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1961-05-11 第38回国会 衆議院 大蔵委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月十一日(木曜日)    午前十時十八分開議  出席委員    委員長 足立 篤郎君    理事 伊藤 五郎君 理事 鴨田 宗一君    理事 黒金 泰美君 理事 細田 義安君    理事 毛利 松平君 理事 有馬 輝武君    理事 辻原 弘市君 理事 平岡忠次郎君    理事 堀  昌雄君 理事 横山 利秋君       岡田 修一君    金子 一平君       久保田藤麿君    藏内 修治君       田澤 吉郎君    永田 亮一君       藤井 勝志君    坊  秀男君       米山 恒治君    佐藤觀次郎君       広瀬 秀吉君    藤原豊次郎君       武藤 山治君    安井 吉典君       春日 一幸君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君  出席政府委員         大蔵政務次官  大久保武雄君         大蔵事務官         (大臣官房日本         専売公社監理         官)      谷川  宏君         大蔵事務官         (主税局長)  村山 達雄君         大蔵事務官         (為替局長)  賀屋 正雄君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    大月  高君         日本専売公社副         総裁      石田 吉男君         日本専売公社理         事         (企画管理部         長)      小川 潤一君         日本専売公社理         事         (販売部長)  三枝 正勝君         日本専売公社理         事         (生産部長)  坂口  精君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 五月十一日  理事有馬輝武君及び堀昌雄君同日理事辞任につ  き、その補欠として辻原弘市君及び横山利秋君  が理事に当選した。     ————————————— 五月十日  中小企業専従者課税控除等に関する請願外四  件(川上貫一紹介)(第三七〇五号)  同外四件(志賀義雄紹介)(第三七〇六号)  同外三件(谷口善太郎紹介)(第三七〇七  号)  同(谷口善太郎紹介)(第三七七六号)  同外十四件(坪野米男紹介)(第三八三二  号)  農業協同組合に対する法人税課税免除等に関す  る請願足鹿覺紹介)(第三八三一号)  入場税撤廃に関する請願西村英一紹介)(  第三八六二号)  同(濱田正信紹介)(第三九〇〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任の件  製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第一七七  号)  税制に関する件  金融に関する件  外国為替に関する件      ————◇—————
  2. 足立篤郎

    足立委員長 これより会議を開きます。  税制金融及び外国為替に関する件について調査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 本日大臣に御出席を願って特に私がお伺いいたしたいことは、現在の国際収支中心とする問題であります。本問題はすでに国会におきましても何回も取り上げられ、大臣の御答弁も承っておるわけでありますが、情勢はさらに一歩々々私どもの言っておりますような状況に近づいておるような気がいたすのであります。単に私と大臣との意見相違であるということであるならば、これは水かけ論になるかもしれません。しかしながら、もうすでに閣僚の中で意見相違を言うていらっしゃる方が幾人もおありになるし、一方においては日銀においてもまた別な見解があるし、他方においては財界においてもまたきわめて慎重論があるし、大臣のおひざ元の大蔵省においてすら私は慎重論が散発しておるのを承っております。  ここに、私は、四月二十日の本委員会において堀委員の質問に答えて大臣がおっしゃっておる言葉を引用をいたしまして、その後あなたのお考えに変わりはないのであるか、それをあなたにお尋ねをいたしたいと思うのであります。経済情勢というものは申すまでもなく生きものでございますから、大臣のその当時においてのお考え情勢が変わってきておることは言うまでもないことでございましょう。従いまして、あのとき自分がこう言ったからといって固執されることを、私は望むのではないのであります。どうぞ自由濶達に、情勢変化に応じ、あなたの御心境の変化に応じ、そして国民経済情勢危機を予防的に回避いたしますためには、どうぞ大臣虚心たんかいに情勢推移に応じた施策国民の前にお告げになり、そして国民の心がまえを——十分に自分考えを言うていただくことこそ必要であろうと思うのであります。高度経済成長政策というものが池田内閣の基本であり、大臣のよって立たれた基盤であることは百も承知はいたしておりますものの、実際の経済情勢推移から見ますと、かりにそうであろうとも、なすべき変化というものがあろうと思います。先月の二十日、大臣は、「設備投資が多くなれば当然輸入がふえますので、従って、輸出がそれに伴ってふえない限りは国際収支は悪くなる。これは当然だろうと思っております。問題は、それではその設備投資のあり方の実情はどうかという問題でございますが、これがただいたずらに競争によって自分の規模を大きくするというようなもので、過当競争による設備投資というようなものだったら、これは考えものでございますが、実際の内容を見ると、そういう危険性はあまりない。やはり日本自由化を前にして、これから国際競争にたえていくというための企業改善のための必要な合理化、そのための設備投資が多いというのが実情でございますので、これは日本として今これをとめるときか、そうじゃなくて必要な合理化は適当にまだ伸ばす時期かというような判断の問題になるわけでございます。」こう言うておられるのであります。また、最後の方では、「必要な合理化はまだ日本は今やらせる時期だというふうにも私ども考えておりますので、この間の調整をどうするかというところに政府指導なりいろいろな施策上の問題がございましても、今の傾向が悪いというふうには私どもは思っておりません。」このお考えにお変わりはないのでございますか。
  4. 水田三喜男

    水田国務大臣 私はまだ今そこであなたが読まれた私の考えについて別に変わりはございません。ただ、昨年の暮れに、三十六年度の、ことしの経済予想を私どもはしたわけでございますが、この予想が少し狂っているということは、これはもう私どもは今認めております。と申しますのは、毎年三割以上の設備投資の増が過去二年続いておりますので、この三十六年はこの調子ではいかない、設備投資は少し鈍化する年であるということを考えましたので、今年度は三兆一千億円ぐらいの設備投資に終わるのではないかというのが私ども予想でございました。ところが、すでにこれは去年の暮れでございますから、ことしの三月、三十五年度の末になってみますと、あのときに予想した三十五年度の設備投資よりも実際は多くなっているようでございますので、率的にいろいろ見た数字は狂ってきているということが一つ。それから、今年度そういう年であると私ども考えたんですが、しかし、経済がそう急にいろいろな変化を遂げるものではございませんので、去年の傾向がまだことしも相当引き続いて進むというのが実際でございまして、現に進んでおる状態でございますから、そうしますと、設備投資傾向から考えたこの三十六年度の国際収支見込み上半期赤字見込みもつけておりましたが、これが狂ってくることは当然でございますので、そういう狂い方はございました。しかし、自由化を前にして堅実な合理化投資というものが進む傾向をどう見るかという見方については、なかなかむずかしい問題でございまして、おそかれ早かれ日本のこの合理化の推進はやらなければなりませんし、やることは好ましいことでございます。ただこれをもう少しなだらかにやりたいということを私ども考えておるわけでございまして、これをとめるとかなんとかというのじゃなくて、政府はそういう傾向を悪いとは思っていないのだからやらせますが、これが一度に重なるようなことをしない。どうせこれはやってもらわなければならぬことですが、時期的にいろいろ慎重に考えて、これをなだらかに伸ばしていくような指導をしたいということを考えているだけでございまして、設備投資が当初の予想に反して相当投資意欲が活発であるということは、日本経済にとって私は全然悪い現象ではない。ここで設備投資予想以上にふえるということによって当然輸入がふえますし、輸入のうらでも特に機械の輸入とかいうものがふえて参ります。日本が支払いに困るという状況のときにそういう設備投資をさせるというととは問題でございますが、外貨の手持らも今相当状態はいいというときでございますので、どれだけの犠牲を払ったらこの必要な合理化を可能とさせられるかというような計算も私どもはいたしておりますが、今の日本外貨事情から、この設備投資を少し進めれば外貨が減るから、これをとめなければならぬとかというふうに騒ぐ時期じゃございませんで、短期的に見るのじゃなくて、ことしと来年というものを見て、ことしは設備投資が少しダウンする年だろうと見た見方は私どもは間違いだと思いますが、そうすれば来年にいってこれがどうか、この調子ではいかぬということは大体見当つきますので、そうなれば自動的に輸出はこうなって国際収支はこう改善されるというような、先のこととからんだもっと長期的な目から見るのでしたら、現在のこの傾向をあわててどうこうする段階じゃなくて、私ども予想した以上に日本経済伸び率というものは多いので、またそれが、実際の必要に迫られて、ある程度経済の実力に即した一つ傾向だと見る以上は、危険なものという見方をすべきじゃないと考えますので、私どもは、今のこの傾向を、先般も申し上げましたように、もうちょっと推移を見ていって一こう差しつかえないじゃないか、今でもそう思っております。
  5. 横山利秋

    横山委員 どちらへともとれるような御回答で、私は判断に迷うのであります。あなたは、言ったことに間違いはないとおっしゃる。そうして、長期的な展望に立てば、現在国際収支が多少悪くなっても、今の設備投資は不健全なものと思わないから抑えるようなつもりはない、ただし見通しは誤ったかもしれぬけれども、今のものを押える必要はないとおっしゃる。それでおって、その口裏から、少しなだらかなものにしたいとは思う、こういう両面を言うておられるのであります。どちらが本旨でございますか。
  6. 水田三喜男

    水田国務大臣 この設備投資は、一度にこれが重なってきて、その次に急激に鈍化するというような経済の変動を避けるためには、これを一度に集中したり一度にこれがダウンしたりするようなことのないようになだらかにずっと伸ばして、この設備投資傾向を進めていけば心配はないと思っております。
  7. 横山利秋

    横山委員 そういたしますと、現状を放置するのではなくして、設備投資がなだらかな方向で進むように調整を加える、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  8. 水田三喜男

    水田国務大臣 そうするのが一番いい方法だと思います。
  9. 横山利秋

    横山委員 その点は明らかに四月二十日のあなたのお答えから変化を見せておると思うのでありますが、他方において経済企画庁が先月の月例報告を出しております。その月例報告を今全部読み上げるのは時間の関係上いかがかと思うのでありますが、要するに、その結論として言っておりますのは、それぞれの産業分野過当競争のないように企業は慎重な態度で臨むことが必要と思われる、こういう意味結論を出しておるわけであります。その前提となりますものは、法人企業投資予測統計調査によれば、本年度の上期の設備投資計画は、三十五年度下期の実績見込みに対して一七・一%、前年同期の実績に対して何と四三・一%上回っておる、こういうような状況では困るから、それぞれの産業分野過当競争のないように企業は慎重な態度で臨むことが必要と思われると言っておるのでありますが、あなたの言うところのなだらかに設備投資長期にわたって進ませたいという意味は、企業に依存をするのか、企業自主性に待とうというのか、それとも金融機関にさせようというのか、それとも政府がそういう意欲を持っておやりになろうとするのか、どちらでございますか。
  10. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは一方的にどちらかときめていかれない問題でございまして、やはり根本的には企業家自身が慎重な態度をとるべきで、これに依存するのが一番正しいのじゃないかと思っています。と申しますのは、企画庁の調査にしろ、通産省の調査にいたしましても、今年度どういう意図を持っているか、それについての所要資金をどのくらいに考えておるかという調査をいたします場合には、民間は、大てい、そういう調査の場合に、うちはその意思がなかったという返事をすると、過去においてあの調査のときに出ていなかったからといって、いろいろ押えられてやれなかったというようなこともございますので、調査が出たときには、やるにしろやらぬにしろ、一応これだけの計画は事前に出しておこうというようなことでこの調査書類を出すのが普通でございますから、あの調査に出たものがそっくりそのままその計画が実施されるということはございませんので、一応政府としては、そういう方向調査を取っておいて、あとは合理化審議会なりいろいろな機関がございますから、そこでいろいろ調整するという方法もできますので、政府のそういう指導的なこともやりますし、同時に、企業をいたずらに大きくしたり、時期でないときに特に資金的な無理をするというようなことが将来の企業経営にどういうふうにたたるかというようなことも、ほかの人よりも企業者自身がこれは最も敏感に考えることでございますので、そういう点から考えて、政府がとめるというのなら、自分のところはもう合理化をやらなければならぬと考えておるので、今ここでとめるというなら急いでここでやらなければならぬというので急に計画を立てる人もございましょうし、そうじゃなくて、必要な合理化というものは政府が推進されるのだということであるなら、自分のうちは最も都合のいいときに一番いい計画をもってゆっくりやろうという企業家も出て参りますし、ここらは企業家自身の慎重な考慮も求めますし、また政府の配慮というものもこれに対して非常にむずかしい微妙な問題もございますと思いますので、これはこれでいく、あれでいくというのじゃなくて、政府がそういう頭で指導し、民間もそれに順応してやるということでやってもらうのが、私は一番いいと思っています。
  11. 横山利秋

