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1961-05-23 第38回国会 衆議院 地方行政委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月二十三日(火曜日)    午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 濱田 幸雄君    理事 金子 岩三君 理事 田中 榮一君    理事 中島 茂喜君 理事 丹羽喬四郎君    理事 太田 一夫君 理事 川村 継義君    理事 阪上安太郎君       伊藤  幟君    宇野 宗佑君       大沢 雄一君    大竹 作摩君       亀岡 高夫君    仮谷 忠夫君       久保田円次君    前田 義雄君       佐野 憲治君    二宮 武夫君       西村 関一君    野口 忠夫君       松井  誠君    門司  亮君  出席政府委員         警察庁長官   柏村 信雄君         警視監         (警察庁保安局         長)      木村 行藏君         自治政務次官  渡海元三郎君         自治事務官         (財政局長)  奧野 誠亮君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁警備局         警備第二課長) 倉井  潔君         自治事務官         (財政局財政課         長)      松島 五郎君         専  門  員 圓地與四松君     ――――――――――――― 五月二十三日  委員和田博雄辞任につき、その補欠として西  村関一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員西村関一辞任につき、その補欠として和  田博雄君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十九日  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一八五号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一七六号)  地方自治及び地方財政に関する件      ――――◇―――――
  2. 濱田幸雄

    濱田委員長 これより会議を開きます。  地方自治及び地方財政に関する件につきまして調査を進めます。  質疑の通告がありますのでこれを許します。二宮武夫君。
  3. 二宮武夫

    二宮委員 財政局長地方財政指導という立場から一、二ただしてみたいと思う問題があるわけでございます。  実は私の方もこれをいろいろと検討してみておるわけなんですけれども、ある県のある町が、町に工場誘致をいたしたいというために、二つばかり優秀な工場誘致をしたわけでございます。ところが、その、誘致をする際の契約の中に、固定資産税であるとかそのほか町が与える便宜の面から、工場側に大へん有利なような契約をした。それがためにその町の財政が非常に苦しくなって、聞くところによりますと、大体見積もられる財政収入としては、もしそれをそのような契約でない普通の契約ですれば、七千五百万程度収入が見込まれるものを、そういうことをやらずに、道路を作ったりあるいは塵芥処理場を作るというような問題から、むしろ現段階においては出費がかさんで参りまして、そのためにその町は財政再建整備をやらなくてはならない段階に突入をしておる。こういう情勢にあるようでございます。まだ現地を私は行って調べておりませんけれども、書類による資料として入手いたしましたところでは、そういうような状況になっておるわけでございます。もちろん先般からいろいろ審議いたしました地方税法が、それぞれの町において条例化されまして、あるいは町長あるいは町議会議決等によりまして、その実際の徴収の問題が具体化していくであろうと思いますけれども、その際に、たとえば固定資産税というものに対して非常に減免をする。たとえば固定資産税を五カ年間全然取らない。あるいは六年から十年までは非常に大きく減税をやるというような条件で町が工場誘致をする。これは私は町とか県とかに限らず、あるいはこの地域だけでなくて、他の地域に対しましてもこういう問題がずいぶんたくさんあるというように思うわけでございますけれども、このような県あるいは町独自の工場誘致に対する税法上の便宜を与えるという問題について、財政指導立場にある皆さんの方でどのようにお考えになっておられるか、あるいは具体的にどのような措置をとっておられるかということを、概括的に一応お話を承って、その中からまた具体的に質疑を進めて参りたいと思うわけです。
  4. 奧野誠亮

    奧野政府委員 地方団体の中には企業誘致のために一定期間課税をしなかったり、あるいは減税をしたりするという条例を定めているところがございます。地方税法の第六条に、公益上その他の事由により課税を不適当とする場合においては、課税をしないことがあったり、あるいは不均一の課税をしたりすることができるという規定がございますので、これ根拠として条例を設けているわけでございます。しかしながら、そのこと自体が公益上必要であるかどうか必ずしも明らかでございませんので、従来自治省といたしましては、できる限り当該企業に必要な道路その他の施設を設けるとか、あるいはかりに減免をしたい場合であっても、それに相当する額を地方団体から当該企業に交付するというような措置をとることが穏当だ、こういう意味指導をして参ったわけであります。そうしますと予算の上にも企業に対する支出額が明確になって参りますので、それを通じて公益上必要であるかいなかということが十分論議される、かように考えておったわけでございます。しかしながら、どちらかといいますと現在では地方団体間の企業誘致競争というような格好になってしまっておりまして、そのことを企業に利用されている結果、またひど過ぎる、企業にとっては有利な条件が示されたりいたしまして、地方団体財政欠陥にまで進んできているというような事例もあったりするわけでございます。しかし、今回政府が提案をいたしております低開発地域工業開発促進法で、低開発地域については、課税減免した場合に、その部分については地方交付税基準財政収入額から控除するというような措置をとろうとしておるわけでございますので、この法律が制定されました暁には、これを基礎としてかりに企業誘致のための減免条例を作る場合であっても、この程度をマキシマムに考えて行なうべきであるというような一つの線を強く打ち出すことができるのではないか、こういうような考え方をいたしておるわけでございまして、この法案が成立いたしました暁には、そういう線で地方団体減免条例については強い規制といいましょうか、指導といいましょうか、そういう態度をとりたい、かように考えておるわけであります。従来の例で申し上げますと、企業誘致がひど過ぎて、その結果赤字に発展をして再建団体にならざるを得なくなってきた。その場合に、自治省が中に入りまして、企業にもある程度譲ってもらうというような措置をとって再建を軌道に乗せたという地方団体が若干ございます。
  5. 二宮武夫

    二宮委員 この例によりますと、実は二つ工場のうち、一つは三十一年の四月十五日に工場誘致されまして、契約が締結をされておるわけであります。それからいま一つは、三十四年の八月二十四日に誘致をされているというような状況でございます。従って三十四年の八月に誘致をされました工場との契約につきましては、自治省の方といたしましても、なおまだ材料が具体的に入手されておらないということもあり得るのではないかと思うわけですけれども、三十一年の四月というように、すでに五年経過しているという状態になると、これらに対して何ら行政的な措置がされておらぬ、あるいは財政指導の面において具体的な手が打たれておらないということになりますと、しかもそれがやはり再建団体になって、一般県民一般町民に対して、あるいはいろいろの機構改革をやったり、あるいは地方財政のどこかにしわ寄せをするという状況になったり、われわれが考えておるとは相反した一つの望ましくない町政というものが進められておるのではないかというふうにも考えられるわけでありまして、特に今局長が申されましたような固定資産税を免ずるという措置ではなくて、一応固定資産税課税するけれども、それに対して補助として町がその当該事業団体に対して支払いをしてやるというような方向が望ましい方向であるというような御説明でございますけれども、すでにこの問題は具体的に現実の問題として非常に混乱を生じておるという事実があるわけであります。しかも今月の二十五日には、町長あるいは町議会のとった態度がいいのか、あるいはそういうような全く裸の状態契約したような格好で町の財政を困難に陥れたところの状態を救わなければならないという団体との間に非常に問題が起こりまして、あるいは監査請求あるいはそれをもとにしたところの行政訴訟の問題が具体的に発展をしておるという段階のように聞いているわけであります。  そこで今申されましたような行政あるいは財政指導ということをやっておるとしますならば、すでに三十一年からこういう事実が発生をして、その町の決算そのほかについては、皆さんの方で相当厳密に目を通されているであろうと考えるわけですけれども、ここまで問題が波乱をしない間にやはり自治省としての指導すべき責任があるのではないか。あまりにも強く抑圧するというのではなくて、町の自主性を生かしながら、そういう問題についての指導というものがやはりなされなければならないというように思うわけでございますけれども、今のところ自治省の方には、こうした具体的な問題についての資料そのほかのものは一切入手しておりませんか。
  6. 奧野誠亮

    奧野政府委員 先ほど申し上げましたような指導方針を立てます際には、全国的に減免条例の実態を調査したことがございます。最近税務局でどういう資料を持っておるか承知しませんが、総体的には把握しておるわけでございますけれども、個々の市町村の問題になって参りますと、第一次的には府県知事にそういう指導面を委任いたしておりますので、必ずしも明確ではないと思います。最近滋賀県の堅田町において御指摘のような極数の問題が起こっておるようでございまして、先ほど調査課の方に問いただしましたら、昭和三十一年度において五年間の全免をして、それから昭和三十四年度に五年間全免で、あとの五年間についても徐々に逓減しながら十年目には三割減ずるというような条例を作っておられるように承知したのであります。これは全く行き過ぎた誘致条例だと考えているわけであります。いずれ相談もあろうかと思うのでございますけれども、こういう問題につきましては、積極的に自治省としても適当な指導態度をとりたい、かように考えているわけでございます。
  7. 二宮武夫

