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1961-03-09 第38回国会 衆議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月九日(木曜日)    午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 濱田 幸雄君    理事 金子 岩三君 理事 田中 榮一君    理事 中島 茂喜君 理事 丹羽喬四郎君    理事 吉田 重延君 理事 太田 一夫君    理事 川村 継義君 理事 阪上安太郎君       伊藤  幟君    小澤 太郎君       大竹 作摩君    亀岡 高夫君       久保田円次君    前田 義雄君       渡邊 良夫君    安宅 常彦君       佐野 憲治君    二宮 武夫君       松井  誠君    山口 鶴男君       門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         自治政務次官  渡海元三郎君         自治事務官         (財政局長)  奧野 誠亮君         自治事務官         (税務局長)  後藤田正晴君  委員外出席者         自治事務官         (財政局財政課         長)      松島 五郎君         専  門  員 圓地與四松君     ————————————— 三月三日  後進地域開発に関する公共事業に係る国の負  担割合特例に関する法律案内閣提出第一三  七号) 同月六日  故障車及びそのけん引標示に関する請願(内藤  隆君紹介)(第一〇五一号)  地方交付税率引上げに関する請願井出一太郎  君紹介)(第一〇九七号)  地方公務員退職年金制度改正促進に関する  請願井出一太郎紹介)(第一〇九八号)  同(中馬辰猪紹介)(第一二一四号)  後進地域建設事業国庫負担割合特例に関す  る請願井出一太郎紹介)(第一一一五号)  地方交付税算定における態容補正改善に関す  る請願赤澤正道紹介)(第一一二二号)  国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する  請願外三件(田口誠治紹介)(第一一五四  号)  中小企業等協同組合及び商工組合に対する地方  税免税措置の存続に関する請願勝澤芳雄君紹  介)(第一一五五号)  同(田中武夫紹介)(第一一五六号)  同(小川半次紹介)(第一一九九号)  同(中村幸八君紹介)(第一二〇〇号)  同(淡谷悠藏紹介)(第一二六三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  後進地域開発に関する公共事業に係る国の負  担割合特例に関する法律案内閣提出第一三  七号)  消防組織法の一部を改正する法律案内閣提出  第六五号)(予)  新市町村建設促進法の一部を改正する法律案(  内閣提出第九三号)(予)  地方財政昭和三十六年度地方財政計画)に関  する件      ————◇—————
  2. 濱田幸雄

    濱田委員長 これより会議を開きます。  予備審査のため本委員会に付託されました内閣提出消防組織法の一部を改正する法律案及び新市町村建設促進法の一部を改正する法律案を順次議題といたします。
  3. 濱田幸雄

  4. 渡海元三郎

    渡海政府委員 ただいま提案せられました消防組織法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由並びにその内容概略について御説明いたします。  消防組織法は、国、都道府県及び市町村消防に関する組織、機能について定めたものでありますが、最近の消防行政の推移に応じ、その一そうの進展をはかるため、若干の規定について改善整備を行なうこととし、ここに改正案を提出した次第であります。  第一は、消防庁組織整備し、所掌事務のより能率的な処理をはかるため、消防庁長官を助け、庁務を整理する職として、次長一人を置くこととしたものであります。  第二は、消防庁及び都道府県所掌事務に関する規定整備でありまして、その一は、消防団員が大部分市町村非常勤職員として、ほとんど無報酬に近い状態で、水火災その他の災害に際して危険な活動に従事しているのが実情でありますので、多年勤続して退職する団員に対して、国としてその労を謝するため報償を行なうこととし、その実施に関する事務消防庁所掌事務として新たに規定したことであります。その二は、消防庁及び都道府県所掌事務に関する規定のうち火災防御計画消防計画に改め、単に火災防御についてのみでなく、消防任務全般について、市町村計画を樹立するよう指導を行なおうとするものであります。  第三は、消防団員の階級の基準消防庁が準則で定めることとし、消防団の運営の合理化をはかろうとするものであります。  以上がこの法律案を提出いたしました理由とその内容概略であります。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。  次に新市町村建設促進法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容概略を御説明申し上げます。  昭和二十八年十月町村合併促進法が施行され、全国的に町村合併が進められましてから今日まで満七年余を経過いたしたのでありますが、幸いにして一般の理解と協力によりきわめて顕著な成果を上げることができたのでありまして、昭和二十八年九月末日当時、約九千九百をかぞえた全国の市町村が本年二月一日現在では約三千五百市町村と、おおむね三分の一に減少し、町村合併によって約二千四百の新市町村の誕生を見るに至ったのであります。町村合併によって減少した町村の数は六千六百余に上っているのでありまして、これは、国が当初立てました合併計画に基づく減少予定町村数に対して一〇六パーセントに当たり、また都道府県が立てた合併計画に対しましても九六パーセントの進捗率を示しているのでありまして、町村合併は、今やおおむね所期の目標を達成した段階にあると存ずるのであります。  一方、町村合併を通じて誕生した新市町村建設につきましては、新市町村建設促進法の施行以来、すみやかにその一体性を確立するとともにその地域の自然的、経済的、文化的その他の条件に即して総合的計面的に建設を進めるように、国、都道府県その他の団体等において、それぞれの行なう各般の施策を通じ協力して参ったのでありまして、新市町村における真摯な建設の努力と相待ちまして逐次建設の実績が上げられつつあるのであります。しかしながら、町村合併後なお日浅い新市町村として、拡大された地域についてその建設を進め、真に新市町村一体性を確立し、住民福祉の増進と地域発展をはかっていくためには、なおいろいろ困難が存し、新市町村建設計画に掲げられた建設事業の実現も、毎年計画のおおむね八〇パーセント前後にとどまるのであります。新市町村建設計画の完全な実施をはかり建設目標を達成して新市町村の健全な発展を実現していくためには、国、都道府県その他の今後一そうの協力援助を必要とするのでありまして、町村合併がほぼその目標を達成した現在、過去七年有余にわたる町村合併推進に終止符を打ち、もっぱら新市町村建設にさらに積極的に力をいたすべきものと考えられるのであります。これがため、この際本年六月末をもって失効することとなっております新市町村建設促進法有効期間を延長することとする等のため、同法の一部を改正いたしたいと存ずるのであります。  以下、改正法案内容についてその概要を申し上げます。  第一は、新市町村建設促進法有効期間を五カ年延長し、引き続き新市町村に対し新市町村建設計画実施促進をはかることとしようとするものであります。  第二は、町村合併の現状にかんがみ、町村合併に伴う争論の処理及び未合併町村町村合併推進に関しましては、本年六月末をもってこれらに関する措置を打ち切ることとし、関係規定有効期間を延長しないこととしようとするものであります。  第三は、町村合併に関する計画に基づく都道府県知事勧告または自治大臣勧告を受けた市町村で、今までに町村合併をしていないものが、今年六月三十日以降に勧告に基づく町村合併を行なった場合においては、これを新市町村とみなして新市町村建設促進法適用を受けることができることとしようとするものであります。  第四は、新市町村災害等に際して、国の財政上の援助に関し、町村合併が行なわれなかったものとして措置しなければならないものとする特例措置は、他の特例措置の取り扱いに準じて新市町村建設促進法有効期間中に限ることとしようとするものであります。  以上が新市町村建設促進法の一部を改正する法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。      ————◇—————
  5. 濱田幸雄

