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1961-05-18 第38回国会 衆議院 逓信委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月十八日(木曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 山手 滿男君    理事 秋田 大助君 理事 大上  司君    理事 上林山榮吉君 理事 佐藤洋之助君    理事 廣瀬 正雄君 理事 松前 重義君    理事 森本  靖君       大高  康君    志賀健次郎君       椎熊 三郎君    羽田武嗣郎君      橋本登美三郎君    星島 二郎君     早稻田柳右エ門君    安宅 常彦君       大柴 滋夫君    佐々木更三君       島本 虎三君    田邊  誠君       松井 政吉君    受田 新吉君       谷口善太郎君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 小金 義照君  出席政府委員         郵政政務次官  森山 欽司君         郵政事務官         (大臣官房長) 荒卷伊勢雄君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  松田 英一君  委員外出席者         日本電信電話公         社総裁     大橋 八郎君         日本電信電話公         社副総裁    横田 信夫君         日本電信電話公         社理事        (経営調査室長) 秋草 篤二君         日本電信電話公         社理事         (技師長)   米沢  滋君         日本電信電話公         社職員局長   本多 元吉君         日本電信電話公         社営業局長   大泉 周蔵君         日本電信電話公         社理事         (運用局長)  山下  武君         日本電信電話公         社理事         (計画局長)  伊藤  誠君         日本電信電話公         社理事         (施設局長)  平山  温君         日本電信電話公         社保全局長   黒川 広二君         専  門  員 吉田 弘苗君     ————————————— 五月十八日  委員島本虎三君、田邊誠君及び受田新吉辞任  につき、その補欠として佐々木更三君、山本幸  一君及び大矢省三君が議長指名委員に選任  された。 同日  委員大矢省三辞任につき、その補欠として受  田新吉君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公衆電気通信法の一部を改正する法律案(内閣  提出第一四七号)      ————◇—————
  2. 山手滿男

    山手委員長 これより会議を開きます。  公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。松前重義君。
  3. 松前重義

    松前委員 専門的なことはあとから質問することにいたしまして、大臣が非常にお忙しいそうですから、先に大臣にお尋ねしておきたいと思います。  それは、御承知のようにかつて私は、電気通信事業に関して、あるいはまた電波行政等に関して、非常なテンポをもって技術革新とともにこれが普及しつつある状態にありますので、しかもこれは世界的視野の上に立って考えなければならない、あるいはまた国内的にもこの技術革新に伴って矛盾のない態勢に事業を運営しなければならぬ、こういう政策的な面が刻々として変化しつつあり、またこれに即応していかなければならない、従ってここに、郵政省に電気通信に関する政策を審議するところの審議機関をお作りになったらどうか。あるいは民間より有識者を委嘱し、そうして日本のこれに関する頭脳を動員いたしまして、この進んでやまない現在の電気通信事業の発展並びにこれが国家的使命に対してどのような役割を果たすべきかを決定する審議会を作って、その意見を参考としてこのような政策を立案すべきであるということを申し上げたことがあります。これに対して郵政大臣は、非常にいい考え方だからぜひ一つ実行してみたいというような御意見があったと記憶をしております。  そこで私は、その問題は別問題といたしましても、今度の公衆電気通信法改正に関しまして、この含んでおる内容というものは非常に大きな内容を持っておると思うのです。わけても技術進歩発達というものを背景といたしまして、料金政策というものは刻々合理化されていかなければならないはずであります。こういう意味からいたしまして、今度のこの案の中にはたくさんの矛盾を包蔵しておると私は見ておる。矛盾内容あと当局との間で質疑応答いたしたいと思うのでございます。大臣がお聞きいただければ非常に幸いだと思うのですけれども、お忙しければ仕方がありません。その矛盾を包蔵しておる、そういうふうな重要な法案に対しまして、このような政策に関する政府の態度を決定するにあたって、いわゆる国民の、国家の全知全能を集めた、その努力を通じて提案されたのであるかどうか。言いかえると、電電公社の大体希望された通りトンネル式にこの国会にお出しになったのかどうか、あるいは事務当局だけで御検討になって出されたのか、これに対する政治的な調整をなすったかどうか、その辺のところを伺いたいと思うのであります。
  4. 小金義照

    小金国務大臣 電気通信事業がどんどん近代化され、また進歩発展していく途上において、この電気通信事業を拡大していく、そのための一つのステップとしての電気通信関係法律改正案を拝見いたしまして、主としてこれは高度の政治的な立場ということも大事でありますけれども技術的に納得ができるような方策がとられたということで、私は一応この案を、満足とは申せなくとも、機械化が進められるのに従って、こういうような料金の立て方をしていけば国民負担もそう増加しない。むしろ三十四年度の政策を基準にすれば、三十億くらいの軽減になるというような国民経済的な立場をも考慮してあるようでありますから、特に私としてこの電電公社の案を取り上げて、政治的な、また経済的な見地から再検討を加える必要はないんじゃないか。電電公社が専門的な立場から、また技術的な立場から検討を加えて長い間研究してきたものであるから一応これでいいというので、特に私は、このために審議会、あるいはまた特別の人の意見を徴したというようなことは、その意味においてはいたしませんでした。
  5. 松前重義

    松前委員 もしそうでありましたら、願わくは一つこの委員会にお残り願って、これからの討論の内容をお聞き願いたいと思うのであります。  その点まず伺ってから質問いたしたいと思います。お残り願えますか。
  6. 小金義照

    小金国務大臣 時間の許す限りは拝聴いたします。
  7. 松前重義

    松前委員 大臣もお聞きいただけるそうでありますから、この内容につきまして、少し専門的にわたりますけれども、大体の料金設定方法について、どのような考慮が足りなかったか、こういう問題について指摘をしてみたいと思うのであります。そうして当局の御答弁を願いたいと思うのであります。  まず第一に電電公社当局にお伺いしたいのであります。ことに総裁に伺いたいのでありますが、加入区域の問題であります。かねがね私はこの委員会において、加入区域が非常に不均衡であるということを申し上げておりました。ところがその理由はどういうことかと申しますと、東京のような大都会は、蒲田のずっと向こうの方から、杉並の奥の方まで、練馬の奥の方まで、あるいは葛飾、足立、そういうような広域加入区域というものがありまして、その広域加入区域通話料金は七円であるというのであります。ところがいなかにおいては一村、あるいは一町というような小さな範囲内における加入区域でありまして、そこの通話料金はやはり七円である。こういうわけでありまして、ちょっと遠いところに電話しようとすれば、いなかではすべて市外通話になって、非常に高い料金を払わなくちゃいかぬ、こういうような不均衡があったのであります。これを是正する必要があるじゃないかというので今回の料金改定においてはある程度この点は考慮されておるようであります。すなわち例の通話区域あるいはまた加入区域なるものを拡張をいたして、そうして一つ電話局の中にみんな入れてしまう。そして市外通話をなくするということを多少やっておられるのでありますけれども、なおかつ地方においてはこれが徹底していないばかりか、東京のような大都市と比べまするとまだまだ問題にならないようにその区域は狭いのであります。この狭い範囲で同じ料金であり、ちょっと離れたところは市外通話ということになりまするので、この点についてのアンバランス、これが今度の中にもやはり存在しておるのであります。しかもまたこの不均衡加入区域の大きな東京のような近郊の都市はまあ通話を一分間くらいに切ってしまってあるというようなことで、電電公社としては相当増収になる。言いかえると実質上の値上げになると私どもは見ております。一分間なんという時間は何にも話ができないのでありますから、とにかく実質上の問題としては私は増収になり値上げになると見ております。こういうふうにいたしまして、とにもかくにも大都会周辺区域加入区域は非常に狭い。たとえば私は武蔵野に住んでおりますけれども武蔵野三鷹局というものの加入区域は非常に狭いのです。そうしてお隣のたとえば国分寺とか、そういうようなところとの間は市外通話になる。東京都心部に住んでおるならば、そういうところと国分寺やあるいは立川方面に至るまで、これは七円でいくはずなのであります。そういうところに基本的なアンバランスが存在しておる。このことについて一つ電電公社当局見解を承りたいと思うのであります。
  8. 大橋八郎

    大橋説明員 お答え申し上げます。ただいま松前先生の御指摘になりました点は、私ども全くその通りだと考えます。実はこの前のたしか通常国会であったかと思いますが、松前さんから特に料金問題についていろいろと御質問がありました。私ども全く御趣旨の点十分了得いたしまして、今回の改正の際にはできるだけその御趣旨に沿うべく実は努めたのであります。しかしながら結果から申しますと、ただいま御指摘通り、完全に御趣旨に沿うたとは申し上げかねると思います。やや中途半端な程度しか御趣旨に沿うていないと考えます。ただこれを徹底的にやりますためには、イギリスでやっておりますようなグループ料金制まで徹底いたしますれば、ほぼ御趣旨のように沿い得るかと思うのであります。しかしこれをやるためには東京都内のたとえば七円という一通話料金というものを、市内料金というものを相当値上げするにあらざれば、非常な減収を覚悟しなくてはこれは実行できないと思います。私どもといたしましては現在一方に非常に多くの申し込み積滞をかかえて、できるだけ早くこの積滞を解消しなければならぬという一つの大きな使命を持っておる。これは何といっても私どもとしてはまず第一に考えなければならぬ一番大きな使命と考えておりますので、現在の段階においては特に収入減をはなはだしく来たすような改正はどうもやり得ない。もちろん増収をはかることもやりませんけれども減収をはかることもまた避けなければならぬ。かようなことで、結局現在の、今度提案しておるような、やや中途半端な状態で出発せざるを得なかったのであります。しかし一方から考えますと、まだ自動交換が進歩していない今日、もう少し自動交換が普及した後でなければ徹底したグループ料金制はとり得ないと考えますので、さしむきの段階としては、ただいま御指摘のような中途半端でもまずこの程度で一応がまんしてみよう。今後いま少しく自動交換が普及いたした暁には、さらに考究の上徹底したグループ料金制によって、御趣旨のような点を徹底せしめたい、かように考えておる次第であります。
  9. 松前重義

    松前委員 おそらく、地方に対して自動交換設備が普及してないという意味のことをおっしゃったのではないかと私は思う。手っとり早く例をあげますならば、東京のようなところは自動交換は普及していると大体お認めになっているのじゃないかと思います。そうすれば、東京のようないわゆる膨大なる加入区域、これは大へんな膨大な七円区域であります。従ってこれを七円区域のまま、膨大な区域のまま放置してありますから、非常に不公平が起こるのであります。これは東京だけの問題じゃありません。大阪も、その他の大都市もそうであります。それを是正することが少なくともこの問題の解決の第一歩でなければならぬと私どもは見ておる。それを是正するにはどうするかというならば、やはりいろいろ方法もありましょうけれども外国の例を見るならば、いわゆるゾーンメーターリング東京の現在の区域二つ三つに分けて、その区域相互間の通話というものの特殊な料金制度を設けるというようなことによって国全体の地域割をやっていく、こういうようなところにこの料金問題の基本的な改正が行なわれなければならないと私どもは見ておった。それをやらないでやる料金改正というものは、私は無意味だというような感じがしておった。これに対してどういうような考え方を持ってこういうなまぬるい、どっちともつかぬような、しかも大した結論にも導かれないようなものをお出しになったのか。このゾーンメーターリングのようなシステム、すなわち帯域制というものを——東京の従来のいわゆる加入区域というものを二つ三つに分けて、その帯域相互間の通話というものに対して特殊な考え方を持ち、そして全体を合理化していく。都会だけが恩恵を受けるようなやり方をとらないというようなことが非常に重要じゃないか、こういうように私どもは見るのでありますが、この案の内容はどうもその点において、非常なアンバランスを直そうというのでなくして、何か手直しだけでもってごまかそう、こういう案としか見えないのでありますが、その点についての総裁の御意見を承りたいと思います。
  10. 大橋八郎

    大橋説明員 大都市地方との間にアンバランスがあることはたびたび御指摘通りであります。そこでこれを是正するには二つ方法があると思う。大都市区域を、ただいまお話し帯域制をとって小さく分割するというやり方一つであります。いま一つは、地方区域をむしろ拡大してそれによって不権衡を是正するやり方と、二つ方法があると思います。従来電電公社において、このアンバランスを是正する方法として、先ほど御指摘のような帯域制をとったらどうかという意見の方がむしろ強かったのであります。ただ最近の世界の大勢から見ますと、ヨーロッパ方面では、実は、ことにイギリスカールソン方式をとった改革等の事例の示すように、最近の世界的な傾向は、どっちかと申しますとむしろ区域を拡大して不権衡を是正していくという方に向かっているという趨勢と考えましたので、またその方が将来のことを考え、技術的に考えても一番いい方法じゃないかという結論に達しましたので、この際としては、不徹底ではありましょうけれども、第一の段階としてこの程度一つ認めを願って、さらにいま少しく国内の自動交換化が拡張された暁に、理想的な広域的な料金制度をとるというふうに向かった方がいいのじゃないか、かような結論を得ました結果、ただいまのような案に到達いたしたわけでございます。なお帯域制をとる場合と、またそのほかに外国にもいろんな例がありますので、それらの比較研究した結果について、営業局長からいま少しく専門的の説明をお聞きいただきたいと思います。
  11. 大泉周蔵

    大泉説明員 補足して御説明申し上げます。  松前先生から前国会にも御意見ございましたので、この点につきましていろいろ検討したのでございます。現在ニューヨークでは市内帯域制度をとっておりますので、その点を検討いたしました。それからロンドンでも帯域制をとっておったのでございますが、これは先年のグループ料金制実施を機会に、市内帯域制をやめたのでございます。この市内帯域制をかりに東京でとるといたしますと、やり方はいろいろありますが、大体五十億から七十億ほどの費用を要する上に、各分局機械を入れることが必要である。そうすると局舎の改造その他で事実上実施が困難である。他面将来の動向を考えますと、生活圏は拡大しつつある、技術動向というものは簡素化を求めているということを考えますと、今ここでニューヨークの形を追うよりも、イギリスの形を追う方がむしろ将来の動向に沿うのではないかということから、グループ料金制の方が適当と認めた次第であります。
  12. 松前重義

    松前委員 私は帯域制というものは大きいほどいいと思います。だから大きいほどいいという見地から質問をしておるわけであります。ただ地方区域を狭くなさるならば東京も狭くなすったらいいじゃないか、東京を広くするならば地方も広くなすったらいいじゃないか。そうしてまた、少なくとも東京都下において、たとえば武蔵野なら武蔵野から国分寺電話をかけるようなところは、やはり七円でいけるようになすったらどうか。それには機械設備が足りないから、予算も食うからそれはできないというようなことであるならば、一つ逆東京都内をもっと公平におやりになったらどうか、こういうことを私は言っておるので、そう手間のかかる問題ではないと私は実は思う。だから私は料金設定にあたって、公平なる施設やその帯域制その他をここに確立する必要があるのじゃないかと言うのでありまして、東京都内に住んでいる者だけが恩恵を受けて、ちょっと都心から出るとか、あるいはいなかに住んでいる者は電話に対する恩恵がない、これはもう申すに及ばぬことであって、ですからその点について私は質問しているのであって、もう一ぺん、どういう考えでおやりになっているか、今後のこの問題についての処置について伺いたいと思います。
  13. 大泉周蔵

    大泉説明員 御意見まことにごもっともでございまして、この点がわれわれ一番苦心した点でございます。そこでこの加入者に対しまして、料金制度というものはどうしたら一番公平であるかということが問題であろうかと思います。今先生がおっしゃいましたように、あるいは面積で均衡をとる点もあろうかと思います。あるいは加入数均衡をとる点もあろうかと思います。しかしながら都市の形態、住居の状況等を見ますと、どの点を見ましても、それをすべて平等というわけには参らないと思います。そこで、市内料金だけは時間を無制限ということに対して、市外通話料と同じように時間を切ったらどうかというようなことも、イギリスで一部始めておるところもあります。しかしながら現在ではほとんど大部分の国では市内を時間を無制限にいたしておるのでございまして、この点につきましては、どういう工合にとりましてもある程度これは不均衡を免れないのでございます。そこでこれに対する負担の公平、調整というのは基本料で差をつけるという形にせざるを得ないのでありまして、これが正当だろうと思うのであります。ところが今お話しになりました武蔵野とあるいは国分寺といったようなところを七円で市内通話にするということになりますと、そこで基本料の面からどう考えるかということになりますと、やはり加入数を合算したものを基礎に基本料金を出さざるを得ない。ところが東京都内のような社会的、経済的、文化的に非常に緊密度の高いところとさほどでないところにおいて基本料負担を同じに考えることはかえって不均衡ではないか。そこで距離別時間差法というものをとりまして、その間をなだらかにすると同時に、やはり相当広い地域をとりまして、この中に準市内制度を設けて、いわば市外市内中間地帯を置くということに体制を整えましていくならば、これは現在においても相当の改善になりますし、また将来におきましてもその体制で進むことが、次第に問題々解決するのにいいじゃないかという工合に考えております。
  14. 松前重義

    松前委員 いろいろ御苦心の跡は伺いましたけれども地方大都市との不均衡ということは依然として全然これを除去されていないというところに、今度の案の内容の残念なところが存在しておると認めざるを得ないのであります。電気通信というものは単なる企業の面からだけ考えるべきものではないということが、電電公社電電公社法によって公共企業体として存在しておる理由であることは、もう言うまでもないのでありまして、そこで私どもいつも考えますのに、どうもいなかに行くと電信電話に恵まれない、同時にまた恵まれないという概念的なものばかりでなく、電信電話というものは金持ちの持つものであって、こわくてさわれないというような気持を持っておる者が非常に多いのであります。従って文化の普及というものに対して電信電話という通信設備が、またこういう事業が大きな役割を果たしており、またいなか都会も同じような恩恵に浴しなければ——恩恵といえば恩恵、またこういうような影響を受けるといえば同じような影響を受けなければならないはずであります。それが非常に不均衡になっておるということは、どうしてもいなめない事実であると思うのでありますが、この点につきまして、先ほど総裁も御指摘になりましたが、この文化の問題やあるいはまた国家的な通信使命という立場から見て、またいなかのようなところをどんどん引き上げていくのが、むしろ電電公社としての、公共企業体政府代行機関としての使命だと私は思う。これに対して、今度のこの料金に関する公衆電気通信法の一部改正法律案は、必ずしもこれを満足さしていないとわれわれは見るのでありますが、この点についてはどういう見解をお持ちであるか、総裁大臣の御見解を承りたいと思います。
  15. 大橋八郎

    大橋説明員 確かにただいま御指摘のようなある程度の事実は存在しておると思います。これを徹底的に不均衡を是正するとなりますと、先ほど申しましたように、私ども理想とするグループ料金制を徹底しなければよほど困難です。しかし先ほどお話しの、大都会において小さく分割して均衡をとるというやり方もむろんあります。これで徹底するか。それでなければ、先ほど私どもの申し上げましたグループ料金制で、広い区域通話区域を設けることによって不均衡を是正するほかはないのであります。これは先ほどちょっと申し上げましたように、まだ地方等において自動化が普及しておりませんので、私ども理想に到達することはよほど困難な状況にありますので、過渡的にはただいまの状態でまず一時ごしんぼう願うより仕方がない。そのために、先ほど営業局長が申し上げました準市内制度などを設けまして、多少その辺の緩和をはかったつもりでありますが、なお徹底しているかどうかということになりますと、まだ不徹底な点が多々残っておることは申すまでもないのであります。今後は私どもといたしましては、一方において自動化を促進すると同時に、適当の時期にぜひ広域化を実現したい、かように考えております。
  16. 松前重義

    松前委員 抽象的な御答弁でありましたけれども、いずれにしましても、いなかに対しては非常に冷淡であって、大都会は非常な恩恵を受けておるという現実を否定するわけには参らないのであります。しかしこの問題につきましては、大臣も貴重な時間をさいて御出席でありますから、これをあとへ回しまして、その次の問題に移って、大臣によく聞いてもらって、あとで御答弁願いたいと思うのです。  そこで一つお尋ねいたしたいことは、いわゆる技術革新によりまして技術がどんどん進んで参りました。従って、ことに市外線等におきましては、たとえば単位回線当たり投資額というものは著しく軽減されたはずであります。私どもがかつて逓信省というところに入っていろいろやっておりました時代は、裸線架空線でございました。間もなくアメリカから装荷ケーブルというものが輸入されて、ケーブル長距離電話をやることになった。それからまた、私に関係がありますが、無装荷ケーブルの研究によってこれが完成したから、一つ回線施設というものを非常に経済的に使うことができるようになりました。すなわち設備投資が回線当たり非常に安くなりつつある。マイクロウエーブが実用可能になって参りました今日においては、長距離に対しては非常な設備投資が軽減されて参りました。高アクチュアル・ケーブルまたそうであります。だからして、この設備投資の軽減されておる現状において、もちろんキロメートルという距離にもよりましょうけれども、一回線当たりどの程度投資額が軽減されつつあるか、この点についての数字をお示し願いたいと思います。
  17. 平山温

    ○平山説明員 お答え申し上げます。技術革新によりまして、設備を経済的に投資できるようになってきておりますということは、先生の御指摘通りでございます。特に私ども電信電話におきましては、市内電話市外電話と大きく分けました場合に、市外の伝送路に使います設備が、今先生お話しになりましたように、技術革新によって著しく経済化されているわけであります。その程度がどの程度かというお尋ねでございますが、これはいろいろな方式、しかも距離ごとに様子が変わりますので、なかなか申し上げにくいのでございますが、たとえば長さ百キロメーターの回線をかりに作るといたしました場合に、いろいろな方式によってどういうふうに建設費が違うかということを、数字を持っておりますので申し上げますと、一番初めに技術的に使うことになりました裸線の方式では、百キロ当たり大体五百万円か五百万円弱——四百六十万円という数字を持っておりますが、そのくらいと思っております。それから装荷ケーブル方式におきましては、同じ百キロ当たり二百万円でございますから、この装荷ケーブルにいたしましても、裸線の約半分以下というふうに経済化されたわけでございます。それから先生が御発明になりました無装荷ケーブルができまして、これによりますと、百キロメーター当たり百二十万円ぐらいでできますので、またそれの半分近くに相なりました。それから最近におきましては、また技術が進みまして、同軸ケーブルあるいはマイクロウェーブの方式ができたわけでございますが、これらの方式におきましては、同じく百キロ当たりのものが七十万円、このぐらいでできるように相なっております。これは今百キロについて申し上げましたが、距離が、たとえば五百キロくらいの長いものになりますと、この差がもっと開くのでございまして、百キロ程度では先ほどの差でございますが、五百キロになりますと、この経済化は一そう顕著に現われるように存じております。
  18. 松前重義

