○
阪上委員 大体
各省の
青少年指導理念というものの
考え方を伺ったわけででありますが、率直に言いまして、私も少しへそ曲がりかもしれませんけれ
ども、どうもぴんと来ない。
自治省ではよい
青年を作る、その方法として
環境の整備に特に頭を使っておるということであります。
警察庁は特殊な
建前でありますので、これはまた同じように健全なる
青少年を
育成するのだという抽象的な問題です。しかし手段としては、
非行青少年対策であるとか、
科学警察研究所の
青少年研究、あるいは
少年の
補導官、まあ
補導等についてもかなり問題があると思います。もっともっと知能の高い者を持っていかなければならない。そのためには給与の問題もつきまとってくる問題ではなかろうかと思います。
モデル地区の問題、これも取り上げておられます。しかしながら、言われる
指導理念はやはり健全な
青少年、
文部省に伺ってみても、よいものを与えて、しかもそれは
学校教育あるいは
教育を通じてやっていくのだ、しかしその
理念としてはよい
青年を作るのだ、こういうことであります。
総理府では、これまた健全な
青少年育成、しかもここに
理念が出て参りまして、
民主主義というものを
指導理念として持っておる。こう言われるのですが、このことは私はけっこうであると思いますけれ
ども、あまりにも
青少年に対する
指導理念としてはばく然とし過ぎているのではなかろうかという
感じがいたします。これは多少的はずれかもしれませんけれ
ども、やはり
世界各国の
青少年指導理念というようなものはわれわれは大いに参考にしていいのではないか、こういうように思います。正しい愛国心を養成するのだというような
建前をとっているものもあり、あるいはまたもっと突き進んだ
考え方で、いわゆるシチズンシップの見地に立ってよい
市民を作るのだというふうに、きわめて割り切った
考え方を持っているところもあります。
市民というと、農民が含まれないようでありますが、彼らが言うシチズンというものは一切のものを含めたものであります。それからまた
世界人類への奉仕というような、崇高な
世界観の
樹立を
青少年がするように
指導していくというような
考え方も持っておる。もちろん平和の確立というような高い
指導理念を持って、それに
青少年を奉仕させるのだというところまでいっているところもあります。先ほど言われたよい
青年であるとか健全な
青年、こういった中にはそういうものが含まれておる、こういうように私は思うのであります。そこで私の
考えとしては、そういったことをやるために、そういった
指導をやっていくための
指導理念といいますか、それは一体どこにあるか。これは私が申し上げるまでもなく、
児童憲章にはっきりしているのではないかと私は思うのであります。今おっしゃった
青少年を扱っておられる
皆さん方の頭に
児童憲章が全然ないということは、私は非常に遺憾に思うわけであります。
児童憲章にははっきりと、当然
青少年指導の根幹になっていくようなものが出ておるわけです。そういうものを満たしてやることによって、初めて
青少年というものは完全に
育成されていくのじゃないか。そこで私
一つ一つ伺っていきますが、
児童憲章の中には、児童は人として尊ばれるということが強く強調されておりますし、社会の一員として、先ほど申し上げましたシチズンシップの問題がここに出てきておる。それからさらに先ほど言われたよい
環境の中で育てなければならぬというところの
環境整備の問題が、やはり
児童憲章にはっきり出ておる。もっと集約して参りますと、
家庭に恵まれない児童には、これにかわるような
環境が国なり
地方自治体の手によって与えられなければならぬ、こういうことまで突き進んで集約されております。それから
文部省が先ほど言われたすべての児童は就学の道を確保され、十分整った
教育環境の中で
教育されなければならぬ、こういうこともはっきりここに出てきておるわけであります。それからすべての児童は職業
指導を受ける
機会が与えられなければならぬ、こういうことになっておる。
そこで私お伺いしたいのは、特に
文部省に伺ってみたいと思いますが、すべての児童が就学の
機会を
ほんとうに現在の
文部行政の中で与えられているかどうか、きょうおいでになっているのは
社会教育局長さんですから、なかなかこれまた範囲が違ってくるかもしれませんけれ
ども、実際問題として、端的にいって金のない子供というものは
学校に行けないじゃないですか、今の
学校教育の中で。しかし諸外国の例を見てごらんなさい。
ほんとうに
青少年問題と取り組んでおるような
学校教育というものは、完全に、能力のある子供については
学校に行くところの一切の保障がされているのであります。
高等学校に入学したい子供が半分近くまで入学できないというような、
学校整備の観点から見て子供の入学を拒否しているという面もあるけれ
ども、私は、そのことよりもさらに大事なことは、貧乏人の子供は
学校に行けないという、この簡単な事実であります。こういうところから
非行青年が出てきているのです。こういった
児童憲章の
一つすら守られてないところに、現在の
非行青年というものが出てくる
共通の
病根があるのであります。私を文部
大臣にしてごらんなさい、私は即座に、全部の子供を金がなくても能力のある子供は
学校にやるだけの、
予算措置を講じなくたってそんなことはできますよ。きょうは文部
大臣がおりませんので、あまり大きな声を出してみたってしょうがないのですが、諸外国の例を見ても、いまだに寄宿舎制度というものがちゃんと確立されておって、そうして上級の
学校に行く子供はその
学校に入って、在学中の学資というものは全部その
学校財団がこれを出してくれる。そうして卒業して就職して二十年、三十年の間に、就職した給料のうちから千分の一なりずつを返すことによって、完全にどの
学校へも入ることができるということになっている。こういう簡単な金も要らぬような
施策すら
考えることができないような貧困な頭で、
文部省が
教育行政、
青少年対策がどうのこうのと言っていること
自体が、私はおかしいと思う。一体
文部省として、
ほんとうに
青少年に対して就学の
機会均等を与えておるかどうか、このことは大きく反省しなければ、
青少年問題は解決せぬと私は思います。こういった点で、きょうは
社会教育局長さん、えらくわずらわしてめんどうですけれ
ども、
文部省を
代表してあなたの
意見を
一つ伺っておきたいと思います。