    二宮委員 大臣がおられませんので、政務次官一つだけ、そういう指導立場に立って今後この事態収拾その他についての決意を承っておきたいと思うのです。固定資産税地方の町の――今局長が具体的に町名を申されましたから、私の方もはっきり申し上げますけれども、今具体的に問題になっておりますのは、滋賀県の堅田という町の問題でございます。この町の税の徴収条例の中に、必要によっては町長減免をすることができるという項目が実は初めには入っておらなかった。ところが問題が非常にこじれて参りまして、そういうことをして地方町民に迷惑をかけるという問題があると困るじゃないかという声がだんだんに激しくなると、七十二条の固定資産税減免条項の中の第四項に、町長において減免を必要と認めた場合にはという問題を挿入して、そういうことが具体的にできるような条項に改めて、それを三十一年にさかのぼらせて有効にさせようというような意図でこれをやって、この問題の混乱に対して切り抜けようというような行き方をやっておるように私は伺っておるわけであります。こういうような行き方は、これはやはり地方の税の徴収に対する自治体のあり方そのものにピントをしぼりまして、全般的に不適当なあり方をあるいは適当であるように糊塗するような町政の進め方をやっているというような、こういうやり方は非常に不明朗だと思うのであります。従って地方自治法に定められたところの監査請求をいたしましたけれども、その監査請求にいたしましても、今やっているやり方監査の結果正当であるという答えが出てきております。ところがいろいろそういうような問題がこじれて参りますと、今までなかったものの中にそういう条項を挿入しておいて、それがいかにも合法的であるというような行き方でもってその問題を糊塗するということになりますと、問題がまた他に発展をして、実は公文書を偽造するといいますか、前にさかのぼらせるような非常によくない方向条例改正をしていくというようなことの手を使ってこの問題を解決しよう、こういう問題も現在発生をしてきておるような状況にあるわけでございます。こういうようなことではなくて、やはり工場誘致したいという町の立場を私どもも十分理解できます。これは将来のために、雇用関係やそのほか税の面や町の財政面から、そういうことを一つ他の町と競ってでもやりたいという気持は十分わかるのですけれども、そういうやり方そのものに対して、こういうように問題がこじれて参りますと、これはどうしてもやはり自治省指導やあるいは中に入りましての解決策を講じないと、町のあり方二つに割れてしまって、非常に円満さを欠いてくるような町政運営になってくるのではないかという心配を私どもはするわけなんです。そこでこういう問題について、今財政局長からは、財政面については一つ十分に資料をとって今後指導いたしたいということでございますので、ぜひそういうようにお願いを申し上げたいのですが、自治省、その大臣立場という責任ある立場からも、もう一つ、こういう地方税法やあるいは地方自治法に違反すれすれの線ではないかと思われるような情勢にあるところの町政について決意のほどを一応承っておきたい。こういうことがはっきりいたしますと、問題解決のめどもまたつくのではないかというふうに思います。これを地方自治体の自生性だけを尊重してそのまままかしておきますと、私は非常にひどい混乱を今後とも起こすのではないかという心配がございます。これは一つ今後とも、これから法案が通るというようなことの見通しの上だけでなく、それ以前の問題でございますので、一つ政務次官のこれに対する収拾そのほかについて、今後の事態処理の問題についての意見を承っておきたいと思います。
  8. 渡海元三郎

    渡海政府委員 ちょっとお答えします前に、聞き忘れたのでございますが、町長が、三十一年の四月十五日に誘致いたしましたが、条例には減免誘致のことを明文化しなかった分を、問題が起こってからさかのぼって実施するように条例を訂正したと言われました年月をちょっと私聞き落としたのでございますが、わかりましたらちょっと……。
  9. 二宮武夫

    二宮委員 契約先ほど申し上げましたように契約をいたしまして、そしてその年月日というのを私はっきりまだ調査いたしておりませんけれども、その当時には必要に応じて減免をすることができるという第七十二条第四項というものは税の徴収条例の中に挿入されていなかった。問題がいろいろこじれて参りました後に挿入されたという状況なので、年月の食い違いというのは、少なくとも三十一年以降の問題であるということははっきりするわけです。これは調査すれば何年何月にこういう修正をやったのかということはわかりますけれども、そういう年月の問題ではなくて、いずれにしてもこういう問題の混乱を、そういうような町の税徴収条例改正によって解決しようという行き方でなくて、私は基本的に考えたいのは、やはりこうした工場誘致契約そのもの地方財政に対してどのようにあるべきかということの指導、あるいはそれから起こったところの波乱をどう収拾するか、こういうところについての決意を承っておきたいと思うのです。
  10. 渡海元三郎

    渡海政府委員 工場誘致ということがその地方の産業の発展、または地方財政運営のために非常に魅力的なものであるということは御承知通りでございまして、各町ともにそういった意味から工場誘致に非常な熱意を持って当たっておられるということは御承知でございますが、この一部といたしまして、工場誘致条例というふうなものを各町競ってやりまして、このためにむしろ当然与えられたところの地方税というものをみずからが切り捨てる姿であるということはもう御承知通りでございます。率直に申し上げまして、実は私も二宮委員と同じようにその委員席におりましたときに、一度このためにも自治省が、むしろそういったものができないんだというふうなことをやらなければ、いたずらに自分の権利をおのおのがみずから切り捨てておるという姿になるのでないかということを質問したこともあるような次第でございます。自治省といたしましては、今まではただいま局長が御答弁さしていただきました通り、この点も考慮いたしまして、税の減免でなくして、むしろ奨励金処置をするなら処置をするという方向におきまして、予算面におきまして、はたしてこれが至当であるかどうであるかということを議会を通じて町村民にも明らかにするという態度によって、この点の適正化を期してきたことは今局長が申した通りでございます。ただいま御指摘の事実につきましては、最も町民に重要なる納税条例というものをそのような方法によって行なうべきものでない、かように私も考えます。しかしながら、事実問題としてまだ私たち承知いたしておりませんので、ただいま二宮委員の言われましたお言葉の限りにおきましては、御意見全くごもっともと存じます。十分調査の上何分適当の指導をいたしたい、かようなる決心でおりますので、これをもって答弁とさしていただきます。
  11. 二宮武夫

    二宮委員 地方税法の三百六十七条の規定によりますところの固定資産税減免という問題については、これはいろいろケースがあろうと思うのですけれども、この固定資産税減免する場合のやむを得ない事情であるという条件としては、天災等のやむにやまれない条件の場合にこれを減免するというように解釈するのが妥当ではないかというように思うのですけれども、この町の固定資産税減免契約を見ますと、五年間は全然取らない、操業開始後五年間は一切固定資産税を取らない。そうしてそれから後に六年から十年までの間においては、大体年次ごとに一〇%ずつ減じて参りまして、百分の七十から百分の三十まで、十年間において減じていく。従って、十年間は固定資産税の面において非常に不利な状態において町の権限で減免をするというような契約を結んでおるわけなんですが、これは先ほど局長が御答弁になりましたように、そのような町財政しわ寄せをするような状況というものは好ましくない。従って、これについては具体的に調査をして指導するということでもう尽きておるのですけれども、実際この法解釈の問題で地方税法の三百六十七条の固定資産税減免というような問題については、どのような財政指導を現在までされておるのか、これは一つ具体的に局長の方から御答弁いただきたいと思います。これは私どもの研究の問題として今後研究いたして参りますけれども、実際指導の面でどのような指導を一体やられておるのか。そういう指導が徹底をしないと、やはりこうしたストリップ契約町村では工場誘致のためにやるのです。それから問題の混乱が起こってくるということになろうかと思うのですから、法を決定いたしましたならば、法の具体的な施行に対するところの親切な指導というものをやる必要があろうと思うのですが、これの解釈はどうなんですか。
  12. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御指摘になりました地方税法三百六十七条の減免の場合には、納税義務者の方で特別の事情がある場合の減免でございます。企業誘致減免は、おそらく地方税法第六条に基づく減免条例であろうかと考えておるわけでございます。地方税法第六条に基づく企業誘致のための減免条例につきましては、先ほども申し上げましたような態度を従来とって参ったわけでございます。しかし、今回低開発地域工業開発促進法において減免規定も入れておりますので、その際に政令で地方交付税上特別の措置を講じます減免程度というものを明確にすることになっておるわけでございますので、それを限度として行なうように強い指導を行なって参りたい、かように考えておるわけであります。従来は減免よりもむしろ当該企業に対する特別な措置を講じてもらいたいというような態度でありましたために、減免程度というようなものについては指導はいたさなかったわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、五年とか十年とかいうような期間というものは、あまりにも長きに失する、こういう感じを持っておるわけでございます。滋賀県の堅田町とは知りませんでしたけれども、若干問題があるということを調査課から聞いておった。ちょうどそのさ中でございまして、この問題につきましてはさらに必要な指導を講じたい、かような考えで内部でもいろいろと議論をしておった問題でございます。
  13. 西村関一

    西村(関)委員 ただいま二宮委員から御質問がございましたが、関連をいたしまして若干政務次官にお尋ねをいたしたいと思います。ただいま問題になっておりまする工場誘致に関する税の減免措置の問題でございますが、一つの問題として起こっておりまする堅田町と東洋紡績工場の問題でございますが、この問題につきましては堅田町民が非常に心配をいたしておりまして、こういう契約が行なわれたということについて、ごく一部の者を除きましては、大部分町民たちが知らない状態で進められて参ったということから、このような契約に基づいて今後地方財政運営されていくならば、これはまことにゆゆしい問題である。何とかこのような国の方針とも違うような契約を取り結んでおる町当局に対して、ぜひとも契約の更新をしてもらいたい、こういう声が起こっておるのでございます。しかしながら、町議会で決議をし、町長が調印をいたしました契約でございますから、そう簡単に会社側が受け入れるわけでもないようでございまして、再三町当局会社側と話し合いをいたしまして、何とかもう少し契約緩和をしていただけるような措置をとってもらえないかという交渉をしているようでございますが、今のところなかなかめどがつかないという状態でございます。こういう問題に対して適切な指導を今後もしていく、こういう自治省の御見解でございますが、今までどのような指導をしていただきましたか。またこの問題に対して今後どういうふうな方向に持っていくように自治省としてはお考えになっておられるか。ただいまも御答弁があったと思いますけれども、私もこの堅田町の町民の一人として重大な関心を持っておりまするから、あるいは重複するかもわかりませんけれども自治省の御見解を承りたい。次官から一つお答えを願いたいと思う次第であります。
  14. 渡海元三郎

