○
横山委員 小
委員長から御
報告下さいました
報告書につきましては、きわめて民主的に小
委員会を運営し、そしてりっぱにまとめられました小
委員長の御
努力に対しまして、私からも
敬意を表したいと思うのであります。ただ、今原長官からもおっしゃいましたように、事柄はやや抽象的に過ぎるかもしれませんけれ
ども、きわめて重大な問題を含んでおりますし、直ちに
結論が出ることは困難と思いましても、今お話がございましたように、鋭意その困難について
検討をされまして、本小
委員会の
中間報告に所期いたします方向において、本
委員会に御
報告をされんことを要望いたしたいのであります。その
意味におきまして、私は、多少私の希望
意見ないしは最近ありました特異な事例を引用いたしまして、参考に各位に聞いていただきたいと思います。
時間もございませんし、皆さんにおわかりやすいように、私は二つの事例を申し上げたいと思うのであります。
一つは、小
委員会で話題になりました問題であります。もう
一つは、先般来本
委員会及び予算
委員会でたまたま私が
関連をいたしました問題であります。
本小
委員会で取り上げました問題は、いわゆる仙台事件というのでありまして、三月十四日に、仙台の市会
議長であり、かつ税理士である人が、お百姓さんの印鑑を三十ばかり持って
税務署の
職員の前にぽんと買いて、これで確定申告をしたことにしてくれいと言わんばかりの
状況で帰りました。その数日後に、担当者が
調査をいたしました結果、前年度対比一七〇%として査定をいたしましたところ、それを聞いてその税理士がかんかんに怒りまして、不在の署長室へ入り込んで、
課長並びに担当者をどなりつけて、転勤をさせる、ばかやろうと言って、ばり雑言を放った。そういうようなことをいたしました後において、担当者に十分意をはかることなく、その署の
課長は自分で査定いたしまして、前年度対比一一三%に査定をし直して、勤務が明けてからその税理士の自宅を訪れて、それで了承を願い、しかも事務上の処理は特例をもって事後申告といたしたそうであります。その
職員及び
組合が、それを納得しないで、新聞に発表いたし、国税局長は税理士を呼んで、その態度について遺憾の意を表示したということであります。この事実関係については、
国税庁で御
調査願ったことと私
どもの
調査とはあまり懸隔はございません。ただ、この問題の中で痛感をされますことは、その税理士は元署長だったそうでありまして、局ないしはその署に対して精神的に影響があるものと思われます。その税理士の態度というものが、本
委員会で税理士法の
改正を先般来
議論いたしたばかりでございますが、この税理士法の
改正をいたしました
趣旨とはなはだ懸隔があることを痛感せざるを得ないのであります。また、その署におきましてどなられた深長とそれから
職員と、またその事情を知悉いたしております
第一線の
職員諸君に対する
税務署長ないしは国税局長のとった態度に、私
どもとしてはきわめて残念な感じがいたします。
と申しますのは、一体その一七〇%が妥当であったか、一一三%が妥当であったのか、大いに
議論のあるところではございますけれ
ども、
課長が自分で査定し画して、勤務が済んでからその税理士の自宅を訪問をして了解を得るというような態度、しかもその
第一線職員に対する理解を十分になし得ないという
状況において、はなはだ穏やかならざる感じがわれわれ聞くものにはいたすのであります。また、単に上司と使われるものという関係のみならず、かかる問題が新聞に発表されるような雰囲気、かかる問題が署内において話し合いが平素行なわれ得ない雰囲気という点については、私
どもは小
委員会におきましても今後の
改善を願った点でございます。こういうようなことを
考えますと、私
どもとしては、税理士法
改正の
趣旨というものがまだ十分に徹底されていないし、また過去の税理士やあるいは本
委員会で
議論がございます特別試験
制度の存続について、さらにいささか疑念を深くせざるを得ないような
状況も
考えられますし、多くの問題をこの中にはらんでおるのであります。従いまして、片や税理士法の
運用において、片や
税務署部内の人の使い方と申しますか、
職員に対する上司の態度というものにおきまして、片や
納税者の
立場から客観的に
考えまして、そのような査定がどうして行なわれるのであろうか。また、三月十三日でありましたか四日でありましたか、
納税者であるお百姓さんが、実情やむを得ざるにいたしましても、判こを持っていって
職員に申告を依頼するという、
税務職員を税理士の代理として判こを預けてそれをやらせるがごときことは、尋常の
考え方では私
どもには出て参らないのであります。こういう点は、あらゆる
方面から、本小
委員会の
中間報告に盛られております
趣旨にもかんがみまして、是正されることがきわめて必要であろうと私は
考えます。
第二の事案と申しますのは、名古屋で起こりましたブドウ糖に関する脱税の疑いに
