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1961-02-23 第38回国会 衆議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年二月二十三日(木曜日)    午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 濱田 幸雄君    理事 金子 岩三君 理事 田中 榮一君    理事 中島 茂喜君 理事 丹羽喬四郎君    理事 吉田 重延君 理事 太田 一夫君    理事 川村 継義君 理事 阪上安太郎君       伊藤  幟君    宇野 宗佑君       小澤 太郎君    亀岡 高夫君       仮谷 忠男君    久保田円次君       富田 健治君    渡邊 良夫君       安宅 常彦君    佐野 憲治君       二宮 武夫君    野口 忠夫君       門司  亮君  出席政府委員         自治政務次官  渡海元三郎君         自治事務官         (行政局長)  藤井 貞夫君         自治事務官         (財政局長)  奧野 誠亮君  委員外出席者         専  門  員 圓地與四松君     ————————————— 二月二十三日  委員松井誠辞任につき、その補欠として北山  愛郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員北山愛郎辞任につき、その補欠として松  井誠君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月二十二日  消防組織法の一部を改正する法律律内閣提出  第六五号)(予) 同月二十一日  地方交付税率引上げに関する請願小川平二君  紹介)(第六一三号)  同(下平正一紹介)(第七一三号)  地方公務員退職年金制度改正促進に関する  請願小川平二紹介)(第六一四号)  同(下平正一紹介)(第七一四号)  同(中澤茂一紹介)(第七一五号)  後進地域建設事業国庫負担割合の特例に関する  請願小川平二紹介)(第七〇一号)  同(下平正一紹介)(第七九一号)  同(中澤茂一紹介)(第七九二号)  農業関係固定資産税の引下げに関する請願外十  件(高田富之紹介)(第七〇九号)  国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する  請願二階堂進紹介)(第七一〇号)  消火栓設置費国庫負担に関する請願二階堂進  君紹介)(第七一一号)  水道事業に対する起債対象範囲拡大に関する請  願(二階堂進紹介)(第七一二号)  山形河北町の上水道拡張工事費起債残額配分  に関する請願牧野寛索紹介)(第七五六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第三号)  公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一五号)  派遣委員より報告聴取の件      ————◇—————
  2. 濱田幸雄

    濱田委員長 これより会議を開きます。  この際、先般本委員会より東北北陸地方雪害によって被害を受けた地方公共団体財政状況調査のため派遣いたしました派遣委員報告を求めます。宇野宗佑君。
  3. 宇野宗佑

    宇野委員 私は、今般六委員会合同で行われました雪害調査につきまして、当委員会代表して参加いたしましたので、これら調査の概要につきまして、御報告いたします。  北陸地方雪害調査団には、私の外に運輸委員会からは壽原正一君、大蔵委員会からは米山恒治君、文教委員会からは井伊誠一君、建設委員会からは岡本隆一君、農林水産委員会からは角屋堅次郎君、及び民社党代表として内海清君が参加せられ、福井県、石川県及び富山県の三県下を三月十三日から同月十八日までの六日間にわたり調査して参ったのであります。  三県下における雪害の原因につきましては、委員各位はすでに十分御存知通り、昨年の十二月二十五日夜からの寒波が、同月二十八日に至り急激に勢力を増し、年末の冬型としては、明治三十年の観測以来異例の大積雪を見たためであり、さらに加えて、風が弱い時に大雪という北陸前線の常識を破る猛吹雪が本年の一月上旬まで三県下を荒れ狂って、全交通網に痛撃を与えたために、かつてない大雪害がもたらされたのであります。  本調査団は、福井県では福井市、吉田郡、勝山市、大野市、足羽郡、坂井郡の三市三郡を、石川県では、加賀市、小松市、能美郡、石川郡、金沢市、河北郡の三市三郡を、また富山県では、西礪波郡、高岡市、射水郡、富山市、婦負郡、中新川郡、滑川市、魚津市、黒部市、下新川郡の五市五部を調査して参ったのでありますが、各県下の全域にわたる豪雪は、二月中旬に至るも降りやまず、平年度をはるかに越える激しさを見せており、福井県の南大谷では百三十三センチ、石川県の日附谷では二百五十七センチ、富山県の東部山沿い地方では二百三十センチ以上の積雪を記録しておりました。われわれが調査に参りました期間中も連日大雪注意報が発令されているといった状況であり、特に福井県においては、勝山市から大野市への道中、福井石川の県境における倶利加羅峠越え、さらにまた富山市以北の黒部下新川にかけての丈余と思われる雪中視察行については、おりからの猛吹雪のため視界が全くきかず、しばしば停車して、文字通り牛歩前進を繰り返したのでありました。  三県下雪害状況については、各県庁において、それぞれの知事を初めとして、各担当官からつぶさに説明を聴取し、かつまた雪害復旧に対する要望を受けたのでありますが、各県の東西部沿い地方沿岸地方平野部の現地において、倒壊家屋農山林被害、なかんずく果樹のたな、枝の折損、立木等林産物被害、さらに文教施設被害道路の損傷等見るかげもない状況を直接に見聞するにつれて、その甚大な被害に驚愕したのであります。さらに三県下ともにいまだ降雪期にある関係上、豪雪のため輸送の停滞による生産能力の低下、商工業等営業の休止による損失等、長期にわたって県民生活に及ぼす影響ははかり知れないものがあり、まことに憂慮すべき状態でありました。  視察当時までに判明した三県下被害額は、おおむね次の通りであります。各県項目別には、得類をもって提出いたしておりますから、その総額のみを御報告申し上げます。福井県十三億五千百九十八万二千円、石川県十三億六千百三万九千円、富山県十七億八千九百三十五万三千円、なお三県下とも融雪時においては、その被害額はさらに増大の一途をたどることが予想されるのでありまして、その場合における各県の推定額は、優に三十億円を突破するものと見込まれております。  以上申し上げましたように、かつてない豪雪による県比の悲境にかんがみ、各県から次のような要望事項がありましたが、本委員会に関する主たるものを一括して雪害調査に関する実情報告といたします。   要望事項  一般関係   雪害対策基本法制定   積雪寒冷地帯に対する現行の国の特別措置のおもなるものとしては、   (イ) 積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法による農業振興   (ロ) 積雪寒冷地域における道路交通確保に関する特別措置法による道路交通確保   (ハ) 地方交付税法における基準財政需要額算定のための寒冷補正などの諸制度があるか、これらは相互に関連なく断片的に規定されているのみならず、雪害対策に関し十分な成果を期待し得ないので、この際、防災並びに雪害に対処するための総合的な特別法制定をはかられたい。  税財政関係   (1) 異常降雪による除雪道路損傷補修等のため多額となった財政需要に対し特別交付税を交付するよう措置されたい。   (2) 雪害による税の減収を補てんする特別措置を講ぜられたい。   (3) 雪害による被災者に対し税の大幅な徴収猶予措置を講ぜられたい。   (4) 地方交付税制度基準財政需要額の測定を合理化し、特に寒冷湿潤度補正を考慮されたい。以上をもって報告を終わります。  なお、調査団といたしましてはこの際大蔵委員会連合審査会申し入れをいたしたいと存じまするが、当委員会におかれましても、その趣旨をおくみ取りの上よろしくお願いを申し上げます。
  4. 濱田幸雄