    渡海政府委員 ただいまも局長が御答弁しましたように、町村財政運営は、県の指導監督と申しますか、助言等によってまかしておりましたので、直接事実は目下私も承知いたしておりませんし、自治省承知いたしておりませんので、今までのところ県がどの程度指導をいたしましたか、今後調査の上適切な処置をさせていただきたいと思っております。なお御発言の中に町民の大部分が知らぬ間に契約ができて、そのために町財政にも非常に影響を及ぼすので、町民も不安を持ってこれの契約緩和を願っておるということでございましたが、大体このような工場誘致が行なわれます場合には町条例をもって、明らかに議会議決を得た条例でもって、その上で契約を行なっておるのが普通でございまして、その点がどうなっておりましたか、事実知りませんでしたが、おっしゃる通りだったら、おそらく町条例を作らずに契約をしたのじゃなかろうか、かように存じます。そういった点の事実を精査の上、やられたことが適法、不適法はとにかくといたしまして、お聞きする範囲内におきましては、むしろ手続その他において不当な点があったのじゃなかろうかと考えます。なお、今後の処置に対しましては、従来もそういった面で再建整備その他の一団体になりましたときには、自治省といたしましても二、三中へ入ると申しますか、私らの力もこれに関与いたしまして、工場側とも話し合いまして条例緩和その他をお願いした事実もございますので、事実精査の上、御要望のような線に沿って善処さしていただきたい、かように考えます。
  15. 西村関一

    西村(関)委員 ただいま次官のお話しになりました町条例も作らないで契約をしているという状態でございまして、町当局もまことにその点不備であった申しわけないということは言っているわけなんですが、また徴収条例ですか、税の減免に関する問題につきましても、その条例にも不備な点がございまして、減免ができるかできないかということについても多々疑問があるようであります。そういう点は県当局も調査をし、指導をしておるわけでございますが、自治省におかれましても、ぜひこういう事例が起こっているということをよく取り上げていただきまして、ほかにもこういう事例がある、こういうずさんな工場誘致をやっているところが相当あるように思いますから、そういう点については遺漏のないように今後御指導をいただきたいと思うのであります。またこういう一方的な会社側にのみ有利な契約を結んで無理に工場誘致いたしまするために、町の財政が破綻に瀕するというようなところから財政再建促進措置をとろうというようなことになりました場合におきましては、これはまことにその趣旨にも反することになると思います。こういう場合に財政再建促進の措置につきましては、いかようなお考えをお持ちになっておられますか、その点につきましても自治省の御見解を承りたいと思います。
  16. 渡海元三郎

    渡海政府委員 二宮委員の御質問にもお答えいたしました通り、近時町村が競争で工場誘致を行なうために、ややもすると工場側がむしろ有利な立場に立って交渉する。従って、むしろ工場誘致条例を適正な方向に規制していくことこそ、地方のいわゆる税源と申しますか、課税の権利というものを守る道でないかということも、私も委員の席におりましたときに、たしか一回発言し、注意を促したことがございます。幸いに今度低開発地域法案が出まして、工場誘致のための税の減免で、これを基準財政収入額において、これによって町村が不利益をこうむらないのだというふうな点を明らかにする地域を指定するとともに、その範囲もこの程度だということによりまして、一方この措置緩和していくと申しますか、適正化していく方向に持ち出していくものじゃなかろうか、かように考えている次第でございます。  なお、今後の指導に対しましては十分調査の上やらしていただきたい、かように考えておりますが、このようなために財政再建計画をしなければならないものに対してはどういうふうにする考えであるかということでございますが、三十一年に実施されたものでございまして、すでに赤字額を持っておられる団体でございましたならば、それが不当なる支出によって行なわれたものであるにしろ、現実に赤字額であるものを、それを消すことができなければその町の財政を救うことができないという見地に立ちましたならば、原因のいかんを問わず、現在ある時点においてこれをできるだけお救いするという方途を講じていくのが私たちの立場でないかと思いますので、この点の将来にわたるところの財政計画はできるだけの援助をもって行ないたいと思います。ただし、その根本になるところの工場誘致条例その他に対する緩和その他につきましては、これを適正な方向に改めることによって今後の再建計画を容易ならしめたい、こういうような方法をあわせて講じることはもちろんでございます。
  17. 西村関一

    西村(関)委員 もう一点だけ。ただいま次官の御答弁で一応私も了解をいたしましたが、最後にこの機会に自治省にお願いをいたしておきたいのです。総理も言っておられますように、農村に工場誘致する、工場地方分散ということが政府の政策の一つの大きな柱になっているわけです。また地方自治体の発展のためにも、地方自治体は従来もこぞって工場誘致に力を入れておりましたが、今後も努力することは申すまでもございません。そういう場合に、えていたしますというと、ただ工場誘致を急ぐ余り、まことに無定見な、地方自治体の住民の利益に反するような工場誘致をやる向きが、このように出て参っておるし、今後もないとは限らないのでございますから、こういう点につきましては、先ほど来の御答弁によりまして明確になっているわけではございますけれども、なお格段の御留意をいただいて、自治省におかれましては十分な誤りのない御指導をしていただきたい。そのようにして地方自治体がそういう誤りを起こさないように、ただ一片の通達だけでなくて、あらゆる努力を払って、そういうことを未然に防ぐという努力をしていただきたいことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  18. 二宮武夫

    二宮委員 今関連質問の西村先生から申されましたように、私も地方自治体というものを、短い期間でございますけれどもいろいろと検討いたしました。三千をこえるという自治体の中には、相当法令そのものの解釈、あるいは地方のいなかの方に行きますと、及びもつかないような条例を作ってみたりするというような傾向があると思うのです。この前指摘いたしましたように、山形県のある村の公務員の採用試験の条例などというものは実に不思議な、まことに前近代的なものが残っている。あるいは今出て参りましたように、堅田町の誘致契約等につきましても、どうも常識で割り切れないような問題が残っておる。こういうようなことにつきましては、昨年の特別国会で自治省に昇格した立場としては、地方自治体を抑制したり、あるいは規制をしたりするということではなくて、ほんとうに地についた指導をしたいというために自治省というものに昇格をして大臣を置くような状況になったのだ、こういう話であったわけですが、何としても相手が多い自治省でございますので、相当に熱意を持って指導していただかないといけない。私はこの行政関係の問題として、まことに不届きな問題が地方には発生をしている虚実を持っているわけですけれども、きょうはその問題に触れませんが、この次には具体的に事実をあげて指摘したいと思います。自治省に昇格したという立場から、ただこの委員会やあるいは本会議の質問や答弁ということだけで終わらずに、ほんとうに懇切丁寧な指導をしていくという立場一つやっていただきたい。これは西村委員の発言と重複するような問題になると思いますけれども、実に今の契約などについては不届きだと思います。あるいはそういう契約地方ですでに消化してしまって、そのために地方の、あるいは県庁職員を馘首したり人員整理をやったり、あるいは教職員を多量にやめさしたり、そういうような再建整備をやった県も事実私は知っているわけです。ただ、それは工場誘致という問題だけが原因でないにいたしましても、それが非常に影響しているということは言い得ると思うので、従って最後的に要望しておきたいことは、非常に数多くの、でこぼこな状態にあるところの地方自治体の指導については、言葉の上だけでなく、十分に実地について具体的に出先との連絡をとりながら、行政管理庁とも――いろいろの問題が地方にありますけれども、そういう問題をどうして地方から自治省に対して上申してこないのだろうかということを不思議に思うのです。出先に行っていろいろやっているけれども、事実においてそういう不届きな、法違反にからむような問題については、自治省に対して十分連絡して、こういうよくないことがありますよということを具体的にあげてくることが出先の責任だと思います。しかるにそういう問題はわれわれが指摘しないと自治省の方ではわからない、あるいは指摘いたしましても自治省の方では資料がない、具体的な問題はわからないというようなことでは、私は大へん遺憾だと思います。従って、そういう点について重ねて要望しておきますけれども、非常に数多くの対象でめんどうだうだとは思いますけれども、一片の法のヒヤリングをやったという程度では済まない問題だろうと思いますから、今後十分にそういう点に重点を置いて指導していただきたいということを要望しておきます。
  19. 渡海元三郎

    渡海政府委員 御要望まことにごもっともでございまして、戦後地方自治法の制定とともに地方自治の拡充というものが大きくとり行なわれてきたのでありますが、ややもすると地方自治の名のもとに何でもできるんだという誤った観念のもとで、何と申しますか、乱れた財政、乱れた行政が行なわれておるということは、今二宮委員の述べられた通りでございます。財政におきましても、あるいは行政制度におきましても、相当整備して参りました今日の段階において、十分この点を徹底させまして、監督指導に刀遺憾なきを期して、ほんとうの意味地方自治の拡充のために、自治省といたしまして格段の努力をいたすことをこの席においてお誓いいたすものであります。
  20. 太田一夫

    ○太田委員 関連してお尋ねしたいのでありますが、今の最初の問答を聞いておりませんでしたから少し重複するかもしれませんけれども、そういう地方自治体の財政状態に大きな変動を起こす問題が、地方自治の名前において自由放任になされているということには大きな問題がある。財政課長がいらっしゃるから局長にかわって専門的な立場からもう少し解明してほしいと思うのですが、そういう大工場誘致は、特に大工場であればあるほど将来の税収の向上を予見されますけれども誘致費は膨大になると思うのです。そこでその他の名前を借りて起債を行なわなければならない、あるいは地方の諸税、住民税、固定資産税のできる限りの引き上げを行なわなければならないという問題が起きておる。だから、大工場誘致に対していろいろな形の補助が出されておりますが、それに対する基準か何かについて御通達になったものがあるか、その点ははっきりしているのか、いまだにはっきりしておらないか、今までの経過につきまして明確なお答えをいただきたいと思います。
  21. 松島五郎

