○門司
委員 私は今
議題になっております
地方税の
改正政府原案に
反対いたしまして、社会党
提出の
修正案に
賛成をするものでございます。
以下簡単に理由を申し上げたいと思いますが、ただいま与党からの御
発言の中に、社会党の
修正案については、
減税を非常に含んでおるので、すでに予算の通過したあといかんともしがたいというような抽象的の議論がごさいました。私は、このことは非常に大きな問題をはらんでおると思います。
政府に誠意があるならば、当然この税法
改正案を早く出して、予算審議と並立して審議するというような建前をとることこそが私は大事なことであると思うが、
政府が
提出を非常におくらかしておる。しかもそのおくれた理由というのは、理由にならない理由である。料理屋のおかみさんか何かにおどかされて、もたもたして一月も一月半もおくれて出してくるということでは、私は与党のただいまの態度はきわめて不満であります。これは当局も、われわれといたしましても、十分審議をする上におきましては、時期を一つ考えてもらいたい。このことは単に予算
修正だけではございませんで、たとえば関連性を持っておりまする揮発油税がすでに衆議院を通過しておる。その余波を受けて参りまする道路譲与税あるいはそれに関連する
軽油引取税というようなものは、すでに本税が通っておるのである。それと
均衡してどうしても見なければならない非常に理論的の根拠を持っておるものが、片っ方は先に通ってしまって、あとから出されたのでは、
修正のしようも非常に困難だと思う。私は、その点についてのただいまの
賛成意見につきましては、きわめて不満を持っておることを一言申し上げておきたいと思います。
その次に問題になりますのは、
地方税法を
改正をするという
趣旨の問題でありますが、今度の税法
改正を見て参りますると、単に
地方税というワクの中だけでこれがかげんされただけでありまして、
地方財政については何らの効果をもたらすものではないということに私は非常に不満を持っております。それはどこにあるかということである。
地方税の中で一つの大きな課題でありました、従来
地方制度調査会でもしばしば
政府に勧告をいたしておりまするたばこ消費税にはどうして手をつけなかったかということであります。国と
地方との財源配分
関係を考慮して、
地方財政を健全に導こうとする一つの大きな手がかりはここにあるのであります。いわゆる国庫納金として大部分を
政府の予算の中に繰り入れておりまするたばこ消費税を引き揚げることこそが、その分だけ
地方の
財政にプラスするのであって、
地方税制の中だけで
改正が行なわれたということについては、
地方の自治体の立場に立ちましても、私はきわめて遺憾の意を表せざるを得ない。
税制改正をするならば、やはりここまで一つ手をつけていただきたかったということを申し上げておきたい。
それからその次に問題になりますのは、審議の過程でありますが、御承知のように
地方税自身というものは一つの法律であることには間違いありません。しかし、
地方税の中に包含されておりまして、ことに今回の
税制改正によって
影響を受けますのは
住民税、
事業税、
娯楽施設利用税、道路譲与税、
軽油引取税、
自動車税、
電気ガス税、
固定資産税あるいは
遊興飲食税等約十数種にわたるたくさんな税種に上っております。この税種をかりに独立の一つ一つの税法であるといたしまするならば、こういう短かい時間に上がるはずはないのであります。一つの税種をとらえて考えましても、おそらく相当な審議をしなければならないと考えます。しかし法律の建前は一応こういう
地方税法という一つの税法になって出てきております
関係から、これが一括されて審議されることもやむを得ないことである。従って審議は十分に尽くされたかのように小
委員長の
報告も行なわれ、また今までの
理事会その他でもいろいろ議論はございましたが、実質的の審議というものを一つ一つの
課税種目に当ててみますときわめてわずかな時間であります。
私は、税金が国民の義務であって、国民はどうしてもそれを
負担しなければならない、そうして国民に対しては一つの大きな国家権力の作用をいたすものであるということを考えますと、税法の審議はできるだけ時間をかけて、そうして国民が理解し納得のいくような線にこれを持っていきたい。私はこのことはさっきも申し上げましたように提案の非常におくれたということと同時に、審議はまだ十分に尽くされておらない。ことに遺憾なのは、社会党からせっかく出て参りましたこの
修正案が、何ら審議をされないまま、ただ形式的に
説明があって、御
質疑はございませんかという
程度であって、一体議員の持っております提案権や国民に対する義務をどう考えておるかということであります。やはり
政府の諸君は早く通して、そうしてできれば五月一日から
徴税がしたいという意向があったことも事実であり、またそういうことであると私は考えます。しかし、このこともさかのぼって考えますれば、あげて
政府の責任である。だからといって審議をおろそかにすることは大きな誤りであると考えます。この点については一つ特に将来の問題としても注意すべきではないかと考えております。
それから、さらに個々の税種目について一々
意見を申し上げておりますと非常に長くなろうかと思いますので、私は個々の問題については議論をすることをできるだけ避けたいと思いますが、
住民税にいたしましても、先ほどから
太田委員からも
