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1961-03-31 第38回国会 衆議院 大蔵委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月三十一日(金曜日)     午後一時二十七分開議  出席委員    委員長 足立 篤郎君    理事 鴨田 宗一君 理事 黒金 泰美君    理事 細田 義安君 理事 毛利 松平君    理事 山中 貞則君 理事 有馬 輝武君    理事 平岡忠次郎君 理事 堀  昌雄君       天野 公義君    岡田 修一君       川村善八郎君    簡牛 凡夫君       藏内 修治君    田澤 吉郎君       高田 富與君    津雲 國利君       塚田十一郎君    藤井 勝志君       米山 恒治君    佐藤觀次郎君       田原 春次君    辻原 弘市君       広瀬 秀吉君    藤原豊次郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  大久保武雄君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      上村 英男君         林野庁長官   山崎  齊君  委員外出席者         農 林 技 官         (林野庁業務部         長)      植杉 哲夫君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 三月二十九日  公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する  法律案内閣提出第二一号)(参議院送付) 同日  農業協同組合に対する法人税課税免除等に関す  る請願首藤新八紹介)(第一八〇二号)  国税庁の勤務条件改善等に関する請願外十件(  島上善五郎紹介)(第一八五一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第五一号)  国民年金特別会計法案内閣提出第九五号)      ————◇—————
  2. 足立篤郎

    足立委員長 これより会議を開きます。  国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案及び国民年金特別会計法案内閣提出第九五号)の両案を一括して議題といたします。  質疑の通告があります。これを許します。有馬輝武君。
  3. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 最初業務部長にお伺いいたしますが、本委員会提案になっております国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案と、それから農林水産委員会にかかっておりますところの森林開発公団法の一部を改正する法律案並び公有林野作官造林法廃止する法律案との関連についてであります。   〔委員長退席鴨田委員長代理着席国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案が通過いたしまして、一方農林水産委員会でただいま申し上げました二法案が流れました場合の措置はどういう工合になるのか。この点について最初伺いしておきたいと存じます。もう少し具体的にお伺いいたしまするならば、官行造林はそのまま継続されていく。しかも予算はない。一方公団ではその仕事をやる。この関連について農林省当局としてはどのようにお考えになっておるのか、この点をお伺いいたしておるわけであります。
  4. 植杉哲夫

    植杉説明員 この特別会計法通りまして、農林水産委員会で御審議を願っております官行造林法廃止森林開発公団法の一部改正が通らなかったという場合のことでございますが、官行造林法通りません場合には、結局現在の百行造林法が生きておりまして、この進行の形はとれるわけでありますが、ただ予算の上におきまして官行造林の新植が全然組まれておらないということになりますので、この点がいわば問題点になるわけでありますが、そのほかの伐採なり販売なりあるいは造林の済みました個所の保育なりにつきましては進行ができるわけであります。
  5. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 そういたしますと、とにかく新植ということは、これは今度の国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案なりあるいは森林開発公団法改正なりというものが、造林に主体を置く、水源造林公団にやらせる、今までの林野庁では拡大する造林事業その他に適応できないから今度の改正をやるのだという——人為的にもこの拡大する仕事に対応できないということが、今度の本法律案提案理由趣旨になっておったと理解いたします。そうであるといたしますならば、とにかく新植ということが造林の一番大きな課題でありますが、それがもし、今言いましたようにこれは仮定の問題でありますけれども、向こうが通らなければその一番重要なファクターが抜ける。非常に緊密な三位一体の法律案であることは十二分に御承知の上で御提案になっておるわけでございますね。
  6. 植杉哲夫

    植杉説明員 先生の御指摘通りでございまして、この三つ法律一つの組み合わせを持っておるわけでございまするが、そういう観点で、先ほどお話がございましたような官行造林法廃止公団法の一部改正というものがもし国会を通過しなかったというようなことがありました場合には、今先生の御指摘になりましたような非常な支障を来たすわけでございます。
  7. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 その前提の上に立ちまして、本三法律案提案されました趣旨にのっとりまして、私は、その森林開発公団林野庁が期待されるような仕事ができるかどうか、特に国土保全立場からも非常に重要な問題でありまするし、また新しく発足する公団ではありませんので、現在までの森林開発公団が行なって参りました仕事の展望の上に立って、本法律案審査を進めさせていただきたいと思うわけであります。それで各般の問題について今からお伺いをいたしたいと存じます。  なお、先日の委員会におきまして、補助なり融資なりの問題等につきましては清井総裁からもお伺いいたしましたし、その節あわせまして国有林野事業特別会計企業性の問題、いわゆる政経分離問題等についての清井さんのお考えを伺ったわけであります。弾力性を持たせるという点について清井さんが覆われようとする意味については理解しないでもないわけでありますけれども、私どもの立場からいたしますと問題なきを得ません。そういう意味で、本日は林野庁当局からこの点に関しましてもお伺いをいたしたいと思います。  最初に、最近年におきます——これは三十四年度でも三十五年度でもけっこうでございますが、民有林年間伐採帯生長量、現在の面積造林計画、そして生長量から見たところの適正な年間伐採量をどのように考えておられるか、これをお教えいただきたいと思います。
  8. 植杉哲夫

    植杉説明員 ただいまの先生お話民有林のことでございますね。今伐採面積等の具体的な資料の手持ちがございませんが、生長量伐採量関係につきましては、民有林生長量に対する伐採量がどうなっておるかと申しますと、最近大体この生長量の一六〇%程度、過伐ということになりますか、そういう状態にございます。ただしかし、御承知のように、民有林の場合にはこの森林計画制度がかなり進展したわけでございますけれども、いわゆる林力の諸調査なんというものにつきましてまだ十分でございませんので、そういった点におきましては、この生長量そのものにつきましても非常に的確なものだということにはなりかねるかもしれませんが、大体つかんでおります生長量に比較いたしまして、一六〇%程度伐採量になっているというような状態でございます。これに対しまして、将来の問題といたしましては、最近民有林におきまする造林の量が非常に高まって参っておりますので、これに対して補助造林なり融資造林なりあるいは分収造林なりというようないろいろな方法をもちまして、その推進をはかっておるわけでございまして、最近非常に造林完成率が高まっておりまして、そういった面からする将来の生長量増大というものは、かなり期待ができるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  9. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 それでは、今の問題に関連いたしましてお伺いいたしますけれども、それは現在の木材需給事情と将来の見通しについてであります。この点につきましては輸入が飛躍的に増大いたしておりまして、二十九年で大体金額にいたしまして四千八百万ドル、それが三十年で六千二百万ドル、八千百万ドル、七千九百万ドル、八千八百万ドル、三十四年には一億三千五百万ドルと急激に増大いたしておるようであります。このテンポでやはり輸入についても増大していくのかどうか。それと関連いたしまして、最近の木材価格の暴騰は異常なものがありまして、前代未聞だとかいう工合に聞いております。その金額につきましては御承知通りでありますが、このような状態に即応するために、林野庁当局としては、この伐採量の問題について年間伐採量をどのように評価しておられるのか。その伐採量生長量との、これは国有林野の場合も含めましてお聞かせをいただきたいと思うのでございます。それと同時に、それだけでこの急騰する価格を安定させることができるのかどうか。この点についてあわせてお答えをいただきたいと思います。
  10. 植杉哲夫