    横山委員 あなたのそのお考え、要するに、設備投資を順次になだらかな方向で押えていくという御意見は、閣僚の中で意見調整はされましたか。
  12. 水田三喜男

    水田国務大臣 これには別に閣内に異論はないと私は思っております。
  13. 横山利秋

    横山委員 私がお伺いしておりますのは、そういう重要な変化が起こったと私は思うのでありますが、そういう変化についてお話し合いをなさいましたことがございますかと聞いておるのです。
  14. 水田三喜男

    水田国務大臣 これはもう始終関係閣僚とはそういう話をいたしております。
  15. 横山利秋

    横山委員 あなたが本委員会で発言をされたその直後、同友会岩佐代表三つの点をあげてその不安を表明しておるのです。この民間設備投資が非常に多くなったということで供給力需要とがつり合わなくなる、第二番目に、需要を造出すれば、需要が結局国際収支の不安を招く、ほかっておけば金融秩序の混乱と経済全体の効率を害しはしないかということを不安に思っておるわけであります。この不安というものは、表向きはまだ経済成長がずっとたどっておる、それから設備投資がどんどん進んでおる、その中で今や全国的に潜在意識としてどんどんと広がっておると思うのであります。あなたが言うように、企業自身の努力によって今自主的に設備投資の抑制が行なわれるというような情勢にはないと私は思っております。これをそういうふうにさせるためには、させるようなムードなり、あるいはまた政府施策が半歩であろうと一歩であろうと前進をすることが必要であるが、政府考え方はここに少しずつでも変わっていますよということがある程度はっきり表明をされない限りにおいては、これはできないと思うのであります。先年、神武以来の景気から神武以来の不景気に転落をいたしましたときにも、当時の一萬田大蔵大臣が本委員会でその経過と結果を顧みて意見表明をされたことがございますが、その点で私の記憶に残っておりますのは、一つには、景気観測を正しく、しかもあらゆる方法を通じて景気観測を把握するということです。第二番目には、勇敢に予防的措置を講ずるということであったわけであります。私は今危機的状態にあるとは言いません。しかし、今危険信号が上がっていることは事実だと思います。しかりとすれば、先年の弊を繰り返さないために、ここに予防的措置というものを一つ、二つ、三つというふうに、あなたは国民の前に表明をされる責任があるのではないか。あなたの言うなだらかにという意味は、私の言う予防的措置に通ずるのである。通ずるとすれば、その予防的措置というものは、どういう方向で、どういう方法でなさろうとするのか、それを承りたい。
  16. 水田三喜男

    水田国務大臣 予防的措置ということでございますが、問題はやはり国際収支改善されるに越したことはございませんで、今の国際収支の一月以来の赤字というものは、これを分析をしてみますと、むろん上半期輸入季節期であるという季節的な原因もございますが、しかし、やはり当初予想したよりも設備投資意欲というものがなかなか減退しないで、まだこの機運は相当強い、この形が去年から引き続いておるということのために、この設備投資が多いということのための輸入増というものが相当ございますので、この輸入増をカバーし得る輸出増がこれに伴うなら、国際収支は非常によくなるわけでございますが、今これに輸出伸びが伴っていないということは私は問題だと見ております。その原因はどこにあるかと申しますと、去年に比べて日本輸出は他の地域については割合予想通り伸びております。欧州に対する輸出などは昨年に比べても六〇何%というくらいの伸びを示しておりますが、日本輸出の三分の一を占めている米国景気が立ち直っていないということのために、二〇何%も去年に比べて輸出が減っているということが、輸出伸び悩みの一番大きい要素になっておりますので、将来の輸出予想については、米国経済予想というものをここではっきり立てることが必要でございますが、今私どもが検討した限りにおきましては、いろいろな統計資料をもとにしましても、米国は二月がもう底であるということは大体間違いないと見ていいと思います。二月を境にして米国のいろいろな経済指数が好転の兆を見せておるということははっきりしております。この景気がほんとうに立ち直るのは、やはり米国設備投資が起こってくるという時期だと思いますが、この時期はまだまだ相当ひまがかかるだろう。そういう傾向が出ても急激な回復を示すかと申しますと、米国景気回復は私は非常に緩慢だろうと今予想しておるのですが、いずれにしろこれが二月を境にして今上向いている状況でございます。それに伴って米国への輸出は、私は、下半期以後になって相当回復して、ある程度期待ができるということが一つ。それから、日本輸出増進という今までの施策については、今後考えるべきいろいろな問題がまだたくさんございます。日本外貨の少ない国でございましたので、なるたけ外貨を減らさないようにということも常にいろいろな施策中心観念として持っておりましたので、この見方からむしろ輸出の制約になっているというような部面も非常に多いと思いますので、こういう問題の改善をすることによって、全般的な輸出増進策というものは今後十分政府として考えられると私ども考えております。今後関係政府でこの輸出を伸ばすということについての総合的な施策を講ずるつもりでおりますので、そういうものと相待ってもう少し先になって輸出改善期待されるとするなら、私は今の程度の設備投資増による輸入ふえ方はそう不健全なものであるとは考えておりません。そういうことをすることによって、今いろいろ心配されている——今おっしゃられましたような同友会が心配されておるというのは承知しておりますが、そういうものをなくすための根本策は、ここにおいて輸出輸入に伴わせるという策をうまくやるかやらぬかというところに一つのかぎがあるのじゃないかと考えております。
  17. 横山利秋

    横山委員 どうも大臣お話はどちらへでも考えられるような話がまた起こっておるわけであります。あなたのお話を聞きますと、国際収支の不安というものは季節的な問題であるようにも思われるし、基調的な変化であるようにも思われるのであります。私が冒頭に率直に語って下さいと言った手前もあるものですから、少しずつ私の意見に同調されるような節もございますけれども、この際経済成長の非常に進んでおるときに、好況と思われるようなときに、しかもすでに危険信号が上がりつつあるときに、大蔵大臣が明確な態度を示されることの方が、私はあなたの言うような経済成長度長期にわたって持続するためには必要なことではないか、こう思うわけであります。輸入の増加は、単なる在庫の問題でなくて、設備投資が非常に強いからだ。これもそんなに意見相違はない。貿易外収支の非常な赤字も私は一時的ではないと思う。輸出増進を強調せられるということは、輸出伸び悩んでおるということを裏書きしていらっしゃると思うのですから、これも私は私とそう見解相違はないと思う。問題は、あなたのおっしゃるように、アメリカ景気は、二月が一番底をついて、徐々に上がっていくという期待を持っておられるけれども、その期待も、あなたをもってしても本年の下半期にならなければいかぬのではないかという考えである。輸出増進も、東南アジアその他について考えますときに、これもどうもアメリカばかりが輸出減少を来たしているのではない。東南アジア各方面において同じ減少が見られるのであるから、これは後刻お尋ねをいたしますが、あなたの言うところの減税国債の構想を描いてみても、なおかつ容易に期待ができるとは思われない。そうだといたしますと、これは一時的な現象でなくて、経済の基調的な変化が現在あると腹をきめることの方が私は間違いない、堅実なやり方だと考える。その点について、今までの政府のお考えは、たとえば池田さんを例にとって見ますと、外貨保有があるから大丈夫だ、一億や二億食いつぶしても、これだけの今までにない外貨保有があるから大丈夫だ、こういう強気一点ばり。あなたも、先月までは、まだまだ設備投資は伸ばすべき段階である、この一本やりで、今徐々に変化が起こってきたようなお答えではありますけれども、ここにはっきりとこの予防的措置を講じなければならぬなら、ならぬ、その第一歩は、なだらかに設備投資を抑制することにあるという考え方を明らかにされることの方が、私は正しいことではないか、こう考えるのです。私が愚鈍かもしれませんが、どちらとも解釈できるようなお話でなく、ずばりとした御意見——そんな極端なこと言えというわけではございませんが、率直簡明に今後のあなたの施策方向というものを明示される時期ではないか、もうそういう時期ではないかと私は思う。
  18. 水田三喜男

    水田国務大臣 この問題についていろいろ御批判や何かございますが、むしろ私ども態度こそが一番はっきりしているのじゃないかと私は思っております。私ども経済成長政策についての動揺も変化も持っておりません。昭和三十二年の過熱の状態のときを見ましても、あれは設備投資は非常に旺盛でございましたが、今あのときの合理化投資がむだだったという人はございませんし、あの規模が大き過ぎてみんな過剰投資だったということもございません。まだ足らぬ、もっと合理化すべきだという意欲が今出てきているという状態から見ましても、あのときのものはむだでなかったと思いますが、なぜあのときに人がぐらついたかと申しますと、結局経済が平均的に伸びていなくて、隘路というものがあのとき非常にあった。その隘路からいろいろ問題が出てきて、物価にもそれが響きますし、さらにその前年度における思惑輸入というもので、外貨状態から見て日本が支払いに困る、これ以上の輸入があったら、経済伸びておっても、支払いに困るという事態に直面したということから、急な引き締め政策をとり、ああいう政策をとって、経済に大きい波を打たれて、中小企業等にもいろいろ打撃を与えたのですが、結果から見ましたら、ほんのごくわずかの間にもう国際収支改善になってしまって今日にきておるというあのときの事情を考えてみましたら、外貨事情から考えましてもそうですし、電力とか交通とかという、あのときのような形で、その隘路が経済政策を破綻させるという状態に現在の状態はきておりませんし、さらに、日本自由化を前にして、国内企業合理化をどうやらなければならぬかという一つの命題を持っているときに際しまして、思惑的な輸入でもないし、ある程度日本の必要な合理化が進むことによる若干の輸入増というような問題に対して、何か基調が大きい変化をしたのだ、政府の政策は急に変えなければならぬなんてあわてて騒ぐ理由というものは、私はどこにもないと思う。非常にいい調子でこれは伸びてきておって、変な破綻を来たさせないような政府の考慮がこれにずっと伴っていくのなら、予想以上に、十年計画で示しているより以上に日本経済はよくなるという喜びをこそ私どもは腹の中に持っておるのです。ここに明確に従来の考えを変えろとかなんとかいうことを迫られても、私はそういう理由はどこにもないと思うのです。
  19. 横山利秋

    横山委員 あまりにもそれは詭弁というものです。大臣はどういうおつもり声を大きくされるかわかりません。私の声が大きくなったからあなたの声も大きくなったか知りませんけれども、たとえば、前年の経済の大変動というものが、あれが失敗だったとは言わない、利益ばかりが今日積み重なっておるとおっしゃるのだけれども、あなただって胸に問い腹に答えればわかるはずですから、数万の中小企業者、数十万の労働者がそれによって非常な責め苦にあって金融界の大混乱が起こり、池田大蔵大臣が退陣をするというような事態になって、それで、あれはよかったとおっしゃるあなたのお気持がわからない。ものの一面だけとらえないで、全体をとらえて議論をいたさなければならぬと私は思います。  そこで、角度を変えますけれども、山際日銀総裁は、この今日の状態をとらえて、行き過ぎがあるということと、窓口指導を私の方としても少ししなければならぬということと、それからこの政治的な問題を単に金融の方面ばかりに責任を転嫁されては困る、こういう意味の表現をしておられるのであります。私は、あなたの先ほどからの意見の中に、必ずしも金融方面ばかりにこの調整をおまかせになるお気持はないというような意味を看取したのでありますが、そう理解してよろしゅうございますか。
  20. 水田三喜男

    水田国務大臣 けっこうでございます。
  21. 横山利秋

    横山委員 それでは山際さんの御心配はなくなるわけでありますが、政府として、今後その行政指導なりあるいは金融政策なり財政政策で、どういう方向であなたの言うところのなだらかにという線を達成しようとなさいますか。具体的にお答えを願いたい。
  22. 水田三喜男

