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1961-04-18 第38回国会 衆議院 地方行政委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年四月十八日(火曜日)    午前十一時四分開議  出席委員    委員長 濱田 幸雄君    理事 金子 岩三君 理事 田中 榮一君    理事 丹羽喬四郎君 理事 吉田 重延君    理事 太田 一夫君 理事 川村 継義君    理事 阪上安太郎君       宇野 宗佑君    小澤 太郎君       大澤 雄一君    亀岡 高夫君       久保田円次君    前田 義雄君       安宅 常彦君    佐野 憲治君       二宮 武夫君    松井  誠君       山口 鶴男君    門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         大蔵事務官         (理財局長)  西原 直廉君         自治政務次官  渡海元三郎君         自治事務官         (行政局長)  藤井 貞夫君         自治事務官         (財政局長)  奧野 誠亮君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   高柳 忠夫君         大蔵事務官         (理財局総務課         長)      亀徳 正之君         大蔵事務官         (理財局外債課         長)      櫻井 芳雄君         自治事務官         (財政局財政課         長)      松島 五郎君         自治事務官         (財政局理財課         長)     佐々木喜久治君         自治事務官         (財政局財政再         建課長)    茨木  広君         専  門  員 圓地與四松君 四月十八日  委員亀岡高夫君辞任につき、その補欠として内  藤隆君が議長指名委員に選任された。 同日  委員内藤隆辞任につき、その補欠として亀岡  高夫君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月十七日  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一八五号)(予) 同月十五日  地方公務員退職年金制度に関する請願(石山  權作君紹介)(第二五五八号)  長野県軽井沢町に国際親善交歓センター設置の  起債に関する請願原茂紹介)(第二五八八  号)  同(増田甲子七君紹介)(第二六六八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  後進地域開発に関する公共事業に係る国の負  担割合の特例に関する法律案内閣提出第一三  七号)  地方交付税法及び地方財政法の一部を改正する  法律案内閣提出第一五五号)  地方財政法の一部を改正する法律案内閣提出  第一五八号)      ————◇—————
  2. 濱田幸雄

    濱田委員長 これより会議を開きます。  参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、ただいま審議中の地方税法の一部を改正する法律案について参考人より意見を聴取することとし、参考人の人選、意見を聴取する日時等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、いかがでございましょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 濱田幸雄

    濱田委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。     —————————————
  4. 濱田幸雄

    濱田委員長 後進地域開発に関する公共事業に係る国の負担割合特例に関する法律案地方交付税法及び地方財政法の一部を改正する法律案並びに地方財政法の一部を改正する法律案、以上の三案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。川村継義君。
  5. 川村継義

    川村(継)委員 私は、地方財政法の一部を改正する法律案関係をしてお尋ねをいたしたいと思います。  この前の委員会で、この地方財政法の一部を改正する法律案が、大蔵委員会に提出されております大阪港及び堺港のあの外債の問題について関係があると思われましたので、実はそういう問題についてよくわかりませんので、お聞きをしたわけでありますが、ちょうどお尋ねしておるのが中途半端になりましたので、きょうはしばらく時間をいただいて、残りの二、三点についてお尋ねをしておきたいと思います。  この前の委員会大蔵省資料を求めておきましたが、きょう資料を出していただきました。それをちょっと見たのでありますが、私がお聞きしたいと思っております重点は、大阪、堺港、こういうところで外貨による地方債を起こそうとしておる。そういうような地方債を認めることが一体いいか悪いかという点が非常に心にかかっておりますから、実はお聞きをしているわけであります。  そこで、まず大蔵省にお聞きいたしますけれども、この大阪、堺の外貨地方債証券特別措置については、この前大体内容については承ったのでありますが、この前の理財局長お話によりますと、まあマルクはだんだん下がりつつあるし、大阪、堺が起こそうとしておる外債についても、大体六分程度でいけるんじゃないかというようなお話等があったわけがあります。ところが、この辺ももう少しわれわれが納得するように御説明していただきたいと思いますのは、今マルクは、日本円で八十五円七十二銭かであったと思います。ところが、数日前の新聞か何かの報道によりますと、ドイツマルク切り上げられるというようなことが出ております。その切り上げられた場合、一体幾らになるかよく存じませんが、私の方では九十円余りに上がるのではないかというようなことを聞いておりますが、第一に、ドイツ幾らぐらいに今度マルクが切り上がったのか、切り上げようとしておるのか。第二に、このマルクが切り上がった場合に与える影響というものはどうなってくるのか。第三点は、そういう場合に、この地方債外貨で求めるというようなことが、将来何か大きな影響というものが生ずるかどうか。その辺のところをちょっと御説明願いたいと思います。
  6. 西原直廉

    西原政府委員 西独におきましては、ただいまお尋ねがございましたように、去る三月六日に、すでに約五%、マルク切り上げを実行いたしました。これは米国のいわゆるドル防衛政策というものに協力いたしまして、国際収支の均衡と国内景気加熱抑制というこの二つ目的を達成するために行なったものでございます。レート関係で申し上げますと、今お話がございましたように、対円のレートは一マルク八十五円七十二銭でございまして、これを大体九十円に切り上げたわけでございます。お話がございましたように、マルク切り上げとかという問題は非常に注意をしなければならない問題でございます。今後一体マルクの再切り上げがあるのかどうかということについては、西独政府経済関係当局では再引き上げは行なわないということを言明しておりますので、その懸念はないと思うのでございます。これがもしマルクの再切り上げが行なわれました場合には、本件の外債発行前にそれがあるとすれば、ドイツマルク債から受け取る円価額は、予定されたものよりもふえるというだけのことになりますので、特に問題ございませんけれども、外債発行後に行なわれるということになると、やはり元本償還のために外債発行によって調達した円価額を上回る円価額を利払いのために予定しなければならぬということになりますので、今お話しのようにそういう点が外債に及ぼす影響としては一番注意しなければならない点でございます。従いまして、マルクの再切り上げという懸念はないと思いますし、先般参りましたドイツ銀行アプス頭取も、そういう懸念はないのだということを言明しておられます。今後私どもとしてもマルクの動向は十分注意いたしまして、マルク債発行の時期を調整していきたいというふうに考えております。
  7. 川村継義

    川村(継)委員 専門家の見方としては、やはりいろいろ意見があると思います。皆さん方はこれをどう見ておられるか存じませんが、もちろんドイツ人たちは再び切り上げるということはないと言っておる。しかしこれはやはりアメリカのドルとの関係世界金融の動き、そういうことによっては初めからないと保証するものは私はないのじゃないか。あるとなると、やはり外債発行された後にくるに違いないということを考えますと、どんなことがあっても全くないのだということにはならない。そういう点からも一つの心配が出てくるわけでありますが、それはそれとして、こういうような多額の金でありますから、日本国内にこの調達資金が豊富にないということはわれわれもわかります。外国からこういう金を持ってくるということはそれだけ助かるというような考え方も成り立つと思いますけれども、国なりあるいは電源開発等関係のものが仕事をやるという関係でやるならわかります。しかし、大阪のそういう工場敷地造成をしたり、港湾の修築をしたり、こういう事業計画を進める上において相当の資金が要るということはわかりますけれども、どうして外債に仰がなければならぬのであろうか、一体日本にはそういう金の出しどころはないのだろうかと思われてならぬのです。やはりこれはどうしても外国の金を持ってきて大阪や堺がやらなければ、日本国内には全然そういう手だて、見通しというものはないのでございますか。大蔵省が何か思い切ってこういうような資金手当をすれば、できないこともないのじゃありませんか、どうでしょう。
  8. 西原直廉

    西原政府委員 この大阪港と堺港の借款は、全体といたしまして千百四十億という非常に大きな金額の要るものでございます。そのうちいろんなものについては、いろんな関係での資金手当のできる面もございますけれども、やはり相当巨額のものは外部資金調達に仰がなければならない。一応この計画が立てられておりますが、その総合計画によりますと、約三百六十億円に相当するものは外部からの借入金によらなければならない、こういうことになっております。これだけの資金調達ということをまとめてやる、しかもそれを相当早くに完成する。またその方がいい性格のものでございますので、そういう場合には、どうしてもこういう所要資金外債によって調達するということが一番手っとり早いと申しますか、それ以外にこうまとまって資金調達するということは非常にむずかしいわけであります。そういうようなことで、外債所要資金調達するという計画になったものと思います。
  9. 川村継義