    植杉説明員 木材価格が非常に高くなって参りました傾向等につきましては、先生指摘通りでございます。これに対しまして林野庁といたしましてもいろいろ対策考えておるわけでございまするが、この早急の対策といたしましては、やはりこの価格を安定させようというような問題、あるいは需給アンバラをできるだけ縮めて参るというような施策になるわけでございますが、こういうものに対しまして直ちにきめ手と申しますか、どうすると言うことができますものは、やはり国有林中心になるわけでございます。従いまして、国有林に対しましては、先般経済企画庁から発表になっておりますような一つ増産対策生産増強対策というようなものにつきましても、今林野庁といたしまして具体的に検討いたしておるわけでございますが、その内容はもうすでに御承知いただいておる通りだと思うわけでございます。三十六年度におきまして、この三十五年度伐採量に対する二百万立方の素材の増産というようなことを中心にいたしまして、今経営計画を具体的に再検討いたしまして、そういったような問題でこの伐採量増大を期待する操作をいたしておるようなわけでございます。さらに、これに対しまして、輸入につきましても、経済企画庁の案によりましては、百万立方ということになっておりますが、そういったようなものを漸次推進して参る。さらに、パルプ資材というようなものにつきましては、チップを倍増して参るというようなこと等を考えまして、この当面の木材価格の高騰に備えて参ることを考えておるわけでございます。  それで、この伐採量生長量のそういった場合の関係でございますが、民有林につきましては、直ちに指令を発して幾ら増大するということはなかなか困難なことでございまして、そういった行政的な指導をして参るということになるわけでございますが、国有林におきましては、この三十三年度来生産力増強計画というものを立てまして、国有林体質改善をいたしておるわけでございます。さらに、今後当分この二百万立方といったようなこと、これは立木にいたしますと約三百万立方ということになるわけでございますが、そういうものは来年一年だけでいい、いわゆる三十六年度一年だけでいいという問題ではございませんので、これを相当計画的に考えて参らなければいかぬということになるわけでございますが、それに対しましては、三つの大きい方向を選んでおるわけでございます。その一つは、造林計画におきまして拡大造林を、将来国有林が三百二十万町歩になる造林面積、そういうものを計画しておるのでございますが、これをさらに増大できるかどうかというような問題、それから造林技術の革新をはかりまして、いわゆる技術、品種改良なり、肥料の問題なりというようなものをいろいろ研究いたしまして、これによって将来の生長量増大をはかるというような問題、それらに対する予算措置というようなことを考え合わせまして、ただいま具体的に検討に入っておるわけでございます。
  11. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 ただいま具体的に検討に入っておるというお話でございましたが、先ほども申し上げましたように、最近の木材価上がりというものは常識では考えられないんですね。御承知のように、とにかく東京木材市場の出来値を、ことしの初めとそれから二月の二十四日とを比較してみますと、一石当たりで杉の場合に三メートル、九センチ角で五千二百円が六千五百円にたっておる。ヒノキの場合には、長さ四メートル、十センチ角で五千四百円が六千八百円、二割五分も上がっておるような状態で、それが横ばいを続けるかというと、決してそうじゃないんでして、ますますこれはしり上がりするような、しかもそのテンポが非常に早い。これは木材市場ですべての人たちが認めておるところでありまして、たとえば建築請負業者がその建築見積もりをするのに、一週間以上先の見積もりはできないというわけなんです。そういう状態になっておるのに、今部長がおっしゃったようなことでこの木材の値上がりを抑制できるかどうか、私は疑問なきを得ないと思うのであります。その点についてどうでございますか。
  12. 植杉哲夫

    植杉説明員 国有林増産、それだけで今先生の御指摘木材価格の問題が全部解決するというふうなことは、なかなか困難ではないかと思われるわけでございますが、ただいま検討していると申し上げましたのは、これはゆっくり考えているという考え方ではございませんので、実はこの基本問題の答申がありましてから、さっそくそういうものの方向をも考え合わせながら具体的に検討に入っておったのでございますが、最近の事情からいたしまして、四月一ぱいくらいには三十六年度伐採量確定、あるいは実行の具体的な方針をきめたい、こういうふうなことを考えておるわけでございます。
  13. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 その伐採計画をきめられまして、はたしてこの急騰するあれが押えられるかという問題と、いま一つは、この相場の状況からいたしまして、先ほど部長民有林伐採について行政指導するとおっしゃいましたけれども、私は、この空気からいたしまして、どんな強力な行政指導をやっても、伐採意欲というものは起こってこないのじゃないか、このように考えるのですが、こういった見通しは誤りですか。
  14. 植杉哲夫

    植杉説明員 民有林伐採あるいはそれに引き続きます造林というようなものにつきましては、従来この値段が上がりますと、いわゆる山持ちの方々は間に合うから切らないというようなお話がずいぶんあるわけでございますが、最近におきましては、この民有林経営案指導というようなものも相当行き渡りまして、いわゆる森林計画的な経営というようなところに相当力点が移っているわけでございまして、ただ単に山林所有者が財産としてだけこれを持っているということから、いわゆる林業経営という立場でそういうものを考えて参るような方向にかなり強く進んできているのではなかろうかと思われるのでございます。また、この跡地の造林意欲につきましても近年非常に目立つのでございまして、融資等に対する活用の面というものから考えましても、相当そういった面が進められて参っておるわけでございます。そういうふうに考えられますので、民有林における経営計画に従う、いわゆる林業経営としての正常な進み方というものは、かなり期待できるのではないかと考えております。
  15. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 正常な生長ということをおっしゃるわけですけれども、それこそ普通の場合ですね。今おっしゃったように、経営計画というものが民有林の場合にも立てられておるでありましょうけれども、先ほど申し上げましたような事情の中で、私はなかなか今おっしゃったような空気は生まれてこないのじゃないか、むしろ逆な方向に現在進みつつあるという工合考えておるのですけれども、その点どうでございますか、重ねて林野庁としての考え方をお聞かせ願いたいと思います。それと、そういった行政指導でもって、あるいは輸入計画でもって、あるいは国有林伐採でもって、少なくとも短期間においてこの急騰に対して何らかの押えはきかせるのだという自信を持っていらっしゃるのかどうか、この点についてもあわせてお答えをいただきたいと思います。
  16. 植杉哲夫

    植杉説明員 木材価格の問題につきましての先生の今の御指摘のような大問題でございますが、これは林野庁施策それ自体だけで全部が解決するというふうには考えておらないのでございまして、その点は先ほど申し上げた通りでございますが、この国有林伐採、これはまあ計画的に、しかも今具体的な資料が出て参るわけでございまして、そういうもので完全にこれは確保できるというふうに考えております。民有林につきましても、先ほど申し上げましたように、経営としての林業というものの方向相当打ち出されておりますので、かなりそういった面も期待できるのではないかというふうに思われます。さらに、これは林業生産の面だけでそういうものが達成されるというようなものではないのでございまして、これを使う業界等におきましても、やはりそういう方向をとっていただくということも必要ではないかと思うのでありますが、パルプ業界等におきましては、すでに自主的な、いわゆる統制とまではいかないかと思いますが、工場拡張その他に対しまする一つの自主的な話し合いと申しますか、そういったようなことを進めまして、いわゆる過当競争的なものが出てこないような自粛態勢のようなものも進められておりますので、そういったようなことが相待ってかなり緩和されて参るのじゃなかろうかと考えておるのでございます。ただ、林野行政そのものだけで、全部木材価格あるいは需給アンバラの問題が解決する、こういうふうには考えられないのじゃなかろうかと思っております。
  17. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今需給アンバラ是正についてのはっきりした見通しをお聞かせ願えなかったのでありますが、林野庁としては、私が聞き及びます限り、昭和七十年までの長期計画を組まれまして、その中で五カ年計画というものを策定しておられるやに聞いております。そういう点につきまして、資源対策保全政策の面から、その長期計画についてこの際お聞かせをいただきたいと思います。
  18. 植杉哲夫

    植杉説明員 ただいま五カ年の需給計画の詳細なものを持っておりませんので、書類で提出させていただきます。
  19. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 それでは、この審査はなお火曜日まで続けられる予定になっておりますから、それまでには今の計画についてお出しをいただきたいと存じます。  次にお伺いしたいと思いますのは、ただいまも部長からお話しになりましたパルプ会社等の自主的な規制の問題であります。この点に関連いたしまして、パルプ会社分収造林契約当事者となっております場合に、造林木優先買収等を通じまして山林所有者の利益が不当に侵害されておる事実があるのじゃないかと思いますが、この点についての林野庁当局指導といいますか、そういう面について現在までどのようになされてきたか、これについてお聞かせをいただきたいと思います。
  20. 植杉哲夫

    植杉説明員 最近分収造林が出ましてから、パルプ会社が費用の負担者になります分収造林契約というものも若干進められておるわけでございますが、しかしその間におきましてまだ分収等の事実が出てきておりませんので、そういう点につきましてはどういうことになっておりますか。いわゆる分収歩合等の諸契約内容において不当に侵害されているようなことはないのではないかというふうに考えております。
  21. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 次にお伺いしたいのは、市町村有林に対する造林計画、この指導、そして現在までの実績について、大まかでけっこうでございますから、お聞かせをいただきたいと思います。
  22. 植杉哲夫

