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1961-05-30 第38回国会 衆議院 大蔵委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月三十日(火曜日)     午前十一時二十八分開議  出席委員    委員長 足立 篤郎君    理事 伊藤 五郎君 理事 鴨田 宗一君    理事 黒金 泰美君 理事 細田 義安君    理事 毛利 松平君 理事 辻原 弘市君    理事 平岡忠次郎君 理事 横山 利秋君       天野 公義君    岡田 修一君       金子 一平君    簡牛 凡夫君       久保田藤麿君    田澤 吉郎君       高田 富輿君    高見 三郎君       竹下  登君    永田 亮一君       西村 英一君    藤井 勝志君       坊  秀男君    米山 恒治君       有馬 輝武君    佐藤觀次郎君       田原 春次君    広瀬 秀吉君       藤原豊次郎君    堀  昌雄君       武藤 山治君  出席政府委員       大蔵政務次官    大久保武雄君       大蔵事務官       (主計局法規課       長)        上林 英男君       大蔵事務官       (主計局給与課       長)        船後 正道君       国税庁長官     原  純夫君  委員外出席者       大蔵事務官       (印刷局長心得)  小島要太郎君       大蔵事務官       (印刷局総務課       長)        梅村 知躬君       専  門  員   抜井 光三君     ――――――――――――― 五月二十三日  委員本名武君、堀昌雄君及び西村榮一辞任に  つき、その補欠として八木徹雄君、原茂君及び  春日一幸君が議長指名委員選任された。 同日  委員原茂辞任につき、その補欠として堀昌雄  君が議長指名委員選任された。 同月二十四日  委員藏内修治辞任につき、その補欠として村  上勇君が議長指名委員選任された。 同月二十五日  委員八木徹雄辞任につき、その補欠として倉  成正君が議長指名委員選任された。 同月二十六日  委員倉成正君、米山恒治君及び春日一幸辞任  につき、その補欠として舘林三喜男君、濱田正  信君及び片山哲君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員濱田正信辞任につき、その補欠として米  山恒治君が議長指名委員選任された。 同月二十七日  委員米山恒治辞任につき、その補欠として楢  橋渡君が議長指名委員選任された。 同日  委員楢橋渡辞任につき、その補欠として米山  恒治君が議長指名委員選任された。 同月三十日  委員宇都宮徳馬君及び藤井勝志辞任につき、  その補欠として竹下登君及び藤田義光君が議長  の指名委員選任された。 同日  委員竹下登君及び藤田義光辞任につき、その  補欠として宇都宮徳馬君及び藤井勝志君が議長  の指名委員選任された。     ――――――――――――― 五月二十二日  会計法の一部を改正する法律案内閣提出第一  二七号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月二十五日  入場税撤廃に関する陳情書  (第八九八号)  同  (第八九九号)  地方公共団体設置開発公社に対する非課税措  置等に関する陳情書  (第九二一号)  中国地方開発資金大幅融資に関する陳情書  (第九二二号)  株式及び証券投資信託配当課税等に関する陳  情書  (第九八七  号)  中小企業者に対する減税措置等に関する陳情書  (第一〇二三号)  金融及び経済政策に関する陳情書  (  第一〇三〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律  案(内閣提出第一五九号)  印刷事業に関する件  小委員長より報告聴取      ――――◇―――――
  2. 足立篤郎

    足立委員長 これより会議を開きます。  国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の通告があります。これを許します。平岡忠次郎君。
  3. 平岡忠次郎

    平岡委員 ただいま議題になっておりまする国家公務員共済組合法等の一部改正法律案は、まさにこの委員会を通過せんといたしておりますが、私は、この共済組合連合会の運営の根幹をなすところの役員選任関係が、理事選任につきましても評議員選任につきましても偏向しておって、あまり民主的ではないことを指摘したいのであります。すなわち、理事選任につきましては大蔵大臣の権限が強力に過ぎるきらいなしとしません。なおまた、評議員の構成の現状を見ますと、各省の会計課長が大体選任せられておりますが、この点はぜひとも改めてほしいと思うのであります。率直に申しまして、職員の組織を代表する人をこの評議員に当てるべきだと私ども考えておりまするが、いずれにいたしましても、単位組合において当然なされておることが、連合会におきましてこうした配慮を欠いておる点は遺憾と存じますが、将来これを改めるお考え政府においてあるかどうか、その点をこの際お伺いしておきたいのであります。
  4. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいま平岡委員からの御発言趣旨は、先般の委員会審議の過程におきましてもしばしば御発言をいただいたことでございまして、政府といたしましても、御趣旨をくみまして十分考慮いたしたいと考えております。
  5. 足立篤郎

  6. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 一つお伺いしたいのですが、国家公務員共済組合法の九十九条に費用負担原則を定めてございます。この第四項に、国家公務員組合専従職員に対しての費用負担の問題ですが、これに職員団体が国にかわって費用負担する建前に書かれておるわけでありますが、なぜそういうように書かれておるのか、どうして一般と同じように取り扱うことができないのか、このことを一つお伺いを申し上げたい。
  7. 船後正道

    ○船後政府委員 共済組合法の第九十九条の四項は、御指摘通り労働組合専従職員等につきましては、「国の負担金」とありますのを「職員団体負担金」、かように読みかえる規定でございます。この共済組合法の体系におきましては、雇用者が国でないような状態がございますれば、国の負担金をその国でない雇用者負担する。たとえば、職員公庫公団等におる場合でございますが、こういう場合には、公庫公団等が国の負担金である百分の五十五を負担します。同様に職員団体専従職員につきましては百分の四十五を負担する、かような仕組みになっております。この点は、国家公務員共済組合法だけではございませんで、御承知通り公共企業体等職員共済組合法におきましても同様の規定がございまして、やはり公共企業体等労働組合専従職員につきましては、これも労働組合が百分の五十五を負担する、こういう建前になっております。
  8. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 公共企業体の方もやはり同じようになっておるわけでありますが、民間のたとえば厚生年金なり船員保険法なりという場合に、そこにおける労働組合専従役員というようなものもあるわけであります。そういった場合に、厚生保険費用負担原則というものは、やはり国の負担分があるわけでありますが、そういう者が民間厚生年金の適用を受ける場合に、組合専従者になっておるというような場合に、その国の負担は排除されますか。その点をお伺いいたします。
  9. 船後正道

    ○船後政府委員 御指摘通り民間被用者を対象とします社会保険におきましては、国の負担金あるいは国の補助金というものがございまして、これを除きました残余労使が折半ということになっております。従いまして、結果としましては、民間におきましては、労働組合専従職員につきましても、国の負担金あるいは国の補助金というものが渡るわけであります。国家公務員共済及び公共企業体共済におきましては、国の負担金事業主負担金、あるいは公経済としての公社負担金使用主としての公社負担金ということが明確に分離されておりません。ただ国あるいは公社負担金が幾らであるという仕組みになっております。この点は、御指摘通り社会保険全般のバランスを考えますれば確かに問題の存するところでございますけれども社会保険における国の負担金あるいは補助金の率なりこれの根拠なり、こういったことにつきましては種々問題点がございますので、これらを総合いたしまして検討いたしたいと存じます。
  10. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 だいぶ先回りした回答をいただいたわけでありますが、厚生保険などの場合とこの九十九条の四項を比較しまして、そういった点では、国の負担というものを国家公務員労働組合専従職員であるからという理由で全部その職員団体負担させるということは、やはり均衡を失しておる、こういうことだけははっきり言えると思うのですが、その点に限って一つどう考えていられるか、お答えをいただきたいと思います。
  11. 船後正道