関連する問題であります。私は、直接その問題に
関連するのを避けまして、本
委員会におきましてもその
調査の
方法に限界を置いて
質問をいたしたことがございます。しかるところ、国務庁長官はこの事務の脱税事犯のみをとらえて私に回答せられました。私は、誤解を受けるのを避けまして、そのままになっておるわけでありますが、この際明らかにいたしたいと思うのであります。二月の二十三日に名古屋市内のブドウ糖をおろす業者が
調査を受けました。病人でございましたが、
税務署へ連れていかれまして、夜の九時ごろまで
調査をされ、そして陳述書に判こを押さなければ帰さないというので、やむなく判こを押した。あくる日出頭して、どうもからだの事情も悪かったのであるから一ぺん見せてもらいたい。しかしながらそれを拒否された。そのあくる日またあらためて出頭したけれ
ども、お前に会う必要はないと言うて拒否された。そのことが偶然私の耳に入りまして、間税部長にお電話をして、このようなことはいかがかと思うがどうだろうかと言いましたところが、善処を約束されまして会ってもらったのでありますが、担当者がいないということで何ら解決に至らなかった。越えて三月二十八日に、再度書類が返却されませんから返却を求めたところ、一部を返却されて、しかも返却にあたって領置目録を本人に交付された。その領置目録を三月二十八日に渡されたが、二月二十四日に受け取ったことにしろということで、やむなく二月二十四日にこれを受け取ったことにした。五月に至りまして、一切書類は返却されず、陳述書も見せてもらえず、そして自分の修正点も希望も聞いてもらえぬ。その
調査が済みまして、岐阜の某酒屋さんと岡崎の酒屋さんが
調査をされた。岡崎市における威光酒造は、夜の十一時まで
調査をされて、陳述書に署名をさせられて帰宅をいたしました。威光酒造の御主人はあくる日の朝首つり自殺をはかりました。家人に発見されまして危うく生命はとりとめたのでございますが、これが弁護士に移りまして、弁護士とも
ども国税局に出願いたしまして、このような雰囲気のもとに行なわれた陳述というものにつきましては一切認めないという申し出をいたしました。概略を申しますと以上の
通りでございます。
この種の問題の中で痛感をされますのは、先般小
委員会でいろいろと
議論がございましたが、本人はこれが最初で、大塚なる人でありますが、病人のこととて
国犯法によって
調査をされたということについては何ら知悉をしていなかったそうであります。国税局に確かめたところ、
国犯法によって陳述書に判こを押してもらったのであるから、これについては間違いがないというのであります。しかしながら、本人は病人のことでございますから、そういう
法律その他については知悉をいたしません。いわんや小
委員会で問題になりましたような
国犯法によれば
黙秘権があるというような
議論については、とうてい話にも話題にもならなかったということであります。かりに陳述書に判こを押したというたところで、本人が、昼飯も夕飯も食べない、夜の九時までかかった陳述の中で、どうもまぎらわしい点で判こを押したからというて、あくる日に、またそのあくる日に出頭をいたして訂正を要望したにかかわらず、それに対して何らの
措置もとらない。そうして、私が——私のことでありますから、婉曲にお願いをしたことでありますが、それすら実効がない。二回にわたってお話をいたしましたところ、ようやくこれは容易なことではおさまらないと思われたのかもしれませんが、領置目録を二月にさかのぼって取ったことにしろということになり、さらに加えて首つり自殺が再び同じ関係の問題で起こるような
調査を行なわれるに及んでは、一体この小
委員会の
審議というものと実際の
行政というもの、また
国税庁の皆さんがここで御
答弁をなさることと
第一線における私
どもの論議が何ら関係がないような感じすらいたすのでありまして、まことにこれは遺憾なことだと思うのであります。もとより、私も、この問題がいかなる脱税の内容であるかにつきましては、自分も
調査をすべきではありますけれ
ども、しかしながら、もし私自身が誤解を受けてはと思いまして、当初から一貫してこの事案直接に介入することを避け、もっぱら小
委員会としての中心課題であります
調査の
方法、それから
法律との関係に限定をいたしましたのでありますけれ
ども、この点につきましては、本小
委員会の
中間報告とも相にらみまして、格段の
改善なり善処を私は求めてやまないのであります。
さきの仙台の事案と申し、この名古屋の人権の問題と申し、いろいろなことが
考えられるのでありますが、この際まとめて私が項目的に申しますと、次のようなことになります。
一つは、先ほど申しましたような税理士法
改正の
趣旨というものをさらに徹底をしてもらいたいということであります。
一つは、ここに盛られました
調査の
方法に格段の