    植杉説明員 先生にちょっとお尋ねいたしますが、それは分収造林だけについてでございますか。
  23. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 そうです。
  24. 植杉哲夫

    植杉説明員 分収造林は、三十五年度の統計がまだ出ておらないのでございますが、三十三年度には、市町村を対象といたしましたいわゆる分収造林というものは八千一百ヘクタール余り、三十四年には六千一百ヘクタール余り行なわれておるわけでございます。
  25. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 県の場合はどうなっておりますか。
  26. 植杉哲夫

    植杉説明員 県の場合におきましては、三十三年度八十ヘクタール、三十四年度二百八十ヘクタールでございまして、まだ大へん少ない数字でございます。
  27. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 次にお伺いいたしますが、造林事業単価といいますか、これを一般的な傾向についてお教えをいただきたいと思います。
  28. 植杉哲夫

    植杉説明員 造林事業単価は、立地条件によりまして、あるいは地方の労務事情というようなものによりまして、相当格差があるのでございますが、大体のところ、全国的にならして申し上げますと、四万円前後になろうかと思っております。これは新植だけでございます。
  29. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 それからあわせまして最高と最低一つ……。
  30. 植杉哲夫

    植杉説明員 非常に安いと申しますか、最低と申しますか、そういったものにつきましては大体三万円ぐらいじゃないかと思いますが、特に高い、いわゆる山岳地の非常な地ごしらえの困難なところと根曲がり竹等の非常に繁茂をしておるというようなところにつきましては六、七万、場所によりましては八万くらいかかるのじゃないかと思いますが、これはその条件によりまして非常に差が出て参りますので、明確な数字は申し上げかねます。
  31. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 長官がお見えになりましのでお伺いいたしますが、水源林造成事業が現在までにとの程度進捗をしておるのか、この点についてお聞かせ願うと同時に、今後の計画全体についてお聞かせをいただきたいと思います。
  32. 山崎齊

    山崎政府委員 民有林水源造林につきましては、三十五年度まででありますが、約五万町歩実施いたしました。今後二十三万二千町歩を実施するという計画であります。
  33. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 それは何年計画ですか。
  34. 山崎齊

    山崎政府委員 二十三万二千町歩造林を三十六年度から九カ年で実施したいという考え方であります。
  35. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今度の官行造林廃止につきまして、一つのまた大きな理由といたしまして、このような大規模造林を行なうには現在の林野庁人員規模ではなかなか手が回りかわるという御説明予算委員会においてなされたのでありますが、現在の方式で続けます場合に、どの程度職員をふやさなければならぬのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
  36. 山崎齊

    山崎政府委員 今後水源林地帯造林というものを従来通り官行造林という様式でやるというふうに考えました場合に、必要とする人数は約千人くらいのものであるというふうに考えております。ただ、御存じ通り、今後行なおうといたしております水源林地帯造林というものは、一団地当たり面積が非常に小さいというような問題に相なっておるのでありまして、しかも従来の国有林の管理、経営のための組織と申しますか、監督その他のいろいろな組織があるわけでありますが、そういうものと関連を持ちにくいような地点に、しかもこういうものが相当あるというようなところに問題点があるわけでありますが、人数だけの点から申し上げますと、今申し上げました通り約千人というふうにお考え願いたいと思います。
  37. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今のに関連しまして、これは林政課長からでもけっこうでございますが、今後の定員常勤人たち常勤的非常勤人たち、こういった人たち繰り入れが行なわれました。こういった人たちによって千人程度仕事はできるのじゃないかというような気もするわけですが、今度の常勤非常勤人たち、今度繰り入れられた人数と、それからそれを補充される意思があるのかどうか、ここら辺についてお聞かせいただきたいと思います。
  38. 山崎齊

    山崎政府委員 従来いわゆる常勤作業員と言っておりましたものと、林野庁では就業規則の三十七条適用者と言われております常勤的非常勤職員、合わせまして一万三百十五名を今度定員繰り入れるということに相なっておるのでありまして、これらの職員は従前から御存じ通り国有林野事業に全部従事しておったわけでありまして、こういうものの繰り入れによってそこに相当の余裕が出てくるという性質のものではないように考えておるのであります。それから、現在官行造林に従事しておる定員を見てみますと、今までの定員内の職員といわゆる常勤労務者を合わせて六百三、四十名ということになっておりますので、あわせてお答えしておく次第でございます。
  39. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 その補充についてはどう考えていらっしゃるのですか。
  40. 山崎齊

    山崎政府委員 一万三百人でありますか、この定員繰り入れに伴う補充というものは要らないわけでありまして、従来常勤労務者あるいは三十七条適用者として従来から働いておったわけでありますから、その働いておった職員がその働いておるままの形で定員繰り入れられるということになる。でありますから、欠員補充というようなものは必要ないと考えております。
  41. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 必要ないとおっしゃるんですけれども、もとより常勤非常勤職員の身分をそれぞれ昇格させていくという点については、これはぜひやっていただかなければならぬことですけれども、やはりその裏づけとしての、特に先ほど長官がお見えになります前に部長からもお伺いいたしたのでありますが、木材需給関係その他から見まして、現在の林野行政の仕事のボリュームというものは飛躍的に増大していかなければならない。他の省庁におきましては、仕事の分量に応じまして、やはり特に郵政省その他におきましては仕事に応じての定員増ということが毎年はかられております。それを、長官みずからが、定員ぎりぎりになって、その諸君は現在までの仕事と同じように仕事を続けていくのだから、それに見合うものを増員する必要はないのだという考え方は私はどうかと思うのですが、その点についての長官の再度の御答弁をいただきたいと思います。
  42. 山崎齊

    山崎政府委員 御説明の仕方が悪かったかと思いますが、今お話のありました従来常勤労務者であった者、あるいは三十七条適用者であった者を定員繰り入れた。従いまして常勤労務者なり三十七条適用者がそれだけ減った、その分を補充するという意味のことを御説明したのでありまして、今後の事業とかいうものの増加に見合う全体としての人の増加の問題は、われわれとしても当然それは考えていかなければならぬというふうに思っておるのであります。
  43. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今の点と関連してお伺いいたしますが、森林開発公団定員は百四、五十名前後と考えますが、この前もちょっとお伺いしたのですけれども、林野庁でできなくて、百四、五十名の森林開発公団でできるのだという理由について一つお聞かせをいただきたいと思います。
  44. 山崎齊

    山崎政府委員 現在公有林野いわゆる官行造林仕事に従事しております職員を見て参りますと、先ほど五百何名と申し上げましたが……。
  45. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 いや、六百三、四十名……。
  46. 山崎齊

    山崎政府委員 六百三、四十名と申し上げましたが、それは実は訂正さしていただきたいと思います。正確に申し上げますと、三十五年度現在におきましては、常勤労務者等を入れて五百八名ということになっておりますので、訂正さしていただきたいと存じます。その五百八名が従事しております仕事内容を申し上げますと、契約関係の事務に二十四名、管理面の仕事に百八名、新しく植える、いわゆる植栽、新植という面に八十三名、それから二年目以降の手入れに関係します者が百七十名、間伐等のいわゆる収穫面の仕事関係いたしております者が百二十三名、合計いたしまして五百八名ということに相なっているのであります。こういう点から見ましても、今後森林開発公団がこの水源地帯の造林をやるといたしました場合に、森林開発公団の受け持つべき事務というものを考えてみますと、この契約の事務はもちろん森林開発公団がやらなければいかぬのでありますが、この新値に関します仕事公団がやることにはならないということになります。また、収穫の仕事につきましても、当面するところ公団がやらなければいかぬという性格はないということになるのでありまして、それと管理につきます仕事につきましては、従来のように二百名をこす程度の人というものは公団としてはやはり要らないわけでありまして、造林が行なわれた、あるいは手入れが契約のように行なわれたかどうかというようなことのいわゆる指導監督面の仕事、そういう面を受け持つことになるわけでありますから、従来公団におりました百三十八名に加えまして、正式のいわゆる定員職員というものが三十六年度からは百七十四名になるという予定になっておりまして、この増加した職員と、もとからおりました百三十八名の職員の中から、先ほども申し上げました契約面の仕事、それから指導監督という面の仕事を受け持つということになるわけでありますので、百七十四名という程度職員でやっていけるというふうに考えておりますが、なおこのほかに、現場と申しますか、出張所その他で事業費で支出できる職員考えられるわけでありますし、また、契約等の援助をしていただくという意味で、県の民有林造林行政等を担当しております職員を嘱託というふうな程度にも考えまして、円滑にやって参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  47. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 その開発公団では、新橋、収穫その他の仕事についてはやらぬというのですけれども、だれにやらせるのですか。  それから、先ほどの五百八名のそれぞれの身分についてお聞かせいただきたいと思います。
  48. 山崎齊

