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1961-02-21 第38回国会 衆議院 大蔵委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年二月二十一日(火曜日)    午前十時四十七分開議  出席委員   委員長 足立 篤郎君    理事 鴨田 宗一君 理事 黒金 泰美君    理事 細田 義安君 理事 毛利 松平君    理事 山中 貞則君 理事 平岡忠次郎君    理事 横山 利秋君       天野 公義君    伊藤 五郎君       岡田 修一君    金子 一平君       川村善八郎君    簡牛 凡夫君       藏内 修治君    田澤 吉郎君       高田 富與君    竹下  登君       西村 英一君    藤井 勝志君       佐藤觀次郎君    田原 春次君       広瀬 秀吉君    堀  昌雄君       安井 吉典君    春日 一幸君  出席政府委員         大蔵政務次官  大久保武雄君         大蔵事務官         (理財局長)  西原 直廉君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    吉岡 英一君         大蔵事務官         (理財局証券第         一課長)    吉国 二郎君         大蔵事務官         (理財局証券第         二課長)    長谷井輝夫君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 二月二十日  委員谷垣專一君辞任につき、その補欠として天  野公義君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 二月二十日  国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第五一号)  関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第五二号)  森林火災保険特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第五三号)  国立病院特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第五八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  証券取引に関する件      ————◇—————
  2. 足立篤郎

    足立委員長 これより会議を開きます。  証券取引に関する件について調査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 本委員会金融から証券問題を取り上げて、いよいよ本格的な審議に入ったわけでありますが、先般私は議事進行に発言を求めまして、証取審議会審議されておるからという隠れみのを着て答弁をしてもらったのでは、くつの裏から足をかくという点で、政府側に考慮を求めたわけであります。幸いにも了とされまして、かなり率直な御意見を承ったのであります。しかし、実際問題としては、政府側としては、証取に、私の承知するところによりますと、たくさんの問題点を提起して審議を求められておるのでありますから、どういうことになるでありましょうか、私どもがこれほど具体的な問題を大蔵委員会でいろいろ質疑をし、政府の所見をとことんまではおっしゃいませんにしても、かなり議論を展開をされたのでありますが、この結論というものを、少なくとも大蔵委員会で明らかになって参ります一般的な方向というものを、今日付託されております証取審議会結論を持たなければ実施をされないというものなのかどうか。私は、各委員が開陳いたしました意見の中には、きわめて具体的なものがあり、かつまた緊急を要するようなものも含まれておると思うのであります。本日も、理事会で、特に金融及び証券に関する特別な小委員会を設置することにほぼ内定をいたしておるわけでありますが、この小委員会進行に伴っても、政府側にすみやかに善処を要望する事態が起ころうかと思うのであります。その際、政府側としては、審議会で付託しております結論がいつごろ出るのか、それを相待って実施をするのか、本委員会でいろいろ開陳される意見で、適当かつ迅速を要するように思われるのはすみやかにおやりなさる気持なのか。私どもの見るところでは、これだけ膨大な問題点審議会で提供されておるのでありますが、今のわれわれの気持からいうと、実現はなかなか道遠くして、具体的な当面の諸問題に対する手当がどうもおそくなるという感じがいたすのであります。その辺のお考えはいかがですか。
  4. 西原直廉

    西原政府委員 証券取引審議会は、一昨年組織内答を変え、構成が変わりまして再開されました。まず順序といたしまして、資本の発行市場の問題に取っ組んでいただいたわけでありますが、昨年の十二月から特に証券流通市場関係についていろんな問題を審議していただくことにしました。まず問題点をいろいろ私どもの方から御説明し、またそういうものに対する各国の制度や何かも御説明申し上げました。そのうちで私どもとしてまず最初に取り上げていただきたいと思いましたものが、先般もお話がございました、一体第二市場というものを設けるべきかどうかという問題でございます。これにつきましてこの二十二日から取っ組んでいただくつもりであります。ただいまお話がございましたように、いろいろの問題の中には、早急に実施と申しますか、結論を出して実施しなければならない問題もあろうと思います。またものによっては割合にじっくりと審議をしてもらってもいいものもあろうかと思うのであります。この委員会でいろいろ御意見を承りましたものは、すべて私といたしましては証券取引審議会に伝えまして、そうして至急検討しなければならぬものについては、そのことを取引審議会の方にもよく希望を述べまして、毎週にでも会議を開くなりして、早く結論を出していただいて、実施すべきもの実施する、こういうふうにしたいと思う次第でございます。
  5. 横山利秋

    横山委員 それで、先般来本委員会でたくさんの意見が開陳されたのですが、おのずから重点的なものと、将来にわたってあなたのおっしゃるように検討すべきものとあると思うのです。政府としては、当面喫緊を要する問題としてどういうことをお考えでありますか。私どもの言っておることの多々ある中で、何をなるほど政府としてはこれは早くやらなければならぬというふうにお考えですか、一応その感想を承りたいと思います。
  6. 西原直廉

    西原政府委員 ただいままずまっ先に取っ組んでもらいたいと思っておりますものは、御説明申し上げましたように第二市場の問題でございますが、第二市場問題に関連して当然起こってくる地方取引所とかなんとかもございますが、それはまた別といたしまして、その次は、大体この間からお話もございましたように、バイカイの問題なんかが第二の問題として取り上げていただくべきことではなかろうかというふうに考えております。
  7. 横山利秋

    横山委員 そこで、そのほかにも私はいろいろ意見を持っておるのでありますが、私どもも、まず第一に、第二市場の問題を、法律的にもあるいは危険度の点からいっても、相当重要なウエートを持つと考えておるわけでありますが、来週現地で、実栄会でありますか、あるいは大阪に行くわけにもいきますまいけれども、実栄会の実情をよく承知いたしたいと思うのですが、たとえば第二市場を決定する場合に、今日の現存しておる取引所との関係はどういうことになるであろうか、また地方取引所との関係はどういうことになるであろうか、また取引法改正する必要があると思うが、どうなのか、それを実現するとするならば、あなた方としてはこの国会提案をされる別意があるかどうか、そういう点をお伺いいたします。
  8. 吉岡英一

    吉岡説明員 お尋ねの第二市場の問題を具体的に論議いたしますと、当然お話のように第一取引所と申しますか、現在の取引所とどういう関連で考えるのか、あるいは地方取引所とどういうふうに考えるのか、いろいろな問題が出て参ると思います。一つ一つにつきまして、相反すると申しますか、実はいろんな議論があるわけでございまして、私どもといたしましても検討はいたしておりますが、どちらかにきめてしまうというところまでまだ結論を持っておらないわけであります。証券取引審議会でもいろいろな御意見が出ると思いますが、それらを参酌いたしまして、われわれの態度をきめなければならないと考えております。  それから、法律改正の必要があるのかどうか、また今国会に提出する用意があるかという御質問でございますが、第二市場を作ります場合に、現在の取引所と全然別個の第二の取引所を設置いたしますれば、現在の法律でできるわけでございまして、法律改正の必要がないわけでございます。ただ、いろいろ論議の結果、現在の取引所の中に、もう一つ別市場と申しますか、たとえば現在のものを第一市場といい、新しいものを第二市場というふうに分けて持つことが適当であるというようなもし結論になりますと、現在の法律では、一つ取引所は二つの市場を作ってはならないという規定がございますので、その辺を改正する必要が免ずるかもしれないと思いますが、実はその辺まで実態論議がまだはっきりいたしておりませんので、法律改正の必要があるかどうか、あるいは今国会に提出するかどうかというようなところまでまだ進んでおらないのであります。
  9. 横山利秋

    横山委員 かりに法律改正——私は必要とするという考えに立っておるのでありますが、かりに法律改正を必要とするという段階になるならば、すみやかに私は——先般来各委員が、今の第二市場的なものについては法律疑義があるという立場をとっておるわけでありますが、こういうように国会議論されて、しかも影響するのを心配して、なるべくあまり問題にならないような言い回しをとっておるのでありますけれども、腹の底では相当みんな一つの確信を持って言っていることは、皆さんも御存じ通りであろうと思います。一たん委員会でこのような疑義がだれが考えても存在するということが公になったならば、すみやかにそれを措置しなければ、もし万一のことが起こった場合には、政府責任は免れがたいところだと私は思うのであります。従いまして、先ほど申しましたように、すみやかに措置すべきもの、すみやかに是正しなければならぬものは、府政としては相当責任感じてもらわなければ困る。ですから、法律改正を必要としないという見通しであるならばいいけれども法律改正をかりにある場合には必要とするということであるならば、そのときには本国会提案せざるを得ない、次の国会に延ばすわけには参らぬという覚悟をきめてもらわなければいかぬと思うのでありますが、その点はいかがですか。
  10. 西原直廉

    西原政府委員 この第二市場の問題は、今お話しのように、早急に解決と申しますか、処理すべきだと私ども思っております。従いまして、二十二日からこの問題と本格的に取っ組んでもらうわけでありますが、私どもとしては、少なくとも大体の目鼻を至急つけてもらいたいという考えでおりますので、その結果によりまして、もし法律改正が必要であれば、法律改正をお願いするということにいたしたいと思います。
  11. 横山利秋

    横山委員 それで、その第二市場の問題を論議するにあたって、ぜひとも考えてもらわなければならぬと私が思うことについて申し上げたいと思います。端的に申し上げれば、当世の流行語で行うならば、証券業界構造改革一つ想定に置いてやっていただきたいと思うのであります。今さら申すまでもありませんが、今日の四大証券の独占的な状況については、このまま推移するならば、この状態がそのまま持続される、そうでなければますます独占的な形態が増加するばかりである、こういう判断は何人といえども否定することのできない事実であろうと思うのであります。すでにこの実態については先般来いろいろ議論をされておるのでありますから、あえて多くは申しませんけれども、この第二市場の問題のみならず、証券を語るにあたってすべての人が腹の中に置いておるのは、このような証券業界構造でよろしいであろうかどうかという点であります。政府としては、先般来の質問の中で、なるべく中小証券を育成をするというような含みはありますけれども、それが、中小証券をさらに強化して、現存の証券業界構造を変えるというところまでは踏み切っていないようであります。私は、しろうとでありますから、あるいは技術的にどういうことになるのか知りませんけれども、端的に言うならば、第二市場は、中小証券業界ないしは大企業の諸問題については、これは一つ第一取引所の問題になるべくまかせるようにして、第二市場を中心にして考えるということはいかなることになるのか、そういうことは実現が不可能であろうかどうか、また、多少の問題があっても、このような重点で進むということが、今日の問題として適当ではなかろうか、こう考えるのでありますが、いかがでございますか。
  12. 西原直廉