    川村(継)委員 けさほどいただきました資料で、いろいろこれまで政府の方で地方債や社債を承継をして始末をした資料等も見せてもらったわけであります。それらについて一々こまかにお聞きする必要もないと思いますが、東京都の仏貨債につきましても、大体の始末がこれに書いてありますのでよくわかったわけですけれども、ただ、大蔵省から出ておりました外貨処理資料の中に、東京市の仏貨公債訴訟問題が昭和十四年に最終的和協協定を締結したということが書いてありました。ところが、また同じような資料によりますと、たくさんの外債を国が承継をして始末をしておりますけれども、その中には全然そのような始末ができていなくて未償還になっておる金額もあるようであります。その中には、米貨もあれば英貨もあれば仏貨もある。こういう資料を私見ているわけでありますが、その中の先ほど申し上げました東京仏貨公債訴訟問題が昭和十四年に最終的和協協定を締結したと書いてありますあとに、その事情については省略すると述べております。その事情については省略するというその辺の事情が、この今日いただいた資料に解説してあるような内容になってきているのでございますか。
  10. 西原直廉

    西原政府委員 一応、ただいまお話のございました東京都の仏貨公債につきましては、昭和十四年に和協が成立したわけでございますが、第二次世界大戦のために、昭和十五年九月一日のこの和協協定書の実施が不可能になりました。そして終戦後、平和条約の発効まで履行不能のままの状態が続いたのであります。そういうようなことでやはり問題がございまして、昨年の四月に、世界銀行の総裁のブラックさんに結局調停をお願いいたしまして、この調停の線に沿いまして、最近日仏当局間で和協が成立したわけでございます。
  11. 川村継義

    川村(継)委員 余分なことを聞くようですけれども、この東京フランス債政府保証はなかったのでございますか。
  12. 西原直廉

    西原政府委員 この東京都の仏貨債につきましては、政府保証はございません。
  13. 川村継義

    川村(継)委員 奥野財政局長にちょっとお聞きしておきたいと思いますが、大阪や堺のこういう外貨による地方債を起こすということについては、自治省としてはどういう見解を持っておられるのか、大蔵省理財局長お話のように、大きな資金調達のことであるからやむを得ない、われわれも歓迎するというような見解なのか、あるいは将来大きな問題が派生した場合のことを考えると、なかなかそうやすやすとこういう措置を認めるわけにいかないということになるのか、御見解一つ聞かせていただきたいと思います。もちろんあなたの方は、それに伴って財政法の一部改正を出しておられるから、おそらく賛成の考え方を出しておられると思いますけれども、これはやはりその場の立場でなくて、将来の問題等を考えて御意見を聞かしてもらいたいと思います。
  14. 奧野誠亮

    奥野政府委員 地方団体といたしまして、できるだけ有利な条件資金を確保したいという考え方一つございます。それともう一つは、事業進捗度に見合うように資金を確保していきたいという考え方があるわけでございます。二つながら満たすために外債によることが適当だ、こういうように考えられます場合には、積極的に外債資金を確保するということがよいのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  15. 川村継義

    川村(継)委員 これは地方財政法でこうして認めていく——地方財政法改正には外貨債なんということは書いてないけれども、今度は国内のことを考えると、必ずしも外貨債でなくても、地方団体が幾つかで寄り集まって起債を起こすというようなことが生ずるおそれはありませんか。というのは、非常に力の弱いところにあなたたちの方では起債制限しておる。なるたけ将来負担にならないように起債を押えよう押えようとなさっておる。ある団体は思うような起債ができないので、どこか力の強いところと一緒になって起債を起こすというようなことも生ずると思うのですが、その点はいかがですか。
  16. 奧野誠亮

    奥野政府委員 お話しのように、信用力の乏しい団体信用力の強い団体の力を得まして有利に地方債発行できるという場合には、その道を選ばせるべきではないかというように考えておるわけでございます。具体的に申し上げますと、たとえば茨城県と勝田市が一部事務組合を作って、あるいは栃木県と宇都宮市が一部事務組合を作って、そして土地開発仕事をやっておるわけでございます。その場合に、交付公債土地の買収をしていきます場合に、勝田市とか宇都宮市とかいう名前地方債発行する、あるいは一部事務組合名前地方債発行する、それよりも栃木県なり茨城県なりが加わりまして、栃木県と宇都宮市あるいは茨城県と勝田市というような連名の交付公債でありました場合には、それだけ信用力も大きいわけでございますので、土地の提供を得たいと思います場合にもその仕事が円滑にいくのじゃなかろうか、こういうように存じておるわけでございます。今回の地方財政法改正は、直接的にはこの外債の問題から起こったわけでございますけれども、あわせましてそういう問題の解決にも資するわけでございますので、積極的に地方財政法改正したい、かように考えておるわけでございます。
  17. 川村継義

    川村(継)委員 それでは、今の地方団体二つなり三つなり合わせてやるということは、積極的に認めていこうという方針でございますね。
  18. 奧野誠亮

    奥野政府委員 そういうように考えています。
  19. 川村継義

    川村(継)委員 ということは、甲の地方団体地方債をあまり大きくしょい込むと財政運営上非常に因る。しかし、お隣の地方団体は力があるから、一緒になって共同の責任でその償還等も見ていくということになれば、それだけいいのじゃないか、こういう考え方に立っておられるわけですね。
  20. 奧野誠亮

    奥野政府委員 起債の形といたしましては、それぞれの団体にそれぞれの部分を許可するわけでございますけれども、自余の部分につきましては、共同発行の場合にはお互いに債務を保証し合う、こういう形になるのではないか、かように考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、できるだけ有利な条件資金を確保できるようにすべきではないだろうか、こういうような考え方に立っておるわけでござまして、共同発行の方が有利な条件資金確保ができますならば、それはそういう方法を選んでよろしいのではないだろうか、かように考えておるわけでございます。
  21. 川村継義

    川村(継)委員 その方針は、この後そういう形をとっていくことにあなたたちの方は指導なさろうという考え方でございますか。それは、そういうような起債の事例に即してやはり検討を加えていって、無制限——制限という言葉は語弊がありますけれども、起債の許可についてはそういう方向が望ましい、そういう方針を立てておられるわけでありますか。
  22. 奧野誠亮

    奥野政府委員 多くの仕事を進めていきます場合に、単一の地方団体で行ないますよりも、むしろ広域的に処理した方が効率的に運べるという問題が大きくなってきておるのであります。あるいはいろいろな行政、あるいは公営企業、こういうものを広域処理方向処理をしていく、こういう方式は積極的に進めていきたいと考えております。その場合の資金確保は、別にあえて共同発行を勧めるという考え方はございません。ただ共同発行方式をとった場合に、資金がより有利に確保できるのだ、そういう場合にはその方がもちろんけっこうなことだ、かように考えておるわけであります。
  23. 川村継義

    川村(継)委員 大阪、堺でこのような外貨地方債が認められるということになりますと、同様なことがほかの地域に起こるという可能性はありませんか、ありますか。
  24. 奧野誠亮

    奥野政府委員 外債資金を確保したいというような希望の出てくる団体はあると考えております。また有利に資金を大量に確保できるというような目途がついて参りますならば、私たちとしてはそういう方向に協力をしたいという気持を持っておるわけでございます。
  25. 川村継義

    川村(継)委員 理財局長、この前大蔵大臣は、外債のことだからその簡単にいけるものではないというような発言がありましたが、あなたの方でも、今、自治省財政局長が言っておられるように、大阪、堺と同じように、他の地域でもこういう外債地方債を起こしたいということがあり得るだろうというふうにお考えでございますか。またその場合には、これはやはり認めてやらなければいかぬというふうに考えておられるのか、これをちょっと聞かしていただきたい。
  26. 西原直廉

    西原政府委員 今度の大阪府、市の外債がどういうふうに進むかという結果によりましては、ただいま奥野さんから御説明がございましたように、他の地方公共団体でも、あるいは外債を起こしたいというようなことを考えられる向きもあるのではないかというふうに想像されるわけであります。その場合には、やはり発行目的事業が一体時宜を得た適切なものかどうか、そういうような点をよく検討いたしまして、私の方としては具体的なケースについて考えるということにいたしたいと思います。
  27. 川村継義

    川村(継)委員 大阪、堺に一応こういう形で認められておるならば、たとえば東京とか千葉、こういうところの団体が同じような申し出をしたときに、あなたの方から断わるというわけにいかないと思う。特に東京千葉にかけてはものすごい工場敷地造成、そのほか各般の事業が進められる状況にありますから、おそらく許可しなければならぬだろうとわれわれとしても思います。ところが、そういうときに、政府保証というものが重なっていく。これが何年かいったときにどういうような移り変わりがあるかわからない。そういうことなど考えると、地方団体がはたしてそれにたえ得るかどうか。もちろん政府保証があっても、そういう点など懸念するわけですけれども、それらは、あまり十五年、二十年先のことを気に病んでもしょうがないかもしれませんが、そういう団体から申し出があったときには、大蔵省としても同様の措置をとっていきたい、こう考えておられるとわれわれは認識しておいてよろしゅうございましょうね。
  28. 西原直廉