    松前委員 参考のために、五百キロぐらいではどういう情勢になりますか。
  19. 平山温

    ○平山説明員 五百キロの数字を申し上げますと、裸線の場合には二千三百万円でございます。それから装荷ケーブルが一千万円、それから無装荷ケーブルが三百六十万円。これが先ほどの百キロと比べますと、装荷ケーブルの比率が五百キロの場合三分の一ぐらいに相なっております。それから同軸ケーブルが百五十万円、それからマイクロウエーブが百五万円ぐらいになりまして、五百キロになりますと、マイクロウエーブが投資額から見ましても最も経済的だ、こういう数字になっております。
  20. 松前重義

    松前委員 市外通話料金の問題になりますが、市外通話料金の算定の基礎はどういうところにあるのでしょうか。私どもは大体投資額に見合った料金でなくちゃならないと見るのでありますが、今の御説明からいたしますと、たとえば五百キロ、長距離等においては、裸線施設費に対して、装荷ケーブルの場合は半分以下である。無装荷の場合は、今度はまたその三分の一ですから、裸線の大体七分の一くらいである。マイクロウェーブの場合はまたその三分の一ですから、二十一分の一くらいで、非常に安くなる。投下資本がどんどん安くなってきているのに、料金を下げないという法はないと思う。長距離というものは、国民文化の交流に対して大きな役割を果たすものであります。これは非常に大事なものである。市内通話より大事なものであると私は見ている。これに対してなぜ料金を同じにしておやりになるのであるか。その点を総裁から伺いたいと思います。
  21. 大橋八郎

    大橋説明員 だいぶ技術的の問題になって、私、技術のことはしろうとでありますから……。
  22. 松前重義

    松前委員 いや、技術的ではありません。こういうふうに投下資本がだんだん安くなっておるのにもかかわらず、料金をなぜ同じようにお考えになっているか。投下資本が安いのにもかかわらず、それに見合った料金になぜなさらないのか。この点を私は伺っておるわけです。これは何も技術的ではありません。
  23. 大橋八郎

    大橋説明員 線路の材料については、ただいま御指摘通り、非常に安くなっていることはごもっともであります。しかしながら、料金は、線路の安くなったことだけで決定されているわけではありませんで、そのほかのあらゆる費用を総合いたしまして、この総合原価によって料金負担していただいておるわけでありますから、ケーブルが安くなったということだけで直ちに比例的に安くするという結論は出ないと思います。
  24. 松前重義

    松前委員 その他のというのはどういうことであるか伺いたい。
  25. 平山温

    ○平山説明員 ただいま総裁からお答え申し上げましたことを補足してお答え申し上げます。  先ほど先生が御指摘になりましたように、市外回線を作る投資額技術の進歩によって著しく経済化されておりますが、一方、電話事業の進展に伴いまして、御承知のように即時化のサービスがだんだんふえて参っております。私の記憶に間違いがなければ、戦前におきましては、加入者を増設いたしますにつきまして、それに見合う市外回線の増設キロ程といたしましては、加入者一名当たり一キロあるいは一キロ以下の〇・八キロくらいの増設キロ程を持っておったと記憶しているのでございますが、これが第一次五カ年計画のときには、加入者当たりの市外回線のキロ程がだんだんふえて参りまして、二キロくらい。従って、戦前の二倍ないし三倍くらいのキロ程が必要になって参りました。それから第二次五カ年計画に入りまして、今年、たとえば三十六年度の予算では、五十万名の加入者、回線にいたしまして百七十万キロの回線の増設を予定しておりますので、加入者一名当たり三・四キロになりますか、三キロ以上になりますので、戦前から見ますと加入者一名当たりの所要市外回線の数が五倍くらいにふえて参っていると思います。従って、回線当たりの投資額は安くなりましたが、回線の所要数がふえて参りましたことと、こういった回線がふえるに従いまして、またそれを相互に接続交換いたします市外電話局関係設備局舎等も増大して参っておりますので、全体としてはサービス改善に非常に関係があると思いますが、先ほどの回線当たりの単価に見られるように、一加入者当たりの設備投資額は軽減するわけには参らないのでございまして、大体この点は横ばいになっておるような状態でございます。
  26. 松前重義

    松前委員 そこで少し意地悪い質問になりますけれども、今のような御答弁であるなら、もし技術の進歩がなかったと仮定したら、うんと料金は高くなったでしょうね。何ら設備投資というものは料金には影響ないというような御説明なら、これは別として、多少は——これは多少どころでなく、私どもは実はもうほとんどこれによって左右さるべきものであると思うのです。それから人件費その他もオートメーションがだんだん普及して参りますにつけてだんだん節約されてきておる、保守技術も進んで参っております。それから大きなケーブルその他を入れるということになりますと、それだけまた、ちょうどアパートを作るようなもので安くいくのです。ですからすべての点が、保守の点からも、機械設備の点からも、今の比較はケーブルだけじゃない、機械設備もあわせてだと私は思うのです。だからそういうことになりますと一回線当たりというものが安くなる。機械設備も複雑になったとおっしゃるけれども、それも入れて安くなっておる、これは一応御説明はそうじゃないかと思うのです。そういうことになりますと一体何で料金が安くならないのかという、そろばんをはじいたわけではありませんけれども、概念的にそう考えざるを得ないし、同時にもし技術革新が行なわれないで、新しい技術が生まれなかったならば、料金は一体どうなっておるだろう、まるで天井知らずでとても電気通信事業というものは成り立たないということになるような計算になるのですが、いかがなものでございましょうか、伺いたい。
  27. 大橋八郎

    大橋説明員 技術革新があったがために建設費が安くなり、サービスがよくなったということは、これはもう御指摘通りであります。しかしこれに対して他面技術革新があったればこそ、最近の電話のサービスというものが非常によくなった、それがために先ほど局長から申し上げましたように、量において相当多くの回線を使わなければならぬことになった、また一方には待遇の改善その他のことも行なわれておるわけで、技術革新によってそういう節約ができたればこそ、今度もほかの方には相当値上げが行なわれたにもかかわらず、私の方は値上げしないで、この間の裁定の賃金の引き上げを行ない得たというようなこともあわせ考えますと、必ずしも技術革新によって料金を引き下げないことが不当だということにもならないと考えるのであります。
  28. 松前重義

    松前委員 これは一番大事なところですから大臣聞いておいて下さい。それはただいまのような御答弁はどうもだいぶお苦しい答弁のように私は承った。というのはもし技術革新がなかったならば、設備投資は現在の十倍くらいになりますよ。市外線に対しては十倍になった場合には料金は十倍にしますか。これが値上げでないと仮定しましても、それでは電気通信事業は成り立たないと私は思う。そこに私は基本的な市外通話料金に対する問題があると実は見ております。私どもはかってやはり研究もしました。いろいろなにもやりました。けれどもその目的はやはり国民に対してできるだけ安い料金で話させたいという念願からきておる。技術屋といえども目的があります。国家に対する目的、使命があります。そういう意味でやってきたのです。そういうところから考えてみても、設備投資が局舎も一切のものを含めて一回線当たり十分の一、あるいはまたマイクロあたりはそれ以下になっておる、二十分の一くらいになっておる。それにもかかわらず料金が同じである。同じであるよりも値上げになっているという節が多いのでありますけれども、たといそれが同じであると仮定しましても、これは不合理だ、こういうふうに私は見るわけです。これはどういうふうに御答弁をなさるか知りませんが、もう少し正直に、理論的に、合理的に御答弁を願いたいと思うのです。
  29. 大泉周蔵

    大泉説明員 私からお答えするのはどうかと思うのですが、実はおっしゃる趣旨は私たち担当者といたしまして真剣に考えたところでございますので、一応私たちの考えを申し上げたいと思うのでございます。私たち電話事業に携わる者といたしましては、できるだけ安い原価でサービスを提供いたしたいのはやまやまでございます。また技術革新の効果というものを国民大衆に還元したいのもやまやまでございます。ただ電電公社の現在置かれておる使命の一番大事なものは何かというと、できるだけ早く電話をつけること、できるだけ早く全国を即時化することにあろうかというくらいに考えるのでありまして、結局今申されました技術革新の効果というものは、新しい建設投資に向けられておるものと考えるのでございます。そこでこれを値下げするということは、建設投資に向けるべき金額を減らすことになります。その場合にそれをどうするかということになりますと、私たちはやはり現在の加入者の方々に還元するよりも、まず増設、まず改良ということをやって、しかる後にその効果を及ぼすのがいいのではないかと考えたわけでございます。なおその点につきましてサービス上国民にはなはだしく不均衡感を持たすような状態になっておるかということを考えますと、この料金体系というものは相当歴史的なものでございますが、ある程度なじまれていて、これをここで原価において全部根本的にいじる、赤字のものは全部値上げをする、そのかわり収益の上がっておるものは下げるということがいいかどうか、これはやはり諸外国におきましても、電信電話料金というものは大体において総合的な原価をまかなうように、そしてそれを価値に従って個別の料金に配分するという形をとっておるのでございまして、ここで全体の料金を原価に従ってあちこち大きくいじるよりも、やはりこの新しい近代化に即応できる体制にまず直すということに重点を置くべきであって、原価に応じてあちらを上げ、こちらを下げということをやるのはむしろ適当でないのではないかという工合に考えまして、私たちとしましてはできるだけ早く、近い将来においてこれが引き下げに向けられるということを非常に希望いたすものでございますが、現段階におきましてはやはりこの際料金水準を全体的に維持するのが適当である、こういうように考えたのであります。
  30. 松前重義

    松前委員 市外電話回線の設備投資の金額が非常に安くなり、しかもその保守要員その他も非常に少なくなってきた。逐次自動即時等が採用され、機械によってダイヤルいたしますから非常に安くなってきた。でありますから料金を下げなければならぬ。このことについてはこれをお認めになりますか。これは総裁一つ伺いたい。先ほどはそうじゃないという御答弁のようだったが、これはお認めにならないとただいまの答弁と食い違いますね。
  31. 大橋八郎

    大橋説明員 先ほども触れて言ったつもりでございますが、現在は、営業局長から申しました通り、一方において私ども国民の熾烈な電話増設の要望にこたえて、現在積滞しておる申し込みを一日も早く解消させていかなければならぬという大きな使命を持っております。また一方において諸外国に比しておくれておる電話サービスをできるだけ改善していいサービスを提供しなければならぬ。この二つの目的のためには相当拡充改良の費用というものがかかるのでございます。料金、収入の一部を改良拡張費に入れておるのもその趣旨でございます。この改良拡張がいま少しく進みまして改良拡張の必要性というものが薄らいだ暁には、現在の剰余金等を料金引き下げに回すということもでき得る時期がむろんくることだろうと思います。ただここのところ十年あるいはそれ以上の期間にはそこまでは到達しかねると思います。
  32. 松前重義

    松前委員 今の拡張計画のやり方や資金計画等についてはあとで論議することにいたしまして、今私が伺っておるのは、技術革新によって設備投資が減った、同時にもしこういうふうな拡張計画を遂行するためにこれを回さないならば、料金値下げができるはずだ、このことをお認めになるかならないかということを先ほどから私は伺っておる。その点にいては事務当局はお認めになっているようですが、総裁はお認めになっていないように伺ったのです。その点はいかがでしょうか。
  33. 大橋八郎

    大橋説明員 私の答弁の仕方がまずかったかもしれませんが、決してその趣旨に反対しているわけではありません。つまり今日予算収支の上においても、御承知の通り五百億円あるいは六百億円という剰余金が出ておる。これはおそらく技術革新によって生まれた成果だろうと思います。従ってこれを改良拡張に回さなければ確かにそれだけの値下げをする余地はある、こういうことを申し上げているつもりでございます。
  34. 大泉周蔵

    大泉説明員 補足して申し上げます。先ほどの私の説明があるいは足りなかったかもしれぬと思いますが、確かに技術革新の効果というものをできるだけ利用者の方に還元したいものだということを申し上げましたけれども、なお他の一点では、最近は総合原価をまかなうということで、利用者の方々の受けられる価値ということも考えて料金を考えていくということを申し上げたのであります。たとえて申しますと、地方の小局、これは経営的に見れば赤字のところでございます。しかしながら最近は地方、農村等に対しても電話を大いに普及すべきであるということで、その方面の電話も大いに拡充しておるのでございますが、その方の原価が上がったから上げられるというふうなものでもないと思うのでございまして、この点は総合的な原価の中でできるだけ国民の皆さん方にお喜びいただける方向に向けて、料金水準も、建設が大事か、改良が大事か、現在の施設が大事か、国家的な要請に従って考えるべきものだと思います。
  35. 松前重義

    松前委員 私は今資金問題を論議することをあと回しにしておるわけであります。ただ問題は、技術革新によって料金を引き下げるような情勢にないんだ、技術革新はそのわずかの部分であって、そうではないんだというふうな御意見が初めに総裁からあったから、技術革新によって生まれた影響というものは料金の問題にはほとんど影響ないのかどうかということだけについて限定して実は質問しておるわけです。拡張が必要であるとか、そういう政治的な要求については別問題です。従って、もし熾烈な電話加入の要求があり、これにこたえなければならないならば、それは資金運用部資金のこちらに対する割当を増すとか、そういうことによってやるべきものであって、またそれが実際行なわれないから仕方がないからやるというようなことになっておるのでありましょうけれども、とにもかくにもそういう議論でいくならばそういうところに到達するのであります。ですから、とにかく技術革新によって設備投資が十分の一あるいは二十分の一になっておる。それでむしろ値上がりといわれておるような料金設定であり、値上がりでなくても、この内容というものはもうかったからまことにいい都合だ、これはこっちに回してしまえ、まるでどうも国民を愚弄したようなやり方ではないかというふうに一応考えられる。それも十分の一、二十分の一になっておるのです。半分を利用するというならばまだ話はわかる。十分の一、二十分の一ですよ。それを全部何もかも設備投資の方に回してしまう、あるいは次の拡張に回してしまうというようなことは一体どうだろうか、こういうふうに実は思うのでありますが、この点は大臣はどういうふうにお考えですか。
  36. 小金義照

    小金国務大臣 大へん示唆に富んだ御意見を承りましたが、私は現段階におきましては、今、松前さんの御指摘のように、技術革新といいますか、技術進歩発達による恩恵というものは非常に大きなものだと考えます。しかしこの技術革新恩恵をどういうふうにこの際処置するかということになりますと、やはり多少不徹底はございましょうが、やはりその恩恵は、これから電話を利用したいという人のためにも、また従業員のためにもこれを活用していくということもやむを得ないのではないか。加入者そのものに主としてその恩恵を返すということも、理論的には私は確かにりっぱな御意見だと思いますけれども、現段階では非常に多数の——私の記憶では現在の電話加入数の三分の一近いものが滞留しておるのではないか、こういうふうに考えております。技術革新恩恵と、今までの加入者のお支払いになるいろいろな料金等によってこれを解消していくというふうな考え方も、この際は私はやむを得ないのではないか。理論としては私は松前さんのおっしゃることも十分うなずけます。
  37. 松前重義

    松前委員 ただいま現実問題として、仕方がない処置ではないかというような大臣の御説明でありましたが、たとえばここにあるこういう物が百円していた、それが今度は十円か五円で買えるようになった。その間に大きなマージンがあるにもかかわらず、これをどこに還元するかということが私は基本的な問題だと実は思うのです。そこでもしもこの問題について公平に行なおうとするならば、これはせめてマージンのところは半々に、たとえば加入者に半分、あとは従業員やあるいはまた拡張にあとの半分、こういうようなやり方をするのが当然なことであって、それを全部が全部投資の方へ、また次の拡張の方に、いい都合だからというわけでどんどんやっていく、そういうやり方ではいつまでたっても料金の低減などというところにまで到達しませんよ。やはりわれわれは永遠に生きておるわけじゃないんだから、生存中にその人にある程度恩恵だけは与えるべきものである、こう思うのです。こういう見方に対して、とにかく全加入者に対してはこれは回してないと見て差しつかえない、還元されてないと見て差しつかえない。そういう考え方の上に立ってやるべきものであると思うんですが、どういうふうにこの点についてはお考えになっておるか、伺いたい。
  38. 大橋八郎

    大橋説明員 ただいま御指摘技術革新によって得られた経費の節減といいますか、安くなった、その恩恵を現在の加入者には少しも返してないのではないかということは、これはどうもいかがかと考えます。現在も料金を軽減するという方法では返しておりませんが、そのサービスをよくするということで相当の分量のものは返っておると私は思います。
  39. 松前重義

    松前委員 これは水かけ論になります。そこで次に質問したいことは、技術革新に伴っていろいろな新しい設備、しかも設備投資がだんだん減っていく可能性が生まれてきているのは世界動向であります。そして一日も技術の研究を怠ってはならないのであります。ところが、現在これだけの利益を得ておるにもかかわらず、電気通信研究所の予算はわずか十八億、日立製作所さえも、あの私企業であっても技術の研究のために研究所の経費として二十五億を計上しております。あの大企業であるところの電電公社、しかもいわゆる特権の上にあぐらをかいて経営しておるところの独占企業である電電公社が、わずか十八億しかこの技術革新のために次の世代を作るところの技術の研究にはお金をお出しにならない。日立製作所は次の時代のために、その営業の目的であるとはいえども企業の目的であるとはいえども、二十五億は出しております。こういうのが一体ほんとうに明日の技術革新に備え得る体制であるかどうか。技術革新恩恵はそれはあったから受けておこう。ふところには全部入れてしまう。ほとんど還元しない。こういう欲ばり方式で、ほんとうに当面のことばかり、こうやく張りでやっていくようなことでは、私は電信電話事業の将来はあぶないと思うのですが、いかがでしょうか。
  40. 大橋八郎

    大橋説明員 技術研究のために力を注がなければならぬことは全く同感でございます。従いまして、公社になりました後、ずいぶん技術研究には従来に比べまして力を注いで、相当の金をかけておるつもりであります。むろんこれでもって満足すべき状態であるとは申しません。しかしながら、以前に比べますと相当努力をいたしておるつもりでございます。なお内容につきましては技師長から答弁させます。
  41. 米沢滋

    ○米沢説明員 ただいま松前先生から御指摘がございましたけれども、研究につきましてこういった技術革新の非常に進んでおる時期でありますし、また今後とも技術革新が非常に期待されておる現在におきまして、研究あるいは調査に非常に力を入れなければならないことは私たちもそのように考える次第でございます。ただ数字につきましてちょっと申し上げたいのでございますが、第二次五カ年計画の間に四十億を通研の建設のために使うことにいたしました。三十三年度は初年度でございますから額は少なくて五千四百万円でございますが、三十四年度が八・五億、三十五年度が十二億、三十六年度、本年度予算が十三・六億でございます。これに損益勘定で物件費が十三億、人件費が五・八億ございますから、三十五年度におきましては約三十億、三十六年度では約三十三億くらいの経費を通研に入れておると御了解願いたいと思います。
  42. 松前重義

    松前委員 いずれにいたしましても、うまいこと技術はだれかが研究してくれたから、もうかるのはもうかったが、この甘い汁はみんな自分たちのポケットで適当に使ってしまうのだ。こういうふうなやり方のようにしか全体から見て見えません。それでただいま技術研究のごときものに対してたった十億とか二十億、三十億というようなもので一体将来の技術研究に備え得るかどうか。私は断じて確信できないと思う。このようにしてアメリカから買ったり、あるいはまた外国の特許権を買ってきたりするのならまだ話はわかる。こういう基本的な電信電話事業の経営の根本に、まだ料金問題に関連いたしまして不備な点どうか、一つの気魄がないと同時に、将来憂うべき状態になるであろうと心配するのであります。こういうふうな料金制度技術革新料金に対して非常に大きな影響を及ぼしているにかかわらず、すなわち設備投資が非常に軽減をされているにかかわらず、料金当局は据え置きだとおっしゃる、世間では値上げだという、こういうような状態にある。これが明日もし技術革新が行なわれないならば料金を一定に保っていくわけにいかぬ。技術革新があったがゆえに値上がりがしなかったとおっしゃるならばしなかったことになる。技術革新が今後なかったならば値上げをどんどんしなければならなくなります。だがそこに基本的な問題があるので、料金が高いとか安いとかいうような問題よりは、明日のために非常に大きな計画の不備とともに、技術革新によって得たところの利益と申しますか、一つ設備投資が安くなったその剰余をどこに振り向けるかということが基本的な問題だと私は思う。その点で政治的考慮、あるいは事業の経営的考慮、明日の時代に備えたところの考慮に欠けているのではないかと思うのでありますが、大臣はどういうふうな御見解をお持ちですか。
  43. 小金義照

    小金国務大臣 そういう観点から十分検討を加えたいと思います。しかし現状に立って私ども考えまして、総体を通じて三十億円ぐらいの減収を見込んだという、大体現状維持の料金によって先ほど申し上げたように多数の国民の経済的要望にまずこたえるということであります。もちろん技術革新恩恵の分配等につきましては考慮すべき重要問題だと思っております。
  44. 松前重義