    西原政府委員 大証券と中証券、あるいはもう少し小型と申しますか、小さい証券、中証券にもいろいろのものがございます。全体として五百五十の証券業者でありますから、大きなところから小さなところまでいろいろなものがございますので、その間どういうふうに各紙券業と申しますか、それを考えていくべきかどうか、なかなかむずかしい問題であります。先般もお話がありましたように、一種の職能分離というようなこともいろいろ言われているわけでございます。西社につきましては、もちろん投信とかなんとか、いろいろそういう機能が大きく出ているわけでありますけれども、それ以外に、御承知のように投信というものは四社だけの独占というものでなくて、ほかに十社投資信託をやっている会社もございます。それから、運用預かりというのが、新しく証券業というものが大きくなった一つの原因をなしたと思いますが、これにつきましても、大体四社以外に十五の証券会社が運用預かりをやっているわけであります。また累積投資というのも新しいあれにございますが、これも四社以外に十四社くらいがやっております。そういうようなことで、今のお話のような証券業構造の問題としては、四社だけでいろいろなことを独占するという形は、なるべく避けたいというふうには考えておりますが、同時に、こういうようなものにつきましては、相当の規模とか何かを持たないと、やはり安全性の問題もありますので、そういう点いろいろ考えなければならないと思っているわけであります。今の第二市場の問題でございますが、それを一体中小証券だけでやるべきかどうか、これは、第二市場というものをどういうふうに考えて、どういうもので第二市場というものを形成するのか、あるいは形成しないのか、その基本問題からやはり検討しているわけでありますので、今のお話十分証券取引審議会の方にも伝えまして、検討していただきたいというふうに思っております。
  13. 横山利秋

    横山委員 二重構造といわれますけれども、この業界の二重構造は徹底して著しいのでありますし、しかも、中小証券業界といえども、大なり小なり大証券の息がかかっておるのでありますから、さて中小証券業界を盛り立てるということを言うてみても、実は中小証券業界の中で前へ出るのをためらっておる。私のところも、実は何かかにか言っても、大証券の息がかかっておるものでありますからということで、前へ出ることをためらっているということが、御存じ通り実態であります。だから、一般中小企業の諸問題よりもっと手きびしいような状況でありますから、私の言うのも、下からてこ上げしたってうまくいかないような事情であることはよく承知しておるのです。しかりとするならば、この構造改革も、機構上から適当であると認めるならば、多少権力的な、あるいは機構的な面から思い切ってやるような気持になりませんと、百年河港を待つような状況であります。単に第二市場の問題でなく、あとで触れるところでありますけれども、相当思い切った考え方に立ってもらわないと、実現ができないと思うのであります。抽象的に申し上げておってもよくおわかりのはずでありますから、大前提として第二市場議論するにあたって強く要望しておきたいと思うのであります。  第二番目の問題としては、行政機構の問題であります。先般来あなた方のお話を伺っておりますときに、ふいと私が考えますのは、今の政府のそれぞれの機構は、いかなる権限があってこの証券諸問題の指導なり監督をしておられるのか。逆に私は考える。聞くところによれば、店舗の新設なりあるいは増設なりは、法律上は届出制度であるけれども、実際問題としては押えておる。どういう方針で何の根拠をもって押さえておるのでありますか。
  14. 吉岡英一

    吉岡説明員 たとえば店舗増設等につきましていかなる法律的権限でやっておるかというお尋ねであると思いますが、法律的には、御説の通り店舗につきましても登録制でありまして、登録をすればいいので、免許その他の根拠はないわけでございます。ただそれを自由にいたしておきますと、いわゆる大証券が資力にまかせてどんどん店舗増設する、あるいは地方に進出するというようなことで、証券業界全体としての円滑な発展が期しにくい、非常な摩擦が起こるというようなことから、業界の自主的な——自主的なと申しますか、話し合いによって、事業計画書というものを出してもらいまして、そのときにお互いに大体店舗は三店舗程度にしようというようなことで、やっていただいておるわけでございます。今の大証券、中証券の問題でありますが、たとえば今の店舗の問題にいたしましても、一律に三店舗にしようというようなことは、現在の勢力から考えますと、大証券には率的には非常に低い、中小証券は同じ三店舗でも、率的には追いつけると申しますか、拡張のできるやり方であります。投資信託のワクの問題にいたしましても、一社当たり幾らというような同じ金額で押さえておりますことは、大証券が非常に伸びようとするのを多少押えて、中小と申しますか、もう少し下の方のものが追いついてくるのを待っておるというような感じ話し合いによる制度をやっておるわけであります。
  15. 横山利秋

    横山委員 言葉の上ではそれは自主調整をやらせるようにしておると言っても、実際問題としては、あなた方は法律上何ら権限のないことをやって——届出制度によって店舗の新増設法律に基づいて自由にされ得るものを、自主調整に名をかりて、あなた方が勝手に、権限逸脱して、そういうことをおやりになっておるということはありませんか。また、店舗の新増設のみならず、今日の証券行政は、総じてあなた方の逸脱行為が見えると思うのです。私は逆説的にものを言っておるのでありますけれども、こういうような状態がそのまま持続をいたしますならば、必ずやあなた方の身辺に問題が起こると私は洞察をしておるのであります。証券業界は、今政治的なあるいは社会的な注目を集めておるのでありますから、何とかしてそういうようなことのないようにという注意は払っております。しかし、その注意は、すべてあなた方の証券行政責任を低嫁しておるわけであります。転嫁をされておるあなた方の立場というものは、法律的に根拠のないことを、社会公共的な福祉といいますか、投資家の保護ということの一般的条項に名をかりて、逸脱をした行為をやっておるということを私は考えるのであります。重ねて言いますけれども、こういう権限のないことをいつまでもおやりになるつもりでございますか。もし自分たち権限にないことならば、正式に国会立法的措置を求むべきであります。また、機構が小さくて、そのために十分な調査もできず、感覚的にものをやっておるという行為があると思うのでありますが、そういうことであるならば、また、機構を大にして、調査機能を充実して、適切な措置を打つべきだと思うのであります。今日のあなた方のやり方というものは、私は、極端に言うならば、まことに言語道断だと思う。あなた方は、今の社会情勢からいって、自分たちは適当な方法だと信じてやっておると言うけれども、実際、法律的な立場国会立場からいうならば、逸脱行為脱法行為、そういうようなことは数え上げても枚挙にいとまがないと私は思う。私の言う意味がおわかりでございましょうか。
  16. 西原直廉

    西原政府委員 吉岡調査官からお答え申し上げましたように、現在までのところは、業界お互いの自主的な協議その他によりまして、ただいまお話しのような点は進められていると思います。しかし、今後いろいろなことを考えます場合に、このままでいいのかどうか、いろいろな問題がございます。たとえば証券業自身登録届出でできるわけでありますが、これは免許制度にした方がいいのではないかというようなこともいわれているわけであります。そういう点で、いろいろな点を考えまして、今後どういうふうに行政というものをやっていくべきか、あるいは行政でそういうものを直接監督するということにすべきかどうか、そういうような点も証券取引審議会において十分意見を出していただくということにしているわけでございます。
  17. 横山利秋

    横山委員 この問題だけは証券取引審議会の問題ではありません。あなた方自身行為責任権限の問題でありますから、あなた方の明確な御答弁を私は要望いたしたい。もちろん審議会委員になっております民間人やその他の意見はあるでありましょう。しかし、行政機構が直接責任を負い、直接あなた方の仕事としてやっておる問題が法律上の基礎に立ってない、こう私は主張しておるのでありますから、立っておるならばおるというふうに明らかにしていただけば、納得ができるのです。法律上の地位に立ってないとすれば、それが必要ならば法律上の地位に立つことを国会に求むべきである。そうして機構が不適当であるならば機構を是正すべきである。今日の状況で、今はアブノーマルな状況であるが、ここしばらくがまんすれば何とかできるということならば、それはまたそのように私も考えないことはないけれども、こういう状況を持続する限りにおいては、必ず問題が起こる。監督が不行き届きになる。そうして、大阪にありましたように、不行き届きのために、監査をしておってもああいう問題が起こる。あなたの方がまさに逸脱行為だと私はあえ言うのでありますが、そういうことで実質しの免許制度にしておる。これをもっててん然としてあなた方はいいと言っておられるのであろうか、どうであろうか。そういう点では、今日の証券諸問題と今日の証券行政立法的立場、運用というものは、明らかに矛盾が数多く感ぜられる、私はそう主張しておるのでありますから、もう少し率直な御答弁をお願いしたい。
  18. 西原直廉

    西原政府委員 ただいまの、たとえば証券業の設立の中で申し上げますれば、今の法律上これは届出でできてるわけでありまして、一定の条件があれば登録を受理するわけでございます。そういうことで現在でもやっております。今までは、いろいろの点から見まして、店舗の問題その他については、それぞれ業界の自主的な調整と申しますか、それで行なうことが適当であるというふうに考えて参ったわけであります。しかし、最近いろいろ業界発展あるいは変化等もございますし、今後、私ども自身だけのあれでなくて、全般的な各界の御意見なりあるいは見ておられる見方というようなものも拝聴して、これからどういうふうに行なうべきかという点を考えて参りたい。そういうようなことから、証券取引審議会に、行政のあり方をどうすべきかということも一つの問題として、御審議願うことにしておるわけでございます。
  19. 横山利秋

    横山委員 遠慮してものをおっしゃらぬようであるけれども、私の言う意味は百も承知してそらしていらっしゃると思うのでありますが、法律改正するとなれば、何法が私の言っておる意味に該当しておるか。さらに、先ほどの第二取引所の問題と関連して、この問題は法律改正を必要とするならば、本国会提案をされるというお気持があるかどうか伺います。
  20. 西原直廉

    西原政府委員 今のお話の、法律の点から申しますと、証券取引法が該当する法律じゃないかと思いますが、本件については、証券取引審議会において十分審議を願って、その結果によって処置をすべきものは処置するというふうにしたいと思っております。
  21. 横山利秋