    濱田委員長 次に二宮武夫君にお願いします。
  5. 二宮武夫

    二宮委員 私の参加いたしました調査山形県、秋田県、新潟県の三県でございます。  気象の状況並びに積雪によるところの被害状況というものは、ただいま御報告のございましたような状態とほぼ同じでございます。率直に申し上げまして、少し早目に雪が来たということと、従来山地に降った雪が里に降った、里雪の傾向が非常に強いことと、非常に湿潤な雪が降り積もって連日被害を与えた、こういうような状況であろうかと思います。重複をいたします点につきましては報告を省略いたしまして、簡明に御報告を申し上げたいと思うわけでございます。  六委員会合同で参りましたわけでございますが、その途中の被害状況、苦難の状況というものは、今の第二班の報告とほぼ同じ状態でございまして、山形あるいは秋田新潟における被害状況というのは、現在見積もられておりまする状況は、積雪時でございますので、融雪いたしませんと被害の確実な算定というものは困難であろうというように言われているわけでございます。  各地におきまして地元の人々と十分に話し合いをいたしまして、陳情を承りました。ただ東北人々は冬になれば雪は降るのだ、こういう一つ既成概念がございまして、雪に対する準備とかあるいは雪に対する一つの態勢というものがやや疎漏になっておるのではないかというような感じがいたしたわけでございます。特に本委員会におきまして関係のございます問題は、普通交付税における寒冷補正積雪によるところの補正というものに対して、いま少し重点的に取り扱っていただきたい、こういう要望がございました。  それから特別交付税におきましては、特に小学校中学校等積雪時における分校設置しなければならないというような実情にございます。通学ができません関係分校を作らなければならぬ、こういうような状況に追い込まれているわけでございます。一例をあげますと、山形県で小学校が百十六校、中学校が二十二校、秋田県で小学校が二十九校、中学校も同じく二十九校、新潟県では小学校は実に百七十八校の分校設置するような必要に迫られておるような状況でございます。新潟における中学校の冬季における分校設置校数は二十九でございます。これらに伴う財政需要が非常に増額をいたしますので、特別交付税項目の中においてこれらを一つ見ていただきたいということが強い御要望としてございました。  それから治山治水というものが当然積雪寒冷地には必要でございますけれども、これらに要するところの財政需要並びに今後出て参りますところの融雪時における災害復旧に対する財政需要というものが非常にかさむ状況になろうかと考えますので、これらの災害復旧に要したところの特別交付税措置を少し親心をもって考えていただきたい、こういうように強い御要望があったわけでございます。  なお固定資産税等の、特に積雪地でございますために算定の基礎になるところの宅地の面積であるとか、あるいは家屋耐用年数の非常な老朽化とか、こういうような問題がございまして、そういうものに対する補てんを一つ国補助としてぜひ考えていただきたい、こういうような御要望もあったわけでございます。  なお、道路に対する除雪の費用に対して何らかの国の補助一つお願いを申し上げたい。あるいは雪をよけるための雪囲い等については何ら見られておりませんので、これらに対するものも十分この際考えていただきたい。  応急の問題としては、現在設定をされておるところの法律に基づいての算定そのほかについて御考慮をいただきたいということと同時に、これは当然やって参ります毎年の問題でございますから、恒久的な立法についてもこの際御配慮いただきたい、こういうような切実な御要望があったわけでございます。  先ほどの御報告と同様に、やはり総合的に雪害というものを考えなければならない関係上、大蔵委員会中心にいたしまして、本委員会決議お願いを申し上げて、委員長において日取りそのほかを決定をされまして、特別交付税決定をいたします前に、この問題についての合同審査をぜひお願い申し上げたいというふうに御要望申し上げたいと思うわけでございます。写真やそのほかの資料につきましては別途提出をいたしますので、御参考にお願い申し上げたいと思うわけでございます。      ————◇—————
  6. 濱田幸雄

    濱田委員長 次に、ただいま二宮委員からの報告にもありましたが、連合審査会開会に関する件につきましてお諮りいたします。  すなわち、東北北陸地方雪害に対する金融措置等について大蔵委員会連合審査会開会申し入れを行ないたいと存じます。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 濱田幸雄

    濱田委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、大蔵委員長と協議の上追ってお知らせいたしたいと存じますので、さよう御了承を願います。      ————◇—————
  8. 濱田幸雄

    濱田委員長 次に奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案及び公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案、以上の二案を一括して議題といたします。  質疑を続行いたします。川村継義君。
  9. 川村継義