    ○松島説明員 先ほど局長から申しましたように、工場誘致をいたします場合の減免等につきましては、それが地方財政、市町村財政の将来に及ぼす影響等を十分考慮して行なうように指導しております。なお具体的には、減免という形になりますと、課税標準が当初よりもだんだん上がって参りましたような場合でも、これはもう地方財政の中に入るものでありませんので、どのくらい減免をするかという実態が一般の方にはわからないということにもなりますので、そういうことでは住民の批判あるいは検討ということも行なわれにくくなることになります関係上、かりにそういう措置を講ずる場合におきましても、一たんこれを町の予算に計上して収入としてあげて、それをさらに支出として出す。その支出として出す際に予算の一環としていいろいろ審議をし、住民の批判を仰ぐというような態勢をとるよう指導をいたしております。  それから直接金で出すというようなことは原則として望ましくない。必要があれば関係の施設を整備する。その施設は工場のための道路であり、あるいは施設でありましても、一般住民もその施設を利用することができるわけでございますので、むしろそういう方面に使うように指導しております。さらにまた具体的にこまかい個々の問題となりますと、交付税の計算上、御承知通り七割相当額は基準財政収入額として算定をされますわけでありますから、結局その市町村としては、減免しようとしまいと七割は入ったものとして交付税の計算をされるという関係になっておりますから、かりにやるとしても三割が限度ではないかというような指導も具体的にはいたしておるわけでございます。
  22. 太田一夫

    ○太田委員 聞いておりますと、指導方針はないということじゃないですか。十分に考慮して行なうように指導するという言葉はありましたけれども、実際にはないでしょう。あなたの方は、今まで地方の堅実な財政をやっておるところ、貧弱な財政のところと千差万別であろうと思いますけれども、それは工場誘致をするについての基本的な御指導はない、そういうことはおかしいじゃないですか。考慮をして行なうようにというような指導はないので、何か秘密にしているものがあるのではないか。口頭でもって、あるいは慣例でもって、こういう基準なのだということがあるのでしょう。今おっしゃるように、具体的に税金は取ったことにしましょうとか、そういう補助金とか助成金で返すということをやっておるというのは、現実の帳面の上でそういうことをやるのは、減免というのは地方税法に違反をするから、そこによるべき根拠がないから取ったことにして、片方で何か援助金を支出した形をとるのでしょうから、だからあなたのおっしゃるように考慮して行なうように指導するというととはどういう考慮をするのですか。この辺をもう少し歯に衣を着せないでずばりとしろうとにもわかるように教えていただきたいと思います。
  23. 松島五郎

    ○松島説明員 私の申し上げましたのは、具体的なものをあとに申し上げまして、最初に原則的なことを申し上げましたので、申し上げ方が悪かったかもしれませんが、具体的に先ほど申し上げましたように、交付税の計算上、差引計算にいたしますものはその町としては全くの何と申しますか、負担になるわけでございますので、三割が限度ではないかという一応の目標を立てました上で、さらにそれを出します場合においても、なるべく減免という形をとらずに、必要な支出予算として住民の批判を仰いだ上で出すようにという指導でございます。それの基本的な考え方というのは、将来にわたるその団体財政ということを考慮してやるべきであるということでございますので、申し上げ方が反対になりまして、抽象的なことしか言っていないというようにとられたかもしれませんが、具体的にはそういう指導をしております。
  24. 太田一夫

    ○太田委員 そうすると重大なことを承りましたが、三割以上の減免をしたところはあなたの方の方針に違反をする、いわゆる国の方針に違反をするというように了解していいのですか。
  25. 松島五郎

    ○松島説明員 私どもは、その町村が具体的に財政的な大きな負担にならないようにという配慮から一つめどを作って、そういう具体的な個々の団体の御相談にお答えする、そういう指導をいたしております。従いまして、それとちょっとでも違ったら国の方針に違反したということになるかどうかは、多少なお解釈上の問題があると思いますが、私どもとしては、そういうことにならないように期待いたしております。
  26. 太田一夫

    ○太田委員 そこが大事なところでありますから、もうちょっとお尋ねいたします。方針に違反したとかしないとかいう抽象論はあと回しにして、あなたの方の自治省方針としては、財政法なり、あるいは地方税法なり、自治法なり、一切の国の諸法令をあなたが総合的に解釈されて、そうして工場誘致の場合の地方公共団体の、市町村の援助した負担は、これは補助金三割、その上がるべき収入の三割をもって限度とする、それが基準である、これ以上それを減免することは好ましくないことである。こういう方針を立てられたものと理解しなければ、今の方針が三割であるけれども富裕町村ならば五割減免してもよろしい、こういうことになる。あなたの方の意見が聞かれなかったわけですから、従って三割が基準だ、三割を基準としてあくまでも減免しなさい、そこまでなら認めましょう、こうあなたの方が指導されておるものとわれわれは理解せざるを得ないと思うのですが、そういうことではございませんか。
  27. 松島五郎

    ○松島説明員 これはどこまでも法律できまった問題でも、三割というのがあるわけではございません。ただ、実際問題として当該団体財政運営上この程度なら大きな支障なくして減免ということをかりにやるとしてもやれるのではなかろうか、こういう観点から私どもは事務的な指導一つの基準として考えておるということでございます。
  28. 太田一夫

    ○太田委員 それなら三割以上こえたところがあったら、あなたの方は、それは基準の指導の範囲を越えておるのだからいかぬぞ、これは修正しなさいとおっしゃらなければならないわけですね。これはおっしゃることができるのですが、その事実があれば……。
  29. 松島五郎

    ○松島説明員 私どもは、法律できまったことに違反しておるものは、これはどういう形であれ直らにそれは適当でないということを申し上げることができます。一応この辺が基準であるということと多少違ったからといって、それが直ちにいかぬのだということをいかなる事情のもとにおいても断定的に申し上げて、市町村なり、あるいは地方団体を押えつけるというようなことは適当でないと考えております。
  30. 太田一夫

    ○太田委員 押えつけることがいいの悪いのということを言っておるわけではありませんが、国の方針が明確でなくてどうやって地方財政運営できますか、国の方針が明確でなくて、今の法律の建前からいって、国の方針がなくて、地方自治は無制限でございます、地方自治はあなたの思う通りでよろしい、条例を作ったらこれは作った通りでよろしいということにはならないでしょう。よしその条例が、あなたのおっしゃることが正しかったならば、前回、三重県の一志郡ですか、統一号俸のときに、あのように次官通達やら局長通達などを出す必要はない。向こうできめたことは向こうでやらしたらいい、まかしておけばいいじゃないか。何千円はいかぬ、九百円にとめなさい、国家公務員と同じようにしなさい。給与を上げることの方はこれだけ厳粛に制限して、大企業に対しての制限は無制限というのはどういうわけですか。
  31. 松島五郎

    ○松島説明員 私が申し上げていますのは、無制限ということを申し上げておるのではございません。一定の基準を設けて、その幅の中でものを考えるということでございまして、どの程度の幅で考えるかという問題は、個々具体的な事実に即してやはり良識的に判断していかなければならない問題であります。それが法律でぴしゃりときまったものでない以上は、そこからちょっとでもはずれておればそれは違法であるというような問題として取り扱うわけには参らないということを申し上げておる次第であります。
  32. 太田一夫

    ○太田委員 しからば個々の事例に照らして判断するとおっしゃるならば、三〇%基準というのは二次的になる。個々の事例に照らしてやるということならば、工場誘致の場合に、個々にこれはオーケーされた、これはノーとされたというような工合に一つ一つ工場誘致条例というものに対してあなたの方はチェックしたのですか。
  33. 松島五郎

    ○松島説明員 何か話がだんだんむずかしくなりましたけれども、私が申し上げておりますのは、個々の町村で行ないました工場誘致条例による減免というのがどの程度が妥当であるかということを私どもが判断いたしまして、また市町村に判断をしていただきます場合の一つの基準として、この程度だということを申し上げておるのでございまして、それはいわば合理的な判断をいたします場合の基準でございますから、個々の事情によってそれが多少上下し、それを中心として動いていくということはあり得るのではないかというふうに考えております。
  34. 太田一夫

    ○太田委員 同じことをおっしゃっていらっしゃると思うのです。あなたの方のおっしゃったことを繰り返していらっしゃると思うのですが、三〇%が減免の基準だ、これまでは認めましょうということと、個々の事例に照らし合わせて考えますということとは非常な違いがあると思うのです。三〇%が基準であるならば、その差というものはある程度動いたところでしれたものです。全額ということはないでしょう。それでは三〇%基準というのは、一つ考え方として私は受け取っておきましょう。西村さんもそう考えている。それでは基準として、その期限はどれくらいに考えていらっしゃいますか。
  35. 松島五郎

    ○松島説明員 期限はいつまでということを考えて、具体的な事例として示したことは、私ども今のところ記憶ございませんが、大体私どもは三年くらいが適当じゃないかというふうに考えております。
  36. 太田一夫