    ○船後政府委員 先ほど申し上げました通り民間被用者保険制度国家公務員保険制度とは若干違う点があるわけでございます。そこから建前の上では制度が違いますので、こういう区別になっておりますが、結果といたしましては、確かに国の負担金あるいは補助金が明示されておりまして、残余労使で折半するという制度と、この国なり公企体のように国または公社負担組合負担というように分けておるところでは、結果といたしましては違うわけでございます。これにつきましては、現在の公務員共済なり公企体共済における、この五十五の負担割合の本質は何かという根本的な問題もあるわけでありまして、これらを総合いたしまして今後検討いたしたい、かように考えております。
  12. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 費用負担建前が、民間公的年金という表現を使っておるようでありますが、そういうものと公企体あるいは国家公務員の場合と違う建前になっておることはわかるわけであります。しかし、本質的な問題といたしまして、国家公務員あるいは公共企業体の場合に、組合専従役員というものがこのような書き方をされて今まできたわけでありますが、やはり組合専従役員というのは何の役にも立たぬのだというような気持で、こう書かれたように受け取られるわけであります。しかしながら、組合専従役員はやはり能率的な国の業務の進行のためにもかなりの役割を果たしているというようなことを考え、また専従役員というものを現に認めておる立場からすれば、それに対してこの共済組合法の中で国の負担金をそのものについて見ないということが、今課長のおっしゃられたような建前をとるからといって、しからばなぜこれを国の負担差別をつけなければならぬのかというような点について、使用者団体が違うんだというけれども、これはやはり依然として身分関係は存続をしておるはずであります。その間においてただ国の給料を払わぬというだけのものであって、身分的にはこれはちゃんと継続をしているものであります。そういうようなものに対して差別をつけるということは、どうも、労働政策といいますか、ちょっときつい言葉を使えば、組合に対する一種の敵視的な考えというものがひそんでこういうものができたんじゃないかと勘ぐられてもいたし方がないと思うのですけれども、そういう立場から、この規定改正してというよりも、これを削除して何ら落しつかえない、こういうように考えるのですが、その点いかがでしょうか。
  13. 船後正道

    ○船後政府委員 決して労働組合差別して扱っているわけではございません。共済組合における費用負担沿革でございますが、これは、広瀬先生も御承知通り国鉄共済が一番模範になっておるわけでございますが、国鉄共済が明治四十年ごろに発足しました際には、職員負担が百分の六十、国の負担が百分の四十、こういう現在から見ると逆の状態から出発しております。それが漸次国が百分の五十、組合員が百分の五十という状態が終戦直後まで続きまして、昭和二十三年以降の改正で現在のような四十五対五十五の負担割合になっております。こういうような沿革をたどっておりまして、この国の負担金百分の五十五を、たとえばそのうちの十があるいは一般会計としての国の負担であって、四十五が使用君としての国の負担であるというような説明の仕方もあるわけでございますけれども、こういう沿革をたどった負担割合でございまして、しかも、先ほど申し上げました通り、国以外の雇用主共済雇用主になった場合には、その雇用主が国の負担をそのままかぶるという建前になっております。従いまして、現在の建前といたしましては、決して労働組合だけを差別しておるのではなく、公庫公団等におきましても同様にこの百分の五十五を肩がわりしておるわけでございます。しかし、結果といたしまして、確かに民間被用者団体との問題もありますが、公企体共済等との関連もございますので、関係方面とも折衝をしながら、本件は検討いたして参りたいと思っておる次第でございます。
  14. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 検討されるということでございますから、あまりこれ以上問題にするつもりはございませんけれども、やはり民間の場合にも一つ事業体というものを単位にして厚生年金保険法を適用しているわけですが、その中で、労働組合専従者は、やはりこれは被用者団体事業主に雇われているのではないという形になるわけだと思うのです、労働組合専従者になると。しかしながら、その厚生年金保険の面における取り扱いは何ら特異な扱いというものはされておらないわけです。国の負担金もその者に対してちゃんと適用されておるわけです。そういう場合に、やはり国家公務員なり公共企業体の場合においても、使用者は、なるほど使用者という意味の取り方にも問題はあるだろうと思います。依然として使用者というものは国だあるいは公共企業体だというような見解も成り立つわけであります。身分関係というものは、ちゃんと組合の改選でやめればすぐに復帰できる体制に常にあるわけです。短い場合には半年ということもあるし、あるいは三カ月ということだってあり得るわけです。理論上は一カ月という場合だってあり得るわけです。そういうように非常に相対的なものであって、本質的な差別はないように私は思うわけです。ですから、この面については、これを削除する方向で一つ検討願ってしかるべきだ、このように考えますし、また課長もそのように答えられたと了解しまして、私の質問を終わりたいと思うのです。
  15. 船後正道

    ○船後政府委員 九十九条四項を削除するということではございませんでして、この九十九条四項を、民間保険制度あるいは公企体共済制度、それらとの関連を考慮しながら、合理的に改正するよう検討して参りたい、こういう意味でございます。
  16. 足立篤郎

    足立委員長 本案に対する質疑はこれにて終了いたします。     —————————————
  17. 足立篤郎

    足立委員長 なお、本案に対しましては討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。  お諮りいたします。  本案原案通り可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 足立篤郎

    足立委員長 御異議なしと認めます。よって、本案原案通り可決いたしました。     —————————————
  19. 足立篤郎

    足立委員長 次に、本案に対しまして附帯決議を付したいと存じます。案文を朗読いたします。     国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議   恩給公務員期間通算等に伴なって、国の負担すべき整理資源の繰入額の適否は組合長期経理に影響なしとしないので、政府は、速かに追加費用の総額を概定し、これに基づき毎年度の負担方法を明確にし、保険経済健全化をはかるべきである。  お諮りいたします。  本附帯決議を付するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 足立篤郎

    足立委員長 御異議なしと認めます。よって、木附帯決議を付するに決しました。     —————————————
  21. 足立篤郎

    足立委員長 なお、本案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 足立篤郎

    足立委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  23. 足立篤郎

    足立委員長 税制及び税の執行に関する小委員長より発言を求められております。これを許します。税制及び税の執行に関する小委員長簡牛凡夫君
  24. 簡牛凡夫

    簡牛委員 税制及び税の執行に関する小委員会審議をとりまとめましたものを報告いたします。  税制及び税の執行に関する小委員会中間報告書。  本小委員会は、去る二月九日の大蔵委員会設置を決定されまして以来、すでに数回にわたり審議を続けて参りましたが、国会の閉会に際し、一応、その報告をすべき必要を認め、小委員会審議経過並びにその結果について御報告申し上げます。  まず第一に、調査いたしましたおもな問題は次の通りであります。  一、質問検査権並び黙秘権などに関する諸問題、二、現在行なわれている税務調査方法と諸問題三、税務職員納税者に対する心がまえとその責任、四、その他。  次に、調査にあたっての基本的な考え方について申し上げますと、戦後の混乱期から、経済を初め各般について次第に安定して参りました現在、税の執行当事者は、行政面においてはでき得る限り官僚的な要素を漸次少なくし、民主的にして合理的な方法を取り入れる必要があります。もとより、悪質な脱税者に対しては、税負担の公平をはかる意味において、これをのがすようなことがあってはなりませんが、一般納税者に対しては、その納得と信頼を得ることが一そう必要なことと考えられるからであります。  次に、質問検査権並び黙秘権などに関する諸問題について種々質疑が行なわれましたが、質問検査権現行規定について、その限界について解釈を明らかにすべしという意見に対し、良識をもって運用に当たるという答弁がありました。  しかし、運用上はなはだ不明確であるため、第一線において職員納税者に対し基本的人権の侵害または職権乱用のおそれのある事例がないとはいえないのであります。このような取り扱い現状においては、いやしくも職権乱用を惹起することのないよう、何らかの措置を講ずることが必要と考えられます。  なお、これに関連して、税務職員がこの質問検査権を行使する場合、行政手続の問題であるから、納税者憲法上の黙秘権はない旨の答弁がありました。  しかし、この点については今後なお慎重に検討を要するものと考えるのでありますが、さしあたり、税法上の質問検査から国犯法上の調査に移行する場合、または直接国犯法上の調査をする場合においては、黙秘権に関する憲法上の国民の権利保護の精神にかんがみ、供述を強要しない旨を告知することの可否につき検討すべきであり、かつ、行政上の陳述などについては、それがそのまま刑事上の証拠書類とならぬよう考えるべきであると思われます。  次に、現在行なわれている税務調査方法とその諸問題については種々質疑が行なわれて参りましたが、注意を要する点は、税務行政上必要な資料の収集のため行なわれる調査反面調査などについては、特に納税者等の理解を得るようにすることが必要であり、かつ、その業務などに支障のないよう検討をすべきであると考えます。  また、実績から考えましても、大企業に対する調査については近来改善されてはおりますが、中小企業との対比上、大企業に対する調査の機構、人員などについてさらに一段と配慮して調査を行ない、いやしくも不公平の疑念の起こらないよう努力を払うべきであると考えます。  次に、税務職員納税者に対する心がまえとその責任についてであります。  最近の課税執行状況は漸次改善はされておりますが、民主的な申告納税制度下での納税者の納得する税務への改善は必ずしも十分とはいえない点もまだあるものと考えられますので、第一線税務職員は、納税者に対しては、単に収税官吏という言葉の持つ意味するような心がまえから脱却して、あらゆる機会をとらえて税法の周知をはかるとともに、納税者の利益となる事項については積極的に配慮するよう心がけるべきであります。  また、これが適切に行なわれるためには、職場の環境整備に格段の改善がなされなくてはなりません。すなわち、親しみやすい税務行政にするためには、庁舎の改築や、机の配置、納税者のための便宜供与などに至るまで総合的かつ細心の留意が必要であると同時に、他方税務職員に対しては、使命とその責任を明確に認識させるとともに、人事、給与住宅等についてもより以上十分に配慮する必要があると考えられます。  以上、調査経過並びに結果の概要でありますが、本小委員会はいまだなお検討すべき点は多くあるものと考えられますので、所期の目的のため今後なお継続的に税の執行上生じております諸問題についても調査を行ない、真の民主的な税務行政の実を上げるべく寄与いたしたいと考えます。  簡単ながら中間報告といたします。  なお、この際国税庁職員の労働問題について一言つけ加えたいと存じます。  最近において国税庁労使関係改善については相当努力されていると思われますが、いやしくも税務執行支障を来たすことのないよう、今後とも労使関係円滑化につき特に配慮されることを小委員会意見として希望いたします。
  25. 足立篤郎