    横山委員 その点、局長にそういう御答弁を求めるのはあるいは無理かもしれませんので、それではその問題は他日大臣に質問することにいたしましょう。  次に、先ほどちょっと触れました中小証券の問題でありますが、今、日証金なり何なりは、四大証券にどのくらい融資して、中小証券にはどのくらい回しておりますか。私の言いたいことを時間の節約上簡単に申しますと、そんなものは四大証券は除外してもいいのではないか、中小証券オンリーの証券金融にさした方がいいのではないか、こういう感じがいたすのでありますが、その実情をお伺いいたします。
  22. 吉岡英一

    吉岡説明員 信用取引に関します日本証券金融の資金融通のお話だと思いますが、現状は、日証金は、昨日の融資貸株差引残高が約三百二十億になっておりますが、そのうら四社は十二億ずつ、六十億の融資を受けておるわけであります。お話のように中小証券と四社は自分で資金を調達する力が違いますので、こういう日証金というような特殊な融資機関からは四社を除外して、四社以外の証券会社だけに貸したらどうかという御議論であります。そういうかなり有力な議論があることは事実でございます。ただ、逆に、四社がこのワク外にあって、四社の自己融資と称しております自分の資金調達能力にまかせていろいろなことをやることはかえって弊害があるので、むしろ四社の自己融資による業務をやめさせて、日証金のワクの中に全部取り込んだ方が、中小証券との間に公平な業務調整ができるのだという反対の意見もございます。その辺は、やはり証券取引審議会の問題にも出しておりますが、日証金の金融のあり方というものを、いろいろ両面の議論をもう少し詰めていく必要があろうかと考えております。
  23. 横山利秋

    横山委員 理屈としては、全部一つのますの中に入れて配分して、一見してわかるようにしていくという議論はあると思うのです。あると思うのですが、それではあなたに伺いますが、証券金融の総ますの中へ四大証券も全部入れてしまうということが、現実問題として可能であるかどうかということを逆に聞きたいのです。私は、それは、実際問題として、今日の状況においては不可能ではなかろうかと思います。それぞれ中小企業関係金融には金融関係の業務分野というものがおのずからあって、そういう特別のますでそれぞれ特別の金融をやっておるのでありますから、三百二十億の中で、四大証券ともあろうものが、中小証券の分野を侵して、総額六十億でございますか、そういうものを荒らす必要はないではないか。今日の状況としては、証券金融の資金ワクが足らぬというてわいわい言っておるときでありますから、むしろ四大証券は全部別のルートをたどりなさい、そして、中小企業金融それ自身については、この証券金融のワクでやる。それがどの程度が適当であるかということを、すなおに議論できるようにした方がいいのではないか、こういうふうに考えるのですが、いかがでしょう。
  24. 吉岡英一

    吉岡説明員 お説の点、確かにわれわれとしてもいろいろ考えなければならぬ点だとは考えておるわけでございます。ただ、今の三百何億という日証金の残高は、必ずしもそういうワクがあるわけではございませんので、信用取引の状況によっては特別の方法をとり得ることになっておるわけであります。むしろ、その中身として、各証券会社ごとにワクをきめて、それがしばらく続いておるわけでございますが、それについてもう少し中小と申しますか、各証券会社のワクを広げてほしいという要望が強くあるわけでございます。その点は、今の総体の三百二十億の話とは別に、今のこういう株式市況の状況、信用取引の状況のときに、各証券会社のワクを広げる時期かどうかという、多少角度の違った観点からの検討も必要かと考えております。
  25. 横山利秋

    横山委員 この間、ちょっとどなたか触れたのでありますけれども証券業者の従業員ないしは証券業者会社自身の不正の問題が、最近非常に目についておるわけでございます。きょうも、新聞を見ますと、証券業者の名前はついておりませんけれども、従業員が顧客からの預かり金百万円を持ち逃げしたというのが出ておりました。私も、最近機会があって、ある疑いありという問題について検討する機会があったわけでありますが、燎原の火のように発展をいたしました。この証券の問題については、一般金融機関と違いまして、時間的な問題も仕事の内部にあって、相当緻密な機構、あるいは投資家という立場において不十分な点があるのではなかろうか。電話一つで売買をする。あるいは簡単な措置で預かりをする。そうして、顧客は、その店へ行ったところで、自分の総資産というものについて即座にはわからないようなしかけになっておる等々がありますが、これら投資家立場から、この顧客関係の事務処理、従業員に対する不祥事件の未然防止、それから証券業者の信用担保のための基金、または保険制度設置の要否などは、取引審議会一つの議題になっておるそうでありますが、あなたの方では、今後いかなる構想をもっておやりになるのでありましょうか。
  26. 西原直廉

    西原政府委員 ただいま御指摘の点は、私どもむしろ一番頭を悩ましておるところでありまして、いつも何かいい工夫はないかというふうに考えております。そういうことで、取引所あるいは証券業協会その他いろいろな方にに、いろいろお願いしたり御意見を承ったりしておるところであります。こういうような事件が発生いたしませんように、ずいぶん注意をして、私どももお願いしておりまするし、また業界でもそれぞれ注意をしておられますが、今お話しのように、やはりこういうような不祥事件というものがございます。そういうようなところから、各業界一致で、何かそういうものが起こりましたときの保険と申しますか、そういうようなことは考えられないか。協会とか何かで、ある程度の積立金的のものを今持っているところもありますが、そういうものをもう少し別の意味でも使えないだろうかというふうに私ども考えておりますし、またそういうようなことをお考えの方も業界の中にもあるように思いますので、今お話がございましたように、証券取引審議会に、どういうふうにすればいいか、あるいはどういうことが考えられるかということを付議しておるわけでございます。
  27. 横山利秋

    横山委員 そういうばくたることでは緊急間に合のわないと私は思います。もう今となっては明らかにされてもいいと思うのでありますが、大阪に起こった事件は、一体あなた方は監査をしておってどうしてわからなかったのであるか。その事件の内容というものはどういうものなのか。それに対するどういう措置をされたか。投資家保護の見地からどういう保護の措置をされたのか。その点を参考のために伺います。
  28. 吉岡英一

    吉岡説明員 お尋ね大阪の斎藤卯という証券会社が昨年事故を起こしたわけでありますが、簡単に事件の内容、それからお尋ねの点について申し上げます。  大阪の斎藤証券が、昭和二十九年以降、店の中で、先ほどお話のありましたような職員の使い込みその他の不祥事件が起こりまして、その穴埋めのために、お客さんから預かりました保護預かり有価証券を流用いたしましたり、あるいはまた商利で金を借り入れるというようなことをやりまして、それが結局会社の経営全体に響きまして、大蔵省といたしましても、また取引所としても営業の停止をし、その他いろいろ整理、再建の策も立てましたが、どうにもならないというようなことで、登録の取り消しに至ったわけであります。大体の債務と申しますか、お客さんに対して損害をかけた金額が約十一億円に上りました。整理の結果、取引所からの見舞金、それから会員券の譲渡見返り資金あるいは残余財産等をお客さんに分配をいたしまして、小額の債権者に対してはなるべく手厚くということで、小額の者に対しては大体三割の補償、平均的に約二割の返金をいたしまして整理をいたしたわけであります。  そこで、この事件が、われわれ定期的に検査をしながらどうして見つからなかったのかという問題でありますが、これは、一般会社の場合にときどきあります程度のものとは非常に違いまして、全部簿外で非常常に巧妙な方法で経理をいたしております。普通の帳簿、普通の事務所ではわからない。全然別のところで別の経理をするというような、いわば証券業以前の問題と申しますか、今警察が取り調べているようでありますが、そういう事件でありまして、われわれといたしましても、検査のときにこれを発見できなかったことは非常に遺憾に存じております。ただ事柄の性質はそういうものでありまして、どうも普通の検査ではなかなか発見のできない特殊な事例であったように考えておるわけであります。ただ、この事件が起こりまして以後、われわれとしても、検査の方式、時期、対象等につきましていろいろ反省すべき点があるということで検討をいたしまして、その後、この事件を契機としてと申しますか、先般の委員会でも申し上げましたように、証券界の情報その他いろいろなものに気をつけまして、少し不健全な取引状況をしておる、あるいはあぶないと思われるような会社をあらかじめ選定をいたしまして、いわゆる要注意業者につきましては、定期検査以外に、簡単な検査ではありますが、内容をつかむためになるべくひんぱんに検査を行なうような態勢をとったわけであります。なお、役所の検査にはやはり限りもございますし、能力等にも限りがございますので、何と申しましても業者自体が共同の責任でこういうものを早く防止しなければならないなということで、先般申し上げましたように、東京証券取引所におきましては、定款を改正いたしまして、検査の権限理事権限に変えまして、今後は、取引所自体が、こういうことのないように、あらかじめ予防的にいろいろな検査をする態勢にいたしたわけでございます。
  29. 横山利秋

    横山委員 御説明によれば証券取引以前の問題だ、二重帳簿をつけているからわかるはずがない、こういうようなお話でありますが、それでは、かりにどこかがもう一ぺんやったら、やっぱりわかりませんか。あなたの御反省に基づいて今後はそのようにならないと言っておるんだけれども、その口裏から、ああいうやり方をしたんでは私どもにはわかりませんよと、こうおっしゃるのですが、それでは、今後も、そういうことをどこかでやったら、やっぱりわかりませんか。今度はわかるしかけにしたのですか。
  30. 西原直廉

    西原政府委員 簿外というのが一番問題の点でありますことは御指摘の通りでありまして、こういうものについてどういうふうにやれば一番よくわかるかということをいろいろ考えましたが、これは簿外でやっておりますし、普通の方法ではなかなかわかりにくい。やはり取引があるというようなことから、一番こういうもののわかる端緒というものができるんじゃなかろうかというようなことも考えまして、実は今吉岡調査官から申し上げましたように、やはり役所だけでなくて——役所でも、もちろん定期というよりはむしろ臨時に、いろいろ検査と申しますか、調査に参る方がいい。それから、やはり取引関係からこういうふうなことがいろいろわかってくるんじゃなかろうかというふうなこともあって、取引所の方でも検査とか調査ができるというふうにお願いしたわけであります。そういうふうにいろいろ工夫いたしましたけれども、今後絶対にこういうものはわかるということも、これは申し上げられないと思います。私どもとしては、できるだけこういうものができないように、また何かありました場合にも、なるべくこういう大きな金額にならないで早くわかるようにと心がけておるわけでございまます。御了承願いたいと思います。
  31. 横山利秋

    横山委員 一体その斎藤卯証券がその問題を最初に簿外で始めてからこれが発見されるまで、どのくらいの期間があったか、そしてその間検査が何回行なわれたか、伺いたいと思います。
  32. 吉岡英一

