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1961-04-14 第38回国会 衆議院 地方行政委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年四月十四日(金曜日)    午後二時二分開議  出席委員    委員長 濱田 幸雄君    理事 金子 岩三君 理事 田中 榮一君    理事 中島 茂喜君 理事 丹羽喬四郎君    理事 吉田 重延君 理事 太田 一夫君    理事 川村 継義君 理事 阪上安太郎君       伊藤  幟君    宇野 宗佑君       大沢 雄一君    亀岡 高夫君       仮谷 忠男君    久保田円次君       永田 亮一君    前田 義雄君       安宅 常彦君    佐野 憲治君       二宮 武夫君    山口 鶴男君       門司  亮君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         自 治 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局長)  石原 周夫君         大蔵事務官         (主税局長)  村山 達雄君         大蔵事務官         (理財局長)  西原 直廉君         自治政務次官  渡海元三郎君         自治事務官         (財政局長)  奥野 誠亮君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   高柳 忠夫君         自治事務官         (財政局財政課         長)      松島 五郎君         自治事務官         (財政局理財         課長)    佐々木喜久治君         自治事務官         (財政局財政再         建課長)    茨木  廣君         専  門  員 圓地與四松君     ————————————— 四月十三日  酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に  関する法律案紅露みつ君外二十四名提出、参  法第一六号)(予) は本委員会に付託された。      ————————————— 本日の会議に付した案件  後進地域開発に関する公共事業に係る国の負  担割合の特例に関する法律案内閣提出第一三  七号)  地方交付税法及び地方財政法の一部を改正する  法律案内閣提出第一五五号)  地方財政法の一部を改正する法律案内閣提出  第一五八号)      ————◇—————
  2. 濱田幸雄

    濱田委員長 これより会議を開きます。  後進地域開発に関する公共事業に係る国の負担割合特例に関する法律案地方交付税法及び地方財政法の一部を改正する法律案並びに地方財政法の一部を改正する法律案、以上の三案を一括して議題といたします。  質疑の通告があります。順次これを許します。佐野憲治君。
  3. 佐野憲治

    佐野委員 大臣にお伺いいたしたいのは、平衡交付金地方交付税昭和二十九年から改正になったわけでありますが、シャウプ勧告によって平衡交付金制度がとられて、非常にいろいろな成果と欠陥があったと思うのでありますが、昭和二十九年から交付税改正されたわけですが、これに対して、一体どちらが財源保障制度として、今日の地方自治現状から考えて、大臣としてどのようにお考えになるかをお聞かせ願いたいと思うのであります。
  4. 安井謙

    安井国務大臣 お話の平衡交付金地方交付税に変わりましたのは御指摘通りでございますが、これは私ども地方財政を安定させるという意味からは、ただ足りないからこういうものでふやせというふうに毎年々々折衝を重ねていくというより、一定金額配付というものを想定しまして、それによってこの地方財政配分計画を立てるという方がより合理的であろうというような見地から、現在の制度を採用しておるわけであります。
  5. 佐野憲治

    佐野委員 いや、大臣にお聞きしたいのは、制度を採用しておるというのではなくて、地方自治地方行財政現状から見て、平衡交付金であった場合と、交付税でやった場合と、どちらの方が今日の状態地方財政にこたえる道であるか、これらに対して二つの制度を比較しながら、大臣としての率直なお言葉を聞きたい。
  6. 安井謙

    安井国務大臣 これは見方によっていろいろあると思いますが、最近の状況から申しますと、国の財政収入は御承知通りに非常に増額もしております。それに対する一定割合が必ず地方財源になっているという意味から、私は、今の地方財政にとっては、現在の制度の方がより安定的なものだと思っております。
  7. 佐野憲治

    佐野委員 現在の地方交付税がやはり平衡交付金と違っている点は、何といってもあてがい扶持である、こういうところに性格があると思うのですが、総額が三税の二八・五%に押えられている。そういうことから実際に地方における財政需要額がどうか、あるいは合理的な水準あるいは標準的な施策がどうあらねばならないかという、こういうことに対するところの重点が忘れられて、単にあてがい扶持からくるところの二八・五%をどう配分するかというところに、最近の地方財政計画組み立て方もそのようになっているのじゃないか、こういう感じを受けるわけです。そのことが勢い地方財政計画国会に対する提案がおくれて参る。国の予算がきまってから地方財政計画を立てる。国庫予算の編成を見ておりましても、やはり地方財政は最後になってしまう。もう二八・五%やっておけばいいじゃないか、こういうことから、その中において個々の問題が発生するから、この点に対して大蔵省と自治省がいろいろなやりとりをやっておられるということを毎年繰り返しておるわけで、根本的に地方行政施設は一体どうなっているか、水準はどうなっているか、どうあらねばならないか、こういう点がほとんど等閑に付されておるという原因もここにあるのじゃないか、このように感ずるわけです。それで大臣にお伺いいたしたいのは、一体現在ある水準、ザインとゾルレン、あらねばならない、こういうことに対して大臣としてお考えになったことがありますか。
  8. 安井謙

    安井国務大臣 地方財政行政水準がこうあらねばならぬという問題は、これはやはりいろいなものの角度から検討していかなければならないと思うのでありまして、それだけ取り上げて、全体から切り離して、こうあるべきものだという計算はなかなか出ないと思います。これは一つ企業にしましても、全体の国の状況、あるいは一般行政費にしましても、国なり日本経済状況というものとのにらみ合わせから出てくるものだろうと思いますので、これを切り離して、こうでありたいというものは、なかなかはっきり出すわけにはいくまいと思います。  それから交付税で単にお仕着せといいますか、仕切って、それだけの中で勝手に配分をきめるのだ、こういうお説でございます。それはまさにその通りではございますが、これは財政を切り盛りするという建前から言いますと、国の財政にいたしましても、やはり歳入の総額というものを見当をつけまして、それの範囲内で一つ計画を立てていく。従いまして地方におきましても、地方における収入交付税収入、そういうものの総額見当をつけて、その中においての配分を立てていく、こういう形になるのはやむを得ないかと思っております。
  9. 佐野憲治

    佐野委員 しかしながら、現在の状態は一体どうなっておるのか、こういうことに対する把握がやはり一番大切じゃないでしょうか。その中からいわゆる財政計画が立てられねばならない。その中から財政需要額の算定というものは生まれてくるのじゃないかと思います。そういう意味から、財政需要額そのものを一体どのような考えをもって算定しておられるのですか、この点を。
  10. 奥野誠亮

    奥野政府委員 一応現実から出発いたしまして、それに合わせまして、たとえば道路整備五ヵ年計画を立てる、あるいはすし詰め教室解消五ヵ年計画を作るそういうことを可能にし得るような財政措置をとるという建前で行なってきているわけでございます。そのスピードがこれで十分でないか十分であるかという問題になりますと、いろいろ議論のあるところでありまして、民間経済発展から考えますと、公共施設整備スピードがおそいじゃないかという議論がかなり多いわけでありまして、そういう意味において公共投資がおくれている、こういう批判もなされておるわけであります。しかしながら、このスピードがいいか悪いかということについては議論はございましょうけれども、一応従来の程度にプラスいたしまして、そういうことが可能なような財政措置を種み重ねてきているというのが現実の姿でございます。
  11. 佐野憲治

    佐野委員 その財政需要額行政内容、それがはたして現実に適合しておるかどうか、こういう問題があると思います。たとえば無医村の場合に、やはり医者をどうするかというような場合、あるいは電気がついていない村落がある。こういうのにはやはり電気をつけなければならない。こういう住民福祉のためにどうしても必要に迫られている団体もあると思うのです。これらは財政需要額から省かれているわけです。こういう点をもっと財政需要額の中に見ていく。こういうために現在の行政施設あるいは行政水準が一体どうなっておるか、こういう点をやはり明らかにするのが一番大切じゃないかと思うのですが、どうですか、その点は。
  12. 奥野誠亮

    奥野政府委員 一応は交付税制度で、各団体について、ここまでの施設整備の可能な財源を保証したいということで、単位費用をきめているわけでざいます。その単位費用内容といたしましては、たとえば学校であれば、この程度までの校舎で、どの程度までの設備ができる、あるいはまた職員数でありますならば、どういう範囲まで置けるというようなことをお示しして参ってきておるわけでございます。同時にまた、毎年どの程度施設整備されてきておるかということにつきましては、地方財政状況報告国会提出しているわけでございますけれども、その中に昨年来取り上げて記載をするという態度をとって参ったわけでございます。ただ、これは全国的な数字でございますので、これで十分であるか十分でないかは、なかなか判断していただきにくいだろうと思うのでございますけれども、交付団体につきましては、毎年ある程度単位費用内容を変えまて、たとえば学校給食施設を充実するというようなこともやってきたりしているわけでございますけれども、こういうようなことで判断していただくよりいたし方がないだろう、こう思います。  なお、単独事業につきましては、特に個別の長期計画を作っているわけじゃございませんので、自然単独事業に使えるような財源をどの程度伸ばしてきているであろうかということにならざるを得ないかと存じますが、三十六年度につきましては、地方財政計画のもとにおきましても、かなり大きな金額増額できたというように私たちは思っているわけでございますけれども、これといたしましても、今御指摘になっておりますように、現状は非常に低いじゃないかということから考えますと、十分だとは言い切れないと思うのでございます。ただ、やはり年々それを改善していく以外には方法がないのではないだろうか、こういう気持を持っているわけでございます。  なお、診療所の問題を御指摘になったわけでございます。無医村でありますと、地方団体診療所を建設して、そういう問題の解決をはかっていく努力もしておるわけであります。この種の仕事につきましては、市町村としてもかなり一般財源を投入せざるを得ないわけでございますので、三十五年度の特別交付税配付にあたりましても、診療所現実に置いております団体につきましては、ある程度一般会計からそれに対しまして金を出していくという建前特別交付税を交付するという措置をとったわけでございます。御指摘になりましたように、一般会計の問題だけじゃなしに、電気の問題その他にいたしましても、充実していかなければならない点が多いだろうと思うのでございます。そういう点は、おそらく公営企業なり、準公営企業なりの地方債資金をあわせて充実していくということになろうかと思うのでございます。そういうことにつきましても、数年来毎年相当な額の増額を行なってきているつもりでございます。現状が十分であるか十分でないかということにつきましては、私たち先ほども申し上げましたように、十分だとは考えていないわけでございます。しかし相当なスピードで改善しつつあるというようには考えておるわけでございます。
  13. 佐野憲治

    佐野委員 やはり憲法でいいますところの健康にして文化的な生活を保障する。ですから住民は、この村におろうと、あの町におろうと、やはり住民福祉が保障される、こういうことが一番大切じゃないか。その意味から、交付税の中においても規定として「道府県又は市町村ごとに、標準的条件を備えた地方団体が合理的、且つ、妥当な水準において地方行政を行う場合又は標準的な施設を維持する場合に要する経費」、こういう規定をやっておるわけでございます。そういう意味から、合理的かつ妥当な水準、あるいはまた標準的な施設を維持する、こういうのを経費基準とするということであるといたしますならば、当然やはり自治省においても、一体どれくらいの状態に現在あるのか、これを五年なり十年の長期見通しを立てて、その中から一体どうしていくのか、こういうことを考えられるのが当然じゃないか。自治省には現在行政水準が一体どうなっておるか、施設の維持はどうなっておるのか、こういうことに対する資料を一体持っておられるのですか、どうですか。
  14. 奥野誠亮

    奥野政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたように、地方交付税法の御審議を願う意味におきましては、単位費用基礎として考えている施設がどの程度のものであるかということは、提出させていただいておるわけでございます。たとえば小学校校舎何坪程度のものを維持できる財源を保障しておるかというようなことになりますと、現在の国庫負担制度に合わせておるわけでございます。しかし、これ自身では特別教室も作れないというようなことになっているわけでございますので、だんだん経済発展が進みますにつれまして、その程度も上げていかなければならない。こういう気持を持っておるわけでございます。一例を申し上げますと、中学校の標準的なもので、義務教育費国庫負担金の対象としておりますのは、生徒一人当たり〇・八坪であったかと思います。地方債につきましては一・二六坪を採用しておるわけでございます。交付税につきましても将来そこまで持っていくようにしたい、こういう気持でおるわけでございます。
  15. 佐野憲治

    佐野委員 しかしながら、現在における地方行政水準ですか、あるいは行政施設内容が、やはり非常に地域的な格差を見せていることは現実の事態だろうと思うのです。そういう実態を通じて、一体どうこの水準を高めていくか。こういう点に対しまして、大蔵大臣が参られたらお聞きしたいと思ったのですけれども、大臣としては、地方税交付税国庫支出金、この三つをもって調整して参りたい、こういうようなことを予算委員会でも答弁しておられたと思うのです。しかしながら、そういう意味から考えて参りますと、ですから交付税そのものほんとう財源の補償をする調整制度としての役割を失ってしまっているのじゃないか、そういうところに皆さんの現在あるべき姿と、今後どうあらねばならない、こういうことがはっきりしてこないのじゃないかということも考えるわけですし、それから今度のことしにおける交付税は二八・五%に押えられた。こういう点を見て参りましても、皆さんも現在におけるところの地方状態が、高度経済成長政策のためにどのように忘れられておるか、あるいは格差が激しくなってきておるかというような問題が地方自治体を包んで参っておると思うのですが、地域的なそういう格差あるいはまた職業的な格差階層別格差、これが地方においていろいろな姿を示して参っておるわけですが、これに対しまして一体どうしていくかということになって参りますと、たとえば二八・五%なんだ、その範囲においてやっていけ、足らないところは国庫支出金もやっているじゃないか、補助金もあるじゃないかという形をもって、ほんとう地方行財政の実際というものと取り組まれていないじゃないか、こういう感じがするわけです。ですから、皆さんの方もちょっと要求しにくい。国の高度経済成長のために戦後最大の膨大な予算を作っておる。財政投融資もふえて参る。こういうときに地方としてはそう言えないだろう。もちろん地方税収入の伸びはありますけれども、これも今度八つぐらいの地域を中心として上がる法人税なりそういうものが多いと思うのですが、そういうことになって参りますと、ほんとう地方におけるところの実情というものを明らかに浮き彫りにして参りますならば、これをどうかしなければならぬのじゃないか。それが本来の交付税制度として持つ作用じゃないか。ということになって参りますと、交付税にもその場合を予想いたしまして、六条の三の二ですか「毎年度分として交付すべき普通交付税総額が引き続き第十条第二項本文の規定によって各地方団体について算定した額の合算額と著しく異なることとなった場合においては、地方財政若しくは地方行政に係る制度改正又は第六条第一項に定める率の変更を行うものとする。」こういうことを規定してあるのは、その意味だろうと思うのです。そういう意味において、皆さんの方として、今日における格差のついておる地方行政水準、しかもその中に非常に大きな問題をかかえておる地方団体の現況を考えると、この水準格差を打開するために、どうしてもやはり財源調整制度としての交付税によって、少なくとも交付率を引き上げなくちゃならぬのじゃないか、引き上げるにはこういう根拠があるのだ、そういうものをお持ちになることが当然じゃないか。それが案外今度の予算折衝の場合におきましても出て参らないというのは一体どこに原因があるのですか。
  16. 安井謙