    西原政府委員 他の地方公共団体からも、お話のように、具体的な計画というものがあるいは出てくる場合もあるというふうに考えられますが、その場合、具体的に政府保証を行なうかどうかというようなことにつきましては、発行目的である事業が適切なものかどうか、あるいは政府保証が、その外債の消化の促進または発行条件をより有利にするというようなことに役立つのかどうか、外債自身が合理的な条件発行し得る可能性があるのかどうかという点も十分研究いたしまして、具体的なケースについて考え方なり方針をきめていくようにいたしたいというふうに考えております。
  29. 川村継義

    川村(継)委員 それじゃ最後に奥野局長に聞いておきますが、大阪及び堺港の事業計画についてここに資料をいただいておりますが、総額一千百十四億円、その中で外債によるものが三百五十八億円。これをちょっと読んだだけではぴんときませんが、この中でいわゆる地方債というものはどれくらい予定されておるわけでございますか。
  30. 奧野誠亮

    奥野政府委員 外債に相当する額でございます。
  31. 川村継義

    川村(継)委員 やはり三百五十八億ですね。実はこういう外貨債の問題や、あるいは今後社会の金融事情というものがどのように変化していくか、私のような者にはよくわかりませんが、今度の財政法の一部改正によって、日本の国の資金が十分投入できないというただ単なる理由でこういう形を数多く認めていくということについては、よほど気をつけなければならぬのじゃないかと、われわれは思われて仕方ありません。そういう点はやはり自治省は、ただ大蔵省の方から、こういうものをやるから財政法改正しろと言われたような印象を受けるような形で簡単にこういうものに対処しないように、一つ十分なる研究を私はお願いを申し上げたいと思うわけであります。われわれが大蔵委員会等でもう少しこういう点を専門的に研究して参りますと、もっともっと問題はあるかと思いますが、われわれは地方財政という観点から一言お聞きしておきたい、こういうことでお尋ねをいたしたわけであります。
  32. 濱田幸雄

  33. 安宅常彦

    安宅委員 私はきょう、地方交付税法改正の問題を中心に、非常にこまかくなるようなところまでいろいろ問題が提起されるかもしれませんが、ぜひお聞きをしたい、こういうことがありますので、各関係皆さんに御質問をしたいと思います。  まず第一番目に、私がどうしても納得がいかないのは、この地方交付税法改正案というものは、あっさりしたものに書いてありますが、その内容を読むと、いろいろ歴史的な過程から見てみますと、どうも地方自治独立性と申しますか、それが強調をされておるのが交付税法の第一条に明確に書いてあるにもかかわらず、本来国の事務に属しないものを処理するこの地方自治体の性格というものを国の隷属下に置いてしまって、地方交付税そのもの地方団体独立性を強化しない方向にいっておるのではないか。逆に言えば、この交付税の精神というものは、地方団体独立性を強化することを目的としておるものでありますから、本来はここにすべてを集中していくのが自治省方針であらねばならないと思うのであります。現在はこういうふうになっていると私は考えるのですが、この点は間違っているでしょうか、どうでしょうか、大臣に伺います。
  34. 安井謙

    安井国務大臣 今お話の御懸念のように、いわゆる大蔵省支配権を確立されるために、あるいはそういう示唆によって、何か都合のいいように直すという趣旨ではないのでございまして、やはりこの趣旨については、あくまでも地方財政の財源を確立するという趣旨から技術的な点について改正をいたそう、こういうつもりでございます。
  35. 安宅常彦

    安宅委員 技術的な問題で苦労しているというお話でありますが、私は基本的な問題を聞いておるのであります。では聞きますけれども、こういう問題で地方団体独立性を強調されないような方向について、これじゃいかぬというので、特にあなたなんかは、この交付税法改正その他の問題でも、地方財政計画でもそうでありましたが、大蔵省と相当激論をしたということをあなた自体が言っているのですから、そういうことをやったのじゃないか。それでこの間、たとえば大蔵大臣がこの委員会に出席をした。そのときに、自治省皆さんは、にこにこしながら、大蔵省やられているなというような顔をして聞いているわけですよ。そういうことで、結局皆さんがこうしなければならない、こうあらねばならないという要求が大蔵省から認められないままになって、非常に苦しい状態に自治省はあるのではないか。つまり独立性を強化するためにがんばったけれども、そこまではいかなかったが、結局地方自治体の行政水準が強化されていくという方針を全部果たせるような地方交付税の配分の方向にきているという確信があるのですか。
  36. 安井謙

    安井国務大臣 大蔵省は、各省の予算を査定もいたし、また全体の財源上各地方の要求を全部が全部うのみにすることができないのは御承知の通りであります。そういう意味におきまして、自治省といえども、大蔵省の主張あるいは自治省の主張の間に、予算編成の過程においていろいろな論争や議論があるのは、これは自治省に限らぬわけであります。しかしそのために、自治省が今非常に不満でどうにもならなかったというふうな結論になっているとは私ども思っておりません。
  37. 安宅常彦

    安宅委員 大蔵省のことばかり申し上げますと、大臣が気をよくするといけませんから……。たとえば都道府県知事が独自の政策というか、行政を行なえる分野は逐年減ってきている。特に再建団体なんかひどいものです。あなたの方でにらみをきかされて、締めつけられて、交付税にはいやしくも条件をつけたり、使途を制限したりしてはいけないということは明確になっているのに、はっきりはこう言わないかもしれませんけれども、あなたの方のにらみで、何でも自治省の言うことを聞かなければ地方自治団体は運営できないような性格になっている。交付税そのものがそういう性格になっておるということをあなたは気がついておらぬでしょう。
  38. 安井謙

    安井国務大臣 再建団体につきましては、御承知のようにこれは数年来非常に赤字団体もございましたし、自治体自体の力でこの赤字を克服するよりは、国がそれぞれ必要なる限度に応援をいたしましてやった方が、より早く赤字の状態から抜け切れるというようなこともありまして、いろいろ有効な助言や指導をいたしておることは事実でございますが、それはあくまで地方団体の健全な発達のためにその線に沿ってやっておるものであると私どもは確信をいたしております。また交付税の配分等につきましても、これは今の基準財政需要額と収入額との間の格差をいかにして埋めていくか、これは各団体に公平にそして最も有効に埋めていくというためには、何と申しましても自治省自体が一応この算定の基準を作る。また最も合理的な算定の基準を作って、それによって配分するということでなければ、つまみで配分するというわけには参りませんので、そういうことでむろん十分な基準の検討はいたしております。そのために地方の自治権を阻害するとか、あるいはそれを縛って中央の思うように引きずり回すというような意図は毛頭持っておらぬつもりでございます。
  39. 安宅常彦

    安宅委員 特にこの改正案なんか見ますと、ただいま川村さんの方から地方債の話も出ておりましたが、地財法の改正なんか、そっちのからめ手からの締めつけなどとあわせて、赤字団体には事業債を認めないとかいろいろなことを考えておられるようでありますが、あなたは今応援と言ったけれども、これは応援ではなくて、いい言葉で言えば叱吃勉励と申しますか、悪い言葉で言えばお前らそれじゃいかぬぞというような、そういう気合いをかけることばかりで、応援じゃないと思うのです。そういうふうにして萎縮をさせていくような方向に進めるのじゃないですか、この改正案を。簡単なようでありますが、たとえば帳簿を備えつけるとか、そういうところまで義務をどんどん強制しておることだけを改正して、そうして地方自治というものが非常に濶達に伸び伸びとやれるという方向を目ざす改正じゃない。その証拠には、たとえば交付税率をそのままにして、自然増収があるからその辺でやっていかれるような仕組みをあなたの方では考えておったりして、決して交付税そのものをふやしているのじゃない。そういうことならば、交付税率は上げてもらわないで、そして何か若干の、これはいいだろうあれはいいだろうというような技術的な問題で問題を処理しようとする。そういう考え方がある限りは、地方財政をますます動きにくくしていって、たとえば基準財政需要額の単位費用の問題なんかの改正をこのたびした、そのあとといえども運営ができないような程度のものだということを、知事会あるいは県あたりへ行ってみますと、県知事あたりがこぼしておる。これが県知事のこぼすたった一つの話題みたいになっているほど県知事はこぼしているじゃありませんか。それは知事会あたりやなんかで、あなたはしょっちゅうそういうことを言われているのじゃないですか、その点をお聞きします。
  40. 安井謙