    足立委員長 ただいまの小委員長報告に対し政府において御意見があれば、述べていただきます。——原国税庁長官
  26. 原純夫

    原政府委員 小委員会におきまして、たびたび回数を重ねられて御検討いただきまして、ただいま中間報告をいただきまして、まことにその努力に対して深く敬意を表します。報告書にうたわれました事項につきましては、われわれの仕事に対しまするきわめて重大なる御意見として銘記して、今後各般検討にまた処置に努力して参りたいと思っております。この報告書にまとめられておりまする事柄は、黙秘権といい、質問検査権といい、さらに調査方法ないし挙証責任問題等、いずれも、年来学界において、また実務界において、さらには法曹界において非常に議論の多いところでありまして、それに取り組まれたことに深く敬意を表する次第なのでありまするが、これらの問題は、いろいろな角度からの要請のからまる問題でありまして、そのゆえに、非常に議論をされながら、なかなかすぱっとした結論が出てないというのが実際の状況であります。従いまして、私ども、今後ともそういう各方面意見も十分伺い参酌いたしまして、そして最終的に一番いい結論を得たいという気持でおります。この中間報告に盛られましたお考えに対しまする私ども気持は、それぞれこの報告書のもととなります御質疑あるいは議論のありました際に、私どもから必要に応じ随時申し上げたところでお聞きとりになっておると思いますが、一言概括的に申し上げて御了承を得たいのは、この中間報告のまとまります場合の御議論に、特に納税者立場というのを御配慮いただいたという点は、私ども、近づきやすい税務署ということをモットーにして努力いたしておりますので、全然同感なのでありまするが、もう一つ、税には適正課税という面の要求を私は第二の柱として立ててやっております。そういう意味で、もう一つの真実の発見、適正な課税というような面でのいろいろな手立てというようなものにつきましても、私ども立場としては十分に検討改善していきたいという気持でおりまして、これらはこの報告書にもその趣旨が盛られておりますので、どうそれらを調和するかということについて、私どもとしてなお十分検討を重ねたいということを一言申し上げておきたいと思うのであります。  以上、重ねて長い御検討に対して敬意を表しまして、ごあいさつを終わります。
  27. 足立篤郎