    松前委員 このような非常な矛盾を私は持っておる法案だと実は思うのです。ただいま大臣の御答弁にもあったようにどうも万全でないというお話のようであります。この点は少なくとも電電公社の方々が知恵をしぼってお作りになったものでありますから最善だと思うでありましょう。自分の作ったものを最悪だと思う人はおりはしません。そういう意味において電電公社の方々はやはり早く大衆の要望にこたえたいとかいろいろそちらの方で手が一ぱいですからそららの方へ自然におもむきますよ。しかし総裁や副総裁がその辺のところはやはり最高指導者としてしかるべき調整をなさる必要があると思う。事務当局はそっちに走ると思うのです。しかしまた郵政省といたしましては、少なくともこれに対してやはり大きな立場から、設備投資に必要なる資金の問題もあります。これをどこから調達するかの問題もありますし、あるいはまたただいまのような設備投資がだんだん少なくて回線もよけいにとれる、そうして能率も上がってくるというような技術革新の時代でもありますから、それによって生まれた利益と申しますか、マージンをどこに配分するかという政治的な基本的な問題がある。そういうふうな国内通信に対しましても相当に多くの問題をはらんでこういうふうな論議をしなければならないのでありますから、これに対してこの前からも御質問しておりますように、具体的な検討を加えてない、民間の衆知を集め、学識経験者等の衆知も集めた立場、あるいはまたこれに政治的な考慮を払った立場からの、いわゆる審議会のようなものの議を経てないというお話のようでありますが、どうですか。こういう問題もありますので、一つ早く審議会等の設立を見られて、もう一ぺん考え直されたらどうかというふうに私どもは考えるのであります。どうもこういう根本的な問題がひそんでおるこの法案がそう易々と通っていったのでは、私は将来の電気通信事業というものはあぶないような感じがする。この点についてどういうふうな見解をお持ちか、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  45. 小金義照

    小金国務大臣 これはいろいろ御批判もあるかと思います。専門的な立場から各方面の審議会等は設けなかったようでございますけれども、御意見を総合して、これを参酌、考慮を加えまして作ったものであります。同時に、まずこの第一歩を踏み出すことによって滞留しておる多くの要望にこたえ、また近代化、即時化というような要望にも沿えるという案でありますからして、これはぜひすみやかに成立を見まして、そうして機械的あるいは施設方面の準備が完了してすみやかに国民の要望にこたえるためには、私はこれで一応この際御承認をいただきたい、なお根本的な問題、技術革新等の見地からの考慮は常に加えつつ進んで参りたいと思っております。
  46. 松前重義

    松前委員 まあそういう御答弁であろうと思うのでありますが、とにもかくにも非常に多くの問題を含んでいる。しかも根本的なところに、なお事務的にだけ考慮すべきでないという問題を含んでおるということに対しまして私は指摘をしたつもりでありますが、これに対しては大臣はどういう感懐を持っておるか伺いたいと思います。
  47. 小金義照

    小金国務大臣 私の感懐といたしましては、大へん示唆に富んだ御意見並びに重要な今後の政策あるいは方針決定に対しての参考になる御意見と拝聴いたしました。
  48. 松前重義

    松前委員 そこで、国内電信電話料金と国際的な電信電話料金、この関連性について質問したいと思うのです。  まず第一に伺いたいことは、国際通信について電電公社が関心を持っておられるということは、国際電信電話株式会社の持ち株の一割を保有しておられる現実から見てわかるのであります。国際電信電話株式会社と電電公社とは通信としての一体的な関連性がある。この一体的な世界通信網につながる一環としての国際電信電話株式会社に対して一割の株をお持ちになっておられる。この一割の株を持たれるその意思は一体どこにあるか。国際電気通信に対してどのような要求を持ち、またこの会社に対して具体的にどういうような行動をとっておられるか、この点について公社当局の御答弁を願いたいと思います。
  49. 横田信夫

    ○横田説明員 ただいま御指摘のありました点は、電気通信といたしましては国内、国際、非常に密接な関係を持っております。われわれは今後も相協力して手を携えて電気通信の発展に努むべきであるというふうに思っております。  ただ、ただいま株のお話がございましたが、これは先生もよく御承知のように、前は国内あるいは国際両方とも電電公社がこれを所掌しておったわけでありますが、国際の諸情勢に弾力性を持って対処していくというような意味で、国際関係通信は国際電信電話株式会社を通じてこれに当たってもらう方が妥当であろうということで、ああいう会社ができたわけであります。その際に公社といたしましては、国際電信電話に提供さるべき施設を現物出資いたしたわけであります。それに基づく株を一部持っておるわけでありまして、株の所持の問題についてはそういういきさつであることは先生もよく御承知の通りと思います。
  50. 松前重義

    松前委員 私が承りたいと思うのは、どういう意思をもってこの一割の株を行使しようとなさっておられるか。そしてその相関関係については、どういう密接な関連性を将来持たせようとしておられるのか。これは料金問題と密接な問題でございますから伺いたいのでございます。
  51. 横田信夫

    ○横田説明員 ただいまお答え申しましたように、国際電信電話と国内の通信との間に仕事の上で密接な関係を持っているということについてはそういうつもりで処しておりますし、また郵政省においてはそういう意味でわれわれに対して御指導願っておると思っておりますが、ただ株を通じて国際電信電話株式会社を支配するとかというようなつもりは毛頭ありませんので、株の問題については、先ほどお答えいたしましたように現物出資ということからこういう問題が起こったということでございます。
  52. 松前重義

    松前委員 これは現物出資でしたかな。それをもう一ぺん御調査願いたいと思うのです。その通りですか。そうじゃなかったように思いますが……。
  53. 横田信夫

    ○横田説明員 その点は、私はあの当時関係いたしておりましたので、まず間違いないと思います。もし間違っておりましたら訂正いたしますが、まず間違いないと思います。
  54. 松前重義

    松前委員 間違いないと思うじゃちょっと困る。
  55. 横田信夫

    ○横田説明員 私もあまり記憶のいい方ではないのですが、その当時非常に密接な関係を持っておりましたのでまず記憶に間違いないと思っておりましたが、今法文を調べましたら、やはりそういうようになっておりまして、国際電信電話株式会社法附則の3、4に、「公社の現物出資等」と書いてありまして、「日本電信電話公社は、会社の設立に際し、会社に対し、現物出資をすることができる。」「公社は、日本電信電話公社法第六十八条の規定にかかわらず、会社の設立に際し、国会の議決を経ないで、同条に規定する設備を会社に対する出資の目的とし、又は会社に対し譲渡することができる。」こういうふうになっておりまして、現物出資であります。
  56. 松前重義

    松前委員 そうすると、あの法律が通ったときはいわゆる現物で出資されたのですか、それとも現金で出資されたのですか。国際電信電話株式会社に施設も所有権もすべて移ったので、その株の始末に困ったからその株のうち一割だけを電電公社は買った、こういうことに私はなると思うのだが、どうですか。
  57. 横田信夫

    ○横田説明員 私、当時経理局長をしておりまして、私の記憶にまず間違いないと思いますが、現物出資いたしたのであります。金で出資したのではありません。
  58. 松前重義

    松前委員 まあ現物出資とかなんとかいうことは大した問題じゃありませんが、問題は、国際電信電話株式会社との間にどういうような将来性をお考えになっておられるか。国際通話等をやった場合において料金やその他をただ事務的に計算するというだけの問題でなくて、やはりそこに将来密接な関連性を考えておかなければならない問題だと私は思う。ことに太平洋の横断ケーブル等ができたと仮定するならば、その場合のごときはそこにやはり当然国際電信電話株式会社に対する具体的な態度を必要とするものだ。一割というのはただ現物出資しただけで何でもない、それではそんなものはどんどんやめてしまって、そしてそれをこちらの方の加入者の増設その他に必要だ必要だとおっしゃるならそこへお使いになったらいいじゃないか、こういうふうにも思うのですが、どうですか。
  59. 横田信夫

    ○横田説明員 この株を持つに至ったいきさつはただいまお話しした通りでありますが、この株を処分するかどうかという問題につきましては、国際電信電話株式会社との関係も密接でありまするし、この株を持っておることがむしろ妥当であろうと思います。ただ株を中心にして株主権というようなものによって、国際電信電話会社に対して電電公社がいわゆる支配権を持つというようなことは決して妥当なことではないだろう、こう思っておるわけであります。国内、国際ともに手を相携えてやっていくということにつきましては、ともに政府の監督のもとに手をつないでいくというようなことに相なっておるものと存じております。
  60. 松前重義

    松前委員 この国際電信電話に関して今後の国際線というものはだんだん拡充されてくるに従って密接な関連性を持つのでありますが、その場合、たとえばアメリカとの間に国際電信電話株式会社の交換局か、いわゆる市外交換局か、国際交換局かに入っておる、そしてまた電電公社市外交換局に入るとか、こういうような相関関係については具体的な取りきめがなされておりますか。
  61. 大泉周蔵

    大泉説明員 国際電信電話会社と電電公社との間には業務の委託の協定がございまして、国際通信の国内部分につきましては国内通信を扱うと大体同様の料金をいただきまして、こちらの方が業務を受託しているものでございます。
  62. 松前重義

    松前委員 国際電信電話株式会社がアメリカとの間に協定しておりまするあの国際線の問題に対して、一応電信電話公社に伺いますが、当然これは国際線として国内線とのつながりができるものでありますから、従ってこれに対する電電公社でおきめになっている技術的な要求、すなわち国際電信電話株式会社に一切の技術的な条件をまかしてしまって、そしてアメリカとの交渉を国際電信電話株式会社のみにやらしておる、こういうような現状でありますか。それとも電電公社技術的な水準というものを生かして国際線もかくあるべしというような意味において、通話の安全をはかろう、すなわち完全な通話ができるようにしたい、こういう意図のもとに相互の交渉をなさっていらっしゃるかどうかを伺いたいと思います。また郵政省はそういうことをなさしめておられるかどうか、その配慮があるかどうか伺いたい。
  63. 松田英一

    ○松田政府委員 お答え申し上げます。  現在までの電信あるいは電話の連絡につきましては、特にアメリカとの関係においては無線で行なわれておりますので、無線電話あるいは無線電信としてのそれぞれの性能というものをアメリカとの間におきまして、これはある程度国際的な基準もございますが、そういうものを考慮して、それぞれ通話あるいは通信を行なっておるわけでございます。それが日本の国内との接続関係におきましては、電電公社といたしまして日本の国内における通話というものの行なわれる一つ技術の基準というものが当然にあるものでございますから、国際電電といたしましてはそれをバックに持ちまして、そして無線電話技術一つの基準というものと両方合わせまして、国際的な通話がどのように行なわれるかということを判断した上で、アメリカ側といろいろ交渉して取りきめてやっている次第でございます。ただ今後いろいろと世界的に通信網が非常に発展して参りまして、ことに世界的な通信網も自動化の傾向をたどっておりますので、そういう問題につきましては世界的な自動通信網の形成という見地から、現在国際電気通信連合でもその問題を取り上げておりますが、その問題につきましては電電公社も国際電電も相ともに協力いたしまして会議出席し、あるいは意見をまとめまして臨むことになっております。
  64. 松前重義

    松前委員 有線の太平洋横断ケーブルについては共同施設というような格好になっておるというふうに聞いておりますが、どういうような格好の共同施設になっておるか、所有権の分野その他はどういうふうになっておるか、それを伺いたいと思います。
  65. 松田英一

    ○松田政府委員 現在の太平洋ケーブルの問題につきましては、まだ最終的な決定に至っておりませんので、ここで最後の結論としては申し上げるわけには参らないのでございますが、大体の考えといたしましては、アメリカとヨーロッパの間に行なわれておりますような世界的な一つの方式というものにのっとりまして、従いまして日本とアメリカ間のものにおきましては、ある部分につきましては共同所有、ある部分につきましては破棄し得ない使用権と申しますか、それによって実際の効果というものはほとんど所有権と同様のものであるというような形で処理することになっておる次第であります。
  66. 松前重義

    松前委員 その場合、共同所有というもののケーブルがわが国の領土内に入り込んできて、そうして交換局内に入り込んでくる、こういうような場合においては、これは少なくとも外国通信事業がわが国においてほんの一部たりとも経営されるという格好になるわけです。そういうことが法律上許されるかどうか、この点について研究されましたか。
  67. 松田英一

    ○松田政府委員 その問題につきましては私どもも慎重に検討を進めておりまして、最終の段階までにはその点の調整のとれた考え方で処理をして参りたいというふうに考えております。
  68. 松前重義

    松前委員 少なくともこれは法律を変えなければできないのじゃないかと私らは思うのだが、その点はどうですか。
  69. 松田英一

    ○松田政府委員 まだ最終的な形がきまっておりませんために、ここで最終的な断言ははばかるわけでございますが、私どもは現行法でまかなえるようにその処理をやって参りたいというふうに考えます。
  70. 松前重義

    松前委員 法律が許さなければどうなさいますか、まかなえない、どうですか。
  71. 松田英一

    ○松田政府委員 私どもの考えとしましては、現行法でまかなえるのではないかという方式を考えておる次第であります。
  72. 松前重義

    松前委員 おそらく、これは非常にむずかしいと申しますか、法律に抵触する問題である、従ってまかなえるように何か工夫をこらしたいというようなお話のようであります。いずれにしましてもあまり無理をして裏口ばかり通るようなことでは健全な通信事業の発達を将来とも妨げるし、国際間の問題にも悪影響を及ぼすと私は思う。このようにしてとにかくここに有線電気通信法というものが提案されておる。その中にはただいまのような国際間の問題も含み得ると私どもは見ておる。それでその問題がまだ必ずしも確信ある御答弁ができないような情勢にある。しかも国内の通信におきましてはたくさんの問題を含んでおる。先ほど来申し上げましたように、これはここにおいでになる皆さん方みんな同じような感じをお持ちになったと思うのです。何も私はいわゆる歪曲した意味においていたずらな発言をしているつもりではございません。技術革新の現状において、その設備投資と料金との関連性、将来の事業運営に対するこれらのマージンをどのように配分するか、この基本問題について私はまじめにただして参ったのであります。大臣もこれをお認めになった、国際問題についてもなお疑問を残しておる、こういうときでありまして、この法案の内容に対しましては、今早急にこれを通すということはやはりどうも少しずさんじゃないか、もう少し準備を必要とするのではなかろうか、こういうふうに実は考えるものであります。この点につきましてもう一ぺんお考え直しになって法案を出し直すというような考えがあるかどうか、もう一ぺん大臣の所見を承っておきたいと思う。
  73. 小金義照

    小金国務大臣 それは今後検討すべき問題を含んでおると思いますけれども、現実のこの段階におきましては、この法律案をぜひ御承認願いまして、すみやかに国民の要望にこたえて、そしてこたえながら今御指摘になったような根本問題をあわせて考えていっても決して誤りはない、(「その通り」と呼ぶ者あり)こういうふうに考えておりますから、これはぜひこのまま御審議を願いまして、国会の御承認を得たいと考えております。
  74. 松前重義

    松前委員 これはあなたの立場では撤回もできないと思いますけれども、とにもかくにもただいまのような内容を包蔵し、国際間にもなお疑問を残しておる、この点は今その通りとおっしゃっておられる方々でも認めておいでになるようです。私どもとしては、これはもう少し練り直さなければいかぬのじゃないか、とにかく根本的な問題に触れておるのですから、拙速もどうかと思われるのでありまして、明日の電信電話事業の発展のためにも、これにほとんど準備がない、技術の研究その他に対してほとんど準備がない、多少やってあるという話でありまするが、民間の企業でさえこれに上回る思い切った態勢をとってどんどん前進しつつある、こういうときでございまして、私どもは、この法案の内容に対して、非常に遺憾な点が多いことを指摘せざるを得ないのであります。これは御答弁はもう承る必要はありませんが、こういう意味におきまして、この法案の慎重審議と、同時に、できるならこれが御撤回になることを希望しまして、私の質問を終わります。
  75. 山手滿男

    山手委員長 この際、午後二時まで休憩をいたします。    午後零時二十四分休憩      ————◇—————    午後三時二十四分開議
  76. 山手滿男

    山手委員長 これより再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を続行いたします。安宅常彦君。
  77. 安宅常彦

    ○安宅委員 私はきょうはおもに電話料金の問題を中心に、郵政大臣並びに公社の総裁その他担当の皆さんに御質問を申し上げたいと思うのであります。  まず第一番目にどうしても聞かなければならないことがあるのでありますが、三月四日の朝日新聞にこういうことが出ております。文章は少し省略いたしますが、閣議の席上郵政大臣が、電話料金を合理化するものであって、これが実現をすればかなりの料金値下げになる、こういう説明を行なった、それで気をよくした大平官房長官が、この法案は池田内閣唯一の値下げ法案である、東京−大阪の例をとって新聞記者団に説明をやったところが、大阪の方が高くなってしまったので、問題は逆効果になってしまった、いずれそのうちもっと調べてお話しいたしますと言ってこそこそ逃げていった、こういう意味のことが書いてあるのでありますが、これは郵政大臣が来られましたらあと大臣にも聞きますけれども、どういうように公社当局大臣の耳に入れたのか、ぜひ伺っておきたいと思います。やはりそのように池田内閣唯一の値下げ法案であると官房長官に言わせるような、いわゆるかなりの値下げになるのだというふうに説明したのでございますか、その辺総裁一つ……。
  78. 大橋八郎

    大橋説明員 私はそうこまかいことを大臣説明したことはございません。
  79. 横田信夫

    ○横田説明員 これは大臣にもいろいろ資料を前提にしましてお話し申し上げたわけでありますが、その中に東京−大阪の表も出ておったと思います。東京−大阪は御承知のように現在二百九十円、これがさしあたりは三分・一分、それが機械化されていくと距離別時間差法で、四秒七円の時間差になるのでありますが、東京−大阪は三百十八円ということで、ちょうど三分のところはちょっと高くなりますが、しかしこれはたびたび御説明いたしますように四分、五分のところは相当安くなっておるのでありまして、そういう意味でお客さんの方からいうと、これは従来に比べてむしろ有利であるということは、われわれとしても全体的に申せる、こう思っております。
  80. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうすると大体副総裁がそういうことを郵政大臣に申し上げたということを確認してよろしゅうございますか。
  81. 横田信夫

    ○横田説明員 私だけが御説明申し上げたわけではございませんが、そう御了解願ってもよろしゅうございます。
  82. 安宅常彦

    ○安宅委員 どうもそういううそを言われてははなはだ困ると私どもは思うのです。だから大平官房長官が赤っ恥をかくようなことになる。上がるところがあるわけです。それで先ほども答弁しておりましたし、きのうの質問にも答弁を皆さんはしておったようですが、どういう答弁かというと、値上げにはならないが値下げにもならない、こういう方針だと正式の委員会では答弁をしておるわけです。ところがPR用には盛んに、安くなるのだ、安くなるのだとあなたの方では宣伝これ努めておる。これははなはだけしからぬ態度ではないかと思うのですが、その辺はどうですか。
  83. 横田信夫

    ○横田説明員 これはたびたびここで総裁からも説明がありましたように、今度は安くするために料金改定をするのだということが表面の問題ではなくて、料金水準としては同一水準としていく、ただでこぼこ調整をしていく場合に、でこぼこ調整ということになりますならば、従来より幾分高くなるところについてもできるだけこれを配慮していくということをやらざるを得ない。従来安くなるところは当然安くなる、こういうことをやらなければならないので、全体としては、結論として三十億円何がしというものが、三十四年度決算としてそれだけの減収はやむを得ないという結果になる。その結果ということが何かといいますと、結果論としては、これだけの総体的な意味料金値下げということにならざるを得ない。しかし値下げを今回は目的としたのじゃない、こういうことであります。
  84. 安宅常彦

    ○安宅委員 それでは総体的にはやや値下げになるから大平官房長官の話というのは間違っていない、こういう態度であるのかどうか、政務次官どうですか、それは。あなたの見解を聞いておきたいと思います。——副総裁でもいいです。
  85. 横田信夫

    ○横田説明員 先ほど申し上げた通りでありまして、今度は料金の合理化調整を目的にいたしておるので、初めから値下げを目的にしたのじゃない。しかしでこぼこ調整の結果、われわれとしてもお客さんに及ぼす影響をできるだけ全体的に有利にしていきたいという結果の調整をはかったので、三十四年度決算を前提にすれば三十億円何がしというものの減収案にならざるを得なかった。そういう意味で総体的には、わずかではあるけれども値下げという結果になった、こういうことであります。
  86. 安宅常彦

    ○安宅委員 そういうことはあとでやりましょう。それでは今の副総裁答弁の中に、三十四年度の決算を基礎にすれば三十億円程度減収になる、だからこれは総体的な値下げの意味も含まっておる、こういう意味答弁があったのでありますが、これはどうですか。三十四年の決算期で三十億円の減収になる、その次の年は五十億円で、その次の年は七十億円だということを、営業局長はきのう答弁しておりましたが、そういうふうに必ずなりますか。私は去年の十月まで電電公社の職員としておったんですから、そういうしろうと向きみたいな答弁でだまされないつもりなんですが、そうなりますか。
  87. 大泉周蔵

    大泉説明員 おっしゃる趣旨がちょっとよくわからないのでございますが、この前申し上げました通り、これの説明を申し上げておりますのは、私たち事務的に考えまして最も正しいと思う数字を申し上げておるのでございます。そこでこの問題について昨日申し上げましたのは、三十四年度の決算数字において三十億円余りの減収であると申しますのは、距離を直線ではかることによる減収、手動を三分二分制にすることによる減収、それから距離別時間差法を適用し、準市内通話制度を実施するということによる自即化関係減収というものを合計してこれだけになる、これはおのおのこれに対応します通話量というものに応じてこの計算が出てくるわけでございます。それで、三十四年度の決算というのは、ただいまあります一番新しい決算の数字であるから、これをもとにお話し申し上げておるのでございますが、三十六年度、三十七年度についてはどうなるか、三十六年度は予算の数字がございますので、これに当てはめて考えてみると、これは四十億円余りの減収になるという計算になります。これは同じ計算方法でやっておるわけでございます。三十七年度はどうなるかと申しますと、予算もできておりませんし、またその場合における需要見込みもできていないのでございますが、かりに同じ方法を適用すると年間約五十億の減収になる、ただしこの法律は三十七年度の半ばから実施するということになっておりますので、年度の減収見込みは二十五億ということに大体なるのではないか、こう思っておるのでございます。そこで、この私たちの見込みに対しまして将来どのようになっていくかということにつきましては、毎々申し上げます通り、特に自動関係距離別時間差法については利用増が長い間には期待される、しかしそれは一体何年間でそのようになっていくかということが、これはその地区の事情によって違っているので、私たちは企業努力としてできるだけ皆様が便利で、もっと大いに使いたいというぐらいにやっていただいて、できるだけ早くこの減収というものが埋まるように努力したい、このように申し上げたのでございます。
  88. 安宅常彦

