○横山委員 きょうのところは、私は、私の主張に対してあなたが御賛成をなさらずに、まあしかし
国税庁として多少わからぬでもないから、これだけのことはやるというふうに言明なさったことを了といたします。そのかわり、それをぜひ
一つ徹底さしていただく手段をとってもらいたいと思います。
ただ、私がこの際申し上げておきたいのは、きのうからきょうにかけて原さんの御答弁の端々に、基幹
調査であるということを明示する必要はないという意見があります。どうにもこれには私は納得できません。これは徴税の根本に触れる思想の問題だと思うのであります。私が基幹
調査を例にとっておりますのは、
納税者は疑われるべき筋合いの問題はない、あなたの方もそこの
納税者を疑っているのではない、こういう点についてはあなたと私と意見が一致しております。けれども、私の立場とあなたの立場と違うのは、あなたは、
納税者というものは白か黒かわからぬからということと、もう
一つは、
税務署はそういうことをやる権利があり、
納税者はそれを拒否する権利はない、こういう感覚であります。この感覚に私はどうしても承知できないものを持っておるのです。きのう申し上げたように、
税法はそのままで四千億に余る
自然増収があるというのです。これが実現いたしますためには、
税務職員は
相当の馬力をかけなければならぬということは、私は火を見るよりも明らかだと思う。それは、
税務職員としては、お宅はこれだけもうかっているのですから、これだけお出しになるのはあたりまえですというふうになる。けれども、
納税者としてはまた別な立場で、そんなにもうかっていません
——ことしと去年と四千億の開きがあるのですから、その四千億の開きを
国税庁が徴税機構で徴収をいたしますためのトラブルというものは、私は各所にあると思う。いわんや明年度の
経済は下半期において悪くなるのでありますから、
国税庁の立場としては、去年もうかっておったのですから、ことしも上半期これだけいいのですからという立場がある。出す方としては、今もうかっていないのですよ、これからももうからないのですよと言う。その立場のギャップもまた埋め切れないと私は思う。そうすると、四千億になんなんとする
自然増収がいかにして民主的に徴税できるかということは、私は明年度きわめて重大な問題があると思う。
先ほど、
委員長から、税に関する質問のきめもなかなかこまかくなったのであるから、この際
一つ税の徴収に関する小委員会を作ってどうこうという非公式な御意見がございましたが、私ども賛成でございます。この際その小委員会において議論すべき問題は、いかにして今の徴税機構の権力的な
要素を払拭して、より合理的、より民主的にするかということに基盤を置きたいと思う。この点については、
国税庁長官としても、
一つものの
考え方をそこにしっかりと据えて、これがどこまでできるかについては論争の問題はあるとしても、ものの
考え方としてはその方向に向けてもらわなければ、私はだめだと思う。もし、そういうやり方によって、きのう私が例を申し上げたように、特定
調査方式なり、あるいは重点
調査方式なり、基幹
調査方式なり、循環
調査方式なり、人が足らぬからそういうふうにやらざるを得ないというなら、人をふやすことにお互いに与野党とも重点を置こうではありませんか。そうして当面の税が民主的に公平に取られるように、この際
国税庁としてもまた大蔵省としても御協力を願いたいと思う。人が足らぬからどうしても権力的なやり方におもねる、あるいはめんどうくさいから、疑いも十分にないところへ飛び込んでいって、基幹
調査とも言わずに深度の深いやつをどんとやるというやり方は、徴税機構の乱用だ、質問検査権の乱用だと私はきのうから言っておるのであります。この小委員会を明日の
理事会で御相談することになると思うのでありますが、発足するにあたって、
長官として私どもの
考え方に御同意を下さるかどうか、お
考えを承りたいと思います。