    安井国務大臣 地方自治体から受ける感じといたしましては、個々の問題について、あるいは自分たちの思うようにいかない場合もあろうかと思います。そういう点についていろいろな意見や不平もあるいは出るかもしれませんが、全体といたしましては、私ども今この財政配分の問題あるいは財政的な協力関係におきまして、そう非常に大きなみぞができておるとか、非常な不平を持たれてやりにくくなっておるというような面は、今のところそれほどないというふうに確信をいたしております。ただ、これやはり出す方と受ける方との関係でございますし、非常に数多くの地方団体があることでございますから、あるいは十分な配慮が行き届きかねて、部分的には事務的にもあるいは若干そういったような問題が時には起こらないという保証はないと思います。そういう点につきましては、またいろいろと御指摘等も十分尊重いたしまして、今後もそういう結果は是正をしていきたいと考えております。
  41. 安宅常彦

    安宅委員 それで交付税率をそのままにしておいて、いろいろないじくり方をする、技術的なやり方をする前に、基本的にそういう問題で大きく——地方自治というものが非常に苦しい状態ですから、税率を大幅に増していくとか、そういうことをやるべき段階に来ているのじゃないかという、そういう気が私はするのでありますが、大臣はどういうお考えでありますか。
  42. 安井謙

    安井国務大臣 その点につきましては、これは受ける方ですから多いに越したことはございませんし、われわれも多いに越したことはないと思いますが、やはり国の全体の財政の状況に対する地方財政の地位、今日の比率というようなものから見ました場合に、ことしの交付税の総額の金額あるいは地方税の増額の状況というようなものから、ことし三十六年度において交付税率そのものを変更しなければならぬというふうには、私当初から考えていなかったわけで、この交付税率の改正をめぐって大蔵省意見が合わないで、自治省が特に引き下がったというような経過はないわけであります。
  43. 安宅常彦

    安宅委員 そういうようにおっしゃるのですから、まあそれでいいことになるのでしょうが、今度は具体的に聞いていきますが、えらいこまかくなりますので担当の方でけっこうですけれども、財政局長はどこかへ行ったのでしょうか。
  44. 濱田幸雄

    濱田委員長 今ちょっと参議院の方へ行きましたが、財政課長がおりますから……。
  45. 安宅常彦

    安宅委員 私は山形の人間ですから、たとえば雪というものを連想する場合、スキーなど連想しないわけです。雪といったら冬将軍といいますか、えらい冷酷むざんな、そういう暗い面をすぐ連想をするのでありますが、こういう雪害なら雪害という問題に対して、基準財政需要額をきめるにしても、単位費用が実情に合っているかどうかというふうな問題を、近ごろ特に考えるようになってきておるのでありますが、そういう実際、たとえば積雪の補正などが実情に合うようになっておるという考え方でこのたびの測定の問題とか単価の問題なんかをいろいろおきめ願っておるのでしょうか。その点どういう御見解でしょうか。課長からお願いします。
  46. 松島五郎

    ○松島説明員 積雪補正の点につきましては、現在交付税の上ではまず除雪に要します経費を見ております。それから建物の雪囲いに要します経費、それから雪がたくさん降りますと、どうしても昼も暗いという状態が続くことが考えられますので、電灯料がよけいかかるという関係の経費、それから雪が降りますことによって建物のいたみ方が大きい、従って建物の耐用年数が短くなるということによる補正というものを中心にして考えているのでございます。なおそのほかに、道路につきましては、道路だけに別に除雪に要します経費等も考慮しております。こういうような経費を積算をいたしまして、一方農林省の農業総合研究所でございますかの積雪地方支所、これは山形県の新庄にあったようでありますが、これで全国的に調査をしております積雪量をとりまして、一年間の根雪となります雪の深さと根雪となります期間を総合いたしまして点数を出しまして、それを級地ごとに区分をいたしまして、今申し上げましたような経費について、それぞれ級地ごとに標準的な経費を算定いたしておるのでございます。これで間に合うか間に合わないかというお尋ねでございますが、これはずっと従来も続けてきたところでございまして、本年度の雪の害が非常に大きくありました関係上、今年になりましてから十分でないとか不十分だとかいういろいろな御意見も私どもで聞いておりますが、今まではこの点について特別地方団体の側から適切でないという御意見はなかったわけでございます。しかし、今年度は異常な降雪等の事情もありまして、いろいろ御意見もございますので、この際実態に合わせてもう一度再検討いたしたいということで、ただいま調査中でございます。
  47. 安宅常彦

    安宅委員 特別にそういう意見はなかったという話でありますが、あなたが今申されました農林省の総合雪害調査所ですね。これは昭和の初めに、これは大へんなことだというので作られたものなんです。ところが去年これは廃止になってしまいました。あなたの方でそこから資料をとっておられるそうですが、私どもの調査によりますというと、昭和二十四年からですか、二十八年までの間の統計をとって、それを基礎にして、ただいまあなたが申されたような計数を立てておられるようでありますが、ほんとうはそういう統計というものは、四年間ぐらいなものでなくて、たとえば寒冷度なんかの場合には、いろいろ寒冷地手当などをきめる場合においては、もう開設以来の統計を大体基礎にしておるんですよ。それと同じようなことにしなければ、統計というものは、ピック・アップ方式にたった四年間ぐらいとっても、これが実情に合うか合わないかは、あなた方は専門家だからかえって詳しいんじゃないかと思うのですが、最近の計数をとるなり、あるいはずっと昔からの積雪の計数をとるなり、そういうことを考えてはいないかということを聞きたいわけです。  もう一つは、意見がなかったという話に関連をして申し上げますが、やはり雪の少ないところというのは、たまに降るとびっくりしちゃう。雪というものはびっくりするほどの被害があるんです。年がら年じゅう雪の降っているところは、もう先祖代々だからびっくりしなくなっちゃって意見が出てこない。そういう雪害というもののおそろしさというものは、雪の降っているところの人は、こんなものであろうというふうに考えておる。雪の降らないところの人々は知らない。そしてちょうど雪のえらい降るところと降らないところの中間ぐらいのところにいきなり降ると、これはえらいことだというふうに騒ぐ。ちょうどことしは信越あたりにいきなり降ったために、これはえらいことだというふうに騒いだ。私はそういう現象だと思うのです。だから雪害というものは、たとえばあなたが今計算の根拠をいろいろ述べられるときに申されましたほかに、建物の耐用年数が云々と言われましたが、逆に言えば、耐用年数というものを考えて農業をやっている人ならば、住居のほかに農産物を保存しておく小屋を別に建てなきゃならない。これは暖かい国にはないことです。しかもがんじょうなものを作らなければなりません。よけいな固定資産がふえているために固定資産税がよけいにかかってしまう。そして固定資産の評価を、ことしのように今度増すなんということになれば、雪害を受けるものをいろいろ財政的な面で何とかかばってやるどころか、逆にひどい目にあっているのが積雪地の住民なわけです。そういうことについてあなたの方でいろいろと考えてみられたことがありますか。
  48. 松島五郎

    ○松島説明員 ただいま積雪補正に使っております資料は、御指摘の通りたしか昭和二十四年から二十八年までの五年間の統計によっているのでございます。なお積雪支所は、昨年でございますか廃止になりましたことも聞いております。そこで、私どもといたしましても、なるべく最近までの新しい資料を使いたいと思って検討をいたしておるのでございますが、この積雪の調査は、従来積雪支所におきましても、全国を組織的に一定の方式でやっているのではなくて、学校とかそういったところに依頼をいたしまして、その協力のもとに実施をしているということで、観測点が全国均等に散布しているというようなことになっておりませんので、従って二十四年から二十八年までの統計を使います際も、それを専門家に委託いたしまして、観測されました地点と観測されない地点との間のつなぎを、何と申しますか、地図の上で等降雪量線といいますか、降雪量をほぼ等しくするような条件のところを結んでいって、一つの地図を作成をいたしまして、級地の決定の資料にいたしたというようないきさつもございます。そこで私どもも、最近までの資料をとってそういうことをあえていたしたいと、ただいま検討中でございますけれども、そういう特別な操作も必要でございますので、なおこれには時間等も必要かと考えております。なお、積雪支所の業務は、農林省の方に問い合わせましたところ、その後北陸農業試験場の方に引き継がれているようでございますので、また引き継がれた際に、引き継ぎの整理が全部ついていないというようなことで、最近の最も新しいものでとれるのが三十三年度までぐらいのものだという話でございますので、そういったものも取り寄せまして検討いたしたいと考えておるわけでございます。  なお、固定資産税の問題についてのお尋ねがございましたが、この固定資産税は、御指摘の通り、冬の作業のために家屋が特別に広いとか、あるいは雪に耐えるためにがんじょうな作りにしなければならない、あるいは耐用年数が短いとか、いろいろな問題がございます。これらの問題につきましては、固定資産税の方におきましても、評価の上でしかるべき減価をいたしまして、評価の考慮をいたしておるのでございます。なお、最近出ました固定資産評価制度調査会の答申にも基づきまして、三十九年度を期しまして全面的に評価のしがえをいたすことにいたしておりますが、その際にも、こういった問題を、地域の特性に応じて考慮されるように考えて参るというふうな方向で進んでおる次第でございます。
  49. 安宅常彦