    吉岡説明員 最初にいろいろなことを起こし始めましてから発見までに約三年間かかっておりまして、その間に二回の検査をしております。
  33. 横山利秋

    横山委員 三年の間どんどん悪いことをしておって、その間に二回も検査に行って何もわからなかったというのは、言語道断じゃありませんか。一体何をしておったのか。ああいうやり方をしては私の方にはわかりませんよと言うのだけれども、それじゃ証券行政というものは一体どういうものなのか。そんなわかるようなことをやっておるようなところがあるはずがないではありませんか。うまくやっているから、検査をしてそういうことのないようにするのが目的であるとするならば、あなた方の検査というものは、失礼な話であるけれども、今日はと入っていって、適当に帳面を見せてもらって、御厄介になりました、一席どうぞ——というようなこともなかろうと思いますが、そういうような気がしてならぬのであります。その検査は財務局の係員が行くのですか、それとも本庁の人がなさったのですか。
  34. 西原直廉

    西原政府委員 その検査は財務局の方でいたしておりましたが、私どもの今までの検査のやり方についての不備でありましたのは、大体本店を中心にして検査をしていた。この事件は本店でなくてほかの方の店でそういうことをやっておりました。そういうような関係もございまして、今後すべての店について全部を当たるというには、いろいろやはりあると思いますが、私どもの方からも、本店だけでなくてほかの店も検査をする、同時に、取引所の方にも、そういう面でのいろいろ御注意を願う、こういうふうに改善をいたしていっているわけであります。まだ今後いろいろ検査のやり方その他について御注意も受けて、改善すべき点は改善するようにいたしたいと思います。
  35. 横山利秋

    横山委員 この点はどうしてもやはり改善を要しなければならぬものだと私は痛感をいたします。しかも、すみやかにこの点は、検査の方法なり、あるいはかねて私どもの方からも意見が出ております保証制度なり、あるいは積立金なり、それらの問題については改善を要すべき喫緊の問題だと私は思うのです。  それから、今局長お話の中で、なるべく取引所自主調整なりあるいはまた自主検査を待ちたい、こういうお話がございました。これももっともだと私は思うのですが、そういう問題を議論をいたしますと、根本的に取引所の性格論にまで発展をせざるを得ないと私は思います。取引所というのはそもそも何だ。一番初めは株式会社であった。今度は会員制度の問題である。世間一般の人には、会員制度取引所、会員と非会員との区別というものについては、十分な理解ができていないのであります。会員になるととてもいいことがあるのだろうか、それじじゃ会員の利益をはかっておるのだろうかというような一般常識論があるわけであります。取引所の会員制度にはそれぞれの歴史があり、外国の状況を見ても、私は会員制度が必ずしも悪いものとは思いませんけれども、しかし、今日の証券界の飛躍的な発展と、それからあなた方が要望される自主調整なりあるいは自主的な検査という角度まで要求をされるに至りますと、実際その会員証券業者というものが、自分たちの利害に反する面がますます加速度的に大きくなっていくもの考えられる。利害が反しなければ、公共性を高めるためにはかえっていかぬのではないか。そういう点で、証券業者以外に二人や主人の民間人を入れたところで、そういう人たちがたまたま出てきて、まあ話を聞いて、一般論として議論をしておるだけでは、取引所の公共性というようなものは守れないのではないか。この際さらに証券問題が根本的に議論をされることになりますと、特殊法人なり何なりの組織の大改革が必要な段階になるのではないか、こう考えられるのでありますが、会員制度における利害の公共性との対立問題についてどうお考えでございますか。
  36. 西原直廉

    西原政府委員 戦後取引所の組織が会員組織なりましたのは、取引所機能を十分発揮するためには、その上自主的に行なうというのが適当であるという観点からでございますが、しかし、今御指摘のように、いろいろ運営については高度の公共性が要請されます。それで、取引所として現在の運営上改善すべき点はないかどうか。さらに進んでは会員組織のままでいいのかどうか。たとえば会員組織と執行機関との権限関係を一体どういうふうに見るか。若干今お話がございましたように、現在でも公益性を幾らか入れるというふうに改正はして参ったのでありますけれども、さらにそれを進んで会員組織と執行機関との権限関係をどう見ればいいか。あるいは会員組織がいいか、あるいは特殊法人組織がいいのかどうか、こういうような点もなかなか重要な点でございますので、証券取引審議会に御審議を願う問題として、昨年十二月に私どもの方から、証券審議会に問題として提供と申しますか、お願いしてあるわけでございます。
  37. 横山利秋

    横山委員 そういう根本的な議論になりますと、私は、今の証券取引審議会の、失礼な話でありますが、委員構成が現時点において妥当であろうかどうかということすら考えるのであります。率直に申して、金融証券との対立の問題、それから既存の業者の皆さんの利害の問題ということに対して、まっこうから大原則論を一体振りかざして議論ができるような構成にほんとうになっておるのであろうか。あなた方自身としても、この間から今日まで私も苦情は申しましたものの、真に自分たちがかくあれかしという根本論よりも、むしろ審議会の波の間に間に一般議論を尊重してということであって、かくあれかしという自分たちの所信に乏しいきらいがありはしないか、こういう感じがするわけであります。これは多少意見になると思いますし、あと質問もあるのでありますから、私としてはここで質問をやめることにいたすのでありますが、さらに小委員会なりいろいろな審議を通じて一番基本的に私が要望いたしたいのは、今日の証券行政についての改善がぜひとも必要になる。それから法律改正がそれに伴ってどうしても必要になる。投資家保護の見地は一刻も早くとらなければならぬ。また、金融及びこの証券問題に相関連して、どちらにころんでも、直接投資の方を重点とする今日の整理方向について結局一番心しなければならないのは、中小証券業者であり、中小金融機関である。これらの問題をいかにするかということを大前提として、いろいろと議論をし改善することが一番必要なことである、こういうふうに痛感いたしておるのであります。時間がございませんから、私の意見だけを申し上げて質問を終わります。
  38. 足立篤郎

  39. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 質問に先立ちまして私は資料を要求いたしますから、委員長におかれては資料提出につきまして御配慮いただきたいと思います。  まず、東京証券取引所における売買高と売買代金並びに売買手数料収益の変遷、これは二十四年取引所再開後今年一月までを各月別及び一日平均、それから次に同じく有価証券取引税の月別金額、同期間です。  第二の資料、右のうち四大証券の占むる地位を知りたいので、四大証券の分を各社別に作成せられたし。ただし、各社別ということになると弊害があろうというなら、A、B、C、Dと符号はかまいません。そのようにお願いいたします。  第三の資料、取引所再開後今日までのダウ平均と単純平均のグラフを提示せられたい。特におもなる騰落の要因事件を付記せられたい。ばかにむずかしい話ですけれども、これは取引所等にそういうグラフはあると思うのですが、一番新しいものを御提示願えればけっこうです。  四番目の資料、三十五年九月期の四大証券の考課状、ただし各勘定科目の内容のわかる明細を添付のこと。  以上、資料を要求いたします。
  40. 足立篤郎

    足立委員長 よろしゅうございますね。  平岡君。
  41. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 では、質問申し上げます。  まず、大久保政務次官にお尋ねします。ポンド、オープンの設定を契機といたしまして、産業資金の調達をめぐり証券業と銀行との競合が激しくなって参りました。少なくとも競合激化の芽を内包して参ったと私は存じます。具体的に申しますと、ボンド・オープン予定一月一社——これは四大証券ですね。一月中四大証券一社当たり六十億の予定であったところ、実際には各社とも百億円集め、結局四百六十億円を集めました。そのほかに山一が第二オープンを設定しまして、これが二百七十億円、そういうことで合計七百億円集めてしまいました。さかのぼっては十二月中集めた投信の合計が千二百億円、すなわち二カ月間で二千億円だけ銀行預金を直接間接に食ったということがいえると思うのであります。もっとも十二月は四千八百億円ほどのボーナスが出ていますので、直接影響はおそらく感じなかったでありましょう。ところが、一月は明らかに銀行から引き出された、こういう結果が明白になっております。そこで、これに対応する大蔵省の機構関係についてお尋ねをするわけですが、まず証券の仕事の分量がうんと量的にふえたから、そこで現在の理財局の証券関係をもっと強化しなければならぬという意見が、この委員会の各委員質問のうらにございましたし、要請もあったようであります。量的にふえたから証券局を作れという要望があったわけですけれども、大蔵省の方としては、量的にふえておるから証券局を作るという認識に立っておるのか、それとも、産業の資金調達の機関として銀行と証券業というものがある、従ってこれを二元的に掌握して管理指導するという認識に立っているかどうか。前者であるならば、これは理財局から証券局を分離させるということで足りると思うのです。しかし、後者の認識に立つならば、これはむしろ金融庁というようなものを作りまして、そのうちに銀行局と証券局というものを設置する、こういう形になろうと思うのです。まず、もし改革するとするならば、方向をお示しいただきたいのであります。
  42. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 先般春日委員からもお尋ねがございまして、その節もお答えを申し上げておいた次第でございますが、最近の証券業界の非常なすばらしい発展の傾向にかんがみまして、公衆の利益を守り、証券界の経済界に寄与する役割をますます十分に発揮いたさせますためには、何らか、今後におきましても、機構につきましても十分な検討を加えて整備をしなくちゃならぬといいますことは、この間春日さんの御質問にもお答え申し上げておきました。  そこで、証券局を作るか、金融庁を作るか、かようなお尋ねでございますが、この辺のことにつきましては、今後業界の推移等にかんがみまして、十分だんだんの御質問の点を考えまして、遺憾なき措置を講ずるような機構を編成いたしたい、かように存じておりますので、どうぞ御了承いただきたいと思う次第であります。
  43. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 業界の推移を見てというのではなしに、大蔵省当局としての一つの見通しというのでしょうか、見識というのでしょうか、それをお示し願いたいのです。推移を見てというのでは受け身になります。ですから、こうした産業資金調達の二つの部門というものを、やはり総合的に、統合的に、一元的に掌握して、これを管理していくという立場が必要になってきたはずです。ですから、大蔵省自体として、政府自体として、どうした方向にこの問題を解決していくか、どういう方向で解決するか、この点をお示し願いたいのであります。
  44. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 平岡さんのお示しのように、問題は二つの面を持っておると思うのであります。そこで、証券業という面からとりますと、証券局を作る、金融の一元的、統一ある運用ということを考えますならば、金融庁を作る、こういうことに相なるわけでありますが、これは両面ともその意義を持っておるのでございますから、いずれにいたしましても、大蔵省といたしまして総合的な観点に立ちますことは、これは間違いはございませんが、その証券局を作った方が、ずっと掘り下げて監督が届くのであるか、金融庁を作った方がよろしいか、この辺は一つ十分今後研究いたしまして、目的の達成に遺憾なきような措置を講じたい、かように考えております。
  45. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 それはそれでやめておきましょう。  次に、投信の急激な増加が銀行との間にもんちゃくを起こしておることは、今私が申し上げた通りであります。そこで、具体的な問題としまして、大蔵省は、ボンド投信を含めて、三十六年度の投信の設定ワクをどのくらいにするつもりでありますか。
  46. 西原直廉