    安井国務大臣 地方における行政水準格差といいますか、経済発展格差というものは、私はこれもまた原因はいろいろ複雑だろうと思うのでございます。御承知のように交付税というものは、今日基準財政収入基準財政需要との穴を埋めておるという意味におきまして、この基準財政収支を埋め合わすという点ではほとんど全団体に平均的な配付をしておるということによりまして、必ずしもいわゆる行政水準そのものが極端な格差を招くような仕組みになっておるとは思わない。従って一部の団体で非常に経済的におくれておるというような団体——たとえば東京とか大阪を例にとって見ましても、基準財政需要収入との間に若干のゆとりが計算上は出てくる、その点ぐらいが交付税配付しておる他の団体との差額になると思うのです。この問題は別になりますが、同じ東京都でも、まだ計算上はそういう若干の差が出るにしても、依然として二十三区でも百何十万という人が水道の恩恵に浴していない。そういう行政水準が果たして高い水準かどうかという問題もありまして、これはやはり一般住民あるいはそこに構成されておる社会的な経済状況との比較や何かからすべて考えてみなければならない。ただ交付税をふやすという観点だけではなかなか根本的な問題は解決できないと思うのであります。そういう意味から、どうしても地方の全体の水準を上げていく、また地方財政を強固にしていくためには、地方開発重点を置かなければいかぬ。そこでそれには相当行政的な措置もやり、また一方別途の財政的な措置もやって、そちらから開発のテンポを進めていこうという方法をとりつつあるというのが今の実情でございます。
  17. 佐野憲治

    佐野委員 私はそういうことをお聞きしているのじゃなくて、今言われました東京都の場合でもそうなんですが、地方現状、いわゆる行政施設あるいは水準現状、こういうものを明らかにすることによって、これをどう充足していくか、どう高めていくか、そういういわゆる年次的計画というものが当然持たれなければならぬのじゃないか、そういう意味から東京都の場合といえども、あるいはまた財政力の弱い鹿児島県の場合をとってみても、それぞれ地方団体の持っているいろいろな問題があると思うのです。決して東京都だから行政水準が高いと言い切れないことは、今日私たちの経験している通りだと思うのです。だから行政水準は一体どうなっているのか、施設は一体どうなっているのか、このことを明らかにされて、それで財政需要額というものが実際の現実に合わぬじゃないか、もっと財政需要額というものを広げなければならぬのじゃないか。今日の地方税現状から見まして、大きなものが取れないというところから交付税が生まれてきたわけであります。また資本主義発展の中において、日本だけじゃないでしょうけれども、人口と富の集中が行なわれて参るということが地域的な格差をも作ってきておる大きな原因となっておるわけですから、そういうものを一体どうやっていくかということは、大きな政策の問題でしょうけれども、地方団体としてなさなければならない財政需要額そのものが狭められておる。そういう意味ではなくて、こういう状態だからこれも財政需要額の中に繰り入れなければならぬじゃないかということが必要になってくる。そういう形で一体現在の水準と、ここ十年を見通して、水準的な地方団体として維持していくためにどれだけのものが必要であるか、どれだけの施設を拡充していかなければならないか、こういうものを皆さんの方が持っておられなければならないのではないか、持つべきではないか、こういうことをお聞きしておるわけです。
  18. 奥野誠亮

    奥野政府委員 たとえば校舎施設整備でありますと、御承知のように三十三年来すし詰め教室解消五カ年計画を立てたわけでございます。それを解消して後に、その上にさらに特別教室その他の充実の問題が起こってくるだろうと思います。道路整備五カ年計画につきましては、今回改定が行なわれたわけでございますが、そういうものを別にして、地方団体だけで言いますと、たとえば下水道整備計画があるわけでございます。下水道につきましても、一応十年間に市街地の何%まで整備するかというような案を持ちまして、交付税計算をいたしておるわけでございます。その場合に耐用基礎に算入いたしております金額は、御承知だと思いますけれども、償却費計算の仕方をしておるわけでございます。今それをすぐ建設するということではなしに、それを建設した場合に、何年間その施設を使っていけるか、その年数で割ったものを耐用基礎の中に算人いたしておるわけでございます。どちらかといいますと、地方財政上の需要額を動態的に把握しているのではなくて、静態的に把握しているわけでございます。従いまして、恒久的にはそれだけの施設ができるというような計算のもとに、長期計画のできますものについては長期計画に基づいた所要額地方財政計画なりあるいは交付税配分計画なりに算人いたしておるわけでございます。従いまして今施設の非常におくれているところ、そういうところは、たとえば四十年間使っているものでありますと、毎年四十分の一ずつの財源しか見込まれておらないわけでございますけれども、今直ちにそれだけの施設ができるだけの財源は見込まれていない、こういうことになってしまうわけでございますので、交付税制度のもとにおいても、一挙に格差がなくなってしまうということは不可能な状態であるわけであります。地方財源が十分でございますれば、静態的な把握の仕方をしないで、動態的な把握の仕方をすればよろしいと思うのでありますけれども、そこまではちょっと無理じゃないか、こう思っておるわけでございます。そうしますと、国と地方財源配分というものが、国と地方の任務から見た場合に、地方団体の方が非常に不足しているのかどうか、こういう問題になってくると思うのでございます。そういう観点から見て参りますと、昭和三十六年度の国民総租税負掛の配分、どこでどう使うかという面を見て参りますと、地方団体の使う部分が六二%をこえる計画になっているわけでございます。そうしますと、地方団体の使っておる部分が必ずしも少な過ぎるのではないかという議論にはならないのではないかと思います。この中には地方税もあれば、国庫支出金もあれば、地方交付税もあるわけでございます。さらに国民の総租税負担が今のままでいいか悪いか、こういうような議論にまで発展をしていくわけでございまして、おっしゃいますように、一応持てるものから長期的な計画を持って参っておるわけでございますけれども、それを地方財政計画なり、地方交付税なりに反映させます場合には、減価償却費相当額を個々の地方団体に保障していくというような考え方のもとに計画を立てておるわけでございますので、一挙に格差がなくなってしまうというわけにはなかなかいかない。しかし、将来におきましては格差がなくなるというような建前のもとに、こういうような作業をしているということを御了解いただきたいと思うのでございます。
  19. 佐野憲治

    佐野委員 私のお聞きしたいのは、そういう点もあるのですけれども、もっと根本的に本来の地方自治団体としてやらねばならない、住民福祉のためになさねばならない施設なり、あるいはそのための財源配分というものがはたして合理的であるのかどうか、こういう点に対して皆さん現状把握が大切じゃないか。そういうことをもう少ししっかりしておかなければ、結局やはり大蔵大臣の言われる財源調整として国庫支出金があるのだ、いわゆる国庫支出金一つまたのさばって参る。しかもそれは前回の質疑のときに申し述べましたように、昭和三十四年が八百三十幾つの項目に分かれて、三十五年度は八百八十一、ことしもまた三十幾つかふえて参る。預託金を含めますと、一千四百もの支出になって参る。そういうような、各官庁の中においてセクショナリズムもあるでしょう。また、中央集権的にそういうものが地方に押しつけられて参るということの中から、やはり地方における自治権というものがそこにおいて侵害をされてきているわけですし、それがはたして地方実情に合っているかどうか。補助金内容を見て参りましても、実にいろいろな問題点を含んでいるだろうと思うのです。それと、今日のように国が高度経済成長計画を立てるためにあらゆる面において統制をやっていく、たとえば公共投資にいたしましても、あるいは公共企業体に対する投資にいたしましても、やはり投資効果というものを中心にしてねらわれていると思うのです。そうしなければ高度経済成長あるいは所得倍増というものを達成することはでき得ないわけです。そうすると、経済生産効果というものを重点としたいろいろな施策が進められて参ると、それに地方自治団体は従属していかなければならぬ、こういう形になってくると思うのです。そのことは皆さんが資料として提出になっておる歳出の構成を見て参ると、明らかになってきておるだろうと思う。ですから、地方における自主的な財源なり自主的な余地というものはほとんど狭められてきてしまっておる。しかもそれは国の施策なり国の方針に地方自治団体が隷属していかねばならない。しかもその施策は生産効果を中心として進められて参っておる。そうじゃなかったら九%の経済成長の達成は不可能だ。そのことが一体地方の自治体にどういう影響を与えて参るかということに結局なってくるであろうと思うのです。その結果として、いわゆる東京都の場合は交通が麻痺する、工場ができて地盤沈下が起きる、あるいは用水が不足する、住宅が不足する、学校が不足する。そこに公共企業体からの投資をやらなくらやならない。あるいはまた皆さん一般会計の中からもこれを埋めていかなければ、現実に麻痺しておる交通機関はどうするんだ、こういう形に追われているのが現状じゃないかと思う。そうじゃなくて、地方自治体の現状はこうなんだ、こういうことが現在の状態なんだ、だから将来はこうあるべきなんだということを明確にして、そういう地方における自治体が自主的に地方住民の目の届くところで、その幸福のために政治をやっていく、そのことのためにどういうことが一体必要なのか、これを中心にしてやるべきであるし、その中で地方現状を高めていくということと、国の方針というものの調和をはかって参るということになって参らなければならないのじゃないか。平衡交付金の場合に、おそらくいろいろな弊害もあるかもしれませんけれども、そういう意味地方の政治なり民主主義を育成するためには、そういう方法をとることがシャウプ勧告においても強く勧告されて出て参ったと思うのです。ところが現在の場合は、交付税に変わって参りますと、平衡交付金の趣旨は理念としては生かされておる。しかし実際的には国に隷属して参らなければならない。こういうところに追い込められてくるところに、行政の二重構造あるいはいろいろな諸問題が今日出てきておるのではないか。その上にたとえば予算折衝の場合におきましても、もう地方財政は二八・五%でいいんだ、そのあてがい扶持内において何とかつじつまを合わしていけばいいんじゃないか。そこで国庫支出金その他をもって流れ込んでくるいろいろな国の施策を、地方自治体はいかに組み入れていくか、これしか残されていないというのが現状ではないか。そういう意味において、地方交付税に対する考え方をもう少しはっきり持たれることが必要ではないかという工合に私考えるのですけれども、この点いかがですか。
  20. 安井謙

    安井国務大臣 お話しのように平衡交付金にいたしましても、それは確かに平衡交付金にすれば観念上そういったような一つの積み上げ計算ができる。そうすると、これだけのものが要るのだという計算ができるかもしれませんが、いわゆる隷属といいますか、国から財源をとってくるという意味におきましては、むしろその場合に一種の力関係というか、そのときの国の財政全体の問題に制約されるということが多いのでありまして、これは交付金制度にしておけばそういうものが必ずしも満足にいくというふうには私考えられないと思うのであります。今も財政局長が申し上げましたように、国の仕事にしましても、その大部分のものは結局地方自治体で消化されておる問題なのでございます。そのこと自身が地方の全体の行政水準を上げることに役立っておる問題でありますので、一がいに交付金制度ならばそういう計算ができるというふうにも、あるいはそれが合理的に行なわれるというふうにも考えられないと思います。ただ佐野さんのおっしゃいます、それにしてもこの地方団体が自主性を持って、長期的なかくあるべき姿というものを、もう少し計算的に努力して考えてはどうかという御注意に対しましては、私どももでき得る限り考えてやらなければなるまいという感じは確かにいたします。ただそれがいろいろな国の財政との関係、地方団体自体の相違、そういうようなものから画一的な長期計画が非常に立てにくいという状況もあることを御了察願いたいと思うのであります。
  21. 佐野憲治

    佐野委員 ですから、そういうことになって参りますのも、いわゆる交付税になってから、政府の考え方も非常に変わって参ってしまったのであります。地方財政計画国会提出するということも、単なる形式的な、数字を合わせるというだけになってしまっている。こういうことはシャウプ勧告から見るとずいぶん違ってきておるのです。ですからそういう意味で、たとえば財政計画の中核をなす交付税を決定する場合におきましても、やはり国の予算編成前に平衡交付金の理念を生かして、地方行政水準はどうあるか、そのためにやらなくてはならぬことと、あるいはたとえば財政局長が言われますように、国、地方を通じて、地方がやっている経費というものは六二%までになっておるのだ、こういうことを御指摘になりましたけれども、その内容は一体どうなのか、これが一番問題だろうと思います。全体として六二%なのだが、これは一体どういう形をもって自治団体に流されて参っておるかということも一つの大きな問題だろうと思うのです。そのためには零細な補助金というものは要らぬじゃないか、それには国がみずから持っておるのじゃなくて、地方団体に自主財源として与えるべきだ、こういうこともやはり主張できると思うのです。しかも行政水準はこうだ、そういうことにおいて政府の所得倍増計画の中でもし間違っているものがあるとするならば、あるいはこういう地方におけるいろいろな格差を拡大するのだということになれば、そういう中からチェックすることもできるのじゃないか。あるいは資本家たちが四大工業地帯及びベルト地帯に工場を集中して参るために、地方行政なり地方財政がしりぬぐいに追っかけまわされてしまうわけで、現実的にはベルト地帯の中にこれ以上工場を設けることはできないのじゃないか、こういう地方の実態を明らかにして、コントロールしていくこともできるのじゃないか。そういう角度から地方自治体がやはり自主的に運営できる——交付税の意義の中にもそのことが明確に規定しておるわけです。しかも単位費用に対する定義も明確になっている。この趣旨からいけば、どうしても国家予算編成前に地方におけるところの計画が作られなくちゃならない。そういう中において、それは地方がやるよりも国がやった方がいい、こういうものが公共事業なんかの場合にはあるだろうと思います。それは国がやればいいのだろうと思う。そういう中から地方行政水準がどう高まっていくか、そのためにはやはり国なり、いろいろ経済力の発達の条件が大きく支配されてくるでしょうけれども、そういう中にあって見込まれるものは一体どうか、こういう形で交付税の率を変更する。あるいはそれに基づいて、そういう問題に対して現行法律ではどうしても不可能な場合においては、ちゃんと交付税制度なり財政制度なりの変更ができるのだ、こういう保障をやっておるのだと思うのです。それをそうじゃなくて、国家予算の編成が終わってから地方財政というものは組み立てられてくる。だから国の施策を受け入れるのが地方公共団体だ、こういうところが逆になってしまっておるのじゃないかということも、こういういろいろな原因をチェックすることのでき得ない一つの問題点じゃないか、こういう工合に考えるのですけれども、この点はどうですか。
  22. 安井謙

    安井国務大臣 これは同じような御議論になろうかと思いますが、やはり地方団体独自の積み上げをやって、それに対して国からの平衡交付金を出させるという建前にやった方がより合理的じゃないか、シャウプ勧告もそういうことじゃなかったか、こういうことをお聞きだろうと思います。シャウプ勧告そのものが、当時シャウプが考えておったようなものが全面的に今までに残っておると私ともも思いませんし、またあの勧告自体にすら、当時からもうすでに非常に修正を要した問題もたくさんあったと思いますし、それから交付税でお仕着せのようになってしまうじゃないかという点はありますが、それが地方財政といえども国の財政と相関関係を持ってやっていくわけでありまして、ことに今のような地方財政全体が独立した財源の少ないとき、国の財政全般の動きに関連なしにやっていくわけには参らぬと思います。その意味では、むしろ国の財政が非常に伸びる際に自動的に地方財源が伸びていく。それによって従来やっておったものよりも、さらに相当進んだ行政水準の維持ができる、あるいは格上げができるという状況になるとすれば、必ずしも前の平衡交付金制度よりは今の制度が悪いというふうには一がいに言えない。今のような状況ですと、その反対で、むしろ地方が自主性を持っていろいろな切り盛りをやっていくという方がよりやりやすいのじゃないかというふうにも思っております。
  23. 佐野憲治