    安宅委員 それであなたは、昭和二十四年から二十八年までの資料でやっておったのだ、こう申されましたが、あとは三十三年ごろまでしかない、あとどうするつもりなんですか。今度はもうないのだから……。それで試験場に移したというが、ここでは相当の学者がそろい、総合的な積雪の被害、それから雪というものに対する研究、そういうものを含めてやっておったので、積雪の量だけじゃないのですね。だから、これは産業、文化にどういう影響を与えるか、経済というものとどういうつながりが出てくるのか、こういう大へんりっぱなものだったのです。建物はそのままあるのですから、農林省あたりと相談をして復活をするとか、さらにいろいろな——これは自治省だけではない、国家全体のもので、こういう統計というのはどうしても必要なんですから、そういうものを復活するどころか、農林省だけのものではなくて、あなたの方も加わった総合的なそういう調査所と申しますか、そういう方向に拡大をしていく、こういうような御相談をする気持はあなたの方にはありませんか。
  50. 松島五郎

    ○松島説明員 この前参議院の積雲問題についての合同委員会においても、雪の総合研究所を作ることについての政府見解等もただされたのでございますが、内閣においても、そういった方面についてどうすべきかということを検討中のようでございますので、私どももそういうものができますことを期待いたしておりますので、御相談のありました際には、私どもも意見を申し上げたいと考えております。
  51. 安宅常彦

    安宅委員 二十八年以後も、最近の資料でさらにいろいろと正しくやっていきたいとあなたはおっしゃいましたね。ところが、ないのだからしょうがないじゃないですか。どういうところでやるのですか。
  52. 松島五郎

    ○松島説明員 二十八年以後の資料につきましても、あるだけはとりたいということで、ただいまその資料について、どういうふうにとるべきか、先ほども申し上げましたように、ありますものをそのまま使えないというのでございまして、それを積雪を等しくする地点に結んでいくというような作業を技術的にやらなければなりませんので、今すぐにこれを使うということもなかなか困難でございます。しかし、私どもとしましては、資料もかなり古くなっておりますので、新しいものにできるだけ置きかえて参りたいと考えております。ただ、その後の資料はないのだからどうするというようなお尋ねでございますが、まあ雪の問題は長くとればとるほどいいわけでございますけれども、考えようによっては、降る年、降らない年はそれぞれやはり一定の周期と申しますか、あるいは周期はないのかもしれませんが、入りまじっているわけでございますので、長いから必ずしも実態に合うというわけでもないのではないかういうふうにも考えられますので、その点も検討いたしまして、今後の取り扱いをきめて参りたいと思います。
  53. 安宅常彦

    安宅委員 その点はわかりました。それではこの補正の係数そのものが、これはなかなかむずかしい問題で万全を期するということはできないと思うのでありますが、相当程度積雪地に対して順応できるような交付税そのものができておるかということになると、私はそうではないと思うのです。その証拠には、たとえばあなたの方で出しました資料がありますけれども、これに積雪補正がどうしてもつかなければならないのじゃないかと思われるようなところにたくさんないやつがある。たとえば橋梁のところもそうです。マルをつけておったのですが、道路の延長のところも消されているし、木橋の延長のところも消されているし、あるいは小学校の教職員数のところも消されているし、町村部の生活保護費のやつも消されておるし、あるいは今度新しく設けたという失業者数のところもこれは積雪の補正はありませんし、耕地の面積もありませんし、あるいは林野の面積なんかも全然ありませんし、全部こういうところがない。そのほかに係数の取り方そのものが足りないのじゃないか。私が言わんとするのはこういうことです。ことし応急の対処の仕方として特別交付金も出したようでありますが、毎年それは続けなければならないような格好になっておるのじゃありませんか。そういうもので当面を糊塗していくという方針は、私は間違っておると思うのです。そういうことがないようにしなければならない。そうしてそういう特交の性格からいって、そんな雪の被害に対して、毎年あなたのところは何ぼくらいだ、あなたのところは何ぼくらいだという応急のやり方をやっていくのは一つの邪道だと思うのです。従って積雪の係数というものをもっと大きくしなければ実態に合わないのではないかと私は思うのでありますが、あなたのお考えはどうでありますか。
  54. 松島五郎

    ○松島説明員 積雪の補正を適用しております費目は、先ほども申し上げましたように、現在積雪補正で雪囲い、除雪、建物の耐用年数あるいは光熱水費というようなものを中心といたしておりますので、そういったものを含む費目について補正をいたしておるのでございます。従いまして、積雪の補正をすべき内容を変更するということになりますと、費目もそれにつれて変わってくるかと思います。なお、特別交付税で当面を糊塗しておるのではないかというお尋ねでございますが、積雪による被害が今年のように大きかったということは、ここ数年来ないことでございまして、やはりこれは一種の災害と同じようなものではないかというふうに私どもとしては考えております。従いまして、積雪補正では、通常の年でもある程度の雪に伴う費用というものは普通交付税の算定の中に織り込むべきではありましょうが、ある特殊な年にある特殊は事象として起こった問題は、やはり災害等と同じように特別交付税でもって処理することがより合理的ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  55. 佐野憲治

    ○佐野委員 関連。ただいま安宅委員からいろいろな質疑が出ておりましたけれども、私ども率直にいって、積雪に対する調査資料、こういうものはほとんど持っておられないのじゃないですか。農林省の農業総合研究所の支所というものは一体どういう実態にあるかということを御存じなんですか。その点はどうですか。
  56. 松島五郎

    ○松島説明員 私も不勉強で、農林省の総合研究所がどういう実態にあるかまでは承知いたしておりません。
  57. 佐野憲治

    ○佐野委員 たとえば寒冷に対する場合は、気象庁があっていろいろな資料が集められておる。あるいはまた北海道大学にも研究を主にやっておられるというような、いろいろなデータがあるわけですがね。だから寒冷補正に対しましてはある程度公正な区分ができておると思うのですが、積雪の場合ですと、ほとんどそういう研究所がないのじゃないですか。たとえば国鉄には塩沢にありますけれども、ほとんどこれも二、三人でやっておるという状態でしょう。農林省に至っては、これは全然角度が違うのです。農作物に対するいろいろな対策として研究を少しやっておる。だから積雪が一体どういう影響を及ぼすのか、どういう補正係数を持った方がいいのか、こういうことに対する資料にほとんどならないじゃないかと思うのです。   〔委員長退席、丹羽(喬)委員長代理着席〕 だから、異常の場合は別として、平常時におけるそういう点の調査がされていないじゃないか。あるいはまた、同じ雪でも北海道の雪と内地の雪とは違ってくる。粉雪であるという場合、あるいは非常にやわらかい雪、あるいは湿潤の度合いというものも非常に大きな影響を及ぼしておると思うのです。この湿潤に対するこれらの調査というものは一体できておるのかどうか。とらえておるんですか。その点はどうですか。
  58. 松島五郎

    ○松島説明員 積雪補正の内容をきめます場合には、実態調査等をいたしまして、積雪のために先ほど申し上げましたような経費がどの程度かかるかという実態調査をもとにしてそれぞれ係数をきめたものでございます。もちろん先ほども御指摘のございましたように、その係数をきめましてから数年間を経過いたしておりますので、その後地方行財政の内容も変わってきております。従いまして、今日において数年前にきめたものがそのまま実態に当てはまるかどうかの問題もいろいろ議論のあるところでございますので、この際、実態をもう一度調査し直しまして適正なものにいたしたいと考えて、ただいま検討いたしておる最中でございます。
  59. 佐野憲治