    ○太田委員 三年ぐらい、それが期限だとしますと、それに違反するものは山ほどあるじゃないですか。三年でやめたなら何も言うことはないんです。三〇%基準、三年間、そういう指導方針なら私はそう大して問題は起きないと思うのです。問題が起きるのは、非常に減免パーセントが大きくて、それが健全なる市の財政をこわし、ついに再建団体となったところもあるじゃありませんか。だから課長さんに――松島さんは有能な方で、非常にかたく物事を考えていらっしゃいますから、私が考えていることと少し違っておりますので、これはあなたとやったって仕方がないから、渡海政務次官にお尋ねします。三年、三〇%基準、これを自治省は今後とも的確に方針として堅持するという決意があるかどうか。
  37. 渡海元三郎

    渡海政府委員 三〇%という基準は、現在その工場がなかったとしたなればそれだけの税収しかなかったというところのめどで、今松島君が行政指導立場から言ったのではなかろうか、かように考えます。三年間というのは、現在行なわれておりますところの普通の場合、今太田さん御指摘のように、いろいろこれから伸び得る点もありますが、それは各自治体において、はたして将来においての財政と勘案の上、この程度にしておっても将来は得になるのだという判断の上作られたのだと思いますが、私も先ほど二官委員の御質問にお答えいたしました通り、近時のような工場誘致のブームは、むしろ町村がこれを競争することによって、不当に自分の徴税権というものを放棄する。競争をして工場側にむしろ選択の機会を与える。お互いが競争し、お互いが自分の権利を失っておるところの姿があるのだ。だからある程度の規制をしなければならないんじゃないかという意見を、委員の席を持っておりましたときに持っておったわけであります。幸いにこのたび低開発地域工業開発促進法によりまして、工場誘致条例をやらなければならないような特定地域を指定するとともに、その地域に対しましては、今の減免を行ないました範囲は財政需要要額として見る。なお、この行なう減免というものがどの程度のものであるかということも十分検討しました上で、この機会を得て強固なる指導方針、その標準を訴えたい、かように考えております。その際に、今申しました三〇%、三年間という標準で出ますかどうかは、これはそのときに考えるべきことでございまして、今の三〇%という基準は、むしろ現在何もない財政需要額を基準として考えた場合、それ以上のことをやったなれば、むしろ工場誘致した現在の条例が動いておる間は、それだけ地方の持ち出しになっていくのだ。将来においてもうかるかもしれないが、今持ち出しになっていくのだ。将来持ち出しにならないようにいたす場合には三〇%だということを、現在の財政の制度に合わして松島君が行政指導めどとして申し上げたものであろうと思います。従って、この三〇%を堅持するかどうかは、制度そのものを基準財政需要額の中に入れるという法律で変わりますので、指導方針を三〇%といたしますかどうかということは変わってくるのであろうと思いますが、しかしながら、このたびは、明らかにその基準はその制度に基づいて打ち出されるものである、このように考えております。
  38. 太田一夫

    ○太田委員 まああなたのお話を聞いておりますと、多分に政策的な話になりますから、わからぬことはないんですが、しかし地方財政法第二条は、地方公共団体は、その財政の健全な運営に努め、いやしくも国の政策に反して施策を行なってはならない。この一つ方針として、国の政策に反してやってはならない。その国の政策というのは、地方財政自主性というのは地方自治体は百パーセント自由だということではない。国の政策の範囲内、政策というものに忠実なる義務を負わなければならないという観念が第二条に盛られておる。だから、その国の政策とは何だという点はあなたたちが的確に判断して、それによって幾多の行政指導が出てくるのです。だから、工場誘致に論争が今起きるというそもそもが、国の政策というものが明らかでなかったのだ。ところが、今度は国の政策が明らかになりつつある。それは後進地域に対してのみだというように、だんだん後進地域の開発という立場から、工場誘致、租税減免、こういう問題がはっきりとここへ出てきたわけでありますけれども、これを一般的な町村に及ぼした場合に、今まで長い間何年も何年もやってきたけれども、それは自然発生的で、地方で問題がなければよかろうと言ってきたわけです。地方で問題がなければよかろうと言ってこられたならば、それは一つの国の政策になっている。今までのところ、滋賀県の場合でも、地方に問題がなければよかろう、地方に問題が起きれば悪かろう、こういうのが一つの国の基本的な方針だと私は理解するのですが、そういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  39. 渡海元三郎

    渡海政府委員 直ちに今の太田さんの議論にはちょっと私、合っているかどうかということは疑問でございますが、いわゆる工場誘致条例を私たちが相当常識的に考えて、あれ以上広めることが、財政法に示されてある国の政策に違反する行動であるかどうかという点、国の政策とはいかなるものであるか、ここに示されておりまする国の政策なるものはいかなるものであるかという点に対しては、直ちに今仰せられたような意味のものがそうであるかどうかということに対しては、私も少々疑いを持つのでございますが、私たちが今まで指導して参りました政策といたしましては、そのものが町村財政に弊害を与えてはならないのだという方針で示されたのは、税の減免で行なわずして、一応税はあるべき姿で取っておいて、しかも奨励金でこれを与えよということは、予算面においても財政を裏づけをすることができるんだという指導をやってきたのでありまして、これを工場誘致することによって財政を破壊するということは、これは私たちの指導通りに行なわれておらなかったということの証左になるのじゃなかろうか、こう考えるのでございます。従いまして、今までの政策におきましても、これによってやるのは地方自治の自由だからかまわないのだ、ただ問題さえ起こらなかったらいいのだという指導じゃなくて、税の減免でなくて、税は取るべきものとしてはっきり上げておいて、片一方奨励金なり何なりの姿において、支出の形において、予算に盛られる範囲内においてこれを盛っていけ。従って、健全な財政運営する立場において、議会に対して予算面において明らかにしてこれをやれという行政指導で参りましたのは、自主的に考えたらいいのだという反面、地方におきましては財政面を破壊してはならないのだという指導で今日まで当たってきたということのしるしじゃないか、かように考えているのであります。
  40. 太田一夫

    ○太田委員 よくわかりました。まあそういう方針で、税としては取り、奨励金なら奨励金として出しましょう、こういうことだろうと思いますが、その奨励金という補助金ではなく、その他の形の変わったもので事実はもうたくさん出ているのです。水の問題があるなら水の問題で、道の問題があるなら道の問題、交通の問題があるなら交通の問題、用地取得に関する補助、これは工場じゃなくして住民に対する施策上の転業資金の問題とか、幾多の形をもって工場誘致に対して支出がなされて、一工場誘致しようとしますと膨大な金額だと思う。だから、その不当な競争を自治省は――私は今、地方に問題があればいかぬ、なければいいという基本方針は、一つの自由放任だから、自民党の最も好きな自由放任政策だから、それはよかろうけれども、しかし今日の工場の奪い合い、そうしてサービスの競争という深刻な事態を前にして、何か自治省は的確なものをお持ちになっていらっしゃるかと思って先ほどから伺っておるわけです。何かしないと、こんな状態をほっておきますると、工場誘致というものは、実は引っぱり合いになってしまって、来る工場はお殿様になってしまう。一番いいところにそのまま据えぜんですわろうということになるから、国の総合発展にならない、地方開発にもならない、地方財政の向上にもならないから、的確な方針を立ててほしいと思います。そうしませんと、あちこちで同じような問題が出てくる危険性を感ずるのです。  そこで、事はついでですからお尋ねをしたいのですが、最近国鉄の新東海道線ができるというようなことから、土地の買収ということで、建設用地の取得が非常に問題を起こしておるところもある。スムーズにいっておるところもありますけれども、相当問題を起こしている。そこで、その反対の傾向として、そちらの方で土地を失っても、こちらの方で土地の価格が上がる場合もあるじゃないか、これは二本同じようなところに引っぱりますから、新東海道線ができたあと、片方の現在の東海道線には多数の駅ができるだろうという想像があるわけです。そうしますと、その新東海道線ができたあとに幾多の駅を作る。今の駅と駅との間に二つくらい駅を作ろうというような傾向が出てきたんです。地方の住民の間に望みが出てきて、そこに思惑が始まっている。そこに介在する問題は同じことですけれども、その新駅を設置してもらう場合には、地方住民の負担を原則とするのか、それともその自治体の負担を原則とするのか、あるいは国鉄自身が負担するのか、この議論が今地方の自治体の中では非常に盛んなんです。今はいいですよ。問題がそんなに大きく出てきておりませんが、あの東道道線に駅を作る場合に、一駅何千万というようなものを受益者の負担において作れという方針になったら、これまた住民は大へんだ。地方自治体が作るべきだという国の方針だと、これまた地方自治体は大きな負担を住民とともに受けなければならない。国家あるいは国鉄自身が作るということになれば問題がない。それはもう着工されて、いろいろ議論されておると思いますから、ついでに承っておきたいと思います。工場誘致と同じような形のものが出てきはしないかと思うのですが、この国鉄新駅設置についての費用の負担の国の方針はいかがでありますか。
  41. 渡海元三郎

    渡海政府委員 国鉄の新駅の負担をどうやるかということにつきましては、私、詳細承っておりませんから、後刻よく調査いたしましてお答えするよりほかないのでございますが、現在のところ、その駅が請願駅という姿で行なわれます場合は、その請願をしました自治体あるいは地方住民等において負担をいたしておるということの事実がありますので、その駅が請願駅の形においてできますのか、当然やるべき国鉄で設置すべきものとしてやるのかという点によって負担区分は変わってくるのではなかろうか、かように考えておりますが、現実の実際の例といたしましては、請願駅の形におきまして、地方の陳情として駅を設置する場合においては、駅舎は、その住民なりあるいは自治体がこれを負担するが、あとの維持管理のために要する国鉄の費用は国で持つというふうな形で行なわれているものである、かように解釈しております。
  42. 太田一夫