    佐野委員 先般国連の調査団の一人として日本に参ったポール・コーリイバイアン、この人が、日本の今日における都市の問題、地方自治体の問題に対する報告書を出しておるのをお読みになったことがありますか。
  24. 安井謙

    安井国務大臣 残念ながら私まだ読んでおりません。
  25. 佐野憲治

    佐野委員 この報告を見て参りましても、やはりシャウプ勧告と同じようなことを指摘しておられるのじゃないかと思うのですがね。公共投資なりあるいは企業に対する財政投資というものは日本の場合異常だということを指摘して、そのためにいろいろと国際収支の悪化を来たしたり、あるいはそのために企業に減税をやらなければならない、こういうむだなことをやっている。それよりも、地方財政に力を与えることによって、その分で教育なりあるいはまた健康なりいろいろな点が実施されていくんじゃないか。こういう点はシャウプさんも、国連の調査団で来られた人たちも、同じようなことを指摘されておると思うのですが、そういうことが日本においてでき得ない。少なくとも経済高度成長計画なり、所得倍増計画の中に、そういういろいろな政策、政治の方針を数字の上においてはっきり表わしていきたいということで、非常に厳密な計算が行なわれてきておるわけですが、このことが地方自治体にとって非常に不幸な状態を呼び起こしておるのじゃないか、私たちはこのように考えるわけなんです。だから現在におけるところの中央集権的な傾向が強まって参ることを防ぐことができ得ない。と同時に、地方の固有の仕事というものが狭められてくる、これも防ぐことができ得ない。すべて国のそういう形に隷属して参らなければならないということ、これは何としてもチェックしていかなければ、日本の民主主義なり地方政治というものが破壊されていくのではないか、そのことが地域格差なり、住民の中にあるところのいろいろな格差というものを是正していくことを措置することもでき得ないのではないか、そういう意味においていろいろと御意見をお伺いいたしたわけです。  この問題はこの程度にいたしまして、一つ角度を変えまして、今度の交付税が九百億円ですか増額になったことを通じて、一体どのような配分——今傾斜配分考えておられるそうですが、どのような配分をするか、試算したものを持っておると思いますが、その内容を伺いたいと思います。
  26. 安井謙

    安井国務大臣 具体的には財政局長からお答えいたすと思いますが、今度の九百億という財源、実質上は六百六十億でございますかの増加、それから地方税地方財源の増加というものを総合的に考慮しまして、でき得る限り地方で、公共事業費でいえば単独でやり得る余地を残し、あるいは従来の単価計算等で非常に不合理になっておる面はそれを埋めていく。さらに低開発地域におけるいろいろ財政需要の計算の割増しをしていくというふうなことによって、今度の財源配分は相当修正もされておると思っております。
  27. 奥野誠亮

    奥野政府委員 基準財政需要額をどういう団体に、どういうものについてどれだけ増額したかということは、資料としてお配りしているわけでございますけれども、その三ページのところに書いてありますように、一つは給与改定の平年度化に伴う経費でございまして、七百四十億円ございます。その次に大きいのは投資的事業費にかかるものを増額したことでございまして、七百九十四億円に上っております。それから国庫補助負担金の増減に伴いまして裏の経費を見ておる分が百八十三億円ございます。それから公債の繰り上げ償還に要する経費について見ましたものが百六十億円ございます。その他単独災害債の財政力補正によりまして増額いたしました経費、あるいはまた特定債の財政補正を増額いたした経費等でございます。大きな点は今申し上げましたような点でございます。
  28. 佐野憲治

    佐野委員 もう少し詳しく三十五年度の財政需要額に対して改正による追加需要額といいますか、これを府県と市町村がございますから、交付、不交付に分けてもらえばいいのですけれども、それは困難でございますから、一応都道府県と市町村に分けてみてどうなっていますか。
  29. 奥野誠亮

    奥野政府委員 道路がふえたとか、人口がふえたとかいうような測定単位の自然増分を省いておりますが、基準財政需要額の増加いたしましたものが、道府県につきましては千二百三十五億円、交付団体で千十四億円、不交付団体で二百二十一億円、市町村につきましては六百七十七億円、交付団体で四百五十六億円、不交付団体で二百二十一億円でございます。地方交付税関係資料と題しました二十九ページにわたる資料の三ページのところでございます。
  30. 佐野憲治

    佐野委員 それで傾斜配分重点を置いた——傾斜配分には、たとえば耐用性の合理化とか、段階補正の合理化というような区別があると思いますが、そういう区分別に試算されたものはどういうところに傾斜配分を見たのですか。
  31. 奥野誠亮

    奥野政府委員 傾斜配分という意味で特に拾い上げて申し上げますと、たとえば投資的経費を算入するにあたりましては、面積を測定単位とするものにかかる単位費用増額いたしております。その部分が二百十一億円、面積と人口と二つでございますけれども、人口につきましても、地方団体につきましては段階補正を行なっておりますので、ある程度傾斜配分になっておると思います。それが道府県分で二百十一億円、市町村分で四十七億円というふうになっております。それから種地の低い町村についてだけ基準財政需要額を増額したものがございます。その部分が三十八億円でございます。それから小学校費、中学校費を算定いたします場合に、学校数を測定単位とするもの、その部分を特に増額したわけでございますが、これは大体において面積のだだっ広い、種地の低いところに傾斜的に配分になると考えておるわけでございまして、そういうことも特に意図したわけでございますが、その部分が約十億円でございます。それから市町村につきまして、農道その他の投資的経費を算定する意味におきまして、農業行政費増額いたしておりますが、その部分が十一億円ございます。それから山村とか漁村とかいうような関係についてその他の産業経済費を増額した部分が約三億円ございます。今申し上げました部分は、さっき申し上げました資料の七ページのところでございます。
  32. 佐野憲治

    佐野委員 そういう中に税外負担に対するものは、昨年は九十一億円含まれていたのが、今度は含まれていないわけですが、どうですか。
  33. 奥野誠亮

    奥野政府委員 税外負担を解消するという意味で特に取り上げたわけではございませんけれども、従来PTAの負担等に転嫁されておる、そういう事情から考えまして、ある程度この際基準財政需要額を増額すべきだというようなことを考えましたのは、小学校費でいいますと、通信運搬費を増額いたしましたり、校用備品を増額いたしましたりした部分が、学校を測定単位とする部分で約三億円でございます。それから児童、学級数を基礎とします部分について建物の維持修繕費を増額いたしましたり、あるいは賃金とか、燃料費とか、印刷費、光熱費というようなものを増額しました部分が二十七億円ございます。同様な意味において中学校費について増額しましたのが約九億円でございまして、小、中学校費全体で増額しましたのが三十六億六千二百万円ということになっておるわけでございます。
  34. 太田一夫

    ○太田委員 関連して奥野財政局長に伺います。税外負担の関係ですが、下水の話が先ほど出たのですが、非常に下水はお金がかかる。そのお金のかかったものを最近では受益者負担によって相当取っておる、こういう例が非常にあるのですが、下水が完備したから、今まで地の上を流れていた雨水が下水管に集約されていく、あるいは水洗便所が作られる可能性ができたということに原因を求めまして、坪当たり何十円、たとえば五、六十円という程度の負担金を課するということは、これはあなたの方から見ると税外負担と言わざるを得ないと思うのです。これは税外負担であるのかないのか、御見解を一つ聞いておきたい。
  35. 奥野誠亮

    奥野政府委員 下水道整備されて参りますと、土地の値打ちが上がってくるわけでございますので地価も上昇を見ていくわけでございます。そういう意味において上昇部分の一部を受益者が負担する、こういうのは広い意味で租税以外の負担金でございますので税外負担かもしれませんけれども、不合理なものとして解消すべき税外負担、そういうものにも入らない、かように考えておるわけであります。
  36. 太田一夫

    ○太田委員 広い意味での税外負担であるが、解消すべき性格のものでないとするならば、これから上水道を敷き、下水道を敷く、あるいはまた公営企業を各地に営む、道路を舗装する、学校が近くにできる、消防署がうちの隣にできる、交番ができる。全部分担金を取られても、便利になるわけだから税外負担ではございません。こういうことになったら、税外負担というものはなくなってしまうのじゃないですか。
  37. 奥野誠亮

    奥野政府委員 学校教育法等におきまして、学校を作ったら受益者負担を取れるのだというような根拠はありませんが、都市計画法等におきまして、都市計画施設整備して参ります場合に、下水道を作ったりいろいろやります場合に、受益者負担金を徴収するというような法律根拠もあるわけでございます。また全国市長会で先般下水道財政研究委員会というものを設けまして、将来下水道をどう整備し、その財政をどう考えていくべきであるかというようなことを検討した結果の結論としましては、ある程度受益者負担金をもらうことが公平になるのだ、また整備の促進にもなるのだ、こういう結論を出しているようでございます。
  38. 太田一夫

    ○太田委員 下水道の場合は、建設省がそういう省令を出したから合法的である、こういうところに論拠を求めたとしましても、この地方財政のバランスをとったり、将来の発展考えたり、行政水準の向上とか、あるいは力のあるものには出させるが、力のないものには出させないといった地方税の取り方の問題から考えても、建設省の省令だから坪六十円は合法的である、これは税外負担ではありませんということになってきますと、今までわれわれは地方税とか、交付税とか、財政計画であるとかいうことを直剣に考えつつ、いかにしたら地方住民が楽になるかと研究しているのに、片方でどんどんそんなに省令を出されて、それは利益するからよろしいということになったら、もう地方行政委員会なんかあまり考えることはなくなってくると思う。これは都市計画税を取っている場合には二重に課税していると思いますが、その辺はいかがですか。
  39. 奥野誠亮

    奥野政府委員 たとえば非常な低湿地で、常にハエや蚊その他のものがわんさとわいている、そういうところについて排水施設整備し、のみならず、汚水までその中にほうり込んで浄化装置ができるようにするということになると、地価が相当に上がって参ります。そうすると、そういう仕事を一般の納税者だけの負担でまかなうことがはたして公平であるかどうか。それらの施設によって地価が値上がりしてくる、その恩恵を一部の土地所有者だけに占有させていくことがはたして公平であるかどうかということは疑問があるのであります。やはり、そういう場合には、受益者負担金を出してもらった方がよろしいのだということを当該団体が希望する場合には、それは穏当でないのだと言うことは適当でないような気がいたします。やはり土地の所有者にある程度の負担を求めるということを当該団体が可とすれば、それはそのままそういうような措置をとらせるべきではないか、こう思っております。
  40. 太田一夫

    ○太田委員 あなたの議論がそう根底から間違って、とんでもないものだと思っているわけではないのです。それはなるほどよく知っていらっしゃる奥野さんのことだから、まず過半数信用してよろしいと思いますが、現在一番困るのは、道路が舗装される場合に、その周辺にいる受益者負担をかけられる人たちの負担金の問題、これはやはり非常に困るのです。場合によってはいろいろな名前をつけられて、坪当たり舗装費何千円取られているところがある。場合によっては万という単位のところさえあると聞いております。はたしてそれが真実であるかどうかわかりませんが、それは便利になるから、石が飛ばなくなるから、ガラスが破れなくなるから、泥はねがなくなるから出していいだろうということでみなしんぼうして出している。そうすると、ガソリン税とか軽油引取税の増税を出しているが、それはおかしいじゃないですか。その他目的税なども、それがいかにあっても、それが少ないのか、その使い方が悪いのか、地方住民は税外負担と同じような非常に大きな負担金とか寄付金をもって国策に協力し、地方自治の確立に協力しているわけです。今の下水の話ですが、下水をやれば、その土地の値段が上がるということになれば、道路を広げれば、そこの土地の値が上がる、あるいはその道路を舗装すれば、やはり同じようにその土地の値が上がるということになると、受益者負担ということをあまりそこまではっきり確立をいたしますと、将来もう地方住民というものは天井なしの負担をしいられるような結果になる。それをどこらで押えるかというのが、あなたたち、われわれの任務ではないか。それはなるほどあるのだ、あろうけれども、仕方がないかもしれませんけれども、もうかるからよろしいというようなことはないでしょう。そういうことなら、みんなもうかった人だけが出せばいいのだから、あまりわれわれが税法を熱心に審議しなければならぬ必要はなくなってきてしまう。その点どうですか。
  41. 奥野誠亮

    奥野政府委員 御指摘になりましたように、ただ道路を舗装したからすぐに受益者負担金を徴収するのだとか、こういう行き方は私たちは穏当でない、こう考えております。その点につきましては、原則的には御指摘になった通りだと考えておるのでございます。ただ特定の事業につきまして、限られた一部の人だけが特に多大の恩恵を受ける、しかも経済的な利益を受けていく。そういう場合には、その一部の人たちに別途ある程度の受益者負担金を出してもらう、そのことの方が全体的に公平だという場合もあるわけでございますので、受益者負担金制度を全面的に否定するような考え方は適当ではない、こういう気持でおるわけでございます。もとより、そういう意味でおっしゃっているわけではないと思いますけれども、受益者負担金を徴収した方が公平の原則に合致するという場合も、先ほどおあげになった中にはある、かように考えておるわけであります。
  42. 太田一夫

    ○太田委員 念のためにもう一つお伺いしておきますが、しからば道路の、県道、市町村道の舗装というのが、最近これはなかなかやってもらえないために、非常に問題になって、半額くらい出しておるところもたくさんあるのですが、そういうものの舗装に対して受益者負担を出す。これはあなたの方としては必要悪——必要悪じゃない、これは一つの趨勢として必然のものだというお考えですか、それともこれはなるべく将来やめていくようにしたいというお考えなのか、どちらでございましょう。
  43. 奥野誠亮

    奥野政府委員 従来府県はそういう仕事をします場合に、一部の経費市町村に持たしておったわけでございます。市町村はまた住民に転嫁していたということがあろうかと思います。昨年の地方財政法改正におきまして、御承知のように、府県が市町村に負担を転嫁することを禁止した項目の中に、国道の改修に要する経費を原則として市町村に転嫁してはならない、こう書いたわけでございます。従いまして、そういうものが排除されてくるだろうと思いますし、そうなって参りますと、自然住民への転嫁もなくなってくるだろうと思います。原則といたしまして、今申し上げましたように、舗装したからすぐにそれが別途沿道の住民の負担転嫁になるというような傾向は、あとう限り避けさせるように努力していきたいという考え方を持っておるわけであります。
  44. 二宮武夫

    ○二宮委員 関連。ただいまの地方交付税配分の場合の給与に該当すべき七百四十億という金額は、昨年の特別国会における二百四十億の平年度化されたものだ、こう解釈していいのですか。
  45. 奥野誠亮

    奥野政府委員 その通りでございます。ただ比較は三十五年度の当初と三十六年度との比較で申し上げております。
  46. 二宮武夫

    ○二宮委員 大蔵大臣が見えましたから、簡単に申し上げますが、それでは三十三年の七月における地方公務員の給与実態の調査というものが、実は実施をされているわけなんです。これの実態については、自治省の方は十分に把握されておりますか、どうですか。
  47. 奥野誠亮