    山崎政府委員 森林開発公団がやろうとしております水源林造林は、御承知通り分収造林特別措置法に基づきまして、公団が出資者という立場に立ちまして、契約に基づいて経費の支出をするということ、それから造林等の植付あるいは手入れ等に対します指導監督という仕事を受け持つわけでありまして、この造林という仕事は、土地所有者、あるいは土地所有者と公団とが協議してきまりましたいわゆる造林者というもので具体的にはやるということになるわけであります。  それから、五百八名の身分上の内訳を申し上げますと、従来いわれておりましたいわゆる定員職員というものは四百名、それから常勤労務者が百八名、合わせて五百八名であります。
  49. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 その造林者はどのようなものを予定しておられるのですか。
  50. 山崎齊

    山崎政府委員 造林者といたしましては、土地所有者が造林者に即なるという場合が最も望ましいというふうに考えておるのであります。土地所有者がどうしても造林が能力もなくてできないという場合があるわけでありまして、そういう場合には、先ほどお話し申し上げましたように、公団と土地所有者との話し合い、そういうもので造林者を選ぶということになるわけでありますので、その造林といたしましては、ほんとうにそういうことの技術を持っている、たとえば森林組合とか、それから市町村民が組織しております団体とか、こういうものが造林者になるというふうに考えておるのであります。
  51. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 次に、これは公団仕事の分野についてお伺いをいたしたいと思いますが、ダムの建設など、国土開発事業と公団の事業との相互調整、これは当然各地で出て参っておりますが、これについて、どんな機構で、どのように調整をしてこられたのか、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  52. 山崎齊

    山崎政府委員 公団仕事と申しますのは、今までに公団がやりました林道開発の仕事とダム建設との関係がどうなるかという点についてであると考えるのでありますが、従来やっておりました熊野川流域、剣山周辺地域両方におきまして、それぞれ一、二カ所ダム建設と林道との関係が出て参ったのでありますが、これにつきましては、林道といたしまして、それに必要な三メートル六十なら三メートル六十の道路を作る、最も経済的な場所を選んで作るとしたらどのくらいかかるものだろうか、それからダム建設におきまして工事用に必要な物資の輸送その他の道路を作れば大体どれくらいかかるかということが、それぞれ第一問題として検討されると思います。その場合に、その道路を使用いたします割合というものが、一体工事用関係のものと、林道、林産物搬出面でどういう割合になるだろうかということも問題として検討いたしまして、主体といたしましては、その両者を総合いたしまして、大体何割程度のものを負担し合うかということを協議してきめるということになるのでありますが、もともと林道といたしまして、大きいダム建設等のように四メートル五十とか五メートルというふうな幅員の道は要らぬわけでありますから、そういう幅員の増大に伴う経費はもちろんその場合に控除いたしまして、それは当然ダム建設が負担すべきものだということになるわけであります。その残ったもの、それと林道を作る場合と、あるいは利用の度合いがどうなるかというふうな点をそれぞれ計算いたしまして、話し合ってきめていくという形をとって参っておるのであります。
  53. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 その場合に、話し合いの当事者というものは、たとえば電源開発株式会社と公団とでやらせるというのですか。その間に林野庁当局は何ら介入せられないのですか。その指導監督の面はどうなっておるのですか。
  54. 山崎齊

    山崎政府委員 熊野地方等におきます場合を申し上げますと、これは今お話しの通りダム建設あるいは林道との利用関係がそれぞれどうなるかというふうな問題でありますので、主要な地点に対しましては、御存じのように、経済企画庁にいわゆる調整的な資金が従来は五億円くらい持たれておったのであります。   〔鴨田委員長代理退席、毛利委員長代理着席〕 そういう経費の一部をこれに出してもらいまして、林野庁関係、それから通産省の関係、あるいは電源開発という関係、それから県も入れまして現地の調査をいたしまして、これをもとにいたしまして、公団あるいは電源開発会社に関係します森林組合というふうなものも入れまして協議するという形をとっておるのであります。
  55. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 その最終的な責任の所存はどこにあるのですか。私がこれをお伺いいたしますのは、池原ダムの場合の四・八キロメートルも水没をした。このような事態について、最終的な責任の所在はどこにあるのか非常に不分明なんです。ですから、今あげました場合の経過について、どのような措置がとられたか、今の質問と関連して、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  56. 山崎齊

    山崎政府委員 これは県あるいは林野も指導するわけでありますが、そうしてそれぞれの負担がきまりましたものは、公団から工事の内容、負担割合等を内容といたします申請が林野庁に出てくるわけであります。それを林野庁が承認いたしまして事業を実行するということに相なるのであります。  第二点の御質問の池原でありましたか、あれにつきましては、ちょっと具体的な資料を持ち合わせませんので、あとで詳細な資料として提出いたしたいと思います。
  57. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 だれでもけっこうですよ。だれか御存じでしょう。何も数字の問題じゃなくて、どのような措置がとられたかということですから……。
  58. 山崎齊

    山崎政府委員 池原のダムに関します問題は、三重県の尾鷲から奈良県の方に入る林道の問題ではなかろうかというふうに考えるのであります。これにつきましては、先ほど申し上げましたように、経済企画庁の持っております経費の支出を願いまして、林野、通産、それから電源関係、県の林務部課、それから公団、いわゆる森林組合等がこれに参加をいたしまして、相当の期間の現地調査をして決定したように考えておりますが、なお詳細につきましては、その詳しいものを、今関係者を呼んでおりますので、その上で詳しく御答弁したいと思います。
  59. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 最終結果について、私は、公団がどのような責任をとるのか、その間に林野庁がどのような役割を果たすのか、どうしてもわからないわけです。これは、長官御存じのように、地元民との間に、賦課金の問題その他でも、あとで非常に問題を残すわけです。やはり経済企画庁が介在するんだ、あるいは林野庁も一緒に行くんだじゃ話がわかりませんので、しかもその間における林野庁指導監督の面がどのカテゴリーまでなのか、そこら辺についてもきわめて不分明でございますので、あとでけっこうでございますから、一つ、そこら辺について明らかにしていただきたいと存じます。  今の林道の問題につきまして、賦課金、それから通行料金、これはどのような基準でいかなる時期に決定されるのか、これをお聞かせいただきたいと思います。
  60. 山崎齊

    山崎政府委員 まず当初は賦課金の決定でありますが、林道の設計をいたしまして、工事費が幾らかかるか、それに対して、補助金と申しますか、国の負担金として出すべきものは五二%になっておるわけでありますが、それから県が一〇%負担する、そういたしますと残りの三八%を森林所有者が負担する、こういうことに相なるのであります。その三八%をそれぞれの所有者にどういうふうに配分するかという問題になるのでありますが、これは剣山地区あるいは熊野地区でそれぞれやや異なっておりますが、熊野地区につきましては、まずこの賦課金が何ぼかかるかということを、その林道の受益者にお話をするわけであります。で、この賦課の原則といたしましては、そこにはえておる木の種類、それから面積、石数というふうなものに按分するというのが原則になっておるわけでありまして、それに従いまして三八%の分を賦課すると大体こういうふうになるんだというものを、所有者にお集まり願うなり、あるいは県外等の所有者の方々に公団から行って御説明して、大体みんなが御納得いただくまで五回でも六回でも話し合いをするという過程を経て按分していく、そうしてきめていく、それで皆さんに承諾書を出していただくというふうな形で、この賦課をやっておるのであります。  それから、利用料につきましては、この林道の最初の四、五年というものの維持修繕が非常に林道の将来に対する重要な問題でありますので、年に大体どれくらい維持修繕料が要るかということを見積もりまして、その林道を利用して毎年どれくらいのものが伐採し搬出されるかということも見積もるわけでありまして、その両者から一石、あるいはトラック一台何ぼというふうなことで利用料を徴収するということにしておるわけであります。
  61. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今、長官お答えでは、樹木の種類、面積、それから石数によってということでございましたが、いわゆるその受益地の場所によりまして相当アンバラが出てくる、これは御承知だろうと思います。この受益地の問題についてはどう考えておられるのか。  それから、これはあわせて御答弁をいただきたいのですが、賦課金とその使用料、これは源泉は同じなのですね。ですから、この関連について、いま少し詳しくお教えをいただきたい。  それから、第一点の質問の、やはり地域によりまして相当アンバラが出て参りますと、今、長官は、何回も足を運んで受益者の御納得を得るように努めておるということでありまするけれども、実際に路線が開設されますと、そこに話が違うじゃないかということが、今申し上げました地域の問題その他とからみまして相当出てくるんじゃないかと思うのですが、そのような場合におけるところの措置といいますか、それはどのようにとられるのか、これについてもお聞かせいただきたいと思います。
  62. 山崎齊