    ○佐野委員 大臣にもやはり検討していただきたいと思いますが、そういう研究機関というものもないのです。大体湿潤がどうだろうか。同じ雨にしても、雨量だけを調べますと、たとえば宮崎県あたりが雨量にして一、二位に入っておる、あるいは北陸地帯におけるある県の雨量というものも日本一だ。しかしながら、それらの湿潤度合いというものは全然違っておるわけです。実はどこに調査のもとを置くか、そういうことはどこでやるのか、そういうことを気象庁に聞いてみても、そんなものはやっておりませんと言う。農林省もそんなことは私の事務ではありませんと言う。大学の研究室に聞いても、いや私どもはそういうことはやっておりませんと言う。どこにもないわけでしょう。ないのに、そういうような補正係数として総理府の政令によって定められておる。ですから、これはわからぬでしょう。実は私がこの間質問のときにお伺いしたのは、交付税に対して異議の申し立て、あるいは公開の聴聞会をやっておられるかと言ったら、全然やっておらないと言う。みんな満足しておるから異議の申し立てもないし、それからまた聴聞会も開く規定はあるのだけれども、救済制度をちっとも活用されていない。こういうことは非常にうまくいっておるから、なるほど公正かつまた妥当な資料に基づいて割当を決定しておられる、だから異議の申し立てがないという工合に考えられるというような答弁だったですけれども、実際にはわからないのじゃないですか。こういう補正係数というものは全部総理府の政令によってやられてしまっておる。おそらく地方自治体の当局者でさえも、おれのところは一体どういう補正係数になっておるかすらも算定できないのが実情じゃないか、こう感ずるわけです。交付税の場合にはおそらくそうではないかと思うのです。ですからわからなくなっておる。わからないから異議の申し立てのしようもない。ともかくおかしい。  一体何を基準にして財政需要額がきめられ、それに対するところの測定単位の数価なりあるいは補正係数——こういう重大な点は全部総理府の政令でやられてしまっておる。ですから住民もわからない。おそらく地方自治体へ参加しておる公務員自体がかわらなくなってしまっておる。これでは異議の申し立もできなければ、聴聞会を開いてくれといったってわからないというのが実情じゃないかと思う。ですから、もう少し住民にわかるように、財政当局だけがわかるのじゃなくて、住民もなるほどこうだ、こういうことによって自分の町は、村は一体どうなっておるか、どういうところが間違っておるかとか、あるいはまた本来の地方自治に基づく計画的な財政の運営をやってもらわなければならない、こういう判断の資料なるものがほとんど政令によって隠されておる。それではその政令の内容を、積雪の場合をもう少し突っ込んでお聞きいたしますと、いや実はこれから調査するのだという工合に言われる。二十四年から二十八年に、一人か二人、女の人を入れて三人くらいしかいない総合研究所が農業作物のためにとったばく然たる統計を持ってきて、それを補正計数として使っておられる。国鉄その他もばらばらである。あるいは大学の研究機関と政府機関との何らの連絡もはかっておられないで毎年繰り返しておる。根拠はというと、根拠は実ははっきりしないのだけれども、今まで異議の申し立てもないから、実はこのままやっておったので、今度は異常災害にぶつかって、衆議院の連合審査委員会においてうるさくなったから、これから調査するのだというのでは、ほんとうに困ると思うのですが、大臣どうですか、交付税というものが住民にもわかるように、町や村のあり方が一体どうなっておるか、こういうことが的確に把握できるために、もう少しああいう政令やそれらを整理されて、法律の中においてはっきりさせるとか、住民がもう少し理解できるような形にしなければ、こういう問題はずいぶんあるだろうと思うのですが、こういう点に対して大臣としてはどうお考えになっておりますか。
  60. 安井謙

    安井国務大臣 この単位基準を測定いたしますデータにつきまして、できる得る限りこまかくまた正確を期していきたいということは心がけておるわけでございますが、今お話しのように、なかなかその個々の件名につきまして、必ずしも十分なものがあるいはないかもしれません。そういう点につきましては、しかし必要なものについては、さらにそういうデーターの補強をやりたいと思いますが、ものによって、現在、今御指摘のように、どこで材料を調べていいか、ほんとうに満足のいくものはあるいはないかもしれないというような場合も、これはないとは言えないのでありまして、ただしかし、それならもっと一般の件名というか、名前に入れて、そういう項目をむしろなくした方がいいじゃないか、全体的に把握した方がより客観的であるじゃないかというふうな御議論もあるいは出るかもしれないと思いますが、そこらはかねあわせまして、できるだけ取り上げるべき材料については、今後もさらに具体的なものを十分取り上げるように努力をしていくというふうにいたしたいと思います。
  61. 安宅常彦

    安宅委員 そういうことだからいろんな問題が出てくる。先ほど基本的な問題として大臣にお伺いしたときには、そんなことはないはずだというけれども、こんな小さなやつで、どだい何によって調べたらいいか、とんと見当がつかないような積雪補正の問題が出ている。これは一つの実例です。従って、特にそういう地域においては、結局交付税が足りない、何とかしなければならない。そのほか国庫補助が足りない、何とかしなければならない。結局陳情政治とか、そういうことになるようなことがたくさん出て参ります。そういう陳情とかなんかで、自治省に交渉するために、いろいろと私調べておるのですが、莫大な経費が交際費の中から——奥野さんが今いないから言っても仕方がありませんけれども、そういうところに道路ができれば、受益者が非常にもうかるのだから、その諸君に負担させてもいいじゃないかというようなひどい発言が出たりする。そういうこをやっておるのですから、期成同盟とか何かを作って、そうして東京に乗り込んでくる。そうすると、何とか歓心を買うために、いろんなことが行なわれたりする。その金というものは、私は数百億に上っておるのじゃないかと思うのです。こんなむだな政治をしておいて、そうして地方財政独立性が強化されるなどとは私はつゆ思わないわけです。あなたの方では、しからばそういう点はどう思っているかということを具体的にお聞きしますけれども、私どもの地方の山形新聞の去年の十二月六日、それからその他二、三出ているのですが、寒河江市という市があります。この市では二級国道の鶴岡、山形の路線でありますが、それを早く実現してもらうための期成同盟を作って、五、六カ市町村が分担金を出し合って、そしてそれを山形県に寄付して陳情費みたいなものに充てる。そのほかに各市町村が自治省に乗り込んでいく、こういう方針を立ててやった。県がその寄付を期成同盟からもらっているのですよ。そのほかに各市町村が出てくるのです。寒河江市では、出てきたのはいいけれども、なかなかうまくいかないので、いろいろなことをやっているのです。その中には、私の調べでは、アメリカ大使館向かいの「きくみ」だとか、赤坂の「奈の井」だとか、九段の「よし住」だとか、赤坂の菊亭別館だとか、いろいろなところが出てくるわけです。これは行政局長なぜきょう来ないのかな——来ていますか。あなたはうしろの方に引っ込んでいてわからなかったけれども、知っているのですか。こういう問題が起きて、この寒河江市では助役と財政課長がこの間首になっちゃったのですよ。そういう事件を知っていますか。
  62. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 助役の辞任その他の点は若干報告を受けて知っておりますけれども、事件の詳細にわたっては、今のところまだ私といたしまして、はっきりとした報告は受けておらない次第でございます。
  63. 安宅常彦

    安宅委員 これは、ぜひこういうことで証人になってもらいたいと言ったら、こわくなっちゃって、言わないというから、私の発言が責任のない発言だなんと言われるといけませんので、あまり深くは突っ込みません。突っ込むと、行政局長の部下の名前も出てくるのです。これはほんとうの話、大へんなことですよ。もしなんでしたら詳しく申し上げてもいいのですが、そういうことが事実かどうかということを、私自身も調べてみたのですが、料亭のおかみさんの言うには、ある政党の政審の諸君の一部、それからあなたのところのお役人さんなんかがときどき出入りをするし、その中の一人なんかは、これは寒河江市につけておけなんというような程度で、みな寒河江にきたものだから、助役と財政課長が始末がつかなくなっちゃったという事件がこの首の原因なんです。これは、そういうことをしなければ交付金ももらえない、補助ももらえないというような観念を植えつけておる、そういう状態にあるのが現在の状態である。従って私が最初に言った、地方交付税法改正をやってみても、その改正自身が地方財政独立性、その健全性というものを応援しておる立場にはないということを私は言っておるのであります。こういうことを、今後私も証人が出るような調査をいたしますが、もし出た場合には、行政局長はどういう処置をとられますか。
  64. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 今のお話では、私の部下に具体的にそれに該当しておる者がおるというようなお話でございましたが、その点私も確信がございませんから、なお調べてみたいと思います。なおこの国道の関係その他について、なぜ私の方の部下が関係をしなければならなかったのか、これらの点についてもさだかでない点もございます。一般的に申しまして、陳情政治自体の弊害ということは非常に著しいものがございまして、私たち自身といたしましても、なるべく陳情がなくて、公正妥当な行政が行なわれていく、そういう線に持っていかなければならぬと思うのであります。これは制度面から考えなければならぬ事柄でもございまするし、また政府各省の役人の心がまえ、あるいは地方団体自体の心がまえというような点も影響してくると思うのであります。それらの点につきましては、あわせてやはり是正の措置を講じなければならないと思います。今具体的な事件について私もよく調べてみたいと思います。調べた結果、そこに何らかの具体的な例が出てくるということになりました場合におきましては、その時点に立ちまして私といたしましても判断をいたしたいと考えておる次第でございます。
  65. 安宅常彦