    水田国務大臣 今統制経済ではございませんので、政府が権力を持ってこうするああするという道はございませんが、しかし、政府は権力はなくても民間指導はできますので、指導については、私どもは言葉にははっきり出しませんでも、いろいろできる問題でございますので、事態を見ながら——行き過ぎるということはいかなる場合でもいけませんし、そうかといって必要なものを押えるということの弊害はまだまだ悪いのですから、そこらの指導については私どもは適当な方法で努力するということを考えております。これはまた、さっきも申しましたように、一番利害関係を持つのは民間企業家自身でございますので、慎重な政府の配慮と相待っていけば、そう心配のない事態に誘導していくことができると私どもは思っております。
  23. 横山利秋

    横山委員 日銀の、また金融機関がなすべき分野はおのずからきまっているわけであります。もちろん、それに対して、政府の直接権限でなくても、政府の政策委員も入っているのでありますから、政府の意図も入るわけでありますが、しかし、従来の例からいっても、政策的になさねぱならぬ場合においては、政府としても内面指導なり何なりおやりになっておられるわけであります。そういう点では私は実は一つ具体的にお伺いしたいと思っておったわけであります。ところが、今日の状況においてあまり触れたくないようなお話でございますが、巷間伝えるところによりますと、あなたの長期にわたる低金利政策はともかくとして、短期にわたって昨年おやりになったような金利の再引き下げというものは、これでストップになった。むしろ国会が終わって政治的な影響のないときに、池田さんの外国行きとも相関連して、適当な時期に金利の再引き上げがあるのではないか、公定歩合の再引き上げがあるのではないか、こういう意見があちらこららに聞かれているわけでありますが、私はそれは根拠なしとはいたさないと考えているわけであります。これは、そう言えば、大臣は、それは日銀のすべきことで、自分の直接のあれではないとおっしゃるかもしれません。しかし、情勢推移というものはそういう方向に一歩々々近づいているのではないか、こう考えますが、いかがでございますか。
  24. 水田三喜男

    水田国務大臣 私は、ただいまはそう考えておりません。近づいているとは考えておりません。
  25. 横山利秋

    横山委員 ただいまは、ですか。
  26. 水田三喜男

    水田国務大臣 はい。
  27. 横山利秋

    横山委員 あすになったらわかりませんね。
  28. 水田三喜男

    水田国務大臣 それはわかりません。
  29. 横山利秋

    横山委員 あすになったらわからないとおっしゃるのですから、私の言うことと当たらずといえども遠からざる方向にあるのではないか、こう私は判断をするわけであります。願わくは一つ私の言う意見——その基盤のことについては多少の違いはあっても、こういう場合でありますから大臣も率直にはなかなかおっしゃらないのでありますが、情勢の認識については、あなたのお考えなり何なりに明らかに変化が起こっていると思うわけであります。まず、先年のようなことにならないように予防的措置をとらなければならぬときには、その場になって云々というよりも、適時この施策大臣として勇敢におとりになることが必要だと思うのであります。その決意のほどを一つお伺いいたします。
  30. 水田三喜男

    水田国務大臣 決意と申しましても、私の考えはなかなか言えないだろうがというお察しでございますが、そうじゃなくて、私はもう言いたいことを言っておるつもりでございまして、やはり私どもが立てておる経済成長政策はどこまでも達成させる、最も円滑に、しかも予想よりも早く達成させたいというくらいの気持で私どもはこの問題に当たっておりますので、その過程において起こり得るいろいろな障害を除去する、そうして今おっしゃられるような危険の予想される場合の予防というものについては、これは、おっしゃる通り、私どもは勇敢にそのときどきの施策をもって対処するという決意を十分持っております。
  31. 横山利秋

    横山委員 それに関連してお伺いするのですが、そういう金融の抑制措置がもう時間の問題と思われるようなときに、池田総理大臣は名古屋にいらっしゃって、資金の融資準則の変更をする、こうおっしゃったのです。過去の歴史の古いものであり、戦後のものであるから、一ぺん変えようという点については私はわからないことはないが、しかしながら、その対象となりますものが、すでに御存じのように旅館とかバー、キャバレーとかで、融資順位というものは低いには低いだけの理由があってなさっておるわけであります。今金融情勢のこういうようなときに、さらにその順位を、よりを戻して、同一水準とまではいかないにしても、だれが常識的に考えても、今資金融資準則を変更して、遊興飲食等、金融順位の低いものを高めようとする気持は一体那辺にあるのか。ノーマルな状況の中でもそうでありますが、今こういうあなたの決意があるそのときに融資準則を変えるというのは、私はきわめて政治的な気持が想像されてならぬのであります。時はそれ、名古屋におきましては、妙な話でありますが、市長選挙の最中でありました。その池田総理大臣が言うたことが選挙に影響があったかどうかは別にいたしましょう。しかし、政治的な雰囲気の中で、しかも庶民の納得し得ない融資準則の変更をして、遊興飲食関係の融資順位を上げるという気持は大蔵大臣も御承知であったか。御承知ならばどうしようとおっしゃるのであるか。それをお伺いいたします。
  32. 水田三喜男

    水田国務大臣 今の融資準則は、戦後の金融の緊急状態に対処して必要な産業、当時は重点産業でございましたが、特に重点産業に資金を供給するためには不要不急の資金を抑制する必要があるという必要性に基づいてできたものでございますが、その後経済がここまで復興して参りますと、当時きめた優先順位について実際上は非常に判定がむずかしい。この順位が、どっちが優先的なものであるかという判定がむずかしいという事態に現在はなっております。と申しますのは、やはり経済伸びるためには、均衡的にいろいろな企業伸びていかなければいけないということになりますと、重点産業はともかくとして、そのほかのこれに付随する産業がやはり均衡的に伸びていかなければいけないということになります。その中で、当時不急というふうに考えておったものでも、ここにくればある程度これを押えておくことは無理だ、また妥当でないという順位の企業も出て参りますので、実際的には、この準則があっても、実情においては今準則通りにこれが守られているという事態ではないと私は思います。そうしますと、今のこの実情に即して、経済自由化しておるのに、金融だけは戦後統制というものを強く残したような形で、しかも実態はそうその通りにも行なわれていないというものの存在は再検討すべき段階にあるというふうに考えまして、これは総理が発言される前に実は大蔵省の銀行局においても検討しておった問題で、私どもとしては、これは今の実情に沿わない、やはり規制をもってこれはここでやめたいという方向で、今関係者で検討している最中であります。
  33. 横山利秋

    横山委員 経済が不均衡であるから、不均衡な底にあるものを伸ばしたい。その言葉の実際的な問題となりますと、バーやキャバレーやサービス関係金融順位を上げたい、こういうことになるじゃありませんか。こんなものが——こんなものと言っては失礼な話かもしれませんけれども、今の日本経済の中で、こういう業種、業態が、融資準則がそうであっても、なおかつどんどん発展をして、巨大な電気を使用し、巨大な設備を擁し、そして巨大な人員を集め、巨大なもうけをしておるのが実情なのであります。それを、戦後の混乱期はサービス業は優先順位が低かったから、事情が変わったからそれを引き上げるというお気持は、どうしても私は納得できません。これはまた他日機会を改めまして、具体的に大臣なりあるいは担当局の御意見を伺って、ぜひこれはお取りやめを願いたい。もちろん私も融資準則全般がどこも直すべきものはないとは言いません。言いませんけれども国民の一般的に受け取っております認識というものは、融資準則は重点的なものだ。そうして国民の税金なりあるいは預金なりというものが、そういうところに順位を引き上げて使われることに納得いたしませんから、これは、くれぐれも申し上げますが、慎重なお取り扱いを願いたい。またこれについては機会を改めて私はとくと御質問をいたしたいと思います。  次に、先般、予算委員会で私がお尋ねをいたしまして、大蔵大臣と通産大臣から、協同組合の小組合の減税措置、金融特別措置についての確約をいただきました。しかるところ、その後何の御返事もありませんから、私どもの党は、党議をもって政府に文書をもって申し入れをいたしましたところ、これまた何らの御返事もございません。先般、通産委員会におきまして、わが党の委員が、中小企業庁長官に対しましてこの意見を問うたところ、私もさだかには知りませんけれども、小組合に対して、任意組合であるけれども、その連合体が結成されたならば、協同組合中央会の補助金を一部何とかしたらどうだろうかというようなことを考えておる程度だということでございました。まことに遺憾千万な話でありまして、あのとき、あれだけ二日間にわたりまして両大臣の確約を得たにもかかわらず、その後杳として御返事もなく、そうしてたまたまあった話がそういうことであるといたしますならば、まことにこれは国会軽視もはなはだしい。国会軽視ばかりではなくて、本来政府中小企業政策の焦点がどこにあるのか疑わしいと私は思うのであります。御検討を願ったこととは思いますけれども、ここで一つあなたが責任を持って、予算委員会における御答弁の結果をお聞かせ願いたい。
  34. 水田三喜男

    水田国務大臣 予算委員会における横山さんの御発言がありましたので、あのとき、私どもは、特に小組合に対してというように条文の上ではっきり書いてありますので、それが現在まで釈然としていないというお話でございましたから、これは十分私どもも真剣に研究するというお約束をいたしまして、その後この問題の検討を私どもは十分にいたしましたが、あのときにもお答えしましたように、税制上はきわめてむずかしい問題だというのが大体私ども結論でございます。当時この法案が審議されるときにも、国会の記録を見ますと、ある組合に入っておるという理由でそこが特に税制上の優遇を受けるというようなことは、法の公平の原則に反しはしないかというような質問もあの委員会でも出たのですが、そのときの提案者の説明を聞きましても、そういう問題があるが、この法案でこう書いている意味は、この小組合の組合員を含めて、同じような零細企業者に対する税制を考慮しろという一つの宣言規定である、そこをはっきり小組合に限るということはむずかしいだろうが、その法案にそういう条文を置くことによって、同じような零細企業者に対する措置を政府がとるという義務を持ってくる、この義務づけのところに意味があるのだという質疑応答が行なわれておるいきさつから見ましても、当時から特にこのための税制というものが困難であるということはわかっておったようでございますが、その後今の小組合の実態調査をいたしますと、今小組合ができておるものが全国に二十二、それで人員が千百人ということでございます。そのうちの納税者を見ますと、千百人のうちきわめて少ないというようなことになって、使用人の数を見ましても四人以下とかいうふうなものが圧倒的に多いというようなことを見ますと、問題は小組合に対する税制の措置だけでは済みませんで、税制全般の問題として考えるということの方がより根本的だというふうに私ども考えまして、租税特別措置の第一条の御審議をお願いしたあとで、これらに対する対策を含めて第二次の特別措置法案の御審議をお願いしたというようなことでございまして、零細企業者に対しては、ひとり小組合じゃなくて、小組合員も含む同じような、もっとより多数の零細企業者というものを対象とした税制に私どもは今回着手したということでございます。どうも小組合だけに限った特別の措置というものはどういう形でやることがいいか、またそういう方法が妥当だかというようなことについては、私どもの検討ではなかなかむずかしいというのが結論でございまして、現在ではその程度の措置しかしていないという実情でございます。
  35. 横山利秋

    横山委員 これは大臣にまことに——私は、単に私だけの問題、質疑応答では済みませんし、これは全然納得できません。これはきょう商工委員会の時間が迫っておりますので、これを始めましたら私はもう私が納得できますまで質疑応答を続けなければなりませんが、大臣はそういう御答弁でこの事案の解決が済むとお考えでございますか。むしろその方向を私はお伺いした方がよろしいのですが、それでは全然進みませんよ。あなたの今おっしゃった御答弁で、よもやこの問題のケリがつくとあなたがお考えだとは私は思いません。どういう気持でそれをしゃべっていらっしゃるのでありますか。経過はあなたも私も百も承知して、そうして予算委員会で二日がかりで、通産大臣がああいう醜態を演じたあくる日、あなたが、私も責任を負う——議事録を今読み上げてもよろしゅうございますが、責任を負う、そうして誠心誠意この法律の条文を忠実に実行するようにいたしましょうと言って、椎名さんもおっしゃった。おっしゃった結果、できませんでしたでは済みませんよ。法律の条文通り忠実に私はこの国会にあなたが提案をされることを良心にかけてお願いをしておるわけです。むしろあなたのお気持を私はお伺いしたいと思うのです。それでもう私が引き下がり、社会党が引き下がり、予算委員会の問題はケリがつくとほんとうにお考えでございますか。
  36. 水田三喜男