    ○安宅委員 それでは申し上げますが、三十四年度の決算と何を比較して大体三十億円の減収だと言ったのか、これは非常に知能犯的な言い方だと思うのですよ。あなたは、そういうふうにつっつかれると、あわてて、だんだん努力をして、なるべく早い機会に黒字にしたい、減収にならないようにしたい、こうおっしゃっている。私どもの計算によれば、三十四年度と三十五年度のようなそういう比べ方をして、そのときの電話加入者数、その通話度数、それから回線数や何か、そのときのやつを計算して、そうして三十億だ、三十億だ、減収だ、減収だと言っておる。ところが午前中に問題になりましたように、回線の数も電話の数も、それから特に自動改式に伴う——一回回せば七円ずつかかるやつが幾何級数的にふえている。そういうふうになって、あなた方の料金の策定そのものが、今までもこれを基礎にして、そうして特急や急報というものの間あたりに——その次あたりですか、自動改式になった分の料金をすぽっと当てはめておる。こういう件数がすばらしく多くなっているから、これを計算に入れれば、もうことしから赤字にならぬようなそういう事態をちゃんと頭に入れておって、皆さんの方では三十億の赤字だ、赤字だと言っておるんだ、こういうようにしか理解できないような資料をわれわれは持っておるのですが、その辺どうなんですか。
  89. 大泉周蔵

    大泉説明員 どうも安宅先生のおっしゃる御意見がどこから出たのか、私理解しかねるのであります。私たち、これはまじめに計算しましてこの通りになったのでございまして、この計算の方法につきましては昨日も御説明いたしましたが、取り扱い数という——この料金制度をとることによって、現在の料金制度の場合と新しい料金制度の場合とはどれだけ差があるかということを比較したものだということを申し上げたのでございますが、その場合に通話量がどのように変動するかということを想定に入れなければならない。今先生のおっしゃるのは、おそらく通話量が非常にふえるから、それでカバーできるんじゃないか、こういうことじゃないかと思いますが、その点につきまして、昨日も御説明申し上げました通り、手動通話については、三分・三分が三分・一分になる。基本の三分は同じ料金を取ろうというところから、そう大きな利用増というものは期待することはできない、われわれとしては通話数は同じであるという考えで計算をいたしました。その次に自動通話につきましては、三分未満の短い単位で料金をとりますので、相当通話が短くなる可能性もある。これをどう見込むかということについてまことにむずかしいのであるが、われわれとしては通話時間と通話の量をかけた総体というものはとにかく減らない。つまり利用数においては相当ふえるというようなことを計算に入れて——これは実は見方はいろいろあるのでございますが、結局私たちとしては、区間によっては五%から一〇%の利用増を見たことになると考えるのでありますが、そのような計算の基礎の上にそれだけの減収になる、こう申し上げたのでございます。しかし、しからばこれだけで利用増がとどまるか、こう申しますと、私たちはこのスタートのときにはこの程度に見込むのが一番適当じゃないかと思うのでございますが、将来どんどん利用数がふえるかどうかという問題につきましては、私たちとしてはこのような便利な、いわば市内通話に似たような形式になってくることによって、次第に電話が使いやすくなってふえてくるんじゃないかということを期待すると申し上げたわけでありまして、これは昨日も受田先生から御質問があったかと思いますが、この自動通話の基礎がだんだん広がっていきまして、相当の利用増というものがなければ、とても簡単に、この三十億というものは埋め合わせがつかない、このように考えておるわけでございますが、ただ何べんも申し上げます通り、私たちはこの減収というものは全体の規模から見れば——金額は相当大きゅうございますが、全体の経営規模からすれば、われわれの経営努力でできるだけ将来に悪影響の及ばないように努力すべきもの、こう考えているということを申し上げたのでございます。計算の基礎は決してうそ偽りはございません。もしその点について御疑念がございますれば十分御説明申し上げたいと思います。
  90. 安宅常彦

    ○安宅委員 たとえば十一月ころあるいは九月ころですか、そういう時期に想定されるところの加入者の数、それから通話度数、それからその他のいろいろな計数を入れて、そうして料金を改定したならばこうなるというふうに計算したのではなくて、三十四年度当時の実数を改正した場合にはこうなる。ただ当てはめたのだというふうにとれるあなた方の答弁だったから、その辺をよく聞きたいんです。三十四年度に当てはめてあれば、これは電話機の数ばかりじゃなくて、その構成までみな違ってくるわけですからね。決算は三十四年度の分しかあなたは出していないとおっしゃる。それでは新しい計数で出したのか。三十四年度を基礎にしてその当時の状態において料金改定した場合にはどうなるかということを計算したのではないかということを僕は聞いているんです。どうなんですか。
  91. 大泉周蔵

    大泉説明員 三十四年度は決算数字でございますので、通数、料金その他明確でございます。三十六年度は予算でございますので、これは見込みでございます。しかし計算は同じ計算方法で、これも見込み数字というものが今の料金体系でやった場合と新しい料金体系でやった場合には、どれだけの差が出るかという計算をしてみたのでございます。
  92. 安宅常彦

    ○安宅委員 どうもその辺が……。だから三十億の減収ということを盛んにあなたの方では宣伝しておるけれども、しかしやってみないとわからないということを委員会で盛んに主張するところにくさいところがある。三十四年度、それから三十六年度の予定数というものは同じ計算方法でやった、こういうふうにおっしゃるのでありますが、それだったら算術計算ですっとそのまま当てはめれば三十億円の減収になるかもしれませんが、その状態というものは三十四年末の決算期とは大へん違っているはずだ。僕はそれを、すみまで出ているくせにあなたの方ではずるくて言わないのではないかと思うのですが、その辺どうですか。
  93. 大泉周蔵

    大泉説明員 決してずるく申し上げているわけではございませんで、私たち経営の常識といたしまして、将来の見込み数字については計算はこの通りでございます、こう申し上げているだけでございまして、何らほかには隠しだてすることはないのでございます。
  94. 安宅常彦

    ○安宅委員 それではきのう、ただいまのような方向でいくと三十七年度は五十億くらい、三十八年度になって七十億円くらい減収になる計算に相なりますという答弁をあなたはしておる。これは速記録に残っておるはずですが、そういうふうになりますか。
  95. 横田信夫

    ○横田説明員 先ほどから営業局長が専門的にだいぶ説明して御納得いかないのですが、これはすぐ納得していただけるのではないかと思います。三十四年度というのは先生よく御承知の通り、三十四年度は市内通話がどのくらいあって市外通話がどのくらいあったということは全部わかっておるのですから、それを前提にして現在の制度のままで計算すると三十四年度の決算数字そのままの数字が出てくる。今度の料金に改定したとすればどのくらいの計算になるか、これも出るはずです。これを比べてみると三十四年度の決算では三十億円ちょっとの違いがあるということを申し上げているので、これは非常にはっきりしている。ところが今度三十六年なり三十七年になると、この通話がどのくらいになるかということについてはある程度仮定を立てないと出てこない。その場合こういう仮定を立てたらだんだんふえるだろう。これは仮定はどういうふうに立てるかといいますと、通話はだんだんふえて参ります。通話がだんだんふえて参りますと、従って三十四年度の通話よりも量が多くなるわけですから、現在の料金制度の場合と三十四年度より三十六年度が今度は差が多くなる、これは当然だと思います。その計数を申し上げたわけでありますが、その計数をもう一ぺん営業局長から御説明申し上げます。
  96. 安宅常彦

    ○安宅委員 だからこういうことなんです。国民向けの三十億の減収というのは、今度委員会のときは、あなた方は三十六年までの想定だからわからないとおっしゃる。国民向けは三十億円の減収だというが、それは三十四年度の決算期の実勢を引き直して、そうして料金改定した場合には三十億円の減収になるのです、というところにいわゆる言葉の言い回しのうまさといいますか、そういうことがあるのではないか。その証拠には、二十八年の第一次五カ年計画が始まって以来、電電公社の収入というのはもうどんどんふえているじゃありませんか。それをひた隠しに隠しておいて、ただ一年度だけのを作ってそれで減収になる。どだい基本料金の計算の仕方、つまりたとえば時間単位の市外通話の場合でも、計算の仕方そのものが、あるいは公衆電話料金の計算の仕方、単価そのものが二十八年のときにどだい高く見積もっておるからあなたの方では笑いがとまらないほどずっともうかっているのですよ。三十四年のときにはなるほどそういうふうにすれば減収になるかどうか知らぬけれども、その当時と三十六年の場合には、もう計数的に電話の数もそれから電話の種類もみな違っておる。電話料金のかけ方が待時通話よりも即時の方がえらいふえておって、そのためにまた料金の収入もぐっとふえておる、こういう状態国民が頭に置いていないのをうまいことにして、そうして三十六年度のときは赤字だ、そこに引き伸ばせば減収だとここでは言うけれども、一般向けにはただ三十億円の減収になるほどの、これはいわば値下げ法案に近いようなものだという発表をしてごまかしているのではないか、こういうことをみんなもそう受け取っているから、私はそれを明確に答弁してもらわなければ困るのです。
  97. 横田信夫

    ○横田説明員 先ほど来申し上げますように、これはほんとうにごまかしでも何でもないので、三十四年度はすでに通話がどのくらい、市外がどのくらいあったということがはっきりしているのですから、それによって収入が決算的何ぼになる、これは現行料金で何ぼになるということははっきりしているわけです。それを今度改正する料金に置きかえてみたら幾らの収入になるかという計算をしたのが三十億何がしという減収に、比べてみるとなる、これははっきりしている。これはうそ偽りも何もない。ただ今度はお客さんは確かに便利だと私ら思います。それから距離別時間差法になればお客さんにも大へん便利だと思う。ただしかし距離別時間差法になったときに、今度は需要がどのくらいふえるだろうか。この点は今後の問題としてなかなかわからぬところがあるのです。これは欧州各国でやって、それぞれ距離別時間差法に直したときに、通話がふえたパーセンテージも違いますし、いろいろ違うので、日本でどのくらいふえていくだろうか、これは今後やってみないとなかなかわからぬ問題で、これがお客さんに大へん喜ばれて思いのほかにお客さんの需要が急に非常にふえてきたということになれば、今の料金と今度の改正料金とによって落ちる差額というものが、通話が非常にふえることによってカバーできて年限が少し早くなる、それがふえなかったら少しおそくなる、こういうことはあり得ると思います。そういう意味で将来の、便利な制度になったときに通話がどのくらいふえるだろうかという予想についていろいろ問題があると思いますが、三十四年度のものは非常にはっきりしておるのですから、これが従来の料金と今度の料金に置きかえてみた場合にどのくらいの収入の違いがあるだろうか、これはうそ偽りのない数量がそのまま数字に出るわけでありまして、その辺は御了承願いたいと思います。
  98. 安宅常彦

    ○安宅委員 だから、三十四年のときのそういう実数でもって引き直してみたのを、まさか三十六年度の改定期のときの予想と比べるわけにいかないでしょう。比較することはできないでしょう。だから、三十四年のときにやったとするならば年間三十億円くらいの減収になった、こういう意味ではないかと聞いておるのです。
  99. 横田信夫

    ○横田説明員 三十四年度につきましては今お話し通りです。三十四年度のそのままの状態で、従来の料金と今度の改正した料金で計算してみるとこれだけの違いがある、その通りであります。
  100. 安宅常彦

    ○安宅委員 だから、三十四年のときはまるっきり現在は違っておるのです。三十四年のときから改正するのではない。ことしからやろうとしておるのです。だから、そういうことになれば三十億円の減収にならないのじゃないですかと私は聞いておる。それは予想ですということになれば、三十億円の減収になるという、二年も三年も前の話を国民に宣伝しておいて、実際に委員会になれば、どのくらいの通話数がふえるものやら、あるいは三分では損だから一分くらいに切り下げる諸君が多くなるものやら、喜ぶというけれども、喜ぶも喜ばないも、電電公社しか電話をつけてくれないから、喜ばなくても使わなければならない。だからそういうことを言って、ここで今度は予想がつきませんというのはあまりにひどい言い方じゃございませんかと聞いておるのです。
  101. 横田信夫

    ○横田説明員 数字は営業局長から、なお三十五年以降の見通しは、これはある程度仮定は入りますけれども、申し上げますが、三十四年度という数字を申し上げましたのは、三十四年度が決算で一番はっきりしています。三十五年度の決算はまだ数字は最終的に固まっていないので三十四年度というのを申し上げたので、決して三十四年度を故意に取り上げたという意味じゃなくて、その点は御了解願いたい。今の三十五年度の点の問題については、営業局長から御説明いたします。
  102. 安宅常彦

    ○安宅委員 だからおかしいじゃありませんかと言っておるのですよ。国民は三十億円の減収になるのは来年度の決算でなると思っているのですよ。あなたの方では三年も前のものを、統計がそこしかはっきりしていないからといって出している。いなかでは、しろうとみたいな論議になりますが、電話を一回回せば七円のときとただでかけていたときと大へん違う。シナそばを一ぱい注文するのにも、ぐっと回すと七円かかる。もとはただだった。今度はただじゃないのです。電話がたくさんふえておる。そしてそういう電話というものは、普通と急報と特急との間に市外通話料金を策定しておいて、だから市外通話もぐっと上がる。こういう率が二十八年、二十九年、三十年あたりとはまるで違った計数をもってふえつつあるのではないか。そういうときにおいて、三十億円の赤字は決して来年度はないのではないか。こういうことを私が盛んに言っておると、あなたの方ではことしはどうなるかわからないと言う。国民向けの宣伝と私どもに対する答弁とでは、大へんそこにごまかしがあるのじゃないかということを聞いておるのです。
  103. 大泉周蔵

    大泉説明員 どうもちょっとお話の点が少し違うかと考えますが、私は赤字になるとは申していないのでございまして、今の料金体系と新しい料金体系の差が三十四年度決算で比較して取り上げてみれば三十億円引っ込む、こう申し上げておるのでございまして、赤字になるとか、要するに別の要素においてどんどん利用増があるものを含めたらどうかという議論とは違いまして、体系と体系の比載を申し上げたのであります。  そこで私たちの内容をちょっと申し上げますと、実は直線距離に改める場合に、具体的に比較してみますと、長いものも短いものもちょうど同じというわけにはいかないのでございまして、実際の調整は九七・六%、九七・九%といったような収入になる程度調整せざるを得なかった。従って三十四年度決算では従来の体系から見て十六億円のマイナスになる、こういうことを申し上げたのであります。また三分二分制につきましても、計算上調整すべき金額というものに対してやはり引っ込む。こういうことで、体系と体系との差を申し上げておりまして、そのほかの要素を含めて言われると、私たちとしても計算上のいろいろの基礎の御議論をしなければたらないと思いますが、そういうことを申し上げているのではございません。
  104. 安宅常彦

    ○安宅委員 私はそういうことを申し上げているのではなくて、それじゃ角度を変えましょう。こういうことです。新聞の発表でも何でも、あなた方が発表するときには、年間三十億円くらいの減収になるような料金の合理的な改定だということしか言わない。ところがよく聞いてみると、三十四年の実勢の中ではそうなるのであって、現在は増収するかもしれない。こういうことではないかと言っているのです。
  105. 大泉周蔵

    大泉説明員 世間の皆様方に三十億円の減収を目的とするというような印象をもし与えるとしますならば、私たちの至らないところでございますが、とにかく増収などをはかるのではない。そう間違ってもらっては困るけれども、三十四年度決算に引き直してもなおかつ三十億円余りの減収になるものということであります。それで先生の御質問に答えて、この法律実施するときにはどうかという御質問であるならば、年間に直しまして五十億程度になるだろう。従ってその意味からいえば、国民の皆様方に小さ目にこそ言え、ごまかしたとかなんとかおっしゃられるいわれはないと思います。私たちその点につきましては非常に良心的に申し上げているつもりでございます。
  106. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうしますと、再度あなたは言いましたが、五十億円程度減収になるというのですね。何ぼ何でも増収じゃないですね。減収になる。それからその次の年度は七十億円くらいの減収になる計算だということを、受田先生の御質問に対して答弁した。そしてだんだんいろいろ努力して、いつか黒字に転化するように努力したい。これは言葉上だけを見ても、毎年減収が累増していく、こういうことを言っておきながら、努力して今度黒字に転化する、減収にならないように転化したいと思う。そういうことは答弁にならない答弁をしておるということにあなたは気がつきませんか。
  107. 大泉周蔵

    大泉説明員 どうも誤解を与えて申しわけございませんが、私申し上げましたのは、昨日申し上げたうちで私あるいは記憶違いで間違った数字を申し上げたかもしれませんが、私、三十八年度につきましてはまだ実勢その他をよく計算してございませんので、もし三十八年度の数字を申し上げたとすれば間違いでございますが、三十七年度につきましては、大体今のような体制でいけば五十億程度と言って間違いないのではないかと思います。  それから、申し上げております数字と努力してという問題とは、これは利用の形態が変わってきた姿の問題、それを全部こんがらがって言うのはかえって誤解を生ずると思って、非常に良心的に申し上げておるのでございます。要するに自動の体系に変わる、自動の関係の体系の変更の計算は非常にむずかしいのでありますが、通話の続く時間も短くなるだろうし、その意味で一度数当たりの単金も下がるだろうけれども、その点については利用増を見て、総体では減らない、むしろ多少の利用増を見たという計算において、なおかっこの程度はあるが、しかしながら、今までは道一つ隔てても二十一円もかかってかけられなかった、むしろ控えておったという方が、七円でかかるならばそばでもとろうかというくらいにお使いになるだろう。しかしこういうものは急にはなかなかできないだろうけれども、長い間にはこの体系は便利だからそういうこともできてくるだろう、その方向に企業努力を持っていきたい、こういうように申し上げたのであります。
  108. 安宅常彦

    ○安宅委員 そういう論議は通用しないのではないですか。それじゃ具体的に聞きますが、三十四年度の決算を引き直して三十六年度に当てはめてみた場合には、その通りの上がり方でいけば五十億、七十億という赤字が出ていく計算だが、料金を変えて仕組みを変えるのですから、三十四年度のときの実勢と今の実勢が違うから三十億円の減収になるということは言った覚えはない、単なる三十四年度の決算時における数字を基礎にすれば三十億円の減収になるような案だ、こういうふうにあなたの方では言ったはずだという答弁と思って間違いありませんか。
  109. 大泉周蔵

    大泉説明員 何か誤解を生ずるといけませんが、私たちの体系と体系の差においては三十億円余りのマイナスである、こうはつきり申し上げておるのでございます。
  110. 安宅常彦

    ○安宅委員 いつごろのケースだったでしょう。
  111. 大泉周蔵

    大泉説明員 これは体系の比較でございますので、三十四年度の決算、一番最近の決算として三十四年度とすればそうだ、三十六年度にしたらどうかとおっしゃるから、これは予想だからなかなか正確なことは申し上げかねるけれども、これを計算すれば五十億程度になる、こう申し上げておるのです。
  112. 安宅常彦

    ○安宅委員 それは五十億というのはまず第一番に切り離して考えてみなければならぬと思うのです。そうすると予想がつかないけれどもという前提が三十六年度の場合は入っているわけですね。だから三十四年度の決算を基礎にすれば三十億円の減収になる、そういう案だ、こういう言い方をしないで、先ほど副総裁も、三十億円も減収になるような総体的には値下げを意味する要素もあるところの案でございます、という答弁を明らかにしておるでしょう。そうしたら私らみたいな男は人がいいものだから、うっかりこれは公社が損までしてくれて料金を改定してもらったんだ、こう思うが、そうではなくて実は三十六年度は電話の種別も自動と磁石と共電の比率がみな違ってきます。それから市外通話する人の数もふえてくるかもしれません、それからそういうことを計算に入れれば三十六年度あたりはうまくいけば増収になるかもしれない、こういう予想もされる案だ、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  113. 大泉周蔵

    大泉説明員 どうもおっしゃる趣旨が……。
  114. 安宅常彦

    ○安宅委員 わからないのならいいです。じゃあっさり言いますが、三十六年度末にはあなたの方ではやはり総体的に減収になるような案だ、こういうふうにはっきり言えますか。
  115. 大泉周蔵

    大泉説明員 この新しい料金体系と旧料金体系の差は、先ほど申しましたのは三十七年度のことを言ったのですが、三十六年度ですと四十数億円のマイナスになる。
  116. 森本靖

    ○森本委員 議事進行。今のような質疑応答になるとこれはとても先へ進まぬわけで、ちょっと忠告しておきたいと思います。  要するに安宅君の言っておるのは、あなたの方が五十億、七十億、百五十億減収になるということをきのう答弁された——それは速記録に載っておるのだから、何ぼ首を振ってもそうだ。その五十億、七十億、百五十億というものについては、現行料金の体系をそのまま持っていって、今の通話度数が大体ふえていくということを仮定にした場合と、今回の料金の改定をした場合との比較をしていくとそういうことになるんだ、こういうことを君はきのう説明した。それはその通りなんだ。その通りだけれども、君の方はそういうことで減収になるということを言っておるけれども、現実には電話料金というものは総体的に増収という形になっていくのじゃないか、こういうことを言っておるわけなんです。その辺の答弁がさっきから食い違い、食い違いしてきているからちっとも先へ進まぬわけだ。そういうことを考えての答弁になってくると先へ進んでいくわけですよ。あなたが首を振っても、きのう受田さんの質問に対してはそう答えたわけだ。だからその点については私もそういう理屈は成り立つであろうと思う。あなたの言うように体系と体系の差になるから、その時点においてはなるけれども、あなたの方はそのことを宣伝しても、しかも五十億、七十億、百五十億の総体的に減収になるというようなことを言っておられないけれども、そういうふうな宣伝にとられがちだ。またそういうふうに思う人もある。実際はそうではないじゃないか、電話料金はさらに増収になるのじゃないか、だから今、安宅君が、それでは具体的に電話料金全体は三十六年度はどうなるか、こういうことを聞いているわけだ。
  117. 大泉周蔵