    奥野政府委員 そういう計算に基づきまして、交付税法の単位費用基礎になります給与単価を定めておるわけでございます。
  48. 二宮武夫

    ○二宮委員 この問題は、先般もいわゆる健全財政というものの中の一項目としまして、給与の問題はいわゆる国家公務員あるいは他の地方公共団体、民間給与、それから生計費、こういうものを比較して定めなければならないという地方公務員法の二十四条の規定に基づいて考えてみますと、実態とはまだそれが非常にかけ離れているという事実を私は持っているわけであります。従って、昨年度の二百四十億を平年度化して本年度七百四十億というものを配分するというだけでは、とうていこういう法律を守っていく立場から財源的に不足するのじゃないかというふうに私は考えておりますが、その点どうです。
  49. 奥野誠亮

    奥野政府委員 三十三年の調査に基づきまして、地方公務員が国家公務員であるとすれば、その単歴、勤続年数から見まして幾らの給与を受けるべきであるか、こういう計算に基づきます額を基礎として基準財政需要額を算定するごとにしておるわけでございます。この姿がいいか悪いかということについては議論があろうかと思いますけれども、国家公務員ベースに基づく地方公務員のあるべき給与額、こういうことで算定することにしておるわけでございます。
  50. 二宮武夫

    ○二宮委員 少し私の質問が間違ってとられているように思いますが、この調査に基づいて三十五年四月一日に自治庁から地方の自治体に対しまして通達が出されておるわけであります。ということは、三十三年七月における実態調査と、あるべき姿の給与体系との間に非常に差異がある、だからその間の差異を十分に実際の姿で是正すべきである、こういう意味の通達が出されているはずなんです。従って、私の要望いたしたい、あなたの御答弁として御期待を申し上げたいことは、昨年の二百四十億円というものの平年度化したものが七百四十億というものではなくて、七百四十億プラス・アルファというものが、実はその当時の通達なりあるいは実態調査なりによって是正をされなければならない財源であるはずである、このように私は考えているのですが、その点どうです。
  51. 奥野誠亮

    奥野政府委員 是正をする、しないということになりますと、議論があろうかと思いますけれども、この前申し上げたように、府県については若干高いわけでございますので、現実所要額から見ますと、御指摘になりましたように若干低いということになるわけでございます。現実の姿通りに出すからには、さらにプラスしなければならぬ、こういうことになろうかと思います。
  52. 佐野憲治

    佐野委員 大臣もお見えになりましたので、私の質問は途中ですけれども、一応打ち切って、また別の機会にやらしていただくことにしたいと思います。  ただ一つだけ、途中で関連質問が出まして締めくくりがつかないだろうと思いますので、ただいま税外負担の場合において、交付税の中においては、私のお聞きしたいのは、二十七条の二にあるところの四つの点、これを拡大する、こういう考え方がとられているかどうかということと、二十七条の三の市町村住民に負担を転嫁してはならないという政令で定める、その政令では二つが出されておりますね、この範囲を拡大するという考え方は、財政計画の上においても、あるいはまた交付税基準財政需要額の中においても含まれていない、このように理解していいかどうかということと。もう一つ交付税に対しまして異議の申し立て、救済制度ができておると思います。これに対する現在まで、昨年度でもいいのですけれども、審査の請求あるいは異議の申し立て、聴聞会を開いた、こういうことは何回くらいあるか、何件くらいあるかというこの二点をお聞かせ願いたいと思います。
  53. 奥野誠亮

    奥野政府委員 前段の問題につきましては、特に税外負担の対象の項目を法律を改正して増加するというような態度はとっていないわけであります。しかしながら、一般財源増額することによっておのずからそういう役割を果たすことができるだろう、またそういう方面の一般財源はこの際特に増額するような措置をとった方がよろしいのではないかという考え方のもとに、先ほども申し上げましたように、小、中学校等にかかる基準財政需要額を増額しているわけでございます。  第二の問題は、いろいろ地方団体の方から要求されたことがありますが、地方交付税法の条文をたてにとった、形式も備えた意味のそういう請求はまだ出ていないわけでございます。
  54. 濱田幸雄

    濱田委員長 ただいま大蔵大臣が出席されましたので、先ほど理事会での申し合わせの順序に従って質疑を進めたいと思います。亀岡高夫君。
  55. 亀岡高夫

    ○亀岡委員 大蔵大臣にお伺いしたいのでありますが、まず質問に入る前に、池田総理がしょっちゅうきめのこまかい政治ということを言っておられますが、きめのこまかい政治というものに対する大蔵大臣考え方をお伺いいたしたい。
  56. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 政策はできるだけ筋の通った基本線を貫いた政策が必要だと思うのでございますが、その場合、現実の事態が非常に社会が複雑でございますので、その複雑さに応じた個々のこまかい点までも、実情に即した配慮をした施策をすることが望ましい、こういう意味だと思っております。
  57. 亀岡高夫

    ○亀岡委員 大蔵大臣のきめのこまかい政治に対するお気持をお伺いしたわけでありますが、政治は結局政治家のものでもなく、役人のものでもなく、国民のための政治だということは、これはもう今さら申し上げるまでもないことだと思いますが、ただいまこまかい複雑な社会情勢に応じて、それに適した施策を行なうのだという御答弁でございましたから、そういうお気持一つ御回答を願いたいと思います。  池田内閣が発足後、所得の格差是正、地域格差是正ということを大きく振りかざしまして、公共事業の飛躍的な推進をはかるという一つの立場を打ち立ててやったわけでありますが、その一つ政策の現われとして後進地域開発特例法というものがただいま審議されておるわけでありまして、御承知のように、公共事業の推進によりまして経済基盤の強化、民生の安定向上というようなことをやっていくために、各地方自治団体、都道府県に対して補助率の段階に応じた助成をしていくという法案でございますが、非常にこの趣旨は画期的な法案であるわけでございます。ところが、このようなけっこうな法案が出たにもかかわらず、地方自治体は十二分に納得しておらないというところはどういうところかと申しますと、第二条の第二項に政令事項がございますが、その政令の内容がおそらく地方自治体の納得のいっていない点ではないか、かように考えておるわけでございます。具体的に申し上げますと、災害関係事業とか、海岸保全施設整備事業とか、あるいは小規模河川改修事業、砂防及び治山治水事業というものについては本法を適用しないというようなことを漏れ聞いておるのでありますが、その点はどのようになっておりますか、お伺いしたいわけでございます。
  58. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 開発事業の選定につきましては、各省間でいろいろこの問題は議論をいたしまして、対象事業を、従来のように広く浅くという考え方でいくのか、狭く深くという考え方でいくべきかということについてはいろいろ議論がございましたが、こういう法律を作って今後対処するという趣旨から見まして、これは規模が相当大きいものにしぼるべきものである、小さいものにまで適用するためにこういう法律を作るということはどうか。いろいろな立法の趣旨上の問題からも、できるだけ相当規模の大きいものにしぼって、狭く深くという方向でいくべきものだということが、大体関係実施官庁間で意見が一致しましたので、大体その方針で私どもはいきたいと考えております。
  59. 亀岡高夫

    ○亀岡委員 この法律によりまして、大体かさ上げになる分、割り増しになる総額は、大体どのくらい見込んでおられますか。
  60. 石原周夫

    ○石原政府委員 予算を編成いたしましたときには、従来のいわゆる再建促進法ないし東北、九州等の開発促進法、そういうような既定の部分が、大体の根本の事業費に対しまして七・三%程度の割り増しになっております。それに対しまして、今日御審議をいただいております程度の具体的な案はまだできていなかったわけでありますが、当時いろいろな計算をいたしてみまして、そのおおむね三割、二・二%、金額にいたしまして十七億という金額を計上いたしまして、再建整備法以下の分と合わせまして六十九億ということになっております。実際この法律を適用いたしまして本年度の公共事業をやって参りました場合に、どれだけの金額が要るかということにつきましては、なお実施計画が未定でございますが、これから具体的に各県別の実施計画がきまりました上で計算をすることに相なるわけでございますが、われわれとしては大体一割に満たない、数%程度の誤差が出るかと考えております。具体的には実施計画がきまりました上できまるべきものかと思います。
  61. 亀岡高夫

    ○亀岡委員 六十九億というのがかさ上げになるわけですね。
  62. 石原周夫

    ○石原政府委員 予算的に見ましたのは、この法律によりますかさ上げ分は十七億、それに対しましてなお数%程度ふえるかという見通しであります。その数字がまだ未定であるということであります。
  63. 亀岡高夫

    ○亀岡委員 そうしますと、従来の再建整備法及び地域開発特別法に基づくかさ上げ分があるわけでありますが、その分もこの六十九億の中には含んでおりますか。
  64. 石原周夫

    ○石原政府委員 先ほどの私の説明でありますが、本年度予算に計上いたしてございますのは、これは直轄の分であります。御承知のように補助の分は翌年度回しになりますから、私の申し上げました数字は三十六年度直轄事業に関する分とお聞き及びいただきたいと思います。補助を加えました額は大体百七十億程度になろうかと思います。
  65. 亀岡高夫

    ○亀岡委員 そうしますと、百七十億と今申されましたが、私の聞いているところでは大体百二十億ぐらいということを聞いておったのですが、この数字はいかがでありますか。
  66. 石原周夫

    ○石原政府委員 ただいまの数字は、今申し上げますように、各県別の数字がきまりませんと正確な数字が出ません。従いまして、推定いたしました場合、三十五年度の数字を基礎にいたして見ます場合、それから三十六年度の公共事業がきまっておりませんので、それを前提といたしまして計算いたします場合、両方あるわけであります。お尋ねの点は三十五年度ベースの計算かと思います。
  67. 亀岡高夫

    ○亀岡委員 そうしますと、今申されたように、百七十億という場合に、この中を検討した場合に、従来の再建法及び地域開発特例法に基づくかさ上げ分は、この百七十億の中にどのくらい含まれておりまするか。
  68. 石原周夫

    ○石原政府委員 大体の計算といたしましては、百七十億と申し上げまする場合に、百十億ないし百二十億見当が従来の系統かと思います。従いましてこの法律によりまする分は、差額に相なりまする五十億ないし六十億ということになります。
  69. 亀岡高夫

    ○亀岡委員 そこで今の説明によりますると、大体百七十億のうち本法によってのみ対象となるのは五十億から六十億前後であるというようなお話で、その他の百二十億近くは従来の特例法でかさ上げになっておる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  70. 石原周夫

    ○石原政府委員 さようでございます。
  71. 亀岡高夫

    ○亀岡委員 そういたしますと、先ほど大臣にお尋ね申しました災害関連事業のうちで、海岸保全の事業でありますとか、あるいは小規模河川でありまするとか、こういう事業に対してもし本法を適用いたしましたとして、これに必要な国費はどれくらいになると思われますか。
  72. 石原周夫

    ○石原政府委員 まだ詳しい計算をいたしておりませんが、二億か三億くらいの見当かと思います。
  73. 亀岡高夫

    ○亀岡委員 そうしますと、この再建団体特例法、それから地域開発の特別措置法、東北開発でありますとか九州開発でありまするとか、これらによってかさ上げになっておる分は、本法律案によって特例、経過措置として三十七年度からはだんだんその補助率が減っていくようになっておりますが、そういうふうになりますから、たとえばこの二、三億の程度のものを指定いたしたとしても、国の財政的な負担にはさほど影響がないというふうに考えられますが、主計局長はどういうお考えをお持ちになりますか。
  74. 石原周夫

    ○石原政府委員 先ほど大臣からお答えをいただきましたように、今回の開発指定事業の指定をいたしまする際に、その事業の幅と深さとの関係を検討いたしまして、これは自治省並びに企画庁と御相談をいたしまして、やはり幅はあまり広くしないで、むしろ深さを深めるべきじゃないかということであります。従いまして開発促進ということに相当な影響力を持ちまする程度の規模をもちまして、たとえて申しますれば、先ほどもお話がございましたように、維持、補修に関しまする関係、あるいは小規模のもの、局部改良、そういうようなものにつきましては本法の対象とすべきでないのじゃないかということで相談をいたして参りまして、大体河川、海岸、そういうようなものを通じまして、事業費にいたしまして一億円程度というようなところを目標にいたしましたしぼり方をしたわけであります。しかしながら、これをもちまして、先ほど大臣からお答えをいただきましたように、しかもなお従来のいわゆる再建法に基づきまする指定事業のほとんど九割近い数字に相なるわけであります。従いまして私どもといたしましては、そこら辺に一つの限界を置きまして、やはりある程度範囲を限定した意味におきまして本法の趣旨を達成すべきであるというふうに考えておるわけであります。
  75. 亀岡高夫

    ○亀岡委員 今の局長のお話でありますと、災害関連事業は、当初は対象事業にはしたくなかったのだというようなことのようでございますが、先ほど申し上げましたように、各地方自治団体の熱望によって災害関連事業をやるということになったということでございますが、これは指定はされておるのですが、ワクにおいて一億以上というものに制限しておるわけであります。こうなりますと、たとえば岩手県の、今度のチリ津波の問題にいたしましても、非常に一つ一つの事業規模は小さい、ところが総額にすると相当な額になる。そういった場合、やはり地方財政に与える影響というものは非常にきつくなって参りまして、ほんとう後進地域開発というこの法律の趣旨に合致しない点が出てきはせぬかというふうに考えられるわけでありますが、その点いかがでございますか。
  76. 石原周夫

    ○石原政府委員 海岸の関係につきましては、一億円以上という計算をいたします場合に、御承知のように、農林省所管の漁港、運輸省所管の港湾、一般の建設省というものがあるわけでございますが、これらを通じまして、一市町村単位におきまして事業費を合計するということにいたしたいと思います。そういたしますと、大体今の問題になりまする地域におきましては、おおむねのものを解決し得るんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。  なおチリ津波対策につきましては、指定地域につきましては三分の二負担が行なわれるわけでありますので、これ自身がすでに相当高い負担率に相なるわけでございますから、考えてみまして、今のような一億というところに限度を置きまして大体の目的は達し得るんじゃなかろうかというふうに考えます。
  77. 亀岡高夫

    ○亀岡委員 小規模河川は、御承知のように政府が治水十カ年計画というものを立てまして、これで強力な治水事業をやっていこうという閣議決定をした経緯にもかんがみまして、なぜ本法の適用に入れなかったのか、そのことを一つお伺いしたいのであります。
  78. 石原周夫

    ○石原政府委員 先ほど申し上げましたように、一つの限界を、事業規模あるいは開発の効果というようなところに置きまして、おおむねの目安を一億見当ということに考えておるのでありますが、御承知のように、中小河川は大体八千万ないし一億以上でありますが、小規模河川ということに相なりますと、大体が一億未満ということに相なりますので、全体の、先ほど考えについて申し上げておりますような趣旨と同趣旨において、あるいは災害関連も一億に切りまして、同じような趣旨におきまして、中小河川までを拾いまして、小規模河川は落とすということにいたしたわけでございます。
  79. 亀岡高夫