    西原政府委員 ただいまお尋ねの点はなかなかむずかしい点でございますので、目下私どもとして検討中でございます。三十六年度全体を見通しができてるかどうか。その点はむしろやはり今後の推移を見なければならぬ。幾らか、そういう意味では、半年とか、あるいはさしあたってはこの分はこの程度でとかいうふうに、実際上の推移を見ながら考えていくべきじゃなかろうかというふうに思っておりますが、目下検討中でございます。
  47. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 検討中ということですから、では一点だけお聞きしましょう。昨年十月からこの三月の末までの臨時措置として、投信募集中百八十億円が一カ月当たり株式への組み入れ率ときめられておりますが、現規制を依然として存置していくかどうか、この点だけ具体的にお答え願います。
  48. 西原直廉

    西原政府委員 ただいまお尋ねの点は、従来の一般の設資信託のいわゆるワクの問題でございます。昨年いろいろな社債、特に電力債なんかの消化の要求が非常に強かった。そういうこともございまして、株式組み入れ率を今お話しのようなふうにきめまして、そしてあとは社債に組み入れてくれるのならば、投資信託としては幾らでも募集して差しつかえないというふうにいたしたわけでございます。これは、この三月までに終わります六カ月の一般投資信託に対するワクと申しますか、考え方としてきめたわけでございます。これをこの四月以降も継続するかどうか、特にただいま御指摘のいわゆる公社債投資信託との関係もございます。今後の社債の発行の見込みと申しますか、需要の関係もございますので、今のようた考え方を一般の枠資信託として継続していくかどうかということになりますと、むしろ今のままでは工合が悪いのじゃないかというふうに考えております。しかし、これもまだ検討しておりますので、ただそういう方向じゃなかろうかというふうに考えておりますが、もう少し研究さしていただきたいと思います。
  49. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 取引市場に影響を与えるということの御配慮からでしたら、これは秘密会議でもいいのですが、でもそうした方針は実はきめておるのだというのか、ほんとうの意味で検討中なのか、その点を一つお示しいただきたい。
  50. 西原直廉

    西原政府委員 これは四月に始まるものでございますので、三月一ぱいにはもちろんきめなければならぬと思っておりますが、まだ時間がございますので、研究さしていただいているわけであります。
  51. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 先週、一部信用銘柄の増し担保と報告銘柄の指定をしましたが、株価一般は依然として上昇しておるようであります。規制の効果はないのではないか。大衆投資家にけがのないように、もっと有効な株価対世をとるつもりはないかどうか。とるとすればどういう手段があるか。
  52. 吉岡英一

    吉岡説明員 お尋ね通り、最近銘柄別の規制、信用取引についての銘柄刑の増し担保をとる措置、並びに第二数銘柄と申しますか、実物取引のものについて報告銘柄に指定するというような処置を、取引所並びに証券金融会社が行なったわけでありますが、こういう処置をとりました背景になりました市況の状況は、御承知のように、全体として過熱しておるという感じではなしに、前にも申し上げましたように、一部の品薄株と申しますか、代表株と申しますか、あるいは値がさ株と申しますか、ある限られた種類のものが興常な動きを見せておるということに基づきまして、こういう措置がとられたわけでございます。  規制後の状況を見ますと、こういう規制の対象になりました銘柄は、比較的下がっておると申しますか、異常な動きをとめたようでありますが、そのほかの株がやはり依然として強い感じでございまして、ダウの平均にいたしますと、やはり上がっておるという状況でございます。一応規制の対象銘柄が落ちついたという感じで、規制は規制として一応の効果はあったと考えておりますが、なお、今後の努力によりましては、あるいはまた新たなことを考える必要があるかもしれないと思っております。
  53. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 あとの質問はどうですか。
  54. 吉岡英一

    吉岡説明員 今後の市況の状況によって、なお新しい措置考えることになると思うのでありますが、もっぱら市況の状況によりまして、市況がどういう動きをいたしますか。考えられる措置といたしましては、こういう規制をした銘柄を避けて、ほかの銘柄に移るというようなことであれば、同じようなまた銘柄別規制を、報告銘柄にするというようなことをほかの銘柄に広げるということも考えられます。あるいはまた、報告銘柄の中で特に異常なものがありますれば、現在取引所に指定ポストという特別な取引方法々するポストがございますが、そこへ移すことも考えられます。また、信用取引が、一部銘柄でなしに、全般的に過熱の状況を示すというようなことであれば、あるいは大蔵省の省令を改正いたしまして、全面的な信用取引の規制をするというようなことも考えられるわけでございますが、現存のところ毎日の状況取引所なり証券金融会社なりが注視をいたしておりますし、私どもといたしましても注意を払っておるわけでありますけれども、現在のところまだ続いて何かをやらなくてはならない程度のものとは考えておりません。これは全く市況の状況、今後の推移によると考えております。
  55. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 それでは、別の問題を聞きますが、ボンド・オープンで持っている公社債を日銀の買いオペの対象にするかどうか。政府の見解はどうですか。日銀としては否定的ですが、政府はどう考えておられるか、お答え願います。
  56. 西原直廉

    西原政府委員 どういうボンドを日本銀行の賢いオペの対象にするかどうかということは、主として日本銀行の方で考えられることだと思います。私どもとしましては、この前からいろいろ御指摘がございますように、公社債投資信託の流動性といいますか、これをやはり考えなければならぬ。その点については公社債投資信託自体の運用資産のあり方、あるいは今後の社債とか何かの流動性自体をどういうふうにして見るべきかどうかということから考えたいと思いまして、今すぐ日本銀行の買いオペの対象にどうしてもしてもらわなければならないとは考えておりません。   〔委員長退席、細田(義)委員長代理着席〕
  57. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 最後に、銀行と証券との競合点の問題ですが、大体銀行筋から言わせますと、銀行自身は大蔵省の最も厳重な規制下にあるということを言っております。たとえば支払い準備金、内部保留、預貸率、経常収支率、こうした点であらゆる角度から堅実経営をやかましくいわれる。それにもかかわらず、証券会社は少し野放しになっているのではないかということがいわれております。ただ、そういうふうに抽象的に言ったのでは、これはどうにでもお答えが出てくると思うのです。具体的な問題としまして私お伺いしたい点は、例の所得税関係の整備について、公社債の償還差益を利子所得に含めるということを閣議決定している。それを、池田首相が、償還差益は課税対象にしないと、こう否定されたわけです。私どもの手元に配付されました租税及び印紙収入予算の説明の中では、「税制改正の要綱」として、やはり公社債の償還差益などは利子所得に含めるということがうたってある。公式には政府はどういうようにお考えなのか。池田さんのおっしゃったことを権威とするのか、われわれが受け取っている政府の公式公文をもって権威あるものとするのか、一つお答えをいただきたい。
  58. 西原直廉

    西原政府委員 本件は私どもの方の所管でございませんので、あるいは間違っているかと思いますが、これはただいままでたしかたびたび大蔵大臣からもお答え申し上げてあるかと思うのです。いずれにいたしましても、ただいまの点は三十七年度から実施する問題というふうに当初から考えております。この償還差益の課税の問題は、もう何年来の慣習と申しますか、いろいろそういう関係もございますし、三十七年度からということの問題であれば、もっとよく研究すべきである、こういうことで、お話のような取り扱いになったというふうに存じております。
  59. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 私はきょうはこの程度でやめておきます。次会、もし間に合うならば、あさって手数料問題を含めての証券会社の経理内容等について質問するつもりであります。ですから、質問権を保留さしていただきたいと思います。
  60. 細田義安

    ○細田(義)委員長代理 佐藤觀次郎君。
  61. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 前会も質問され、あとまた春日君も質問をするそうでありますから、時間の許す限りできるだけ簡単に質問いたしたいと思います。  最近投資信託発展によって銀行の預金がふえてこないというような傾向があるんですが、その競合の問題を、先ほども平岡君が言いましたけれども、どのように考えておられるのか。そういう問題は、理財局と銀行局の関係がありますが、理財局長はどのようにお考えでありますか。その点を率直にお伺いしたい。
  62. 西原直廉

    西原政府委員 私の方の関係から申し上げますと、先ほどお話がありましたように、投資信託でどの程度の金が集まったかという数字があるわけであります。銀行の方でどの程度にそのために預金が減ったのかどうかという数字がはっきり私どもわかりませんので、どういうふうに数字的に競合しておりますかわからないのでありまするが、公社債投資信託で、この間、つまり一月に四百六十億集まりました。この地域的な区分から考えますと、東京、大阪、名古屋で大体七割くらいかと思うのであります。そのあとの三割が大体それ以外の地方ということになるかと思います。これは公社債投資信託でございますので、結局運用先は社債が主になると思います。社債でございますから、おのずからそこにこれを対象とする限り限度がございますので、そういう点で自然に銀行との間の調整と申しますか、そういうものができるのではなかろうかというふうに考えております。
  63. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 それから、銀行はなかなか支店を作るのにも許可制度——これは石野銀行局長が来ておられませんからここでは質問いたしませんけれども、片方では店舗がどんどんふえる。そこで、その点で、金融もどうも証券の方に取られるという可能性が出てきておるのですが、これは幾らふやしても制限がないので、野放しにどんどんやっていかれるつもりなのか。最近そういう傾向が著しく現われてきておりますが、この点はどういうふうにお考えになっておるか。西原さんでもけっこうですから、伺っておきたい。
  64. 西原直廉