    川村(継)委員 私はこの前の委員会で、今回措置法の一部改正に伴って八千万円ほどの融資を増額されようとする措置について、あるいは保証業務融資業務等の内容にわたって二、三点お尋ねをいたしておいたのでございますが、これまで奄美復興の十カ年計画に基づいて、自治省が、その計画遂行に必要な復興資金あるいは基金等に関する相当の努力をなさっておられることを認めるにやぶさかではございません。しかし、この復興事業も、もう半分以上は過ぎたと思われますので、その後の問題がやはりどうしても関心事とならざるを得ません。そこで、私は、きょうは復興事業の問題について二、三お尋ねをいたしておきたいと思います。  その第一でございますが、この前の委員会でちょっとお尋ねしておいたのでございまして、御返事がいただけなかったのでありますけれども、昨年の国会で、この法案審議されたときに附帯決議がつけられました。この附帯決議の数項目は非常に重要な問題を含んでいると私は考えておるのであります。と申し上げますのは、一昨年当委員会から国会派遣として調査においでいただきまして、詳しい御報告をわれわれは聞いておるのであります。昨年の委員会でも奄美復興の問題についてそれぞれ論議をいたしまして、当局見解等も承っております。その結果あの附帯決議が付せられたのでございますから、われわれはやはり相当これを重要視していかねばならないと考えて参り、そこでこの前もその附帯決議事項に表われているものが行政的にどう生かされておるかお聞きしたのでありますが、きょうはまずそれから一つちょっとお話しをいただきたいと思います。
  10. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 先般の国会で本法案審議関連をいたしまして附帯決議がございました。この附帯決議に対しまして、その後政府としてはどのような措置を講じてきたか、あるいは今後の見通しとしてどういうものを持っておるかということにつきましてお答えを申し上げたいと存じます。  第一の点は「復興計画の完全かつ効果的な達成をはかるため、必要な予算措置を講ずること。」ということでございます。この点につきましては、現在十カ年計画として策定をいたしておりますものは、事業費にいたしまして百八十二億、国費支出予定額といたしまして百二十一億という計画になっておるわけでございますが、本年度、三十五年度までの累計を見ますと、事業費にいたしまして百四十八億、これはパーセンテージといたしまして八一%に当たります。それから国費といたしましては八十億程度でございまして、これが六六%になるわけでございます。これに対しまして来年度予算案の中には十三億七千万円さらに追加をいたすことに相なりまして、現在審議をしていただいておるわけでございますが、これを加えますと、国費関係では三十六年度までの累計が七七%に相なるわけであります。そういたしますと、国費関係では残ります分が二十七億になるわけでございます。あと今の計画をそのまま進めて参るといたしますと、三十七、三十八両年度残るわけでございます。そうしますと、国費だけで見ますと、平均いたしまして十三億五千万程度ということになりまして、大体本計画関連いたします限りにおきましては、所期の目的が達成されるのではないか、かように考えておるわけであります。必要な予算措置の問題につきましては、今後ともさらに特段努力をいたして参りたいと考えておる次第でございます。  第二の点は「公共施設復興事業進捗状況に比し、群島民生活水準の向上、福祉増大等直接民生に寄与する施策が著しく立遅れている実状にかんがみ、速かにその充実強化をはかること。」この点については御指摘通りであろうかと思いますが、やはり公共施設がきわめて立ちおくれておる、この点と産業基盤の造成、この両者を並行して進めて参らなければならないということで現在まで進んできておるのであります。公共施設関係かなり目に見える事柄でもございますし、相当目ざましい復興ぶりを示しておるように承知いたしておるのでありますが、生活水準その他になりますと、まだまだ十分とは言えないことは、この附帯決議でも御指摘に相なっている通りであります。復帰以来群民一人当たり生産所得等は一応順調に伸びて参っております。復帰直後と比べますと、所得額等についても三倍程度に上昇して参っております。ただそれでも全国一人当たり平均に比べますと、まだ半分程度にとどまっておる状況でございまして、これらの点につきましては、さらに努力を重ねていかなければならぬ面が多いことは当然のことであろうと思っております。公共施設に比して群島民生活水準なり福祉面等について立ちおくれがありますことは、われわれもその通りであると思っておりますので、これらの点につきましても今後さらに特段努力を傾注して参りたいと考えておるのでございます。  第三は「復興信用基金制度をさらに拡充強化するとともに、本制度趣旨にかんがみ、融資対象選定貸付条件等につき群島経済復興に寄与し得るよう配意すること。」この点につきましては、先日の委員会でも川村委員の御指摘に対してお答えを申し上げましたところにおいてほぼ御了解がいただけるのではないかと考えておりますが、来年度は八千万円の資本を増大をいたしたい、かように考えております。まだそれで十分だとは考えておりませんで、今後さらにこの追加について努力をいたしますとともに、融資対象選定なり貸付条件等につきましても、御趣旨の点を盛り込みましてできる限りの努力を払って参りたいと考えておる次第でございます。  第四は「群島基本産業たる甘蔗糖生産の健全なる発展のためとくに原料きびの適正価格保持について特別の措置を講じ、蔗作農民保護に万全を期すること。」この点につきましては、昨年鹿児島県におきまして、カンシャ価格決定の適正を期しますために、県あるいは市町村、さらには生産者代表、あるいは会社の代表学識経験者、これらをもって組織いたしまする調査委員会というものを設置いたしまして、これを場といたしまして適正価格決定ということについて配慮をいたしております。大体うまくいっておるのではないかと思いますが、一部伊仙村あたりにつきましては若干の紛争があったように聞いておるのでありますが、これらの委員会等の運営を中心といたしまして、今後とも適正価格保持について努力をいたし、農民の保護に万全を期して参りたいと考えている次第でございます。  第五は「大島本島に、空港整備法による第三種空港設置して航空路を開設し、航空運送の利便をはかること。」これにつきましては、昨年調査費というものを百万円計上いたしまして、適地調査にいろいろ努力をしておったのでありますが、大島本島の笠利村の節団地区というところに適地が見つかりましたので、ここに第三種空港設置をするということに方針をきめまして、本年度計画変更による追加といたしまして、二千万円をまず計上いたしまして、現在買収に着手いたしております。大体敷地の買収は終わったようでございまして、来年度からは具体的な空港設置事業に着手をいたしたい、かように考えております。大体二年計画くらいで、できるだけすみやかに空港設置を完成いたしたい、かように考えておる次第でございます。  第六には、「鹿児島県に対しては、群島復興事業を一層広汎かつ積極的に推進せしめるため、必要な財源賦与の方途を講じ、あわせて群島内市町村についても、財政能力の増強をはかること。」県並びに市町村といたしましては、そうでなくてもいろいろ財政需要も多く、それに対して財政力というものは貧弱でございます。さらに群島復興推進をいたしまするために、国といたしましても、特別の助成措置を講じておるわけでございますけれども、県といたしましてもさらに積極的な努力が要請をせられるのであります。これらにつきましては、現行制度の許す範囲内において、財政当局とも相談をいたしまして、できる限りの措置をとっておるのでございますけれども、まだ十分でないことはもちろんでございます。何と申しましても、一般的な経済力というものを復興して、これに自力を与えて参るということが、ひいては市町村並びに県自体財政力を増していくということにもなるわけでございますので、それらの点とも並行いたしまして、今後ともさらに努力を重ねて参りたいと思っております。ちなみに鹿児島県自体におきましても、群島復興については大へんな熱意を示しておりまして、その具体的な現われといたしましては、昨年信用基金融資業務のために、県独自でさらに一千万円を追加いたしまして、本事業のさらに積極的な推進をはかるというような措置を講じておるのでございます。今後ともこれらの点につきましても、以上申し上げました点をあわせまして、さらに努力を継続をして参りたい、かように考えておる次第でございます。
  11. 川村継義

    川村(継)委員 附帯決議の各項目にわたりまして、大体の御説明をいただきまして、現在の復興事業推進等について、その大体の全貌が明らかになったようでございますが、この復興計画の主目的というものは、やはり当初の計画が立てられたときから考えても、奄美群島島民生活水準を向上させる、民生を安定し、生活を充実させるというようなところにやはり一つの大きな問題があったと思います。そうなると、当然これはただ大島にある固定産業をそのまま伸ばすということだけではいけないと思いますし、各種の公共専業等増大も当然考えていかなければならぬのじゃないかと思うわけであります。ところが、きょう資料をいただきましたものの中から見て参りましても、その点から見ると、はたして復興事業そのものが、ほんとうにわれわれが念願しておるような方向にいっているかどうかということが、ちょっと疑問になるところがあるようであります。きょういただいた資料を見てみますと、奄美群島産業別生産所得の推移という表が出ておりますが、昭和三十二年、昭和三十三年を比べて参りましても、先ほど局長は順調に伸びているというお話でございましたが、この数字を見ると、必ずしも順調に伸びているとは言い切れない部面があるようでございます。第一次産業所得額を比べて参りましても、第二次産業所得額を比べて参りましても、もちろん第三次産業では少し率が大きいようでありますが、三十二年度の前年に対する伸び方、あるいは三十三年度の三十二年度に対する伸び方、何か停滞しているような感じを受けるのでありますが、こういうところから考えて参りますと、今私が申し上げるように、喜ばしい形で伸びているのではないのじゃないかという印象を受けております。  そこでちょっと局長お尋ねいたしますが、この第一次産業、第二次産業、第三次産業の人口構成といいますか、それは大体どういうふうになっておるのでございましょうか。私の記憶では、奄美群島は大体二十万程度の人口ではなかったかと思うのですが、それが大体どういうような人口配分になっておるか、ちょっとお聞かせいただきたい——いいです、今すぐわからなかったら。私がお尋ねしたのは、やはり第一次産業、第二次産業、第三次産業に従事する人口というものを考えて参りませんと、個人所得の伸びというやつが考えられないと思いましたのでお聞きしているわけですが、まああとでいいです。  先ほどもちょっと御説明があったようでありますが、奄美の一人当たりの所得というものは非常に低いとわれわれ聞いております。実際今日でもそうだと思います。それから日本でも府県別にいたしますと、鹿児島は全国平均で一番低い。その鹿児島大島とはまた私は格差があると思う。その辺の比率がわかっておりましたらちょっと聞かせていただきたい。
  12. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 一人当たりの生産所得について申し上げますと、復帰前の二十八年は、群島関係は国に対比いたしまして、二八・九%、県に対しまして四八・六%であったのであります。復興計画が進んで参りますにつれまして、漸次上昇を見ておるわけでございますが、三十年の時点をとりますと、国に対比いたしまして四六・九%、県に対しまして七四・三%でございます。さらに三十三年、最近の統計で出ております新しいものでございますが、三十三年をとりますと、国に対比いたしまして半分、五〇%でございます。県に対しまして八〇・七%、漸次上昇は見つつあるのではないかというふうに考えておるのであります。
  13. 川村継義