    濱田委員長 次に、内閣提出後進地域開発に関する公共事業に係る国の負担割合特例に関する法律案議題といたします。     —————————————
  6. 濱田幸雄

    濱田委員長 まず、政府より提案理由説明を求めます。渡海自治政務次官
  7. 渡海元三郎

    渡海政府委員 ただいま議題となりました後進地域開発に関する公共事業に係る国の負担割合特例に関する法律提案理由とその要旨を御説明いたします。  わが国経済発展住民福祉向上をはかっていくために近時特に地方開発必要性が強調されております。すなわち、開発のおくれている後進地域産業立地条件整備し、その体質を改善していくことが、いわゆる地域格差を是正し、わが国経済を全国的に均衡を保って一段と伸展させるためにきわめて緊要と考えられているのであります。  それがためには、今後これらの後進地域において公共事業の増大することが期待されるのでありますが、財政力が十分ではなく、その消化が容易でない地域関発に関する公共事業については、国の負担割合を高め、当該地域負担を軽減して公共事業実施を円滑ならしめ、もってこれらの地域経済基盤の強化と住民福祉向上促進する必要があります。  公共事業についての国庫負担率特例制度としては、現に東北、九州及び四国地方の各開発法に基づく制度と、地方財政再建促進特別措置法に基づく制度とがありますが、これらの制度は、開発を必要とする後進地域を網羅していないのみではなく、過去に赤字を出した団体であるかどうかに主眼を置いておりますので、地方団体相互の間に均衡を欠いており、地方財政の現実にも即しないものとなっているのであります。このような事情にもかんがみ、これらの制度も統合して、新たに、全国的に後進地域開発推進をはかる統一的な財政援助制度を設けることとしたのであります。  以上が、本法律案提案理由であります。  次に、本法律案内容要旨につきまして御説明いたします。  第一は適用団体であります。国庫負担率特例は、地域的に見て後進性が強いことと、財政負担能力が乏しいことの両面を考えてその適用団体を選択すべきものでありますが、その基準地方交付税制度上の基準財政収入額基準財政需要額との比率に求めることがおおむね適確であり、しかもその算定が統一的客観的であると認められるのであります。都道府県における過去三カ年間の比率平均は、基準財政需要に対する基準財政収入のおおむね〇・四六でありますので、これを財政力指数平均値とし、それぞれの地方団体財政力指数が〇・四六に満たない場合、その団体本法適用をいたすことにしました。  第二は、適用対象となる事業であります。  事業範囲は、河川、海岸、砂防設備林地荒廃防止施設地すべり防止施設、林道、道路、港湾、漁港、農業用施設事業で真に後進地域開発に寄与するものを、従前からの各地方開発促進法地方財政再建促進特別措置法における対象事業範囲参考として選択することにいたしたいのでありますが、具体的には政令で定めることといたしております。  第三は、国の負担割合引き上げ方法であります。その方法は、適用団体財政負担能力の実態に即し、かつ簡明なものであることが望ましいと思われますので、各適用団体ごとにその財政力指数が〇・四六に満たない数値を引き上げ率の基礎とすることとし、財政力指数の最も低い団体引き上げ率が二五%となるように一定の算式によって決定することといたしました。なお、事業ごとにこの引き上げ方法で国の負担割合算定した場合において、適用団体負担割合が一割未満となるときは、最低限度一割は県が負担することとなるように国の負担割合を定めることといたしております。  第四は、現行公共事業に対する国庫負担特例制度との関係であります。この制度実施に伴い、さきに申しました現行特例制度は、廃止する建前とし、三十八年度までに漸進的に本法に吸収することとして、所要経過措置を設けることにいたしたいのであります。  以上が後進地域開発に関する公共事業に係る国の負担割合特例に関する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  8. 濱田幸雄

    濱田委員長 以上をもちまして提案理由説明は終わりました。  質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  9. 濱田幸雄

    濱田委員長 次に、地方財政に関する件につきまして調査を進めます。  昭和三十六年度地方財政計画に関する質疑を継続いたします。久保田円次君。
  10. 久保田円次

    久保田(円)委員 三十六年度地方財政計画でございますが、この点につきましては、各地方団体は、地方自治法の精神にのっとりまして、行政の確保と健全な発達をしなければならない、こういうのが目的にあるわけでございます。そういう中に立ちまして、一応自治省といたしましても、国の施策、すなわち、総理が日本経済の非常な健全な成長の中から特に所得倍増を打ち出しているわけでございます。その中に立ちまして、特に減税とそれから公共投資社会保障、この三つを強く取り上げているわけでございますが、自治大臣もこの説明の中に、特に「その健全化を一そう推進する方針のもとに、投資的経費財源を充実して行政水準向上をはかるとともに、積極的に後進地域開発推進していくことを目標としたのであります。」こういうふうに前言をしまして、そしていろいろ財政計画を立てているわけです。私はこの財政計画を一べついたしまして、自分の長い自治体におきましての体験から、この財政計画にありますところの数字一つ一つを取り上げることでなくて、今地方団体が一番困っておるところ、悩みの多いところ、これを一つ指摘いたしまして、きょうは大臣がおりませんから、政務次官から一つ大臣にかわってもらっていろいろ御答弁していただきたいと思います。なお、関係局長一つ御答弁を願いたいと思うのでございます。  そこで考えられますのは、この財政計画説明の中で、特に第三表「歳入歳出構成に関する調」でございますが、この第三表のこれを見ていただきたいと思う。そうすると、歳入構成比の中に地方税が四〇%、それから特に私がお尋ねしたいのは地方交付税の二〇%、この比率をよく見てみるわけでございます。そうしますと、将来この地方交付税引き上げて、特に後進団体につきまして何とかめんどうを見る、そういう考え方があったらばそれでけっこうだし、また地方税そのものをよく分析をして、そしてこういうふうな考え方も持っておるのだ、たとえばいろいろの施策があるわけです。そういうふうな基本的な一つの今後の考え方次官から一つ何か考えがありましたら御説明願いたいと思います。
  11. 渡海元三郎

