貸付金利と申しますか、公庫から貸す場合の金利は年八分七厘でございます。
  26. 山内広

    山内委員 政府が六分五厘で公庫に貸し付けて、さらにそれを八分七厘で回して、その間が利益ということになるわけであります。そこで公庫の現在の成績の模様でありますが、最近非常に成績を上げられまして、八百億からの運転資金になっておることは、提案理由説明の中でそう申されておるわけであります。そして現在は黒字になっておりますが、政府が六分五厘で貸し付けて公庫から現在まで受け取っておる利子と、それからもうすでに公庫は納付金を最近払っておるわけであります。だいぶ相当の金額になっておりますが、これが幾らになったか、それをちょっと御説明いただきたい。
  27. 木村三男

    木村(三)政府委員 納付金を納めるようになりましたのは、三十四年度からでございます。それまでに運用利益その他がありましたら、滞り貸し準備金の方に内部留保いたしますので、一定の基準によりましてはじきますが、三十三年まではなくて、三十四年度から納付金を納めるようになりました。三十四年度と三十五年度と合わせまして約四億の国庫納付をすでにいたし、またいたそうとしている状況でございます。
  28. 山内広

    山内委員 利子は幾ら払っておるのですか。
  29. 木村三男

    木村(三)政府委員 利子というのはどの利子でございましょうか。
  30. 山内広

    山内委員 政府から六分五厘で借り入れておりますものです。
  31. 木村三男

    木村(三)政府委員 創立以来でございましょうか。
  32. 山内広

    山内委員 今までのトータルで……。
  33. 木村三男

    木村(三)政府委員 それはちょっとはじかないと、五つの事業で取りまとめているものですから、積算させていただきませんと……。
  34. 山内広

    山内委員 わかりました。大体お聞きした点で、公庫の現在の姿が私なりに理解されたわけであります。そこで、これは多少私の私見になりますけれども、これからの公庫をどういうふうに運営していくかということについて、開発庁の考え方をちょっと伺っておきたいと思います。今お話のありました通り、わずか五年足らずですでに利子を支払ったばかりか、政府に対して約四億の納付金までできるようになった。これは非常な努力であり、公庫の立場からすれば非常な成果だと思います。苦労もされたことと思います。先ほどのお話では貸付の利子を八分七厘、前はたしか九分であったものを若干、三厘でも引き下げたということは、やはり成績に対する一つの結果であり、これは望ましいことだと思うわけであります。しかし六分五厘で政府から借りて、さらにそれを八分七厘で貸し付ける。この差というものは大きいと思う。約四億の政府に納付金をするよりも、こういうものはぐんぐん安い金を使わせるという態度が基本的でなければならぬ。納付金というものは一体どこまでやるのか。貸し倒れ準備金ですか、名前は別かもしれませんけれども、先ほどお話もありましたが、そういうものももちろん必要なことでありますから、一体この政府納付金というものをどこまでやるお考えなのか。それから今の低金利政策をどこまでおとりになるおつもりか、その辺をはっきりお聞かせいただきたいと思います。
  35. 木村三男

    木村(三)政府委員 事務的な面からお答えいたしますと、あとの方の問題を初めにお答えする順序になりますけれども、準備金の関係でございますが、現在のところは期末残高の千分の十五というものを見てやっていくわけであります。その関係でやっていきますと、だんだんふえていってしまう。そこでほかの公庫の場合などを考えまして、たとえばある限度までいったら、もうそこで引き当ての方はやめるというようなことも研究すべきではなかろうか、それは関係官庁との間で検討いたしております。  それから納付金の制度につきましても、実は政府出資関係で二十五億の資本金が出ているわけなんでございます。この公庫だけではなくて、ほかの関係の政府機関におきましてもそれぞれ政府の出資がございまして、それに対する適正な配当と申しますか、フェア・リターンと申しますか、たとえば五分とか一割とかというようなところは、やはり一つのめどをきめなければなるまい。もうかれば全部納付してしまうという行き方はどうだろうかということも、やはり研究問題になっておりまして、つまり政府出資に対するフェア・リターンというものをどの程度に置くべきかということは、今後の問題として考えまして、その問題の限度というものをやはりだんだん打ち立てていく必要があるのではなかろうかと、事務的には考えております。  次に問題になりますのは、そういうふうに引当金なりあるいは国庫納付というものについてのある程度の考え方をまとめて参りますと、せっかくの回収金あるいは利子というものを再び還元して、安い金利で奉仕できるように持っていくのが、開発公庫としての使命にかなうゆえんではなかろうか、そういうこともあわせて考えておりまして、関係方面といろいろと協議中でございます。
  36. 山内広

    山内委員 今事務的なお話ということで回答があったわけですが、もっと政治的な御意見も実は承りたいわけであります。と申しますのは、いわば政府は金貸しをやっておる。六分五厘という金を回しておる。それを焦げつきもなく利子を全部返済しまして、私もここへ資料をいただいたわけでありますが、まだよく見ておりませんが、これはおそらく膨大な利子になるわけであります。そのほかにまた金がもうかりましたから、これを国庫へ納めますということで、金貸しの利子の上に、また謝礼金を出しておる。いわば公庫は金貸しの番頭さんでありますけれども、そこまで政府に忠義立てをする、番頭の任務を果たす必要はないので、これはやはり利用した人たちのお金でもうかったのですから、この人たちに還元する、今度は利子を安くしてやる、これも一つ。それからもう一つはこれは私見になってあるいはどうかとは思いますけれども、たとえば公庫対象は、さっき申しました通り一千万以上の三百人以上を使用するという、北海道でも実にわずかの、一握りのほんとうの大きな事業所であります。対象は五百何ぼと出ておりますけれども、まだまだこれはずっと下がっておる。そういう人たちのために、公庫という大きな組織を置いて、そして金を運用させて、もうけさせておる。ところが逆にその公庫対象にならない小さい企業は一体どうなっておるのか。中小企業金融公庫とか国民金融公庫とか、そういうものの融資を受けておりますけれども、これがまことに狭き門なわけであります。そこでここには長官もおいでになりますが、一つ政策的に御判断いただいて、これを間接的な投資と申しますか、収益が上がったら政府に納付金をするよりも、全額でなくとも、納付金の半分くらいなり三分の二は、そういう中小企業金融公庫とか国民金融公庫に話し合いで貸し付けて、それを対象とならない小さいものに間接的な投資をしてやる、こういうことも私は公庫として一つの使命を果たすゆえんだと思う。こういうお考えがあるのかないのか。また労働金庫のような労働者を対象にしたようなものも、融資の資金がなくて困っておる。そういうときに金貸しのさらに謝礼をするよりも、そういうところに還元して、地元民を均霑させてやる。この考えに対してはどうお考えになるか。政治的な御判断を承りたいと思います。
  37. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 政府で金融事業をやっておりますのには、まず中小企業向け、そういうふうなものはそういう別な機関がありますので、その方でやっていきますが、先ほどお示しの利息をだんだん安くするという方面におきましては、今回三厘だけ下げたのですけれども、なお下げられれば下げていこうという考えでおります。そしてその利益を還元するという考えでおります。
  38. 山内広