    川村(継)委員 今の二十八年及び三十年、三十三年の群島の島民の所得の国及び県に対する割合は、御指摘のような数字でございますならば、ある点上昇はしているわけでございます。ただここでこの比率だけでわれわれが満足できないと考えなければならぬことは、この二十八年のごとき復帰当時の、いわゆる戦いによって、あるいは占領治下における荒廃したところというそれだけをあまりわれわれは重視して考えるわけにいかないと私は思っております。とにかく三十年と三十三年を比べてみると、国に対して四六%余り、三十三年は五〇%——私の持っておる資料では四三・七%ということになっておりますが、これはあなたの方の資料をもとにして申し上げたいと思います。県に対しては七四%あるいは三十三年は八〇%に伸びております。ただ私が申し上げたいのは、鹿児島県というところ、これは御承知の通り全国で最下位にある所得の低いところでありますが、その低い鹿児島県が今日一向伸びていない。所得の伸びが非常に悪い。その県に対して奄美が伸びたからといって、これは手放しでわれわれは喜ぶわけにいかない。問題は国は対する比率だと思います。そうなると、三十年も三十三年もそう大差がないわけですから、よほど注意して見て参りませんと、ただ、今の数字だけでどんどん伸びているのだというふうに即断はできない。こういうふうに私は考えねばならぬのじゃないかと思うわけであります。  それから前々から問題になっておりますように、とにかく公共施設復興はなるほどある程度進んでおりますけれども、それに比べて今申し上げておりますような生活水準あるいは所得水準というものが思うように伸びていないということが一つの問題でございます。復興計画によりますと、たとえばその生活水準に直接——どれとも関係するわけですけれども、直接関係があるだろうと考えられます基幹産業復興及び特殊産業の開発、このようなものが計画の中に取り入れられてありますが、それを復興計画から見て参りますと、大体事業費として七十七億余り考えているようであります。そのうち国庫が三十八億、起債が六億、融資が二十億、自己財源が十三億というような大体の比率で基幹産業復興及び特殊産業の開発というものが計画に載っているようであります。これから見て参りますと、国庫負担というものは大体半額程度あるようでありますけれども、奄美の特殊の立場から考えると、この基幹産業復興及び特殊産業の開発という、これに対する計画上の問題があるのじゃなかろうかと思いますが、局長の考えを聞かせておいてもらいたい。  くどくなりますけれども、公共事業関係については、これは非常に大きな国庫負担等がなされている。そうして仕事はどんどん好ましい状態に進んでおるのだが、半面基幹産業関係のものが今のような資金計画で進められておりますから、いわゆるその起債、融資あるいは一般財源、こういうものをになっているその団体あるいは市町村——これはおそらく市町村団体が主でございますが、こういうものの財政力等から考えて、非常に無理をしておるのではないかということなどを考えておりますが、こういう資金計画でいいのか、この復興計画でいいのか、このまま推し進めていったら、やはり公共事業関係はぱっと目標に達してしまっても、こちらの方の立ちおくれというものが非常に出てくるのではないか、生活水準の向上というものが思うような形に出ていかないのではないか。と同時に、市町村財政力等も考えると、市町村の財政負担というものが非常に苦しい状態に陥っていくのではなかろうかということが考えられますが、今の復興計画あるいは資金配分等に対する点、特に基幹産業復興、特殊産業の開発という点についての所見をちょっと聞かせておいていただきたいと思います。
  14. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 御指摘の点はごもっともでございまして、公共施設関係については、これは事柄の性質上国の負担が非常に高率に相なっております。基幹産業ないし特殊産業の開発の点に相なりますと、公共事業との対比におきまして、どうしても国でもって全部これを負担していくこともできがたい状況がございます。むろん、内地のその他の場合に比較いたしまして高率な補助をやっております。また内地ではやっておらないものに対しても国庫負担をやってきておるのでございますが、それにもかかわらず、もともと財政力が非常に困難である奄美の市町村におきまして、低額であるといたしましても、この負担にはたしてたえ得るかどうかということにつきましては、われわれといたしましても大へん従来からも心配をいたしておる点でございます。今までの推移から見ますと、そうにっちもさっちもいかないような状況ではないというふうには考えておりますけれども、全体の今後の見通し等をつけて参りますと、むろん手放しで楽観は許されない面が出てくると思います。なかんずく基幹産業なり、あるいは特殊産業の開発ということは、今後とも重点的に進めて参らなければならぬという段階に至ります際に、国の措置というものが今後三カ年経過いたしまして、それで打ち切ってしまって、はたして自立ができていくものかどうかという点につきましても、私はもう一度考え直してみるべき段階にきておるのではないかというふうに考えておるのであります。その点県の方にも連絡をいたしまして、県といたしましても現在広範な調査をいたしておりまして、奄美群島の経済振興計画というものを新しく策定する準備をいたしておるのであります。これにつきましてわれわれも正式に資料が出て参りますならば、これに基づいて検討を加えまするとともに、市町村の今後のあり方、財政負担の状況、負担力の限界等につきましても、個別にわたりまして一つ精査検討を加えまして、その点についても万遺憾のない対策を講じたい。もし必要がありますならば、復興計画自体についても、もう一度この時点に立って考え直し、再検討する必要がある。そういう段階にきておるのではないか、かように考えております。
  15. 川村継義

    川村(継)委員 奄美の立場に立って考えますと、大へん喜んでいいようなお考えを聞いたわけでありますが、やはり、十年で終わるか終わらないか別にいたしまして、こういうような計画の資金配分等についてはぜひ御検討願いたいと思うわけであります。いろいろ全国の市町村等に対して、各種の施策についての融資関係、起債関係とのつり合いも、ある点考えられておるとは思いますけれども、何しろ問題の奄美大島でございますから、この点はやはり皆さん方の方で十分考えていただく必要があるだろうと思っております。まあ聞きますと、名瀬市を初めやはり各市町村、いろいろ復興事業計画で金は出ていく、あるいは基金の方で融資は見てやるというような仕事はなされておりますけれども、どうも各市町村の財政というものが苦しい状態に陥りつつあるようであります。これはぜひ検討願わなければならないと思います。  そこでこれは行政局長の方でも奥野財政局長の方でもよろしゅうございますが、今奄美の市町村が持っております現債額というのはどのぐらいございましょうか。
  16. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 三十四年度末の現債額は九億五千九百四十万に相なっております。
  17. 川村継義

    川村(継)委員 一つの例として考えても、そのように相当大きなものをしょい込んでいるわけですから、ぜひ一つ復興計画については十分なる調査とこの上の検討を加えていただくように私はお願いをしておきたいと思うのです。  そこで次にお尋ねいたしておきますが、やはり今の問題で、しかも附帯決議の条項にも関係するカンシャ糖の生産の問題でございます。昨年も実は食糧庁の係員の人に来てもらって、いろいろ日本の甘味資源等の問題について意見も聞きました。今秋それを完全には思い出せませんが、これにはいろいろ問題があると思うのです。きょうはそうたくさん時間もございませんので、それについてあれやこれやお尋ねすることは差し控えたいと思いますけれども、先ほど局長は、サトウキビの生産価格について、県及び市町村あるいは生産者、会社あるいは学識経験者、こういう方々を交えて適正な価格の算出に努力をしておるということでございますが、まだその適正な価格というものは決定されていないのでございますか、あるいは一応の決定を見ておるのでございますか。
  18. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 昨年の十一月末から十二月上旬にかけて、五日間継続いたしまして、先刻申し上げました協議会を開催をいたしまして、その結果基準価格を決定いたしております。全会一致で決定をされております。
  19. 川村継義

    川村(継)委員 それは幾らになっておりますか。
  20. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 私も、どうも専門家でございませんので、よく内容については、はっきりしたことは自信を持ってお答えをいたすわけにも参りませんが、一応手元にございますものを参考として申し上げます。糖度二一%というのが、これが一番高いわけでございますが、二一%のものが三千七百三十円、それから一番低いものが十六度でございますが、これは二千六百五十円、ただし、本年度については非常に豊作でございましたために、このような低品位のものはほとんどないということでございます。さらにつけ加えて申し上げますと、糖度の高い二十一度のものにつきましては、さらにその上に奨励金といたしまして三十円をプラスいたしております。
  21. 川村継義

