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堀委員 私はそういうふうに
理解をいたしません。
発動の状況はあまりないであろう、こういうふうにおっしゃるのですが、しかしこれはわからないことですね。
法律がきまっておって、
政府がどういう
判断をするかによって——今税関
部長は、あまりそういうことはないだろう、なるたけ数を少なくやりたいとおっしゃっておられますが、しかしそれはわからないことですよ。あなたはここでもう絶対
発動は少ないと断言できるかどうかというと、
法律ができてその
発動が多いか少ないか、少ないことを予想するなどと言ったところで、あなたが予想したところで、
法律自体がある以上は、どういう運営がされるかは、これは予測できないことです。だからそういうことは私は問題にならない。
さらに、ダンピング
関税のようなものは、平時でも向こうがある意思を持ってダンピングしようと思えば、しょっちゅう起こってくることですね。恣意的にやれるのだから、これに対処するためには予測されない
可能性が一番多い。ダンピングなら、ぽんと下げて売り込んでやろうということになれば一方的にできるけれ
ども、自然な価格の変動、さっきおっしゃった為替のレートの変更などという問題は別です。レートの変更などがあると、私は大へんな
緊急関税をやらなければならぬ場合が出てくると思う。向こうが下げるときには、こちらも為替レートについて対策を講じない限り、保護
関税でやろうとしたら
一つや
二つでは足りません。そういうことになってくると、私はそう簡単な問題ではないと思う。今予測されておるようなことがその
通りにいくかどうかわからない。少なくともわれわれが
法律を審議する場合には、一番少ない場合もあるけれ
ども、最大の場合までも
範囲として考えなければ、常に最小の
部分だけにピントを合わしておいて
法律を作るなどということは、私は大へんなことだと思います。そういうことは議論にはならない、こういうふうに私は
理解をいたします。
そこで、過去の例にあるからとおっしゃるけれ
ども、過去の例が全然適正かどうかということについては、私は卒直にいって問題があると思う。こういう問題であっても、
国会開会中は一応
国会における——それは事後の承認であろうとなかろうと、ともかく承認を受ける程度のことを省いてあるということ自体は、私は、
租税法定主義の
原則に反するのではないか、少なくとも事後における承認程度は取りつけてしかるべきであろうと考えるのですが、遺憾ながらこれはすでに
法律になっていますから、今さら事後の承認を取りつけろと言ったところで問題になりませんが、新たに出てくるものについては、私
どもは、少なくとも
国会が、こういう格好で出されておる点については、軽視をされておるという感じを強くするわけです。
国会にまかしておったのでは間に合わぬから、われわれ行
政府にやらせてくれればうまくいくからやりたいのだ、そういう底意を意地悪い言い方かもしれませんが、こういう書き方では感ぜざるを得ないのであります。だから、私が今申し上げておることは、
租税法定主義の
原則というものは、少なくとも
原則がある以上は
最大限にこれを守りましょう、この
原則にはずれた
部分についてだけは、こういう
例外規定で処理させてもらいますということは、これは
憲法の建前だし、少なくともわれわれは、
国会の
論議の中を通じて、正しいことであるものに対して言いがかりをつけて引き延ばしたり、いろいろすることはあり得ない。
国民経済、
国民全体の
利益に関するものであるならば、行
政府は緊急にこれを処理してもらいたいといわれれば、これは当然緊急に処理をするし、機動性の点についても、
国会の閉会中も、その必要がある場合には、その権限を行
政府に委任をしても、法制上差しつかえないということを今
法制局が言っておられるならば、そういう
条件を満たせば足りるのであって、それ以上になおかっこのような処理をしなければならないという
部分が
一体残るのかどうか。積極的な理由を、
法制局でも税関部でもけっこうですから、もう一回伺っておきたいと思います。