    山内委員 長官は私の申し上げていることを十分に御理解いただいていないと思う。もちろん中小企業金融公庫とか国民金融公庫のあることは私も申し上げた通りであります。そしてそういう機関と競合してはいけないというのも、法の建前であります。ですから現在の公庫においてそういう間接の投資のできないことは私も承知しておる。ただ正規にきめられた利子を払った以上に利益があったからといって——株式なら株主に配当できますが、これはできないのですから、当然跡始末は政府に納金されるわけです。政府だって何も金貸しが目的でありませんから、きまった六分五厘の利子が入ればいいわけであります。それ以上のものは私は別に期待していないと思う。そこで、法律はそういうことはいかぬということで禁止しておりますけれども、直せばこの国会で直せるのですから、公庫に対してそういう利益があったら利益の半分は間接投資をしてやれ、中小企業金融公庫なり国民金融公庫なり労働金庫に貸し付けるだけの権限を公庫の総裁に与えればいいわけです。そういうふうにしていけば、三百人以上、一千万円以上の大きな企業だけが潤うのじゃなくて、そこでもうかったものが下部に浸透していくではないか、こういうことは公庫の性格として当然とるべき態度である。利子を下げるということも、確かに長官の言われる通り悪いことではない。しかしそれは大企業だけが潤うということで、中小企業の今までの融資対象にならないものに対する救いの手といいますか、あたたかい手を、こういう余剰が出た場合に政府はしぼり上げないで、そういうものを地元の住民に還元する御意見があるかどうかということをお尋ねしております。
  39. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 それは、この建前が大体にこの北海道開発の方はしぼって出ておりますので、法律改正すればできないことはないのであります。しかしながらその法律改正問題は二重になるおそれもありますし、諸般の事情から、もう少し研究してみたいと思っております。
  40. 山内広

    山内委員 諸般の事情から研究されるというのでありますから、大いに御研究いただきたいと思うわけであります。これはそういう考え方に立てば法改正はそうめんどうでもないし、私はそういくべきだと思う。あるいは一千万以上の資本金というものをぐっと下げて、五百万以上を対象にすることもできましょう。従業員三百人以上というものを百人以上というように融資のワクを拡大することもできましょう。そういうことであまり大きな企業だけを救うという任務を背負っておることになりますと、公庫の今のどんどん増大していく事業成績は一応終止符を打たなければいかぬじゃないか。もうこれ以上拡大していく必要がない、私どもはそういうふうに判断をせざるを得なくなる。そういうことで公庫あり方を再検討していただきたい、こういうわけですから、一つ大いに研究してもらいたいと思います。
  41. 緒方孝男

    ○緒方委員 関連して。今の質問の中から、今の規定ではその運用の中でもって一千万以上の資本金、三百人以上の従業員を持つものを対象にする条件がついておる。これはやはり金融した場合の返済能力というものを重要視して、そういう基準を作っているのだろうと思いますが、その基準を出している目的は一体何か、御説明願いたい。
  42. 木村三男

    木村(三)政府委員 法制上の問題でございますので、私からお答えいたします。政府関係の金融機関が幾つかありまして、それぞれ分野をきめていくという趣旨から申しまして、資本金一千万円以下のもの、それから従業員三百人以下のものは、中小企業金融公庫の方で同じようなことを取り扱う。従って開発公庫の方ではそれとダブらないようにということで、資本金の制限だけしてございます。つまり千万円より上、従業員三百人というものは書いてございませんから、三百人以下のものであって——両方の条件から縛ってございますので、はっきり分かれているわけではありません。多少そこでダブります。資本の制限でございますから、従業員の関係で小さなものでも公庫の方では救えるということになっております。そんな関係で、返済能力とかなんとかではなくて、政府関係のいろいろな金融機関業務調整ということからきていることでございます。
  43. 緒方孝男

    ○緒方委員 そうしますと。開発銀行法の方を改正しない限りは、それをどうすることはできないというわけですか。開発銀行ということになると、北海道だけの特別な公団対象をしてやっておるのであるならば、その東北北海道関係開発条項の適用を別に考えてもいいのじゃないか。その点を……。
  44. 木村三男

    木村(三)政府委員 開発銀行のお話も出ましたが、開発銀行は全国を対象といたしまして、あの問題で東北だから貸さない、北海道だから貸さないということはないのであります。それから中小企業金融公庫もやはりそうなんであります。国民金融公庫もそうなんであります。分野協定になりまして、北海道東北でこっちの分野だけは北海道東北開発公庫にやらせるというふうにして分野協定してありますので、全面的に包括するかどうかということは、金融機関あり方としていろいろ検討を要する問題もございますので、私からは、建前がそうなっておるということだけしかちょっと申し上げられないのであります。
  45. 緒方孝男

    ○緒方委員 さきの質問者が言われましたようにこの東北北海道開発ということが、特定の会社や資本家の便宜をはかるだけのことでなくて、東北北海道開発に従事し、かつまたその地域におけるところの産業発展に協力しておる幾多の零細な人たちに救済の手を差し伸べることこそ、東北北海道開発の目的を果たすものじゃないだろうか。今の御質問の中から参酌いたしますならば、大きな会社の開発に伴う金もうけのお手伝いにしかなっておらないという弊害が指摘されておる、こういうふうに私は考えるわけです。だから、東北北海道のような地域でありますならば、もっと零細な人たちに、特別に金融機関との関係もなく、資本金の脆弱なところに金を回して開発に従事させていくという便法を講ずるように努力してもらわなければならないのじゃないか。そうするならば、先ほど言いましたように、資本金五百万円なら五百万円、三百万円なら三百万円という線まで引き下げるように、努力がはっきりとお約束されるものならしていただきたいという気持で申し上げておるのですが、その点はどうでしょうか。
  46. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 先ほどもお答えしたように、一応建前がこうなっておりますので、今仰せになった御意見は傾聴に値しますけれども、よく研究しまして善処することにします。
  47. 山内広

    山内委員 では、あと少しばかり質問申し上げたいと思います。開発公庫の機構の問題でありますが、今度副総裁を設けられて、提案理由の中に御説明もあります通り北海道東北とを合わせた一つの公庫ということは、今の業務内容から見てもう若干無理が来たのではないか。地域的にも申し上げられますし、また行政の内容からいきましても、北海道北海道開発法という特別の法によって独自の開発をやっております。いろいろな面でもう二つに分けていい時代ではないかと、私も実はしろうとながら考えるわけです。そのことは、あるいは副総裁を設けられるという考え方はそれの前提としてお出しになっておるのかどうかわかりませんが、もしそうだとすれば、はっきり申されても、もうそういう時代だと私どもも考えておるわけです。これが三十一年に発足しましたときは、北海道だけでありますから一つの公庫で、あとからできた公庫を包含した。しかも最初の場合には、人件費とか事務費を節約するという考え方が基礎でなかったかと思いますが、これを一つに発足したということは、当時においては賢明な措置だったと思います。しかしこれだけ事業が拡大もされましたし、もう人件費の節約ばかりを考える必要はない。理事四名のうち、二人は北海道に張りつけて置く、もう二人は仙台に置いておくのだ、提案理由にもこういう説明をされております。このお考えはどういうことか。いつまでも両方合わしておくのか、近く分離するお考えなのか、その点をちょっとお伺いしたいと思います。
  48. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 今これを分離するしいう考えは持っていないのであります。そこでなお業務量の面から言っても能力の見通しがついておりませんので、この一本の姿でしばらくは進む考えでおります。
  49. 山内広