    渡海政府委員 ただいま地方税並びに地方交付税歳入構成に占める率等を勘案して、将来においてこれをいらう考えがあるかということの御質問のように存じますが、地方財政計画歳入構成の面におきまして地方税が四〇%、地方交付税が二〇%になりまして、国と比べまして自主財源としての税が僅少であるということはまことに遺憾でございます。私たちは、これらの増強をすることによって、地方自主性をできるだけ財政面からも強化しなければならない、常にこう考えておる次第でございまして、地方交付税率昭和三十年の二二%から累年増加いたしまして、昨年は特別交付金を含めまして二八・八、地方団体が最も貧困に苦しみました二十九年、三十年当時に比べまして六・八、おおむね七%も増加したような次第でございます。将来これをどうするかという点につきましては、本年度は国と地方合わせまして一千億以上の減税を行なうということでございましたが、地方自主財源が少ないという現況にもかんがみまして、近く提案になります地方税改正におきましては、国の減税に対しまして地方減税はこれと比較すれば少額にとどまっております。しかしながら、それにいたしましても、初年度におきまして百五十億近く、平年度にいたしますと二百九十五億に上る減税を行なう予定をいたしております。しかしながら、これらの減税措置をいたしましても、将来におきまして改正すべき、あるいは負担均衡をすべき方向に進まなければならぬ、そういった税が地方税の中に多々あるということは私たちも認めておるところでございますが、地方財政現況ともあわせまして、むしろ国地方を通ずる税のあり方がいかにあらねばならないかという方向を国とともに検討しなければならないときが来ておるのでないか。かように考えまして、過去二年前から政府におきましては、国と地方とを通ずる税制根本的改正ということで調査会を作って御検討をいただいておりまして、三十六年度においてこれが答申をいただく予定になっております。この方針に基づきまして、現在における抜本的な財源制度考えていきたい、かように考えておるような次第でございます。
  12. 久保田円次

    久保田(円)委員 やはり地方税財源問題でございますが、何というても地方団体財源を求めさしてやる、それには住民所得を上げさせるような施策考えなくちゃならない。これが基本でございますが、都道府県、特に県税でございますが、こういうような点に対しましては市町村税よりもその率が非常に低い。大体におきまして国の出先機関のような考え方になっているわけでございますが、とにかく市町村を中心にした財源をなるべく大幅に求められるような施策をだんだん考えていってやって、そして交付税というものに対しましては、とにかくいい制度ではないのでございますから、できるならばひとり立ちでいくことがけっこうでございますので、そういうふうな方向に向かってもらうことがいいのではないか、かように考えるわけであります。  そこでいわゆる交付税に対しましての不交付団体大阪神奈川東京愛知と、こういうふうなところでございますけれども、ただいまいろいろ後進地域に対しての開発につきまして次官から説明がございましたが、特に〇・四六以下の団体名を知らせていただきたい、このように思います。
  13. 渡海元三郎

    渡海政府委員 ただいま税構成につきまして、地方財源としてできるだけ地方税自主財源を求め、交付税等によってこれを埋め合わせするということを少なくするようにしろということは一つの御議論でございます。かくありたいものだと私たち考えるのであります。一方三千五百に上る自治体あり方を見ますと、いかなる税を持って参りましても均衡ある税の徴収ということが非常に困難でないかと思われるのが、日本の各自治体実情でないかと思うのでございます。従って地方税そのものによる税収入均衡を保つための制度として、地方交付税が存する役割もまた見のがすことができない事実であると考えます。このようにどのような税を持って参りましても、より富むものがより富むというような姿にある現在の実体に合わせまして、自主財源及び地方交付税を考慮して決定すべきものでないかと思います。またこういう点も勘案して政府税制調査会におきましても今後の答申が出されるのではないか、かように考えておる次第でございまして、御意見の点は十分考慮に入れまして、これらの答申に対する今後の制度改正に善処さしていただきたい、かように考えます。  なお本日提案いたしました後進地域に対するところの公共事業にかかる国庫負担特例に対する〇・四六の指数に入る都道府県が三十五、入らない県が十一でございまして、大阪東京神奈川、静岡、埼玉、京都、兵庫、広島、山口、福岡、愛知でございます。それ以外の県は全部〇・四六以下として適用団体になる、かように考えております。
  14. 久保田円次

    久保田(円)委員 町村合併が済みまして、新市町村建設促進法、こういう新段階に入っておるわけでございますが、その中に立って町村合併をする前の財政力状況、それから交付税交付状況合併をした後におきましての状況をお知らせいただけましたら幸いと思いますが、おわかりになりますか。
  15. 松島五郎

    松島説明員 新市町村に対します交付税特例措置状況については、現在の交付税制度といたしましては、合併算定がえ、すなわち合併をした団体合併をしなかったとしたならばどうなるかという、その両方計算をいたしまして有利な方をとるという合併算定がえの制度と、合併をいたしました場合の合併補正という制度両方を併用してございます。それらの措置によりまする従来の計算によってこれらの団体に増額されました額は、昭和二十八年度においては十億二千八百万、昭和二十九年度においては三十二億九千万、昭和三十年度においては六十九億三千五百万、昭和三十一年度は百二億、昭和三十二年度は百二十七億、昭和三十三年度が百三十九億、昭和三十四年度が百三十三億六千万、昭和三十五年度が百二十九億六千四百万、合計いたしまして、昭和二十八年度から三十五年度までの間に七百四十三億七千七百万円がいわゆる普通交付税によって措置をいたされておるのでございます。なお昭和三十五年度から合併算定がえの期限が終了するものが出て参りましたので、これに対しましては激変を緩和する措置といたしまして、特別交付税において所要措置を講ずることといたしておるのでございますが、この額が昭和三十四年度においては一億二千五百万円、昭和三十五年度においては十一億六千八百万円が先ほど申し上げました額のほかに交付されておるのでございます。なおそのほかに特別交付税におきましては、合併をいたしました当初年度等におきましては、合併に関します諸雑費等もかかること等も考慮いたしまして、それぞれ所要額を交付いたしておるわけでございまして、その額は相当額に達するものであるということが御了解いただけるものと思います。  なお合併前と合併後ではどのような市町村財政状態になっておるかということでございますが、ただいま詳細な点につきましては調査中でございますけれども、傾向といたしましては、合併前の町村に比べまして、合併いたしました町村の方が次第に消費的な経費割合が低下をいたしまして投資的な経費割合が増高してきているという状況でございまして、これによりましても、合併によって一般的な行政経費が節約され、これが住民福祉に直結する投資的な経費の方に向けられてきているという事実は思量されている次第でございます。
  16. 久保田円次