    ○太田委員 そこで、今からはっきりしっかりしておいてもらわなければいかないと思うのです。工場誘致のときも自然発生的だった。国鉄の駅を設置するときも自然発生的だった。列車が足りなければ列車の増強をする、列車用具いわゆる車両まで利用者によって寄贈するというようなことが自然発生的に出てきておるということを考えてみると、地方自治の主管省である自治省は、よほどしっかりしておらないと、地方の市町村も相当な負担をしなければならない、住民も相当な負担をしなければならない。それがいかにも合法的なことのごとくにだんだん拡大していくことは、請願の二字の名があれば何でもかんでも本人がやらなければいかぬということにはならない、それはならないですよ。今まで国会に請願しても、予算の伴うものはみな請願者の負担だということにはならない。何で国鉄の駅だけがそうしなければならぬのかわからないが、地方の問題はとかくそういうふうにうるさいし、めんどうだから、そちらで請願してやってちょうだいというような御指導方針が感じられるのですけれども、そういうことのないように、国鉄も商売じゃないですか、なぜ駅を作らないんですか。とまるべきところにとまればよいのです。だれかのところの駅のように、とまるべからざるところに線路をもっていくのは請願者が負担しなければならない。とまるべきところに駅を作り、とまるべきところに列車がとまるならば、これは当然国鉄はその公共性にこたえてやるべきなんです。このことが一つの基本だという精神を持って、地方住民がこれから先こういうことで大きな負担をし、また今度あのことでたくさんの負担をするというような弊害から、苦しみから救ってほしいと思うのです。国の政策というものは、少なくともこれはばく然としたものでなくして、慣習上から出るのでなくして、確固たる方針として作ってほしいと思うのです。これは次官どうですか。今の駅の、請願々々というけれども、請願でしょうという形に持っていっては大へんなんですが、少なくとも合理的な場合は今までと違った形のものを作って地方住民の負担を軽減していくということにあなたたちは努力していく、そういうことには御異存ないでしょうね。やっていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  43. 渡海元三郎

    渡海政府委員 先ほどもお答えしました通り、国鉄新線に伴うところの新駅設置の問題につきましては、私事実を調査しないと、ただいま判明しかねておりますが、御趣旨の線はごもっともであろうと思います。ただ、ただいま申しました請願駅ということは、請願という二字のことについて、国会に請願すればというのでございますが、実際に行なわれておりますところの実情を説明的に申し上げたのでございまして、それが国会の請願によって行なわれるものであるかどうか私も知りませんが、とにかく請願駅という名前のもとに行なわれておるとき、新駅の設置というものは、現在では地方住民あるいは町村が負担しておる。これが事実であるという事実を申し上げただけでありまして、今言われましたように、公共的に国鉄が当然行なわなければならない駅は国鉄が持つべきであるという御議論ごもっともでありまして、並行線に対する問題につきましては、私たちも注意して調査いたしまして善処させていただきたい、かように考えております。
  44. 門司亮

    ○門司委員 ちょっとこの際お聞きしたいのですが、工場誘致と密接不可分な関係があるもので、最近地方で一番困っておる問題は、住宅の造成についての自治省からの指令と指示に基づく関係でありますが、これは、私からここではっきり先に言っておきますが、自治省の指令では、鉄筋コンクリートの住宅その他については大体四万円で評価をして、さらに課税は二分の一というととが指示されているはずです。これはその通りでしょう。そういう指示をしているのでしょう、集団住宅に対する措置は。
  45. 渡海元三郎

    渡海政府委員 ただいま税当局の者が来ておりませんので、ちょっと判明いたしかねます。後刻……。
  46. 門司亮

    ○門司委員 それではそれでいいです。そのままおいておきますが、従って問題になるのはどういうことかといいますと、税金の方は制限を受けて、それから施設の方はしなければならぬ。ことに集団住宅について、たとえばこれは千葉県の松戸の例ですが、松戸の例を一応とってみましても、すでに千六百五十戸が予定されておる。鉄筋アパートが四千三百七十戸、合計して六千二十戸が三十六年度から五カ年間で建設される予定が立てられております。ところが、この予定に対して、三十六年度から、五年間で家が建つのでありますから、収益は一年間ないわけですね。これはおわかりでしょう。収益は実際にないのに、市としてはこれの受け入れ態勢として三十五年度に四千百万円を使っておる。これは道路の設備をしなければなりません、下水あるいは上水道の設備をしなければならぬから、受け入れ態勢でそれだけの金を使っておる。それからさらに三十六年から三十八年までの計画の中には、三十六年から建設されて人が入って参りますから、結局学校や上下水道というようなもの、あるいは診療所、役場の出張所というものの建築に当然かからなければならない。そこで一億六千八百万円の金が必要になってくる。しかしそれまでは、施設はするがまだ収入がない。大体そういうことになっておる。そういたしますと、三十八年度までの間に、大体三年間に、このほかに八千九百万円ぐらいの支出をさらに追加して行なわなければならぬことが事実上の問題として出て参ります。そういたしまして、それなら団地からの収入はどうなるかというと、三十六年から三十八年にかりに予定通り住宅ができて、固定資産税その他が上がってくるといたしましても、市の予算では一億九千五百七十万円しか上がらないということになる。そういたしますと、今申し上げましたようにそれまでに支出する金が二億五千七百万円に上っておりますから、差引六千百三十万円という赤字が三十八年度までには当然出てくる。こういう問題が現実にあるんです。そこでこれを税収入でほんとうにカバーのできるときはいつかということなんですね。それまでの地方自治体の持ち出しというのは非常に大きいのです。それに対して自治省の指示が、今申し上げましたように大体五万六千円ぐらいだといっているのを四万円で抑えて、そうしてその二分の一に税金を減ずるということになっておるのでありますから、地方自治体の財政というものは非常に苦しいのです。単に工場誘致だけの問題ではない。工場が入ってくる、住宅ができてくる。そうするとこういう質問がどうしても出てくる。これは松戸だけではない。最近伸びておる都市に全部この悩みがある。これは船橋の例を申し上げても、大体数字が上がって参りますからいいですが、あるいは京浜地区の問題にしても同じことなんです。表面は新興都市として、一方では非常に恵まれたような形で進んでおるが、財政は非常に苦しい。その間の財政を一体どうするかということが非常に大きな問題なんです。これに対して自治省は何かお考えになっておりますか。
  47. 渡海元三郎

    渡海政府委員 衛星都市と申しますか、ベッド・タウンと申しますか、税源が非常に少なくてしかも人口がふえるのでございますから、学校、水道その他道路等、町村として施設しなければならない面が非常に多い。そのために財政需要が非常に多くなるという財政的な悩みは、御指摘通りであろうと思います。この分につきましては、これを財政需要額の中にいかに適確に盛っていくかということによって解決すべき問題でもあろうと思いますので、財政当局から具体的にどのような方針でやるか、後刻お答えさせていただきますが、ただいま門司先生御指摘の住宅の税の自治省通達による何と申しますか、それを押えたという点は、公団住宅の家賃その他に関連いたしまして、一応この程度で、公団住宅の家賃を上げないために、とどめてほしいというふうな別途な方針から行なわれたものじゃなかろうか。今税務当局がおりませんので、詳しい事情はわかりませんが、私の知る限りでは、その意味の通達であったのではないか。この面では、当然財政需要によって、財政的な措置をして救っていかなければならぬと存じます。詳しいことは松島課長からお答え申し上げます。
  48. 松島五郎

    ○松島説明員 大都市周辺で人口が急激に膨脹して参りますと、今先生の御指摘のありましたように、学校あるいは下水道の整備その他のいろいろな経費が急激に増加して参ることは事実でございます。これらの増加する経費を、どのようにして交付税算定上の基準財政需要額に算入していくかという問題については、われわれもかねがねいろいろな方法で検討いたしておるのでございまして、現在やっております方法は、人口急増補正というような補正をいたしまして、一年間におきます住民登録人口の増加割合に応じまして、それだけの人口を収容するため必要となるであろう学校施設なり、あるいはその他のいろいろな施設の整備に要します経費を算定するように努めておるわけでございます。しかしながら実際問題として、交付税の算定技術上の問題もございまして十分だという段階にはまだ達しておりませんので、この点につきましては、今年度も引き続き検討を続けて参りたいと考えております。  なおそのほかに、そういった方法によっても救済しがたい問題につきましては、大都市周辺でありますためにいろいろな経費が必要であるというような事情を、特別交付税によってもある程度勘案をいたしております。しかしそれらを全部合わせましても、ふえ方の方がわれわれが考えておりますペース以上に進んで参ります点もございまして、関係市町村の間には不十分であるという声もございますので、今後とも引き続きこの点につきましては検討を加えて参りたいと考えております。
  49. 門司亮

    ○門司委員 そこで問題になりますのは、事情は今次官からお話しの通りで、私どもよく中に立ち会ったことがありますからわかるのですが、今の事務当局の答弁のようなことで一体よろしいかどうかということなんです。実際上の問題としてカバーできておるかどうかということなんです。これで調査されたことがありますか。今私が申し上げましたような団地がたくさんできる。それの収入が一銭もないときに、何年かの間ずっと金を出していかなければなりません。この場合は三十六年度でなければ満足の家は一軒も建たない。六年計画ですから四十二年にならなければ六千二十戸の人口は充員しないのですから、今のところは態容補正になっていないと思うのです。人間がふえれば態容補正をされることはいいですが、しかしこの問題はまだそこまできていない。それまでの間に二億五千万円の金をつぎ込んでおかなければ受け入れ態勢ができない。態容補正も何もない。言いかえれば、これをカバーしょうとすれば、実際の方法として特別交付税よりほかにないのです。そういうことを考えておるかどうかということなんです。今の答弁だけではだめです。人間がふえてきたらよろしいかもしれないが、それまでにこういう実情があると言っておるのです。それに対して、特交なり何なりめんどうを見るというお考えがありますか。
  50. 松島五郎