    ○亀岡委員 大臣にお伺いしたいのでありますが、事務当局は今回答のありましたようなことを言っておるわけでありますが、ここが私は、きめのこまかい政治ということを強く打ち出して、せっかく十のうち八まで喜んでおるのに、あとの二が喜ばない、このあとの二つを拾い上げてやる、しかもその金額がわずかに二億か三億で、来年からは東北開発やら九州開発やら、そういう特例法あるいは再建団体特例法によって、そっちに支出してかさ上げしていく部分がどんどん減ってくる。そういう事態も考慮した場合に、これはできないことじゃなくてやりたくないということだけなんでありますか。この点大臣は一億という事務当局の線を固執されないで、少なくとも五千万くらいまで引き下げる御意思がないかどうか、この際はっきり御答弁願いたいと思います。
  80. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 小規模事業は、後進県に限らずどこの県にもある問題で、そこまで手が届くに越したことはないと思いますが、しかし問題は、地域格差の解消とかいうような問題とからんで後進県の開発について特別の措置をとろうとする以上は、その後進県の中で重要でかつ相当大規模なものを急速に開発するということがやはり中心の課題になると思います。私どもは、それを中心にこの法律の運営をやっていくという方にむしろ意義があるというふうに考えますので、まずそこの大筋から始めていくことが必要であろう、この際は小規模事業は一応対象からはずすことが適当じゃないかというのが私どもの結論でございました。これはやればやるに越したことはないと思っておりますが、この法案の趣旨、目標は、やはり相当規模の大きいものについて国が特別の措置をとって後進県の開発をやるのがいい、私はそう思っております。
  81. 亀岡高夫

    ○亀岡委員 結局画龍点睛を欠く。せっかく出したこの後進地域開発特例法がわずか二億や三億の金でもって、わが党が公約いたしました地域格差是正というのと真正面から取り組んでこういうりっぱな法律案を出したにもかかわらず、わずかの金で満足を与え得ないということは、これは大蔵大臣にもう一度よく考えていただきたい。こういう点が至るところにあるわけでございます地方税の中で申しますと、農業の専従者控除、減税々々と大きな声を出して千億を下らない減税をやるのだと言っておって、百姓一人々々に当たってみますと、みんな増税になっているのです。こういう事態を大蔵大臣もよく考えて、また大蔵省の事務当局、主計局長主計官もおそらく農家に行って農家の声を直接聞いたことはないのじゃないかと思うのですが、そのくらいの気持で進めてこそ、初めてきめのこまかい政治と言えるのじゃないかと思うのであります。再度大蔵大臣にお伺い申し上げますが、この事業規模を、一億を五千万円に広げる御意思がおありかどうか、お答えいただきたい。
  82. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 そういう意味なら、五千万と言わず三千万でもけっこうだと思うのですが、そうじゃないので、やはりこういう制度をしくときには一応どこから出発するかということが問題で、私どもとしては無制限にやるのではないので、この辺に基準を置いていくのが、従来のいろいろな他の措置との均衡から見ても妥当ではなかろうかということで出発したわけでございまして、私どもはとにかくこの辺でやらせてもらいたいと思っております。  農民の今のお話でしたが、これはちょっとおかしいことで、実際に今度の減税を見ましても、御承知通り国税で見たら、去年までは農家が四十一万戸国税を払っていることは確かでございます。が、ことしは、今度の減税によって十三万戸前後しか農家は国税を払いませんし、金額も、全農家が支払う金額は、一兆何千億の税金のうちで七億ということになって、農家の減税はもうけっこう、これ以上はというぐらいのところまで来ているのじゃないかと私は思っています。ですから、百姓が税金が高くなったという、不平は私はおそらくないだろうと思います。
  83. 亀岡高夫

    ○亀岡委員 農家の所得税を納めている者が今度の減税で十三万戸になり、ほかの五百八十万戸は所得税を納めていない。確かにその通りになります。しかし農家の固定資産税は三十六年度はぐっと上がります。住民税も減税にはなりません。そうしますと、農家の感じ方としては、税金というものは、地方税であろうが国税であろうが保険税であろうが、取られるものは税金として一緒に考えているわけですから、新聞やラジオやテレビでとにかく減税減税と、私どもも叫んで参ったわけでありますが、一人々々の農家の感触としては、われわれだけは減税を受けていないのだ。じゃ減税の余地はないのかということになりますと、農業の専従者控除、住民税なんかではもっとあたたかい気持でやってやっていいのではないかという感じを私どもは持っているわけです。そこのところを申し上げたわけで、農家が事業税を納めておらないとか、所得税を納めておらないとか、納めれないのです。納めたくたって納めれないのが現在の農家なのであります。この農家に対して大蔵大臣が、所得税も取っていないのだからという今のようなお考えを持っていただくことは、私はほんとうに愛情がない考え方ではないかというふうに考えるわけでございまして、この点もっとよくほんとうに農家の側に立って一度お考えいただきたい、かように思うわけでございます。  税金問題はそれくらいにいたしますが、何回も申し上げますが、後進地域開発にこのようなあたたかい気持を持って政府がせっかく法案を出されたにもかかわらず、政令事項のほんとうにわずか二、三億の金によって、またこのことを実施することによってほかにずるずると伸びていくという可能性があるならいざ知らず、この二、三のことを断行することによってうまく話し合いがつくというような段階にあるわけなのでございますから、そういう点を十分御考慮になって、まだ決定をされていないようでありますから十分御検討いただいて、それでなくとも非常に苦しい運営をしております地方自治体の財政を確立するために、一段の御尽力を賜わるよう希望いたしまして私の質問を終わりたいと思います。
  84. 濱田幸雄

    濱田委員長 前田君、関連質問がありますか。
  85. 前田義雄

    ○前田(義)委員 先ほど亀岡委員の質問に対して大蔵大臣は、事業の範囲につきまして狭く深くという言葉で今後の事業の狭さ深さというものを規定づけられたわけでありますが、先ほどからお話を承っておりますと、主計局長の御答弁等におきましては狭く浅くという印象を受けるのです。ということは、狭く深くということになりますと、後進地域に対してのお考えというものは、まず大きな開発目的の達成できるところ、まず大きいところをやる。それからさらに深く、後進県といたしましてもぐんと後進低開発地域、そういう方面に及んでいくのだというような印象を受けるわけです。私ども考えまするに、大きなところの開発を促進させるということはもちろん必要でございまするけれども、そういうところに重点が向けられて、さらに狭い低開発地域の促進をはからないということになりますと、いつまでたっても地域格差を解消することができぬのじゃないか、大きいとろへついていくことができないことになるのじゃないか、こういうふうに思うのです。特に事業につきましても、先ほどいろいろお話しになっておりましたように、まだ決定をされておらぬのでありますけれども、関連災害等につきましては、一億円というような限定を設けられておるし、あるいはまた林道なんかにおきましても、一号林道がなされるというようなお話も最初聞いておったのでありますが、林道にもやはり二号、三号、四号というようなものがあって、ほんとうに低開発地域におきましては、三号、四号というような、これは県単事業にもなるかもわかりませんけれども、そういうものがほとんどであまして、一号林道というようなものはまずまずないということがどこの地域でも言い得るのではないかと思うのです。また小規模河川等にいたしましても、これは特に低開発地域に多いわけであります。その地域の関連災害というものとか、あるいは河川改良というものがなされて初めて下流の大きく開発されなければならぬような地域の災害を防止することもできるのでありまして、小規模河川であるから経済効果、あるいは開発効果が少ないということ、単にそれだけでもって開発指定事業から除くというようなことはどうもわれわれとしては了解に苦しむ点があるわけであります。こういう点について、最初に大蔵大臣も言われましたように、きめのこまかい事業の方針であるけれども、さらにまたかゆいところに手の届くような政治をすることも一番大切だ、そういう意味におけるところのいわゆるきめのこまかいという意味だろうと思いますし、また今度の後進地域の公共専業の特例法にいたしましても、やはり狭く深いところをねらって、その事業に対する配慮をせられるということが好ましいことじゃないかと思うのであります。深く申し上げませんけれども、これに対して一つ大蔵大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  86. 石原周夫

    ○石原政府委員 広く浅くとか狭く深くという言葉はなかなか抽象的な言い回しでございすので、あるいは誤解を生ずるかと思うのでございますが、先ほど来申し上げておりまするのは、事業の開発効果、格差解消ということであります以上、非常に限局せられた地域の問題というよりは、後進地域につきまして、やはりその事業いたしますところの効果ということがまず格差解消という点に一番力があるのじゃないか。従いまして、今回特に補助率のかさ上げをいたしまして、後進地域開発をねらいます場合に、やはり事業は重点的にやるべきだということだと思うのであります。その意味におきまして事業を拾っておるわけであります。しかしながら、それじゃ非常に大きな事業を拾ったんじゃないかというと、そういうことはございませんので、ただいま御指摘のありましたような林道等につきましても、一号林道のみならず、二号林道まで拾っておるということでございます。三号、四号ということになりますと、これは組合の個々の経営になりますので、府県を主体といたします仕事に事業の対象を限定いたしておりますので、三号、四号は入らないということになります。全体として見まして、先ほど来申し上げておりますように、従来の指定事業に対しまして約九割、従来御承知のような東北開発促進、あるいは九州開発促進というようなことで、重要事業ということが開発促進の意味で指定されたわけでありますが、これが七割見当でございます。それに比べますと、狭くと申しましても相当に幅は広がっておるということでございますので、必要であります開発促進事業というものはこれをもちまして大体終わらしむるというふうに考えております。
  87. 前田義雄

    ○前田(義)委員 もう一度お尋ねいたしますが、一億円という、関連とか、砂防関係あるいは農業関係、道路の関係、そういういろいろなものがあると思いますが、そういうもので一体深く救済されていくかどうかということは、これはなかなか問題だと思う。その金額に対してそれぞれの事業がどれくらいできるか、その該当する事業がどういうふうになっていくかということになりますと、これは相当問題だと思う。そういう点は十分御配慮になって一億という限定はせられただろうとは思いますけれども、しかし、おそらく一億という限定をせられます場合には、個所別に見まして非常に限定される。ほとんど適用がないようなことになってくるのじゃないかとも思われるわけですが、そういう点についての御配慮になっておる点と主計局長にお尋ねしたいと思う。
  88. 石原周夫

    ○石原政府委員 一億円ということで見ましたのは、たとえばただいまお話のございました海岸の場合について申しますと、たびたび申し上げておりますが、大ざっぱにみな一億ということではございませんので、海岸の助成の関係あるいは災害関連の関係というものが一億、河川につきましては、大体それが一億というものと表裏いたしますが、先ほど来申し上げておりますように、中小河川というところにつけて、小規模河川は除くという行き方で、大体海岸の関係について見ますと六八%、約七割見当のものがカバーできます。それ以外に治山の方の関係が大体六割ないし七割、治山砂防につきまして適用河川を拾っておりますが、この場合におきましても大体治山砂防の補助事業の六割ないし七割というものがカバーできるところを見ておるのであります。必ずしも六割、七割というものを頭に置いておるのではございませんで、それで一律にやったわけではございませんが、全体といたしましては、先ほど申し上げたように指定事業の八割七、八分ということでやっておりますし、各個の場合におきましても相当高い割合をカバーできるというところを見まして、事柄の内容と照らし合わせまして、おおむねの場合には事業の種目をもちましてきめ、海岸ないし災害関連という場合におきましては金額できめる、こういうようなやり方でやっておるのであります。
  89. 濱田幸雄

    濱田委員長 川村君。
  90. 川村継義

    ○川村(継)委員 大蔵大臣においでいただきましたので、いろいろ御意見をお聞きしたいと思いますけれども、そうたくさん時間をいただくわけに参りませんし、私に割り当てられた時間は三十分程度だそうでございますから、ほんの一言大臣及び大蔵当局にお聞きしておきたいと思います。  今、私たち委員会地方財政法の一部を改正する法律案というのがかかっております。これだけを見れば別に何でもない法律であります。地方財政法の第五条の五の次に五条の六というのを追加する、つまり地方債証券の共同発行を規定していこうという、これだけの法律でございまして、別に何でもございませんが、この法律が出ておるその原因は、大蔵委員会に付託されております大阪港及び堺港並びにその臨港地域整備のため発行される外貨地方債証券に関する特別措置法案、これに関係があるものだと私は思っております。これが出ておりますからこの地方財政法の一部を改正しなければならないということになってきておると思います。そこでこの審議を進める上において、大蔵委員会に付託されております大阪港及び堺港並びにその臨港地域整備のため発行される外貨地方債証券に関する特別措置法案について、少しお聞かせおき願いたいと思うわけであります。実はわれわれは、こういう金のことになりますと全然わかりませんから、きょうは一つ勉強を教えてもらうつもりで、少し丁寧に御説明をいただきたいと思います。  この大阪溝及び堺港の関係の特別措置法の立法の理由は、この法案に書いてありますから大体私本予測がつきますが、その法案の内容につきまして、特に大阪港及び堺港のこの法案を外貨地方債をもってやらねばならないということになっておるその事業対象の概要をば、まずどなたからか聞かしていただきたいと思います。
  91. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 大体大阪港及び堺港の全体計画は千百四十億円くらいかかるということになっております。そのうちで起債の対象計画は七百七十億円、その七百七十億円のうちで実際に起債を必要とするのは今のところ三百五十八億円という金額になっております。この三百五十八億円を外債としてドイツに求めるという方針がきまりましたので、そのための措置を当委員会にもお願いするし大蔵委員会にもお願いしているということでございます。大阪府、市はかねてから外債によってこの仕事をしたいという意向がございまして、先般アデナウアー首相が日本へ来られましたときにそういう話が出ましたから、向こうでそういう計画についての応援なら一応考えようという程度のお話だったそうでございますが、その後、この問題についてドイツは応ずる用意ありという返答をいただきましたので、それではわれわれとしてこの際ドイツからの外債によって計画を実現しようというのがいきさつでございます。
  92. 川村継義

    ○川村(継)委員 事業に対して三百五十八億程度の外貨債を起こそう、もちろんそうなりますと、その債務については政府が保証をするわけでございましょうね。
  93. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 ドイツにおきましては、初めての事例であるということ、また日本側でも今までドイツに外債を募ったということもございません。両方の国におきまして初めての問題でございます。従って先方においてはぜひ政府の保証をほしいという申し出でございましたので、私どもも今まで政府として地方債について保証した事例もございますので、この際政府保証することは適当だということを認めたので、保証するつもりで、本案を当該委員会にお願いしているということでございます。
  94. 川村継義

    ○川村(継)委員 総額三百五十八億円と申しますと、ドルにすると大体一億ドルになりますね。これはドイツのマルクでやろうという話でございますが、これはおそらく契約ができてみなければわからぬのじゃないかと思うのでございますが、一体今考えられる発行条件というのはどういう予測でございますか。
  95. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 さしあたり本年度向こうで応じられる額は約一億マルクということになっております。それで条件は、御承知通り今ドイツの金利は若干高いときでございますが、近くドイツも金利引き下げをやるという方針を持っているようでございますし、今すぐではいい条件にならないので、もう少し時期を見て、条件がよくなったときに具体的に取りきめをしたいということでございますので、私どももドイツの条件が近く今よりよくなると予想しておりますので、そのときにおいて具体的な交渉をするつもりでございまして、現在この条件については一切まだきまっておりません。
  96. 川村継義

