○
宇野委員 今
長官の答えられた
通り、まことに
警察官の権限というものは、私もこの間申し上げました
通りに、両刃の剣と申しましょうか、弱過ぎれば
犯罪予防の役に立たないし、強過ぎれば
人権じゅうりんのおそれあり、その運用の妙にかかっておるということでございますが、結論は、やはりこうした
法律が出て、
警察はそんなことはやらないのだという民主主義
警察に対する
国民の信頼があるかないかということで、こうした
法律が
ほんとうにうまく適用されるか適用されないかということにかかってこようと思います。しかし往々にいたしまして、こういう
刃物を抜きにいたしまして、ついこの間も、大阪の方面で犯人でもない女の人を長らく
警察に引っぱって非常に
人権じゅうりんをやったというようなことも
新聞に載っておったのでありますが、ああいうようなことがありますと、やはり世間の人は、今度こういう
法律ができてまた
自分の
所持品まで調べるようなことになるのではないかと、
警職法のときに宣伝されたようなことを一部においては相当
心配する人もなきにもあらずだと私は思います。しかし、あやまちは人間でありますからあることだと思いますが、ああいうあやまちが、報ぜられるごとく
ほんとうであったという場合には、やはり
警官にはそういうあやまちを犯してはいけないという忠告を日ごろしておったにもかかわらず、いろいろ事情があったのか、現にあやまちを犯し現に
人権じゅうりんしておることは確かだ、だから
警察はこういう処分をいたしましたということをやはり
一般社会が知るように、これから明らかにしていく。
警察としても責任を持っておりますよ、
国民に対して
警官には
任意調査権がありますが、それに対してはわれわれとしても責任を持っておりますよということをやはり
国民に明らかにしていけば、
国民も、そこまで責任を持っていらっしゃるのだからという、
警察に対する信頼感が高まってこようと私は思いますが、今まで概して、不幸にして
警官がいろいろ判定上あやまちを犯したという場面について、いわゆる
警察官が間違いをやった、けしからぬじゃないかということだけが
新聞に載って、あとでこういう処分がなされたということが少しも載らない。こういう面に対しては、やはり今後こういう
幾つかの
国民の間に浸透していく
警察法規の運用にあたっては十分お考えを願いたいと思うのでありますが、一つその点を今後とも真剣にお考えになって、万一
人権じゅうりんがあった場合には、処分すべき
巡査は処分していくということをはっきりしていただきたいと思います。そうすれば
国民だって安心して、こういう
法律を通じて
警察を信頼することができると私は思います。
最後に、これは
公安委員長に対して将来の希望でありますが、もちろんこうした
法律は、私
たちから考えるならばない方がよろしいけれども、こうした
法律が出ざるを得ないというのが今日の社会的な
状況なんです。しかも今日現存する
現行法でもってはなかなかむずかしいからこういう
法律を出したのだ。これに対しましては、この
法案がここに提出されましたところの
意図に対しましては、初めから申し上げております
通り了といたしております。しかし、われわれから考えるならば、あくまでこの
法律は、言うなれば過渡的のものであって、永久無限に続くものではない。日
本人の良識が非常に発達して諸外国のごとくに、むしろピストルを持っていてもよろしい、
刃物を持ってもよろしい、しかしその取り扱いはこうですよというような良識を持って、むしろ大っぴらに持たしておるという国もたくさんあって、しかもそういう国では
犯罪が起こっておらぬというところもたくさんあるわけでありますから、将来はそういう方向に持っていくことが必要だと思います。そういう
意味から申しますと、日本の今日のこうした
法律は、言うなれば潜在性のある
法律である。しかしやはり
国民の一部においては、持つべきものを、八センチ以上は持っていけないとか、五センチ五ミリがいかぬとか、何とかかんとかということは、これは一つの自由を拘束しているわけです。自由を拘束していることは間違いございません。本来ならばどんなものを持ってもいいのですから。しかしこういう
法律があるならば、これは社会情勢の上から見るならば潜在性を帯びている
法律ですが、これは諸外国並みに将来はうんと一つ潜在性の反対の
言葉の顕在性と申しますか、顕在性の方向へ持っていくことが必要である。これがためにはこの
法律が過渡的であって、しかも非常に信頼されて、同時に効果を上げなければいけない。こういうふうに思うのでございますが、それについても大体この
法律を執行し実施したならばこれだけの効果があるんだということについての
長官に強いお気持があって、初めてこの
法案がここに出されたと思いまするから、一つそれを
お答え願いますと同時に、かつ、こういう
犯罪が、それは
お互いの経済だとかそのほかの部面とはおよそ
意味は違いまするけれども、たとえば経済においては所得は十年たてば倍になるのだぞという一つの計画性があると同様に、やはり国警といたしましても、こういう
法律を出したならば必ずやこういう
犯罪はだんだん減っていくという指数があるだろうと私は思うのです。それに対して一つ
公安委員長から、将来のお覚悟なり、これを出された決意をお伺いしておきたいと思います。