    ○松島説明員 先生の御指摘になりましたのは、いわば将来入るであろう人口のために先行投資的な経費が必要であるという問題でございます。この問題は、行ないます施設と申しますか、使います経費の種類によっても、その措置が異なってくるのではないかというふうに考えるのであります。あらかじめ入ります人口のために道路を整備し、あるいは下水道を整備する、あるいは学校の整備をするというような場合には、あるものについては起債等によってあらかじめ措置をするということも可能であろうと思います。しかしながら、あるものは起債でまかない得ないというものについては、御指摘通り人口がふえておる段階までまだ来ていないということでありますから、人口急増補正というようなことにも参りませんので、それらについては特別交付税で考えるというようなこともあわせ考慮しなければならない点もあろうと思います。なお今後とも具体的例をもう少し検討いたしまして、適切な措置を講ずるように検討して参りたいと思います。
  51. 門司亮

    ○門司委員 具体的例は、あまり検討しなくてもたくさん出ておるのです。実は弱っておるのです。もう少しそういうものについても地方財政のことについて考えてもらいたい。工場誘致をすればそういうものがたくさん出てくる。  もう一つ聞いておきたいのです。東京の例の首都圏の問題です。それで例の緑地帯ですか、グリーン・ベルトに入っておりますところの建築基準その他が非常にやかましくて、こういうところには事実上工場誘致は困難です。周辺の自治体を調べてみますと、中には工場誘致は非常に困難だ、しかし効外地として住宅だけはできるというようなことで弱っておるのがあるのです。工場誘致ができれば、ある程度財源もそこから得られるが、しかし厄介なものだけ引き受けて、財源になる方はあまり引き受けられないという、首都園との関連性が出まれてくるように私ども見受けるのですが、そういう点については何かお考えがありますか。
  52. 松島五郎

    ○松島説明員 その点につきましても、私ども具体的に東京都下の町村等からもお話を承っております。昨年度の特別交付税の際も、ある程度そういう問題を取り上げてきたのでございます。もちろん現在の段階で十分御要望に沿うところまでいっておりませんが、今後ともそういう問題はやはり考えていかなければならない問題の一つとして私ども承知いたしておりますので、一つ一つ検討して参りたいと考えております。
  53. 門司亮

    ○門司委員 関連ですから長く聞きませんが、最後に、次官に一つはっきり答弁していただきたいのは、今申し上げましたことは、すべて国の施策に基づく地方自治体に対する影響なんです。そこで責任はやはり全部国が負っていただきたい、私はこう考えるのです。だからそういう問題についての財源補てんは、ぜひ一つ国で全体の責任を持ってもらいたい。学校なら学校の起債を、何割はお前の方でやれとか、何割までしか起債は許さぬとかいうようなことでなく、全額国がやってもらうようにして、国が責任を持ってそういうものの処置をしていくということにしていただかぬと、国の施策に基づいて地方がやろうとしてもやり得ないことだ。今の首都圏との関係もありますけれども、かりに普通の場合であれば、鉄筋コンクリートの方が、安い値段ではありますけれども、大体五万六千円から七万円くらいで固定資産税の評価の対象になっておる。それを四万円にして、さらに二分の一にするということでありますから、住宅公団のものを見ても、かなり地方の自治体は損をしておる。そういう開きはずっと出て参りますから、従ってよけいいじめられる――と言うと言葉は悪いのでありますが、国の施策に基づいて犠牲になっているところは、ひどいところがあるのです。そういう点は国が責任を持って地方の自治体に財政負担をかけないという、一つはっきりした答弁をいただいておきたいと思うのです。
  54. 渡海元三郎

    渡海政府委員 財政負担をかけないということを答弁しろということでございましたが、それまでの答弁が、私がここで言明できるかどうか疑問でございますが、ただいま門司先生御指摘の、工場誘致に伴いますところのベッド・タウンと申しますか、住宅地域の財源に対する措置というものの苦しさは、私も十分いろいろ聞かされております。ただいままでも、今課長から申し述べました通り、種々の財政的なこれに対するカバーの手段というものを講じておりますが、なおこれでもって十分かどうかということは、決して万全を期しがたいと思います。御指摘の点まことにごもっともでございますので、十分配慮いたしまして、今後ともにこれらに対する財政カバーの制度を充実するように努力を続けて参りたい、かように考えております。
  55. 濱田幸雄

    濱田委員長 地方自治及び地方財政に関する議事は、この程度にとどめます。      ――――◇―――――
  56. 濱田幸雄

    濱田委員長 これより銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑を継続いたします。松井誠君。
  57. 松井誠

    ○松井(誠)委員 この改正案自体につきましても、実はいろいろお伺いをしたいことがたくさんございますけれども、きょう私は、この改正案自体についてではなくて、いわばその改正案の前提になるというか、根底になるというか、そういうものについてお伺いをいたしたいと思います。  その前提になる問題もいろいろございますが、私がお尋ねをいたしたいのは警察官の職権乱用――職権乱用といいましても、刑法上のいろいろな犯罪を構成するような行為、あるいはそこまで至らない人権侵犯の行為、とにかくそういうもの一切をひっくるめて職権乱用という言葉でかりに呼ぶといたしますと、そういう職権乱用の危険について主としてお伺いをいたしたいと思うのです。  なぜかと申しますと、われわれがこの改正案に反対をする、あるいは重大な疑問を持っておる最大の理由は、この改正案が警察官の職権の乱用を招きはしないかという重大な疑惑があるからであります。こういうことをお尋ねいたしますと、必ず政府当局は、いやそれは警察法や警職法にかたく乱用は戒めてある、従ってそういうことは起こらない、あるいは起こらないように厳重に注意いたしますということをおそらく御答弁なさるに違いないと思います。しかし、おそらくそういう御答弁によって一般の国民が納得するとはお考えになっておらないだろうと思います。われわれがこの警察官の職権乱用というものを非常に危惧いたしますのは、少なくとも私の場合は、根本的には現在の国家権力機構というものに対する不信というものがその根底にございます。しかし、そのようなことを論拠にいたして私は警察官の職権乱用を危惧するわけではございません。もし、そういうことを論拠にいたしますと、国家権力に対する考え方の相違によって、乱用があり得るあり得ないという、いわば一種の水かけ論になるだろう。私が心配いたしますのは、そのようないわば観念的な論拠の上に立ってではなくて、具体的に過去の実例に徴して、実証的にやはり警察権の乱用というものは招きやすいものである、これを根絶するということは、少なくとも現在の機構がある限りほとんど不可能に近いということを考えざるを得ないからです。そこで具体的の職権乱用の顕著な例を二、三私はお尋ねいたしまして、そうしてそれらが一体どういう原因で招来されたのか、従ってそういうものを将来なくするという制度的な保障というものを得るためには具体的にどうすればよいのか、そういう問題について具体的の御答弁がいただけませんと、やはりこの法律案を審議する中で始終出てくる職権乱用の危険という問題が、根本的に解明されていくということにはならないだろう。こういうように考えますので、実はこの改正案の具体的な質問の前提として、二、三の職権乱用の例についてお答えをいただきたいと思うわけです。  そこで、その乱用の例といたしまして、私は最初に、去年の六月十五日に起こりましたあの安保騒動のときの警察官の職権乱用の問題をお尋ねいたしたいと思います。これは決してすでに過ぎ去った問題でも何でもございませんで、現にこれは告訴があり、あるいは告発があって、そのことについてはまだ結論が出ておらないわけであります。そればかりではなくて、これを原因として国家賠償請求の民事事件がまだ係属いたして、その緒についたばかりでございます。何と申しましても、この事件が警察官の職権乱用の例といたしましては、その量においても質においても私は非常に画期的なものでもあると考えますので、そのことを最初にお尋ねをいたしたいと思います。そのことにつきまして、告訴あるいは告発は直接に検察庁になされましたので、それに基づいた捜査の現況はどうかということについて、あるいは十分おわかりでないかもしれませんけれども、おわかりの範囲で一つ長官にお答えをいただきたいと思います。
  58. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいまお尋ねのように、昨年六月十五日の警察官の、教授団、大学、研究折等に対する不当暴行事件として告訴、告発がなされ、またこれによります国家賠償の請求がなされておるということは事実でございます。これにつきまして警察といたしましては、当日の波乱によります負傷者を鋭意調査いたしまして、事実を明らかにしたいと考えまして、大学方面に対しましては調査の協力を申し入れたのでございますが、残念ながらその被害者といわれる方の側から協力が得られない。やむを得ずに当時の新聞、雑誌なとによりまして知り得ましたものを手がかりとして調査を進めたわけでございますが、調査にあたりましても、告訴しておるから検察庁での調べの際に話す、あるいは組合の関係で個人的には自分の意見は述べたくないというようなことで、非常に協力的でないわけでございます。そういうことで十分にこの集団暴行の事実について詳細確認することができない状況でございます。  なお、当日の警察措置に関しましては、先ほどもお話にございましたように、警察官の暴行事件として告訴、告発が行なわれておりますし、また教授団の一部からは国家賠償の訴えがなされておるわけでございますので、検察庁とか裁判所によって十分に慎重審理され、その結果によって公正な第三者の立場から事実関係というものもおのずから明らかにされるものと考えておるわけでございます。もちろん警察といたしましても、できるだけの調査はいたしたいというふうに考えておる次第でございます。  検察側におきます調査状況は、これは法務者の方からお聞き取りを願った方が、どの程度――私どもも詳細は承知いたしておりませんし、また取り調べの段階においてどういうことになっておるかということについて、検察当局として言い得る問題また言ってならない問題等もございましょうから、その点は法務省当局の方の御判断によってお伺いするようにお進めを願いたいと思います。
  59. 松井誠