    西原政府委員 証券業店舗の問題につきましては、先ほどお尋ねがございましたように、業界の自主的な調整で、どの程度の店舗というふうに調整されているわけであります。今後の問題として、これを一体役所の方で直接コントロールすべきかどうか、これは今後の研究問題でありますが、証券業界で、たとえば四大証券をとって申し上げますと、昨年中にふえました店舗の数は三つでございます。そういうようなことで、銀行の方のことはどういうふうになっておりますか私よく存じませんけれども、そういうような数字になっております。
  65. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 それから、先日もちょっと触れたのですが、銀行にはなかなかやかましい制限があって、宣伝活動を個人名で出させていない。ところが、証券の方では、毎日々々テレビやその他の方面でどんどん宣伝が自由にやられております。こういう点について、銀行の方を緩和するのか、証券界の方は自由に野放しにあれしていくのかどうかということについて、大蔵省はどういうように考えておられるのか、この点も一つ伺っておきたいと思います。
  66. 吉岡英一

    吉岡説明員 銀行の方のことはよく存じませんが、証券関係の広告宣伝に関してどういうことをいたしておるかを御説明申し上げたいと思いますが、証券会社の広告宣伝につきましては、自主的に証券業協会その他で広告に関する申し合わせをいたしておりまして、それに基づいて、なるべく誇大な、あるいは特に投機を助長するような広告はやらないというような方向で処理をいたしております。それから、もう一つ、やはり申し合わせで、特に大きな四社等につきましては、経常的な収入であります委託手数料収入の五%以内に広告宣伝費を押えるというようなことをいたしておるわけであります。これが、昨年の決算期等について申しますと、一社当たりおそらく七、八億の金額になるかと存じます。銀行のことはよく存じませんが、おそらく銀行の広告宣伝に要しておる経費とそう違わない経費かと思います。内容につきましては、先ほども申し上げましたように、われわれといたしましては、投資家の啓蒙等に資するために、いわゆる投機的な宣伝、投機化を助長するような宣伝、あるいは過当な宣伝、たとえば投資信託でいえば、いわゆる実績を非常に誇示するようなこと、今度の公社債投資については、元本保証とか予想配当率というようなことを言わないようにするという意味で、内容的にも過当な宣伝をしないようにということで、業界の方もそういう申し合わせでいたしておるわけであります。
  67. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 これは業界にまかしておくだけではなかなかうまくいかないと思うのです。その点で、これは大臣にも今度質問したいと思うのですが、一体銀行行政証券行政とはどのような方法で今後処理されていくのか。これは政治的なこれ問題でもあるから、理財局長に聞いてもあれですから、大久保さんどうですか。大蔵省は、どういう方法で、現在銀行のあれなんかに対して——この間も日銀とかあるいは富士銀行の頭取が来て参考意見を言われましたけれども、そういう問題と証券行政とはどういうふうにしてやるつもりなのか。一体大蔵省にはどういう意見があるのか。またどういうふうに実行されるのか。その点を一つ具体的にお尋ねしたいと思います。
  68. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 先般来、銀行並びに証券業界の問題につきましては、各方面から御質問もいただいておるような次第でありまして、また、銀行におきましても、地方銀行に対する影響が非常に大きくはないか、こういう点もしばしば御質問をいただいております次第でございます。これらにつきましては、事務当局からお答えいたしておりますように、最近の状況におきまして、若干まだ詳細に判明していない点もございまするが、しかし、この二つの業界の問題が、若干その制度において、片や免許制、片や登録制、こういったような違いもございまするし、さような態勢のもとにおいて、これをどう運営していくか、監督していくかということにつきましては、銀行の持つ一つの任務、証券業界の持つ任務、それぞれ経済界に持っておる使命もやや異なった点を持っておるわけけでございますことは、これは佐藤さんの御承知の通りでございます。さような両方の使命を生かしつつ、相互の調整も十分考えていく、かような面におきまして、今後監督に遺憾なきを期していきたい、かように存じておりますような次第でございます。
  69. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 まあ大久保さんも最近大蔵政務次官になられたばかりですから、あまりお聞きをしませんが、今行政的には、理財局長としては、証券業と銀行に対してどういうようにお考えになっておるのか、この点も一つ伺っておきたいと思います。
  70. 西原直廉

    西原政府委員 銀行関係のことを私直接あれしませんが、証券業に対する行政的な監督の面におきましては、先ほどからお話ございましたように、今後一つの大きな問題として、たとえば従来のように証券業というもの登録制度でいいのかどうかというようなことが一番の基本でありましょうし、また、いろいろお話がございますように、店舗を今のようなままでいいのか、あるいは積極的にこれを許可制度とかというふうにすべきかどうかというようなことも、大きな一つの問題だろうと思います。こういう点につきまして、だんだんと証券業としては——数は、昔千くらいあるいはそれ以上ございましたものが、現布五百五十くらいになってきておりますけれども、同時に、その営業の範囲とかいろいろな活動分野というものはふえてきております。その活動分野のうちで、たとえば投資信託をやるとか、あるいは運用預かりをするとか、累積投資をする、こういうものは、一般普通の証券業と違いまして、政府の承認制度ということになっております。こういうものを全部ひっくるめまして、どういうふうに考え直すべきかどうか、一応やはり検討の段階にきておると思いましてこれは先ほども申し上げてどうもたびたびあれでございますけれども証券取引審議会にお願いしているわけであります。
  71. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 まあこれは大臣に答弁を求めることですから、保留しておきます。  それから、まあ事務当局ばかりに聞いてもこれは無理なことでございますから、これ以上あまりお聞きしませんけれども、この一月から公社債投信が発足しましたが、当局がこれを認可した基準はどうか、一体どういう考え方で認可されたか、その点をお伺いいたします。
  72. 西原直廉

    西原政府委員 これは、先生よく御承知のように、戦前の日本の企業の資本構成と申しますか、そのうちの長期の負債に対して一体どういう資金調達をやっていたかといいますと、おもにこれは社債で資金の調達をしていたわけであります。資金全体のあれからいきまして、戦前は社債が相当多かったのが、戦後はなかなか社債市場というものができませんで、発行がしにくいということで、実際上なかなか社債が出なかったわけであります。自己資本の充実とともに、公社債市場を早く育成すべきだという点は前々からいわれておりました。私どもとしては、そういう意味から、何とかして社債市場というものを、再開と申すと非常な語弊がございますが、もっと育成していかなければならない、これが私どもの任務であったわけであります。そういうふうな関係で、前々から、証券業あるいは金融機関の方々、その他全般の方に、何とか社債がもっと出るようにしていただきたい、何かいい工夫はないかということをお願いしていたわけであります。たまたま、昨年の暮れになりまして、公社債投信というものをやってみようという話がありました。これはどの程度できるかどうか、私どもさっぱり見当がつかなかったわけでありますけれども、これによって社債が、一般大衆に、直接と申しますか、あるいは間接と申しますか、とかもく大衆とのつながりがもっとできるようになり、社債がもっと発行できるようになるのではなかろうかということで、これは適当なことだというふうに考えて認可したわけでございます。
  73. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 そこで、今回の公社債投信の発足は、ある程度までは起債量の拡大に資することが任務かと思いますけれども、その拡大の恩恵は、一部の限定された大きなもののみが利益を得るように感じられるし、そのために中小企業の方は非常に利益が少ないという結果になると思うのですが、その点はどういうふうに考えておられるのか、そういうことを考えておやりになったのかどうか、その点も伺っておきたいと思います。
  74. 西原直廉

    西原政府委員 今度の公社債投信と、一般投資信託で先ほどお話がございました百八十億というように株の組み入れの限度が設けられております。この結果、社債が非常にたくさん発行できるようになりました。この社債をたくさん発行できる会社は、今お話しのように大体大きな会社だと思います。従いまして、電力事業その他そういう大きな会社の資金調達に幾らか稗益するところがあったと思いますが、この結果中小企業関係はどうなるか。これは、大会社がかりに資金の調達ができれば、それだけ支払いも順調にできるということになります。そういたしますと、中小企業の方にはそれだけむしろ便宜があるのではないか。それから、こういう社債発行をいたします会社の中には、下請企業とかなんとかのために、中には前貸しをしたり、あるいは資金前渡したりしているところもございますが、そういう面の資金もある程度自分の方で社債として資金調達してやろうというところもございます。そういう面におきましては、やはり中小企業にもこれが相当貢献しているということにもなろうかと思うのであります。
  75. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 先日堀委員からも郵便貯金の利子の引き下げの問題についていろいろ意見を言われたのですが、零細な資金の郵便貯金ですら利下げをするのに、一方では七分八厘という公社債投信実施を認めるというようなやり方は、どうも政府は片手落ちじゃないか。弱いものをいじめて、大きなものにはどんどん有利にするのじゃないか。そういう結果を招来しはしないかと思うのでありますが、その点はどういうふうに考えておりますか。
  76. 西原直廉

    西原政府委員 これはお答えになるかどうかあれでございますが、この間の一月に四百六十億公社債投資信託が募集されたわけでありますが、それに応募した人は十九万三千四百二十七人という数字になっております。そのうち個人が十九万一千八百六十八人でありまして、大体九九%は個人であります。従いまして、大体大衆が投資信証を買っておるのじゃないかというふうに思うわけでございます。
  77. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 大衆といっても郵便貯金の大衆とはちょっと違うと思うのでありますが、そういう問題はまたあとでやります。これは大臣に聞くことでしょうが、一方においては金利の引き下げをやるという反面において、公社債投信のような利回りの高いものを許すというやり方は、どうも矛盾していないか。これは理財局長ばかりの責任ではありませんけれども、大蔵省のやっておることはどうも片手落ちじゃないかという感じがするのでありますが、そういう点はどのように考えておられるのか。これは大久保政務次官並びに理財局長からお伺いしたいと思います。
  78. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 預金利の引き下げと社債の問題でございますが、確かに今後これらの利子全般に関しまして研究していかなくてはならぬ広範な面を持っておると思うのでございますが、今回の社債投信に関連した問題といたしましては、今後、社債の利回りと申しますか、そういった面は、金利というものの体系並びに社債市場の育成と申しますか、今理財局長も申しましたような点等を総合的に考えまして、解決をはかっていきたい、かように考えておるような次第でございます。
  79. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 あとで同僚委員から質問がありますから、簡単にしておきますが、最近四大征券の株式を店頭公開するというような動きがありますが、これは一体どういう処理をされるのか、どういう許可をされるのか、この点について当局の御意見を承りたいと思います。
  80. 吉岡英一