    川村(継)委員 糖度、ブリックスの二一%のものが三千七百三十円、奨励金三十円プラスをして、十六度のものは二千六百五十円、これはこの審議会と申しますか、それらの人たちが話し合いをして、生産者を含めて決定したのであれば私とやかく言うわけではありませんが、昨年も問題になりましたことですが、やはり黒糖生産、サトウキビ生産の諸君の立場から見て参りますると、どうしてもこのブリックスが十八度というものが三千八百円でなければならぬ、こういうことを強く要求しておったようであります。ところが会社側はあくまでもこれを低く押えて参りまして、どうにかこうにか三千円程度でやっておった。この辺にやはり黒糖の価格問題というのが紛糾してきた一つの原因があるわけでありますが、今お聞きしますと、二十一度のものを三千七百三十円ということであれば、これはやはり生産者の要求よりはるかに下回った線が出ているわけでありまして、これを今ここでとやかく言ったって仕方がありませんが、こういうところにサトウキビ栽培に対する各種の問題が出てくると思うのです。もうくどくど言う必要はございませんが、国全体の甘味資源の問題、砂糖生産の問題、しかもわれわれは常に砂糖及び甘味資源は国内の自給体制をとれ、こう言っておる。ところが政府の方では、やりますとは常に言いますけれども、なかなか政策に乗らないで、ほとんど大部分が輸入に仰いでおる。一方、こういうことを申すと、農林省の方では、無糖といえばあまり需要がない、だから分みつ糖に移行するのだ、こういうことをよく言われる。ところが、実際は私はそうではなくて、やはり大資本のいわゆる利潤追求の方向というものが大きく影響して、黒糖の生産を押えているという要素があるということをわれわれは考えていかなければならぬ。やはり国民の需要というものは黒糖に相当あるということはいなめませんし、そういう点から益美における各町村の農業協同組合等の黒糖生産ということも検討する必要があると私は思っております。いろいろそういうことが考えられるわけでありますけれども、今のように価格を押えられておりましては、農民も生産意欲というものがどうしても出てこないでありましょうし、先年の国会でも私が申し上げたと思うのでありますけれども、耕作反別あるいは反当収量というものがなかなかうまく増加しない、伸び悩んでおるということがいわれるわけであります。もちろんその黒糖のサトウキビ栽培の生産が伸び悩んでいる原因は、生産意欲がない、価格が低いから引き合わないというような考え方ばかりに基因しているとは思いません。それはいろいろ理由はありますけれども、そういうような要素があるということをわれわれは考えて、こういうような糖業等につきましても十分検討を加えていくし、皆さんの直接責任としてやはり指導というものが大きくなければならないと考えるわけでありますから、こういう点につきましても十分一つ御検討おき願いたいと思う。奄美大島における農村の実態は、耕作反別からいたしましても、あるいは一戸当たりの耕作反別からいたしましても、非常に低いのでありまして、これは私が申し上げるまでもなく御存じの通りであります。とても農業だけでやっていけそうな状態ではございません。しかし、そのうちで一番大事なのは、何といっても先祖伝来受け継いで参っておるサトウキビの栽培というのは重要産業でありますから、これを十分考えていかなければならぬと思うわけであります。  そこで、政務次官がおいででございますから、あわせてこの後の皆さん方の方針等を、今の黒糧の例でもよろしゅうございますか、御意見をお聞かせいいただきたいと思いますことは、池田内閣が所得倍増計画を立てて、これによってこれからの国政は運営されるわけですね。経済成長というようなことを高く掲げておられる。ところが一体こういう国の施策は奄美復興ということについてどういう結びつきを持って考えられておるか、将来どういうところに重点を置いてやっていかれようとしておるのか、これはやはり忘れてはならないことだと思うのです。何か構想でもございましたら聞かせておいていただけませんか。
  22. 渡海元三郎

    ○渡海政府委員 奄美群島生活状態が本土と比較いたしまして相当低位にあるということは、先ほどの御質問に答えまして行政局長が申し上げました通り復帰当時は本土に対して二八・九%でございました。その後の計画の進捗に伴いまして五〇%近くまで伸びて参っておるのでございます。しかしながら、今後三カ年間、三十八年度復興計画が終わることになっておりますが、それに伴うところの産業そのものを復興していかなければ実際の計画の実は上がらないことは御指摘通りでございます。私たちはこのためには奄美の地理的特殊性も考えまして、亜熱帯地方に適するところの基幹産業振興をはかりまして、ただいまの国との計画に合わせていかなければならない、かように考えております。  なお、現在の生活が向上しました数字の中には、復興事業に多額の投資が行なわれております。これらがはね返ってこれだけの数字が上がってきたのじゃないかということを考えましたなれば、復興計画が完了しましたときの経済状態というものは、なお楽観を許さないものがあるのではないか、かように考えます。また土木と違いまして亜熱帯の気候でございますから、それらの気候と風土に合った基幹産業振興さすことによりまして、本土の計画に合うように進めていかなければならない。これらにつきましては、なお今後復興計画が三カ年残っておりますが、この終了時期までの間に検討を加えまして、今後の奄美の、本土と対比するところの生活の向上ということを考えていかなければならない。かように考えて、ただいま調査をしていただきまして、現在立てております復興計画終了後における奄美に対する対策もなお検討しなければならない、このような方針のもとに目下検討を続けておるような次第であります。
  23. 川村継義

    川村(継)委員 非常に大きな計画でもありますし、皆さん方の方では毎年基金に対する資金量も増額される努力をしてもらっておりますし、復興計画が終わるまでにはあと二十何億の一応の資金の手当もしなければならぬということでございました。ただ金を出しっぱなしで、ほんとうに効果が上がらないということになったならば、大へんなことになるだろうと思われますので、先ほど局長も言われたように、復興計画の検討等についても、いわゆる国の倍増計画との工合もお考えいただいて、ぜひ検討願いたいと思うわけであります。  局長にちょっとお尋ねしますが、黒糖の工場、これは小型工場が今幾つできておりますか。それから大型工場といわれる、いわゆる大資本が進出しておるのが何社あって、幾つあるか、そういうものの状況をちょっと知らせていた、だきたい。
  24. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 小型工場は全体で五百七十二工場ございます。それから新式工場の数でございますが、これは現在できておりますのが七工場でございます。さらに本年度計画事業が進捗中のものが二工場ございます。これが完成いたしますと、三十五年度までで全部で九工場ということになります。
  25. 川村継義

    川村(継)委員 今の小型工場のやつは計画に基づく数でございますか。
  26. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 計画と申しますか、政府の方針といたしまして補助を出して建てさせたものもございますが、その他従来からあるもの全部合わせまして五百七十二工場、こういう意味でございます。
  27. 川村継義

    川村(継)委員 旧来からあるもの、たとえば農業団体等が持っておったもの、それから計画に合わせて新しく作らせようとするもの、そういうものを含めてというふうに解釈してよろしゅうございますか。
  28. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 従来からございます農協関係あるいは個人でやっておりますもの、それらと、さらに当時——最近は、やっておりませんけれども、計画ができました最初において補助を出しまして作らせた小型工場も合わせてという意味でございます。
  29. 川村継義

    川村(継)委員 そこで事業計画と小型の製糖工場との関係でございますが、この前の委員会で太田さんの質問に、いわゆる基金から融資しておる工場は五カ所ぐらいであろうとあなたはおっしゃったようです。それは、その工場が基金の金を借りたいと申し出たものに応じた数であり、事業の方からいろいろ融資あるいは補助を見てやるのが相当部分ある、こういうことでございますね。
  30. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 その通りでございますが、この間融資関係で五つと申しましたのは、内容といたしましては、今まで馬力と申しますか馬でやっておったものを動力化するとか、そういうことに要する融資関係という意味で申し上げたのであります。
  31. 川村継義