    ○川村(継)委員 もちろん、われわれこういう関係に全然無関心といいましょうか、よく事情がわからぬ者が考えても、契約もできておりませんから、はっきりしないと思いますけれども、それを契約しようと思えば、大体皆さん方の専門家の立場からいうと、ドイツの金融市場が一体どういう傾向になっているか、どれくらいの利回りで契約できるのか、どれくらいの利回りで契約したらば、こういうような外債を発行さしてもよろしいというような見通しがおありだと私は思いますが、たとえば支払い償還期限というものは何年ぐらい考えていけばいいのか、現在ドイツと契約を結べば利回りで一体どれくらいでやっていけるのか、その辺のところは当然考えておいていただかなければならぬことではないかと思いますが、どうでございますか。
  97. 西原直廉

    ○西原政府委員 外債が具体的にドイツで発行になります場合は、そのときの金融情勢によることでございますので、ただいま大臣からお答え申し上げましたように、そのときの事情によるということでございます。最近ドイツで行なわれましたドイツ連邦鉄道債、これは本年二月に発行されたものでございますが、この金額は二億五千万マルク、表面の利率が六分、発行価額が九十九マルク、償還期限が十二年でありまして、応募者利回りが六分一厘一毛ということになっております。それから外債といたしましては一九五九年の十二月に発行されました起債がございますが、これはノルウェーのオスロ市の市債でございまして、金額が三千万マルク、表面利率は五分五厘、発行価額は九十六マルク、償還期限が十五年、応募者利回りが五分九厘ということになっております。外債と国内債とではやはりいろいろ取り扱いが違います。今度の大阪府、市の地方債ということになりますと、日本として初めてのことでございます。割合なじみがないということもございまして、政府保証をいたしましてもそういう点のいろいろなハンディキャップがあると思いますが、結局発行するときのドイツにおける金融情勢いかんによってこういう見込みもいろいろ変わってくるかと思います。
  98. 川村継義

    ○川村(継)委員 応募者利回りをかりに六分としていった場合には、これは条件はいい方でございますか、あるいは外債としてはちょっと高いということになりましょうか、その辺の御見解はいかがでございましょう。
  99. 西原直廉

    ○西原政府委員 ただいま申し上げましたように、ことしの三月に発行されましたドイツ連邦鉄道債が大体応募者利回りが六分ちょっとこえております。それから五九年の十二月に発行されましたものが応募者利回り五分九厘でございまして、六分ちょっと下ということでありますから、お話しのようにかりに六分程度で発行されれば、大体穏当なところだろうというふうに考えられます。
  100. 川村継義

    ○川村(継)委員 大臣、私こういうことは全部わかりませんが、あなたは先ほど、ドイツの金利関係は今までは高かったけれどもだんだん下がりつつあるというようにお話しでございましたが、ドイツの今の金融市場の傾向と、それからアメリカのドルの金融市場の傾向、それをちょっと聞かせていただけませんか。
  101. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 ドイツはさっき申しましたように金利を下げようという方向にきているときでございまして、金融市場としてはドイツの市場はあまりよくないときだと私は思っております。
  102. 川村継義

    ○川村(継)委員 そうなりますと、どうしてそのマルクによって、しかも地方債を外債によってやらせればならないかということ。それから私たちこれもよくわかりませんが、聞くところによると、アメリカの金利というものはだんだん引き上げられつつある。これはおそらくドル防衛の立場からかもしれませんが、そういう話を聞いております。そうなると、そういう傾向がアメリカにおいて強まっていくということになると、おそらくドイツもそう簡単に金利を引き下げるとはわれわれしろうとから考えても思われぬのでございますがね。その辺の傾向を聞かせていただけませんか。
  103. 西原直廉

    ○西原政府委員 今お話しのようにアメリカの方はドル防衛の関係からむしろ短期の金利は幾らか上げる、しかし長期の金利はアメリカ自身の経済政策といたしまして下げる、大体こういう方策を現在とっております。中央銀行の割引歩合でこういう国の比較をとってみますと、大体アメリカが今三分でございます。イギリスが五分、西ドイツが三分五厘、スイスは割合低くて二分、こういうような関係から、ヨーロッパとアメリカとの間で、ドルその他通貨の相互的な交流というのは最近非常に激しいわけでありますが、そういうような情勢を見まして、ドイツはむしろ三分五厘を幾らか下げる。イギリスはスターリングの関係が弱いものでございますからなかなかこれを下げられない立場にあると思いますが、ドイツの方はむしろ強い方でございますので金利を下げる。金利が下がって参りますと、今大臣からお話がございましたように、だんだんとドイツで債券を募集するのには都合がよくなる、こういう状況になるだろうというふうに見通されるわけであります。
  104. 濱田幸雄

    濱田委員長 ちょっと申し上げますが、大蔵大臣の申し出がございまして、きょう二時間くらいこの委員会に御出席に相なる予定であったのですが、他のやむを得ない公務のために四時半くらいに退席をいたしたいということでありますから、質疑の通告のあります方は、なるべくその時間内で繰り合わせて大蔵大臣に質疑を行なうようにお願いいたします。
  105. 川村継義

    ○川村(継)委員 急いでお聞きします。そうなりますと、ドイツにおいては金利が下がっていく傾向にあれば、あるいは六分程度でやれるかもしれませんが、必ずしもそういう情勢がくるということはまだはっきりわからないわけですね。この点はやはり一つの問題ではないかと考えておりますが、六分なら六分で一応契約をして、十二年になりましょうか、十五年になりましょうか、そういう償還期限がついたとして、その場合に、ドイツと日本、あるいは日本とアメリカ、こういうような外債等については、その六分というものはずっと永久にそのまま続いていくものですか。あるいは、今は六分で契約したけれども、ドイツの方で金利が安くなったら、五年なら五年、十年なら十年たってから、五分八厘なら五分八厘というものに契約がえができるものですか。どうですか。
  106. 西原直廉

    ○西原政府委員 ただいまのお尋ねの点は、もちろん債券の約款をどういうふうに作るかということによってきまることだと存じますが、大体従来からの債券の約款の通例からいたしますと、一応六分というふうにきまりますれば、六分でその償還年限まで続くわけでございます。もし実際の現地の金融情勢等がよくなりまして、さらに低利で借りかえができるということになりますと、別に低利の債券を出しまして借りかえるというのが普通のやり方じゃなかろうかと思います。
  107. 川村継義

    ○川村(継)委員 私、これまたよくわからぬのですけれども、そういうのは契約をする当事者の行為であって、国際的な一つの条約と申しましょうか、そういうものは何もないわけですね。聞くところによりますと、レビュー・コンファランスとかレビュー・クローズとか、すなわち契約再検討というような言葉がよく使われているそうですが、こういうものは国際関係の間に条約的なものとして存在するものではないわけでございますか。
  108. 西原直廉

    ○西原政府委員 今のお話しの通り、こういう債券についてはそういうものはございません。
  109. 川村継義

    ○川村(継)委員 わかりました。大臣にもう一つお聞きしますけれども、日本経済新聞か何かに載っておったように聞いておりますが、ドイツの銀行のベルアンという人が日本に来たそうですね。そのときに、こういう話が出たときに、ドイツには外貨の蓄積は十分持っておるけれども、資本としてマルクを出すことには問題がある、こういう話をしたということです。それは一体何を意味しておるのでございますか。皆さん方はそれをどう分析しておられるのでございますか。そういうような情勢のある中に、あえてドイツとこういう外債——地方債契約をするということが一本何の目的であるのか、ちょっとその辺をお聞かせ願いたい。
  110. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私がお会いしたのはドイツ銀行のアプス総裁でございまして、そのときにそういう問題があるという話は聞きませんでした。なぜドイツから外債を募集するかという問題ですが、御承知のように日本はまだ今後未開発地域経済援助ということについてのいろいろな責任といいますか、義務といいますか、そういうものも負担しなければいかぬ国であると同時に、まだ外資の導入を日本経済のために必要としているというときでございますので、私どもは、今までは米国市場において外債の発行その他のことをやって参りましたが、さっき申しましたように、米国の金融市場の状況というのは御承知通りでございまして、今後米国市場からの資金調達ということはなかなかむずかしい情勢になっておりますので、これにかわる場所があることは私どもにとって歓迎すべきことであって、そういう意味でドイツとの交渉もしておりましたが、今回日本に対して、初めてのことであるが、自分たちはこれに応ずる用意があるということになりましたので、私どもは喜んでこの相談に乗ろうというわけでござまして、ドイツが——ドイツだけじゃなくて、今後日本の外債というようなものについては、米国市場よりも欧州市場が非常に有望となってくるという情勢にあろうと思います。従って私どもは話がまとまるところから進めていくということは、これは今後日本としても必要な政策だろうと思っております。
  111. 川村継義

    ○川村(継)委員 大蔵大臣は何かえらいお急ぎで、退席されるそうですから、大蔵省、自治省にはもう少しあとでお聞きしたいと思います。  こういう地方団体が発行する地方債を外債でやらせねばならぬというようなことについて、大臣、私たちどうも納得いかないところがあるんです。こういうことを言うと、また大臣はいろいろ御議論はあると思いますけれども、地方団体の必要な地方債については、できるなら国の金で見てやったらどうか、こういう気持が強く出てくるわけです。そうなると、そういう金が国にはない、あるいは国際関係においてそうやることも必要だ、あるいは日本からインドに借款を出すことも必要だというようないろいろ御議論があると思いますけれども、大阪等はそれは十分財政力のあるところでありましょうが、それだけではまだドイツでも信用してないわけでしょう。政府保証がつかなければ、これはやれないことだと思います。そういうことを考えて参りますと、もしも一つこれを許すということになりますと、大阪、堺だけではとどまらないんじゃないか。次にはまたよその地域が連合してやるかもしれぬ。聞くところによると、どっかの地域ではもうさっそく幾つか手を握ってこういう運動を始めているとかとも聞いております。そういうことを考えていきますと、地方債を外債によってやるということについては、そう簡単に考えるべき問題じゃないんじゃないかと私思われてしょうがないのです。  それと、大臣一つ大蔵大臣という衣を脱いで考えてもらいたいと思いますことは、私が今申し上げたこととあるいは矛盾するかもしれませんが、地方団体は今相当大きな地方債をかかえ込んできておりまして、いつも問題になっておるのです。できるならば、国はそういう国債なんか発行してやっておらぬのですから、地方団体も、こういう地方債なんかでやらなくてもいいような財政力があれば、それに越したことはありませんが、現在はそうはいかない。そういうような場合に、できるだけ国からその資金手当をしてやる。あるいは大阪、堺が港湾の施設等に必要な金が要るときには、何か別途の方法で、あるいは開銀とかなんとかそういうところの金を出してやるという方法をとらせることがよくはないか。なぜそう無理やりに、何か先々いろいろ心配のあるような外債を無理やりにやらなければならぬのか。外国が金持だといえばそれまでかもしれませんが、こういう点は、われわれ地方財政運営ということを考える場合には、どうも一まつの不安というか、疑問が出てきてしようがありません。この辺について大蔵大臣の御見解をお聞かせ願いたい。
  112. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 確かに国がめんどうを見る力を持てば、これは一番いいことだろうと思っておりますが、その国自身が、東海道線をもう一本引くという問題についても、御承知のように世界銀行から借款をする。もう少し大きい額を借りたいと長い間交渉しましたが、八千万ドルでようやく話をきめた。さらに道路公団が名神道路を作るにつきましても、日本の資金が足りませんので、これも外国から借りてやろうということでやっておりますし、国自身がそういうときでございますので、国がめんどうを見られたら一番いいかもしれませんが、しかし大阪及び堺市が、その信用において、この事業の資金を外国から借りられるということでしたら、少しもこれは悪いことではないんで、私どもとしては、むしろそれだけ国のめんどうを見る肩が抜けることでもございますし、われわれは賛成している。しかし、これがほかの方面へ移りはせぬかということでございますが、外債というのは簡単なものでございませんで、ほかでいろいろな事業計画をされても、一方が応じてくれなければ問題になりませんことですし、また応じてくれるというような、事業内容を見て、必ず償還についての心配はないんだと判定して、そこに資金が外国からくるということでしたら、私はやはりけっこうなことではないかと思っていますが、この問題が成功したからといって、他の外債交渉というものがそうやたらに成功する情勢だとは私ども今思っておりません。
  113. 川村継義

    ○川村(継)委員 大蔵省の方と自治省にあとでまたちょっと聞きたいと思いますが、門司さんから大臣に質問があるそうですから……。
  114. 濱田幸雄

    濱田委員長 門司亮君。
  115. 門司亮

    ○門司委員 この際聞いておきたいと思いますことは、こういうことです。  今審議いたしております後進地域開発に関する公共事業に係る国の負担割合特例に関する法律案ですね、この法律は、自治省と両方に聞いてみるのですが、目的は一体どこにあるのですか。提案理由の目的を見てみましても、それがわからぬから聞いておるのですが、この法律の目的は、一体行政水準の平均化を目的としておるのか、あるいは人口移動の防止、それから地方住民経済力の格差の解消を目的としておるのか、どちらを目的にしたのか、自治省と大蔵省の両方から一応答弁してくれませんか。
  116. 安井謙

    安井国務大臣 これは、現在あります地方格差をなくする一つ方法としてとられておることでございまして、いわゆる行政水準の平均化、これもしかし言葉を返して言えば全然別ものじゃないと思いますが、そういう格差を漸次解消していくための基盤を作るのに必要な一つの手段というふうに考えております。
  117. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 大蔵省の考えも、今の自治省考えと同じであります。
  118. 門司亮

    ○門司委員 そうだといたしますと、この総額は一体どのくらいですか。このふえる割合を減らしていったことのために、地方の自治体がよけいに金がもらえるといいますか、国庫はどのくらいの増額になりますか。
  119. 石原周夫

    ○石原政府委員 先ほどお答えを申し上げたのでありますが、これは事業の内容がきまりませんとわかりませんが、概算におきまして約百七十億円であります。
  120. 門司亮

    ○門司委員 きょうはその数字を議論する時間もないかと思いますから、次に聞いておきますが、御承知のように、通産省から今すでに後進地域開発に関する問題で低開発地域工業開発促進法案というのが提案になっておりますが、これとの関連性はどうなりますか。一方においてこういう地域格差をなくするのだという法律案を出しておいて、一方において低開発地域の工業を促進していこうとする。私は同じ趣旨だと思いますが、法律は二本ある。これは地方自治体としては非常に迷惑すると思うのですが、その点はどうなんですか。大蔵省はこれをどう見ておりますか。
  121. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 企画庁から出ましたのは、地方格差をなくするために地方開発の基盤を作っていくということは同じでございますが、この法律案と違うところは、とりあえず立地条件を整備して工場を地方に誘致する必要があるので、それに対する措置をしたいというのがねらいでございます。御承知のように、この後進地域開発という問題は、全国的にもっと総合的な計画を立ててやらなければなりませんので、その計画を立てる前提として、各省ごとに今年度予算で調査費をつけまして、建設省は建設省、通産省は通産省、自治省自治省というふうに、この総合計画を作るための基礎的な調査を各省ごとに行なう。そうしてそれを最後に企画庁が統合して、全体の開発の総合計画というものを作ろうということをやっております。それでその計画ができたときには、今ばらばらにできるいろいろな法律も一本にまとめられるとか、あるいは統合される、いろいろなことになろうと思いますが、それまでなかなか待てませんので、少しばらばらのようでありますが、趣旨が重なっても、一方は工場誘致のため、一方は未開発地域公共事業を中心にする政府補助金強化というようなものでまず出発しておいて、将来これは総合計画ができたときに全部統合されるものだ、こういう理解のもとにいろいろの措置を政府はしようとしておるわけでございます。
  122. 門司亮