    山崎政府委員 受益地によるアンバランスと申しますか、たとえば林道の比較的入り口に近い人と、一番奥の方に山を持っておるという場合とでは、その林道を使う、何といいますか効率が違うんじゃないかというような問題が、第一点としてアンバランスという問題になってくるわけであります。こういう問題につきましては、先ほども申し上げましたような受益者との話し合いによりまして、林道の入り口から、たとえば二キロまではどういうウェートを加える、四キロまではどういうウエートを加えるというふうにいたしまして、その距離によりウエートをつけるというものももちろんあるわけでありますし、それらの点は、全体の受益者の方々と十分にお話しし合ってやるということを原則にしてやって参っておるのであります。それから、もう一点、アンバランスという問題につきましては、林道のいわゆる通常の形におきます領域でございまして、林道ができれば、その林道を利用して材木等を搬出すればいいじゃないかという考え方が通常はとられるわけでありまして、その場合にむしろその林道を通らないで、背中合わせといいますか、逆の方へ鉄線か鉄索等でおれは出すのだというふうな場合もあるわけであります。そういう場合にいたしましても、材木は出さないということにいたしましても、自後のいわゆる造林の問題、あるいは造林したあとの維持管理と申しますか、そういう面におきます所有者としての受益というものがあるわけでございまして、そういう点も勘案いたしまして、先ほど申し上げましたように、その受益者間に不満がないようにという形を前提にして話し合っていくという原則に基づいてやって参っておるのでございます。  それから、第二点の賦課金と利用料の関係でございます。賦課金と申し上げますのは、林道を開設します場合に、先ほど申し上げました工事費の三八%を受益者に負担していただくというのが、この賦課金でございます。利用料と申し上げますのは、林道ができましてからトラック等でこれを搬出する、利用する、そういう間にやはり経常的に人を置きまして、あるいは災害等で道がいたむというふうな場合に、その限度において維持修繕していくということを目標にしておりますのが、この利用料であるわけでありますが、両者に対しましては、やはり森林が負担すべきだということには変わりないわけでありまして、その間に性格的にははっきりした区別を置いておるというのが現状であります。
  63. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 前段の御答弁で、アンバラ等が発生する際にも、あくまで話し合いでもって了解を求めるようにするということでありますけれども、これは賦課金の問題を取り扱う際に一番苦労される点だろうと思います。そういった苦労を割と少なくするという意味と、また一面では、なかなかあとでは解決しないというようなファクターもあるかもしれませんけれども、やはり路線が開設されてから利用が実際に行なわれる、そういう状態になってから、先ほど長官から御説明のあった樹木の種類なり面積なり石数なり、あるいはただいま私が申し上げました受益地の位置によりまして、最終的に決定するというような方途がとられないものかどうか、そういったことを考えられたことがあるかどうか、こういう点についてお伺いをいたしたいと思います。
  64. 山崎齊

    山崎政府委員 林道ができましたあとで取るというようなことにいたしますと、現在道路公団等がやっております通行料と申しますか、ああいう形で取らなければいかぬじゃないかというようなことも私たちも検討したのであります。それぞれの林道につきまして受益者負担金というふうなものまでも含めまして、利用者だけ、搬出する者だけからそれを取るということには、やはり不公平と申し上げますか、問題が残るように思うのであります。と申し上げますのは、林道が通ずることによって土地価格というものが相当の値上がりもあるわけでありまして、やはりその賦課は土地価格の上昇に対しても負担してもらわなければならない、それから立っておる木に対しても負担してもらわなければならないという問題が残るわけでございます。それで現在考えておりますような賦課の利度をとったわけであります。と申し上げますのは、利用料だけでいくと、その伐採、搬出等を前提にして、この賦課金の分まで徴収するというようなことになりますと、土地価格の値上がりというものを取るということにならないわけでありまして、現にその植わっておるものが造林間もないものであるといたしますと、それが伐採、搬出されますのが三十年もあるいは四十年も先だということに相なりまして、そういう人々に対しましては、土地価格の値上がりというものは、賦課金ということでなしに、まるもうけと申しますか、そういうような形になるのではないかという問題もあるわけでございますので、現在のような方法をとったというふうな次第であります。
  65. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 次に、林産物の搬出をする場合とそれからそれ以外のものを搬出する場合の料金を同額にしておる点について、利用料の点からも私は問題が残るんじゃないかと思うわけであります。熊野の場合に私は利用状況を見てみました。これは前鬼林道、内原林道、あそこには今でき上がっておるのは五林道ですか。今利用しておるものを教えて下さい。
  66. 山崎齊

    山崎政府委員 約二十二路線くらい熊野地区で利用しております。
  67. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 前鬼の場合は、第二種の林産物で大体三十四年の七月末日までに七百七台、その他が約二十台、三種の林産物が二百七十七台、それから工事用が三百九十八台、その他が九百七十三台ですか、三百五十一台、内原の場合は、二種の林産物が千五百台、工事用が三百八十台、その他が百九十八台、それから工事用が六百七十台で、その他が二千四百五台という工合になっておりますが、この同額取るという点については問題ないですか。
  68. 山崎齊

    山崎政府委員 これを賦課いたします時点におきまして、先ほどお話のありましたように、ダム建設というようなものが予定されております場合は、それぞれ負担区分をきめてやるわけでありますが、自後におきまして、林道ができ上がりましてしばらくたちまして、その林道を利用して、たとえばダム工事、あるいはそれに類するようなものが行なわれるというふうな場合はもちろんあるわけでありまして、御指摘のように林産物以外のものが相当量運ばれるということも林道によってはあるわけであります。そういう場合におきまして、もとの賦課金というものにさかのぼってそれを訂正するということは現在いたしてないわけでありまして、トラック一台が大体どのくらいだということを基準にした利用料を徴収しておるという現状にあるのであります。ただ理論的に考えまして、そういうふうな場合には、やはりダム建設等に伴う工事用資材の運般の利便を得ておるわけでありますから、利用料のほかに相当のものを出して、森林所有者の負担は軽くてもいいじゃないかという議論もあるように思うのでありますが、その点は先ほど申し上げましたように現在制度としてやっていないのであります。これらの問題につきましては、やはり森林組合というふうなものが中に入ると申しますか、そういうふうな方法によりまして賦課金の何割かをそういうものに負担してもらうことも、もちろんわれわれとしては指導してやっていかなければならぬのじゃないだろうかというふうに考えておる次第であります。
  69. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 そういうことで話し合いがつくのですか。
  70. 山崎齊