    安宅委員 その問題は、私にはそういう詳しい話をしてくれたのでありますが、表に出してもらいたくないということを条件にしておるので、遺憾ながらここで言えないのです。それはまあいいですよ。ただ、そういう部下がどうのこうのというよりも、上正しからざるときにはそういうのが起こるのですから、これは考えてもうわなければならぬ。つまり、そういう陳情政治をなくしたいとかなんとか言っても、現在こういうにらみがきいている交付税があり、あるいは起債を願うにもいろいろあなたの方の顔色をうかがわなければならないような程度しかこの地方交付税というものの制度が確立してない場合には、幾ら陳情をするなといったって、これはなくなりません。そういう点を明確に改めていくように、一つ私強く要望じゃなくて要求をしておきたいと思うのです。  それでまた、別の点に一つ入りたいと思うのですが、三月二日の委員会で、文部省の内藤初中局長が出席をした際に、こちらの山口委員から、教職員の宿日直手当をなぜ警察官や一般地方公務員並みにできないのかと、地方財政計画の面で強くこの点を追及をしたのでありますが、私の意見は正しいのだから何とか上げたいと考えておるということを内藤さんが発言をしておるのであります。ところが、この地方交付税の表を見てみますと、一般地方公務員は三百六十円、警察官も三百六十円の計算だが、教職員の場合には、相変わらず宿直が二百十円、日直が二百六十円になっておる。こういうことを基礎にして配分をしておるのでありますが、このときには、文部省の内藤さんが上げたいと言っておるのに、あなたの方では上げる意思がなくて、そのままこの表に出してきておる。これはどういう意味ですか、上げる気があるのですか、ないのですか、それを伺っておく。
  66. 松島五郎

    ○松島説明員 教職員の宿日直手当につきましてはいろいろ御議論のあるととろでございますが、私どもの方といたしましては、御承知の通り二分の一国庫負担の制度になっておりますので、国庫負担の単価に合わせて計上をいたしておる次第でございます。
  67. 安宅常彦

    安宅委員 そういう点は労働基準の問題からいっても、当然三百六十円にしなければ法律に違反をするとお考えになっておりませんか。
  68. 松島五郎

    ○松島説明員 労働基準の関係は、私詳しいことを存じておりませんが、従来もこういう方針でやっておりますし、また今年は、従来宿直が二百円であったものを二百十円に、日直の二百五十円を二百六十円と、わずかでございますが、十円ずつそれぞれ引き上げております。国の予算単価もそういう積算になっておりますので差しつかえないのではないかというふうに考えております。
  69. 安宅常彦

    安宅委員 そうすると、労働基準法には違反してもかまわないけれども、国庫負担に合わせてやる分には差しつかえない、こういう見解だというふうに了解していいですか。
  70. 松島五郎

    ○松島説明員 私の申し上げましたのは、労働基準法に違反してかまわないと申し上げたのではございません。労働基準法上の取り扱いはどうなるか、勉強をいたしておりませんのでわかりませんが、単価の積算はそういうことでいたしておるということを申し上げたわけであります。
  71. 安宅常彦

    安宅委員 じゃ労働基準法の本文並びにこれによる利益、そういうものに反するということがあなたまだわからないらしいのですね。違反しておるということがわかった場合には直す、こういうふうにただいまの発言から承ってよろしゅうございますか。
  72. 松島五郎

    ○松島説明員 労働基準法に違反していないと私は考えておりますが、その点は法律をよく存じておりませんので、なお検討いたしたいと思います。なおこの問題は、先ほども申し上げましたように、二分の一国庫負担という建前になっておりますので、文部省におかれまして国庫負担の基準をお上げになれば、地方財政計画の方においてもそれに対応して上げて参りたいと考えております。
  73. 安宅常彦

    安宅委員 それは文部省がどれくらい負担するかということになるわけです。そうすると義務教育費やなんかはどっちみち全額国庫負担しなければならないのです。だから、文部省で足りないようにしたならば、あなたの方は全部足りない分を補てんするか、こっちの方ばかりよけい負担するのはいやだから文部省もっとよけい出せとか、そういう話になって、この基準に合ったような金を全額国庫負担したような格好になるようにするのが、あなたの任務じゃありませんか。
  74. 松島五郎

    ○松島説明員 その点につきましては両方相待ってなすべきものと考えますので、文部省とも十分協議をいたしまして、来年度予算要求の際には是正をすべき方向に向かって努力いたします。
  75. 安宅常彦

    安宅委員 内藤さんは、これは基準法上そうせざるを得ないのだ、何とかそれに近づけるべく努力をしたいのだ、こう言っている。労働基準法という法律は最低の基準になっておるのですからね。だから、文部省では、金がないからこれだけだ、そうしたら自治省で当然かばってくれなければならぬのじゃないかと言わんばかりのお話ですが、あなたの方に聞けば、それは逆の話で、両々相待ってという話ですが、もし違反しているということがわかれば、これは両々相待っこ一般地方公務員並みにするという約束をあなたはできますか。
  76. 松島五郎

    ○松島説明員 文部省とも十分連絡をとりまして、努力をいたしたいと思っております。
  77. 安宅常彦

    安宅委員 違反をしているということがはっきりしたならば、どうするのです。
  78. 松島五郎

    ○松島説明員 今、私詳しく法律を存じておりませんので、違反しているとかしていないとかいうことを前提としては、直ちにお答えをいたしかねるということを御了承いただきたいと思います。
  79. 安宅常彦

    安宅委員 わからないくせにおかしいじゃないか。わからないなら、もし違反しているということがわかったら、それに直しますと言うのがあたりまえの話で、仮定の問題だから答えられないという答弁では話にならぬじゃないですか。どうなんですか。
  80. 松島五郎

    ○松島説明員 わからないことをわかったようなことでお答えいたすのはどうかと思いますので、検討いたした上でお答えすることにいたします。
  81. 安宅常彦

    安宅委員 とにかく違反しておるのです。どこの国か知らないけれども、労働基準法の最低線を守らないということを平気でやって、担当課長はそういう基準を含む労働基準法を知らないとは、よく恥ずかしくもなく言えるものだと思うのでありますが、まあ仕方がありません。それでこれは今後は具体的にしょっちゅう締め上げますから、あなたの方では来年度なんて言わないで、またあとで直すときにこれをぜひとも直していただきたいと思うのです。特に新市町村の場合などは、地方公務員法も労働基準法もほとんど守られていない。たとえば三十五年四月一日の市町村職員の給与制度の合理化についてという通達をあなたの方では出しておるのであります。もちろんその通達自体が、制度などにだけかこつけてピンぼけであったということにも原因しているのでありますが、あまり効果が上がっていないのではないか。私は新市町村建設促進法の一部改正の法律の審議のときに、詳細にわたって反省を促したつもりでありますが、若干その法律と関係がありますから、当面この三十五年四月一日に出した自丙公発第九号ですか、この出した以降の状態について、そのとき問題になった、給与が低い、あるいは最低の労働基準に合わない劣悪な労働条件になっている、こういう諸点で改善の措置が講ぜられておるかどうかということについて、御見解を承りたいと思います。
  82. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 昨年、なかんずく新市町村の職員の給与というものが、実態調査の結果を待つまでもなく、非常に劣悪であるということは御指摘の通りであったのであります。そういうことで、私たちといたしましても、地方公務員法の建前自体が、一般の地方公務員の給与水準というものは国の例に準じて措置されなければならぬということになっております。そういうような考え方から、いろいろ事情はございます。また原因もあるわけでございますけれども、しかし給与のあるべき姿というものを実現いたしますことは、これはやはり職員の士気の上から申しましても、公務の公正な執行、円滑な処理という点から申しましても、どうしてもやらなければならぬということで、昨年に至りまして、系統的な通牒を発した次第でございます。その後、機会のあるごとにこの通牒の趣旨というものを明らかにいたしまして、なかんずく県を通じてその指導の徹底を期するように努力をいたしておるのであります。従来の沿革、諸事情もございまして、はっきり申しますれば、そう非常に目立ったところはまだ出てきておりませんけれども、全体といたしまして、これではいけないんだというような風潮が出て参ったことは事実でございます。今まで初任給の基準もきめておらない、あるいは昇給の基準もきめておらないというようなところにつきましても、制度はやはりこのままではいけない、改正をして整備をしなきゃならぬというような空気が漸次高まってきておるのであります。先般の給与改定の結果等については、現在全般的な集計を取りまとめ中でございますけれども、大体において通牒の趣旨に従いまして、全国的にその機運が高まってきておるのではないかというふうに私たちは見ておるのであります。しかし、具体的にはなおわれわれが当初予期いたしておりましたようなことになっておらない向きもまだまだあると思いますので、こういうものにつきましても、今後機会のあるごとにできるだけ通牒の線に沿って事態の改善がはかられますように今後ともさらに一そうの効力をいたして参りたい、かよに考えておる次第であります。
  83. 安宅常彦

