○受田
委員 総理大臣、私は新
技術開発事業団の
法案が審議されるにあたりまして、
総理大臣としてあなたがどのような角度をもって、この新
技術開発に取っ組もうとされておるか、その決意と、それに伴ういろいろな対策についてお尋ねをしてみたいと思います。こうした
事業団をお作りになるという御意図に対しては、私衷心敬意を表する一人です。ただ、この新
技術を
開発して
科学技術の
振興をはかっていこうとする基本的態度において、
内閣の
総理として、
科学技術に対する考え方がどのようであるかという点は、これはこういうものの成功をさせるかさせないかということにも影響しますので、その根本的な考え方をお尋ねしてみたいのであります。
内閣法の第六条には、
内閣総理大臣の
行政各部の指揮監督権が規定してございます。また第七条には権限疑義の裁定に関する規定がしてございます。第八条には処分または命令の中止権が与えられておるのです。先ほど
池田科学技術庁長官は、
科学技術の
振興に関して、
科学技術庁設置法第十一条の規定に基づいて勧告を文部
大臣にいたされました。これはこの
法案にも直接つながる大事な
技術者養成の問題でございますのでお尋ねしますが、先ほど
田中君の
質問に答えて、
総理は
池田長官からは何も聞いておらないし、閣議にかけられた問題でもない。新聞で見ただけだというお答えがありました。しかしながら、
池田長官にしてみれば、
設置法第十一条の、この自己の持つ権限を発動するということは、よほどの決意をしたものと私は思うのです。あの勧告をなさる前日、私がこの勧告権の行使について
池田長官に
質問をいたしましたときにも、
事務当局の方々は、
設置法第三条の規定には大学の
研究は除くとなっておって、
科学技術の
振興面からその面がはずされておるから、その
行政の方のその分は除くのだという御説明があったわけです。ところが長官は、一般
行政問題としては大丈夫だという、勧告をほのめかす決意を表明されておりました。
事務当局の
見解としては、この大学の
研究を除くという規定を尊重して、文部省とは話し合いでこの問題の解決をはかるべきであって、それはしないで、むしろ話し合いで解決する方が成果があがる、権限を行使する
段階ではないという御意思も持っておられたくらいでありますが、
池田長官は大所画所から勧告権を行使せられたわけです。そういう、
科学技術庁長官として初めての重大な決意をもって勧告したことが、長官からも
総理に報告されておらないし、
総理も、この勧告権をめぐっての論争、文部省とのいろいろな行きがかりについても一向御存じないということは、
内閣各部を統制される
総理大臣としては、いささか怠慢と言わざるを得ないのじゃないかと思うのですが、新聞で伺った程度だということでございました。
池田長官は、
技術庁ができて、すでに五年も六年もたっているこの際、初めて勧告をするという重大な事態になっていることは、たとい閣議にかける問題でなくても、個人的にこれを
総理に報告して、その了解を求めるとかという措置がさるべきでなかったか。また
総理も、新聞で伺うというのではなくして、こういう問題については
所管の
大臣をちゃんと――
内閣法に規定されたところの
行政事務の分担、管理、
行政各部の指揮監督といういろいろな規定からも、この問題はどういうことであるかと問いただすというような努力をはかるべきじゃなかったか。
総理大臣の御
意見及び
池田長官の御
意見をお伺いしたいと思います。