    川村(継)委員 時間もたくさんないようですから……。実はそれらの小型工場を私たちは少し大事にしなければならぬのじゃないかと考えておるのです。私、実態を見たことはありませんけれども、向こうの話をいろいろ聞きますと、農業協同組合等が経営しておる製糖工場がだんだん経営が悪くなってつぶれていくのが非常に多いらしい。せっかく国から融資を受けて仕事を始めてみてもだめになる。だから、それの返済に非常に苦しんでおるという実態が多いようであります。これは黒糖工場そのものにも原因がありましょう。経営そのものにも原因がありましょう。また黒糖というものの需要にも問題がありましょう。しかし一つ考えられる大きなことは、いわゆる分みつ工場等の大型のものや、大資本によるものの進出によって相当これが圧迫を受けているということは指摘できるのではないかと推測するわけです。しかも先ほどのように、サトウキビの生産価格にしましても、相当低く押えられていくということになると、何といっても大工場の大資本が出て参りますと、農民というものは自分たちの力で立ち上がるというよりも、何か手っ取り早くそういうものをさばいていくという考え方がどうしても先に立ちがちでございますから、そういういろいろな原因がからんで、この小さな団体経営、市町村経営等の黒糖工場というものがいかぬということを聞いているわけです。そうすると、よほど注意して参りませんと、せっかく国から補助を出したり融資を出したりして、その力が伸びることをねらっておっても、何にもならないことになるだろうと思います。従って私は、そういう点については、これまで国から手当をされた補助金の問題、あるいは融資額の問題をいろいろこまかに聞きたいのでありますが、時間がありませんから、きょうはそれらについてお聞きすることをとどめたいと思います。  あと一、二、急いでちょっとお聞きいたしますが、この前、昨年の国会のときに私聞いたと思うのでございますけれども、奄美のもう一つ大きな事業といったら水産業であります。水産業については、やはり復興計画に基づいて船を作らせ、そうして水産業の発達に寄与しようということを計画されておりますが、私は昨年の委員会でも申し上げたと思うのでありますけれども、三十五はいでございますか、この復興計画に基づいて船ができた。ところがその船の大部分は奄美大島に船籍を持たないでおって、ほとんどその船というものは焼津であるとかそのほかの港に船籍を移して、大体経営者がよそにおるというようなことを私は名前をあげて昨年の委員会で申し上げたと思うのであります。そういう状態では、一体何のために奄美復興ということでその大事な水産業のために国から金を出しているのか、どうも意味がなくなるのじゃないかということを申し上げたのでありますが、その後この漁船の建造の状況、あるいはそういう船籍の状況、こういうものがわかっておりましたら、ちょっとこの際聞かせていただきたいと思うのです。とにかくあなた方が手当をされたこの三十何はい、三十五はいかの漁船が、奄美大島に水揚げするのがほとんどなく、全部よその港に持っていってしまう。これは奄美大島に冷凍工場がないとかいろいろの不便な問題がありましょう。またとったものを全部奄美大島に水揚げしなければならぬという理屈も、これは需要関係から考えますとないと思う。しかし、現在のようにほとんど、私の方に数字もありますけれども、奄美大島に水揚げされないで他の方に持っていかれる、しかもその船は船籍も経営者もみなよそのものだ。ためになっていることといえば、奄美大島出身の何人かの者が船の乗組員として働いているにすぎない。それもごく少数なんです。そういう状態では、何のためにお金を出して奄美復興のために船を作らせてやっているかわからない、こういうことを疑問に思っているわけです。その辺の状況がおわかりでございましたら、あらためてお聞かせおきいただきたいと思います。
  32. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 船の建造について、今まで融資等のあっせんをやってきておりますが、その中で御指摘のありましたような事例が若干あったことは事実であります。ただこれにつきましては、今お話にもございましたように、奄美自体についての魚に対する需要の問題、あるいは冷凍施設等が不備であるという点、そういう点からやむを得ず他に水揚げをするというようなこともあるわけであります。しかしながら、それが当初の本来のねらいでないことは当然のことであります。なるほど何かの形で直接、間接に潤うということは、これは理屈にはならぬ理屈でありまして、これは当初のねらいからはずれておるということは確かでございます。ただ、そのようにせざるを得ないような原因というものはやはり突きとめて、それに対する対策というものを講じて参ることがむしろ基本的には重要なことではあるまいか、かように考えておりまして、今後の融資等につきましては、それらの点を十分勘案いたしまして、融資を受けて船ができると、それが直ちに船籍を他へ移してしまうというようなおそれのないように、むろん十分に調査等に遺漏のないことを期しまするとともに、それと並行いたしまして、冷凍施設あるいは加工施設等の建造というようなことにつきましても、あわせて努力をしていく必要があるのではないかというふうに現在のところ考えておるのであります。
  33. 川村継義

    川村(継)委員 私が申し上げていることが不都合でないならば、ぜひ一つそういうように努力を願って、国から出ていく復興のための金が、むだと言いましょうか、むだと言うのは失礼かもしれませんが、そういうようなことにならないようにぜひお願いしたいと思います。  約束の時間もありますから、実はそのほか生活保護の問題であるとか、電力の問題であるとか、あるいは失業対策の問題であるとか、いろいろお聞きしたい問題点がございますが、これはいずれお聞きする機会もあろうかと思いますので、きょうはとり、やめることにいたします。ただ、今の失業対策の問題で、これはやはり国の失対事業にももちろん大きな関係、影響されるところがあると思いますが、聞きますと、名瀬市を中心として非常にこの失対関係の仕事が苦境に立っておるということが言われているわけであります。それはいろいろ原因はございましょうが、いわゆる公共事業関係の仕事が伸びるので、ほんとうに食うや食わずのサトウキビ栽培、畑地栽培等の農業者が、そちらの方に吸収される仕事が多いと、結局元の仕事に帰るということよりも、名瀬市のような町に出てきて、何か仕事を見つけておるというようなことが一つの大きな原因でもあるようであります。しかも一つの公共聖業が、その年度の三十五年度なら五年度のやつが終わって、三十六年度のやつが始まるまでには、おそらく三カ月なり何カ月なり空白期間が出ると思います。これにはやはり皆さん方のそれに対する手当というのが一つの問題にはなりましょうが、そういう空白期間等の関係もありまして、いろいろと市町村当局の失対関係については苦しい状況があるようであります。これは名瀬市に限らず、ほかの町村でもそういう形が出ておるということでありますが、よほど注意してこれらに対処して参りませんと、当初に申し上げましたように、一体何のための生活の向上だ、生活水準の引き上げだということにまたなりかねないのでございますから、こういう点はよく実情を、私ここでいろいろ項目に分けてお聞きすることはやめますけれども、実情を調べていただいて、そしてこういう状態か続出しないようにぜひ配慮願いたいと思っているわけであります。それで一つの問題として、お聞きになっていると思いますが、私の耳にそれとなく入っているのには、名瀬市役所では何か大きな人員整理等の問題が起こっておるようであります。これはやはり名瀬市の財政力あるいは市職員の構成ということから考えていろいろ理由はありましょうけれども、名瀬市がそういうような生活保護者であるとか、あるいは失対関係の人夫であるとか、こういうものをかかえ込んでいくような点から財政が圧迫されている、従って財政の負担に耐え切れないということから、ひいては働ける職員等の整理ということも出てくるのじゃなかろうかと考えられます。そういうことをあわせて考えますと、なかなかやはり奄美復興という事業の将来には問題がたくさんあるのじゃなかろうかと思いますし、皆さん方は直接担当の責任者でもありますし、また十分専門家でもありますから、一つぜひわれわれの考えを聞いて適切なる措置をとっていただくようにこの際あわせて要望申し上げておきたいと思います。
  34. 濱田幸雄