    久保田(円)委員 今いろいろ御説明がございましたが、とにかく不交付団体に対しましての地域的な考え方をずっと私どもが頭の中に入れてみますと、今の十一団体というものを見ますと、工業地帯それから平坦地地帯、全体から見ると平坦地地帯にずっと多いと思うのです。人口の稠密の程度がどの程度であるか、工業がどのくらい進んでおるか、それから観光というふうな地帯も含まれておるのではないかという工合に考えるわけでございますが、そうしますと、低開発地域後進地域というものは比較的山間地帯に多いように考えられるわけです。そういうふうな中に立って私ども考えてみるのに、一体今後そういう地帯工業を分散させ、あるいは人口というものも、基幹地域というものを作って、そうして一応そこへ農業人口なり、そういうふうな方法によって吸収していくというのが今の政府考え方でございますが、これは参考になるかどうかわかりませんけれども、いわゆる所得比率について産業別で考えてみますと、所得の推移に対しましては、その構造比が全体を一〇〇とした場合、第一次産業は一六・六%なんです。第二次産業、つまり製造業とか工業、これが三四・五%、第三次産業は、サービス業とか卸業というふうなものでございますが、これが四九・三%、こういうふうなものを真剣に考えてみると、どうしても地方団体にその財源を求めるということにつきましては、原則的に今までの不交付団体のそういうところをよく分析してみて、産業を優先的に、積極的に分散させなければならない。これは真剣に考えなければならない。そういうふうな中に立ちまして、低開発地域に対しましての法律を作って、都市と地方所得格差の是正をはかろうというような考え方でございますが、それに対しましての優遇措置として、一応大きく考えますと、税法上の優遇、金融上の問題、それから土地という問題、この三つの点に対しまして何とか一つやってみようじゃないかということが精神に現われておるわけでございます。ところが、これは自分の体験でありますけれども、会社、工場が、低開発地域に指定をしたからそこのところへ一つ行ったらどうだといって、えさを一つ投げてやるわけだけれども、そんなことでもってなかなか行くもんじゃない。これは大きく国の方としていま少し真剣な考え方で何か手を打たなければならぬのじゃないか。そこで私の考えでありますけれども、工場というものをよく考えてみると、一番問題なのは、その経営におきまして、資材費を除いたほかは、次が人件費になるわけです。それからその次に、これは業種によりまして違いますけれども、電力費、動力費という問題が非常に重要な問題なんです。こういうふうなことを考えると、いわゆる不交付団体について見ると消費地の方で、今の低開発地域というものは山間ですから、とにかくそこが電源開発によって荒らされ、どうもいつも山の方は荒らされて、電力は供給するけれども、そのはね返りというものはプール計算になって、一応低開発地帯というものが常にまた高い電力を買っておる。この点に対しましては、もちろん電気事業法といういろいろな問題もございましょうが、何かこういうふうな点で会社、工場なりが一番希望しているというものをちょいちょい投げてやる必要があるというふうに私は考えるわけでございます。それは電気事業法に対してのいろいろの規制を受けておる問題がありますが、こんなようなところも大いに解決する必要があるというふうな点から、一つ財政局長にお尋ねしてみたいと思いますけれども、何かこんな問題でうまい考え方をしたことがございますか。とにかく電力料をそういう地域において引き下げてやる。いわゆる生産県というものは電力が安くとれるというふうなことになると、全体から見たときには、やはり低開発地域工業開発に一役買うように私は考えられるわけです。この点何かお考えがあったら聞かせてもらいたいと思います。
  17. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 お話しのように、後進地の産業を発展させていきますためには、立地条件整備する等の問題のほかに、動力源を低い価格で確保しやすいようにするということも非常に重要な問題だと考えておるわけでございます。行政局で考えております地方基幹都市建設促進法の案の中には、そういうことも盛られておるわけでございます。地方団体が行なっております電源開発の仕事、この電力も電力会社に売り渡してしまわなければならない、直接産業に供給できないという現在の制度につきましては、私も非常な不満を持っておる一人でございます。こういう点につきましては、地方団体が積極的に産業を発展させていきたいということも兼ねまして電源開発を行ないましても、電力会社を通じて売り渡されていくものですから、自然発電原価で電力を供給していくというようなことも行ない得ないわけでございます。そのことがまた発電地帯に工場を興せない。従って遠いところに電力を持っていくわけでございますので、相当なロスも出てしまうわけでございます。これは国民経済の見地から考えましても相当な問題があるのじゃないだろうかという感じを私たちは持っておるわけでございまして、行政局で考えております行き方の問題もございましょうし、また公営電気の売り渡しの問題もあるわけでございまして、総合的に今お考えになっておりますような方向で私たちは努力をしていかなければならないだろうという考え方をいたしているわけでございます。
  18. 久保田円次

    久保田(円)委員 これは非常に重要な問題であります。特にいわゆる電源地帯から消費地帯に送電をする上において大体二割はロスが出ているのですね。だから実際問題とすると、三割安くてもそろばんがとれるわけなんです。これはいろいろ関連性がありますから、一応私も通産省関係におきまして聞きたいと思うのでございますけれども、特に県営発電というような問題が強くそれぞれの地点で取り上げられておるわけです。この点は、私といたしましては、特に県営発電を進めてやって将来の財源を確保させてやりたいと考えるわけでございます。しかし、県営発電をしたその電気を使う上において、またそこにひっかかる問題が出てくるわけでございますけれども、こういう問題は、通産省関係でもありまするので、その方に自分といたしましては質問をしてみたいと思いますが、一応自治省といたしましては、地方財源をとにかく作り上げさせてやりたいという考え方から、何かこういう問題について一つ真剣に考えていただきたいと思います。  それから、特に歳入歳出構成に関するこの調べの中で、一べつをしてみますと、地方税四〇%、地方交付税二〇%、国庫支出金二六%。歳出の面を見ましたときに、給与関係経費が三八%。そうすると、地方税そのものが給与関係費にちょいと食われてしまう。これはどなたが見てもいってしまうわけです。そうすると一般行政費はどうするかという問題になってくるわけでございますが、地方交付税のこの二〇%というものが、同じ財布の中でやってくれというとツーペイになってくる。そうすると、給与関係費がだんだん多くなってくると一体どうなってくるかというと、結局地方団体は赤字で送らなければならないというのが現状でございます。そこで苦しまぎれに地方債の起債を求めてやっていくわけでございますが、大体その起債した地方債が現在総額どのくらいになっておるか、内訳としましては、都道府県がどのくらいであるか、市町村が総額においてどのくらいあるか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  19. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 非常に荒らっぽい話を先に申し上げまして、あとで資料を調べて詳しくお答え申し上げたいと思います。  地方債の総額は一兆円程度でございます。そのうち一般会計に所属するものが六千数百億円でございます。あと府県、市町村別あるいは目項別のものは資料を今調べまして、後刻お答えをいたしたいと思います。
  20. 松島五郎

    松島説明員 昭和三十四年度末現在で、地方団体の一般会計に属します分だけが六千六百二十億でございます。このほかに公営企業関係の分がございますので、ただいま局長が申し上げましたように一応一兆円程度になるわけでございます。そのうち交付公債が七百七十億、交付公債以外の起債が五千八百五十四億円となっております。なお、府県、市町村別に申し上げますと、府県分が三千九百六十一億円、市町村分が二千六百六十四億円となっております。
  21. 久保田円次