    山内委員 長官がそういうお考えならば、あえてこれは妨げるわけではありませんけれども、東北北海道にはそれぞれの個性があって伸びて来ておると思う。一つの公庫に対して政府資金のワクがきまって、それをお互いに北海道だ、東北だというぶんどり合いをやっておるかどうかわかりませんけれども、ぶんどり合いのないようにするためには、一定の比率でもって六分は北海道、四分は東北、まあそんな均衡を破らないような考え方が先に立つと思うわけです。これは総裁としてそう判断するのが当然です。そうしますとお互いに個性というものが今度は生きてこない。そういう意味で、分離されておって、お互いが独自の立場から政府にいろいろ意見も述べ、必要な経費は、独自に出してもらうということが、かえって公庫の一つの歩き方としては望ましいことになりはせぬか。これは私見でありますがそういう考え方からこれも御検討いただきたい。これも希望でございます。  最後に一つだけ申し上げておきたいのでありますが、今度出されました改正案によりますと、総裁の任命権者はもちろん主務大臣のわけであります。ところが今度できます副総裁は、公庫の総裁が任命権者で、主務大臣の認可を得るというここになっております。このことは、たくさんよそにも公庫がありまして、実はいろいろ任命権者のことも調べていただいたのでありますが、各公庫によって多少の相違があります。今ちょっと話の出ましたように、一つの公庫ではあるけれども、現実に地域が二つに分かれており、支店も二つある。そういうことで理事も二人ずつ分かれて両方に常駐しておる。おそらく総裁、副総裁も、こっちの公庫には総裁、向こうには副総裁というような形が自然に生まれてくるのではないか。そういうことで非常な権限を持った副総裁であります。特に第九条の改正事項を見ましても、総裁が病気で休んでおるとか、あるいはこれは失礼な言い方になるかもしれませんが、ロボット的な総裁を立てても副総裁はどんどん仕事がやれる。この九条はそれだけの非常に広範な権能を持った副総裁になっておるわけです。そういうわけで公庫の性格から見てこれは任命権者を主務大臣にするのがほんとうではないか。単に認可を受けて総裁がするということになりますと、公庫の性質から見て望ましくない、そう私には判断されるわけでありますが、これについての御意見はどういうものでありますか。
  50. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 この問題は立法の一つの例でありまして、この種の金融機関は、主として総裁がすべてを任命しまして政府の認可を受ける建前で規定しておるのであります。でありますから、立法論としてはどちらがいいかということは問題でありますけれども、政府の金融機関は大体この線でいっておりますから、そう御承知を願いたいと思います。
  51. 山内広

    山内委員 そういう御答弁であれば、これも見解の相違にもなりますので、そのことは固執いたしません。また資料があとから届けられるそうでありますから、いただいた上でお聞きすることがあればお聞きすることにいたしまして、これで一まず終わりたいと思います。
  52. 久野忠治

  53. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 科学技術会議設置法の一部改正について若干質問したいと思います。  現在科学技術の振興に特段の力を注がなければならぬということは、よくわれわれがわかっておるわけです。そういう情勢下にあるために、「このような情勢に対処して、国として総合的な科学技術振興策を樹立し、これを強力に推進していくためには、極力科学技術会議を活用いたしまして、その活発な活動を期待することが最も適切であると考えます。」と提案理由説明でおっしゃっておりますが、これもそれなりに理解できます。しかし当初本法が成立したときの審議状況に照らし合わせてみると、どうもふに落ちない。それは二名増員ということ、それから新たに増員される二名の方は非常勤であるということであります。なぜ私がふに落ちないと言うかと申しますと、三十国会で本法案説明が行なわれましたときに、「科学技術会議のこのような任務の重大性にかんがみ、その組織には他の一般の諮問機関と違った大きな特色を持たせているのであります。」といって四つの柱を強調しておられるわけです。普通の諮問機関よりも一段上位に位するくらいの権威のある会議なんだということを力説されておられたわけであります。そういう特殊な性格をどういうところで持たせているのか。当時御説明を聞きますと、まず第一は議長には総理大臣が当たる、これが大きな特徴であります。二番目は、議員として大蔵大臣、文部大臣、それに経済企画庁長官、科学技術庁長官、日本学術会議議長が充てられるほか、関係国務大臣が必要に応じて議員として会議に参加することのできるようになっており、これも非常に権威のある構成になっておる、これが第二の特徴であります。それから第三番目に、学識経験者議員三名のうち二名までは常勤にする。常時科学技術に関する内外の動向の把握とその検討に専念できるようにするためには、やはり常勤者でなくちゃならぬと思うから、三名のうち二名は常勤にする。それから第四の柱は、議員全体の数を少数に制限している。この四つをあげられて、普通の一般の諮問機関とはちょっと違うのですよという御説明があったのですが、これと今度の場合ちょっと矛盾を来たすのではないか。すなわち、三番目にあげました常勤者を三名のうち二名置いたという説明、これが今度は二名増員されて、しかも非常勤である。それから極力少数にした、少数精鋭主義でいくのだとおっしゃっておるのに、今度は二名必要だ。全く前提になる説明は同じであって、中身として出てくることはうらはらのようなものが出てきておるので、ちょっとふに落ちないと、こう申し上げたわけですが、その辺をもう少し具体的に、なぜ二名増員が必要なのか、それが非常勤でいいのか、そうしてなおかつ一般の諮問機関と異なる権威のあるものたらしめ得るのか、そういうところを前の説明とあまり矛盾しないように一つ御説明を願いたいと思うのす。
  54. 池田正之輔