    山崎政府委員 それをそういう方法によりまして現在までどれだけ取られておるかという点は、ちょっと詳細なものを持っておりませんが、調査いたしたいと思います。
  71. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 この際、委員長にもお願いをしておきたいと思いますが、やはりそういった事情について詳しい方を、開発公団から助言者というような形ででもぜひお越しをいただきまして、今言った点について明らかにしていただきたいと思います。一にかかって、造林の問題にいたしましても、その他各般の林政の問題が、特に冒頭に申し上げましたように、スムーズにいくことを期待するがゆえに、私たちも申し上げておりますし、また賦課金の徴収の問題等につきましても、うまくいっていれば私はこういったことを申し上げないわけです。そういった幾多の困難が予想されるのに対して、やはり私たちは、過去の実情の中から将来を予測して問題を処理していかなければ、せっかくの山崎長官を初めとする林政に対する意欲というものが、ただ文字の上では簡単に割り切れても、実際面ではむしろ後退していくというような事態では、これは国政審査立場から非常に危惧を感ぜざるを得ないわけであります。そういう点でやはり起こった問題について明らかにし、それがはたして除去できるかどうかという点について明瞭にしておく、このことが私は一番必要であろうと存じます。そういう点で、これは抽象的な問題でありますが、今の問題等関連して参りますけれども、やはり受益地の住民の問題であります。いわゆる住民の意欲といいますか、感情といいますか、こういった問題につきましても、たとえば現在までほとんど切り離されて自給自足的な生活をしておったのに、林道の開設によって新たな混乱といいますか、現象が出てくる。これはもちろん過渡的な現象だろうと思いますけれども、そういった際に道路利用上にいろいろな不満が出てくる。そういう際のいわゆる営林局、営林署、また公団指導というものをとういう工合にやっておられるのか。これは具体例でもってお聞かせいただきたいと思います。
  72. 山崎齊

    山崎政府委員 第一点の賦課金の徴収の問題でありますが、これに対しましては三十四年度末までに賦課いたしました賦課令書と申しますか、それを出しました金額が三億四千五百万円ということになっておるのであります。それに対しまして、現在といいますか、二月二十日までに納入されておりますものが三億三千四百万円ばかりでありまして、千百万円くらいが未納だという形に相なっております。と申し上げますのは、三十四年度に賦課いたしましても、その納期が六カ月だというふうな関係もありまして、早急に年度々々で区切るということはちょっと困難な事情にもありますので、今申し上げましたように二月二十日までに納まりましたものが三億余り、未納になっておるものが千二百万円弱だというふうになっておるのでありますが、この千二百万円のうちでも、約三百五十万ないし四百万は年度内に確実に入るというふうに予想いたしております。従いまして八百万円程度が年度を越すのではなかろうかというふうな見通しに立っております。この越す分につきましては、その山が現在所有権についての係争が起こっておるというふうなもの、あるいはまた共有林等がありまして、それの分割が現在問題になっておるというふうなもの、あるいはまた、率直に申し上げまして、たとえば相当一般交通的な要素もあるので、賦課金の一部を町村等で負担するというふうな話がありまして、それが最終的に金額がなんぼというふうにきまらない、きまれば町村も受益者の方もそれぞれすぐ納めますというふうな性格のものが、八百万円強というものに相なっておるという現状にありまして、今までの段階におきましては、賦課金の徴収等仕事は割に順調にいくのじゃないかというふうに私たちは見ておるのであります。
  73. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 千二百万も徴収が残っておる。しかも四百万についても年度末といったらきょうですね。しかもあとの八百万についても町村等が負担するかどうかはっきりしないということでは、これは大へんなことだと思うのですよ。それはそうであればいいですが、やはりそういう形に賦課金の徴収が非常に困難になってくる前提があるわけですね。その前提について、先ほど私が申し上げましたような解決をしないでも大丈夫なんだという見通し長官は持っておられるのですか。
  74. 山崎齊

    山崎政府委員 今御説明申し上げました通り理由で、それぞれのものが未納になるという問題であるわけでありまして、そういうものが解決しました場合には、その賦課金というものは順調に入ってくるものだというふうに私たちは考えておるのであります。町村の負担する額につきましても、それぞれ地元の受益者、あるいはそれを組織する森林組合というふうなものと町村等が話し合っておるわけでありまして、それが具体的に賦課金の何割くらいを負担するかというところに問題が残されておるわけであります。負担するということには当初から話し合いがついて出発しておるわけでありますから、その辺のところは町村森林組合等の話し合いでそう遠くないうちに順調に解決するものだというふうに考えております。
  75. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 次にお伺いいたしますが、熊野川の林道開発におきまして、新宮あたりのパルプ用材素材生産価格、市場価格の、林道ができたことによる変動について、数字でもって、工場の売り渡し価格でけっこうでございますから、お聞かせをいただきたいと思います。
  76. 山崎齊

    山崎政府委員 これを賦課いたします時点におきまして、先ほど申し上げましたように国と県で六二%を負担する、三八%を土地とその上に立っております立木の実態によって按分していくという原則を立てたのであります。その当時におきましては、その値上がりと賦課金というものとは大体調和するという考え方に立って、この五二%あるいは県の一〇%というものを計算して出発したわけでありますが、御存じのように、その後におきます木材価格の上昇あるいは立木価格の上昇というものもかなり著しくあったわけでありますし、また、あの地帯におきましては、電源開発等のために、奈良県の五条から新宮までトラックで運べるように道路が開通したという事情もありまして、また木材価格というものがその面で変動した、木材の面からいえば価格的に有利になったという事情もあるわけでありますが、それらの、たとえば新宮市場における木材価格が当時から現在までどういうふうに推移したのかという具体的なものにつきましては今持ち合わせていないので、また調査いたしましてお答えいたしたいと存じます。
  77. 藤原豊次郎

    ○藤原(豊)委員 関連。  今林道のことをちょっと伺っていましてよくわからないのですが、林道というのは、結局林産物その他のものを運ぶだけでほかのバスは通らないのですね。たとえばバス会社に利用させているような林道もあるのですか。市からこっちの町へ間に山があって林道ができまして、そういうところを通らせることもあるのですか。林産物それに関係したものしか通らせないのですか。そこはどういうふうになっているのですか。
  78. 山崎齊

    山崎政府委員 林道は、その林道を開設することによりまして一番大きく受益するものがいわゆる林産物、森林であるという観点に立って開設しておるわけでありますが、開設されましたあとにおきましてバスが通るという場合ももちろんあるわけであります。と申しますのは、熊野地区でもバスが通るようになりました公団関係の林道も一、二あるように考えておりますが、部落等もあるという関係で、あるいは今後も少しそういうものがふえていくのじゃなかろうかと考えております。
  79. 藤原豊次郎

    ○藤原(豊)委員 そうすると、ちょっとお聞きしておきますか、そういう場合には、先ほどから出ている受益者負担、たとえば国と県で六二%、あと三八%の負担の方のことは、あとからバスを通したりする場合はどういうふうに取り扱っていますか。
  80. 山崎齊

    山崎政府委員 この開設に着手する前に先ほど申し上げましたように賦課するわけでありまして、その賦課を、たとえは公団なら公団立場といたしまして、具体的に三八%の何割減すというふうなことは考えていないのでありますが、その森林所有者並びに所有者の組織する森林組合というものが中心になりまして、バス会社等との話し合いのもとに、賦・課金の何割かをそういうときに負担してもらうことはやっておるのであります。
  81. 藤原豊次郎

    ○藤原(豊)委員 たとえばバスを通す場合は、初めからバスを通すという予定でやっていませんからね。こっちの市からこっちの市までうまく林道が通じますと、交通関係上バス会社が利用したくなるわけです。それはずっとあとのことなのですね。最初林道を作るときはそういうものを考えていないで作られた、そのあとでバス会社が利用する場合は、どういう条件にしたり、どういうことにしてさしているのか、そういう点少しはっきりして下さい。
  82. 山崎齊

    山崎政府委員 その点につきましては、先ほどお話しいたしましたように、バス会社へ許可するという前提といたしまして、森林組合とバス会社というようなものが話し合いまして、賦課金の中の二割とか三割とかをバス会社が負担するということで、森林所有者の負担をその分だけ軽くする形をとっておるという実情にあるのであります。
  83. 藤原豊次郎

    ○藤原(豊)委員 森林会社の話は出ておりますが、そうすると沿線に森林を持っておる人たちの負担も同時に減っていくわけですね、森林会社だけでなく。
  84. 山崎齊

    山崎政府委員 当初に賦課いたしましたのは森林所有者でありますから、その賦課金が何割か減少する、その減少した分をバスなりバス会社が負担する、こういう形になってくるわけでありますので、森林所有者の負担が実質上軽くなるという形にはなるわけであります。
  85. 藤原豊次郎