    水田国務大臣 さっき申しましたように、私どもはこれは真剣に検討いたしましたが、税制ということから考えて、今言った通りなかなかむずかしいという結論で、今後検討をこれでやめるとか、これでもう全部済んだというわけではございませんで、非常にむずかしいという結論で、結局この際はやはり小組合員を含めた同じような企業税制ということで考えることが今のところは妥当だということになりまして、私どもはたとえばこの小組合が集団的によその土地へ団地を求めて移るというようなものについての特例とかいうような、この小組合だけに適用するのじゃなくて、同じようなものへ適用されるいろいろな措置というものを今回は考えて、その程度でいくよりほかに今回は仕方がないというふうに考えて措置をとったということでございまして、さらに検討はいたしますが、なかなかむずかしい。このむずかしさは、横山さん御承知の通り、この法案ができるときの質疑応答の中にもそのむずかしさは暗示されておりますし、結局提案者自身、当時の社会党でございましたが、やはり宣言規定であって、この組合員だけの優遇措置を講じろということを言っていないのだと提案者自身が言っているくらいでございまして、これはそういうむずかしさが最初から伴っておるのだということを一つ御了解を願いたいと思います。確かにむずかしい問題だと思いますが、私どもはさらに検討はいたします。
  37. 横山利秋

    横山委員 その提案者がかりにそう言ったといたしましても法律が制定されたら法律の条文通りに実行するのが行政機関の責任者のなすべきことだと私は思うのです。近く予算委員会が開かれるのであります。大臣一つ覚悟してほしいのであります。予算委員会で本問題を取り上げてもらいますが、その前にも、私はこの問題については今の答弁ではもう全然納得をいたしません。明らかにこれは政府の怠慢であります。解釈がどういうふうになされるか、小組合に対する税制金融の特別措置という文学通りはっきりいたしておりますことを、他に解釈を曲げてやられるというととは、私は法律違反だと思う。この点につきましては、繰り返し言いますけれど、これは党の正規の機関に諮りまして、私は政府の所信をあらためてただしたいし、党と政府の間に移さなければならない重要な問題だと思う。重ねて予算委員会におきましてこの問題を取り上げることになろうと思いますが、一つ大臣はこのままではこの問題は済まされないということを肝に銘じていただきたい。  商工委員会でお呼びでございますので、それでは私の質問をこれで終わることにいたします。
  38. 村山達雄

    ○村山政府委員 ただいま大臣から事業協同小組合の取り扱いにつきまして、並びに三十二年に制定された当時の趣旨についてお話がありました。大体そのようでございますが、補足してちょっと御説明いたします。  去る二月二十四日の予算委員会におきまして、横山委員大蔵大臣の間に質疑応答がかわされまして、その後この問題について、条文の制定当時の趣旨、それはとにかくとして、それ自体を直視して税制上合理的な何らかの措置が考えられないかという大臣からの命令がございまして、実はわれわれもいろいろ調査したわけでございます。当時の横山委員との間にかわされた速記録を見ますと、税制上あるいは執行上何らか小組合に対して合理的と思われる措置を考えてほしい、こういう趣旨でございましたので、われわれは執行も含めまして実態調査に乗り出したわけでございます。その後、税制面では、御案内のように一つだけ三月に提案いたしました、すでに通過いたしました第二次の特別措置でこの件は取り上げてございます。これは事業協同小組合だけに限りません。協同組合も含んでおりますけれども、その組合が、自分の所属員の、何と申しますか、工業の近代化のために従来の工場敷地を売って、そうして新たに工業開発地区に集団的に地区を求める、こういう場合の譲渡所得の課税については、特に協同組合あるいは協同小組合の集団化計画に基づいてやったものについては、譲渡所得について課税留保いたしますということをはっきり明示したのも、一つはこの方策によったわけでございます。これは、要するに中小企業一般の負担を軽減するという角度におきましては、先般御通過させていただきました所得税法の一般軽減というような点をねらっておりますし、また、こういう零細な企業者の企業合理化という問題に即しましては、それぞれその実情に応じましてただいま申しましたような譲渡所得に対する特例措置を講じたということでございます。  なお、執行面の問題、これは横山委員も当時の委員会において指摘されておりますので、われわれは目下調査中でございます。われわれの今調べた範囲でまだはっきり結論は出ておりませんが、事業協同小組合等が組合員に賦課金をかけておる。もちろん出します方は経費には違いございません。ただ受け取った方でその賦課金に基づく事業を施行いたします場合に、必ずしもその賦課金を受け入れた年度で事業を遂行していない。もちろん小組合が経理が明るくて、その面を預かり金勘定にいたしますれば、現在の法人税法の取り扱いにおきまして、当然その分は課税にならないわけでありますが、やはり経理に暗いとかその他のために、事業そのものが後期に行なわれるにもかかわらず、賦課金が当該事業年度の収入になっておる。そのために知らず知らずのうちに賦課金に課税が行なわれるというようなことがあり得るように見受けられます。ですから、その辺のこともこれは国税庁の方に連絡して参りたいと思いますが、そういう中小零細業者にかからなくてもいい負担が事実上かかっている面については、行政上今後指導して参りたい。なお、われわれといたしまして実態調査中でございます。  まあ立法の趣旨その他は別といたしまして、条文に盛られておりますこの中小事業協同組合に即して、税制の面あるいは運用の面から当然やって差しつかえないこと、あるいはやるべきことにつきましては、積極的な意欲を持ってやりたい、かように考えておりまして、そういう意味で検討中だと申し上げたわけであります。補足させていただきます。
  39. 横山利秋

    横山委員 いや、なっておらぬですよ。そういうごまかしや、やり方で話が済むと思っているのですか。私どもの党から政府に対して申し出た具体的な提案があるわけです。法文をもう一度熟読翫味してもらいたい。法文は、小組合については税制金融上の特別措置を設けると書いてある。措置を設けるじゃない、特別措置を設ける、小組合についてのみ特別措置を設けると書いてある。この立案の趣旨がどうであるか、あるいは何であるかを言うならば、これは憲法だって何だって議論がある。法律になった以上、法律の条文通りにやりなさいよ。それがだめだったら、なぜそのときに与党と相談してそれをけ飛ばさないのですか。大蔵大臣はそのとき与党の責任者で、あなたも入って責任を感じたと言っておるじゃありませんか。それが、今主税局長の言うように、その小組合ばかりではありません。協同組合も一緒ですとか、あるいは本来のオーソドックスな姿ではなくて、どこかへ移るときに何とかしますという、そういうインチキきわまることで話がまとまりますか。大臣も、この間予算委員会で、あれほど、私もその中に入っておりまして、うっかりしておりました、私は責任を感じますと言うた。その言葉だけを私は信頼しておるのです。検討の結果、法律上ややこしいとか、むずかしいとかという論議じゃない。政治家の責任だと私は思っておる。もうこれ以上言いませんから、一つもう一ぺん私の方から出しました提案を誠心誠意慎重に検討したいただいて、部下の官僚やなんかを抜きにして、あなたが政治家の良心に基づいてこれを判断ぜられんことを望みます。      ————◇—————
  40. 足立篤郎

    足立委員長 次に、製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告があります。これを許可します。有馬輝武君。
  41. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 最初谷川さんにお伺いいたしたいと思いますが、昨日全国の連合会長、組合長の会議がありまして、私も傍聴いたしましたところ、きわめて意外な雰囲気がありました。まさかそんなことがと思われるようなことがきわめて真剣に論議されておるという点につきまして、私あとでこれは副総裁にもお伺いいたしたいと思いますが、不思議に感じたのであります。  その一つは収納価格の問題であります。きのう、今お見えになった生産部長が公社の代表として出ておられました。きのうの私の質問に対して、昨年十二月決定しました収納価格については、その後の物価の変動その他に応じて葉たばこ審議会を開いて再検討する用意があるというような副総裁の御答弁でございました。ところが、今お見えになりました生産部長は、きのうのその会議において、私が見る限りでは、これは私個人として申し上げるけれども、物価の変動その他の点を考慮してもそういう機会を持つ必要はない、こういうことを全国の組合長にお話をしておられるのです。私がここでお伺いしたいのは、午前中のこの大蔵委員会において副総裁は再検討する用意があると言っておって、午後のその会議では、生産部長はそういう余地は全然ない、そういう話ですけれども、そこら辺の専売公社なり大蔵省の意思の統一はどのようになされておるのか、この点をお伺いしたいと思います。今副総裁がお見えになったから、ちょっと答弁してもらいたいと思います。
  42. 坂口精

    ○坂口説明員 ちょっと私から申し上げます。  実は、三十六年度の収納価格としてきまりました価格は昨年の九月の段階できまりましたものでございまして、耕作団体の方から、その後の物価その他の変動によって変更すべきではないかという質問が出たわけでございます。それで、収納価格の公示の中に、著しい経済上の変動がなければ改定はしないという備考がありますので、著しい経済上の変動があれば検討するという意味が含まれておるのでございます。それで、著しい経済上の変動というのはどの程度かということが問題になろうという御返事を申し上げて、公社としての見解でなしに、私個人の見解としては、葉たばこの収納価格は事前公示価格でもあり、決定後収納に至るまでの間に経済上の変動は毎年々々あるわけでございますが、現在の時点ではまだ事前公示価格を改定しなければならぬほどの大きな経済上の変動はないのじゃないかという、個人としての意見を持っておるというふうに申し上げたわけでございます。まだ今後相当変化が続くでしょうから、今後のことはわかりませんけれども、現在の時点では、まだ事前公示価格を変えなければならぬというほどの状態ではないのじゃないか、個人としてはそういうふうに考えますというように御返事を申し上げた次第でございます。
  43. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 副総裁にお伺いいたしますが、昨年の九月の状態で十二月の収納価格の決定が行なわれておりますが、この五月十一日現在におきまして、その後の物価の変動から見て、今生産部長がおっしゃったような葉たばこ審議会を再度開いて再検討する余地はないという工合に考えられるのか、検討する要があると考えられるのか、その点についてこの際お伺いしておきます。
  44. 石田吉男

    ○石田説明員 私が昨日申し上げましたのは、著しい経済上の変動があった場合には再検討するようにということは、いつも耕作審議会の答申の中にもございます。従いまして、現在動いております経済指標をいろいろ集めて検討いたしまして、その上で態度を決定したい、かように申し上げました。現在においても公社としてはそういう考えに違いはございません。
  45. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 次にお伺いいたしたいと思いますが、昨日若干御質問いたしましたけれども、三十六年度、七年度——当初の計画では三十八年度からのものを早急に増反しなければならないという方向考えておられるようでありますが、収納価格の問題を抜きにいたしまして、その計画通り増反を達成するためにはいかなる方策をお持ち合わせなのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  46. 坂口精

    ○坂口説明員 価格の問題が根本と思いますが、これは審議会に諮問いたしまして適正な価格を出していただくということであろうと思います。  それから、現地におきましてただいま考えておりますのは、県段階と私の方の支所の段階、二つの段階関係機関との協調をはかる。ただいま名前はまだ決定しておりませんけれども、たばこ耕作振興協議会、こういったような機関を設けまして、関係機関と十分協調いたしまして増反をはかって参る。それから、支所段階におきまして、私の方の支局、出張所でございますが、市町村あるいは農協方面、こういった方々と私の方の機関と一緒になりまして、地区段階の振興協議会のようなものも持ちたい。その他乾燥室の補助金、あるいはいろいろな乾燥室その他の建設費に対する低利融資、こういったようなことも推進して参りたい。    〔委員長退席、鴨田委員長代理着席〕 その他、特にたばこ耕作は非常に労力多投を必要といたしますので、何とか手を省く栽培法、乾燥法を研究いたしまして、これを産地に普及して参りたい。それで、公社の試験研究機関を動員いたしまして、省力耕作法を研究中でございます。一部はもうすでに産地に実施しておりますが、相当手を省いて、耕作者の方々に楽にたばこを作っていただけるように持って参りたい。その他いろいろ増反の対策を考えておるのでございますけれども、おもなものは大体以上でございます。
  47. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 たとえば今お話しになりました耕作振興協議会、こういったものについては、私は、その形態は整っていないといたしましても、現在までも当然やられてきたことでありまするし、特にきわだってどうこうというような問題じゃないと思います。支所段階においてもそうであります。また、今乾燥室の補助金の問題についてお話がございましたけれども、本年度の予算では六千万組まれておりますが、これを手直しされるのですか。これは当初の計画でしょう。その点どうですか。
  48. 石田吉男