    池田(正)国務大臣 石橋委員の御疑問もごもっともだと思います。私も大へんふに落ちない点がある。というのは、これはその人のそれぞれの考え方がありまして、前のときに、いわゆる精鋭少数でいくという考え方に立った。その事情は私よく存じませんけれども、私が現実にあずかってみましてやってみますと、これではいけない。御承知のように、申すまでもなく、科学はどこまでも基礎的ないわゆるサイエンスの上に立って積み上げなければなりません。しかしながらまた一方においては、ほんとうにアイデアの飛躍というものがなければ、新しい技術の開発というものはないのではないかと私は思うのです。そういう意味から申しますと、きまった少数の人だけが集まって同じような議論だけしておって、いわゆる一種のマンネリズムになっていく傾向がある。それならいっそのことフリー・トーキング的な形でいろいろな人に出てもらって、そうして二に二を足して四ではなくて、二に二を足すと十になるのだ、三十になるのだといったような飛躍的なアイデアというものもときにはなくちゃならない。そういうことも考えななければならない。そこで今までの三人という説が私はよかったとは思わないのです。それで、五人にすることが絶対に必要かどうかということになると、私も若干確信を持っては言えないのですけれども、大へん失礼な申し分ですが、その方がベターではないか、そういう意味でこの案に一つぜひ御賛成を願いたい、こういう考え方であります。
  55. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 大臣にふに落ちないといって相づちを打たれてはどうもならぬのですが、私前にも科学技術庁関係の説明をお聞きしたときに、やはりそういう矛盾があったので指摘したことがあるのですが、どうもその場その場で適当に言いつくろっているような感じを受けてならないわけなんです。今も申し上げたように、科学技術の振興に努めなければならぬことはもうわかっております。そのためにこういう会議を作るということの必要性もわれわれも認めたわけです。しかもそれに権威を持たせるということにもまあ賛成なんですが、どうしたら権威を持たせることができるかという理由が、ふらふら科学技術庁の中で考えが変わるというのでは、これは大臣がかわったからというような問題ではないと思う。やはりもう少し、そういった便宜主義でなく、国会は前のことまで調べぬだろうというもしお考えであったら、これはもうちょっとわれわれ納得できないのですが、一貫した説明国会に対してはしていただくようにしたいと思うのです。そうしなければ信用できません。  それから、これは事務当局からでもいいですが、今申し上げた人数がふえるということも前と矛盾するわけですけれども、非常勤でいいというのはどういうわけですか、これも矛盾するわけですから。
  56. 久田太郎

    ○久田政府委員 ただいま事務当局からでもよろしいというお話でございますので、一言御説明申し上げますが、今度提案いたしましたのは、科学技術会議が発足いたしましてから約二年たちまして、その間第一号、第二号の答申をいたしました経過で、それらの実情にかんがみまして、どうしてもさらに議員の定数の増加が必要であるという結論になったわけでございます。その間には、御承知のように一昨年秋人工衛星が上がりまして以来、世界的にも科学技術に対する考え方がさらに一段と飛躍いたしまして、科学技術の分野でも、宇宙科学を初め新しい境界領域が発展して参りましたこと、それから、一方では、科学技術の問題の基本的な柱として、教育と研究という二つの面を並立して進めなければいけない問題、あるいは特に最近の著しい傾向としまして、産業界における研究活動が盛んになって参りまして、これも単に現場における改良研究等ではなくて、相当基礎的な研究にまで入っていく。つまり基礎研究所といいますか、中央研究所等の名前で民間が新しい研究所を設けるというのは、日本でもちょうど昨年あたりからの非常に著しい傾向の一つであろうかと思います。それらと関連しまして、産学共同と申しますか、産業界と学界との協力体制を強化しなければいけないという問題も、一方で大きな問題として現われて参りまして、今度の科学技術会議の第一号答申と申しますのも、経済審議会の所得倍増計画の科学技術的な裏づけという考え方がございまして、そういう意味でも、経済と科学技術との関連がさらに密接化してきた。そういうような科学技術に関連しまして、新しい局面がこの一、二年間急速に展開して参りまして、どうしてもそういったいろいろな面に関連して参りますので、少数精鋭という考え方は、決してこれを拾てておるわけではございませんけれども、さらに人的な強化が必要であろうという結論になったわけでございます。  なお、ただいま御質問のどうして非常勤にするかという問題でございますが、これにつきましては、現在第一線で御活躍になっておられる方にもこの会議の議員になっていただくと申しますか、要するにその範囲を拡大するという意味で、非常勤ということにしたわけでございます。
  57. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 ちょっとおかしいのですよ。私が指摘するまでもなく、本法の十条を読んでみればわかるわけですね。権威を持たせるということにも関連するわけですが、十条で、議員の規律が示されております。その一つは、秘密保持の原則です。それから第二項においては兼職の禁止、こういう原則があればこそ、やはり常勤が原則ということが私は必然的に出てくると思う。当時の科学技術庁長官の説明によっても、兼職ができないということに相当ウェートを置いた説明をされております。この十条の精神からいっても、非常勤、いわゆる兼職ができるという形の人をふやしていくということは、私は好ましい形ではないと思う。秘密保持という点からいったって私はそうだと思う。特に学界と産業界との提携といいますが、そういうものが必要であることを認めるにやぶさかではございませんけれども、それは十条の精神とちょっと矛盾した面が出てくるおそれもあるのですよ。そういうことからいきまして、私は、非常勤の方をふやしていくということは、さきの説明と矛盾するだけではなしに、本法の精神そのものと矛盾を来たしてくるのではないかと懸念しておりますが、その辺一つ御説明願いたいと思います。
  58. 久田太郎

    ○久田政府委員 ただいまの点につきましては、先ほど申し上げました通り、あくまで広く人材に早急に御参加願うという趣旨で非常勤ということにいたしたわけでございまして、常勤で悪いというわけでは決してございません。
  59. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 常勤で悪いということを言っているのではないとおっしゃいますけれども、どうもちょっとぐらついてきましたね。そういうことになると、大臣にお答えを願わなくてはならぬわけですが、実際は常勤の方がいいのですか。便宜的に非常勤にして国会に今お願いしているのですか。どうも信念がぐらついてきたような感じがしますが、どっちの方がいいのですか。またその理由はどうなんですか。
  60. 池田正之輔

    池田(正)国務大臣 御承知のように行政はあくまでも正しい、りっぱな機構の上に立っていかなければなりません。しかしながら機構そのものは運営いかんによって性格なり進み方が非常に違ってくる、これは御承知通りであります。現に日本の官僚機構を見ましても、われわれふに落ちないような不満な点が非常に多い。同様に、特に科学技術庁のような新しい目標を持って向かっていく場合に、これはただ単に機構だけでなしに、その運営面というものが非常に大事だと私は痛感いたしております。従って今後の運営のいかんが大事なんで、それにはどうしても、しかもここで早急にやっていくということになりますと、実際問題として民間側からすぐれた人は常勤ではなかなか得られない、そういう諸般の条件をいろいろ勘案いたしますと、結局非常勤でこの際急速に人間をふやしてもらって、そこでやっていこうというところに落ちついた、こういうことであります。
  61. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 どうも納得がいきません。それはあとで与党の皆さんとお話しし合ってもいいわけですが、そうすると大臣としては、大体どういう方面から一つ新しく非常勤としての議員に来ていただくというふうに構想をお持ちのわけですか。
  62. 池田正之輔