    ○藤原(豊)委員 どうもその点がはっきりしない。というのは、バスが通るときは相当あとだろうと思うのです。ことし林道を作ったらことしバスが通るということはほとんどないと思う。そうすると三年、五年はあとになったりするのですが、その時分には賦課金やいろいろな負担金などはもう済んでしまっているのじゃないですか。
  86. 山崎齊

    山崎政府委員 お話の点はごもっともでありますが、この賦課金は開設のときに全部納めるというものではないのでありまして、たしか三年据え置きまして、二十五年間に年賦償還するということに相なっておるわけでありますので、その間における実質上のそういう調整を行なうという形であります。
  87. 藤原豊次郎

    ○藤原(豊)委員 今の問題はそのお話で私も了解できましたが、ついでにもう一つ長官のおいでにならぬ前に有馬委員の方から木材価格のことでお聞きしておられたので、それに関連して少しお飼いしておきたいと思います。  それは、私も新聞の切り抜きを持ってきておりまするが、ソ連から百五十万立方メートルかくるということが出ております。それから二百万立方メートルを三十六年には伐採するというふうなことが迫水長官かなんかの名前で出たりしておるので、それだけのことで木材の高騰するのを押えられるだろうかということを私も重ねて聞いておきたいのです。  もう一つは、国有林野というものの一つの目的に、こういうふうに木材が非常に高騰した場合は、その木材価格を調整するために、国有林野は切ってもいいのじゃないかという考え方を持つのですが、そういう場合には切られないのですか、あるいは木材の高騰するのを押えるために国有林野相当切ってもいいのか、そういう点を一つ聞かしておいて下さい。
  88. 山崎齊

    山崎政府委員 最近木材の高騰しておることに対しまする企画庁長官からの発表と申しますか、対策の発表があったのであります。これが今直ちにどういうふうな影響を来たすだろうかという問題でありますが、御存じのように、木材は、伐採等に着手するにいたしましても、それが市場に出回りますのには半年くらいはかかるという性格のものでありますし、また、ソ連材の輸入にいたしましても、本年の五月ごろからでなければ氷等の関係で輸送ができないというふうな事情にもあるわけでありまして、これらの施策が市場価格に今直ちに鋭敏に反映するというふうな点は必ずしも十分ではないようには思うのでありますが、それにいたしましても、将来こういうふうなものが供給されるということによります将来を見通した落ちつきというふうなものが生まれてくるということにも相なるわけでありまして、その点における効果は期待できるというふうに考えるのであります。  次に、国有林伐採についてでありますが、国有林といたしましては、御存じ通り民有林に比較しまして比較的奥地の地帯にあるわけでありまして、いわゆる保安林とかいうふうなものも民有林よりは率からいっても相当多くを占めているというふうな関係にあるわけでありますし、また、国有林経営の方針といたしましては、伐採量は、それぞれ経営計画というものを作りまして、全国に二百くらいの経営計画という単位を作っておりまして、その単位ごとに現在の森林の状況がどうなのか、今後その森林造林等によってどういうふうによくしていくのかというふうなことを具体的に計算いたしまして、切り得る最大限の数量、将来国有林が急激に伐採量が減らなければいかぬというふうなことのない範囲におきます最大限の伐採量を続けていくということを、今までやって参っておるのであります。それがまた基本方針であるわけであります。従いまして、国有林が増加伐採をするといたしますならば、やはり将来におきます生産の賦存というものに支障がないという前提に立ちまして、現在植えておりますような造林事業技術的な遊歩と申しますか、そういうものを前提として増加伐採をするようなことを考えていかなければいかぬというふうに考えておる次第であります。  それから、企画庁から発表のありました二百万立方メートルという数字は、もちろん全国の国有林からこれだけのものを増加伐採しようという考え方でありますので、御承知おき願いたいと思います。
  89. 藤原豊次郎

    ○藤原(豊)委員 よくわかるのですが、実は先ほど長官も話しておられましたように、ソ連から百五十万立方メートルくるというふうなことで、市場を幾らか緩和することはできるというふうの見通しは、私もそれに賛成なんです。それから、これほど木材が高くなりますと、木材に対する代行のものがだんだんできてくるだろうということも考えられるのです。ただ問題は、これほど高くなりまして、たとえば住宅公団が入札をされる、ところがその入札に対して木材が高くて受けられないというふうなことを私は聞いているのですが、それほど高くなってきておる場合に、国有林がもう少し切れないかという問題なんです。たとえば、たくさん国有林を切って、これから木材は出すぞというふうになりますれば、そういうふうな雰囲気ができますると、ものは割合に上がらないと思うのです。ちょうどあなたが先ほどおっしゃったように、ソ連から物がくるというふうなことだけでも、それから二百万石を切るのだというふうなことを企画庁長官が言っただけでも、幾らかそれが影響する。それと同じように、そういうふうな二百万石というものに限定しないで、こう高くなってくる木材価格を押えるという意味でもっと切るというふうなことが発表せられれば、私はその値上がりは割合に防げるのではないかと思うのです。というのは、物がなくても、たとえば百要るところに九十九しかなければ、何だか急になくなったような感じがして、みんなわっとたかるのですが、もし百要るところに百一ありまして、全部いつでも間に合わせられるぞというと、物は下がるものなんです。そういう意味で、国有林自体をこの際どこまでも切るのだというようなゼスチュアができますれば、私は割合にその値上がりは押えられるのではないかという感じを持つ。  それから、もう一つは、国有林自体をむろん切ったあとの造林のこともお考えになるのでしょうけれども、国有林自体をどれくらい——今の企画せられておるだけしか切らないのか。あなたの方の計画せられた以上のものを切りましても、そのあとの造林その他のことによって、あるいは林種を変えるとかあるいは造林の方法に新しい企画を加えるというふうなことで、それが補充できるかどうか。たとえば、きょうも出ておりましたが、硫安の問題を硫安を森林の方に使おうじゃないかという話も伺っておるのですが、そういうふうなことから、ここで急に国有林を多く切ったとしましても、その補充が十分についていくかどうか。たとえば国土の問題にそれが少しでも差しつかえない程度のものかどうかという限度は、今きめられている限度よりももう少し多く切ってもいいかどうかという点はどうなんでしょう。そういう点を一つ……。
  90. 山崎齊

    山崎政府委員 国有林伐採と申しますか、その量の決定につきましては、最初申し上げましたように、将来の生産の賦存というものを考えながらやっていくという原則に立っておるのでありますが、その場合に、お説のように、現在国有林といたしましては約七直五十万町歩という面積を持っておるのでございます。その中で人工造林地は百十万町歩程度で、国有林は非常に少ないのであります。これを将来三百三、四十万町歩にまで増大していかなければならないということを前提にしまして、その造林地というものがどういうふうに生長するのであろうかということを計算いたしまして、現在の年々の生長量よりもよけい切っても、将来伐採量というものが減少することはないというふうな前提に立った計算をして切っておりまして、その場合にたとえば杉の山等に肥料をやれば生長が早くなるのではないか、あるいは植付の本数というものも、三、四千本従来植えておりましたものを、五千本あるいはそれを少しこす程度にまでよけい植えるというようなことによって、生長の効果も期待できるのではないだろうかというようないろいろな点を考えておるわけであります。そういうものを一応前提といたしまして、二百万立方メートルを現在の伐採量に加えますと、一割強の増加伐採ということになるわけであります。そういうものを一応増加伐採できるというふうに考えておるのであります。しかしながら、林野庁といたしましても、そういう大局的な大づかみの議論のみでは、やはりどこをどう切るということにならぬわけでありますので、この四月中くらいには、全国で二百幾つに分けて考えております経営の単位と申しますか、これを経営計画と呼んでおりますが、経営計画ごとに、先ほどお話ししましたように、従来の造林計画というものを再検討いたしまして、可能な限りの技術革新を加えてやっていくとした場合に、それぞれの計画で何本切れるだろうか、よけい切れるだろうかということを検討いたしておるわけであります。大体四月中か五月の初めには結論が得られるというふうに考えておる次第であります。
  91. 辻原弘市