    ○石田説明員 ただいま生産部長から申し上げましたのは今後のアイディアでございます。いずれ具体的な案がきまりますと、これを予算化する必要がございますが、三十六年度は毎々申し上げておりますように増反の必要はないのでございまして、三十七年度以降の問題でございますが、いずれ予算編成時期までには具体化いたしまして、所要の予算を取るということをやらなければなりません。そういう時期としてはまだ早いのでございますが、たまたまどういう考えであるかという御質問がありましたので、大体の考えだけを今申し上げているのでございます。
  49. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 副総裁は、これは三十七年度から増反させるのだ、だから予算的な措置も来年の問題だとおっしゃるのですけれども、そういった公社の態度が大きな不信を買っておるのです。きのうの組合長会議におきましても、ただ専売公社の恣意によりまして、あるときは増反しろ、あるときは減反しろ、これでは指導ができない、こういう率直な意見が出ておりまして、生産部長はよく聞いて帰られたはずであります。増反させるには増反させる長期の展望に立った施策というものが一つ一つ積み重ねられていかないと、そのしわ寄せは各県の組合の幹部なりあるいは耕作者農民にじかにかぶっていくわけなんです。あなた方が去年までは減反だというようなことを言い、今度は増反だと言って、その耕作反別を減らした諸君に対して何らかの補償をやっておりますか。やっていやしません。そのときどきの情勢に応じて専売公社が勝手なことをやっておったんじゃ、今申し上げますように耕作者農民というものはたまらないのです。生産部長からお話のあったような四つの方途なんというものは、増反させる何らの足しにもならないと思う。やはりそのかなめは、先ほど副総裁がおっしゃったような収納価格の点について根本的に再検討する、こういう意欲がない限り、現在どんどん減反していっておるじゃありませんか。それをどうやって盛り返すことができますか。現状を維持することさえ困難なんですよ。どうされようとしておるのです。
  50. 石田吉男

    ○石田説明員 長期の展望に立って具体的な施策を進めるということは、まことにお話の通りでございまして、私どももさように考えております。しかし、これは時期的に順序がございますので、その時期に合うように具体的な施策を立てて参りたい。いずれにいたしましても、何らかの施策を必要とする場合には、どうしても予算的な支出を伴うのでございますから、ある程度予算的なめどがつかない限りは、こういうふうな金を幾ら使うのだということは申し上げかねるのでありまして、これはそれぞれ間に合うような時期にそれだけの計画を立てまして、各現地の指導あるいは現地の耕作組合なり部外の方々の御協力を得るようにして参りたいと考えております。
  51. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 国政審議のあり方というものは、質問する私たちとあなた方との間に単なる言葉のやりとりをやることじゃないはずなんです。要は、たばこの問題ならば、いかに専売収益を上げていくか、また耕作者農民の生活の保護をやっていくか、そういうことを、この論議を通じて私たちとあなた方とが真剣に方途を立てていくことでなければならぬはずです。それを、今みたいに、ことしのことじゃないのだから、こういうことでは、きのうの組合長会議の空気を通じましても絶対にやれっこありませんよ。一番困るのは、指導しようとする各県の組合長なんか一番困っておる。私はきのうあなた方に対して非常にひどい言葉を吐いたかもしれません。あぐらをかいている、耕作者農民に対しては冷酷無比だというような言葉を吐きましたけれども、そういう態度の中にこそ、今私が言ったようなひどい言葉がひどい言葉として聞かれない空気がある。その点をやはり真剣に考えていただきたいと思います。  次にお伺いいたしたいと思いますが、今度の葉たばこ購入費の調達勘定の中に外国葉の葉たばこ購入費が九十八億組まれておりますが、こういった国内産の葉たばこの約四分の一の外国葉を買わなければならない理由についてお伺いいたしたいと思います。前に専売法の改正が行なわれます際に、私がお伺いしたところ、高級葉たばこの香料その他の面からどうしてもこの程度は輸入しなければならない、こういう御答弁でございました。しかし、私は、技術の向上その他の面からいたしますと同時に、やはり国内産の葉たばこを保護するという立場から——きのうも申し上げましたように、日本の現在のたばこ、ピースなりあるいはホープなりというものは、世界のどこの国のたばこに比べましても一番高級なものになっております。そういう点からいたしまして、やはりこの外国葉の購入については、国内産の葉たばこの保護の面からいたしまして相当考慮すべき時期にきておるという感じがいたすわけであります。そういう点についてはどのような方向考えておられるか、またこの程度のものを輸入しなければならない絶対的な理由があるのかどうか、製造の面とあわせて一つ副総裁のお考えをお伺いしたいと思います。
  52. 石田吉男

    ○石田説明員 具体的な数字は販売部長が持っておりますので、大体の考え方を申し上げますと、私どもは、国内で葉たばこが生産できるのでありますから、数量が足らないとか、そういう意味でやるようなものはできるだけ国内産で間に合わせたい、かように考えております。現在まで輸入しておりますものは、その補充的な意味でなしに、毎々申し上げておりますように香喫味原料ということで、こういうものを入れないといい味のたばこができない、そういう意味のものだけを輸入しております。特にこの中でもアメリカの葉が非常に多いのでございますが、昨日からお話のございました、ピースは非常にうまい、こういうお話でございましたが、このピースの中にアメリカの葉が約二割五分入っております。それで、ピースの売れ行きが上昇するにつれまして米葉の需要というものもふえて参ります。それに従って、一番おもなものは、香喫味原料としてのアメリカの葉の輸入がふえておる。この米葉はピースのほかに富士には四割も入っております。その他中級、上級の品にはかなり入っておりまして、そういうものの売れ行きがふえるにつれて輸入もふえる、こういう状況でございます。  全体としての考え方といたしましては、ただいま申し上げましたように、香喫味原料はたばこの味を維持するためにどうしても必要なものでありますので、その消費が伸びるに従って、味を落とさないようにするためには、ある程度それに伴って輸入額をふやしていかなければならぬ。ただ問題は、そういうふうにいたしますと、たとえばピースが非常に売れた場合には幾らでも輸入するのか、こういうお考えも出てくるかと思いますが、私ども、そういうことではございませんので、ある程度少ない量のうちは別でございますが、やはり相当ふえて参りますと、米葉の中でもある程度安いもので同じような目的を達するもの、あるいは、ほかの外国から、安いもので、それの代替になるようなものというふうな、いろいろな工夫もし、あるいは葉組みも考えて、なるべく外国からの輸入は少ないように努めていきたい、かように考えております。
  53. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 販売部長、具体的に……。
  54. 三枝正勝

    ○三枝説明員 大体の方針につきましてはただいま副総裁からお話しの通りでございまして、御承知の通り一番大きな数量として購入されているものはピースでございまして、ピースの購入率は二五%でございます。しかも、今年度の販売数量の見通しといたしましても、昨年の実績の百五十億に対しまして一割見当もおそらく増加するのではなかろうかというような状況でございます。その他富士につきましては四〇%の香喫味としての外国葉を購入いたしておりますし、そのほかの品種につきましても、光、ハイライト、パール、スリーエー、それぞれ外国葉を若干ずつ購入いたしておりまして、これらはすべていわゆる補充原料というような性質のものではなくて、香喫味の他に代替することのできない、いわゆる料理で申しますと味の素的な性格を有しているものでございますので、やはりこれを輸入しないということになりますと、たばこの味もそれだけ低下するというような関係にありますので、考え方としては、そういう代替性のあるものはなるべく国内で増産をすることは好ましいことでございますけれども、香喫味的なものはどうしてもその必要に応じて輸入せざるを得ないのではないか、このように考えているわけでございます。
  55. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 簡単にお伺いしますが、その代替し得べきものについての生産指導その他の点については、どの程度進捗しているのか、その年々の伸びその他について、生産部長の方からお聞かせいただきたいと思います。
  56. 坂口精

    ○坂口説明員 特別黄色種のことではないかと思いますが、ただいま、販売部長から、また副総裁からも答えましたように、何といたしましても味の豊富な葉たばこが日本にはできかねるのでございます。これは雨の多い気候のためでございまして、いろいろ試験研究機関を動員いたしまして、どうしたらアメリカの葉に近いような味が出るだろうかといろいろな研究をいたしておるのでありますけれども、どういたしましても天然の事情に差がありますために、品質の違いはなかなか人工的にはうまく参りません。ただ相当程度このアメリカ葉に近づけることは可能でございまして、瀬戸内の島嶼部等におきまして、特に肥料等でかげんをいたしますと、かなりの香味の豊かなものができますので、特別黄色種と名前をつけまして、今年で始めましてから約四年くらいになりますが、他の国内産葉たばこに比べますと、かなりの香味の芳醇なものができて参っております。これは蔵置期間を二年くらい置きませんと熟成いたしませんので、ぼつぼつ熟成したもので本格的な製造の試験がやれるという段階になって参っております。今後ともますますこの特別黄色種の研究を進めて参りたいというふうに考えております。
  57. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 時間が制約されているようでありますから、一つずつ簡単にお伺いします。  谷川さんにお伺いしたいのですけれども、生産費の問題で諸材料費が葉たばこの種類あるいは地域によりまして非常に大きな懸隔があるようであります。御承知だろうと思いますので数字は申し上げませんが、こういった面についてこれをならす方途が講ぜられているのか。これは谷川さんでも生産部長からでもどちらでもけっこうだと思いますが、一つお聞かせをいただきたいと思います。
  58. 坂口精

    ○坂口説明員 葉たばこの生産費の問題でございますか。
  59. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 そうです。
  60. 坂口精

    ○坂口説明員 最近新しい肥料や新しい農薬なんかもいろいろ出て参りまして、生産資材に非常に変動がございます。特に肥料の点では、御承知と思いますけれども、たばこは昔から菜種油かすで作らなくちゃいかぬということで、葉たばこの生産費の物財費の中で一番大きな部分を占めますのが肥料でございまして、この肥料の、特に菜種かす……。
  61. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 お話の最中ですけれども、私は肥料費と諸材料費を分けてお伺いしておりますので、諸材料費が葉たばこの種類並びに地域によって大きな開きがある——それでは具体的に申し上げますが、岩手では諸材料費の計が二千三百八十一円、これがたとえば香川におきましては八千八十二円、福井でも八千四百二十九円という工合になっております。これは肥料費と別なんですよ。それから、葉たばこの種類によっても、バーレー種なんかでは千六百三十八円、一番顕著な例がブライトエローで一万六百六十五円というような工合になっております。こういった非常に差がひど過ぎる点は一体どこにあるのか。これに対して専売公社としてはどのような指導をしておられるのか。諸材料費、これは肥料についても同様ですけれども、これを下げる方途というもの——この大きな開きの原因がどこにあって、それをどのような形で指導しておられるかということをお伺いしておるわけです。
  62. 坂口精

    ○坂口説明員 岩手県と香川県と非常に大きな開きがございますのは、これは種類の相違からきておりまして、在来種の方は特別の燃料を使いません。もう連ぼし乾燥でございます。香川県は全部黄色種でございまして、これは人工火力乾燥によって乾燥いたしますので、燃料費が非常にかかってくるわけでございます。こういった諸材料費につきましても、公社といたしましては、何とかこの節減をいたしたい、低減をいたしたいということで、試験研究機関等でいろいろ研究いたしておりますが、最近労力の節減とぶつかって参りまして、燃料費等におきましては、かえって高級な石油バーナーのようなものを使って燃料費が多少上がっても、徹夜作業なんかをやらなくても自動的に乾燥ができるというような点もございまして、必ずしもこういった諸材料費を下げるばかりが産地には受けませんので、労力を節減するという点とのかね合いでいろいろ検討を進めておるわけでございます。
  63. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 これはまた機会を改めて詳しく聞きたいと思いますが、次に、たばこ耕作組合法を制定いたしましたときに、これは副総裁もよく御存じのように、組合の運営については自主性を持たせる、限られた限度において公社が指導する。大体耕作組合自体が、交付金を、ことしも六千六百七十七万ですか受けておりますが、これは公社の仕事を代行していることに対する支出であって、決して耕作組合の自主性を云々すべきはずのものではないし、専売公社もそう考えていらっしゃると思う。ところが、実際の運営におきましては、たとえば耕作組合の規模等につきましても、私は具体的にお話し申し上げますが、私のところの垂水なんかでは、所長が非常に大きな制約を加えるような態度に出ております。こういった矛盾について副総裁はどうお考えになっておるのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
  64. 石田吉男

