○春日
参考人 御
質問の第一点の、七十二万
減少するという問題でございます。私
どもの方の
予算書の立て方がちょっと御理解がむずかしいんじゃないかと思うのですが、
ラジオ、
テレビジョンそれぞれ
年度当初の
受信契約者が幾ら、
受信機の生産高とか、あるいは所得の二万円のところが一万八千円まで下がるとか、そういうようないろいろな見通しからいいまして、年間におおむねこのくらいふえるだろうというのが次に立てられる数であります。ところが、実際上はその中で、あるいは家庭の事情とか、あるいは経済事情、それから機械がこわれたとか、引っ越しをいたしましたり、いろいろな関係で、
受信者の数が多くなればなるだけに、たとえば引っ越しの場合を仮定いたしますと、東京から大阪へ引っ越しをいたしますと、東京で一たん
契約を廃止いたしまして、大阪へ行って新規加入するという方々がかなり多いわけであります。七十二万の根拠を具体的に申しますと、その中で家庭の事情によって廃止いたしますものが一七%くらい、経済事情によるものが二・一%くらい、機器の故障によるものが四三%ぐらい、
受信が特に不良だからあきらめてやめたのが六・八%くらい、そういうように、いろいろな事情別に過去の実績によりまして集積いたしますと、ただいま申しましたように、
受信者がふえればふえるほど、そのうちの何%かは廃止になっていくという数が七十二万でございます。これは
受信契約者がふえていく段階では、毎年
一つの傾向をとってやっていくものでございます。端的に申し上げますと、一年間の新しい
契約者全部の中から、今のような廃止をしたものの差引の、来
年度で申しますれば年間二百万
世帯ふえるという方が重点で、その積算の根拠を示しているようなものなのであります。数字といたしましては、
一つの見込みでございますので、そう具体的に
NHKにとりまして憂うべき傾向のものだという数字ではないわけです。
第二点の御
質問は、実は先ほど来
会長の御
説明でもございましたように、三十三年に五カ年
計画を作りましたときに、五年間で、テレビジョの
全国で見える地帯、私
どもの方で
カバレージと申しておりますが、この見えるパーセントを八五%にいたそうという
計画を立てたわけであります。ところが、非常に
全国の需要が多いもでございますから、いわゆる
総合テレビジョン――第一
放送の
テレビジョンにつきましては、三年間で三十五
年度末までに八四%までに達した、
計画以上に進んだわけでございます。
なお
テレビジョンの場合は、
ラジオとことに違いまして、山間の土地とかそういう電波事情で見えないところが、今日残りの一五%程度あるわけであります。いずれも電波を出しております県庁所在地的な局からは遠い地帯でございます。それで郵政当局におかれましては、最近第二次チャンネル・プランというものを御準備中でございまして仄聞するところによりますと、それをきめますと、
テレビジョンがよく見えないところへ、
全国の都市百二十カ所くらいに、さらにいわゆる小さな中継局を作る
計画をお立てになっておるようであります。その
計画を実現いたしますと、今の
カバレージというものが相当増して参ります。しかし、何と申しましても非常に電波の到達距離が少ないものでございますから、三年間で八四%の
カバレージをかせいだスピードと、残りの一五%、一六%を埋めるための置局とは、
あとにいきますほど――これは
ラジオの場合も同じですが、地方電力の、しかも非常に
地域的に限られたところに局を作っていく関係から、局を作る割合には
カバレージがふえていかないというのが、
放送事業の
一つの特殊性になっております。
第三点の選挙の問題でございます。御承知のように公職選挙法の
規定によりまして、私
ども及び商業
放送は、
ラジオでは政見
放送を各局ともずっとやっておりますが、
ラジオの方は、御承知のように九九・七くらいな
カバレージを持っておりますから、ほとんど到達するわけでございます。しかし、
テレビジョンの場合には、今申しましたように
全国的に申しますと八五%程度の
カバレージがございますが、各県ということを
考えますと、関東地区は別といたしまして、各県の県庁所在地にある電波では、その全県をカバーする置局はなかなかむずかしい。でございますから、全県平等に、つまり聞こえないところはどなたも聞こえない、見えるところはどこも見えるというように、平等という形でございますと、
テレビジョンを政見
放送に使うということは、現在でも八四、五%の
カバレージがあるわけでございます。しかしながら、今申しましましたように、山間の地帯とか、あるいは電波を出している局から遠いところでは見えない地帯が点在しておるものでございますから、いわゆる全選挙区をカバーするという
テレビジョンの電波が出るのは、技術的に申しますれば、第二次チャンネル・プラン
完成後ということが一応申し上げられるのじゃないかと思います。しかし、大多数の
カバレージでもってもやり得るという
考え方もあろうかと存じますが、これは今後の研究問題だと
考えるわけでございます。