    大泉説明員 おっしゃいます通りその点について言い方が悪くて誤解されておりますが、申し上げておりますのは、料金水準として同じような両体系において、加入者の方々の負担がふえるか減るかという問題につきましては、この計算をしますと、わずかではございますが全体として上がるのも下がるのもありますけれども、これは全体として三十四年度決算数字で三十数億マイナスになる案である、しかし利用者の方々が大いに使い方をおふやしになるという点につきましては、これは距離別時間差法の計算の中においては計算がむずかしいために、ある程度の利用増を見込んでおります。それ以上の利用増が絶対にないとは私は申しません。しかしそれは料金の体系が変わったときに直ちに得られるだけの利用増であるかどうかにつきましては、昨日受田先生の御質問に対してお答えいたしました通り、現在については自動通話は百五十億程度の規模である、実施のときは二百億の規模になるだろうが、それが五十億なり何なりのマイナスの分を埋め合わすために幾らふやさなければならぬという数字は出ますが、そのような数字に直ちにいくということは私たち想像できないのでございます。しかしできるだけ早い機会にそれに到達するように私たちも努方いたしたい。お客様方が利用されてその便益をお受けになる分によるいわば減収の埋め合わせということは、料金水準から見れば別に考えていただけるのではないか、こういうことを申し上げておるのであります。
  118. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうすると理論的にこうなんです。料金の両体系を比べまして、三十四年度末では三十億円の減収になるような案だ、しかしその後三十五年と三十六年と私が聞きたいのは、電話の即時化がぐっとふえておるのだから利用度数もふえておるし、それから料金の質も違ってきておるじゃないか、そういう引き直し方をすれば、たとえばさっきちょっと申し上げました同じようなことを言うようですが、五十秒の一分制ですか、五十秒・七円制をあなたの方ではちゃんと見込んで計算をしてみたり、それからあとで触れますけれども電話の維持費の値上げの問題なり、級局の改定の問題なり、損をしないようにぴしゃっとずるいところは押えておるのですから、そういうふうになれば私は、そういう要素も含めて三十六年度には総体として公社は理論的なこういう減収になる案だという意味とは別に、収入そのものはぐっとふえて、決して公社が困るような案ではないというふうに考えておるのだが、その通りじゃないかと聞いておる。
  119. 横田信夫

    ○横田説明員 先ほどの議論につきましては、差額の問題は森本先生が今の比較論についておっしゃった通りであります。  そこで今おっしゃいますたとえば三十五年度あるいは三十六年度というもののケースが出たときに、これに現在の料金と今度の改定案の料金を振り当てて計算してみると、三十四年度より損失は多くなります。それは間違いないのです。ただこういう案をやることは永久に電電公社が不利になって、電電公社というものが困りはせぬかという、永久に不利になるのは困るのではないかという問題になって参りますと、これはお客さんにも喜ばれながら、電電公社も長い目で見れば必ずしも損ではないだろうというのはどういうことかといいますと、これはこういう料金体系になれば、今後やる近代化の設備投資もできるだけ経済的にやっていける、同時に先ほど申し上げましたように、お客さんに喜ばれて通話量がふえるだろう、ふえてくれればわれわれはふえるやつで損失をカバーしていけるから、そう電電公社も——これは電電公社に非常に痛手であるということになれば大蔵省だって承知しませんよ。それは長い目で見れば電電公社にもお客さんにも喜ばれて数量がふえてくるだろう。そうなれば長い目で見れば電電公社も必ずしもこの料金制度によって……(森本委員「必ずしもではないのだ、かなりもうけてくるのだ」と呼ぶ)それでお客さんに喜ばれながら収支が合っていくのは、これは当然事業の……。
  120. 安宅常彦

    ○安宅委員 だからこういうことなんです。あなたの方では三十六年度の決算において予想でしょう。あなたは経営者ですから、まさか五十億また減収になるような案は立ててもらいたくない。ほんとうの話こっちも……。損をしたら承認しろと言ったってしない。あなたはもうかることをちゃんと頭に入れているのだが、利用者に発表するときには、この料金体系というのは三十億円くらい減収になるいい案だぞと言うところに、すりかえの論理といいますか、うまく国民の方には値下げ法案だ、値下げ法案だと言っておって、総体的には値下げだ値下げだといってすとっともうけている案だとしか私ら見ないんだが、その通りじゃないですか。三十六年度の末には損するつもりですか。それは具体的に言って下さいよ。
  121. 横田信夫

    ○横田説明員 計算の根拠は、先ほどから申し上げましたように、この両体系の比較においては、同じ通話料を前提にすれば、この方が減収になることは確かです。それはまんじゅうの値段を下げた、下げたけれども、よけい売れてもうかった、それはけしからぬということになれば、問題はまた別です。そういう意味で、やはりお客さんにも喜ばれながら、われわれは将来の経済投資ができるようにしていこうということが、ほんとうの料金体系として考えるべき筋で、事業を危殆に陥れるような料金改正をやってはいかぬと思います。だけれども、これはお客さん方に一つ値上げしているのじゃないということは確かです。
  122. 安宅常彦

    ○安宅委員 だからこういうことなんですよ。そうすると、あなたの方では、決して三十五年度の——あるいは三十五年度はまだ決算ついてないそうですが、三十六年度は三十四年度の収入よりも総体的にぐっとふえるのだ、そういうことははっきり言えますね。——うなずいておる。そうすると、国民大衆は、きのうまではそこを言わない、私のようなことを言わないから、三十億円減収だ、三十億円減収だとらっぱを吹かれるものだから、ははあ、公社のサービスはよくなったものだ、えらい減収までして料金改定をするのだ、こういうふうに受け取られるような言葉をはいているのは、はなはだもって知能犯的なやり方ではないですか。
  123. 大泉周蔵

    大泉説明員 安宅先生には申し上げるまでもないと思っておったのでございますが、加入者がふえ、利用増があった場合に、収入がふえるのは当然でございまして、三十五年度から三十六年度、三十七年度にかけて、加入者がふえるに従い利用度数がそれにつれて多くなるのは当然でございます。そのような増収の中において、結局ふえるべかりし五十億というものはふえなくなるということでございます。今おっしゃいますのは、収支の問題と体系の問題における料金差の問題を一緒にご論じなさると、私たちの方も、どうもどちらをお答えすればいいのかわからないのでございますが、この点は一つ分けて御判断願いたいと思うのでございます。
  124. 安宅常彦

    ○安宅委員 それはおかしいよ。僕が言っておるのは、三十五年度の電話機数なり加入者数なり、回線の数なり、即時のふえた利用数なり、そういうものが三十四年度よりふえているのだから、そういうふうに構成が変わっているのです。そこに引き直してみたら、三十億の減収というか、理論的には減収だけれども、どっちみち増収にはなる計算になる。三十四年度のときは減収になるような格好だけれども、三十六年度もまた情勢が変わっている。三十七年度もまた変わっている。そういうことを計算に入れたら、あなたの方では決して御損のないような料金の改定じゃございませんかと聞くと、あなたの方では、比較論として三十四年のそのままの計数でずっと当たっていけば、五十億円減収になったり七十億円減収になったり、だんだんふえていって百五十億円減収になるような、そういう案としか答えないで、公社はえらいもうかるんだということを一つも言わないから、みんな大へん安くなるものだと思って勘違いをしておる。あなたの方ではそういう点をよく言わないで、減収減収だ、三十億円の減収だとしか、新聞にもどこにも発表しないから、国民の人々は、郵便料金あたりと違って電話料はえらい値下げになるものだ、こう思っておるところにあなたの方のずるさがある、こう言うのです。
  125. 大泉周蔵

    大泉説明員 ずるいわけじゃございませんで、私たちは決して値下げだ値下げだと言うのじゃなくて、増収にも減収にもならない、料金水準を同じにしようと努めたけれども、お客様方に受け入れられやすくするためには、どうしてもある程度減収になる要素を覚悟せざるを得ない、それは三十四年度の決算で計算しますと三十億余りでございますと申し上げたので、三十七年度の実施時期につきましても、私申し上げておりますのは、今の料金体系でいくならば収入になるであろという金額に対して、平年に直して五十億、年度の中途でございますから半年実施ならば二十五億程度得らるべき利益が入らなくなる計算でございますということを申し上げたのでございます。
  126. 安宅常彦

    ○安宅委員 わかりました。それで結局は総体的には国民負担が軽くなるかならないかは、私はあとでいろいろ申し上げますけれども、それとは切り離して質問しますが、総体としてあなたの方では収入は相当ふえていく、減っていくんじゃない、そういうふうに理解していいわけですね。
  127. 大泉周蔵

    大泉説明員 先ほども申し上げました通り加入数がふえ、また即時化等が進みますと利用増もございますので、全体の収入はふえて参ります。
  128. 安宅常彦

    ○安宅委員 だから、大臣質問しようと思ったがいないが、あと大臣には、こそこそ言ってはいかぬ、大臣はほんとうに電電公社はえらい損すると思っているんだから。そういう宣伝の仕方ははなはだまずいと思うのですが、どっちみち増収になるということはわかりました。その増収の度合いは、つまり三十四年度の収益と三十五年度、三十六年度、三十七年度とは、これは計画そのものが立っておるのですから、そういう料金を改定した場合にはどれくらいの予想になるかということはここで発表できますか。
  129. 大泉周蔵

    大泉説明員 三十八年以降は第三次五カ年計画ということになりますので、細部の数字はまだきまってないのでございます。そういうことで私たちは三十六年度予算の傾向をそのまま延ばして計算するならば、今の点五十億程度の得らるべき利益が入らなくなる、マイナスになるということを申し上げておるのでございまして、この点につきまして加入者当たりの利用度数がどうなるかは、相当景気変動等もございますし、長期に見ればだんだん減って参るのでございますが、三十七年度の今申し上げました数字は、大体三十六年度と同じ程度のものという想定のもとに増加する加入数あるいは即時化の進み方、自動即時化の進み方なりを概算して御説明申し上げた次第でございます。
  130. 安宅常彦

    ○安宅委員 本年度の予算に、たとえば歳入が二千六百五十五億で、建設勘定に回すのが千七百三十四億、自己資金が千十九億円その中で出さなければならぬ。これと同じような歳入でいいのですよ。三十四年のときと三十五年、三十六年、三十七年、これはあなたの方でまだきまってないところは推定でいいですから見込みを発表して下さい。
  131. 横田信夫

    ○横田説明員 今のお尋ねの点は、三十四年度の決算では、先ほどお話しした通り、三十六年度の予算収入を、二千六百五十四億の収入予定になっておりますが、これを新体系になったものとして、また二千六百五十四億の収入の前提になった物数計算、それを前提にして計算しますと、新料金体系は約二千六百十億円くらいになる。だから両体系による差が四十億円ちょっとになる、こういうことであります。
  132. 大泉周蔵

    大泉説明員 今申し上げましたのは、三十六年度の分は、予算がありましたので副総裁が今申し上げたのでございますが、三十七年度につきましては、これは想定になるのでございまして、総体予算規模としてどの程度考えたら五十億になるか、こう申しますと、私は大体三千億前後の総体規模になるものと想定いたしまして、その差が五十億、そう考えるべきではないか、こう思っております。
  133. 安宅常彦

    ○安宅委員 では実際の収入はどんどんふえる、それよりもこの料金体系をとったら少しはその速度が伸びないかもしれぬ、しかしいろいろな要素があるからそれは伸びるかもしれぬが、今のところはっきりは申し上げられない、こういう答弁だというふうに確認してよろしゅうございますか。
  134. 横田信夫

    ○横田説明員 これは今の物数がふえていけば、それによって従来の体系で計算した収入と今度の体系で計算した収入、これは三十四年度よりも五年度、六年度と当然ふえて参ります。新体系と旧体系との差額は、むしろ新体系をやった方が当然減って、両方比べた場合に新体系の方が収入がだいぶ低くなって参ります。これはもう確かです。それで先ほど森本先生が言われたように、将来この新体系を実施した場合にお客さんの需要がどのくらいふえてくるだろうかという問題はまた別だ、こういうので、実は三十六年度、五年度も四年度に比べて今のトラフィックの増もございますから、それを前提にして新体系、旧体系の計算をすれば、当然その差額は三十億からもっと多くなってくるのはあたりまえなんです。ただこの新体系を作った場合にお客さんの需要がどんなにふえていくであろう、この問題はまた別です。そういうものが予想以上にふえてくれば、われわれの方もこの新体系にしたことによる収入の減ができるだけ早くカバーできる、こういうことは言えるわけです。
  135. 安宅常彦

    ○安宅委員 どうも私の質問にそのまま答えると、何か言質をとられそうな気がして逃げているような気がするのですが、まあいいでしょう。だから私が確認をしてよろしゅうございますか、と言ったときに、そういう確認もできないで、そうして同じような意味だが、若干ニュアンスが違うような答弁をしておられることについては、あとで少しずつ解明をしていきたいと思います。  それでは別なことを伺いますが、電信電話公社が発足をするときに、公共企業体に移行するその理由の中に、いろいろと料金のことが書いてあるわけです。たとえば本事業の基本的性格である公共性、技術的統一性、及び自然独占性を考慮し、料金決定、変更については、公正報酬の原則のもとに国民的要請に基づく特別低料金設定する場合は国家において保障する、こういううまい文句が書いてあるわけです。そういうことをなぜ書いたかと申しますと、これは私の見解ですが、電信電話事業そのものというのは営利事業ではございませんで、もともと国営事業として明治の初めにやった、それはすべて国民の税金によってまかなわれてきたのです。だから電話の利益というものを享受できる権利というものは国民がみな持っているわけです。従ってそれは国が保障もし、そういう低い料金でずっと続けてきたわけです。今電信電話事業がすばらしくもうかっておる、このときにあなたの方では、もうけは建設資金の方に相当部分を自己資金の方から出してまでやらなければならない、そういう理屈というものは公社法の精神に違反するものではないかと思うのですが、この点は副総裁どうですか。
  136. 横田信夫

    ○横田説明員 われわれの方の事業の収支差額というものを建設投資の財源にするということが妥当かどうかというお尋ねでございますが、この点につきましては、前の二十八年のあの料金改定のときにもこの国会でいろいろ議論がありましたところであります。当時議論がありましたところは、この電話の拡張、改良の中には現在のお客さん、加入者に対してのサービスの改善という面に向けられるものが相当多いわけでありまして、これは前回のときにもお話がいろいろ出て、どのくらいのものがあるかといいますと、建設拡張の工程のうちの約六〇%くらいのものが、現在のお客さんのサービスの改善に振り向けられる。と申しますのが従来の磁石式の交換だったものが、あるいは自動の改式になっていく、これはこれによって新たなお客さんの申し出に応ずる余裕も出てきますが、同時に従来の加入者の方も全部自動改式になる。それからたとえば東京——大阪等の今の即時サービスというものを維持していくためには、この東京——大阪間の市外回線をうんとふやしていかなければならぬ、この投資が非常にふえていく、こういうような部面が相当多いのでありまして、この電話事業におきましては収支差額は建設改良の資金に投下されるということは必ずしも不当ではないということが、当時の国会の議事録にたしか載っておると思いますが、この点は現在も同様でありまして、この収支差額が建設改良に充当されておることは、どなたかから議論がありましたように、お客さんへのサービスの向上に振り向けられておるということにおきまして、必ずしも不当なことではない、こう存じておるわけであります。
  137. 森本靖

    ○森本委員 公社当局に私ちょっと忠告しておきたいと思いますが、先ほど質疑応答の中で三十八年度以降の収入についてはまだわからないというふうな返答がございましたけれども、これは国鉄の運賃の改定のときでもそうでございまするが、こういう運賃なり料金を合理化し、改定をする場合には、少なくともそのあとの三カ年ないし五カ年程度の予想というものは立てておいて、そうしてこれはこういう計数になるという答弁をしなければならぬはずです。その点についてないということは、これは私は非常に遺憾にたえないわけであります。少なくとも三十八年度以降については第三次五カ年計画ということになったにいたしましても、これがこの法案通りいくとするならば、三十七年の十月から料金合理化ができるわけでありますから、そうなった場合にその三十七年十月から三月までの分についてはこうなります、さらに三十八年の一年についてはこういう見込みになります、三十九年度についてはこの程度でございます——というのは今までの電話料金収入というもののあなたの方の計画については出ておるわけであります。そこでその電話料金の収入が合理化になった場合に、通話数その他の見込み数からこういうふうに変化をしていきますという見込みがないまま、こういう法案を提案するということはあり得ないわけです。こういう点については他日日をあらためて質問があろうと思いますけれども、それはやはり完全に答弁ができるという形でなければ、この法案を上程したところの義務が果たせぬ、こう思いますので、この点は一つ委員長からもよく忠告をしておいてもらいたいと思うわけであります。
  138. 安宅常彦

    ○安宅委員 ですから設備計画の問題なんかもきのう詳しく答弁していましたし、設備計画はできておって料金がどういう趨勢になるかわかりませんというような答弁はおかしいじゃないかということを痛いほどあとで言ってやろうと思っておったが、そういうでたらめな答弁はないと思うのです。これは少しずつ出て参ります。  それで今の副総裁答弁にちょっと関連してもう一回聞いてみたいのでありますが、たとえば電話の場合には設備費というものは原則は新規架設の電話負担になる、それから基本料というものは設備されているものの維持費だ、それから使用料というものはサービスの対価だ、大体こういうふうにあなたの方ではおっしゃっておるようですね。そういう原則を相当踏みはずしてやったのが、二十八年度のときに国会の議事録を見ても相当問題になっておる。現在ではだんだんそれは原則を踏みはずし過ぎて、ずっと将来の電話設備費までサービスをしてやるのだなんといううまいことを言うけれども、サービスは、電話をかけるのは早くなったかしらぬけれども、そういうところまで国民負担しなければならない義務というものは私はないと思うのです。だからそういう料金体系そのものの矛盾というものを私どもは大きく感じているのですが、あなたの方は、そういうことはありませんということをはっきり言えますか。
  139. 横田信夫

    ○横田説明員 先般来またきょうの午前中もその問題に関連したようないろいろの議論が出たのでありますが、収支差額というものをどういうように配分したらいいかというような問題に結局なるかと思います。けさ方、収支差額を電電公社が国庫に入れておるというような話も出ましたけれども、これは電電公社が国庫に入れておるわけじゃなくて、ただいま申し上げましたように、収支差額につきましては、これを建設改良投資といたしまして、この建設改良投資というのは結局お客さんのためになる、サービスの改善になるということを申し上げたのであります。電話事業といたしましては、そういう方面の必要性というものがまた非常に必要な時代でありますので、われわれといたしましては、その収支差額と建設改良投資に投下するということは決して不当じゃない、こう思っております。  なおまた、けさ話が出ましたように、われわれの事業におきましては、幸いこの技術革新あるいはそういう方面によります経営改善によりまして、こういう収支差額もだんだん出て参りましたので、先般来の仲裁裁定につきましても、幸い従業員の給与の改善につきましても、料金値上げをしなくてもわれわれの方はやっていけるというようなことができましたことは、皆さん方の御指導のたまもので、非常に厚く御礼を申し上げます。
  140. 安宅常彦

    ○安宅委員 質問をずらしてはいかぬですよ。私が言っているのは、今度項目ごとに、料金の種類別に言っていきます。だから全体としてそういうことになっても私は納得しませんよ。たとえば話はとんでもないところになるかもしれませんが、職員局長なんか、生産性本部か何かの役員をやっていたりしているやに聞いているのですが、そういうときの宣伝は、合理化、機械化をしていけば、えらい収入が企業としてふえて、その利益というものは基本的には経営者に三分の一、労働者に三分の一、あとは利用者の方に三分の一をやっていくのだというような、えらいうたい文句があるわけです。ところが利用者の方は、サービスがよくなった、よくなったとあなたは言うけれども、今度は市内電話料金にしても、市外電話料金にしても、いろいろ私はこの矛盾点を申し上げることがあるのです。それから電話の公債の問題もある。サービスしてもらったって、りっぱなお菓子をもらったって、えらい高かったら何もならないじゃないですか。そういうことをしておる。労働者には大へん、今あなた賃金の値上げをしたようなお話ですが、これは労働組合がわあわあ言って、あなたの方から首を切られ切られがんばって、やっと上げたのです。それは総体から言ったらほんのわずかじゃありませんか。だから松前先生も、先ほどは、設備投資にだけ全部向けるのは不当ではないかという意味のことを、ふところに入れたという表現を用いているのです。だからただいまの答弁はおかしいと思うのですが、どっちみち私の質問の要旨はどういうことかといいますと、その使用料というのはサービスの対価だ、それから基本料金というのは設備された電話機に対する維持の費用だ、それから設備そのものというのは、新規に電話を架設するときの負担の金額でございます。これは原価を全部計算をして、あなたの方ではそういう原則に従ってその料金をはじいたりなんかしているはずなんだが、その原則は昭和二十八年以降相当くずれて、そして最近になったらそれがすばらしく度を越しているのではないかというふうに私は考えるが、そういう傾向はございませんと断言できますかという質問をしておるわけであります。設備投資がどうこうという質問をしているわけではありません。
  141. 横田信夫

    ○横田説明員 ただいまの電話使用料についてはサービスの対価で、基本料は——基本料も実はやはりサービスの対価でして、ただこれは固定費的なものを大体まかなっていくという部門も含まれておりますし、そういう意味基本料もやはりサービスの対価でありますから、お話の設備料というものは、こういう問題につきましては、実は設備料というのは前に装置料というものがありまして、この装置料というものは、お客さんの電話をつけるときの宅内の設備費の消耗品に相当する金額の平均をいただくというのが装置料であったわけであります。これは昨年いろいろ御審議いただきましたように、電話架設の場合その加入者だけの屋外の消耗品的な装置料、それを合わせて一万円いただく。前は屋内だけを前提にしまして四千円、これが一万幾ら、こういうことになったわけであります。この設備料はそういう引込線以下の問題を前提にいたしておるのでありまして、その設備負担金というような意味のものとは違っていたわけであります。従来は設備負担金をいただいておりましたのを、昨年のあの拡充法のときに設備負担金はやめまして、それで社債をたくさん持っていただく、こういうような形に相なったわけであります。
  142. 安宅常彦