    久保田(円)委員 とにかく借金をして運営していかなくちゃならないというのが、現在の地方団体の非常な悩みとなっておるわけでございます。この点をわれわれとしては将来何とか救ってやらなければならないだろう。そこで、一応低開発地域さらに後進団体につきましては、国の補助金にいたしましても負担割りをたくさんしてやろうということはけっこうなことだろうと思うのです。問題は、地方債を真剣にやる施策が私はちょっと欠けておるように感じます。たとえばこういうふうな一つの行き方をとったらどうかと思うのですが、一応後進団体におきましても非常に段階が出てくるわけです。特に一番低い地域、こういう団体に対しましての起債の見方をどうするか。これは現在におきまして、事業費におきましても、起債のそれぞれの性質によりまして画一的で変化がないんですね。そこに非常に矛盾があるのではないかと思う。たとえば後進団体において学校を作る、道路を作る、それから環境衛生において簡易水道を一つ作るんだ。都市の方ではとにかく水道が引かれておるけれども、山間地におきましては非常に不便なところまで水を汲みに行かなくちゃならない、そこが非常に違っておるわけでございますが、さあそれで学校を作ってみたときの起債の償還ということになると、やはり一定の年限におきまして計画を立てている。こういう点を是正するためには、起債に対しまして、あるいは補助金に対しましての積極的な段階をつけるということが一つと、それから償還年限をこの際思い切って延ばしてやらなければならぬと思うのです。とにかく、これだけの累積されたところの起債に対しましての償還というものは、自治体の非常に大きな悩みになっておるわけです。だから償還年限を大幅に延ばしてやる。起債の償還年限という問題につきまして、主要国の償還が大体どのくらいになっておるか、これはお聞きする前に、私が調査をしてありますから申し上げたいと思いますけれども、フランスでは融資期間が三十年から七十年なんですね。それから社会保障制度の非常に先進国でございますイギリスでは六十年、これは長期のものです。それからアメリカでも五年から三十五年、日本では一番最高が大体二十五、六でございましょう。そういうふうなことを考えると、大体におきまして、今の倍くらいはいいんじゃないかと思う。現在の日本経済は成長しておるのですから、この際思い切ってものを言わずにとにかく二倍にする。五十年、こういう勘定が出るわけです。起債の性格をよく見てみるのに、たとえば学校を作り、いろいろの道路を作っていく上におきましても、なるほど起債を受けたときは、私ども考え方からしますと、非常に苦しいわけですが、その反面には利益を受けておるわけです。しかし、われわれの子孫というものもその恩恵にはやはり浴していくのですから、これは五十年たったって決して不足なものではない。私はこう判断する。そういうふうな点につきまして、とにかく後進団体におきましての補助金の率というものと、それから起債の年限を延ばしてやる。それからでき得るならば利子補給もしてやるぞというようなところまで突っ込んでやってみるのが親切な指導ではないか、こういうふうに考えるわけでございます。  ここで選挙のことを言っては工合が悪いけれども、昨年の十一月に——私は群馬なんです。群馬といえば、とにかく利根川の奥の方まで行くわけですから、何にしても山間地です。利根村というところで、私の同志がいるからそこへ行って頼もうというので行ってみたところが、橋が落ちていて行けなかったのです。これは弱ったものだ。それで、片品川という利根川の支流ですけれども、こっちからおおい、おおいとどなってから帰ってきたのですが、たまたま新聞が私の宿舎へ届いたので、真実な叫びでございますから、ちょうどいいからこれを切って持ってきたわけですけれども、これはやはり地方負担があるわけです。それからその地域負担というものが、とにかく地元負担がないと作ってやらないぞというふうな一つの慣習があるわけです。利根村全体に対しましても、それが村道でございますから、一応その部落の負担金を持ってこなければ作らないぞと、こういう形なんじゃないかと思うのです。しかしそれに対しましては、この河川の災害のためにできたのだから、あるいはいろいろ手続上において不備な点もあるのではないか、こう思いますけれども、非常に奥地のそういう地域において、財政が非常に困っておるために実現できない。その部落はすでに二年半にわたって、これが四十何世帯という工合にここには出ておりますけれども、非常に困ったものだ。こういうふうに私は痛切に考えましたので、今一つの例として申し上げるわけですが、こういうふうな例が全国におきましてはいわゆる後進団体地域において数限りないだろう、これは現実の問題でございます。そういうふうなところへ学校を作ってやる。それでは起債というような問題、地方債という問題に対してもやはり同じにやっていくとすれば、一体それのしわ寄せはどこへくるかというと、これは借金を累積して、しまいにはどうにもならない。それができなければ事業をやらないことだ、こういうふうな関係に私はなるのではないかと思います。この切り抜きはちょっとあとで見て下さい。  それからやはり関連はしておるわけでございますが、たとえば学校の給食の問題なんかを一つ取り上げても、こういうふうな問題は特に僻地の地帯におきましてはなかなか容易じゃないです。だからそれは全額国の負担でもってやってやるぞ。こういうふうにして、大体段階をつけるということがいわば公平な一つの政治だろう、民主政治というものはやはりそういう方向からも真剣に考えてやらなくちゃならぬ。私はそういうふうに考えるわけでございますが、結論といたしましては、この起債につきましてはいわゆる後進団体段階をつけて、できるならば傾斜的に持っていく。ほんとうの富裕団体にはまさか起債を許さないというわけにもいかないでしょうから、それは年限を短くしてやる、補助金もとにかくその分だけは後進団体の方へ向けてやる。こういうふうな考え方があるかどうか、これは重大なことですから次官、各局長からもお考えを聞かしていただきたいと思います。
  22. 渡海元三郎