    濱田委員長 太田一夫君。
  35. 太田一夫

    ○太田委員 私は公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案について一つ三つお尋ねをいたしたいのであります。  まず本年度の自治省におきますところの地方債計画についてお尋ねをいたしますが、承るところによりますと、千八百六十億円だと聞いておりますが、間違いはございませんか。
  36. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 二千億円でございます。
  37. 太田一夫

    ○太田委員 二千億円の内訳についてもう少しこまかく承りたいと思います。
  38. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 一般会計債が五百八十五億円、直轄事業債が百六十億円、準公営企業債が三百四十億円、公営企業債が七百七十五億円、特別地方債が百四十億円、合計二千億円であります。おっしゃいました千八百六十億円は特別地方債が入っていない金額だと思います。
  39. 太田一夫

    ○太田委員 二千億といたしまして、その中の政府資金によるものが幾らですか。
  40. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 政府資金によりますものが特別地方債と合わせまして千五百五十億円でございます。公営企業金融公庫の部分が百八十五億円、特定の地方団体——八団体でありますか、債券を発行して集めます資金が百八十五億円、縁故資金が八十億円ということになっております。
  41. 太田一夫

    ○太田委員 そうすると念のためですが、公営企業金融公庫が百八十五億円、いわゆる指定地方債が同じ百八十五億円、縁故債が八十億円、合わせて四百五十億円ですね。公営企業金融公庫の公募が百八十五億円といたしますと、この説明によりますと、三億円の出資と百八十億円の債券発行による収入分を原資として二百億円の貸付を行なうとありますね。この二百億円の内訳の数字を一つこまかくお答えいただきたいと思います。
  42. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 地方債計画で百八十五億円といい、公営企業金融公庫の貸付計画として三百億円、こう申しておりますのは、地方債の許可事務を行ないます額が三十六年度で百八十五億円、こういうことでございます。しかし許可いたしましたものも、現実の資金の貸付は三十七年度に回る分がございます。同時に、三十五年度で許可いたしましたものが、現実に金融公庫から金を借りますのが三十六年度へずり込んでくるものがございますので、そういう開きが生ずるわけでございます。私たちは一応三十五年度で許可するが、現実の資金の借り入れは三十六年度で行なわれるというものを二十三億円程度予定いたしておるわけでございます。同時に、三十六年度で許可いたしますが、三十七年度へ現実の資金の借り入れがおくれていくものが八億円程度あると考えておるわけであります。従いまして、差額の十五億円程度が貸付計画の方が多くなっている、こういうことでございます。  なお二百億円の貸付予定を事業別に申し上げますと、水道事業について五十一億円、工業用水道事業について二十億円、交通事業として七億円、電気事業について五十一億円、港湾整備専業について三十一億円、宅地増成事業について十三億円、下水道事業について七億円、その他十五億円、合計で二百億円ということになっておるわけであります。
  43. 太田一夫

    ○太田委員 二百億円というものの内訳の御説明があったのですが、実は私が聞いた分では、あるいはまたこの付表を見まして感じましたところでは、公営企業の自己資金というものが入っておるわけですね。これが十九億円入って二百億円になるわけです。回収金等十九億円を充当し、三億円の政府出資を含めて二百億円だとおっしゃれば、公募債の実質的な手取りが百七十八億円というようになりますので、従って百八十五億という数字が誤りがあるのじゃないだろうかという気がふとしたのですが、これはありませんか。
  44. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 計画はそのように立てているわけでございます。なお資金計画について御疑問があるように思いますので、御参考まで申し上げておきたいと思います。  私どもの方から資料として提出してあります公営企業金融公庫法の一部改正法律案関係資料の中の七ページに資金計画をあげておりますのをごらんいただきたいと思います。収入の方の右側の欄に書いておりますように、今御指摘になった点でありますが、公営企業金融公庫が百八十償円の債券を発行するわけでありますけれども、割引債券の方式をとっております関係から、公営企業債券収入は百七十七億七千五百万円ということになっているわけであります。しかしこのほかに、これも御指摘のありました産業投資特別会計からの出資金が三億円ありますし、また既往の貸付金の回収金が二十一億三百三十八万五千円というようなものも予定されておるわけでございますので、これらの資金として左に書いてあります貸付金二百億円が可能になって参るわけでございます。
  45. 太田一夫

    ○太田委員 そうすると、公営企業金融公庫におきまして公募します債券の額面金額は幾らになっておりますか。
  46. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 百八十億円でございます。
  47. 太田一夫

    ○太田委員 百八十億円とすると、従って百七十何億円の手取りが出てくるわけですね。さて、そこで先ほど用途別に見通しをおっしゃったわけですが、この提案の説明は、そういう公営企業にかかわる地方債について、特に低利かつ安定した資金を融通するためにこうするのだというのでありますが、一般政府資金は六分五厘でございましょう。なぜ七分六厘が特に低利になるのでしょうか。この辺の自信のほどを一つ説明いただきたい。
  48. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 おっしゃいますように、資金の種類によりまして利率がいろいろ変わっておるわけでございます。現在政府資金が一番低利でございます。しかし、これだけで全部をまかなうことができないわけでございまして、今後さらに郵便貯金なりあるいは簡易保険、郵便年金積立金、こういうものがどんどんふえて参ります場合には、これだけでまかなえるというようなことになるかもしれませんけれども、現状におきましてはすぐそういうふうに期待するということも困難でございます。そうしますと、地方団体が債券を発行して金を借りましたり、あるいは銀行からあれこれ金を借りたりしなければならぬわけでございます。債券を発行して借ります団体、これはやはり相当力のある団体でありませんと、その債券については流通力がないわけでございますけれども、現在大きな団体だけが発行しております。債券をとりましても発行者利回りは八分三厘三毛九糸ということになっておるわけでございます。これは東京とか大阪のような大きな団体だけでございます。この発行者利回りが八分三厘五毛九糸でございますので、公営企業金融公庫の七分六厘はずっと低利になっているということだと考えております。
  49. 太田一夫

    ○太田委員 今最後におっしゃった東京とか大阪とかが八分三厘五毛九糸というのですが、それは発行者利回りだとおっしゃったのですけれども、そうですか。百円額面を九十九円で出しているんじゃないですか。
  50. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 債券面の利率が七分五厘でございますけれども、額面百円のものを九十九円で売り出しておるわけでございます。そのほかに引き受け手数料でありますとか、募集手数料でありますとか、登録手数料とかいうものがかかってくるわけでありまして、そういう意味で全部含めまして発行者利回りを申し上げますと、八分三厘三毛九糸になるわけであります。応募者利回りとしては七分七厘二毛ということになっておるのでございます。
  51. 太田一夫

    ○太田委員 七分七厘二毛が八分三厘五毛九糸というのはちょっとかかり過ぎるような気がしますね。七分五厘で発行する、一円安く発行しておるのですから九十九円、利回りは七分七厘二毛になる、それはその通りです。しかし発行者利回りが八分三厘五毛九糸というのは少し高いような気がするのですが、それは正確でございますか。
  52. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 もう少し詳しく申し上げますと、現在の指定地方債の表面金利が七分五厘であります。発行価格が九十九円でございます。手数料は、引き受け手数料が一円六十銭、募集受託手数料が二十銭、当初の登録手数料が十五銭、元金償還手数料が四十銭、利子支払い手数料が一円二十銭、従いまして手数料の合計が三円五十五銭、こういうことになっているわけでございます。こういうものを全部合わせて計算をいたしますと、発行者利回りが八分三厘五毛九糸ということになっておりまして、応募者利回りの方は、これは手数料を引いて計算するわけですが、七分七厘二毛ということになるわけでございます。
  53. 太田一夫