    池田(正)国務大臣 これは非常にむずかしいので、一つの私の悩みの種なんです。といいますのは、われわれがほしいようなすぐれた人は、現場の職にあって、しかも重要なポストにあるような人が多い。そういうところにいい人材がおるのです。ところがそういう人たちは、こう見渡して、大体財界の大きな研究所とかあるいは財界に籍を置くというような人たちが多い。そういう者を持ってきますと、これは妙なひもがついておるのではないかというような誤解を招く点もありますので、そういう点を今後いろいろ、法案が通過し、実際にこの人事を取り扱うときの大きな悩みとして、今から頭を痛めているというのが実情であります。
  63. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 頭を痛めるはずだと思うのです。今三名の議員のうち、お二人は常勤で、お一人は茅さんですね。ところが今度、さっき局長がお話しになったように点産業界、財界というようなものに目をつけられて、そういうところから連れてこようという考えがあっての非常勤じゃないかと思うのです。そうなってくると、この十条、特に第一項の秘密保持というものを設けた精神と矛盾を来たしてきはせぬか。絶対に大丈夫だという自信が長官ございますか。
  64. 池田正之輔

    池田(正)国務大臣 そう大してむずかしいような、秘密を保持しなければならぬようなことはあまり相談しないようにします。
  65. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 非常に権威のある会議たらしめるためには、そういった高度の秘密をあくまで護持していかなくてはならないという問題こそ、たくさん出てくるべきじゃないかと思うのです。それでなければ、権威のある会議でございますとこうぎょうぎょうしくおっしゃるほどのことはないということになるのじゃないかと私は思うのです。確かに今の問題はむずかしいと思うのです。あらゆる点で矛盾が出てきます。議員をたった二人ふやすということですけれども、これは私は簡単な問題じゃないと思う。だから、先ほど申し上げたように、いずれ委員長を含めて与党の皆さんとお話しし合っていいと思うのですが、むずかしいということだけでほうったらかしていい問題ではない。大臣のように八方破れでいっていい問題ではないわけです。  これにちょっと関連するのですが、今の常勤の内海議員ですが、この方は、法で禁止した兼職とは言えないまでも、審議会委員をたくさんやっておられますね。ほかに、たとえば河川審議会委員、中央建設業審議会委員、資源調査会委員、こういう委員を兼職することも、本来十条の精神からいったらあまりいい形じゃないのじゃないですか。梶井さんの方は兼職なしになっておりますが。いかがですか。
  66. 島村武久

    島村政府委員 特に常勤の委員に任命されました者が、他にいろいろな仕事を持つということにつきましては、その仕事が政府関係の仕事でございましても、精神から申しまして望ましいことではないということにつきましては、全くその通りだと思います。従来私承知いたしております限りにおきましても、委員の任命について国会の同意等を必要とします案件が国会にかかりました際に、官房長官等に対しまして、委員の政府関係の兼任が多過ぎるということが問題になっておりましたことも承知いたしております。従いましてお考えといたしましては、おっしゃる通りであると思いますけれども、また一面、この問題については、科学技術会議の立場だけから絶対に兼職を認めない、特に政府関係の委員についても認めないというのも行き過ぎであろうと思われる点があるわけであります。例にお引きになりました内海議員にいたしましても、それぞれの審議会の関係方面につきましては、日本でも有数の権威者であります。そちらの方面の仕事にタッチせられますことが、やはりその面におきまして非常に日本のためになるというような場合には、つまり極端に申しますと、余人をもってかえがたいというような面がございますときには、許し得る限りにおきまして、その時間をそういった方面にもさいていただくということは、日本全体の上からいたしましても望ましいことではなかろうかと考えておるわけでございます。河川でありますとか、その他の審議会の委員に任命せられます際に、そういったことを科学技術庁の側から積極的にどうこうというわけではございませんけれども、内閣の方でもそういった点も十分考慮に入れられまして、運営をせられることでございます。私どもといたしましても、そういう限りにおいてはやむを得ないという立場を、むしろ日本全体のためにはその方がプラスになるという判断のもとに行なわれるものというふうに解釈いたしておる次第でございます。  なお常勤の審議会等の委員というものは、割に例が少ないのでございますけれども、他にもそのような例はございまして、必ずしも科学技術会議の内海議員だけの問題ではないというふうに考えております。
  67. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 私は二つの角度から言いたかったのです。一つは政府行政機関にいろいろな審議会があるわけですが、兼職が非常に多いですね。まるでこんなに仕事ができるのだろうかというくらいに、一人で十二も持っている人も、ちょっと見ただけでもあります。日本にはそんなに人がおらぬものだろうかという感じを持つわけなんです。だから兼職はなるべくさせないようにという方向を、国会でも今盛んに論議しておるわけですし、そういう線からいっても望ましくないのじゃないかということが一つと、もう一つは、十条の精神もあることだし、やはりすっきりとこれに打ち込んでやっていただける人を委員として選ぶべきではないかという角度からも、私はお伺いしているわけです。これも賛成していただいたような、弁解しておられるようなお答えでございますけれども、まあその程度にしておきます。  次に、本法が初めて国会提案されたのはたしか三十国会だと思います。参議院で審議未了になって、翌三十一国会で成立を見たわけですが、これが参議院で審議未了になったいきさつは、言うまでもなく日本学術会議との話の合いがなかなかうまくいかなかったというとこにあったと思うのです。その三十国会から三十一国会の間において政府側と学術会議との間で話し合いが持たれて、学術会議の方から要約して三つばかりの要望が出た。それを了承するという形の結果、話し合いがついたとわれわれ了解しておるわけですが、この要望をちょっと振り返ってみますと、まず第一が、学識経験者の任命にあたっては、学術会議会長の意見を聞いてもらいたい。二番目は、専門委員の選定にあたっては、連携を密にしてもらいたい。三番目が、秘密保持の義務が学術会議審議を拘束しないようにしてもらいたい、こういうふうなことであったと思うのです。この三番目などは法の精神自体からいってちょっと問題もあると思うのですが、この辺は一体その後の運営等においてどういうふうに生かされておるものか、その辺の経緯を一つ御説明願いたいと思います。
  68. 久田太郎

    ○久田政府委員 日本学術会議との関連につきましては、御承知のように日本学術会議会長が議員として参加していただくということがまず第一点でございますが、なお日本学術会議連絡部会というものを科学技術会議の中に設けまして、常時両者の密接な連携をはかっております。  なお先般の一号答申をいたします段階におきまして、専門委員をお願いいたしましたが、専門委員総数は、今ちょっとはっきりした数字がありませんが、約七、八十名であったかと思います。そのうち約二十名は学術会議の会員をお願いしたわけでございます。ただし昨年の秋、学術会議の改選がございまして、そのために従来お願いしておりました専門委員で、学術会議の会員でなくなった方が出ましたので、十二、三名に減ったかと存じますが、いずれにいたしましても、両者の関連につきましては、できるだけ密接に連携をとりまして、いろいろの措置を十分にはかって参るつもりでございます。
  69. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 今まで政府から出された諮問件数、それから答申済みの件数は何件ですか。
  70. 久田太郎