    渡海政府委員 詳細なことは後刻各局長から答弁さしたいと思いますが、原則といたしまして、各地方団体の格差をなくし、少なくとも地方自治の行政水準均衡ある姿で向上さしていくということは必要なることでございまして、私たちは常々そのような方向で努力しなければならない。かように考えておるのでございまして、ただいま御指摘になりました点は同感するにやぶさかでないのでございますが、それを直ちに国庫補助の引き上げ率で行なうかどうかということにつきましては、私たち国庫負担というものが国と地方との間の行政あり方というものに基づいてある程度きめられておるということから考えますと、段階的にこれを設けるということは少し考えるべき点もあるのではないか。それよりもむしろ私たちは、このために設けられた地方交付税制度をより合理的なものにいたしまして、この面で充実して持っていきたい、かように考えております。ただ今回提出いたしました国庫負担率制度というものは、それよりもむしろ後進地域がより以上の格差をなくするための経済基盤を強固にするために、公共事業を受けやすくするために設けた制度でございまして、すべてにこういうふうなことを行なうかどうかということは十分検討を要するものでなかろうかと考えております。  また起債の点につきましても、事業をやらすという観点からは、できるだけ多く起債を貧弱団体に渡すということは考えられることでございますが、しかしながら、起債というものは借金でございまして、あとに負担を残すことでございますので、事業をやらせるために起債さえやればよいという姿でなく、私たちはむしろそういった団体にも事業ができるように一般財源をこれに与えるという方向に進みたい。かように考えておるのでございまして、富裕府県こそむしろ起債償還能力もありますが、そういった団体に対して償還能力という点を考えましては、やり得べき事業はやりますが、事業をやらすために起債をやるというよりも、むしろ一般財源をこれに与えなければならないという方向で考慮しなければならないのじゃなかろうか、かように考えておるのでございます。しかしながら必要やむを得ざるものを、財政が困難なるがために行なうことができない、たとえば手元にいただきましたこのような事例をなくすためには、個々の分につきましては十分各地方団体を通じ、県を通じ、できるだけ血の通った処置をしていくように、また仰せになったようなことについて考慮しなければならぬところも生まれてくるのではないか、かように考えております。  なお起債の償還年限は御指摘の通りでございまして、私たちも構造物の償却年数に応じた償還年限の延長ということに常々努力いたしておりますが、原資等の関係で、まだ御要望の点まで達しておりませんが、今後とも努力していきたい、かように考えておるような次第でございます。
  23. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 地方債の運用につきまして、いろいろ御意見がありました点につきましては、将来も十分心して参りたいと思います。ただ、現在私たちがとっております地方債の計画ないし運用についての考え方をこの際申し上げさせていただいた方よろしいのではないか、かように思うわけであります。  三十六年度地方計画は千五百五十五億円であったものが二千億円に、たしか二八%前後の伸び率になっておると思います。しかしながら一般会計の部分につきましては大した増加はしていないわけでございます。しかし準公営企業の面になりますと二百五億円であったものが三百四十億円に、百三十五億円ふえているわけでございますので、六割以上の増加になっておるわけでございます。公営企業の面におきましても、五百七十五億であったものが七百七十五億に、二百億円ふえておるわけでございますので、四割に近い増加に当たっておるわけでございます。言いかえれば、私たち地方債を考えます場合には、その償還財源を一般財源に求めなければならないもの、こういうものにつきましては、むしろ一般財源を増額する方向をとるべきであって、安易に地方債の増額をはかるべきじゃない、かような考え方をとっておるわけでございます。しかしその償還財源が料金収入に求められるようなものであります場合には、独立採算のとれます限り、その地方債の所要資金を充足していきたいという考え方をとっておるわけでございます。どちらかといいますと、戦前におきましては地方債のウエートが非常に高かったわけでございます。従いまして、地方債の元利償還額が地方歳出に占めます割合というものが異常に高かった、こう私たち考えておるわけであります。従いまして地方団体が何か建設的な仕事をしようと思うと、すぐ地方債に財源を求めざるを得ない、一般財源が全部地方債の元利償還に食われてしまう。従いまして、地方債の機構を通じまして強い中央集権的な行政が行なわれて参った。私たち地方財政の構造から見ましてそういう考え方を持っておるわけであります。戦後におきましては、地方財政が全体として不足して参りましたので、財源の足りない団体地方債を重点的に付加して参ったわけでございます。このことが戦後の地方財政を大きく混乱さした原因であった。かように考えておるわけでございまして、自来一般財源の増額に求めながら、償還財源を一般財源に求めなければならないような、どちらかといいますと一般会計所属の地方債を抑えるという努力をして参ったのでございます。従いまして今日におきましては、むしろ償還能力のあるところに地方債を積極的に認めるべきではないかというような、今次官が申されましたような考え方がかなり強い意見として出て参るような傾向になっておるわけでございます。どちらにしましても、私たちはできる限りその償還財源を一般財源に求めなければならないというような性格のものにつきましては、一般財源そのものを充足することによって地方債の所要額を少なからしめるというような努力を払っていかなければならない、こういうような考え方でおるわけでございます。もとより後進地域開発していかなければならない、そういう地域におきましては、さしあたっての資金の需要が大きいだろう、こう考えられるわけでございます。そういう地域につきましては、私たち公共事業を重点的にそういう地域に持っていってもらいたい、同時にまたそういう地域公共事業を受け入れやすいような財政制度を作るべきである、そういうことが今回の公共事業費につきましての国庫負担特例法の提案になって参ってきておるのでございます。そういう方向で私たちとしては努力をしていきたいという考え方を持っております。この点を御了解いただきたいと思うのでございます。  償還年限の問題につきましては、長いものは二十五年というようなことにいたしておるわけでございますけれども、どちらにいたしましても、施設の耐用年数に即して償還年限をきめていかなければならない。償還年限を施設の耐用年数以上にきめるということは、私は財政を混乱に導くものだと考えるのでございまして、償還年限が長ければ長いほどいいという考え方はとらないわけでございます。しかしまた現在の償還年限がすべていいかと言われますと、これまた私たちはぜひ延ばしていかなければならないものが多々ある、こう考えておるわけでございます。そういうものにつきましては、資金の総量との見合いもあるわけでございまして、資金がふんだんにあります場合にはどんどん耐用年数以下の償還年限のものは延ばすべきだと思います。しかしながら、延ばす結果は当該団体に資金がとめおかれる、従って他の団体に資金が回ってこないということにもなりかねないわけでございますので、資金の総量と見合いながら、耐用年数以下の償還年限になっておりますものにつきましては、あとう限り耐用年数に合わせるような努力をしていかなければならないだろう、こういう考え方をとっておるわけでございます。御指摘のありました僻村におきまして資金がないために必要なこともできてない、こういう点につきましては、将来とも十分顧慮しながら地方債の運用に誤りなきを期するように努力していきたい、かように考えておるわけでございます。
  24. 久保田円次

    久保田(円)委員 いろいろ御説明がございましたが、どうですか、結局倍増計画なんだから、何でも今倍増計画をやっているから、こまかいことを言わないで、とにかく償還年限を倍にする、こういう考えはどうですか。
  25. 渡海元三郎

    渡海政府委員 ただいま局長からお答えいたしました通りでございまして、私たちもかねてその方向に進んでおりますが、しかしながら耐用年数以上に起債を残すということは、現実は消えてしまったものになお借金が残っておるという姿でございますので、耐用年数に応ずるところの適正な年限にはしていかなければならないことはもちろんでございます。その方向に努力しておりますが、また反面原資の量というものの制限もございますので、ただいま私たちの要望の線にまで至ってない次第でございます。しかしながら御指摘になりましたような、現在までの起債が、非常に苦しい地方団体財政をなお苦しめておるというふうな特殊な団体につきましては、個々に応じて借りかえ等をいたさせまして善処していく。その反面、ただいま仰せになりました御要望につきましては、資金の増に伴いまして努力していきたい、かように考えておる次第でございます。
  26. 久保田円次

    久保田(円)委員 それならば私の方が一歩後退して、財政力によって償還年限の差をつけていく、この点はどうですか。
  27. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 私たちはやはり地方債の償還年限は、施設の耐用年数を基礎として考えるべきものだと考えるのでございまして、財政力があるから、ないからということで、そういうものに差をつけることは筋が違っているんじゃないだろうか、こういう考え方を持っておる次第でございます。
  28. 久保田円次