    ○安宅委員 だからそれはいいです。その設備費というものについて、あなたの方では国民のふところを当てにして、いわばずっと将来にわたる信用を当てにして、そしていわば月賦で電話を買ったみたいなそういう形の仕組みの中で、将来の分まで国民がその金を負担しなければならぬ。負担しないはずだというけれども、これは利息の問題もあるしいろいろな問題がある、そういう点までやってサービスしたというのは理屈に合わないじゃないでしょうかと言っておる。
  143. 横田信夫

    ○横田説明員 お話の点の、将来のものをもらってサービスしておるとおっしゃるのは、ちょっとよくわかりませんでしたが、ただいまお話し申し上げましたように、今度の拡張についての財源関係といたしましては、収支差額あるいは自己資金としてはそのほかに減価償却費、他人資本といたしましては加入者に持っていただく加入者債券あるいは外債あるいはそのほかの公募債という方面から財源を得る、そういうものの財源を前提にいたしまして拡張をいたしておるわけでありますが、そのうちの加入者に持っていただく債券の問題を御指摘じゃないかと思います。これは昨日かあるいはおととい話が出ましたように、一加入者電話をつけるのを、今の電話だけに限定いたしまして、すなわち農村の公衆電話とかあるいはそのほかいろいろなものを除きまして、電話だけに限定いたしまして一加入者当たりにすると、最初に設備するときに一加入者当たり約二十一万円くらいかかる、そのうちの半分くらいを加入者債券として持っていただく。しかしこれは加入者に持っていただくけれども、これを従来のように低利に押えるというのではなくて、いわゆる公募債と同じように大体の水準で持っていただいて、お客さんへの経済的負担もできるだけかけないようにしていく、こういうのが昨年の拡充法の趣旨であります。その辺の御協力を加入者にいただいておりますが、これは必ずしも不当じゃないじゃないか。しかしこれも将来だんだんそういうものがなくて済むようになれば、こういう加入者債を引き受けていただく制度も、長い将来にはこれを解消していくという問題が起こるわけであります。ただいまの拡充計画から申しますと、昭和四十七年度まではどうしても必要がある、だろうということで、拡充法においては一応有効期限というものを十三年までは有効だということで御了承願ったように考えております。
  144. 安宅常彦

    ○安宅委員 そういうことをだんだん聞いていきますと、やはりたとえば歳入に対する設備投資の仕方の問題も言わなければならないわけです。私はここに二十八年から三十五年までの資金調達と資材購入の資料を持っておるのですが、そういう建設資金の調達状況は、自己資金と外部資金の比率というものは、傾向として自己資金の方がだんだん多くなっていくような傾向が見受けられるわけです。そして本年度なんかは、その政府の財政投資と申しますか、それが減っておる。こういうような状況の中で、たとえば国鉄公社の模様を見てみますと、どういうものですか、電信電話事業という進歩度の非常に激しい企業に対してこういう減らし方をしながら、国鉄公社の場合はいわゆるバスとの問題があったり、いろいろな諸問題をかかえておる中で——実際に電信電話事業を伸ばしていかなければならないときに、政府の財政投資というものは非常に少ない。こういう形を見て、あなたの方では非常に何かくやしいなというような感じはいたしませんか、電信電話事業を経営する立場にある人としてですね、どういうものでしょうか。
  145. 横田信夫

    ○横田説明員 今御指摘の分は、いわば純財政投融資と申しますか、そういう方面の金額がもう少しあっていいんじゃないか、こういう御指摘のようであります。この点については、われわれも今後とも努方していきたいと思っておりますし、郵政大臣、郵政省の方々の御指導も十分賜わりたいと思っておりますが、今後ともなお一そう努方いたしたいと思っております。幸いにしてそういうもののほかに外債の方の道も開けておりますし、それからただいま自己資本と他人資本というお話もありましたが、実は加入者債券はやはり他人資本というもののうちに入るのでありますが、これも加入者に引き受けていただいて——ただこれも昨日、あるいは先般からいろいろ御指摘がありますように、加入者に御協力していただいた加入者債券については、価格面についてわれわれの万全の手配を今後していきたい。そういうような意味において、われわれの方も幸い他人資本の方の御協力も各方面から得ておりますから、財政投融資方面についても今後なお一そう努力さしていただきたいと思っております。
  146. 安宅常彦

    ○安宅委員 そういう中で今第三次五カ年計画というものが日程に上っておるのでありますが、きのうあたりの答弁を聞いておりますと、施設局長ですか、大へん詳しいいろいろな設備の計画というものをるる説明を申しておられるようでありますけれども、先ほど伺ってみますと、設備の方はこういうようにしたいということなんですが、歳入と申しますか、そういう料金収入その他の収入の面がまだはっきりしない、こういうことが明らかに森本さんからも指摘されておるのではないかと思います。さらに要員の計画も、きのうの職員局長の話によればまだよくわからないという話なんですが、その通りなんでしょうか。
  147. 横田信夫

    ○横田説明員 この点につきましては、昨年、拡充法当時からの第二次五カ年計画の改訂、これを改訂する場合にあたりまして、長期の見通しやいかんということで、四十七年ころまでの大体の需要がどのくらい伸びるだろうか、それに対応するにはどういう資金調達をしたらいいか、それから収入はどうだろうかということは、昨年の改訂計画あるいは拡充法に基づくその当時の見通しは、大体皆さんのお手元にも差し上げたようなわけであります。先般来問題になっております、これを変えなくてもいいだろうかという問題になりますと、最近の所得倍増計画その他の関係で、あれよりももっと規模を大きくする必要があるだろう、需要ももっと伸びるのではないかということを前提といたしまして、もう一ぺん改訂が必要じゃなかろうかという問題については、ただいま検討中ということを申し上げておるわけであります。なお人の問題につきましては、これは設備計画といたしましては、もちろん長期計画の見通しはああいうふうに四十七年ぐらいまで一応できて、これをまた改訂するかどうかということも問題でありますが、人のこまかい問題等になりますと、先般長期計画として差し上げたああいうもののほかに、もっと詳しい——機械かどのくらい要って、どういう機械を据えてどうするというような、いわゆるほんとうのこまかい設備計画がないと、また人のこまかい計画もできないというようなことで、まだ人のこまかい見通しができていない。この設備計画も、ようやく二年くらいのものががっちり固まってくる、こういうようなことになって参りましたので、この点はなおできるだけ、二年を三年に広げていくというようなことも努力いたしたい、こう思っておるわけであります。なお今の点につきましては、補足説明計画局長からさせていただきたいと思います。
  148. 伊藤誠

    ○伊藤説明員 第三次五カ年計画は先ほども説明申し上げたのでございますが、私の言葉が足りなかったせいか、ちょっと誤解を招いたのではないかと思いますけれども、具体的な第三次五カ年計画——三十八年度から四十二年度までの第三次五カ年計画は目下作業中でございまして、計画ができておるということではございません。ただ昨日申し上げましたのは、昭和四十七年度におきまして申し込みを完全に充足する、あるいは即時通話を大体全国的に広げるという目標のもとに目下作業をやっておるということを申し上げたのでありまして、具体的な計画はまだでき上がっておらないのでございます。
  149. 安宅常彦

    ○安宅委員 それではどうも第三次五カ年計画というものは、まだはっきりしたものに固まっていない、単なる一つの構想といった程度だ、こういうように理解してよろしゅうございますか。
  150. 伊藤誠

    ○伊藤説明員 構想と申しますか、構想につきましても、構想という言葉の意味でございますが、昨日も申し上げましたように、長期の目標を設定しまして、それに到達しますための方法はいろいろあるのでございますが、そのいろいろな方法と申しますか、いろいろな前提によりまして方法がみな違うのでございますが、あらゆる前提を考えて作業をするということは非常にむずかしいのでございますので、一応の前提を置いて私どもは作業しております。その前提がはたして構想であるかどうかということにつきましては、作業ができ上がりました結果、これが実現可能であるかあるいは不可能であるか、あるいは非常に困難であるかということによりまして、修正なり再改訂する、あるいは再検討するということをやりましたあとにおきまして、いわゆる構想というものができ上がってくるんじゃないかというふうに考えております。
  151. 安宅常彦

    ○安宅委員 それでは先ほど問題になりました減収かもうかるか——何か話かおかしくなりましたが、そういうふうに営業局長ですか何かおっしゃるように、今のところの計画というものは、あなたが言うように、この料金体系にした場合には、年間、大ざっぱに言ってだんだん減収分がたくさん出てくる、こういう収入しかないということを見通しての第三次五カ年計画の骨子というものはでき上がっておる、こういうように理解してよろしゅうございますか、その前に立てたものですか。
  152. 大泉周蔵

    大泉説明員 私申し上げておりますのは、この新しい料金体系は、大まかに申し上げまして全体収入の一・五%程度のものでございます。これは先ほど申し上げました通り、距離の刻み方あるいは三分・一分制あるいは自動即時関係で、おのおのがマイナスの分は違うのでございまして、これはこの計画の進み工合加入数、利用数のふえ工合で違うのでございますが、しかし大体の数字としましてはそう大きな差はございませんので、この全体収入を三千億程度の幅とすれば、大体五十億程度ということを申し上げたのであります。収支に関して詳しい計算があるべきだというお話もございましたが、私たちはこれによって増収をはかろうというようなことであるならば、あるいはそのようなことも必要かと思ったのでございますが、これはわれわれとして、今の体系に比べて大体増収減収もない、収支を同じくしょうと努力した結果、このようなマイナスが出たけれども、これは企業努力において、ある程度の幅においては埋め合わせ得るのではないか、こう考えましたので、計画に対して影響なしということで、こまかい計算はしていないのでございます。これは第三次五カ年計画がきまりまして、それによって加入数なりあるいは市外回線数等の見通しがつきましたならば、おのずから私どものこの具体的な基準を適用してどのくらいの数字になるか算定できるのでございますが、残念ながらこの点のこまかいものはございませんので、申し上げたようなわけでございます。
  153. 安宅常彦

    ○安宅委員 それでは今度は要員の問題に入りますが、料金の問題はそういう計画だということで伺っておきます。  要員の問題ですけれども、たとえば第三次五カ年計画というものがそういう構想の分野だからどうなるかわからぬというふうに答弁されても、私は何とも言えませんけれども、全体の計画の途中にあって、たとえば普通の手動から自動に改式をする。そして集中局が出る。それがまたいろいろと変わっていく、こういう過程の中で、労働組合との間にも配置転換に関する協約なんかありますけれども、もう何回もここに飛ばされたりあっちに飛ばされたり、こっちにまた帰ってきたり、いろいろそういうちぐはぐなことが現実に出ておって、何か紛争の種になっておるようでございますが、あなた方のおっしゃる資金計画の方も設備計画の方も、その場になってから、要員の計画と同じようにうろうろしてしまうのじゃないかということを大へん私は心配しているから聞いているのです。要員の計画の方はそういうことを現実にやって、紛争の種になっておるということを和知っておるのですが、そういうことがないということは言えないでしょうね。副総裁、これははっきり言っていただきたいと思います。
  154. 横田信夫

    ○横田説明員 この設備の拡充近代化という問題に関連しまして要員に及ぼす影響いかん、こういう問題でございますが、これは先般も御説明さしていただきましたように、われわれの事業は幸いにして拡張期にありますので、全体としての人員は毎年相当増員になっていく。今後とも相当増員になっていくということは確実であります。しかし部分的に見ました場合に、ある職種なりある地域の人が減っていく、定員が減少になるという問題は起こるわけであります。そこで配置転換、職種転換ということがどうしてもある程度は避け得られない。その問題についてはわれわれといたしましても、その配置転換、職種転換になる人の犠牲を少なくするようにできるだけの配意をしていくべきだということで考えておりますが、その点につきましては、たとえば昨日もお話が出ましたように、通勤時間が一時間半ぐらいのところまではがまんしてもらいたい。それを超えた場合には、われわれは宿舎を全部用意いたします。しかし一時間半という場合についても例外的に、いろいろな事情がある場合は、現実に即した、そう無理なことはしないようにはいろいろ相談しましょうというような態勢をとっておりますが、その点、一時間半でなしにもつと短くしたらどうかというような問題は残るわけであります。しかしそういう問題についてはわれわれとしても社会常識の許される範囲ではできるだけそういう話には応じていきたい、こういうつもりでいろいろ今後とも話々進めていきたい、こう思っておるわけであります。
  155. 安宅常彦

    ○安宅委員 私が言っているのは、今あなたの方はそういうことをわあわあ言ってやっているが、第二次五カ年計画が終わりそうです。終わりそうなときにけんかしているんだから、こんな計画はないんじゃないかということを言っている。これはべらぼうな大きな計画です。所得倍増計画に基づいてまた拡大修正をしなければならないと言っている。こういうふうなことをやるくらいのところが、そんな一時間半か一時間ぐらいで計画の途中において組合とけんかしなければならないような計画性のない要員配置でいいのかどうかということが問題になってくるわけです。それと同じように、設備の計画も料金収入も、宣伝は減収だみたいなことを言っているけれども、ちゃんと入るところは入っているんだ。あなたの方ではそういうことを答弁をしておるが、その計画そのものも相当余裕を持って、何かとんでもないところでつまずきが出ないような計画というものをぴっしゃり出さなければ、料金をどういうふうに策定するかということさえも討議ができないじゃないかと先ほど森本さんが言っているようですが、そういう点で、要員の場合だけそういうつまずきが起きているのか、あとの分は起きていないのか、それをちょっとお聞きします。第二次五カ年計画の中の問題としてちょっとお聞きします。
  156. 横田信夫

    ○横田説明員 お尋ねの点の、その点について今ごろそういう話をするのはおそいじゃないかという問題でありますが、実は拡充計画が進む前から、われわれの方の拡充計画に伴う首切りはしない、しかし配置転換については今のような方法でお互いに話し合っていこう、こういう問題については、一たん協定を結んだら、その協定が永遠に通用するかどうかはわかりませんが、ある程度の話が続くわけでありまして、こういう問題についての話し合いが今でも続いているということは、従来協定がなかったわけじゃなくて、協定は作りながらも現実の問題についていつも組合と話を進めている、こういうことであります。なお今後設備計画をやる場合には、設備計画の計画協議ということは従来もやっております。こういう問題については、やはり具体的問題についてそういうように協議していくということが当然であって、そういうことによってできるだけ具体的に平和的な処理をはかっていきたい、こういうことであります。
  157. 安宅常彦

    ○安宅委員 定足数が足らぬ、呼んできて下さい。
  158. 山手滿男

    山手委員長 安宅君、今呼んできますから進めておって下さい。
  159. 安宅常彦

    ○安宅委員 たとえばその協約というのは前からあったわけです。お説の通り前からあって、できるだけ再配置がえなどはしないというふうになっているはずだ、そういうことがあるにもかかわらず、再配置どころかもう一回やらなければならないような状態というものを想像しなければならないのじゃないかと思う。第三次の場合なんか特に……。なぜかならば、膨大な電話の運用員の削減というようなものは火を見るよりも明らかなんですから。そういう事態がある。きのうは、たとえば大多数の局が自動化される、こういうのが第三次五カ年計画の最終的な構想ですかと言ったら、あなたの方ではそういうことを今申し上げる段階でないといったふうな答弁もあったのですが、構想としてはそういう構想になっていると思うのです。そうすると郵政委託の分を含めて大体六万名ぐらいの、あるいはそれ以上の職種の転換をやらなければならないということが明らかになっておると思うのです。その計画の中に要員の問題ではどういうふうな構想を持っておられるのか、それをお聞きしたい。
  160. 伊藤誠

    ○伊藤説明員 将来の自動化あるいは自動即時化に対して要員問題をどういうふうに織り込んでいくかという御質問でございます。これは先日来御答弁申し上げておりますが、自動化あるいは自動即時化をやるに伴いまして交換要員の減員を来たすと同時に、他面自動即時を実施いたしましても、加入者の方がダイヤルだけで満足いたしませんで、どうしても手動即時、すなわち交換手を通じて、たとえば今の通話は何通話であるとかというようなことを聞きたいという加入者相当たくさんあるのでございまして、そういう加入者のために、私どもDSA台という名前をつけておりますが、これを自動即時区間にもかけるのであります。たとえば東京−大阪間に自動即時化が実施されましても、東京−大阪間に手動即時も同時に実施されるということになるのでございまして、そういうふうに一方において減員になると同時に他方において増員になる面があるのでございます。かりに現在の加入者なり、市外通話の量が全然変わらないといたしますならば確かに減員になるのでございますが、市外通話相当急速に伸びておりまして、たとえばかりにこれが五倍になるといたしますと、DSA扱い、すなわち時数通知の方が二割といたしまして、しかも全通数が五倍になるとしますと、手動扱いの通数が現在と同じになるわけであります。市外通話の量が何倍になるかということは目下算定いたしておりますが、四十七年ごろには少なくとも五倍をこすのじゃないかと私どもは見ておりまして、そういう見方からいたしますならば、市外通話を扱っております交換要員は減らないということになるのでございます。一方機械設備がふえますので、それに対する保守要員あるいは庶務、経理、営業等の要員等もふえて参りますので、そういう面から総体的には従業員はふえていくだろうというふうに考えておるのでございます。ただ問題になりますのは、やはり自動化あるいは自動即時化いたしますと、特に自動化をいたしますと、その面の交換要員が要らなくなるのでありまして、それの配置転換、職種転換ということが起こるのでございますが、これは計画のテンポを調整することによってできるだけ——もちろん配置転換、職種転換が絶無になることはあり得ないのでございますけれども、配置転換、職種転換をスムーズに行なえるように計画を立てていきたいと考えております。先ほど、全部自動化されるということじゃないかというお話でありますが、私は行く行くはそうなると思います。ただ第三次五カ年計画期間中に全局が自動化されるということはとうていあり得ないと思うのでございまして、遠い将来におきましてはおそらくそうなるだろうと思いますが、その節におきましては市外通話もさらに伸びると思いますので、要員問題は、配置転換、職種転換を除きましてはそう困難な問題は起こらないのじゃないかと考える次第であります。  なお、再配転の問題でございますが、これは私の記憶によりますれば、たしか第二次五カ年計画期間中に再配転はしないという了解事項が結ばれておるように記憶しております。
  161. 安宅常彦

    ○安宅委員 だから第三次を含めればそうなるようなことも予想しなければならない段階じゃないか。それで第二次五カ年計画のまつ最中に組合とそのことで紛争する。それではこの計画というものはあぶなくて、配置転換は困る、要員をもっと配置せよ、一時間や三十分のところでけんかして、そして私の方はあなたの方から処分ばかり食って退職するときにはえらい損をしたけれども、そういうふうに十六人もばっさりやる、こういうやり方をされれば組合としてははなはだ困る。われわれ国会の場合に例をとれば、今度は料金収入というものがどういうふうになるものやらさっぱりわからないような答弁をされる。こういう中で電話料金が改定されて、それと表裏一体の合理化が進む、こういうことではどうも論議のしょうがないのじゃないかということをお互いに考えなければならない。こういう声が今たくさん起こっておるのです。それはどうなんですか。副総裁に聞きますが、たとえば職員の配置などというものは管理運営事項だから、こういうことをあなたの方で言っていますが、これはほんとうにそうなんですか。何か、この計画ならよしきたというような勤労意欲を起こさせるような——通勤時間が一時間半とか一時間とかいって天下の副総裁国会答弁しなければならないようなけちなやり方じゃなくて、もう少しぴりっとした電電公社らしい計画を第三次の場合には間違いなく立てますということを言えませんか。
  162. 横田信夫

    ○横田説明員 いろいろおしかりも御指導も受けておりますが、今の、要員の配置は管理運営事項かというお尋ねでございますが、これはやはり管理運営事項だと思います。ただ、今のたとえば設備計画というような問題もあくまで組合の方に黙ってやっておるのかと申しますと、減員あるいは配置転換を起こすような設備計画については組合と事前協議するということにいたしております。また配置転換計画については組合と通信段階で協議しております。ただ、個々にどの人間をどこにやるかということになりますと人事の問題になりますので、個々の問題については、その協議いたしました配置転換計画に基づいてこちらがやっていく。もちろんその配置転換計画の協議の場合に、当人の希望というようなものもでき得る限り考えていく、こういうような趣旨でやっておるわけでございます。  なお、今お話のありました、大体副総裁ともあろう者が国会で一時間半とか一時間とか、そんなけちくさいことを言うなというおしかりと御指導につきましては、まさにその通りだと思いますので、そういうことをやめまして、通勤可能範囲の問題についてはそういうことでがまんしていただきたい、それを越える者については宿舎を提供するようにわれわれ考えておるというように訂正いたします。
  163. 安宅常彦

    ○安宅委員 要員問題ばかり出ましたけれども、私、資金計画のことも言いたかったのですが、大臣がせっかく来られましたから、大臣質問いたします。  一番先に質問したのですが、三月四日の朝日新聞を見ますと、あなたが閣議で、今度の公衆電気通信法の一部改正法案というのはいわゆる電話料金を合理化するものであって、これが実現すればかなりの値下げになるのだ、こういうふうに発言をしたので、気をよくした大平官房長官は、池田内閣唯一の値下げ法案であるといって記者団に発表し、東京——大阪の例を説明した。ところが大阪は高かったものだからえらい逆効果になったという記事があるのですが、あなたはやはりかなりの値下げ法案だというふうに考えておられますか。そういうことを大平官房長官に言わせたのですか。その点、どうです。
  164. 小金義照

    小金国務大臣 その問題は、この電気通信法の改正が行なわれますと、今まで三分をこえるものは五秒でも十秒でも過ぎるとまた三分だけとられるけれども、今度はそういうことがなくなって合理的になるのだということと、何がしかの場合は少し高くなるけれども大部分は安くなるのだという説明をしただけでございまして、それを迫水企画庁長官、あるいは大卒官房長官は、これは大へんいい合理化の法律案であるというふうに受け取ったらしいのでありまして、新聞にどういう記事があるかどうか知りませんが、私は別段、これを池田内閣の唯一の値下げ法案だということを吹聴した記憶はございませんが、少なくともこれは電話の合理化、近代化、それから拡張の基礎になる重要な法案であると同時に、値上げはしない、総計において三十四年度に比較すると、大体三十億円くらいの減収を覚悟して実行したい案であるという説明をしたのであります。新聞記事はどういうふうに出ておりますか知りませんが、私はそういういきさつを正直に申し上げます。
  165. 安宅常彦

