○後藤田
政府委員 御
質問の趣旨は、法人
関係では
地方税に影響を及ぼして個人
関係では遮断をしておる、おかしいじゃないか、こういう御意見であろうと思います。私ど
もといたしましては、今回の税制
改正は
地方の税制に安定性を与える、こういう
意味合いから、税制上及び徴税技術の面その他の面も考えまして、でき得る限度は、国税の影響を遮断するという
考え方で
改正案を考えたのでございます。ところが法人
関係につきましては、これは税の
立場、さらには徴税面等を考えますと、遮断は実際言うべくしてできない面が多いのでございます。たとえば耐用年数というものを
一つ取り上げましても、ある
一つの
機械について、これは現在国税の方で非常に精密な耐用年数のきめ方をいたしておりますが、それと別個のものを
地方が扱うということになりましても、実際問題として徴税面で
市町村の
実態を見た場合には、できないという面もございますし、またそういう際に刑の耐用年数を使うということは税制上
もとりにくい、こういうようなことから法人
関係につきましては影響を及ぼさざるを得ないということになったわけでございます。ところがその内容は、先ほどの御
質疑にもございましたように、大きい影響を及ぼすのは耐用年数と、配当課税の
改正、留保金課税の
改正、この三つだと思いますが、これらはいずれも大企業、中小企業にかかわらず影響があるわけでございます。その面は減税面でございますが、他面今回の
改正でも、法人については特別措置の
整理が国税の方では相当できておりますが、それに伴う影響面はやはり
地方税にも及ぼして、
地方税としては増収に上げるということで、増減ともに影響を及ぼさざるを得なかった、こういうことでございます。
個人の面につきましては、主として専従控除の
取り扱いの問題だと思います。個人の住民税等についてどこで遮断するかということになりますと、所得の範囲なり計算の
段階で遮断をするというのが
一つ、いま
一つは所得控除で遮断をする、もう
一つは税率で遮断をする、三つあると思います。ただ税制調査会等の
議論におきましても、納税者の
立場、徴税上の問題、こういうようなことを考えますと、所得控除以下の
段階で遮断をすべきであろう、こういうことで遮断をしたわけでございます。それがまた住民税の本質にも合致する、国税と同じであるという必要はないではないか、こういう
議論であったわけでございますので、私ど
もとしてもその
立場に立って、個人住民税の場合には遮断をするという
改正をいたしたわけでございます。ただ問題は、御
質問の中にございます専従控除の
取り扱いの問題だと思います。専従控除につきましては、御承知の
通りに、社会の慣行の面から見ましても、まだ家族
関係の支払いの慣行はほとんどないわけでございます。そういった社会生活上の
実態から、国税における税制上の理屈としても、経費として割り切れなかったわけでございます。税制調査会におきましても、専従控除の性格はともかくとしてということで、税制上の性格そのものの割り切りができなかった。いわば経費なのか、負担と考えた特別控除なのかということについては、ボーダー・ラインに属するものだということであります。
そこでそうなって参りますと、
地方税の
立場といたしまして、負担分任を基調とする税制の理論から見て、これの採否ということは別個の面から考えるべきだ。同時にまた現実問題といたしまして
財政上の影響も考えねばならぬ。かりに専従控除を取り上げますと、国税の今回の
改正が、個人と法人の負担の面も考えまして専従控除を取り上げる。そういたしますと、給与所得者と事案所得者との負担の問題、均衡の問題、こういうことから扶養控除なり配偶者控除を取り上げて全体のバランスをとっておるわけであります。従って、これをそのまま私
たちの方で採用いたしますと、住民税の場合におそらく二百七十億前後の減税になります。オプションのただし書き採用の
市町村になりますと、専従控除だけで納税
人員が五〇%なくなる、税収で四八%なくなる。そういたしますと住民税の納税者、いなかの町村に行きますとほとんど給与所得者である、こういうアンバランスが生じるわけであります。こういった実際面を考えまして、山口
委員の御
質問の趣旨は私はわかるのでありますけれども、税制上の
立場から、徴税上の問題なり
財政上の影響といったあれこれの点を考えまして、今回のような遮断の方法をとったのであります。