    久保田(円)委員 しかし、今後一応検討していただきたいと思います。  それから町村合併が一応済みまして、私ども国に帰りましても痛切に考えられるわけですが、町村の規模が大きくなりまして、庁舎がぼつぼつ出てきておるわけです。この間私も頼まれたわけでございます。ところが合併町村におきましては、新庁舎を作るということは為政者の一つの誇りなんですね。そのためにたまたまえらいものを作ってくる。それは作るほどけっこうなんですが、それのために批判を受けておるところも、全部じゃないのですが中にはあるんです。そういうふうな点に対して、文部省あたりでは率先して学校の児童の数と、それから坪数というものを計画的に、科学的にやっておるわけです。それから道路だって、橋梁だって同じことです。やはり自治省として、今後いろいろ庁舎の構造というような問題も出てくるわけですが、何か一定の基準を設けて、人口なり坪数によって起債というようなものもどの程度までに認めてやるとか、そういうふうな指導をしておりますか。
  29. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 市町村財政指導といいましょうか、そういう面で現在行なっている点を申し上げますと、一つ地方交付税制度を通じまして標準団体行政規模というものをどういう点に置いておるかということを示しておるわけでございます。それぞれの団体は補正係数を乗ずることによってある程度団体行政規模を推定できるというような姿にいたしておるわけでございます。同時にまた、先ほどお述べになりました経済構造あるいは人口段階、そういうようなところから類似の地方団体行政内容がどうなっているだろうかというような指数を示すことにいたしておるわけでございます。その場合には、職員数もどれくらいであるか、あるいは施設の数もどれくらいであるかというようなことを示しているわけでございます。従いまして類似の団体ではどういうような職員数であるかということが、個々の団体においてわかるわけでございまして、そういうものを冊子にまとめまして公にいたしておるわけでございます。同時にまた地方債の運用にあたりましては、庁舎は、職員数が何人であれば何坪のものが必要だと考えられる、そのうち地方債の資金は幾らまでつけるというようなことも、冊子にいたしまして公にいたしているわけでございます。従いまして市町村には、いろいろな施設の多い少ないもございますし、公営企業をやっているやっていないということもございますので、職員数を基礎にしながら、何坪までの起債なら認められるということがわかる仕組みになっているわけでございますので、そういうことが今後も個々の市町村において理解されるようにして参りたい、現在やっている建前はそういうことであるわけであります。
  30. 久保田円次

    久保田(円)委員 一応けっこうです。  次に歳出構成の中で給与関係費三八%、一般行政経費が二〇%、とにかく給与関係費が非常に膨張しておりますので、行政経費がだんだん少なくなってくるということは、これは事実でございます。それによりまして、地方団体は起債でやっていくよりしようがないだろうというような状況でございますが、現在の国家公務員と地方公務員の総数、これは簡単にわかるわけでございますが、これを知らしていただきたい。  それから給与ベースがどのくらいか。私ども考えてみたいのは、人口に比例いたしまして公務員の数の比率が外国の公務員の数とどのくらいの差があるものか、この点をちょっと聞きたいと思うのでございます。お知らせを願いたいと思います。
  31. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 一般会計所属の地方公務員の数は百五十三万九千人と考えているわけでございます。国家公務員の一般会計所属の正確な数字は忘れましたが、五、六十万ではないかと思います。これは今正確な数字を調べます。  それから給与単価の方は、昨年給与改定を行ないましたあとの人事院調べで、国家公務員の一般職は基本給で二万四千二百八十円でございます。地方の一般職員の方は二万四千八百八十九円、これは県の方でございます。市町村の一般職員が二万一千七百五十九円でございます。一般職員同士の比較でございます。こまかいことになりますと、教育、警察、それぞれまた別にございますが、御指摘によりましてお答えをいたします。  なお国家公務員の一般会計所属は、防衛庁の関係も入れまして六十四万一千人ということになっているようでございます。  それからなお、私たち地方財政の上で給与費がかなり大きな割合を占めている。このことについて、なお地方行政行政水準向上をはかっていきますためには、さらに投資的経費のウエートが高まってくることが好ましい、こう考えておるわけでございますが、地方職員の給与そのものが、もちろん御存じのことだと思うのですけれども、やはり行政発展に大きな役割を果たしているのだ、こう考えるのでありまして、百五十何万の半分は教育職でありますが、やはり教育職も国の発展のために大きな役割を果たしているのだと考えるのでございます。また一〇%が警察職員であります。従いましてただ単純に職員費だという大ざっぱな考え方ではなしに、それぞれまた行政発展のために大きな役割を果たしているということは御理解いただきたいと考えるのでございます。
  32. 久保田円次

    久保田(円)委員 いずれにしても両方で二百十五、六万になるわけですが、一応外国はどのくらいになっておるか、ここらの点は一つ今後の行政面からいたしましても御検討願いたい、かように考えるわけでございます。  その次に県庁職員とそれから警察職員と教職員の平均ベース、今お尋ねして大体の答えが出ておりますが、その平均ベースと、それから県庁職員と市町村吏員の平均ベース、これを一つお知らせ願いたいと思います。
  33. 松島五郎

    松島説明員 先ほど局長が申し上げました数字は県、市町村の一般職員、ただいま御指摘になりました府県で申しますと県庁職員、市町村で申しますと市町村職員の給与の平均でございます。なおこれは三十六年度地方財政計画の基礎になっておりますベースでございます。それと比較で申し上げました国家公務員は、昨年給与改定が行なわれました後におきます人事院調べでございますので、これを三十六年度にいたしますと多少昇給等も加味されますので、国家公務員ベースも若干先ほどの数字より上がるかと存じます。なおただいま御質問のございました各職種別の平均給与額を申し上げます。これはいずれも昭和三十六年度地方財政計画の積算の基礎となっておりますベースでございますのであらかじめ御了承願います。  義務教育関係、小、中学校並びに盲ろうあ学校等義務教育関係職員の基本給月額、基本給と申しますと本俸と扶養手当と暫定手当を含んでおりますが、二万七千八百四十五円でございます。警察職員が二万五千百三十四円でございます。一般職員が先ほど申し上げました二万四千八百八十九円でございます。そのほかに高等学校あるいは府県立の大学等がございますけれども、いわゆる非義務制の学校の先生でございます。これが三万八千九百四十八円でございます。市町村では一般職員は二万千七百五十九円でございます。消防職員が二万五千六百五十六円でございます。それから市町村立の高等学校等の非義務制の教育関係職員が三万三百七十六円となっております。
  34. 久保田円次