    足立委員長 次に、ただいまの小委員長報告関連して、横山利秋君より発言を求められております。これを許します。横山利秋君。
  28. 横山利秋

    横山委員 小委員長から御報告下さいました報告書につきましては、きわめて民主的に小委員会を運営し、そしてりっぱにまとめられました小委員長の御努力に対しまして、私からも敬意を表したいと思うのであります。ただ、今原長官からもおっしゃいましたように、事柄はやや抽象的に過ぎるかもしれませんけれども、きわめて重大な問題を含んでおりますし、直ちに結論が出ることは困難と思いましても、今お話がございましたように、鋭意その困難について検討をされまして、本小委員会中間報告に所期いたします方向において、本委員会に御報告をされんことを要望いたしたいのであります。その意味におきまして、私は、多少私の希望意見ないしは最近ありました特異な事例を引用いたしまして、参考に各位に聞いていただきたいと思います。  時間もございませんし、皆さんにおわかりやすいように、私は二つの事例を申し上げたいと思うのであります。一つは、小委員会で話題になりました問題であります。もう一つは、先般来本委員会及び予算委員会でたまたま私が関連をいたしました問題であります。  本小委員会で取り上げました問題は、いわゆる仙台事件というのでありまして、三月十四日に、仙台の市会議長であり、かつ税理士である人が、お百姓さんの印鑑を三十ばかり持って税務署の職員の前にぽんと買いて、これで確定申告をしたことにしてくれいと言わんばかりの状況で帰りました。その数日後に、担当者が調査をいたしました結果、前年度対比一七〇%として査定をいたしましたところ、それを聞いてその税理士がかんかんに怒りまして、不在の署長室へ入り込んで、課長並びに担当者をどなりつけて、転勤をさせる、ばかやろうと言って、ばり雑言を放った。そういうようなことをいたしました後において、担当者に十分意をはかることなく、その署の課長は自分で査定いたしまして、前年度対比一一三%に査定をし直して、勤務が明けてからその税理士の自宅を訪れて、それで了承を願い、しかも事務上の処理は特例をもって事後申告といたしたそうであります。その職員及び組合が、それを納得しないで、新聞に発表いたし、国税局長は税理士を呼んで、その態度について遺憾の意を表示したということであります。この事実関係については、国税庁で御調査願ったことと私ども調査とはあまり懸隔はございません。ただ、この問題の中で痛感をされますことは、その税理士は元署長だったそうでありまして、局ないしはその署に対して精神的に影響があるものと思われます。その税理士の態度というものが、本委員会で税理士法の改正を先般来議論いたしたばかりでございますが、この税理士法の改正をいたしました趣旨とはなはだ懸隔があることを痛感せざるを得ないのであります。また、その署におきましてどなられた深長とそれから職員と、またその事情を知悉いたしております第一線職員諸君に対する税務署長ないしは国税局長のとった態度に、私どもとしてはきわめて残念な感じがいたします。  と申しますのは、一体その一七〇%が妥当であったか、一一三%が妥当であったのか、大いに議論のあるところではございますけれども課長が自分で査定し画して、勤務が済んでからその税理士の自宅を訪問をして了解を得るというような態度、しかもその第一線職員に対する理解を十分になし得ないという状況において、はなはだ穏やかならざる感じがわれわれ聞くものにはいたすのであります。また、単に上司と使われるものという関係のみならず、かかる問題が新聞に発表されるような雰囲気、かかる問題が署内において話し合いが平素行なわれ得ない雰囲気という点については、私どもは小委員会におきましても今後の改善を願った点でございます。こういうようなことを考えますと、私どもとしては、税理士法改正趣旨というものがまだ十分に徹底されていないし、また過去の税理士やあるいは本委員会議論がございます特別試験制度の存続について、さらにいささか疑念を深くせざるを得ないような状況考えられますし、多くの問題をこの中にはらんでおるのであります。従いまして、片や税理士法の運用において、片や税務署部内の人の使い方と申しますか、職員に対する上司の態度というものにおきまして、片や納税者立場から客観的に考えまして、そのような査定がどうして行なわれるのであろうか。また、三月十三日でありましたか四日でありましたか、納税者であるお百姓さんが、実情やむを得ざるにいたしましても、判こを持っていって職員に申告を依頼するという、税務職員を税理士の代理として判こを預けてそれをやらせるがごときことは、尋常の考え方では私どもには出て参らないのであります。こういう点は、あらゆる方面から、本小委員会中間報告に盛られております趣旨にもかんがみまして、是正されることがきわめて必要であろうと私は考えます。  第二の事案と申しますのは、名古屋で起こりましたブドウ糖に関する脱税の疑いに関連する問題であります。私は、直接その問題に関連するのを避けまして、本委員会におきましてもその調査方法に限界を置いて質問をいたしたことがございます。しかるところ、国務庁長官はこの事務の脱税事犯のみをとらえて私に回答せられました。私は、誤解を受けるのを避けまして、そのままになっておるわけでありますが、この際明らかにいたしたいと思うのであります。二月の二十三日に名古屋市内のブドウ糖をおろす業者が調査を受けました。病人でございましたが、税務署へ連れていかれまして、夜の九時ごろまで調査をされ、そして陳述書に判こを押さなければ帰さないというので、やむなく判こを押した。あくる日出頭して、どうもからだの事情も悪かったのであるから一ぺん見せてもらいたい。しかしながらそれを拒否された。そのあくる日またあらためて出頭したけれども、お前に会う必要はないと言うて拒否された。そのことが偶然私の耳に入りまして、間税部長にお電話をして、このようなことはいかがかと思うがどうだろうかと言いましたところが、善処を約束されまして会ってもらったのでありますが、担当者がいないということで何ら解決に至らなかった。越えて三月二十八日に、再度書類が返却されませんから返却を求めたところ、一部を返却されて、しかも返却にあたって領置目録を本人に交付された。その領置目録を三月二十八日に渡されたが、二月二十四日に受け取ったことにしろということで、やむなく二月二十四日にこれを受け取ったことにした。五月に至りまして、一切書類は返却されず、陳述書も見せてもらえず、そして自分の修正点も希望も聞いてもらえぬ。その調査が済みまして、岐阜の某酒屋さんと岡崎の酒屋さんが調査をされた。岡崎市における威光酒造は、夜の十一時まで調査をされて、陳述書に署名をさせられて帰宅をいたしました。威光酒造の御主人はあくる日の朝首つり自殺をはかりました。家人に発見されまして危うく生命はとりとめたのでございますが、これが弁護士に移りまして、弁護士ともども国税局に出願いたしまして、このような雰囲気のもとに行なわれた陳述というものにつきましては一切認めないという申し出をいたしました。概略を申しますと以上の通りでございます。  この種の問題の中で痛感をされますのは、先般小委員会でいろいろと議論がございましたが、本人はこれが最初で、大塚なる人でありますが、病人のこととて国犯法によって調査をされたということについては何ら知悉をしていなかったそうであります。国税局に確かめたところ、国犯法によって陳述書に判こを押してもらったのであるから、これについては間違いがないというのであります。しかしながら、本人は病人のことでございますから、そういう法律その他については知悉をいたしません。いわんや小委員会で問題になりましたような国犯法によれば黙秘権があるというような議論については、とうてい話にも話題にもならなかったということであります。かりに陳述書に判こを押したというたところで、本人が、昼飯も夕飯も食べない、夜の九時までかかった陳述の中で、どうもまぎらわしい点で判こを押したからというて、あくる日に、またそのあくる日に出頭をいたして訂正を要望したにかかわらず、それに対して何らの措置もとらない。そうして、私が——私のことでありますから、婉曲にお願いをしたことでありますが、それすら実効がない。二回にわたってお話をいたしましたところ、ようやくこれは容易なことではおさまらないと思われたのかもしれませんが、領置目録を二月にさかのぼって取ったことにしろということになり、さらに加えて首つり自殺が再び同じ関係の問題で起こるような調査を行なわれるに及んでは、一体この小委員会審議というものと実際の行政というもの、また国税庁の皆さんがここで御答弁をなさることと第一線における私どもの論議が何ら関係がないような感じすらいたすのでありまして、まことにこれは遺憾なことだと思うのであります。もとより、私も、この問題がいかなる脱税の内容であるかにつきましては、自分も調査をすべきではありますけれども、しかしながら、もし私自身が誤解を受けてはと思いまして、当初から一貫してこの事案直接に介入することを避け、もっぱら小委員会としての中心課題であります調査方法、それから法律との関係に限定をいたしましたのでありますけれども、この点につきましては、本小委員会中間報告とも相にらみまして、格段の改善なり善処を私は求めてやまないのであります。  さきの仙台の事案と申し、この名古屋の人権の問題と申し、いろいろなことが考えられるのでありますが、この際まとめて私が項目的に申しますと、次のようなことになります。  一つは、先ほど申しましたような税理士法改正趣旨というものをさらに徹底をしてもらいたいということであります。一つは、ここに盛られました調査方法に格段の改善をはかってもらわなければいかぬということであります。特に人権の尊重については、原長官がおっしゃいましたように、この脱税を捕捉するということと人権の尊重ということと常に矛盾が存在するのでありますが、この調和については格段の努力がなされなければなりません。また次には、小委員会報告なり本委員会議論は、現在進行いたしております国税通則法の審議にあたりまして十分取り入れられることを私は要望してやまないところであります。  最後に、小委員会のつけ加えられました労働問題について一言言及をいたします。  仙台の事案については国税の労働組合が取り上げることとなりまして、いろいろとこれが本委員会の話題にもなったわけでありますけれども、自余の小委員会議論をも含めまして要望いたしたい第一の点は、何といいましても国税庁とその傘下にあります税務職員の組織との団体交渉なりあるいは話し合いが十分なされていないと痛感をするわけであります。この点につきましてはいろいろと御説明を承りました。しかし、渦の中に入っておりますと、自分が回っておるということに気がつかない場合がございましょう。私どもが、不肖ではありますが、多年の経験から考えましても、他の官公庁あるいは他の民間の諸団体、どんなに紛争がありましても、どんなにストライキが起こっておりましても、との窓口は常に開いておるというのが現状であります。これがなくては労働問題は解決いたしません。この際中央、地方にわたって団体交渉なりあるいは話し合いが円滑に行なわれて、でき得べくんば内部の問題は内部で労使の話し合いによって解決をするという雰囲気を作って下さるように、特に要望をいたしたいと思うわけであります。  その次には、先般も議論をいたしましたけれども、転勤の問題であります。あらゆる官公庁を尋ねてみましても、国税の職員ほど転勤の多いものはございません。そこにまた仕事の特質があろうと思うわけであります。この転勤が仕事の特質であるならば、その転勤についてはまた格別な配慮が行なわれなければならぬと思います。お伺いをいたしましたところによりますと、事前に希望調書をお取りになるというのでありますけれども、その希望調書が取られてから実際に転勤が行なわれるまでには、数カ月なりあるいは一年有余もかかることもあろうかと私どもは事情を聞いておるわけであります。私は重ねて希望をいたしたいと思うのでありますが、他の官庁にございますように、転勤についての内示と、それからそれについての苦情処理機構を作って民主的な人事運営が行なわれるように希望いたしたいのであります。私の申しますことは幅の広い話でございますから、この内示と苦情処理との運用がどういうふうに行なわるべきかについてはいろいろの方法がございます。あなた方が本問題を十分にいろいろな事情をも考えてみられて、人事運用の民主化をはかっていただき、納得をする転勤が行なわれるように、格段の工夫を願いたいと思うのであります。  その次の問題としては、給与と労働条件等の問題がございます。国税職員は常に誘惑の沼に近いと申しますか、責任のある地位、責任ある独立した事をいたしておりますために、ともすれば誘惑の手が差し伸べられる雰囲気にあるかと思います。これを解決いたします方法はいろいろございますけれども、その仕事、力量に相当した給与の質と量というものがなされなければなりません。この問題につきましては、多年の問題でございますけれども、国税職員にふさわしい給与というものがこの際考えられて、そういうものから身を守り、自主的な責任感を持って仕事が行なわれるように給与改善でなさるべきであると存じますし、また、先般調査をいたしました休暇の処理状況から考えましても、基準法なりあるいはその他の問題をもちまして休暇が付与されているのでありますが、休暇を残す職員が非常に多いように思うわけであります。これは一体定員に問題があるのか、作業の内容に問題があるのか、あるいはまたその付与する条件に問題があるのか、その点十分工夫がなさるべきだと思うのであります。  職場の環境につきましては、この中にも盛られておるのでありますが、一つには納税者のために、一つはまた働く職員のために、職場の環境について格段の努力を願いたいと思うわけであります。  以上、いろいろと申し上げましたが、要するに、本小委員会でいろいろと各方面から議論をいたしましたのは、民主的にして合理的な税務行政が行なわれることを念願いたすのでございますから、先ほど申しましたいろいろな問題につきましては特にこの際国税庁としては最大の努力を払われて、また国会においてなさるべき事案につきましては私どもとしても格段の努力をいたしますから、今直ちにということもできますまいけれども、今後日数をかけまして最善の努力を願いたいと思うわけであります。  以上、小委員会中間報告関連をいたしまして、希望を申し上げました。      ————◇—————
  29. 足立篤郎