    安宅委員 それではどういう機運が盛り上がっているのか、明らかにしてもらいたいのでありますので、この職員の初任給の是正、これは三十四年の人事院勧告だと思うのですが、四月一日実施の団体数、それから実施時期を延ばしたか延ばさないか、延ばしたところの団体数、未実施の団体の数。それからその後行なわれた三十五年の職員の中だるみ是正、これも四月一日の団体数と、実施を延期した団体数と未実施の団体数。それから三十五年十月の職員の給与改定について、十月一日から実施した団体数と実施を延期した団体の数、未実施の団体の数。こういうのを明らかにしてもらいたいと思うのですが、大体いろいろ自治省の係の人などに聞いてみますと、最初のものは九〇%くらいいっておる、それから中だるみは五〇%程度だ、こういうようなことを言っておるのでございますが、まだそういう状態だとすれば、これはゆゆしい問題でありまして、このやり方についても、あなたの方ではどういうような行財政上の御指導をやっておられるでしょうか、それをお聞きしたい。
  84. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 行政上の指導は、法律案ができました際、あるいは今回の改定の場合は年末に差し迫っておったものでございますから、あらかじめ法律案趣旨を説明いたしまして、その実施準備を遺憾のないようにするということで指導をして参っておるのであります。なお、財政上の措置といたしましては、財政計画にその点の盛り込みをやっておりますことは御承知の通りでございます。  先刻御指摘のありました資料につきましては、大体集まっておるものもございまするし、なお早急に整備をいたしまして、できるだけ早い機会に本委員会に提出をいたしたいと考えております。
  85. 安宅常彦

    安宅委員 第一番目には、大体いつごろまでに提出できるかという御質問を申し上げます。時間がありませんが、いろいろ聞いてみますと、勧告を大幅に期限をずらして、実施時期を、悪い言葉で言えばサボっている。こういうところはあなたの方では案外黙っておられて、これは地方自治体の実態だからしようがない、こういうようなことで黙認のような格好で、また逆にそうしておきながら、職員が地方自治体と交渉できめたものを、これは基準よりも高いじゃないかとかなんとか小理屈をつけて押えているじゃありませんか。そうしていろいろ実態を調べてみますと、新市町村の中では、特に初任給が八千五百円になっておるところでも、それ以下のところがたくさんあるわけです。あわせてそういう団体数もあなたの方から資料として出してもらいたい。とともに、そういうことを押えてきたり、実施を延期したところを黙っているという考え方で、そのままになっておるか、それがなかったかどうかを具体的にあなたから聞きたい。
  86. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 資料につきましては、できるだけ早く整備いたしますが、来週中くらいには提出ができると思います。  なお給与改定につきましては、私たち一般方針といたしましては、国の措置が講ぜられますならば、これに準じて地方の公務員についても同様の措置を講ずるというのが基本方針でございます。従いまして、給与改定がおくれているというようなところにつきましては、いろいろ事情もございましょうけれども、そういう点については個々具体的に県を通じてさらに指導の徹底を期したい、かように考えております。
  87. 安宅常彦

    安宅委員 やってないじゃないか。たとえば三重県の問題はこの間大へん問題になりましたけれども、それで毎年々々こういうふうに給与改定があるということを理由にして、定期昇格さえやっていないところが相当あるということをあなたの方では御存じなのでしょう。そうしてそういうものを実態として、その上に実績主義で交付税を配分、こういうふうにいくのですから、これは改正案のうたい文句に比して、逆に地方行政の水準というものはだんだん落ちて、そうして人件費をどうするかということが頭に上ってきているから、独立性がますますなくなって、上げればあなたの方からやられるし、下げないことは黙っておるから、その点を非常に事大主義的に考えてしまって、そういう独立性とかいうものはだんだん狭められていき、地方行政の水準は落ちて、地方住民へのサービスが落ちている実態であると思いますが、どうですか。
  88. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 財政計画並びに地方交付税関係では、給与については国の例に準じて、それぞれ給与改定等がございますれば、それに平均率をかけて、それぞれ措置をいたしているのであります。実績に応じて交付税の配付をするというような方針はとっておりません。従いまして、われわれの見方といたしましては、市町村等につきましては、財政措置といたしましては、国並みの措置は講じてあるということでございます。ただそうは言いましても、それぞれの市町村の実情に応じまして、なかなかその線までいきがたいというようなところが従来多かったことは事実でございます。しかし、それはやはりあるべき姿でもございません。少なくとも地方公務員については、国の措置がとられれば、それに準じた措置がとられるということが基本原則でございまして、そういうことで先ほどの方針に即応するような方針を今までとってきております。事実これはやっております。しかも、昨年の通牒を出しまして以来は、この線が盛り上がってきておることは事実でございまして、さらに今後もその線は推し進めたい、かように考えておりますけれども、なお御指摘にございましたように、個々の町村に当たってみますと、まだ初任給について十分の確保措置が講ぜられておらない、あるいは昇給等につきましても十分の基準が設定しておられないというようなことも絶無とは申し上げません。そういうものにつきましては、個々の事態が確保されますならば、県を通じて十分に指導の徹底を期して参りたい、かように考えております。
  89. 安宅常彦

    安宅委員 それではあなたは何かやった、やったと言うのですが、その県なりを通じて八千三百円までいかないような——初任給さえもそうですから、あとは推して知るべしでしょう。そういうところに対しても、国の方針が決定されたその大方針によった交付税というものをやるようになっているんだと言う。そしてそれだけの給与改訂を一ぺんにやれるような、そういうところの金までぴしっとあなたの方で計算してやっているということを今ここで言わんとしておるのでありますから、それでは具体的にお聞きします。
  90. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 それぞれ財政計画上につきましては、給与の単価というものがございます。標準団体の問題ではございますけれども、県は県、あるいは市町村は市町村ということで、それぞれ給与の単価というものがはじき出されております。それを基礎にいたしまして……。
  91. 安宅常彦

    安宅委員 実績においてやっているんじゃないか。
  92. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 実績ではございません。従来のいわゆる理論給与というものを基礎にしてやっておるのでありまして、この点は実績において交付税の配分ということはやっておらない。従って国に準じた給与改訂を行なおうとすれば、財政的には行なえる。そういう状況になっておりますことは、これははっきり申し上げて差しつかえないと思います。
  93. 安宅常彦

    安宅委員 そうすると、だんだん問題が発展してくるのでありますが、もう時間がありませんので保留することとして、この次あたりまたやるつもりでありますが、類似団体別の市町村の財政指数というものをあなたの方で出して、この間奥野さんあたりは、それに対しては単なる参考にすぎない、こう言っておりますが、これらを見て人件費を押えることを一生懸命考えておって、あなたの方では全部やったつもりだと言う。そういうところに大きな混乱が起きて、あなたはそういうようにおっしゃったつもりでも、財政的には何らの措置がとられていないというのが実情であるということをあなた御存じないのですか。これは類似団体別の市町村財政指数というものの本質については、きょうは時間がありませんから、私はこの次にぜひお聞きしたいと思うのでありますが、そういうものと関連をし、市町村の事務の合理化とか、いろんな問題で事実上賃金、つまり給与を上げるということができないような仕組みになっておるということをあなたは否定しようとしておるのでしょうか。それはあなた明確に知っておるのでしょう。
  94. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 これは先刻申し上げましたように、国のいわゆる財政措置といたしましては、国に準じた措置地方公務員についてもとれるように配慮をはっきりといたしておるのであります。
  95. 安宅常彦

    安宅委員 それではもう時間ですから、その他、そういう類似団体別の市町村財政指数の問題は、あなたがおっしゃるように、地方交付税の配分についてどんな影響を及ぼしておるのかという問題、こういうことについて交付税の今度は別な角度から、交付税の配分の仕方が、いわゆる陳情政治をなくそうとする、あるいは地方自治体の独立制を阻害しないようにしておる、応援しておるという方向にいっておるのか、いっていないのか、私はいっていないということを具体的に明らかにしたいと思いますので、きょうの質問はこれくらいで終わっておきます。
  96. 丹羽喬四郎

    ○丹羽(喬)委員長代理 先ほどの理事会での申し合わせに従いまして、この際お諮りいたします。  すなわち、ただいま議題となっております三法律案のうち、後進地域開発に関する公共事業に係る国の負担割合特例に関する法律案及び地方財政法の一部を改正する法律案の両案に関する質疑はこれにて終局いたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 丹羽喬四郎

    ○丹羽(喬)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、右両案に関する質疑はこれにて終局いたしました。  次会は来たる二十日開会することとして、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十五分散会