    ○門司委員 私がそういうことを聞きますのは、財政法の規定するところによると、大蔵省に、各省のそういう案の査定をしたり、あるいは金の分配をしたり、さらにその金がどういうふうに使われているかということの責任があるわけですね。地方財政はそうなっておるのですね。それで、今日大蔵省がやっておるのは財政法に基づくものだと思うのだが、その大蔵省がこういうばらばらな法案を地方に出してきて、そうして受け入れ態勢は一つなんですね。  そこで低開発地域工業開発促進法案はこの委員会にかけられておりませんが、その政令案の内容を見てみますと、これには非常にめんどうなことが書いてある。一つ基準としては、「昭和三十年に行なわれた国勢調査に基づき算定された産業別就業人口構成比率において、第一次産業収容人口比率が市の全国平均をこえる市であるか、または第二次産業人口比率が市の全国平均未満の市であること。昭和三十五年度における財政指数が全国平均未満の市であること。」それから「相当規模の工業用地の収得または造成が容易であること。道路、鉄道、港湾その他の輸送施設整備が良好であるか、またはその整備が容易であること。労働力が豊富であり、かつその確保が容易であること。必要な用水の確保が容易であること。」「前項第一号の都市及び年度は、この政令の施行の日からおおむね三年ごとに最近の資料によって変更するのを例とする。」こういうのが大体あの法案の要旨だと思いますが、こういうことを盛っておる法案が一方にかけられて、そうして一方にこういう後進地域開発に関する法律案が出ているのです。それでこの割合は一体どういうことになりますか。通産省の方から出ている法律で予算はどのくらいつけておりますか。
  123. 石原周夫

    ○石原政府委員 歳出予算としてはつけておりません。
  124. 門司亮

    ○門司委員 予算がついていないということになると、ただこれは法律だけですか。法律だけはできて、そういうことを申告してこい。そうしてきまったら、その施行については何とか考えてやる、こういうことですか。
  125. 石原周夫

    ○石原政府委員 第七条にごらんのように「減価償却の特例」がございまして、第八条に「地方税の課税免除又は不均一課税に伴う措置」というのがございまして、おのおの国税、地方税におきまする減税の規定があるわけであります。
  126. 門司亮

    ○門司委員 私が聞いておりますことはそういうことです。この法律ができてしまいますと、地方の自治体は非常に迷惑するのです。片方においては補助金を幾らかふやしてやろう、片方においては、地方税を工場誘致することのために減税していこうという法律ができて進んできている。一体地方の自治体はどういう形であればよろしいかということですね。この二つの法律のまだこの上に、今国会には出ないかもしれませんが、自治省考えている百万都市というような、基幹都市建設に関する何とかというようなものを出そうとする。全く最近の地方行政というものはばらばらですね。そうして国は各省にまたがって、さっきの大臣の説明のように一本にするつもりだというお話ではありますが、そういうばらばらの形で地方の自治体に関する法律が出てきたのでは、自治省は一体これをどうされるのですか。一方においては、これは通産省から出た法律であって、自分たちの関連した法律ではないのだと言っておるが、これが通産委員会にかかって、その法律に基づいて工場が持ってこられると、その地方はいやおうなしに法律に基づいて地方税を減税しなければならない。自治省の知らない間に地方の自活体が大きく動かされるようなことが考えられる。もうすでに地方の自治体からは、この通産省から出ている法律が出てくれば、うちの都市がこれに該当する、その場合の工場誘致はどうなるのですかという問い合わせが来ている。これは自治省にも来ていると思いますが、われわれのところにも来ているです。この法律がどうなるであろうかということは通産省とよく打ち合わせをしなければなりませんが、大蔵省は予算をつけていないとすれば、地方の自治体はこの法律によって地方税を安くするだけのことはやはり考えなければならないのですよ。今までは、地方の自治体は、工場誘致をやりましても、おのおのの自治体の自主性に基づく条例でこれはきめられていたが、今度はこれが法律になって現われてくる。これではまるきり地方の自治体の自主性というものはなくなるのではありませんか。この点は、予算も何もつけないで、ただ自治体の税金だけ負けてやるというようなことを書かれたのでは、地方はかなり迷惑すると思うのだが、自治省としてはどうお考えになりますか。
  127. 安井謙

    安井国務大臣 さっき大蔵大臣からも御答弁がありましたが、地方格差をなくするという方法がただ一つ方法だというわけに参りませんので、いろいろの方面から施策を進めていく必要があると思います。従いまして、今、通産省じゃこれはないので、企画庁から出ておりますが、通産省はまた別途に計画を案としては持っております。そういう意味で、企画庁から出ておりますようなこの案は、まず現在の状況において、地方の小都市で、少しでも効果的に好条件で工場誘致ができるようなものがあるならば、それを技術的に促進しようじゃないかというので、とりあえず拙速主義と申すと語弊がございますが、そういう意味で、これは一つの案としてできております。しかし、これにつきましても、これは審議会を設けまして、地方からの申請を待って、そうして地方の意思を十分聞いた上で追って決定するというので、今直ちに何十カ所、何百カ所やるという性質のものじゃない。非常に慎重に今後の扱いをし、地方の自治体自体の意思も十分に尊重し、申請を待ってやるというふうに、その法律案はなっておるはずであります。  なお、この特例法につきましては、全体としてこれは府県を単位にいたしておりまして、この公共事業費を全体に有効に使うことによって地方開発の立地条件をよくし、基盤をつちかっていこうという、もう一歩前段階の仕事をやろうというのがこの特例法の仕事でございまして、そういう意味で、どこかの省が一つにまとめて全部を総合的にやっていくというふうなものじゃなくて、各省それぞれの職能に応じた仕事の進展ぶりは、これは今のところやむを得まいと思っております。
  128. 門司亮

    ○門司委員 そこで実は予算の関係なんですけれども、新しく企画庁で出しておるわけであります。この企画庁から出た法律には、そういうことを書いておるが、予算はちっともつけてないという話だが、結局地方の自治体からすれば、国が工場を持っていくところを考えて一応企画をする、その企画に基づいて工場を持ってくれば、いやが応でも、条例に基づかないで固定資産税その他を負けてやるようなことができはしませんか。これが法律に載りますと、地方の自治体はなかなかその法律を自主性ではね返すことは困難だと思う。片方から意見が出て参りまして、工場誘致なんということになりますと、どうしてもある程度のすごい政治力が反映することはわかり切っております。現在ですら、法律で、地方の自治体が工場誘致のために誘致条例をこしらえて税金を安くしてもよろしいというようなことがある。これに基づいてやっておっても、もうぼつぼつ地方の自治体では、工場誘致についてこういう優遇策はどうかという懸念を持ってきているところがたくさんあるのであります。これは地方住民に非常に大きな影響がある。工場ができることによって、地方の自治体がそれから受ける財政上の影響は非常に大きいのであります。従って、財政上の影響が非常に大きくて、その上に税金を負けてやるというようなことは、地方の自治体の財政運営においては非常に困難なんです。工場ができれば子供がふえる、子供がふえれば学校も建てなければならぬ。道路や橋梁の修繕もしなければならない。行政上のかなり大きな奉仕が出てくる。その上に税金を負けてやらなければならないということになれば、地方としては非常に苦痛なんです。だから、最近の地方の自治体の実態というものは、どういう工場誘致についても、税金を負けてやるというようなことはできるだけ避けたいというのが実情だと思う。にもかかわらず、こういう新しい法律がまた経済企画庁の方から出てきて、国の法律の中に、そういうことをすることができるんだということを書くこと自体がおかしいと思う。法律をこしらえて、工場を押しつけて、それに国が何らの予算措置をしないという大蔵省の考え方がおかしいと思う。一体、地方の自治体の財政をあなた方どうしようというのです。この問題についてはもう少しまとまった考え方で仕事をやってもらえませんか。こういう法律をこしらえれば、これについて財政はどうする——地方の自治体だけに財政の負担を負わせないで、国がこれについて幾らか財政を見る、こういう親切な態度はとれませんか。
  129. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 この問題は、今までの各地の例を見ますと、何かの優遇措置を講じてやらなければ、工場はその土地にこないということははっきりしておりますので、各府県あるいは都市が競って誘致策をとるのですが、その場合に、一応条例で、地方税一定期間免除するということをきめましても、事実はそういきませんで、まだ建て始めたばかりで工場が完成しておらないというときでも、最低——せっかくきめてあっても、事実上の免除になることはなくて、もうそこまでいったんなら、税金の形ではいかぬとすれば、町に幾らか寄付せいとかなんとかで、各地で、せっかく誘致されたんで行ったが、とてもこれではといって、もう逃げたいという事例まで出てくるようなのが今までの実例でございますので、やはり私は、企業誘致、工場を持ってくるためには、税制上のはっきりした優遇というものをやらなければ、実際問題としては無理だと思います。  それからもう一つ、同時に地方としては、将来は地方の税収として入ってくるということははっきりしておりますので、一定期間この地方税を免除するというようなことは、もしそこにその工場がこなかった場合を考えたら、もともと全然収入は当てにならぬところでございますから、将来の増収というものがはっきりしている以上は、一定期間誘致策として地方税を免ずるというような措置も、地方には、実際には痛い問題ではないと私は思っております。現にそういう事例がたくさん全国にございますが、実際から見て、地方税一定期間免税したからといって、地方が特に現状に比べて支障を来たすというようなことは事実上ないのではないかと思っております。
  130. 門司亮

    ○門司委員 私はあとで阪上君に関連して少し聞いてもらいたいと思いますが、国がほんとう地方自治体の今日の財政を知るならば、法律で税金をまけてやるようなことを法定化しないで、むしろこういう法律ができるなら、これについて地方自治体に工場のできやすいように援助政策をとることがほんとう格差をなくすることではありませんか。これはもしも将来よくしてやるから一定の期間というものはこれでよろしいというのなら、自治体にまかせておきなさい。法律がなくても地方自治体は条例でやれますから、工場誘致条例を持っている自治体はたくさんありますから、法律はこしらえなくてもいい。この辺は、大蔵省はどうも地方自治体の実態がわからないで、ただ何でも押しつけさえすれば地方ではやるんだというのは、とてつもない考え方だと思う。こういう法律で、地方へ工場がいったら税金をまけさせるということではなくて、ほんとう格差をなくしようという親切心があったら、この税金相当額は国が支出してやったらいいではないか、そんなものは大したものではないのですよ。この前も話しましたように、地方自治体の税外負担の収入を見てごらんなさい。農村に参りますれば、大体寄付金と思われるものを総合して参りまして、これは私の数字ではなく、農林省から出した数字、あるいは文部省から出した数字だ。こういう数字をずっと合わせてみても、国税、県税、市町村税と合わせた一〇%ないし一五%に近いものが税外負担として事実上出されている。そういうことで地方の自治体は辛うじて道路の修繕をし、学校の維持をしていることは大蔵省もおわかりでしょう。こういうところに、あなた方大蔵省が、一つの政府の施策として地方自治体の格差をなくするという親心があれば、地方の負担にまかせないで、国がなぜそういうものについては十分のめんどうを見てやらないかということです。どうしてこういうものに予算をつけないかということです。ただ法律だけこしらえて、工場ができればよろしいということでは、どうしても承知するわけにはいかない。どういうわけでこれに予算がつけられないのか。またつければ悪いのか。これではまるきり仏作って魂を入れないと同じことですよ。何ぼ資本主義の政党だといっても、そう企業家の肩を持たなくていいと思う。地方住民日本国民です。必ずしもみな労働者とは言いませんが、日本国民ですから、つけられなかった原因はどこにありますか、ごく簡単でよろしいから教えていただきたい。
  131. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 企業を誘致するということは、将来の地方財源にそれがなることによって、地方の後進性が非常に改善されるということでございますので、どうしても小都市にあっては、周辺に企業を誘致することは将来の自分の財政のためにいいのだという問題でございますから、企業がそこにこられるような優遇策を講じてやるということでございまして、地方にみな工場がいったら、工場には税金をまけるが、まけた分は国がみな受けて金を出してやれなどという趣旨で私どもこの法律を作ったわけではございませんので、そういう話ならこれはまた別の問題になるだろうと思います。
  132. 阪上安太郎

    ○阪上委員 関連。先ほどから地域開発財政措置の問題が議論になっておりますが、どうも大蔵大臣のお説を伺っておりますと、何か一つ二つ欠けておるのではないかという感じがするのであります。今盛んに工場誘致という言葉を使われますが、私は言葉じりをつかまえて申し上げるのではないのでありますが、どうも工場誘致という考え方で今回の低開発地域工業開発促進法あるいはそれに伴って予想されるところの各般の地域開発関係法が出てくるという、そのこと自体に、私は何か大きな誤謬を犯しておるのではないかと思うのです。なるほど地方自治体の側からいわせれば、工場誘致のものの考え方があるかもしれません。しかしそれは勝手に誘致するのですから、極端な言い方をすれば、減収があった場合にも自分でかぶってがまんしなければならないかもしれない。だが今、国の法律として地域開発をやり、そこに工場を持っていこうという考え方は、誘致という考えでなくて、工場の分散をし再配置をするという考え方ではなかろうかと思うのです。このことを忘れておって、国の法律でもってあの程度のことをやっておって、そしてこれが低開発地域開発であるという考え方を持っておられるから、私は今言ったような議論が出てくるのではなかろうかと思う。おそらく一連のこれから出されるであろうところのいろいろな地域開発関係の法案を見ても、当然財源措置を伴わなければ実現できない問題ばかりであります。ことに十年なら十年というものを考えてみたときに、設備投資のほかに相当額の行政投資が行なわれなければ、私はこんなものは実現できないと思う。ただ単に工場自体を誘致してくるのだ、そしてそのことによって地域間の格差を是正するんだというような考え方ばかりでは、とてもじゃないが、現在世界各国で取り上げられておる地域開発のものの考え方ではないと私は思う。そのためにはもっと高度な、たとえば地域雇用の安定であるとか、高い水準の維持というようなことを考えて、相当いやがる工場でも、ある程度あなた方は、国もこれだけの行政投資をやるのだから、われわれは自由経済の原則を守るけれども、なおかつこの場合国策に協力して、工場をここへ配置しなければならぬのだから持っていくという、ある程度の強い意思というものがそこへ現われてこなければ全然無意味なものである。ところが、大蔵大臣がそういう考え方になっておられないがゆえに、ただ単に今はやりの地域格差の是正というようなことばかり考えているが、そのこと自体が直ちに地域雇用の安定というものに結びつく考え方ではないのです。だからこの際思い切ってやるなら、ほんとう地域開発をやっていこうということでありますならば、そのくらい相当強い意思が現われてきて、そこへ相当思い切った行政投資をやっていこうという方向でいかなければ、これは意味がないと思うのです。そういう考え方がないものですから、地方自治体が誘致したいと言っているのだから、またその誘致することによって税収入が若干ふえるからというような単純な考え方で、これは当然地方自治体の独自の財源であるところの地方交付税でもって減収補てんをやっていこうというようなふらちな考え方に到達してくる、こういうように思うのであります。大蔵大臣に伺いたいのは、やはりこの際必要なことは、そういったこそく因循な手段でなくて、ほんとうにわが国の地域開発をやっていくつもりがあるのか。地域開発をやるということは、とりもなおさず私は国土総合開発だと思う。そういう観点に立ったときに、なぜ行政投資を思い切ってやれないのか、こういうことを私は言いたいのです。
  133. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 行政投資をやって地方の必要な基盤整備をしたいと考えておりますから、この法案じゃない別の今言った法案を出しておるわけでありまして、行政投資に対しては国が高率の補助をもって臨むということとあわせて、国から見たならば工場分散、再配分というようなことになりましょうし、地方から見たならば自分のところに持ってくるのだということになろうと思いますが、そういう形で地方に工場を持ってこようという場合の優遇措置というものを、別の法律で今きめておるということでございます。
  134. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そこで若干の刺激を与える意味で今回の低開発地域工業開発促進法を出したのだという説明があった。しかしながら、これは私は大した刺激にもならないと思いますが、こういう低開発地域の場合においても行政投資をやるという考え方はないのですか。あるいはまた国庫でもって負担していこうという考え方はないのですか。これはあくまでも地方自治体の犠牲において、原資補てんは地方自治体の財源交付税でまかなっていくという考え方は依然として大蔵省としてお持ちなのかどうか、この点を伺いたいと思います。
  135. 石原周夫