    ○久田政府委員 第一号諮問といたしましては、十年後を目標とする科学技術振興の総合的基本方策というのを諮問いたしまして、昨年十月に一号答申として出ております。それから第二号諮問は、昭和三十五年度における科学技術振興の重点方策というようなものが出されておりまして、これは一昨年の十二月に答申が出ております。以上であります。
  71. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 これは十年後のものがまだできておらなかったので、便宜的に三十五年度の分を先に作業することになったのではないかと思うのですが、両方の答申の中で述べられている、いわゆる重点方策の中で若干お尋ねしておきたいと思うのです。これは諮問第二号に対する答申の方ですけれども、その精神はそのまま十年後の総合的基本方策にもつながっていると思うのです。三番目にあげております理工科系学生増員計画の完遂ということですが、これは確かに必要なことだと思いますけれども、さて具体的に進めていくとなると、いろいろな面から障害があろうかと思う。中でも工業教員をどうして早くたくさん作るかということに頭を痛めているようでございますが、本国会に工業教員臨時養成所設置法ですか、そういうものを出すというふうに、あるいは出したのか知りませんが、聞いておりますが、ここでちょっと疑問を持つわけです。確かに学生をたくさん作って役に立たせるためには教員が要る。だからこの教員を早いところたくさん作らなければいかぬ。しかしその速成的にやっていい性質のものだろうか。これは新聞の論調を見ましても、社説あたりで取り上げている面もあるわけですが、今度出されます工業教員臨時養成所、これは修業年限が三年、こういう形で速成の教員を作って、はたして正しい子弟の教育ができるかという疑問を投げかけられております。特に教師としての素質というものは、技術さえ身につけていればいいというものではない。そういう観点から考えていくと、どうしても修業年限が短縮されれば、一般教養課程が省略されるのではないかという疑惑をだれでも持つわけです。そういう矛盾の点を技術会議あたりで論議されていると思うのですが、一体そういうことででもこの増員計画を完遂するためには、やむを得ぬというふうな考え方を、技術会議審議過程でお認めになっておるものかどうか。やはりわれわれと同様に疑問を持たれているものなのかどうか。その辺のいきさつを一つお話ししていただきたいと思います。
  72. 池田正之輔

    池田(正)国務大臣 ただいま石橋君の御指摘の点は非常に重要なことでございまして、これは教育のことでございますから、もちろん文部省の所管でございまして、これを私どもがいわゆる科学技術振興の立場からながめた場合に、今あなたが御指摘になりました教員の養成及び全体の工業要員、研究要員の養成とこの二つになると思います。そこでこの二つの問題を取り上げてみますと、現在打ち立てられておる文部省の案というものには私は満足できません。はっきり申し上げますと、これは文部省の官僚がああいうばかなものを作っても、これではやっていけない。私はいずれあらためて私の所見を公開いたしたいと思っております。しかし今の教員養成の問題でございますが、研究者から技術者、要員までの間には幾つかの段階があることは御承知通りでございます。そこでそのいずれの段階も埋めていかなければならぬということが目下の急務だろうと思います。そういう意味で、おそらくとにかく間に合わせという意味で文部省はああいう案を作られたのだろう、そういう意味でやったのではないかというような感じもいたすのであります。そこでそれが一体いいか悪いか。個人のためにも、国家のためにも、これは非常に大きな問題だと思います。これは先日来院内においてもいろいろ御議論を拝聴いたしておりますが、これも当然問題になりますし、われわれとしてもこれは真剣にもう少し深く掘り下げて考え、なおかつ文部省ともよく打ち合わせをいたしまして、場合によればこの考え方を変えてもらわなければならぬというふうにも思います。しかしまだそこまでの結論は私出ておりませんが、そういうことも私どもの会合のたびに話し合いをいたしておるというのが現状であります。
  73. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 科学技術会議の方でも非常に心配していろいろ論議しておると思うのです。従って答申の中にもこの理工科系学生、増員計画の完遂というものがあがっておりますし、それから海外調査団報告、この中でも一つの例をあげて、たとえばわが国においても同様の事情から、中堅技術者養成のために、たとえば特色ある専門学校を設け、あるいは再教育を行なう等の措置をとることが緊要であるというふうに出ておりますが、今大臣の御説明などを聞くと、これは調査団の報告であって、まだまとまった科学技術会議の意向ではないのではないかと思うのです。非常にむずかしい問題なんです。早くたくさん作りたい。しかしそれは速成であってはならぬ。そこのところのかね合いをどうするか、中堅技術者を作るという面からいっても、専門学校というものを調査団は具体的に報告として述べております。これなどは政府の方で再三工業専科大学というものを作ろうという案を国会に出しておりますけれども、三回も四回も審議未了になっておるわけです。そういうところがどの程度突き詰めた論議がなされておるかとお伺いしたわけですけれども、大臣もどうも私の意見の方に賛成のようでございますから、今後こういった法案審議の過程においても大臣のそういった意向を反映するように、私どもの方も一つ努力したいと思うのです。  問題は、それも一つの問題ですが、やはり諮問第二号に掲げられております大学教官と研究公務員処遇の改善ということにも相当関連があると思うのです。こちらの方をいいかげんにしておいて幾ら教員を作ろうとしても、学生を作ろうとしても、問題は解決しない。諮問第一号にも書いてありますが、他の国家公務員に比し、より高度の給与水準を維持しなくちゃならぬということを言っているのですが、これがなかなか実行されない。口頭禅に終わっておるわけなんです。これを生かすことを特に大臣は考えなければならぬのじゃないか。これを生かすためにはどうしたらいいか。やはり私は、人事官の構成というものについて大臣は閣議で積極的に発言をしていかなければだめじゃないかと思うのです。これは過去において国会においても、人事官は三人で構成されているのだから、少なくとも技術者優先、技術者の処遇を十分に考えるという立場からいっても、一人は技術者出身の人を入れるべきだということを絶えず言い続けてきたし、議運あたりでは会議録にまでこれをとどめておる。ところが今度改選されてみても、依然として同じような系統の人、大学の法科系出身の人、そういうような人がやはり三人そろってしまって、技術者は入らぬじゃありませんか。こういう構成をやっているから人事院の勧告を見たって、少しも研究者、技術者を優遇するような勧告が出てこないのです。もとはここにあるわけですから、科学技術の振興をおもんぱかる大臣は、もっと積極的にどんどん発言されて、いいかげんな人事、おざなり人事をやるな、今度こそ国会でも強い要望もあることだし、科学技術関係の経験者か、そういうものにかわる者を入れないかという発言をなぜされないかという疑問を持つわけなのです。こういう形が伴って初めて口頭禅に終わらずに、頭の中と行動とが結びついてくるのじゃないかと思うのですが、今後大臣一つ積極的にそういうふうにやる意思があるかどうか。過去にやられたのだったらここで一つ大いばりで御報告していただきたい。
  74. 池田正之輔