    足立委員長 次に、印刷事業に関する件について調査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。平岡忠次郎君。
  30. 平岡忠次郎

    平岡委員 五月二十四日に私の秘書から連絡がございまして、全印刷の本局におきまして多少トラブルが起こりはせぬかということ、従って、印刷関係に必ずしも関係のないわけでない大蔵委員の平岡代議士にも出てきてくれ、こういうわけで、何事が起こったかと思って参りましたところ、ちょうど一時ごろですか、六台のトラックに積み込まれました警官が陸続として印刷局の本局にやってきておるわけです。どういうことかと思いまして、正門から許しを受けまして中に入りまして、すでに来ておられました河野密代議士、参議院議員の大村禧八郎さんと平林剛さんと一緒に、印刷局長に会うべく交渉いたしましたが、おられませんで、業務部長の小鳥要太郎氏にお目にかかったわけです。私自身は、労組出身でもございませんし、必ずしも労働問題に通暁しておる人間ではないのです。しかし、私は、この二十四日の諸見聞から、官公庁関係の一般的な風潮として、印刷局に行なわれていることがその全豹の一斑を示すことであるならば、現在の労働慣行の上において、官庁の理事者側というものはよほど反省してもらわなければならぬという印象を深くしたわけであります。そういうわけで、きょうはそのときお目にかかりました業務部長のお出ましを願いまして、この委員会の場を借りまして、印刷局が当面せられている労働問題につきまして事情を聴取し、なおかつ私どもの要請を聞いていただきたい、かように念願し、手続をとったわけであります。  ところで、私は、本日は局長原三郎さんのお出ましを願いたかったわけです。二十五日にすでに委員会事務局に通告いたしまして、お出ましを願うことを要請しておきました。そうしたら、これは逃げるにしかずということであるかどうか知らぬけれども、あるいはタイミングがときたま偶然であったのかもしれませんが、昨日か官を辞し、他に転出の辞令をもらったということで、きょうお出ましになっておりません。そこで、私は、きょうの時点におきまして、印刷局の最高の責任者である業務部長に御質問いたすことになったわけです。前局長自身に対する糾明をしたかったのですけれども、この点は一応今その職にないわけですから、非常に残念だということだけ申し上げまして、具体的な質問に入りたいと存じます。  まず、今度の全印刷の平素おとなしい労働組合を怒らした中核的な問題は、大蔵省印刷局の小田原工場の、全印刷労組の小田原支部の書記長木村勇之助君に対する、私ども考えれば不当と思われる馘首問題であります。しかも、公務員にとりまして、公務員でなくても、これは会社員にしても同じですが、自分の職を奪われるというのは決定的な打撃になるわけです。それが案外理事者から軽く扱われていはせぬかという疑いがあるので、その事情につきましてとくと理事者側の説明を求めたいわけであります。まずこの免職事案のよってもって起きた三月二十三日のいきさつについてあなたの方からの御説明を冒頭にお聞かせ願いたい。
  31. 小島要太郎

    ○小島説明員 私昨日付をもちまして局長心得を拝命いたしました。その印刷局の責任者といたしましてお答え申し上げます。ただちょっとお断わり申し上げておきたいのは、何分私その当時は業務部長でございました。まだ前局長からの事務引き継ぎも済んでおりません状態でございますが、私の知っております限りにおきましてお答え申し上げたいと思います。  三月二十三日のことでございます。その当時、この印刷局だけの問題ではなかったように存じておりますが、労働組合の春季闘争の一環といたしまして、三月二十三日の朝に時間内に食い込む職場大会が行なわれましたわけでございます。私どもは、それに対しまして、事前に厳重に警告を発しておったのでございます。違法にわたる行為を行なわないように十分に注意をしてもらいたい、万一違法な行為が行なわれまするならば、遺憾ながら法に照らしまして厳正に処分をせざるを得ないという厳重な警告を発しておったのでございますが、遺憾ながら、それにもかかわりませず、勤務時間内に食い込む職場大会が行なわれました次第でございます。従いまして、管理責任者たる印刷局長といたしまして、法に照らしまして国家公務員法に基づきまして懲戒処分を行なった次第でございます。
  32. 平岡忠次郎

    平岡委員 そういう抽象的なお話ではわからないですね。一人の人が首を切られたわけなんだから、具体的なたとえば暴力行為とか、国家公務員法に違反する顕著な事実がなければならぬわけです。あなたのおっしゃったことでしたら、職場大会の開催者自身は、書記長ではなしに、むしろ執行委員長がなるでしょう。それだけでは答弁になりません。もっと具体的におっしゃっていただきたい。
  33. 小島要太郎

    ○小島説明員 小田原工場におきましても、先ほど申しました通りの職場大会が開かれましたわけでございまして、それに際しまして、その大会の議長を勤めましてその大会を主催いたしましたのが木村勇之助と申しまする職員でございます。従いまして、この人はこの小田原におきます職場大会の主催、運営等につきましての責任が非常に重いわけでございますが、しかしながら、それのみならず、さらに私どもとしまして非常に遺憾に思いまする行為があったわけでございまして、その行為と申しますのは、工場の管理当局の担当官が行わんといたしましたところの業務上の行為に対しまして、実力をもってこれを妨げる行為がございました。私どもはその点をも非常に重く考えておるわけでございます。
  34. 平岡忠次郎

    平岡委員 実力をもって妨げたかどうかは、もっと正確にあなた方は把握する必要があろうと思います。しかし、この問題は当面ちょっとわきにのけておきましょう。まず木村勇之助君に対する免職ですが、免職の発令者はどなたですか。
  35. 小島要太郎

    ○小島説明員 発令者は小田原工場長でございます。
  36. 平岡忠次郎

    平岡委員 発令者の小田原工場長はその権限をお持ちかどうか。
  37. 小島要太郎

    ○小島説明員 権限を与えております。法規に基づきましてその権限を工場長に委任いたしております。
  38. 平岡忠次郎

    平岡委員 そこが問題なんだ。法規に基づいて権限を与えておるというのですけれども、具体的におっしゃって下さい。任命権者に関しましては国家公務員法の五十五条に規定してあるわけです。五十五条の任命権者は、印刷局の場合においては大蔵大臣です。大蔵大臣名で免職処分の発令がなされているなら話がわかる。しかし、そうではなしに、一介の小田原工場長がそうした権限を持っておるはずがないと思うが、どうか。
  39. 小島要太郎

    ○小島説明員 ただいまの点に関しましては、私が承知いたしております限りにおきましては、大蔵省設置法の第四十八条及び国家公務員法第五十五条の双方の適用があるというふうに承知しております。
  40. 平岡忠次郎