    ○辻原委員 今の藤原さんのお話でありますが、昨年から考えてみましても、原木のみならず、市場に出ている木材価格の値上がりは、大ざっぱにいって二割くらい、これは昨年末からでももうすでに上がっているのではないか、こう考えておるわけであります。戦後ずっと原木の価格の推移を見てみますと、いわゆる製材されたそれぞれの加工品については、これはそのときどき、高いときもあれば比較的値下がりをしたときもありますけれども、しかし原木に関してはほとんど値下がりをするという傾向は見当たらない。これは根本的には需給の問題がありますが、私は、絶対量としての需給の問題のほかに、やはり政策的な問題がこの中にはひそんでおるのではないかと考えるわけであります。   〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕 今藤原さんが申されたように、たとえばソ連材、いわゆる輸入材を増すとか、あるいは国有林伐採を若干量ふやすとか、そういったことと同時に、私はもう一つの問題があると思うのです。それは民有林について何か国がもう少し適切な管理ができないものかどうか。たとえば、林野庁でも近く森林法の改正をされるように私は聞いておるわけですが、森林法においては、資源の愛護、いわゆる資源の増大ということから、伐期に至らざるものは切るべからず、こういう趣旨のものが織り込まれておりますけれども、活用については何ら法律上の規制なり法律上のいわゆる奨励策というものは見当たらない。ある樹齢に達しても木はそのままに放置しておく。切ればそれには何がしかの税金がかかる。往々にして山林所有というのは限られた人々に集中せられておるというような関係で、あえて切らなくとも営業上あるいは財産処分上差しつかえないといったようなところから、せっかく公共的使命を持ついわゆる需給の問題ということが、そういう面からなおざりにせられておるのが私は現状だと思う。そこで、非常にいろいろな問題に触れてくると思うけれども、私は、森林法の改正を今どういう内容をお考えになっているかはつまびらかにいたしませんが、そのこともお聞きしておきたいと思いますけれども、そういう機会にもう少し突っ込んだ検討をせられなければ、これは非常な社会問題であると同時に、またあなた方の一つの山林政策としても大きなミスを見のがしておることに私はなると思うのです。それについて一つ御見解を承っておきたいと思います。まず、森林法はいつ改正せられる見込みであるか、またその内容を簡略にお聞きしておきたいと思います。詳しくはまたいずれ承りますから、大体骨子はどうか。その中で、今私が申し上げましたように、いわゆる切るべからずということと同時に、ある程度これは切らなくちゃならぬものについては、法律上の規制もさることながら、同時にそういう行政指導についてもっと突っ込んだ手がとれるはずだと私は思っておるのです。そういうことの考え一つ承っておきたいと思います。
  92. 山崎齊

    山崎政府委員 お話の点、民有林におきまして、大所有者等で切り惜しみと申しますか、だれが見ても切るべき年数にきている山じゃないかというようなものが温存されるという形態のものがあることは事実でございます。現在のような需給事情のもとにおきまして、そういうものが積極的に伐採されるというような国の施策をやはり考えなければいかぬのじゃないかという点が大きく叫ばれておることは、私たちも十分承知いたしておるのであります。現在の森林法が改正されましたのは昭和二十六年でございまして、その時点におきましては、戦争中並びに戦後におきまして非常に乱伐されまして、まだ造林すべきであるにもかかわらず、造林されないで放置されているような山が百数十万町歩も残っていたような現実にあったのでありまして、出時の森林法は、適当な年数になれば伐採が促進されるのだという点に主眼を置かないで、やはり森林資源を保存するという点に重点が置かれたことはいなめない事実であるというように考えております。従いまして、お話のありましたように、若い、利用伐期齢級に達して、適正伐期齢級に到達しない森林伐採については、国と申しますか、県の許可が必要だという制度が今の森林法の骨子になっておるのであります。適正伐期齢級を過ぎました、もう切ってもいいような森林についてはどうしなければいかぬかということは何も規定されていないという現実にあるのであります。従いまして、私たちといたしましては、今後の森林法のあり方というものは、まだ切るのはほんとうにもったいない、惜しいというようなものは、適当な時期まで切らないで残してもらうということと、それから適当な伐採期にきたものは計画的にどんどん切ってもらう、こういう方向森林法を持っていかなければいかぬのじゃないだろうかというふうに考えておるのであります。時期といたしましては、この暮れの国会を目標にいたしまして、先ほど申し上げましたような観点に立った森林法の検討改正考えていきたいと考えまして現在検討中でございますが、この点につきましては中央森林審議会等におきましても十分な検討をしていただくことにいたしたいと考えております。
  93. 辻原弘市

    ○辻原委員 今の御趣旨で、大体私の申し上げました事情林野庁においてもよく勘案せられて、検討されるということでありますから、それ以上こまかいことを言う必要はないと思いますけれども、まだ実際の取り扱いになりますとなかなか繁雑な問題にもなるかと思います。しかし、昔からいわれておりますように、実際山をさわる者は山をながめただけでその山の木の石数がほとんど九割九分狂わなかったというほど、これは見当のつくものらしいのです。そういうことになりますと、この山については大体どれくらいの樹齢に達しているかという管理上の問題の解決も実は可能だと私は信じております。同時に、たとえば杉、ヒノキは三十年ないし五十年の間にいわゆる利用伐期が参りましょう。そういうことについても、それぞれ木によってその利用伐期を定めることも可能でありましょうし、また行政指導上、地域によって価格が非常に異なってくるという場合に、少なくともこの地方においては需給のバランスをとるために樹齢以上のものはかなり強力に推し進めなければならぬといったようなときにおいては、それ相当行政指導が行なわれるような方法を加味されれば、あながち法律一本できめてやることが困難な場合でも、そういう次善の手もこの中には織り込めると思います。また、樹齢に達したものは機械的に切らなければならぬのだという皆伐奨励ということをおやりにならなくとも、少なくとも間伐でもって十分目的が達成せられる場合もございますし、そういうことをいろいろ織りなして——今もうほとんど樹齢を過ぎてしまって、かえって資源としては利用価値が薄れてきているようなものがずいぶん各所にある。立ち腐れしているようなものがあるんです。しかしながら、切る必要はないという所有者の考えで、切る必要はない、いわゆるそれを売って金を自分に入れなくても差しつかえないという頭でもってながめておりまするから、これは全く始末が悪い。だから、そういうことに相ならぬように、少なくともいわゆる均衡がとれて、樹齢に達したものはそれぞれ利用され、市場に出回るような、そういう山林法とあわせて行政指導を十分検討をしておいていただきたい。われわれも、その趣旨においては、あなた方が提案されましたならば、十分精細にさらに検討さしていただいて、協力さしていただきたいと考えております。  もう一つ、その問題に関連をして、今非常に深刻な問題として私どもの認識を深めておるのは、これは、あなた方にお伺いするよりも、私は機会があれば労働大臣等にも伺いたいと思っておりましたが、山林に雇用するいわゆる奥地住民の生活状況なんです。これが今私の申した適時伐採というようなことと密接な関係がある。ということは、大体常識的にいって、これは私どもの経験なんですが、その奥地の山が当該公共団体の所有に帰しているなんということはほとんどない。山があってもそれはほとんど別の土地に住んでおられるいわゆる山林所有家の山なんです。しかもその人が直接雇用するのではなしに、代理者を置いてその地域の人々を山で働かしている。ところが切らないもんだから仕事が少ない、こういうことなんです。それでいわゆる労働関係というのは全くてんで問題にならない。切らないから仕事がない。しかし、切るところで働かしてもらわなければ食っていけぬから、てんで問題にならないような賃金でも泣く泣く働かしていただく、こういう労働関係になっているわけであります。これらをあわせて調整していくためには、私は、本然の山林対策と同時に、山林にからまる労働問題というものも十分林野庁、労働省においてこの機会に検討をしておいていただきたい。皆さん方が山を見られる場合には主として国有林等を見られるから、そういった認識については率直に申し上げまして私どもより薄いかもしれませんが、しかしながら、機会があればそういう実情等も調べられまして、木の活用ということと同時に、このおそらく全国で百万を突破するのではないかと思われる、国有林を除く民有林に働いている人々の生活安定、雇用条件の改善、また仕事を与える、長雨が降れば八割失業という状況になる、そういったことも十分一つ御研究を願いたいということを希望いたしまして、関連ですから、この辺で終わります。
  94. 足立篤郎

    足立委員長 次会は来たる四月五日午後一時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十四分散会