説明がございましたように、あるいは
事業税もともに考えなければならないことであります。同じような業態で、しかも業態としては弱いと考えられる
白色の申告をする諸君に対する
課税が無慈悲と言っていいほど過酷ではないか。小さい力の弱い業者に比較的重い税金をかけて、
青色申告のでき得る業者、それが不可能なと申しますか、できにくい小さな業者に対して比較的恩典を与えていないという
ところに私は大きな不満があると思います。この点については
地方税でありますから、ことに
地方税は、御承知のように
地方税の持つ性格というものが
国税とは違いまして、いわゆる
日本の全体の経済の上からくる見方とは違って、地域社会における、ことに
住民感情の中で同じ公共体の中にある最も親近感を持つ税であります限りにおいては、できるだけ
住民感情の融和という
ところに
税制のポイントというものを置くべきだ。
税制がきわめて不満であるという形をとって参りますと、それ自体が直ちに行政に響くのであります。国政に響くということは非常に遠いのでありますが、ことに
市町村税などは身近な問題でありますから、税の不
均衡は直ちに響く。従ってこういう点については十分配慮さるべきではなかったかと考えるのであります。
その他
電気税、
ガス税について
政府は
免税点を設けて、かなり
政府としては自慢だ——と言えば怒られるかもしれませんが、ある
程度の自信を持って御
説明等もございまして、
要望にこたえた点もございますが、その点について考えなければなりませんのは、これを今日の
電気料金に対する税のかけ方でなくして、
課税の方法はやはり従量制にこれをこの際改むる必要はなかったか。
電気をたくさん使った人がたくさん税金を支払うということが消費税としての本質であると思う。ただ料金によって税金をかけるということになると、今日の
電気料金は定額者は割合に高くなっておるということは事実でございます。同時にたくさん使っておいでになる方は、かなり多く割引があって安く使われておることも事案でございます。従ってこれを従量制に改めることは税の
負担の公平から考えても私は正しいと思う。この点
徴税技術の上にめんどうであろうかということは私も知っておる。しかし
徴税がめんどうであるからといって不
均衡な
税制であってはならないと思う。この点については、今度
電気ガス税について
免税点が設けられたということは一応の進歩のように考えられますが、私はもう一段これは考えるべきではなかったかと考えると同時に、
非課税を
整理する
整理すると言いながら、今度の税法を見て参りますと、
整理されたのは三つか五つであって、
非課税になったものが十幾つというように逆にふえておる結果を来たしておる。これは私は必ずしも
電気ガス税を創設したときのいきさつから考えて
賛成するわけには参りません。
それからさらに問題になって参りますのは
固定資産税の問題であります。
固定資産税の問題については、特に農村の
固定資産税であります。これを
町村財政と関連をして申し上げて参りますと議論もあろうかと思いますが、しかし、
農民の持っております農地というものは、土地自身についてはなるほど借金をすときの抵当になりますから財産であることには間違いはない。しかし、土地自身が多くの収入を生むわけではございません。これは土地の上に
農民が汗を流し、あぶらを流して耕して、肥培管理をして初めて収益があるのであって、一つの生産手段にすぎない。これが土地としての価値があるからということで考慮されないで今の経度で税金をかけておる
ところに無煙がありはしないかと考える。従ってこの農村の
固定資産税につきましては、やはり特段の配慮をさるべきである。この点については社会党の
修正案はよくできておると考える。そういう面を考えて参りますと、さらに
固定資産税あるいは
事業税等の問題について、営利的事業を行なわないいわゆる協同組合その他に利益があれば税金をかけるということは、私はあまりいいものの
考え方ではないと思います。現実的にはそういうことが言えるかもしれない。しかし、協同組合自体を
発展させ、助長させていこうとすると同時に、定款には利潤は必ず利用度によって本人に配分さるべきものであるということはいずれの協同組合においても考えられておることであって、その利潤を営利
会社と同じような形で配当するというような形になっておらない。利用者にこれを還元することになっておるということを考えて参りますと、これを営利事業のような形にすることは誤りではないかというふうに考えるわけであります。
さらに
遊興飲食税に至りましては、名前を変えたということについては先ほ
ども御
意見がありましたから申し上げませんが、どうもすっきりしない問題であります。これはあくまでも
遊興飲食税でよかったと私は考えております。この点についても
原案に
賛成するわけには参りません。
以上はきわめて簡単でございましたが、概括的に
政府原案に
反対する理由を申し上げ、そうして社会党から出されております
修正案は、この間のあやまちを最小
限度にとどめることに最大の努力がされておると私は考える。従って納税を行なう者の立場あるいは税の
負担の
均衡というようなことを考えて参りますと、社会党の
修正案に
賛成の意を表し、
政府原案には重ねて
反対の意を表する次第であります。(
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