    ○石田説明員 新しく耕作組合法が制定されましたときも、私ども繰り返して申し上げているのでございますが、あの組合法の趣旨というものは、あの法律に基づいて各耕作組合が自主的に動けるように、ただいまお話しのような趣旨でできたものと了解しております。ただ、新法に基づいて初めて各地に耕作組合ができます際には、私ども考えておりましたことは、ある程度の規模の大きさがあれば、やはり組合費も安くて済む、負担の軽減にもなるというふうなことから、ある程度の大きさであることが必要じゃなかろうかというふうには考えておりましたが、現実に認可になっておりますのは、各地をごらんいただきますと、私たちはここだけでまとまりたいというふうなものは、ごく小さい単位でも認可になっております。従いまして、各地区の耕作者の方々が、その部分だけでうまくまとまって、われわれはこれだけでやりたいということになれば、別にそれを阻止する必要はいささかもないと思っております。従って、私どもの各地方局あるいは第一線の直接耕作者の方々に接する人たちに対しても、相当そういう面で指導はして、徹底していると思っておりますが、もしそういう具体的な事実がございますれは、よくこちらの方へお話しいただければ、私の方でも、足らないところは、むしろ一般的な方針としてよりも、個々の人のことでございますから、その個々人について十分指導して、新法の趣旨の没却されないように十分注意して参りたい、かように考えております。
  65. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 その点につきましては、具体的な問題として検討していただくということでありますので、別な機会に一つお願いをいたしたいと思います。  それから、今度農業基本法が審議されまして参院に送付されましたけれども、その中で、政府案でも、選択的拡大というようなことで、たばこの占めるウエートというものは非常に大きいのでありますが、この点は、基本法に関連した何らかの具体的な措置が準備されるのじゃないかということで、耕作農民の期待というものも大きかったと思うのであります。ところが、これに関連する法律案の提案がないし、また特別に金融措置というものが講じられたような空気もないのでありまするけれども、この基本法の通過——あるいは社会党案なり民社党案なりの行方についてはまだわからないわけでありますが、専売公社としてはこの中でどのような位置づけをされようとしておったのか、その点について具体的なお話をこの際承りたいと思います。
  66. 石田吉男

    ○石田説明員 またおしかりを受けるかもしれないのでありますが、私どもも、農業基本法の考え方というものは、ある程度勉強はいたしております。しかし、従来から、たばこの耕作につきましては、ほとんど専売公社だけがやっていたというふうなことで、地方におきましては、地方の自治団体とある程度の連絡はとっておりましたが、率直に申し上げますと、農林省とはあまり連絡をとらずにやっていたというような実情でございます。しかし、農業のあり方というものについて、政府の基本的な考え方というものがきまりますれば、当然耕作につきましても農林省あたりと十分連絡をとりまして、その中でどういうふうな位置を占めたらいいか、あるいはどういうふうなやり方をしたらいいかということを連絡をとりたいと思っております。いずれ、先ほども生産部長から申し上げましたが、中央、地方を通じて、従来私どものあまり接触していなかったような間と十分連絡をとりながら、今後の方策をきめて参りたい、現在はかように考えております。
  67. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 その点についてもいろいろ論議はございますが、他に質問者もあるようでございますので、私の質問はこれでとどめたいと思います。
  68. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長代理 次に広瀬秀吉君。
  69. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 先ほど来有馬委員からいろいろ質問があったわけですが、特に生産費の問題、昨年度に比較してたしか六・〇七%と記憶いたしますが、平均六・〇七%の引き上げ率で引き上げられたわけです。三十六年度の予算等に表われた数字を見ますと、製造たばこの売上代金の伸びも一一%、それからたばこ消費税関係でも約一〇%をこえる伸びになっておりますし、またたばこ製造費というようなものが三〇%以上も増加をいたしております。専売公社の職員は、御承知のように公共企業体等中央労働委員会の裁定の通りに一〇%上がったわけであります。ひとり耕作農民の葉たばこ収納代金だけが六・〇七%というようなことで、いろいろな数字をながめてみましても、やはりここにしわ寄せがきている、引き上げ率が少ないということが言えるわけであります。いろいろ理屈はおありでしょうけれども、こういうような数字の比較というものを公社としてはどういうようにお考えになっておるか、副総裁にまずお伺いしたい。
  70. 石田吉男

    ○石田説明員 三十六年度の収納経費に組んでありますのは、昨年度きまりました六・〇七%でございますが、この引き上げた数字を適用して組んでございます。従って、ことしきめますのは三十七年度の産業についてきめるわけでございますので、ほかのたとえば給与がどうとか販売の金額がどうとか、こういうこととは別でございます。ただ、来年度の収納価格をきめます場合に、ただいまお話しのような要素をどの程度考えるかということになろうかと思いますが、これは、御承知のように、耕作審議会に対して私どもが原案を出しますと、審議会において各方面から検討されまして、理屈はどうであっても、数字はどうであってもというお話でございますけれども、やはり一定の考え方、あるいは一定の資料というものを用いてやりますので、その際に十分検討されることというふうに考えます。
  71. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 いずれにしても、いろいろな形で、とにかく農民が作る葉たばこというものが原料になって、国庫納付金も昨年度よりもだいぶ十何%かよけいになっているはずであります。千五百億をこえておるわけであります。そういうようなこと、あるいは消費税もどんどんふえておる。こういうような中で、農民の葉たばこ収納代金に対しての引き上げ率がきわめて低い。このことは、いろいろな事情を説明されても、農民としてはどうしても納得できないわけです。従って、これらの点について、まだまだ六・〇七%ということは引き上げの率として非常に低いものだ。    〔鴨田委員長代理退席、委員長着席〕 あなた方の調査によれば大体収支が償うものだ、こういうふうに言われるかもしれませんけれども、現実にあなた方の調査のやり方等にも相当問題もあるでしょうし、そういうようなことで、どうしてもこれは納得させることができない。私たちも幾らか努力したつもりでこれだけようやく上がりましたと言っても、農家の人たちは必ずしも喜んでおりません。そのくらい引き上げられても、もうとてもたばこじゃやっていけません、こういう状態です。それで、一例を引きますけれども、今たばこ耕作をしておった人たちが、最近のはやり言葉で、選択的拡大ということで、イチゴ栽培をある程度集団的にやろうというようなことが持ち上がりました。大体反収十五万円です。これは、たばこよりも労働力は、野州ダルマが大体百人手間と言っていますが、二百人近い手間は確かにかかります。しかしながらこれは今日大体十五万円は欠けません。下手に作っても十五万円以上取れる、こういうようなことになっているわけです。葉たばこの方は、非常によごれたり、やにできたなくなったりしながら、非常に苦労してやっても、よくいってせいぜい八万円程度、これは最上の人たちです。平均でいけば五万円をちょっとこえれば普通よりいいところだという程度では、魅力がなくなるわけです。そういうことを考えていただかないと、一億八千万キロヘの増反計画というものも、これは非常にきびしい状態を迎えなければならないことになるだろうと思うのです。この点どうか一つ生産費の問題を考えられると同時に、特に適正な収益を得させることを目的とするということが専売法にも書いてあるわけですから、適正な収益を得させる、この点を十分重点に考えていただかなければならないと思いますが、専売公社としては、そういう点について適正な収益とは一体どういうものか、このことを御説明いただきたい。
  72. 坂口精

    ○坂口説明員 適正な収益と申しますのは非常にむずかしい問題でございまして、一日当たりの日当が最近非常に問題になりまして、労力多投を必要といたします葉たばこは一日当たりが少ないというような姿が出て参っておりますが、農家の収入は、一日当たりの日当も非常に大事なことではございますけれども、一反歩当たりの単位面積から家族労働報酬が幾らあるかということもまた重要な問題でなかろうかと思います。米のごときは一日が千円近くなりますか、これは一反歩当たり家族労働報酬はたしか一万九千円くらいじゃなかろうかと思います。たばこは、全種類を通じまして、一反歩当たり家族労働報酬としては三万五千円くらい上がるわけでございます。そういった単位面積当たりの家族労働報酬が幾らになるかというようなところにも相当問題がございまして、適正なる収益という問題につきましては非常にむずかしい問題であろうと思います。
  73. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 専売法に適正な報酬を得させるということを書いておきながら、非常にむずかしい問題だからわかりませんでは、これは全くたばこ専売法が泣くのであって、そういうむずかしさはあっても、専売法にちゃんと「適正な収益を得させることを旨として定めなければならない。」ということが厳粛に規定されているわけです。この点について、確たる収納代金の算定の最大の目標であるこの点をどう理解するかということが意思統一もされないで、反当たりの労働収益がどれだけというようなことを、単に一例を引いてあげられたのでは答えにならないわけです。特に最近の果樹なんかでは、反当たりの労働費として大体十万円くらいになると言っているのです。これは二百人の手間がかかると言っておりますが、一日五百円と換算しても十万円だ。これはあと資材費が四万円くらい、肥料代が一万円くらいかかるという計算を大ざっぱにいたしておりますけれども、そうしますとイチゴを作れば大体そのくらいになる。それがお互い同じ畑の中からできるわけです。それを比較して片方は三万何千円、片方は十万円、こういうことでしょう。これがはたして適正かどうかということになるわけであります。これはもちろん十五万円ばかりのものでもございません。ナシをやる。あるいはブドウをやる。しかしながら、この人たちなんかでは、特にブドウなんかでも良質のものの場合には二十万円以上も収入を上げられるというような場合もあるわけであります。そうしますと、労働収益というようなものは、一日当たり七百円にも八百円にもなるわけであります。ところが、きのう副総裁が言われたのは、今度六・〇七%の引き上げに伴って大体一日の労務費は三百七十八円程度になるのじゃないかと思っているということでありますが、これも非常に低いわけであります。こういうようなことを考えますと、これをもっと明確に反当たりどの程度の収益を得させることが適正なのかということについて、もう少しはっきりした確信のある回答をいただきたいと思うのです。
  74. 谷川宏