    平岡委員 もう少し具体的にお聞きします。五十五条によりますと、任命権者つまり発令者は明らかに大蔵大臣でなければならぬのです。ただその例外規定がある。五十五条それ自体は大蔵大臣ということになるが、その二項で、「前項に規定する機関の長たる任命権者は、」つまりこの場合には大蔵大臣ですが、「その任命権を、その部内の上級の職員に限り委任することができる。」こうしてあるわけです。「上級の職員に限り」——小田原工場長は上級職員ですか。私は原三郎さんの方が直属系統の上官であろうと思うのだけれども、この関係はどうなっておりますか。
  41. 小島要太郎

    ○小島説明員 最初にお答え申し上げましたように、実は昨日付で局長心得になりましたばかりでありまして、その点につきましては私間違いないと思って信じておりますけれども、なおお尋ねの点は至急に確かめることにいたしたいと存じます。
  42. 平岡忠次郎

    平岡委員 当事者にとっては、これは職を奪われることなんだから、命を奪われるほどの重大問題だ。それがあやふやな発令者では困るじゃないですか。今さら確かめるでは困りますね。当事者にとっては死活問題なんですよ。それがわけのわかぬ発令をもらってやめなければならぬというわけにはいかぬですよ。発令者が不適法なら無効ではないですか。もうすでに発令されているでしょう。確かめるもへちまもないですよ。私は事実を聞いておるのです。
  43. 梅村知躬

    ○梅村説明員 大蔵省設置法四十八条によりますと、印刷局長並びに造幣局長に対しまして大蔵大臣は任免権を再委任することができる。それで、五十五条二項の問題でございますが、これはその再委任した者の部下の上級職員という観念の中に——小田原工場長の場合には、実際のところ、うちの場合におきましては、給与上は一等級相当ということで扱っておるようでして、工場長を当然含めて人事権を委任しておる次第であります。
  44. 平岡忠次郎

    平岡委員 委任が形式上よし整っていたとしても、極論すれば逃げたわけです、原局長が。小田原の工場長に背負い切らして、自分は陰にいる。小田原の工場長に、責任を持ってそれを処理すべしという、そうした威圧がなかったわけじゃないと私は思う。そういう疑いがあるから、よけいこの発令者の問題はもっとはっきりさせてもらわなければ困る。調べて下さいよ。大蔵大臣の発令でないことは明らかだ。小田原の工場長というのですけれども大蔵大臣から委任すべきものは、その当時の原三郎局長であるべきなんだ。それ以外にはないはずなんだ。事実関係をはっきりここで答弁してもらいたい。
  45. 梅村知躬

    ○梅村説明員 今条文がちょっと見当たりませんでしたので失礼いたしましたけれども、大蔵省設置法四十八条を読んでみたいと思います。四十八条によりますと、「造幣局及び印刷局の職員(造幣局長及び印刷局長を除く。)の任免は、それぞれ造幣局長及び印刷局長が行う。」これによりまして行なうことになっておりますが、第二項によりまして、「前項に定めるものの外、大蔵省に置かれる職員の任免、昇任、懲戒その他人事管理に関する事項については、国家公務員法の定めるところによる。」片方の国家公務員法五十五条の問題でありますが、五十五条二項によりまして、小田原工場長は上級の職と考えております。またこれを人事院の方に連絡いたしまして、人事院が受理いたしております。
  46. 平岡忠次郎

    平岡委員 ちょっと委員長、これは休憩して下さいよ。人事院に通告してあるかどうか重大問題なんです。あなたはそう言い切ったけれども、あなたの答弁がうそだったら、あなたはどういう責任をとるか。
  47. 梅村知躬

    ○梅村説明員 この問題は非常に前に連絡した事項でございますので、私たちとしましては、事務担当者が行なっておるという証言に基づいて申し上げております。   〔発言する者多し〕
  48. 足立篤郎

    足立委員長 速記をやめて。   〔速記中止〕
  49. 足立篤郎

    足立委員長 それでは速記を始めて。  平岡君。
  50. 平岡忠次郎

    平岡委員 任命権者の問題は後刻人事院関係の担当官が来て明らかになると思うので、他の関連事項について質問を進めます。  まず、今まで国家公務員あるいは公共企業体職員が免職されるようなときは、今育った大会を開いたとか開かないとか、そういうことで免職にはならぬ。大体そのときにものすごい暴力行為があったというようなことで告発されて、検察庁の方に送られるとか、これは裁判の結審がなくとも妨げないことだが、そういう並行的な処理と一緒に処分されておるわけなんだ。今度は大体小田原工場の管理部長も暴力行為はなかったということを言っておるわけです。今回警察、検察庁に対して、あなた方は告発も何もしてやせぬじゃないですか。そういう単に大会を開いた程度のこと、それからいろいろな見方はあっても、お互いにむしろトラブルを大きくしないような予防的行動だけで——組合側の指導者あるいは逆にあなた方の理事者側の指導者がいろいろ話し合の過程で、そういうことはしばしばありがちなことですが——その程度で事件をことさらにでっち上げて、小田原工場長のおそらくは意図に反して、原三郎局長がそういうふうなでっち上げの免職処分に処したという節がどうもあると思われる。私の主観かしらぬけれども、大体二十四日のわれわれがあなた方のところに参りましたときのあなた方の応待とかやり口を見ていますと、現在の労働慣行だってまるで知ってはおらぬのですね。十年も前のことをやっておる。そういうことでは、今言ったでっち上げもあり得るだろうとわれわれは憶測をせざるを得ない。そこで、今度の場合、あなた方が公平な立場に立って、免職に値するような——免職に値するというのは、客観的には警察等への告発に値するような暴力行為が事実あったのかどうか、この点をこの際聞かしてほしい。
  51. 小島要太郎

    ○小島説明員 お話のございました憶測の点につきましては、当時局長がそのような意図を持ってでっち上げたというものではあるまいと私は思っております。  それから、そのお尋ねの行為でございますが、これは、担当官が写真の撮影をしようといたしましたところ、それを妨害をいたしましたものでございまして、この事実につきましては……。
  52. 平岡忠次郎