    ○安宅委員 三十四年度に比較して、三十六年度の決算で三十億円減収になる、そういうふうに予想したわけですね。そうじゃないですか。そこのところは大事だ。——副総裁、教えてはだめだ。カンニングはだめだ。
  166. 小金義照

    小金国務大臣 三十四年度の決算に比較すると、そのままで計算すれば三十億ぐらいの減収になる、こういうことなんです。
  167. 安宅常彦

    ○安宅委員 何と比較されてそういうことになるのですか。
  168. 小金義照

    小金国務大臣 三十四年度の決算に比較して、今のままの料金を徴収するのと、新法律案法律になった場合に適用して徴収するのとの比較だと私は心得ております。
  169. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうすると、三十六年度末にそうなるということですね。
  170. 小金義照

    小金国務大臣 そういうふうに私は記憶しております。
  171. 安宅常彦

    ○安宅委員 だから副総裁大臣はそういうふうにちゃんと受け取っておるんだというふうに先ほど私は念を押しておる。あなたの方の宣伝は、みなそういうふうに受け取っている。たとえば鉄道料金の問題を言いますと、一二・六%か何か上げる、こういうのだが、ちょうど通勤四十分から一時間ぐらいの間乗車する諸君は、パスの料金もランクの問題で、そこのところだけは大体二倍近く上がっているところがあるのですよ。そういうのであとから新聞にたたかれましたが、そういうことをいっている。あなたの方も、宣伝としては三十億円の減収だと言って、なるほどと思わせておいて、実はそうではなかったのだということをきょう一生懸命弁解しているのです。あなたは三十六年度末に三十億円の減収になる案だと言ったけれども、それはこっちの答弁とまるきり違うのですよ。
  172. 横田信夫

    ○横田説明員 私が先ほども大臣に御説明いたしましたが、それは三十四年度の決算で、三十四年度の通話料というものはみなわかっているのですから、それに現在の料金を適用した場合と、今度の改正料金を適用した場合の違いが約三十億で、三十六年度には加入者もふえ、いろいろふえていくのですから、三十四年度の収入と三十六年度の収入を比較して、これだけ加入者がふえて、三十六年度に収入がふえなかったら、これは困りますよ。当然それだけの拡張をやっているのですから、収入がふえるのはあたりまえで、その比較でないことは当然であろうと思います。
  173. 安宅常彦

    ○安宅委員 あなたの方は、事務的に言えばそういうことになるが、PR用の言葉は、そこのところを詳しく言わぬから、大臣でさえそう思っているところに、この問題のインチキ性があると言っている。それを言わせようとしたが、あなた方は盛んに言を左右にして、そして逃げを打っておったが、いみじくも大臣がはっきり言ってしまった。国民はそういうように受け取っている。三十六年度になれば、大臣、大へんもうかるのですよ。それを間違ったら困るので、そういうのを値下げ法案だみたいに官房長官が発言するということは、これは政府やり方としてはいかぬじゃないですか。どうなんです。
  174. 小金義照

    小金国務大臣 それは先ほども申しましたように、官房長官がどう言ったかということは、私は知りません。知りませんが、三十億円減収になるのだということは、三十四年度の仮定の数字でありますから、これは私は値下げ法案とは申さないで、機械化前提の合理化法案だ、こう申したのです。それを受け取る人が、やはり説明か何かに三十億とあったものだから、それを三十億下げるのだ、こういうふうに受け取ったと思います。お配りした資料に、吉祥寺かどこかですが、そこから東京にかけた場合とか、横浜にかけた場合がありました。あの表で説明しました。これが一番わかりますから……。
  175. 安宅常彦

    ○安宅委員 今度の新料金方式によると、つまり今までの料金でいった場合と比較をして、理論的には減収になる仕組みだ、こういうのが正式の答弁のようですが、そういう場合に大臣としては、今度の拡張計画と申しますか、五カ年計画の中で、自己資金が、ことしの場合で一千十九億も建設財源に投入しなければならないということは、はなはだもって国鉄公社やなんかから見て、あなたの支配下にある電電公社は、かわいそうだと思いませんか。
  176. 小金義照

    小金国務大臣 これは別段かわいそうというよりも、これだけの企業体から生み出す利益をも含めて、積滞数が非常に多いものですから、すみやかに解消したいというので、投資資金の割り振りからいけば、非常に電電公社はよくやってくれたと私は思っております。
  177. 安宅常彦

    ○安宅委員 よくやってくれたとほめられて、あと全部巻き上げられたら、これは泣きつらにハチで、実際問題としてそういうことじゃ困ると思うのです。先ほども歴史的な過程なんかも申し上げたのですが、大体国民の税金で、逓信省当時からずっとやってきて、電信電話公社の事業というものに移されたのですが、事業そのものが、あるときには相当の収益を上げたけれども、臨時軍事費にとられたりいろいろなことで、事業そのものが非常に苦い経験を持ってきたから、なかなかもって料金の値下げと申しますか、そういうもうけたときに、できることもできないという要素もあると思います。そういう時期に、今非常にふところ工合がいいのですから、ある程度加入者から金をとって——サービスをした案だというような口の裏から、逆に金をとってと申しますか、借りてというか、本来ならば利息も払わなければならない、売れば少しは損をするというふうな、そういう電話公債まで買わして、拡張計画をしなければならないというのは、公社がかわいそうだというよりも、国民そのものがかわいそうなことだという気持になって、政府の財政投融資というものを、自己資金に比例してもっと多くしなければならないのじゃないか、こういう気持は大臣にありませんか。
  178. 小金義照

    小金国務大臣 財政投融資をなるべく多くしたいという考えを持っております。そこで、どうせ今後電電公社負担する金になりますが、外債の募集だとか、あるいは財政投融資、自己資金、これらをもって、できるだけ早く国民の要望にこたえるような施設をふやしていき、また近代化をはかっていくというのでありまして、今御指摘になりました、この資金源をどのような割合にしたらいいかというようなことについては、なお考慮を要すると思いますけれども、私はなるべく負担の軽い資金を使うように努力いたしますが、何せ財政投融資は、御承知の通り非常に方々から要求がありまして、思うようにとれなかったのは私としては残念であります。しかし、これはやっていける範囲においてとれましたので、本年度はこれでやっていきたい、こう考えております。
  179. 安宅常彦

    ○安宅委員 その内訳を見ますと、公募債が三十五億で、それから簡易保険のものが十億、貯金のものが五億で、あなたの手の届くところだけから持ってきたようで、大蔵省からなめられておるのじゃないかと思いますが、それはどうですか。
  180. 小金義照

    小金国務大臣 いろいろな経済の拡張計画とともに、公共的な投資に本年度は金が非常にかかりましたので、そこで比較的この方は少なかったのじゃないか。すなわち道路だとか河川だとかあるいは水資源だとか、いろいろな緊急な問題がございますので、電話加入者を中心とした利益を多く見積もってこの計画を立てたということでございまして、できればやはり財政投融資はふやしていきたいと思っております。
  181. 安宅常彦

    ○安宅委員 それは各方面いろいろあるなんて言いますが、たとえば道路の計画にしても、あなたの所属している政府はほとんどがガソリン税の値上げ分でまかなっていますよ。それと同じでんであって、これは理由にならないと思うのです。そういうことで国民負担をかけて、副総裁は今度サービスしたんだと言うが、何がサービスです。これはとんでもないことだと思うのですが、大臣、やはりこれはサービスとお思いなんですか。
  182. 小金義照

    小金国務大臣 程度はいろいろございましょうが、私はやはりサービスをする計画だと思っております。
  183. 安宅常彦

    ○安宅委員 それでは今度は個々のいろいろな問題について少し聞いてみたいと思います。  こういう形でさらに所得倍増計画によって拡大修正をしなければならないかもしれないという答弁がある。そうすると現在でも自己資金というものを相当投入しながら加入者にも頼って、そうして外資まで入れて、この計画というものを非常に無理に組んでいるのじゃないかというふうに私は考えるのですが、これは拡大再修正というものは具体的に日程に上りつつあるのかどうか、それをちょっと先に聞いてみたいと思います。
  184. 横田信夫

    ○横田説明員 大臣の御答弁の前に先ほどの答弁の問題もありますので、ちょっと先に答弁させていただきます。  第二次五カ年計画の改定の場合も、一番もとになるのはあのときの長期計画の目標としては、昭和四十七年にお客さんの需要に対して供給力がマッチするようにということを前提にいたした計画を、見通しを立てまして、そして第二次五カ年計画の修正をいたしたわけであります。そこでこの変動というものがあります場合は、わが国は計画経済ではなく自由主義経済でありますので、お客さんの需要というものはやはりマーケットが動いていくという場合に、われわれの計画をそのまま据え置いていいかということになりますと、需要が非常に変動すると思われる場合には、われわれの計画をもう一ぺん見直すべき問題が起きるのじゃないかと思うのであります。  そこで今度の所得倍増計画に伴いまして、国民所得も非常にふえて参りますということになりますと、それを前提にいたしましてわれわれの今の長期需要の見込みというものをもう一ぺん見直していく、目標といたしましては昭和四十七年に需要に対して供給力をマッチしていくというこのプリンシプルは同一といたしましても、需要自身が相当ふえるといたしますならば、この計画をもう一ぺん見直す必要があるのじゃないかということでただいま検討を進めておるわけでありまして、これはやはり必要なことかと存ずるということを先ほど申し上げましたので、大臣お話しになる前にちょっと補足させていただきます。
  185. 小金義照

    小金国務大臣 これは一応の計画でございまして、さらに時代に即応して改善を加えていくことは私は至当だと思っております。
  186. 安宅常彦

    ○安宅委員 それでは市内電話料金の問題ですが、先ほどもちょっと私言ったのですけれども、公社でいろいろなところで話をしているのは、設備負担するのは新規に電話を架設する場合の負担であって、というふうに言っておる、そして基本料設備されているものの維持費だと言っておる、使用料はサービスの対価だ、こういうふうに言っておるのだが、二十八年の改正といいますか、料金の引き上げのときは、これは建設費あるいは減価償却費、補修費の一部を加入者負担する、こういう考え方値上げをされておるんだ、私はどうしてもそういうふうに理解をしておるわけです。今度はこういう状態を無視して、さらにその過程では設備加入者負担というものを増加させておるわけです。いろいろと改定があったでしょう。費用としてはあなたの方では増加をさした覚えはないと言っておるが、その中では電話公債なんかを見ましても、これは実際に金のない人は電話をとりたくてもとれない人がたくさんある。銀行から借りればいいじゃないかというようなことをいうけれども、自分の方で電話をつけたい人がたくさんおるときに、ぐっと高くして、そうして今度実質的に国民が金を出す額というものをずっとつり上げておいて、融資の道を講じたからそれでいいんだ、こういう考え方があるのははなはだ問題があるのじゃないか、こういうふうに考えておるわけですが、こういう定額の料金にしても度数の料金にしても、市内通話料の算出根拠というものはそういうものをみな含めて、減価償却や補修費の総体的な計算からほんとうは出されるのですが、その計算の仕方がそういうものを全部包含した形であなたの方では料金を策定しておる、こういうことを私は感じておるわけです。つまり実際の純粋の原価というものを高い水準であなたの方がどだい料金を付加しておるのだということをわれわれは明確にここで指摘することができるのですが、そうではないということをあなたの方では言えるのですか。
  187. 大泉周蔵

    大泉説明員 ただいまのお尋ねは、おそらく今の料金水準というもののきめ方の中において新しい建設に入れる分まで含まれておるということは、加入者債券との関係からいっておかしいではないかという御趣旨ではないかと思うのでございますが、その点につきましては、この加入者から入ります収益の中から建設投資に向けるということは、これはある程度企業的にも当然のことでございますし、また電話事業は、特に自動式に改めるとか、あるいは市外通話を即時化するとか、あるいは加入区域を合併するとか、いろいろ既存の現在の加入者の方々にも利益になる分が多いのでございますから、ある程度料金収入の中からそのような改良投資に向ける分があってもちっともおかしくないという考え方でございまして、このような中には午前中松前先生のおっしゃいました技術革新の成果によるものもありましょうし、従業員の企業努力によるもの、いろいろあろうかと思いますが、そのようなものがある程度向くのは差しつかえないと思うのでございます。ところがこの加入者債券の問題につきましては、これは新しく電話をとりたいという方にお願いする、いわば資金の調達方法でございまして、このようなものにつきましてはなるべくならばこのような金がない方がよろしいという御意見については同感でございますが、私たち今の一番大事なことは、電話をもっとたくさんつける、もっと便利にするということにあろうかと思いますので、昨年の国会におかれましては拡充法の御審議がございまして、私たちこのような加入者の方々から、この資金がなくて、思うように充足できない電話の拡充のために、御援助願うということはやむを得ないことではないかということを考え、かつ、これはできるだけ早くそのような必要のなくなる時期、おそくとも昭和四十七年度までには廃止するように努力する、こういう工合にお願いしたものでございます。この間におきましてはできるだけ早く、できるだけ便利にするようにということから考えて、料金体系上も何ら矛盾がないものと考えるのでございます。なおこの料金につきましては午前中もちょっと申し上げましたが、総合的な原価というものがまかなえるようにするのであるが、これを個々の料金に割り振るときには、電話事業というのは、電信も一体になっておりまして、なかなかその点区分が困難でございます。結局利用される方の利用価値というものを考えましてこれを配分いたしておるのでございまして、個々のものについて原価計算を一々厳密にやるという形は、むしろ電話事業にとつては一般のやり方ではないという工合に申し上げてよいかと思うのであります。
  188. 安宅常彦

    ○安宅委員 そういうことを盛んに——同じ答弁を聞いておるので、同じ質問をする方もする方だというふうに言われるかもしれませんが、しかし、四十七年度までにはそういうことをなくしたいなんというんじゃ、あなた、当てにならない話です。四十七年になれば、私は大体中風でひっくり返るくらいな年になる。そんなばかな話はないと思うので、もう少し——今電電公社はとても苦しい経営だというならわかりますよ。ところが、そうではないのです、あなたの方の場合は。だから、そういう時期に、いつまでも加入者電話を引きたいのだという心理をねらってそういうずるいやり方をされるというのは、はなはだ不届きじゃないかと私は思うのです。それは、はっきりいえば商売人根性ですよ。買いたいなと思うときには値段をつり上げて、値段をつり上げたごとく見せたくないから、じゃ貸してやる、こんなやり方はないと思う。先ほど、一番先に申し上げたような、電気通信事業というものが公社の方式に変わったときに、あなたの方では、第一番目には、当面あらゆる希望者に電話をつけることが先決だ、こう言いましたけれども、それはその通りでしょう。しかし、それは第一であるかもしらぬけれども、二番にならないくらい大きな公共性というものを公社は持っていることを忘れてはいけないと思うのです。そういうことを何番目くらいにしているのですか。これはえらい間違いじゃないかと思うのですがね。
  189. 大泉周蔵

    大泉説明員 ただいまの御議論は、拡充法に基づく加入者債券の御議論かと思うのでございますが、先年の国会の際にも、いろいろそのような御論議があったと思うのでございます。しかし、その際の考え方としましては、結局電話を申し込んですぐつくようにする、全国を即時化するという目標に到達するための巨視的なと申しますか、大きく見た考え方から見て、四十七年度までの大まかな資金概算もあったのでございますが、そういう点から見まして、拡充法のあの程度の債券による加入者の御援助は必要であるという工合に御判断願ったように思うのでございます。その場合には、料金水準は現行のままであるということを前提にされておったと記憶するのでございます。従いまして、今回の料金に関しまする改定の立案にあたりましても、その精神を体しまして、料金水準を維持したい、こう考えたのでございますが、先ほど大臣のお話もございました通り、なおかつ事態の趨勢に応じて拡大修正もあり得るというようなことを考えますと、私たち、今この際において、料金水準は維持するという形でいくのが最善ではないかという工合に考えたわけでございます。
  190. 安宅常彦

    ○安宅委員 そういうことを言ったって水かけ論になりますから——しかし、十年後の話をして、そのころには廃止したいなんというのはいかぬと思うので、これはもっと早く廃止するという方向をとらなければならないのじゃないか、こういうことだけは申し上げておきたいと思うのです。そういうこと以外に、料金矛盾をしている点はまだたくさんあるわけです。そうして、料金の合理化だといいながら改定をやるというのは非常にまずいのじゃないかということを私は言いたいのですが、その一つの例として、たとえば、大へんこまいことですが、豊中市議会からの何か陳情書というのがあるのですが、公社当局で、この陳情を受けておられるでしょうか。
  191. 大泉周蔵

    大泉説明員 豊中市から区域合併の陳情書が参っているようでございます。
  192. 安宅常彦

    ○安宅委員 午前中松前先生区域の問題でいろいろ話をされておったようですが、たとえば豊中の場合なんか、大阪との間が十一キロ、吹田の方が十キロで、尼崎が県外になっているわけです。そういう状態にあるにもかかわらず、これを見ますと大へん損なやり方で豊中の電話加入者が取り扱いをされる、こういうことはおかしいじゃないか。そして、前に不合理な点はちゃんと直すと電電公社は言っている。こういう矛盾をはらんでいること自体おかしいということも電電公社は言うておったのですが、このたびもそれが是正にならぬ。こういう矛盾をはらんだまま料金制度改正をやるのは少し冒険ではないかと思うのですが、どういうものですか。
  193. 大泉周蔵

    大泉説明員 今度料金の体系を合理化しますにあたりましては、今のような問題も十分念頭に置いたのでありまして、これが料金体系を改めなければならない事由の一つでございます。従来、技術が進歩しなかった時代におきましては、そのような通話関係の密接なところは合併する以外にはなかったかもしれないのでございますが、料金の体系からいきますと、だんだん合併をやって参りますと、市内とすぐ隣の市外に当たる部分との料金の格差が非常に大きくなって参るのでございます。十キロ以内ですと隣は実は十四円で済むのですが、十キロをこえますと二十一円になってしまう。そうしますと、すぐ道路一つ隔てても三分間二十一円かかる。こういう不合理を何とかしなければならぬ。ところが、今の豊中を御要望のごとく合併いたしますならば、豊中の先のたとえば池田との境をどうするかという問題が起こりますので、そういう問題は距離別時間差法並びに準市内制度というものを使って、いわば市内市外との関係がなだらかにいくようにする、これがこの料金体系の考え方でございまして、いろいろ考えてみましたが、松前先生がおっしゃったように、かりに豊中を合併して、そのかわり市内地域制をしいて料金に差をつけるというような案も考えたのでありますが、ニューヨークでやっているような方法生活圏の拡大の実態と必ずしも合わないし、技術的にも適当でない。むしろこのような問題は距離別時間差法とか準市内制度をもってやっていきたい。ただ、この問題につきましては、イギリスでとっているような、最も理想的なものという点から見ますと、日本においては即時化も進んでいない。また、料金の七円というものをこのまま維持するという建前からはとてもそのような体系にはいけないので、その点豊中市の関係の皆さん方が満足されないのはごもっともと思います。しかしながら、今までのごとく、すぐ隣の二十一円だったものがとにかく五十秒七円になるということは、一つの進歩ではないかという工合に考えまして、この問題は、さらに西宮、神戸といったような連檐する各都市から考えますと、やはり今度の体系のような考え方が最も合理的ではないかと考える次第であります。
  194. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうすると、距離別時間差法でやった場合の区切り方の問題ですが、五十秒七円で計算をしてやる方式の中には、あなたの方で減収になることをおそれて一割くらいですか、かけているようですね。そういうことをやったわけですから、即時の局数がふえて、現在の通話をしておる実態からいって、大体二分から三分くらいが多いというデータが出ておるわけです。豊中市の場合には、あなたの方で、通話を短くすればよいではないかと盛んに宣伝して、私もテレビみたいなものを見せてもらって、奥さんがおやじにかけたら大阪から東京まで、おい、いるか、いるのならいいなんていう電話の例まで私は見せられて、何か少しまるめられたような気がする。そういうやつも見せてもらったのですが、そういうことは盛んに宣伝をするけれども実質的に、こういうふうにしてみますと、大へん損をする部面がたくさん出てくる。さっき国鉄の例で言いましたように、ちょうど乗車するお客様が最も多いような距離の鉄道運賃は、平均よりぐっと上がっておる。同じように、通話数が非常に多い部分をねらって、あなたの方では、理論としては低いように見せかけておるけれども、実収入はぐっとふえるように細工がしてある、私はこういうことを指摘したいのですが、その点については、そういうふうにならないということをあなたの方ではっきり言えますか。
  195. 大泉周蔵

    大泉説明員 この点ははっきり言えるのでございまして、ただいま豊中の例を申されましたが、通話には、五十秒程度あるいは一分程度、二分、三分、四分といろんな通話があると思うのでございますが、その全体を総合して、できるだけ増収にも減収にもならないように考えたのでございます。たとえて申しますと、今の場合、五十秒だったら七円でございます。六十秒だったら十四円でございます。それから二分の場合には、二分は百二十秒でございますので、二十一円でございますが、百秒だったならば十四円でございます。これは今まですべて二十一円だったのでございます。ところがちょうどかっきり三分かけますならば、確かに二十八円で、値上げになるのでございますが、三分二十秒まで、つまり二百秒までですと全部二十八円、これは今まで四十二円かかったのでございます。このように見ていきますならば、上がるところもあれば下がるところもある、総合しまして大体収支とんとんになっておるということは何ら間違いないといえると思うのでございます。
  196. 安宅常彦

    ○安宅委員 四分のところは下がらないのだ、だから私は鉄道料金と同じになるんだろうと言っているんだ。実際にそこのところをねらっているから、あなたの方では減収になるような案だといって盛んに宣伝しているが、顔の方はにこにこしている証拠がそこにあると思うんだ。これは大へんなことだと思うのです。あなたの方では、最終的には総体として収入の割合が非常に減るのだということを盛んに言っておりますが、期待に反して同じような利用度数でも、理論的には三十億円の減収がくるような案だといいながら、このたび実施をした直後においてすばらしい増収があった場合には国民をだましたような格好になると思うのですが……。国鉄なんか、とたんに言われていますね。ああいう結果にならないということをあなた断言できますか。
  197. 大泉周蔵

