○阪上
委員 青少年対策につきましては、ここ数年来大きな問題になっておる。総理の毎年々々の施政方針演説におきましても必ず青少年対策は取り上げられておる。ところが、その予算措置などをながめてみたら全く九牛の一毛にすぎないようなわずかな予算措置しかしていません。おそらく各地方団体におきましても、なるほどある
程度進んでおります。地方へ行けば地方団体の方が力を入れている。けれども、その予算措置等を
考えてもわずかのものしかありません。まして一番警察の取り締まりの苦手である青少年、これに対しての警察予算などというものは、私はわずかなものしかないんじゃないかと思うのであります。そんなものを盛っておっていつまでたっても検討中だ検討中だ、こういうふうにおっしゃる。それがいけないんじゃないでしょうか。だから、こういうふうな役にも立たぬような法案を出してこなければならぬようになる。もう少し真剣に青少年問題と取り組む必要があるのじゃないかと思います。諸外国の例を見ましても、これは出さなければおさまらないから言うのですが、西ドイツあたりに
おいては、そんな間抜けた青少年対策なんかやっていないのであります。環境といいましても、ただ単に街灯を整備いたしまして町を明るくする、そのことも大事であります。しかし町を明るくすることは必ずしも青少年だけの問題ではないのでありまして、
ほんとうに青少年の環境をよくしていこうというためには、青少年と密接不可分の
関係にあるものを
考えてやらなければいけない、こういうことじゃなかろうかと思うのです。そのためには子供がほしがっているものを与えてやることがまず第一番に大事なのであります。ほしがっているものを与えてやらない、身近に手に入らない、そこでボタンを押したら飛び出すような飛び出しナイフというようなものについつい興味を引かれていく、こういうことになってそれが
犯罪のもとになっていくのじゃないかと思います。映画などにいたしましても、ここにも中央青少年問題協議会から出ているマスコミの青少年に与える影響などという本は出ております。
取り調べはできておるのでありますが、これは出しつばなしでありまして、これに対して何らの手も打てない、こういうふうな状態であります。いい映画を与えるというようなたった
一つの着意ですら、今日わが国に
おいては、何ら国の施策として大きくこれを取り上げて少年に満足感を与えていくというようなことになっておりません。スポーツ
一つにいたしましても、青少年は非常に好きであります。こういうものについても、これを十二分に国の力で、公の力で、地方公共団体の力で与えていくというような形にはなっていないのです。映画、演劇、音楽、ダンス、スポーツ、手芸、読書、こういった青少年が最も好むものをふんだんに、常にいかなる場所ででも与えてやるというような施設は、
日本国中探してもどこにもない。こういう状態のままに青少年をちまたにほうり出しておる。そうして百貨店の窓を見たら、ほしくてしょうがないようなものがずらりと並んでおる。貧しい子供は指をくわえてこれを黙って見ておる。そしてごく安い飛び出しナイフというようなものに飛びついていくというようなことでありまして、
ほんとうに青少年に対するところのもっと真剣な対策を推し進めない限りは、この法案もある
程度役に立つかもしれませんけれども、とてもこのようなものでは解決はできません。
警察官が朝から晩まで刃物を追いかけていって刃物をあげていかなければならぬということになります。今全国の
警察官が何名おるか、どうしてこんなもので徹底的に取り締まりできるでありましょう。そういうことを
考えたときに、もっと福祉立法的なものの
考え方に立脚した青少年対策というものを推し進めないと、そういうことをいつまでも繰り返して、
あとから
あとから追っかけ回しているようなことをやっておったのでは、私は、もっともっとこんな
法律を強化して全く人権侵害の領域にまで入らなければならぬようになってしまうのじゃないかと思うのであります。
そこでこの際国家公安
委員長としてでもけっこうでありますし、自治省大臣としてでもけっこうでありますが、もうぼつぼつこの際踏み切ってもいいと思う。ほかの各省ではごたごた言っておってようやらないのであります。しかもこういった青少年対策というものは地方自治体と密接な
関係がありますから、どうです、自治省に
おいて思い切った手を打つ
考え方はありませんか。私はこんな法案を審議するのは情けないと思っている。こんなものを審議しなくても、今言ったような方向への施策というものをどんどん進めていくならば、必ず私は所期の目的は達成できる、かように
考えております。もっと極端に言いますと、そういったことをやるためには金が要る。青少年対策のために、青少年対策を公共聖業と認めて、そして思い切った財源付与をやっていくという
考え方をはっきりお持ちかどうか、警察に
おいても青少年対策費を大幅に増額する
考え方があるかどうか、こういった点について
一つお伺いしたいと思います。