改善をはかってもらわなければいかぬということであります。特に人権の尊重については、原長官がおっしゃいましたように、この脱税を捕捉するということと人権の尊重ということと常に矛盾が存在するのでありますが、この調和については格段の
努力がなされなければなりません。また次には、小
委員会の
報告なり本
委員会の
議論は、現在進行いたしております国税通則法の
審議にあたりまして十分取り入れられることを私は要望してやまないところであります。
最後に、小
委員会のつけ加えられました労働問題について一言言及をいたします。
仙台の事案については国税の
労働組合が取り上げることとなりまして、いろいろとこれが本
委員会の話題にもなったわけでありますけれ
ども、自余の小
委員会の
議論をも含めまして要望いたしたい第一の点は、何といいましても
国税庁とその傘下にあります
税務職員の組織との団体交渉なりあるいは話し合いが十分なされていないと痛感をするわけであります。この点につきましてはいろいろと御説明を承りました。しかし、渦の中に入っておりますと、自分が回っておるということに気がつかない場合がございましょう。私
どもが、不肖ではありますが、多年の経験から
考えましても、他の官公庁あるいは他の
民間の諸団体、どんなに紛争がありましても、どんなにストライキが起こっておりましても、との窓口は常に開いておるというのが
現状であります。これがなくては労働問題は解決いたしません。この際中央、地方にわたって団体交渉なりあるいは話し合いが円滑に行なわれて、でき得べくんば内部の問題は内部で
労使の話し合いによって解決をするという雰囲気を作って下さるように、特に要望をいたしたいと思うわけであります。
その次には、先般も
議論をいたしましたけれ
ども、転勤の問題であります。あらゆる官公庁を尋ねてみましても、国税の
職員ほど転勤の多いものはございません。そこにまた仕事の特質があろうと思うわけであります。この転勤が仕事の特質であるならば、その転勤についてはまた格別な配慮が行なわれなければならぬと思います。お伺いをいたしましたところによりますと、事前に希望調書をお取りになるというのでありますけれ
ども、その希望調書が取られてから実際に転勤が行なわれるまでには、数カ月なりあるいは一年有余もかかることもあろうかと私
どもは事情を聞いておるわけであります。私は重ねて希望をいたしたいと思うのでありますが、他の官庁にございますように、転勤についての内示と、それからそれについての苦情処理機構を作って民主的な人事運営が行なわれるように希望いたしたいのであります。私の申しますことは幅の広い話でございますから、この内示と苦情処理との
運用がどういうふうに行なわるべきかについてはいろいろの
方法がございます。あなた方が本問題を十分にいろいろな事情をも
考えてみられて、人事
運用の民主化をはかっていただき、納得をする転勤が行なわれるように、格段の工夫を願いたいと思うのであります。
その次の問題としては、
給与と労働条件等の問題がございます。国税
職員は常に誘惑の沼に近いと申しますか、
責任のある地位、
責任ある独立した事をいたしておりますために、ともすれば誘惑の手が差し伸べられる雰囲気にあるかと思います。これを解決いたします
方法はいろいろございますけれ
ども、その仕事、力量に相当した
給与の質と量というものがなされなければなりません。この問題につきましては、多年の問題でございますけれ
ども、国税
職員にふさわしい
給与というものがこの際
考えられて、そういうものから身を守り、自主的な
責任感を持って仕事が行なわれるように
給与の
改善でなさるべきであると存じますし、また、先般
調査をいたしました休暇の処理
状況から
考えましても、基準法なりあるいはその他の問題をもちまして休暇が付与されているのでありますが、休暇を残す
職員が非常に多いように思うわけであります。これは一体定員に問題があるのか、作業の内容に問題があるのか、あるいはまたその付与する条件に問題があるのか、その点十分工夫がなさるべきだと思うのであります。
職場の環境につきましては、この中にも盛られておるのでありますが、
一つには
納税者のために、
一つはまた働く
職員のために、職場の環境について格段の
努力を願いたいと思うわけであります。
以上、いろいろと申し上げましたが、要するに、本小
委員会でいろいろと各
方面から
議論をいたしましたのは、民主的にして合理的な
税務行政が行なわれることを念願いたすのでございますから、先ほど申しましたいろいろな問題につきましては特にこの際
国税庁としては最大の
努力を払われて、また国会においてなさるべき事案につきましては私
どもとしても格段の
努力をいたしますから、今直ちにということもできますまいけれ
ども、今後日数をかけまして最善の
努力を願いたいと思うわけであります。
以上、小
委員会の
中間報告に
関連をいたしまして、希望を申し上げました。
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