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佐野委員 たとえば農業基本法の場合と見て参りましても、ああいう形でこららとの連合審査はついに開かれなかったわけですけれども、しかしながら農業基本法でも、第三条には
地方自治体は国の基本目標に対して協力しなくてはならぬ、あるいは二十三条において協力して参らなくてはならぬというような
規定がどんどん入ってくるわけですが、基本
計画がどうなるか、ちっともわからぬうちに、
法律においては
地方自治団体もこれに協力してくれ、一体どんな目標なのか、何に協力していけばいいのかわからないのに、
法律上は
地方自治団体もこれに協力しなければならないという義務
規定を入れて参る。しかも片方には
公団その他を設けてくる。長期政策がどんどん出てくる。この長期政策には、
地方には
関連がありますけれども
地方は参画することができ得ない。ただ審議会の学識経験者の中に
地方代表というものを少し入れておいて、その
意見を聞いたではないかという形で、しかもこの審議会なんていうものは要するに大臣の諮問機関にしかすぎない。そういう自治体の主張というものがいれられていないわけです。そういうことになって、しかも中央から
地方にばらばらの形でいろいろ施策がやってくる。
各省におけるところの連絡、連結、それを受ける
地方自治体は
一つであっても、
各省からばらばらのものがそういう形になって出て参って、しかも自治体のそれに対する発言権、そういうものが封鎖せられて、みずから持っておる権限が
法律によって奪い取られてしまっている。こういう形になってきているのが最近の特徴ではなかろうか、かように
考えておるわけであります。
同時に、そこで全般におけるところの
経済成長という形における企業自身に対する育成、こういう
措置に重点を置いてきた。今日における
経済情勢は、
指摘されるまでもなく、そういう成長を伸ばしていくために逆に隘路となっておるところの公共施設を拡充しなくちゃならない、あるいは工事
用地を確保しなくらやならない、
公有水面の
埋め立てをしなければならない、あるいは過剰になっている
都市を整備していかなければならない、工場地帯が設けられることによる学校あるいは水道、下水道、塵芥処理、こういうことをやっていかなければ、もはや生産の隘路になってしまう。いわゆる
産業基盤の拡充というのが、今日の長期
計画そのものを貫いておる
一つのなにではないか。そこでこういう
所得倍増計画なるものは大臣にも非常に参考になると思うのです。ですからやはり読んでいただきたいし、そういう
計画の中におけるところの、たとえば
行政投資を
一つ見て参っても、十六兆一千三百億円と大体試算されておりますが、この
内容を見て参りますと、大臣はそう後退していないのだと言われますけれども、やはり政府自身がこれほど立ちおくれておる。諸外国と比較しても、道路は一体どうか、港湾はどうだ、現在におけるところの生産力についていけない現状になってしまっておるじゃないか。ですから、これを解決するのだ、このために
行政投資は十六兆円向けるので、その大体の区分も明らかに示されてきておると思うのです。
そういたしますと、ここで、特徴的に理解できるのは、今まで
経済成長をやっておったのが、今度は逆に
経済基盤の拡充というために、国の政策が大きく転換していく。しかしながら、これは
経済成長の年次
計画と一緒に
地方行政の水準を引き上げるという形をもって出されておるのじゃなくて、
経済基盤を拡充するために政府は重大な決意を持って、ある程度の
地方自治権を侵害してでも、民主主義の基盤である
地方自治をある程度まで阻害をしてでも、能率と緊急性のためにやっていかなければならぬという意思が、あらゆる
法案の中に含まれておるだろうと思うのです。特に四大工業地帯、それに付随する太平洋ベルト地帯における工業用水の不足なんというものは、これは政府があらゆる場合に大きく危険信号を掲げておると同時に、工業用水をいかに確保するか、これを確保しなかったら実際
経済成長もできないじゃないかという緊急性が生まれて参る。あるいはまた大阪、千葉、東京を見ても、いわゆる
公有水面は
埋め立てなければ
工業用地を確保できないのではないか、こういう緊急性が出て参っておる。それに国の政策は大体従っていく、そこに重点的な予算の配分をやっていこう、こういう
計画がすでに明らかになってきてしまっておるわけです。
そういたしますと、
地方自治体にとりまして、
町村合併はしたけれどもちっとも
行政内容の充実には役立っていない。地元
産業そのものを現在の状況の中から振興していくために、第一次廃業をどうもり立てていくか、あるいは地元の第二次
産業をどう育成していくか、こういうことに対してもはやこの
所得倍増計画なり、十年間の国の歩みというものは、
地方自治体とはほとんど縁の薄い存在となってきてしまっている。逆に今申しましたところの
産業基盤を拡充するための工業用水をどうするか、あるいはまた過剰投資を他の方に分散させる、その
地方におけるところの工業地帯の
産業立地条件をどのように整備していくか、ここへ重点的なものが向けられるということになってきておるのじゃないか、かように
考えるわけであります。そういう
意味において、今、国会に出されておるところの水資源
開発公団ですか、この場合を
一つとってみましても、一体大臣はどのように
考えておられるかという点をお聞きしたいと思うのです。午前中において、どうも
自治省は
事業庁構想というものを持っておった。しかしながら
事業庁構想になって参りますと、現在の各官庁のセクショナリズムなりあるいはまたいろいろな
関係において抵抗を受ける、反発を受ける、あるいはいろいろな
意味における誤解も持たれるということの中から、これをすべていわゆる
広域行政に対する
計画の
作成と共同処理ということと、もう
一つ、今九条の三を新設して
公有水面における
埋立地をめぐる紛糾、争論を解決するということにとどめるということで、便宜的にこの
自治法の
改正をやっておられるのではないか。実際のねらいは、やはり国のそういう
経済基盤の拡充という形にいかに協力していくかというような
考え方のもとに立っておられるのではないか。そういうもとに現在の
法案の
改正を出されて参って、この
改正そのものは
事務的な問題だと言われますけれども、背景として、やはりそういうものがあるのではないかという感じを持つのですが、この点に対しては大臣からお答え願いたい。