    ○松井(誠)委員 それでは告訴、告発に基づく事件の捜査の現況につきましては、あらためて法務省の方の御山出席を求めましてお尋ねをいたしたいと思いますが、そのような刑事事件の捜査という面ではなくて、部内で、とにもかくにもあのような大きな事件があったということで、行政上の必要から警察庁なり警視庁ではあの事件の真否というものを確かめておられるかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  60. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 先ほども申し上げましたように、極力調査をいたしたわけでございますが、何分にも被害者というものの被害事実についての詳細な申し出あるいは陳述というものがないと、やはり具体的にそれを固めて参るわけに参りません。先ほど申し上げたような事情で、詳細具体的に確認するということになっていないということが実情でございます。
  61. 松井誠

    ○松井(誠)委員 そのようなことも実は警察に対する不信の一つの現われではないかと私は思うのです。あの樺美智子さんの死因の問題をめぐりまして、やはり関係者にいろいろ事情を聞いた。しかしどうしても関係者の協力を得られないので、ということを一つの理由にしてあの事件がケリがついた形になっております。そのようなことで、また一応協力という形で警察の調査に応じたはいいが それが自分らのたとえば職員組合とかその他の団体の組織の内情を話しただけで、結局それが自分らの意図する処罰というところへ持っていかれないで済んだのでは何にもならない、裸になって見せただけで結局損をしたという、そういうことになっては困るという配慮が私はあるのじゃないかと思うのです。今までいわゆる警察一家といわれるように、警察官の非行というものに対しては、ほんとうに警察が真剣になってこれに取り組んでおるのかどうかということにつきまして、国民の実は不信の念がある。それが私はそういうところに現われてきたのではないかと思うのです。  そこで、それはそれといたしまして、そのような状況から、行政上の立場からの、あるいは犯罪捜査の面も含めてかもしれませんけれども、事実の取り調べが困難だというお話でございますが、あの事件が起きましたあと間もなくの去年の七月の十一日、社会党の不当弾圧対策特別委員会その他から警視総監あるいは警察庁の長官、公安委員会その他に対して長い質問状を出しております。その中で、具体的な事実をあげてその真否を問うておるわけでございますが、この質問状に対して警察庁あるいは警視庁の立場からいろいろ具体的な事実についてお答えになっておりますが、これは警視庁でも警察庁でも適宜どちらでもけっこうでございますけれども、このような質問があり、それに対する答弁があったという事実は、これは御存じでございましょうか。
  62. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 承知いたしております。
  63. 松井誠

    ○松井(誠)委員 全体的な調査というものが、あるいはそのような理由で困難だということもあり得るかもしれませんが、しかし、その中に述べられておるきわめて具体的な事実につきましては、私はそれと同じような事情があろうとは考えられない。たとえばあの三宅坂のところで青山学院の講師の人が行きずりの警察官に乱暴を受けて負傷をしたという事実がございまして、そのことを質問されておりますけれども、その点についてその後の調査はどのようになっておるか、お伺いをいたしたいと思います。
  64. 倉井潔

    ○倉井説明員 三宅坂の事件につきましては、当日、人殺しというような大きな声で叫んだ人があって、その人が警察官の制止によってけがされたという事実だと思いますが、これにつきましては、その後詳細に警視庁側で調査いたしたのでありまして、まことに遺憾な点はあったのでありまして、その点は比較的明確にはなったのでありますけれども、ほかの個々の事件との関連において、ただいま長官から答弁がありましたような全般的な問題として、警視庁としては措置したいという方針で、その事件に関する措置は留保しているというふうに聞いております。
  65. 松井誠

    ○松井(誠)委員 そうすると、全般的にお尋ねをいたしますけれども、具体的に部分的に明瞭になった事案でありましても、それが全体の取り扱いが根本的にきまるまでは、行政上の処分その他のことは一切やらないという、そういう御方針でございますか。
  66. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいま倉井課長から申し上げましたように、六月十五日の事件は非常に大きく取り上げられておりますし、告訴、告発もなされまして第三者の公正な判断を待っているという状況でございますので、そういうものを全部勘案した上で措置するのが妥当であるという警視庁の見解でございます。
  67. 松井誠

    ○松井(誠)委員 そうすると、今の具体的な事実につきまして、これは刑事捜査の面ではなくて、警察庁や警視庁が行政上の必要があっておそらくお調べにもなったと思いますけれども、それについてどういう具体的な事実が判明をしたか、そのことについて一つお答えを願いたいと思います。
  68. 倉井潔

    ○倉井説明員 ただいま私が答弁いたしましたことと大体同じことなのでありますが、当日の例の大きな事件の直後だったと思いますが、三宅坂におきまして、二、三人の人々がおりまして、その人々のうちの一人が特殊なアクセントで人殺しというようなことで、その現場付近におりました警察官の集団に向かってそういうような発言がありまして、それに対する警察官が制止行為をやった過程におきまして負傷があったということであります、事実は。その後大学、あれは青山学院であったかと存じますが、病院に見舞を申し上げましていろいろと実情を聴取したりなんかしたのでありまして、まあその事件につきましては、やはり何と申しましても若干の行き過ぎがあったのではないかというふうな判断を警視庁としてもしておるように聞いております。
  69. 松井誠

    ○松井(誠)委員 今のお話ですと、何か制止の過程で傷を受けたというような表現でございまして、多少遺憾の点があったという評価でございますけれども、これは幾ら控え目にその評価をいたしましても、とうていそういう言葉で表わせられるようなものでは実はないと思うんです。もしこのような明々白々な事実を、やはり今言ったような程度の事実しか認定できない。そして今言ったような程度の評価しかできないということになりますと、私が先ほど申し上げましたように警察一家といういやな言葉をどうしても連想せざるを得ない。ですからもう少しはっきり、おそらくはもう事実はおわかりになっておると思いますけれども、それを警視庁がおわかりになった範囲でもう少し具体的にお答えをいただけませんか。
  70. 倉井潔

    ○倉井説明員 ただいままでのところ、私どもに報告がありましたのは、ただいま私が答弁申し上げた程度でございます。
  71. 松井誠

    ○松井(誠)委員 それじゃその現場に居合わした警察官の氏名なども、これはすでに答弁書でも名前が出ておりますが、ここに出ておりまする名前がやはりその通り間違いございませんでしょうか。
  72. 倉井潔

    ○倉井説明員 ちょっと今私、名前を忘れておりますが、答弁通りだろうと思います。
  73. 松井誠

    ○松井(誠)委員 それではその当時デモ隊だけではなくて、今申し上げました人々の例も、これはデモ隊と全く関係のない、少なくともデモの集団とは全く別個の行動をとっておった二名の人に対する暴行なんです。  それからその当時いろいろ問題になりました報道陣に対するいろいろな職権乱用というものが問題になりましたけれども、そのことにつきまして二、三お伺いをいたしたいと思います。これはもうラジオでも放送され、それが録音されてソノラマになっておりますので、これもきわめて顕著な事例であろうと思いますけれども、あの当夜ラジオ関東の島というアナウンサーが放送をしている最中に首を締められ、なぐられてけがをしたということがやはり質問書に載っておりますけれども、それに対する答弁書の答弁というものは非常にあいまいでございますが、この事件に対するその後の調査の結果はどのようなことになりましたか。
  74. 倉井潔

    ○倉井説明員 当時の放送、報道陣に対する暴行があったという事実につきましては、私あったということに対する抗議があったということにつきましては記憶があるのでありますが、その後、その点につきましてこまかくどういうふうに調存したかということについては、私まだ聞いておりません。警視庁側では十分な調査は遂げていると思います。
  75. 松井誠

    ○松井(誠)委員 警視庁の人はいないですか。
  76. 濱田幸雄

    濱田委員長 警視総監は、御承知通り陛下が羽田の方にお出かけになられる関係で出られない、そういう事情があります。
  77. 松井誠

    ○松井(誠)委員 今までの職権乱用の事例でございますと、これは刑事事件で被疑者を調べているというような場合、いわば密室の中におけるそういう犯罪という、立証に非常に困難な場合は別といたしまして、衆目が見ておる前においての職権乱用さえもが、その処分の結果が非常にあいまいになっておる。しかし今度の場合には、このような具体的な文書としてすでに残っておりますし、ことに先ほど申し上げましたように、あの当時繰り返し放送された録音までがあるという、このようなきわめて顕著な例があるわけでございます。その点につきましてまだ二、三実はお伺いをいたしたいのがございます。それでこういうことをお伺いすることによりまして、ほんとうに警察当局としてはいわば逃げ場のない具体的なこういう事案について、どれだけのことを調査をされて、どうしてそれをどのようにこれから処理をされるのかということに私は重要な関心を持っておるわけです。しかし今お聞きをいたしますと、肝心の警視庁の方がお見えになっておりません。まあ審議を促進する意味であらかじめ申し上げますけれども、実はこの六・一五事件のほかに、さきのなまなましい事件としての新島のミサイル基地におけるいろいろな問題もあわせてお伺いをしたいと思っておりますので、それらのこともこの次には御答弁いただけることを期待いたしまして、きょうは一つこの程度で一応終わります。
  78. 濱田幸雄

    濱田委員長 次回の委員会において本案に関する質疑を継続することとして、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十八分散会