    ○石原政府委員 先ほど大臣から申されましたように、後進地域開発ということは、阪上委員の仰せられましたように、行政投資、公共投資公共事業開発がまず一番重要な問題だと思います。その点については後進地域について十分に公共事業が回るように全体の予算配分考えなければなりませんが、同時にまた補助率、負担率の点について特段の配慮をいたそうというのが現在のこの低開発地域法律案であります。御指摘の税の方の関係につきましては、従来は条例をもって地方自治体でやってこられたわけでありますが、今回はさらに国税の方の減価償却の問題並びに地方税の減免の場合における交付税法上の措置の問題を規定いたしまして、これを各個の設備投資、産業投資の方の面に、阪上委員のお言葉をもってすれば再配置と申しますか、配置がえをしていくということで、それにプラスをして、二段に考えていくというのが両法案の間の関係であろうというように考えております。
  136. 門司亮

    ○門司委員 これ以上議論をいたしませんが、最後にもう一点だけ聞いておきます。この法律で財源補てんは考えられておらないとすれば、今のお話を総合してみると、結局一つのワクの中であるから、交付税がふえなければ問題の解決はつかないと思います。こういう法律がなければ、おのおのの基準財政に基づいて配分のできるものを、法律ができたために逆によけいとられるということになる。だからもしこれを交付税で解決されるとすれば、交付税の税率を今の二八・五に三を加えてふやしてもらわないと、結局地方財政全体がマイナスになってくるということははっきり言えると思います。だから冒頭に聞きましたように、一体この法律はどうなるのか。地方行政水準を平均化するという目的があるならば、それは一つの問題であるが、あなた方は地域格差をなくするのだというお言葉でありますから、そういうことになるならば、この財源についてはやはり相当考慮してもらわなければならない。一体交付税をふやす意思がありますか。
  137. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 交付税配分は、そういう実情考えて後進地に傾斜配分をしようという方針でございますので、そういう点も考えられると思います。
  138. 門司亮

    ○門司委員 どうも大蔵大臣として一つ考えてもらいたいのですが、一つのワクの中で傾斜的にどんなに配分をしたところで、一升ますには一升しか入らないのです。もう二合なければ足りないところを、一升しかなくて一升ますの中であっちに動かしたりこっちに動かしたりしてみてもどうにもならない。そのへこんだところはそれだけ行政水準が下がるんですよ。だから行政水準を平らにするのか、格差を平らにするのかといえば、あなたの方は格差をなくするのだとおっしゃるから、それならばぜひ一つここで財源を付与してもらわなければ格差はなくならないと思います。行政水準を平らにするというならば別の話の仕方があります。どう考えても法律の趣旨として、今自治大臣の答弁を聞きましても、この委員会にかけられている後進地域開発に関する公共事業に係る国の負担割合特例に関する法律案においても、両方とも人口の移動の防止あるいは地方住民経済力の格差を一応解消することを目的とするということになりますと、どうしても私は財政の方のめんどうは国が見るべきだと考えておりますが、きょうは大臣が非常に忙しいそうですから、これ以上私は押し問答はいたしませんから、大蔵省はこの考え方をやめてくれませんか。これを私は一つ申し上げておきます。何でもあるものを傾斜配分をしていけばよいのだということは、貧乏人は貧乏人にしておこうという考え方です。しかし格差をなくしようとするならば、国が少し援助をしてやらなければ格差はなくなりません。金があるから行政水準を平らにしようというなら、これはわかりますが、そういう考え方は一つやめていただきたい。  次にお聞きしておきたいと思いますのは、今川村先生からかなり突っ込んで聞かれたようですが、地方自治体の外債の問題です。これは私はまだ大して調べておりませんが、私の経験から言いますと、地方の自治体が外債を持つということは非常に苦労なんです。地方の自治体の財政は御承知のように国の財政のように必ずしも安定しているとは言えません。そのときそのときにどういう災害、あるいはどういう問題が起こるかわからないのです。そこで支払いが非常に困難になってくる。国債の場合は、案外そういうものについても国の方に頼むとか、あるいは利子をどういうふうにしてもらうとかいうことで、話がしいいのでありますけれども、外債は実はこれができないのであります。私の体験をから言いますならば、かつて大正十二年の大震災のときに、横浜がアメリカから当時の金で一億五千万円という外債を借りたわけです。それから同じように東京は、フランス並びにアメリカから金を借りた。まだ東京都はおそらくフランスから借りたのを全部払っていないでしょう。地方の自治体は金を借りますと、その間にいろいろな地方的な災害が出てくる。地方的な災害がくると、国のように大きな財政を持っておりませんから、地方の自治体自身も支払い能力というものが非常に限定されてくる。その所定の支払いができない場合には、国が見てやる用意ができておるかどうか、その点はどうですか。もし地方に大きな災害あるいは異変等があって、地方の自治体の能力において返済することができない場合は国が責任を持って支払うのだ、すなわち地方の自治体には迷惑をかけないのだ、こういうことにはっきりなっておりますか。
  139. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 政府保証をするということは、地方がいろいろな財政上の変化で払えないというときには、政府が払うということでございますので、それが保証だと思います。
  140. 門司亮

    ○門司委員 そうすると確かめておきたいのですが、政府保証しなければ向こうさんは貸してくれないのは、これはわかり切ったことです。これは手続上そうならなければならないことですが、ただ単に保証するといっても、今の大臣の言葉は言いのがれじゃないでしょうね。大きな津波にあったとか、あるいは大災害があった、その年度と次の年度とその次の三年くらい払えないという場合は、国が立てかえて間違いなく払いますか。それをあべこべに地方債にしてそっちへ押しつけるということはしませんでしょうね。その点をはっきりしておいてくれませんか。
  141. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 地方が借金をして、将来の財政事情によって苦しくなるとか、楽になるとかいう問題は、これは内債であろうと外債であろうと、その点は同じだと思います。今回の場合は外債であり、国が保証するということでございますから、最終責任は国が持つことでございまして、その点は安心してけっこうだと思います。
  142. 門司亮

    ○門司委員 今最終の責任と言われるけれども、あまり当てにならないんですよ。今までのわれわれの経験からいいますと、国はなかなか責任を持って払ってくれない。そういうことで、ぜひこれも一つ安心のいくようにしてもらいたい。そういう場合の地方の自治体は非常に能力に欠ける場合が往々にしてありますから、これは私念を押しておきます。  もう一つお聞きしておきたいと思いますことは、大蔵省の考え方として、地方財政の今日のあり方について、大体どの程度地方財政には窮屈さがあるか、こういうような言葉を使ってわかりにくいかもしれないと思いますが、地方財政のあるべき姿というものが、大蔵省の考え方からすれば今日の状態でよろしいのかどうか、それを一つ概念的にお答え願いたい。
  143. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 これはむずかしい問題でございますが、とにかく十分でないことは確かかもしれませんが、年々地方財政がよくなってきていることも確かでございます。
  144. 門司亮

    ○門司委員 私は、大臣のそういう言葉はあまり聞きたくないんですよ。年々よくならなければどうなるんですか。悪くなったらどうにもならぬでしょう。私の聞いておりますのは、そういうことではなくて、もう少し突っ込んで言いますと、地方の自治体の財源というものが四〇%しかない。ことしの地方財政計画を見てみても、実際には六〇%は国に依存している。そういう地方財政の他に依存しているという姿がよろしいかどうかということです。
  145. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 今そういう根本的な問題を私どもは税制調査会に諮問して検討してもらっているのですが、しかし実情を見ますと、国と地方収入というものは、大体全体の税のうちで国が七、地方が三というくらいの比率だと思います。その七と三の財源がどこにどう使われているかと申しますと、大体使われ方は逆で、中央が三で地方に七というふうに分けられて使っているのでありまして、財源と使途の食い違いははっきりあるのですから、これを根本的に直せということでございましたら、地方に七の財源を与えるという国税と地方税のあり方を変えるということがやはり根本だろうと思います。もしそういう観点から税制を取り扱ってみますと、これはなかなかむずかしいので、地方からの必要な財源をどういう形で与えるかといったら、これは現状から見たら非常に困難な問題でございますので、今一応国が国税として取ったものを交付税という形で地方へ回して均衡をとるというようなことをやっておりますが、そういうことにたよらないで、独自の地方財源をどういうふうに与えようかという問題は、非常に大きい問題で、実際上は不可能かとも思いますが、しかし税制としてこの税源の再配分というようなものは、どうしても一度根本的に検討を要することと思いますので、今その問題を私どもは税制調査会に諮問しているということでございますので、この検討の結果を見てから、私ども、もう少し考えたいと思います。
  146. 門司亮

    ○門司委員 大蔵大臣にもう少しその点突っ込んで聞きたいと思いますが、お忙しいようですから、あとは自治大臣に聞いておきたいと思いますが、これはごく簡単な問題で、この間から話しておりますように、地方の自治体、市町村財源の中で最も大きな財源であります固定資産税の問題ですが、この固定資産税の問題について最も不可解に感ずるのは山林の関係です。この山林の地積が実は明確でないのです。これを徹底的に調査するという自治省の御意思はありませんか。
  147. 安井謙

    安井国務大臣 今御指摘のようなことを、私は今具体的に材料を持っておりませんが、そういうような事実につきましては、今度固定資産税につきましては、全般的に本年度から再評価にかかる予定になっておりますので、そういう面もあわせて検討していきたいと思っております。
  148. 門司亮

    ○門司委員 もう一つ聞いておきますが、これは税金だけではありませんので、大臣よく調べていただけばわかると思うのですが、各市町村に地積を明確にした、たとえば大きさでいえば六百分の一とかあるいは三百分の一とかというほんとうに地積がちゃんとわかる地図が、私はないと思うのです。古い土地台帳によって処理されておるのです。こういうところに問題があろうかと思います。一ぺん国がなくなったとは申しませんが、敗戦後の新しい地方行政という建前で十五、六年たっております。従って地方行政の根幹をなすおのおのの地方の自治体の地積の明確な地図をこしらえるということは、私は必要だと思うのです。これは固定資産税については特に必要だと思うのです。だれがやっても地積だけくらいはきちっとして文句を言われないくらいのものをこしらえておくということが、行政の根本だと思うのです。言いかえれば国政の根本でもあろうと思う。日本の地積がどれだけあるかわからない。これは今まで再々言ったけれどもわからなかったでしょう。農村の農地改革をやって、農業センサスでもやってみた、一筆調査もやってみた、台帳も調べてみた、いずれを突き合わせてみても、はっきりした数字が出なかった。日本行政の中で最も大きな欠陥というものはこれだと思うのです。これはすべて地方の自治体の仕事であり、それからくる税金の問題だ。だから自治省大臣は、地方の自治体の地積の明確なる地図をこしらえてもらうわけにいきませんか。これは何とか予算の上に計上するなり何とかすることはできませんか。
  149. 安井謙

    安井国務大臣 先ほど申し上げましたように、この固定資産そのものの全体的な評価のし直し、あるいは資産のあり方につきましては、根本的な検討はやることになっております。従来も、今御指摘のような点につきまして、国から補助金を出しまして、一定地域を、これは部分的でございますがやっております。今お話しのようなことは将来いずれにしろやらなければならぬと思っております。
  150. 濱田幸雄

    濱田委員長 川村君。
  151. 川村継義

    ○川村(継)委員 私は、きょうは地方財政法の一部改正の法律に基づいて、関係のある大阪港及び堺港の外債問題についてお聞きしておったのでありますが、質問が中途半端になっておりまして、大臣が帰ったら主計局長理財局長もみなぞろぞろと帰っちゃって大へん工合が悪いですから、きょうはこれで質問を終わりたいと思います。そのかわりにちょっと資料を用意しておいて、この次また来ていただきたいと思います。  一つは、外債問題で東京都で問題が起こっておるようですね。ゆうべもラジオ放送しておりました。これは前にも新聞に出ておった。つまりフランスから借りた外債の償環について非常に長い間いざこざがあって、昨年とか、三十億ですか話がまとまった。ところがフランスのいわゆる債権者の方がこれまた内輪もめを起こして、フランスで裁判が行なわれて、その裁判の結果、一部の異議申し立てをした者の方が勝った。争ういうことで、またこれが問題になるのじゃないかと言われておるようであります。私、その詳しい事情をよく知りませんから、これは自治省でも大蔵省でもかまいません。東京都の今のフランス外債の問題について、その経過、それから一体どういういきさつになってきたのか、それを一つぜひ知らせていただきたい。  それからいま一つは、終戦後、昭和二十年ころでありましたか、いわゆる社債であるとかあるいは地方債であるとか、こういうものについて借りかえやあるいは償却されなかったものを、一括して政府が元利払いの義務を承継したことがありますね。そのうちに地方債関係ではアメリカの米貨によったものが二口あったはずです。それからイギリスのポンドによったものが五口あったはずです。これが大体、二十年末のその未払いの償還額等も私一部ちょっとしたものを持っておりますけれども、それがどういうふうに処理されて今日きておるのか、その未償還になった理由、そういうものを、これは地方債に限らず、それから社債に限らず、政府が引き受けたもの、こういうものの資料を出していただきたい。それらの資料、また皆さん方にいろいろ御見解を聞きながら、私がきょう質問しようとしておりました大阪港あるいは堺港のこういうような外債等について、もう少し皆さん方の見解を聞きたいと思います。  私は、先ほど申し上げましたように理財局長主計局長も帰りましたので、きょうは自後の質問を保留いたしまして、これで終わりたいと思います。
  152. 阪上安太郎

    ○阪上委員 ついでに資料を私も要求しておきます。自治省です。大阪港、堺港の埋め立て整地、それに伴うところのいろいろな行政投資に使われるものだと私は思うのです。その詳細を一つこの際提出していただきたい。
  153. 濱田幸雄

    濱田委員長 ただいま川村君と阪上君からの要求の資料でございますが、これは来週の月曜までに必ず委員会の方に提出を願います。  本日の議事はこの程度にとどめます。これから直ちに地方税改正の小委員会を開催することとなっておりますので、小委員の方はお残りを願いたいと思います。  これにて散会いたします。     午後五時七分散会