    吉岡説明員 四大証券が、最近、それぞれ四十億の資本金を倍額増資いたしまして、八十億にするという話をわれわれも聞いております。ただ、これは許認可事項項ではないわけでありまして、そういうようにいたしまして、店頭に公開いたします際に、証券業協会との関係が免ずるわけでございます。ただ、私どもといたしましては、四社が株を店頭市場に公開するにつきましては、当然妙な株価の操作をいたしましたり、あるいは商法にいう自社株保有の規定に抵触いたしましたりすることのないようにということは、かねがね申しておるわけでございます。
  81. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 その問題ですが、結局自社の株をつり上げるような弊害が起きはせぬか。これは、外国ではそういうことはないようでありますが、日本では初めはそういうことはやらぬといいながら、実際的には自分の社のやつをつり上げて、そしてこれが大衆に与える影響を考えてやるような懸念が考えられるのですが、こういう点はどのようにお考えになっておるのか。初めはそういうことはやらぬとかなんとか申し合わせておきながら、資本主義の社会では、競争という点になれば、結局そういう弊害が起きてくるように思いますが、店頭の公開というような場合に、そういうことを配慮されておるのかどうか、この点もあわせて伺っておきたい。
  82. 西原直廉

    西原政府委員 ただいま御指摘の点については、私どもも非常に注意をいたしておりまして、四大証券にはそのことをよく話してございます。
  83. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 最後ですが、明日参考人の意見も聞くことになっておりますから、そのときにいろいろ伺いたいと思うし、同町に政治的なことで大臣から伺いたいと思いますから、その他のことにつきましては他日質問することにして、きょうの私の質問はこれで終わります。
  84. 細田義安

    ○細田(義)委員長代理 春日一幸君。
  85. 春日一幸

    ○春日委員 この間の続きとして、信用取引の問題一点にしぼって、大蔵省の見解を明らかにされたいと思います。  ただ、その前に、私たち今御答弁を伺って異様に感じましたことについて吉岡調査官お尋ねしておきますが、今佐藤君の御質問に四大証券の年間宣伝費六、七億、それは手数料収入の五%のリミットだというような御答弁がございまして、しかも、この額は銀行筋と大差あるまいと思われる、こういうような答弁がございました。六、七億ということになりますと、月に五、六千万という膨大な額になります。六千万とすれば、かれこれ一日二百万、金融機関と大差ない、こういうあなたの認識は何か大きく開いておるのではないかと思うのでございます。従いまして、四大証券が年間六、七億、しかもこれは金融機関と大差ないという、そんな認識でこんなリミットが許されておるといたしますと、事実関係はどんなものか、私どもも一ぺんこの認識を持ちたいと思うのです。従いまして、六大銀行の年間宣伝費、これがどのくらい決算の上に現れているか、これをお知りになっておりましたら、お伺いしたいと思います。
  86. 長谷井輝夫

    ○長谷井説明員 ただいまお話がございました広告宣伝費でございますが、昨年三十五年九月期の決算を見ますと、大体一社で七億でございます。大きな銀行——今銀行と抽象的に財務調査官が申されましたが、一番大きな銀行の例をとりますと六億くらいと聞いております。証券会社の宣伝費が非常に目立ちますのは、集中的に使っておりまして、テレビとか新聞に集中的にやっているのが非常に目立つ、一方の方は新聞の折り込みその他が多い、こういうように聞いております。
  87. 春日一幸

    ○春日委員 六大銀行の宣伝広告費が実額幾らのものであると思う、ではいけませんから、資料として御提出願って検討いたしたいと思います。  それから、大久保政務次官に私一言申し上げたいのでありますが、本委員会は予算委員会との関連がございまして、現実にはこういう重要な政策問題について大臣の御答弁が得がたいのでございます。そういうわけで、本委員会におきまする政務次官の役割というものははなはだ重いのでございます。この十年間さまざまな政務次官が参られまして、山中君にいたしましても、足立君にいたしましても、あるいは藤枝君にいたしましても、何かやろうという熱意を持って質疑応答にも立たれ、その趣意に基づいてとにもかくにも真剣に誠実に取り組まれたと思うのでございます。大久保さんの御答弁を伺っておりますと、なるたけそつのないようにという御答弁。しかし、聞いておるわれわれの印象は、何となくさりげなく、事務的な御答弁に終始されておるきらいなしとしないのでございます。本委員会は、大臣に聞かなければならないが、聞こうにも予算委員会関係があって聞けない、大臣を通じて国政に反映せしめなければならないのに、これを次官を通じてなさなければならない、こういう困った立場に置かれておる事情も十分御認識願いまして、ただいまの御答弁、あれはあれで答弁かもしれませんが、あなたの言葉の中に秘められておる決意というか情熱というか、何かそんなもの一つ省内で炸裂させていただきまして、とにかくも何かしようという気魄に満ちて取り組んでいただきたい。何だかのれんに腕押しみたいたもの、気に入らぬ風もあろうに柳かなみたいなもので、どうにも手ごたえがないので、たよりなく不安に思います。この一点を十分お考えいただきたいと思います。  さて、本論ではありまするが、信用取引の問題でありまするけれども、実はこの問題については昭和二十九年の本委員会において深く論じた経緯がございます。三十四年には投信問題を論じました。けれども、そのつど大蔵当局の答弁はヒョウタンナマズみたいなものでありまして、どういう立場にあられるのか、責任ははなはだ重いにもかかわりませず、証券業界の圧力に屈せられたのか、あるいはどうも問題が大き過ぎて取りつく島がないということであるのか、とにかくそのつど問題の処理を根本的になさることなくして、万事が本日に持ち越されておるのであります。かくて、数日来論ぜられておりまする通り証券行政の面においてさまざま不安なきざしが見え始めて参っておること、御承知の通りであろうと思います。従いまして、私は、これらの問題は総合的に証券取引審議会で権威ある答申が出され、それに基づいてあなたの方の執行がなされるとは期待はいたしておりますが、特に信用取引についてもここ数年来の懸案であるのでありますから、十分一つ御考慮を願っておきたいと思うのであります。そこで、この信用取引制度というものは、市場に仮需要を導入いたしまして市場の規模を拡大し、これによって価格の形成を公正にいたしまして、かつその流通を円滑にする、こういうために設けられたものであるのであります。けれども、現在行なわれております信用取引は、さまざまな欠陥をようやくに露呈しようといたしております。すなわち、現在の信用取引は金融市場との有機的な結びつきが薄いということ、同時に、金融の繁閑あるいは金利水準、こういうものと直接の関係を持つことなくして運用が行なわれておること、こういうようなさまざまな事情が錯綜いたしまして、このために証券金融が現在きわめて不円滑な状態であることは、御承知の通りであろうと思うのでございます。従いまして、この際、証券市場のこのような驚異的な成長と発展の現状にかんがみまして、信用取引としての機能を十分に果たさしめるためには、何事かがなされなければ相ならぬでございましょう。従って、これを救済する、その欠点を補完するためには、一部には今定期取引再開の要望がなくはないのでございます。信用取引を拡大することによって、一部実力者に偏在しております市場支配の傾向を是正するというような方便等も当然考えられるでありましょうし、さらには、市場を拡大して、拡大された規模の中で需要供給を統合して公正なる株価の形成をはかっていく、こういうような趣意からも、戦前に行なわれた定期取引のようなあの投機性を相当抑制する方向において、なおかつ目的を達し得るの手法もあると思うのでございます。二十九年に深くこの問題を論じたのでありますから、政府においても当然専門的な検討があってしかるべきだと思うのでありますが、本日の段階までにおいて、この問題について検討されたところは何であるか、なお本日の時点において考えられておりまするものは何か、この点について一つ御所見を承りたいと思うのであります。
  88. 西原直廉

    西原政府委員 戦後証券市場が再開されまして、むしろ実物取引を中心とした制度が採用されました。証券市場が真に産業資金調達の場としての機能を果たし得るようにするためには、市場を投機中心の市場たらしめるよりは、実質的に資本の流通市場たらしめることがその本質である、というふうに考えられたからでございます。しかし、お話のように、もとより実物中心の市場でありましても、価格形成々公正ならしめるとともに流通を円滑ならしめますためには、証券流通市場にある程度の仮需給の導入が必要であるということは、言うまでもないことでございます。と申しまして、ただいまお話しのように、戦前におきましては定期取引というものがあったわけであります。それを一体復活することがいいかどうかということ、あるいは戦前のような投機市場に返ることになるのじゃないかというような点もおそれられまして好ましくない、そういうようなことで、現在までのところ、今までのような信用取引制度ということで、ある程度仮需給の導入をするという形で参ったわけであります。しかし、御指摘のように現在の市場規模というものが、あるいは取引所が、その本来の機能を果たすために相当狭隘であるという意見もあろうと思います。この市場規模の拡大をはかりますためには、本来増資を促進して、売買取引対象となる株式の発行の増加を待つべきであるという意見もございますし、それから市場により多くの仮需給を導入すべきであるという意見もございます。こういうようなことについて今まで私どもとして検討して参りましたところは、現在までの制度ということでいいんじゃないかというふうにしてきたわけでありますけれども、だんだんと市場の狭隘というようなことも考えられますこの際としては、一体現行の信用取引制度というもので、仮需給の導入による市場の規模の拡大あるいは公正な価格形成の目的を達し得ないのかどうか、あるいはもう少しこういう面を改善すべきかどうか、私どもだけでなくて、財界、金融界、あるいは証券界、あるいは一般のその他の中立的な方々の御意見というものも聞いて検討したい。お話のように証券取引審議会にもこの問題を提起したわけであります。
  89. 春日一幸