    平岡委員 何のために写真をとるのか。
  53. 小島要太郎

    ○小島説明員 業務上の必要があったわけであります。その行為につきましては確認のある旨の報告を受けております。
  54. 平岡忠次郎

    平岡委員 私は、その事情をやはりあなた方が一方的に判断していると思うので、本人の供述書を念のため取りました。参考までにちょっと読んでみます。   三月二十二日、組合は二十三日の職場大会をできれば回避しようと思い、再々団体交渉の申し入れを行なったが、当局はなかなか交渉に応じなかった。そこで本部の労働組合役員の仲介によりやっと夕方より交渉が開かれた。しかし当局は全然誠意がなく、逆に、あすの職場大会はけ散らしてみせると圧力をかけてきた。け散らしてみせるということを言明したのは大金管理部長。従って交渉は深夜に至るも全然進展せず、十二時十分ついに決裂し、引き上げた。組合は交渉の経過から、あすの大会は今までかつてない当局の圧力があると判断されたので、執行部の意思統一をはかった。その結果、あすの大会は当局がどのような手を用いてきてもトラブルは一切起こすまいという意思統一をした。   明けて二十三日七時三十分ごろより当局はけしからない、妥当ならざる行動を開始した。十数人の当局は一団となり、芝生前の丁字路付近まで入ってきて、八ミリを先頭にばちばちと写真を写し始めた。そこで組合の井上小田原支部執行委員長は、そういうことのないようにということを注意した。そこで一たんこの写真部隊は会場の後方に引き上げたが、七時五十分ごろ再びその一団が引き返してきて、タイム・レコーダーを置いてある横でまた写真をとり出したので、このままにしておくとかえってトラブルが起こると判断したので、演壇のところにおった当人、つまり大村書記長は一団のところまで行って八ミリを持っている伊藤室長の前に立って、あなた方に写真をとるなと言ってもおそらくとるだろうから、せめてもっと要領よくとってくれ、そうでないと、まるきり挑発になって、かえって事態を混乱に陥れる。写真はとるべからざるものですから、とらないのが一番いいのだが、しかしそうは言っても場長に命令されているのでしょうから、とらないわけにはいかぬだろう。話はわかっている。だから挑発せぬようにとってくれ、こういうことでたしなめたわけです。そのときこの伊藤室長は、そんなことを言ったって、これだけ大きいものをどうして要領よくとれるかと反発された。そのときに書記長はすでに今言った当局十数名に取り巻かれておった。なお話を続けようと思っていたときに、何を勘違いしていたか、右の方から軽く体当たりをされた。見るとその体当たりをした人は総務課長で、総務課長は体当たりをしてから腕組みをして立っているので、何をするのだとどなったところ、苦笑しながら右横へ抜けていった。それを待っていたかのように室長のあとにいた山上職員掛長が室長を押しのけて前に出てきたと思ったら、公務執行を妨害するなと言いながら、いきなり書記長の胸ぐらをつかんだ。そこで木村書記長はちょっと面くらったけれども、あなたはおれと室長と何を話をしているのかわかっているのか、おれはお前なんかにそんなことをやられる覚えはないと言いながら、しゃくにさわったからつかみ返したところ、ネクタイが指にかかったというところで、まあまあと言いながら、私だけをみんなが押えたのですぐ引き離された。聞くところによると、胸ぐらを取って、そしてネクタイを引っ張ったということが当局のただ一つの証拠になっておるらしいのですが、その事情は今申し上げた通りである。その間の時間は約三十秒くらいであったと思う。  これが当人の供述である。針小棒大に免職までさせる事件では断じてないと思う。大体この二十三日の大会に来るかまえは、違法な大会は避けようということで、二十二日に何とか事前協議を持ってくれということで再三当局に申し入れた。それでもだめだし、むしろ深更になって決裂したときの当局の高圧的な態度からして、二十三日はなかなか容易なことじゃない。だからその挑発に乗ってはいかぬというかまえで来ておるわけだから、あなたの言うように木村書記長が当局の公務執行を妨害したというような事実はあり得べくもなく、一方的判定は間違っている。現在まで、小田原工場では、毎日毎日十二時のお昼休みに、この処分が不当であるということで、一日も休まずに今まで抗議をし続けておるわけです。全印刷の労働組合はどっちかというと穏健な組合です。その人たちが怒り心頭に発して、一カ月以上そういう抗議をしているというのは、これは千八百名の人間、そのうち特に女子の四、五百名が当日前面にあって全部を目撃しておる。だからこの処分が不当だということで抗議をしておるのだ。それは平岡に代弁される組合側の一方的な判断だと言われるかもしれないけれども、その点の判断は、私は、木村氏が、カウンター・アタックを加えるほどでない、防衛的なそういう所作をしたとしても、それが免職に値するものとはとうてい思えないのである。その証拠に、あなた方は警察とか検察庁に告発したということはないじゃないですか。告発に値せぬのだ。あなた方の工場の次席にある管理部長すら、暴力行為に値せぬということを言明しているではありませんか。今回の処置は不当です。しかも、手続上、今人事院が来ればわかると思うのですが、あまり正当な手続でやっていないとなるとさらに問題です。事実関係からこの処分には非常に疑惑があります。あなた方は、なお我を張って、この処分は徹底的にやるのだというような気持でおられるのかどうか。私は、事実関係が誤っておるのだから、これはいさぎよく非を認めてこの処分を撤回する、そういう弾力性を持って処理すべきだと思うのだけれども、あなたはどういう考えでおられるか。原さんはおられぬし、今業務部長は名実ともに最高の責任の衝にあるのですから、この点はどう考えておられるか、あらためてお聞きしたい。
  55. 小島要太郎

    ○小島説明員 ただいま聞かしていただきました供述書のことにつきましては、これは十分に伺ったわけでございます。もとより私どもはいろいろな総合判断をいたすものでございますが、その供述書にそう書かれておりましたということは私の頭にとどめました次第でございます。私どもといたしましても、処分を行ないますにあたりましては、もとより慎重に調べまして、その上に立ちましてまた慎重に量刑の判断をいたすべきものでございます。本件につきましても、当時から印刷局長は慎重の上にも慎重に調査の上結論を出したものと私は信じておるわけでございますが、ただ、私どもといたしまして、もとより念には念を入れるということは必要でございますから、そのような必要のある点につきましてはなおさらに調べるという考え方をとりたい、このように思います。この写真撮影の妨害行為につきましては、私ども報告を受けておりますところによりますると、これは一連の動きの一こまという問題でありますが、それの動きを工場の管理者から報告を受けましたところによりまするならば、写真撮影の妨害がありまして、そうしてそれに対しまして当局側はこれを防いだ、このように承知しておるのでございます。従いまして、現状におきましては、私ども当局側の事実認定に間違いはないと思いますが、ただお話の筋もございますので、この点につきましてはなお念のために調べることにいたします。
  56. 平岡忠次郎

    平岡委員 この委員会にその写真の提出を願いたい。それから、ついでですが、私どもが五月二十四日に参りましたときの写真もちょうだいしたいのです。失敬千万ですよ、河野密さん初め木村禧八郎さんに対して。局長が逃げていない。しかも警察官をあなた方は午前中に要請をして導入しておるわけです。私が一時に行ったときには、六台から約三十名ずつ約二百名の警官が、何か秘密の通路かどうか知りませんけれども、そこを通りまして陸続として入っておるわけです。それで、もんちゃくが起こってはいかぬということで、原さんに連絡をとりなさいと言ったら、かいもくわからない。わからないのはいいが、一方交通なんだ。原の所在はもちろんあなた方には知らされていなかったかもしれないが、ずいぶんなめられた話ですよ、留守をあずかるあなた方は。事実はツーカーで連絡し合っていたのかもしれぬけれども、われわれに対する表の話では、原さんの所在はわかりません。しかし、当人からたびたびかかってきますという人をなめた話です。  そういうことで、これはいよいよ事態が風雲急を告げそうなんで、やむを得ず河野密先生やわれわれが警察の警備隊長に直接交渉に行ったのです。われわれがついている限りそんな変なことは起きないし、二、三百人の人が柵外におるというだけの話で、それに対し二百名の警察官を導入して対処するなんておかしな話だし、警察の方もなるたけおだやかに——われわれも必要ならクッションになって激発を防ぐなり介添えをするなりして、当局側と話をするという手だてを今尽くしているから、警察の方もそれまでは控えていてくれということを要請した。われわれは何もそんなことを言う必要はないのですけれども、あなたのところの局長がおらぬのだから、しようがないので警察の方にも話をつけた。あなた方が、組合に対して、彼らが挑発にかかって何かしでかせばいいんだということを願っておるなら別問題だけれども、その事態は二十四日にはそれ以上進展せずに平穏におさまったわけです。そのとき、原さんという人はついに一つも出てきはせぬ。いつの問にかあなた方自身もいなくなっちゃった。それのみではない、二階の上から非礼にも私どもに対しても写真をとらしておる。あなたは写真をとることが公務の執行だと言うけれども、写真をとること自体が正当な公務の執行であるはずがない。かかる場合の写真は悪事例ですよ。一応写真をとることが公務と是認した立場をとっても、木村君がやった程度のことが免職に値する行為でないことは明瞭ではないですか。上長の圧力で、小田原の工場長自身は、これは自分で背負い切らなければならぬから、いまだに、この問題では、私がやりました、免職をさせましたということを言っておるらしい。しかし、次長以下——次長というのですか、管理部長以下ですが、これが免職に値する暴力行為だなんてだれも思ってはしません。だからこそ小田原の組合員は一カ月か一カ月半の間毎日々々その不当を抗議している。これはみんな目撃者が全部事実を知っているからです。そんなことでは印刷業務の運営がこれから円滑にいこうとは私は思ってはおらぬ。改むるにはばかることなかれ、理事者側はいさぎよく罷免を撤回すべきです。しかも今言ったように発令手続上も非常に疑義が多いわけです。小田原工場長を威圧して、そこで免職処分の発令をさすがごときことは言語道断ですよ。そういうかまえで、今後あなた方が部下を敵にして工場の運営ができるかどうかやってみたらいいでしょう。  次にもう一つお伺いしたいのは、今度あなた方の処分した人数はどのくらいなんですか。全印刷の従業員の数と訓告を含めての処分人数をちょっと教えて下さい。
  57. 小島要太郎