    久保田(円)委員 やはり給与関係費を見まして、将来の考え方また今までも私どももこの給与関係は何とか合理化しなくてはならないということを地方でいろいろ議論されておるわけでございますが、特に事務能率を上げる上におきましても、給与費の全体の削減という面から見ましても、今後定年制はどうしてもやらなければならないのではないか、私はこういうふうに考えます。しかしそれだからといって、定年制をすぐしくといっても裏づけがなくてはなかなかいけません。そこでやはり地方公務員に対しましての退職年金制度というものをいつかの時代にはいずれにしても作らなくてはなるまいと思うのです。私はそういうふうに強く考えるわけでございますが、今定年制は最高裁判所の長官にあると聞いております。なおまた地方裁判所の所長にも定年制はしかれているようなお話も聞いておりますが、これはどうかわかりませんが、いずれにしてもこういうふうな問題を真剣に取り上げ、またこういうことがやりたいのだ、定年制と地方公務員に対して退職年金制度を作りたいのだという考え方がありますならば、その時期はこのくらいにしてみたいというようなこともお知らせ願えればけっこうだと思います。大臣が来られましたからこれは大臣から一つ……。
  35. 安井謙

    ○安井国務大臣 お話しの通り、地方公務員の能率を上げ、全体の収入をふやしていくためにも定年制という考え方はぜひ必要ではないかと私ども思っております。同時にそれをやりますための裏づけである退職年金制度というものをその前提としてしいていきたいと思っております。この退職年金制度が今回の国会に提出する運びにならなかったことは、われわれ大へん遺憾に存じておりますが、でき得る限り取り急ぎまして実施の運びを進めていきたいと思っておる次第でございます。
  36. 久保田円次

    久保田(円)委員 そこで地方公務員につきましては一応考えられておる。それから最近各地方団体におきまして、予算の面から特別職に対しましての歳費の引き上げの問題が相当出ているわけです。こういうふうなことも一応自治省として今後ある程度まで指導しておかないと非常にバランスのとれない問題が出てきている。もうすでに出てきているような感じがしております。知事さんよりもところによると市長の方が給料をよけいにいただいているようなことも見えておるわけです。そのうちに内閣総理大臣の給与よりも地方の方が多くなってくるというような懸念もなきにしもあらずでございますが、そんなような考え方から一応全国の都道府県知事の給与の最高と最低、市長の最高と最低、それから地方議員の最高と最低をお尋ねしたい。というのは、要するにある程度指導しないと、これが何といっても底知らず給与が引き上がりまして、いろいろ地方で問題をかもしている点がたくさんありますので、お聞かせ願いたいと思います。
  37. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 手元に三十五年十月一日の調査によります平均数字しか持っていないのでございますが、よろしければ一応これを申し上げたいと思います。  府県の交付団体では、議員の平均が四万九千七百四十四円、副議長五万五千六十二円、議長六万二千七十九円ということになっております。不交付団体では議員が七万三千円余、副議長八万四千円余、議長九万七千円余、こういうことでございます。なお交付団体の知事の平均が九万六千円余り、不交付団体平均が十三万二千円余りということでございます。市の場合を申し上げますと、市の議員の平均が一万五千円余り、市長の平均が五万五千円余りということでございます。
  38. 久保田円次

    久保田(円)委員 現任都道府県知事の最高は東京のようでございます。これは二十三万です。総理大臣は二十五万ですか、まただんだん近くなってくるわけです。大阪が十七万円、それから神奈川が十五万五千円、北海道が十五万円、最低の山梨が七万なんです。こういうことを考えてみたときには、一応今からということでもなかなか容易ではないと思いますけれども、やはり自治省としては何か話し合いの広場を設けて指導しておかないと、これが中心になって、それ市長が上がった、それからまた議員のものも上がってくる。特別職につきましてはこんな指導がほしいと思いますが、その点大臣いかがですか。
  39. 安井謙

    ○安井国務大臣 これはなかなかむずかしい問題でございまして、御承知のように昔といいますか、戦争前は市長といったようなものが、これは総理大臣とか知事より相当高額を取るのが通例になっておったような時代もあります。しかし今日の時代になって参りますと、今お話しのように、大体の一つの標準というものが指示された方がよかろうと思っております。これを個々に下手に標準をきめますと、またそれを上回るといったようなことも出てくる危険もありまして、なかなか一律の基準というものはきめかねておりますが、全体としてはできるだけ妥当な線で抑えていくようにしたいと思います。
  40. 久保田円次

    久保田(円)委員 もう時間もだいぶたちましたから、ちょっと結論的に申し上げたいと思います。  いろいろ御質問したわけでございますが、何といいましても地方財政計画にあたりましては、この地方団体の最も悩みの大きい問題を中心にして考えていただきたい。それにつきましては、特に今申し上げた通りに、私としましては地方税、それから地方交付税、それから地方債の問題、給与関係費、それから一般行政経費、こんなところが中心になるのではないかという工合に考えます。問題は、住民所得をとにかくつけさせるということが基本的な考え方でございますが、その点に対しましては、特に低開発地域工業開発促進法というような法律も作って政府が真剣に考えていくんだ、これは私は非常にけっこうと思うのでございます。すでに町村合併も一応終わり、新市町村建設段階に入ってきておる。これをだんだん答えを出していかなくてはならぬわけでありますが、一応自治体あり方というものを考えたときには、何といっても、市町村が中心でございます。そういう中に立って今後県の統廃合というような問題もちらちら聞いておるわけでありますが、いわば道州制というような問題を中心にして市町村直接、行政財政という面から一つ能率を上げたいというような考えがありますれば、大臣からこの機会に聞かしていただきたいと思うのです。第一段階として県の統廃合をするのか、あるいは道州制というものを考えておるのか。
  41. 安井謙

    ○安井国務大臣 お話しのように、日本自治体都道府県という自治体と、さらにその内部に市町村という自治体と、自治体が二つダブっておるといったような形があるわけでありまして、いろいろな行政あるいは自治体の仕事を進めていく上からも種々摩擦や矛盾も今まであったことがあることは御承知の通りでございます。と申しまして、この形を今急激にどう変えていくかということになりますと、これまた問題が非常に大きいのでありますが、理想から申しますれば、私は地方制度調査会答申にもありますように、道州制といったような方角が好ましいんじゃないかという感じはいたしております。しかし、今直ちに人為的にこの制度を推し進めるというふうには、何分明治以来の県割りの制度でございますし、なかなか困難な状況であろうと思いますので、むしろさしあたりこの統合の条件がそろい、統合を希望しておるような府県については、それを慫慂していって、実質的にだんだんと大きくしていくという方法をとっていきたいと思うわけであります。また、市町村合併も一応一段落を告げました。今後は、今自治省で考えております基幹都市の計画といったようなものは、そういった一応の統合の済んだ市町村をさらに広い目で見て、地域的に行政あるいは産業の実態上の総合的な企画を立てて発展さしていくというふうな方向で規模を広げたい、こういうふうに考えております。
  42. 久保田円次

    久保田(円)委員 時間もきましたので、一応あとは関連した、特に電源開発の問題でございますが、ここらの点は後日の委員会に尋ねることにいたしまして、きょうはこれで終わりといたします。
  43. 濱田幸雄

    濱田委員長 次会は明十日午前十時より開会することとして、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十八分散会