    ○春日委員 すべて物事が成長しますに応じて、やはり着物はその身ぶり、寸法に合わせて作っていかなければならぬと思うのです。法律制度も同様であろうと思うのでありますが、昭和二十四年、新しく出発いたしました当時には、スペキュレーションを絶対排撃しつつ、なおかつ資本市場の流通をはかることのために、さまざまな仕法が考えられたと思うのでありますが、しかし、現段階におきましては、信用取引が必要であるということが想定され、それであの証券会社証券金融会社が設けられた。しかしながら、その会社機能が現実に信用取引においてわれわれが想定したような必要を満たしてはいないというような状態でありといたしますならば、ある時期においては、あの証券金融会社で若干その機能が果たし得たと思うのだが、今やその役割は終わった、あるいはその寸法が小さくなってしまったという形になりますれば、これまた現在の証券市場の実情に合わせた制度、仕法というもの考えていかなければ、これは証券取引行政そのものがゆがめられてくるということは、当然のことであろうと思うのでございます。幸い証券取引審議会にもこの問題がかけられたとのことでございますが、政府におきましても、すべてその審議会に依存するというのではなくして、こういうことが必要なら必要であるという確信に基づいて、国民から責任をにのうておる立場において、十分一つ検討が願いたいと思います。  そこで、私は、現在の信用取引の欠陥というものがどんな形に現われてきておるか、一つ二つ例証を示しながら、大蔵当局の管理、監督がいかに行なわれておるか、これを明らかにいたしたいと思うのであります。すなわち、このような信用取引の欠陥は、いわゆる食い合い制度が行なわれることによってかもし出されて参っておるのではないか。すなわち、食い合い制度というものは、現在信用取引並びに貸借取引、この二つの段階で行なわれておるものであります。これは、信用供与の結果といたしまして、信用取引により取得した株式売却代金を、証券会社または証券金融会社が担保としてこれを保有する、これをお客との間の担保使用許諾の契約に基づいて新たな別個のお客に対する融資貸し株に充てる、こういう制度で現在運営されていると思うのであります。その結果、これを極端に言いますと、ある銘柄について借用売りと信用買いが台頭いたします限り、これは証券会社または証券金融会社は、実際には現金並びに実物がなくても、信用の供与、貸し株を行なうことができる仕組みになっておると思うのであります。これは外国のように貸し株制度が発達していないようなわが国の当時の状況におきましては、戦前の短期取引の仕法を一応取り入れられて、そうしてわが国の当時の事情に見合うようにやられたというその経過については、私どもこれは了承するのでありますが、この制度は、他面作為的に操作されますと、非常に危険な内容を含んでおるのでございます。  まず、具体的な例を申し上げますと、かつて東洋精糖の株の買い占め事件があったことがございます。このときの事例を、足取りを拾ってみますと、買い方が信用買いを累積いたしまして、売り方の信用売りを誘発する、しこうして信用売りがある、頂点に達しましたときに、買い方が融資を返済して現株を引き取る、こういう申し出をいたしました場合、売り方は貸し株返済が不可能となって、ここで多額の逆日歩を取られて、圧迫されて、そうして屈伏しなければならぬ。これは現実に新聞にも大きな問題として報道されましたし、一体こんなことをやらしておいて、兜町ギャングの横行を許しておいていいのかどうかということが、当時大きな社会問題になったわけでございます。こういうような弊害が、現在の信用取引の、いうなれば食い合い制度というものが、これが悪く作為的に操作されると、だれでもこういうことをやることができて、だれでもとんでもない目にあわざるを得ないというような、こういう仕組みになっておる。これは政府として何らか当然弊害面を是正しなければならぬものと私は考えるのでございます。こういう点について、その弊害を是正することのために、大蔵当局はどのような対策を考えておられるのであるか。これを一つ今まで研究されておりますところを明確に御答弁願いたいと思います。   〔細田(義)委員長代理退席、委員長着席〕
  90. 西原直廉

    西原政府委員 今お話しのように、現在信用取引、貸借取引の両段階におきまして、いわゆる食い合い制度が行なわれております。これは、買い占め等が行なわれております際には、現引きがあると決済不能となるという危険があるわけであります。しかし、そういうものの危険を全然回避するというような意味で、食い合い制度を廃します場合には、貸し株市場が整備されていなければ、信用取引の円滑な運営ということもできない。両方の困難がございます。それは今御指摘の通りであります。一体この貸し株市場をどういうふうに育成するか、あるいは食い合い制度をどう考えるか、これはお話しのように今後の証券取引審議会で十分御検討いただく大きな一つの問題でございますが、今の段階においては、何か食い合い制度自体に一つのルールと申しますか、そういうもの考えるべきではなかろうかという感じはするわけでございます。これは証券取引審議会で十分検討していただきたいというふうに思っておるわけであります。
  91. 春日一幸

    ○春日委員 今申し上げました、言うならばこれが作為的に悪用操作された場合には、このような逆日歩をとられることによって、屈服を余儀なくされるという現実の弊害があるのであります。これは東洋精糖ばかりでなくて、これは一つの例でありまするが、幾つもあるのです。こういう弊害を伴うてくるところの食い合い制度というものの弊害の面を、何らかの形で是正するという責任をあなた方は感じられませんか。そうでなければ、健全なる証券市場の運営というものはなかなかできないと思う。弊害があっても、しかし他に利点があるのだから、これは見のがしておこうということでは、そのような作為的に悪用採作をしようという、そういう連中がばっこ跳梁して、そうしてわが国の産業界がそのようなギャング的な連中によって荒らされてくる、脅かされてくる、国民の基本的な人権、特に財産権というものが、証券行政の欠陥によって脅かされるという事態については、その長点をあなた方がたたえられる前に、少なくとも被害をなからしめることのために、あなた方の努力こそ考えられなければならぬのであって、それが一つ二つの被害にとどまらずして、ずいぶんの被害が起きておる。社会問題になるほどそういう問題がぴんぴんと続発をいたしておる。でありまするから、その点について、これはあなたの方も即刻その弊害の面を是正することのための行政措置があってしかるべきである。即刻に立法措置が必要であるならば、その立法措置をせればならぬ。あるいはその食い合い制度というもの自体が国民の財産権を侵害することが大きいとするならば、それは廃止することによって、他の方法によってその目的を達するの考え方をとらなければならぬと思う。のみならず、この食い合い制度は、顧客の担保使用の許諾なくして、往々にしてこれを乱用する、預かりものをむちゃくちゃに使用したりなんかする場合があるわけでして、これは今まで実害がなかったのが大多数の場合でありまするけれども、しかし、実損を与えなかったからといって、そういう行為が行なわれておることは、これは証券取引法の鉄則たる信義の原則に反すると思う。そういうような預かりものを、預かり主の担保使用の許諾を得ることなくして、勝手に使用ができるという食い合い制度、さらに、これが実損を与えない場合でも、こういうようなことが行ない得るという制度そのものに、あなた方はメスを加える必要があろうと思うのです。さらに、そういうことを理解の上で、また別ではありますけれども、これは人為的に作為的に操作すれば、逆日歩によって幾らでも金がもうかる、そういうことになって参るのです。そうしてその会社に対して大きな惨禍を与えていく。でありまするから、現在の信用取引制度にも欠陥があり不十分である。しかも、それから発生してくるところの食い合い制度たるや、今少なくともこの二つの面において弊害をかもし出そうといたしております。現実の被害はすでに続出をいたしておるのであります。だから、そういう意味におきまして、この信用取引制度全般にまたがりましても、同様に根本的な御検討がありたい。大久保政務次官には、どうか一つ、この問題は昭和二十九年からの本委員会におきまする懸案でございますので、十分一つ権威者のお知恵を網羅されまして、スペキュレーションに至らざる限界において、なおかつ大衆導入の方法というものがあろうと思う。少数の支配からこれを緩和するような効果もそれに期待できると思うのであります。善処あらんことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  92. 足立篤郎

    足立委員長 関連質問を許します。毛利松平君。
  93. 毛利松平

    ○毛利委員 問題を繰り返すようであり、また関連でもありますが、すぐにお答えができなければ、真剣に検討願いたいと思う。  一般中小関係において資金量が非常に足らない今日、二面経済成長を政府は唱えております。経済成長というととは、自然にほうっておいてなるものではない。九%なり一〇%というものは確保するために、それなりの施策を政府が積極的に行なわなければならぬというところに政治の意味があり、また今後の経済問題があろうと思う。その間にあって、金利の引き下げが是か非かという問題も今なおありますけれども、大号令が下った貿易の自由化と経済の国際競争力を高めるという意味で、金利並びに、預金の利子が下がった。社債は依然として従来の利ざやにいっておる。それが二分ぐらい距離がある。この二分という金利は、一厘下がっても金融市場に重大な波紋を投げる際、二分の開きがある。いわゆる金利体系二元論、これに対してもっと真剣に御検討を願いたいという一点。  それから、公債の問題で、利子を下げるであろう、また下がるであろうといううわさが飛んでいる。下げるとすればすみやかに下げてもらいたい。この御返事は今できなくてもけっこうです。下げ得ないとするならば、公社債の発行を停止すべきである、全金融市場から考えて停止すべきではないか、こういうように私は考えておる。この点に対する御検討を願いたい。  また、公社債の場合に、現在は四百億、五百億というわずかでありますが、年間四千億、これから数年積めば何兆円という数字がここにまかなわれる。これはおそるべき金融市場の革命であります。これは四社が一々それを持つ必要はないのではないか。いわゆる証券法から言いますと認められてはおりますけれども、想像しないこの現状に対して、四社を一括にまとめて独立したものにして、しかも、それを政府が、強いてこ入れによって、あるいは支払い準備金等も十分持たして、ここに強いものとして社債市場を育てるということの意義は、また歴史的にながめても非常に大切であります。これもよくわかりますので、一つにまとめて政府がてこ入れして強いものとして、公社債を独立さしたものに持っていくべきではないか、この一点。  それから、社債の本質からいいまして、企業会社が短期で借り入れたものを、長期、安定、低利によって社債に切りかえるというのが社債の本質であります。この本質に非常に矛盾したこれは行き方ではないか。一方では下げておるのに、そのまま維持して、今資金量が足らないからといって、どろなわ式にちょっとやっておるが、将来の経済をながめた場合に、社債の本質を逸脱するおそれが将来に大きく出てくるのではないか、この一点。  それからさらに、投資信託の場合において、投資信託というもの——社債においても限定利付でございます。預金においても限定利付でございます。投資信託とはおのずから本質が違います。この違う投資信託が、いわゆる安全性意味か、社債市場の要求が強い意味か、二つに分けて使っております。二つの場を持っております。投資信託としての本来の行き方と、制限利付の場合の公社債を買わしておる。この二またかけた、投資信託の本来の姿を逸脱したこの行き方をすみやかに解消いたし、本来の行き方に投資信託を返すべきである。それと、社債市場の育成の意味をかねてのいわゆる独立した強いてこ入れの社債会社を発足させるべきじゃないか。  こういった四、五点の問題について、今かりに即答できないにいたしましても、真剣な検討を大蔵当局は願いたい。答えられる点がありましたらお答え願いたいと思います。
  94. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 ただいま毛利委員からのお尋ねの点は、きわめて重大な問題を含んでおります。すみやかにわれわれ研究いたしまして、お答えを申し上げたいと思います。
  95. 足立篤郎

    足立委員長 次会は来たる二十三日午前十時より開会し、証券問題に関する参考人の意見を聴取することとし、本日はこれにて散会いたします。   午後一時一分散会