    池田(正)国務大臣 この問題は実は私もうっかりしておりまして、人事院のあれがかわるとそこで、今石橋君が言われたように、これは一人だけは必ず確保しなければならないというので、実は内閣に申し入れをしました。ところがそのときはすでにおそくて、これは人事権は内閣でやっておりますから、私が話をしたときにはもう大体きまったような格好で、ちょっと手が引けない。そこで一年間待てばこの次またかわってくるから、そのときには必ず科学技術者を入れることにして、今回はかんべんしてくれということで、これはまあ内々の話で、正式の話ではありませんが、そういうことで私も一応納得した。こういうことでございますから、この次やるときは、たとい私はこの職になくとも、必ず一人は科学技術者の中からとってやるという決意を持っております。
  75. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そういうお言葉が実を結んで初めて政治力があるということで、実を結ばないと大ふろしきということになるわけですから、一つ肩を入れて一生懸命やっていただきたいと思うのです。これは国会の意思でもあるわけですし、大きなささえもあるわけですから、非常にやりやすいわけですから、一つがんばっていただきたいと思います。  そこで今度は答申の第七に掲げられております特別指定研究の指定、この中で台風防災科学技術、それから宇宙科学技術、基礎電子工学、核融合、海洋科学技術というようなものが指定されておるようでございますが、地震の方は入っておらないのです。さしあたりそういうような特別指定をするほどのこともないというような事情でもございますわけですか。
  76. 久田太郎

    ○久田政府委員 この第二号答申の段階におきましては、とりあえず昭和三十五年度における重点方策ということで御審議いただきまして、その結果特別指定研究ということで、ただいまお話のありました六部門が上がったわけでございます。   〔委員長退席、草野委員長代理着席〕  地震の問題はわが国といたしましても非常に重要な問題でございまして、ここでは防災の関係は台風防災科学ということに限っておりますが、これはたまたまこの答申の出ます前に伊勢湾台風がございまして、この対策を三十五年度において早急にやらなければいけないという観点から、このような結果になったわけでございますが、ただいま御指摘の地震の問題、その他まだ特に推進すべき重要課題というものはこれに必ずしも限らない。ここにもございますようにとりあえずこれを指定したわけでございまして、一号答申の検討の段階におきましてもこの問題はいろいろ検討されましたが、このような特に推進すべき研究の課題は何であるか、またそれを推進すべき研究体制がいかにあるべきかということは、科学技術会議設置法にもございますように、さらに諮問等を出しまして、根本的に御検討いただくべき問題ではないかということでございまして、地震の問題、特に地震の予知の問題等は、そういった際に重要研究課題の一つの候補として当然考えられるべき重要問題であろうかと考えます。
  77. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 最近地震が非常に多くなっております。それから週期説からいって、関東大震災がいつだったからということで非常に不安も高まってきておるわけですから、一つ今おっしゃったような地震の予知の研究、こういうものは当然私は取り上げていくべきじゃないかと考えるわけです。そのほかガンの問題もありましょう。  それでは次に質問します。この科学技術会議ができました目的の中に総合調整ということが強調されておるわけです。具体的には、今まで大学の研究は文部省、工業の分野は通産省、農業の分野は農林省と、いろいろ担当が分かれておった。そういうことではばらばらに技術振興の面が出てきて、まとまりがなくて、効果も上げられない、だからその総合調整をはかる必要があるということなんですが、これもその通りだと思います。そこで具体的に今まで二年間の実績しかないわけですが、こういう点でこの総合調整が非常にうまくいったという実績がおありであったら、一つお話ししていただきたいと思います。
  78. 久田太郎

    ○久田政府委員 科学技術会議は、設置法にもございますように、政府の諮問を受けまして、これに答申するという性格のものでございますので、たとえば科学技術庁が大学の研究を除いた各省の科学技術の問題について、総合調整をするというような意味の行政行為をする機関ではないわけでございます。しかしながらただいま御指摘がございましたように、大学の研究も含めて検討するチャンネルというのは、この科学技術合議でございますので、今度の一号答申並びに一昨年の二号答申等におきまして、いわゆる基礎研究、大学における研究等を含めまして、基礎から応用、工業化あるいは医療化に至るまでの一貫した研究体制のあり方、それの推進方策等について答申を行なっているわけでございます。
  79. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 私、なぜそういう質問をしたかというと、何か科学技術開発公団といいますか、名前はちょっと私もまださだかじゃないのですが、そういうものを考えておるというようなことを聞きましたので、そういう中から出てきたものなのかどうかという疑問を持ったからお伺いしたいのです。そういう構想が何かあるのですか。あるとすればどういうものなんですか。
  80. 久田太郎

    ○久田政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、三十五年度における重点方策について答申いたしました二号答申を御審議願う段階で、それを含む問題が検討対象になっております。なお一号答申におきましても、研究分科会等におきましてこの問題が検討されておりますし、なお制度の分科会におきまして、やはりこの問題が議題になりまして、最後の一号答申の本文におきましては、新技術開発体制の強化ということで、新技術一般に対する強力な開発体制について考慮すべきであるという結論を科学技術会議としては出しております。
  81. 島村武久

    島村政府委員 ただいま計画局長から申し上げました通り、科学技術会議でも国産新技術の開発を大いに積極的にやるべきだという趣旨、さらにもっといわゆる紙背に徹すると申しますか、その裏をもっと具体的に申しますと、今石橋委員のおっしゃいましたような新技術開発のための、名前はともかくといたしまして、そういう機関を作るべきだという考え方が従来からあったわけでございます。本年度の予算におきましても、そのための経費を計上いたしております。機構といたしましては、現在のところ国会に提出いたしました法案名称は、新技術開発事業団という名称でございますが、こういう法案の御審議をお願いいたすべく国会にすでに提出いたしております。その内容をごく簡単に申し上げますならば、従来ともそういう考え方はあったわけでございまして、理化学研究所に開発部というものを置きまして、国産の新技術、いわば試験研究が済みましたものを企業化できるかどうか、企業化をやってみるという事業をいたしていく。つまり理化学研究所のひさしを借りまして、そういう仕事を試験的に従来とも実施いたして参りました。過去その形でやりましたのが三年間でございます。最初の予算が七千八百万円でございましたが、その次が一億三千万円、その次が一億三千万円というような小規模の試験的な事業としてやって参りましたが、その結果は非常にいいということになりまして、理研のひさしを借りて試験的にやるというのではなしに、三十六年度からは本格的にこの事業をやろうということで、予算は三十六年度といたしましては三億円でございますが、事業団といたしましては、その理研の従来やっておりました事業をそっくり引き継ぎまして、そうして国産の新技術を企業化するという仕事を積極的に進めて参りたい、そういう構想でございます。いわば科学技術会議におきましては、非常に望ましいという形で指摘されておりましたことを実施に移すという考え方でございます。御指摘のようにその事業団は、単に通産関係の事業だけをやる、工業化をやるというわけではございません。他の省の関係のものでございましても、そういう事業団が取り上げるにふさわしいような国産新技術の芽ばえがございますときには取り上げて参りたい、いわば総合調整の一つの具体化であるというふうに私どもも考えておるわけでございます。
  82. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 公団とか事業団とか聞きますと、またかという印象を受けるのです。よほどちゃんとした理由がなければ、お役人さんが老後の保障を確保するために、また公団を作るのではないかというひがみですぐ見られるわけです。よほどきちんとした理由がなければならないと思う。単に企画、そういったものの総合調整をやるだけではなしに、事業として推進する面でもやはり一本でなければならぬというお考えの上に立って出てきたものであろうかどうかというのでお尋ねしたわけです。現に何か所管争いまで起きているのだということを聞いております。そういうことでなしに、まじめに取り組むものならばいいと思うのですけれども、慎重に一つ御検討願いたいと思います。  それから次は、中小企業と技術問題の解決策というものも、今後の課題として非常に大きな問題になってこようかと思います。海外調査団の報告書の中には、英、仏、西仏、イタリアというような例を取り上げて、共同研究のための研究組合を作っておる、これはいいなというような報告が載っておるようでございますが、日本では中小企業において、技術問題をどういうふうに解決していこうというふうにお考えになっておるのか、非常に重要な問題だと思いますので、御説明を願いたいと思います。
  83. 久田太郎