    ○太田委員 従って私はその低利というところについて少し疑問があるからお尋ねしたわけですが、今おっしゃったのは八団体のことですね。たとえば東京、大阪それからいわゆる五大都市、それに兵庫県かどっか入っているのですか。八団体の指定債は今おっしゃった通りに八分三厘五毛九糸だ。それから公営企業金融公庫の方におきましては七分六厘である。政府資金では六分五厘である。こういうふうになりますと、できるだけ政府資金で起債を認めていくというのが妥当であるというふうに思うのですが、それはそれでよろしいでしょう。そういうことになっておりますことにとやかく言うわけではありませんが、この際公営企業金融公庫の三億円の出資増を中心としまして、公営企業の方にあなたの方からお回しになる各対象事業に対する申請者、地方の団体は、再建団体などはこちらの方にお回しになることはないでしょうね、ありますか、再建団体の地方債、それはたとえば水道であるとか、電気であるとか、港湾であるとか、いろいろあるでしょう。そういうのをこちらの方の公庫の方に回していくということは今までありましたか。
  54. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 再建団体であるからどうこうという考え方じゃございませんで、一般会計の部分につきましては、全額政府資金を回すという基本原則をとっているわけであります。公営企業の部分につきましても、弱小の町村、特に簡易水道というような仕事の問題になってきますと、可及的全額政府資金で持っていこう。しかし上水道のうちでかなり大きな規模のものになってきますと、政府資金もつけるが公営企業金融公庫の資金もつける、こういうようなやり方をいたして参っております。
  55. 太田一夫

    ○太田委員 その辺のところをしかと一つ局長において、あるいは自治省においては決意をしておいていただきたいと思うのです。ここで低利々々とおっしゃるが、実際は低利じゃない。ですから、なるべく政府資金によってまかなえるように極力措置されるのが妥当であって、公営企業金融公庫は昭和三十二年にできて以来、毎年々々出資しているんだから、ことしも惰性で出資をしようということでは、いささかこの目的にはずれるような気がするし、特に低利という件については、羊頭狗肉にならないようにしてほしいと思う。ですから一般の政府資金はぎりぎり一ぱい出して、あと、公営企業金融公庫の方でめんどうを見る。これは安定するのは、安定資金ですからよろしい、こういうことは筋が通るからいいのですが、弱小町村の起債については、できるだけ全額政府資金によってまかなっていただけるようにお願いをしたいと思う。その点については今の御説明で私も了解するわけです。  さてそこでもう一つお尋ねをしますか、最近の下水道の普及率が非常に激しい。下水はまた非常に金がかかるのですが、これを見ましても七億という非常に少ない目標になっております。きょうは建設省もいらっしゃいませんから、下水道のことについて自治省に文句を言うのはいささかどうかと思いますが、しかし四分の一くらいは受益者負担という原則を立てていらっしゃるそうですね。下水道というのは、これはやればやるほど地方民は困る。そこで私は四分の一地元負担という制度については、これは一ぺん考え直してもらわなければいけないと思う。自治省においては、その残りのものにつきまして起債の請求があったときに、あなたの方は、一般政府資金でやるか、それとも公営企業金融公庫の方に回そうかということをお考えになると思うのですけれども、大体四分の一を受益者負担にしてやれというこの基本的なものが問題があるような気がする。いかがでございますか、今下水道においてどれくらい起債の申請があるでしょう。
  56. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 下水道事業の起債七億とおっしゃいましたのは、公営企業金融公庫の資金を使う部分が七億でございまして、総額としては百三十五億円を予定いたしておるわけでございます。三十五年度の九十億円に対しまして百三十五億円でありますから、五割の増額をはかっておるわけであります。下水道を早急に整備すべきだという判断のもとに、この数年間年々五割ずつ地方債計画を増額させて参っておるわけでございます。
  57. 太田一夫

    ○太田委員 百三十五億は本年度の地方債の総額であり、その中の七億を公営企業金融公庫によってまかなう、こういうわけでありますね。従って百三十五億は昨年の九十億に比べて五割増しの額であるという点は非常にいいのですが、五割といっても、もとが低い。もとが低いから、私はあまり積極的だと思いませんね。なぜ低いかといえば、四分の一受益者負担という制度がある。私も建設省の方がいらっしゃるなら承りたいと思っていたのだが、坪当たり受益者は大体六十円くらいの程度のものを負担する。坪六十円くらいの受益者負担を取られる。これは大へんなんです。それは水洗便所ができるということだけじゃない。できなくたって、下水の事業費に対しては坪六十円くらいの割合で、六十円か七十円受益者負担として出さなければならぬ。その地域が非常に広い。下水の水が流れ込むと推定されれば全部それを出さなければならぬ。だから下水という工事は、地方民にとってありがたいようであるけれども、できればできるほどたくさんのものを出さなければならぬので、二の足を踏んでいる。従ってこの七億を公営企業金融公庫でお出しになるといいますが、それは、下水という事業の諸条件から考えますと、これはできれば何とか全額一般政府資金により起債を認め、公営企業金融公庫の方は、ほかのもう少しもうかる仕事のものだけを出すというようになさるのが妥当じゃないかと思いますが、御意見はいかがですか。
  58. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 御指摘のように、下水道事業のようなものにつきましては、できる限り政府資金をつけていった方がいいと思います。そういうことで、今も申し上げますように、百三十五億の計画に対しまして、わずかに七億円しか公営企業金融公庫の資金を予定していないわけでございます。将来ともそういうような考え方で資金の配分を行なっていきたい、かように考えておるわけでございます。
  59. 太田一夫

    ○太田委員 同時に、今度の三十六年度の公営企業金融公庫の貸出金利は正確にきまりましたか。
  60. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 七分六厘を予定いたしておるわけであります。将来、発行いたしまする債券の利率を引き下げることが可能になって参ります場合には、当然貸出金利も下げ得る、こう考えておるわけであります。私たちといたしましては、できる限りこの金利を下げる方向で努力をいたしていきたいと考えておるのでございます。
  61. 太田一夫

    ○太田委員 低利の名にそむかないように、この際、金利引き下げの時代において七分六厘を引き下げるのがほんとうだと思うのですが、金融公庫の方において、現在のところその用意はないのであるか、あるいはその見通しについてお伺いをいたします。
  62. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 公営企業金融公庫自身も年来そういう希望を持っておりますし、自治省としても年来そういう希望を持っておるわけでございます。またそういう意味で、私たちとしては、公営企業金融公庫への政府出資を増額してもらいたい、そうすることによって貸出金利の引き下げをはかっていきたい、こういうようなことを考えておるわけでございますけれども、それぞれの金融系統があるわけでございますので、公営企業金融公庫だけの貸出金利を下げることは困難だということで今日に至っておるわけでございます。公営企業金融公庫が債券を発行する、それを引き受けた人の利回り、すなわち応募者利回りでありますが、それが七分二厘大毛九糸になっておりますので、応募者利回りまでは少なくとも下げたいのだということも、実は数年来いろいろ議論を繰り返しておるのでございますけれども、今申し上げましたような事情でまだそういう希望が達せられていないわけでございます。幸いにして長期金利の低下傾向もございますので、一そうそういう方向に努力して参りたい、かように考えております。
  63. 濱田幸雄

    濱田委員長 他に両案に関する質疑はありませんか。——なければ両案に対する質疑はこれにて終了することといたします。     —————————————  これより両案を一括して討論に付する順序でありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  これより採決いたします。  まず奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案につきまして採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  64. 濱田幸雄

    濱田委員長 起立総員。よって本案は全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決しました。  次に公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  65. 濱田幸雄

    濱田委員長 起立総員。よって本案は全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決しました。  次にお諮りいたします。すなわち、ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任を願いたいと存じます。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 濱田幸雄

    濱田委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十四分散会