    ○小島説明員 ただいまお話しの中の、当時の原印刷局長の不在の点につきましては、私はお答えする立場にございませんので、ただそのお話に関連いたしまして、私どもが当日——去る五月の二十四口でございますが、先生方の御来訪を受けましてお目にかかっておりました際のことでございますが、私どもも席をはずしてしまって失礼を申し上げた、こういう点につきまして一言釈明させていただきます。私は、私なりに、局長との連絡をとらんがために私の部屋へ帰っておったのでございまして、それによりましてお目にかかっておりました場所をはずしまして大へん失礼を申し上げましたことをおわび申し上げます。  それから、処分の人数でございますが、これは懲戒処分が四十九名でございます。なおそのほかに訓告が三千百五名でございます。
  58. 平岡忠次郎

    平岡委員 従業員は全部で何名なんですか。
  59. 小島要太郎

    ○小島説明員 総計員が七千五百八十七名でございます。
  60. 平岡忠次郎

    平岡委員 七千五百人のうち三千二百名、それが訓告から免職までの処分者なんというのはどういうことですか。これらの人に対しては、人事院のフォルムに従って、懲戒、訓告者としてみな処分発令がなされるわけだが、その発令書の印刷をこの従業員諸君みずからが刷らされるということはどういうことか。シェークスピアの劇に、この手紙持参使者を切れというのがある。今回大体十人のうち四・五人が訓告以上の処分対象になっておる事態において令書を自分たちで印刷する、そんなばかな皮肉なことがありますか。シェークスピアの劇ならおもしろいけれども、現在の進歩した労働慣行、民主主義の前進した世の中に、こんなばかげた時代錯誤のことをやって平気でおるというのはおかしいじゃないか。ともあれ、このような大量処分の悪例が他にありますか。全従業員の四五%も処分対象にした他の官公庁があったら、一つ示していただきたいものです。委員諸君もお聞きの通り、事ほどさように印刷局の労務管理は非常識なのです。だから、私は、今のような理事者側の考えでは、大蔵省の印刷機関として今後の運営が危ぶまれると思う。この際、あなた方が非だと認めたら、率直に非として今度の処分を撤回した方がいいです。これは、意見を言うのではなしに、委員会として同僚諸君も——それは全部僕の意見通りじゃないかもしれないけれども、大きな方向としては、今ごもっともと言われるほど、当然再考されなければならぬことだ。七千五百人のうち三千二百名を訓告以上の対象にしたというのは言語道断ですよ。ちょっとおかしいじゃないですか。どういうようにお考えですか。三千二百名を処分の対象にしたというそのことをいいとお考えですか。妥当とお考えですか。
  61. 小島要太郎

    ○小島説明員 私は、人数の点につきましては、ただいまお答え申し上げた通りなのでありまして、それが総体的には非常に多過ぎるではないか、このような御意見かと存ずるのでありますが、私は、人数の問題と申しますよりは、やはりそもそも法に触れる違法な行為が行なわれることがない事態であればよかったと思うのでありまして、警告を出しておりました通り、違法な行為が行なわれましたならば、法に照らしまして処分するのはやむを得ない、むしろそれは当然なのでありまして、ただ、私ども管理者としまして、それが非常にやむを得ないという気持を持つといたしましても、これは処分するのが当然である、このように考えるのであります。ただ、申し上げますならば、私どもの印刷局の職員に対しまして極力相親しみ相努力し合って事業の向上をはかっていきたいという気持で一ぱいでございまして、今後できるだけこのような事態が生ずることのないように、これは双方において努力すべき問題でございますが、管理当局といたしましても努力して参りたい、このように存じます。
  62. 平岡忠次郎

    平岡委員 原さんの今までやってきたこと自体が、あなたの今おっしゃるような温情をもって親しんでいきたいという方向ではないと私は思うのだ。だから、原さんと違って今後そうしていきますという話なら、まだ話はわかる。少なくとも五月二十四日の時点では原さんが局長なんだ。そのときに経験した事情だけ申し上げても、あなたの言うこととまるで違うわけだ。五月二十四日印刷局の労働組合が今言うた小田原支部書記長の免職処分に抗議するというので、理事者側はその前日に警察官の出動を要請することを決定して、当日組合員が集まったのは、これは一時からの集合ですが、それよりちょっとおくれて二時だった。ところが、警察官は午前十時十五分には印刷局の裏に全部待機しておる。あなた方理事者側は、警察官の出動を要請する前に、組合と話し合うことをすら一つもしなかったじゃないですか。首を切ったり警察官を呼んだりしても、組合と十分話し合うことはしない。そういう労務管理のために要らざる紛争を起こしているということをあなた方は反省なさらないかどうか。当日の模様を申しますと、理事者側はバリケードを作って、表門も裏門も一斉に閉門している。郵便配達人も入れない。官報の原稿を持参した職員も入れない。市ケ谷工場の職員が急用のため早引けの許可を受けて帰宅しようとする者も一時間もストップさせている。われわれが着いてもやはり二十分くらい入れない。われわれは紛争させないために善意で行ったわけです。そういうものをあなた方は極力阻止しておる。結局事実上のロックアウトをやっているわけなんだ。現業庁としてこれが妥当かどうか。それから、原局長は、警察官二個中隊の要請をしてロックアウトを命じておきながら、自分自身は登庁もしない。部下に行方も知らせてない。そんなばかなことがありますか。これは事実なんだ。だから、あなたが今後はそういうことをしないと言うなら話はわかるけれども、部下を敵にするような既往の労務管理のやり口だと、印刷局の運営はとてもではないが大へんなことになる。印刷局の労組自身の伝統とか歴史は非常にりっぱですよ。今まで各官庁においてはすでに免職処分された人がずいぶんおるのだけれども、今度が初めての免職者である。初めての事例です。しかもあやふやな根拠薄弱な管理者側の一方的な処断だ。これを思ったら石も叫ばざるを得ないじゃないですか。僕自身は労組関係の出身じゃありません。しかしあまりにばかげている。人数の点でも、今言ったように七千五吾人のうち三千二百名を処分するような、そんな運営の仕方は徹底的に改めてもらわなければ困る。あえて潜称するなら、当委員会の権威において、かかることがないよう印刷当局に要請せざるを得ないのです。肝に銘じてあなた方に今後改めてもらわなければならぬ。今後というのは、今言った小田原のほとんど無実とも言うこの処分を撤回されることも含んでのことです。ぜひ善処されたい。もし、そういう点がほんとうに改まって、実際上今言った処分撤回とかそういうことになるならば、人事院に対するあなた方の手落ちがあっても、クレリカル・ミスとして、あなた方の中から処分者を出そうなんて考えませんから、一つぜひとも善処していただきたい。
  63. 足立篤郎

    足立委員長 平岡君に申し上げますが、先ほど問題になりました人事任免権の委任の手続の問題ですが、ただいま人事院から連絡が委員長あてにございまして、書面によってその通告の手続はとられているそうであります。従って、これは写しを委員長として要求いたしたいと思います。
  64. 平岡忠次郎

    平岡委員 通告手続がとられたことはけっこうです。それはそれとしてけっこうなんですが、その点は一応事務的なことです。事務の前に事実が先行するわけです。私が先ほどからるる申し上げたように、小田原の現場それ自体は、原さんの処分、原さんの威圧的な一つのやり方に対して必ずしも同調する気持でないことも聞いております。局長原三郎氏は職をやめたのですから、過去の亡霊を追うことはないのです。あなた方の良識によって前向きの打開策を講じていただきたい。そのことを強く要請いたしまして、私の質問兼要望をここで一応取りやめておきます。なお、事態の発展によっては再度お出ましを願うことの権利を保留いたしておきます。
  65. 足立篤郎

    足立委員長 次回は来たる六月二日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十八分散会      ————◇—————