    大泉説明員 私、それは断言できると思います。と申しますのは、私たち考えていますのは、通話時数の分布ということは、統計もございますし、このようなことは何ら間違いないのでございます。ただ、私三十四年の程度で三十億、あるいは三十七年度で五十億というものを、何とか企業全体に悪影響なしにやっていけはせぬか、と申しますのは、このような体系にしますと、たとえば一分、二分といった短い通話相当ふえてきやせぬか、というのは、今までの利用以外に、いわば市外市内の境に隔てられて、通話したくてもできなかった人がそれをするようになりはせぬか、ということは、お客様からとりますと、いわば利便の増進でございます。それによって通話数がふえることによって、ある程度の期間内には次第々々にこのような穴が埋まってくるのではないかというような希望なり私たちの努力のほどを申し上げておるのでございます。
  198. 安宅常彦

    ○安宅委員 わかりました。お客様が喜んで利用する、利用するというのは、電話が非常にふえて便利になったから、これはふえるのは当然だということをあなたの方で見越しているのだということをはっきり言えば、話はよほどわかってくるわけなんですがね。そういう意味で、あれは喜んでふえるのじゃなくて、電話の利用度数というものは必然的にふえる方向にあるのだということをあなたの方で言えば、問題は明らかになるのですけれども、どうなんですか。
  199. 大泉周蔵

    大泉説明員 おっしゃる趣旨はちょっと私受け取りかねるのでございますが、これは全体としますと加入がふえるに従って通話数がふえ、また即時化の区間がふえれば通話数がふえることは一般の傾向であります。が、申し上げておりますのは、今までの三分・三分制に対して距離時間差法をとることによって何か特に変わったことがあるのではないかということについての観測を申し上げておるのでございます。
  200. 安宅常彦

    ○安宅委員 それでは今度は市内電話料金の問題ですが、級別区分なんか書いてきておるようですね。これはすばらしく上がってしまうわけです。そういうことになりますよ。たとえば今まで基本料金が千円で間に合っておったところが千三百円くらいになる。それから今までの小さなところは、今度自動改式等でまた新たな要素が出てくるようなところもあるわけです。たとえば基本料と定額料との合計にしても、いなかほど非常に上がるような格好もある。大都市の方も決して下がっていない、上がるようになってくる。この傾向はすばらしくあなたの方で収入増加になると思うのですが、その通りですか。
  201. 大泉周蔵

    大泉説明員 ただいまのお話は基本料の体系のことかと思うのでございますが、今まで千円を最高としたのがさらに上の級を作る、あるいは下の方の定額制しかなかったところに度数制をしくようにするということについてのお話かと思いますけれども、これについてはそのような増収などというものは期待しておるわけじゃございませんので、まず下の方の小さい局について申し上げますと、実は今までは小局はみな手動でございまして度数制をしくということが経済上無理だったのでございます。通話というものは、やはり度数制というのがその実体からいって最も合理的なものというのが世界じゅういわれておるのでございますので、これを適用したいのでございますが、わざわざ不経済なことをしてまでやるというのは困難でございますので、今まで定額制にしておったのでございます。ところが最近は小局につきましても自動化が行なわれ、度数制をしくことが非常に容易になったのでございまして、現在小局あたりでは、市外だけを度数制にして、市内料金改定がないものだから、仕方なしに無理に均一制にしておるという姿が出て参ったのでございまして、これは技術の進歩に伴います改定でございまして、この料金額につきましても、定額制と度数制との均衡ということを考えましてきめたものでございまして、これによって増収などをいたすものでは決してございません。なおこれは今後自動化され度数制をしくに従って適用していくものでございまして、現在の手動局はそのまま定額制に据え置くものでございます。また大きな局につきましては、二十五万以上幾らになっても同じだということは不均衡だ、東京が得をし過ぎるんじゃないかという強い意見等もございますので、この点につきましていろいろ検討の結果このような級別を作るのがよろしいということになったのでございまして、この点はお考えになってもわかると思うのでございます。三百万になっても同じだというようなことは、むしろ料金体系として不均衡だといえるのではないかと思うのでございまして、これは、要するに市内区域における加入者の多い少ないということ、同じところでも市外になるところがあるのじゃないかということの均衡をとるためにこのような体系をとったのでございます。
  202. 安宅常彦

    ○安宅委員 あなたの方で増収にならぬ、増収なんか期待してないと言っておるけれども、実際は増収になりますね。上がるのですから間違いない。これは基本料金自動化された場合はなくした方が一番いいんじゃないですか。副総裁どうなんです。
  203. 大泉周蔵

    大泉説明員 今おっしゃいました値上げになるにきまっておるという御意見は私たちは承服しかねるのでございまして、一部にはそのような意見を出す人もあるので検討してみたのでございますが、これは度数の見込みその他を誤る場合以外にはそのような計算が出て参らないのでございまして、大きな局と小さな局では市内の使用度数というものは当然違うのでありまして、相手が多い場合と少ない場合は違うのであります。また度数制にしたら基本料をなくしたらいいではないかという御意見につきましては、これはいろいろな考え方がございます。イギリスあたりでは、新しい区間については基本料を全国一律に千円余りにしておりますが、そのかわり市内にも三分の制限をつけるという形にしておるのでありまして、私、この基本料というものは、やはり電話に加入する限りは一定程度負担は当然すべきものと考えておりますし、また七円で無制限にかけられる可能性の多いものほど高い基本料を支払うのは当然の体系ではないかと考えておるのであります。
  204. 安宅常彦

    ○安宅委員 これは料金体系の矛盾一つだと思うのですが、さらに矛盾一つとしてあるのは、市外通話料の問題だってありますね。あなたの方ではサービスに対する対価が料金なんだということを盛んに言っているのですが、サービスの一番悪いはずの、えらい待たなければならない待時の方の通話料なんかをこの場合そのままにしておく、こういうことに少しも矛盾を感じないで提案をされたんでしょうか。
  205. 大泉周蔵

    大泉説明員 待時の区間につきましては、特急、至急もなければならないということははなはだ遺憾なことでございますが、できるだけ早く即時化するということで根本的に解決すべきものと思っております。  なお、今おっしゃいました機会でございますので申し上げますと、十キロ区間の待時料金、これは計算だけでいきますと十二円にしないと困るということも考えたのでございますが、今おっしゃいました点等から考えまして、特にこれは今まで十円だったのを九円にいたしておるのでございます。待時の十円区間というものは一番多い区間でございますし、こういう点等にも私たちとしては相当配慮を払ったとも言えるのではないかと考えておる次第であります。
  206. 安宅常彦

    ○安宅委員 逃げ道だけはちゃんと作って提案してきているようですが、総体的な体系の問題として、待時の場合にサービスが即時と違って非常に悪い、これだけは認めるでしょう。そういう場合に、自動化、即時化することによってそれは解消できるんだということで投げっぱなしにしておいて、こういう体系そのものを変えていくというのはまずいんじゃないか、私らどうしてもこう思わざるを得ないのですが、あなたの方では、まずいということは認めているけれども、ちょっと今手がつけられないということなんでしょうか。
  207. 大泉周蔵

    大泉説明員 ほうりっぱなしにすれば確かにまずいのでございますが、私たちそういう考えはございませんので、できるだけ合理的な方法で即時化を進めて参りたい。それで私たち、従業員に及ぼす影響等も考えまして、自動化というものとにらみ合わせて要員問題に悪影響の及ばないように計画的に即時化を進めていくためには、このような料金体系にすることが一番うまくいくだろうと考えてやったのでございまして、この待時区間と申しますのは、四十七年度末までにはほとんど全部即時化したいという考え方で進めて参っておる次第でございまして、これは現在でも相当の速度で即時化が進んでいるのをごらん願ってもわかっていただけるんじゃないかと思う次第であります。
  208. 安宅常彦

    ○安宅委員 どうしてもそれはわからないのですよ。理論的に合わないことなんですから。それをあなたの方で、サービスが行き届かない分の料金が高いものをそのままにしておいて、いかにも合理化したようなことを言って、それで現実には料金値上げということを頭に置きながら、決して損をしないようにといいますか、そういう表現をしましよう、損をしないようなことを頭に置きながらこの体系というものを出してきたとしか思えないのです。だからこれはどうしても納得がいかない一つの点なんですが、どちらにいたしましても、まだ半分くらいしかやらないうちに時間がきてしまいましたから、私は最後に申し上げたいことがあるわけです。あなたの方ではだんだんと即時化し自動化していってそういう矛盾をなくしていくということを言っておるのでありますが、そういう場合には速度を相当早めなければならぬと思う。そうでないと矛盾相当残るのじゃないか、その点はどうですか。
  209. 大泉周蔵

    大泉説明員 この速度の問題に関しましては、社会の要望あるいは従業員に及ぼす影響等を十分考えまして、第三次五カ年計画におきましてこのような速度を高めて参りたいと思う次第でございます。
  210. 安宅常彦

    ○安宅委員 どうもわからないのです。どういうことですか、もう一回ちょっと……。
  211. 大泉周蔵

    大泉説明員 速度を早めるということはできるだけ早めたい。その点につきまして、従業員に及ぼす影響、要するに要員問題、それから社会の要望というものを考えまして、手動でやる、即時自動でやるというものをにらみ合わせてできるだけ進めていきたい、そう考えておるのであります。
  212. 安宅常彦

    ○安宅委員 ということは、早めれば静当抵抗があるということをあなたの答弁の中から私は感ずるのでありますが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  213. 大泉周蔵

    大泉説明員 抵抗といいますか、私たちは、電電公社としまして、そのようなあらゆる配慮を払って、できるだけ円滑に実施できるようにするのが使命だと考えておる次第であります。
  214. 安宅常彦

    ○安宅委員 抵抗というのを、何か私が労働組合の役員だったんでそういうように聞いたのか知らないが、そうではない。国民の方では、磁石の場合には自動と比較してサービスの点でいろいろ問題がある、あるいは即時と待時ではえらい問題がある、それで高い料金を払っていなければならない。だからこういう非常な不満が爆発するような時期がくるのではないか、こういうことも半面考えられるが、それを無理してやれば、今度はいわゆる要員計画や資金計画やいろいろな問題が出てくるので、なかなかもってそういうこともできない。しかし、こういう矛盾というものもあなたの方では今手がつけられない、こういうことなんですかと聞いておるのです。
  215. 伊藤誠

    ○伊藤説明員 お話のように、電話理想は、市外通話について申しますれば、即時にかかるというのが理想だろうと思うのであります。それで私どもも先刻来申し上げておりますように、できるだけ早い機会に全国どこへでも即時にかかるというふうに持っていきたいと考えておるのでございますが、これはやはりいろいろな資金の問題とか要員の問題とかその他ございますので、一挙にこれを実現することは困難でございますので、昭和四十七年度あたりにいきまして、完全とは申しませんけれども、ほぼ全国的に即時にかかるようにいたしたいと考えておる次第でございます。  なお待時通話につきましても、これは放置しておるのではございませんで、できるだけ待ち合わせ時分が少なくなるような方向に目下努力いたしておるのでありまして、長距離の通話について見ましても、昭和三十二年ごろにおきましては一時間半以上の待ち合わせのものが六二%ほどあったのでございますが、三十五年におきましては大体四九%程度に下がっておるのでございます。四九%という数字は決して満足すべき数字ではございませんけれども、これもできるだけ下げるように努力していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  216. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうした場合に、要員のことで最後にちょっと触れてみたいと思うのですが、やはりこういうやり方というのは、どうしても利益が中心になっていって、公共企業体やり方としてははなはだ矛盾の多いまま強引にこの合理化の計画といいますか五カ年計画をやり遂げるために、将来は収入を相当多く期待しながら、この料金の改定、制度の改正というものを持ってきたのだという疑念が私はどうしても去らぬのであります。なぜかならばたとえば要員の問題にしても、実際要員はふえるのだふえるのだと伊藤さんさっきから言っていますが、あなたの方できのうですかも話がありました大蔵省に要求した人員というのはあれははったりだったのですか。副総裁どうなんです。
  217. 横田信夫

    ○横田説明員 これは昨日も申し上げましたように、われわれの設備の拡充に伴っていろいろな人が要るという問題と同時に、サービスをいろいろレベルを上げていくというための人も要るわけであります。そういう問題もあわせましてああいう大蔵省に要求をいたしたのが、最終段階相当減ってきた。しかし減るといいましても、われわれとしてはこれはこれでやっていけるという限度までの折衝をいたしたわけでありまして、その意味でわれわれは決してあの人員でやれない限度まで譲ったというふうには思っていないということを申し上げたのでございます。なお昨年が五千数百名、ことしが八千数百名というようにだんだん人がふえておるのでありまして、まあ企業全体としては、拡充に伴ってでありますが、一企業では相当増員しておる代表的な企業ではないかと思っております。そういう意味で今後もやはり全体としてはこういう拡充期にありますので、人はふえていくということは間違いないと思います。
  218. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうしますとさきに要求をした人員というのは半分くらいに減らされてもやり得るというのですから、これは私とても理解できないのです。大体どういうところにしわ寄せがくるというふうにあなたはお感じですか。
  219. 横田信夫

    ○横田説明員 全体として今の特別にサービスを上げようというような問題について、一応現在のサービス段階を維持していくというようなことでがまんをしなければならぬという部分も出ております。そのほか人を節約するかわりに、たとえば機械化を進めていくという部面も出ております。そういういろいろな工夫をいたしましてあの定員五千数百名が八千数百名ということで何とかやっていこうということになったわけであります。
  220. 安宅常彦

    ○安宅委員 それでは聞きますが、昭和三十二年の四月に改定をした定員の算定要領というのがあなたの方にはあるわけです。それが現行の基準になっておるわけですが、そういう基準から追っていっても、現在はたとえば電話の運用要員なんかは、八五%しか配置できていないじゃないか、こういうことをわれわれは盛んに主張してきたものです。こういう状態の中で非常にみんなが苦しんでおることを何とかやっていける、何とかやっていけるというなら、これは計画と合わない人員の策定を第二次五カ年計画のまっ最中にさえやった。これが第三次五カ年計画になった場合には、もっとひどくなっていくのじゃないかという心配があるのですが、これはどうなんです。あの定員の算定基準で計算した場合八五%しか人員が配置になっていないというのは確かです。
  221. 横田信夫

    ○横田説明員 ただいま御指摘の点は、いわゆるわれわれ白表紙と申しておるものであります。これは通信局に配置する全体を計算するための尺度として一応考えておりますが、まあ年度もだいぶ前のことであり、その後いろいろ機械化そのほかにおいて相当設備の合理化も進んできておりますし、その尺度全体の人員がこのまま配置できなくても必ずしも不当ではない、こう考えております。  なおこの配置の尺度という問題をそれならすぐ変えるかという問題につきましては、たとえば私もアメリカあたりでそういう点が非常に合理的にできておるといわれるATTあたりの例を見ましたが、ATTあたりでもいわゆるワーク・ボリューム・メジャーメント、作業量標準配置率、配置人員と申しますか、それより実際配置されておる者が少なくて、お互いにサービスを維持するように競争しておるということでありまして、われわれの方もあの白表紙を満配しなければならないとは必ずしもいえない、かように考えております。
  222. 安宅常彦

    ○安宅委員 そういう考え方なんですね。それではきめても何にもならないじゃないですか。私はおかしいと思うのですが、たとえば山形なら山形に行ってみますと、臨時者というものは原則として採用しないように、労働組合とあなたの方と協約ができておるわけです。ですから日々雇い入れるのだという方式で、二カ月間くらい雇い入れまして、やっと仕事を覚えたころ首、二カ月休んでまた二カ月雇って、やっと覚えたころ首、これでは能率も上がらないし、労働意欲もわかないどころか、こういう人はルンペン・プロレタリアみたいな頭になって非常に悪い傾向が部内に出ておるのではないかということを私非常に心配しておるのですが、そういう無理をしてまで今仕事をしておるのでございます。そういうことが行なわれておるということは副総裁知らないとは言わないでしょうね。そういう雇い方をしておることは知っておられますか。
  223. 横田信夫

    ○横田説明員 人員の必要な確保には今後とも努力するつもりであります。なお臨時者の雇い入れにつきまして半年とかそういうふうにきまった期間に行ない得るものについては、そのきまった期間を前提として臨時者を雇い入れる。そのほか繁忙のときに臨時者を雇い入れるということは随時やっておるわけであります。これは当然そういうことが認められるわけでありまして、今後ともその必要は起こると思います。
  224. 安宅常彦

    ○安宅委員 それは季節的な問題とか事業のある一つの単位、工事の単位を予想しての答弁だと思うのですが、そうではなくて、そういう人々は何年か同じ人々が来ておるのです。二カ月来て二カ月休む。辞令の渡し方も——これはほんとは同じ仕事をしておるのですから、普通の官公庁の場合ですと正式に採用しなければならない、こういうふうになっておる。するとこれはもちろん労働基準法違反と申しますか、そういう立場になるので、これはまずいということを知っておるから、あなたの方では今度は二カ月で首切ってしまっておる。こういうのはかえって悪らつじゃありませんか。同じ仕事で、本職の人と同じことをやっておる連中ですよ。こういう雇い方というものは、どだい大蔵省から半分も削られて何とかやっていける範囲でございますというようなことをいつまでも言っておるから、そういうことになるのじゃないかと思うのですが、そういうことをお感じになりませんですか。
  225. 横田信夫

    ○横田説明員 臨時者の採用、雇用の問題につきましては、われわれは規定通りに従ってやっておるつもりであります。なおそういう特別な御指摘の点がございますれば、われわれの方は調整いたしたいと思います。
  226. 安宅常彦

    ○安宅委員 いいことを聞きました。特別な例じゃないのです。みな全部の例だ。特に施設局長なんかよく知っておることと思うのですが、そういう人がたくさんおる。さらにそういう場合には何とか調整をするというただいまのお話でありますから、私がそういう事例を全国的にあげてあなたと話し合ったら、大へん人が必要になってくるという正しいデータが出ると思うのであります。そういう意味ではあなたの方も得するわけですから、私も協力したいと思います。  ただ私が特に考えなければならないのは、従業員が休暇をとるということは権利だと思うのですが、そういうふうにあなたの方ではやはり認識されると理解してよろしゅうございますか。
  227. 横田信夫

    ○横田説明員 まあ休暇にもいろいろの休暇があります。週休あるいは年休というようなものがあります。年休等につきましてはこれは与うべきものと思いますが、その年休を与える時期につきましては業務上支障のないときにわれわれは与えていく、従って承認を得る必要があるということになっております。
  228. 安宅常彦

    ○安宅委員 それは違うですよ。年休の話をされましたが、それじゃ、いつ休んで下さいとそのとき言わなければならないことになっていますが、そういうことを言わないものだから、全部休むひまがない。だれかに迷惑がかかるということで、生理休暇なんかもなかなかとれない。それはなぜかというと、定員の中にそういう休暇の要員というものを入れてないからだと思う。特に電信部門なんか小さいところでは四名くらいでやっている。そうしたら実際労働基準法通りやっていったら必ず穴があく。週休もぼやぼやしていたらとれないという結果になる。年休なんかももちろんとれないような職場はたくさんある。こういうことをあなたは御存じですか。
  229. 横田信夫

    ○横田説明員 労働基準法とかあるいは協約についてのわれわれの義務は十分果たしているつもりでありまして、その点は違反はないつもりであります。
  230. 安宅常彦

    ○安宅委員 たとえば電信部門なんかで最低配置が四名だというようなことは私はおそらくできないと思うのですが、四名配置しているところはありますか。それをどなたか担当の方から一つ
  231. 横田信夫

    ○横田説明員 ちょっと今手元にその局数は持っておりませんが、四名配置局は現実にあります。
  232. 安宅常彦

    ○安宅委員 わかりました。私はもう六時十分にもなりますのでやめますが、ほんとうはあなたの方でいろいろな問題で計算の仕方がずるくやられておることも全部言いたかったわけです。二、三点は言いましたが、そのほかに要員計画そのものが非常にずさんだということは先ほど私が申し上げた通りなのです。そういうこともなるほどまだはっきりしていないということもわかりました。それからたとえばむだな金を変なところに使っているのじゃないかと思われる経営の仕方もあるわけです。たとえば現在の本社が入っている庁舎なんというものは本社が直営で建てたら実際にあの建物を建築された経費とどれくらいの差があるかなどということを業者が私のところに持ってきているのがありますし、午前中に質問がありましたことですが、電話の機器メーカーの中で、たとえば日立製作所の相当な人々が私のところに、たとえば東芝の動向なりあるいはそういうことについて非常に疑念を持つという、いろいろ証拠に類したようなことも私の手元にはありますから、そういうことで公社の運営自体がまずい点を追及すれば幾らでもあるような資料もあるのですけれども、きょうの私の質問はもう時間がきてしまいました、それできょうは申し上げませんけれども、ただ私が今質問をしておる中ではっきりしたことは、まず第一番目に、郵政大臣でさえも間違った認識であの三十億円云々の問題を考えておられたというほど、あなたの方の宣伝は非常に巧妙であった。現実には決して国民が考えているように、損をするような電話料金の改定ではなかったということ。それから電話料金の策定の仕方にしても、電話料金の現在の矛盾というものを放棄したまま。こういうやり方でやっていったならば将来必ず困るときがくると私は思うのです。これも中途半端になりましたけれども、そういう点でまだ不満です。その他いろいろ申し上げたいこともあるわけです。たとえばその計画の中で、設備計画だけは詳しく説明ができるけれども料金改定の問題にからむかどうか知りませんが、収入の方のことについても言を左右にしてなかなか御発表にならない。それから要員計画の問題においては、さらに海のものとも山のものともつかないような御答弁しかあなたの方から得られない。こういう不満はたくさんあるのでありまして、私はこういう状態の中では、この合理化計画つまり五カ年計画が第三次、第四次と進むその中で、これと絶対に離れることのできない料金改定の仕方というものは、この際どうしてももう少し待ってもらわなければならない、国民がその内容がよくわかるまで待ってもらわなければならない、こういう感を深くしているわけです。そういう意味でどうしても不満な点が多々あるのでありますが、きょうはこれで質問を終わらしていただきます。
  233. 山手滿男

    山手委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会をいたします。    午後六時十五分散会