    ○久田政府委員 中小企業のいわゆる技術的な面の改善という問題につきましては、科学技術会議におきましても、いろいろと、たとえば人材養成の面及び研究活動あるいは技術活動の活発化という面から検討が行なわれたわけでございます。一つは人材養成の面で、特に現場ですぐに役に立つ技術者を供給することを考えるべきであるという問題が、特に中小企業の面から重要でありまして、これらにつきましては、先ほどお話のございました専科大学制度の問題とか、あるいは現在の新制大学につきまして、これを一部中級技術者の養成機関として適当な性格を持つものについては、そのような方向に転換することも検討すべきであるというような点が答申において指摘されております。それから研究活動あるいは技術活動等の問題につきまして、ただいま御指摘の研究組合という問題等はイギリスに発祥しまして、フランス、ドイツあるいはイタリア等でも、若干それぞれ性格は違いますが、こういう形のものが相当発達いたしておるようでございます。日本でもこのようなものを法制化するということが、科学技術会議の答弁の中でも検討されておりますが、実質的にはいろいろな形で研究組合的な活動は、たとえば競輪資金等を使ったもの等がすでに実在しておりますけれども、これは三十六年度から通産省の方でこのような性格の研究組合の法制化を提案しているように聞いております。  なお、一般的な問題としまして、このような共同研究をお互いに促進するということは、もちろん大切なことではございますが、一方、最近の技術革新の先端的な技術を中小企業に十分普及徹底するというようなアクションにつきましては、一部国立機関、たとえば農林関係等におきましては、国立機関等が相当これについて大きな役割を果たしておりますけれども、鉱工業等につきましては、特に重要な役割を果たすものは、府県立の、公立の試験研究機関であろうと考えられますので、これらの機関のこういった面での強化策ということが、今後非常に重要な問題でございます。それらの点が答申においても指摘されておりますが、なお、科学技術庁におきましては、この中小企業における技術活動が現実にどのようになっておるかという調査を現在いたしておりまして、実質的な調査は全部完了いたしておりますが、今その結果の整理中でありまして、近くその結果がまとまりましたならば、これも参考にいたしまして具体的な方策を考えて参りたい、そのように考えております。
  84. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 中小企業は技術の問題以前の問題がいろいろあるわけです。現在すでに求人、雇用といったような面でも行き詰まりを来たしておりますし、本質的には二重構造というところにも問題があるわけです。そういうところに目を向けていかなければ、単に技術の問題だけをいじくってみたところでどうにもなる問題ではないと思いますけれども、そういうところは一つ、大臣、政治家の立場で十分お考えになっていくべきだと思います。要望いたしておきたいと思います。ほかにもいろいろ質問したいことがあるわけですが、時間もずいぶんたちましたので、最後にもう一つお伺いしまして終わりたいと思います。  それは科学技術に対する研究投資、民間を含めて現在国民所得に対する比率が大体一%にも満たない。〇・九四ですか、その程度の投資しか行なわれておらない。これを十年後には少なくとも二%まで持っていくのだというようなお考えのようでございますが、しかしこれは民間も含めてということなんです。そうしますとなんでも民間に依存、住宅でも何でもそういう傾向が現内閣にはあるのでございますが、一体どういうふうな形で民間の方の投資を促していくのですか、そして目的を達成するおつもりなんですか、その辺を一つ御説明願いたいと思います。
  85. 久田太郎

    ○久田政府委員 民間の研究活動を活発化するための方策でございますが、一つは、何よりも現在人が足りないという問題がございまして、それに対する対策がまず根本的なものとして必要でございますが、今御指摘になりました研究投資を盛んならしめるという点につきましては、特にこれらの点を勘案しまして、科学技術会議の答申では、特に科学技術関係の税制についての改善ということを指摘しているわけでございます。それらの方策を通じまして民間の研究投資の活発化をはかりたいということでございますが、なお一言、蛇足になろうかと思いますけれども、この答申の段階では、国全体としての研究活動が国民所得の二%になるということを、民間に全部——全部というと語弊がありますが、大きく依存しようという趣旨ではないわけでございまして、何か研究投資の目安を作ります場合に、諸外国でも国全体の研究投資というような点を一つの指標としておるというような点もございまして、このような目標が一つ打ち立てられたわけでありますが、答申の中では、このように、〇・九四%を二%に引き上げるのにほぼ比例して、政府の現在の研究予算を増強すべきであるということをうたっているわけでありまして、これを裏返して申しますと、〇・九四%のうち〇・四五%は政府研究予算でございますが、これを今の比率で増大いたすとしますと、政府研究予算の国民所得に対する比率というものは〇・九七%、約一%くらいになることを目標とすべきであるということが、この答申の精神としてうたわれておるわけでございます。
  86. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 これはまあ大臣からお答えを願う筋のものだと思うのです。一%というものも、今の計画でいっても、やはり半分は民間に依存しておるわけですね。役にも立たぬロッキードなど作って、防衛力整備計画などは国家予算において二%という線を出しておるわけです。科学技術の振興ということに本気で取り組むならば、これは政府だけでそれくらいのことをやる意気込みで一つぶつかっていかなければ、最初から民間を入れてと、私に言わせれば、考え方が非常に後退しています。そういうところを一つ大いに、大臣、こういうところで所信を表明しておいたらいかがですか。御意見なければやめますが、単にこの科学技術会議の議員を二名ふやしたからといって、私は大勢にはどうということはないと思うのです。そういうことよりも、もっと本質的な問題として取り組まなくちゃならぬ問題が、今私がちょっとお伺いした中でも出てきておると思う。だから、ただ安易に二名ふやしさえすればどうにかなるような幻想をお互いに抱かないようにする必要があるのではないかと思って、私質問してきたわけですが、同僚議員もまだたくさん質問されるそうですから、私はこれで一応終わります。
  87. 草野一郎平

    ○草野委員長代理 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。   午後零時五十二分散会