    ○谷川政府委員 お答え申し上げます。  たばこ専売法に書いてございます収納価格が「生産費及び物価その他の経済事情を参酌して、耕作者に適正な収益を得さぜることを旨として定めなければならない。」こう書いてございますその適正な収益と申しますと、いわゆる収益という言葉には粗収益と純収益と二つ使い分けがあるわけでございますが、この場合におきましては粗収益、すなわち十アール当たりの収納代金が適正であるかどうか、また家族労働報酬、十アール当たりの一日の自家労賃の額が、その生産に関与した土地、資本、労働の三要素との関連から見まして適正かどうかということを勘案いたしまして、決定する必要があると思うわけであります。しこうして、この「適正な収益を得させることを旨として」というのは、そういうような観点から収益を検討いたしまして、収納価格に反映させる場合に、生産費あるいは物価との関連も考えながら弾力的に考えて、できるだけあらゆる資料を求め、合理的に、農民に、耕作者にたばこの生産意欲をふるい起こさせることができるような価格にしなければいけない、かように考えます。
  75. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 結論的にいえば非常に抽象的な答えですけれども、たばこ耕作者が要するに意欲を持ってこれからもどんどんたばこを作っていこうじゃないかというような気持になるようなものだ、そういうものが適正な収益だとおっしゃるわけですが、そういう頭でほんとうに考えてくれるならば、これはけっこうだと思います。ところが、今の六・〇七%くらいの引き上げで、これはみんなそういうものをもうやっていけないということで、やめる人が依然として相当ふえておるわけです。こういうようなことについてやはりそういう実情を見れば、これは適正ではないということが言えるわけであります。そうしましたら、これからも、去年と同じように、ことしも少なくともそういう新しい観点に立って、今谷川さんがおっしゃった観点に立って、一つ生産費の引き上げを十分に検討をしていただきたいと思います。さっき副総裁はたばこの振興協議会というようなものでも作りたいということを言っていますが、これを振興する道は——農民は今経済的に非常に敏感になっております。特にたばこ耕作者の場合には、長い間専売法の非常に非民主的な運営のもとで、そういうことを言い出すということすらあまり言わなかったのですけれども、最近ではもう変わって参りました。やはり経済合理主義というようなものは非常に浸透して参りました。そういうことで耕作農民自身が全国大会まで持つような事態にきておるし、相当あっちこっち、福島あたりでも納入拒否をやろうじゃないかというところまでいっているということもかつてあったわけでありますから、そういうようなことを十分考えて、単に何々振興協議会を作ってそれでいくんだということは、これはほんのこうやくばりで当面を糊塗するだけであります。従って、根本は今谷川さんがおっしゃった適正な収益を上げさせる。それは農民が耕作意欲を持って増反に協力できるような線だ。この点を十分考えて、今後の収納代金の引き上げについて努力をしていただきたいと思うわけであります。その点特に要望をしておきたいと思います。  それから、次に角度を変えてもう一つ、農民の増反意欲といいますか、やめるというような気持の中に、今私がいろいろ申し上げたように、また有馬委員からも申し上げられたように、非常に経済的に苦しいということと同時に、そういう状態にありながら、なおかつ専売法に基づいて——これは専売制度というものからくる当然の制約かもしれませんけれども、しかしながら、必ずしも専売であるがゆえにここまで締めつけなくてもいいのではないかというような面がいろいろな面に出ていると思うのです。そういう面を考えてみまして、一番大きな問題は、やはり鑑定制度の問題だろうと思います。せっかく丹精込めて、ことしは天気もよかったし、少しは金になる、こう思って持って行ったととろが、専売公社の方は一歩先にその等級の標本決定をもっと上のところへ持っていってしまう。こういうことで思ったほどいい等級にいかなかった。ずいぶん丹精して工夫してやって、ことしこそはと思って持って行ったところが、標本の方がずっと上のところにいってしまって、これが思うほどの成績をおさめない。こういうようなことがあって、これが非常に問題になっているわけです。従って、この鑑定制度について何らかもう少し民主的な要素というものを導入するお考えはないかどうか、この点をまずお伺いしたいと思います。
  76. 石田吉男

    ○石田説明員 葉たばこの鑑定というのは、なかなかむずかしい問題でございますが、ただいまのお話の中には、鑑定のやり方の問題と、それから標本の作成の問題と、二つお話があったようでございます。標本の決定につきましては、かつては御承知のようにかなりこまかい分け方をしておりましたが、製造、用途の上、それからまた葉たばこの品質がだんだん変わって参りまして、非常にこまかい等級をたくさん設けておるということは、その整理上も困るし、それから仕事をする上の事務の簡素化といいますか、あるいはまた、その葉組みをやる上から見ましても、そう昔のようなたくさんの等級は必要としないということから、等級の数を縮めて参っております。そういうような場合には、従来の等級と実際の収入があまり変わらないようにということにめどを置きまして、相当苦心をして、従来より耕作者に不利にならないようにというふうに考えて、等級をだんだん数を減らしてきております。そういう考え方でやっております。  それから、鑑定につきましては、これはただいまちょっとお声がありましたようなことで、世界各国で全部肉眼でございまして、結局その鑑定眼の厳正なように鑑定員の訓練をするということが一番眼目であります。従いまして、鑑定の方式などにつきましても、相当大量のものを扱うものですから、かなり短時間の間に勝負をきめるというふうな、それがまた、耕作者にとっては、長い間かかって作ったものを一瞬の間にきめてしまうのはけしからぬという御不満がある。なかなかむずかしい問題でございますが、何とかしてやはりある程度——たとえば水分の問題ですと、従来手で握ってこれは多いとか少ないとか言っていた。皆さんが見ておられて納得するような一つの基準をできるだけ作っていくことが眼目であろうかと思いますが、水分につきましては、今度非常に簡単な測定器を使って、これは何%多過ぎる場合にはその測定器にかければすぐわかる。それで納得していただくというふうなこともやっております。それから、たとえば従来は鑑定をいたしますのに北光線が必要だというようなことで、その北光線でなければ葉たばこの色が変わってしまうのだというようなことでやっておりましたが、これにつきましても、お天気、あるいはそういうことのいかんにかかわらず、同じような光線のもとで見られるようにということで、光源のいろいろな工夫もしております。そういうことで、できるだけ科学的な方法を取り入れて鑑定をやっていくということが必要であろうかと思います。  ただいま申し上げておりますように、肉眼で見てそのたばこの質を鑑定するということは、相当多年の訓練も必要として参りますので、民主的にとお話しになりましたが、ただ外部の人が入ったからそれで厳正な鑑定ができる、こういうものではないのでありまして、そういう民主的な方法として、相当の技術の評価ができるこの人たちなら——われわれも信用できるし、外部の人も信用できるというふうな技術的な能力のある人ならば、これは私入っていただいていいと思いますが、そういう技術を持っている人をだれが選定するかとか、いろいろ問題はあろうかと思います。従って、これは私だけの考えでありますが、民間におかれましても、この人の技術ならだれが見ても信用できるというような方がおられるならば、民主的な一つ方法というものも考えられると思いますが、ただこの人を入れてくれというので、それを鑑定に立ち会わせて見てもらうというようなことでは、なかなか厳正な鑑定というものはむずかしかろうと思います。従いまして、できるだけ科学的な器具なりそういったものを使ってやっていくように努力して参る。おくれてきておりますけれども、一歩々々そういうふう々方向に進んで参りたいと考えております。
  77. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 関連して。  今、民間の人を入れても、もしそれが一般的に容認されるようなものであればというようなお話でございましたが、ぜひそういう方向で御検計いただきたい。たとえばたばこ耕作組合等で鑑定競技会を開きまして、民間人を養成していくというような方法もあるわけでありまして、やはり甲鑑定は専売公社の職員の方、乙鑑定は民間人というような形にしますと、今まであった不平不満というもの、あるいはその鑑定の前の日にしょうちゅうの飲ませ方が足りなかったのじゃなかろうかというふうな思い過ごしとか、そういったものがなくなるのじゃないかと思うのです。やはりそういう点で前進する方向で御検討いただきたいと思います。これは要望ですが、関連して……。
  78. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 鑑定の問題は、今お話しのように、標本をまず作成するという段階一つあるわけであります。この中にもやはり今副総裁がおっしゃったような考え方を入れるということは、非常にけっこうなことだろうと思います。そのことは、今のお話ですと、やってもいいようであります。もちろん人選の問題につきましても、これは大へん失礼でございますけれども、専売公社に勤めて十年かあるいは五年ぐらいの経験しかないという方も現実に鑑定をされておると思います。それよりも、むしろ二十年、三十年とたばこ耕作の長い経験を持って、しかも非常に優秀な成績を絶えずおさめているというような人たちがあるのです。たばこを作るというのは非常に個人差というようなものも確かにあるのです。それはいろいろ秘訣になっていて、なかなか農民に公開しないというような人なんかもあるわけなんですが、そういう人なんか非常に目が肥えているわけです。そしてそういうような経験者というのは相当その人材には決して困らぬ。ただ選出の方法等について若干問題はあろうと思いますけれども、これはやはり、耕作組合の総代会の席上なんかで、そういうようなものを選挙して選ぶとかなんとかということで、非常に優秀な人が必ず選ばれるということは、これは完全に確信を持って申し上げていいと思います。そういうようなことをやっていけば、少なくともやはりわれわれの代表が入っているんだというような形で、農民が鑑定制度に対して——収納のときに私どもときどき行くんですけれども、いつの場合でも、頭をかかえて、思ったよりも金にならなかったと言って帰ってくる連中が非常に多いわけです。大がい欲がありますから、だれしもよく売れると思ってくるわけですけれども、鑑定が予想外にきびし過ぎたり、標本があまり先走ってきまったりというようなことで、これについての不満というものが非常に多いわけです。何とかならぬものかということが農民から絶えず出されて、非常に深刻な問題になっておるわけです。それで勝手にきめられてしまう。しかも、われわれが再鑑定を出しても、おそらくもう感情を害すだけで、また、かつて再鑑定を出して、その申し立て通りにたとえば上級に改まったというような例は、専売制度始まって以来ほとんど絶無にひとしいということを聞いております。しかも、その鑑定がかえって前よりも悪いような状態になるというようなことにでももしなった場合には、その費用まで全部弁償だ、こういうようなことが専売法にも書いてあるわけです。だから、とても不満であっても、再鑑定申し立ては、まず第一にお役人さんの方がおそろしくて出せないという気持が農民にあります。それと同時に、それでまた失敗して費用まで弁償させられたんじゃかなわぬ、泣きつらにハチだというようなことになって、そういうせっかくの制度があって、一応若干の民主的な体制というものはとっておりまするけれども、これは全くの有名無実の空文になっておるわけであります。だから、そういうようなものを何とか考えてやるということがなければならないと思うのですが、特に標本決定等の場合に、少なくとも今作付をしているものの納入の時期、ここらあたりまでに何とか——少なくとも標本決定の際に、農民代表を何らか工夫してもらって、適正な者を加えるというようなことはやられるおつもりでございますか。
  79. 坂口精

    ○坂口説明員 標本は本社におきまして査定をいたしておりますが、必ず耕作者代表の方々の立ち会いを求めまして、そして自由に意見を述べていただきまして、その意見も十分こっちが取り入れまして、公社がきめると申しますか、耕作団体あるいは農民代表の方等が全部立ち会われまして、両方できめておる、現在がそういう格好でございます。  それから、鑑定につきましてただいま副総裁がお答えいたしましたが、この鑑定は、二人の鑑定員が、全くだれのたばこかわからない仕組みになっておりまして、単独に一人々々が発意をいたしまして、ボタン押すなり針を動かすなりいたしまして、甲の鑑定で二等と見た、乙の鑑定も二等と見た、それが単独に発意をいたしまして一致したときに初めて等級がきまる、こういう制度にいたしておりますので、これはだれのたばこであるとか、あるいはそういった不公平なことのできない仕組みにはいたしておるわけでございます。
  80. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 標本決定の際に農民代表を立ち会わしているということですが、単に立ち会いですか。それが一つ。それから、その農民代表というのは、たばこ耕作組合ですか、これの代表者というような人たちを立ち会わしているのですか。どういう人を選んでおりますか。そしてその人たちが相当意見を述べておるのが実情ですか、どうですか。
  81. 坂口精

    ○坂口説明員 公社としてどなたが立ち会っていただきたいというふうに指名なんかは全然いたしておりませんが、耕作団体の方から代表が毎年参られるわけです。耕作団体の方で人選をいたしまして、代表として立ち会われるわけであります。
  82. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 その点で、今のやり方ではやはり画龍点睛を欠いていると思うのです。なるほど農民代表を立ち会わしたということで、前よりは相当前進したとおっしゃるかもしれませんけれども、やはり正式に標本を決定する際に、単に立ち会いじゃなくて、査定委員会というようなもので、そこで査定委員になって、農民代表がやはり専売公社から出られる委員と対等の立場で意見も言う。これは少し標本がよ過ぎて、なかなかここまでのものはないのじゃないかというようなことがどんどん言えて、そして決定に参加させるという建前をとらなければ、これは画龍点睛を欠く措置だと思うのです。そこまで前進される気持はありますか。
  83. 坂口精

    ○坂口説明員 大体現在やっておりますのは、どんどん意見を述べていただきまして、それでまたこちらもそれについて説明をいたしまして決定をいたしておるのでございます。正式の査定委員会といったようなものではございませんけれども、耕作組合から相当人数の代表の方が見えまして、ほんとうにフランクに思った通りの意見を吐いていただきまして、公社もこれについていろいろ説明をいたしまして決定をいたしておるような状況でございます。
  84. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 ぜひ一つこの査定委員会というような形でもう一歩前進をさしていただいて、おれは立ち会いだということで軽い気持じゃなしに、ほんとうに農民の作ったものが適正に評価をされ適正に売られるのだという使命感のようなものは、やっぱり単に立ち会いというのじゃ出てこないと思うのです。査定委員というようなことで正式に委嘱するなり何なりされて、それを取り上げるかまえをとる、そういう形にならなければ、これは本物じゃないと思います。ただ意見をだいぶ言っていますというだけでは、これは正しい標本作成の担保にはならぬじゃないか、かように思うわけです。そこのところをもう一歩前進させる道をぜひ考えていただきたいと思うわけです。  それから、収納時の鑑定の際は農民代表が立ち会っておりますか。
  85. 坂口精

    ○坂口説明員 収納のときの鑑定台のうしろにたくさんの人が立ちますと、葉たばこの鑑定で一番大事なのは光線でございまして、鑑定に非常に支障を来たしますので、大体代表の方、本人が立ちたければ御本人、あるいは組合長さん、総代さん、どなたか一つ立ち会ってくれということで立っていただいております。ただ、みだりに入られますと、非常に暗くなりまして、鑑定に非常に支障がございますので、制限はいたしておりますが、どなたか代表が立って見ておるというふうに運営さしております。
  86. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 その点で、たばこ耕作組合長というような人は、これはもう農民の目から見ると——代表を選ぶのにはいろいろまた問題があるでしょうけれども、組合長というと、専売公社の係員の延長みたいに農民はとっているのですよ、現実には。そうしますと、再鑑定を一つ申し入れたいなと思っても、あの組合長さんも専売公社の方も同じようなものだからということで控えてしまうようなことは非常に多いわけです。ところが、やっぱり自分たちで、たとえばさっき私が試案のようなものを申し上げましたけれども、非常に信用川の厚い人が選ばれて、おれたちの代表になってあそこに立ってくれるのだというような者が選ばれるとするならば、不満があればすなおに再鑑定の申し立てもできる。そういうふうな点についても一つ工夫をこらしていただきたいと思うわけですが、この点いかがですか。
  87. 坂口精

    ○坂口説明員 今後そういった問題につきまして、部内でも何とか耕作者の方々の要望にこたえなければならぬということでいろいろ検討はいたしておりますが、さっき副総裁から答えましたように、民間の方々で、ほんとうにたくさんの耕作者から信頼を得られる鑑定眼識をお持ちの方が所要の人数だけございますならば、これはもう民間の方々に参加していただいてけっこうと思っております。ただ、非常にたくさんの人数が要りますために、この点で非常にむずかしかろうと思いますのと、それから、何と申しましても、この葉たばこの鑑定は厳正であるとともに公平でなければなりません。一番問題になりますのは、不公平だということが耕作者からよく出るのでありますが、民間の方がお入りになった場合、ほんとうに百人が百人の耕作者に納得のいく公平な鑑定がやっていただけるかどうか、その点が非常に心配になるわけであります。それから、三十年の耕作の経験がある、こういうことをおっしゃいましても、自分の葉だけ、あるいは自分の部落の近所のたばこを三十年間ずっとごらんになっているということでございまして、一つの種類で一つの土壌で大体自分のところの乾燥法で長年の経験をお持ちになるということでございまして、鑑定をやっておりますのは、全国から東京に集めまして、長い経験の上に、全国のたばこについて鑑定練習を繰り返し、何回となしにいろいろな講習会を開きまして、縦横ともに非常に広い鑑定眼識を持たしているわけでございます。非常に葉たばこの品質は個人差がございます。特に土壌なんか違いますと非常に変わったものができて参ります。また、その年の気候によりまして、あるいは病害を受けるとか、あるいは長雨の害とか、そういった場合に葉たばこに現われて参ります品質をどういうふうに見ていくかということになりますと、ただ一カ所で長年たばこを作っておって、たばこについては神様のような方だと申しましても、その鑑定眼識の点につきましては、なかなかむずかしい問題もございまして、民間の方に御参加いただくという問題はずいぶん前から検討はしておりますけれども、現在のところ非常に困難でございまして、実現していないような状態でございます。
  88. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 今いろいろおっしゃいましたけれども、たばこ耕作者も、専売公社のいろいろな指導なんかもありまして、決して自分のうちのたばこだけを見てそれだけでやっているなんていう人はおりません。やはりあちこち歩いていますよ。それで、売る場所に行きましても、お前のをちょっと見せろというようなことで出し合って見せたり、それから、しろの作り方も、種のまき方も、相当あっちに行ったり、こっちに来たりして、いいところがあると研究して歩いている。こういうようなことが非常にたばこの場合多いのです。稲作りの場合なんかそういう事態はないのですけれども、たばこ耕作者というのは、専売公社の指導よろしきを得たのだろうと思いますけれども、かなり広範囲にあっちに行ってみたり、あるいはこっちの技術と交流するというようなことが非常によく行なわれているのです。従って、そう視野が狭いということばかり強調されずに、そういう点は、三十年も四十年も親代々やっているというような人なんかほんとうにあらゆるものを見ています。栃木県の人が鹿児島まで行って見るというようなことはできません。しかしながら、少なくともその管内の収納場において、あそこの部落のたばこにはどういう特徴があるかということは、長いことやっておりますから、もう知り尽くしております。だから、そういうことをあまり心配されずに、適正な形で選ばれるならば——あまりたくさんでも困りますけれども、人数を五名なら五名、三名なら三名という形にして、そういうものを立ち会わせることがけっこうだという指導をどんどんやっていかれてやってみたらよろしいと思う。これをぜひ一つやっていただきたいと思うのです。  それから、査定の場合です。収穫前の査定の場合、これに対する異議の申し立て、それから鑑定に対する再鑑定の異議の申し立てというようなものについて、それが合わなかった場合に費用を負担させるというような条項は、今日のたばこ専売法の中で一番えげつない条項だと私どもは思っておるし、こういうようなことがあるから、専売法によって百姓は非常に締めつけられているのだということ、必要以上に非民主性があるのだということを言う一つの大きな原因になっておる。これは何とか削除しても、現実の問題として、それほど再鑑定の申し立てを乱用というまでにどんどんやってくるということはないと思います。それにもかかわらず、こういうようなことできちっとかたいワクをはめておどかしている。いわば一種のおどかしになっております。こういうものが農民の感情を非常に害しておるわけでありますから、これを法律から削除する、こういうお考えにぜひなっていただきたいと思うのですが、この点いかがですか。これは大蔵省の方から一つお伺いをしたいと思います。
  89. 谷川宏

    ○谷川政府委員 ごもっともなお話だと思いますけれども、この法律の規定をすぐ削除するということはむずかしいと思います。再鑑定あるいは再査定ということは、ちょうど裁判と同じような性格を持っておりますので、一般民事の裁判でありましても、負けた場合には負けた人が費用を負担するという建前になっておることとの関連におきまして、今のところはこういう法律構成が適当であろう、かように考えております。
  90. 武藤山治

    ○武藤委員 関連して。  三十七年産の収納価格はバルクライン方式でいくか従来のパリティ計算でいくか、その点簡単に伺いたいと思います。生産費及び所得補償方式という計算方法でいくのか、それとも従来のパリティ指数を主にした収納価格でいくか、その考え方をちょっと聞きたいのです。
  91. 石田吉男

    ○石田説明員 三十七年産の葉たばこの収納価格の決定につきましては、いずれ今年の下期に開かれます耕作審議会の御意見を伺ってきめるわけでございます。そのときにどういうことになりますか、私ども今のところ予想できないのでありますが、御参考までに三十六年度の決定した方式を申し上げますと、式を二つ使いまして、一つは出産費からはじき出した式でございます。もう一つはたばこと他の農産物とのバランスを得させるための式、式の作り方や数字のとり方はいろいろ問題があろうかと思いますが、その両方の式をかみ合わせて計算したのが三十六年産の収納価格でございます。
  92. 武藤山治

    ○武藤委員 そこで、要望として申し上げたいのでありますが、今政府は選択的拡大ということを農民に指導しておる。特に本年から大麦、裸麦を一年間に十二万町歩やめなさい、やめたものには補助金を上げますよ、こういう形で採算のとれない農産物はやめる傾向にあるわけです。そのかわり果樹とか酪農そういうものに非常に力を注いでおるわけであります。そこで、今の収納価格を決定する他の農産物価格の比較、その場合に本年産のは大麦、裸麦が入っておるわけです。これが入っておるためにそういう収納価格を低下させておるわけです。そこで、こういう政府の基本的な選択的拡大という方向に沿って考える場合には、当然三十七年産の収納価格は大麦、裸麦を除外すべきである。その他、政府が奨励しないような、やめさせていこうとするような農産物の価格は計算に入れない、そういう考慮が当然必要だと思うのです。そこで、そういう点について一言参考のためにお考えを聞いておきたい。
  93. 石田吉男

    ○石田説明員 他の農産物との均衡ということにつきましては、その方式をとらない前からもいろいろ考えておったことでございます。その際、耕作審議会におきましては、いつも、たとえば一年だけとった場合には、その一年では正常なバランスではないじゃないか、もっと期間を延ばしてとったらどうか。それから、ただいまお話しのように、大体耕作者側の御意見は、その年にあれが入っていると不利なようなものは除こう、こういう御意見が出るのでありますが、そういうことで一ぺんきめたものをいつまでも墨守しておるということではありません。耕作審議会に出ました耕作者なり私の方なりの意見を、中立委員と申しますか、学識経験者がそのときの情勢なりをいろいろ判断して、これを入れたらいいとか、これは除くとかいうことを御決定になるのであります。
  94. 武藤山治

    ○武藤委員 そういう決定をする方法はわかっておる。しかし、問題は、政府が一番力を入れておる、大麦、裸麦をとにかくやめさせていこう、減反をしていこう、こういう傾向の農産物を収納価格のファクターに入れられたのでは困る。これは当然理屈が通ると思う。今の副総裁の答弁では、農民は有利なように、一年間だけ不利なものはとりはずしていけと言うけれども、そういう形では私は反駁ができない。もっと大きな日本農業の転換という、至上命令があるわけですよ。そういう今の趨勢の中にある来年度のたばこの価格の決定ということは、大麦、裸麦なんというものは十分ここで決定できる程度の情勢にあると思う。そういう点を十分今後腹におさめて、審議会の際には一つ積極的に公社の方からもそういう点を主張してもらいたい、そうして農民の立場や要望を十分組み入れてもらいたい、こういう要望を申し上げておきます。
  95. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 最後に、一つだけ。谷川さんからお答えがあったわけですけれども、専売法の建前からいって、この再鑑定に対する審議というものはいわば裁判的な性格だ、こうおっしゃるのですが、はたして実態が裁判的なものであったにしても、しかし、その費用を弁償させるかどうかということは当然別な——裁判制度において敗訴した方が費用を負担するということは原則になっておりまするけれども、そこまで何も専売の、特に公社が、今までの立場でいけば、一方的な標本を作り、一方的な鑑定をやってきている、それに対してどうも不満だというのでそれを申し立てた、そして再鑑定になったというそのことを審議するのが裁判と全く同じだとして、それに準じた費用の弁償までさせるのだ、こういうようなことの中には、はしなくも専売法の性格は非常に非民主的なものがあるという私の言ったことを裏づける考えというものがひそんでいると思います。それは、この政府機関がやることに対して、お前たちは従えばいい、それに反旗を翻すやつはふらちものだというような、従ってそれに対する処罰的な意味がこの中に含まれていると考えられてならないわけだし、農民もそう理解しているわけです。そういうことになりますので、この点はそういうしゃくし定木なことでなしに、もう一ぺん考え直していただきたいと思います。この点については、大久保政務次官もたばこ耕作地帯から出られているわけで、そういう農民の不満というものも聞いておられるだろうと思いますが、全く検討するに値しない議論であるかどうか、検討する気持があるかどうか、この点を一つお伺いしたい。
  96. 谷川宏

    ○谷川政府委員 ごもっともな御意見でございますので、十分検討いたしまして処理したいと思います。
  97. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 ただいま監理官が申しましたのと同様でございます。
  98. 足立篤郎

    足立委員長 本案に対する質疑はこれにて終了いたします。     —————————————
  99. 足立篤郎

    足立委員長 なお、本案に対しましては討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。  採決いたします。  本案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 足立篤郎

    足立委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案の通り可決いたしました。  なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 足立篤郎

    足立委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。      ————◇—————
  102. 足立篤郎

    足立委員長 この際理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事であります有馬輝武君及び堀昌雄君よりそれぞれ理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 足立篤郎

    足立委員長 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。  続いて理事補欠選任を行ないますが、先例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 足立篤郎

    足立委員長 御異議なしと認めます。  それでは、委員長において、辻原弘市君及び横山利秋君を理事に指名いたします。  次回は来たる十六日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十一分散会      ————◇—————